要約
種々の細胞型(例えば、子宮頸部、肛門、ペニス、咽喉)における発癌性細胞形質転換または生物学的異常を生じ得る病原体からのタンパク質の検出のための方法および組成物が本発明において提供される。これらの方法および組成物は、例えば、子宮頸部癌、陰茎癌、肛門癌、および咽喉癌のような疾患を生じるものを含むがこれらに限定されない病原体の存在を検出するために利用され得る。より詳細には、臨床試料中の発癌性HPV E6タンパク質の検出のための方法、組成物、およびキットが記載される。
本発明の1つの利点は、PDZドメインタンパク質が、抗体とは異なり、ヒトパピローマウイルスからの大部分またはすべての発癌性HPV E6タンパク質を結合し、ならびに、そのようにして、子宮頸部癌および他の癌を診断するために使用されることである。
I. 詳細な説明
定義
「マーカー」または「生物学的マーカー」とは、本明細書中で使用される場合、生物学的試料中で測定可能または検出可能な実体をいう。マーカーの例には、生物学的試料中に存在する核酸、タンパク質、または化学物質が含まれる。マーカーの1つの例は、ヒト供給源からの生物学的試料中のウイルス性または病原性のタンパク質または核酸の存在である。
本明細書中で使用される場合、用語「単離された」とは、そのポリヌクレオチド、ポリペプチド、抗体、または宿主細胞が天然に存在する環境とは異なる環境中に存在するポリヌクレオチド、ポリペプチド、抗体、または宿主細胞をいう。単離されているポリヌクレオチド、ポリペプチド、抗体、または宿主細胞は、一般的に実質的に精製されている。本明細書中で使用される場合、用語「実質的に精製された」とは、その天然の環境から取り出され、かつそれに天然に付随している他の成分を少なくとも60%、好ましくは少なくとも75%、および最も好ましくは90%含まない化合物(例えば、ポリヌクレオチドまたはポリペプチドまたは抗体のいずれか)をいう。従って、例えば、Aを含む組成物は、組成物中の全体のA+Bの重量で少なくとも85%がAである場合にBを「実質的に含まない」。好ましくは、Aは組成物中の全体のA+Bの重量で少なくとも約90%、より好ましくは少なくとも約95%、または重量で99%でさえを含む。
用語「生物学的試料」は、生物体から得られかつ診断的またはモニタリングアッセイにおいて使用され得る種々の試料の型を含む。この用語は、生物起源の血液もしくは他の液体試料、固体組織試料(例えば、生検試料)、または組織培養もしくはそこから由来する細胞およびその子孫を含む。この用語は、それらの調達後にいずれかの方法で(例えば、試薬を用いる処理、可溶化、または特定の成分についての富化によって)操作された試料を含む。この用語は臨床試料を含み、およびまた、細胞培養、細胞上清、細胞溶解物、血清、血漿、生物学的液体、および組織試料を含む。用語「生物学的液体」は、臨床的状況における試料と、組換え試料であり得るかもしくは組換え試料に由来し得る試料との間を区別することを意味する。
HPVに「感染した」被験体は、HPVを含む細胞を有する被験体である。細胞中のHPVはいずれの他の表現型をも示さないかもしれない(すなわち、HPVに感染した細胞は癌性でなくてはならないわけではない)。換言すれば、HPVに感染した細胞は、前癌性であり得るか(すなわち、ウイルス感染と関連し得るもの以外のいかなる異常な表現型をも示さない)、または癌性細胞である。
「融合タンパク質」または「融合ポリペプチド」とは、本明細書中で使用される場合、複合タンパク質、すなわち、単一のアミノ酸配列に通常は融合されない2つ(またはそれ以上の)識別可能な、異種ポリペプチドから作られる単一の連続しているアミノ酸配列をいう。従って、融合タンパク質は、これらの配列が天然に見い出される単一のアミノ酸配列中で同じ方向に互いに通常見い出されないのであれば、2つの完全に識別可能なアミノ酸配列または2つの類似のもしくは同一のポリペプチド配列を含む単一のアミノ酸配列を含み得る。融合タンパク質は、組換え核酸方法を使用して、すなわち、その融合物が本発明のポリペプチドをコードするセグメントおよび異種タンパク質をコードするセグメントを含む組換え遺伝子融合産物の転写および翻訳の結果として、または当該分野において周知の化学合成方法によってのいずれかで一般的に調製され得る。
「融合タンパク質構築物」とは、本明細書中で使用される場合、融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドである。
「発癌性HPV株」は、National Cancer Institute(NCI、2001)によって決定されたような子宮頸部癌を引き起こすことが知られているHPV株である。「発癌性E6タンパク質」は、上記の発癌性HPVによってコードされるE6タンパク質である。典型的な発癌性株は表3に示される。ここに具体的に列挙されていないHPVの発癌性株は当該分野において公知であり、National Center for Biotechnology Information(NCBI)のワールドワイドウェブサイトで見い出され得る。
「発癌性E6タンパク質結合パートナー」は、発癌性E6タンパク質に特異的に結合する任意の分子であり得る。適切な発癌性E6タンパク質結合パートナーには、PDZタンパク質(以下に記載されるようなもの)、発癌性E6タンパク質に対する抗体;発癌性E6タンパク質を認識する他のタンパク質(例えば、p53、E6-AP、またはE6-BP);DNA(十字形DNA);およびファージディスプレイからのアプタマーまたは単鎖抗体のような他のパートナーが含まれる。いくつかの態様において、1つより多い発癌性E6タンパク質(例えば、すべての発癌性E6タンパク質またはHPV株16、18、および33からのE6タンパク質)の検出が所望され、そのようなものとして、発癌性E6タンパク質結合パートナーはこれらのタンパク質に結合する抗体、異なるタンパク質に各々結合する抗体の混合物であり得る。当該分野において公知であるように、このような結合パートナーはそれらの検出を容易にするために標識され得る。一般的に、結合パートナーは、10-5M以上の結合親和性、例えば、10-6M以上、10-7M以上、10-8M以上(例えば、10-9M、10-10、10-11など)の結合親和性でE6を結合する。
本明細書中で使用される場合、用語「PDZドメイン」は、脳シナプスタンパク質PSD-95、Drosophila中隔ジャンクションタンパク質Discs-Large(DLG)、および上皮タイトジャンクションタンパク質ZO1(ZO1)に対する相同性によって特徴付けられる約90アミノ酸(すなわち、約80-90、約70-80、約60-70、または約50-60アミノ酸)未満のタンパク質配列(すなわち、モジュラータンパク質ドメイン)をいう。PDZドメインはまた、Discs-Large相同性反復(「DHR」)およびGLGF反復として公知である。PDZドメインは、一般的に、コアコンセンサス配列を維持するようである(Doyle, D.A., 1996, Cell 85: 1067-76)。
PDZドメインは、グアニル酸キナーゼホモログのMAGUKファミリー、いくつかのプロテインホスファターゼおよびプロテインキナーゼ、神経細胞の一酸化窒素シンターゼ、腫瘍サプレッサータンパク質、ならびにシントロフィンとして集合的に知られているいくつかのジストロフィン関連タンパク質のメンバーを含む、多様な膜結合タンパク質において見い出されている。
典型的なPDZドメイン含有タンパク質およびPDZドメインの配列は表2および実施例4に示される。用語「PDZドメイン」はまた、配列の変異体(例えば、天然に存在する変異体)(例えば、多型変異体、保存性置換を有する変異体など)および代替的な種からのドメイン(例えば、マウス、ラット)を含む。代表的には、PDZドメインはUS特許出願09/724553に示されているものと実質的に同一であり、例えば、比較され最大の一致のために整列された場合に、少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%のアミノ酸残基の同一性である。PDZドメインが、結合を強化し得るかまたは弱くし得るアミノ酸の変化を与えるように、および特異性を変化させるように変異され得、なおそれらがPDZドメインを保持することは当該分野において認識されている(Schneider et al., 1998, Nat. Biotech. 17:170-5)。他に言及しない限りは、特定のPDZドメイン(例えば、MAGI-1ドメイン2)への言及は、特定のPDZドメインおよびそのHPV E6結合変異体を含むことが意図される。換言すれば、特定のPDZドメインに対して言及がなされる場合、以下に記載されるように、HPVの発癌性E6タンパク質を結合するそのPDZドメインの変異体に対する言及もまたなされる。この点に関して、タンパク質中のPDZドメインの番号付けが変化し得ることが注目される。例えば、本明細書中で言及されるMAGI-1ドメイン2は、他の文献ではMAGI-1ドメイン1と言及され得る。このようなものとして、タンパク質の特定のPDZドメインが本願において言及される場合、この言及は、特に配列表において本明細書中に記載されるようなそのドメインの配列の観点において理解されるべきである。原文の特許請求の範囲の前に挿入されている表9は、必要に応じて、種々のドメインについて、配列表の配列と、名称と、Genbankアクセッション番号との間の関係を示す。
本明細書中で使用される場合、用語「PDZタンパク質」とは、PDZドメインを含む天然に存在するタンパク質をいう。典型的なPDZタンパク質には、
が含まれる。
本明細書中で使用される場合、用語「PDZドメインポリペプチド」とは、PDZドメインを含むポリペプチド、例えば、PDZドメインを含む融合タンパク質、天然に存在するPDZタンパク質、または単離されたPDZドメインペプチドをいう。従って、PDZ-ドメインポリペプチドは、約60以上のアミノ酸長、約70以上のアミノ酸長、約80以上のアミノ酸長、約90以上のアミノ酸長、約100以上のアミノ酸長、約200以上のアミノ酸長、約300以上のアミノ酸長、約500以上のアミノ酸長、約800以上のアミノ酸長、約1000以上のアミノ酸長、通常約2000以上までのアミノ酸長であり得る。PDZドメインペプチドは通常約100以下(例えば、50-60アミノ酸、60-70アミノ酸、80-90アミノ酸、または90-100アミノ酸)であり、PDZドメインをコードする。
本明細書中で使用される場合、用語「PLタンパク質」または「PDZリガンドタンパク質」とは、PDZドメインとの分子複合体を形成する天然に存在するタンパク質、またはそのカルボキシ末端が、全長タンパク質から別個に発現された場合に(例えば、4-25残基(例えば、8、10、12、14、または16残基)のペプチドフラグメントとして)分子複合体を形成するタンパク質をいう。この分子複合体は、以下に記載される「Aアッセイ」もしくは「Gアッセイ」を使用してインビトロで、またはインビボで観察され得る。表3および4に列挙される典型的なPLタンパク質は特定のPDZタンパク質を結合することが実証されている。この定義は、抗PDZ抗体などを含むことを意図するのではない。
本明細書中で使用される場合、「PL配列」とは、PLタンパク質のC末端のアミノ酸配列(例えば、C末端の2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、20、または25残基)(「C末端PL配列」)またはPDZドメインを結合することが知られている内部配列(「内部PL配列」)をいう。
本明細書中で使用される場合、「PLペプチド」は、PLタンパク質のC末端の配列に由来するか、またはそれに基づく配列を有するペプチドである。典型的なPLペプチド(ビオチン化されている)は表3に列挙される。
本明細書中で使用される場合、「PLディテクター」とは、PL配列を特異的に認識し得かつそれに結合し得るタンパク質である。
本明細書中で使用される場合、「PL融合タンパク質」は、1つのドメイン、代表的には融合タンパク質のC末端ドメインとしてPL配列を有する融合タンパク質である。典型的なPL融合タンパク質はtat-PL配列融合物である。
本明細書中で使用される場合、用語「PLインヒビターペプチド配列」とは、PDZドメインポリペプチドとPLペプチドとの間の相互作用を阻害する(例えば、AアッセイまたはGアッセイにおいて)PLペプチドアミノ酸配列(ペプチドまたはPL融合タンパク質の形態で)をいう。
本明細書中で使用される場合、「PDZドメインコード配列」とは、PDZドメインをコードするポリヌクレオチドのセグメントを意味する。種々の態様において、このポリヌクレオチドは、DNA、RNA、一本鎖、または二本鎖である。
本明細書中で使用される場合、用語「アンタゴニスト」および「インヒビター」は、結合相互作用を調節することの文脈において使用される場合(例えば、PL配列へのPDZドメイン配列の結合)、交換可能に使用され、かつ、例えば、PL配列(例えば、PLペプチド)および例えば、PDZドメイン配列(例えば、PDZタンパク質、PDZドメインペプチド)の結合を減少させる因子をいう。
本明細書中で使用される場合、用語「アゴニスト」および「エンハンサー」は、結合相互作用を調節することの文脈において使用される場合(例えば、PL配列へのPDZドメイン配列の結合)、交換可能に使用され、かつ、例えば、PL配列(例えば、PLペプチド)および例えば、PDZドメイン配列(例えば、PDZタンパク質、PDZドメインペプチド)の結合を増加させる因子をいう。
本明細書中で使用される場合、用語「ペプチドの模倣物」「ペプチド模倣物」および「ペプチドアナログ」は交換可能に使用され、本発明のPL阻害ペプチドまたはPL結合ペプチドの実質的に同じ構造的および/または機能的特性を有する合成化学化合物をいう。この模倣物は、アミノ酸の合成の非天然アナログから完全に構成され得るか、または、一部天然のペプチドアミノ酸および一部非天然のアミノ酸のアナログのキメラ分子である。この模倣物はまた、以下のような置換がまた模倣物の構造および/または阻害もしくは結合活性を実質的に変化させない限りは、任意の量の天然のアミノ酸の保存性置換を組み込み得る。保存性変異体である本発明のポリペプチドと同様に、日常的な実験は、模倣物が本発明の範囲内にあるか否か、すなわち、その構造および/または機能が実質的に変化されないことを決定する。従って、模倣物組成物は、それがPDZドメインに結合することおよび/またはPL-PDZ相互作用を阻害することができる場合に、本発明の範囲内にある。
ペプチド模倣物組成物は、非天然構造的成分の任意の組み合わせを含み得、これらは、代表的には3つの構造的グループからなる:a)天然のアミド結合(「ペプチド結合」)の連結以外の残基の連結基;b)天然に存在する残基の代わりの非天然残基;またはc)二次構造の模倣を誘導する、すなわち、二次構造(例えば、βターン、γターン、βシート、αヘリックスのコンホメーションなど)を誘導または安定化するための残基。
ポリペプチドは、その残基のすべてまたはいくつかが天然のペプチド結合以外の化学的手段によって結合される場合に模倣物として特徴付けられ得る。個々のペプチド模倣物残基は、ペプチド結合、他の化学結合、またはカップリング手段(例えば、グルタルアルデヒド、N-ヒドロキシスクシニミドエステル、二官能性マレイミド、N,N=-ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、またはN,N=-ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)のような手段)によって結合され得る。従来的なアミノ結合(「ペプチド結合」)の連結に対する代替物であり得る結合基には、例えば、ケトメチレン(例えば、-C(=O)-NH-に対する-C(=O)-CH2-)、アミノメチレン(CH2-NH)、エチレン、オレフィン(CH=CH)、エーテル(CH2-O)、チオエステル(CH2-S)、テトラゾール(CN4-)、チアゾール、レトロアミド、チオアミド、またはエステルが含まれる(例えば、Spatola(1983)in Chemistry and Biochemistry of Amino Acids, Peptides and Proteins, Vol. 7, pp 267-357, A Peptide Backbone Modifications, Marcell Dekker, NYを参照されたい)。
ポリペプチドはまた、天然に存在するアミノ酸残基の代わりにすべてまたはいくつかの非天然残基を含むことによる模倣物として特徴付けられ得る。非天然残基は、科学文献および特許文献において十分に記載されている:天然アミノ酸残基の模倣物として有用ないくつかの典型的な非天然組成物およびガイドラインは以下に記載される。
芳香族アミノ酸の模倣物は、例えば、D-またはL-ナフチルアラニン;D-またはL-フェニルグリシン;D-またはL-2 チエネイルアラニン;D-またはL-1、-2、3-、または4-ピレネイルアラニン;D-またはL-3 チエネイルアラニン;D-またはL-(2-ピリジニル)-アラニン;D-またはL-(3-ピリジニル)-アラニン;D-またはL-(2-ピラジニル)-アラニン;D-またはL-(4-イソプロピル)-フェニルグリシン;D-(トリフルオロメチル)-フェニルグリシン;D-(トリフルオロメチル)-フェニルアラニン;D-p-フルオロフェニルアラニン;D-またはL-p-ビフェニルフェニルアラニン;K-またはL-p-メトキシビフェニルフェニルアラニン;D-またはL-2-インドール(アルキル)アラニン;およびD-またはL-アルキルアラニンによって置換することによって生成され得、ここでアルキルは、置換されているかまたは非置換の、メチル、エチル、プロピル、ヘキシル、ブチル、ペンチル、イソプロピル、イソ-ブチル、sec-イソチル、イソ-ブチル、または非酸性アミノ酸であり得る。非天然アミノ酸の芳香環には、例えば、チアゾリル、チオフェニル、ピラゾリル、ベンズイミダゾリル、ナフチル、フラニル、ピロリル、およびピリジルの芳香環が含まれる。
酸性アミノ酸の模倣物は、例えば、同時に負電荷を保持している非カルボン酸アミノ酸;(ホスホノ)アラニン;硫酸化スレオニンによる置換によって精製され得る。カルボキシル側鎖基(例えば、アスパルチルまたはグルタミル)もまた、例えば、1-シクロヘキシル-3(2-モルホリニル-(4-エチル)カルボジイミドまたは1-エチル-3(4-アゾニア-4,4-ジメトルペンチル(dimetholpentyl)カルボジイミド)のようなカルボジイミド(R=-N-C-N-R=)との反応によって選択的に修飾され得る。アスパルチルまたはグルタミルもまた、アンモニウムイオンとの反応によってアスパラギニル残基およびグルタミニル残基に転換され得る。
塩基性アミノ酸の模倣物は、例えば、(リジンおよびアルギニンに加えて)アミノ酸オルニチン、シトルリン、または(グアニジノ)-酢酸、または(グアニジノ)アルキル-酢酸(ここでアルキルは上記に定義した通りである)との置換によって生成され得る。亜硝酸塩誘導体(例えば、COOHの代わりにCN-部分を含む)がアルパラギンまたはグルタミンの代わりに置換され得る。アスパラギニル残基およびグルタミニル残基が対応するアスパルチル残基またはグルタミル残基の脱アミノされ得る。
アルギニン残基模倣物は、好ましくはアルカリ条件下で、例えば、フェニルグリオキサール、2,3-ブタンジオン、1,2-シクロヘキサンジオン、またはニンヒドリンを含む、例えば、1種または複数の従来的な試薬とアルギニンを反応させることによって生成され得る。
チロシン残基模倣物は、例えば、芳香族性ジアゾニウム化合物またはテトラニトロメタンとチロシルとを反応させることによって生成され得る。N-アセチルイミジゾールおよびテトラニチロメタンは、O-アセチルチロシル種および3-ニトロ誘導体をそれぞれ形成するために使用され得る。
システイン残基模倣物は、例えば、2-クロロ酢酸またはクロロアセトアミドおよび対応するアミンのようなα-ハロ酢酸をシステニルを反応させて、カルボキシメチル誘導体およびカルボキシアミドメチル誘導体を与えることによって生成され得る。システイン残基模倣物はまた、例えば、ブロモトリフルオロアセトン、α-ブロモ-(5-イミドゾイル)プロピオン酸;クロロアセチルホスフェート、N-アルキルマレイミド、3-ニトロ-2-ピリジルジスルフィド;メチル2-ピリジルジスルフィド;2-クロロ水銀-4ニトロフェノール;クロロ-7-ニトロベンゾ-オキサ-1,3-ジアゾールと、システニル残基を反応させることによって生成され得る。
リジン模倣物は、例えば、コハク酸または他のカルボン酸無水物と、リジニルを反応させることによって生成され得る(およびアミノ末端残基が変化され得る)。リジンおよび他のα-アミノ-含有残基模倣物はまた、メチルピコリンイミデートのようなイミドエステル、ピリドキサルリン酸、ピリドキサル、クロロボロハイドライド、トリニトロベンゼンスルホン酸、O-メチルイソウレア、2,4-ペンタンジオンとの反応、およびグリオキシレートとのトランスアミダーゼ触媒反応によって生成され得る。
メチオニンの模倣物は、例えば、メチオニンスルホキサイドとの反応によって生成され得る。プロリンの模倣物には、例えば、ピペコリン酸、チアゾリジンカルボン酸、3-または4-ヒドロキシプロリン、デヒドロプロリン、3-または4-メチルプロリン、または3,3,-ジメチルプロリンが含まれる。ヒスチジン残基模倣物には、例えば、ジエチルプロカーボネートまたはパラ-ブロモフェナシルブロミドと、ヒスチジルを反応させることによって生成され得る。
他の模倣物には、例えば、プロリンおよびリジンのヒドロキシル化;セリル残基またはスレオニル残基のヒドロキシル基のリン酸化;リジン、アルギニン、およびヒスチジンのαアミノ基のメチル化;N末端アミンのアセチル化;主鎖のアミド残基のメチル化もしくはN末端アミノ酸の置換;またはC末端カルボキシル基のアミド化によって生成されるものである。
天然のポリペプチドの構成成分(例えば、PLポリペプチドまたはPDZポリペプチド)もまた、反対のキラリティーのアミノ酸(またはペプチド模倣物残基)によって置き換えされ得る。従って、L-配置の天然に存在する任意のアミノ酸(化学物質の構造に依存してRまたはSともまたいわれる)は、同じ化学構造の型のアミノ酸、またはペプチド模倣物であるが、反対のキラリティーであり、一般的にDアミノ酸といわれるがR型またはS型と付加的にいわれ得るものと置換され得る。
本発明の模倣物はまた、構造的な模倣物残基、特に、例えば、βターン、βシート、αヘリックス構造、γターンなどのような二次構造を誘導するかまたは模倣する残基を含有する組成物を含み得る。例えば、ペプチド中での、天然のアミノ酸の、D-アミノ酸;N-α-メチルアミノ酸;C-α-アミノ酸;またはデヒドロアミノ酸による置換は、βターン、γターン、βシート、またはαヘリックスのコンホメーションを誘導または安定化し得る。βターン模倣物構造は、例えば、Nagai (1985) Tet. Lett 26:647-650; Feigl (1986) J. Amer. Chem. Soc. 108: 181-182; Kahn (1988) J. Amer. Chem. Soc. 110: 1638-1639; Kemp (1988) Tet. Lett. 29: 5057-5060; Kahn (1988) J. Molec. Recognition 1: 75-79によって記載されてきた。βシート模倣物構造は、例えば、Smith (1992) J. Amer. Chem. Soc. 114: 10672-10674によって記載されてきた。例えば、シスアミド代用物、1,5-二置換テトラゾールによって誘導されるVI型βターンは、Beusen (1995) Biopolymers 36: 181-200によって記載されている。アミド結合の代用物としてポリメチレン単位を生成するためのアキラルなωアミノ酸残基の取り込みは、Banerjee (1996) Biopolymers 39: 769-777によって記載されている。ポリペプチドの二次構造は、例えば、高磁場1H NMRまたは二次元NMRスペクトル分析法(例えば、Higgins (1997) J. Pept. Res. 50: 421-435を参照されたい)によって分析され得る。Hruby (1997) Biopolymers 43:219-266、Balaji, et. al., U.S.特許第5,612,895号もまた参照されたい。
本明細書中で使用される場合、「ペプチド変異体」および「保存性アミノ酸置換」とは、類似の特性(サイズ、極性、疎水性などに基づく)を有するアミノ酸残基の置換によって参照ペプチド(例えば、特定されたPLタンパク質のカルボキシ末端の配列を有するペプチド)とは異なるペプチドをいう。従って、本発明の範囲に含まれる化合物が指定されたクラスのアミノ酸残基によって部分的に規定される限りにおいて、そのアミノ酸は、アミノ酸側鎖の特性に主として依存して、一般的に3つの主要なクラス:親水性アミノ酸、疎水性アミノ酸、およびシステイン様アミノ酸に分類され得る。これらの主要なクラスはさらにサブクラスに分けられ得る。親水性アミノ酸は酸性、塩基性、または極性の側鎖を含み、疎水性アミノ酸は芳香族性および非極性の側鎖を含む。非極性アミノ酸は、とりわけ、脂肪族アミノ酸を含むようにさらに細分され得る。アミノ酸の定義は、本明細書中で使用される場合、以下の通りである。
「疎水性アミノ酸」とは、生理的pHでは電荷を有さず、かつ水溶液によってはじかれる側鎖を有するアミノ酸をいう。遺伝的にコードされる疎水性アミノ酸の例には、Ile、Leu、およびValが含まれる。遺伝的にコードされない疎水性アミノ酸の例には、t-BuAが含まれる。
「芳香族性アミノ酸」とは、共役π電子系(芳香族基)を有する少なくとも1つの環を含む側鎖を有する疎水性アミノ酸をいう。芳香族基は、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヒドロキシル基、スルファニル基、ニトロ基、およびアミノ基、ならびに他の基のような基でさらに置換され得る。遺伝的にコードされた芳香族アミノ酸の例には、Phe、Tyr、およびTrpが含まれる。一般的に出くわす遺伝的にコードされない芳香族アミノ酸には、フェニルグリシン、2-ナフチルアラニン、β-2-チエニルアラニン、1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-3-カルボン酸、4-クロロ-フェニルアラニン、2-フルオロフェニル-アラニン、3-フルオロフェニルアラニン、および4-フルオロフェニルアラニンが含まれる。
「非極性アミノ酸」とは、生理的pHでは一般的に電荷を有さず、かつ極性でない側鎖を有する疎水性アミノ酸をいう。遺伝的にコードされた非極性アミノ酸の例には、Gly、Pro、およびMetが含まれる。コードされていない非極性アミノ酸の例にはChaが含まれる。
「脂肪族アミノ酸」とは、飽和もしくは不飽和の直鎖、分枝状、または環状の炭化水素側鎖を有する非極性アミノ酸をいう。遺伝的にコードされた脂肪族アミノ酸の例には、Ala、Leu、Val、およびIleが含まれる。コードされていない脂肪族アミノ酸の例にはNleが含まれる。
「親水性アミノ酸」とは、水溶液によって引き付けられる側鎖を有するアミノ酸をいう。遺伝的にコードされた親水性アミノ酸の例にはSerおよびLysが含まれる。コードされていない親水性アミノ酸の例にはCitおよびhCysが含まれる。
「酸性アミノ酸」とは、7未満の側鎖pK値を有する親水性アミノ酸をいう。酸性アミノ酸は、代表的には、水素イオンを失うことにより生理的pHでは負に荷電する側鎖を有する。遺伝的にコードされた酸性アミノ酸の例にはAspおよびGluが含まれる。
「塩基性アミノ酸」とは、7より大きい側鎖pK値を有する親水性アミノ酸をいう。塩基性アミノ酸は、代表的には、ヒドロニウムイオンとの結合によって生理的pHでは正に荷電する側鎖を有する。遺伝的にコードされた塩基性アミノ酸の例には、Arg、Lys、およびHisが含まれる。遺伝的にコードされていない塩基性アミノ酸には、非環状アミノ酸オルニチン、2,3-ジアミノプロピオン酸、2,4-ジアミノ酪酸、およびホモアルギニンが含まれる。
「極性アミノ酸」とは、生理的pHでは電荷を有さないが、2つの原子によって共通して共有されている電子対が原子の一方によってより密接に保持される結合を有する側鎖を有する親水性アミノ酸をいう。遺伝的にコードされた極性アミノ酸の例には、AsxおよびGlxが含まれる。遺伝的にコードされていない極性アミノ酸の例には、シトルリン、N-アセチルリジン、およびメチオニンスルホキシドが含まれる。
「システイン様アミノ酸」とは、ジスルフィド結合のような、別のアミノ酸残基の側鎖との共有結合を形成することができる側鎖を有するアミノ酸をいう。代表的には、システイン様アミノ酸は、一般的には、少なくとも1つのチオール(SH)基を含む側鎖を有する。遺伝的にコードされたシステイン様アミノ酸の例にはCysが含まれる。遺伝的にコードされていないシステイン様アミノ酸の例には、ホモシステインおよびペニシラミンが含まれる。
当業者によって理解されるように、上記の分類は絶対的なものではない。いくつかのアミノ酸は1つより多くの特徴的な性質を示し、それゆえに1つより多くのカテゴリーに含まれ得る。例えば、チロシンは芳香環と極性ヒドロキシル基の両方を有する。従って、チロシンは二重の特性を有し、そして芳香族性と極性の両方のカテゴリーに含まれ得る。同様に、システインは、ジスルフィド結合を形成することができることに加えて非極性の特性を有する。従って、疎水性または非極性のアミノ酸として厳密には分類されないが、多くの場合において、システインは、ペプチドに疎水性を付与するために使用され得る。
本発明のペプチドおよびペプチドアナログがそれから構成され得る、遺伝的にコードされていない特定の一般的に出くわすアミノ酸には、β-アラニン(b-Ala)、および3-アミノプロピオン酸(Dap)、2,3-ジアミノプロピオン酸(Dpr)、4-アミノ酪酸などのような他のωアミノ酸;α-アミノイソ酪酸(Aib);ε-アミノヘキサン酸(Aha);δ-アミノ吉草酸(Ava);N-メチルグリシンまたはサルコシン(MeGly);オルニチン(Orn);シトルリン(Cit);t-ブチルアラニン(t-BuA);t-ブチルグリシン(t-BuG);N-メチルイソロイシン(MeIle);フェニルグリシン(Phg);シクロヘキシルアミン(Cha);ノルロイシン(Nle);2-ナフチルアラニン(2-Nal);4-クロロフェニルアラニン(Phe(4-Cl));2-フルオロフェニルアラニン(Phe(2-F));3-フルオロフェニルアラニン(Phe(3-F));4-フルオロフェニルアラニン(Phe(4-F));ペニシラミン(Pen);1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-3-カルボン酸(Tic);β-2-チエニルアラニン(Thi);メチオニンスルホキサイド(MSO);ホモアルギニン(hArg);N-アセチルリジン(AcLys);2,3-ジアミノ酪酸(Dab);2,3-ジアミノ酪酸(Dbu);p-アミノフェニルアラニン(Phe(pNH2));N-メチルバリン(MeVal);ホモシステイン(hCys)およびホモセリン(hSer)が含まれるがこれらに限定されない。これらのアミノ酸はまた、上記に定義したカテゴリーに都合よくおさまる。
上記に記載した遺伝的にコードされたアミノ酸および遺伝的にコードされていないアミノ酸の分類は以下の表1に要約されている。表1は例示目的のみのためであって、本明細書中に記載されるペプチドおよびペプチドアナログを含み得るアミノ酸残基の包括的なリストであることを意図するものではないことが理解されるべきである。本明細書中に記載されるペプチドおよびペプチドアナログを作製するために有用な他のアミノ酸残基は、例えば、Fasman, 1989, CRC Practical Handbook of Biochemistry and Molecular Biology, CRC Press, Inc.、およびそこに引用される参考文献において見い出され得る。本明細書中で具体的に言及されないアミノ酸は、詳細に同定されたアミノ酸を比較して、既知の振る舞いおよび/またはそれらの特徴的な化学的特性および/または物理学的特性に基づいて上記のカテゴリーに好都合に分類され得る。
本明細書中で記載されるPDZドメインの場合において、特定のPDZドメインの「HPV E6結合変異体」は、HPV H6 PDZリガンド結合活性を保持するPDZドメイン変異体である。PDZ変異体がHPV E6を結合するか否かを決定するためのアッセイは以下に非常に詳細に記載されており、それを変異体にするための特定のPDZドメイン中の変化するアミノ酸を同定するためのガイドラインは種々の情報源において見い出され得る。1つの例において、PDZドメインは、本明細書中に記載される他のPDZドメインと比較され得、例えば、対応する位置のアミノ酸は置換され得る。別の例において、特定のPDZタンパク質のPDZドメインの配列が、別の種からの等価なPDZタンパク質中の等価なPDZドメインの配列と比較され得る。例えば、ヒトPDZドメインからのPDZドメインの配列が、他の種(例えば、マウス、ラットなど)からの他の公知でありかつ等価なPDZドメインの配列と比較され得、2つの配列間で変異型である任意のアミノ酸が、PDZドメインの変異体を作製するようにヒトPDZドメインに置換され得る。例えば、ヒトMAGI-1 PDZドメイン2の配列が、その変異体を作製するためにヒトMAGI-1-PDZドメインに置換され得るアミノ酸を同定するために他の種からの等価なMAGI-1 PDZドメイン(例えば、マウスGenbank gi番号7513782および28526157または他の相同配列)と比較され得る。このような方法は、本明細書中に記載されるMAGI-1 PDZドメインのいずれかに適用され得る。最小のMAGI-PDZドメイン2配列は、配列番号:293-301として提供される。特定の変異体は、配列表に示される配列と比較して、5まで、約10まで、約15まで、約20まで、または約30以上まで、通常約50までのアミノ酸の変化を有し得る。典型的なMAGI-1 PDZ変異体には、配列番号:302-330において示される配列が含まれる。変異体を作製する際に、GFGモチーフがPDZドメイン中に存在するならば、それは配列が変化されるべきではない。
一般的に、変異体PDZドメインポリペプチドは、デフォルトパラメーターを使用してBLAST2.0によって測定された場合に、全体のPDZドメインにわたる拡がる領域にわたって、本明細書中に記載される変異体PDZドメインポリペプチドと、少なくとも70または80%、通常少なくとも約90%、およびより通常には少なくとも約98%の配列同一性を有する。
本明細書中で使用される場合、「検出可能な標識」は、当該分野における通常の意味を有し、原子(例えば、放射性核種)、分子(例えば、フルオロセイン)、または複合体をいい、これは、分子の存在を検出するため(例えば、物理的特性および化学的特性によって)、分子の存在を示すため、または、それが共有結合するかもしくは他の方法で結合する別の分子の結合を可能にするためであるか、あるいはそれらのために使用され得る。用語「標識」はまた、共有結合または他の方法で結合した、検出可能な原子、分子、または複合体を生じるように基質に作用する分子(例えば、酵素のような生体分子)をいう。本発明における使用のために適切な検出可能な標識には、分光学的、光化学的、生化学的、免疫化学的、電気的、光学的、または化学的な手段によって検出可能な任意の組成物が含まれる。本発明において有用な標識には、標識されたストレプトアビジン結合体、磁気ビース(例えば、Dynabeads(商標))、蛍光色素(例えば、フルオレセイン、Texas red、ローダミン、グリーン蛍光タンパク質、増強グリーン蛍光タンパク質など)、放射性標識(例えば、3H、125I、35S、14C、または32P)、酵素(例えば、ヒドロラーゼ、特にアルカリホスファターゼのようなホスファターゼ、エステラーゼ、およびグリコシダーゼ、または特に、西洋ワサビペルオキシダーゼのようなペルオキシダーゼ、およびELISAにおいて一般的に使用される他の酵素)、基質、コファクター、インヒビター、化学発光基、色素原性剤、コロイド金または着色したガラスもしくはプラスチック(例えば、ポリスチレン、ポリプロピレン、ラテックスなど)ビーズのような比色分析用標識が含まれる。このような標識の使用を教示する特許には、U.S.特許番号3,817,837;3,850,752;3,939,350;3,996,345;4,277,437;4,275,149;および4,366,241が含まれる。このような標識を検出する手段は当業者に周知である。従って、例えば、放射性標識および化学発光標識は、写真用フィルムおよびシンチレーションカウンターを使用して検出され得、蛍光マーカーは放射光を検出するために光検出器を使用して検出され得る(例えば、蛍光活性化セルソーティングとして)。酵素標識は、代表的には、酵素に基質を提供すること、および基質に対する酵素の作用によって生じる反応生成物を検出することによって検出され、比色分析用標識は、着色した標識を単に可視化することによって検出される。従って、標識は、分光学的、光化学的、生化学的、免疫化学的、電気的、光学的、または化学的な手段によって検出可能な任意の組成物である。標識は、当該分野において周知の方法に従って所望されるアッセイの成分に直接的または間接的に連結され得る。非放射性標識は、しばしば、間接的な手段によって付属され得る。一般的に、リガンド分子(例えば、ビオチン)が分子に共有結合される。次いで、リガンドは、固有に検出可能であるか、または、検出可能な酵素、蛍光化合物、もしくは化学発光化合物のようなシグナル生成系に共有結合されているかのいずれかである、アンチリガンド(例えば、ストレプトアビジン)分子に結合する。多数のリガンドおよびアンチリガンドが使用され得る。リガンドが天然のアンチリガンド(例えば、ビオチン、チロキシン、およびコルチゾール)を有する場合、標識された、天然に存在するアンチリガンドと組み合わせて使用され得る。代替的には、任意のハプテン性または抗原性化合物が抗体と組み合わせて使用され得る。分子はまた、シグナル生成化合物に直接的に、例えば、酵素または蛍光団との結合体化によって結合体化され得る。標識を検出する手段は当該分野において周知である。従って、例えば、標識が放射活性標識である場合、検出の手段には、シンチレーションカウンター、オートラジオグラフィーにおけるような写真用フィルム、または蓄積リン画像化(storage phosphor imaging)が含まれる。標識が蛍光標識である場合、それは適切な波長の光で蛍光色素を励起すること、および得られる蛍光を検出することによって検出され得る。蛍光は、写真用フィルムによって視覚的に、電荷結合素子(CCD)または光電子増倍管などのような電子検出器の使用によって、検出され得る。同様に、酵素標識は、酵素のための適切な基質を提供すること、および得られる反応生成物を検出することによって検出され得る。また、単純な比色定量用標識は、標識に付随する色を観察することによって検出され得る。蛍光団の対がアッセイにおいて使用される場合、それらは別個の放射パターン(波長)を有し、その結果それらは容易に区別され得ることがしばしば好ましいことが認識される。
本明細書中で使用される場合、用語「実質的に同一である」は、アミノ酸配列を比較する文脈において、最大一致のために比較および整列された場合に、少なくとも約70%、少なくとも約80%、または少なくとも約90%のアミノ酸残基の同一性を有する配列を意味する。配列同一性パーセントおよび配列類似性パーセントを決定するために適切なアルゴリズムはFASTAアルゴリズムであり、これは、Pearson, W.R.およびLipman, D.J., 1998, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 85: 2444において記載されている。W. R. Pearson, 1996, Methods Enzymol. 266: 227-258もまた参照されたい。同一性パーセントを計算するためにDNA配列のFASTAアラインメントにおいて使用される好ましいパラメーターは、最適化された、BL Matrix 15:-5、k-tuple=2;結合ペナルティー=40、最適化=28;ギャップペナルティー=-12、ギャップ長ペナルティー=-2、および幅=16である。
本明細書中で使用される場合、用語「サンドイッチ」、「サンドイッチELISA」、「サンドイッチ診断」、および「捕捉ELISA」は、すべて2つの異なる試験薬剤を用いる生物学的ポリペプチドを検出する概念をいう。例えば、PDZタンパク質は、固体支持体に直接的または間接的に付着され得る。試験試料は表面を通過し得、PDZタンパク質はそのコグネートPLタンパク質を結合し得る。次いで、標識された抗体または代替的な検出剤は、特定のPLタンパク質がPDZタンパク質を結合したか否かを決定するために使用され得る。
「固相支持体」または「キャリア」によって、ポリペプチド、抗原、または抗体に結合することができる任意の支持体が意図される。周知の支持体またはキャリアには、ガラス、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、デキストラン、ナイロン、アミラーゼ、天然のおよび修飾されたセルロース、ポリアクリルアミド、アガロース、ならびにマグネタイトが含まれる。キャリアの性質は、本発明の目的のために、ある程度まで可溶性であるか、または不溶性であるかのいずれかであり得る。支持体材料は、結合した分子がPDZドメインまたはE6抗体に結合することができる限りは、実質的に任意の可能な構造的形状を有し得る。従って、支持体形状は、ビーズ中におけるように球状、または試験管の表面もしくはロッドの外表面におけるように円筒状であり得る。代替的には、表面は、シート、培養ディッシュ、試験ストリップなどのように平坦であり得る。当業者は、抗体、ペプチド、または抗原を結合するために適切な多くの他のキャリアを知っており、または日常的な事件によってそれを確かめることができる。
本明細書中で使用される場合、用語「試験化合物」または「試験薬剤」は交換可能に使用され、エンハンサー/アゴニスト、またはインヒビター/アンタゴニストの活性(例えば、PDZ-PL結合のような相互作用を阻害または増強すること)を有し得る候補薬剤をいう。候補薬剤または試験化合物は、天然に存在するものおよび合成のもの、有機および無機の、非常に多種多様な化合物のいずれかであり得、およびポリマー(例えば、オリゴペプチド、ポリペプチド、オリゴヌクレオチド、およびポリヌクレオチド)、低分子、抗体(本明細書中に広範に定義されるように)、糖、脂肪酸、ヌクレオチド、およびヌクレオチドアナログ、天然に存在構造のアナログ(例えば、ペプチド模倣物、核酸アナログなど)、および多数の他の化合物を含む。特定の態様において、試験薬剤は、ランダムもしくはコンビナトリアルライブラリー、または非ペプチドライブラリーのような多様なライブラリーから調製される。使用され得る多くのライブラリーは当該分野において公知であり、例えば、化学合成されたライブラリー、組換え(例えば、ファージディスプレイ)、およびインビトロ翻訳に基づくライブラリーである。化学合成されたライブラリーの例は、
に記載されている。ファージディスプレイライブラリーの例は、
に記載されている。インビトロ翻訳に基づくライブラリーには、1991年4月18日の日付のPCT公開番号WO91/05058;Mattheakisら、Proc, Natl. Acad. Sci. USA 91:9022-9026に記載されるものが含まれるがこれらに限定されない。非ペプチドライブラリーの例の目的で、ベンゾジアゼピンライブラリー(例えば、Buninら、1994, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91:4708-4712)が使用のために適合され得る。ペプトイドライブラリー(Simonら、1992, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:9367-9371)もまた使用され得る。ペプチドにおけるアミド官能基が化学的に転換されたコンビナトリアルライブラリーを生成するために過メチル化されている、使用され得るライブラリーの例は、Ostreshら(1994, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91:11138-11142)によって記載される。
用語「特異的に結合する」とは、多くの他の多様な分子の存在下においてでさえ、別の特定の分子(レセプター)と結合する分子の能力(すなわち、分子の不均一な混合物中での1つの分子の別の分子に対する優先的な結合を示すこと)によって特徴付けされる、2つの分子(例えば、リガンドおよびレセプター)の間の結合をいう。レセプターへのリガンドの特異的な結合はまた、過剰の標識されていないリガンドの存在下での、検出可能に標識されたリガンドのレセプターへの結合の減少によって証明される(すなわち、結合競合アッセイ)。
いくつかの態様において、「プロテアソームインヒビター」、すなわち、プロテアソームのインヒビターが使用され得る。これらのインヒビターは、カルボベンゾキシル-ロイシニル-ロイシニル-l norvalinal II(MG115)またはCBZ-LLLを含み、化学品の供給会社(例えば、Sigma)から購入され得る。当業者が理解するように、プロテアソームインヒビターはプロテアーゼインヒビターではない。
本明細書中で使用される場合、PDZタンパク質(または対応するPDZドメインもしくはPDZ融合ポリペプチド)の「複数性」は、その通常の意味を有する。いくつかの態様において、複数性は少なくとも5、およびしばしば少なくとも25、少なくとも40、または少なくとも60の異なるPDZタンパク質である。いくつかの態様において、複数性は、表2に列挙されたPDZポリペプチドのリストから選択される。いくつかの態様において、異なるPDZタンパク質の複数性は、特に特定化された組織または細胞の特定のクラスもしくは型に由来する(すなわち、そこで発現する)。いくつかの態様において、異なるPDZタンパク質の複数性は、組織または細胞において発現されることが知られているか、またはそのことが疑われる、PDZタンパク質のすべて(例えば、リンパ球または造血細胞中に存在することが知られているPDZタンパク質のすべて)の実質的な画分(例えば、代表的には、少なくとも50%、より頻繁には少なくとも80%)を表す。いくつかの態様において、複数性は、特定の細胞中で発現されると本明細書中で開示されるPDZタンパク質の、少なくとも50%、通常少なくとも80%、少なくとも90%、またはすべてである。
PLペプチド(または対応するタンパク質、例えば、表3もしくは本明細書中の別の箇所に列挙されるものに対応するタンパク質)という場合に、「複数性」とは、少なくとも5、少なくとも10、およびしばしば、少なくとも16のPL、例えば、本明細書中に具体的に列挙されるもの、またはPDZドメインについて上記に示されたクラスおよびパーセンテージをいうことができる。
II. 概要
本発明者らは、種々の生理学的系の生物学的機能において顕著な役割を果たし得る、PDZタンパク質とPLタンパク質との間の非常に多数の相互作用を同定した。本明細書中で使用される場合、用語「生物学的機能」は、細胞の文脈において、細胞によって通常実行される検出可能な生物学的活性、例えば、細胞増殖のような表現型の変化(例えば、癌)、細胞活性化、サイトカイン放出、脱顆粒、チロシンリン酸化、イオン(例えば、カルシウム)流入、代謝活性、アポトーシス、遺伝子発現の変化、細胞構造の維持、細胞移動、基質への付着、シグナル伝達、細胞-細胞相互作用、および本明細書中に記載されるかまたは当該分野において公知の他のものをいう。
相互作用は、多様な生理学的系に関与するタンパク質を含むので(上記の背景の部分を参照されたい)、本明細書中に提供される方法は、不適切な細胞表現型または病原性感染を広範にまたは選択的に診断するために利用され得る。PDZ:PLタンパク質相互作用を使用して、脊椎動物の生物学的試料が病原性生物を含むか否かを決定するための方法もまた、本明細書中で開示される。
以下に非常に詳細に議論されるように、診断的目的のためのPDZ-PL相互作用の使用は、多数の異なる試験形式を受容可能であり、かつ本明細書中の議論に限定されることを意図されない。診断的試験は、ELISAアッセイのために形式を整えられ得、これは、妊娠試験のために使用され得るようなディップスティック試験として、試験試料とインキュベートされ得るフィルム試験として、試料がその上に配置され得るスライド試験として、または他のこのような媒体としてである。このような形式は当該分野で周知であり、US特許6,180,417、4,703,017、5,591,645に記載される。
III. PDZタンパク質およびPLタンパク質の相互作用
表4は、本発明者らが互いに結合すると同定したPDZタンパク質およびPLタンパク質を列挙する。表4の各頁は4つのカラムを含む。各セクションにおけるカラムは、各セクションにおける最も左のカラムがカラム1であり、各セクションにおける最も右のカラムがカラム4であるように、左から右の番号である。従って、各セクションにおける第1のカラムは「HPV株」と表示され、試験されたPDZ-リガンド配列(PL)を含む種々のE6タンパク質を列挙する(括弧内に示される)。このカラムは、この結合研究において使用された20アミノ酸ペプチドのカルボキル末端に対応するC末端4アミノ酸を列挙する。すべてのリガンドは、アミノ末端でビオチン化され、部分配列は表3に提示される。
HPV E6-PLペプチドと相互作用するPDZタンパク質(または複数のタンパク質)は、「PDZ結合パートナー」と表示された第2のカラム中に列挙される。このカラムは、左側にPDZ-リガンドを相互作用するGST-PDZのPDZ部分についての遺伝子名を提供する。複数のドメインを有するPDZドメイン含有タンパク質については、ドメイン数がPDZの右に列挙され(すなわち、カラム4において「PDZドメイン」と表示される)、およびアミノ末端からカルボキシ末端に番号付けした場合の、PDZドメイン数を示す。この表は、より強い性質の相互作用、例えば、「Gアッセイ」において「4」または「5」分類を与えるもののみを列挙する。「分類」は、結合のレベルの尺度である。特に、それはPDZタンパク質に結合したPLペプチドの量を示す450nmにおける吸収の値を提供する。以下の数値の値は以下の意味を有する:「1」-A450nm 0-1;「2」-A450nm 1-2;「3」-A450nm 2-3;「4」-A450nm 3-4;「5」-A450nm 2回反復した4より大;「0」-A450nm 0、すなわち、相互作用が見い出されない。
表4の第3および第4のカラムは、試験された異なるE6 PLおよびより高いアフィニティーでそれらによって結合されるPDZを伴う、カラム1および2の単なる反復である。
これらのPLタンパク質およびPDZタンパク質に関するさらなる情報は、表2および3ならびに実施例4および5に提供される。特に、表3は、アッセイにおいて使用されたペプチドの部分アミノ酸配列のリストを提供する。左から右に番号付けされた場合、「HPV株」と表示された第1のカラムは、その株からのE6タンパク質をいうために使用されるHPV株の番号を提供する。「E6 C末端配列」と表示されたカラムは、E6タンパク質のカルボキシ末端の10アミノ酸の推定配列を提供する。「PL あり/なし」と表示された第3のカラムは、E6-PL配列がPDZドメインに結合することが予想される配列エレメントを含むか否かを示す。「発癌性」と表示された最後のカラムは、このHPV株が、National Cancer Institute(NCI, 2001)によって決定されたように子宮頸部癌を引き起こすことが知られていることを示す。
実施例5は、GST-PDZ融合タンパク質の酸性のためにベクター(PGEX-3X-ベクター)にクローニングされたPDZドメインの代表的な配列を列挙する(Pharmacia)。GST-PDZ融合タンパク質の産生のためにpGEXベクターにクローニングされたPDZドメインの拡張リストはUS特許09/724553に列挙される。
本明細書中に詳細に議論されるように、表2において列挙されるPDZタンパク質はPDZドメインを含む天然に存在するタンパク質である。顕著な相互作用のみがこの表において提示される。従って、本発明は、PDZタンパク質とPLタンパク質との間の相互作用の検出および調節に特に指向される。同様の様式において、他の病原体を結合するPDZドメインは感染を診断するために使用され得る。診断的適用のために適切な病原体からのPLタンパク質のさらなる例は表8に含まれるが、本発明の範囲を限定することを意図しない。
本発明の別の態様において、細胞の異常および疾患が、細胞のPDZタンパク質またはPLタンパク質の発現レベルの不均衡の検出を通して診断され得る。「Aアッセイ」または「Gアッセイ」に由来するアッセイにおいてPLタンパク質またはPDZタンパク質のいずれかを使用して、正常細胞または異常細胞における結合パートナーのタンパク質発現レベルを決定することができる。タンパク質発現レベルの違いが多数の疾患と相関されてきた。
本発明の特定の態様において、PDZタンパク質が病原性生物からPLタンパク質の存在を診断するために使用される。PL配列を有する病原性生物の例には、ヒトパピローマウイルス、B型肝炎ウイルス、アデノウイルス、ヒトT細胞白血病ウイルスのようなウイルス、細菌、および真菌が含まれるがこれらに限定されない。
IV. PDZタンパク質またはPDZ-リガンドタンパク質(PLタンパク質)の検出のためのアッセイ
「A」および「G」と呼ばれる2つの相補性アッセイが、PDZ-ドメインポリペプチドと候補PDZリガンドとの間の結合を検出するために開発された。2つの異なるアッセイの各々において、結合が、1つまたは複数のPDZドメインに結合することが予想されるタンパク質(すなわち、候補PLペプチド)のC末端に対応する配列を有するペプチドと、PDZドメインポリペプチド(代表的には、PDZドメインを含む融合タンパク質)との間で検出される。「A」アッセイにおいて、候補PLペプチドは固定され、固定化されたペプチドへの可能性PDZ-ドメインポリペプチドの結合が検出される(「A」アッセイは、1つの態様において、アビジン(avidin)表面がペプチドを固定化するために使用されるという事実に基づいて名付けられている)。「G」アッセイにおいては、PDZ-ドメインポリペプチドは固定化され、可溶性PLペプチドの結合が検出される(「G」アッセイは、1つの態様において、GST結合表面がPDZ-ドメインポリペプチドを固定化するために使用されるという事実に基づいて名付けられている)。これらのアッセイの好ましい態様は、以下に詳細に記載されている。しかし、これらのアッセイは、本発明の目的のために有用であり続けながら、多数の方法において修飾され得ることが当業者によって認識される。
A. PDZ-ドメインを含有する融合タンパク質の産生
GST-PDZドメイン融合タンパク質が本発明のアッセイにおける使用のために調製された。PDZコードドメインを含むPCR産物(上記に記載されるような)は、PDZドメインおよび異種ドメイン(すなわち、グルタチオン-Sトランスフェラーゼ配列、「GST」)を含む融合タンパク質の発現を可能にする発現ベクターにサブクローニングされた。PDZドメインコードDNAを表すPCR産物(すなわち、DNAフラグメント)は、「Sephaglas」ゲル抽出システム(Pharmacia)を製造業者の推奨に従って使用して、アガロースゲルから抽出された。
上記に述べられているように、PCRプライマーは、グルタチオン-Sトランスフェラーゼコード配列とインフレームでの、GST遺伝子融合ベクター(pGEX-3X;Pharmacia、GenBankアクセッション番号XXU13852)へのPCRフラグメントのライゲーションを容易にするためのエンドヌクレアーゼ制限部位を含むように設計された。このベクターは、IPTG誘導性lacZプロモーターを含む。pGEX-3Xベクターは、Bam HIおよびEco RIを用いて、またはある場合にはEco RIもしくはSma Iを用いて線状化され、そして脱リン酸化された。大部分のクローニングアプローチのために、Bam HIおよびEco RIを用いる二重消化が実行され、その結果、クローニングされるPCRフラグメントの末端がBam HIおよびEco RIであった。いくつかの場合において、使用された制限エンドヌクレアーゼの組み合わせは、Bgl IIおよびEco RI、Bam HIおよびMfe I、またはEco RIのみ、Sma Iのみ、もしくはBam HIのみであった。1つより多くのPDZドメインがクローニングされた場合、クローニングされたDNA部分は、PDZドメインおよび個々のドメイン間に位置するcDNA部分を表す。アッセイにおいて使用されたクローニングされたフラグメントの正確な位置は、US特許出願(60/360061)において示される。GST部分と、DNA部分を含むPDZドメインとの間のDNAリンカー配列は、上記に記載されたクローニング部位およびアプローチのどれが使用されたに依存してわずかに変化する。結果として、GST-PDZ融合タンパク質のアミノ酸配列は、GSTとPDZドメインとの間のリンカー領域において変化する。異なるクローニング部位/アプローチに対応するタンパク質リンカー配列は以下に示される。リンカー配列(コードされるベクターDNA)は太字であり、PDZドメイン含有遺伝子由来配列は斜字体である。
PDZコードPCRフラグメントおよび線状化されたpGEX-3Xベクターはエタノール沈殿され、10μlの標準的なライゲーション緩衝液中に懸濁された。ライゲーションは、T4 DNAリガーゼを使用して7℃で4-10時間実行された。得られる構築物のいくつかには、非常により短いリンカー配列が含まれること、および、複数のPDZドメインがクローニングされた場合、構築物は個々のPDZドメイン間に位置するいくつかのDNAを含んだことが理解される。
ライゲーション構築物は、DH5αまたはBL-21 E. coli細菌株に形質転換された。コロニーは、DNAを含むクローニングされたPDZドメインの存在および同定のために、ならびに、グルタチオンS-トランスフェラーゼをコードするDNA部分を有する正確な融合物について、PCRによっておよび配列分析によってスクリーニングされた。ポジティブクローンは、GST/PDZドメイン融合タンパク質の発現のための小スケールアッセイにおいて試験され、および、発現する場合、これらのクローンは、GST/PDZ融合タンパク質の大スケール調製のために引き続き増殖された。
GST/PDZ融合タンパク質は、培養培地へのIPTGの付加後に過剰発現され、そして精製された。小スケールおよび大スケールの融合タンパク質発現および精製の詳細な手順は、「GST Gene Fusion System」(第2版、改訂2版;Pharmaciaにより出版)において記載されている。手短に述べると、融合タンパク質構築物を有する細菌株(DH5α、BL21、またはJM109)を含む小培養(50ml)は、2×YT培地中で、37℃にて、適切な抗生物質選択(100μg/ml アンピシリン;a.k.a. 2×YT-amp)を用いて、一晩増殖された。この一晩培養物は、新鮮な2×YT-amp調製物(代表的には、1リットル)中に注がれ、培養物の光学密度(OD)が0.5と0.9との間になるまで(約2.5時間)増殖された。IPTG(イソプロピルβ-D-チオガラクトピラノシド)は1.0mMの最終濃度まで付加されて、GST融合タンパク質の産生を誘導し、そして培養物はさらに1時間増殖された。遠心分離を含むすべての以下の工程は、氷上でまたは4℃で実行された。細菌は遠心分離(4500×g)によって収集され、バッファーA(50mM Tris, pH 8.0, 50mM デキストロース、1mM EDTA、200μM フェニルメチルスルホニルフルオリド)中に再懸濁された。等量のバッファーA+(バッファーA、4mg/mlリゾチーム)が加えられ、そして細菌を溶解するために3分間氷上で、または溶解が開始するまでインキュベートされた。等量のバッファーB(10mM Tris, pH 8.0, 50mM KCl, 1mM EDTA, 0.5% Tween-20, 0.5% NP40(a.k.a. IGEPAL CA-630), 200μM フェニルメチルスルホニルフルオリド)が加えられ、さらに20分間、氷上でインキュベートされた。細菌細胞溶解物が遠心分離され(×20,000g)、そして上清が、20mlのSepharose Cl-4B(Pharmacia)「プレカラムビーズ」(すなわち、事前に3ベッド容量のPBSで洗浄された、結合体化グルタチオンのないセファロースビーズ)を含むカラム上に流された。フロースルーは、事前に1×リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)中で膨潤させた(再水和させた)グルタチオンSepharose 4B(Pharmacia、カタログ番号17-0765-01)に加え、30分間-1時間回転させながらインキュベートされた。上清-Sepharoseスラリーはカラムに注がれ、そして少なくとも20ベッド容量の1×PBSで洗浄された。GST融合タンパク質は、0.5-1.0mlのアリコートの5mMグルタチオンを適用することによってグルタチオンセファロースから溶出され、別々の画分として収集された。画分の濃度は、280nmの吸収を読み取ること、および吸収および吸収係数を使用して濃度を計算することによって決定された。最も高い濃度の融合タンパク質を含む画分はプールされ、等量の70%エタノールが35%の最終濃度グリセロールで加えられた。融合タンパク質は、「Sambrook」において記載されるように、SDSゲル電気泳動(PAGE)によってサイズおよび品質についてアッセイされた。融合タンパク質のアリコートは、-80℃および-20℃で保存された。
(表2)本発明のアッセイにおいて使用されるPDZドメイン
上記の表2において提供されるアミノ酸配列は融合タンパク質(例えば、GST)に由来するアミノ酸を含み得る。特に関心対象のPDZドメイン配列は、表2に提供される配列よりも20アミノ酸まで短く(例えば、5、8、10、12、または15アミノ酸短く)構成され得る。例えば、配列は、C末端、N末端、または両方の末端から、3、6、9、または12アミノ酸まで短くされ得る。
B. 候補PLタンパク質の同定およびペプチドの合成
特定のPDZドメインはPDZ結合タンパク質のC末端によって結合される。PLタンパク質を同定するために、配列のC末端残基は、、Arbor Vita Corporationにおいて同定されたPL(US特許出願60/360061)についてのさらなるコンセンサスを含む、PDZ-ドメイン含有タンパク質(例えば、Doyleら、1996, Cell 85, 1067; Songyangら、1997, Science 275, 73)に結合すると予想し得る配列について視覚的に検査された。表3はこれらのタンパク質のいくつかを列挙し、対応するC末端配列を提供する。
規定された配列の合成ペプチド(例えば、示されたタンパク質のカルボキシ末端に対応するもの)は、任意の標準的なレジンに基づく方法(例えば、U.S.特許番号第4,108,846号を参照されたい;Caruthersら、1980, Nucleic Acids Res. Symp. Ser., 215-223;Hornら、1980, Nucleic Acids Res. Symp. Ser., 225-232;Robergeら、1995, Science 269:202もまた参照されたい)によって合成され得る。本明細書中に記載されるアッセイにおいて使用されるペプチドはFMOCによって調製された(例えば、GuyおよびFields、1997, Meth. Enz. 289:67-83;WellingおよびAtherton、1997, Meth. Enz. 289:44-67を参照されたい)。いくつかの場合(例えば、本発明のAアッセイおよびGアッセイにおける使用のために)、ペプチドは、触媒量の塩基を有するジメチルスルホキシド中の4倍過剰のビオチンメチルエステルを用いる反応によってアミノ末端でビオチンで標識された。ペプチドは、適切な抗酸化剤(例えば、エタンジオール)の存在下で酸(例えば、トリフルオロ酢酸)を含むハライドを使用してレジンから切断され、および過剰の溶媒が凍結乾燥された。
凍結乾燥後、ペプチドは再溶解され得、および逆相高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって精製され得る。1つの適切なHPLC溶媒系には、水プラス0.1%トリフルオロ酢酸の基礎溶媒中、増加量のアセトニトリルプラス0.1%トリフルオロ酢酸が1分間あたり5mL流れるVydac C-18半調製的カラムが含まれる。HPLC精製後、ペプチドの同一性がMALDIカチオンモード質量分析法によって確認される。
C. PDZ-PL相互作用の検出
本発明者らは、以下に非常に詳細に記載される新規な高処理能力のスクリーニングアッセイを開発することによって、表4に要約される相互作用を同定することが部分的に可能であった。当該分野において知られている種々の他のアッセイ形式が、特定のタンパク質と特異的に反応性であるリガンドを選択するために使用され得る。例えば、固相ELISAイムノアッセイ、免疫沈殿、Biacore、およびウェスタンブロットアッセイが、PDZ-ドメインポリペプチドを特異的に結合するペプチドを同定するために使用され得る。上記に議論する場合、2つの異なる相補性アッセイがPDZ-PL相互作用を検出するために開発された。各々において、PDZ-PL対の1つの結合パートナーが固定化され、そして第2の結合パートナーの結合する能力が決定される。上記に記載されたこれらのアッセイは、数時間以内に何百から何千もの潜在的なPDZ-リガンド相互作用をスクリーニングするために容易に使用され得る。従って、これらのアッセイは、細胞におけるさらに多くの新規PDZ-PL相互作用を同定するために使用され得る。これらは、PDZ-PL相互作用のアンタゴニストを同定するために使用され得る(上記を参照されたい)。
種々の態様において、融合タンパク質は、本発明のアッセイおよびデバイスにおいて使用される。融合タンパク質を構築および発現するための方法は周知である。融合タンパク質は、一般的に、Ausubelら、前出、Krollら、1993, DNA Cell. Biol. 12:441、およびImaiら、1997, Cell 91:521-30に記載される。通常、融合タンパク質は、固体基剤へのタンパク質の固定化を容易にするための(「固定化ドメイン」)ドメインを含む。しばしば、固定化ドメインは、ポリヒスチジン(Bushら、1991, J. Biol Chem 266:13811-14)、SEAP(Bergerら、1988, Gene 66:1-10)、またはM1およびM2フラッグ(例えば、U.S.特許番号5,011,912;4,851,341;4,703,004;4,782,137を参照されたい)のようなエピトープタグ(すなわち、抗体、代表的にはモノクローナル抗体によって認識される配列)を含む。1つの態様において、固定化ドメインはGSTコードドメインである。PDZ-ドメインおよび、固定化された抗体、プロテインA、または表面と接触された他のものによって結合された特定の残基に加えて、タンパク質(例えば、融合タンパク質)がさらなる残基を含むことが認識される。いくつかの態様において、PDZ-ドメインに(すなわち、特定のPDZ-ドメインにおいて)天然に付随する残基が存在するが、これら合成の残基(例えば、ポリ(アラニン))または異種起源(例えば、例えば10残基から300残基の間のスペーサー)の残基を含み得る。
本発明の、本発明の方法において使用されるPDZドメイン含有ポリペプチド(例えば、PDZ融合タンパク質)は、代表的には、(1)所望のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を含むベクター(例えば、プラスミド、ファージ、またはファージミド)を構築すること、(2)適切な発現系(例えば、原核生物、昆虫、哺乳動物、または無細胞の発現系)にそのベクターを導入すること、(3)その融合タンパク質を発現させること、および(4)任意に、融合タンパク質を精製することによって構成される。
(1)1つの態様において、タンパク質の発現は適切な発現ベクター(すなわち、利用される発現系に必要とされる送球されるコード配列の転写および翻訳のための必要なエレメントを含むベクター)へのコード配列の挿入が含まれる。例えば、制御エレメントはエンハンサー、プロモーター、転写ターミネーター、複製基点、適切な開始コドン(例えば、メチオニン)、オープンリーディングフレーム、および翻訳調節シグナル(例えば、リボソーム結合部位、終止コドン、およびポリアデニル化配列)を含む。利用されるベクター系および宿主に依存して、構成的プロモーターおよび誘導性プロモーターを含む、任意の数の適切な転写エレメントおよび翻訳エレメントが使用され得る。
融合タンパク質のコード配列には、本明細書中の他の箇所で記載されるようなPDZドメインおよび固定化ドメインが含まれる。各ドメインについてのアミノ酸をコードするポリヌクレオチドは、当該分野において公知の種々の方法において入手され得;代表的には、ポリヌクレオチドは、クローニングされたプラスミド、cDNAライブラリー、およびRNAの逆転写によって生成されたcDNAのPCR増幅により、実施者によって決定された配列に基づいて設計されたプライマー、またはより頻繁には、公的に利用可能である(例えば、GenBankを通して)プライマー を使用して入手され得る。プライマーは、融合構築物の産生においてクローニングおよび操作を容易にするためのリンカー領域(例えば、制限部位を含む配列)を含む。PDZ領域および固定化領域に対応するポリヌクレオチドは、融合タンパク質コード配列を産生するためにインフレームで結合される。
本発明の融合タンパク質は、分泌タンパク質として発現され得る(例えば、融合遺伝子中にシグナル配列コードDNAを含むことによる;例えば、Luiら、1993, PNAS USA, 90:8957-61を参照されたい)。
いくつかの態様において、PDZ含有タンパク質またはPLポリペプチドは固体表面に固定化される。ペプチドが結合される基材には、任意の種々の形態、例えば、マイクロタイターディッシュ、試験管、ディップスティック、微量遠心チューブ、ビーズ、回転可能なディスク、浸透性もしくは半浸透性の膜などであり得る。適切な材料には、ガラス、プラスチック(例えば、ポリエチレン、PVC、ポリプロピレン、ポリスチレンなど)タンパク質、紙、炭水化物、膜単層もしくは指示された脂質二重層、フィルム、および他の固体支持体が含まれる。利用され得る他の材料には、セラミック、金属、メタロイド、半導体材料、セメントなどが含まれる。
いくつかの態様において、PDZおよび/またはPL融合タンパク質は、アレイとして組織化される。用語「アレイ」は、本明細書中で使用される場合、特定の異なる融合タンパク質(すなわち、異なるPDZドメインを有する)が基材上の異なるあらかじめ決定された部位に配置される、固体化された融合タンパク質の順序付けられた配置をいう。アレイ上の特定の融合タンパク質の位置が知られているので、その位置における結合が、その位置に位置付けられたPDZドメインへの結合と相関され得る。ビーズ上の融合タンパク質の固定化(個々にまたはグループで)は、別の特に有用なアプローチである。1つの態様において、個々の融合タンパク質はビーズ上に固定化される。1つの態様において、区別可能なビーズの混合物が使用される。区別可能なビーズは、サイズ、磁気特性、色(例えば、FACSを使用する)、またはアフィニティータグ(例えば、プロテインAでコートしたビーズは、IgGアフィニティー法を使用することによって、プロテインAでコートしていないビーズと分離され得る)に基づいて、互いに分離され得るビーズである。特定のPDZドメインへの結合が決定され得る。
タンパク質を固定化するための方法は公知であり、これには共有結合的方法および非共有結合的方法が含まれる。1つの適切な固定化方法は、抗体媒介固定化である。この方法に従って、タンパク質を含有するPDZ-ドメインの「固定化ドメイン」の配列について特異的な抗体が、それ自体基材上に固定化される(例えば、吸収によって)。このアプローチの1つの利点は、単一の抗体が基材に付着され得、および多数のポリペプチドの固定化のために使用され得る(同じ固定化ドメインを共有する)。例えば、ポリ-ヒスチジンからなる固定化ドメイン(Bushら、1991, J. Biol Chem 266:13811-14)は、抗ヒスチジンモノクローナル抗体(R&D Systems, Minneapolis, MN)によって結合され得;分泌型アルカリホスファターゼ(「SEAP」)からなる固定化ドメイン(Bergerら、1988, Gene 66:1-10)は、抗SEAP(Sigma Chemical Company, St. Louis, MO)によって結合され得;FLAGエピトープからなる固定化ドメインは、抗FLAGによって結合され得る。他のリガンド-アンチリガンド固定化もまた、適切である(例えば、プロテインA配列からなる固定化ドメイン(HarlowおよびLane, 1988, Antibodies A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory; Sigma Chemical Co., St. Louis, MO)はIgGによって結合され得;およびストレプトアビジンからなる固定化ドメインはビオチンによって結合され得る(HarlowおよびLane,前出; Sigma Chemical Co., St. Louis, MO))。好ましい態様において、固定化ドメインは、本明細書中に記載されるようなGST部分である。
抗体媒介固定化方法が使用される場合、ガラスおよびプラスチックが本質的に有用な基材である。基材は、ウェルを形成するために疎水性(例えば、テフロン)マスクを用いてプリントされ得る。14.5cm2あたり3、10、および21ウェルの「作業領域」を有するプレプリントされたガラススライドが、例えば、SPI Supplies, West Chester, PAから利用可能である;U.S.特許番号4,011,350もまた参照されたい。特定の適用において、96ウェル形式でプリントされた大きな形式(12.4cm×8.3cm)のガラススライドが使用される;この形式は、自動化液体取り扱い装置の使用および種々の型の(蛍光、比色分析、シンチレーションの)96ウェル形式プレートリーダーの利用を容易にする。しかし、より高い密度が使用され得る(例えば、cm2あたり10または100ポリペプチドより多く)。例えば、MacBeathら、2000, Science 289:1760-63を参照されたい。
代表的には、抗体は、基材(例えば、ガラス材料)に吸収によって結合される。適切な吸収条件は当該分野において周知であり、バッファー(例えば、PBS、または50から300mMのTris、MOPS、HEPES、PIPES、酢酸バッファー、pH 6.5から8、4℃)中の0.5-50μg/ml(例えば、10μg/ml)、37℃まで、および1時間から24時間より長いインキュベーションが含まれる。
タンパク質は、非特異的な結合を通して、共有結合され得るか、または非共有結合的に結合され得る。融合タンパク質と表面との間の共有結合が所望される場合、通常、表面は多官能基性であるか、または多官能基性にできる。表面上に存在しかつ結合のために使用され得る官能基には、カルボン酸、アルデヒド、アミノ基、シアノ基、エチレン基、ヒドロキシル基、メルカプト基などが含まれ得る。広範な種々の化合物を種々の表面に連結する様式は周知であり、文献において十分に例証されている。
典型的なアッセイは以下に示される。
(固定化されたPLペプチドを使用するPDZリガンド結合の「Aアッセイ」検出)
1つの局面において、本発明は、ビオチン化候補PLペプチドが、アビジンコートされた表面上に固定化されているアッセイを提供する。次いで、この表面へのPDZ-ドメイン融合タンパク質の結合が測定される。好ましい態様において、PDZ-ドメイン融合タンパク質はGST/PDZドメインタンパク質であり、アッセイは以下のように実行される。
(1)アビジンは表面、例えば、タンパク質結合表面に結合される。1つの態様において、アビジンは、カルシウムおよびマグネシウムを含まないリン酸緩衝化生理食塩水(「PBS」、GibcoBRL)中の20μg/mlのアビジン(Pierce)の、ウェル当たり100μlの添加により、4℃、12時間、ポリスチレン96ウェルプレート(例えば、Nunc Polysorb(カタログ番号475094))に結合される。次いで、プレートは、非特異的相互作用をブロックするために、100mLあたり2gの、プロテアーゼを含まないウシ血清アルブミンを含むPBS(「PBS/BSA」)の、ウェル当たり200μLの添加により、4℃で2時間処理される。次いで、プレートは、反復して、ウェル当たり200μLのPBSをプレートの各ウェルに加えること、次いでプレートの内容物を廃棄コンテナに排出すること、およびプレートを乾燥表面上で軽くたたくことによってPBSで3回洗浄される。
(2)ビオチン化されたPLペプチド(または候補PLペプチド、例えば、表3を参照されたい)は、ウェル当たり50μLの、PBS/BSA中0.4μMペプチドを加えることによって、4℃で30分間、プレートのウェルの表面上に固定化される。通常、各異なるペプチドが少なくとも8個の異なるウェルに加えられ、その結果、複数の測定(例えば、複製およびまた異なる(GST/PDZ-ドメイン融合タンパク質およびGST単独ネガティブ対照)を使用する測定)が作製され得、および、ペプチドが固定化されていないさらなるネガティブ対照ウェルがまた調製され得る。表面上でのPLペプチドの固定化後、プレートはPBSで3回洗浄される。
(3)GST/PDZ-ドメイン融合タンパク質(上記のように調製される)は、ウェル当たり50μLの、PBS/BSA中の5μg/mLのGST/PDZ-ドメイン融合タンパク質を含む溶液の添加によって表面と反応される。ネガティブ対照として、GST単独(すなわち、融合タンパク質でない)は特定のウェル、一般的には、各固定化ペプチドについて少なくとも2ウェル(すなわち、2連の測定)に加えられる。2時間の反応の後、プレートは、未結合の融合タンパク質を除去するためにPBSで3回洗浄される。
(4)アビジン-ビオチン化ペプチドへのGST/PDZ-ドメイン融合タンパク質の結合は、当該分野で公知の種々の方法、および検出器を使用して検出され得る。1つの態様において、ウェル当たり50μLのPBS/BSA中の抗GST抗体(例えば、2.5μg/mLのポリクローナルヤギ抗GST抗体、Pierce)がプレートに加えられ、4℃で20分間反応される。プレートはPBSで3回洗浄され、第2の検出可能な標識抗体が加えられる。1つの態様において、ウェル当たり50μLの、2.5μg/mLの西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)-結合体化ポリクローナルウサギ抗ヤギ免疫グロブリン抗体がプレートに加えられ、4℃で20分間反応される。プレートは、0.2% Tween 20を含む50mM Tris pH 8.0で5回洗浄し、ウェル当たり100μLのHRP-基質溶液(TMB、Dako)添加により、室温(RT)で20分間発色させた。HRPおよびその基質の反応は、ウェル当たり100μLの、1M硫酸の添加によって終結され、プレートの各ウェルの休校度(A)が450nmで読み取られる。
(5)PLペプチドおよびPDZ-ドメインポリペプチドの特異的結合は、PLペプチドおよびPDZドメインポリペプチドがバックグラウンドシグナルと合わさっている、ウェルからのシグナルを比較することによって検出される。バックグラウンドシグナルは、ネガティブ対照において見い出されるシグナルである。代表的には、特異的または選択的反応は、少なくともバックグラウンドシグナルの2倍であり、より代表的にはバックグラウンドの5倍より上、および最も好ましくは代表的にはバックグラウンドシグナルの10倍以上である。さらに、統計学的に有意な反応は、少なくとも2つの標準誤差、より代表的には4つの標準誤差、および最も代表的には6つ以上の標準誤差が異なる、シグナルおよびバックグラウンドを用いる反応の複数の測定を含む。これに対して、シグナルの反復測定をバックグラウンドの反復測定と比較する統計学的テスト(例えば、T-テスト)は、<0.05のp値、より代表的には<0.01のP値、および最も代表的には<0.001以下のp値を生じる。
述べられるように、「A」アッセイの態様において、PLペプチドに露出されていない(すなわち、それに覆われていない)アビジン表面へのGST/PDZ-ドメイン融合タンパク質の結合からのシグナルは、1つの適切なネガティブ対照である(時折、「B」といわれる)。PLペプチドに露出されていない(すなわち、それに覆われていない)アビジンコートされた表面へのGSTポリペプチド単独の結合からのシグナルは、第2の適切なネガティブ対照である(時折、「B2」といわれる)。すべての測定が複式で(すなわち、少なくとも2連で)行われるので、いくつかの測定の算術平均(または、等価には、平均)が結合を決定するために使用され、平均の標準誤差が、結合の測定における確率誤差を決定する際に使用される。N測定の平均の標準誤差は、以下:(N)および(N-1)の積で割った、各測定と平均との間の差の平方の和、の平方根に等しい。従って、1つの態様において、プレート結合PLペプチドへのPDZタンパク質の特異的結合は、平均B1および/または平均B2と組み合わせて、平均シグナル(「平均S」)および特定のPL-PDZについてのシグナルの標準誤差(「SE」)を比較することによって決定される。
「Gアッセイ」-固定化されたPDZ-ドメイン融合ポリペプチドを使用するPDZ-リガンド結合の検出
1つの局面において、本発明は、GST/PDZ融合タンパク質が表面に固定化されているアッセイを提供する(「G」アッセイ)。次いで、この表面への標識されたPLペプチド(例えば、表3に列挙されたようなもの)の結合が測定される。好ましい態様において、アッセイは以下のように実行される。
(1)PDZ-ドメインは表面、例えば、タンパク質結合表面に結合される。好ましい態様において、1つまたは複数のPDZドメインを含むGST/PDZ融合タンパク質は、ポリスチレン96ウェルプレートに結合される。GST/PDZ融合タンパク質は、当業者に公知である種々の標準的な方法のいずれかによってプレートに結合され得るが、プレートへの融合タンパク質の結合のプロセスがPDZドメインのリガンド結合特性を変化させないように何らかの注意が払われなければならない。1つの態様において、GST/PDZ融合タンパク質は96ウェルプレート上にコートされた抗GST抗体を介して結合される。プレートへの十分な結合は、以下の場合に達成され得る:
a. ウェル当たりPBS中の5μg/mLヤギ抗GSTポリクローナル抗体(Pierce)100μLがポリスチレン96ウェルプレート(例えば、Nunc Polysorb)に、4℃で12時間加えられる。
b. プレートがウェル当たり200μLのPBS/BSAの添加により4℃で2時間ブロックされる。
c. プレートがPBSで3回洗浄される。
d. ウェル当たり50μLの5μg/mL GST/PDZ融合タンパク質、またはネガティブ対照として、PBS/BSA中のGSTポリペプチド単独(すなわち、融合タンパク質でない)が、4℃で2時間、プレートに加えられる。
e. プレートが再度PBSで3回洗浄される。
(2)ビオチン化PLペプチドは、ウェル当たり50μLのPBS/BSA中ビオチン化ペプチドの20μM溶液の添加により、4℃で10分間、続いてさらに25℃で20分間表面と反応される。プレートは氷冷PBSで3回洗浄される。
(3)GST/PDZ融合タンパク質表面へのビオチン化ペプチドの結合は、当業者に公知の種々の方法および検出器を使用して検出され得る。1つの態様において、ウェル当たり100μLのBSA/PBS中に溶解した0.5μg/mL ストレプトアビジン-西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)結合体が加えられ、4℃で20分間反応される。次いで、プレートは、0.2% Tween 20を含む50mM Tris pH 8.0で5回洗浄され、そしてウェル当たり100μLのHRP-基質溶液の添加によって、室温(RT)で20分間発色される。HRPおよびその基質の反応は、ウェル当たり100μLの1M硫酸の添加によって終結され、プレートの各ウェルの吸光度が450nmで読み取られる。
(4)PLペプチドおよびPDZドメインポリペプチドの特異的結合は、PLペプチドおよびPDZドメインポリペプチドが合わされたウェルからのシグナルを、バックグラウンドシグナルと比較することによって決定される。バックグラウンドシグナルは、ネガティブ対照において見い出されるシグナルである。代表的には、特異的または選択的な反応は、バックグラウンドシグナルの少なくとも2倍、より代表的にはバックグラウンドシグナルの少なくとも5倍より多く、および最も好ましくはバックグラウンドシグナルの10倍以上である。さらに、統計学的に有意な反応は、少なくとも2つの標準誤差、より代表的には4つの標準誤差、および最も代表的には6つ以上の標準誤差が異なる、シグナルおよびバックグラウンドを用いる反応の複数の測定を含む。これに対して、シグナルの反復測定をバックグラウンドの反復測定と比較する統計学的テスト(例えば、T-テスト)は、<0.05のp値、より代表的には<0.01のP値、および最も代表的には<0.001以下のp値を生じる。述べられるように、「G」アッセイの態様において、固定化された(表面に結合された)GSTポリペプチド単独への所定のPLペプチドの結合からシグナルは、1つの適切なネガティブ対照である(時折、「B1」といわれる)。すべての測定が複式で(すなわち、少なくとも2連で)行われるので、いくつかの測定の算術平均(または、等価には、平均)が結合を決定するために使用され、平均の標準誤差が、結合の測定における確率誤差を決定する際に使用される。N測定の平均の標準誤差は、以下:(N)および(N-1)の積で割った、各測定と平均との間の差の平方の和、の平方根に等しい。従って、1つの態様において、プレート結合ペプチドへのPDZタンパク質の特異的結合は、平均シグナル(「平均S」)および平均B1との特定のPL-PDZ組み合わせについてのシグナルの標準誤差(「SE」)を比較することによって決定される。
「G'アッセイ」および「G''アッセイ」
「Gアッセイ」のために上記に記載された特定の条件の2つの特異的修飾が特に有用である。この修飾アッセイは、上記に記載された特異的アッセイ条件と比較して、より少ない量の標識されたPLペプチドを使用し、およびPDZリガンド結合の検出のためにわずかに異なる生化学的要件を有する。
便宜上、このセクション中に記載されるアッセイ条件は、「G0アッセイ」といわれるGアッセイについての先のセクションにおいて記載された特定の条件とともに、「G'アッセイ」および「G''アッセイ」といわれる。「G'アッセイ」は、工程(2)においてペプチド濃度が20μMの代わりに10μMである以外は「G0アッセイ」と同一である。これは、低いアフィニティーおよび/または速い解離速度を有する相互作用の検出のためにわずかに低い感度を生じる。これに対して、それは、検出された相互作用が十分なアフィニティーであり、生物学邸重要性である半減期であり、および有用な治療的標的であることの確実性をわずかに増加させる。
「G''アッセイ」は、、工程(2)においてペプチド濃度が20μMの代わりに1μMであること、およびインキュベーションが(例えば、4℃で10分間、続いて25で20分間ではなくむしろ)25℃で60分間実行される以外は「G0アッセイ」と同一である。これは、低いアフィニティー、速い解離速度、および/または4℃よりも25℃で低いアフィニティーの相互作用のために低い感度を生じる。相互作用は、(本発明者らは、PDZ-リガンド結合について一般的に真であることを見い出したので)反応エントロピーが負である(すなわち、生成物のエントロピーが反応物のエントロピーを超えない)場合、4℃よりも25℃でより低いアフィニティーを有する。対照的に、PDZ-PL結合シグナルは、遅い結合および解離の速度の相互作用について、「G''アッセイ」および「G0アッセイ」において同様であり得る。なぜなら、PDZ-PL複合体は「G''アッセイ」のより長いインキュベーションの間に蓄積するからである。「G''アッセイ」および「G0アッセイ」の結果のこの比較は、相対的なエントロピー、エンタルピー、および異なるPDZ-PL相互作用の反応速度論を見積もるために使用され得る。(エントロピーおよびエンタルピーは、式ΔG=RT ln (Kd)=ΔH-TΔSによる結合アフィニティーに関し、ここで、ΔG、H、およびSは、それぞれ、反応自由エネルギー、エンタルピー、およびエントロピーであり、Tは絶対温度であり、Rは気体定数、およびKdは平衡解離定数である)。特に、「G0アッセイ」においてのみ、またはそれにおいてはるかにより強く検出される相互作用は、一般的に、25℃で速い解離速度(t1/2<10分間)および負の反応エントロピーを有するのに対し、「G''アッセイ」において同様に強く検出される相互作用は、一般的に、25℃においてより遅い解離速度を有する(t1/2>10分間)。熱力学およびPDZ-PL相互作用の反応速度論の概算的見積もり(上記に概説されるような「G0アッセイ」対「G''アッセイ」の結果の比較を介して達成され得るような)は、相互作用の効率的なインヒビターの設計において使用され得る。例えば、所定のPDZドメインからゆっくりと解離するPLの化学構造に基づく低分子インヒビター(「G0アッセイ」におけるのと同様の「G''アッセイ」における結合によって証明されるような)は、それ自体ゆっくりと解離し得、従って高アフィニティーであり得る。
この様式で、「Gアッセイ」の工程(2)の温度および時間が、PDZ-リガンド結合反応の反応速度論および熱力学に、および反応のインヒビターの設計に洞察を提供するために使用され得る。
アッセイのバリエーション
上記に議論したように、上記に記載されたアッセイにおける工程の多くが変化され得ること、例えば、種々の基質がPLおよびPDZ含有タンパク質の結合のために使用され得ること;融合タンパク質を含む異なる型のPDZが使用され得ること;PDZ/PL相互作用を検出するための異なる標識が利用され得ること;および異なる検出の方法が使用され得ることが認識される。
PDZ-PL検出アッセイは、PLおよび/またはPDZ含有タンパク質を結合する種々の表面を利用し得る。例えば、表面は、そこへのPLタンパク質またはPDZ含有タンパク質のいずれかの付着を最適化する材料(例えば、ポリスチレン)から形成される「アッセイプレート」であり得る。一般的に、アッセイプレートの個々のウェルは、高い表面積対容量比を有し、それゆえに、適切な形状は平底のウェルである(タンパク質のアレイが付着する場合)。他の表面には、ポリスチレンまたはガラスビーズ、ポリスチレンまたはガラススライド、紙、ディップスティック、プラスチック、フィルムなどが含まれるがこれらに限定されない。
例えば、アッセイプレートは「マイクロタイター」プレートであり得る。用語「マイクロタイター」プレートは、本明細書中で使用される場合、例えば、約30から200の個別のウェル、通常96ウェルを有するマルチウェルアッセイプレートをいう。代替的には、高密度アレイが使用され得る。しばしば、マイクロタイタープレートの個別のウェルは約250μLの最大容量を保持する。便宜上、アッセイプレートは、自動化および高スループットスクリーニングを可能にする96ウェルポリスチレンプレートである(例えば、Becton Dickinson Labware, Lincoln Park, N.J.によって販売されているもの)。他の表面には、ポリスチレンマイクロELISAタイタープレート(例えば、Nunc Maxisorp, Inter Med, Denmarkによって販売されているもの)が含まれる。しばしば、約50μlから300μL、より好ましくは100μlから200μlの、そこに懸濁された水溶性試料含有バッファーが、アッセイプレートの各ウェルに加えられる。
本発明の検出可能な標識は、分子(上記に記載されるようなもの)と直接的または間接的に結合体化された任意の検出可能な化合物または組成物であり得る。標識は、それ自体で検出可能であり得るか(例えば、ラジオアイソトープ標識または蛍光標識)、または酵素的標識の場合、検出可能である基質の化合物または組成物の化学的変化を触媒し得る。好ましい標識は、非放射活性呈色試薬の色の変化を触媒する酵素的標識である。
時折、標識は抗体と間接的に結合体化され得る。当業者は、直接的または間接的な結合体化のための種々の技術を承知している。例えば、抗体は、ビオチンを用いて結合体化され得、および上記に言及された標識のカテゴリーのいずれかはアビジンを用いて結合体化され得、またはその逆である(上記の「A」および「G」アッセイもまた参照されたい)。ビオチンは選択的にアビジンに結合し、および従って、標識はこの間接的な様式で抗体と結合体化され得る。ビオチン-アビジン結合体化および同様のアッセイを含む技術の概説のために、Ausubel、前出を参照されたい。代替的には、抗体との標識の間接的な結合体化を達成するために、抗体は小さなハプテン(例えば、ジゴキシン)と結合体化され、上記に言及した異なる型の標識の1つが抗ハプテン抗体と結合体化される(例えば、抗ジゴキシン抗体)。従って、抗体との標識の間接的な結合体化が達成され得る。
アッセイのバリエーションは、異なる洗浄工程を包含し得る。「洗浄すること」は、非結合物質(例えば、付着していない細胞、付着していない捕捉剤、未結合のリガンド、レセプター、レセプター構築物、細胞溶解物、またはHRP抗体)がそこから除去されるような方法で、水溶液(通常、緩衝液または細胞培養培地)に固相を露出することを意味する。バックグラウンドノイズを減少させるために、洗浄溶液中に界面活性剤(例えば、Triton X)を含めることが便利である。通常、洗浄水溶液は、洗浄後のアッセイプレートのウェルからデカントされる。便宜上、洗浄は自動化洗浄デバイスを使用して達成され得る。時折、数回の洗浄工程(例えば、約1回から10回までの間の洗浄工程)が必要とされ得る。
種々のバッファーがまた、PDZ-PL検出アッセイにおいて使用され得る。例えば、種々のブロッキングバッファーがアッセイのバックグラウンドを減少させるために使用され得る。用語「ブロッキングバッファー」とは、PL-またはPDZ-含有タンパク質でコートされた基材の露出した表面に結合することができる少なくとも1つのブロッキング化合物を含む、水溶性のpH緩衝化溶液をいう。ブロッキング化合物は、通常、ウシ血清アルブミン(BSA)、ゼラチン、カゼイン、または粉乳のようなタンパク質であり、アッセイにおいていずれの試薬とも交差反応しない。ブロックバッファーは、一般的に、約7から7.5の間のpHで提供され、適切な緩衝剤にはリン酸およびTRISが含まれる。
種々の酵素-基質の組み合わせもまた、PDZ-PLの相互作用を検出する際に利用され得る。酵素-基質の組み合わせの例には、例えば、以下が含まれる:
(i)過酸化水素(hydrogen peroxidase)を基質として用いる西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRPまたはHRPO)、ここで、過酸化水素(hydrogen peroxidase)は色素前駆体(例えば、オルトフェニレンジアミン[OPD]または3,3',5,5'-テトラメチルベンジジン塩酸塩[TMB])を酸化する(上記のように)。
(ii)パラ-ニトロフェニルホスフェートを色素原性キシルとして用いるアルカリホスファターゼ(AP)。
(iii)色素原性基質(例えば、p-ニトロフェニル-β-D-ガラクトシダーゼ)または蛍光原性基質4-メチルウンベリフェニル-β-D-ガラクトシダーゼを用いるβ-D-ガラクトシダーゼ(β D-Gal)。
多数の他の酵素-基質の組み合わせは当業者に利用可能である。これらの一般的概説のために、U.S.特許番号4,275,149および4,318,980(これらの両方は参照として本明細書に組み入れられる)を参照されたい。
さらに、便宜上、本発明の議論は主としてPDZ-PL相互作用の検出をいうが、PDZ-PL相互作用のアゴニストおよびアンタゴニストが細胞の異常を診断するために使用され得ることが理解される。
V. 子宮頸部組織のような組織試料の収集
病原体の存在を診断することは、その生物に対して適切な試料の収集を必要とする。発現性HPV E6タンパク質の検出のために、擦過、スワブ、または生検技術を使用して、子宮頸部、ペニス、肛門、咽喉からの試験のための組織を収集する。HIVのような血液感染性の病原体の診断のために、標準的な手段を通した血液の収集が最も適切である。皮膚損傷を引き起こし得た真菌またはウイルス感染の診断は、罹患した領域からの試料の収集を必要とする。
本発明は、サンプリングデバイスを網羅することを意図しない。しかし、本発明はPDZまたはPLタンパク質の検出に対して想定されているので、病原体タンパク質を検出するための試料の十分な量を収集すること、および試料中のタンパク質の完全性を維持することのために適切な配慮が払われなければならないことは注意されるべきである。収集する試料の量は、各診断試験のために経験的に決定されるべきである。決定における因子には、検出が所望される段階、単位試料当たりの病原体の量、単位試料当たりの診断タンパク質の量、診断エピトープの利用可能性、および診断エピトープの安定性が含まれ得るがこれらに限定されない。
子宮頸部組織のための典型的な収集デバイスには、US特許6,241,687、6,352,513、6,336,905、6,115,990、および6,346,086に記載されるものが含まれるがこれらに限定されない。これらの収集デバイスは、発癌性ヒトパピローマウイルス感染の診断のために子宮頸部組織の収集を容易にする。これらのデバイスは、掻爬を通しての子宮頸部細胞または組織の優勢的な収集であり;代替的には、試験される任意の組織から試料を収集するために標準的な生検方法を使用し得る。
本願において開示される診断方法はPLタンパク質の検出に指向されているが、試料収集はタンパク質の収集に限定されない。代替的に、組織試料からRNAを収集し、インビトロ翻訳キットを使用して収集されたテンプレートからタンパク質を産生し、次いで、本明細書中に開示された方法を使用してアッセイすることができる。同様の様式において、DNAが試験試料から収集され得、発癌性E6タンパク質についての特異的プライマーを使用して、DNA内容物を増幅するか(DNAポリメラーゼを使用する)、または本明細書中に開示される方法を用いて試験され得るタンパク質に転写および翻訳することができる。
VI. 発癌性E6タンパク質を検出するためのアッセイ
発癌性E6タンパク質はPDZドメインに結合するそれらの能力によって検出され得る。これは、単一の検出段階アプローチまたは感度および特異性の増大のためのさらに好ましい2段階もしくは「サンドイッチ」アプローチに発展され得る。
単一段階アプローチのために、発癌性E6タンパク質、例えば、表3および4に開示されたものを特異的に認識するPDZドメインの「タグ化」バージョンが、試料中の発癌性E6タンパク質の存在について直接的にプローブするために使用され得る。上記に注記されたように、この例は、固相支持体に試験試料を付着させ(例えば、子宮頸部細胞または組織がスライド上にコートされ得、および細胞膜を透過させるために「固定」され得る)、試料を、適切な条件下で、タグ化された「PLディテクター」タンパク質(PDZドメイン融合物)とインキュベートし、未結合のPLディテクターを洗い流し、および試料中の「タグ」の存在についてアッセイするものである。さらに、タグがない場合でさえ、PDZタンパク質およびE6タンパク質に結合したPDZタンパク質の物理的特性を測定することができる。表面プラズモン共鳴、円二色性、および結合を直接的に評価する他の方法のような技術が、発癌性E6タンパク質の存在を検出するために使用され得る。しかし、PDZドメインはまた、内在性細胞タンパク質を結合し得ることに注意するべきである。従って、結合の頻度は、E6オンコプロテインを含まない対照細胞と比較されなければならないか、または「PLディテクター」は、それが発癌性E6タンパク質に対して有意により特異的であるように、修飾されるべきである(セクションXを参照されたい)。
2段階またはサンドイッチアプローチのために、PLディテクターの使用は、タンパク質を捕捉すること、または捕捉タンパク質を検出することのいずれかの第2の方法と連関される。第2の方法は、E6オンコプロテイン、またはE6 PLの利用可能性を減少させないE6タンパク質上の位置でE6オンコプロテインに結合し得る第2の化合物もしくはタンパク質に結合する抗体を使用することであり得る。このようなタンパク質には、p53、E6-AP、E6-BP、またはE6オンコプロテインを結合する操作された化合物が含まれ得るがこれらに限定されない。代替的には、捕捉されたE6タンパク質の存在についてアッセイするためにDNA結合またはZn2+結合を使用することもできる。なぜなら、発癌性E6タンパク質は二価カチオンの使用を通して特定のDNA結合を結合することが知られているからである。さらに、活性アッセイにおいてPDZ-捕捉されたE6タンパク質を使用することができる。なぜなら、E6は、赤血球溶解物の存在下で、DNA、およびp53を含む特定のタンパク質を分解することが知られているからである。
抗体
多くの生物学的アッセイが「サンドイッチ」として設計され、ここでは、抗体がサンドイッチの一端を構成する。この方法は、バックグラウンドシグナルを減少させること、および適切なシグナルを増幅することによって、診断のためのシグナル対ノイズ比を改善し得る。診断タンパク質を特異的に認識する抗体が生成され得る。本発明は、病原体感染を診断するためにPDZタンパク質またはPLタンパク質を使用する方法を開示しているので、PDZ:PL相互作用と対立しない抗体が生成されるべきである。
抗体の産生のために、ウサギ、マウス、ラットなどを含むがこれらに限定されない種々の宿主動物が、ペプチドを用いる注射によって免疫され得る。このペプチドは、側鎖官能基または側鎖官能基に結合されたリンカーによって、適切なキャリア(例えば、BSAまたはKLH)に結合され得る。宿主種に依存して種々のアジュバントが免疫学的応答を増加させるために使用され得る。このアジュバントには、フロイント(完全または不完全)、水酸化アルミニウムのようなミネラルゲル、リゾレシチンのような界面活性剤、プルロニックポリオール、ポリアニオン、ペプチド、オイルエマルジョン、キーホールリンペットヘモシアニン、ジニトロフェノール、ならびに、BCG(bacilli Calmette-Guerin)およびCorynebacterium parvumのような潜在的に有用なヒトアジュバントが含まれるがこれらに限定されない。
ペプチドに対するモノクローナル抗体は、培養における連続的細胞株による抗体分子の産生を提供する任意の技術を使用して調製され得る。これらには以下が含まれるがこれらに限定されない:もともとKoehlerおよびMilstein, 1975, Nature 256:495-497によって記載されたハイブリドーマ技術、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術、Kosborら、1983, Immunology Today 4:72; Coteら、1983, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 80:2026-2030、ならびにEBV-ハイブリドーマ技術(Coleら、1985, Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy, Alan R. Liss, Inc., 77-96頁(1985))。さらに、適切な抗原特異性のマウス抗体分子からの遺伝子を、使用され得る適切な生物学的活性のヒト抗体分子からの遺伝子とともにスプライシングすることによる、「キメラ抗体」(Morrisonら、1984, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 81:6851-6855; Neubergerら、1984, Nature 312:604-608; Takedaら、1985, Nature 314:452-454)の産生のための技術が開発された。代替的には、単鎖抗体の産生のために記載された技術(U.S.特許番号4,946,778)が、ペプチド特異的単鎖抗体を産生するために適合され得る。
特定の結合部位の欠失を含む抗体フラグメントは、公知の技術によって生成され得る。例えば、このようなフラグメントは以下を含むがこれらに限定されない:F(ab')2フラグメント(これは抗体分子のペプシン消化によって産生され得る)およびFabフラグメント(これはF(ab')2フラグメントのジスルフィド架橋を還元することによって生成され得る)。代替的には、関心対象のペプチドについて所望の特異性を有するモノクローナルFabフラグメントの迅速かつ容易な同定を可能にするために、Fab発現ライブラリーが構築され得る(Huseら、1989, Science 246:1275-1281)。
所望のペプチドに特異的な抗体または抗体フラグメントは、例えば、アガロースに付着され得、抗体-アガロース複合体は本発明のペプチドを生成するための免疫クロマトグラフィーにおいて使用される。Scopes, 1984, Protein Purification: Principles and Practice, Springer-Verlag New York, Inc., NY, Livingston, 1974, Methods Enzymology: Immunoaffinity Chromatography of Proteins 34:723-731を参照されたい。抗体はまた、診断的適用のために他の固体支持体に連結され得、または代替的には、比色定量用基質を切断する酵素、蛍光団、磁気粒子、または他の測定可能な組成物のような、検出の手段で標識され得る。
E6タンパク質に対する特異的抗体は歴史的に産生することが困難であった。上記に記載した方法とともに、高アフィニティー抗体を産生または選択する可能性を増加させるための多数の技術を利用し得る。1つの例は、試験のために組織または細胞試料を調製するのと同じ様式でE6抗原を調製すること(それに対する抗体を惹起すること)である。代替的には、1つの様式で調製されたE6融合タンパク質で免疫し得、および異なる様式で調製された第2のE6タンパク質を使用して特異的E6抗体をスクリーニングし得る。これは、ことなる試料収集および調製手順の下で、保存されているE6エピトープを認識する抗体を選択するはずである。別の例において、調製条件に対して非感受性であるエピトープが選択されるように、迅速に変性および再生されたE6抗原で動物を免疫し得る。利用され得る別の方法は、主要組織適合複合体(MHC)およびT細胞レセプター(TCR)コンセンサス結合によって予測されるような、E6タンパク質の抗原性領域に対応するペプチドを使用することである。なお別の方法は、容易に産生され、かつ抗体結合の領域が決定されているE6変異体(例えば、上記に記載したGST-MBP-HPV18)を使用することである。これらの「抗原性」領域は、別の型(例えば、免疫化のための別のエピトープ)からのE6ペプチドの相同性ストレッチで交換され得る。従って、エピトープは、抗体産生のために適切に提示されるより高い可能性を有する。
一般的に、適切な抗E6抗体は、例えば、哺乳動物細胞中で産生された(および、従って、正しいフォールディング、ジスルフィド結合、および他のタンパク質修飾を有する)E6タンパク質を用いて、または当該分野において公知であるように、例えば、システイン残基を他のアミノ酸に置換するように修飾され、細菌中で産生されたE6タンパク質を使用して、適切な哺乳動物を免疫することによって調製され得る。一般的に、対象の方法において、各々E6タンパク質の異なるサブセットに対して交差反応性である抗体の混合物が使用され得る。特定の態様において、多くのまたはすべてのE6タンパク質と交差反応性である抗体が使用され得る。代表的には、対象の方法において有用である抗体は、E6タンパク質が発癌性であるか否かに関わらずE6タンパク質に結合する。
2. 捕捉されたE6タンパク質のための代替的な検出方法
PDZドメインによって捕捉されたE6タンパク質は、いくつかの代替的な方法によって検出され得る。いくつかのタンパク質がE6タンパク質に結合することが知られている。E6についての適度なアフィニティーを有したこれらのうちのいずれかは、当業者によって、捕捉されかつ試料中に濃縮されたE6タンパク質の存在を検出するために使用され得る。さらに、新規な結合タンパク質またはアプタマーが利用され得る。
検出アッセイそれ自体はまた、種々の方法を使用して実行され得る。捕捉するためにPDZを使用する標準ELISAは、競合として設定され得、ここでは、PDZドメインは、E6タンパク質よりも低いアフィニティーを有する標識されたPLとともにプレロードされ得る。従って、E6の存在下では、標識が置き換えられ、そしてE6の存在に対応するシグナルの減少が観察される。結合の競合および阻害の局面を使用する他の変異体は、同様に含められることが意図される。1つの変異体は、PLがその自身のPDZドメインを結合し得るように、リンカーを通してPDZドメインに共有結合されたPLを有しさえし得る。ドナークエンチング色素を使用して、発癌性E6タンパク質のPLが標識されたPLを置き換えることができた場合のみに、シグナルの増加を観察する。すべてのこのような競合方法は、発癌性E6タンパク質の存在を評価するために使用されるPDZドメインを結合し得る内因性PLタンパク質の量を評価する対照に対して測定されなければならない。
VIII. アッセイ感度の測定
本発明の「A」および「G」アッセイは、PDZ-ドメインポリペプチドへのPDZリガンドペプチドの結合の「見かけのアフィニティー」を決定するために使用され得る。見かけのアフィニティーは、第2の分子の結合(例えば、レセプターへのリガンドの結合)を飽和させるために必要な1つの分子の濃度に基づいて決定される。PDZ-リガンド結合の見かけのアフィニティーの定量のための2つの特に有用なアプローチは、以下に提供される。これらの方法は、異なるPLディテクター構築物の感受性およびアフィニティーを比較するために使用され得る。病原体PLについてのPDZの感受性を理解することは必要不可欠である。なぜなら、これは、決定的な結果を得るために試験されなければならない組織または細胞試料の量を規定することを補助するからである。
(1)GST/PDZ融合タンパク質、ならびにネガティブ対照としてのGST単独が表面(例えば、96ウェルプレート)に結合され、そして「G」アッセイについて上記に記載されたように表面はブロックされおよび洗浄される。
(2)ウェル当たり50μLのビオチン化PLペプチドの溶液(例えば、表3において示されるようなもの)が、PBS/BSA中の増加濃度で(例えば、0.1μM、0.33μM、1μM、3.3μM、10μM、33μM、および100μM)表面に加えられる。1つの態様において、PLペプチドは、結合したGST/PDZ融合タンパク質と(ならびにGST単独ネガティブ対照と)、4℃で10分間、続いて25℃で20分間反応される。プレートは未結合の標識ペプチドを除去するために氷冷PBSで3回洗浄される。
(3)固定化されたPDZ-ドメインポリペプチドへのPLペプチドの結合は、「G」アッセイについて上記に記載されたように検出される。
(4)各濃度のペプチドについて、正味の結合シグナルが、GST/PDZ融合タンパク質へのペプチドの結合から、GST単独へのペプチドの結合を減算することによって決定される。次いで、正味の結合シグナルは、リガンド濃度の関数としてプロットされ、そのプロットを以下の式に適合させ(例えば、Kaleidagraphソフトウェアパッケージの曲線適合アルゴリズム;Synergy Softwareを使用することによって)、ここで、「シグナル[リガンド]」はPLペプチド濃度「[リガンド]」での正味の結合シグナルであり、「Kd」は結合事象の見かけのアフィニティーであり、および「飽和結合」は、実験データへの適合を最適化させるための曲線適合アルゴリズムによって決定される定数である:
シグナル[リガンド]=飽和結合×([リガンド]/([リガンド]+Kd)。
上記の式の信頼できる適用のために、実験的に首尾よく試験された最高のペプチドリガンド濃度が、計算されたKdよりも高いか、または少なくともそれと同様であることが必要である(等価には、最大の観察された結合が計算された飽和結合と同様であるべきである)。上記の判断基準を満たすことが困難であると判明する場合には、代替的なアプローチ(以下)が使用され得る。
アプローチ2
(1)固定された濃度のPDZ-ドメインポリペプチドおよび増加濃度の標識されたPLペプチド(例えば、ビオチンまたは蛍光で標識される、代表的なペプチド配列については表3を参照されたい)が溶液中で一緒に混合され、反応される。1つの態様において、好ましいペプチド濃度は0.1μM、1μM、100μM、1mMである。種々の態様において、適切な反応時間は、10分間から2日間の範囲であり得、4℃から37℃の範囲である。いくつかの態様において、同一の反応がまた、非PDZドメイン含有タンパク質を対照として使用して実行され得る(例えば、PDZ-ドメインポリペプチドが融合タンパク質である場合、融合パートナーが使用され得る)。
(2)PDZ-リガンド複合体が当該分野において公知の種々の方法を使用して未結合の標識されたペプチドから分離され得る。例えば、その複合体は、高速サイズ排除クロマトグラフィー(HPSEC、ゲル濾過)(Rabinowitzら、1998, Immunity 9:699)、アフィニティークロマトグラフィー(例えば、グルタチオンセファロースビーズを使用する)、およびアフィニティー吸収(例えば、以下に記載される抗GSTコートされたプレートに対する結合によって)を使用して分離され得る。
(3)PDZ-リガンド複合体は、当業者に公知の種々の方法およびディテクターを使用してペプチドリガンド上の標識の存在に基づいて検出される。例えば、標識が蛍光でありかつ分離がHPSECを使用して達成される場合、インライン蛍光ディテクターが使用され得る。結合はまた、Gアッセイのために上記のに記載されるように検出され得る。
(4)PDZ-リガンド結合シグナルがリガンド濃度の関数としてプロットされ、そのプロットが、(例えば、Kaleidagraphソフトウェアパッケージの曲線適合アルゴリズムを使用することによって)以下の式に適合され、、ここで、「シグナル[リガンド]」はPLペプチド濃度「[リガンド]」での結合シグナルであり、「Kd」は結合事象の見かけのアフィニティーであり、および「飽和結合」は、実験データへの適合を最適化させるための曲線適合アルゴリズムによって決定される定数である:
シグナル[リガンド]=飽和結合×([リガンド]/([リガンド]+Kd)。
PDZ-ドメインポリペプチドへの標識されたリガンドの結合のアフィニティーの測定は、この相互作用のアフィニティー(または見かけのアフィニティー)の知見が公知の高度を有する相互作用のインヒビターの合理的な設計を可能にする。阻害におけるインヒビターの強度は、PDZ-ドメインへの標識されたペプチドリガンド結合の見かけのアフィニティーと同様である(すなわち、1オーダーの大きさ以内である)。
従って、1つの局面において、本発明は、PDZドメインとリガンドとの間の見かけのアフィニティーを、PDZドメインおよび非PDZドメイン含むポリペプチドを表面上に固定化することにより決定すること、固定化されたポリペプチドを複数の異なる濃度のリガンドと接触させること、各々のリガンドの濃度での固定化されたポリペプチドへのリガンドの結合の量を決定すること、およびこれらのデータに基づいて結合の見かけのアフィニティーを計算することの方法を提供する。代表的には、PDZドメインおよび非PDZドメインを含むポリペプチドは融合タンパク質である。1つの態様において、例えば、融合タンパク質はGST-PDZ融合タンパク質であるが、ポリペプチドがPDZドメインのリガンド結合特性を破壊しない方向で固定化され得る限りは(例えば、抗ドメイン抗体を介して非PDZドメインを介して表面にポリペプチドをつなぐこと、および遊離末端としてPDZドメインを放置することによって)、他のポリペプチドもまた使用され得る(例えば、PDZドメインおよび種々のエピトープタグ、ビオチン化シグナルなどを含む融合タンパク質)。例えば、プラスチックプレートにPDZ-GST融合ポリペプチドを直接的に反応させることが最適以下の結果を提供することが発見された。結合アフィニティーそれ自体の計算は、任意の適切な式(例えば、上記に示されるもの;CantorおよびSchimmel(1980)Biophysical Chemistry WH Freeman & Co., San Franciscoもまた参照されたい)、またはソフトウェアを使用して決定され得る。
従って、好ましい態様において、ポリペプチドは非PDZドメインを結合する固定化された免疫グロブリン(例えば、GST-PDZ融合ポリペプチドが使用される場合、抗GST抗体)にポリペプチドを結合させることによって固定化される。好ましい態様において、リガンドおよびPDZドメインポリペプチドを接触させる工程は、「G」アッセイの記載において上記に提供される条件下で実行される。結合アッセイがマルチウェルプレート(例えば、24ウェル、96ウェル、または384ウェルプレート)中で首尾よく実行されることが理解される。
本発明の方法は、結合アフィニティー、PDZ-PLアフィニティーを測定するための他の方法を超える顕著な利点を有し、これは、代表的には、リガンドコートされた表面に変化する濃度のGST-PDZ融合タンパク質を接触させることを含む。例えば、アフィニティーを決定するための以前に記載されたいくつかの方法(例えば、溶液中で固定化されたリガンドおよびGST-PDZタンパク質を使用する)は、使用される融合タンパク質のオリゴマー化状態を説明せず、1オーダーより大きな潜在的なエラーを生じた。
PDZ-PL結合アフィニティーの定量的測定のために十分ではないが、異なるPDZ-PL対の結合の相対的強度見積もりは、「Gアッセイ」において観察されたシグナルの絶対的な大きさに基づいて作成され得る。この見積もりはいくつかの因子を反映し、これには、アフィニティーおよび解離速度を含む、相互作用の生物学的に関連する局面が含まれる。所定のPDZドメイン含有タンパク質に結合する異なるリガンドの比較のために、絶対的な結合シグナルの違いは、おそらく主として関心対象の相互作用のアフィニティーおよび/または解離速度に関連する。
IX. アッセイの特異性の測定
上記に記載されるように、本発明は、上記に記載される「G」アッセイおよびアフィニティーアッセイのような高スループット方法を含む、PDZ-リガンド相互作用の分析のための強力な方法を提供する。本発明の1つの態様において、アフィニティーは、特定のリガンドおよび複数のPDZタンパク質について決定される。代表的には、複数とは、少なくとも5、およびしばしば少なくとも25、または少なくとも40の異なるPDZタンパク質である。好ましい態様において、複数の異なるPDZタンパク質は、特定の組織由来であるか(例えば、中枢神経系、脾臓、心筋、腎臓)、または細胞の特定のクラスもしくは型である(例えば、造血細胞、リンパ球、ニューロン)、などである。最も好ましい態様において、複数の異なるPDZタンパク質は、組織または細胞中で発現されることが知られているか、またはそれが疑われるPDZタンパク質のすべて(例えば、リンパ球中に存在することが知られているPDZタンパク質のすべて)の実質的な画分(例えば、代表的には大部分、より頻繁には、少なくとも80%)を表す。1つの態様において、複数とは、造血細胞中で発現されることが本明細書中で開示されるPDZタンパク質の少なくとも50%、通常少なくとも80%、少なくとも90%、またはすべてである。
本発明の1つの態様において、複数のPDZタンパク質へのリガンドの結合が決定される。この方法を使用して、リガンドによって特定の特異性を伴って血尾久下特定のPDZドメインを同定することが可能である。結合は、特定のPDZドメインへのリガンドのアフィニティーが、複数(例えば、その細胞中に存在するもの)の中の他のPDZドメインへの結合のアフィニティーの少なくとも2倍である場合に「特異的」と指定され得る。結合は、アフィニティーが、複数の中における任意の他のPDZに対するよりも少なくとも10倍高いか、または代替的には、規定された複数の中の、少なくとも90%、より頻繁には95%の他のPDZに対して少なくとも10倍高い場合に、「非常に特異的」であると見なされる。同様に、結合は、それが少なくとも100倍高い場合に「極めて特異的」であると見なされる。例えば、リガンドは、2つの異なるPDZに、1μMのアフィニティーで結合し得、設定した40のうちの他のPDZは、100μM未満のアフィニティーを有するものはない。これは、これらの2つのPDZへの特異的結合を構成する。同様の特異性の測定は、複数のPLへのPDZの結合を記載するために使用される。
高特異性PDZ-PL相互作用が所望の生物学的効果を達成するために潜在的により価値のある標的を表すことが認識される。インヒビターまたはエンハンサーが高い特異性を伴って作用する能力はがしばしば所望される。特に、最も特異的なPDZド-リガンド相互作用はまた診断的標的であり、相互作用の特異的検出または相互作用の破壊を可能にする。
従って、1つの態様において、本発明は、各ポリペプチドがPDZドメインおよび非PDZドメインを含む、複数の異なる固定化されたポリペプチドを提供すること;上記ポリペプチドの各々についてのリガンドのアフィニティーを決定すること、および上記各々のポリペプチドへのリガンドの結合のアフィニティーを比較することによって、特定のPDZドメインと、少なくとも1つのPDZドメインを結合することが知られているか、またはそれが疑われるリガンドとの間の高度に特異的な相互作用を同定する方法を提供し、ここで、リガンドと特定のPDZドメインとの間の相互作用は、リガンドが、特定のPDZドメインを含まない固定化ポリペプチドよりも、少なくとも2倍高いアフィニティーで、特定のPDZドメインを含む固定化ポリペプチドに結合する場合に高度に特異的であると見なされる。
関連する局面において、複数のリガンド(または疑われるリガンド)への特異的PDZドメインの結合のアフィニティーが決定される。例えば、1つの態様において、本発明は、PDZドメインおよび非PDZドメインを含む固定化ポリペプチドを提供すること;ポリペプチドについての複数のリガンドの各々のアフィニティーを決定すること、およびポリペプチドへの各々のリガンドの結合のアフィニティーを比較することによって、PDZドメインと、少なくとも1つのPDZドメインを結合することが知られているか、またはそれが疑われる特定のリガンドとの間の高度に特異的な相互作用を同定する方法を提供し、ここで、特定のリガンドとPDZドメインとの間の相互作用は、リガンドが、試験された他のリガンドよりも、少なくとも2倍高いアフィニティーで、PDZドメインを含む固定化ポリペプチドに結合する場合に高度な特異性を有すると見なされる。従って、結合は、特定のPLへのPDZのアフィニティーが、複数(例えば、その細胞型において存在するもの)の中の他のPLへの結合のアフィニティーの少なくとも2倍である場合に「特異的」と指定され得る。結合は、アフィニティーが、複数の中における任意の他のPLに対するよりも少なくとも10倍高いか、または代替的には、規定された複数の中の、少なくとも90%、より頻繁には95%の他のPLに対して少なくとも10倍高い場合に、「非常に特異的」であると見なされる。同様に、結合は、それが少なくとも100倍高い場合に「極めて特異的」であると見なされる。代表的には、結合は、少なくとも5つの異なるリガンド、より頻繁には少なくとも10である。
A. 全体的予測のためのアレイの使用
本発明の1つの発見は、特に造血細胞および免疫応答に関与する他の細胞の生物学的機能において、PDZタンパク質とPLタンパク質との間の相互作用によって果たされる重要かつ広範な役割に関する。さらに、価値のある情報が多数のPDZ-PL相互作用の分析(例えば、同時分析)によって確認され得ることが発見された。好ましい態様において、この分析は、特定の組織(例えば、脾臓)または細胞の型もしくはクラス(例えば、造血細胞、ニューロン、リンパ球、B細胞、T細胞など)において発現されるPDZタンパク質のすべてを含む。代替的には、この分析は、組織または細胞中で発現されることが知られているか、またはそのことが疑われるPDZタンパク質のすべて、例えば、リンパ球中に存在することが知られているPDZタンパク質のすべての、少なくとも5、少なくとも10、または少なくとも12、または少なくとも15、およびしばしば少なくとも50の異なるポリペプチド、約60、約80、約100、約150、約200、またはそれより多くでさえの異なるポリペプチド;あるいはその実質的な画分(代表的には大部分、より頻繁には少なくとも80%)を含む。
本発明のアレイおよび方法は、PDZおよびPLの相互作用の分析を指向し、分析のためのそのようなタンパク質の選択を含むことが認識される。本発明のデバイスおよび方法は少ない数の対照ポリペプチドを含み得るのに対して、これらは、代表的には、PDZドメインまたはPLドメインのいずれかを含まない有意な数のタンパク質または融合タンパク質を含まない(例えば、代表的には、本発明の方法またはデバイスにおいてアレイ化されたかまたは固定化された少なくとも約90%のポリペプチドがPDZまたはPL配列のタンパク質であり、より頻繁には少なくとも約95%であり、または少なくとも約99%である)。
比較的多数の異なる相互作用の分析が好ましくは同時に行われることが本開示から明らかである。この文脈において、「同時に」は、いくつかの異なるPDZ-PL相互作用の分析(またはこのような相互作用に対する試験薬剤の効果)が同時に評価されることを意味する。代表的には、この分析は高スループット(例えば、ロボット的)様式で実行される。この方法の同時分析の1つの利点は、これが複数の異なるPDZ-PL相互作用の厳格な比較を可能にすることである。例えば、本明細書の他の箇所に詳細に説明されるように、同時分析(および以下に記載されるアレイの使用)は、例えば、組織または細胞中でのPDZおよび/またはPLの実質的な部分間の相互作用に対する薬剤(例えば、潜在的な相互作用インヒビター)の効果の直接的比較を容易にする。
従って、1つの局面において、本明細書は、表面上にPDZドメインおよび非PDZドメインを含む固定化ポリペプチドのアレイを提供する。代表的には、このアレイは、少なくとも約5、少なくとも10、または少なくとも12、または少なくとも15、およびしばしば少なくとも50の異なるポリペプチドを含む。1つの好ましい態様において、異なるPDZタンパク質は、特定の組織(例えば、中枢神経系、脾臓、心筋、腎臓)または細胞の特定のクラスもしくは型(例えば、造血細胞、リンパ球、ニューロン)など由来である。最も好ましい態様において、複数の異なるPDZタンパク質は、組織または細胞中で発現されることが知られているか、またはそれが疑われるPDZタンパク質のすべて(例えば、リンパ球中に存在することが知られているPDZタンパク質のすべて)の実質的な画分(例えば、代表的には大部分、より頻繁には、少なくとも60%、70%、または80%)を表す。
特定の態様は、特定の関心対象の細胞中に存在する、複数の、通常少なくとも5、10、25、50のPDZタンパク質を含むアレイである。この文脈において、「アレイ」とは、各ポリペプチドの同一性がその位置と関連する固定化ポリペプチドの順序付けられたシリーズをいう。いくつかの態様において、ポリペプチドの複数性は、それらが溶液(例えば、リガンドまたは試験薬剤を含む)に同時に露出され得るように「共通の」領域に配置される。例えば、複数のポリペプチドは、タンパク質が固定化され得る、プラスチック、ガラス、金属、シリカ、ビーズ、または他の表面であり得る、スライド、プレート、または同様の表面上であり得る。異なる態様において、異なる固定化されたポリペプチドは、別々の領域(例えば、マルチウェルプレート(例えば、24ウェルプレート、96ウェルプレート、384ウェルプレートなど)の異なるウェル)に配置される。同様の利点が、タンデムな複数のアレイを使用することによって得られ得ることが認識される。
B. PDZ-PL阻害プロフィールの分析
1つの局面において、本発明は、試験化合物が、広範な一連のPDZ-リガンド相互作用(例えば、US特許出願09/724553において記載される複数のPDZ-リガンド相互作用;以下に記載される特定の細胞または組織(例えば、子宮頸部組織)において同定されたPDZ-リガンドの大部分など)におけるいずれかのPDZ-リガンド相互作用を阻害するか否かを決定するための方法を提供する。1つの態様において、関心対象のPDZドメインはGST-PDZ融合タンパク質として発現され、本明細書中に記載されるように固定化される。各PDZドメインについて、公知のアフィニティーでドメインに結合する標識されたリガンドは本明細書中に記載されるように同定される。
PDZ-PL相互作用の任意の公知のまたは疑われるモジュレーター(例えば、インヒビターのために、どの相互作用が阻害されるか(または増強されるか)を知るために有用である。この情報が、病原体(例えば、発癌性HPV株)の存在について診断マーカーとして使用され得る。特定の薬剤によって阻害されるPDZ相互作用のプロフィールは、その薬剤についての「阻害プロフィール」といわれ以下に詳細に記載される。特定の薬剤によって増強されたPDZ相互作用のプロフィールは、その薬剤についての「増強プロフィール」といわれる。薬剤についてのこの増強プロフィールをいかにして決定するかは、阻害プロフィールの記載によって導かれた当業者には容易に明らかである。本発明は、単一のアッセイにおける薬剤のPDZ相互作用(阻害/増強)プロフィールを決定するための方法を提供する。
1つの局面において、本発明は、(i)複数の異なる固定化されたポリペプチド(このポリペプチドの各々がPDZドメインおよび非PDZドメインを含む)および(ii)対応する複数のリガンド(ここで、各リガンドが少なくとも1つのPDZドメインに結合する)を提供すること、次いで、(i)における上記固定化ポリペプチドの各々を、試験化合物の存在下および非存在下で、(ii)における対応するリガンドを接触させること、ならびに、試験化合物が固定化ポリペプチドと、対応するリガンドとの間の結合を阻害するか否かを各ポリペプチド-リガンド対について決定することによって、化合物のPDZ-PL阻害プロフィールを決定するための方法を提供する。
代表的には、複数とは、少なくとも5、およびしばしば少なくとも25、または少なくとも40の異なるPDZタンパク質である。好ましい態様において、複数の異なるリガンドおよび複数の異なるPDZタンパク質は、同じ組織または特定の細胞の特定のクラスもしくは型である(例えば、子宮頸部細胞、ペニス細胞、肛門細胞)、などである。最も好ましい態様において、複数の異なるPDZは、組織または細胞中で発現されることが知られているか、またはそれが疑われるPDZのすべて(例えば、リンパ球中に存在することが知られているPDZのすべて)の実質的な画分(例えば、少なくとも80%)を表す(例えば、造血細胞中で発現されることが本明細書中で開示されるPDZの少なくとも80%、少なくとも90%、またはすべて)。
1つの態様において、阻害プロフィールは以下のように決定される:細胞(例えば、子宮頸部細胞)中で発現される複数の(例えば、すべての知られている)PDZドメインがGST-融合タンパク質として発現され、上記のようにそれらのリガンド結合特性を変化させることなく固定化される。各PDZドメインについて、公知のアフィニティーでこのドメインに結合する標識されたリガンドが同定される。リンパ球中で発現される一連のPDZドメインが{P1...Pn}で示される場合、任意の所定のPDZドメインPiは(標識された)リガンドLiをアフィニティーKdiで結合する。試験薬剤「化合物X」についての阻害プロフィールを決定するために、「G」アッセイ(上記)が行A-Hおよび列1-12を有する96ウェルプレート中で、以下のように実行され得る。列1はP1でコートされ洗浄される。対応するリガンドL1が、列1の各洗浄されコートされたウェルに、約1と約1000μMとの間の試験化合物Xあり(行B、D、F、H)またはなし(行A、C、E、F)で、0.5KdIの濃度で加えられる。カラム2はP2でコートされ、L2(濃度0.5Kd2で)が、インヒビターXありまたはなしで加えられる。さらなるPDZドメインおよびリガンドは同様に試験される。
化合物Xは、Xを含む列iのウェルにおける平均シグナルがXを欠く列の等価なウェル中のシグナルの半分未満である場合に、PiへのLiの結合を阻害すると見なされる。従って、単回アッセイにおいて、化合物Xによって阻害されるリンパ球PDZの全体のセットを決定する。
いくつかの態様において、試験化合物Xは、上記に記載したようなコンビナトリアル化学合成の生成物のような化合物の混合物である。いくつかの態様において、試験化合物は、所望の生物学的効果を有することが知られており、アッセイは作用のメカニズムを決定するために使用される(すなわち、生物学的効果はPDZ-PL相互作用を調節することに起因する場合)。
パネル(例えば、すべての公知のPDZリンパ球のパネル、少なくとも10、少なくとも20、または少なくとも50のPDZドメインのパネル)中で1つのみ、またはいくつかのPDZ-PL相互作用を調節する薬剤が、多くのまたは大部分の相互作用を調節する薬剤よりもより特異的な調節剤であることは明らかである。代表的には、パネル中で20%未満のPDZドメインを調節する薬剤(例えば、表2)は、「特異的な」インヒビターと見なされ、6%未満が「非常に特異的な」インヒビター、および単一のPDZドメインが「最大限に特異的な」インヒビターである。
「化合物X」は、単一の化合物であるよりもむしろ化合物の混合物を含む組成物(例えば、コンビナトリアル化学方法を使用して生成された)であり得ることもまた理解される。
このアッセイのいくつかのバリエーションが意図される。
いくつかの代替的な態様において、上記のアッセイは、固定された濃度よりもむしろ変化する濃度の試験化合物Xを使用して実行される。これは、上記のように、各PDZについてのXのKiの決定を可能にする。
代替的な態様において、特定の標識されたリガンドLiと各PDZ-PLを対にする代わりに、異なる標識されたリガンドの混合物が、あらゆるPDZについて混合物中の少なくとも1つのリガンドがこのPDZに効率的に結合して、「G」アッセイにおいて結合を検出するように、作製される。次いで、この混合物はあらゆるPDZドメインについて使用される。
1つの態様において、化合物Xは所望の生物学的効果を有することが知られているが、それによってその効果を有する化学的メカニズムは未知である。次いで、本発明のアッセイは、化合物XがPDZドメインへの結合によってその効果を有するか否かを決定するために使用され得る。
1つの態様において、PDZ-ドメイン含有タンパク質は、それらの生物学的機能に基づいてグループに、例えば、走化性を調節するもの対転写を調節するもの、に分類される。特定の機能(例えば、抗走化性因子、抗T細胞活性化因子、細胞周期制御、ベシクル輸送、アポトーシスなどを含むがこれらに限定されない)の最適なインヒビターは、機能(例えば、走化性、活性化)に関与する複数のPDZ-リガンド相互作用を阻害する。従って、1つの態様において、特定の機能を特異的にブロックする薬剤のスクリーニングおよび設計においてアッセイが使用される。例えば、所定の濃度において、薬剤が走化性に関与する2種またはそれ以上のPDZを阻害するが3種の他のPDZよりは少なく、またはそれは走化性に関与するPDZを他のPDZについての>10倍良好であるKiで阻害するので、走化性をブロックするために設計された薬剤が同定され得る。従って、本発明は、第1の選択されたPDZ-PL相互作用または複数の相互作用を阻害するが、第2の選択されたPDZ-PL相互作用または複数の相互作用を阻害しない薬剤を同定するための方法を提供する。2つ(またはそれ以上)のセットの相互作用がPDZタンパク質の既知の生物学的機能、PDZタンパク質の組織特異性、または任意の他の判断基準に基づいて選択され得る。さらに、望ましくない効果を回避しながら所望の生物学的効果を生じる有効な容量(すなわち、薬物濃度)を決定するためのアッセイが使用され得る。
C. PDZ-PL相互作用のアゴニストおよびアンタゴニスト
本明細書中に記載されるように、細胞(例えば、子宮頸部細胞)中でのPDZタンパク質とPLタンパク質との間の相互作用は、病原体の存在によって破壊または阻害され得る。病原体は、本明細書中に記載されるスクリーニングアッセイを使用して同定され得る。PDZ-病原体PL相互作用またはPDZ-細胞PL相互作用のアゴニストおよびアンタゴニストは、特異的相互作用を識別するかまたは確証する際に有用であり得る。いくつかの態様において、アゴニストは、PDZ-病原体PL相互作用の感度を増加させる。他の態様において、PDZ-病原体PL相互作用のアンタゴニストは、相互作用の特異性を実証するために使用され得る。1つの態様において、本明細書中で開示されるモチーフは、インヒビターを設計するために使用される。いくつかの態様において、本発明のアンタゴニストは、表3に列挙されるPL-ドメインタンパク質のC末端残基に基づく構造(例えば、ペプチド配列)を有する。いくつかの態様において、本発明のアンタゴニストは、本明細書中に開示されるか、またはUS特許出願09/724553におけるPLモチーフに基づく構造(例えば、ペプチド配列)を有する。
PDZ/PLアンタゴニストおよび本発明のアンタゴニストは、多くの種々の化合物のいずれかであり得、天然に存在するものおよび合成の両方、有機および無機であり、そしてポリマー(例えば、オリゴペプチド、ポリペプチド、オリゴヌクレオチド、およびポリヌクレオチド)、低分子、抗体、糖、脂肪酸、ヌクレオチドおよびヌクレオチドアナログ、天然に存在する構造のアナログ(例えば、ペプチド模倣物、核酸アナログなど)、ならびに多数の他の化合物を含む。便宜上、本発明の議論は主としてPDZ-PL相互作用のアンタゴニストをいうが、PDZ-PL相互作用アゴニストもまた、本明細書中に開示される方法における使用であり得ることが認識される。
1つの局面において、本発明のペプチドおよびペプチド模倣物またはアナログは、関心対象の細胞中のPDZドメインを結合するアミノ酸配列を含む。1つの態様において、アンタゴニストは、表3またはUS特許出願09/724553に列挙されるPLタンパク質のカルボキシ末端配列に対応する配列を有するペプチド、例えば、表3に列挙されるペプチドを含む。代表的には、このペプチドは、PLタンパク質の少なくともカルボキシ末端の2残基(3)、3残基(3)、または4残基(4)を含み、およびしばしば、阻害ペプチドは、PLタンパク質C末端からの4残基より多く(例えば、少なくとも5、6、7、8、9、10、12、または15残基)を含む。
いくつかの態様において、インヒビターは、例えば、PL C末端タンパク質配列の配列を有するペプチドである。
いくつかの態様において、アンタゴニストは、このような配列を含む融合タンパク質である。膜透過トランスポーターアミノ酸配列を含む融合タンパク質が特に有用である。
いくつかの態様において、インヒビターは、阻害活性を有するPL C末端タンパク質配列の保存性変異体である。
いくつかの態様において、アンタゴニストは、PL C末端配列のペプチド模倣物である。
いくつかの態様において、インヒビターは低分子である(すなわち、1kD未満の分子量を有する)。
D. ペプチドアンタゴニスト
1つの態様において、アンタゴニストは、表3に列挙されるPLタンパク質カルボキシ末端の配列を有するペプチドを含む。このペプチドは、PLタンパク質の少なくともC末端2残基(2)を含み、代表的には、阻害ペプチドは、PLタンパク質C末端から2残基より多く(例えば、少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、12、または15残基)を含む。このペプチドは種々の長さのいずれか(例えば、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも8、少なくとも10、または少なくとも20残基)であり得、およびPLタンパク質由来以外のさらなる残基を含み得る。短いPLペプチドは、時折、類似の特性を有する他の低分子の合理的設計において使用されることが認識される。
ほとんどの場合であるが、阻害タンパク質によって、PLタンパク質と共有される残基は、ペプチドのC末端で見い出される。しかし、いくつかの態様において、配列は内部である。同様に、いくつかの場合において、阻害ペプチドは、近傍であるがPLタンパク質のC末端にはないPL配列からの残基を含む(Geeら、1998, J Biological Chem. 273:21980-87を参照されたい)。
時折、PLタンパク質カルボキシ末端配列は、「コアPDZモチーフ配列」といわれ、これは、PDZドメインと相互作用する短い配列の能力をいう。例えば、1つの態様において、「コアPDZモチーフ配列」は、最後の4個のC末端アミノ酸を含む。上記に記載されるように、PDZモチーフ配列の4アミノ酸コアは、その結合アフィニティーおよび/または安定性をさらに増加させるためにそのアミノ末端にさらなるアミノ酸を含み得る。従って、1つの態様において、PDZモチーフ配列ペプチドは、4アミノ酸から15アミノ酸までのであり得る。この配列の長さが6-10アミノ酸であることが好ましい。より好ましくは、PDZモチーフ配列は8アミノ酸を含む。コア配列のアミノ末端のさらなるアミノ酸は、各造血細胞表面レセプターにおける天然の配列または合資リンカーに由来し得る。さらなるアミノ酸はまた、保存性置換され得る。C末端からの第3のアミノ酸がS、T、またはYである場合、この残基はペプチドの使用の前にリン酸化され得る。
いくつかの態様において、本発明のペプチドおよび非ペプチドのインヒビターは小さく、例えば、ペプチドである場合には、10アミノ酸残基よりも小さい。さらに、限られた数(一般的に、8未満)のリガンドアミノ酸が直接的にPDZドメインに接触すること(Kozlovら、2000, Biochemistry 39, 2572; Doyleら、1996, Cell 85, 1067)、およびC末端3アミノ酸までの短いペプチドが、しばしば、より長い(>15)アミノ酸ペプチドと同様の結合特性を保持することが報告されている(Yanagisawaら、1997, J. Biol. Chem. 272, 8539)。
E. ペプチド変異体
PDZ結合ペプチド配列およびPDZ-PL相互作用配列を同定したので、これらの配列のバリエーションが作製され得、得られるペプチド変異体がPDZドメイン結合またはPDZ-PL阻害活性について試験され得る。態様において、変異体は、PDZドメインを結合する、親のペプチドと同じかまたは異なる能力を有する。代表的には、このようなアミノ酸置換は保存性であり、すなわち、アミノ酸残基は、それらが置き換えた残基と同様の物理的および/または化学的特性を有する他のアミノ酸残基で置き換えられる。好ましくは、保存性アミノ酸置換は、アミノ酸が同じ指定されたクラス内に含まれる別のアミノ酸で置換されるものである。
F. ペプチド模倣物
PDZ結合ペプチド配列およびPDZ-PL相互作用配列を同定したので、ペプチド模倣物が日常的な方法を使用して調製され得、およびその模倣物の阻害活性が本発明のアッセイを使用して確認され得る。従って、いくつかの態様において、アゴニストまたはアンタゴニストは、PL C末端配列のペプチド模倣物である。当業者は、個々の合成残基およびポリペプチド組み込み模倣物が、種々の手順および方法論を使用して合成され得ることを認識し、これらは、科学文献および特許文献、例えば、Organic Syntheses Collective Volumes, Gilmanら(編)John Wiley & Sons, Inc., NYにおいて十分に記載されている。ポリペプチド組み込み模倣物はまた、例えば、Di Marchiら、US特許番号5,422,426によって記載されるように、固相合成手順を使用して作製され得る。本発明の模倣物はまた、コンビナトリアル方法論を使用して合成され得る。ペプチドおよびペプチド模倣物のライブラリーの生成のための種々の技術は周知であり、これには、例えば、マルチピン、ティーバッグ、およびスプリット-カップル-ミックス技術が含まれる;例えば、al-Obeidi (1998) Mol. Biotechnol. 9:205-223; Hruby (1997) Curr. Opin. Chem. Biol. 1:114-119; Ostergaard (1997) Mol. Divers. 3:17-27; Ostresh (1996) Methods Enzymol. 267:220-234を参照されたい
G. 低分子
いくつかの態様において、アゴニストまたはアンタゴニストは低分子である(すなわち、1kD未満の分子量を有する)。低分子をスクリーニングするための方法は当該分野において周知であり、これには上記に記載されたものが含まれる。
X. PLディテクターを最適化する方法
PDZ-ドメインポリペプチドとPLタンパク質との間の相互作用を同定することに関して上記に主として記載されたが、上記に記載されたアッセイおよび他のアッセイはまた、PDZドメイン配列への他の分子(例えば、ペプチド模倣物、低分子など)の結合を同定するために使用され得る。例えば、本明細書中に開示されたアッセイを使用して、化合物のコンビナトリアルライブラリーおよび他のライブラリーが、例えば、PDZドメインに特異的に結合する分子についてスクリーニングされ得る。ライブラリーのスクリーニングは、一般的に知られている種々の方法のいずれかによって達成され得る。例えば、ペプチドライブラリーのスクリーニングを開示する以下の参考文献を参照されたい:
特定の態様において、スクリーニングは、ライブラリーメンバーを、固体支持体上に固定化されたPDZ-ドメインポリペプチドと接触させること(例えば、「G」アッセイにおいて上記に記載されたように)、およびタンパク質に結合するライブラリーメンバーを収集することによって実行され得る。「パニング」技術と呼ばれるこのようなスクリーニング技術の例は、例示目的で、ParmleyおよびSmith, 1988, Gene 73:305-318; Fowlkesら、1992, BioTechniques 13:422-427; PCT公開番号WO 94/18318;ならびに上記の中に引用される参考文献において記載されている。
別の態様において、酵母における相互作用タンパク質を選択するためのツーハイブリッドシステム(FieldsおよびSong、1989, Nature 340:245-246; Chienら、1991, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88:9578-9582)がPDZドメイン含有タンパク質に特異的に結合する分子を同定するために使用され得る。さらに、同定された分子は、PDZドメインとの膜貫通レセプター相互作用を阻害するそれらの能力についてさらに試験される。
本発明の1つの局面において、PDZタンパク質とPLタンパク質との間の相互作用のアンタゴニストが同定される。1つの態様において、上記の「A」アッセイの修飾が、アンタゴニストを同定するために使用される。1つの態様において、上記の「G」アッセイの修飾が、アンタゴニストを同定するために使用される。
1つの態様において、スクリーニングアッセイが、PDZドメインに特異的に結合する分子を検出するために使用される。このような分子は、PDZ-タンパク質-媒介細胞機能(例えば、細胞活性化、例えば、T細胞活性化、ベシクル輸送、サイトカイン放出、成長因子、転写の変化、細胞骨格再配列、細胞移動、走化性など)のアゴニストまたはアンタゴニストとして有用である。1つの態様において、このようなアッセイは、薬物開発のための白血球活性化インヒビターについてスクリーニングするために実行される。従って、本発明は、PDZドメイン-含有タンパク質に特異的に結合する分子を検出するためのアッセイを提供する。例えば、PDZドメインをコードする核酸を発現する組換え細胞が、これらのアッセイにおいてPDZドメインを産生するために、およびこのドメインに結合する分子をスクリーニングするために使用され得る。分子は、同定された条件下で、PDZドメイン(またはそのフラグメント)と接触される。前述を実行するために使用され得る方法は、当該分野において一般的に公知である。
1つの態様において、アンタゴニストが、既知のまたは候補アンタゴニストの存在下または非存在下でAアッセイまたはGアッセイを実行することによって同定されることが当業者によって理解され得る。化合物の存在下で結合の減少が観察される場合、その化合物はアンタゴニストであると同定される。化合物の存在下での結合の増加は、その化合物がアゴニストであることを示す。
例えば、1つのアッセイにおいて、試験化合物は、試験化合物の存在下または非存在下で、それらが複合体を形成する(しかし試験化合物の非存在下では形成しない)条件下で、PDZドメインポリペプチドおよびPLペプチドを接触させること、および試験化合物の存在下または非存在下で複合体の形成を検出することによって、PDZタンパク質とPLタンパク質との間の結合のインヒビター(アンタゴニスト)として同定され得る。試験化合物の非存在下におけるよりも、その化合物の存在下においてより少ない複合体形成が、その試験化合物がPDZタンパク質-PLタンパク質結合のインヒビターであることが理解される。
1つの態様において、「G」アッセイは、候補インにビターの存在下または非存在下において使用される。1つの態様において、「A」アッセイは、候補インヒビターの存在下および非存在下で使用される。
1つの態様において(Gアッセイが使用される場合)、1種または複数のPDZドメイン含有GST融合タンパク質が、上記の96ウェルプレートのウェルの表面に結合される(非融合GSTタンパク質を含む適切な対照とともに)。すべての融合タンパク質は、適切な対照および統計学的分析が行われ得るように、複数のウェル中で結合される。BSA/PBS中の試験化合物(代表的には、複数の異なる濃度で)がウェルに加えられる。その直後に、関連するPDZドメイン(例えば、表4を参照されたい)に結合することが知られている検出可能に標識された(例えば、ビオチン化された)ペプチド30μLが、例えば、約2μMと約40μMの間、代表的には5μM、15μM、または25μMの最終濃度で各ウェルに加えられる。次いで、この混合物は、表面に結合したPDZ融合タンパク質と、4℃で10分間、続いて25℃で20分間反応された。表面は、氷冷PBSで3回洗浄して未結合ペプチドをなくし、そして試験化合物の存在下および非存在下でのペプチドの結合の量が決定された。通常、結合のレベルは、レプリカウェルの各セットについて(例えば、2連で)、これらのウェル中のペプチド結合の未加工の測定値の平均から、平均GST単独バックグラウンドを減算することによって測定される。
代替的な態様において、Aアッセイが、PL-PDZ相互作用のインヒビターを同定するために、候補化合物の存在下および非存在下で実行される。
1つの態様において、試験化合物は、1mM以下(例えば、:500μM以下、100μM以下、10μM以下、1μM以下、100nM以下、または1nM以下)の試験化合物濃度で、試験化合物の存在下でのLへのPの結合が、試験化合物の非存在下での結合の約50%未満である場合に(種々の態様において、約25%未満、約10%未満、または約1%未満)、PDZドメイン(P)およびPL(L)配列の結合の特異的インヒビターであると決定される。好ましくは、試験化合物の存在下でのLへのPの結合の正味のシグナルプラス試験化合物の存在下での6倍のシグナルの標準誤差が、試験化合物の非存在下での結合シグナル未満である。
1つの態様において、インヒビターについてのアッセイが、単一のPDZタンパク質-PLタンパク質対(例えば、PDZドメイン融合タンパク質およびPLペプチド)を使用して実行される。関連する態様において、アッセイは、表4に列挙される複数の異なる対のような複数の対を使用して実行される。
いくつかの態様において、所定の濃度で1つのPL-PDZ対の結合を阻害するが、特定の第2のPL-PDZ対の結合を阻害しない(またはより少ない程度で阻害する)化合物を同定することが所望される。これらのアンタゴニストは、候補インヒビターおよび異なるPL-PDZ対(例えば、表4の行列において示されるようなもの)を使用して一連のアッセイを実行すること、およびそのアッセイの結果を比較することによって同定され得る。すべてのこのような対の組み合わせが本発明によって意図される(例えば、試験化合物は、それがPDZ2へのPL1の結合またはPDZ2へのPL2の結合を阻害するよりもより高い程度まで、PDZ1に対するPL1の結合を阻害する)。重要なことに、表4に提供されるデータおよび本明細書中に開示されるデータ(および本明細書中に記載される方法を使用して生成され得るさらなるデータ)に基づいて、異なる特異性を有するインヒビターが容易に設計され得ることが理解される。
例えば、本発明に従って、PDZ-PL相互作用のインヒビターのKi(「効力」)が決定され得る。Kiは生物学的効果を有することが必要であるインヒビターの濃度の尺度である。例えば、少なくとも約1と約100Kiとの間の細胞内インヒビター濃度を生じるのに十分な量のPDZ-PL相互作用のインヒビターの投与は、標的PDZ-PL相互作用によって媒介される生物学的応答を阻害することが予想される。本発明の1つの局面において、上記の方法を使用して決定されるようなPDZ-PL結合のKd測定は、Kiを決定する際に使用される。
従って、1つの局面において、本発明は、表面上にPDZドメインおよび非PDZドメインを含むポリペプチドを固定化すること、固定化されたポリペプチドを、リガンドおよびインヒビターの複数の異なる混合物と接触させること(ここで、異なる混合物は固定量のリガンドおよび異なる濃度のインヒビターを含む)、異なる濃度のインヒビターで結合したリガンドの量を決定すること、ならびに異なる濃度のインヒビターの存在下で結合したリガンドの量に基づいて結合のKiを計算することによって、PDZドメインとリガンドとの間の結合のインヒビターまたは擬似インヒビターの効力(Ki)を決定する方法を提供する。1つの態様において、ポリペプチドは、非PDZドメインを結合する固定化された免疫グロブリンにポリペプチドを結合させることによって固定化される。上記の「G」アッセイに基づくこの方法は、PDZ-リガンド相互作用のインヒビターについてのKiの高スループット分析のために特に適している。さらに、この方法を使用して、PDZ-リガンド相互作用それ自体の阻害が、アビディティー効果による測定のひずみを伴うことなく測定される。
代表的には、リガンドの少なくとも一部は、リガンド結合の容易な定量を可能にするために検出可能に標識される。
リガンドの濃度およびインヒビターの濃度が、阻害の有意義な検出を可能にするように選択されることが理解される。従って、その結合がブロックされるリガンドの濃度は、その結合アフィニティーに近いかまたはそれ未満である(例えば、好ましくは相互作用の5×Kd未満、より好ましくは2×Kd未満、最も好ましくは1×Kd未満)。従って、リガンドは、代表的には、2Kd未満(例えば、約0.01Kdと約2Kdとの間)の濃度で存在し、試験インヒビターの濃度は、代表的には1nMから100μMの範囲である(例えば、最大濃度10μMまたは1mMを有する4倍希釈シリーズ)。好ましい態様において、Kdは上記に開示されたアッセイを使用して決定される。
結合のKiは、異なる濃度のインヒビターの存在下で結合したリガンドの量に基づいて、当該分野において日常的に使用される種々の方法のいずれかによって計算され得る。例示的な態様において、例えば、標識されたリガンドの結合対インヒビター濃度のプロットが以下の式に適合される:
Sインヒビター=S0*Ki/([I]+Ki)
ここで、Sインヒビターは濃度[I]でのインヒビターの存在下における固定化されたPDZドメインに結合する標識されたリガンドのシグナルであり、S0はインヒビターの非存在下(すなわち、[I]=0)でのシグナルである。代表的には、[I]はモル濃度として表現される。
本発明の別の局面において、PDZドメインとリガンドとの間の結合のエンハンサー(時折、オーグメンターまたはアゴニストといわれる)は、表面上にPDZドメインおよび非PDZドメインを含むポリペプチドを固定化すること、固定化されたポリペプチドを、試験薬剤の存在下でリガンドと接触させることおよび結合したリガンドの量を決定すること、ならびに試験化合物の存在下で結合したリガンドの量を、試験薬剤の非存在下でポリペプチドによって結合したリガンドの量と比較することによって同定される。試験薬剤の非存在下と比較して、試験薬剤の存在下で少なくとも2倍(しばしば、少なくとも5倍)高い結合は、この試験薬剤が、リガンドへのPDZドメインの結合を増強する薬剤であることを示す。上記に注記されるように、PDZ-リガンド相互作用を増強する薬剤は、正常なPDZ-リガンド機能を必要とする生物学的事象(例えば、癌の細胞分裂および転移、ならびに免疫細胞の活性化および移動)の破壊(調節不全)のために有用である。
本発明はまた、PDZ-リガンド相互作用のエンハンサーの「効力」または「Kエンハンサー」を決定するための方法を提供する。例えば、本発明に従って、PDZ-PL相互作用のエンハンサーのKエンハンサーが、例えば、上記に記載される方法を使用して決定されるようなPDZ-PL結合のKdを使用して決定され得る。Kエンハンサーは、生物学的効果を有することが予測されるエンハンサーの濃度の尺度である。例えば、少なくとも約0.1と約100の間のKエンハンサー(例えば、約0.5と約50の間のKエンハンサー)の細胞内インヒビター濃度を生じるのに十分な量のPDZ-PL相互作用のエンハンサーの投与が、標的PDZ-PL相互作用によって媒介される生物学的応答を破壊することが予測される。
従って、1つの局面において、本発明は、表面上にPDZドメインおよび非PDZドメインを含むポリペプチドを固定化すること、固定化されたポリペプチドを、リガンドおよびエンハンサーの複数の異なる混合物と接触させること(ここで、異なる混合物は、その少なくとも一部が検出可能に標識された固定量のリガンド、および異なる濃度のエンハンサーを含む)、異なる濃度のエンハンサーで結合したリガンドの量を決定すること、ならびに異なる濃度のエンハンサーの存在下で結合したリガンドの量に基づいて結合からエンハンサーの効力(Kエンハンサー)を計算することによって、PDZドメインとリガンドとの間の結合のエンハンサーまたは擬似エンハンサーの効力(Kエンハンサー)を決定する方法を提供する。代表的には、リガンドの少なくとも一部は、リガンド結合の容易な定量を可能にするために検出可能に標識される。上記の「G」アッセイに基づくこの方法は、PDZ-リガンド相互作用のエンハンサーについてのKエンハンサーの高スループット分析のために特に適している。
リガンドの濃度およびインヒビターの濃度が、増強された結合の有意義な検出を可能にするように選択されることが理解される。従って、リガンドは、代表的には、約0.01Kdと約0.5Kdとの間の濃度で存在し、試験薬剤/エンハンサーの濃度は、代表的には1nMから1mMの範囲である(例えば、最大濃度10μMまたは1mMを有する4倍希釈シリーズ)。好ましい態様において、Kdは上記に開示されたアッセイを使用して決定される。
結合の効力は、異なる濃度のエンハンサーまたはオーグメンターの存在下で結合したリガンドの量に基づいて種々の標準的な方法によって決定され得る。例えば、エンハンサー濃度に対する標識されたリガンドの結合のプロットを以下の式に適合させ得る:
S([E])=S(0)+(S(0)*(Dエンハンサー-1)*[E]/([E]+Kエンハンサー)
ここで、「Kエンハンサー」は増大化合物の効力であり、「Dエンハンサー」は飽和量の増強化合物の付加で得られる標識されたリガンドの結合の倍数増加であり、[E]はエンハンサーの濃度である。飽和量がエンハンサーの量であり、その結果さらなる付加が結合シグナルを有意に増加させないことが理解される。「Kエンハンサー」の知見は、これが、PDZ-PL相互作用の調節不全に起因して生物学的効果を生じる標的細胞中の増大化合物の濃度を表現するので有用である。代表的な治療濃度は、約0.1と約100との間のKエンハンサーである。
PDZタンパク質およびPLタンパク質が一緒に結合すると示されること、およびそれに対してKd値が得られたことを確かめるために、さらなる試験が、特定の薬学的化合物が相互作用を拮抗または作動させるように作用するか否かを決定するために実行された。アッセイは、アッセイの工程(2)において特定されるような20μM溶液の代わりに、50μlのビオチン化PLペプチドの10μM溶液がPDZ-ドメインポリペプチドを有する表面と反応される以外は、試験化合物の存在下または非存在下の両方で、上記のG'アッセイについてと同様に実行された。
PDZ-PL相互作用の特異性または感度を増加させる別の方法は、高アフィニティーまたは高特異性の変異体の変異誘発および選択を通してである。UV、化学的(例えば、EMS)または生物学的変異誘発(例えば、分子シャッフリングまたはDNAポリメラーゼ変異誘発)のような方法が、PDZドメインまたはPLドメインをコードするDNAにおける変異を作製するために適用され得る。次いで、タンパク質が変異体から作製され得、本明細書中に記載される多数の方法(例えば、「A」アッセイ、「G」アッセイ、または酵母ツーハイブリッド})を使用して試験され得る。一般的に、変異型PDZドメインと、他の細胞PL(セクションIXにおいて記載されるようなもの)について減少したアフィニティーを有する試験試料(例えば、発癌性E6 PL)との間の高アフィニティー結合について変異体をアッセイする。これらの方法は当業者に公知であり、本明細書中に記載される例は限定することを意図しない。
XI. 組換えディテクター合成
背景のセクションにおいて示されるように、PDZドメイン-含有タンパク質は、ベシクル輸送、腫瘍抑制、タンパク質ソーティング、膜の極性の確立、アポトーシス、免疫応答の調節、およびシナプス形成の組織化を含むがこれらに限定されない多数の生物学的機能に関与する。一般的に、このタンパク質のファミリーは、多タンパク質複合体の集合を容易にすること、しばしばいくつかのタンパク質間の架橋として働くこと、または他のタンパク質の機能を調節することの共通の機能を有する。さらに、上記にまた注記されるように、これらのタンパク質は、本質的にすべての細胞型に見い出される。結果として、不適切なPDZ:PL相互作用または異常な相互作用の検出は、広範な種々の生物学的および生理学的な機能を診断するために利用され得る。特に、病原体生物からのPLタンパク質の検出は、PDZドメインを使用して診断され得る。大部分の、しかしすべてではない本明細書の態様は、検出のために使用されるPDZまたはPLタンパク質への検出可能なマーカーの付加を必要とする。例は以下に示される。
A. 化学合成
本発明のペプチドまたはそのアナログは、ペプチドまたはペプチドアナログの調製のための実質的に任意の当該分野で公知の技術を使用して調製され得る。例えば、ペプチドは、従来的な溶液または固相のペプチド合成を使用して線状形態で調製され、レジンから切断され、その後精製手順を行い得る(Creighton, 1983, Protein Structures And Molecular Principles, W.H. Freeman and Co.,
N.Y.)。本明細書中に記載されるペプチドを合成するための適切な手順は当該分野で周知である。合成ペプチドの組成物は、アミノ酸配列分析またはシークエンシングによって確認され得る(例えば、エドマン分解手順および質量分析法)。
さらに、ペプチドのアナログおよび誘導体が化学合成され得る。本発明のペプチドの各アミノ酸間の連結は、アミド、置換アミド、またはアミドの等電子体であり得る。非古典的アミノ酸および化学的アミノ酸アナログは、置換または付加として配列に導入され得る。非古典的アミノ酸には以下が含まれるがこれらに限定されない:一般的なアミノ酸のD-異性体、α-アミノイソ酪酸、4-アミノ酪酸、Abu、2-アミノ酪酸、γ-Abu、ε-Ahx、6-アミノヘキサン酸、Aib、2-アミノイソ酪酸、3-アミノプロピオン酸、オルニチン、ノルロイシン、ノルバリン、ヒドロキシプロリン、サルコシン、シトルリン、システイン酸、t-ブチルグリシン、t-ブチルアラニン、フェニルグリシン、シクロヘキシルアミン、β-アラニン、フルオロ-アミノ酸、β-メチルアミノ酸、Cα-メチルアミノ酸、Nα-メチルアミノ酸のようなデザイナーアミノ酸、および一般的なアミノ酸アナログ。さらに、アミノ酸はD(右旋性)またはL(左旋性)であり得る。
B. 組換え合成
ペプチドが、遺伝子によってコードされるアミノ酸、またはその部分から完全に構成される場合、ペプチドまたは関連する部分はまた、従来的な遺伝子操作技術を使用して合成され得る、組換え産生のために、線状型のペプチドをコードするポリヌクレオチドは、適切な発現ビヒクル、すなわち、挿入されたコード配列の転写および翻訳のための必要なエレメントを含むか、またはRNAウイルスベクターの場合には、複製および翻訳のための必要なエレメントを含むベクターに挿入される。次いで、この発現ビヒクルは、ペプチドを発現する適切な標的細胞にトランスフェクトされる。使用される発現系に依存して、次いで、発現されたペプチドは、当該分野において十分に確立された手順によって単離される。組換えタンパク質およびペプチド産生のための方法は当該分野において周知である。組換えタンパク質およびペプチド産生のための方法は当該分野において周知である(例えば、Maniatisら、1989, Molecular Cloning A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, N.Y.;およびAusubelら、1989, Current Protocols in Molecular Biology, Greene Publishing Associates and Wiley Interscience, N.Y.を参照されたい)
種々の宿主-発現ベクター系が、本明細書中に記載されるペプチドを発現するために利用され得る。これらには、以下が含まれるがこれらに限定されない:適切なコード配列を含む組換えバクテリオファージDNAまたはプラスミドDNA発現ベクターで形質転換された細菌のような微生物;適切なコード配列を含む組換え酵母または真菌発現ベクターで形質転換された酵母または糸状菌;適切なコード配列を含む組換え発現ベクター(例えば、バキュロウイルス)で感染された昆虫細胞系;適切なコード配列を含む、組換えウイルス発現ベクターで感染されたかまたは組換えプラスミド発現ベクター(例えば、Tiプラスミド)で形質転換された植物細胞系(例えば、カリフラワーモザイクウイルスもしくはタバコモザイクウイルス);あるいは動物細胞系。
いくつかの態様において、PLディテクターのコピー数を増加させることが、検出の特異性または感度を増加させるために使用され得る。この例は実施例4において提示される。TIP-TIP-IgGベクターはTIP-1からのPDZドメインの二重コピーを有する融合タンパク質を生じ、そしてタンパク質それ自体がIgG定常領域バックボーンに基づいてダイマー化するはずである。それゆえに、単一のタンパク質は2-4コピーのTIP-1 PDZドメインを含む。同様の様式において、PLディテクターのさらなるタンデムリピートが構築され得る。いくつかの態様において、異なるタンパク質からの異なるPDZドメインが単一のタンパク質として発現されるように操作され得る(例えば、TIP-1およびMAGI-1のPDZドメインが発癌性HPV E6タンパク質を検出するために操作され得る)。同様の様式において、異なるIgバックボーンが構築物のアビディティーを増加させるために使用され得る。例えば、IgG定常領域がそれ自体とダイマー化するが、IgM定常領域は10個のモノマーの複合体を形成する。
発現系の発現エレメントは、それらの強度および特異性が変化する。利用される宿主/ベクター系に依存して、構成的プロモーターおよび誘導性プロモーターを含む、多数の適切な転写エレメントおよび翻訳エレメントのいずれかが発現ベクター中で使用され得る。例えば、細菌系におけるクローニングの場合、バクテリオファージλのpL、plac、ptrp、ptac(ptrp-lacハイブリッドプロモーター)などのような誘導性プロモーターが使用され得る;昆虫細胞系におけるクローニングの場合、バキュロウイルスポリへドロンプロモーターのようなプロモーターが使用され得る;植物細胞系におけるクローニングの場合、植物細胞のゲノム由来のプロモーター(例えば、熱ショックプロモーター;RUBISCOのスモールサブユニットのプロモーター;クロロフィルa/b結合タンパク質のプロモーター)または植物ウイルス由来のプロモーター(例えば、CaMVの35S RNAプロモーター;TMVのコートタンパク質プロモーター)が使用され得る;哺乳動物細胞系におけるクローニングの場合、哺乳動物細胞のゲノム由来のプロモーター(例えば、メタロチオネインプロモーター)または哺乳動物ウイルス由来のプロモーター(例えば、アデノウイルス後期プロモーター;ワクシニアウイルス7.5Kプロモーター)が使用され得る;複数コピーの発現産物を含む細胞株を生成する場合、SV40-、BPV-、およびEBV-に基づくベクターが適切な選択マーカーとともに使用され得る。
植物発現ベクターが使用される場合、本発明のペプチドをコードする配列の発現は、多数のプロモーターのいずれかによって駆動され得る。例えば、CaMVの35S RNAプロモーターおよび19S RNAプロモーター(Brissonら、1984, Nature 310:511-514)またはTMVのコートタンパク質プロモーター(Takamatsuら、1987, EMBO J. 6:307-311)のようなウイルスプロモーターが使用され得る;代替的には、RUBISCOのスモールサブユニットプロモーター(Coruzziら、1984, EMBO J. 3:1671-1680; Broglieら、1984, Science 224:838-843)または熱ショックプロモーター、例えば、ダイズhsp17.5-Eまたはhsp17.3-B(Gurleyら、1986, Mol. Cell. Biol. 6:559-565)が使用され得る。これらの構築物は、Tiプラスミド、Riプラスミド、植物ウイルスベクター、直接的DNA形質転換、マイクロインジェクション、エレクトロポレーションなどを使用してplan白血球に導入され得る。これらの技術の概説としては、例えば、WeissbachおよびWeissbach、1988, Methods for Plant Molecular Biology, Academic Press, NY, セクションVIII、421-463頁;ならびにCriersonおよびCorey、1988, Plant Molecular Biology, 第2版、Blackie, London, Ch. 7-9を参照されたい。
本発明のペプチドを産生するために使用され得る1つの昆虫発現系において、Autographa californica核多核体病(polyhidrosis)ウイルス(AcNPV)が外来性遺伝子を発現するためにベクターとして使用される。このウイルスはSpodoptera frugiperda細胞中で増殖する。コード配列は、ウイルスの非必須領域(例えば、ポリへドロン遺伝子)にクローニングされ得、かつAcNPVプロモーター(例えば、ポリへドロンプロモーター)の制御下に置かれ得る。コード配列の成功した挿入は、ポリへドロン遺伝子の不活性化および占有されていない組換えウイルス(すなわち、ポリへドロン遺伝子によってコードされるタンパク質性コートを欠くウイルス)の産生を生じる。次いで、これらの組換えウイルスは、挿入された遺伝子が発現されるSpodoptera frugiperda細胞を感染させるために使用される(例えば、Smithら、1983, J. Virol. 46:584; Smith, U.S. 特許番号4,215,051を参照されたい)。この発現系のさらなる例は、Current Protocols in Molecular Biology, 第2巻、Ausubelら編、Greene Publish. Assoc. & Wiley Interscienceにおいて見い出され得る。
哺乳動物宿主細胞において、多数のウイルスに基づく発現系が利用され得る。アデノウイルスが発現ベクターである場合において、コード配列は、アデノウイルス転写/翻訳制御複合体、例えば、後期プロモーターおよび三成分リーダー配列にライゲーションされ得る。次いで、このキメラ遺伝子はインビトロまたはインビボの組換えによってアデノウイルスゲノムに挿入され得る。ウイルスゲノムの非必須領域(例えば、領域E1またはE3)における挿入は、感染された宿主において生存可能でありかつペプチドを発現することができる組換えウイルスを生じる(例えば、LoganおよびShenk、1984, Proc. Natl. Acad. USA 81:3655-3659を参照されたい)。代替的には、ワクシニア7.5Kプロモーターが使用され得る(例えば、Mackettら、1982, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 79:7415-7419; Mackettら、1984, J. Virol. 49:857-864; Panicaliら、1982, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 79:4927-4931を参照されたい)。
本発明の線状ペプチドを産生するための他の発現系は当業者に明らかである。
C. タグまたはマーカー
タグまたはマーカーは、成分の精製または生物学的分子の検出において補助するために頻繁に使用される。生物学的タグの例には、以下が含まれるがこれらに限定されない:グルタチオン-S-トランスフェラーゼ、マルトース結合タンパク質、免疫グロブリンドメイン、インテイン、ヘマグルチニンエピトープ、mycエピトープなど。化学的タグの例には、以下が含まれるがこれらに限定されない:ビオチン、金、常磁性粒子または蛍光団。これらの例は、これらが結合するタンパク質もしくは化合物の存在を同定するために使用され得るか、または複雑な混合物からタンパク質もしくは化合物を精製するために当業者によって使用され得る。
D. ペプチドおよびペプチドアナログの精製
本発明のペプチドおよびペプチドアナログは、高速液体クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、ゲル電気泳動法、アフィニティークロマトグラフィーなどのような当該分野で公知の技術によって精製され得る。特定のペプチドまたはアナログを精製するために使用される実際の条件は、部分的には、正味の電荷、疎水性、親水性などのような要因に依存し、および当業者に明らかである。精製されたペプチドは、放射活性標識、その後のゲル電気泳動、ラジオイムノアッセイ、ELISA、バイオアッセイなどを含む、ペプチドの物理的または化学的特性に基づくアッセイによって同定され得る。
XII. キット
本発明はまた、本発明の方法を実行するためのキットを含む。本発明のキットは、第1および第2の発癌性HPV E6結合パートナーを含む。大部分の態様において、第1の結合パートナーはPDZドメインポリペプチドであり、および第2の結合パートナーは、E6についての少なくとも1種の抗体である。いくつかの態様において、第2の結合パートナーは、検出可能な標識で標識される。他の態様において、検出可能な第2の抗体のような第2の標識成分が含まれる。いくつかの態様において、本発明のキットはさらに、試料から発癌性HPV E6を単離するためのデバイスまたはシステムのような手段を含む。キットは、プロテアソームインヒビターを任意に含み得る。
本発明のキットはさらに、所望される場合、例えば、1種または複数のバッファー、検出試薬、または抗体のような1種または複数の種々の従来的な成分を含み得る。使用される成分の量およびそれらの使用のためのガイドラインを示す、挿入物またはラベルのいずれかとしての印刷された指示書もまた、キットに含められ得る。本開示において、特定の物質または条件が本発明を実施する際に重要であるが、特定化されていない物質および条件は、それらが本発明の利点が実現されることを妨害しない限りは除外されないことが理解されるべきである。本発明の診断方法の典型的な態様は上記に詳細に記載されている。
本発明のキットにおいて、発癌性E6検出反応は、水溶液または固体基材を使用して実行され得、ここでそのキットは、いくつかの分離および検出プラットフォーム(例えば、試験ストリップ、サンドイッチアッセイなど)を用いる使用のための試薬を含み得る。試験ストリップキットの多くの態様において、その試験ストリップは、そこに、発癌性E6タンパク質のPLドメインを特異的に結合し、かつ固体支持体上でE6タンパク質を捕捉するPDZドメインポリペプチドを結合している。いくつかの態様において、このキットはさらに、直接的もしくは間接的のいずれかで検出可能であり、かつ発癌性E6タンパク質に結合してその検出を可能にする、検出抗体を含む。キットはまた、ウェスタンブロットを実行するための成分(例えば、あらかじめ作製されたゲル、メンブレン、転写システムなど);ELISAを実行するための成分(例えば、96ウェルプレート);免疫沈降を実行するための成分(例えば、プロテインA);試料からの発癌性E6タンパク質のアフィニティーもしくはサイズ分離のためのカラム、とりわけスピンカラム(例えば、ゲル濾過カラム、PDZドメインポリペプチドカラム、サイズ排除カラム、メンブレンカットオフスピンカラムなど)を含み得る。
本発明のキットはまた、発癌性もしくは非発癌性のE6、および/または発癌性E6の連続希釈を含む対照試料を含み得、ここえ連続希釈は、キットの使用者が、それを用いて彼らの結果を比較し得および彼らの試料中の発癌性E6のレベルを見積もり得る適切な範囲の標準を表す。このような連続希釈は、患者における任意の癌の進行の見積もりを提供し得る。蛍光、呈色、またはオートラジオグラフィーフィルムの発色の結果もまた、キットによって提供される蛍光、呈色、またはフィルム密度の標準曲線に対して比較され得る。
上記に言及した成分に加えて、本発明のキットは、代表的には、対象の方法を実施するためにキットの成分を使用するための指示書をさらに含む。対象の方法を実施するための指示書は、一般的には、適切な記録媒体に記録されている。例えば、指示書は、基材上に、例えば、紙またはプラスチックなどに印刷され得る。このようにして、指示書は、パッケージの挿入物としてキット中に、キットまたはその成分の容器の表示中になどで(すなわち、パッケージングまたはサブパッケージングに付随して)存在し得る。他の態様において、指示書は、適切なコンピュータ読み取り可能な保存媒体(例えば、CD-ROM、ディスケットなど)上に存在する電子的保存データファイルとして存在する。なお他の態様において、実際の指示書がキット中には存在しないが、遠隔の情報源から指示書を入手する手段(例えば、インターネット経由で)が提供される。この態様の例は、そこで指示書が閲覧可能であり、および/またはそこから指示書がダウンロード可能であるウェブアドレスを含むキットである。指示書と同様に、指示書を得るためのこの手段は適切な基材上に記録される。
上記に議論されたようなプログラムおよび指示書を含む、少なくともコンピュータ読み取り可能な媒体を含むキットもまた、対象の発明によって提供される。この指示書は、インストールまたはセットアップの指針を含み得る。この指示書は、上記に記載されたオプションまたはオプションの組み合わせを用いる本発明の使用のための指針を含み得る。特定の態様において、この指示書は両方の型の情報を含む。
キットとしてソフトウェアおよび指示書を提供することは、多数の目的に役立ち得る。この組み合わせは、親の抗体よりも非ウサギ宿主中での免疫原性が少ないウサギ抗体、またはそのヌクレオチド配列をを産生するための手段としてパッケージにされかつ購入され得る。
指示書は、一般的に適切な記録媒体に記録される。例えば、指示書は、紙またはプラスチックなどのような基材上に印刷され得る。このようにして、指示書は、パッケージの挿入物としてキット中に、キットまたはその成分の容器の表示中になどで(すなわち、パッケージングまたはサブパッケージングに付随して)存在し得る。他の態様において、指示書は、適切なコンピュータ読み取り可能な保存媒体(例えば、CD-ROM、ディスケットなど)上に存在する電子的保存データファイルとして存在する(そこにプログラムが提供される同じ媒体を含む)。
被験体がHPVの発癌性株で感染されているか否かを決定する方法
本発明は、試料中で発癌性HPV E6タンパク質を検出する方法を提供し、および被験体中でHPV感染を診断する際に有用性を見いだす。多くの態様において、生物学的試料が被験体から得られ、そして試料中での発癌性HPV E6タンパク質の存在が決定される。試料中での発癌性HPV E6タンパク質の検出可能な量の存在は、個体がHPVの発癌性株で感染されるていることを示す。他の態様において、生物学的試料中の発癌性HPV E6タンパク質のレベルが決定され、そして試料中の対照の量と比較される。試料中の発癌性HPV E6タンパク質の相対量は、HPVによる感染の重篤度を示す。
この方法は、一般的には、発癌性HPV E6タンパク質の2つの結合パターンを含み、そのうちの1つは、上記に記載したようなPDZドメインポリペプチドである。一般的に、この方法は以下を含む:a)結合パートナーの1つを使用して試料から発癌性HPV E6タンパク質を単離すること、およびb)他の結合パートナーを用いて発癌性HPV E6タンパク質を検出すること。
発癌性HPV E6タンパク質の単離
一般的に、本発明の方法は、試料中の他のタンパク質からネイティブな発癌性HPV E6タンパク質を少なくとも部分的に分離する(すなわち、単離する)ことを含む。この分離は、通常、発癌性HPV E6についての第1の結合パートナーを使用して達成される。多くの態様において、第1の結合パートナーはPDZドメインポリペプチドであり、または他の態様において、抗HPV E6抗体または抗体の混合物である。
特定の態様において、発癌性HPV E6結合パートナーの1つが、直接的に、またはリンカーを介して、不溶性支持体に結合される。例えば、PDZドメインポリペプチドは、本明細書中に記載されるような融合パートナーに融合されているPDZドメインを含み得、およびその融合パートナーは、化学結合を介して直接的に、またはテザーもしくはリンカー(例えば、フレキシブルリンカー、抗体、または他の結合部分)を介して間接的に固体支持体に結合される。大部分の態様において、PDZドメインポリペプチドは固体支持体に共有結合される。固体支持体は当該分野で公知であり、および、ビーズ(例えば、磁気ビース、ポリスチレンビーズなど);メンブレンなどを含むがこれらに限定されない。1つの非限定的な例において、PDZドメインポリペプチドは磁気ビーズに結合される。磁気ビーズに結合されたPDZドメインポリペプチドは試料と接触され、複合体が試料中の抗体とE6タンパク質との間で形成される後で磁場が適用され、その結果、複合体が試料から取り出される。PDZドメインポリペプチドが、メンブレンのような不溶性支持体に結合される場合、PDZドメインポリペプチドに結合したE6タンパク質は、膜を取り出すことによってまたは試料を別の容器に移すことによって、試料から取り出される。PDZドメインポリペプチドがビーズである場合、ビーズに結合したE6タンパク質は、遠心分離または濾過によって試料から取り出される。このような態様は、異なるE6結合パートナー、例えば、抗E6抗体を使用して想定される。
一般的に、適切な分離手段が、分離を実行するための適切なプラットフォームを用いて使用される。例えば、発癌性HPV E6は、PDZドメインポリペプチドへの結合によって分離され、その分離は種々のプラットフォームのいずれかを使用して実行され、これには、アフィニティーカラムクロマトグラフィー、キャピラリー作用ラテラルフロー試験ストリップ、免疫沈降などが含まれるがこれらに限定されない。
多くの態様において、発癌性HPV E6は、試験ストリップの一端に試料を適用すること、およびタンパク質をキャピラリー作用またはラテラルフローによって移動させることによって、試料中の他のタンパク質から分離される。ラテラルフロー分離、検出、および定量のための方法およびデバイスは当該分野で公知である。例えば、U.S.特許番号5,569,608;6,297,020;および6,403,383を参照されたい。これらの態様において、試験ストリップは、近位端から遠位端の順番で、試料をロードするための領域(試料ロード領域)および発癌性E6タンパク質結合パートナーを含む試験領域(例えば、PDZドメインポリペプチドを含む領域)を含み、または他の態様において、領域は抗E6抗体を含む。試料は試料ロード領域にロードされ、試験ストリップの近位端はバッファー中に配置される。発癌性E6タンパク質は第1の試験領域中の結合抗体によって捕捉される。捕捉されたE6タンパク質の検出は以下に記載されるように実行される。例えば、捕捉されたE6タンパク質の検出は、すべての発癌性E6タンパク質に共通であるE6タンパク質のエピトープに特異的な検出可能に標識された抗体、またはすべての発癌性E6タンパク質に一緒に結合し得る抗体の混合物を使用して実行される。代替的な態様において、E6抗体は試験領域に存在し得、およびE6抗体に結合した発癌性E6の検出は標識されたPDZドメインポリペプチドを使用する。
発癌性E6タンパク質の検出および定量
一旦発癌性E6タンパク質が試料中の他のタンパク質から分離されると、発癌性E6タンパク質が検出され、および/または発癌性E6タンパク質のレベルもしくは量が決定される(例えば、測定される)。上記に議論したように、発癌性E6タンパク質は、一般的に、結合パートナー、例えば、E6に特異的な抗体、またはPDZドメインポリペプチドを使用して検出される。
特異的抗体を用いる検出は、周知の方法を使用して実行される。一般的には、結合パートナーは、直接的または間接的のいずれかで検出可能に標識される。直接的な標識には、放射性同位元素(例えば、125I;35Sなど);その生成物が検出可能である酵素(例えば、ルシフェラーゼ、β-ガラクトシダーゼ、西洋ワサビペルオキシダーゼなど);蛍光標識(例えば、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、フィコエリトリンなど);EDTAのような金属キレート基を通して抗体に付着された蛍光放射金属(例えば、152Euまたは他のランタノイド系列);化学発光化合物(例えば、ルシフェリン);蛍光タンパク質などが含まれる。蛍光タンパク質には、グリーン蛍光タンパク質(GFP)が含まれるがこれに限定されない。グリーン蛍光タンパク質には、「ヒト化」バージョンのGFP(例えば、ここでは¥天然に存在するヌクレオチド配列のコドンがヒトコドンの偏りにより密接に変化されている);Aequoria victoria由来のGFPまたはその誘導体(例えば、Clontech, Inc.から市販されている増強されたGFPのような、例えば「ヒト化」誘導体);例えば、WO99/49019およびPeeleら (2001) J. Protein Chem. 20:507-519において記載されている、Renilla reniformis、Renilla mulleri、もしくはPtilosarcus guernyiのような別の種からのGFP;「ヒト化」組換えGFP(hrGFP)(Stratagene);例えば、Matzら (1999) Nature Biotechnol. 17:969-973に記載されるようなAnthozoan種からの種々の蛍光および着色タンパク質のいずれかなどが含まれるがこれに限定されない。
間接的な標識は、E6特異的抗体に特異的な第2の抗体(ここで、この第2の抗体は上記のように標識される);および特異的結合対のメンバー(例えば、ビオチン-アビジンなど)を含む。
いくつかの態様において、発癌性E6のレベルが定量される。定量は、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA);ラジオイムノアッセイ(RIA)などを含むがこれらに限定されない任意の公知の方法を使用して実行され得る。一般的に、定量は、試料中で検出された発現生成物のレベルを標準曲線と比較することによって達成される。
いくつかの態様において、発癌性HPV E6は、上記のように試験ストリップ上で分離される。これらの態様において、発癌性HPV E6は、発癌性HPV E6を結合する検出可能に標識された結合パートナーを使用して検出される。発癌性HPV E6は、例えば、反射分光光度計を使用して、または肉眼によって定量され得る。
生物学的試料
本発明の方法を使用して分析される生物学的試料は、任意の哺乳動物、例えば、ヒトまたはHPVの非ヒト動物モデルから入手される。多くの態様において、生物学的試料は生きている被験体から入手され得る。
いくつかの態様において、試料がそこから得られる被験体は見かけ上は健常であり、ここで分析が日常的なスクリーニングの一部として行われる。他の態様において、被験体は、HPVであると疑われるヒトである(例えば、家族の病歴;特定の環境的因子にさらされることなどによって決定される)。他の態様において、被験体は、HPVの徴候を有する(例えば、子宮頸部のいぼなど)。他の態様において、被験体は、HPVを有すると以前に診断された(例えば、例えばPCRに基づく他の試験によって決定される)。
生物学的試料は、被験体の任意の組織、器官、または細胞の群に由来し得る。いくつかの態様において、子宮頸部擦過物、生検、または洗浄液が被験体から入手される。
いくつかの態様において、生物学的試料は、当該分野で標準的な方法を使用して、例えば、本発明のアッセイ方法に干渉し得る特定の成分を除去するために処理される。いくつかの態様において、生物学的試料は、例えば、塩沈殿なとによって、タンパク質について富化されるように処理される。特定の態様において、試料は、E6タンパク質の分解を阻害するためにプロテアソームインヒビターの存在下で処理される。
本発明のアッセイ方法において、いくつかの態様において、試料中のE6タンパク質のレベルは、定量され得、および/または対照と比較され得る。適切な対照試料は、健常である個体、例えば、HPVを有していないことが知られている個体に由来する。対照試料は、試験される被験体に遺伝的に関連する個体からであり得るが、しかし、遺伝的に関連しない個体からでもあり得る。適切な対照試料はまた、試験試料が取られる時点よりも前の時点で取られた個体からの試料、例えば、HPVの可能な徴候を示す前に個体から取られた生物学的試料を含む。
有用性
本発明の方法は、種々の診断分析のために有用である。本発明の方法は、個体におけるHPVの発癌性株による感染を診断するために;癌を有する可能性を決定するために;HPVのための治療に対する患者の応答を決定するために;患者におけるHPV感染の重篤度を決定するために;および個体におけるHPVの進行をモニターするために有用である。
本発明の方法は、一般的に、生きている被験体kらの生物学的試料に対して実行され得る。本発明の特に有利な特徴は、この方法が、1回の反応で、HPVのすべての知られている発癌性株を同時に検出することができることである。
実施例1
潜在的な発癌性を決定するためのHPV E6タンパク質の配列分析
PDZタンパク質はタンパク質の特定のカルボキシ末端配列(PL)を結合することが知られている。PDZドメインを結合するPL配列は予測可能であり、US特許出願09/710059、09/724553、および09/688017においてより詳細に記載されている。PLモチーフの主要なクラスの1つは、配列-X-(S/T)-X-(V/I/L) で終結するタンパク質のセットである。本発明者らは、多数のHPV株からE6タンパク質のC末端配列を調べた。National Cancer Instituteにより発癌性であると決定されたすべての株はコンセンサスPDZ結合配列を示す。癌性でないパピローマウイルス株からのE6タンパク質は、PDZドメインに結合すると予測される配列を欠き、従って、PDZタンパク質との相互作用がヒトにおいて癌を引き起こすことのための必要条件であることを示唆する。PLの存在と癌を引き起こす能力との間のこの相関は、調べられた配列において100%である(表3A)。理論上、上記に列挙された特許からの開示されたPLコンセンサス配列を用いて、新規なHPVの変異体がPDZタンパク質を結合するそれらの能力について評価され得、および発癌性が、PLが存在するか否かに基づいて予測され得る。今年の初めに、5つの新規なヒトパピローマウイルスの株が同定され、そしてそれらのE6タンパク質が配列決定された。予測されたように、これらのタンパク質はすべてPLコンセンサス配列を含む(表3B)。
(表3A)E6 PDZ-リガンドおよび発癌性の相関
表3A:E6 C末端配列および発癌性。HPV変異体を左に列挙する。配列をGenbank sequence recordsから同定した。PLあり/なしを、Arbor Vitaにおいて決定されたコンセンサスに対する一致または非一致によって、およびSongyangら-X-(S/T)-X-(V/I/L)によって規定した。発癌性データはNational Cancer Instituteから収集した。*他の発癌性タンパク質と同時トランスフェクトされた発癌性株においてのみ見い出された。
(表3B)最近同定された発癌性E6タンパク質の相関
表3B:E6 C末端配列および発癌性。HPV変異体を左に列挙する。配列をGenbank sequence recordsから同定した。PLあり/なしを、Arbor Vitaにおいて決定されたコンセンサスに対する一致または非一致によって、およびSongyangら-X-(S/T)-X-(V/I/L)によって規定した。新しい株についての発癌性データはN Engl J Med 2003;348:518-527から収集した。
これらの表は、HPVゲノムによってコ−ドされるE6タンパク質のC末端4アミノ酸の配列に基づくHPV株の分類を提供する。HPVの21発癌性株は10クラスのうちの1つに該当し、上記に具体的に列挙されていないHPV株もまた、これらの分類に該当し得る。このようにして、すべての10のクラスからのHPVを検出することが所望される:本発明の方法はこのような決定を提供する。
実施例2
発癌性E6タンパク質のC末端と相互作用するPDZドメインの同定
診断アッセイにおいて発癌性E6タンパク質を検出するために使用され得るPDZドメインを決定するために、「Gアッセイ」(上記に記載した)を使用してE6 PLとPDZドメインとの間の相互作用を同定した。ヒトパピローマウイルスの発癌性株からのE6タンパク質のC末端アミノ酸配列に対応するペプチドを合成した。これらのペプチドを、上記のGアッセイ、ならびにUS特許出願09/710059、09/724553、および09/688017においてより詳細に記載される発現カセットから合成したPDZタンパク質を使用して、PDZドメインを結合するその能力について評価した。高い結合アフィニティーを示すこれらのアッセイの結果を以下の表4に列挙する。
本発明者らが以下で見ることができるように、発癌性E6タンパク質のいくつかを結合する多数のPDZドメインが存在する。しかし、MAGI-1からの第2のPDZドメインのみは、試験したすべての発癌性E6 PLに結合するらしい。TIP-1のPDZドメインは1つを除いて試験されたすべての発癌性E6 PLに結合し、発癌性E6タンパク質の存在を検出するためにMAGI-1ドメイン2と合わせて有用であり得る。
同様の様式において、いくつかの非発癌性E6タンパク質のC末端に対応するペプチドをGアッセイを用いて試験した、いずれのペプチドもPDZドメインを結合するためのいかなるアフィニティーも示さなかった。
(表4)HPV E6 PLとPDZ-ドメインとの間の高アフィニティー相互作用
表4:いくつかのHPV変異体のE6 C末端とヒトPDZドメインとの間の相互作用。HPV株はそこからE6 C末端ペプチド配列情報が取られた株を示す。このアッセイにおいて使用されたペプチドは長さが18から20アミノ酸まで異なり、末端4残基は括弧内に列挙される。各HPV E6変異体の左側の名称は、GアッセイにおけるE6ペプチドとの結合を飽和したヒトPDZドメインを示す(複数のPDZドメインを有するタンパク質については括弧内にドメイン数を付す)(発明の詳細な説明を参照されたい)。*-は、文献では両方がhDlg1を結合することが示されたが、なお限定された材料に起因して、hDlg1のPDZドメインはこれらのタンパク質に対して試験されなかったことを示す。
実施例3
HPV E6遺伝子またはHPV E6遺伝子の一部をコードするDNA断片を有する真核生物発現構築物の生成
本実施例は、多数のタンパク質タグ(グルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)、増強されたグリーン蛍光タンパク質(EGFP)、またはヘマグルチニン(HA)を含むがこれらに限定されない)と融合された、真核生物発現ベクターへのHPV E6遺伝子またはHPV E6遺伝子の一部のクローニングを記載する。
A. ストラテジー
cDNAフラグメントを、HPV細胞株(HPV E6 16および18について、それぞれ、子宮頸部類表皮癌、ATCC番号CRL-1550およびCRL-1595)由来のRNAから、ランダム(オリゴヌクレオチド)プライマー(Invitrogenカタログ番号48190011)を使用して、RT-PCRによって生成した。HPV E6に対応するDNAフラグメントを、上記の精製したcDNAフラグメントおよび特異的プライマー(表5を参照されたい)を使用して標準的なPCRによって生成した。使用するプライマーを、PCRフラグメントの末端に制限ヌクレアーゼ認識部位を作製するように設計して、適切な発現ベクターへのこれらのフラグメントのクローニングを可能にした。PCRの後で、DNA試料をアガロースゲル電気泳動に供した。予想されたサイズに一致するバンドを切り出した。DNAをSephaglas Band Prep Kit(Amersham Pharmaciaカタログ番号27-9285-01)によって抽出し、適切な制限エンドヌクレアーゼを用いて消化した。消化したDNA試料を、上記に使用したのと同じプロトコールに従ってゲル電気泳動によって1回以上精製した。精製したDNAフラグメントを共沈殿させ、適切な線状化ベクターにライゲーションした。E. coliへの形質転換後、インサートの存在および正確な方向について、細菌コロニーを、コロニーPCRおよび制限消化によってスクリーニングした。ポジティブクローンを、大規模スケールDNA精製のために、液体培養に接種した。精製したプラスミドDNAからのインサートおよび隣接部位をシークエンシングし、フラグメントおよびベクターと融合タンパク質との間のジャンクションの正確な配列を確認した。
B. ベクター
クローニングベクターは、pGEX-3X(Amersham Pharmacia #27-4803-01)、MIE(組換えDNA技術によって生成された,IRESおよびEGFPを含む、MSCVの誘導体)、pmKit、pcDNA3.1(Invitrogen、クローニング部位の上流にHAタグを含むように修飾したもの)、およびpMAL(New England Biolabsカタログ番号N8076S、BamHI部位およびEcoRI部位を含むようにポリリンカーを内部で修飾したもの)であった。
HPV E6のATG開始コドンおよびTAG終止コドンを含むDNAフラグメントをpGEX3xにクローニングした。EPV E6遺伝子、および3'短縮型(ΔPL)バージョンを、精製したHPV E6-pGEX3x融合プラスミドをPCRテンプレートとして使用して、および上記に列挙したのと同じ精製プロトコールを使用して、続いてMIE(MSCV-TRES-EGFP)ベクター、pcDNA-HAベクター、およびpmKitベクターにクローニングした。HPV E6の短縮型バージョンは、遺伝子のコード領域から最後の3アミノ酸を欠失するように、-3位のアミノ酸の後に挿入された終止コドンを有する。
C. 構築物
PCRによってDNAフラグメントを生成するために使用されたプライマーを表5に列挙する。PCRプライマーの組み合わせならびにインサートおよびベクターのための制限部位を以下に列挙する。
(表5)代表的な発現ベクターへのHPV E6のクローニングにおいて使用されたプライマー
D. GST融合タンパク質産生および精製
pGEX-3X発現ベクターを使用する構築物を、GST Fusion System, Second Edition, Revision 2, Pharmacia Biotechにおいて概説されているプロトコールに従って、融合タンパク質を作製するために使用した。方法II(Method II)を1L LgPPのために最適化した。
精製したDNAをE. coliに形質転換し、OD600が0.4-0.8(600λ)まで増殖させた。タンパク質発現を細胞培養へのIPTGの添加によって1-2時間誘導した。細胞を収集および溶解した。溶解物を収集し、GS4Bビーズ(Pharmaciaカタログ番号17-0756-01)を加えてGST融合タンパク質を結合させた。ビーズを単離し、GST融合タンパク質をGEB IIで溶解させた。精製したタンパク質をGEB II中で、-80℃にて保存した。
精製したタンパク質をELISAに基づくアッセイおよび抗体産生のために使用した。
実施例4
PDZドメイン含有遺伝子またはPDZドメインの一部をコードするDNAフラグメントを有する真核生物発現構築物の生成
本実施例は、PDZドメイン含有遺伝子またはPDZドメイン含有遺伝子の一部のクローニングが、多数のタンパク質タグ(グルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)、増強されたグリーン蛍光タンパク質(EGFP)、またはヘマグルチニン(HA)を含むがこれらに限定されない)と融合した真核生物発現ベクター中であったことを記載する。
(A. ストラテジー)
PDZドメイン含有遺伝子に対応するDNAフラグメントを、個体の細胞株のライブラリー(Clontechカタログ番号K4000-1)由来のRNAから、ランダム(オリゴヌクレオチド)プライマー(Invitrogenカタログ番号48190011)を使用して、RT-PCRによって生成した。PDZドメイン含有遺伝子またはPDZドメイン含有遺伝子の一部に対応するDNAフラグメントを、上記の精製したcDNAフラグメントおよび特異的プライマー(表6を参照されたい)を使用して標準的なPCRによって生成した。使用するプライマーを、PCRフラグメントの末端に制限ヌクレアーゼ認識部位を作製するように設計して、適切な発現ベクターへのこれらのフラグメントのクローニングを可能にした。PCRの後で、DNA試料をアガロースゲル電気泳動に供した。予想されたサイズに一致するバンドを切り出した。DNAをSephaglas Band Prep Kit(Amersham Pharmaciaカタログ番号27-9285-01)によって抽出し、適切な制限エンドヌクレアーゼを用いて消化した。消化したDNA試料を、上記に使用したのと同じプロトコールに従ってゲル電気泳動によって1回以上精製した。精製したDNAフラグメントを共沈殿させ、適切な線状化ベクターにライゲーションした。E. coliへの形質転換後、インサートの存在および正確な方向について、細菌コロニーを、コロニーPCRおよび制限消化によってスクリーニングした。ポジティブクローンを、大規模スケールDNA精製のために、液体培養に接種した。精製したプラスミドDNAからのインサートおよび隣接部位をシークエンシングし、フラグメントおよびベクターと融合タンパク質との間のジャンクションの正確な配列を確認した。
B. ベクター
すべてのPDZドメイン含有遺伝子は、tacプロモーター、GST、Xa因子、β-ラクタマーゼ、およびlacリプレッサーを含むベクターpGEX-3X(Amersham Pharmacia #27-4803-01, Genemed Acc#U13852, GI#595717)にクローニングした。
GST、Xa因子、およびマルチプルクローニング部位を含むpGEX-3Xコード領域のアミノ酸配列を以下に列挙する。クローニングされたインサートとGST-Xa因子との間のリンカー配列は、クローニングのために使用された制限ヌクレアーゼに依存して変化することに注意されたい。使用される挿入に依存して変化し得る以下の翻訳領域のアミノ酸は小文字で示され、(C)において列挙される構築物の配列において変化されるように含まれる。
さらに、TAX相互作用タンパク質1(TIP1)が、全体的にまたは部分的に、多数の他の発現ベクターにクローニングされた。このベクターには、CD5γ、PEAK10(両方ともHarvard UniversityのDr. Brian Seedの研究室によって提供され、組換えDNA技術によって生成され、IgG領域を含む)、およびMIN(MSCVの誘導体、IRESおよびNGFRを含む、組換えDNA技術によって生成された)が含まれるがこれらに限定されない。
C. 構築物
PCRによってDNAフラグメントを生成するために使用されたプライマーを表6に列挙する。PCRプライマーの組み合わせならびにインサートおよびベクターのための制限部位を、インサートおよび制限部位のアミノ酸翻訳とともに以下に列挙する。非天然アミノ酸配列を小文字で示す。
(表6)代表的な発現ベクターへのDLG 1(ドメイン3のうち2)、MAGI 1(ドメイン6のうち2)、およびTIP1のクローニングにおいて使用されたプライマー
D. GST融合タンパク質産生および精製
pGEX-3X発現ベクターを使用する構築物を、GST Fusion System, Second Edition, Revision 2, Pharmacia Biotechにおいて概説されているプロトコールに従って、融合タンパク質を作製するために使用した。方法II(Method II)を1L LgPPのために最適化した。
精製したDNAをE. coliに形質転換し、OD600が0.4-0.8(600λ)まで増殖させた。タンパク質発現を細胞培養へのIPTGの添加によって1-2時間誘導した。細胞を収集および溶解した。溶解物を収集し、GS4Bビーズ(Pharmaciaカタログ番号17-0756-01)を加えてGST融合タンパク質を結合させた。ビーズを単離し、GST融合タンパク質をGEB IIで溶解させた。精製したタンパク質をGEB II中で、-80℃にて保存した。
精製したタンパク質をELISAに基づくアッセイおよび抗体産生のために使用した。
E. IgG融合タンパク質産生および精製
CD5γまたはPeak10IgG発現ベクターを使用する構築物を、融合タンパク質を作製するために使用した。精製したDNAベクターを、標準的な増殖条件下で(DMEM+10%FCS)、100万細胞に対して〜1μgベクターDNAの比率で標準的なリン酸カルシウム沈殿法(Sambrook, Fritsch およびManiatis, Cold spring Harbor Press)を使用して、293 EBNA T細胞にトランスフェクトした。このベクターは、増殖培地中で分泌される融合タンパク質を生じる。一過性にトランスフェクトされた細胞をピーク発現について試験し、および融合タンパク質を含む増殖培地を、その最大(通常1-2日)で収集する。融合タンパク質を、プロテインAクロマトグラフィーを使用して精製するか、またはさらに何も加えずに増殖培地中で直接的に凍結させる。
実施例5
TIP-1は発癌性E6タンパク質に特異的に結合する
A. 要約
PDZドメインが全長発癌性HPV E6タンパク質のC末端のみを認識し、非発癌性E6変異体を認識しないことを実証および確認するための実験を行った。これは、PDZ結合が全長E6融合タンパク質を使用して再生され得るか否かを調べることによって、E6タンパク質のPL配列を表すペプチドを使用する方法を確証する。
手短に述べると、GST-E6融合タンパク質を、実施例3に記載されるように、HPV18(発癌性)およびHPV11(非発癌性)からのE6の全長タンパク質配列を対応させて構築した。修飾ELISAアッセイを使用して、これら2つのE6変異体へのTIP-TIP-IgG融合タンパク質(hIgG定常領域に融合されたTIP-1 PDZドメインの2コピー、融合タンパク質の精製は部分的に実施例4に記載されている)の結合を評価した。
GST-TipまたはGST-Magi融合タンパク質を使用するE6への結合についてのアッセイが、4℃または室温(RT)でのインキュベーションによって有意に影響されないことを実証する、次の実験もまた示す。
B. 修飾ELISA法
試薬および方法
・Nunc Polysorp 96ウェルイムノプレート(Nuncカタログ番号62409-005)
(Maxisorpプレートはより高いバックグラウンドシグナルを有することが示された)
・PBS pH 7.4(Gibco BRLカタログ番号16777-148)または
AVCリン酸緩衝化生理食塩水、8gm NaCl、0.29gm KCl、1.44gm Na2HPO4、0.24gm KH2PO4、1LまでH2Oを加えpH 7.4にする;0.2ミクロンフィルター
・2% BSA/PBS(10gのウシ血清アルブミン、フラクションV(ICN Biomedicalsカタログ番号IC15142983)、500mL PBSにする)
・ヤギ抗GST mAbストック@5mg/ml、4℃保存(Amersham Pharmaciaカタログ番号27-4577-01)、PBS中で1:1000に希釈、最終濃度5μg/ml
・洗浄バッファー、50mM Tris pH 8.0中0.2% Tween20
・TMB ready to use(Dakoカタログ番号S1600)
・1M H2SO4
・12w マルチチャンネルピペッター
・50ml試薬リザーバー
・15mlポリプロピレンコニカルチューブ
・抗E6HPV18抗体(OEM Sciences)
・抗hIgG-HRP(Biomeda)
プロトコール
1)4℃で一晩、GST-E6融合タンパク質でプレートをコートする
2)タンパク質を廃棄したたいて乾燥させる
3)ブロッキング-ウェル当たり2% BSA/PBS、4℃で2時間
4)PDZタンパク質を調製する(TIP-TIP-IgGトランスフェクションからの上清および2% BAS/PBSの50:50混合物)
5)冷PBSで3回洗浄
6)ステップ7において調製したPDZタンパク質または抗E6 Ab(または抗GSTを対照として)を、2% BSA/PBS中1μg/mlで加える
7)冷PBSで3回洗浄
8)適切な濃度の酵素結合体化検出Ab(抗hIgG-HRP、抗ヤギHRP、または抗マウスHRP)、ウェル当たり100μl、4℃で20分間
9)プレートリーダーのスイッチを入れ、ファイルを準備する
10)Tween洗浄バッファーで5回洗浄、泡をさける
11)手袋を使用して、ウェル当たり100μlでTMB基質を加える
-暗所で室温でインキュベートする
-定期的にプレートをチェックする(5、10、および20分)
-必要な場合、650nm(青色)で初期の読み取りを取る
-30分で、100μlの1M H2SO4で反応を停止する
-450nm(黄色)で最終の読み取りを取る
C. 結合実験の結果
大部分の発癌性E6 PLを結合する代表的なPDZドメインであるTIP-1(実施例2)は、非発癌性変異体(HPV11-E6;図1)に結合することなく、全長発癌性E6変異体(HPV18-E6)からのPLを認識する。さらに、未精製でさえのTIP-TIP-IgG融合タンパク質は、HPV18-E6に対して生成した抗体に比較し得るレベルで、GST-HPV18E6融合タンパク質を認識することができる。GSTに対する抗体は、GST-HPV18E6およびGST-HPV11E6が均一にプレーティングされたことを確認するために使用した(データ示さず)。
さらに、このアッセイは強固であり、かつ基準からはずれる割合は十分に安定しているので、このアッセイのインキュベーションステップは4℃または室温で実行され得る。2つの温度間で、E6に対するGST-Magi1またはGST-TIP1結合のいずれかについてわずかな違いが見られた(図2)。
E6活性は、DNAを結合するその能力、または溶解物、Zn2+結合などの存在下でのp53の分解を可能にするその能力によってさらに決定され得る。
実施例6
HPV16 E6とのPDZドメインの相互作用についてのEC50決定
上記に記載されたGアッセイを使用して、いくつかのGST-PDZドメイン融合タンパク質を、HPV16 E6タンパク質のPLに対するそれらの相対的結合強度を決定するために試験した。HPV16 E6のPLに対応するペプチドを、一定量のGST-PDZドメイン融合に対して滴定し、結果を以下に示す。これらの結果は、多数のPDZドメインがHPV16からのE6タンパク質を結合し得るが、MAGI1の第1の機能的ドメイン(本明細書においてドメイン2)が最も強固に結合し、このことがそれを診断目的のために最も適切にすることを実証する。このことは予測されず、とりわけ、MAGI1と組み合わせて、発癌性E6タンパク質のすべてのクラスに結合することが実証されたタンパク質を含むPDZドメインのみが同定された。総合して、これらは、MAGI1が発癌性HPV感染のための捕捉/検出薬剤であることを示唆する。
(表7)種々のPDZドメインを有するHPV16 E6タンパク質についてのEC50値
表7の説明:ND=行っていない
実施例7
精製されたHPV18からのE6融合タンパク質に対する抗体の産生
発癌性HPV感染のためのサンドイッチELISAに基づく診断の付加された利点を達成するために、E6タンパク質に特異的な高アフィニティー抗体が生成されるべきである。理想的には 、モノクローナル抗体がこれらの動物から生成されて、診断のための連続的な再生可能な供給源を有し得る。
Balb/cマウスに、25μgの、細菌の精製されたGST-HPV18E6タンパク質を、5日間の間隔で注射した(Josman Labs)。これらのマウスからの血清を抗原の各々の注射3日後に収集し、抗GST欠損後にGST-HPV18E6(抗原)またはGST単独との反応性について試験した(Pharmaciaプロトコール)。28日目に収集した血清を使用した結果を図3に示す。このマウスからの血清は、細菌の精製されたGST-HPV18-E6タンパク質と反応するが、GST単独とは反応しない。この動物は、標準的な方法によってそこからモノクローナル抗体を生成するための良好な候補である。
実施例8
病原体PLタンパク質
病原体からの多くの他のタンパク質が、PDZ:PL相互作用の検出において指向されたタンパク質または化合物を使用して検出され得る。表8は、本明細書中に開示された技術を使用して検出され得るいくつかの典型的なタンパク質を含むが、いかなる様式においても限定することを意味しない。
実施例9
HPV16に感染した細胞中の内因性E6タンパク質の定量
A 要約
HPV16感染した子宮頸部癌細胞株中の内因性E6タンパク質の量を決定するための実験を設計および実行した。結果は、HPV16感染子宮頸部癌細胞株が、10,000から100,000分子のE6のオーダーを含むことを実証する。この知見から、E6タンパク質は、細胞HPV感染のための診断的または予後的マーカーとして使用され得ることが結論される。タンパク質分解経路インヒビターの使用は、このようなアッセイを容易にし得る。
B 方法
E6タンパク質の免疫沈降
HPV16感染した子宮頸部癌細胞株SiHaおよびCasKiを冷PBSで洗浄し、HEPES溶解バッファー(50mM HEPES pH 7.4, 150mM NaCl, 10% グリセロール, 0.5% Triton X-100, 1mg/ml BSA, 1ペレットのプロテアーゼインヒビターカクテル(Roche), および1mM PMSF)中に、2×107細胞/mlで再懸濁する。溶解を氷上で30分間進行させ、溶解物を、14,000×gで5分間、4℃での遠心分離によって清澄化する。E6タンパク質を、マウス抗E6抗体(クローン6F4)およびプロテインGビーズ(Pharmacia, Piscataway, NJ)を用いて免疫沈降させる。回転しながら4℃で2時間のインキュベーション後、ビーズを洗浄バッファー[50mM HEPES pH 7.4, 150mM NaCl, 10% グリセロール, 0.1% Triton X-100, プロテアーゼインヒビターカクテル(CALBIOCHEM), および1mM PMSF]で3回洗浄する。ペレットをSDS-PAGEサンプルバッファーに再懸濁し、6F4抗E6抗体および結合体化された抗マウスIgG-HRP(Jackson Immuno Research)を使用するイムノブロッティングによって分析する。
ウェスタン技術による子宮頸部癌細胞溶解物からのE6タンパク質の検出
SiHaおよびCaski子宮頸部細胞株を、2×107細胞/mlで、溶解バッファー中で、氷上で30分間溶解した。約106細胞に相当する溶解物を、12% SDS-PAGEゲル上で分離し、続いてPVDFメンブレンに転写する。E6タンパク質を、6F4抗E6 HPV16抗体および抗マウスIgG-HRP(Jackson Immuno Research)を用いて検出した。
C. 結果
HPV16での感染に際して子宮頸部癌細胞中に損際するような内因性E6タンパク質の見かけの分子量を決定するため、およびPAGEにおいて見られた抗E6モノクローナル抗体特異的バンドがウイルスE6タンパク質を表すことを確認するために、293 EBNA-T細胞を、HPVタイプ16のタグ化されていないE6タンパク質を発現する構築物を用いてトランスフェクトした。細胞溶解物を、これらの細胞およびHPV感染したSiHa子宮頸部癌細胞の細胞溶解物を調製した。両方の溶解物(トランスフェクトされたものおよびHPV感染されたもの)からのE6タンパク質を、抗E6特異的モノクローナル抗体の使用によって免疫沈降させた。両方の溶解物を、並べてPAGE技術を使用して分析した(図6)。トランスフェクトされたE6について得られたE6特異的バンドは、PAGE中で、SiHa子宮頸部癌細胞株からの抗E6抗体特異的バンドと同じレベルに移動し、従って、このことは、E6特異的モノクローナル抗体を用いて免疫沈降した生成物はウイルスE6タンパク質を示すことを最も強力に示唆する。特異的E6モノクローナル抗体を使用して、同じサイズのバンドが、HPV16感染した子宮頸部癌細胞型CasKiにおいて検出された(図7)。
異なる実験手順において、HPV16感染した子宮頸部癌細胞株SiHaおよびCasKiの内因性ウイルスE6タンパク質は、それらの細胞溶解物から直接的に検出された(図7)。E6特異的モノクローナル抗体に依存したバンドは、E6をコードするベクターでトランスフェクトされた細胞についてのバンドと同じように泳動された。
E6のインビボの安定性が、タンパク質分解に関与するプロテアソームを選択的にブロックすることによって増強され得るか否かを試験するために、いくつかの細胞溶解物がプロテアソームインヒビターMG132を用いて処理された。これらの試料において、E6特異的バンドは約2-3倍の強度である。このことは、タンパク質分解経路を阻害する薬剤の適切な混合物の添加が、細胞におけるE6タンパク質の蓄積を増大することによって、E6タンパク質に特異的なシグナルを増加させるために使用され得ることを実証する。
溶解物中のE6タンパク質の定量は、PAGEにおけるE6特異的シグナルを、同じゲルにロードされたMBP-E6(HPV16)融合タンパク質によって得られるシグナルと比較することによって測定された。いくつかの場合において、MBP-E6融合タンパク質は、X因子を用いて消化され、E6部分のみを遊離した。シグナル強度比較研究は、HPV16を注射した子宮頸部癌由来細胞株(SiHa、CasKi)が、1×106細胞当たり0.3から3ngの濃度でE6を含むことを実証した。E6の量および安定性は、E6特異的(ELISA)アッセイが実行可能であるようなものであることが結論付けられる。
実施例10
発癌性E6-PL-ディテクター分子は細胞溶解物中に存在する内因性HPV-E6タンパク質を選択的に結合し、および細胞溶解物中に存在する他の成分から、内因性E6タンパク質を分離するために使用され得る
A. 要約
発癌性E6-PL-ディテクターが、E6コードベクターでトランスフェクトされた細胞の内因性E6を選択的に結合するか否かを試験する実験が着手された。さらに、発癌性E6-PL-ディテクターが、結合の後に細胞溶解物中の他の分子からE6を分離するために使用され得るか否かが試験された。知見は、発癌性E6-PL-ディテクターが選択的であり、細胞溶解物分子の複雑な混合物からE6タンパク質を分離するために適用され得ることを実証する。
B. 方法
組換えPDZタンパク質を用いるE6タンパク質のプルダウン
GST-PDZ融合タンパク質(すなわち、Magi1 PDZドメイン#1、Syn2bp、Magi3 PDZドメイン#1、Tip1、PSD-95 PDZドメイン#2、およびSAST1)が、プルダウン実験において試験された。手短に述べると、10μg組換えGST-PDZタンパク質を1mlのバッファー[50mM HEPES pH 7,4, 150mM NaCl, 10% グリセロール, 0.1% Triton X-100, プロテアーゼインヒビターカクテル(Roche), および1mM PMSF]中で、30μlのグルタチオン-セファロースビーズとともに、回転させながら4℃で1時間インキュベートした。その後、pMKit-HA-HPV16-E6またはpMKit-HAベクター単独のいずれかで一過性にトランスフェクトされた107 293細胞の溶解物を、PDZタンパク質に結合したビーズとともに、4℃で3時間、回転させながらインキュベートした。ビーズを洗浄し、12% SDS-PAGEゲル電気泳動、その後のウェスタンブロッティングにおいて分析した。メンブレンを、ビオチン結合体化抗HA抗体(クローン3F10または12CA5、Boehringer Mannheim)およびHRP-ストレプトアビジン(Zymed)を用いてプローブした。
代替的には、pmKit-HA、pmKit-HPV16-HA-E6、またはpmKit-HA-HPV16 E6-□PLで一過性にトランスフェクトされた293細胞からの細胞溶解物を、組換えGST-Magi1-PDZドメイン1タンパク質とともにインキュベートし、グルタチオン-セファロースビースに固定化し、そして結合フラクションを抗HA抗体でイムノブロットした。並行して、溶解物を免疫沈降させ、抗HA抗体を用いて検出した。
C. 結果
G-アッセイPDZ-E6-PL結合研究およびE6-PDZ相互作用の実験的結合アフィニティーの決定は、発現性E6-PL-ディテクターの操作のために試験される候補PDZドメインを示唆した。「プルダウン」実験において、5つの異なるPDZドメイン(Tip1;Magi1ドメイン1;Sast2;Psd95ドメイン2;Synaptojanin-2結合タンパク質)を、細胞溶解物からの過剰発現した内因性のプルダウンについて試験した。HAタグ化E6 HPV-16でトランスフェクトされた細胞の溶解物は、セファロースビーズに結合された上記のPDZドメインを提示するGST-PDZ融合タンパク質とともにインキュベートされた(図5)。対照細胞試料は、HA発現構築物でトランスフェクトされた。抗HAモノクローナル抗体を用いる検出は、E6が、試験された5つすべてのGST-PDZタンパク質(Tip1;Magi1ドメイン1;Sast2;Psd95ドメイン2;Synaptojanin-2結合タンパク質)の発現性E6-PL-ディテクターによって提示されるPDZドメインを通して細胞溶解物から選択的にプルアウトされることを実証する。図5Bにおいて示される結果は、Magi 1-PDZドメイン1がHA-E6と結合するが、HA-E6ΔPL(3つのC末端アミノ酸を欠く)とは結合しないことを実証する。この方法は、特定のPDZドメインがE6結合に特異的な能力を有するか否かを決定するために使用され得る。PDZへの結合のための、細胞溶解物およびE6の複雑な混合物によって提示されるPDZ結合タンパク質による強力な競合は、発癌性E6-PLディテクターを構成する特異的PDZドメインの適切な選択によって、E6の選択的結合に向かってシフトし得るという結論がなされる。
実施例11
HPV感染した子宮頸部癌細胞株の内因性E6タンパク質は、発癌性E6-PL-ディテクター分子を介するサンドイッチELISAにおいて検出され得る
A. 要約
発癌性E6-PLディテクターが、サンドイッチELISAを介して、HPV感染した細胞中のE6タンパク質の存在を選択的に検出するために使用される実験が記載される。発癌性E6であるが非発癌性E6ではない特異的捕捉は、PDZに基づく発癌性E6-PLディテクターが、E6検出に基づく、HPV感染についての診断試験および/または子宮頸部癌試験のために適用され得ることを実証する。
B. 方法
サンドイッチタイプ1 ELISA:抗E6抗体を、96ウェルPolysorpまたはMaxysorpELISAプレートに、PBS(100μl/ウェル)中5μg/mlで、4℃一晩コートする。プレートをPBSで洗浄し、200μlのPBS/2% BSAで4℃、2時間ブロックした。PBS/2% BSA中に希釈した細胞溶解物を加え、室温で1時間インキュベートする。PBSでの3回の洗浄後、5μg/mlの発癌性E6ディテクター(例えば、MAGI1-MAGI1-IgGまたはGST-MAGI1-PDZ1)100μlをPBS/2% BSA中に加え、プレートを室温で45分間インキュベートする。次いで、プレートをPBSで3回洗浄し、PBS/2% BSA中の適切な濃度の抗hIgG-HRP(Jackson Immuno Research)または抗GST-HRP(Pharmacia)とともに、室温で45分間インキュベートする。50mM Tris/0.2% Tween-20での5回の洗浄の後、プレートを、100μl/ウェルのTMB基質(Dako Industries)とともにインキュベートした。比色反応を、適切な時間で(通常20分後)100μlの0.1M H2SO4の添加によって停止させ、プレートを、ELISAプレートリーダーにおいてA450nmで読み取る。
サンドイッチ1 ELISAの変形において、抗E6抗体コートプレートに加える前に、細胞溶解物を、2.5-5μg/mlの最終濃度の発癌性E6ディテクターと、4℃で1-2時間プレインキュベートした。
サンドイッチタイプ2 ELISA:サンドイッチ2においては、試薬および手順は大部分サンドイッチ1において使用されるものに一致する。サンドイッチ1と対照的に、100μlの発癌性E6ディテクターがELISAプレートにコートされ、抗E6抗体が発癌性ディテクター結合E6の検出のために使用され、次に抗マウスIgG-HRP(Jackson Immuno Research)が使用される。サンドイッチ2の修飾バージョンにおいて、バックグラウンドをさらに減少させ、および感度を増加させるために、ビオチン化試薬(抗E6抗体または発癌性ディテクター)、続いてストレプトアビジン-HRPが使用される。
C. 結果
サンドイッチELISAは2つの異なるバリエーションにおいて想定された。タイプ1サンドイッチELISAにおいて、E6タンパク質は、E6特異的モノクローナル抗体によって捕捉された細胞溶解物中に存在し、特異的に発現性の変異体の検出は、発癌性E6-PLディテクターを介して行われる。設定されたタイプ2 ELISAにおいて、発癌性E6タンパク質は、発癌性E6-PLディテクターを介して固相に捕捉され、E6検出は、特異的E6抗体または別のE6結合特異的因子(核酸に基づく結合化合物、E6を結合する化学物質、E6結合タンパク質、またはこれらの化合物の組み合わせのような因子)を介して行われる。細胞は、組織培養プレート上で直接的に溶解され、溶解物は、遠心分離によって不溶性成分から事前に清浄化された。溶解物は、発癌性E6-PLディテクター、GSTおよびMagi1 PDZドメイン#1の融合タンパク質とともに4℃でプレインキュベーションされた。続いて、溶解物は、E6特異的抗体コートされたELISAプレートにロードされた。検出は、異なるインキュベーションステップ間での適切な洗浄後、HRP結合体化GST特異的抗体およびHRP基質TMBの添加を介して行われる。検出シグナルは、450nmでの吸収測定を使用して定量される比色的変化によって構成される。
タイプ1 ELISAアッセイから得られた結果を示す。E6トランスフェクトされた293 EBNA-T細胞の過剰発現するHPV16-E6およびHPV16感染された子宮頸部癌由来細胞株のHPV16-E6が検出された。HPV感染細胞については、検出限界が約250,000細胞である(図8)。バックグラウンドの減少、検出シグナルの増強、およびE6:PDZ結合の増強は、感度を25,000細胞以下まで増加させることが予測される。バックグラウンドの減少は、系におけるすべての成分の選択および濃度を最適化することによって、ならびに、さらなる成分の精製またはサイズ排除手順もしくは濾過手順の追加によって達成され得る。検出シグナルは、より高感度な検出系、例えば、発光に基づく技術の使用によって増強され得る。E6:PDZ結合は、E6-PLディテクターのPDZベースを修飾すること、およびE6含有溶解物をホスファターゼで処理することによって増強され得、従って、すべてのE6-PL部位で、発癌性E6-PLディテクターへのE6-PL特異的結合を、干渉、減少、または無効にし得るいかなるリン酸基をも含まなくする。
実施例12
HPV感染した子宮頸部癌細胞株の内因性E6タンパク質は膜結合発癌性E6-PLディテクターを介して検出され得る。膜に基づく検出は、発癌性E6-PLディテクターに基づくアッセイの感度を増強するために使用され得る
A. 要約
子宮頸部癌ELISA試験タイプ1および2が膜に基づく形式を使用して実行され得ることを実証するための実験が行われた。膜に基づく形態の子宮頸部癌診断キットにおいて、従来的なELISAに基づくサンドイッチ1および2の原理は、とりわけ、独占的に発癌性型のE6の捕捉または検出に関して、維持される。感度は、従来的なELISAに対して、膜に基づくアッセイにおいて大きく増加することが見い出される。
B. 方法
12ウェルコーニングプレート(ふた付きで扱われる組織培養用、22mmウェル直径)を、2ml PBS/2% BSAでプレブロックし、次いで2ml PBSで3回すすぐ。2μlのGST-Magi1 d 1溶液(88.6、0.17mg/ml)を、2μlピペットマンニトロセルロースメンブレン上にスポットし(1×1.5cmメンブレン中に2連のスポット、ブロットを転写し、媒体を移し、ニトロセルロースメンブレン(カタログ番号162-0097(0.2μM)、ロット番号8934)を支持する)。〜5-10分間風乾させる。
プレート中で2-3分間、1ml PBSでメンブレンを水和させる。
各ウェル中でメンブレンを、振盪しながら1ml PBS/2% BSAを用いて室温で30分間ブロックする。
PBSで、〜5-10分間/洗浄、1ml/洗浄で3回洗浄し、最初の洗浄液を直接的に吸引する。洗浄は室温で行ってよい。
メンブレンを細胞溶解物とともに、〜300μl、全体で300万細胞、室温で30分間インキュベートする(溶液を振盪させる)。PBS/2% BSA(33.33μl試料、300μl PBS/2% BSA)中で1:10希釈(300万、300K、30K、3K)をまた実行する。
PBSで、3-5分間/洗浄、すべて4℃、1ml/洗浄で3回洗浄する。
メンブレンを抗E6(6F4)とともに、4℃で30分間インキュベートする(1:5000希釈、すなわち、PBS/2% BSA中の1:100 6F4の1:50)。(0.4ml/ウェル必要、および36ウェルウェルについては16ml必要)
a)1)320μlの1:100 6F4、15.68mlのPBS/2% BSA。
PBSで、4℃、〜5-10分間/洗浄で3回洗浄する。
HRP-抗マウス(1:1000)と、4℃で30分間、振盪させながらインキュベートする(ヒツジ由来HRP-抗マウスIg西洋ワサビペルオキシダーゼ結合全抗体、Amersham、NA931V、ロット213295)。ウェル当たり400μlを使用する。36ウェルについては、a)16μl HRP-抗マウス、16ml PBS/2% BSAが必要。
PBSで、4℃、〜5-10分間振盪/洗浄で5回洗浄し、最終洗浄を10分間行う。次いで、最終洗浄を吸引し、各ウェルに1mlの新鮮なPBSを加える。
ペトリ皿中でECL+システムを用いて発色させ、Kodakフィルムに露光させる。
C. 結果
サンドイッチタイプ2設定において、GST-MAGI1発癌性E6-PLディテクターをメンブレン上にスポットし、減少量のHPV11およびHPV16 MBP-E6融合タンパク質を結合のために加えた。E6特異的抗体を用いる検出は、発現性(HPV16)であるが非発癌性E6(HPV11)でないシグナルの特異性を明確に実証した。より長い露光(5分間)の際には、全体で0.1ナノグラムの量のHPV16 MBP-E6が容易に検出可能であった(図9、上端)。
同じ実験において、HPV16-E6トランスフェクト細胞およびモックのトランスフェクト細胞の溶解物を、膜に基づくS2試験に適用した。E6特異的シグナルは、E6発現細胞についてのみに得られ、モックのトランスフェクト細胞については得られなかった(図9、下端)。これらの結果は、膜に基づく子宮頸部癌試験は、膜に基づく形式で実行され得ることを明確に実証する。
引き続く実験において、HPV感染細胞の溶解物を試験した(図10)。明らかに、HPV16-E6発現細胞のみがシグナルを生じているが(SiHaおよびCasKi)、HPVネガティブだが子宮頸部癌ポジティブ細胞株C33は生じていない。E6特異的シグナルは、300,000細胞で得られ、これは、この試験の最適化された形態は、実質的により少ない細胞数のHPV-E6を検出し得ることを示す。
実施例13
子宮頸部癌腫瘍におけるHPV16 E6オンコプロテインの検出
組織の小さな切片を、OCT埋め込み腫瘍から取り出し、2つの部分に分けた。1つのアリコートを、RT-PCRに基づくHPVタイピングのために使用し、第2のアリコートを、タンパク質抽出のために使用した。
タイピングのために、RNAを、TRIZOLキット(Invitrogen)を使用して抽出した。手短に述べると、小さな組織切片を1mlのTRIZOL溶液中に移し、細胞を懸濁し、そしてDounceホモジナイザーを使用して溶解した。RNAを抽出し、2-プロパノールで沈殿させ、そして260nmの光の吸光によって定量した。1マイクログラムのRNAをcDNA生成のために使用した。プライマーはランダムヘキサマーであり、Superscript II(Invitrogen)を逆転写のために使用した。HPV16、HPV18、およびHPV45のE6遺伝子に特異的なプライマーをcDNAテンプレートに対するPCRのために使用し、予測されたサイズのバンドを、HPV16 E6に特異的なプライマーについて得たが、HPV18または45に特異的なプライマーについては得なかった。従って、調べられた腫瘍はHPV16感染細胞からなる。
タンパク質抽出のために、組織切片を直接的に1ml溶解バッファー(50mM Hepes pH 7.5/150mM NaCl/1mM EDTA/10%グリセロール/1% Triron/10mM フッ化ナトリウム/1mM オルトバナジン酸ナトリウム/1mM PMSF/Calbiochemプロテアーゼインヒビター 1:100)中で溶解させ、膜を3mlのDounceホモジナイザーを使用して破壊した。全体のタンパク質濃度をBradfordタンパク質濃度アッセイによって決定し、〜1,000,000細胞に対応する量を12%PAGEゲル上で分離した。非HPV16感染腫瘍からの溶解物をネガティブ対照としてロードした。
ゲルを、抗HPV16-E6特異的モノクローナル抗体を使用して、ウェスタン技術によって分析した。HPV16-E6タンパク質についての正確なサイズのバンドがHPV16感染腫瘍に由来する溶解物で示されたが、HPV16ネガティブ対照腫瘍由来の溶解物では示されなかった。バンド強度は、1,000,000HPV16-特異的SiHa細胞を用いて検出されたE6-特異的バンドと比較し得るものであった。C33-HPV E6ネガティブである子宮頸部細胞株;MBP-E6-マルトース結合タンパク質-HPV16 E6融合タンパク質;HPV E6過剰発現-全長HPV16 E6タンパク質を発現する構築物で形質転換されたHEK293細胞からの溶解物。これらの結果を図11に示す。
実施例14
迅速イムノアッセイ技術および蛍光検出を使用する、ヒト試料からの子宮頸部癌の検出
A. 要約
子宮頸部癌診断の目的のために、迅速イムノアッセイ(RIA)を使用してヒト試料中の発癌性E6タンパク質の存在を選択的に検出するために発癌性E6-PLディテクターが使用される実験が記載される。
B. 方法
子宮頸部細胞を、標準的な子宮頸部用ほうきまたはブラシ(例えば、CULTURETTE DIRECT (Becton Dickinson))を使用して収集し、試料希釈液中に再懸濁する。細胞を遠心分離によって収集し、ペレットを200μlの冷溶解バッファー(50mM Hepes pH 7.5/150mM NaCl/1mM EDTA/10%グリセロール/1% Triron/10mM フッ化ナトリウム/1mM オルトバナジン酸ナトリウム/1mM PMSF/Calbiochemプロテアーゼインヒビター 1:100)中に再懸濁し、5℃まで冷却し、そして溶解を容易にするために軽くボルテックスする。試料をこの時点で移し得る。75μlの溶解物をPBS/2% BSA中に希釈し、次いで150μl(またはウェル容積の〜半分)を、PBS中5μg/mlの組換えMAGI1ドメイン2(本明細書中ではMAGI1と呼ばれるが、公的な文献の大部分においてはドメイン1と再度命名されている)融合タンパク質でコートされ、およびアルブミンまたはゼラチンで非特異的部位がブロックされた、蛍光リーダーのために適切なプレートに加えた。希釈した細胞溶解物を室温で30分間インキュベートする。PBSでの3回の洗浄後、0.5μg/mlのFITC標識抗発癌性E6抗体混合物(すべての一般的なHPV型からE6タンパク質を一緒に認識する)100μlをPBS/2% BSAに加え、そしてプレートを室温で25分間インキュベートする。次いで、プレートをPBSで3回洗浄し、蛍光を測定する。
C. 結果
癌の病期の診断は、蛍光強度を標準および対照に対して比較することを通して決定される。
実施例15
比色定量を用いる層流ストリップアッセイにおいて迅速イムノアッセイ技術を使用する、ヒト試料からの子宮頸部癌の検出
A. 要約
子宮頸部癌診断の目的のために、ディップスティック形式(または層流形式)において迅速イムノアッセイ(RIA)を使用してヒト試料中の発癌性E6タンパク質の存在を選択的に検出するために発癌性E6-PLディテクターが使用される実験が記載される。このアッセイは、多くの家庭用一段階hCG妊娠試験に類似している。
B. 方法
子宮頸部細胞を、標準的な子宮頸部用ほうきまたはブラシ(例えば、CULTURETTE DIRECT (Becton Dickinson))を使用して収集し、試料希釈液中に再懸濁する。細胞を遠心分離によって収集し、ペレットを200μlの冷溶解バッファー(50mM Hepes pH 7.5/150mM NaCl/1mM EDTA/10%グリセロール/1% Triron/10mM フッ化ナトリウム/1mM オルトバナジン酸ナトリウム/1mM PMSF/Calbiochemプロテアーゼインヒビター 1:100)中に再懸濁し、5℃まで冷却し、そして溶解を容易にするために軽くボルテックスする。試料をこの時点で移し得る。溶解物をPBS/2% BSA中に500μlまで希釈し、そして試験デバイスに適用する。この試験デバイスは、着色した結合体を伴う抗E6モノクローナル抗体およびメンブレン試験領域上でコートされた組換えMAGI1PDZ2融合タンパク質の混合物を含む。毛細管作用によって、溶解した細胞試料は試験領域を超えて移動し、そして飽和した試薬と反応して、試験ウインドウ中に目に見える着色したバンドを形成する。試料中での発癌性E6タンパク質の存在は、試験領域中で別個の着色したバンドの形成を生じ、従って、発癌性E6タンパク質についてのポジティブな結果を示す。逆に、試験領域に線が現れない場合、その試験はネガティブである。
C. 結果
癌の診断は、適切な試験の機能を実証するために、試験領域における試験線の着色と、ポジティブ対照およびネガティブ対照との間の比較を通して決定される。
本発明は、例示的な態様によって範囲を限定することを意図するのではなく、これは本発明の1つの局面の例示として意図され、および機能的に等価な任意の配列が本発明の範囲にある。確かに、本明細書中に示されかつ記載されたものに加えて、本明細書の種々の修飾が、前述の記載および付随する図面から当業者には明らかとなる。このような修飾は添付の特許請求の範囲の範囲にあることが意図される。
本明細書中で引用されるすべての刊行物および出願人のデータシート中に引用される先行技術文献は、その全体がおよびすべての目的のために、参照として本明細書に組み入れられる。