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JP2006086037A - 燃料電池用電極触媒、および、これを用いた燃料電池用電極触媒層 - Google Patents

燃料電池用電極触媒、および、これを用いた燃料電池用電極触媒層 Download PDF

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JP2006086037A JP2004270056A JP2004270056A JP2006086037A JP 2006086037 A JP2006086037 A JP 2006086037A JP 2004270056 A JP2004270056 A JP 2004270056A JP 2004270056 A JP2004270056 A JP 2004270056A JP 2006086037 A JP2006086037 A JP 2006086037A
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Tetsushi Horibe
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Nissan Motor Co Ltd
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Abstract

【課題】 電極触媒層における三層界面の面積を増大し得る燃料電池用電極触媒を提供することを目的とする。
【解決手段】 本発明は、導電性担体に触媒粒子が担持されてなる燃料電池用電極触媒において、光が照射されることにより親水性を発現する光触媒粒子が、前記導電性担体に担持されてなることを特徴とする燃料電池用電極触媒により上記課題を解決する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、燃料電池用電極触媒に関し、より詳細には、燃料電池の発電性能を向上させ得る燃料電池用電極触媒に関する。
近年、エネルギー・環境問題を背景とした社会的要求や動向と呼応して、常温でも作動し高出力密度が得られる燃料電池が電気自動車用電源、定置型電源として注目されている。燃料電池は、電極反応による生成物が原理的に水であり、地球環境への悪影響がほとんどないクリーンな発電システムである。特に、固体高分子型燃料電池は、比較的低温で作動することから、電気自動車用電源として期待されている。
固体高分子型燃料電池の構成は、一般的には、膜−電極接合体(以下、単に「MEA」とも記載する。)をセパレータで挟持した構造となっている。MEAは、固体高分子電解質膜が一対の電極触媒層、およびガス拡散層により挟持されてなるものである。
電極触媒層は、導電性担体に触媒粒子が担持されてなる電極触媒と固体高分子電解質とを少なくとも含むものであり、一般的には、電極触媒および固体高分子電解質溶液などを混合させて調製した電極触媒スラリーを基材に塗布して乾燥する方法により作製される。
かような固体高分子型燃料電池では、以下のような電気化学的反応が進行する。まず、アノード側に供給された燃料ガスに含まれる水素は、触媒粒子により酸化され、プロトンおよび電子となる。次に、生成したプロトンは、アノード側電極触媒層に含まれる固体高分子電解質、さらにアノード側電極触媒層と接触している固体高分子電解質膜を通り、カソード側電極触媒層に達する。また、アノード側電極触媒層で生成した電子は、電極触媒層を構成している導電性担体、さらにアノード側電極触媒層の固体高分子電解質膜と異なる側に接触しているガス拡散層、セパレータおよび外部回路を通してカソード側電極触媒層に達する。そして、カソード側電極触媒層に達したプロトンおよび電子はカソード側に供給されている酸化剤ガスに含まれる酸素と反応し水を生成する。燃料電池では、上述した電気化学的反応を通して、電気を外部に取り出すことが可能となる。
燃料電池における固体高分子電解質膜は、湿潤していないと高いプロトン導電性を示さない。そこで、従来では、燃料電池に供給するガスをガス加湿装置などを用いて加湿することにより、固体高分子電解質膜の乾燥を防止する手段が用いられている。しかしながら、高電流密度、高加湿などの運転条件下では、水分が多く凝集して電極触媒層内の反応ガス供給路となっていた細孔を閉塞するフラッディング現象を招く恐れがある。
そこで、特許文献1には、親水性炭素粒子に触媒粒子を担持した電極触媒と、固体高分子電解質と、疎水性炭素材と、を少なくとも含む電極触媒層が開示されている。これにより、電極触媒層内の湿潤状態が適度に保持され、余分に生成した水は隣接する疎水性炭素材により速やかに排出することが可能となる。
従来の電極触媒では、カソードおよびアノードともに、カーボン粒子を担体として、これに白金等を触媒粒子として担持させたものなどが用いられている。前記電極触媒におけるカーボン粒子は、微細化された触媒粒子を高分散担持させるために、大きい比表面積を有するものが多く用いられている。これにより、触媒粒子の電極反応面積が大きくすることができ、高い触媒活性が得られる。
しかしながら、カソード側電極触媒層が貴電位環境(約0.8V)となった場合など、様々な原因に起因して電極触媒における導電性担体が腐食消失する場合がある。導電性担体の腐食消失は、担持されていた触媒粒子の遊離・凝集を招き、電極反応面積が低下する。
固体高分子型燃料電池は、コストとともに問題となっているが電池の寿命である。電池の寿命は、自動車で5000時間、家庭用では4万時間ともいわれ、長期にわたって所望の発電性能を維持することが求められている。
そこで、導電性担体として用いられる前記カーボン粒子を熱処理などにより黒鉛化して結晶構造を黒鉛構造に近づけることにより、耐食性が向上された黒鉛化カーボン粒子などが導電性担体として用いられている。
特開2000−243404号公報
燃料電池において、上記電気化学的反応は、電極触媒層中の、触媒粒子、固体高分子電解質、反応ガスが存在する三相界面上で起こる。したがって、高い発電性能を有する燃料電池を得るためには、電極触媒層において電極触媒と固体高分子電解質を如何に適切な状態にして三層界面を増大させるか、ということが極めて重要である。
特に、燃料電池の耐久性向上に効果のある黒鉛化カーボン粒子を電極触媒に用いると、固体高分子電解質と電極触媒との親和性が悪く、三層界面の面積が減少する恐れがあった。そのため、より高い発電性能を得るためには、低くなった白金などの触媒粒子の利用率を補うために、使用する触媒粒子量を多くする必要があった。
一般的に、黒鉛化カーボン粒子などは、製造時の熱処理過程によりカルボキシル基などの親水性の表面官能基が減少し、黒鉛化カーボン粒子表面が疎水性になる傾向がある。一方、電極触媒の他に、電極触媒層を構成する固体高分子電解質は、スルホン酸基などの親水性基を有する。そのため、電極触媒層インクを調製する際に、電極触媒が固体高分子電解質を弾くなどして、電極触媒と固体高分子電解質との親和性が低下し、その結果、作製された電極触媒層において三相界面が減少することが考えられる。
そこで、三相界面の面積を向上させるためには、黒鉛化カーボン粒子などの表面が疎水性を有する導電性担体の親水性を向上させて、固体高分子電解質と電極触媒との親和性を向上させる手段が考えられる。導電性担体の表面を親水化する方法としては、上述した特許文献1などに記載のように、導電性担体表面に親水性の単分子膜を形成する方法がある。しかしながら、前記方法による導電性担体を用いると、燃料電池運転時に電極触媒層において、電極触媒近傍からの水分の排出性が低下してフラッディング現象を招く恐れがあった。そのため、従来の方法では、固体高分子電解質と電極触媒との親和性を向上させることにより電極触媒層における三相界面を向上させるには限界があった。
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、電極触媒層における三層界面の面積を増大し得る燃料電池用電極触媒を提供することを目的とする。
本発明は、導電性担体に触媒粒子が担持されてなる燃料電池用電極触媒において、光が照射されることにより親水性を発現する光触媒粒子が、前記導電性担体に担持されてなることを特徴とする燃料電池用電極触媒により上記課題を解決する。
本発明の電極触媒は、光が照射されることにより、一時的に電極触媒表面の親水性を向上させることが可能となる。かような電極触媒を用いれば、電極触媒と固体高分子電解質との親和性を高めることができ、電極触媒層における三層界面を増大させることが可能となり、発電性能の向上が図れる。
本発明の第一は、上述した通り、導電性担体に触媒粒子が担持されてなる燃料電池用電極触媒において、光が照射されることにより親水性を発現する光触媒粒子が、前記導電性担体に担持されてなることを特徴とする燃料電池用電極触媒(以下、単に「電極触媒」とも称する)である。
前記光触媒粒子は、バンドギャップ以上のエネルギーを有する波長の光が照射されることにより、親水性を発現する。一般的に、物質が水をどの程度弾くかは、水滴と物質表面との接触角により判断されている。前記光触媒粒子は、光照射前は数十度以上の水との接触角を有するが、光照射後は水との接触角が減少して最終的にはほぼ0度となって全く水を弾かなくなり、一時的に高度な親水性を発現する。
前記光触媒粒子を電極触媒に用いれば、光が照射されることで電極触媒表面の親水性を向上させることができ、固体高分子電解質との親和性を高めることが可能となる。また、導電性担体上に触媒粒子および光触媒粒子が担持されることにより、触媒粒子の近くに光触媒粒子が存在し、固体高分子電解質が有するスルホン酸基などのプロトン伝導性を担う官能基を触媒粒子の周辺に配置させることが可能となり、より好適な状態で三相界面を形成できる。従って、図1に示すように、導電性担体101に触媒粒子102および光触媒粒子103が担持されてなる本発明の前記電極触媒によれば、電極触媒インクの調製の際などにおいて光を照射することで、電極触媒と固体高分子電解質104との接触度合いを高めることが可能となり三相界面の形成量が増大した電極触媒層を提供することができるのである。
さらに、光触媒粒子による親水性は一定時間経過後には元に戻る。従って、かような光触媒粒子を用いた本発明の電極触媒によれば、燃料電池の運転時における電極触媒層の排水性を阻害することなく好適な状態を有する三相界面の面積を増大させることが可能となるのである。
以下、本発明の電極触媒について、より具体的な説明をする。
本発明の電極触媒に用いられる光触媒粒子としては、光が照射されることにより発現する親水性を、数時間〜数十時間、好ましくは3〜24時間、維持できるものを用いるのが好ましい。これにより、電極触媒表面の親水性を高めた状態を保持することができ、電極触媒インクの調製工程において光を照射し続けなくても、電極触媒インクの調製工程の際に光照射を一度行うだけでよくなるためである。
なお、本発明の電極触媒において、光が照射されることにより発現する親水性を所定時間維持できるとは、接触角が10度以下となった状態を数時間〜数十時間維持できるものとする。
前記光触媒としては、酸化物半導体、有機高分子半導体、金属錯体などが挙げられる。なかでも、親水性および化学的安定性が高いことから、光半導体としての特性を有する酸化物半導体が好ましく挙げられる。前記酸化物半導体としては、特に限定されないが、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、貴金属類及び希土類のいずれかの酸化物半導体からなるものを用いることができる。より具体的にはTiOのほか、SrTiO、Al、WO、BiYO、Fe、CuO、NiO、ZnO、SnO、NaTaO、InTaO、Nb、CdS、ZrO、KTaO、CdSeなどが挙げられ、これらの組成中にN原子やS原子を含む複合化合物などであってもよい。また、これらは、単独で用いてもよく、他の光触媒粒子の効果を損なわない範囲であれば二種以上を混合して用いてもよい。
前記光触媒粒子として、なかでも、光照射時に発現する親水性が高いことから、酸化チタン(TiO)、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化タングステン(WO)、および、酸化錫(SnO)が好ましく挙げられ、より好ましくは酸化チタンが挙げられる。酸化チタンは、アモルファスであっても、アナターゼ型、ルチル型、工業的に作り出されたブルッカイト型の結晶構造を有していてもよいが、好適な三相界面を形成できることから、アナターゼ型構造を有することが好ましい。
本発明の電極触媒において、前記光触媒粒子の平均粒子径は、好ましくは1〜30nm、より好ましくは1〜10nmとするのがよい。前記平均粒子径が、1nm未満であると光触媒粒子による効果が所望するほど得られない恐れがあり、30nmを超えると却って触媒粒子と固体高分子電解質との接触度合いを低下させる恐れがある。
また、本発明の電極触媒において、前記光触媒粒子の担持量は、電極触媒の全量に対して、好ましくは1〜30質量%、より好ましくは5〜10質量%とするのがよい。前記担持量が、1質量%未満であると光触媒粒子による効果が所望するほど得られない恐れがあり、30質量%を超えると却って触媒粒子と固体高分子電解質との接触度合いを低下させる恐れがある。
光触媒粒子による親水性を発現させるための光源としては、太陽光、室内照明、蛍光灯などでは高い親水性を発揮できず、本発明による効果が十分に得られない恐れがある。従って、ブラックライトランプ、キセノンランプ、高圧ナトリウムランプ、メタルハライドランプ、BLBランプ、殺菌灯などにより、光触媒粒子により強い紫外線を照射させて高い親水性を発現させるのが好ましい。
励起光の照度は、電極触媒表面における380nm以下の波長のUV−A領域の紫外線を、好ましくは50〜1500μW/cm、より好ましくは500〜1000μW/cm照射するのが好ましい。
次に、本発明の電極触媒に用いられる導電性担体としては、カーボン粒子を熱処理などにより黒鉛化させた黒鉛化カーボン粒子が好ましく用いられる。これにより耐久性および撥水性に優れる電極触媒とすることができる。前記熱処理としては、窒素、ヘリウム、アルゴンなどの不活性雰囲気中、2000℃以上、特に2500℃以上で行うのが好ましい。前記黒鉛化カーボン粒子表面は疎水性を有するが、上記の通り、本発明によれば前記黒鉛化カーボン粒子を用いても電極触媒における三相界面の接触度合いを高めることができる。
本発明において、導電性担体は、前記黒鉛化カーボン粒子に限定されず、他に、黒鉛化処されていないカーボン粒子や、不活性雰囲気下で熱処理することによりカーボン粒子表面に存在するカルボキシル基などの親水性基を減少させて表面を疎水性に改質させた疎水性カーボン粒子など、電極触媒における導電性担体として従来一般的に用いられているものであれば特に制限なく用いることができる。これらのカーボン粒子を用いた場合であっても、電極触媒層における三相界面をより向上させることができる。
前記導電性担体に用いられる前記カーボン粒子としては、特に限定されないが、チャンネルブラック、ファーネスブラック、サーマルブラック等のカーボンブラック、種々の炭素原子を含む材料を炭化、賦活処理した活性炭など、主成分がカーボンであるものが好ましく挙げられる。
なお、本発明において「主成分がカーボンである」とは、主成分として炭素原子を含むことをいい、炭素原子のみからなる、実質的に炭素原子からなる、の双方を含む概念である。場合によっては、電極触媒の特性を向上させるために、炭素原子以外の元素が含まれていてもよい。なお、実質的に炭素原子からなるとは、2〜3質量%程度以下の不純物の混入が許容されることを意味する。
前記導電性担体として、具体的には、カーボンブラック、活性炭、コークス、天然黒鉛、人造黒鉛などからなるカーボン粒子が挙げられるが、従来一般的に用いられているものであれば特に制限なく用いることができる。
前記カーボン粒子は、市販品を用いることができ、キャボット社製バルカンXC−72、バルカンP、ブラックパールズ880、ブラックパールズ1100、ブラックパールズ1300、ブラックパールズ2000、リーガル400、ライオン社製ケッチェンブラックEC、三菱化学社製#3150、#3250などのオイルファーネスブラック;電気化学工業社製デンカブラックなどのアセチレンブラック等が挙げられる。
前記導電性担体の比表面積は、好ましくは20〜1600m/g、より好ましくは80〜1200m/gとするのがよい。前記比表面積が、20m/g未満であると前記導電性担体への触媒粒子および固体高分子電解質の分散性が低下して十分な発電性能が得られない恐れがあり、1600m/gを超えると触媒粒子および固体高分子電解質の有効利用率が却って低下する恐れがある。
また、前記導電性担体の大きさは、特に限定されないが、電極触媒層の厚みを適切な範囲で制御するという観点からは、平均粒子径が5〜200nm、好ましくは10〜100nm程度とするのがよい。
次に、本発明の電極触媒に用いられる触媒粒子としては、水素の酸化反応または酸素の還元反応に触媒作用を有するものであればよく、白金、イリジウム、パラジウムのうち少なくとも1種を含むものが好ましい。また、一酸化炭素などに対する耐被毒性、耐熱性などを向上させるために、白金と、その他の金属との合金としてもよい。前記合金として、具体的には、ルテニウム、イリジウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、タングステン、鉛、鉄、クロム、コバルト、ニッケル、マンガン、バナジウム、モリブデン、ガリウム、およびアルミニウムなどから選択される少なくとも1種以上の金属と、白金との合金などが挙げられる。
前記触媒粒子の平均粒子径1〜30nmであることが好ましい。触媒粒子は、粒子径が小さいほど比表面積が大きくなるため触媒活性も向上すると推測されるが、実際は、触媒粒子の粒子径を極めて小さくしても、比表面積の増加分に見合った触媒活性は得られない恐れがあるため、上記範囲とするのが好ましい。
本発明において、上述した、光触媒粒子および触媒粒子などの平均粒子径は、公知の方法を用いて測定することができ、例えば、透過電子顕微鏡を利用して観察される光触媒粒子もしくは触媒粒子径、または、X線回折における触媒粒子の回折ピークの半値幅より求められる結晶子径、の平均値などから求めることができる。
また、本発明の電極触媒における触媒粒子の担持量は、前記電極触媒の全量に対して5〜80質量%、好ましくは10〜60質量%とするのがよい。担持量が5質量%未満である場合、所望する触媒活性を得るために電極触媒量を増大させる恐れがある。これにより電極が厚くなり、内部抵抗の増加や反応物の拡散抵抗などに起因して電池性能の低下を招く恐れがある。また、80質量%を超えた場合には、導電性担体表面に担持する触媒粒子の重なりが多くなり、使用する触媒粒子量に対して得られる触媒活性が小さくなるため、高コストになる恐れなどがある。
なお、本発明において、光触媒粒子および触媒粒子の担持量は、ICP(誘導結合プラズマ発光分光法)などにより確認することができる。
本発明の第二は、本発明の第一の電極触媒を用いた燃料電池用電極触媒層(以下、単に「電極触媒層」とも記載する)である。上記したように、本発明の電極触媒によれば、光触媒粒子を用いることで電極触媒表面の親水性を向上させることができ、好適な状態を有する三層界面の面積を増大させることが可能となり発電性能に優れる電極触媒層を提供できる。また、光触媒粒子による高い親水性は一時的に向上するため、前記親水性は電極触媒インクの調製時に発現していればよく、発電時には光触媒粒子の親水性は光照射前に戻っており、フラッディング現象などを招く恐れもないのである。従って、高加湿、高電流密度などの生成水が多く発生しうる運転条件下であっても、高い発電性能を示すことができるのである。
本発明の電極触媒層は、導電性担体に触媒粒子および光触媒粒子を担持されてなる前記電極触媒と、固体高分子電解質と、を少なくとも含む。
前記電極触媒は、本発明の第一と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
前記固体高分子電解質としては、特に限定されず公知のものを用いることができ、少なくとも高いプロトン伝導性を有する部材であればよい。具体的には、Nafion(登録商標)などのスルホン酸基を有するパーフルオロカーボン重合体、リン酸などの無機酸を炭化水素系高分子化合物にドープさせたもの、一部がプロトン伝導性の官能基で置換された有機/無機ハイブリッドポリマー、高分子マトリックスにリン酸溶液や硫酸溶液を含浸させたプロトン伝導体、などが挙げられる。
前記電極触媒層において、単位面積当たりの触媒粒子の質量は、0.01〜1.0mg/cm、好ましくは0.05〜0.35mg/cm程度とするのがよい。本発明によれば前記電極触媒層における触媒粒子量が少なくとも、高い発電性能を有する電極触媒層が得られる。
ここで、電極触媒層における「単位面積当たり」における面積とは、電極触媒層の固体高分子電解質膜と接触する面の面積を意味する。従って、電極触媒層における「単位面積当たりの触媒粒子の質量」とは、電極触媒層に含まれる触媒粒子量(g)を、固体高分子電解質膜上の電極触媒層の面積(cm)で除した値とする。
前記電極触媒層の厚さは、所望の性能を有する電極触媒層が得られるように適宜決定すればよいが、好ましくは1〜40μm、より好ましくは2〜15μmとするのがよい。前記厚さが、1μm未満であると均一な成膜が困難となり所望する機能が得られない恐れがあり、40μmを超えるとフラッディング現象を招きやすくなるだけでなくガス拡散性および電気抵抗などの低下をも招く恐れがあり望ましくない。
本発明による電極触媒およびこれを用いた電極触媒層は、上記した各種特性を有することから、MEAとして用いることにより、発電性能に優れるMEAとすることが可能となる。
MEAの基本的な構成としては、特に限定されず、従来一般的なものであればよい。すなわち、カソード側電極触媒層およびアノード側電極触媒層が、固体高分子電解質膜の両面に対向して配置され、さらにこれをガス拡散層で挟持した構成である。
本発明の電極触媒およびこれを用いた電極触媒層は、アノード側電極触媒層およびカソード側電極触媒層の少なくとも一方に用いられればよいが、三相界面の必要量が大きいという理由からカソード側電極触媒層に用いるのが好ましい。また、カソード側電極触媒層のみに本発明による電極触媒層を用いた場合、アノード側電極触媒層としては、固体高分子電解質と電極触媒とを少なくとも含む従来一般的なものを用いればよい。
本発明のMEAに用いられる固体高分子電解質膜としては、特に限定されず、電極触媒層に用いたものと同様の固体高分子電解質からなる膜が挙げられる。また、デュポン社製の各種のNafion(登録商標)やフレミオン(登録商標)に代表されるパーフルオロスルホン酸膜、ダウケミカル社製のイオン交換樹脂、エチレン−四フッ化エチレン共重合体樹脂膜、トリフルオロスチレンをベースポリマーとする樹脂膜などのフッ素系高分子電解質や、スルホン酸基を有する炭化水素系樹脂系膜など、一般的に市販されている固体高分子型電解質膜、高分子微多孔膜に液体電解質を含浸させた膜、多孔質体に高分子電解質を充填させた膜などを用いてもよい。前記固体高分子電解質膜に用いられる固体高分子電解質と、電極触媒層に用いられる固体高分子電解質とは、同じであっても異なっていてもよいが、電極触媒層と固体高分子電解質膜との密着性を向上させる観点から、同じものを用いるのが好ましい。
前記固体高分子電解質膜の厚さとしては、得られるMEAの特性を考慮して適宜決定すればよいが、好ましくは5〜300μm、より好ましくは10〜200μm、特に好ましくは15〜150μmである。製膜時の強度やMEA作動時の耐久性の観点から5μm以上であることが好ましく、MEA作動時の出力特性の観点から300μm以下であることが好ましい。
本発明のMEAに用いられるガス拡散層としては、特に限定されず、炭素製の織物、紙状抄紙体、フェルト、不織布といった導電性及び多孔質性を有するシート状材料を基材とするものなどが挙げられる。
前記ガス拡散層の厚さは、得られるガス拡散層の特性を考慮して適宜決定すればよいが、30〜500μm程度とすればよい。厚さが、30μm未満であると十分な機械的強度などが得られない恐れがあり、500μmを超えるとガスや水などが透過する距離が長くなり望ましくない。
前記ガス拡散層は、撥水性をより高めてフラッディング現象などを防ぐために、前記基材に撥水剤が含まれているのが好ましい。前記撥水剤としては、特に限定されないが、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)などのフッ素系の高分子材料、ポリプロピレン、ポリエチレンなどが挙げられる。
また、撥水性をより向上させるために、前記ガス拡散層は、前記基材上に撥水剤を含むカーボン粒子の集合体からなるカーボン粒子層を有するものであってもよい。
前記カーボン粒子としては、特に限定されず、カーボンブラック、黒鉛、膨張黒鉛などの従来一般的なものであればよい。なかでも、電子伝導性に優れ、比表面積が大きいことから、オイルファーネスブラック、チャネルブラック、ランプブラック、サーマルブラック、アセチレンブラックなどのカーボンブラックが好ましく挙げられる。
前記カーボン粒子の粒径は、10〜100nm程度とするのがよい。これにより、毛細管力による高い排水性が得られるとともに、電極触媒層との接触性も向上させることが可能となる。
前記カーボン粒子層に用いられる撥水剤としては、前記基材に用いられる上述した撥水剤と同様のものが挙げられる。なかでも、撥水性、電極反応時の耐食性などに優れることから、フッ素系の高分子材料が好ましく用いられる。
前記カーボン粒子層における、カーボン粒子と撥水剤との混合比は、カーボン粒子が多過ぎると期待するほど撥水性が得られない恐れがあり、撥水剤が多過ぎると十分な電子伝導性が得られない恐れがある。これらを考慮して、カーボン粒子層におけるカーボン粒子と撥水剤との混合比は、質量比で、90:10〜40:60程度とするのがよい。
前記カーボン粒子層の厚さは、得られるガス拡散層の撥水性を考慮して適宜決定すればよい。
上述した電極触媒、ならびに、これを用いた電極触媒層およびMEAは、三層界面が好適な状態で多く形成されることにより、高い発電性能を有する。従って、これらを燃料電池に用いることにより、発電性能に優れる燃料電池を提供することが可能となる。前記燃料電池の種類としては、特に限定されず、上記した説明中では固体高分子型燃料電池を例に挙げて説明したが、この他にも、リン酸型燃料電池、直接メタノール型燃料電池などが挙げられる。なかでも三相界面の形成が大きく性能を作用するので、固体高分子型燃料電池が好ましく挙げられる。また、前記燃料電池は、定置用電源の他、搭載スペースが限定される車両などの移動体用電源などとして有用である。
前記燃料電池の構成としては、特に限定されず、従来公知の技術を適宜利用すればよいが、一般的にはMEAをセパレータで挟持した構造を有する。
ここで、好ましい一実施形態を有する本発明による燃料電池を図2を用いて説明する。図2において、固体高分子型燃料電池260は、固体高分子電解質膜210の両側に、アノード側電極触媒層220aおよびアノード側ガス拡散層230aと、カソード側電極触媒層220bおよびカソード側ガス拡散層230bとが、それぞれ対向して配置されてなるMEA200を有しており、さらにMEA200を、アノード側セパレータ250aおよびカソード側セパレータ250bで挟持することで構成されている。また、MEAに供給される燃料ガスおよび酸化剤ガスは、アノード側セパレータ250aおよびカソード側セパレータ250bに、それぞれ複数箇所設けられたガス供給溝251a、251bなどを介して供給される。
MEAを挟持するセパレータとしては、緻密カーボングラファイト、炭素板等のカーボン製や、ステンレス等の金属製のものなど、従来公知のものであれば制限なく用いることができる。セパレータは、空気と燃料ガスとを分離する機能を有するものであり、それらの流路を確保するための流路溝が形成されてもよい。セパレータなどの厚さや大きさ、流路溝の形状などについては、特に限定されず、得られる燃料電池の出力特性などを考慮して適宜決定すればよい。
さらに、燃料電池が所望する電圧等を得られるように、セパレータを介してMEAを複数積層して直列に繋いだスタックを形成してもよい。燃料電池の形状などは、特に限定されず、所望する電圧などの電池特性が得られるように適宜決定すればよい。
本発明の第三は、上述した本発明の第一の電極触媒の製造方法である。導電性担体に触媒粒子と光触媒粒子とを担持させる順序としては、特に制限はなく、例えば、(1)導電性担体に触媒粒子を担持させた後、光が照射されることにより親水性を発現する光触媒粒子を担持する方法、(2)導電性担体に光が照射されることにより親水性を発現する光触媒粒子を担持させた後、触媒粒子を担持させる方法、などが挙げられる。これにより、触媒粒子と光触媒粒子とを近接して担持させることができ、電極触媒層の作製において固体高分子電解質が有するプロトン伝導性を担うスルホン酸基などを触媒粒子の周辺に多く配置させることができる。なかでも、触媒粒子を高分散担持させることが可能なため、前記(1)の方法が好ましく用いられる。
触媒粒子の担持方法として、含浸法、液相還元担持法、蒸発乾固法、コロイド吸着法、噴霧熱分解法、逆ミセル(マイクロエマルジョン法)などの公知の方法が特に制限なく用いられる。
例えば、液相還元担持法を用いて導電性担体に触媒粒子を担持させる方法としては、触媒粒子溶液に導電性担体を添加した後、還元剤を添加する方法などが挙げられる。
前記触媒粒子溶液とは、触媒粒子の元素を含む溶液のことである。前記触媒粒子としては、高い触媒活性を示すことから、Pt、Ir、およびPdから選択される少なくとも1種が挙げられる。前記触媒粒子溶液として具体的には、例えば、触媒粒子としてPtを用いる場合には、塩化白金酸、塩化アンミン白金、ジニトロジアンミン白金;イリジウムを用いる場合には、塩化イリジウムなど;パラジウムを用いる場合には、塩化パラジウムなど所望の触媒粒子の元素を含む化合物(以下、単に「触媒化合物」とも記載する。)を、水および/または有機溶媒などに所定濃度に溶解させた溶液などのことである。有機溶媒としては、特に限定されず、エタノール、メタノール、プロパノールなどが挙げられ、これらは1種単独で使用してもよいし2種以上を混合して使用してもよい。
前記触媒粒子溶液に導電性担体を添加した後、ホモジナイザー、超音波分散装置等の適当な分散手段により十分に分散させてもよく、これらの分散手段は適宜組み合わせてもよい。
次に、得られる混合液に添加する還元剤としては、触媒化合物を還元できるものであれば特に限定されず、例えば、チオ硫酸ナトリウム、クエン酸、クエン酸ナトリウム、L−アスコルビン酸、水素化ホウ素ナトリウム、ヒドラジン、ホルムアルデヒド、メタノール、エタノール、水素、エチレン、一酸化炭素などが挙げられる。触媒粒子溶液に添加する前記還元剤の添加量などは特に限定されず、適宜調整して決定すればよい。前記混合液に還元剤を添加した後は、還流反応装置などを用いて20〜100℃に加熱して、白金などの触媒粒子の還元担持を行えばよい。
その後、吸引瀘過などの瀘別手段などの公知の手段を用いて、前記混合液をろ過して、得られた沈殿物を乾燥させることにより、本発明の電極触媒を得ることができる。乾燥方法としては、真空乾燥、自然乾燥、ロータリーエバポレータ、沿送風乾燥機による乾燥など、公知の方法を用いればよく、特に限定されない。乾燥時間などは、使用する方法に応じて適宜決定すればよい。
乾燥させた後に、さらに、焼成を行ってもよく、または、乾燥段階を経ずに焼成のみ行ってもよい。必要に応じて行われる焼成条件としては、特に限定されないが、大気中、窒素雰囲気、アルゴン雰囲気などの不活性ガス雰囲気中、または水素のような可燃性ガスを含んだ還元雰囲気中で、300〜1000℃で、1〜6時間程度、行えばよい。
次に、導電性担体に光触媒粒子を担持させる方法としては、含浸法、液相還元担持法、蒸発乾固法、金属アルコキシドの加水分解法、逆ミセル(マイクロエマルジョン法)などの公知の方法が特に制限なく用いられる。
例えば、金属アルコキシドの加水分解法を用いて導電性担体に光触媒粒子を担持させる方法としては、光触媒粒子を構成する金属のアルコキシドを有機溶媒または水などの溶媒に溶解させた金属アルコキシド溶液に導電性担体を浸漬させ、一定時間含浸させた後、濾過、遠心分離等によって前記導電性担体を分離する。その後、風乾、あるいは必要に応じて水蒸気処理を行うことにより金属アルコキシドを加水分解し、続いて乾燥・焼成する方法などが挙げられる。
光触媒粒子としては、本発明の第一において上述した通りであり、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化タングステン、および、酸化錫などが好ましく挙げられる。酸化チタンの場合、前記金属アルコキシドとしては、チタンイソプロポキシド、チタンテトラメトキシド、チタンテトラエトキシド、チタンテトラノルマルプロポキシド、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラノルマルブトキシド、チタンテトライソブトキシド、チタンテトラターシャルブトキシド、トライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネート、ジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)チタニウム、ジイソプロポキシビス(アセチルアセテート)チタニウム等を用いることができる。前記金属アルコキシドの他に、硫酸チタニル、四塩化チタン、過酸化チタン、硝酸チタン、なども同様に用いられる。しかしながら、容易に加水分解するため金属アルコキシドが好ましく用いられる。
前記金属アルコキシド溶液に用いられる前記有機溶媒としては、低級脂肪族アルコール類として、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール(IPA)、ノルマルプロパノール、n−ブタノール等、エチレングリコール誘導体としてエチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル等、ジエチレングリコール誘導体として、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等を用いることができる。

前記焼成条件としては、特に限定されないが、大気中、窒素雰囲気、アルゴン雰囲気などの不活性ガス雰囲気中、または水素のような可燃性ガスを含んだ還元雰囲気中で、200〜600℃で、1〜6時間程度、行えばよい。仮焼温度が200℃未満である場合は十分に結晶性を高めることができない恐れがあり、600℃より高い場合には比表面積の低下を招き親水性の向上が低下する可能性がある。
また、導電性担体、触媒粒子、および、光触媒粒子の平均粒子径、担持量などは、本発明の第一において上述した通りであり、所望する特性を有する電極触媒が得られるように調製して電極触媒を作製するとよい。
次に、本発明の第四は、本発明の第一の電極触媒を用いた電極触媒層の製造方法である。すなわち、電極触媒を固体高分子電解質溶液に分散させ電極触媒インクを調製し、前記電極触媒インクを基材に塗布する工程を含む電極触媒層の製造方法において、前記燃料電池用電極触媒および/または前記電極触媒インクに、光を照射する工程を含む電極触媒層の製造方法である。
前記固体高分子電解質溶液とは、固体高分子電解質を水やアルコール系溶媒に混合した溶液のことであり、従来一般的に用いられているものであれば特に制限なく用いることができる。また、前記固体高分子電解質および前記電極触媒は、上述した通りであるため、ここでは詳細な説明を省略する。
前記電極触媒へ光を照射することにより光触媒の親水性を発現させることができる。本発明の方法において、前記光触媒による親水性は、触媒電極触媒インクの調製工程においてのみ発現していればよい。光触媒による親水性は一定時間経つと元に戻るため、作製した電極触媒層を発電させる際には光触媒によるフラッディング現象を招く恐れがない。
従って、電極触媒への光照射は、(1)電極触媒インクを調製する前に電極触媒に光照射を行う、または、(2)電極触媒と固体高分子電解質溶液とを混合し得られた電極触媒インクに光照射を行う、のが好ましい。電極触媒への光照射は、前記(1)および(2)の双方で行ってもよい。光照射後に数時間〜数十時間に亘って親水性を発現できる光触媒を用いれば、電極触媒への光照射は前記(1)のみを行えばよい。また、前記(2)の場合、電極触媒インクを混合しながら光照射を行うのが好ましい。
光触媒粒子による親水性を発現させるための光源としては、太陽光、室内照明、蛍光灯などでは高い親水性を発揮できず、本発明による効果が十分に得られない恐れがある。従って、ブラックライトランプ、キセノンランプ、高圧ナトリウムランプ、メタルハライドランプ、BLBランプ、殺菌灯などにより、光触媒粒子により強い紫外線を照射させて高い親水性を発現させるのが好ましい。
励起光の照度は、特に限定されないが、電極触媒表面における、380nm以下の波長のUV−A領域の紫外線が、好ましくは50〜1500μW/cm、より好ましくは500〜1000μW/cmとなるようにするのがよい。これによって、光触媒粒子による高い親水性を発現させることができる。また、照射時間などは、光照射後の親水性が所望する間のみ保持されるように、適宜決定すればよい。
電極触媒インクは、固体高分子電解質膜の他に、ガス拡散層、またはPTFE製シートなどの基材上に塗布した後、乾燥させることにより、電極触媒層が得られる。
また、MEAの作製方法としては、固体高分子電解質膜の両側に電極触媒層を作製し、これをガス拡散層で挟持した後にホットプレスする方法など、従来公知の方法を適宜参照して用いることができる。この時、上述した電極触媒層の作製方法は、カソード側電極触媒層またはアノード側電極触媒層の少なくとも一方に用いられればよい。また、例えば、カソード側電極触媒層のみに本発明の方法により電極触媒層を作製した場合、アノード側電極触媒層は、従来一般的な方法を用いて作製すればよい。
前記ホットプレスは、好ましくは110〜170℃で、電極面に対して1〜5MPaのプレス圧力で行うのがよい。これにより固体高分子電解質膜と各電極触媒層との接合性を高めることができる。PTFE製シートなどの基材上に作製された電極触媒層を用いた場合には、ホットプレス後にPTFE製シートを剥がし、その後にガス拡散層を配置すればよい。
また、MEAに用いられるガス拡散層に撥水剤を含有させる場合には、一般的な撥水処理方法を用いて行えばよい。例えば、ガス拡散層に用いられる基材を撥水剤の分散液に浸漬した後、オーブン等で加熱乾燥させる方法などが挙げられる。
ガス拡散層において基材上にカーボン粒子層を形成する場合には、カーボン粒子、撥水性高分子等を、水、パーフルオロベンゼン、ジクロロペンタフルオロプロパン、メタノール、エタノール等のアルコール系溶媒などの溶媒中に分散させることによりスラリーを調製し、前記スラリーを基材上に塗布し乾燥、もしくは、前記スラリーを一度乾燥させ粉砕することで粉体にし、これを前記ガス拡散層上に塗布する方法などを用いればよい。その後、マッフル炉や焼成炉を用いて300〜400℃程度で熱処理を施すのが好ましい。
以下、本発明を実施例を用いてより具体的に説明する。なお、本発明は、下記実施例のみに限定されることはない。
<実施例1>
1.カソード側電極触媒層の作製
(1)電極触媒の作製
Pt担持黒鉛化カーボン触媒(白金平均粒子径5nm、白金担持量50wt%)とエタノールに溶解させたチタンイソプロポキシド:Ti(O−i−C(アルドリッチ社製)とを混合させ、攪拌しながら2時間保持した後、Pt担持黒鉛化カーボン触媒をろ過し、約70℃の蒸留水で十分洗浄し、110℃で乾燥させることにより、表面に光触媒として酸化チタンが担持された白金/チタン酸化物担持黒鉛化カーボン触媒(酸化チタン:平均粒子径3nm、担持量5wt%、結晶構造アナターゼ型)を得た。
(2)カソード側電極触媒インクの調製
(1)で作製した白金/チタン酸化物担持黒鉛化カーボン触媒と、Nafion(登録商標)5wt%含むNafion溶液(Du Pont社製)と、水と、IPAとを、質量比で1:0.5:2.5:1となるように混合し、ブラックライト(栄進化学社製、UVミニライト)によりUV−A領域の照度が500μW/cmの光を3時間連続照射しながら、微粉砕用ホモジナイザーで攪拌・粉砕を行い、カソード側電極触媒インクを得た。
(3)カソード側電極触媒インクの塗布
得られたカソード側電極触媒インクを、厚さ0.2mmのテフロン(登録商標)シート上にスクリーンプリンタを用いて塗布し、乾燥させることにより、カソード側電極触媒層を得た。このカソード側電極触媒層は、Pt担持量0.40mg/cm、厚さ10μm、大きさ50×50mmとした。
2.アノード側電極触媒層の作製
Pt担持黒鉛化カーボン触媒(白金平均粒子径5nm、白金担持量50wt%)と、Nafion(登録商標)5wt%含むNafion溶液(Du Pont社製)と、水と、IPAとを、質量比で1:0.5:2.5:1となるように混合し、微粉砕用ホモジナイザーで攪拌・粉砕を行いアノード側電極触媒インクを得た。
得られたアノード側電極触媒インクを、厚さ0.2mmのテフロン(登録商標)シート上にスクリーンプリンタを用いて塗布し、乾燥させることにより、アノード側電極触媒層を得た。このアノード側電極触媒層は、Pt担持量0.40mg/cm、厚さ10μm、大きさ50×50mmとした。
3.MEAおよび単セルの組立て
作製したアノード側電極触媒層およびカソード側電極触媒層を用いて、固体高分子電解質膜(デュポン社製、ナフィオン111、厚さ25μm、大きさ80×80mm)を挟持し、130℃、20kgf/cmで、10分間ホットプレスした後、テフロン(登録商標)シートを剥がし、これをPTFE溶液で撥水処理したカーボンペーパー(東レ株式会社製 TGP−H−60)に撥水性カーボン層を塗布したガス拡散層で挟み、MEAとした。これをカーボンセパレータ、集電板で挟み、評価用セルとした。
<実施例2>
(1)電極触媒の作製
黒鉛化カーボン(平均粒子径0.5μm)とエタノールに溶解させたチタンイソプロポキシド:Ti(O−i−C(アルドリッチ社製)とを混合させ、攪拌しながら2時間保持した後、黒鉛化カーボンをろ過し、約70℃の蒸留水で十分洗浄し、110℃で乾燥させることにより、表面に光触媒として酸化チタンが担持されたチタン酸化物担持黒鉛化カーボン(酸化チタン:平均粒子径3nm、担持量5wt%、結晶構造アナターゼ型)を得た。
前記チタン酸化物担持黒鉛化カーボンとジニトロジアンミン白金溶液、ギ酸を混合させ、攪拌しながら83時間保持した後、チタン酸化物担持黒鉛化カーボンをろ過し、約70℃の蒸留水で十分洗浄し、110℃で乾燥させることにより、白金が担持された白金/チタン酸化物担持黒鉛化カーボン触媒(白金:平均粒子径6nm、担持量50wt%)を得た。
得られた白金/チタン酸化物担持黒鉛化カーボン触媒をカソード側電極触媒層に用いた以外は、実施例1と同様にしてMEAおよび評価用単セルを組み立てた。
<比較例1>
Pt担持黒鉛化カーボン触媒(白金平均粒子径5nm、白金担持量50wt%)と、Nafion(登録商標)を5wt%含むNafion溶液(Du Pont社製)と、水と、IPAとを、質量比で1:0.5:2.5:1となるように混合し、微粉砕用ホモジナイザーで攪拌・粉砕を行いカソード側電極触媒インクを得た。
得られたカソード側電極触媒インクを、厚さ0.2mmのテフロン(登録商標)シート上にスクリーンプリンタを用いて塗布し、乾燥させることにより、カソード側電極触媒層を得た。このカソード側電極触媒層は、Pt担持量0.40mg/cm、厚さ10μm、大きさ50×50mmとした。
前記カソード側電極触媒層を用いた以外は、実施例1と同様にしてMEAおよび評価用単セルを組み立てた。
<性能評価>
実施例1、2、および比較例1で作製した各評価用単セルの、アノード側に露点70℃の水素ガスを500cc/分で、カソード側に露点70℃の窒素ガスを500cc/分で供給し、アノード側を参照極とし、カソード側を作用極として、ポテンシオスタット及びファンクションジェネレータを接続して0.05〜0.9Vの範囲で50mV/秒の電位掃引速度でカソード側電極触媒層のサイクリックボルタンメトリー(CV)を測定した。表1に各サイクリックボルタンモグラムから算出したECAを示す。
なお、表1におけるECAとは、サイクリックボルタンメトリー法により電位の幅0.05〜0.45Vの間で測定される、単位白金質量あたりの水素の吸着した白金の比表面積(m/g)を算出した値である。
Figure 2006086037
表1から、比較例1に比べて、本発明の実施例1および実施例2の方がECAが向上していることがわかる。すなわち、従来のものと比較して、本願実施例のカソード側電極触媒層では、触媒粒子(白金)表面に吸着した水素量が多く、高い酸素還元反応が生じていることがわかる。これにより、本願実施例のカソード側電極触媒層では、光触媒が担持された電極触媒を用いることにより、三層界面の面積が増大していることが解る。
電極触媒に光触媒粒子を用いることで電極触媒層において三相界面の形成量を増大させることが可能となり、発電性能に優れる燃料電池として有用である。
本発明の電極触媒および固体高分子電解質の光照射前後の接触状態を示した説明図である。 本発明の好ましい一実施形態である固体高分子電解質型燃料電池の断面模式図を示す。
符号の説明
101…導電性担体、102…触媒粒子、103…光触媒粒子、104…固体高分子電解質、200…MEA、210…固体高分子電解質膜、220a…アノード側電極触媒層、120b、220b…カソード側電極触媒層、230a、230b…ガス拡散層、260…固体高分子電解質型燃料電池、250a、250b…セパレータ、251a、251b…ガス供給溝。

Claims (11)

  1. 導電性担体に触媒粒子が担持されてなる燃料電池用電極触媒において、
    光が照射されることにより親水性を発現する光触媒粒子が、前記導電性担体に担持されてなることを特徴とする燃料電池用電極触媒。
  2. 前記光触媒粒子が、酸化物半導体であることを特徴とする請求項1記載の燃料電池用電極触媒。
  3. 前記光触媒粒子が、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化タングステン、および、酸化錫からなる群から選択される少なくとも一種以上であることを特徴とする請求項1または2記載の燃料電池用電極触媒。
  4. 前記光が、紫外線であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の燃料電池用電極触媒。
  5. 前記触媒粒子が、白金、イリジウム、パラジウムのうち少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の燃料電池用電極触媒。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の燃料電池用電極触媒を用いたことを特徴とする燃料電池用電極触媒層。
  7. 請求項6記載の燃料電池用電極触媒層を用いたことを特徴とする燃料電池。
  8. 導電性担体に触媒粒子を担持させた後、光が照射されることにより親水性を発現する光触媒粒子を担持する工程を含む燃料電池用電極触媒の製造方法。
  9. 導電性担体に光が照射されることにより親水性を発現する光触媒粒子を担持させた後、触媒粒子を担持させる工程を含む燃料電池用電極触媒の製造方法。
  10. 請求項1〜5のいずれかに記載の燃料電池用電極触媒を固体高分子電解質溶液に分散させ電極触媒インクを調製し、前記電極触媒インクを基材に塗布する工程を含む燃料電池用電極触媒層の製造方法において、
    前記燃料電池用電極触媒および/または前記電極触媒インクに、光を照射する工程を含むことを特徴とする燃料電池用電極触媒層の製造方法。
  11. 前記光が紫外線であることを特徴とする請求項10記載の燃料電池用電極触媒層の製造方法。
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