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JP2006038535A - 物質の検出方法および物質の分離装置 - Google Patents

物質の検出方法および物質の分離装置 Download PDF

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JP2006038535A JP2004216479A JP2004216479A JP2006038535A JP 2006038535 A JP2006038535 A JP 2006038535A JP 2004216479 A JP2004216479 A JP 2004216479A JP 2004216479 A JP2004216479 A JP 2004216479A JP 2006038535 A JP2006038535 A JP 2006038535A
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克佳 高橋
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豊 鵜沼
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Abstract

【課題】 物質を、簡便に再現性良く分離できる物質の検出方法、および物質の分離装置を実現する。
【解決手段】 基板10上に、第一の分離方式の分離を行う第一流路1を備えた第一分離部を設ける。基板10上に、第一の分離方式と異なる一つ以上の第二の分離方式での分離を行う第二流路2を備えた第二分離部を設ける。第一流路1と第二流路2とが少なくとも第一流路1と第二流路2の境界面で直接もしくは間接的に互いに並列となるように配置されている。第一流路1による分離と、第二流路2による分離とを逐次的に行う。
【選択図】 図1

Description

本発明は、2種類以上の各分離方式をそれぞれ用いて物質を分離する方法および分離装置に関する。詳しくは二次元電気泳動を用いて生体分子を分離する検出方法および分離装置に関するものである。ただし、本発明は、上記の用途だけに限定されるものではない。
近年、人類の健康状態や空気環境中の有害物質を、携帯可能な大きさや重さであるチップ上で分析しようとする試みがなされている。これらの技術は、μTAS(micro Total Analysis Systems)、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)等と称され、特に核酸やタンパク質などの生体分子を測定対象とする分析チップが注目を集めている。
中でも生命現象に直接影響を与えるタンパク質の機能、状態を網羅的に解析することは、人類の健康状態を分析する上で重要な技術である。タンパク質を網羅的に解析する方法として二次元電気泳動法が挙げられる。
二次元電気泳動法は、タンパク質の混合物を互いに異なる二つの性質により分離する手法であり、一つの性質により分離する一次元電気泳動に比べ、はるかに高い分解能を有する。一次元目の分離方式にタンパク質の等電点による分離を用い、二次元目の分離方式にタンパク質の分子量による分離を用いる二次元電気泳動法が一般的である。
等電点電気泳動とは、分析物が自身の等電点(pI)に基づき、電気泳動媒体中に形成されたpH勾配に従って分離される手法であり、分子量分離電気泳動とは、分析物が分子量に基づき、例えばゲルなどの電気泳動媒体による分子篩効果に従って分離される手法である。
従来の二次元電気泳動法では、一次元目の等電点ゲルにチューブもしくはストリップゲルを用い等電点による分離を行ったあと、架橋され分子篩効果を有するスラブ型のポリアクリルアミドゲルの一端に等電点ゲルを乗せ、一次元目の分離と直交する方向に二次元目の分子量分離による電気泳動を行っている。
しかし、上記従来の方法においては、分離に非常に時間を有することや二次元目のゲルや電場が不均一なことから生じる分離されたバンドの歪み(スマイリング)、タンパク質が二次元目のゲル内において二次元目の電気泳動方向に対して横方向に拡散するため一次元目の分解能を維持できないなどの不都合があった。
この不都合を解消するため、例えば特許文献1には、二次元目の分離において、一次元目の分離方向に対して直交する方向に複数の互いに平行なキャピラリーをそれぞれ形成し二次元電気泳動を行う方法が提案されている。
特表2002−516996(公表日:2002年6月11日、特願2000−551249)
しかしながら、上記特許文献1に記載の従来の方法では、二次元目の分離に複数の各キャピラリーを用いるため、各キャピラリー間においてゲルなどの分離媒体や電場のばらつきが生じ易く、分離の再現性が低いという問題を生じている。
また、上記特許文献1に記載の方法に関しては、一次元目の分離方向に対し直交する方向に複数の平行なキャピラリーを有するため、分離物質の濃度が高く一次元目のバンド幅が二次元目のキャピラリー幅より大きい場合の一次元目の分離物質や、二次元目のキャピラリーとキャピラリーとの間に位置する一次元目の分離物質が、異なる複数の二次元目の各キャピラリーにおいてそれぞれ電気泳動されるなど、一次元目の分解能を二次元目への展開に際して的確に保持できないという不都合を有している。
さらに、上記特許文献1に記載の方法では、複数の各キャピラリーを互いに平行に配置するため小型化が困難、その上、二次元目の分解能を向上させるためには二次元目のキャピラリーの長さを長く設定する必要があるが、この場合も小型化が困難、二次元目の分離に複数の各キャピラリーを用いるので、分離物質の検出を広範囲にそれぞれ行う必要があり検出装置の小型化や低コスト化が困難という問題点があった。
本発明は、上記問題、不都合および問題点に鑑みなされたものであって、二次元電気泳動が、スマイリングの発生を回避しながら短時間で、高再現性、高分解能、低コスト、小型で実施され、分離物質を検出するための検出方法および分離装置を提供することを課題とする。
本発明に係る物質の検出方法は、上記課題を解決するために、第一の分離方式と、第一の分離方式とは異なる1種類以上の第二の分離方式とを有する分離場における物質の検出方法において、第一の分離方式での物質の分離を単一の第一流路にて行い、第二の分離方式での物質の分離を単一の第二流路にて行い、第一流路による分離と、第二流路による分離とを逐次的に行うことを特徴としている。
上記方法によれば、二次元目の電気泳動といった分離を単一の第二流路で行うため、従来の複数の流路を第二流路に用いた場合に生じた、流路間でのばらつきが生じず、また、第一流路による一次元目の分解能を保持したまま、第二流路による二次元目への展開が可能である。よって、上記方法は、高分解能の二次元電気泳動といった分離が可能となると共に、分離の再現性を改善できる。
上記検出方法では、前記分離場が電気泳動であってもよい。上記検出方法においては、前記分離場での物質の分離状態の検出を、前記第二の分離方式の分離を行う前記第二流路の一定領域における物質分布パターンの変化を経時的に測定して行ってもよい。
上記検出方法では、前記測定が光測定であってもよい。上記検出方法においては、前記測定が電気的測定であってもよい。
上記検出方法では、前記光測定における入射光を前記第二流路の一端より第二流路内へと導入してもよい。上記検出方法においては、前記光測定をマルチピクセル光検出器を用いて検出してもよい。
上記検出方法では、前記第二の分離方式における計測結果を用いて、分離された物質を示す信号ピークの移動開始位置あるいは開始時間の相違から、前記第一の分離方式での第一の分離結果を得ると共に、信号ピークの移動速度の相違から第二の分離方式における第二の分離結果を得てもよい。
上記検出方法においては、前記検出方法において、第二の分離方式における測定結果である2次元信号データI(x,t)(xは第二の分離方式における位置、tは測定時刻(t=0,..,n))を用い、直線x=a+vtのデータを足し合わせた結果をJ(a,v)=ΣI(a+vt,t)t=0,…,nとし、J(a,v)のピークを与えるaから第一の分離結果、vから第二の分離結果を得てもよい。
上記方法によれば、得られた時間−空間の2次元データに任意の傾きと切片をもつ直線を引き、直線上のデータを積算した値を傾きと切片を変数としてマッピングする。積算値は軌跡と直線が一致した時大きくなる。従ってマップのピーク位置を求めることにより軌跡の傾きと切片が得られ、2次元分画データを得ることが可能となる。
上記検出方法では、前記第一流路および第二流路の少なくとも一方の幅が1μm〜5000μmであり、前記第一流路および第二流路の少なくとも一方の深さが1μm〜5000μmであることが好ましい。上記検出方法では、前記第二流路が蛇行形状を有してもよい。
本発明に係る物質の分離装置は、前記課題を解決するために、基板上に、第一の分離方式の分離を行う単一の第一流路を備えた第一分離部と、第一の分離方式と異なる一つ以上の第二の分離方式での分離を行う単一の第二流路を備えた第二分離部とをそれぞれ有し、第一流路と第二流路とが少なくとも第一流路と第二流路の境界面で直接もしくは間接的に互いに並列に配置されていることを特徴としている。
上記構成によれば、第一分離部と第二分離部とを備えたことで、複数の互いに異なる分離方式を用いて、例えば二次元電気泳動法というような分離精度を向上させることが可能となる。
また、上記構成は、第一流路と第二流路とを、それらの境界面で直接もしくは間接的に互いに並列に配置したから、第一流路と第二流路との相互間での分離結果を、その分離状態のままを維持しながら、他方に移動させることができるので、例えば二次元電気泳動法というような分離精度の向上を、より確実化できる。
本発明に係る物質の他の分離装置は、前記課題を解決するために、基板上に、第一の分離方式の分離を行う単一の第一流路を備えた第一分離部と、第一の分離方式と異なる一つ以上の第二の分離方式での分離を行う単一の第二流路を備えた第二分離部とをそれぞれ有し、第一流路と第二流路とが直接または間接的に互いに直列に配置されていることを特徴としている。
上記分離装置においては、前記第二流路の一定領域における物質分布パターンの変化を経時的に測定する検出部を備えていることが望ましい。上記分離装置では、前記第二流路が蛇行形状を有していてもよい。
上記分離装置においては、前記第一分離部および第二分離部が二次元電気泳動可能に設定されており、前記第一流路と前記第二流路と電圧を印加するための電極とを前記基板上に有する、もしくは前記第一流路と前記第二流路と基板外から基板上へ外部の電極を挿入する機構とを有していてもよい。
本発明によると、二次元目の電気泳動といった分離を単一の第二流路で行うため、従来の複数の流路を第二流路に用いた場合に生じた、流路間でのばらつきが生じず、また、一次元目の分解能を保持したまま二次元目への展開が可能であり、再現性が高く、高分解能の二次元電気泳動といった分離が可能となる効果がある。
また、二次元目の電気泳動を単一の第二流路で行うため、第二流路を蛇行させたり、渦巻状に設定したりできて、装置の小型化を維持したまま分解能の向上が可能となる効果を発揮できる。また、分離装置の小型化に伴い、検出装置の小型化、低コスト化が可能となる効果がある。
本発明は、二次元電気泳動をスマイリングを起こすことなく短時間で、高再現性、高分解能、低コスト、小型で実施し検出することが可能となるという効果を奏する。また、測定結果をデータ解析することにより従来のゲル板の二次元分画パターンの形に測定結果を表示し従来のゲル板二次元電気泳動データベースを使用することも可能である。本発明の、上記以外の他の効果は、以下の実施の各形態において記載したとおりである。
本発明に係る物質の検出方法および分離装置の実施の各形態について図1ないし図10に基づいて説明すると以下の通りである。
[実施の第一形態]
以下に、本発明の実施の第一形態における一例について図面を参照して詳細に説明する。ただし、本実施の形態では、二次元電気泳動法における物質の検出方法および分離装置について説明を行うが、多次元電気泳動法、二次元電気泳動法以外の分離法における物質の検出方法および分離装置にも適用できる。
図1は、本発明における物質の分離装置の上面概略図である。図1に示すように、本発明に係る、物質の分離装置は、一次元目の電気泳動を行う第一流路1と、二次元目の電気泳動を行う第二流路2とをそれぞれ帯状に形成した基板10を備えている。第一流路1と第二流路2とは、互いに並行して、それらの少なくとも一部が密着した境界線部を有して形成されている。上記並行とは、第一流路1の長手方向と、第二流路2の長手方向とが互いに平行となるようにそれぞれ配置されていることである。ただし、二つの各流路1、2は同一基板上に形成されている必要はなく、別々の基板にそれぞれ形成してもよい。
第一流路1と第二流路2の配置は、図1のように平面方向に左右(長手方向に対し直交する短手方向に互いに隣り合うよう)に配置されていることが好ましいが、必ずしも上記配置が必要ではなく、立体方向に上下に配置されてもよい。また、一次元目の電気泳動は、第一流路1中で行う必要はなく、基板外で一次元目の電気泳動が終了した電気泳動媒体を二次元目の電気泳動開始前に、第一流路1に配置してもよい。
基板10としては、例えば、プラスチック材料、ガラス、光硬化性樹脂、または熱硬化性樹脂などを用いることができる。基板10上に形成される各流路1、2の断面(流路の長手方向に対し直交する方向の断面)の形は、矩形、または台形形状などでよく、さらに流路の底が円の一部のように丸くなっていてもよい。これらの各流路1、2は、例えばウェットエッチング、ダイシングソー等を用いて、基板10をその厚さ方向に削るようにしてそれぞれ作製されることが望ましい。また、各流路1、2の流路パターンに対する凸型の金型を形成し、金型に対して射出成型、ホットエンボスなどによる転写を行い、各流路1、2を基板10上に形成してもよい。
一次元目の電気泳動は、例えば等電点電気泳動を行う。第一流路1には、電圧印加によりpH勾配が形成されるよう、弱酸性と弱塩基性の両方の解離基をもつ両性担体を含んだ例えばポリアクリルアミドゲルが充填される。両性担体のpH値は、分離対象となる、例えばタンパク質などの生体物質を含むサンプルの等電点の分布により選択可能である。
第一流路1内にpH勾配を作製するために、予めゲル内に弱酸性、弱塩基性の解離基を固定した固定化pH勾配ゲル(Immobilized pH gradient)を用いてもよいし、例えば、ポリアクリルアミドゲルの代わりにアガロースゲルを用いてもよいし、ゲルを用いずに両性担体を含む溶液に電圧を印加することにより流路内にpH勾配を作製してもよい。また、等電点電気泳動を基板外で行ったあと、等電点電気泳動ゲルを第一流路1内に配置してもよい。
第一流路1の幅は、例えば、1μm〜5000μmの範囲内で、第一流路1の深さは、例えば、1μm〜5000μmの範囲内で、第一流路1の長さは例えば、1cm〜50cmの範囲内であることが好ましいが、この範囲内に限定されるものではない。第一流路1内で電気泳動を行う場合は流路の両端に、電気泳動を行うための電極部(図示せず)を設けてもよい。電気泳動を行うための電極は、基板上に形成されている必要はなく、基板外から電極を必要時に基板上に差し込み電気泳動を行ってもよい。第一流路1内へのゲルの充填および各電極の装着により第一分離部が形成される。
二次元目の電気泳動には、一次元目の分離方式と相違する、例えば、分子量による分離方式を用いる。例えばタンパク質を分子量により分離する方法としてSDS−PAGE(SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動)が挙げられる。SDS−PAGEでは、タンパク質を陰イオン性界面活性剤であるSodium dodecyl sulfate(SDS)で処理し、タンパク質を一様に負の荷電状態にし、ポリアクリルアミドゲルの分子篩効果により、タンパク質を分子量により分離する。
よって、第二流路2には、分子篩効果を有するポリアクリルアミドなどのゲルが充填される。重合開始剤を含むアクリルアミドモノマーを流路内に充填し流路内で重合して上記ゲルを充填してもよい。第二流路2へのゲルの充填は、第一流路1で一次元目の電気泳動終了後が好ましいが、基板外で一次元目の電気泳動を行う場合や第一流路1と第二流路2を別々の基板に形成した場合、または、第一流路1と第二流路2とが出し入れ(着脱)可能な電気絶縁物からなる隔壁(図示せず)で互いに隔てられている場合は、一次元目の電気泳動を行う前に第二流路2にゲルを充填してもよい。第二流路2内へのゲルの充填および各電極の装着により第二分離部が形成される。
分子篩(ふるい)効果は、ゲルの網目構造により制御可能であり、例えばタンパク質などの生体物質を含むサンプルの分子量の分布により選択可能である。ゲル以外の電気泳動担体でも分子篩効果を有する物質をこの目的に使用することが可能である。第二流路2の幅は、例えば、1μm〜5000μmの範囲内で、第二流路2の深さは、例えば、1μm〜5000μmの範囲内で、第二流路2の長さは例えば、1cm〜50cmの範囲内であることが好ましいが、この範囲内に限定されるものではない。
また、第二流路2は直線形状である必要はなく、図2に示すように、第二流路2に対応する第二流路4を、蛇行形状としてもよく、また、渦巻形状(図示せず)、螺旋形状(図示せず)などの形状でもよい。これらの場合、第一流路3と第二流路4との間に、それらの長手方向に沿って境界面が形成されるよう第一流路3も蛇行形状などの形状としてもよい。また、第二流路4は、それぞれ単一の流路を複数互いに直列にそれぞれ繋げて(接続して)形成してもよい。
第二流路2および4の両端においても、電気泳動を行うための各電極部(図示せず)をそれぞれ設けてもよい。電気泳動を行うための各電極部は、基板10および20上に形成されている必要はなく、基板10および20外から必要時に各電極部を基板上にそれぞれ差し込み電気泳動を行ってもよい。第一流路1および3、第二流路2および4をそれぞれ形成した基板10および20は、別の基板などで蓋をする構成としてもよい。
本実施の形態では、図1および図2に示すように、二次元目の電気泳動を一次元目の電気泳動を行う第一流路に対して互いに並列方向となるように配置した単一の第二流路で行うことが特徴である。ただし、第一流路と第二流路とは直接、互いに並列に配置されている必要はなく、間に別の流路(図示せず)を介して互いに並列に間接的に配置されてもよい。
実施の第一形態に係る分離装置を用いて、タンパク質サンプル(タンパク質混合物、分離対象物))を二次元電気泳動により分離、検出する方法について図1を用いて説明する。一次元目の等電点電気泳動を行う、第一流路1には、例えば、予めpH勾配が形成されたゲル(Immobilized pH gradient)を充填する。これらのゲルは乾燥状態で保存されているため、まず、第一流路1内に乾燥状態のゲルを充填しておき、タンパク質サンプルを含んだ膨潤液で上記ゲルを膨潤することにより、ゲルの膨潤とゲル内へのタンパク質サンプルの添加を同時に行うことが可能である。膨潤液の組成は、例えば、タンパク質、尿素、還元剤、界面活性剤、両性担体、純水からなる。なお、第一流路1内に両性担体を含んだゲルを充填し電圧を印加することでpH勾配をもつゲルを作製してもよい。
ゲルを膨潤状態にて第一流路1に充填した後、電圧を印加し、等電点電気泳動を行う。電圧印加のための電極(図示せず)は、第一流路1の両端に作製してもよいし、外部電極を必要時に第一流路1の両端にそれぞれ差し込み、上記各外部電極間に電圧を印加してもよい。また、電極を作製もしくは挿入するための電極部(図示せず)の機構を設けてもよい。
電圧を印加することにより、タンパク質が等電点に従って第一流路1内で分離される。ただし、一次元目の電気泳動は、基板10上の第一流路1内で行う必要はなく、別の基板上で等電点電気泳動を行ったゲルを第一流路1に充填してもよい。等電点電気泳動を行うことにより、pH勾配を形成したゲル内で、タンパク質は自身の等電点と等しいpHの位置に分離される。
第二流路2では、二次元目の分子量分離を目的とした電気泳動を行う。タンパク質の分子量分離を目的としたゲルとして、分子篩効果を有するポリアクリルアミドゲルを用いるのが一般的である。分離を目的とするタンパク質の分子量範囲によって分離ゲルのアクリルアミド濃度を変化させることが望ましい。第二流路2へのゲルの作製は、例えば、重合開始剤を含むアクリルアミドモノマーを流路内に充填し流路内で重合を行う方法が挙げられる。
第二流路2へのゲルの充填は、第一流路1で一次元目の電気泳動終了後が好ましいが、基板外で一次元目の電気泳動を行う場合や第一流路1と第二流路2を別々の基板に形成した場合、あるいは、第一流路1と第二流路2が出し入れ可能な絶縁物(隔壁、図示せず)で隔てられている場合は、一次元目の電気泳動を行う前に第二流路2にゲルを充填してもよい。
一次元目の電気泳動後、タンパク質を一様の荷電状態にするためSDS処理を施す。SDSは負電荷を有するため、SDS処理を施されたタンパク質は陽極に向かって一様に泳動されるが、ゲルの分子篩効果のため、低分子量のタンパク質は速い速度で、高分子量のタンパク質はより遅い速度で泳動される。
二次元目ゲル内におけるタンパク質の移動度は、分子量を反映したものとなる。SDS処理は、第一流路1内で行うことが望ましいが、基板外で一次元目の電気泳動を行う場合や、第一流路1と第二流路2を別々の基板に形成した場合は、SDS処理を基板外で行ってもよい。SDS処理を一次元目の等電点電気泳動終了後ゲルに施した後、タンパク質を第一流路1のゲル中から第二流路2のゲル中に移動させる。
この移動はSDS処理を施したタンパク質が負電荷を有するため、例えば、一次元目のゲルと二次元目のゲルの境界面に対して平行に、第一流路1の上端に負極(図示せず)を、第二流路2の下端に陽極(図示せず)を、例えば、外部より挿入し電圧を印加することにより行うことが可能である。
この結果、第二流路2のゲル中に一次元目の電気泳動により分離されたタンパク質を平行に移動させることが可能であり、タンパク質は第二流路2中で自らの等電点に基づいた互いに異なる位置情報を有することが特徴である。
従来の一次元目の電気泳動方向と二次元目の電気泳動方向とが互いに直交する系では、一次元目の電気泳動により分離されたタンパク質を二次元目の電気泳動方向に展開する際、一次元目の電気泳動を行う流路幅をもった各タンパク質が二次元目の電気泳動方向に泳動されるから、二次元目の電気泳動の分解能低下を防ぐためには、二次元目の電気泳動方向に濃縮する機構が必要であった。
しかしながら、本発明の分離手法を用いることで、濃縮機構を用いることなく、一次元目の電気泳動により分離されたタンパク質が平行移動により、第一流路1内でのタンパク質の分離状態を保持したまま、二次元目の電気泳動の分解能を低下させることなく、第二流路2内へ展開することが可能である。
第二流路2のゲル中にタンパク質を移動させた後、第二流路2の両端に電気泳動を行うための電圧を印加する。電気泳動を行う電極は、第二流路2の両端に作製してもよいし、外部電極を第二流路2の両端に挿入し電圧を印加してもよい。二次元目の電気泳動を行うための電解液は、予め第二流路2のゲル中に抱合しておいてもよいし、第二流路の両端に電極部(図示せず)を設け充填してもよい。この場合、二次元目の電気泳動を行うための電極も電極部として作製しておく、もしくは必要時に外部より挿入してもよい。
電極液としては、例えば、Trisバッファーを用いることができる。第二流路2の両端の電極間に電圧を印加することにより、SDS化したタンパク質は、自らの分子量に基づいた移動度で第二流路2中を泳動する。
このとき、本実施の形態では、泳動を行う第二流路2の一定領域を、経時的に、タンパク質の移動の様子を測定することが特徴である。タンパク質の測定は、光測定を用いて、例えば、タンパク質の紫外領域の吸収により行ってもよいし、より高感度に測定を行う場合は、予めタンパク質に蛍光色素を標識しておき、励起光照射による蛍光色素からの蛍光量を測定することにより行ってもよい。本実施の形態においては、光測定により、タンパク質の移動の様子を経時的に高感度に測定することが可能である。
なお、本発明では、上記光測定に代えて、分離したタンパク質の測定を、流路内のある位置での電気伝導度の経時変化を第二流路の一定領域にわたって測定するなどの電気的測定により検出を行ってもよい。その他タンパク質の位置情報を認識できる全ての方法を使用することが可能である。
上記光測定において、タンパク質の紫外領域の吸収の測定には、例えば、UVランプ光源とCCDカメラなどのマルチピクセル光検出器とバンドパスフィルタの組合せを用いることができる。この場合、第二流路2のゲルを通過する前のUV光強度と第二流路2のゲルを通過した後のUV光強度の比、およびタンパク質以外の物質のUV吸収をバックグランドとして引くことから、ゲル中のタンパク質によるUV光の吸収率が算出され、タンパク質濃度に換算することが可能である。
さらに、上記の他の光測定としてのタンパク質に標識された蛍光色素の測定においては、ランプ光源とマルチピクセル光検出器とバンドパスフィルタの組合せを用いることができる。この場合、蛍光色素の吸収極大波長に合わせたバンドパスフィルタをランプ光源側に装着し、蛍光色素の蛍光極大波長に合わせたバンドパスフィルタをマルチピクセル光検出器側に装着して測定を行う。励起光を照射し、タンパク質に標識された蛍光色素の蛍光量を測定することによりタンパク質濃度を算出することが可能である。
または、第二流路2の片端からUV光、励起光などの入射光を照射し第二流路2を導波路として用い、マルチピクセル光検出器で検出してもよい。この場合、入射光の波長に対する基板の屈折率が流路内の充填物の屈折率より低いことが望ましい。この場合の入射光光源としては、レーザー、LED、ランプなどを用いることが可能である。第二流路2を導波路として用いることで、流路上方向より入射光を照射した場合に比べ、励起光の強度を上げることが可能であり、かつ、流路面からの入射光の反射や散乱などのマルチピクセル光検出器へのノイズ成分が減少し高感度な測定が可能となる効果がある。
何れの場合も、第二流路2の一定領域を電気泳動を行いながら経時的に測定を行うことが特徴である。ただし、電気泳動を行う間、連続で測定を行う必要はなく、例えば、パルス光照射により不連続に経時的に測定を行ってもよい。また、第一流路1で第一の分離を行う間も泳動パターンの経時変化を測定し、より詳細なデータを取得してもよい。
以下に検出の原理について図3を用いて説明する。二次元目の電気泳動を行う間、経時的に、第二流路5の一定範囲にわたって測定を行うことにより、例えば、CCDカメラなどのマルチピクセル光検出器を通して例えばコンピューターのメモリ上に、例えばx軸方向にタンパク質の第二流路5内における位置情報およびタンパク質の濃度情報が記憶され、メモリ上の例えばy軸方向には測定を行った時刻が記される。二次元目の電気泳動開始時には、第二流路5中に一次元目の等電点電気泳動による分離パターンを有したタンパク質6の位置情報および濃度がx軸上に記憶され、測定時刻t=0がy軸上に記憶される。
二次元目の電気泳動開始後のある時刻t=taでは、x軸上にその時刻でのタンパク質の位置情報およびタンパク質濃度が記憶され、y軸上には時刻t=taが記憶される。この測定を二次元目の電気泳動が終了する時刻t=tfまで行うことで、メモリ上には、第二流路5中におけるタンパク質の位置情報および濃度情報が経時的に記憶される。第二流路5中におけるタンパク質の移動は分子量に比例して等速で進行するため、タンパク質は次式に従って移動を行う。
x=a+vt …(1)
ここで、xはある時刻tでのタンパク質の位置情報(例えば、第二流路5の片端からの距離でマルチピクセル光検出器のある画素に対応)であり、aは二次元目の電気泳動前(t=0)のタンパク質6の位置情報(例えば、第二流路5の片端からの距離でマルチピクセル光検出器のある画素に対応)でそのタンパク質の等電点の情報を表す。vはあるタンパク質の分子量に基づいた移動度(速度)を表す。
二次元目の電気泳動終了時に、メモリ上に蓄積された経時的なタンパク質の位置情報および濃度情報(すなわち、マルチピクセル光検出器の画素ごとの光強度を経時的に測定したもの)に対して、(1)式による直線フィッティングを全てのxy座標に対して行うことにより、各タンパク質の等電点および分子量に基づく移動度(速度)を算出することが可能である。
具体的には、第二の分離方式における測定結果である2次元信号データI(x,t)(xは第二の分離方式における位置(x=1,…,m)(マルチピクセル光検出器の画素に対応)、tは測定時刻(t=0,..,n))を用い、この2次元データI(x,t)に対して任意の切片aと傾きvをもつ直線
x=a+vt
を引き、直線上にあるI(x,t)データを積算する。これをJ(a,v)とすると
J(a,v)=Σ(x=1,…,m,t=1,…,n ) I(x,t)δ(x-a-vt)
=Σ(t=1,…,n)I(a+vt,t) …(2)
ここで δ(p)=1 p=0,δ(p)=0 p≠0 ただしp=x-a-vt
a,vを変数としてJ(a,v)をマッピングし、直線が軌跡と一致した場合、積算値はピークとなる。従って、ピーク位置を求めることにより、それぞれの直線のaおよびv値が求まる。よって、aの値から第一の分離方式による分離結果(すなわち、タンパク質の等電点)、vの値から第二の分離方式による分離結果(すなわち、タンパク質の分子量)をより正確に求めることが可能である。
全ての直線に対して、この操作を行うことにより、全てのタンパク質の等電点および分子量が決定され、例えば別の座標系のx軸方向に等電点軸、y軸方向に分子量軸を作製し、分離されたタンパク質の等電点、分子量、および濃度情報をプロットすることにより、従来のゲル板での分離結果と同様な画像パターンを得ることができる。
ただし、フィッティングに用いる関数は一次関数である必要はなく、使用される分離方式における分離される物質の経時的な移動の挙動を表現するものであればよい。二次元目の電気泳動を行いながら第二流路の一定領域にわたって経時的に測定を行うという検出方法を用いることにより、一次元目の電気泳動後に分離されたタンパク質を等電点ごとにそれぞれ分注して、別々に第二流路に導入する必要がなく、短時間で分注操作を含むことなく二次元電気泳動が可能となる効果がある。また、本発明の検出方法を用いることにより、各タンパク質をそれぞれ別の蛍光色素で標識する必要もない。
二次元目の電気泳動において、図2に示すように、第二流路4を蛇行形状としてもよい。このとき折り返し部の構造は、湾曲していなくてもよく、直角に折り曲げてもよい。第二流路4を蛇行させることにより、限られたスペースで第二流路の距離が長くなり、二次元目の電気泳動の分解能が向上するという効果がある。限られたスペースで高分解能の分離を行うことで、分離装置の小型化、検出装置の小型化、低コスト化が可能となる効果がある。第二流路を渦巻形状、螺旋形状などの形状にした場合も同様である。
上記のように、二次元目の電気泳動を単一の第二流路で行うことにより、従来のスラブ型ゲルに見られたゲルや電場の不均一さによるスマイリング現象、二次元目の電気泳動方向に対して横方向へのタンパク質の拡散による分解能の低下をふせぐ効果がある。また、二次元目の電気泳動を単一の第二流路で行うため、二次元目に複数の流路を用いた場合に生じる流路間のばらつきが生じず、再現性の高い二次元電気泳動が可能となる効果を奏する。
二次元目の電気泳動を行う単一の第二流路を一次元目の電気泳動を行う流路に対して並列に設けたため、一次元目の電気泳動を行い分離したタンパク質が複数の異なる流路に泳動されることなく再現性の高い二次元電気泳動が可能となる効果がある。また、二次元目の電気泳動を単一の第二流路で行い、第二流路での電気泳動の方向と第一流路での電気泳動によるフォーカシングの方向が等しいため、一次元目の分解能を保持したまま、濃縮機構を必要とせずに、二次元目の分解能を低下させることなく、第一流路内で分離されたタンパク質を第二流路に展開可能となる効果を発揮できる。
また、二次元目の電気泳動を単一の第二流路で行うため、装置の小型化が可能となり、検出装置の小型化、低コスト化が可能となる効果を備えることが可能となる。二次元目の電気泳動を単一の第二流路で行うため、流路を例えば、蛇行させて長距離化させることにより、装置の小型化を維持したまま、分解能を飛躍的に向上させることが可能となる効果を発揮できる。また、二次元目の電気泳動を幅および深さの小さい単一の第二流路で行うことにより、電流による熱発生を抑制したまま高電圧が印加可能であり、短時間で二次元電気泳動が可能となる効果を有することもできる。
上記の実施の形態では、一次元目に等電点電気泳動、二次元目に分子量による分離を目的とした電気泳動を行う二次元電気泳動について説明を行ったが、分離対象物質の荷電状態、親水性、疎水性、などその他のファクターに基づいた二次元電気泳動や多次元電気泳動、また、電気泳動以外の分離場においても、本発明の物質の検出方法および分離装置が適用できることは言うまでもない。
(第一実施例)
実施の第一形態に対応する第一実施例に係る分離装置を作製し、タンパク質の二次元電気泳動および検出を行った。以下、図4を参照して説明する。
縦1cm、横10cmのアクリル基板30上に、第一流路7および第二流路8、電極部9、11の各載置用凹部をダイシングソーを用いて形成した。第一流路7は、幅1mm、深さ0.75mm、長さ50mmで、第二流路8は、幅1mm、深さ0.75mm、長さ90mm、電極部9、11の各載置用凹部は3mm角の正方形で深さは1mmである。第一流路7と第二流路8とは、それらの一端部を合わせ、第一流路7の長手方向側面の全面を、第二流路8の長手方向側面に隣接して、互いに並行となるようにそれぞれ形成されている。
基板30外で、乾燥状態で保存した1mm幅のpH勾配固定化ゲルを、蛍光色素で標識した等電点および分子量の異なるタンパク質マーカー、尿素、界面活性剤、両性担体、還元剤、純水からなる膨潤バッファーで膨潤し、両端に電圧を印加して一次元目の等電点電気泳動を行った。等電点電気泳動後、基板30外でpH勾配固定化ゲルを、Trisバッファー、SDS、還元剤、純水からなる平衡化バッファーに浸漬し、SDS化処理を行った。
一方、第二流路8に分子篩効果を有するポリアクリルアミドゲルを充填した後、SDS化処理を行ったpH勾配固定化ゲルを基板30上の第一流路7内にセットした。
続いて、第一流路7の上端(第二流路8と離れた側の長手方向側面)と第二流路8の下端(第一流路7と離れた側の長手方向側面で、かつ上記上端と対面する部位)に外部より電極をそれぞれ挿入し、第一流路7の上端を陰極、第二流路8の下端を陽極として電圧を印加し、第一流路7中のpH勾配固定化ゲル中に等電点に従って分離したタンパク質を第二流路8中のゲルに平行移動させた。
第一流路7の上端と第二流路8の下端に挿入した電極を取り除いたのち、各電極部9、11にTrisバッファー、SDS、純水からなる電極液を充填し、電極部9、11に外部より電極を挿入した。第二流路8全体にランプ光源と励起用フィルタからなる励起光を照射し、蛍光用フィルタを装着したCCDカメラで測定を開始すると同時に、電極部9を陰極、電極部11を陽極として電圧を印加し、二次元目の電気泳動を行った。
二次元目の電気泳動中は経時的にCCDカメラによる測定を行い、30分後に電気泳動および測定を終了した。コンピューターのメモリ上に格納された測定データに対し、前述の(2)式に基づき、直線フィッティングを行い、各タンパク質の等電点および分子量に基づく移動度を算出したところ、一次元目のpH勾配固定化ゲルに導入したタンパク質マーカーの等電点および分子量と良く一致した。
以上の実験を繰り返し行ったところ、タンパク質マーカーの等電点、分子量に従った泳動パターンが再現性良く得られ、本発明の物質の分離装置および検出方法を用いることにより、二次元電気泳動が高精度で再現性良く行えることが確認された。よって、本発明では、目標とするタンパク質といった生体高分子である物質を簡便に迅速に同定して測定できる。
以下に本発明の第一の実施形態におけるデータ解析の例について図5ないし図7を用いて説明する。図5は第二の分離方式における1次元のデータ(位置x=1,..,m)を時刻(t=1,…,n)を追って測定した2次元データであり、第二の分離方式における移動開始位置と移動速度および濃度が異なる100種類のタンパク質の軌跡を示す。この2次元データI(x,t)に対して任意の切片aと傾きvをもつ直線(x=a+vt)を引き、直線上にあるI(x,t)データを積算する。これをJ(a,v)とすると
J(a,v)=Σ(x=1,…,m,t=1,…,n ) I(x,t)δ(x-a-vt)
=Σ(t=1,…,n)I(a+vt,t)
ここで δ(p)=1 p=0,δ(p)=0 p≠0 。ただしp=x-a-vt。
a,vを変数としてJ(a,v)をマッピングすると図6となる。直線が軌跡と一致した場合積算値はピークとなる。従って図6のピーク位置を求め、ピークの高さをスポット径としてプロットすると図7が得られる。図7のa軸は第一の分離方式による分離結果、v軸は第二の分離方式による分離結果を示す。
よって、第二の分離方式における移動開始位置(等電点に対応)と移動速度(分子量に対応)および濃度(タンパク質濃度に対応)が異なる100種類のタンパク質に対して本発明の検出方法を用いることにより、二次元分離が行えることが確認された。
[実施の第二形態]
以下に、本発明の実施の第二形態を、図8ないし図10を参照して説明する。ただし、本実施形態では、二次元電気泳動法における物質の検出方法および分離装置について説明を行うが、多次元電気泳動法、二次元電気泳動法以外の分離法における物質の検出方法および分離装置にも適用できる。
図8に示すように、本発明の、物質の分離装置は、一次元目の電気泳動を行う第一流路12と、二次元目の電気泳動を行う第二流路13とをそれぞれ形成した基板40を有している。図8は、本発明における物質の分離装置の上面概略図である。
ただし、二つの流路12、13は別々に形成される必要はなく一つの連続した流路でもよい。この場合は、流路内へ異なる分離方式を有する電気泳動媒体を充填することにより、別々の分離方式を有する第一流路12および第二流路13を形成することが可能である。また、二つの流路12、13は同一基板上に形成されている必要はなく、別々の基板に形成してもよい。
第一流路12と第二流路13が直列に配置されていることが特徴であるが、第一流路12と第二流路13は直接的に接続されている必要はなく、間に別の流路(図示せず)を介して接続してもよい。また、一次元目の電気泳動は、第一流路12中で行う必要はなく、基板外で一次元目の電気泳動が終了した電気泳動媒体を二次元目の電気泳動開始前に、第一流路12に配置してもよい。
基板40としては、例えば、プラスチック材料、ガラス、光硬化性樹脂、熱硬化性樹脂、などを用いることができる。前記実施の第一形態と同様に、基板上に形成される流路の断面の形は、矩形、台形形状などで、流路の底は円の一部のように丸くなっていてもよい。これらの流路は、例えばウェットエッチング、ダイシングソー等を用いて、基板を削るようにして作製される。また、流路パターンに対する凸型の金型を形成し、金型に対して射出成型、ホットエンボスなどによる転写を行い、流路を基板上に形成してもよい。
一次元目の電気泳動は、例えば等電点電気泳動を行う。第一流路12には、電圧印加によりpH勾配が形成されるよう、弱酸性と弱塩基性の両方の解離基をもつ両性担体を含んだ例えばポリアクリルアミドゲルが充填される。両性担体のpH値は、分離対象となる、例えばタンパク質などの生体物質を含むサンプルの等電点の分布により選択可能である。流路内にpH勾配を作製するために、予めゲル内に弱酸性、弱塩基性の解離基を固定した固定化pH勾配ゲル(Immobilized pH gradient)を用いてもよいし、例えば、ポリアクリルアミドゲルの代わりにアガロースゲルを用いてもよいし、ゲルを用いずに両性担体を含む溶液に電圧を印加することにより流路内にpH勾配を作製してもよい。
また、等電点電気泳動を基板外で行ったあと、等電点電気泳動ゲルを第一流路12に配置してもよい。第一流路12の幅、深さは、例えば、1μm〜5000μmで、長さは例えば、1cm〜50cmであることが好ましいが、これらの範囲内に限定されるものではない。電気泳動を行うための電極は、例えば、基板外から基板上に差し込み電気泳動を行う。
二次元目の電気泳動は、例えば、分子量による分離を行う。例えばタンパク質を分子量により分離する方法としてSDS−PAGEが挙げられる。SDS−PAGEでは、タンパク質を陰イオン性界面活性剤であるSodium dodecyl sulfate(SDS)で処理し、タンパク質を一様の負の荷電状態にし、ポリアクリルアミドゲルの分子篩効果により、タンパク質を分子量により分離する。
第二流路13には、分子篩効果を有するポリアクリルアミドなどのゲルを充填する。重合開始剤を含むアクリルアミドモノマーを流路内に充填し流路内で重合してもよい。第二流路13へのゲルの充填は、一次元目の電気泳動を行う前でもよいし、一次元目の電気泳動終了後でもよい。分子篩効果は、ゲルの網目構造により制御可能であり、例えばタンパク質などの生体物質を含むサンプルの分子量の分布により選択可能である。ゲル以外の電気泳動担体でも分子篩効果を有する物質をこの目的に使用することが可能である。
第二流路13の幅、深さは、例えば、1μm〜5000μmで、長さは例えば、1cm〜50cmであることが好ましいが、この範囲内に限定されるものではない。第二流路13の幅および深さは、第一流路12の幅および深さと等しいことが望ましい。この場合、第一流路と第二流路を一つの流路として同時に容易に成型することが可能であり、装置が低コストに作製できるという効果がある。
また、第二流路13は直線形状である必要はなく、図9に示すように、第二流路13を蛇行形状の第二流路15としてもよい。また、渦巻形状(図示せず)、螺旋形状(図示せず)などの形状でもよい。また、第二流路の長手方向に複数の流路を直列に繋げてもよい。第一流路12も直線形状である必要はなく、蛇行形状などの形状をとることが可能である。第一流路12の始端、第二流路13の終端に電気泳動を行うための電極部(図示せず)を設けてもよい。電気泳動を行うための電極は、基板上に形成されている必要はなく、基板外から電極を基板上に差し込み電気泳動を行ってもよい。第一流路12および第二流路13を形成した基板40は、別の基板などで蓋をする構成としてもよい。
本実施の形態では、図8および図9に示すように、二次元目の電気泳動を一次元目の電気泳動を行う第一流路に対して直列方向に配置した単一の第二流路で行うことが特徴である。ただし、第一流路と第二流路は直接直列に配置されている必要はなく、間に別の流路(図示せず)を介して間接的に互いに直列に配置されていてもよい。
実施の第二形態に係る分離装置を用いて、タンパク質を二次元電気泳動により分離、検出する方法について図8を用いて説明する。まず、一次元目の等電点電気泳動を行う、第一流路12には、例えば、予めpH勾配が形成されたゲル(Immobilized pH gradient)を充填する。
これらのゲルは乾燥状態で保存されているため、タンパク質サンプルを含んだ膨潤液で膨潤することにより、ゲルの膨潤とゲル内へのタンパク質の添加を同時に行うことが可能である。膨潤液の組成は、例えば、タンパク質、尿素、還元剤、界面活性剤、両性担体、純水からなる。
流路内に両性担体を含んだゲルを充填し電圧を印加することでpH勾配をもつゲルを作製してもよい。ゲルを第一流路12に充填した後、電圧を印加し、等電点電気泳動を行う。電圧印加のための電極(図示せず)は、基板上に作製されている必要はなく、外部電極を第一流路12の両端に差し込み電圧を印加してもよいし、第一流路12の始端に電極部(図示せず)を作製し、電極部と第一流路12の終端に外部電極を挿入してもよい。
電圧を印加することにより、タンパク質が等電点に従って第一流路12内で分離される。ただし、一次元目の電気泳動は、基板40上の第一流路12内で行う必要はなく、別の基板上で等電点電気泳動を行ったゲルを第一流路12に充填してもよい。等電点電気泳動を行うことにより、pH勾配を形成したゲル内で、タンパク質は自身の等電点と等しいpHの位置に分離される。
第二流路13では、二次元目の分子量分離を目的とした電気泳動を行う。タンパク質の分子量分離を目的としたゲルとして、分子篩効果を有するポリアクリルアミドゲルを用いるのが一般的である。分離を目的とするタンパク質の分子量範囲によって分離ゲルのアクリルアミド濃度を変化させることが望ましい。第二流路13へのゲルの作製は、例えば、重合開始剤を含むアクリルアミドモノマーを流路内に充填し流路内で重合を行う。第二流路13へのゲルの充填は、一次元目の電気泳動を行う前でもよいし、一次元目の電気泳動終了後でもよい。
一次元目の電気泳動後、タンパク質を一様の荷電状態にするためSDS処理を施す。SDSは負電荷を有するため、SDS処理を施されたタンパク質は陽極に向かって一様に泳動されるが、ゲルが分子篩効果を有する場合、低分子量のタンパク質は速い速度で、高分子量のタンパク質はより遅い速度で泳動され、タンパク質の移動度は、分子量を反映したものとなる。
これに対し、一次元目の例えば、等電点電気泳動を行う濃度が低く分子篩効果を有さないゲル中では、SDS処理を施されたタンパク質は種類に関係なく、ほぼ一定の速度で泳動される。SDS処理は、第一流路12内で行うことが望ましいが、基板外で一次元目の電気泳動を行う場合や、第一流路12と第二流路13を別々の基板に形成した場合は、SDS処理を基板外で行ってもよい。
SDS処理を施した後、第一流路12の始端と第二流路13の終端に二次元目の電気泳動を行うための電圧を印加する。電気泳動を行う電極は、外部電極を第一流路12の始端と第二流路13の終端に挿入してもよいし、第一流路12の始端と第二流路13の終端にそれぞれ電極部(図示せず)を作製し、各電極部に外部電極を挿入してもよい。
二次元目の電気泳動を行うための電解液は、予め第二流路13のゲル中に抱合しておいてもよいし、第一流路12の始端と第二流路13の終端に設けた電極部(図示せず)に充填してもよい。電極液としては、例えば、Trisバッファーを用いることができる。第一流路12の始端と第二流路13の終端に電圧を印加することにより、SDS化したタンパク質は、第一流路12中は等しい移動度で、第二流路13中は自らの分子量に基づいた移動度で泳動する。
このとき、第二流路13の一定領域にわたって、経時的に、タンパク質の移動の様子を測定することが特徴である。タンパク質の測定は、例えば、タンパク質の紫外領域の吸収により行ってもよいし、より高感度に測定を行う場合は、予めタンパク質に蛍光色素を標識しておき、励起光照射による蛍光色素からの蛍光量を測定することによって行ってもよい。
光測定により、タンパク質の移動の様子を経時的に高感度に測定することが望ましいが、その他、例えば電気伝導度の経時的変化を測定する電気的測定法などタンパク質の位置情報を認識できる全ての方法を使用することが可能である。
タンパク質の紫外領域の吸収の測定には、例えば、UVランプ光源とCCDカメラなどのマルチピクセル光検出器とバンドパスフィルタの組合せを用いることができる。この場合、第二流路13のゲルを通過する前のUV光強度と第二流路13のゲルを通過した後のUV光強度の比およびタンパク質以外の物質のUV吸収をバックグランドとして引くことからゲル中のタンパク質によるUV光の吸収率が算出され、タンパク質濃度に換算することが可能である。
タンパク質に標識された蛍光色素の測定には、ランプ光源とCCDカメラとバンドパスフィルタの組合せを用いることができる。この場合、蛍光色素の吸収極大波長に合わせたバンドパスフィルタをランプ光源側に装着し、蛍光色素の蛍光極大波長に合わせたバンドパスフィルタをCCDカメラ側に装着して測定を行う。励起光を照射し、タンパク質に標識された蛍光色素の蛍光量を測定することによりタンパク質濃度を算出することが可能である。
または、第二流路13の始端からUV光、励起光などの入射光を照射し第二流路13を導波路として用い、マルチピクセル光検出器で検出してもよい。ただし、入射光の導入は第一流路12の始端から行ってもよい。この場合の入射光光源としては、レーザー、LED、ランプなどを用いることが可能である。この場合、入射光の波長に対する基板の屈折率が流路内の充填物の屈折率より低いことが望ましい。第二流路13を導波路として用いることで、流路上方向より入射光を照射した場合に比べ励起光の強度を上げることが可能であり、かつ、流路面からの入射光の反射や散乱などのマルチピクセル光検出器へのノイズ成分が減少し高感度な測定が可能となる効果がある。
何れの場合も、第二流路13の一定領域にわたって電気泳動を行いながら経時的に測定を行うことが特徴である。ただし、電気泳動を行う間、連続で各測定を行う必要はなく、例えば、パルス光照射により不連続に、かつ経時的に各測定をそれぞれ行ってもよい。また、第一流路12で第一の分離を行う間も泳動パターンの経時変化を測定し、より詳細なデータを取得してもよい。
以下に検出の原理について図10を用いて説明する。一次元目の電気泳動終了後、二次元目の電気泳動を行う間、経時的に、第二流路17の一定領域にわたって測定を行うことにより、マルチピクセル光検出器を通して例えばコンピューターのメモリ上に、例えばx軸方向にタンパク質の第二流路17内における位置情報およびタンパク質の濃度情報が記憶され、メモリ上の例えばy軸方向には測定を行った時刻が記される。第二の流路17にタンパク質が泳動されてきた時刻(泳動開始時刻)から一次元目のタンパク質の等電点に基づく分離パターンを知ることが可能である。
第二流路17の始端の位置情報をx=0、第一流路16の始端の位置情報をx=−x1とすると、一次元目の電気泳動で等電点にしたがって分離されたタンパク質18は、x=0の位置まで同一の速度v1で移動する。各タンパク質18がx=0の位置に達する時刻をtbとするとtbは(3)式で表される。
b=(x1−b)/v1 …(3)
ここでbは二次元目の電気泳動前(t=0)のタンパク質18の位置情報(例えば、第一流路16の始端からの距離)でそのタンパク質の等電点の情報を表す。各タンパク質はx=0の位置まで同一の速度v1で移動したあと、第二流路17内で分子篩効果を受けながら各タンパク質の分子量に応じた速度wで移動する。よって、t≧tbでの第二流路17内でのタンパク質の位置情報xは次式(4)で示される。
x=w(t−tb) (t≧tb) …(4)
二次元目の電気泳動が終了するまで第二流路17内のタンパク質の位置情報および濃度情報を経時的にメモリ上に記憶する。二次元目の電気泳動終了時に、メモリ上に蓄積された経時的なタンパク質の位置情報および濃度情報に対して、(4)式を満たす直線フィッティングを全てのxy座標に対して行うことにより、各タンパク質の等電点および分子量に基づく移動度を算出することが可能である。
具体的な解析方法は、前述の実施の第一形態と概ね同様である。第二流路における各タンパク質の分離パターンを表す直線を求め、その傾きからwの値(第二流路での各タンパク質の速度、即ち各タンパク質の分子量に対応)が求まり、切片から第二流路での各タンパク質の泳動開始時刻tbの値(タンパク質の等電点に対応)が求まる。
この後、例えば別の座標系のx軸方向に等電点軸、y軸方向に分子量軸を作製し、分離されたタンパク質の等電点、分子量、および濃度情報をプロットすることにより、従来のゲル板での分離結果と同様な画像パターンを得ることができる。
ただし、フィッティングに用いる関数は一次関数である必要はなく、使用される分離方式における分離される物質の経時的な移動の挙動を表現するものであればよい。二次元目の電気泳動を行いながら第二流路の一定領域にわたって経時的に測定を行うという検出方法を用いることにより、一次元目の電気泳動後に分離されたタンパク質を等電点ごとにそれぞれ分注して、別々に第二流路に導入する必要がなく、流路内の電極挿入位置を変更するだけで、短時間で分注操作を含むことなく二次元電気泳動が可能となる効果がある。
また、一次元目および二次元目の分離方式とは異なる分離方式を有する分離を行うための別の単一の流路(図示せず)を第二流路に対して直列に設けることにより三次元以上の多次元電気泳動による分離を平面状の基板内で実行することも可能である。
二次元目の電気泳動において、図9に示すように、第二流路15を蛇行形状としてもよい。このとき折り返し部の構造は、湾曲していなくてもよく、直角に折り曲げてもよい。第二流路15を蛇行させることにより、限られたスペースで第二流路の距離が長くなり、二次元目の電気泳動の分解能が向上するという効果がある。限られたスペースで高分解能の分離を行うことで、分離装置の小型化、検出装置の小型化、低コスト化が可能となる効果がある。第二流路を渦巻形状、螺旋形状などの形状にした場合も同様の効果を奏する。
上記のように、二次元電気泳動を直列に設けた単一の流路で行うことにより、一次元目と二次元目の電気泳動を行う流路を別々に設ける必要がなく、一次元目と二次元目の接続部位の成型も不要であり、装置の成型が容易で低コストであるという効果がある。二次元電気泳動を直列に設けた単一の流路で行うことにより、流路内における電極挿入位置を変更するだけで、一次元目の電気泳動、および一次元目の電気泳動により分離された物質の二次元目流路への展開、および二次元目の電気泳動が可能となる効果がある。
二次元電気泳動を直列に設けた単一の流路で行うことにより、濃縮機構を必要とせず、一次元目の電気泳動により分離された物質の分離パターンを崩すことなく、また、分解能を低下させることなく再現性良く二次元目の電気泳動への展開が可能となる効果がある。二次元電気泳動を単一の流路で行うことにより、従来のスラブ型ゲルに見られたゲルや電場の不均一さによるスマイリング現象、電気泳動方向に対して横方向へのタンパク質の拡散をふせぐことにより分解能低下を防止する効果がある。
また、二次元目の電気泳動を単一の流路で行うため、二次元目に複数の流路を用いた場合に生じる流路間のばらつきが生じず、再現性の高い二次元電気泳動が可能となる効果がある。二次元目の電気泳動を行う単一の第二流路を一次元目の電気泳動を行う流路に対して直列に設けたため、一次元目の電気泳動を行い分離したタンパク質が複数の異なる流路に泳動されることなく再現性の高い二次元電気泳動が可能となる効果がある。
また、二次元電気泳動を単一の流路で行うため、装置の小型化が可能となり、検出装置の小型化、低コスト化が可能となる効果がある。一次元目および二次元目の電気泳動を直列に設けた単一の流路で行うため、流路を例えば、蛇行させて長距離化させることにより、装置の小型化を維持したまま、分解能を飛躍的に向上させることが可能となる効果がある。
また、一次元目および二次元目の電気泳動を単一の流路で行うことにより、電流による熱発生を抑制したまま高電圧が印加可能であり、短時間で二次元電気泳動が可能となる効果がある。また、それぞれ異なる分離様式を有する流路を直列に配置することにより、三次元以上の多次元電気泳動を容易に実行可能となる効果がある。
上記の実施の形態では、一次元目に等電点電気泳動、二次元目に分子量による分離を目的とした電気泳動を行う二次元電気泳動について説明を行ったが、分離対象物質の荷電状態、親水性、疎水性、などその他のファクターに基づいた二次元電気泳動や多次元電気泳動、電気泳動以外の分離場においても、本発明の物質の検出方法および分離装置が適用できることは言うまでもない。
(第二実施例)
実施の第二形態に対応する第二実施例に係る分離装置を作製し、タンパク質の二次元電気泳動および検出を行った。以下、図8を参照して説明する。まず、縦1cm、横10cmのアクリル基板40上に、第一流路12および第二流路13をダイシングソーを用いて形成した。第一流路12は、幅1mm、深さ0.75mm、長さ50mmで、第二流路13は、幅1mm、深さ0.75mm、長さ40mmである。
第一流路12には、乾燥状態で保存した1mm幅のpH勾配固定化ゲルを、蛍光色素で標識した等電点および分子量の異なるタンパク質マーカー、尿素、界面活性剤、両性担体、還元剤からなる膨潤バッファーで膨潤したものを充填し、第二流路13には、分子篩効果を有するポリアクリルアミドゲルを充填した。第一流路12の両端に基板外より電極を挿入し電圧を印加して一次元目の等電点電気泳動を行った。等電点電気泳動終了後、電極を基板内より取り外し、Trisバッファー、SDS、還元剤、純水からなる平衡化バッファーを第一流路12のゲル上に重層しSDS化処理を行った。
SDS化処理終了後、第一流路12の始端および第二流路13の終端に基板外より電極を挿入した。第二流路13全体にランプ光源と励起用フィルタからなる励起光を照射し、蛍光用フィルタを装着したCCDカメラで測定を開始すると同時に、第一流路12の始端に挿入した電極を陰極、第二流路13の終端に挿入した電極を陽極として電圧を印加し、二次元目の電気泳動を行った。
二次元目の電気泳動中は第二流路13全体にわたって経時的にCCDカメラによる測定を行い、30分後に電気泳動および測定を終了した。コンピューターのメモリ上に格納された測定データに対し、(4)式を満たすようフィッティングを行い、各タンパク質の等電点および分子量に基づく移動度を算出したところ、一次元目のpH勾配固定化ゲルに導入したタンパク質マーカーの等電点および分子量と一致した。
以上の実験を繰り返し行ったところ、タンパク質マーカーの等電点、分子量に従った泳動パターンが再現性良く得られたので、本発明の物質の分離装置および検出方法を用いることにより、二次元電気泳動が高精度で再現性良く行えることが確認された。よって、本発明では、目標とするタンパク質といった物質を簡便に迅速に分離して測定できる。
本発明の物質の検出方法、および物質の分離装置は、チップ状の基板上にて、複数の分離方式にて物質を分離できるから、生体物質や、環境物質といった物質を簡便に分離して測定できるから、医学、獣医学、および環境化学の分野に好適に利用できる。
本発明の実施の第一形態に係る物質の分離装置の概略上面図である。 上記実施の第一形態の一変形例を示す概略上面図である。 上記実施の第一形態の検出方法を示すための、第二流路の概略上面図、ならびに上記第二流路に対応させた、各分離物質の経時的な二次元分布を示すグラフである。 上記実施の第一形態に係る、物質の分離装置の第一実施例を示す概略上面図である。 上記実施の第一形態に係る、物質の検出方法の実施例を示すグラフであり、第二流路における1次元データ(位置x)を時間を追って測定した二次元データ(位置x、時刻t)をグラフ化したものである。 上記実施の第一形態に係る、物質の検出方法の実施例を示すグラフであり、a、vを変数としてJ(a,v)をマッピングしたものである。 上記実施の第一形態に係る、物質の検出方法の実施例を示すグラフであり、図6のピーク位置を求め、ピークの高さをスポット径としてプロットしたものであり、図7のa軸は第一の分離方法による分離結果、v軸は第二の分離方法による分離結果を示す。 本発明の実施の第二形態に係る物質の分離装置の概略上面図である。 上記実施の第二形態の一変形例を示す概略上面図である。 上記実施の第二形態の検出方法を示すための、第一流路および第二流路の概略上面図、ならびに上記第一流路および第二流路に対応させた、各分離物質の経時的な二次元分布を示すグラフである。
符号の説明
1、3、7、12、14、16 第一流路
2、4、5、8、13、15、17 第二流路
10、20、30、40、50 基板
6、18 第一の分離方式により分離されたタンパク質
9、11 電極部

Claims (16)

  1. 第一の分離方式と、第一の分離方式とは異なる1種類以上の第二の分離方式とを有する分離場における物質の検出方法において、
    第一の分離方式での物質の分離を単一の第一流路にて行い、第二の分離方式での物質の分離を単一の第二流路にて行い、
    第一流路による分離と、第二流路による分離とを逐次的に行うことを特徴とする物質の検出方法。
  2. 前記分離場が電気泳動であることを特徴とする請求項1記載の物質の検出方法。
  3. 前記分離場での物質の分離状態の検出を、前記第二の分離方式の分離を行う前記第二流路の一定領域における物質分布パターンの変化を経時的に測定することにより行うことを特徴とする請求項1または2記載の物質の検出方法。
  4. 前記測定が光測定であることを特徴とする請求項3記載の物質の検出方法。
  5. 前記測定が電気的測定であることを特徴とする請求項3記載の物質の検出方法。
  6. 前記光測定における入射光を前記第二流路の一端より第二流路内へと導入することを特徴とする請求項4記載の物質の検出方法。
  7. 前記光測定をマルチピクセル光検出器を用いて検出することを特徴とする請求項4または6記載の物質の検出方法。
  8. 前記第二の分離方式における計測結果を用いて、分離された物質を示す信号ピークの移動開始位置あるいは開始時間の相違から、前記第一の分離方式での第一の分離結果を得ると共に、信号ピークの移動速度の相違から第二の分離方式における第二の分離結果を得ることを特徴とする請求項3ないし7の何れか1項に記載の検出方法。
  9. 前記検出方法において、第二の分離方式における測定結果である2次元信号データI(x,t)(xは第二の分離方式における位置、tは測定時刻(t=0,..,n))を用い、直線x=a+vtのデータを足し合わせた結果をJ(a,v)=ΣI(a+vt,t)t=0,…,nとし、J(a,v)のピークを与えるaから第一の分離結果、vから第二の分離結果を得ることを特徴とする請求項8記載の検出方法。
  10. 前記第一流路および第二流路の少なくとも一方の幅が1μm〜5000μmであり、前記第一流路および第二流路の少なくとも一方の深さが1μm〜5000μmであることを特徴とする請求項1ないし9の何れか1項に記載の物質の検出方法。
  11. 前記第二流路が蛇行形状を有することを特徴とする請求項1ないし10の何れか1項に記載の物質の検出方法。
  12. 基板上に、第一の分離方式の分離を行う単一の第一流路を備えた第一分離部と、第一の分離方式と異なる一つ以上の第二の分離方式での分離を行う単一の第二流路を備えた第二分離部とをそれぞれ有し、
    第一流路と第二流路とが少なくとも第一流路と第二流路の境界面で直接もしくは間接的に互いに並列に配置されていることを特徴とする物質の分離装置。
  13. 基板上に、第一の分離方式の分離を行う単一の第一流路を備えた第一分離部と、第一の分離方式と異なる一つ以上の第二の分離方式での分離を行う単一の第二流路を備えた第二分離部とをそれぞれ有し、
    第一流路と第二流路とが直接または間接的に互いに直列に配置されていることを特徴とする物質の分離装置。
  14. 前記第二流路の一定領域における物質分布パターンの変化を経時的に測定する検出部を備えていることを特徴とする請求項12または13に記載の物質の分離装置。
  15. 前記第二流路が蛇行形状を有することを特徴とする請求項12ないし14の何れか1項に記載の物質の分離装置。
  16. 前記第一分離部および第二分離部が二次元電気泳動可能に設定されており、
    前記第一流路と前記第二流路と電圧を印加するための電極とを前記基板上に有する、もしくは前記第一流路と前記第二流路と基板外から基板上へ外部の電極を挿入する機構とを有することを特徴とする請求項12ないし15の何れか1項に記載の物質の分離装置。
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