JP2006144040A - 生産性に優れた高耐食性燃料系部品の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 塩害耐食性に優れた燃料系部品を高効率で製造する方法を提供する。
【解決手段】 質量%で、Cr:9.0〜25.0%を含有する鋼板または鋼管を素材として成型した燃料タンク、燃料パイプもしくは燃料タンク吊り下げバンドであって、塩害環境に曝される外面に溶接部やろう付け部または構成部品との接触隙間構造部位のいずれか一つ以上を有し、当該外面部位の少なくとも一部に対して、平均粒径1〜100μmのZn,Al,Mgの1種または2種以上の金属粉末とイソシアネート系樹脂から成り、質量%で金属含有量が75%上となる膜を10μm以上の厚さで塗装した後、相対湿度65%以上95%未満、温度30〜95℃の雰囲気に曝して塗膜を硬化させることを特徴とする生産性に優れた高耐食性燃料系部品の製造方法。
【選択図】 図1
【解決手段】 質量%で、Cr:9.0〜25.0%を含有する鋼板または鋼管を素材として成型した燃料タンク、燃料パイプもしくは燃料タンク吊り下げバンドであって、塩害環境に曝される外面に溶接部やろう付け部または構成部品との接触隙間構造部位のいずれか一つ以上を有し、当該外面部位の少なくとも一部に対して、平均粒径1〜100μmのZn,Al,Mgの1種または2種以上の金属粉末とイソシアネート系樹脂から成り、質量%で金属含有量が75%上となる膜を10μm以上の厚さで塗装した後、相対湿度65%以上95%未満、温度30〜95℃の雰囲気に曝して塗膜を硬化させることを特徴とする生産性に優れた高耐食性燃料系部品の製造方法。
【選択図】 図1
Description
本発明は、塩害環境における耐食性に優れた自動車用あるいは自動二輪用の燃料タンク、燃料パイプあるいは燃料タンク吊り下げバンドといった燃料系部品の製造方法に関し、特にこれら燃料系部品の製造工程に、防食を目的とした塗装工程が含まれる場合の製造方法に関する。
昨今の環境保護ニーズやライフサイクルコスト低減のニーズから、燃料タンクや燃料パイプなどの燃料系部品でも燃料透過防止性、長寿命化といった特性が要求される。
自動車用の燃料タンクあるいは燃料パイプには、米国の法規制で15年間もしくは15万マイル走行の間の寿命保証が義務付けられ、これを満たすための燃料系部品が、めっき鋼材、樹脂、ステンレス鋼の3素材について開発されてきている。自動二輪についても長寿命化や塗装省略のニーズから、従来のめっき鋼材をステンレス鋼に転換する試みがなされてきている。
自動車用の燃料タンクあるいは燃料パイプには、米国の法規制で15年間もしくは15万マイル走行の間の寿命保証が義務付けられ、これを満たすための燃料系部品が、めっき鋼材、樹脂、ステンレス鋼の3素材について開発されてきている。自動二輪についても長寿命化や塗装省略のニーズから、従来のめっき鋼材をステンレス鋼に転換する試みがなされてきている。
めっき鋼材、樹脂、ステンレス鋼の3素材のうち、樹脂についてはリサイクル性が問題であり、めっき鋼材については将来普及される可能性が高いバイオ燃料に対する耐久性が懸念されるきらいがある。一方、ステンレス鋼に関しては、鉄系素材としてのリサイクル容易性やバイオ燃料に対する十分な耐食性を有する利点があり、既に燃料パイプ用の素材として実用化されてきている。また、燃料タンクが長寿命化されるに伴って、これを車体に吊り下げるタンクバンドにも長寿命化ニーズが派生して、従来のめっき鋼材をステンレス鋼に転換しようとする試みがなされてきている。
しかしながらステンレス鋼は、現時点では塩害環境における耐食性が必ずしも十分とは言えないとされている。すなわち、融雪塩に曝される場合を模擬した実験室促進試験において、SUS436Lなどのフェライト系ステンレス鋼では、隙間構造部において隙間腐食が生じ、SUS304Lなどのオーステナイト系ステンレス鋼では溶接部などで応力腐食割れが生じるとの問題がある。
この問題を克服するため、いくつかの防食技術が開発されてきた。
例えば特許文献1では、SUS436を素材としてプロジェクション溶接を用いて組み立てた給油管にカチオン電着塗装を施す製造方法が開示されている。
また特許文献2では、フェライト系ステンレス鋼板を素材として成形された燃料タンクあるいは給油管の表面にカチオン電着塗膜を形成したり、溶接部にジンクリッチ塗膜を形成した後に表面全体にカチオン電着塗膜を形成するなどの防食方法が開示されている。
あるいは特許文献3では、フェライト系ステンレス鋼を素材として成形した燃料タンクや給油管に特定組成のZn含有塗料を塗布する方法が開示されている。
例えば特許文献1では、SUS436を素材としてプロジェクション溶接を用いて組み立てた給油管にカチオン電着塗装を施す製造方法が開示されている。
また特許文献2では、フェライト系ステンレス鋼板を素材として成形された燃料タンクあるいは給油管の表面にカチオン電着塗膜を形成したり、溶接部にジンクリッチ塗膜を形成した後に表面全体にカチオン電着塗膜を形成するなどの防食方法が開示されている。
あるいは特許文献3では、フェライト系ステンレス鋼を素材として成形した燃料タンクや給油管に特定組成のZn含有塗料を塗布する方法が開示されている。
しかしながら、カチオン電着塗装は被塗物を塗料溶液に浸漬して電着させる方法であり、燃料タンクのように大きな浮力が生じるものに対しては適用困難であるとの問題がある。また、隙間開口量が小さく奥行きが大きい形状の隙間に対しては必ずしも十分な防食効果が得られないとの問題もある。一方、ジンクリッチペイントやZn含有塗料に関しては、塗装後の塗膜の硬化に時間がかかるため、生産性が低いとの問題がある。
特開2002−242779号公報
特開2003−277992号公報
特開2004−115911号公報
本発明は、燃料タンク、燃料パイプ、あるいは燃料タンク吊り下げバンドといった燃料系部品の製造技術を提供することを目的とするものであり、塩害環境における耐食性を担保すべく防食塗装を含む製造工程の生産性を向上させることを目的とする。
本発明者らは、防食塗装方法としてスプレー塗装に着目した。カチオン電着塗装のように燃料タンクなどの大型容器に塗装する場合の浮力対策を講じる必要もなく、適切な塗料を選定するだけで済むからである。この場合、塗料は防食効果を重視して選定することにした。
先ず本発明者らは、ステンレス鋼板を素材として、燃料系部品の成型を模擬した溶接隙間構造を有する試験片を作製し、スプレー塗装を施した後、耐食性を調査した。その結果、隙間内部には塗膜が形成されないため、隙間内部以外をいかに塗装しても隙間内部の腐食防止が困難であることが判明した。
次に、隙間内部に塗膜が形成されずとも隙間内部の防食が達成できる方法について種々検討した結果、カソード防食作用を担保させた塗膜を隙間外部に形成させておけば良いことを知見し、Zn粉末含有塗料に代表される金属粉末含有塗料が有望であるとの見通しを得た。
次に、隙間内部に塗膜が形成されずとも隙間内部の防食が達成できる方法について種々検討した結果、カソード防食作用を担保させた塗膜を隙間外部に形成させておけば良いことを知見し、Zn粉末含有塗料に代表される金属粉末含有塗料が有望であるとの見通しを得た。
しかしながら、一般に金属粉末含有塗料は密着性に乏しいとの問題があり、化成処理などの塗装下地処理ができないステンレス鋼では致命的である。これに対して種々の試行錯誤の結果、イソシアネートを樹脂成分とする場合に良好な密着性が得られることを知見した。しかしながら、イソシアネートは水分と反応してウレタン結合を形成しつつ硬化するものであり、熱硬化型樹脂のように単純な加熱で硬化させることができない。
自動車あるいは自動二輪車の組み立てラインにおいて、全体の生産性を阻害しない範囲の塗膜硬化条件を見出すべく種々の検討を加えた結果、高湿度でかつ高温に曝すのが有効であることを知見した。
自動車あるいは自動二輪車の組み立てラインにおいて、全体の生産性を阻害しない範囲の塗膜硬化条件を見出すべく種々の検討を加えた結果、高湿度でかつ高温に曝すのが有効であることを知見した。
本発明は前記知見に基づいて構成したものであり、その要旨は以下の通りである。
(1)質量%で、Cr:9.0〜25.0%を含有する鋼板または鋼管を素材として成型した燃料タンク、燃料パイプもしくは燃料タンク吊り下げバンドであって、塩害環境に曝される表面に溶接部やろう付け部または構成部品との接触隙間構造部位のいずれか一つ以上を有し、当該外面部位の少なくとも一部に対して、不可避的不純物を除く成分がZn,Al,Mgの1種または2種以上から成る平均粒径1〜100μmの金属粉末とイソシアネート系樹脂から成り、質量%で金属含有量が75%以上となる膜を10μm以上の厚さで塗装した後、相対湿度65%以上95%未満の雰囲気に曝して塗膜を硬化させることを特徴とする生産性に優れた高耐食性燃料系部品の製造方法。
(1)質量%で、Cr:9.0〜25.0%を含有する鋼板または鋼管を素材として成型した燃料タンク、燃料パイプもしくは燃料タンク吊り下げバンドであって、塩害環境に曝される表面に溶接部やろう付け部または構成部品との接触隙間構造部位のいずれか一つ以上を有し、当該外面部位の少なくとも一部に対して、不可避的不純物を除く成分がZn,Al,Mgの1種または2種以上から成る平均粒径1〜100μmの金属粉末とイソシアネート系樹脂から成り、質量%で金属含有量が75%以上となる膜を10μm以上の厚さで塗装した後、相対湿度65%以上95%未満の雰囲気に曝して塗膜を硬化させることを特徴とする生産性に優れた高耐食性燃料系部品の製造方法。
(2)塗膜を塗装した後、相対湿度65%以上95%未満で且つ30〜95℃の常圧雰囲気に曝して塗膜を硬化させることを特徴とする前記(1)に記載の生産性に優れた高耐食性燃料系部品の製造方法。
(3)塗膜中の金属の組成が、質量%で、Zn:10%以上を含有し、Si:1〜10%、Sn:1〜10%、Mg:1〜10%の1種または2種以上を含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなることを特徴とする前記(1)または(2)に記載の生産性に優れた高耐食性燃料系部品の製造方法。
(4)塗膜中の金属が、MgとSiあるいはMgとSnから成る金属間化合物の1種以上を含有することを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載の生産性に優れた高耐食性燃料系部品の製造方法。
(3)塗膜中の金属の組成が、質量%で、Zn:10%以上を含有し、Si:1〜10%、Sn:1〜10%、Mg:1〜10%の1種または2種以上を含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなることを特徴とする前記(1)または(2)に記載の生産性に優れた高耐食性燃料系部品の製造方法。
(4)塗膜中の金属が、MgとSiあるいはMgとSnから成る金属間化合物の1種以上を含有することを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載の生産性に優れた高耐食性燃料系部品の製造方法。
本発明によって、塩害耐食性に優れた燃料系部品を高効率で製造できるので、産業上の効果は大きい。
なお、本発明は燃料タンクと燃料パイプの個別部品のみに限定されるものではなく、外面塩害環境に曝される自動車用あるいは自動二輪用の部品のうち、ステンレス鋼が適用される全ての部材および部品に対して適用可能である。
なお、本発明は燃料タンクと燃料パイプの個別部品のみに限定されるものではなく、外面塩害環境に曝される自動車用あるいは自動二輪用の部品のうち、ステンレス鋼が適用される全ての部材および部品に対して適用可能である。
以下、本発明について詳細に説明する。
先ず、本発明における燃料系部品用の素材としては、Cr:9〜25%を含有する鋼板あるいは鋼管とする。Crは素材の耐食性を支配する主要元素であり、9%を下回ると耐食性が不十分となる。一方、Crは固溶強化元素であり、25%を超えて含有させると素材の延性が劣化して十分な冷間加工性が得られなくなる。このため、素材のCr含有量は9〜25%に限定する。
先ず、本発明における燃料系部品用の素材としては、Cr:9〜25%を含有する鋼板あるいは鋼管とする。Crは素材の耐食性を支配する主要元素であり、9%を下回ると耐食性が不十分となる。一方、Crは固溶強化元素であり、25%を超えて含有させると素材の延性が劣化して十分な冷間加工性が得られなくなる。このため、素材のCr含有量は9〜25%に限定する。
Cr以外の合金元素、例えばNi,Mo,Cuなどについては、公知の技術に従って適宜含有させて良い。ただし、これらの元素を含有させる場合でも、Cr量としては前記範囲を満たすことを必要条件とする。
前記のCrを含有する鋼板あるいは鋼管は、プレス加工、曲げ加工、拡管,絞り加工といった冷間での塑性加工やシーム溶接、スポット溶接、プロジェクション溶接といった溶接やろう付け、あるいは金具の取り付けなどの通常の成型、組立工程を経て燃料タンクや燃料パイプあるいは燃料タンク吊り下げバンドといった燃料系部品に成型される。
この成型が完了した後の燃料系部品において、塩害環境に曝される部位に対して、後述する金属粉末含有塗料を塗装するものとする。特に、溶接部やろう付け部、金具との接触隙間構造部については、孔食、隙間腐食、SCCなどの局部腐食感受性が高いため、少なくともこれらの部位の一部に対して塗装を施すことを必要条件とする。この他に引張残留応力の高い非溶接部位などにも施工しておくのが望ましい。
なお、ここで言う溶接部やろう付け部とは、溶接やろう付けの熱によって不働態皮膜が破壊され変色した部位、溶接やろう付けによって形成された隙間構造部位、ろう付けのろう材料部を総称する。
なお、ここで言う溶接部やろう付け部とは、溶接やろう付けの熱によって不働態皮膜が破壊され変色した部位、溶接やろう付けによって形成された隙間構造部位、ろう付けのろう材料部を総称する。
次に、金属粉末含有塗料について述べる。
本発明における金属粉末含有塗料としては、隙間内部に塗膜が形成されずとも隙間内部を有効に防食するカソード防食効果と、隙間内の鋼表面pH上昇効果を奏する組成とする。このために塗料に含有させるべき金属種としては、Zn,Al,Mgが挙げられる。これらの金属は、単一金属としての粉末が混合された状態で塗料に含有せしめるのが常套であるが、2種以上の単一金属の合金粉末の状態で塗料に含有されても良い。
本発明における金属粉末含有塗料としては、隙間内部に塗膜が形成されずとも隙間内部を有効に防食するカソード防食効果と、隙間内の鋼表面pH上昇効果を奏する組成とする。このために塗料に含有させるべき金属種としては、Zn,Al,Mgが挙げられる。これらの金属は、単一金属としての粉末が混合された状態で塗料に含有せしめるのが常套であるが、2種以上の単一金属の合金粉末の状態で塗料に含有されても良い。
これら金属種の中でZnは、カソード防食効果に加えて、ステンレス鋼素材表面のpH上昇効果に優れる。自己腐食によって生じる塩基性炭酸亜鉛がpHをアルカリ域まで上昇させるので、Znの防食電流の到達範囲を超える部位においてもZnの錆汁が展開されていれば、素材の腐食が抑制されるのである。このため、Znは最も有用な金属である。
Alは、外面塩害環境においてステンレス鋼に対して卑な金属であり、カソード防食効果は確保できる。Alは自己腐食速度がZnより小さいため、長期にわたってカソード防食効果を確保するには有用な金属である。しかしながら、pH上昇効果はZnに比べて劣るため、防食電流到達可能範囲を超える部位を防食する場合には、ZnやMgなどとの合金として用いるのが望ましい。従って、Al含有量は他の添加合金含有量の残部(0を含む)となるようにすればよい。
Mgは、Znより卑な金属であり、抵抗の大きい薄液膜条件でのカソード防食に適している。しかし、Mgの自己腐食速度はZnより大きいため、防食電流を広範に到達させ得る反面短期間に消耗する。またpH上昇効果もZnに比べて劣る。このため、長期のカソード防食効果とpH上昇効果を確保するには、MgはZnやAlなどとの合金として用いるのが望ましい。
カソード防食効果とpH上昇効果の2つを極大化させつつ自己腐食速度を低下させる金属系としては、Znを10%以上含有し、残部がAl、またはAl,Mg,SiまたはAl,Mg,SnまたはAl,Mg,Si,Snよりなる合金が有効である。これら合金におけるZn含有量としては、カソード防食効果とZnの錆汁によるpH上昇効果を十分に確保するとの観点から、Zn含有量として10%を最小量とする必要がある。
この合金系において、Mgは、Al−Mg−Si−Zn系またはAl−Mg−Sn−Zn系またはAl−Mg−Si−Sn−Zn系の合金において、SiあるいはSnと水溶性金属間化合物を形成し、pH上昇効果を有すると共に素地に防食皮膜を形成して腐食を抑制する。このためMgを合金元素として利用する場合は、Si,Sn,Al,Znと共に利用することとし、金属間化合物を形成するに十分な含有量に制限することとし、1〜10%を適正範囲とする。
Si,Snは、Mgと共に水溶性金属間化合物Mg2 Si,Mg2 Snを形成し、防食に有効に作用する。このため、Mgを利用する場合に共に含有させる。Si,Snの含有量はMgとの金属間化合物の形成に必要となる範囲とし、1〜10%が適正である。
隙間外部に形成された金属粉末含有塗膜によって隙間内部をカソード防食するには、塗膜中の金属粉末と隙間内部が電気的に導電している状態でなければならない。この条件を満たすための金属粉末含有量は、塗膜に対し質量%で75%以上である必要がある。
含有される金属粉末のサイズは、平均粒径として1〜100μmが適正であり、大き過ぎると塗装作業性が低下し、小さすぎると金属粉末の消耗が早く防食効果が低下する。望ましい金属粉末サイズは2〜20μmである。また、塗膜厚みとしては少なくとも10μm以上が必要であり、望ましくは50μm以上が適当である。
含有される金属粉末のサイズは、平均粒径として1〜100μmが適正であり、大き過ぎると塗装作業性が低下し、小さすぎると金属粉末の消耗が早く防食効果が低下する。望ましい金属粉末サイズは2〜20μmである。また、塗膜厚みとしては少なくとも10μm以上が必要であり、望ましくは50μm以上が適当である。
金属粉末含有塗料の樹脂成分は、ステンレス鋼表面に対する密着性を満足させるという点からイソシアネート系樹脂とする。イソシアネートはポリオールや水などの水酸基を有する化合物との重合反応によって硬化するが、塗装作業性の点から大気中の湿気と重合して硬化するイソシアネート系樹脂から成る1液型のものが望ましい。
次に、生産性を支配する塗膜の硬化条件について説明する。
イソシネートの硬化は緩やかであり、常温の大気中ではハンドリングが可能になるまでに少なくとも1時間程度の時間が必要である。このような条件で養生させる場合、自動車や自動二輪車の組み立てラインにおいて生産性のネック工程となってしまう。金属粉末含有塗料を速やかに硬化させるには、大気中に所定量の水分が必要であり、相対湿度として少なくとも60%以上が必要で、十分な速乾性を得ようとすれば相対湿度80%以上の環境に曝すのが望ましい。
イソシネートの硬化は緩やかであり、常温の大気中ではハンドリングが可能になるまでに少なくとも1時間程度の時間が必要である。このような条件で養生させる場合、自動車や自動二輪車の組み立てラインにおいて生産性のネック工程となってしまう。金属粉末含有塗料を速やかに硬化させるには、大気中に所定量の水分が必要であり、相対湿度として少なくとも60%以上が必要で、十分な速乾性を得ようとすれば相対湿度80%以上の環境に曝すのが望ましい。
さらに、温度を上昇させると重合反応速度が促進されるため、単なる高湿に加えて高温の環境に曝すのが望ましい。本発明では30℃以上を有効な温度条件として規定する。養生時間を著しく短縮するためには前記した湿度条件で60℃以上の環境に曝すのが望ましい。しかしながら、常圧条件下で95℃超の高湿度かつ一定湿度の条件を確保するのは困難である。このため、温度の上限を95℃として規定する。
また、相対湿度95%以上の高湿度条件では結露が生じやすくなる。特に、雰囲気温度を上昇させた場合には結露によって塗膜が発泡するという問題が顕著に現れる。このため、相対湿度の上限を95%未満とする。
なお、塗装手段としては特に規定する必要はないが、工業的に多用されているスプレー塗装が常套である。
また、相対湿度95%以上の高湿度条件では結露が生じやすくなる。特に、雰囲気温度を上昇させた場合には結露によって塗膜が発泡するという問題が顕著に現れる。このため、相対湿度の上限を95%未満とする。
なお、塗装手段としては特に規定する必要はないが、工業的に多用されているスプレー塗装が常套である。
以下、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明する。
表1に示す組成の板厚0.8mmの鋼板から、燃料タンクのフランジ部を模擬して図1に示す寸法形状のシーム溶接試験片を作製し、表1に示す組成のシーム溶接部に金属粉末含有塗料をスプレー法で塗布した。
金属粉末含有塗料の樹脂成分としてはイソシアネート系樹脂を用いた。図1において、1は2枚の供試材、2は金属粉末含有塗料の塗膜で、(a)図右側のハッチング部分が塗装領域を示す。(a)図のA−A′断面を(b)に示す。3は供試材1の溶接部、4は2枚の供試材の隙間部である。
表1に示す組成の板厚0.8mmの鋼板から、燃料タンクのフランジ部を模擬して図1に示す寸法形状のシーム溶接試験片を作製し、表1に示す組成のシーム溶接部に金属粉末含有塗料をスプレー法で塗布した。
金属粉末含有塗料の樹脂成分としてはイソシアネート系樹脂を用いた。図1において、1は2枚の供試材、2は金属粉末含有塗料の塗膜で、(a)図右側のハッチング部分が塗装領域を示す。(a)図のA−A′断面を(b)に示す。3は供試材1の溶接部、4は2枚の供試材の隙間部である。
塗装後の試験片は、各種雰囲気条件で暴露時間を変化させて養生した後、硬化の進行状況を評価した。指が触れて指紋が付かず、且つ指で押して塗膜が変形しないレベルを合格とした。10分以内に硬化した場合は良好と評価し、10分から1時間の間に硬化状態に到達した場合は不十分として評価し、1時間以上の時間を要した場合は不合格と判定した。
硬化が進んだと評価されたサンプルは端面部をシールした後、腐食試験に供した。
腐食試験としては、タンク外面の塩害環境を想定し、JASOモードの複合サイクル試験(5%NaCl溶液噴霧,35℃,2時間→強制乾燥,60℃,4時間→湿潤90%RH,50℃,2時間)を300サイクルにわたって実施した。
試験終了後、溶接部および隙間内部の局部腐食の程度、あるいは応力腐食割れの有無を評価した。局部腐食深さの元板厚に対する割合が50%以下であれば、良好と評価し、50%を超える場合は不合格と評価した。また、染色液浸透探傷法で応力腐食割れが見られなかったものを良好と評価し、割れが検出されたものについては、その程度を問わず不合格と評価した。
腐食試験としては、タンク外面の塩害環境を想定し、JASOモードの複合サイクル試験(5%NaCl溶液噴霧,35℃,2時間→強制乾燥,60℃,4時間→湿潤90%RH,50℃,2時間)を300サイクルにわたって実施した。
試験終了後、溶接部および隙間内部の局部腐食の程度、あるいは応力腐食割れの有無を評価した。局部腐食深さの元板厚に対する割合が50%以下であれば、良好と評価し、50%を超える場合は不合格と評価した。また、染色液浸透探傷法で応力腐食割れが見られなかったものを良好と評価し、割れが検出されたものについては、その程度を問わず不合格と評価した。
試験条件および結果を表2に示す。
No.1〜8の本発明では、10分以内の短時間で塗膜が硬化しており、溶接部および隙間部の防食も達成できている。
一方、比較例 No.11は湿度が高すぎるため塗膜に発泡現象が見られた。防食機能には悪影響を与えないが、塗装外観に劣るため総合的には不合格と評価した。比較例 No.12〜 No.15は、湿度と温度の塗膜養生条件が本発明の範囲を外れているため、10分以内に硬化させることができなかった。特に、 No.14は屋内の自然乾燥による硬化挙動を確認したものであるが、硬化までに1時間以上の長時間を要した。
また、比較例 No.16〜 No.18は塗膜中金属含有量が少ないため、比較例 No.19では塗膜厚みが薄いため、いずれも十分な防食効果が発現されなかった。また、比較例 No.51,52は、無塗装の場合に生じる局部腐食や応力腐食割れの問題を確認したものである。
No.1〜8の本発明では、10分以内の短時間で塗膜が硬化しており、溶接部および隙間部の防食も達成できている。
一方、比較例 No.11は湿度が高すぎるため塗膜に発泡現象が見られた。防食機能には悪影響を与えないが、塗装外観に劣るため総合的には不合格と評価した。比較例 No.12〜 No.15は、湿度と温度の塗膜養生条件が本発明の範囲を外れているため、10分以内に硬化させることができなかった。特に、 No.14は屋内の自然乾燥による硬化挙動を確認したものであるが、硬化までに1時間以上の長時間を要した。
また、比較例 No.16〜 No.18は塗膜中金属含有量が少ないため、比較例 No.19では塗膜厚みが薄いため、いずれも十分な防食効果が発現されなかった。また、比較例 No.51,52は、無塗装の場合に生じる局部腐食や応力腐食割れの問題を確認したものである。
1:2枚の供試材
2:金属粉末含有塗料の塗膜
3:供試材1の溶接部
4:2枚の供試材の隙間部
2:金属粉末含有塗料の塗膜
3:供試材1の溶接部
4:2枚の供試材の隙間部
Claims (4)
- 質量%で、Cr:9.0〜25.0%を含有する鋼板または鋼管を素材として成型した燃料タンク、燃料パイプもしくは燃料タンク吊り下げバンドであって、塩害環境に曝される表面に溶接部やろう付け部または構成部品との接触隙間構造部位のいずれか一つ以上を有し、当該外面部位の少なくとも一部に対して、不可避的不純物を除く成分がZn,Al,Mgの1種または2種以上から成る平均粒径1〜100μmの金属粉末とイソシアネート系樹脂から成り、質量%で金属含有量が75%以上となる塗膜を10μm以上の厚さで塗装した後、相対湿度65%以上95%未満の雰囲気に曝して塗膜を硬化させることを特徴とする生産性に優れた高耐食性燃料系部品の製造方法。
- 塗膜を塗装した後、相対湿度65%以上95%未満で且つ30〜95℃の常圧雰囲気に曝して塗膜を硬化させることを特徴とする請求項1に記載の生産性に優れた高耐食性燃料系部品の製造方法。
- 塗膜中の金属の組成が、質量%で、Zn:10%以上を含有し、Si:1〜10%、Sn:1〜10%、Mg:1〜10%の1種または2種以上を含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなることを特徴とする請求項1または2に記載の生産性に優れた高耐食性燃料系部品の製造方法。
- 塗膜中の金属が、MgとSiあるいはMgとSnから成る金属間化合物の1種以上を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の生産性に優れた高耐食性燃料系部品の製造方法。
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