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JP2006030041A - クランプオン型ドップラー式超音波流速分布計 - Google Patents

クランプオン型ドップラー式超音波流速分布計 Download PDF

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JP2006030041A JP2004210965A JP2004210965A JP2006030041A JP 2006030041 A JP2006030041 A JP 2006030041A JP 2004210965 A JP2004210965 A JP 2004210965A JP 2004210965 A JP2004210965 A JP 2004210965A JP 2006030041 A JP2006030041 A JP 2006030041A
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Masami Kidai
雅巳 木代
Toshihiro Yamamoto
俊広 山本
Hironobu Yao
博信 矢尾
Yoshinori Omuro
善則 大室
Noritomo Hirayama
紀友 平山
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Fuji Electric Systems Co Ltd
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Description

本発明は、配管の外側に設置した超音波トランスデューサから配管内部の被測定流体へ超音波を入射し、ドップラー効果を利用して被測定流体の流速分布を非接触で計測するようにしたクランプオン型ドップラー式超音波流速分布計に関するものである。
クランプオン型ドップラー式超音波流速分布計は、周知のように、配管内の被測定流体中に含まれる浮遊粒子や気泡が流体と同じ速度で移動すると仮定して、浮遊粒子等の移動速度から被測定流体の流速分布や流量を測定している。
すなわち、図14に示すように、配管21の外周面に音波伝搬性の楔31を介し傾斜して固定された超音波トランスデューサ11により、配管21に対して入射角θで基本周波数fの超音波パルスを送信すると、浮遊粒子等の反射体23により反射したエコー波の周波数がドップラー効果により反射体23の移動速度(流体の流速)に応じて変化する。この場合のエコー波のドップラーシフト周波数fは、数式1によって表される。
[数式1]
=(2・V・sinθ・f)/C
ここで、Vは流体22の流速、θは配管21と流体22との境界面における超音波の屈折角、Cは流体22における音速である。
従って、流体22の流速Vは、数式2によって求めることができる。なお、流速V及びドップラーシフト周波数fは配管21の半径方向に沿った位置xの関数であるため、それぞれV(x),f(x)と表すものとする。
[数式2]
(x)=(C・f(x))/(2・sinθ・f
図15は、図14の主要部と、配管21内の上記位置xに応じた流速分布を説明するための図である。
上記数式2により、超音波パルスの測定線ML上の流速Vを所定間隔で測定して流速分布を求め、これを数式3に示す如く配管21の断面積Aについて積分することにより、流体22の流量Qを求めている。
[数式3]
Q=∫V・dA
次に、図16は、クランプオン型ドップラー式超音波流速分布計の全体構成図(超音波トランスデューサ11及びこれに接続された変換器18の内部構成図)であり、例えば、後述する特許文献1に記載されたドップラー式超音波流量計と実質的に同一である。
図16において、12は超音波パルス及びエコー波の送受信タイミングを制御する送受信タイミング制御部、13は送受信タイミング制御部12により起動されて超音波トランスデューサ11から送信する超音波パルスを生成する送信パルス生成部、14は超音波トランスデューサ11により受信したエコー波を増幅する受信信号増幅制御部、15は送受信タイミング制御部12からのサンプリングクロックに従ってアナログ/ディジタル変換を行うA/D変換部、16は前述した数式2の演算によって流速分布を求める流速分布演算部、17は前述した数式3の演算によって流量を求める流量演算部である。
特開2000−97742号公報(図1)
さて、上述した原理によれば、数式2や数式3の演算により、超音波パルスの送信周波数fに依存することなく、流体22の流速Vや流量Qを正確に求めることが可能なはずである。しかしながら、発明者は、超音波の送信周波数fが異なると流速Vや流量Qが変化してしまい、特に配管21を薄肉の金属製とした場合にこの周波数依存性が顕著になり、プラスチック製の配管では周波数依存性が小さくなるという知見を得た。
なお、本出願人は、特願2003−396755号として、配管中を伝搬する超音波の横波の音速が楔における縦波の音速以上である場合(主に金属製配管を使用した場合)に、楔から配管に入射する超音波の入射角を配管内の縦波の臨界角以上で横波の臨界角以下として配管内を横波だけが伝搬するように超音波トランスデューサを傾斜させて楔に固定した超音波流速分布計を既に出願している。
この流速分布計によれば、被測定流体中の反射体からのエコー波が配管中の横波によるものだけとなり、超音波トランスデューサには縦波に起因したエコー波が受信されなくなって音響ノイズが低減されるものであるが、前述した流速Vや流量Qの周波数依存性は依然として未解決のままである。
そこで、本発明の解決課題は、超音波の送信周波数や配管への入射角を適切に選択することにより、周波数依存性が少なく、流体の流速や流量を高精度に測定可能としたクランプオン型ドップラー式超音波流速分布計を提供することにある。
上記課題を解決するため、請求項1に記載した発明は、配管の外側に設置した超音波トランスデューサから配管内部の被測定流体へ超音波を入射し、被測定流体中に存在する反射体により反射した超音波の周波数がドップラー効果により変化することを利用して被測定流体の流速分布を計測するクランプオン型ドップラー式超音波流速分布計であって、超音波トランスデューサと前記管体との間に音波伝搬性の楔を介在させてなるクランプオン型ドップラー式超音波流速分布計において、
楔から配管に入射する超音波の入射角と楔における音速と配管における横波及び縦波の音速と配管の板厚とから計算される、ラム波の各モードの配管における屈折角が臨界角となる周波数を避けて、超音波の送信周波数を選択するものである。
請求項2に記載した発明は、クランプオン型ドップラー式超音波流速分布計において、楔から配管に入射する超音波の入射角と楔における音速と配管における横波及び縦波の音速と配管の板厚とから計算される、ラム波の二つの連続するモードの配管における屈折角がそれぞれ臨界角となる二つの周波数の中間の周波数から、超音波の送信周波数を選択するものである。
請求項3に記載した発明は、クランプオン型ドップラー式超音波流速分布計において、楔から配管に入射する超音波の入射角と楔における音速と配管における横波及び縦波の音速と配管の板厚とから計算される、反対称ラム波の一次モードの配管における屈折角が臨界角となる周波数より小さい周波数から、超音波の送信周波数を選択するものである。
請求項4に記載した発明は、クランプオン型ドップラー式超音波流速分布計において、超音波の送信周波数と楔における音速と配管における横波及び縦波の音速と配管の板厚とから計算される、反対称ラム波の一次モードの配管における屈折角が臨界角となる入射角より大きい入射角で、楔から配管に超音波を入射させるものである。
請求項5に記載した発明は、クランプオン型ドップラー式超音波流速分布計において、分散曲線から決定される反対称ラム波の一次モードの遮断周波数より小さい周波数から、超音波の送信周波数を選択するものである。
請求項6に記載した発明は、請求項1〜5の何れか1項において、送信周波数または入射角を決定するためのラム波の位相速度として、漸近解を用いるものである。
請求項7に記載した発明は、請求項1〜6の何れか1項において、超音波トランスデューサを基準配管に取り付け、超音波トランスデューサを用いずに基準配管を流れる流体の基準流量を測定すると共に、超音波トランスデューサを用いて測定した流速分布による流量と前記基準流量との比を実流校正定数とし、この実流校正定数を用いて流量測定値を校正するものである。
請求項8に記載した発明は、請求項7において、前記実流校正定数を、超音波トランスデューサごとの校正定数として保持するものである。
請求項9に記載した発明は、請求項1〜8の何れか1項において、ラム波による測定誤差を計算し、この計算結果に基づいて測定値を補正するものである。
本発明によれば、超音波の送信周波数や配管への入射角を適切に選択することにより、ラム波に起因する測定値の周波数依存性を低減し、測定誤差が極小値付近となるクランプオン型ドップラー式超音波流速分布計を実現することができる。
また、超音波トランスデューサの実流校正により、オフセットエラーをキャンセルすると共にトランスデューサの相互互換性を確保でき、変換器との組み合わせを変えた場合にも高精度を保つことができる。
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態を説明する。
まず、発明者等の検討によると、前述した周波数依存性は、配管中で分散現象(音速が周波数によって変化する現象)が起きているために発生しており、この分散現象は、配管を同じ厚さを有する板と考えた場合に、この板を導波路として伝搬する板波によって引き起こされていると考えられる。ここで、板波とは、境界条件を満たす特定の周波数及び波長を持ち、無限に広がった有限な厚さを持つ平板に沿って伝搬する音波をいい、その発生は板の材質及び板厚に依存する。
板波には、横波のSH波(horizontally-polarized shear wave)とラム波(lamb wave)とが存在する。ここで、ラム波とは、周知のように、縦波及び横波のSV波(vertically-polarized shear wave)が平板の上面においてモード変換を起こしながら互いに結合した波をいう。
板波のうち、SH波は液体との境界面において縦波を励起しないため流体中には伝搬しないと考えられる。従って、分散現象を起こしているのはラム波であり、このラム波の挙動が前述した周波数依存性の原因になっていると思われる。
図1,図2は超音波が板(配管)に斜めに入射する場合のラム波の分散モデルを示しており、図1は、配管への入射角θがθ≦(配管内の縦波の臨界角)の場合、図2は、(配管内の縦波の臨界角)≦θ≦(配管内の横波の臨界角)の場合である。
発明者の検討によれば、楔から配管に超音波が入射する際に、位相速度(=ω/k,ω:角周波数、k:波数)の相違により、一定周波数のまま配管中で複数のラム波が励起されると考えられ、図1のようにθ≦(配管内の縦波の臨界角)であれば、L波(縦波)、SV波以外に、後述する固有方程式で決まる波長を持つ反対称ラム波のモードA及び対称ラム波のモードS(mは波長の違いに応じた連続する次数またはモードであり、m=0,1,2,……)が励起されてその一部が流体に入射する。また、図2のように、(配管内の縦波の臨界角)≦θ≦(配管内の横波の臨界角)であれば、SV波以外に、同じくモードA及びSが励起されてその一部が流体に入射することになる。
ここで、参考文献1(「超音波便覧」、超音波便覧編集委員会編、丸善株式会社発行、p.63〜p.65)によれば、ラム波の固有方程式(周波数方程式)は数式4〜数式7によって表される。
[数式4]
β =(−β=(ω/V−k
[数式5]
β =(−β=(ω/V−k
[数式6]
tan(βd/2)/tan(βd/2)=−(k−β /(4kββ):対称モードの場合
[数式7]
tan(βd/2)/tan(βd/2)=−(k−β /(4kββ):反対称モードの場合
数式4〜数式7において、β〜βは板厚方向の伝搬定数、dは板厚、ωは角周波数、Vは縦波の音速、Vは横波の音速、kは波数である。
上記固有方程式により、対称ラム波、反対称ラム波の各モードm(m次)について、その周波数と波長との関係を計算することができる。また、位相速度V及び波束の実際の伝搬速度である群速度V(一般にV≠Vであり、分散現象がなければV=V)は、数式8,数式9によって求めることができる。
[数式8]
=ω/k
[数式9]
=∂ω/∂k
更に、上記位相速度V及びスネル則から、ラム波の各モードの配管における屈折角θを計算することができる。
図3は、上記固有方程式を解いて得られるラム波の分散曲線(ω−k分散曲線)の一例であって先の参考文献1のp.64に記載されているものであり、実線は反対称ラム波のモードAの分散曲線、破線は対称ラム波のモードSの分散曲線である。
図3における横軸が超音波の波数に対応し、縦軸が超音波の送信周波数に対応しており、ある送信周波数と配管厚と配管音速において発生するラム波のモードは、対応する垂直軸の値に直交する水平な線と交差する分散曲線のモードとなる。但し、実際に発生するモードは、楔における音速と各モードの位相速度によって決まる臨界角が、配管への入射角θより大きい場合に限られる。
ラム波の各モードの周波数及び波長の厳密解は、前述した固有方程式を解くことにより求められるが、波数と板厚との積kdが大きい場合には、実用的には漸近解にて代用することにより、計算を簡略化することができる。すなわち、位相速度Vについては、0次モード(m=0)の場合は数式10に示すようにレイリー波(Rayleigh wave)の位相速度Vへ漸近し、高次モード(m=1,2,……)の場合は数式11に示すように対応するモードの横波の固有方程式の解(横波の音速V)に漸近する。
[数式10]
(A0)=V (S0)=V (m=0)
[数式11]
(Am)=ω/{(ω/V−(2mπ/d)1/2
(Sm)=ω/{(ω/V−((2m+1)π/d)1/2
(m=1,2,……)
数式11において、上付きのAm,Smはそれぞれ反対称ラム波、対称ラム波のモードmを示す。
また、レイリー波の位相速度には近似解が存在するので、上記数式10の適用に当たり、実用的には近似解の代用により計算を簡略化することができる。
なお、参考文献2(根岸勝雄ほか「超音波技術」、東京大学出版会発行、p.173〜p.174)には、レイリー波の位相速度Vの厳密解が、
L={1−(V/V1/2, S={1−(V/V1/2
とおいたときに数式12の解として求められることが記載され、更に、ポアソン比をσとしたときに、近似解が数式13によって表されることが記載されている。
[数式12]
4LS−(1+S=0
[数式13]
=V(0.87+1.12σ)/(1+σ)
次に、図4に示すような超音波トランスデューサ11、楔31及びステンレス製の配管21からなる構造において、配管21への入射角θを配管21内の縦波の臨界角以上で横波の臨界角以下に設定した場合(前述の図2に相当)の、超音波の送信周波数とラム波の各モードにおける配管21内の屈折角θとの関係を、数式10,11に示した位相速度の漸近解及びスネル則を用いて数式14,15により計算した。
[数式14]
θ (Am)=sin−1(V (Am)/C・sinθ
θ (Sm)=sin−1(V (Sm)/C・sinθ
数式14において、Cは楔31における音速である。
図5は、上記の計算による、送信周波数と屈折角θとの関係を示すグラフである。
また、同様の配管21を用いて、送信周波数と流量測定誤差との関係を測定した。その結果を図6に示す。
図5及び図6によれば、ラム波のあるモード(例えばA,S)の屈折角θが臨界角(θ (Am),θ (Sm)=90°)に達する周波数fcritical付近で、測定誤差が極大になっていることが判る。ここで、上記周波数fcriticalは、下記の数式15により求めることができる。この数式15は、数式14にθ (Am),θ (Sm)=90°と、数式11におけるV (Am),V (Sm)を代入し、ω(=2πf)について解いたものである。
[数式15]
critical (Am)=m/{(1/V−(sinθ/C1/2/d
(m=1,2,……)
critical (Sm)=(2m+1)/{(1/V−(sinθ/C1/2/d/2
(m=1,2,……)
従って、上記周波数fcriticalを避けて超音波の送信周波数を選択することにより、流量の測定誤差が極大付近になるのを防ぐことができる。
なお、図5及び図6における選択周波数(Set frequency)は、ラム波A,Sの屈折角θが臨界角に達する周波数の中間を示している。このようにラム波の連続する二つのモードA,Sの屈折角θが臨界角に達する周波数の中間に、測定誤差が極小付近になる周波数が存在するため、この周波数を送信周波数として選択することにより、測定誤差が極大になるのを避けて極小付近にすることができる。
なお、ラム波の各モードには、位相速度の相違による配管での屈折角θの相違と群速度Vの相違とにより、配管を伝搬する時間τに相違がある。ここで、ラム波の各モードの漸近解による群速度Vを数式16に示す。また、ラム波の配管内の伝搬時間τは、数式17に示すように群速度Vによって異なってくる。
[数式16]
(A0)=V (S0)=V
(Am)=V /V (Am)
(Sm)=V /V (Sm)
[数式17]
τ(Am)=d/cosθ (Am)/V (Am)
τ(Sm)=d/cosθ (Sm)/V (Sm)
このため、本来の原理式における超音波(例えば、横波のSV波や縦波のL波)により得られる流速分布に、時間がずれた形でその他のラム波(干渉波)による流速分布が重なるため、これが流量測定誤差の原因となる。
数式18はラム波の流体中(水中)の伝搬時間Tを示しており、Dは配管の内径である。この伝搬時間Tと前記配管内の伝搬時間τとに起因して、数式19に示すように半径方向に沿った位置ずれを生じることとなる。
[数式18]
T=D/cosθ/V
[数式19]
(Am)/R=2(τ(Am)−τ(Vs))/T
(Sm)/R=2(τ(Sm)−τ(Vs))/T
なお、Rは配管の内径Dの半径(=D/2)であり、rは半径Rに沿った中心からの距離(r≦R)である。
図7は、ラム波の各モードA〜A,S,S及び横波SV波(V)のそれぞれについて、測定した水の流速の速度プロファイルを示したものであり、横軸は配管の半径方向の位置を示し、縦軸は流速の測定値を示している。なお、水の平均流速は2m/sである。
図7によれば、各モードA〜A,S,Sによって速度プロファイルが異なり、また、同じ流速に対して半径方向の位置ずれを生じており、これらが測定誤差の原因になっていることがわかる。また、図8は同じモデルを用いて流量誤差を計算した結果であり、臨界角の周波数fcritical付近(1.4MHz前後、及び1.9MHz前後)で誤差が極大になっている。
なお、数式20は図7の速度プロファイルを得るための乱流速度分布の計算式、数式21は図8の流量誤差を得るための計算式である。ここで、図8は、ラム波のすべてのモードの誤差を単純平均したものである。
[数式20]
V(r)=Vmax{1−(r−r(Am))/R}1/n 、または、
V(r)=Vmax{1−(r−r(Sm))/R}1/n
n=2.1logRe−1.9
Re=VavD/ν
(Re:レイノルズ数、Vmax:最大流速、Vav:平均流速、ν:動粘性係数)
[数式21]
ΔQ(Am)/Q={(2n+1)/n)}{2r(Am)/R−(r(Am)/R)1+1/n}+(1−r(Am)/R)2+1/n−(r(Am)/R)2+1/n−1
ΔQ(Sm)/Q={(2n+1)/n)}{2r(Sm)/R−(r(Sm)/R)1+1/n}+(1−r(Sm)/R)2+1/n−(r(Sm)/R)2+1/n−1
ΔQ/Q=Σ(ΔQ(Am)+ΔQ(Sm))/Q/N
(N:モードの個数)
また、厚さが異なるステンレス製の3種類の配管を用いて、前記のラム波のモードA,Sのように、連続する二つのモードのラム波の屈折角θが臨界角に達する周波数のほぼ中間の周波数を送信周波数として選択し、板厚と流量誤差との関係を測定した。この結果を図9に示す。この図9において、1.9MHz,1.6MHz,1.8MHzは選択された送信周波数であり、それぞれが板厚d,d,dに対応している。
図9によれば、配管の板厚に関わらず何れも測定誤差を小さく抑えることが可能になっている。
更に、上記以外に周波数依存性を抑制する他の方法として、送信周波数を、反対称ラム波の一次モードAの屈折角θが臨界角に達する周波数より小さくする方法が挙げられる。この周波数は、屈折角θが90°(臨界角)に達する周波数であり、この周波数以下では当該モードAは発生しなくなると共に、SV波とラム波の0次モードA,Sしか発生しなくなるので、周波数依存性を大幅に抑えることができる。
図10は、配管の板厚を種々変化させた場合の、ラム波の屈折角θが臨界角に達する周波数を各モードについて漸近解にて計算した例である。ラム波のモードmが大きくなるほど周波数が高くなるので、送信周波数を、上述したモードAの屈折角θが臨界角に達する周波数より小さくすれば、一次以上の全てのモードが発生しなくなることが判る。
また、周波数依存性を抑える他の方法として、超音波の配管への入射角を、反対称ラム波の一次モードAの臨界角より大きくしても良い。ラム波の位相速度は高次になるほど速くなり、臨界角は高次になるほど小さくなるので、反対称モードAの臨界角より大きい入射角にて超音波を入射させれば、それより高次のモードが発生しなくなり、周波数依存性を大幅に抑制することができる。
更に、送信周波数を、反対称ラム波の一次モードAの遮断周波数より小さくする方法も考えられる。この遮断周波数は、位相速度が無限大、群速度が0になる周波数(図3におけるkd=0の時の値、すなわち縦軸の接片)であり、この周波数以下では、入射角θに関わらず、ラム波の当該モードは発生しなくなる。遮断周波数は高次モードほど高くなるので、モードAの遮断周波数以下では、それより高次のモードが発生しなくなり、入射角θに関わらず周波数依存性を大幅に抑えることができる。
さて、前述の図6や図8に示したように、連続する二つのモードのラム波の屈折角θが臨界角に達する周波数のほぼ中間の周波数を選択周波数とした場合でも、図8に示す如くオフセット誤差が発生するが、このオフセット誤差は、本出願人の先願である特願2004−50998号に記載されているように、超音波トランスデューサを基準配管にて実流校正することによってキャンセルすることができる。この先願に記載された実流校正は、θ,Cのばらつきを抑える目的で提案されたものである。
図11は上記先願における実流校正設備の構成図、図12は作用の説明図であり、この実流校正設備は、基準配管21A、基準流量計41、流量調節弁42、基準変換器51を備え、基準変換器51は、前述した図16におけるブロック12〜17により構成されている。
基準配管21Aは、正確な断面積Aを持つように内周面が加工されていると共に、その内部を流通する流体が十分発達した軸対称流となり、直管長さが十分にあるように平滑に仕上げられている。また、基準配管21Aの外周面は、内周面と平行になるように平滑に仕上げられている。
そして、基準流量計41にて観測しつつ流量調節弁42の開度を調節することで、基準配管21Aの内部を流れる流体の流量が精密に設定または制御可能となっている。なお、流体流量の精密制御としては、基準流量計41の代わりに基準タンク43を用い、基準流量計41を経由して基準タンク43に単位時間当たりに貯留される流体の量を精密に測定する方法を用いても良い。
上記基準配管21Aに超音波トランスデューサ11を装着して固定すると共に、基準変換器51を接続し、基準流量計41及び流量調節弁42よって精密に設定された既知の(真の)流量Qで流体を流通させつつ、超音波トランスデューサ11及び基準変換器51にて流速分布並びに流量測定を行い、そのときに測定された流量Qと既知のQとに基づいて、超音波トランスデューサ11の実流校正定数α=Q/Qを算出し、この校正定数αを当該トランスデューサ11に固有の定数として、当該トランスデューサ11を使用する超音波流量計に記憶させることにより、測定された流量の補正を行う。
この先願によれば、前述した数式2のθ,Cは、数式22のスネル則に従い配管への入射角θ及び楔の音速Cに置き換えられ、数式23となる。
[数式22]
/sinθ=C/sinθ=C/sinθ
[数式23]
(x)=(C・f(x))/(2・sinθ・f
特願2004−50998号に記載された先願発明では、数式23におけるV(x)を高精度にするためにθ,Cを実流校正により補正している。
これに対し、本発明では、θ,Cだけでなく前記のオフセット誤差を併せて実流校正により補正するものである。
本発明においても、実流校正は基準流量計41(または基準タンク43)による高精度な測定流量との比較で行うものとし、基準流量計41による測定流量をQとして、超音波トランスデューサ11により測定された流速分布に基づく流量Qとの比を実流校正定数αとする。この時、Qは数式24で表される。
[数式24]
=α・Q=∫{α(C・f(x))/(2・sinθ・f)}・dA
すなわち、図13において、超音波トランスデューサ11及び変換器18を用いて測定した流量Qに実流校正定数αを乗じることにより、基準流量計41による高精度の測定流量と同じ測定値を得ることができる。このため、θ,C及びオフセット誤差を一つ一つ測定しなくても、一つの校正定数αのみを用いて同時に補正することができる。
この校正定数αを超音波トランスデューサ11に固有の定数として個々のトランスデューサの銘板等に付ければ、トランスデューサ11と変換器18との組み合わせを変えた場合にもトランスデューサ11に固有の校正定数αを測定流量に乗じれば高精度の流量が得られるため、トランスデューサの相互互換性が保たれることとなる。
また、オフセット誤差の他の補正方法としては、図8に示した誤差の計算値を用いて、実流校正と共に、または実流校正を行わずにオフセット誤差を補正してもよい。更に、基準配管21Aを用いた場合と違う材質・板厚の配管を用いた場合のオフセット誤差の差を計算し、補正してもよい。
なお、本発明は、先願である特願2003−396755号のように、配管中を伝搬する超音波の横波の音速が楔における縦波の音速以上である場合に、楔から配管に入射する超音波の入射角を配管内の縦波の臨界角以上で横波の臨界角以下として配管内を横波だけが伝搬するように超音波トランスデューサを傾斜させて楔に固定した超音波流速分布計にも適用可能であり、ラム波に起因する流速や流量の周波数依存性を抑制することが可能である。
超音波の伝搬状態を示す図である。 超音波の伝搬状態を示す図である。 ラム波の分散曲線を示す図である。 実施形態に係る流速分布計の概略的な構成図である。 ラム波の各モードにおける送信周波数と屈折角との関係を示す図である。 送信周波数と流量測定誤差との関係を示す図である。 ラム波の各モードにおける速度プロファイルを示す図である。 送信周波数と流量誤差との関係(計算結果)を示す図である。 配管の板厚と流量測定誤差との関係を示す図である。 ラム波の各モードにおける臨界角に達する周波数を、配管の板厚ごとに示した図である(漸近解による計算値)。 先願における実流校正設備の構成図である。 先願における実流校正設備の作用の説明図である。 本発明の実施形態における実流校正の概念図である。 ドップラー式超音波流速分布計の動作原理の説明図である。 図14の主要部及び流速分布を示す図である。 クランプオン型ドップラー式超音超音波流速分布計の全体構成図である。
符号の説明
11:超音波トランスデューサ
12:送受信タイミング制御部
13:送信パルス生成部
14:受信信号増幅制御部
15:A/D変換部
16:流速分布演算部
17:流量演算部
18:変換器
21:配管
21A:基準配管
22:流体
23:反射体
31:楔
41:基準流量計
42:流量調節弁
43:基準タンク
51:基準変換器
ML:測定線

Claims (9)

  1. 配管の外側に設置した超音波トランスデューサから配管内部の被測定流体へ超音波を入射し、被測定流体中に存在する反射体により反射した超音波の周波数がドップラー効果により変化することを利用して被測定流体の流速分布を計測するクランプオン型ドップラー式超音波流速分布計であって、超音波トランスデューサと前記管体との間に音波伝搬性の楔を介在させてなるクランプオン型ドップラー式超音波流速分布計において、
    楔から配管に入射する超音波の入射角と楔における音速と配管における横波及び縦波のの音速と配管の板厚とから計算される、ラム波の各モードの配管における屈折角が臨界角となる周波数を避けて、超音波の送信周波数を選択することを特徴とするクランプオン型ドップラー式超音波流速分布計。
  2. 配管の外側に設置した超音波トランスデューサから配管内部の被測定流体へ超音波を入射し、被測定流体中に存在する反射体により反射した超音波の周波数がドップラー効果により変化することを利用して被測定流体の流速分布を計測するクランプオン型ドップラー式超音波流速分布計であって、超音波トランスデューサと前記管体との間に音波伝搬性の楔を介在させてなるクランプオン型ドップラー式超音波流速分布計において、
    楔から配管に入射する超音波の入射角と楔における音速と配管における横波及び縦波の音速と配管の板厚とから計算される、ラム波の二つの連続するモードの配管における屈折角がそれぞれ臨界角となる二つの周波数の中間の周波数から、超音波の送信周波数を選択することを特徴とするクランプオン型ドップラー式超音波流速分布計。
  3. 配管の外側に設置した超音波トランスデューサから配管内部の被測定流体へ超音波を入射し、被測定流体中に存在する反射体により反射した超音波の周波数がドップラー効果により変化することを利用して被測定流体の流速分布を計測するクランプオン型ドップラー式超音波流速分布計であって、超音波トランスデューサと前記管体との間に音波伝搬性の楔を介在させてなるクランプオン型ドップラー式超音波流速分布計において、
    楔から配管に入射する超音波の入射角と楔における音速と配管における横波及び縦波の音速と配管の板厚とから計算される、反対称ラム波の一次モードの配管における屈折角が臨界角となる周波数より小さい周波数から、超音波の送信周波数を選択することを特徴とするクランプオン型ドップラー式超音波流速分布計。
  4. 配管の外側に設置した超音波トランスデューサから配管内部の被測定流体へ超音波を入射し、被測定流体中に存在する反射体により反射した超音波の周波数がドップラー効果により変化することを利用して被測定流体の流速分布を計測するクランプオン型ドップラー式超音波流速分布計であって、超音波トランスデューサと前記管体との間に音波伝搬性の楔を介在させてなるクランプオン型ドップラー式超音波流速分布計において、
    超音波の送信周波数と楔における音速と配管における横波及び縦波の音速と配管の板厚とから計算される、反対称ラム波の一次モードの配管における屈折角が臨界角となる入射角より大きい入射角で、楔から配管に超音波を入射させることを特徴とするクランプオン型ドップラー式超音波流速分布計。
  5. 配管の外側に設置した超音波トランスデューサから配管内部の被測定流体へ超音波を入射し、被測定流体中に存在する反射体により反射した超音波の周波数がドップラー効果により変化することを利用して被測定流体の流速分布を計測するクランプオン型ドップラー式超音波流速分布計であって、超音波トランスデューサと前記管体との間に音波伝搬性の楔を介在させてなるクランプオン型ドップラー式超音波流速分布計において、
    分散曲線から決定される反対称ラム波の一次モードの遮断周波数より小さい周波数から、超音波の送信周波数を選択することを特徴とするクランプオン型ドップラー式超音波流速分布計。
  6. 請求項1〜5の何れか1項に記載したクランプオン型ドップラー式超音波流速分布計において、
    送信周波数または入射角を決定するためのラム波の位相速度として、漸近解を用いることを特徴とするクランプオン型ドップラー式超音波流速分布計。
  7. 請求項1〜6の何れか1項に記載したクランプオン型ドップラー式超音波流速分布計において、
    超音波トランスデューサを基準配管に取り付け、超音波トランスデューサを用いずに基準配管を流れる流体の基準流量を測定すると共に、超音波トランスデューサを用いて測定した流速分布による流量と前記基準流量との比を実流校正定数とし、この実流校正定数を用いて流量測定値を校正することを特徴とするクランプオン型ドップラー式超音波流速分布計。
  8. 請求項7に記載したクランプオン型ドップラー式超音波流速分布計において、
    前記実流校正定数を、超音波トランスデューサごとの校正定数として保持することを特徴とするクランプオン型ドップラー式超音波流速分布計。
  9. 請求項1〜8の何れか1項に記載したクランプオン型ドップラー式超音波流速分布計において、
    ラム波による測定誤差を計算し、この計算結果に基づいて測定値を補正することを特徴とするクランプオン型ドップラー式超音波流速分布計。
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