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JP2006062965A - 有機シラン化合物、該化合物の製造方法および該化合物を用いた有機薄膜 - Google Patents

有機シラン化合物、該化合物の製造方法および該化合物を用いた有機薄膜 Download PDF

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JP2006062965A JP2004243510A JP2004243510A JP2006062965A JP 2006062965 A JP2006062965 A JP 2006062965A JP 2004243510 A JP2004243510 A JP 2004243510A JP 2004243510 A JP2004243510 A JP 2004243510A JP 2006062965 A JP2006062965 A JP 2006062965A
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裕士 今田
Hiroyuki Hanato
宏之 花戸
Hisahiro Tamura
壽宏 田村
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Abstract

【課題】 耐剥離性に優れ、かつ、高い秩序性、結晶性、電気伝導特性を有する有機薄膜、該薄膜を作製するための化合物及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】 式(I)の分子にシリル基が置換された有機シラン化合物。分子(I)をハロゲン化し、シラン誘導体を反応させる上記有機シラン化合物の製法。該有機シラン化合物分子が、基板側にシリル基が、膜表面側に分子(I)部分が位置するように、配列された有機薄膜。
【化1】
Figure 2006062965

(x1およびx2は1≦x1、1≦x2および2≦x1+x2≦8を満たす;y1およびz1は2〜8;y2およびz2は0〜8;該骨格は疎水基が置換されてよい)。
【選択図】なし

Description

本発明は、有機シラン化合物、該化合物の製造方法および該化合物を用いた有機薄膜に関する。
無機材料を用いた半導体に対し、製造が簡単で加工しやすく、量産によるコスト低下が見込め、無機材料よりも多様な機能を有したものを容易に合成することができる有機半導体の研究開発が行われ、その成果が報告されている。
有機デバイスに使用する材料として最も多く研究されている化合物は、ペンタセンである。これは、ペンタセンのバンドギャップが非常に小さいこと、構造が剛直であることから、もし高配向性を持たせることができれば、高い特性を持った有機デバイスを作ることができるためである。ペンタセン薄膜の形成方法として主に真空蒸着が利用されている。これは、ペンタセンの溶媒への溶解性が非常に低く、ペンタセンを溶液プロセスによって薄膜化させることができなかったためである。
一方で、ペンタセン以外を使用し、溶液プロセスにて有機デバイスを構築するものとして、例えば、チオフェン環の2、5位に直鎖炭化水素基がそれぞれ結合し、直鎖炭化水素の末端とシリル基とが結合した有機シラン化合物を用い、これを基板上に自己組織化させ、さらに電界重合等により分子同士を重合させて導電性薄膜を形成し、この導電成薄膜を半導体層として使用した有機デバイスが提案されている(例えば、特許文献1)。
また、ポリチオフェンに含まれるチオフェン環にシリル基を有する有機シラン化合物を主成分とした半導体薄膜を利用した電界効果トランジスタが提案されている(例えば、特許文献2)。
特許第2507153号公報 特許第2725587号公報
上記の通り、ペンタセンは溶媒への可溶性が低く、蒸着法による成膜が一般的であるが、この手法により形成した場合、配向性が低く、基板との整合性がとれず、結果として配向性の低い膜となるために、使用する基板によってデバイス特性が大きく左右される課題を有していた。一方、あらかじめラビング処理のような配向処理を行うことによって、配向性を高めることは可能であるが、この場合成膜工程が煩雑になる課題を有する。また、蒸着法による成膜では基板との相互作用が物理吸着であるため、膜の耐久性が低く、すぐに劣化する問題点を有していた。
また、有機シラン化合物を電界重合させた導電性薄膜も、重合度の不均一性によって、デバイスごとに、電界効果移動度にばらつきが発生することが危惧される。また、ポリチオフェンを用いた有機シラン化合物による半導体薄膜は、半導体の膜厚が大きくなるが、ポリマーに吸着したシリル基の数が非常に多くなるため、基板との吸着反応を自己組織化のみでは制御することができず、高度に結晶化された薄膜を形成することは非常に困難である。
さらに、従来から得られている有機薄膜は、いずれも分子の方向及び分子に垂直な方向の双方に結合を有するため、有機薄膜トランジスタとして使用した場合に、リーク電流が大きくなり、結果としてデバイス特性を低下させるものであった。
すなわち、高いデバイス特性を得るためには、ペンタセンのような膜とした場合に高い導電率を有する化合物を高い秩序性を持って配向させることが求められているが、従来の技術ではこのような課題を解決する報告例はまだなされていないことが現状である。
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、簡便な製造方法により容易に結晶化させて有機薄膜を形成することができるとともに、得られた有機薄膜を基板表面に強固に吸着させて、物理的な剥がれを防止して、かつ、高い秩序性、結晶性、電気伝導特性を有する有機薄膜を作製するための化合物及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、一般式(I)で表される縮合多環式芳香族炭化水素分子に、一般式;−SiR(式中、R〜Rはそれぞれ独立してハロゲン原子または炭素数1〜4のアルコキシ基である)で表されるシリル基が置換されてなる有機シラン化合物;
Figure 2006062965
(式中、x1およびx2はそれぞれ、1≦x1、1≦x2および2≦x1+x2≦8を満たす整数である;y1およびz1はそれぞれ独立して2〜8の整数である;y2およびz2はそれぞれ独立して0〜8の整数である;該分子は疎水基が置換されていてもよい)に関する。
本発明はまた、縮合多環式芳香族炭化水素分子をハロゲン化し、一般式(α);
−SiR (α)
(式中、Xは水素原子、ハロゲン原子または炭素数1〜4のアルコキシ基である;R〜Rはそれぞれ独立してハロゲン原子または炭素数1〜4のアルコキシ基である)で表される化合物を反応させてシリル基を導入することを特徴とする上記有機シラン化合物の製造方法に関する。
本発明はまた、基板上に形成された上記有機シラン化合物からなる有機薄膜であって、有機シラン化合物分子は、基板側にシリル基が、膜表面側に縮合多環式芳香族炭化水素分子部分が位置するように、配列されていることを特徴とする有機薄膜に関する。
本発明の有機シラン化合物は、末端にシリル基を有しているため、例えば有機薄膜を形成した場合には、隣接する化合物分子間でケイ素原子及び酸素原子から構築されるネットワークを形成するとともに、基板にシラノール結合を介して化学的に結合する。そのため、有機薄膜は非常に高い安定性を有し、且つ、高度に結晶化される。したがって、基体上に物理吸着により作製した膜と比較して、得られた薄膜を基体表面に強固に吸着させることができ、物理的な剥がれを有効に防止できる。
また本発明の有機シラン化合物は、縮合多環式芳香族炭化水素骨格を含有し、当該骨格はπ電子共役を示すため、有機薄膜とした場合に隣接分子間において高いπ電子相互作用と分子間相互作用(ファンデルワールス相互作用)が働くため、結果として高い半導体特性と結晶性を得ることができる。
さらに本発明の有機シラン化合物は側鎖に疎水基を有すると、比較的高い溶解性を持つ。したがって、例えば薄膜を構築する場合に、比較的簡便な手法である溶液プロセスを適用することができる。本発明の化合物のうち、特に、直鎖炭化水素基を有する化合物は大きな溶解性が見られる。
これらの特徴から、本発明の化合物を用いれば、配向性有機薄膜を容易に構築できるため、導電性材料や半導体材料として、有機薄膜トランジスタ材料のみならず、太陽電池、燃料電池、センサー等に広く応用することができる。
(有機シラン化合物)
本発明の有機シラン化合物は縮合多環式芳香族炭化水素分子にシリル基が置換されてなるものである。
縮合多環式芳香族炭化水素分子は一般式(I);
Figure 2006062965
で表される(以下、一般式(I)で表される分子を「分子(I)」という)。
式(I)中、x1およびx2はそれぞれ、1≦x1、1≦x2および2≦x1+x2≦8を満たす整数である。x1は上記一般式(I)において環aの左側に存在する縮合環bの数を示す。x1の数が増えると、環bの左方向に縮合環が増えることを意味する。x2は上記一般式(I)において環aの右側に存在する縮合環cの数を示す。x2の数が増えると、環cの右方向に縮合環が増えることを意味する。
好ましいx1およびx2はそれぞれ独立して1〜2の整数である。より好ましいx1およびx2は同時に1である。
y1およびz1はそれぞれ独立して2〜8の整数である。y1は上記一般式(I)における縮合環dの数を示す。y1の数が増えると、環dの左方向または/および右方向に縮合環が増えることを意味する。z1は上記一般式(I)における縮合環eの数を示す。z1の数が増えると、環eの左方向または/および右方向に縮合環が増えることを意味する。
好ましいy1およびz1はそれぞれ独立して2〜3の整数である。より好ましいy1およびz1は同時に2である。
y2およびz2はそれぞれ独立して0〜8の整数である。y2は上記一般式(I)における縮合環fの数を示す。y2の数が増えると、環fの左方向または/および右方向に縮合環が増えることを意味する。z2は上記一般式(I)における縮合環gの数を示す。z2の数が増えると、環gの左方向または/および右方向に縮合環が増えることを意味する。
好ましいy2およびz2はそれぞれ独立して0〜2の整数である。より好ましいy2およびz2は同時に0である。
上記のような分子(I)を用いることにより、HOMO−LUMOバンドギャップエネルギーの大きさを小さくすることができる。一般に、縮合多環式芳香族炭化水素分子の場合、HOMO−LUMOバンドギャップエネルギーの大きさは、分子の大きさや縮合の方向により異なる。HOMO−LUMOバンドギャップエネルギーの大きさを小さくするためには、縮合多環式芳香族炭化水素分子に含まれる環数が多く、また分子形状は分岐状であることが好ましい。よって、縮合多環式芳香族炭化水素分子において、分子(I)のように、構成する環の数を多く、かつ多くの共鳴構造を与える分岐構造とすることで、HOMO−LUMOバンドギャップエネルギーの大きさを小さくすることが可能である。分岐構造は、3つの環によって共有される炭素原子(以下、3重点原子という)の個数及び共鳴構造の個数で規定される。全環数が10程度以下の場合、3重点原子の個数及び共鳴構造の個数の組み合わせとしては、(4、2)個、(6、2)個であることが好ましい。
分子(I)は、有機薄膜中での分子の配向性の観点から、対称性(例えば、線対称性、点対称性)を有することが好ましい。より好ましくは線対称性および点対称性を有する。
分子(I)の好ましい具体例として以下に示す化合物が挙げられる。
Figure 2006062965
例えば、上記一般式(I−1)で表される化合物は、前記一般式(I)においてx1=x2=1、y1=z1=2、およびy2=z2=0で表される化合物分子である。当該化合物はペリレンをSbF−SOClFと反応させることによって合成可能である。ペリレンはCAS.No.198-55-0として登録されている公知の物質であり、市販品として入手可能である。
また例えば、上記一般式(I−2)で表される化合物は、前記一般式(I)においてx1=x2=1、y1=z1=2、およびy2=z2=0で表される化合物分子である。当該化合物はCAS.No.191-07-1として登録されている公知の物質であり、市販品として入手可能である。
また例えば、上記一般式(I−3)で表される化合物は、前記一般式(I)においてx1=2、x2=1、y1=z1=3、およびy2=z2=0で表される化合物分子である。当該化合物はCAS.No.190-26-1として登録されている公知の物質であり、市販品として入手可能である。
分子(I)は後述のシリル基以外に、所望により疎水基を有していてもよい。疎水基を有していると、有機溶剤に対する溶解性や分子の界面活性がさらに向上する。疎水基としては、親水性であるか疎水性であるかを判定する値であるHLBを決定する場合のパラメータが0以下であれば、いずれの官能基であってもかまわない。ここで、HLB(Hydrophibic-Lypophibic Balance)とは、ある分子が親水性であるのか、それとも疎水性であるのかを判定する数値であり、各官能基はそれぞれパラメータ化されている。例えばメチレン基では−0.475であり、カルボキシル基は+2.1である。
そのような疎水基としては、例えば、アルキル基、オキシアルキル基、フルオロアルキル基、フルオロ基等が挙げられる。アルキル基、オキシアルキル基、フルオロアルキル基は炭素数が1〜30、特に1〜10のものが好ましい。特に、有機デバイスとして使用する場合、膜の配向性が高いほど良いため、分子の配列性の観点から、上記炭素数の直鎖アルキル基が好ましい。そのような直鎖アルキル基の具体例として、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基などが挙げられる。
疎水基は1またはそれ以上の数で結合されていてよい。疎水基の結合位置は特に制限されるものではないが、分子の配列性の観点から、膜中での分子の配列を阻害しない位置が好ましい。例えば、分子(I)が対称性を有する場合、疎水基はシリル基の結合位置に対して対極側の位置に結合されていることが好ましい。2以上の疎水基が結合される場合、全て疎水基は同一であってもよいし、または一部または全部が異なっていても良い。
分子(I)に結合されるシリル基は一般式;
−SiR
で表され、本発明においては、そのような1または2個のシリル基が分子(I)に結合される。
シリル基を構成するR〜Rはそれぞれ独立してハロゲン原子または炭素数1〜4のアルコキシ基である。アルコキシ基は直鎖状のものが好ましい。
アルコキシ基の具体例として、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、2−プロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基などが挙げられる。アルコキシ基は一部の水素がさらに別の置換基、例えば、トリアルキルシリル基(アルキル基は炭素数1〜4)、アルコキシ基(炭素数1〜4)などで置換されていてもよい。
ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、ヨウ素原子、臭素原子などが挙げられるが、反応性を考慮すると、好ましくは塩素原子である。
好ましいR〜Rはそれぞれ独立して塩素原子または炭素数1〜2のアルコキシ基であり、より好ましくは同一の基である。
(製造方法)
本発明の有機シラン化合物は、前記分子(I)をハロゲン化し、一般式(α);
−SiR (α)
(式中、Xは水素原子、ハロゲン原子または炭素数1〜4のアルコキシ基である;R〜Rはそれぞれ前記シリル基を構成するR〜Rと同様である)で表される化合物を反応させてシリル基を導入することによって製造可能である。
分子(I)のハロゲン化は、当該分子を四塩化炭素等の溶媒中、N−クロロスクシンイミド(NCS)、N−ブロモスクシンイミド(NBS)等を用いて、所定部位をハロゲン化することによって達成できる。溶媒としてはクロロホルム、酢酸およびそれらの混合物を用いればよい。
シリル基の導入反応に際し、反応温度は、例えば、−100〜150℃が好ましく、より好ましくは−20〜100℃である。反応時間は、例えば、0.1〜48時間程度である。反応は、通常、反応に影響のない有機溶媒中で行われる。反応に悪影響のない有機溶媒としては、例えば、ヘキサン、ペンタン、ベンゼン、トルエン等の脂肪族又は芳香族炭化水素、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)等のエーテル系溶媒等が挙げられ、これらは単独で又は混合液として用いることができる。なかでも、ジエチルエーテル、THFが好適である。反応は、任意に触媒を用いてもよい。触媒としては、白金触媒、パラジウム触媒、ニッケル触媒等、触媒として公知のものを用いることができる。収率の観点からは、n−BuLi等のアルキルリチウムの存在下で反応を行うことが好ましい。
好ましい化合物(α)の具体例として、例えば、テトラエトキシシラン、テトラクロロシラン等が挙げられる。
疎水基は、分子(I)の所定部位をハロゲン化させ、疎水基含有化合物と反応させることによって導入可能である。疎水基含有化合物は、分子(I)のハロゲン化部位との反応によって当該部位に疎水基を導入し得るものである。具体的には、例えば、疎水基がアルキル基、フルオロアルキル基の場合には当該疎水基を有するグリニャール試薬が使用可能である。また例えば、疎水基がオキシアルキル基の場合にはそれらの基を有するアルコールが使用可能である。
疎水基導入時の反応条件としては疎水基を導入できる限り特に制限されず、通常は反応に影響のない有機溶媒中で1〜48時間還流すればよい。反応に影響のない有機溶媒としては、シリル基導入反応時に使用可能な前記有機溶媒が使用可能である。
このような方法で得られる本発明の有機シラン化合物は、公知の手段、例えば転溶、濃縮、溶媒抽出、分留、結晶化、再結晶、クロマトグラフィーなどにより反応溶液から単離、精製することができる。
(有機薄膜およびその形成方法)
本発明の有機シラン化合物を用いて有機薄膜(特に、単分子膜)を形成できる。好ましくは、当該単分子膜は基板上に形成される。
本発明の有機シラン化合物は、シリル基を構成するR〜R基が加水分解され易く、結果として当該シリル基は親水性が比較的高いため、分子全体の界面活性が向上する。したがって、例えば、親水性基板に本発明の化合物膜を形成させる場合、本発明の化合物に含まれるシリル基が基板と相互作用するために、分子がすべて同じ向きに並んで効率よく基板上に吸着し、結果として化学的結合を形成する。そのため、反応時間の短縮化や薄膜の配向性の向上を達成することが可能である。縮合多環式芳香族炭化水素分子、特に縮合環の数が8以上のものは、有機溶剤に溶解し難い傾向があるが、本発明の有機シラン化合物が疎水基を有すると、溶解性が向上する。しかも分子全体の界面活性はさらに向上して膜形成時の反応時間の短縮化や薄膜の配向性の向上をより有効に達成することが可能である。
本発明の有機シラン化合物を用いた有機薄膜を図1を用いて説明する。図1は、前記一般式(I−2)で表される分子骨格を有する本発明の有機シラン化合物を用いた有機薄膜の概念図である。
有機薄膜中において、有機シラン化合物分子は、図1に示すように、基板1側にシリル基2が、膜表面側に縮合多環式芳香族炭化水素分子部分3が位置するように、配列される。また化合物分子はシリル基によって化学結合(特にシラノール結合(−Si−O−))を介して基板と結合するため、有機薄膜の耐久性が強い。さらに、隣接分子間のシリル基同士の反応により、ケイ素原子と酸素原子からなるネットワーク3が形成されるため、隣接分子間の分子間距離を有効に低減できる。また、有機シラン化合物分子が有する縮合多環式芳香族炭化水素分子部分3はπ電子共役を示し、かつ、それらの分子間距離は上記ネットワーク3に基づいて小さく保たれているため、有機薄膜の高い導電性が実現できる。しかも、有機薄膜中、縮合多環式芳香族炭化水素分子部分3同士に結合がないため、通常状態での導電性は低く押さえられ、かつ、この有機薄膜に光励起あるいは電界励起キャリアを注入した場合のみ高い導電性を持たせることが可能である。
基板は特に制限されるものではなく、例えば、シリコン、ゲルマニウム等の元素半導体、GaAs、InGaAs、ZnSe等の化合物半導体等の半導体;いわゆるSOI基板、多層SOI基板、SOS基板等;マイカ;ガラス、石英ガラス;ポリイミド、PET、PEN、PES、テフロン等の高分子フィルム等の絶縁体;ステンレス鋼(SUS);金、白金、銀、銅、アルミニウム等の金属;チタン、タンタル、タングステン等の高融点金属;高融点金属とのシリサイド、ポリサイド等;シリコン酸化膜(熱酸化膜、低温酸化膜:LTO膜等、高温酸化膜:HTO膜)、シリコン窒化膜、SOG膜、PSG膜、BSG膜、BPSG膜等の絶縁体;PZT、PLZT、強誘電体又は反強誘電体;SiOF系膜、SiOC系膜もしくはCF系膜又は塗布で形成するHSQ(hydrogen silsesquioxane)系膜(無機系)、MSQ(methyl silsesquioxane)系膜、PAE(polyarylene ether)系膜、BCB系膜、ポーラス系膜もしくはCF系膜又は多孔質膜等の低誘電体;等の単層又は積層体等が挙げられる。基板は半導体デバイスの電極として使用される無機物質からなっていてもよく、さらにその表面に有機物質からなる膜が形成されていてもよい。
本発明において基板表面は水酸基やカルボキシル基等の親水基、特に水酸基を有し、有しない場合には、基板に親水化処理を施すことによって、親水基を基板表面に付与すればよい。基板の親水化処理は、過酸化水素水−硫酸混合溶液への浸漬、紫外光の照射等により行うことができる。
以下、有機薄膜の形成方法を説明する。
有機薄膜の形成に際しては、まず、本発明の有機シラン化合物のシリル基を加水分解して基板表面と反応させ、基板に直接吸着(結合)した単分子膜を形成する。具体的には、例えば、いわゆるLB法(Langmuir Blodget法)、ディッピング法、コート法等の方法を採用できる。
詳しくは、例えば、LB法では、有機シラン化合物を非水系有機溶剤に溶解し、得られた溶液をpHが調整された水面上に滴下し、水面上に薄膜を形成する。このとき、有機シラン化合物のシリル基におけるR〜R基が加水分解によって水酸基に変換される。次いで、その状態で水面上に圧力を加え、親水基(特に水酸基)を表面に有する基板を引き上げることによって、有機シラン化合物におけるシリル基と基板とが反応して化学結合(特にシラノール結合)が形成され単分子膜が得られる。その際には隣接分子間のシリル基同士の反応により、ケイ素原子と酸素原子からなるネットワークも形成される。溶液が滴下される水のpHはR〜R基が加水分解されるように適宜調整されればよい。
また例えば、ディッピング法、コート法では、有機シラン化合物を非水系有機溶剤に溶解し、得られた溶液中に、親水基(特に水酸基)を表面に有する基板を浸漬して、引き上げる。あるいは、得られた溶液を基体表面にコートする。このとき、非水系有機溶剤中の微量の水によって、有機シラン化合物のシリル基におけるR〜R基が加水分解され、水酸基に変換される。次いで、所定時間、保持することによって、有機シラン化合物におけるシリル基と基板とが反応して化学結合(特にシラノール結合)が形成され単分子膜が得られる。その際には隣接分子間のシリル基同士の反応により、ケイ素原子と酸素原子からなるネットワークも形成される。R〜R基が加水分解されない場合は、溶液中に、pHが調整された水を少量混合すればよい。
非水系有機溶剤は、水と相溶せず、かつ本発明の有機シラン化合物を溶解可能な限り特に制限されず、例えば、ヘキサン、クロロホルム、四塩化炭素等が使用可能である。
単分子膜を形成した後は、通常、非水系有機溶剤を用いて単分子膜から未反応の有機シラン化合物を洗浄除去する。さらには水洗し、放置するか加熱することにより乾燥する。
実施例1;トリエトキシシリルジベンゾペリレンの合成
Figure 2006062965
上記合成ルート1に従った。すなわち、ナフタレン(アルドリッチ社)をNaNO−TfOH(Tf=CFSO)溶液中で反応させることでナフタレンからビナフチルを合成した。ビナフチルをLiTHFと酸素バブリング下で反応させて、ペリレンを得た。アルドリッチ社より購入したSbFは、乾燥アルゴン雰囲気で二倍に希釈した。SOClFは、NHFとTFAのハロゲン交換反応によって生成させたSOClから合成した。ペリレンをSbF−SOClFと反応させ、HPLCで精製してジベンゾペリレンを得た。ジベンゾペリレンに対して1当量のNCSを、CHCl存在下、AcOH中、ジベンゾペリレンと反応させ、クロロ化を行った。その後、THF溶液中でn−BuLiおよびSi(OCと反応させ、トリエトキシシリルジベンゾペリレンを得た(収率8%)。
得られた化合物について、赤外吸収測定を行ったところ、波長1050nmにSi−O−Cの吸収が見られた。このことより、得られた化合物にシリル基が含まれることが確認された。
化合物を含むクロロホルム溶液の紫外−可視吸収スペクトル測定を行ったところ、波長378nmに吸収が観測された。この吸収は、分子に含まれるジベンゾペリレン骨格のπ→π遷移に起因しており、化合物がジベンゾペリレン骨格を含むことが確認できた。
さらに、化合物の核磁気共鳴(NMR)測定を行った。
7.8ppm(m)(5H 芳香族由来)
7.4ppm(m)(2H 芳香族由来)
7.1ppm(m)(2H 芳香族由来)
6.3ppm(m)(2H 芳香族由来)
3.8ppm(m)(6H エトキシ基のメチレン基由来)
3.6ppm(m)(2H 芳香族由来)
1.3ppm(m)(9H エトキシ基のメチル基由来)
これらの結果から、この化合物がトリエトキシシリルジベンゾペリレンであることを確認した。
実施例2;トリクロロシリルコロネンの合成
Figure 2006062965
上記合成ルート2に従った。すなわち、実施例1で合成したペリレンを、ブロモアセトアルデヒドジエチルアセタール中で求電子剤と混合させてペリレンをアニオン化し、モルキュラーヨウ素と処理することで1−ペリレンアセトアルデヒドジエチルアセタールと3位に置換された同位体を得た。1及び3−ペリレンアセトアルデヒドジエチルアセタールを濃硫酸、メタノール混合溶媒中に溶解させて、1時間超音波処理を施してベンゾペリレンを得た。同様にして、得られたベンゾペリレンをアニオン化し、モルキュラーヨウ素で処理し、5及び7−ベンゾペリレンアセトアルデヒドジエチルアセタールを得て、これらのベンゾペリレン誘導体を超音波処理して、トルエン溶媒から再結晶法により精製してコロネンを合成した。コロネンに対して1当量のNCSを、CHCl存在下、AcOH中、コロネンと反応させ、クロロ化を行った。その後、THF溶液中でn−BuLiおよびSiClと反応させ、トリクロロシリルコロネンを得た(収率46%)。
得られた化合物について、赤外吸収測定を行ったところ、波長700nmにSi−Cの吸収が見られた。このことより、得られた化合物にシリル基が含まれることが確認された。
化合物を含むクロロホルム溶液の紫外−可視吸収スペクトル測定を行ったところ、波長338及び300nmに吸収が観測された。この吸収は、分子に含まれるコロネン骨格のπ→π遷移に起因しており、化合物がコロネン骨格を含むことが確認できた。
さらに、化合物の核磁気共鳴(NMR)測定を行った。
7.4ppm(m)(11H 芳香族由来)
これらの結果から、この化合物がトリエトキシシリルコロネンであることを確認した。
実施例3
実施例2で合成した化合物を用いて有機薄膜を形成した。まず、トリクロロシリルコロネンをクロロホルム溶媒に溶解させ、2mMの試料溶液を調製した。続いてトラフ中の水面上に、試料溶液を所定量(例えば100μl)滴下し、水面上に前記化合物の単分子膜(L膜)を形成させた。この状態で水面上に圧力を加え、所定の表面圧(例えば20mN/m)とした後に、基板を一定速度で引き上げることによって、図1に示すような有機薄膜(LB膜)を形成させた。基板には予め過酸化水素と濃硫酸との混合溶液中に浸漬させる親水化処理を行った。
形成させたトリクロロシリルコロネンの有機薄膜のAFM測定により、高低差が約2.6nmであることが確認された。また、AFM測定やED測定により、膜上に構成原子の周期が観測され、前記化合物の配向性有機薄膜が形成されていることが確認できた。
実施例1および2では、トリエトキシシリルジベンゾペリレン及びトリクロロシリルコロネンの製造方法を示した。また、実施例3では、トリクロロシリルコロネンを有機薄膜材料として用いる例について示した。しかし、これらの実施例は前記化合物のみに限定されて解釈されるべきではなく、同様の方法により、本発明の有機シラン化合物を製造することが可能である。また、本発明の有機シラン化合物を薄膜材料とすれば、実施例3と同様の方法により有機薄膜を形成することが可能である。
さらに、本発明の有機シラン化合物を用いた有機薄膜は高い配向性を有しており、また、導電性を発揮する縮合多環式芳香族炭化水素分子部分において隣接分子間で結合を有していないため、例えば半導体層として有用であることは明らかである。その場合、高い移動度を有し、かつ、リーク電流を押さえられる高い特性を持ったデバイスを構築することができる。
本発明の有機シラン化合物は、配向性有機薄膜を容易に構築できるため、導電性材料や半導体材料として、有機薄膜トランジスタ材料のみならず、太陽電池、燃料電池、センサー等に広く応用することができる。
本発明の有機シラン化合物を用いて形成された有機薄膜(単分子膜)の分子配列を示す概念図である。
符号の説明
1:シリコン基板、2:ケイ素・酸素ネットワーク構造、3:縮合多環式芳香族炭化水素分子部分。

Claims (3)

  1. 一般式(I)で表される縮合多環式芳香族炭化水素分子に、一般式;−SiR(式中、R〜Rはそれぞれ独立してハロゲン原子または炭素数1〜4のアルコキシ基である)で表されるシリル基が置換されてなる有機シラン化合物;
    Figure 2006062965
    (式中、x1およびx2はそれぞれ、1≦x1、1≦x2および2≦x1+x2≦8を満たす整数である;y1およびz1はそれぞれ独立して2〜8の整数である;y2およびz2はそれぞれ独立して0〜8の整数である;該分子は疎水基が置換されていてもよい)。
  2. 縮合多環式芳香族炭化水素分子をハロゲン化し、一般式(α);
    −SiR (α)
    (式中、Xは水素原子、ハロゲン原子または炭素数1〜4のアルコキシ基である;R〜Rはそれぞれ独立してハロゲン原子または炭素数1〜4のアルコキシ基である)で表される化合物を反応させてシリル基を導入することを特徴とする請求項1に記載の有機シラン化合物の製造方法。
  3. 基板上に形成された請求項1に記載の有機シラン化合物からなる有機薄膜であって、有機シラン化合物分子は、基板側にシリル基が、膜表面側に縮合多環式芳香族炭化水素分子部分が位置するように、配列されていることを特徴とする有機薄膜。

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