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JP2006017570A - 薬物代謝酵素反応により生じる代謝物の構造提案方法及びその利用 - Google Patents

薬物代謝酵素反応により生じる代謝物の構造提案方法及びその利用 Download PDF

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JP2006017570A JP2004195251A JP2004195251A JP2006017570A JP 2006017570 A JP2006017570 A JP 2006017570A JP 2004195251 A JP2004195251 A JP 2004195251A JP 2004195251 A JP2004195251 A JP 2004195251A JP 2006017570 A JP2006017570 A JP 2006017570A
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Yoshihisa Toki
祥久 十亀
Setsuko Komuro
勢津子 小室
Hiroshi Kanamaru
博 金丸
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Sumitomo Chemical Co Ltd
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Sumitomo Chemical Co Ltd
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Abstract

【課題】
代謝物を抽出・単離する必要がなく、また、その存在量が微量の場合でも当該代謝物の構造を提案することができ、しかも生体内外における薬物代謝酵素反応により生じる代謝物の構造が迅速に精度よく提案可能である方法。
【解決手段】
基質A構造式の入力工程と、代謝反応DBに基づくA由来の予測代謝物Bの構造式作成工程と、前記Bの構造式からのB分子量の算出工程と、A由来の構造不明代謝物Cの分子量入力工程と、B分子量とC分子量とを比較しC分子量と一致する分子量をもつBの抽出工程と、A及びCのMS/MS分析によるフラグメントイオンピーク(FIP)の入力工程と、A及びCのFIPの構造への帰属工程と、当該帰属情報に基づく比較による代謝部位の絞り込み工程と、Cと一致する分子量をもつB構造と前記絞り込みによる代謝部位構造とを比較し一致した構造の表示工程とを含む代謝物の構造提案方法等。
【選択図】 なし

Description

本発明は、代謝物の構造提案方法及びその利用に関する。
生体内外での薬物代謝酵素反応により生じる代謝反応においては、基質(親化合物)が様々な酵素によって代謝を受け、複数の代謝物が生成する。医薬品の研究開発において、これら代謝物の構造を決定することは、薬効や毒性評価において重要な役割を果たす。
かかる代謝物の構造の同定方法としては、例えば、生体内外における薬物代謝酵素反応により生じる代謝物を反応液から抽出・単離した後、又は、基質(親化合物)が投与された動物の生体試料(血清、尿又は胆汁等)から抽出・単離した後、得られた代謝物を核磁気共鳴装置等を用いてスペクトルを測定し、当該スペクトルをもとに、代謝物の構造を同定する方法が知られている。
一方で、上記のように代謝物を抽出・単離することなく、生体内外における薬物代謝酵素反応により生じる代謝物を含む試料のまま液体クロマトグラフィー質量分析装置等を用いて分析することにより、代謝物の分子量に係る情報は比較的容易に取得できるようになりつつあり、このような質量分析装置によっては、基質(親化合物)の分子量と生体内外における薬物代謝酵素反応により生じた代謝物の分子量との質量差から付加又は減少した分子又は原子に関する情報を提供する機能を有するソフトウェアが付属されているものもある。
特開2003−30315 特開平11−64285 特開2002−55151
しかしながら、前者方法における代謝物の抽出・単離は、多大な時間及び労力が必要となり、また、代謝物の生成量が微量である場合や代謝物が不安定である場合には、代謝物の抽出・単離自体が困難であるという問題があった。また後者方法におけるソフトウェアの完成度は現時点では低いレベルにあることから、これらのソフトでは代謝物の構造を必ずしも迅速に精度よく提案することができず、そして前記代謝物の構造を容易に提案するまでには至っていない。
このような状況下、本発明者らは、かかる代謝物を抽出・単離操作する必要がなく、また、その存在生成量が微量の場合でも当該代謝物の構造を提案することができ、しかも生体内外における薬物代謝酵素反応により生じる代謝物の構造が迅速に精度よく提案可能である方法を見出し、本発明に至った。
即ち、すなわち本発明は、
1.基質(親化合物)の化学構造式を入力するステップと、代謝反応データベースに基づき、入力された前記基質(親化合物)が代謝されて生成すると予測される予測代謝物の化学構造式を作成するステップと、前記予測代謝物の化学構造式からそれぞれの予測代謝物の分子量を算出するステップと、前記基質(親化合物)が代謝されて生成した構造不明の代謝物の分子量を入力するステップと、前記算出された予測代謝物の分子量と構造不明の代謝物の分子量とを比較することによって構造不明の代謝物の分子量と一致する分子量をもつ予測代謝物をピックアップするステップと、前記基質(親化合物)のMS/MS分析によるフラグメントイオンピークを入力するステップと、前記基質(親化合物)のフラグメントを化学構造に帰属するステップと、構造不明の代謝物のMS/MS分析によるフラグメントイオンピークを入力するステップと、構造不明の代謝物のフラグメントを基質(親化合物)の化学構造に帰属するステップと、基質(親化合物)のMS/MS分析によるフラグメントイオンピークを帰属させた化学構造と構造不明の代謝物のMS/MS分析によるフラグメントイオンピークを帰属させた化学構造とを比較することによって代謝部位を絞り込む(特定化する)ステップと、前記予測代謝物の分子量と前記構造不明の代謝物の分子量とを比較することによってピックアップされた、構造不明の代謝物の分子量と一致する分子量をもつ前記予測代謝物の化学構造と、基質(親化合物)のMS/MS分析によるフラグメントイオンピークを帰属させた化学構造と構造不明の代謝物のMS/MS分析によるフラグメントイオンピークを帰属させた化学構造とを比較することによって絞り込まれた前記代謝部位の化学構造又は特定化された前記代謝部位の化学構造とを比較することにより、一致した化学構造を表示するステップとを含むことを特徴とする代謝物の構造提案方法(以下、本発明方法と記すこともある。);
2.基質(親化合物)の化学構造式、前記基質(親化合物)が代謝されて生成した構造不明の代謝物の分子量、前記基質(親化合物)と前記構造不明の代謝物との両者のMS/MS分析によるフラグメントイオンピークスペクトルを入力する入力手段と、代謝反応データベースに基づき、入力された前記基質(親化合物)が代謝されて生成すると予測される予測代謝物の化学構造式を作成する構造式作成手段と、前記予測代謝物の化学構造式からそれぞれの予測代謝物の分子量を算出する分子量算出手段と、前記算出された予測代謝物の分子量と構造不明の代謝物の分子量とを比較することによって構造不明の代謝物の分子量と一致する分子量をもつ予測代謝をピックアップする比較抽出手段と、分子量が一致した予測代謝物の化学構造式を表示する表示手段と、入力されたMS/MSスペクトル情報に基づきフラグメントを化学構造に帰属する手段と、帰属させた当該化学構造を比較して代謝部位の絞込み又は特定化を行う手段と、前記分子量が一致した予測代謝物の化学構造とMS/MS分析によるフラグメントイオンピークから絞り込まれた代謝物の化学構造とを比較することにより、一致した化学構造を表示する表示手段とを含むことを特徴とする化合物の構造提案システム(以下、本発明システムと記すこともある。);
3.コンピュータを、
基質(親化合物)の化学構造式、前記基質(親化合物)が代謝されて生成した構造不明の代謝物の分子量、前記基質(親化合物)と前記構造不明の代謝物との両者のMS/MS分析によるフラグメントイオンピークスペクトルを入力する入力手段と、代謝反応データベースに基づき、入力された前記基質(親化合物)が代謝されて生成すると予測される予測代謝物の化学構造式を作成する構造式作成手段と、前記予測代謝物の化学構造式からそれぞれの予測代謝物の分子量を算出する分子量算出手段と、前記算出された予測代謝物の分子量と構造不明の代謝物の分子量とを比較することによって構造不明の代謝物の分子量と一致する分子量をもつ予測代謝をピックアップする比較抽出手段と、分子量が一致した予測代謝物の化学構造式を表示する表示手段と、入力されたMS/MSスペクトル情報に基づきフラグメントを化学構造に帰属する手段と、帰属させた当該化学構造を比較して代謝部位の絞込み(特定化)を行う手段と、前記分子量が一致した予測代謝物の化学構造とMS/MS分析によるフラグメントイオンピークから絞り込まれた代謝物の化学構造とを比較することにより、一致した化学構造を表示する表示手段として機能させるための化合物の構造提案プログラム(以下、本発明プログラムと記すこともある。);
等を提供するものである。
本発明によれば、代謝物を抽出・単離する必要がなく、また、その存在量が微量の場合でも当該代謝物を提案することができ、しかも生体内外における薬物代謝酵素反応により生じる代謝物の構造が迅速に精度よく提案可能である方法を提供できる。
以下、図面を参照しながら本発明について説明する。図1に、本発明方法のフロー図を、図2に、本発明システムの概略構成を示す図を示した。
本発明方法は、基質(親化合物)の化学構造式を入力するステップ(以下、ステップaと記すこともある。)と、代謝反応データベースに基づき、入力された基質(親化合物)が代謝されて生成すると予測される予測代謝物の化学構造式を作成するステップ(以下、ステップbと記すこともある。)と、前記予測代謝物の化学構造式からそれぞれの予測代謝物の分子量を算出するステップ(以下、ステップcと略記する。)と、前記基質(親化合物)が代謝されて生成した構造不明の代謝物の分子量を入力するステップ(以下、ステップdと記すこともある。)と、前記算出された予測代謝物の分子量と構造不明の代謝物の分子量とを比較することによって構造不明の代謝物の分子量と一致する分子量をもつ予測代謝物をピックアップするステップ(以下、ステップeと記すこともある。)と、前記基質(親化合物)のMS/MS分析によるフラグメントイオンピークを入力するステップ(以下、ステップfと記すこともある。)と、基質(親化合物)のフラグメントを化学構造に帰属するステップ(以下、ステップgと記すこともある。)と、構造不明の代謝物のMS/MS分析によるフラグメントイオンピークを入力するステップ(以下、ステップhと記すこともある。)と、構造不明の代謝物のフラグメントを基質(親化合物)の化学構造に帰属するステップ(以下、ステップiと記すこともある。)と、基質(親化合物)のMS/MS分析によるフラグメントイオンピークを帰属させた化学構造と構造不明の代謝物のMS/MS分析によるフラグメントイオンピークを帰属させた化学構造を比較することによって、代謝部位を絞り込む又は特定化するステップ(以下、ステップjと記すこともある。)と、前記予測代謝物の分子量と前記構造不明の代謝物の分子量とを比較することによってピックアップされた、構造不明の代謝物の分子量と一致する分子量をもつ前記予測代謝物の化学構造と、基質(親化合物)のMS/MS分析によるフラグメントイオンピークを帰属させた化学構造と構造不明の代謝物のMS/MS分析によるフラグメントイオンピークを帰属させた化学構造とを比較することによって絞り込まれた前記代謝部位の化学構造又は特定化された前記代謝部位の化学構造とを比較することにより、一致した化学構造を表示するステップ(以下、ステップkと記すこともある。)とを含む。
また、本発明システムは、基質(親化合物)の化学構造式、前記基質(親化合物)が代謝されて生成した構造不明の代謝物の分子量、前記基質(親化合物)と前記構造不明の代謝物のMS/MS分析によるフラグメントイオンピークスペクトルを入力する入力手段1と、代謝反応データベースに基づき、入力された前記基質(親化合物)が代謝されて生成すると予測される予測代謝物の化学構造式を作成する構造式作成手段2と、前記予測代謝物の化学構造式からそれぞれの予測代謝物の分子量を算出する分子量算出手段3と、前記算出された予測代謝物の分子量と構造不明の代謝物の分子量とを比較することによって、構造不明の代謝物の分子量と一致する分子量をもつ予測代謝をピックアップする比較抽出手段4と、分子量が一致した予測代謝物の化学構造式を表示する表示手段5と、入力されたMS/MSスペクトル情報に基づきフラグメントを化学構造に帰属する帰属手段6と、代謝部位の絞込み又は特定化を行う手段7と、前記分子量が一致した予測代謝物の化学構造とMS/MS分析によるフラグメントイオンピークから絞り込まれた代謝物の化学構造とを比較することにより、一致した化学構造を表示する表示手段5とを含むことを含むことを特徴とする化合物の構造提案システムである。
まず、ステップaについて説明する(図1S1)。ステップaは、前記のとおり、基質(親化合物)の化学構造式を入力するステップである。かかる化学構造式は、入力手段1により入力され、通常記憶手段7に記憶される。入力手段としては、例えばキーボード、マウス等の化学構造式の入力可能なものが挙げられる。化学構造式の入力が完了すれば、次ステップbに進む。
ステップbは、前記のとおり、代謝反応データベースに基づき、入力された基質(親化合物)が代謝されて生成すると予測される予測代謝物の化学構造式を作成するステップ(図1S2)であり、構造式作成手段2により実施される。かかる構造式作成手段としては、通常代謝反応データベースが用いられる。代謝反応データベースとしては、例えば富士通九州社製のBioFrontier(バイオフロンティア)/P450、Lahsa社のMETEOR等の知識ベースシステムに基づき、入力された基質(親化合物)の化学構造から生成すると予測される代謝物の化学構造を作成するシステム等が挙げられる。
因みに、このような代謝反応データベースを有するシステムは、通常、分子構造式や化学反応式を分子内の原子種、原子の座標、原子間の結合表等のテキスト情報で表現するデファクトスタンダードのファイル形式(例えば、MOLfile,Sdfile,RXNfile,Rdfile等)の分子構造ファイルを読み書きすることができ、かつ、分子構造式や化学反応式から薬物代謝酵素反応により生じる代謝物等を検索する機能を有している。また基盤となる情報コンテンツは、通常、Medline等から検索した学術文献や各種の実験データ等を収集、整理しながら参考にし、薬物代謝酵素に関する知識を、例えば、その基質、阻害剤及び誘導剤等を分類しデータベース(知識ベース)化されたものである。
かかる代謝反応データベースに基づいて、前記ステップaで入力された基質(親化合物)をもとに、構造式作成手段2により、生成すると予測される代謝物の化学構造式が作成される。かかる構造式作成手段2により、入力された基質(親化合物)から生成すると予測される予測代謝物の化学構造式が作成される。作成された予測代謝物の化学構造式は、通常ID番号が付与され、前記ID番号と化学構造式とが結び付けられ、記憶手段7に記憶され、通常後述する表示手段5により表示可能となっている。すべての予測代謝物の化学構造式が作成されれば、次ステップcに進む。
ステップcは、前記予測代謝物の化学構造式からそれぞれの予測代謝物の分子量を算出するステップ(図1S3)である。前記ステップbにおいて作成された全ての予測代謝物の化学構造式に基づき、分子量算出手段3により、各予測代謝物の分子式が作成され、各原子の質量数をもとに、その分子量が算出される。通常予測代謝物の化学構造式をもとに、その分子式が作成され、当該分子式と原子の質量数データベースとに基づき、分子量が算出される。算出された分子量や分子式は、通常ID番号又は化学構造式と結び付けられ、記憶手段7に記憶され、化学構造式と合わせて表示手段5により表示可能となっている。全ての予測代謝について、その分子量が算出されれば、次ステップdに進む。
ステップdは、構造不明の代謝物の分子量を入力するステップである(図1S4)。
構造不明の代謝物について、別途液体クロマトグラフィー質量分析装置により測定を行い、得られた分子量を、入力手段1により、入力する。構造不明の代謝物の分子量が入力されれば、次ステップeに進む。
ステップeは、前記ステップcで算出された予測代謝物の分子量と前記ステップdで入力された構造不明の代謝物の分子量とを比較し、構造不明の代謝物の分子量と一致する分子量をもつ予測代謝物をピックアップするステップ(図1S5)である。前記ステップcで算出された予測代謝物の分子量と前記ステップdで入力された構造不明の代謝物の分子量とが、比較抽出手段4により比較され、構造不明の代謝物の分子量に一致した分子量をもつ予測代謝物がピックアップされる。ピックアップされた予測代謝物は、そのID番号とともに、記憶手段6に記憶される。全ての予測代謝物の分子量と構造不明の代謝物の分子量が比較され、一致する分子量をもつ予測代謝物をピックアップされれば(図1 S5)、次ステップfに進む。
ステップfは基質(親化合物)のMS/MS分析によるフラグメントイオンピークを入力するステップ(図1S6)である。基質(親化合物)について、別途液体クロマトグラフィー質量分析装置により測定を行い、得られたフラグメントイオンピークを入力手段1により入力する。基質(親化合物)のフラグメントイオンピークが入力されれば、次ステップgへ進む。
ステップgは基質(親化合物)のフラグメントイオンピークを基質(親化合物)の化学構造へ帰属させるステップ(図1S7)である。フラグメントの帰属が完了すれば、次ステップhへ進む。
ステップhは構造不明の代謝物のMS/MS分析によるフラグメントイオンピークを入力するステップ(図1S8)である。構造不明の代謝物について、別途液体クロマトグラフィー質量分析装置により測定を行い、得られたフラグメントイオンピークを入力手段1により入力する。構造不明の代謝物のフラグメントイオンピークが入力されれば、次ステップiへ進む。
ステップiは構造不明の代謝物のフラグメントイオンピークを基質(親化合物)の化学構造へ帰属させるステップ(図1S9)である。フラグメントの帰属が完了すれば、次ステップjへ進む。
ステップjは前記ステップgでフラグメントイオンピークを帰属させた基質(親化合物)の化学構造と前記ステップiで構造不明の代謝物のフラグメントイオンピークを帰属させた基質(親化合物)の化学構造を比較し、共通した構造部分を表示することにより基質(親化合物)の代謝部位を絞り込むステップ又は特定化するステップ(図1S10)である。絞り込まれた又は特定化された構造不明の代謝物の化学構造が表示されれば、次ステップkに進む。
ステップkは、前記ステップeでピックアップされた予測代謝物の化学構造と前記ステップjで絞り込まれた又は特定化された構造不明の代謝物の化学構造とを比較し、一致した化学構造を表示するステップ(図1S11)であり、前記化学構造式が表示手段5により表示される。表示手段5としては、例えばディスプレイ、プリンタ等が挙げられる。
また、前記基質(親化合物)の化学構造式及び前記基質(親化合物)が代謝されて生成した構造不明の代謝物の分子量を入力する入力手段と、代謝反応データベースに基づき、入力された前記基質(親化合物)が代謝されて生成すると予測される予測代謝物の化学構造式を作成する構造式作成手段と、前記予測代謝物の化学構造式からそれぞれの予測代謝物の分子量を算出する分子量算出手段と、前記算出された予測代謝物の分子量と構造不明の代謝物の分子量とを比較する比較手段と、分子量が一致した予測代謝物の化学構造式を表示する表示手段とをコンピュータシステムにより実現する処理プログラムとして備えることもできる。かかる処理プログラムは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、ハードディスク等のコンピュータ読取可能な記録媒体に記録し、コンピュータシステムにロードして起動して用いてもよいし、ネットワークを介してロードして起動してもよい。
以下、具体的な一つの例を挙げて本発明をより詳細に説明する。
(1)エクザクトマスにおける質量数
酵素によって代謝を受ける基質(親化合物)として、高コレステロール血症治療剤であるアトルバスタチン(化1参照)を用いる。当該化合物のエクザクトマスにおける質量数は558である。一方、当該化合物にチトクロムP450酵素を作用させて得られた構造不明の代謝物(以下、代謝物M1と記す。)のエクザクトマスにおける質量数は574である。両者間での質量数における差異(+16)から判断して酸素分子が一つ付加された構造であろうことが判明するが、これだけでは代謝部位を予測することは不可能である。
Figure 2006017570
(2)代謝反応データベースに基づく予測代謝物が有する化学構造の特定
そこで、代謝反応データベース(例えば、富士通九州社製のBioFrontier等)に基づき、当該データベース内の代謝物データ中から予測代謝物として酸化体(+16)をピックアップする。尚、前提抽出条件(例えば、抽出レベルや、チトクロムP450分子種等)にも拠るが、例えばこの段階で全数十件の予測代謝物がピックアップされる。
次いで、このようにピックアップされた予測代謝物(即ち、酸化体)が有する化学構造を特定する。
(3)プロダクトイオンの情報に基づく代謝部位の化学構造の絞込み
また、当該基質(親化合物)について、MS/MS分析によるフラグメントイオンピークを測定する。その結果、プロダクトイオンは466、440である。一方、代謝物M1についても同様に、MS/MS分析によるフラグメントイオンピークを測定する。その結果、プロダクトイオンは466、440である。
得られたプロダクトイオンの情報に基づき、代謝部位の化学構造が、プロダクトイオン466及びプロダクトイオン440が有する化学構造を含まない化学構造であることが絞り込まれ、当該基質(親化合物)の場合にはアミド結合しているフェニル環上の水酸化により生じた代謝物であることが推定される。尚、前提抽出条件(例えば、抽出レベルや、チトクロムP450分子種等)にも拠るが、例えばこの段階で全数件の予測代謝物がピックアップされる。しかしながら、この段階でも、フェニル環上の2位、3位又は4位のいずれかの部位が水酸化された化合物であるか不明である。
(4)予測代謝物の化学構造式の作成・表示
そこで次に、上記(2)のようにして特定された前記予測代謝物の化学構造と、上記(3)のようにして、前記基質(親化合物)と代謝物M1との両者のプロダクトイオンの情報により絞り込まれた化学構造と、を比較することにより、一致・適合する化学構造を選択しながら入力された前記基質(親化合物)が代謝されて生成すると予測される予測代謝物の化学構造式を作成・表示すると、アミド結合しているフェニル環上の2位又は4位が水酸化されることにより生じた代謝物であることが精度よく推定され、当該代謝部位の化学構造を有する代謝物(質量数574、プロダクトイオン466、440)の構造(化2又は化3参照)を提案することが可能となる。
Figure 2006017570
Figure 2006017570
本発明によれば、代謝物を抽出・単離する必要がなく、また、その存在量が微量の場合でも当該代謝物を提案することができ、しかも生体内外における薬物代謝酵素反応により生じる代謝物の構造が迅速に精度よく提案可能である方法を提供できる。
図1は、本発明方法のフロー図である。 図2は、本発明システムの一例の概略構成を機能的に示した図である。
符号の説明
1・・入力手段
2・・構造式作成手段
3・・分子量算出手段
4・・比較手段
5・・表示手段
6・・フラグメントの帰属手段
7・・代謝部位絞り込み又は特定化手段
8・・記憶手段

Claims (3)

  1. 基質(親化合物)の化学構造式を入力するステップと、代謝反応データベースに基づき、入力された前記基質(親化合物)が代謝されて生成すると予測される予測代謝物の化学構造式を作成するステップと、前記予測代謝物の化学構造式からそれぞれの予測代謝物の分子量を算出するステップと、前記基質(親化合物)が代謝されて生成した構造不明の代謝物の分子量を入力するステップと、前記算出された予測代謝物の分子量と構造不明の代謝物の分子量とを比較することによって構造不明の代謝物の分子量と一致する分子量をもつ予測代謝物をピックアップするステップと、前記基質(親化合物)のMS/MS分析によるフラグメントイオンピークを入力するステップと、前記基質(親化合物)のフラグメントを化学構造に帰属するステップと、構造不明の代謝物のMS/MS分析によるフラグメントイオンピークを入力するステップと、構造不明の代謝物のフラグメントを基質(親化合物)の化学構造に帰属するステップと、基質(親化合物)のMS/MS分析によるフラグメントイオンピークを帰属させた化学構造と構造不明の代謝物のMS/MS分析によるフラグメントイオンピークを帰属させた化学構造とを比較することによって代謝部位を絞り込む(特定化する)ステップと、前記予測代謝物の分子量と前記構造不明の代謝物の分子量とを比較することによってピックアップされた、構造不明の代謝物の分子量と一致する分子量をもつ前記予測代謝物の化学構造と、基質(親化合物)のMS/MS分析によるフラグメントイオンピークを帰属させた化学構造と構造不明の代謝物のMS/MS分析によるフラグメントイオンピークを帰属させた化学構造とを比較することによって絞り込まれた前記代謝部位の化学構造又は特定化された前記代謝部位の化学構造とを比較することにより、一致した化学構造を表示するステップとを含むことを特徴とする代謝物の構造提案方法。
  2. 基質(親化合物)の化学構造式、前記基質(親化合物)が代謝されて生成した構造不明の代謝物の分子量、前記基質(親化合物)と前記構造不明の代謝物との両者のMS/MS分析によるフラグメントイオンピークスペクトルを入力する入力手段と、代謝反応データベースに基づき、入力された前記基質(親化合物)が代謝されて生成すると予測される予測代謝物の化学構造式を作成する構造式作成手段と、前記予測代謝物の化学構造式からそれぞれの予測代謝物の分子量を算出する分子量算出手段と、前記算出された予測代謝物の分子量と構造不明の代謝物の分子量とを比較することによって構造不明の代謝物の分子量と一致する分子量をもつ予測代謝をピックアップする比較抽出手段と、分子量が一致した予測代謝物の化学構造式を表示する表示手段と、入力されたMS/MSスペクトル情報に基づきフラグメントを化学構造に帰属する手段と、帰属させた当該化学構造を比較して代謝部位の絞込み又は特定化を行う手段と、前記分子量が一致した予測代謝物の化学構造とMS/MS分析によるフラグメントイオンピークから絞り込まれた代謝物の化学構造とを比較することにより、一致した化学構造を表示する表示手段とを含むことを特徴とする化合物の構造提案システム。
  3. 基質(親化合物)の化学構造式、前記基質(親化合物)が代謝されて生成した構造不明の代謝物の分子量、前記基質(親化合物)と前記構造不明の代謝物との両者のMS/MS分析によるフラグメントイオンピークスペクトルを入力する入力手段と、代謝反応データベースに基づき、入力された前記基質(親化合物)が代謝されて生成すると予測される予測代謝物の化学構造式を作成する構造式作成手段と、前記予測代謝物の化学構造式からそれぞれの予測代謝物の分子量を算出する分子量算出手段と、前記算出された予測代謝物の分子量と構造不明の代謝物の分子量とを比較することによって構造不明の代謝物の分子量と一致する分子量をもつ予測代謝をピックアップする比較抽出手段と、分子量が一致した予測代謝物の化学構造式を表示する表示手段と、入力されたMS/MSスペクトル情報に基づきフラグメントを化学構造に帰属する手段と、帰属させた当該化学構造を比較して代謝部位の絞込み(特定化)を行う手段と、前記分子量が一致した予測代謝物の化学構造とMS/MS分析によるフラグメントイオンピークから絞り込まれた代謝物の化学構造とを比較することにより、一致した化学構造を表示する表示手段として機能させるための化合物の構造提案プログラム。
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