JP2006038183A - 動力伝達装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】回転変動を効率的に吸収可能とすること。
【解決手段】径方向内外に同心配置したプーリ2(外側環体)とロータ軸3(内側環体)との間で回転動力の伝達を行う動力伝達装置であって、プーリ2とロータ軸3との間に第1,第2環状レース8,9を対向配置するとともに、互いの対向面それぞれに係合部を設け、第1環状レース8をプーリ2に回転一体でかつ軸方向変位可能とし、第1環状レース8の背面側にコイルバネ13を配置し、第2環状レース9をロータ軸3に対して回転および軸方向変位可能とするとともに、その背面側に、上記コイルバネ13の付勢弾力によりクラッチ接続して第2環状レース9とロータ軸3とを一体回転可能とする摩擦クラッチ14を配置し、第1環状レース8の係合部を、所定の回転方向に沿って降り勾配の円弧状斜面8bで、第2環状レース9の係合部を昇り勾配の円弧状斜面9aでそれぞれ構成する。
【選択図】図1
【解決手段】径方向内外に同心配置したプーリ2(外側環体)とロータ軸3(内側環体)との間で回転動力の伝達を行う動力伝達装置であって、プーリ2とロータ軸3との間に第1,第2環状レース8,9を対向配置するとともに、互いの対向面それぞれに係合部を設け、第1環状レース8をプーリ2に回転一体でかつ軸方向変位可能とし、第1環状レース8の背面側にコイルバネ13を配置し、第2環状レース9をロータ軸3に対して回転および軸方向変位可能とするとともに、その背面側に、上記コイルバネ13の付勢弾力によりクラッチ接続して第2環状レース9とロータ軸3とを一体回転可能とする摩擦クラッチ14を配置し、第1環状レース8の係合部を、所定の回転方向に沿って降り勾配の円弧状斜面8bで、第2環状レース9の係合部を昇り勾配の円弧状斜面9aでそれぞれ構成する。
【選択図】図1
Description
本発明は、径方向内外に同心配置した2つの環体間で回転動力の伝達を行う動力伝達装置に関する。この種の動力伝達装置は、例えばエンジンのクランクシャフトやクランクシャフトからベルトを介して駆動される補機類に装備することができる。補機類には、例えば自動車のオルタネータ、エアコンディショナ用コンプレッサ、ウオーターポンプ、冷却ファンなどが挙げられる。
自動車等の車両には、エンジンのクランクシャフトからベルトを介して駆動されるオルタネータ、エアコンディショナ用コンプレッサ、ウオーターポンプ、冷却ファン等の補機が装備されている。エンジンの回転動力をクランクシャフトからベルトを介して補機に伝達する場合、クランクシャフトの回転速度の変動に起因して、ベルトに滑りが起こって異音が発生する傾向となる。このことを、補機類の一つであるオルタネータを例にとって説明すると、エンジンの動作工程により、クランクシャフトは、その回転中、常にその回転速度に変動がある。一方、オルタネータのロータは、大きな回転慣性を有しているから、当該ロータには慣性トルクがかかっている。このため、オルタネータのロータを、回転速度の変動を伴うクランクシャフトで駆動すると、ベルトの緩み側と張り側とが交互に入れ替わって張力変動が発生する一方で、該ベルトには、ロータの慣性トルクがかかる結果、ベルトに滑りが起こって異音が発生したり、耐久性が低下したりする傾向となりやすい。
そのため、従来、オルタネータのロータ軸と、上記ベルトが巻き掛けられるプーリとの間に、動力伝達部材として一方向クラッチを用いた動力伝達装置が提案されている(特許文献1参照)。しかしながら、一方向クラッチ式の動力伝達装置では、入力回転の変動に応じて、クラッチの接続状態(動力伝達状態)と遮断状態(動力非伝達状態)とが繰り返され、動力伝達状態の間に動力非伝達状態が介在することになる。入力側の大きな回転変動に伴ってフリー状態からロック状態に切り換わる場合、くさび部材としてのころやスプラグが急激にかみ合うから、出力側の回転にも比較的大きな変動が現れ、回転変動の吸収効果が不充分である。
特開2001−90751号公報
したがって、本発明により解決すべき課題は、回転変動を効率的に吸収可能な動力伝達装置を提供することである。
本発明による動力伝達装置は、径方向内外に同心配置した外側環体と内側環体との間で回転動力の伝達を行う動力伝達装置であって、上記両環体間に2つの第1,第2環状レースを対向配置するとともに互いの対向面それぞれに係合部を設け、第1環状レースを外側環体に回転一体でかつ軸方向変位可能とし、かつ、該第1環状レースの背面側にバネを配置するとともに、第2環状レースを内側環体に対して回転および軸方向変位可能とし、第2環状レースと内側環体との間に第2環状レース側からの押圧によりクラッチ接続して当該第2環状レースを内側環体に一体回転可能とする摩擦クラッチを配置するとともに、上記第1環状レース側の係合部を所定の回転方向に沿って上記バネの配置方向に降り勾配の円弧状斜面、上記第2環状レース側の係合部を同配置方向に昇り勾配の円弧状斜面で構成したことを特徴とするものである。
当該バネは、金属製だけでなく、樹脂製のバネも含む。上記バネは、コイルバネや皿バネだけでなく、バネとしての機能を備えたものであればその名称や形状を問わないものであり、例えば、弾性体と表現されても、バネ機能を備えていれば、本発明のバネに含むものと解釈される。
上記第2環状レースと内側環体との間に配置する摩擦クラッチには、後述する実施形態1のごとく、第2環状レースの背面側に設けた該第2環状レースとは別体の摩擦部材と、内側環体とは別体の摩擦部材とで構成する摩擦クラッチや、実施の形態2のごとく、第2環状レース自体からなる摩擦部材と、内側環体自体からなる摩擦部材とで構成する摩擦クラッチを含む。
本発明の動力伝達装置において、通常、摩擦クラッチはバネの弾力付勢により軽摩擦でクラッチ接続した状態にある。外側環体が駆動側であり、その回転が定常的である場合、外側環体の回転は、第1環状レースと、第2環状レースと、摩擦クラッチとを介して内側環体に伝わり、外側環体と内側環体とは同位相で回転する。
外側環体の回転が変動し、第1環状レースがその変動方向に回転すると、第1環状レースは、第2環状レースとの間に回転位相差を生じ、その円弧状斜面が第2環状レースの円弧状斜面を昇ることで、第2環状レースから離間し、バネ配置方向に変位する。これによって第1環状レースはバネを圧縮するが、バネの圧縮反作用がスラスト力として第1環状レースを第2環状レース方向に押す方向に作用し、このスラスト力によって、摩擦クラッチは深いクラッチ接続状態となる。
この場合、外側環体の回転変動により、第1環状レースが軸方向に変位してバネを圧縮変形させるので、回転変動分のエネルギーは、第1環状レースの変位とバネの変形とに費消され、内側環体にはほとんど伝達されない。
一方、外側環体の回転が上記とは逆方向に変動するときは、第1環状レースの円弧状斜面は第2環状レースの円弧状斜面を下り、これによって、第1環状レースと第2環状レースとは互いに深く係合するので、第1環状レースには第2環状レースを摩擦クラッチ方向に押すスラスト力がほとんど作用しなくなり、摩擦クラッチはスリップ可能状態もしくはクラッチ遮断状態となる。その結果、第2環状レースは内側環体に対して空転し、外側環体の逆方向の回転変動は、内側環体に伝達されなくなる。
本発明によれば、回転変動を効率的に吸収可能な動力伝達装置を提供することができる。
以下、本発明を実施するうえで最良の形態を、添付した図面を参照して説明する。
(実施の形態1)
実施の形態1では、動力伝達装置を車両の補機に用いるプーリユニットに適用させている。図1はプーリユニットの全体構成を示す縦断側面図、図2は、同プーリユニット内の要部の斜視図である。
(実施の形態1)
実施の形態1では、動力伝達装置を車両の補機に用いるプーリユニットに適用させている。図1はプーリユニットの全体構成を示す縦断側面図、図2は、同プーリユニット内の要部の斜視図である。
これらの図を参照して、1はプーリユニットの全体を示す。プーリユニット1は、外側環体としてのプーリ2と、内側環体としてのロータ軸3とを備える。プーリ2は、外周側にエンジンのクランクシャフトに連動して回送されるベルト(図示省略)が巻き掛けられるプーリ溝2aを有するとともに、内周側に軸方向直線状をなす雌のスプライン2bを備える。ロータ軸3は、プーリ2に対してその径方向内側に同心配置されている。転がり軸受4は、ロータ軸3をプーリ2に支持する深溝玉軸受であり、ロータ軸3の外周側の段部3aと止め環5とにより軸方向不動に固定され、ロータ軸3に対してプーリ2の軸方向の位置決めをしている。プーリ2の鍔部2dの内周側とロータ軸3の外周側との間には、すべり軸受7が設けられている。このすべり軸受7は必須ではなく、これに代え微小隙間でもよい。また、すべり軸受7にシールを設けた構成とすることが好ましい。
そして、実施の形態1では、プーリ2とロータ軸3との間の環状空間6に第1と第2の環状レース8,9を軸方向に相対向して設けている。第1環状レース8は、外周面に、プーリ2の雌スプライン2bに嵌合する雄スプライン8aを備え、プーリ2に対して互いのスプライン8a,2bで嵌合してプーリ2と一体回転可能、かつ軸方向変位可能になっている。第2環状レース9は、ロータ軸3に対して回転および軸方向変位可能になっている。第1,第2環状レース8,9においては互いの対向面に係合部を備える。
第1環状レース8の係合部は、回転動力伝達の回転方向(図2の矢印イの方向)に沿って180度の円弧状をなし、かつ上記回転方向イに沿って、後述するコイルバネ13の配置方向(図1および図2で右方)に対して降り勾配となる2つの円弧状斜面8b,8bにより構成されている。第2環状レース9の係合部は、上記回転方向イに沿って180度の円弧状をなし、かつコイルバネ13の配置方向に対して昇り勾配の2つの円弧状斜面9a,9aにより構成されている。これらの円弧状斜面8b,9aには、それぞれ軌道溝8c,9bが形成されている。これら軌道溝8c,9b間には、2つの保持器10,10それぞれに保持した複数の転動体11,11が介装されている。
軌道溝8c,9bと転動体11,11とは、回転動力の伝達上、必ずしも、必須となるものではなく、直接、円弧状斜面8b,9a同士が接触して、互いの斜面を昇降するものとしてもよい。
第1環状レース8には2つの円弧状斜面8b,8bにより、互いから円周方向180度離れて2つの段壁部8d,8dが形成されている。第2環状レース9にも、2つの円弧状斜面9a,9aにより、互いから円周方向180度離れて2つの段壁部9c,9cが形成されている。第1、第2環状レース8,9と、保持器10と、転動体11とにより、スラスト軸受12が構成されている。
第1環状レース8の背面側(第2環状レース9と向き合う面とは反対側の面)とプーリ2の鍔部2dの内側面との間にはコイルバネ13が配置されている。このコイルバネ13は、第1環状レース8を、第2環状レース9の側に押圧する弾力を付勢する。
第2環状レース9と転がり軸受4との間には、摩擦クラッチ14が配置されている。摩擦クラッチ14は、第2環状レース9側の第1摩擦部材14aと、転がり軸受4側の第2摩擦部材14bとから構成されている。両摩擦部材14a,14bは軸方向に向き合っている。両摩擦部材14a,14bの軸方向で向き合う面は、摩擦クラッチ面14a1,14b1を構成する。摩擦クラッチ14は、コイルバネ13の付勢弾力により、第1摩擦部材14aが第2環状レース9とともに転がり軸受4の配置方向に押されてその摩擦クラッチ面14a1が第2摩擦部材14bの摩擦クラッチ面14b1と摩擦接触するように押圧されており、通常は、第1摩擦部材14aと第2摩擦部材14bとが比較的小さい摩擦力で接触し、浅いクラッチ接続状態を維持するようになっている。
図3および図4を参照して、プーリユニット1の動作を説明する。図3は、摩擦クラッチ14が深いクラッチ接続状態にあるときのプーリユニット1の縦断側面図で、第1環状レース8と第2環状レース9との展開図を併せて図示している。図4は、摩擦クラッチ14がスリップ可能状態にあるときのプーリユニット1の縦断側面図で、第1環状レース8と第2環状レース9との展開図を併せて図示している。
プーリ2の回転が定常的である場合、摩擦クラッチ14は、コイルバネ13の付勢弾力により、浅いクラッチ接続状態になっており、プーリ2の回転は、第1環状レース8と、第2環状レース9と、摩擦クラッチ14とを介してロータ軸3に伝わり、プーリ2とロータ軸3とは同位相で回転する。
ここでまず、プーリ2の回転が一方向に変動し、第1環状レース8がその変動方向に回転すると、第1環状レース8と第2環状レース9との間に回転位相差を生じ、図3で示すように、第1環状レース8の円弧状斜面8bの最高部(第2環状レース9の側に突出した部分)が、第2環状レース9の円弧状斜面9aの最高部(第1環状レース8の側に突出した部分)にまで昇り、第1環状レース8は、第2環状レース9からコイルバネ13方向に離れてきて、コイルバネ13を圧縮し、これとともに、第1環状レース8は、コイルバネ13の圧縮反作用(スラスト力)により第2環状レース9方向に押される。これによって、摩擦クラッチ14の第1摩擦部材14aは、第2摩擦部材14bに圧接し、摩擦クラッチ14は、深いクラッチ接続状態になる。
この場合、プーリ2の回転変動により、第1環状レース8が軸方向に変位してコイルバネ13を圧縮変形させる。プーリ2の回転変動分のエネルギーは、コイルバネ13に吸収され、ロータ軸3にはほとんど伝達されない。
次に、プーリ2の回転が上記とは逆方向に変動するときは、図4に示すように、第1環状レース8の円弧状斜面8bは第2環状レース9の円弧状斜面9aを下り、これによって、第1環状レース8と第2環状レース9とは軸方向に互いに深く係合することになり、第1環状レース8の段壁部8dが第2環状レース9の段壁部9cに係合して、第1環状レース8が第2環状レース9を同方向に回転させることになるが、第1環状レース8の背面側ではコイルバネ13が伸長した状態にあって、第1環状レース8を介して第2環状レース9を摩擦クラッチ14の側に押すスラスト力が作用しなくなっており、摩擦クラッチ14はスリップもしくはクラッチ遮断状態となる。その結果、第2環状レース9はロータ軸3に対して空転し、プーリ2の逆方向の回転変動は、ロータ軸3に伝達されなくなる。
このようにして実施の形態1のプーリユニット1では、プーリ2のいずれの方向の回転変動もロータ軸3には伝達されず、回転変動に伴うベルトへの急激なテンションの作用が防止される。
(実施の形態2)
上記した両摩擦部材14a,14bの摩擦クラッチ面14a1,14b1は、軸方向に垂直な面であるために、プーリ2の回転速度や回転トルクの状態、ロータ軸3の慣性トルクの状態によっては、回転動力の伝達上、両摩擦部材14a,14bの互いの摩擦クラッチ面14a1,14b1を強く接触させることが必要な場合も起こり得る。しかしながら、高い摩擦係数を提供できる材質の選定や、摩擦クラッチ面14a1,14b1の形成等にコストがかかるなど、設計製作上における面倒さが要求されることも考えられる。そこで、実施の形態2においては、実施の形態1の摩擦クラッチ構成を改良したプーリユニット1を提供するものである。
上記した両摩擦部材14a,14bの摩擦クラッチ面14a1,14b1は、軸方向に垂直な面であるために、プーリ2の回転速度や回転トルクの状態、ロータ軸3の慣性トルクの状態によっては、回転動力の伝達上、両摩擦部材14a,14bの互いの摩擦クラッチ面14a1,14b1を強く接触させることが必要な場合も起こり得る。しかしながら、高い摩擦係数を提供できる材質の選定や、摩擦クラッチ面14a1,14b1の形成等にコストがかかるなど、設計製作上における面倒さが要求されることも考えられる。そこで、実施の形態2においては、実施の形態1の摩擦クラッチ構成を改良したプーリユニット1を提供するものである。
図5および図6を参照して、実施形態2のプーリユニット1を説明する。図5は、クラッチ遮断もしくはスリップ可能状態にある実施の形態2のプーリユニット1を、また、図6は深いクラッチ接続状態にある実施の形態2のプーリユニット1を示す。
実施の形態2のプーリユニット1は、実施の形態1の摩擦クラッチ14の構成に代えて、第2環状レース9それ自体の内周面とロータ軸3それ自体の外周面とに摩擦クラッチ141を設けたことに特徴を有する。以下、この特徴を含め実施の形態2のプーリユニット1を説明する。なお、実施の形態2においては、第1環状レース8と第2環状レース9との対向面の形状は実施の形態1のそれらと同様であるから、この対向面に関しては図2を参照することにし、実施の形態2においては改めての図示は省略する。また、図5および図6において、図1および図2と類似ないし対応する部分には同一の符号を付している。
図5および図6を参照して、1はプーリユニットの全体を示す。実施の形態2に係るプーリユニット1は、外側環体としてのプーリ2と、内側環体としてのロータ軸3とを備える。プーリ2は、ベルトが巻き掛けられるプーリ溝2aを有するとともに、内周側に軸方向直線状をなす雌のスプライン2bを備える。ロータ軸3は、プーリ2に対してその径方向内側に同心配置されている。転がり軸受4は、ロータ軸3をプーリ2に支持する深溝玉軸受であり、ロータ軸3の外周側の段部3aと止め環5とにより軸方向不動に固定され、ロータ軸3に対してプーリ2の軸方向の位置決めをしている。プーリ2の内周側に該プーリ2とは別体である環状スペーサ2d1が設けられている。この環状スペーサ2d1の内周側とロータ軸3の外周側との間には、すべり軸受7が設けられている。環状スペーサ2d1はプーリ2と一体として、実施の形態1と同様の鍔部2dの構成としてもよい。実施の形態1と同様に、すべり軸受7は必須ではなく、すべり軸受7を設けず、微小隙間のままとしてもよい。環状スペーサ2d1の外面にはプーリユニット1の内部を密封するためのシール2d2が設けられている。
そして、実施の形態2では、実施の形態1と同様に、プーリ2とロータ軸3との間の環状空間6に2つの第1、第2環状レース8,9を軸方向に相対向して設けている。第1環状レース8は、外周面に、プーリ2の雌スプライン2bに嵌合する雄スプライン8aを備え、プーリ2に対して互いのスプライン8a,2bで嵌合してプーリ2と一体回転可能かつ軸方向変位可能になっている。第2環状レース9は、ロータ軸3に対して回転および軸方向変位可能になっている。第1,第2環状レース8,9においては互いの軸方向対向面に係合部を備える。
ここで、第1、第2環状レース8,9の対向面、係合部の形状は、上述した図2に示した形状と同様であるので、その図示を省略している。ただし、コイルバネ13は、実施の形態2では皿バネ131として説明する。
図2をそのまま参照して、第1環状レース8の係合部は、回転動力伝達の回転方向に沿って180度の円弧状をなし、かつ軸方向複数の皿バネ131の配置方向に対して降り勾配となる2つの円弧状斜面8b,8bにより構成されている。第2環状レース9の係合部は、上記回転方向に沿って180度の円弧状をなし、かつ皿バネ131の配置方向に対して昇り勾配の2つの円弧状斜面9a,9aにより構成されている。これらの円弧状斜面8b,9aには、それぞれ軌道溝8c,9bが形成されている。これら軌道溝8c,9b間には、保持器10,10それぞれに保持した複数の転動体11,11が介装されている。
軌道溝8c,9bと転動体11,11は、回転動力の伝達上、必ずしも、必須となるものではなく、直接、円弧状斜面8b,9a同士が接触して互いの斜面を昇降するものとしてもよい。第1環状レース8には2つの円弧状斜面8b,8bにより、互いから円周方向180度離れて2つの段壁部8d,8dが形成されている。第2環状レース9にも2つの円弧状斜面9a,9aにより、互いから円周方向180度離れて2つの段壁部9c,9cが形成される。第1、第2環状レース8,9と、保持器10と、転動体11とにより、スラスト軸受12が構成されている。
そして、第1環状レース8の背面側(第2環状レース9と向き合う面とは反対側の面)とプーリ2の鍔部2dの内側面との間には複数の皿バネ131が軸方向に並んで配置されている。実施形態2では、皿バネ131に代えて図1に示したコイルバネ13を用いてもよい。
以上の構成において、実施の形態2においては、第2環状レース9の内周面が環状スペーサ2d1の方向に向けて漸次に拡径した摩擦クラッチ面9dを構成し、ロータ軸3の外周面が第2環状レース9の方向に向けて漸次に縮径した摩擦クラッチ面3dを構成し、両摩擦クラッチ面9d,3dにより摩擦クラッチ141が構成されている。
この場合、第2環状レース9は一方の摩擦部材を構成し、ロータ軸3は、他方の摩擦部材を構成する。摩擦クラッチ面9d,3dは、軸方向に対して角度の付いた斜面構成となっている。この摩擦クラッチ面9d,3dには、所要の摩擦係数を有する摩擦シートを設けてもよいし、第2環状レース9とロータ軸3それぞれの材質そのものの摩擦係数を用いた摩擦クラッチ面としてもよい。摩擦シートを省略することができる理由としては、実施形態2では、実施形態1とは異なり、両摩擦クラッチ面9d,3dが斜面構成となっていて、クラッチ接続時には、摩擦クラッチ面9dが摩擦クラッチ面3dにくさび状に食い込んで強いロック力が作用するからである。摩擦シートを設けない場合は、上記ロック力が作用するとしても、両摩擦クラッチ面9d,3dの表面を粗くするなどして摩擦係数を調整して、そのロック力を強化してもよい。
以上の構成を備えた実施の形態2のプーリユニット1における第1環状レース8と第2環状レース9の基本の動作は、実施の形態1のそれと同様である。
すなわち、図3および図4を参照して、その動作を説明すると、プーリ2の回転が変動し、第1環状レース8と第2環状レース9との間に回転位相差を生じ、第1環状レース8の円弧状斜面8bの最高部が第2環状レース9の円弧状斜面9aの最低部に臨むようになると、皿バネ131は圧縮されず、摩擦クラッチ141を構成する第2環状レース9の摩擦クラッチ面9dとロータ軸3の摩擦クラッチ面3dとはスリップ可能状態もしくはクラッチ遮断状態になり、プーリ2の回転変動はロータ軸3にほとんど伝達されない。
次に、プーリ2の回転が上記とは逆方向に変動すると、第1環状レース8の円弧状斜面8bの最高部が第2環状レース9の円弧状斜面9aの最高部にまで昇り、第1環状レース8は、第2環状レース9から皿バネ131方向に離れてきて、皿バネ131は圧縮され、これとともに、第1環状レース8は、皿バネ131の圧縮反作用(スラスト力)により第2環状レース9方向に押される。これによって、第2環状レース9の内周面に形成した摩擦クラッチ面9dとロータ軸3の外周面に形成した摩擦クラッチ面3dとが圧接して、摩擦クラッチ141は深いクラッチ状態になる。この場合、プーリ2が回転変動しても、その回転変動は、皿バネ131により吸収されて、ロータ軸3には伝達されない。
以上の構成を備えた実施の形態2のプーリユニット1においては、摩擦クラッチ面9d,3dそれぞれを軸方向に対して角度をつけた斜面とし、互いに対して軸方向斜め向きに対向する構造としているので、両摩擦クラッチ面9d,3dが、互いに対してくさび状に係合できるので、低い摩擦係数の材質であっても、強い摩擦係合力を確保できるようになり、また、このことにより、材質の選定範囲が広くなり、それだけ、設計製作が容易化する。さらに、摩擦クラッチ面9d,3dにおけるその斜面の角度を調整するだけで、容易に、プーリユニット1における動力伝達トルクの調整を行うことができる。さらにはまた、その斜面の角度を調整することにより、各種の動力伝達トルクを有するプーリユニットに適用することができるようになり、汎用性の高いプーリユニット1を提供できるものとなる。
1 プーリユニット(動力伝達装置)
2 プーリ(外側環体)
3 ロータ軸(内側環体)
5 プーリのスプライン
8 第1環状レース
8a 第1環状レースの円弧状斜面
9 第2環状レース
9b 第2環状レースの円弧状斜面
13 コイルバネ
14 摩擦クラッチ
14a,14b 摩擦部材
2 プーリ(外側環体)
3 ロータ軸(内側環体)
5 プーリのスプライン
8 第1環状レース
8a 第1環状レースの円弧状斜面
9 第2環状レース
9b 第2環状レースの円弧状斜面
13 コイルバネ
14 摩擦クラッチ
14a,14b 摩擦部材
Claims (1)
- 径方向内外に同心配置した外側環体と内側環体との間で回転動力の伝達を行う動力伝達装置であって、
上記両環体間に2つの第1,第2環状レースを対向配置するとともに、互いの対向面それぞれに係合部を設け、第1環状レースを外側環体に回転一体でかつ軸方向変位可能とし、かつ、該第1環状レースの背面側にバネを配置するとともに、第2環状レースを内側環体に対して回転および軸方向変位可能とし、
第2環状レースと内側環体との間に第2環状レース側からの押圧によりクラッチ接続して当該第2環状レースを内側環体に一体回転可能とする摩擦クラッチを配置するとともに、上記第1環状レース側の係合部を所定の回転方向に沿って上記バネの配置方向に降り勾配の円弧状斜面、上記第2環状レース側の係合部を同配置方向に昇り勾配の円弧状斜面で構成した、ことを特徴とする動力伝達装置。
Priority Applications (1)
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|---|---|---|---|
| JP2004222762A JP2006038183A (ja) | 2004-07-30 | 2004-07-30 | 動力伝達装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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|---|---|---|---|
| JP2004222762A JP2006038183A (ja) | 2004-07-30 | 2004-07-30 | 動力伝達装置 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2006038183A true JP2006038183A (ja) | 2006-02-09 |
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|---|---|---|---|
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|---|---|
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- 2004-07-30 JP JP2004222762A patent/JP2006038183A/ja active Pending
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