本発明は、真空断熱材及び、ガラス組成物に関するものである。
近年、地球温暖化の防止を目的に省エネルギー化が望まれており、民生用機器に対しても省エネルギー化の推進が行われている。特に、冷凍冷蔵庫に関しては、冷熱を効率的に利用するという観点から、優れた断熱性を有する断熱材が求められている。
一般的な断熱材としては、グラスウールなどの繊維体やウレタンフォームなどの発泡体が用いられている。しかし、これらの断熱材の断熱性を向上するには断熱材の厚みを増大して適用する必要がある。よって、断熱材を設置できる空間に制限がある場合や、省スペース化や空間の有効利用が必要な場合には従来断熱材の適用は望ましくない。
このような課題を解決する一手段として、多孔体からなる芯材と、芯材を外包材によって覆い内部を減圧密閉して構成した真空断熱材がある。真空断熱材は、近年、省エネ競争が激化するなか、より一層、断熱性能の優れた真空断熱材が求められている。
一般に、断熱材の伝熱は、固体と気体成分の熱伝導、輻射、対流熱伝達により引き起こされる。一方、外包材内部を減圧してなる真空断熱材は、気体成分の熱伝導と対流熱伝達に関してはその影響は小さい。また、常温以下の温度領域での使用においては、輻射の寄与もほとんどない。
よって、常温以下で使用する保冷機器等に適用する真空断熱材においては、固体成分の熱伝導を抑制することが重要となる。そこで、断熱性能に優れる真空断熱用の芯材として、種々の繊維材料が報告されている。
例えば、平均繊維長1mm以下の無機質繊維が熱伝導の方向に対して垂直方向に配向されている真空断熱材が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
本構成により、伝熱方向に対して固体成分の熱伝導は一本の繊維を熱が伝わって起こるのではなく、各繊維間の接触点を介して次々と隣り合う繊維へと熱が伝わっていくことで伝熱方向に対しては熱伝導が起こる。よって、繊維間の接触熱抵抗により、繊維一本がそのまま伝熱方向へ熱を伝えるような芯材と比べて熱伝導を抑制している。
一方、常圧下での断熱材として用いるガラス繊維としては、そのガラス組成において、Al2O3を減少させ、B2O3を増加させた繊維断熱材が提案されている(例えば、特許文献2)。
本構成により、断熱材として必要である耐久性を備えつつ、粘度特性を低減することが可能となるため、製造時に必要な熱エネルギーが低減できる。
特開平9−4785号公報
特表平5−502432号公報
しかしながら、真空断熱材において、ガラス繊維の集合体を芯材として適用する場合、上記常圧下の断熱材よりも、さらに気体成分の伝熱をも抑制できるものであるため、その伝熱は固体成分による熱伝導がほぼ大部分を占める。
そのため上記従来の構成では、真空断熱材の芯材に汎用グラスウールを用いることを前提としており、無機質繊維自体の熱伝導が大きく、真空断熱材の断熱性能に最も重要な固体成分の熱伝導が増大するため、芯材用材料自体が真空断熱材の熱伝導率低減を妨げているという課題があった。
一方、常圧下でガラス繊維の集合体をそのまま断熱材として用いる場合、この断熱材は伝熱要素における特に対流を抑制することでその断熱効果を発揮するものである。また、その場合の伝熱要素である固体と気体成分の熱伝導のうち、はるかに気体成分による熱伝導が大きく、断熱材全体としては、ガラス繊維自身による固体成分の熱伝導は重要ではない。
よって、ガラス繊維におけるガラス組成物自体の熱伝導率については、これまで特に十分検討がなされていなかった。さらに、従来の断熱材用ガラス繊維は、長期間に渡って大気中に放置されても品質劣化がないように、高い耐久性が不可欠であり、製造上好ましい低粘度特性を実現するためにアルカリ金属酸化物を増加させるといったことは、耐久性が低下する問題から実施は困難であった。
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、芯材に用いるガラス繊維の耐久性を維持したままで、ガラス繊維の素材熱伝導率を低下させ、真空断熱材の熱伝導率の低減を図ることを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の真空断熱材は、芯材を構成するガラス繊維が、ガラス組成に少なくとも一種類以上のアルカリ金属酸化物を合計で20重量%以上、40重量%以下の範囲で含み、さらに特定の中間酸化物を含み、ガラス繊維素材の熱伝導率が1W/mK以下のものである。
従来の断熱材として利用されるガラス繊維の組成において、アルカリ金属酸化物の含有量は14〜18重量%程度である。これは、アルカリ金属酸化物を多く含むことで低粘度特性を持つガラスにできるために、繊維成形時の熱エネルギーが低減できる反面、長期に渡って耐久性を確保するためには、これ以上は増加させられないものであったからである。
それに対して、本発明による真空断熱材の芯材となるガラス繊維は、アルカリ金属酸化物を20重量%以上、40重量%以下の範囲で含んでいる。
ガラス構造上、アルカリ金属酸化物は、ガラスの網目構造を特に切り易い性質を備えており、酸化物ガラスにおいては網目構造中に非架橋酸素を多く作ってガラス構造を極端に不安定にさせる働きがある。これはアルカリ金属に電気的引力が強く、ガラスの網目構造における架橋酸素との共有結合からアルカリ金属とのイオン結合への置換が起こり、網目構造が切断されるためと考えられる。
よって、ガラス成分にアルカリ金属酸化物を増加させることで、ガラスの網目構造を切ることができるために、ガラス中での非架橋酸素部分の熱伝導が抑制され、ガラス内部の熱抵抗が増大する。
さらに、本発明によるガラス繊維は、中間酸化物と呼ばれる一部ガラスの網目構造を形成する成分を含むことで、多量のアルカリ金属酸化物による非架橋酸素部分の弱まったガラス構造バランスを改善し、断熱材として必要な耐久性が確保できる。
また、一方では主成分である網目形成酸化物よりも網目構造自体の結合力の弱い特定の中間酸化物に一部置換することで、結合部における熱エネルギーの振動能が増大し、熱伝達ロスは増す。
以上のことから、本発明のガラス組成物は熱伝導率が大幅に低減し、アルカリ金属酸化物の増加及び特定の中間酸化物を含むことにより、耐久性を維持したままでガラス単体の熱伝導率を1W/mK以下とすることができる。
本発明の真空断熱材は、芯材として用いるガラス繊維において、多量のアルカリ金属酸化物及び、特定の中間酸化物を含むことにより、耐久性を維持したまま、従来のガラス繊維として用いていたガラス組成物よりも熱伝導率が大幅に低減でき、真空断熱材の断熱性能を飛躍的に向上させることができる。
また、アルカリ金属酸化物を多く含むことで、低粘度特性を有するために、ガラス溶融、繊維化工程等における生産性が向上する。さらには、生分解されやすく、万が一人体に取り込まれた場合にも蓄積され難く、安全性が高い。
請求項1に記載の発明は、ガラス繊維からなる芯材と、前記芯材を被覆するガスバリア性を有する外包材とを備え、前記外包材の内部が減圧して密閉され、前記ガラス繊維が、ガラス組成に少なくとも一種類以上のアルカリ金属酸化物を合計で20重量%以上、40重量%以下の範囲で含み、かつTiO2を0.1重量%以上、20重量%以下の範囲で含むものであり、ガラス繊維素材の熱伝導率が1W/mK以下である真空断熱材である。
よって、芯材であるガラス繊維の組成に、アルカリ金属酸化物が20重量%〜40重量%と多く含むことで、ガラスの網目構造を切断し、加えてTiO2も網目構造の結合力を弱めるため、ガラス内部の熱振動の伝達を乱すことから、ガラス組成物自体の熱伝導率が大幅に低減できる。
さらに、TiO2は、非架橋部分の生じていてもガラス内部のイオン拡散を抑え、耐久性を向上させるため、アルカリ金属酸化物を多く含んでもいるにも関わらず、TiO2を含むことで耐久性を維持できる。
また、ガラス組成におけるアルカリ金属酸化物の増加は、粘度特性を著しく低下させ、繊維化及び真空断熱材用の芯材成形に必要な熱エネルギーを大幅に低減できる。
以上の作用により、ガラス繊維自体を伝わる固体成分の熱伝導を抑制できるために、真空断熱材の断熱性能がさらに向上するだけでなく、ガラス繊維として重要な耐久性も確保できる。
また、アルカリ金属酸化物が40重量%を超えると、ガラス化が安定する範囲内での耐水性を確保するのが困難となり、20重量%未満ではガラス熱伝導率が大きくなってしまうため、アルカリ金属酸化物は20重量%以上かつ40重量%以下であることが望ましい。
さらに、TiO2は、熱伝導率低減効果と耐久性向上の性質を併せ持つが、0.1重量%未満では特に熱伝導率低減の特性は得られず、また、TiO2が多すぎると失透過傾向が強く、ガラス繊維を安定して得ることができなくなる危険性があるために、20重量%以下が好ましい。
尚、アルカリ金属酸化物としては、原子番号の大きいもの程、熱振動を伝え難くなるために、Cs2Oを用いると熱伝導率はより低減できるが、コストの面から、リサイクルガラスに多く含まれるNa2Oや、けい砂に含まれるK2Oを用いると生産性がよい。
請求項2に記載の発明は、ガラス繊維からなる芯材と、前記芯材を被覆するガスバリア性を有する外包材とを備え、前記外包材の内部が減圧して密閉され、前記ガラス繊維が、ガラス組成に少なくとも一種類以上のアルカリ金属酸化物を合計で20重量%以上、40重量%以下の範囲で含み、かつZrO2を0.1重量%以上、20重量%以下の範囲で含むものであり、ガラス繊維素材の熱伝導率が1W/mK以下である真空断熱材である。
よって、芯材であるガラス繊維の組成に、アルカリ金属酸化物が20重量%〜40重量%と多く含むことでガラスの網目構造を切断し、加えてTiO2同様にZrO2が網目構造の結合力を弱めるため、ガラス内部の熱振動の伝達を乱すことから、ガラス組成物自体の熱伝導率が大幅に低減できる。
さらに、ZrO2は非架橋部分の生じた網目構造において、特にアルカリに対する耐久性を向上させることができるため、アルカリ金属酸化物を多く含んでもより耐久性を維持できる。
以上の作用により、ガラス繊維自体を伝わる固体成分の熱伝導を抑制できるために、真空断熱材の断熱性能がさらに向上するだけでなく、ガラス繊維として重要な耐久性も確保でき、安定してガラス繊維の供給が可能となる。
また、ZrO2は熱伝導率低減効果と耐久性向上の性質を併せ持つが、0.1重量%未満ではその特性は得られず、また、ZrO2成分を増加することで失透し易くなるため20重量%以下が好ましい。
請求項3に記載の発明は、ガラス繊維からなる芯材と、前記芯材を被覆するガスバリア性を有する外包材とを備え、前記外包材の内部が減圧して密閉され、前記ガラス繊維が、ガラス組成に少なくとも一種類以上のアルカリ金属酸化物を合計で20重量%以上、40重量%以下の範囲で含み、かつZnOを0.1重量%以上、30重量%以下の範囲で含むものであり、ガラス繊維素材の熱伝導率が1W/mK以下である真空断熱材である。
よって、芯材であるガラス繊維の組成に、アルカリ金属酸化物が20重量%〜40重量%と多く含むことでガラスの網目構造を切断し、加えてTiO2やZrO2同様にZnOが網目構造の結合力を弱める上に、架橋する配位数が最小の2価となるため、ガラス内部の熱振動の伝達が少なく、ガラス組成物自体の熱伝導率が大幅に低減できる。
さらに、ZnOはガラスの耐久性を向上させるため、アルカリ金属酸化物を多く含んでも耐久性を維持できる。
また、ZnOは中間酸化物としてTiO2やZrO2に比べて失透が起こり難く、非常にガラス化し易い性質を持つため、耐久性向上のためにガラス組成中にZrO2を多量に含ませても安定してガラス繊維の成形が行うことができる。
以上の作用により、ガラス繊維自体を伝わる固体成分の熱伝導を抑制できるために、真空断熱材の断熱性能がさらに向上するだけでなく、ガラス繊維として重要な耐久性も確保でき、安定してガラス繊維の供給が可能となる。
また、ZnOは熱伝導率低減効果と耐久性向上の性質を併せ持つが、0.1重量%未満では、その特性は得られず、原料コストの増大を招くため30重量%以下が好ましい。
請求項4に記載の発明は、少なくともアルカリ土類金属酸化物を一種類以上含み、前記アルカリ土類金属酸化物は合計で1重量%以上、15重量%以下の範囲である請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の真空断熱材である。
ガラス組成において、アルカリ土類金属酸化物を含有させると、ガラスの網目構造を埋める働きをするために耐久性が向上する。
よって、アルカリ金属酸化物の含有量を増大させて非架橋領域が大きい本発明のガラス組成物でも、アルカリ土類金属酸化物を含有させることで、耐水性を高めることができる。さらに、CaO、SrO、BaOについては、耐久性を低下させることなく、ガラスの熱伝導率を低減することができ、これらを用いることがより好ましい。また、その中でもBaOは最も熱伝導率低減効果が高いため好ましい。
また、アルカリ土類金属酸化物は高温での粘度特性を低減できるため、繊維化時に必要な熱エネルギーを低減できる。
以上の作用から、本発明の真空断熱材は芯材として用いるガラス繊維の耐久性が向上するため、生産時における管理等の作業性の改善が図れるだけでなく、ガラス素材の熱伝導率低減効果もあることから断熱性能が向上する。さらに、生産性も向上する。
また、アルカリ土類金属酸化物が15重量%を超えると、ガラス化範囲の組成におけるアルカリ金属酸化物の含有量が制限されてしまうため、特に断熱性能の面で15重量%以下であることが好ましく、逆にアルカリ土類金属酸化物の含有量が1重量%未満であると、耐久性が低下するため、これらは1重量%以上、15重量%以下であることが好ましい。
請求項5に記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の真空断熱材のガラス繊維の組成範囲からなるガラス組成物である。
よって、ガラス素材の熱伝導率を低減し、かつ耐久性を備えたガラスとすることで、可視光領域で透明、かつ低熱伝導率ガラスを得ることが可能となる。
以上の作用から、本発明のガラス組成物は長期に渡って劣化がなく、可視光領域で透明な断熱ガラスを得ることができ、車や住宅、ショーケース等での保温効果が高く透明な断熱空間を提供できる。
請求項6に記載の発明は、Fe2O3が0.1重量%以上、5重量%以下の範囲で含まれる請求項5に記載のガラス組成物である。
よって、ガラス成分中にFe2O3を含むことで、赤外光領域の光を吸収するため、輻射を吸収できる。また、このガラスは素材の熱伝導率が低いため、吸収した輻射を固体熱伝導として非常に伝え難くすることができる。
以上の作用から、本発明のガラス組成物は輻射による熱伝達を抑制し、ガラスの断熱性能が向上する。さらに真空断熱材の芯材に用いた場合にも同様に断熱性能は向上する。
また、ガラスは天然材料やリサイクルカレットを用いて製造することが好ましく、不純物として一般的に含まれる0.1重量%程度のFe2O3を含むガラスとする方が生産性の向上が図れる。逆に5重量%を超えると粘度特性が高くなるために生産時の熱エネルギーが上昇して生産性は低下する。
なお、本発明で使用できるガラス繊維は、特に限定するものではないが、ガラス状態になり得るガラス形成酸化物であり、更には、粘度特性が低く、集合体としたときには厚み方向に均質に積層配列されたものが好適であり、汎用的な工業製品としてはグラスウールが安価、かつ取り扱い性の観点からもより望ましいが、長繊維をマット状に加工したものでもよい。
また、繊維径は、特に指定するものではないが、繊維径が微細なものがより優れた断熱性能が得られることは既に公知である。しかしながら、従来の汎用グラスウールを使用した芯材においては得られなかった断熱性能が、本構成においては、平均繊維径3μm以上のガラス繊維でも実現可能であることから、繊維の微細化による生産性の低下を招くことなく優れた断熱性能が低コストで実現できる。
また、本発明で使用できるガラスは、ガラス状態になり得るガラス形成酸化物からなる繊維であればよいが、特に汎用性、環境面を混慮すると、SiO2を主成分とするケイ酸塩系、ホウケイ酸塩系のガラスが好ましい。
また、ガラスはアルカリ金属酸化物等の含有量の増加に伴ってガラス化が安定して行えない場合、網目形成酸化物または、中間酸化物を加えることもできるが、特に低粘度特性を示し、かつ耐候性を向上させるために少量のB2O3を添加してもよい。また、同じく低粘度特性を有するP2O5を加えると、生分解性が高まり、安全性が増す。
また、ガラス材料は経済面、環境面からも天然材料を主原料とすることが好ましく、ガラス成分には不純物によるばらつきは避けられないため、特定成分以外のものも1重量%程度含んでいても良い。
また、本発明の外包材は、プラスチックラミネートフィルムが使用できるが、より高いガスバリア性を付与するためには金属箔や蒸着層が適用できる。なお、金属箔、および蒸着層は公知のもが利用でき、特に指定するものではない。
また、本発明における真空断熱材には、吸着材を適用して内圧低減による断熱性能及び耐久性の向上することができる。適用できる吸着材は特に限定するものではなく、真空断熱材の内部に存在する水蒸気を吸着し、内部雰囲気中の水蒸気量を減少されるものであればよい。
一例としては、合成ゼオライト、活性炭、活性アルミナ、シリカゲル、ドーソナイト、ハイドロタルサイトなどの物理吸着剤、アルカリ金属やアルカリ土類金属単体やその酸化物および水酸化物などの化学吸着剤などが適用可能である。
さらに、空気成分が吸着できるゲッター材等を併用することで内部の気体成分の熱伝導を低減して、断熱性能を向上させることが可能である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における真空断熱材の断面図を示す。
図1において、真空断熱材1は、芯材2と水分吸着材3とを外包材4に挿入し、内部を減圧して構成している。
真空断熱材1の作製は、芯材2を140℃の乾燥炉で30分間乾燥した後、ラミネートフィルムの三方を熱溶着によりシールして袋状に成形した外包材4に挿入し、減圧チャンバー内で、外包材内部が10Pa以下になるように減圧し、開口部を熱溶着により密閉封止している。
この時、外包材4は、表面保護層としてポリエチレンテレフタレートフィルム(12μm)、中間層にはアルミ箔(6μm)、熱溶着層として直鎖状低密度ポリエチレンフィルム(50μm)からなるラミネートフィルムにより構成している。
また、水分吸着剤3は、酸化カルシウムを適用している。水分吸着材3がない場合にも特に問題はないが、水分吸着材を備えることで、内部の残存水蒸気を吸着し、ガラス繊維が水分により浸食されること可能性をさらに低減できるだけでなく、端面からの水蒸気侵入による内圧上昇を長期に渡って抑制できる。さらに、ガス吸着材を併用することでより内圧を低減し、断熱性能を高めることも可能である。
一方、芯材2は、平均繊維径3.5μのガラス繊維集合体を加圧した状態で加熱し、密度が200kg/m3程度の形状を維持しているボード状のものを用いている。また、断熱性能及び取り扱い性の面で密封後の芯材部密度は210〜280kg/m3の範囲が好ましく、240kg/m3となるように作製した。
ここではバインダーを用いることなく芯材成形を行っているが、バインダーを用いてより低温で芯材を成形しても良い。また、表面性が問題とならない場合には、ガラス繊維の集合体をそのまま密閉封止しても構わない。その場合には、製造工数が削減するために、生産性が向上する。
また、用いたガラス組成及び、ガラス物性の具体的な内容については実施例の中で詳しく説明するが、ガラス物性としてはガラス素材の熱伝導率、耐久性、及び軟化点の測定を行い、このガラスを繊維化したものを芯材として用いた真空断熱材1の熱伝導率の測定を行った。ここで、ガラス繊維素材とは、繊維を形成するガラス自体を意味している。
その熱伝導率測定方法は、定常法、非定常法などがあるが、今回は一例として、同組成のガラス繊維を再溶融後に板ガラス状に成形したものを用いて、非定常熱線法により平均でおよそ30℃付近の熱伝導率を算出した。
また、耐久性については96℃の蒸留水中にガラス繊維を浸漬させ、一週間後の重量損失率を指標として用い、10重量%以下であることで真空断熱材の芯材として十分な耐久性を備えると判断した。
また、軟化点については、貫入法により温度と粘度の関係を明らかにし、粘度が107.65dPa・sの時の温度として求めた。さらに、ガラスの組成については、板ガラス及びガラス繊維それぞれについて成形後の蛍光X線分析による重量比で表示している。
以上のようにして形成した真空断熱材1の熱伝導率を英弘精機製のオートラムダにて測定した。結果、熱伝導率は、平均温度24℃にて0.0009〜0.0016W/mKであり、汎用的な硬質ウレタンフォームの10倍以上、従来の真空断熱材と比較しても2倍近くの断熱性能を有していた。
つまり、蛍光X線分析によると重量比で、ガラス繊維の組成においてNa2OやK2Oなどのアルカリ金属酸化物が合計で20〜40%の範囲にあるものについて、断熱性能は良好であり、粘度特性の面でも優れた特性を示していた。また、この範囲の組成からなるガラス繊維について、特に耐久性も問題とならなかった。
このように、本構成により作製した真空断熱材1は、優れた断熱性能を有している。これは、芯材2に用いたガラス繊維集合体において、ガラス自体の固体熱伝導が低減されているため、従来、真空断熱材の伝熱要素の大部分を占めていた芯材部における固体成分の熱伝導を抑制でき、真空断熱材の断熱性能が改善するものである。
また、ここでの実施の形態においてはB2O3やAl2O3を含むものを用いている。これにより耐水性や取り扱い性、及びガラス成形性の機能性が付与されているため、本発明の構成に加えて、これらを適量添加するのが好ましいが、多いと熱伝導率が大きくなるために、5重量%以下であることが好ましい。
さらに、本発明によるガラスは、素材の熱伝導率が低く、そのまま断熱ガラス板としても有用である。つまり、自動車や住宅の窓といった場所に用いられるガラスとしても、熱伝導率が低いために、断熱性が高まり、保温効果が高い空間とすることが可能となる。
以下、実施例、および比較例を用いて、本発明を更に具体的に説明するが、本発明は本実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1)
重量比で、SiO2が65.2%、Al2O3が1.0%、B2O3が3.0%、Na2Oが14.0%、K2Oが1.2%、Cs2Oが4.8%、MgOが2.0%、CaOが7.0%、Fe2O3が0.3%、TiO2が0.1%、その他1.4%の多数不純物からなるガラス組成のガラス素材をつくり、そのガラス素材の熱伝導率、耐久性、及び軟化点の測定を行った。
結果、ガラス素材の35℃の熱伝導率は0.88W/mKであり、従来の芯材用ガラス素材よりも低熱伝導率を示していた。耐久性は重量損失率が4.0%であり、板ガラス及び真空断熱材のガラス繊維芯材として問題のないものであった。また、軟化点については、701℃であり、従来の汎用ガラス繊維用ガラス組成物よりも低粘度特性を示していた。
よって、比較例に示すものよりも、ガラス素材として、優れたガラス物性を示しているといえる。
また、このガラス素材からなるガラス繊維を芯材として真空断熱材を作製し、熱伝導率を測定したところ、平均温度24℃にて0.0015W/mKであった。
よって、本実施例の真空断熱材は、芯材のガラス繊維がアルカリ金属酸化物を合計で20重量%かつ、TiO2を0.1%含むときに優れた断熱性能を有している。
さらには、アルカリ金属酸化物としてCs2Oを用いることで、少ないアルカリ金属酸化物でもより熱伝導率低減効果を得られる。
(実施例2)
重量比で、SiO2が50.2%、Al2O3が0.8%、B2O3が3.2%、Na2Oが27.5%、K2Oが2.5%、MgOが1.0%、CaOが3.0%、Fe2Oが0.2%、TiO2が10%、その他1.6%の多数不純物からなるガラス組成のガラス素材をつくり、そのガラス素材の熱伝導率、耐久性、及び軟化点の測定を行った。
結果、ガラス素材の35℃の熱伝導率は0.58W/mKであり、従来のものよりも低熱伝導率を示していた。耐久性は重量損失率が5.5%であり、板ガラス及び真空断熱材のガラス繊維芯材として問題のないものであった。また、軟化点については、692℃であり、従来の汎用ガラス繊維用ガラス組成物よりも低粘度特性を示していた。
よって、比較例に示すものよりも、ガラス素材として、優れたガラス物性を示しているといえる。
また、このガラス素材からなるガラス繊維を芯材として真空断熱材を作製し、熱伝導率を測定したところ、平均温度24℃にて0.0013W/mKであった。
よって、本実施例の真空断熱材は、芯材のガラス繊維がアルカリ金属酸化物を合計で30重量%、かつTiO2を10%含むときに優れた断熱性能を有している。
(実施例3)
重量比で、SiO2が31.9%、Al2O3が0.5%、B2O3が4.5%、Na2Oが35.0%、K2Oが5.0%、MgOが1.5%、CaOが0.5%、Fe2Oが0.1%、TiO2が20%、その他2.2%の多数不純物からなるガラス組成のガラス素材をつくり、そのガラス素材の熱伝導率、耐久性、及び軟化点の測定を行った。
結果、ガラス素材の34℃の熱伝導率は0.21W/mKであり、従来のものよりも低熱伝導率を示していた。耐久性は重量損失率が7.6%であり、板ガラス及び真空断熱材のガラス繊維芯材として問題のないものであった。また、軟化点については、668℃であり、従来の汎用ガラス繊維用ガラス組成物よりも低粘度特性を示していた。
よって、比較例に示すものよりも、ガラス素材として、優れたガラス物性を示しているといえる。
また、このガラス素材からなるガラス繊維を芯材として真空断熱材を作製し、熱伝導率を測定したところ、平均温度24℃にて0.0009W/mKであった。
よって、本実施例の真空断熱材は、芯材のガラス繊維がアルカリ金属酸化物を合計で40重量%かつ、TiO2を20%含むときに優れた断熱性能を有している。
(実施例4)
重量比で、SiO2が61.1%、Al2O3が1.2%、B2O3が7.1%、Na2Oが18.1%、K2Oが1.9%、MgOが2.1%、CaOが6.4%、Fe2O3が0.3%、ZrO2が0.1%、その他1.7%の多数不純物からなるガラス組成のガラス素材をつくり、そのガラス素材の熱伝導率、耐久性、及び軟化点の測定を行った。
結果、ガラス素材の36℃の熱伝導率は0.69W/mKであり、従来のものよりも低熱伝導率を示していた。耐久性は重量損失率が5.8%であり、板ガラス及び真空断熱材のガラス繊維芯材として問題のないものであった。また、軟化点については、698℃であり、従来の汎用ガラス繊維用ガラス組成物よりも低粘度特性を示していた。
よって、比較例に示すものよりも、ガラス素材として、優れたガラス物性を示しているといえる。
また、このガラス素材からなるガラス繊維を芯材として真空断熱材を作製し、熱伝導率を測定したところ、平均温度24℃にて0.0016W/mKであった。
よって、本実施例の真空断熱材は、芯材のガラス繊維がアルカリ金属酸化物を合計で20重量%、かつZrO2を0.1重量%含むときに優れた断熱性能を有している。
(実施例5)
重量比で、SiO2が46.0%、Al2O3が1.0%、B2O3が5.4%、Na2Oが28.0%、K2Oが2.8%、MgOが1.7%、CaOが3.2%、Fe2O3が0.3%、ZrO2が10%、その他1.6%の多数不純物からなるガラス組成のガラス素材をつくり、そのガラス素材の熱伝導率、耐久性、及び軟化点の測定を行った。
結果、ガラス素材の34℃の熱伝導率は0.46W/mKであり、従来のものよりも低熱伝導率を示していた。耐久性は重量損失率が2.6%であり、板ガラス及び真空断熱材のガラス繊維芯材として問題のないものであった。また、軟化点については、738℃であり、従来の汎用ガラス繊維用ガラス組成物よりも低粘度特性を示していた。
よって、比較例に示すものよりも、ガラス素材として、優れたガラス物性を示しているといえる。
また、このガラス素材からなるガラス繊維を芯材として真空断熱材を作製し、熱伝導率を測定したところ、平均温度24℃にて0.0012W/mKであった。
よって、本実施例の真空断熱材は、芯材のガラス繊維がアルカリ金属酸化物を30.8重量%、かつZrO2を10重量%含むときに優れた断熱性能を有している。
(実施例6)
重量比で、SiO2が30.9%、Al2O3が1.0%、B2O3が3.3%、Na2Oが35.1%、K2Oが4.9%、MgOが2.0%、CaOが0.3%、Fe2O3が0.2%、ZrO2が20%、その他2.3%の多数不純物からなるガラス組成のガラス素材をつくり、そのガラス素材の熱伝導率、耐久性、及び軟化点の測定を行った。
結果、ガラス素材の34℃の熱伝導率は0.33W/mKであり、従来のものよりも低熱伝導率を示していた。耐久性は重量損失率が1.1%であり、板ガラス及び真空断熱材のガラス繊維芯材として問題のないものであった。また、軟化点については、783℃であり、従来の汎用ガラス繊維用ガラス組成物よりもやや高い粘度特性を示していた。
よって、比較例に示すものよりも、ガラス素材として、優れた断熱性を示しているといえる。
また、このガラス素材からなるガラス繊維を芯材として真空断熱材を作製し、熱伝導率を測定したところ、平均温度24℃にて0.0011W/mKであった。
よって、本実施例の真空断熱材は、芯材のガラス繊維がアルカリ金属酸化物を40重量%、かつZrO2を20重量%含むときに優れた断熱性能を有している。
(実施例7)
重量比で、SiO2が53.0%、Al2O3が1.2%、B2O3が5.0%、Na2Oが30.1%、K2Oが0.7%、MgOが1.9%、CaOが0.4%、Fe2O3が0.3%、ZnOが0.1%、その他2.1%の多数不純物からなるガラス組成のガラス素材をつくり、そのガラス素材の熱伝導率、耐久性、及び軟化点の測定を行った。
結果、ガラス素材の35℃の熱伝導率は0.68W/mKであり、従来のものよりも低熱伝導率を示していた。耐久性は重量損失率が5.5%であり、板ガラス及び真空断熱材のガラス繊維芯材として問題のないものであった。また、軟化点については、704℃であり、従来の汎用ガラス繊維用ガラス組成物よりも低粘度特性を示していた。
よって、比較例に示すものよりも、ガラス素材として、優れたガラス物性を示しているといえる。
また、このガラス素材からなるガラス繊維を芯材として真空断熱材を作製し、熱伝導率を測定したところ、平均温度24℃にて0.0016W/mKであった。
よって、本実施例の真空断熱材は、芯材のガラス繊維がアルカリ金属酸化物を30.8重量%、かつZnOを0.1重量%含むときに優れた断熱性能を有している。
(実施例8)
重量比で、SiO2が38.7%、Al2O3が1.1%、B2O3が4.9%、Na2Oが30.0%、K2Oが0.6%、MgOが1.5%、CaOが0.7%、Fe2O3が0.3%、ZnOが20%、その他2.2%の多数不純物からなるガラス組成のガラス素材をつくり、そのガラス素材の熱伝導率、耐久性、及び軟化点の測定を行った。
結果、ガラス素材の35℃の熱伝導率は0.56W/mKであり、従来のものよりも低熱伝導率を示していた。耐久性は重量損失率が5.7%であり、板ガラス及び真空断熱材のガラス繊維芯材として問題のないものであった。また、軟化点については、681℃であり、従来の汎用ガラス繊維用ガラス組成物よりも低粘度特性を示していた。
よって、比較例に示すものよりも、ガラス素材として、優れたガラス物性を示しているといえる。
また、このガラス素材からなるガラス繊維を芯材として真空断熱材を作製し、熱伝導率を測定したところ、平均温度24℃にて0.0013W/mKであった。
よって、本実施例の真空断熱材は、芯材のガラス繊維がアルカリ金属酸化物を30.6重量%、かつZnOを20重量%含むときに優れた断熱性能を有している。
(実施例9)
重量比で、SiO2が33.0%、Al2O3が0.8%、B2O3が1.2%、Na2Oが30.0%、K2Oが0.6%、MgOが1.6%、CaOが0.6%、Fe2O3が0.2%、ZnOが30.0%、その他2.0%の多数不純物からなるガラス組成のガラス素材をつくり、そのガラス素材の熱伝導率、耐久性、及び軟化点の測定を行った。
結果、ガラス素材の24℃の熱伝導率は0.35W/mKであり、従来のものよりも低熱伝導率を示していた。耐久性は重量損失率が5.0%であり、真空断熱材の芯材として問題のないものであった。また、軟化点については、675℃であり、従来の汎用ガラス繊維用のガラス組成物よりも低粘度特性を示していた。
よって、比較例に示すものよりも、真空断熱材の芯材用ガラス素材として、優れたガラス物性を示しているといえる。さらに、ZnOを含むガラス繊維は特に耐久性に優れており、水分管理等の容易な点からも生産性向上に有用である。
また、このガラス素材からなるガラス繊維を芯材として真空断熱材を作製し、熱伝導率を測定したところ、平均温度24℃にて0.0011W/mKであった。
よって、本実施例の真空断熱材は、芯材のガラス繊維がアルカリ金属酸化物を30.6重量%、かつZnOを30重量%含むときに優れた断熱性能を有している。
(実施例10)
重量比で、SiO2が46.7%、Al2O3が1.2%、B2O3が5.0%、Na2Oが30.1%、K2Oが0.7%、MgOが1.9%、CaOが2.0%、BaOが5.2%、Fe2O3が0.1%、TiO2が5.0%、その他2.1%の多数不純物からなるガラス組成のガラス素材をつくり、そのガラス素材の熱伝導率、耐久性、及び軟化点の測定を行った。
結果、ガラス素材の35℃の熱伝導率は0.55W/mKであり、従来のものよりも低熱伝導率を示していた。耐久性は重量損失率が5.0%であり、板ガラス及び真空断熱材のガラス繊維芯材として問題のないものであった。また、軟化点については、686℃であり、従来の汎用ガラス繊維用ガラス組成物よりも低粘度特性を示していた。
よって、比較例に示すものよりも、ガラス素材として、優れたガラス物性を示しているといえる。
また、このガラス素材からなるガラス繊維を芯材として真空断熱材を作製し、熱伝導率を測定したところ、平均温度24℃にて0.0015W/mKであった。
よって、本実施例の真空断熱材は、芯材のガラス繊維がアルカリ金属酸化物を30.8重量%、かつFe2O3を0.1重量%含むときに優れた断熱性能を有している。
(実施例11)
重量比で、SiO2が47.7%、Al2O3が1.1%、B2O3が4.9%、Na2Oが30.0%、K2Oが0.6%、MgOが1.5%、CaOが4.7%、Fe2O3が2.2%、TiO2が5.1%、その他2.2%の多数不純物からなるガラス組成のガラス素材をつくり、そのガラス素材の熱伝導率、耐久性、及び軟化点の測定を行った。
結果、ガラス素材の35℃の熱伝導率は0.44W/mKであり、従来のものよりも低熱伝導率を示していた。耐久性は重量損失率が5.3%であり、板ガラス及び真空断熱材のガラス繊維芯材として問題のないものであった。また、軟化点については、711℃であり、従来の汎用ガラス繊維用ガラス組成物よりも低粘度特性を示していた。
よって、比較例に示すものよりも、ガラス素材として、優れたガラス物性を示しているといえる。
また、このガラス素材からなるガラス繊維を芯材として真空断熱材を作製し、熱伝導率を測定したところ、平均温度24℃にて0.0014W/mKであった。
よって、本実施例の真空断熱材は、芯材のガラス繊維がアルカリ金属酸化物を30.6重量%、かつFe2O3を2.2重量%含むときに優れた断熱性能を有している。
(実施例12)
重量比で、SiO2が49.3%、Al2O3が0.8%、B2O3が1.2%、Na2Oが30.0%、K2Oが0.6%、MgOが1.6%、CaOが4.6%、Fe2O3が5.0%、TiO2が4.9%、その他2.0%の多数不純物からなるガラス組成のガラス素材をつくり、そのガラス素材の熱伝導率、耐久性、及び軟化点の測定を行った。
結果、ガラス素材の35℃の熱伝導率は0.40W/mKであり、従来のものよりも低熱伝導率を示していた。耐久性は重量損失率が5.0%であり、板ガラス及び真空断熱材のガラス繊維芯材として問題のないものであった。また、軟化点については、765℃であり、従来の汎用ガラス繊維用ガラス組成物よりも低粘度特性を示していた。
よって、比較例に示すものよりも、ガラス素材として、優れたガラス物性を示しているといえる。
また、このガラス素材からなるガラス繊維を芯材として真空断熱材を作製し、熱伝導率を測定したところ、平均温度24℃にて0.0013W/mKであった。
よって、本実施例の真空断熱材は、芯材のガラス繊維がアルカリ金属酸化物を30.8重量%、かつFe2O3を0.1重量%含むときに優れた断熱性能を有している。
(比較例1)
重量比で、SiO2が61.3%、Al2O3が2.2%、B2O3が4.0%、Na2Oが16.4%、K2Oが1.3%、MgOが3.0%、CaOが8.7%、Fe2Oが0.7%、TiO2が0.7%、その他1.7%の多数不純物からなるガラス組成の汎用グラスウール用ガラス素材を用いて、そのガラス素材の熱伝導率、耐久性、及び軟化点の測定を行った。
結果、ガラス素材の24℃の熱伝導率は1.04W/mKであった。耐久性は重量損失率が4.0%であり、通常の断熱熱材用途品であるため、良好な値であった。また、軟化点については、735℃であった。
また、このガラス素材からなるガラス繊維を芯材として真空断熱材を作製し、熱伝導率を測定したところ、平均温度24℃にて0.0020W/mKであった。
(比較例2)
重量比で、SiO2が32.0%、Al2O3が1.0%、B2O3が5.0%、Na2Oが39.6%、K2Oが3.6%、MgOが1.5%、CaOが5.0%、Fe2O3が0.3%、ZnOが2.0%、その他2.0%の多数不純物からなるガラス組成のガラス素材をつくり、そのガラス素材の熱伝導率、耐久性、及び軟化点の測定を行った。
結果、ガラス素材の35℃の熱伝導率は0.36W/mKであり、従来のものよりも低熱伝導率を示していたものの、本比較例のアルカリ金属酸化物が40重量%を超えて含むガラス繊維は重量損失率が15.4%であり、特に水分による侵食が起こりやすいため、耐久性で適合しないものであった。また、軟化点については、676℃であり、従来の汎用ガラス繊維用のガラス組成物よりも低粘度特性を示していた。
よって、実施例に示すものよりも、真空断熱材の芯材用ガラス素材として、熱伝導率及び粘度特性において優れた特性を示すが、低耐久性による問題があるといえる。
(比較例3)
重量比で、SiO2が31.5%、Al2O3が3.5%、B2O3が4.6%、Na2Oが25.8%、K2Oが0.7%、MgOが3.7%、CaOが4.9%、Fe2O3が0.1%、TiO2が25.1%からなるガラス組成の板ガラスを作製した結果、ガラス組成物は失透を起こし、品質不良となった。
よって、TiO2が20重量%以下であることが望ましい。
(比較例4)
重量比で、SiO2が35.1%、Al2O3が2.2%、B2O3が6.4%、Na2Oが25.0%、K2Oが0.4%、MgOが2.7%、CaOが4.1%、Fe2O3が0.1%、ZrO2が23.8%からなるガラス組成の板ガラスを作製した結果、ガラス組成物は失透を起こし、品質不良となった。
よって、ZrO2は20重量%以下であることが望ましい。
(比較例5)
重量比で、SiO2が54.1%、Al2O3が1.0%、B2O3が4.0%、Na2Oが24.7%、K2Oが0.8%、MgOが2.2%、CaOが5.0%、Fe2Oが8.0%、TiO2が0.1%、ZnOが0.1重量%からなるガラス組成の板ガラスを作製し、そのガラス素材の熱伝導率、耐久性、及び軟化温度の測定を行った。
結果、ガラス素材の35℃の熱伝導率は1.01W/mKであった。耐久性は重量損失率が2.0%と良好である。また、軟化点については、821℃であり、繊維化時の熱エネルギーが増大する。
なお、実施例1〜12、および比較例1〜5の結果について(表1)にまとめた。
本発明にかかる真空断熱材は、芯材に用いるガラス素材の熱伝導率を低減し、固体成分の熱伝導を著しく低減できることから、従来の断熱材よりも優れた断熱性能を有するものであるとともに、製造時の熱エネルギーを大幅に低減できるものである。
その結果、冷凍冷蔵庫および冷凍機器をはじめとする断熱を要する機器に利用することが可能となり、建材等の熱や冷熱から保護すべき物象などのあらゆる断熱、遮熱用途や、熱害対策用途等に適用することで省エネルギー化に貢献できる。さらに、ガラス単体で用いれば、透明で断熱性の高い空間を提供できる。
なお、本発明における真空断熱材はあらゆる機器への適用が可能であり、冷凍冷蔵庫、冷凍機器、野菜保冷庫、および米保冷庫等の作動温度帯である−30℃から常温、更には自動販売機、給湯タンク等のより高温までの範囲で温冷熱を利用した電気、ガス機器や一般住宅等の建材など、さらにはガラス組成物としては断熱ガラスとして住宅や自動車の窓など、断熱を要する部分を含むものに適用が可能である。
本発明の実施の形態1における真空断熱材の断面図
符号の説明
1 真空断熱材
2 芯材
4 外包材