JP2006058640A - ポリゴンミラー駆動モータ - Google Patents
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Abstract
【課題】ポリゴンミラーをポリゴンミラー駆動モータに搭載した際に、高速回転時の遠心力によって発生する各ミラー面の変形を抑制する。
【解決手段】ステータと、回転駆動軸及び六面体のポリゴンミラーを有するロータとを備えたポリゴンミラー駆動モータにおいて、前記ポリゴンミラー21は、前記回転駆動軸16bを挿通する中心孔21aを有し前記回転駆動軸16bと直交する互いに平行な正方形状の2つの面21b,21cと、前記回転駆動軸16bと平行な4つのミラー面21dとからなり、前記中心孔21aの直径をDとし、前記2つの面21b,21cの一辺の長さをLとしたときに、D/Lの値を、0.37〜0.41の範囲内にしたことを特徴とするポリゴンミラー駆動モータ10を提供する。
【選択図】図1
【解決手段】ステータと、回転駆動軸及び六面体のポリゴンミラーを有するロータとを備えたポリゴンミラー駆動モータにおいて、前記ポリゴンミラー21は、前記回転駆動軸16bを挿通する中心孔21aを有し前記回転駆動軸16bと直交する互いに平行な正方形状の2つの面21b,21cと、前記回転駆動軸16bと平行な4つのミラー面21dとからなり、前記中心孔21aの直径をDとし、前記2つの面21b,21cの一辺の長さをLとしたときに、D/Lの値を、0.37〜0.41の範囲内にしたことを特徴とするポリゴンミラー駆動モータ10を提供する。
【選択図】図1
Description
本発明は、レーザービームプリンタや複写機などに適用され、レーザービームを偏向走査するためのポリゴンミラーを搭載したポリゴンミラー駆動モータに関するものである。
レーザービームプリンタや複写機などでは、ステータ側に対して回転するロータ側に複数のミラー面を平面的に見て多角形状に連接して形成したポリゴンミラーを搭載し、このポリゴンミラーを高速に回転させながら複数のミラー面に照射されたレーザービームを偏向走査するためのポリゴンミラー駆動モータが取り付けられており、このポリゴンミラーでレーザービームを偏向走査することで得られた走査光により記録紙や感光体上に画像を形成している。
ところで、多角形状のポリゴンミラーを高速に回転させた場合に、多角形状のミラー面が遠心力によって変形するので、この変形を補正できる光走査光学装置がある(例えば、特許文献1参照)。
また、モータ取付軸孔精度、モータ取付基準面精度などの関係精度、光学精度を実現すると共に、合計で4面からなるミラー面が平面的に見た時に正方形状に連接して形成されて、軽量化とコストダウンを図った回転多面鏡(ポリゴンミラー)がある(例えば、特許文献2参照)。
図8は従来例として、光走査光学装置に用いられた一例のポリゴンミラーを示した平面図、
図9(a),(b)は従来例として、他例の回転多面鏡(ポリゴンミラー)を示した平面図,断面図である。
図9(a),(b)は従来例として、他例の回転多面鏡(ポリゴンミラー)を示した平面図,断面図である。
まず、図8に示した如く、従来の光走査光学装置に用いられた一例のポリゴンミラー100は、上記した特許文献1(特開平9−43529号公報)に開示されているものであり、このポリゴンミラー100では、回転前の初期状態時に一点鎖線で図示したように偏向反射面101aが稍々凹形状に形成されている。そして、ポリゴンミラー100を回転中心軸101bを中心にして高速に回転させると、高速回転時の遠心力によって一点鎖線で図示した偏向反射面101aが実線で示した偏向反射面101a’まで外側に膨らむ方向に変形する。これにより、ポリゴンミラー100の静止時にはピントは被走査面の手前側にあるが、高速回転により被走査面にピントが合うようになっているので、ポリゴンミラー100の回転によって発生する反射面の変形に起因するピント移動を補正することができる旨が開示されている。
次に、図9(a),(b)に示した如く、他例の回転多面鏡(ポリゴンミラー)は、上記した特許文献2(特開平9−61743号公報)に開示されているものであり、この回転多面鏡(ポリゴンミラー)200は、一辺が30mmの正方形状で厚さが4mmの六面体に形成されている。この際、回転多面鏡(ポリゴンミラー)200は、中心にモータ取付軸孔201aを貫通して穿設した中心コア201が剛性を有するガラス繊維が含まれたポリカーボネイトを用いて形成され、且つ、この中心コア201の外側に光学面コア202が回転多面鏡としての光学的特性を備えた熱可塑性合成樹脂であるポリカーボネイトを用いて形成されているので、モータ取付軸孔精度、モータ取付基準面精度などの関係精度、光学精度を実現すると共に、軽量化とコストダウンを図ることができる旨が開示されている。
ところで、図8に示した従来の光走査光学装置に用いられた一例のポリゴンミラー100では、高速回転時の遠心力によって外側に膨らむ変形量を予測して偏向反射面101aを稍々凹形状に形成する必要があり、この際に偏向反射面101aの変形量を予測することが難しく、且つ、偏向反射面101aを凹形状に作製することが困難である。とくに、最近、レーザープリンタや複写機などでは、高画質化、高精度化が進められており、ポリゴンミラー100の回転速度もより高速化が図られており、この際にポリゴンミラー100の高速回転時の遠心力は回転数の2乗に比例することから、遠心力によって生じる偏向反射面101aの変形現象は大きな問題となり、当然、偏向反射面101aの変形量を予測することがより困難となっている。
また、図9(a),(b)に示した他例の回転多面鏡(ポリゴンミラー)200では、外観形状が正方形状の六面体であるために、上下の2面と、この上下の2面を囲んだ各側面に形成した4面のミラー面の形成が容易であり且つ寸法精度も良好に得られるものの、剛性が高い中心コア201の外側を光学的特性が良好な光学面コア202で覆っているために、回転多面鏡(ポリゴンミラー)200の製作工程が増え、コスト高になってしまうなどの問題点が発生している。
そこで、ポリゴンミラーを寸法精度良く、且つ、容易に作製するために、合計で4面からなるミラー面を平面的に見て正方形状に連接して形成したポリゴンミラーをポリゴンミラー駆動モータに搭載した際に、高速回転時の遠心力によって発生する各ミラー面の変形を抑制できるポリゴンミラー駆動モータが望まれている。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、ステータと、回転駆動軸及び六面体のポリゴンミラーを有するロータとを備えたポリゴンミラー駆動モータにおいて、
前記ポリゴンミラーは、
前記回転駆動軸を挿通する中心孔を有し前記回転駆動軸と直交する互いに平行な正方形状の2つの面と、前記回転駆動軸と平行な4つのミラー面とからなり、
前記中心孔の直径をDとし、前記2つの面の一辺の長さをLとしたときに、
D/Lの値を、0.37〜0.41の範囲内にしたことを特徴とするポリゴンミラー駆動モータを提供する。
前記ポリゴンミラーは、
前記回転駆動軸を挿通する中心孔を有し前記回転駆動軸と直交する互いに平行な正方形状の2つの面と、前記回転駆動軸と平行な4つのミラー面とからなり、
前記中心孔の直径をDとし、前記2つの面の一辺の長さをLとしたときに、
D/Lの値を、0.37〜0.41の範囲内にしたことを特徴とするポリゴンミラー駆動モータを提供する。
本発明に係るポリゴンミラー駆動モータによると、とくに、ステータ側に対して回転するロータ側に搭載した六面体のポリゴンミラーは、回転駆動軸を挿通する中心孔を有し回転駆動軸と直交する互いに平行な正方形状の2つの面と、回転駆動軸と平行な4つのミラー面とからなり、中心孔の直径をDとし、2つの面の一辺の長さをLとしたときに、D/Lの値を、0.37〜0.41の範囲内にしたために、高速回転時のに遠心力による各ミラー面の変形量(=変位差)を100nm前後に抑えることができるので、レーザービームを各ミラー面で良好に偏向走査することができる。これに伴って、このポリゴンミラーを搭載したポリゴンミラー駆動モータを、例えばレーザービームプリンタや複写機などに適用した場合に、記録紙や感光体上に高画質な画像を得ることができる。
以下に本発明に係るポリゴンミラー駆動モータの一実施例を図1乃至図7を参照して詳細に説明する。
図1は本発明に係るポリゴンミラー駆動モータを示した断面図、
図2は図1に示したポリゴンミラーを示した斜視図、
図3(a)〜(c)は正方形状のポリゴンミラーにおいて、一辺の長さLを20mmに設定し、且つ、中心孔の直径をDmmとし、D/Lの値を0.1, 0.39, 0.6とそれぞれ変化させた時に、高速回転時の遠心力によって発生する各ミラー面の変形を有限要素法を用いてシミュレーションした結果を示した図、
図4(a),(b)は正方形状のポリゴンミラーにおいて、一辺の長さLを20mmに設定し、且つ、中心孔の直径をDmmとし、D/Lの値を0.1〜0.8の範囲で変化させた時に、高速回転時の遠心力によって発生する各ミラー面の変位差を示した図、
図5(a)〜(c)は正方形状のポリゴンミラーにおいて、一辺の長さLを40mmに設定し、且つ、中心孔の直径をDmmとし、D/Lの値を0.1, 0.39, 0.6とそれぞれ変化させた時に、高速回転時の遠心力によって発生する各ミラー面の変形を有限要素法を用いてシミュレーションした結果を示した図、
図6(a),(b)は正方形状のポリゴンミラーにおいて、一辺の長さLを40mmに設定し、且つ、中心孔の直径をDmmとし、D/Lの値を0.1〜0.8の範囲で変化させた時に、高速回転時の遠心力によって発生する各ミラー面の変位差を示した図、
図7はポリカーボネイトを用いて正方形状に形成したポリゴンミラーにおいて、一辺の長さLを変化させた時に、高速回転時の遠心力によって発生する各ミラー面の変位差を示した図である。
図2は図1に示したポリゴンミラーを示した斜視図、
図3(a)〜(c)は正方形状のポリゴンミラーにおいて、一辺の長さLを20mmに設定し、且つ、中心孔の直径をDmmとし、D/Lの値を0.1, 0.39, 0.6とそれぞれ変化させた時に、高速回転時の遠心力によって発生する各ミラー面の変形を有限要素法を用いてシミュレーションした結果を示した図、
図4(a),(b)は正方形状のポリゴンミラーにおいて、一辺の長さLを20mmに設定し、且つ、中心孔の直径をDmmとし、D/Lの値を0.1〜0.8の範囲で変化させた時に、高速回転時の遠心力によって発生する各ミラー面の変位差を示した図、
図5(a)〜(c)は正方形状のポリゴンミラーにおいて、一辺の長さLを40mmに設定し、且つ、中心孔の直径をDmmとし、D/Lの値を0.1, 0.39, 0.6とそれぞれ変化させた時に、高速回転時の遠心力によって発生する各ミラー面の変形を有限要素法を用いてシミュレーションした結果を示した図、
図6(a),(b)は正方形状のポリゴンミラーにおいて、一辺の長さLを40mmに設定し、且つ、中心孔の直径をDmmとし、D/Lの値を0.1〜0.8の範囲で変化させた時に、高速回転時の遠心力によって発生する各ミラー面の変位差を示した図、
図7はポリカーボネイトを用いて正方形状に形成したポリゴンミラーにおいて、一辺の長さLを変化させた時に、高速回転時の遠心力によって発生する各ミラー面の変位差を示した図である。
図1に示した如く、本発明に係るポリゴンミラー駆動モータ10は、ステータ側とロータ側とから構成されている。
まず、ステータ側では、基台となるステータ基板11上にベアリングホルダ12が垂直に取り付けられ、且つ、ベアリングホルダ12内にオイルレス軸受け13が嵌着されていると共に、ベアリングホルダ12の外周側に複数の駆動用コイル14が取り付けられている。
一方、ロータ側では、ベアリングホルダ12内に嵌着されたオイルレス軸受け13に回転軸15が回転可能に挿通されており、この回転軸15の上端側にフランジ部材16が圧入されていると共に、回転軸15の下端側はステータ基板11の裏面にネジ17を介して取り付けたカップ状のホルダー部材18に支持されている。
この際、回転軸15の上端側に圧入したフランジ部材16は、大径なフランジ部16aと、このフランジ部16aの上方に突出してフランジ部16aよりも小径な回転駆動軸部16bとが一体的に形成されている。
また、フランジ部材16のフランジ部16aの下面には、円筒形状のロータヨーク19がフランジ部材16と同心で一体的に取り付けられていると共に、ロータヨーク19の内周壁面に沿って円環状の駆動用マグネット20が固着されており、この駆動用マグネット20はステータ基板11上に取り付けた複数の駆動用コイル14に対して僅かな隙間を隔てて対向している。
更に、フランジ部材16上には、本発明の要部を構成する六面体のポリゴンミラー21が搭載されている。
このポリゴンミラー21は、図2に示したように、前記したフランジ部材16の回転駆動軸部16bを挿通する中心孔21aを有し前記回転駆動軸部16bと直交する互いに平行な正方形状の2つの面21b,21cと、前記回転駆動軸部16bと平行な4つのミラー面21cとからなる六面体に形成されている。
即ち、ポリゴンミラー21の中心部には、フランジ部材16の回転駆動軸部16bに挿通されるための中心孔21aが下面21bと上面21cとの間で丸孔状に貫通して穿設されており、且つ、アルミニウムなどの金属反射膜を蒸着した合計で4面からなるミラー面21dが2つの面21b,21cを囲んだ各側面に形成されている。
この実施例では、ポリゴンミラー21の中心孔21a内にフランジ部材16の回転駆動軸部16bが挿通される場合を示したが、フランジ部材16の回転駆動軸部16bを設けずにロータの回転軸15を挿通する場合もあり得る。但し、この実施例では、ポリゴンミラー21の中心孔21aの直径寸法が後述する規則によって設定されるので、回転軸15又はフランジ部材16の回転駆動軸部16bの軸径寸法もポリゴンミラー21の中心孔21aの直径に合わせる必要がある。
そして、フランジ部材16上にポリゴンミラー21を搭載する場合には、フランジ部材16の回転駆動軸部16bにポリゴンミラー21の中心孔21aをガタなく挿入して、フランジ部材16のフランジ部16a上にポリゴンミラー21の下面21bを当接させると共に、ポリゴンミラー21の上面21c上にカップ状の押さえ部材22を搭載して、この押さえ部材22の上から板バネ23を当ててポリゴンミラー21をフランジ部材16側に押圧し、更に回転軸15の上端に止め輪24を嵌め込んで板バネ23を押さえ込むことで、ポリゴンミラー21がフランジ部材16と一体になってロータ側の回転軸15を中心にして回転可能になっている。
上記のように構成したポリゴンミラー駆動モータ10では、ステータ基板11上に取り付けた複数の駆動用コイル14に駆動電流を印加することで、複数の駆動用コイル14とロータヨーク19の内周壁面に沿って取り付けた円環状の駆動用マグネット20とにより回転駆動力が生じ、回転軸15を中心にしてフランジ部材16に搭載したポリゴンミラー21が高速に回転でき、且つ、ポリゴンミラー21の各側面に形成した4面のミラー面21dに不図示のレーザー光源から出射したレーザービームを照射することで、レーザービームを偏向走査している。
ここで、図2に示したように、六面体に形成したポリゴンミラー21中で、フランジ部材16(図1)の回転駆動軸部16bが挿通する中心孔(丸孔)21aの直径をDとし、且つ、フランジ部材16(図1)の回転駆動軸部16bと直交する平行な正方形状の2つの面21b,21cの一辺の長さをLとした際に、ポリゴンミラー駆動モータ10によってフランジ部材16と一体にポリゴンミラー21を高速に回転させた時に、高速回転時の遠心力によって生じる各ミラー面21dの変形を有限要素法を用いて解析したところ、各ミラー面21dの変形量がD/Lの値によって変化することに着目した。
尚、上記した有限要素法とは、連続体を有限な自由度を持つ有限要素の集合体としてモデル化し、この集合体に対して成立する方程式を数学的に解く数値解析法であり、ここでの数学的な説明は省略するものの、有限要素法によるシミュレーション結果については後で述べる。
即ち、正方形状のポリゴンミラー21を高速に回転させた時に、ポリゴンミラー21は自身の遠心力により2つの面21b,21cを囲んだ各側面に形成した各ミラー面21dが変形し、各ミラー面21dの平面度が変化することが先に図8を用いて説明した従来例1によりわかっている。
ここで、ポリゴンミラー21を高速に回転させた時に、ポリゴンミラー21の各ミラー面21dの平面度の変化量が大きいと、レーザービームの各ミラー面21dへの走査に悪影響を与える。一方、ポリゴンミラー21の各ミラー面21dの平面度はレーザービームの波長の1/4以下が必要とされている。具体的には、レーザー光源(図示せず)として一般的に入手が容易な赤色半導体レーザーが用いられており、この赤色半導体レーザーの波長は632nm程度であるので、各ミラー面21dの平面度は前記波長の1/4以下の158nm以下が要求されている。この際、ポリゴンミラー21の各ミラー面21dの平面度を158nm以下とした場合に、回転しない初期状態では後述するポリカーボネイトによる成形時の平面度(通常、60nm前後)も含んでいるために、遠心力による変形量としては、100nm前後が許容限界である。
そこで、本発明では、ポリゴンミラー21を六面体に形成することで、平行な2つの面21b,21cで囲まれた各側面に4面のミラー面21dを寸法精度良く形成し、且つ、素材としてポリカーボネイトなどの合成樹脂材を用いることでポリゴンミラー21の軽量化を図っている。
ここで、ポリゴンミラー21の中心孔21aをフランジ部材16の回転駆動軸部16bにガタなく挿入して、板バネ23の付勢力でポリゴンミラー21をフランジ部材16のフランジ部16bに押圧しながら高速に回転させた時に、高速回転時の遠心力によって発生する各ミラー面21dの変形を有限要素法を用いてシミュレーションを試みた。
具体的に説明すると、図3(a)〜(c)では、六面体に形成したポリゴンミラーにおいて、前記したフランジ部材の回転駆動軸部と直交する互いに平行な正方形状の2つの面の一辺の長さLを20mmに設定し、且つ、中心孔の直径をDmmとし、D/Lの値を変化させて高速回転時の遠心力によって発生する各ミラー面の変形を有限要素法を用いてシミュレーションした。
この際、ポリゴンミラーの回転数を30000RPMに固定した。また、ポリゴンミラーの材質としてポリカーボネイトを想定し、ポリカーボネイトのヤング率を8000MPa,密度を1.43g/cm3の条件下で計算した。
まず、図3(a)に示した如く、ポリゴンミラー中で正方形状の2つの面の一辺の長さLを20mmに設定した時に、中心孔の直径をD=2mmと小径に穿設した場合には、D/Lの値が0.1となり、この場合にポリゴンミラーの各ミラー面は正方形状の四隅が尖って中央部は変形が少ないために全体的に凹状に変形した。これは、ポリゴンミラーの中心孔の中心から各コーナまでの対角線の長さが、中心孔の中心から中央部の辺までの長さ(=L/2)よりも長いので、四隅に加わる遠心力が大きくなるためであり、この影響でポリゴンミラーの各ミラー面の四隅が尖って凹状に変形する。
ここで、以下の説明において、一つのミラー面における変位の最大値と最小値の差を「変位差」と呼称すると、この図3(a)の場合では変位差が115nmとなり、各ミラー面の平面度が悪化していることがわかった。
次に、図3(c)に示した如く、ポリゴンミラー中で正方形状の2つの面の一辺の長さLを20mmに設定した時に、上記とは逆に、中心孔の直径をD=12mmと大径に穿設した場合には、D/Lの値が0.6となり、この場合にポリゴンミラーの各ミラー面の中央部が凸状に膨らんだ形状に変形した。これは、中心孔の直径を大径に穿設したために、中央部の辺までの長さが短く強度が弱くなるためであり、各ミラー面の中央部が遠心力により外側に向かって凸状に膨らんでしまったものである。この結果、図3(c)の場合では変位差が161nmとなり、各ミラー面の平面度が悪化していることがわかった。
上記から、図3(a)に示したようにポリゴンミラーの各ミラー面の四隅が尖った形状に変形する場合と、図3(c)に示したようにポリゴンミラーの各ミラー面の中央部が凸状に変形する場合との間に、ポリゴンミラーの各ミラー面の変形量(=変位差)が最小となるような最適条件が存在することが予測され、本発明ではポリゴンミラーの各ミラー面の変形量(=変位差)が最小なる最適条件を見い出し、この時の最適条件を図3(b)に示している。
即ち、図3(b)に示した如く、ポリゴンミラー中で正方形状の2つの面の一辺の長さLを20mmに設定した時に、中心孔の直径をD=7.8mmに穿設すると、D/Lの値が0.39となり、この場合にポリゴンミラーの各ミラー面は殆ど変形せず、この図3(b)の場合では変位差が0.97nmとなり、図3(a),(c)の場合に比べて明らかに変位差が小さく、各ミラー面の平面度が非常に良好であることがわかった。
また、図4(a),(b)に示した如く、ポリゴンミラーの材質を図3(a)〜(c)と同じ特性を持つポリカーボネイト(PC)を想定して、ポリゴンミラー中で正方形状の2つの面の一辺の長さLを20mmに設定し、且つ、中心孔の直径をDmmとして、D/Lの値を0.1〜0.8の範囲に亘って例えば0.1の間隔で細かくシミュレーションして、この結果を図4(a)に実線で示した。この際にも、ポリゴンミラーの回転数は30000RPMで固定している。
更に、参考までに、ポリゴンミラーの材質としてアルミニウム(Al)を想定し、このアルミニウムのヤング率を70300MPa,密度を2.69g/cm3の条件下で計算し、この結果を図4(a)に点線で示した。この際、ポリゴンミラーの材質がアルミニウム(Al)であること以外は、上記と同じ条件でシミュレーションした。
この図4(a),(b)から明らかなように、ポリゴンミラーの材質がポリカーボネイト(PC)である場合と、アルミニウム(Al)である場合のいずれの場合でも、D/Lの値が0.39の時にポリゴンミラーの各ミラー面の変位差が共に最小であることが明らかである。また、D/Lの値が0.39から0.1の方向に向かうにつれて両者共に変位差が増大する傾向にあり、且つ、D/Lの値が同じであればポリカーボネイト(PC)を用いた方が剛性のあるアルミニウム(Al)よりも変位差が大きいことが明らかである。更に、D/Lの値が0.39から0.8の方向に向かう場合は、両材質共にD/Lの値が0.1に向かう場合よりも変位差がより増大する傾向にあることが明らかである。
次に、図5(a)〜(c)では、ポリカーボネイトを用いて六面体に形成したポリゴンミラーにおいて、前記したフランジ部材の回転駆動軸部と直交する互いに平行な正方形状の2つの面の一辺の長さLを40mmに設定した以外は、先に説明した図3(a)〜(c)と同じ条件で高速回転時の遠心力によって発生する各ミラー面の変形を有限要素法を用いてシミュレーションを試みた。尚、図5(a)〜(c)は、図示の都合上、先に示した図3(a)〜(c)に対して異なる縮尺で図示している。
即ち、図5(a)ではL=40mm,D=4mm,D/L=0.1とした時に、図3(a)の場合と同様に、中心孔の直径が小径であるために、ポリゴンミラーの各ミラー面は四隅が尖って中央部は変形が少なく全体的に凹状に変形し、この場合に変位差は886nmとなり、各ミラー面の平面度が悪化している。
また、図5(b)ではL=40mm,D=15.6mm,D/L=0.39とした時に、図3(b)の場合と同様に、ポリゴンミラーの各ミラー面は殆ど変形せず、この場合に変位差は4.9nmとなり、各ミラー面の平面度が明らかに良好である。
また、図5(c)ではL=40mm,D=24mm,D/L=0.6とした時に、図3(c)の場合と同様に、中心孔の直径が大径であるために、ポリゴンミラーの各ミラー面の中央部が凸状に膨らんだ形状に変形し、この場合に変位差は1239nmとなり、各ミラー面の平面度が悪化している。
また、図6(a),(b)に示した如く、ポリゴンミラーの材質を図5(a)〜(c)と同じ特性を持つポリカーボネイト(PC)を想定して、ポリゴンミラー中で正方形状の2つの面の一辺の長さLを40mmに設定し、且つ、中心孔の直径をDmmとして、D/Lの値を0.1〜0.8の範囲に亘って例えば0.1の間隔で細かくシミュレーションして、この結果を図6(a)に実線で示すと共に、参考までに、ポリゴンミラーの材質としてアルミニウム(Al)を想定し、この結果を図6(a)に点線で示した。
この図6(a),(b)から明らかなように、先に説明した図4(a),(b)と略同様な傾向を持つことがわかる。即ち、ポリゴンミラー中で正方形状の2つの面の一辺の長さLを40mmに設定した時に、ポリゴンミラーの材質がポリカーボネイト(PC)であっても、アルミニウム(Al)であっても、ポリゴンミラーの各ミラー面の変位差が共に最小になる時のD/Lの値は、図4(a),(b)の場合と全く同一の値で0.39であることがわかった。また、図6(a),(b)の場合に、D/Lの値が図4(a),(b)の場合と同じであればミラー面の変位差が図4(a),(b)の場合よりも大きくなる傾向がある。
更に、図7に示した如く、ポリカーボネイトを用いて六面体に形成したポリゴンミラーにおいて、正方形状の2つの面の一辺の長さLを10mm〜40mmの範囲に亘って可変し、且つ、D/Lの値が0.2. 0.3, 0.39, 0.5の場合について、ポリゴンミラーの各ミラー面の変位差をそれぞれプロットして見た。この際、モータ業界において、ポリゴンミラー中で正方形状の2つの面の一辺の長さLは、一般的に、14mm,20mm,40mmのいずれかの寸法が採用されるものである。
この図7からポリゴンミラー中で正方形状の2つの面の一辺の長さLにかかわらず、D/Lの値が0.39であると時に、ポリゴンミラーの各ミラー面の変位差が最小となることが明らかにわかる。
上記からポリカーボネイトを用いて2つの面を正方形状に形成した六面体のポリゴンミラーを高速に回転させながら、不図示の赤色半導体レーザーから出射した波長が例えば632nm程度のレーザービームをポリゴンミラーの各ミラー面に照射して偏向走査する際に、前述したように、初期状態の平面度を含めてミラー面の平面度は前記波長の1/4以下の158nm以下が要求され、遠心力による変形量(=変位差)としては、100nm前後が許容限界とされている。
そこで、モータ業界において、ポリカーボネイトを用いて六面体に形成したポリゴンミラー中で正方形状の2つの面の一辺の長さLとして一番大きい値の40mmを採用した場合に、遠心力による変形量(=変位差)を100nm前後に抑えるためには、図6(b)に示したデータ値からの比例計算により求めると、D/Lの値が0.3と0.39の間に位置する0.37の場合には、 変位差={2×(379.10−4.67)/9+4.68}=略88[nm] となり、
D/Lの値が0.4と0.5の間に位置する0.41の場合には、 変位差={(591.75−52.64)/10+52.64}=略107[nm] となるので、このの場合にはD/Lの値を0.37〜0.41の範囲内に設定すれば、上記した100nm前後の許容量を満たすことになる。
D/Lの値が0.4と0.5の間に位置する0.41の場合には、 変位差={(591.75−52.64)/10+52.64}=略107[nm] となるので、このの場合にはD/Lの値を0.37〜0.41の範囲内に設定すれば、上記した100nm前後の許容量を満たすことになる。
また、モータ業界において、ポリカーボネイトを用いて六面体に形成したポリゴンミラー中で正方形状の2つの面の一辺の長さLとして中間の値の20mmを採用した場合に、遠心力による変形量(=変位差)を100nm前後に抑えるためには、図4(b)に示したデータ値からの比例計算により求めると、D/Lの値が0.1と0.2の間に位置する0.16場合には、
変位差={4×(115.16−90.26)/10+90.26}=略100[nm]となり、 D/Lの値が0.5と0.6の間に位置する0.52の場合には、
変位差={2×(161.43−77.36)/10+77.36}=略94[nm] となるので、このの場合にはD/Lの値を0.16〜0.52の範囲内に設定すれば上記した100nm前後の許容量を満たすことになる。
変位差={4×(115.16−90.26)/10+90.26}=略100[nm]となり、 D/Lの値が0.5と0.6の間に位置する0.52の場合には、
変位差={2×(161.43−77.36)/10+77.36}=略94[nm] となるので、このの場合にはD/Lの値を0.16〜0.52の範囲内に設定すれば上記した100nm前後の許容量を満たすことになる。
従って、ポリカーボネイトを用いて六面体に形成したポリゴンミラー中で正方形状の2つの面の一辺の長さLにかかわらず、高速回転時の遠心力による各ミラー面の変形量(=変位差)を100nm前後に抑えるためには、D/Lの値を0.37〜0.41の範囲内に設定すれば良いことになる。
尚、ポリゴンミラーの材料に、ポリカーボネイトよりも剛性のあるアルミニウムを用いた時には、ポリゴンミラーの各ミラー面の変位差はポリカーボネイトよりも小さいので、上記したD/Lの値の範囲(0.37〜0.41)内に設定しても全く支障はない。
従って、D/Lの値を0.37〜0.41の範囲内に設定した場合には、高速回転時の遠心力による各ミラー面の変形量(=変位差)を100nm前後に抑えることができるので、レーザービームを各ミラー面で良好に偏向走査することができる。これに伴って、このポリゴンミラーを搭載したポリゴンミラー駆動モータを、例えばレーザービームプリンタや複写機などに適用した場合に、記録紙や感光体上に高画質な画像を得ることができる。
10…ポリゴンミラー駆動モータ、
11…ステータ基板、12…ベアリングホルダ、13…オイルレス軸受け、
14…駆動用コイル、15…回転軸、
16…フランジ部材、16a…フランジ部、16b…回転駆動軸部、
17…ネジ、18…ホルダー部材、19…ロータヨーク、20…駆動用マグネット、
21…ポリゴンミラー、
21a…中心孔、21b…下面、21c…上面、21d…ミラー面、
22…押さえ部材、23…板バネ、24…止め輪、
D…ポリゴンミラーの中心孔の直径、
L…ポリゴンミラーの一辺の長さ。
11…ステータ基板、12…ベアリングホルダ、13…オイルレス軸受け、
14…駆動用コイル、15…回転軸、
16…フランジ部材、16a…フランジ部、16b…回転駆動軸部、
17…ネジ、18…ホルダー部材、19…ロータヨーク、20…駆動用マグネット、
21…ポリゴンミラー、
21a…中心孔、21b…下面、21c…上面、21d…ミラー面、
22…押さえ部材、23…板バネ、24…止め輪、
D…ポリゴンミラーの中心孔の直径、
L…ポリゴンミラーの一辺の長さ。
Claims (1)
- ステータと、回転駆動軸及び六面体のポリゴンミラーを有するロータとを備えたポリゴンミラー駆動モータにおいて、
前記ポリゴンミラーは、
前記回転駆動軸を挿通する中心孔を有し前記回転駆動軸と直交する互いに平行な正方形状の2つの面と、前記回転駆動軸と平行な4つのミラー面とからなり、
前記中心孔の直径をDとし、前記2つの面の一辺の長さをLとしたときに、
D/Lの値を、0.37〜0.41の範囲内にしたことを特徴とするポリゴンミラー駆動モータ。
Priority Applications (2)
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