JP2005519582A - 浸潤複合体および標的化方法 - Google Patents
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Abstract
転移を阻害することに標的付けられた治療剤が、同定されそして開発された。これらは、細胞(例えば、腫瘍細胞)が細胞外マトリックス障壁を越えて移動する能力、ならびに浸潤複合体と相互作用しその浸潤複合体の活性を調節する新規なペプチドの同定を付与する、浸潤複合体の発見に基づく。複合体全体もしくは部分的複合体または浸潤複合体の個々の分子が、その浸潤複合体と相互作用するタンパク質もしくは化合物についてスクリーニングするために使用される。相互作用するタンパク質(例えば、オステオポンチン、ソフィンB(配列番号1))または化合物についてスクリーニングするための方法は、当該分野で周知であり、そのいくつかが下記に記載される。一旦相互作用するタンパク質が同定されると、それらは、複合体活性の阻害、増強、または減少についてスクリーニングされる。
Description
(政府の補助)
本発明は、米国陸軍からの政府補助を受けてなされた(補助金授与番号DAMD 17−99−1−9124)。従って、米国政府は、本発明において特定の権利を有する。
本発明は、米国陸軍からの政府補助を受けてなされた(補助金授与番号DAMD 17−99−1−9124)。従って、米国政府は、本発明において特定の権利を有する。
(関連出願の援用)
発明の名称「浸潤複合体および標的化方法」であるSamy Ashkarによる米国仮出願番号60/306,946号(2001年7月20日出願);米国仮出願番号60/332,652号(2001年11月16日出願);および米国仮出願番号60/382,794号(2002年5月22日出願)に対して、優先権主張する。
発明の名称「浸潤複合体および標的化方法」であるSamy Ashkarによる米国仮出願番号60/306,946号(2001年7月20日出願);米国仮出願番号60/332,652号(2001年11月16日出願);および米国仮出願番号60/382,794号(2002年5月22日出願)に対して、優先権主張する。
(発明の背景)
本発明は、一般的には、転移、感染、および炎症に関与する浸潤複合体の発見に基づく、治療剤および診断剤の分野にある。
本発明は、一般的には、転移、感染、および炎症に関与する浸潤複合体の発見に基づく、治療剤および診断剤の分野にある。
転移は、現在利用可能な抗癌療法が失敗する主要な原因であり、未だ非常に少数の臨床研究しか、新規な治療の開発において転移プロセスを標的としていない。さらに、臨床研究において少数の薬物しか、腫瘍自体を特異的に標的としないが、正常細胞と比較して迅速に複製する腫瘍細胞を優先的に殺傷する化学療法剤の使用に依存する。臨床前段階での主要な失敗は、許容不可能に低い治療尺度である。利用可能な薬物のほとんどは、高い毒性および低い作用特異性を有する。癌治療の将来に影響を与えるために、特異的に標的化され、異なる作用機構および高い治療尺度を有する、薬物についての需要が存在する。
従って、癌治療のための新規な診断標的および治療標的、ならびにその新規な標的に特異的に指向される化合物を提供することが、本発明の目的である。
炎症および感染に関係する障害および疾患の治療のための、新規な標的を提供することが、本発明のさらなる目的である。
(発明の簡単な要約)
浸潤複合体の集合または活性を阻害することに標的化された、治療標的および診断標的が同定され、そして開発されている。これらは、浸潤複合体の発見に基づき、これは、細胞(例えば、腫瘍細胞)が細胞外マトリックス障壁を越えて移動する能力、ならびにその浸潤複合体と相互作用し、その浸潤複合体の活性を調節するペプチドの同定を付与する。その浸潤複合体は、穏やかな緩衝化界面活性剤溶液中で解離、その後、浸潤複合体(例えば、β−1インテグリン)の成分に対する抗体を用いる免疫反応のようなプロセスを使用して、標的化された疾患または障害に関与する細胞から単離される。その浸潤複合体は、癌細胞、炎症、感染(ウイルス感染、細菌感染、および寄生生物感染)ならびに創傷治癒(例えば、脈管形成または異常な細胞増殖(例えば、瘢痕形成)に関係する状態において)の特徴である。複合体全体もしくは部分的複合体、またはその浸潤複合体の個々の成分が、その浸潤複合体と相互作用するタンパク質または化合物についてスクリーニングするために使用される。相互作用するタンパク質(例えば、オステオポンチン、ソフィンB(配列番号1)、または他の化合物)についてスクリーニングするための方法は、当該分野で周知であり、そのうちのいくつかが下記に記載される。一旦、相互作用するタンパク質が同定されると、そのタンパク質は、複合体活性の阻害、増殖、または減少についてスクリーニングされる。
浸潤複合体の集合または活性を阻害することに標的化された、治療標的および診断標的が同定され、そして開発されている。これらは、浸潤複合体の発見に基づき、これは、細胞(例えば、腫瘍細胞)が細胞外マトリックス障壁を越えて移動する能力、ならびにその浸潤複合体と相互作用し、その浸潤複合体の活性を調節するペプチドの同定を付与する。その浸潤複合体は、穏やかな緩衝化界面活性剤溶液中で解離、その後、浸潤複合体(例えば、β−1インテグリン)の成分に対する抗体を用いる免疫反応のようなプロセスを使用して、標的化された疾患または障害に関与する細胞から単離される。その浸潤複合体は、癌細胞、炎症、感染(ウイルス感染、細菌感染、および寄生生物感染)ならびに創傷治癒(例えば、脈管形成または異常な細胞増殖(例えば、瘢痕形成)に関係する状態において)の特徴である。複合体全体もしくは部分的複合体、またはその浸潤複合体の個々の成分が、その浸潤複合体と相互作用するタンパク質または化合物についてスクリーニングするために使用される。相互作用するタンパク質(例えば、オステオポンチン、ソフィンB(配列番号1)、または他の化合物)についてスクリーニングするための方法は、当該分野で周知であり、そのうちのいくつかが下記に記載される。一旦、相互作用するタンパク質が同定されると、そのタンパク質は、複合体活性の阻害、増殖、または減少についてスクリーニングされる。
細胞上または細胞中におけるこの浸潤複合体タンパク質の存在は、特定の障害(例えば、癌(腫瘍細胞)または炎症(活性化マクロファージ))を示す。この浸潤複合体と相互作用するタンパク質(例えば、オステオポンチン)のレベルの上昇もまた、癌(特に、転移癌)を示す。この浸潤複合体もしくはその成分またはその浸潤複合体と相互作用する分子の測定に基づく診断方法は、その浸潤複合体を形成する同定されたタンパク質のいずれかの異常な発現と関連する障害を有する被験体またはそのような障害を発症するリスクを有する被験体の同定において使用され得る。この浸潤複合体は、マトリックス障壁を越えて移動する能力を付与するので、この複合体に結合するペプチドは、癌細胞の転移および/もしくは器官特異的ホーミング、炎症、感染を阻害するため、または創傷治癒を改変するために、使用され得る。
(発明の詳細な説明)
(浸潤複合体)
癌、炎症、感染、および特定の創傷治癒状態の特徴である浸潤複合体が、単離され特徴付けられた。この複合体は、実施例に記載されるように、非常に穏やかな界面活性剤の緩衝化溶液を使用し、その後、その複合体と、その複合体(例えば、β−1インテグリン)に対する抗体またはその成分に対する抗体とを結合させることによって、その疾患または障害に関与する細胞(例えば、腫瘍細胞、炎症細胞(例えば、マクロファージ)、感染細胞)の表面からのその複合体の解離によって得られる。その複合体の成分は、それらの異なる成分(そのうち、少なくとも22個が存在する)を分離するためのその複合体の電気泳動によって同定され、その後、公知のタンパク質に対する抗体を用いる免疫反応により同定されるか、または公知のタンパク質データベースとの比較によって、単離および配列分析によって同定される。
(浸潤複合体)
癌、炎症、感染、および特定の創傷治癒状態の特徴である浸潤複合体が、単離され特徴付けられた。この複合体は、実施例に記載されるように、非常に穏やかな界面活性剤の緩衝化溶液を使用し、その後、その複合体と、その複合体(例えば、β−1インテグリン)に対する抗体またはその成分に対する抗体とを結合させることによって、その疾患または障害に関与する細胞(例えば、腫瘍細胞、炎症細胞(例えば、マクロファージ)、感染細胞)の表面からのその複合体の解離によって得られる。その複合体の成分は、それらの異なる成分(そのうち、少なくとも22個が存在する)を分離するためのその複合体の電気泳動によって同定され、その後、公知のタンパク質に対する抗体を用いる免疫反応により同定されるか、または公知のタンパク質データベースとの比較によって、単離および配列分析によって同定される。
本明細書中で言及される浸潤複合体は、実施例に記載されるように単離および同定されたが、その浸潤複合体の成分のうちのすべてが同定されたわけではない。実施例に記載されるように、成分が同定されており、他は、慣用的技術を使用して同定され得る。なぜなら、この浸潤複合体はその全体が単離されているからである。成分は、標準的方法(例えば、アクリルアミドゲル電気泳動)を使用して分離される。分離された成分は、公知のタンパク質に対する抗体との反応、複合体全体に対する抗体との反応、またはそのタンパク質のすべてまたは一部のアミノ酸の単離および配列決定(そのタンパク質を同定するためにデータベースに入力され得る)によって、同定され得る。この時点で公知である成分としては、CD44(v3〜v6)、インテグリンB1、PI3キナーゼ、SHP−1、インテグリン関連キナーゼ、焦点接着キナーゼ(FAK)、カベオリン、組織プラスミノーゲンアクチベーター、ウロキナーゼプラスミノーゲンアクチベーター、マトリックスメタロプロテイナーゼ2、マトリックスメタロプロテイナーゼ9、mbMMP(膜結合型メタロプロテイナーゼ)、PKCβ、PKCδ、パキシリン、rhoB、およびG1Iが挙げられる。
CB44は、細胞−マトリックス相互作用および細胞−細胞接着相互作用、リンパ球活性化およびリンパ球ホーミング、ならびに細胞遊走にて通常は機能する、膜貫通糖タンパク質である。CD44は、種々の細胞外領域といくつかのアイソ−フォームの状態で存在する。CD44v3〜v6および他のCD44スプライス改変体は、機能性CD44レセプター複合体を形成する。これらの複合体は、転移性腫瘍細胞の浸潤、ホーミング、および移植を媒介する。例えば、良性腫瘍中へのCD44(v6)のトランスフェクションは、転移挙動を付与するに十分であった(Zoller、1995、J.of Mol.Med.73,453〜38)。特定の腫瘍の細胞表面上でのCD44の特定の改変体エキソンの発現が、その腫瘍の転移と関連付けられた。例えば、黒色腫の表面上でのエキソンv10の発現は、皮膚への黒色腫細胞の転移と関連があり、一方、CD44(v5)の発現は、黒色腫をリンパ節へと向ける。CD44(v9)の発現は、腎臓癌の転移に関連があり、エキソンv7〜v8の発現は、子宮頸部の癌の転移に関連があり、そしてエキソンv4およびエキソンv5の発現は、肝細胞癌転移の転移に関係がある(Zoller、1995、J.of Mol.Med.73,453〜38)。CD44の発現はまた、乳癌の転移にも関係付けられている。CD44スプライス改変体v3/v4およびv6の発現は、乳癌の悪性化と相関があり、そしてCD44(v6)の発現は、乳癌の転移能力および乏しい予後と相関がある(Rev.Fichtnerら、1997、Anticance Res.17:5A 3633〜45)。
転移を生じる活性の協調は、浸潤複合体を形成する独特の分子複合体(CD44スプライス改変体を含む)により媒介される。この複合体はまた、外部シグナル伝達を内部シグナル伝達に連絡させ、そしてレセプターとして機能する。これらの浸潤複合体は、細胞の接着、移動、および限定的細胞外タンパク質分解を調節するだけでなく、これらの事象をアポトーシスの阻害および増殖の阻害と関係付ける。
FAKは、正常な細胞処理(例えば、接着、拡散、移動、増殖および生存)において重要な役割を果たす非レセプターチロシンキナーゼである。さらに、FAKは、種々の癌細胞および腫瘍において過剰発現され、ヒト癌の発症において機能し得る。カベオリン−1は、(細胞内シグナル伝達の調節に関わる原形質膜の微小ドメインである)カベオラの主要な構造成分である。癌腫におけるカベオリン−1の機能に関する以前のインビトロ研究およびインビボ研究は、議論の的になる結果を示し、このことは、カベオリン−1の生理学的役割が、癌腫の起源によって変動することを示した。ある場合ではインヒビターとして、そして他の場合では強力な相互作用的成分としてではあるが、浸潤複合体(invasion complex)の他の成分はまた、癌に関連する。
タンパク質相同体および他の類似の活性を有するタンパク質が、属および種の境界を越えて存在することは、当業者に十分理解されている。従って、本明細書中に記載される浸潤複合体は開示されるような複合体の成分タンパク質に対して相同なタンパク質の複合体ならびに類似の浸潤機能を有するタンパク質複合体を含むことが理解される。
浸潤複合体は、正常細胞および異常細胞の増殖、移動およびホーミング(例えば、癌細胞の転移および複製)に関連する。浸潤複合体の移動への関与に基づいて、浸潤複合物は、他の組織に侵入する(転移)能力、および特異的な組織に侵入する(組織特異的ホーミング)能力を有する腫瘍細胞の特徴である。浸潤複合体はまた、走化性、移動および細胞補充および運動性の他のモードを調節する。例えば、卵の受精は、細胞表面のタンパク質およびドナー細胞の浸潤複合体との相互作用によって阻害され得るか、または強められ得る。浸潤複合体はまた、アクチンおよびミクロフィラメントの再配置(偽足形成において重要な役割を果たす)の調節、ならびにDNA合成およびDNA複製の終了のような、他の細胞活性において顕著な役割を果たすことが証明されている。DNA複製の阻害は、アポトーシスを誘導する多くの場合において、細胞生存度に直接的な影響を有する。
浸潤複合体の組成物は、浸潤複合体の供給源に部分的に依存する。例えば、非浸潤形態から浸潤形態への細胞の形質転換はまた、部分的に、浸潤複合体における分子の特定の型の存在に関連する。転移性腫瘍細胞は、β5インテグリン以上に過剰なβ1インテグリン(これらは、通常、マクロファージに存在する)を発現する。β5インテグリンに対するβ1インテグリンの割合は、マクロファージと比べて転移性腫瘍細胞においてより高い。さらに、CD44は、転移性腫瘍細胞の浸潤複合体における硫酸化ヘパリンであり、これは、腫瘍細胞の浸潤特性に寄与する。マクロファージのCD44は、コンドロイチン硫酸によって改変される。コンドロイチンからヘパリンへの、マクロファージの硫酸化改変における転換は、初期段階の関節炎の診断に使用され得る。従って、浸潤複合体は、例えば、関節炎、骨粗鬆症、およびこの複合体を発現する細胞型に依存する慢性炎症性疾患のマーカーとして使用され得る。これはまた、浸潤複合体におけるヘパリンの存在が、細胞の移動/浸潤性表現型を与えることにおいて重要な役割を果たすことを証明する。
浸潤複合体の活動レパートリーは、細胞が細胞外マトリックス(ECM)を通って移動することを可能にするプロテアーゼ機能を含む。CD44は、特異的なタンパク質分解酵素(mb MMP−膜結合型メタロプロテアーゼ)によって、それらの酵素活性形態に引き続いて活性化する、プロテアーゼ前酵素(MMP−マトリックスメタロプロテアーゼ)に結合する。一旦、活性化されると、これらのMMPプロテアーゼは、移動するためにECMおよび細胞の組織を通って「切り出し(carving)」において重要な役割を果たす。細胞は移動するので、偽足形成は、これらのプロテアーゼが細胞の前方先端部で形成することを可能にする。従って、浸潤複合体(例えば、メタロプロテアーゼおよびプラスミノーゲンアクチベーター)は、移動細胞の層状に突出する偽足(laminal protruding pseudopod)に集合し、そしてそれに会合するプロテアーゼの誘導に重要な役割を果たす。過剰に発現したプロテアーゼの型は、しばしば細胞型に依存する。一旦、細胞が標的に接着すると、サイクルは、マトリックスメタロプロテアーゼのタンパク質分解処理を用いて最初から始まる。
(浸潤複合体分子/薬物標的および関連疾患)
浸潤複合体は、転移性癌において全く発見されていない。細胞移動および/または細胞転移に依存する疾患はまた、浸潤複合体に依存する。細胞型、および細胞上に存在する浸潤複合体の特異的な成分は、疾患の型、または細胞の移動/転移の表現型に関連する細胞処理を指示する。特異的タンパク質は1つの細胞型の浸潤複合体の一部であり得るが、別の細胞型の浸潤複合体の一部ではない。このことは、「ホーミングおよび転移形成(「選別の郵便番号(postal cord)」)における組織特異性をコード」し得る、浸潤複合体の構造において多様性を示す;(WeberおよびAshkar、J.Mol.Med.,2000,78:404−408を参照のこと)。細胞型に依存する疾患および浸潤複合体としては、癌、炎症(急性および慢性)、ウイルス感染および寄生虫感染、創傷治癒、ならびに瘢痕が挙げられるが、これらに限定されない。
浸潤複合体は、転移性癌において全く発見されていない。細胞移動および/または細胞転移に依存する疾患はまた、浸潤複合体に依存する。細胞型、および細胞上に存在する浸潤複合体の特異的な成分は、疾患の型、または細胞の移動/転移の表現型に関連する細胞処理を指示する。特異的タンパク質は1つの細胞型の浸潤複合体の一部であり得るが、別の細胞型の浸潤複合体の一部ではない。このことは、「ホーミングおよび転移形成(「選別の郵便番号(postal cord)」)における組織特異性をコード」し得る、浸潤複合体の構造において多様性を示す;(WeberおよびAshkar、J.Mol.Med.,2000,78:404−408を参照のこと)。細胞型に依存する疾患および浸潤複合体としては、癌、炎症(急性および慢性)、ウイルス感染および寄生虫感染、創傷治癒、ならびに瘢痕が挙げられるが、これらに限定されない。
浸潤複合体の形成または活性化の破壊に対する標的としては、浸潤複合体の成分、または浸潤複合体と相互作用する分子が挙げられる。例えば、CD11は、炎症性腸症候群において重要なタンパク質である。この分子は、疾患の炎症性特徴を担う細胞の表面で、浸潤複合体の一部となり得るか、または他の細胞の浸潤複合体と相互作用する細胞に提示され得る。全体として(2つの別個の細胞に提示されるような)CD11と複合体との間の相互作用、または(浸潤複合体の完全な形成を阻害するための)CD11と複合体の成分との相互作用を分離することは、効果的に、細胞移動をブロックし、かつ疾患に関連する炎症を減少させる。他の標的としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:β1、β2(炎症性ミオパシー);α5β1(口蹄疫(foot and mouth disease));α2β1(創傷治癒、斑形成);ならびにβ1およびβ3(腎症候群を伴う出血熱)(表1もまた参照のこと)。
(表1:浸潤複合体分子/相互作用分子および関連疾患)
浸潤複合体は、細胞(例えば、腫瘍細胞)に、細胞外マトリックス障壁を横切って転移する能力、ならびに浸潤複合体と相互作用し、そしてその活性を調節する新規ペプチドを同定する能力を付与する。
(浸潤複合体と相互作用する分子のスクリーニング)
以下に記載されるように、浸潤複合体の成分は、それらが発現される細胞から単離され得る。一旦、全体または部分的な複合体が単離されると、それらは、ミニセルディスプレイライブラリー技術(Childrens Medical Center Corporationによる、PCT/02/06921に記載される)を用いて、複合体の活性のインヒビターまたはエンハンサーについてスクリーニングするために使用され得る。このミニセルディスプレイ技術は、完全にランダムなライブラリーあるいは、既知のタンパク質またはペプチドの誘導に基づくライブラリーを生成することを可能にする。
以下に記載されるように、浸潤複合体の成分は、それらが発現される細胞から単離され得る。一旦、全体または部分的な複合体が単離されると、それらは、ミニセルディスプレイライブラリー技術(Childrens Medical Center Corporationによる、PCT/02/06921に記載される)を用いて、複合体の活性のインヒビターまたはエンハンサーについてスクリーニングするために使用され得る。このミニセルディスプレイ技術は、完全にランダムなライブラリーあるいは、既知のタンパク質またはペプチドの誘導に基づくライブラリーを生成することを可能にする。
強力なレセプター、酵素またはペプチドと相互作用する抗体のライブラリーを開発するために、ペプチドまたはオリゴヌクレオチドを使用する方法の例がいくつか存在する。これらのライブラリーは、浸潤複合体と相互作用するタンパク質またはペプチドを発見するために使用され得、従って治療剤として有用であり得る。最近20年間を通じて、これらのライブラリーは、異なるファージまたは細菌の表面でのランダムペプチドの発現を可能にするシステムに組み込まれている。多くの特許出願は、選択される標的に結合するポリペプチドのライブラリーを生成し、そしてスクリーニングするためのファージディスプレイ技術の使用を報告している。スクリーニングされるべきポリペプチドをコードするDNAと、標的ポリペプチドまたは複合体との間に、物理的関係を確立する任意の方法が、浸潤複合体と相互作用するペプチドを同定するために使用され得る。
浸潤複合体と相互作用するペプチドを得るための別のアプローチは、目的のペプチドのためのキャリアとしてネイティブな細菌の膜の使用を組み込み得る。通常、細胞表面に露出されるネイティブタンパク質への、所望の組換えポリペプチドの融合として、細菌表面にタンパク質を固着させる方法は、当該分野で周知である。
より最近の進歩は、(TraA)のようなピリンタンパク質またはその部分と、繊毛を形成し得る細菌宿主細胞の外表面にライブラリーペプチドを提示する異種ポリペプチドとを含む融合タンパク質の使用を組み入れた。Huangらに対する米国特許第5,516,637号およびFliTrxTM(Invitrogen Corp.)ランダムペプチドライブラリーを参照のこと。このような方法は、浸潤複合体と相互作用するペプチドおよびタンパク質の解明および単離を補助し、それによって下流の生物学的処理に影響を与える。
タンパク質−タンパク質相互作用を検出するために使用される、当該分野で公知の他の方法は、結合を決定し、その後、相互作用するペプチドを単離のために利用され得る。このような方法としては、例えば、免疫共沈降アッセイ、ツーハイブリッドスクリーンおよびライブラリー、ならびにレセプター(複合体)およびリガンド(ペプチド)の両方の存在に依存する検出可能な酵素反応が挙げられる。
浸潤複合体相互作用ペプチドの例は、Sophin B(配列番号1)のアセチル化形態および非アセチル化形態である。Sophin Bは、浸潤複合体のCD44およびβ1と相互作用する。この相互作用は、複合体の解離を生じる。
(活性についての相互作用ペプチドのスクリーニング)
生物学的活性は、ペプチドまたはタンパク質が、浸潤複合体と相互作用する場合に有し得るかまたは発揮され得る、任意の生物学的効果または生物学的機能であり得る。例えば、生物学的活性としては、以下が挙げられる:生体分子(例えば、レセプター複合体リガンド)に対する特異的結合、ホルモン活性、サイトカイン活性、ならびに生物学的活性もしくは他の生体分子(例えば、レセプター結合のアゴニストおよびアンタゴニスト)の相互作用の阻害、酵素活性、抗癌活性、免疫抑制活性、免疫刺激活性、免疫特徴付け、免疫系細胞の機能の変更、抗生物質活性、抗ウイルス活性、ならびに栄養活性。生物学的活性は、当該分野で公知の適切な技術およびアッセイを用いて、検出および/または測定され得る。抗体反応性およびT細胞活性化は、生物学的活性とみなされ得る。生物活性はまた、適切な場合、インビボで評価され得る。これは、目的の生物学的活性の有用なレベルの存在の最も正確な評価であり得る。酵素活性は、当該分野で公知の適切な技術およびアッセイを用いて測定および検出され得る。
生物学的活性は、ペプチドまたはタンパク質が、浸潤複合体と相互作用する場合に有し得るかまたは発揮され得る、任意の生物学的効果または生物学的機能であり得る。例えば、生物学的活性としては、以下が挙げられる:生体分子(例えば、レセプター複合体リガンド)に対する特異的結合、ホルモン活性、サイトカイン活性、ならびに生物学的活性もしくは他の生体分子(例えば、レセプター結合のアゴニストおよびアンタゴニスト)の相互作用の阻害、酵素活性、抗癌活性、免疫抑制活性、免疫刺激活性、免疫特徴付け、免疫系細胞の機能の変更、抗生物質活性、抗ウイルス活性、ならびに栄養活性。生物学的活性は、当該分野で公知の適切な技術およびアッセイを用いて、検出および/または測定され得る。抗体反応性およびT細胞活性化は、生物学的活性とみなされ得る。生物活性はまた、適切な場合、インビボで評価され得る。これは、目的の生物学的活性の有用なレベルの存在の最も正確な評価であり得る。酵素活性は、当該分野で公知の適切な技術およびアッセイを用いて測定および検出され得る。
浸潤複合体に結合し、かつ腫瘍転移に必要とされるいくつかのペプチドが同定される。いくつかは、転移をブロックするために同定される。これらの転移ブロックペプチドはさらに、生化学的にアッセイされ得るレセプターにおける有効な特定の応答を評価される。ペプチドは、ペプチドとの相互作用前および相互作用後に、レセプターにより保持される放射標識されたリン酸の量をアッセイすることによって、インビトロでのレセプターの自己リン酸化に影響することが示されている。このことは、分子生物学の分野において標準的な技術を使用して示され得る。細胞表面レセプターのリン酸化に影響することにより、単離されたペプチドは、これらのレセプターを制御する細胞処理の活性に直接影響を与える。
(浸潤複合体に結合し、かつ細胞生存度に影響するペプチド)
さらなるインビトロアッセイが、浸潤複合体結合ペプチドの効果および細胞生存度の効果を研究するために使用される。生存する細胞処理を、妨害するか、刺激するかまたは減少させるかのいずれかのペプチドは、培養において、腫瘍細胞のような細胞を感染させるために使用され得る。一旦感染すると、細胞増殖および生存度は、当該分野に公知の方法によって分析される。
さらなるインビトロアッセイが、浸潤複合体結合ペプチドの効果および細胞生存度の効果を研究するために使用される。生存する細胞処理を、妨害するか、刺激するかまたは減少させるかのいずれかのペプチドは、培養において、腫瘍細胞のような細胞を感染させるために使用され得る。一旦感染すると、細胞増殖および生存度は、当該分野に公知の方法によって分析される。
多くの細胞は、プログラム化された細胞死を起こし得、これは、自己崩壊の遺伝的に媒介される形態である。この現象は、一般的に、アポトーシスと言われる。この浸潤複合体と相互作用するペプチドに起因してアポトーシスを起こす細胞は、アポトーシスの前、間および後に分析され得る。頻繁に、アポトーシス細胞は、それらの生化学的特徴、形態学的特徴および分子特徴の変化により認識され得る。形態学的変化としては、細胞の形状変化、細胞萎縮、細胞解離、アポトーシス体(apoptotic bodies)、核断片化、核エンベロープ変化および細胞表面構造の消失が挙げられるが、これらに限定されない。生化学的変化としては、タンパク分解、タンパク質架橋、DNA変性、細胞脱水、ヌクレオソーム内切断、および遊離カルシウムイオンの発生が挙げられ得る。
細胞が、もはや生存可能でない(死んだ)場合、それらの膜は透過性となり、そしてこの透過性が、それ自体を光の散乱の変化として顕在化させる。この光の散乱は、細胞の細胞質の屈折率の変化に起因し得る。透過性の膜を通過し得るDNA染色色素の使用は、死滅した細胞、生存細胞、およびアポトーシス細胞の同定において役立つ。フローサイトメトリーおよび/または蛍光細胞分析(FACS分析)は、目的の細胞を分離するための蛍光色素を利用するプロトコルに組み込まれ得る。フローサイトメトリーは、目的の粒子をサンプルから分類、または物理的に分離し得る。従って、FACS分析(フローサイトメトリーの1つの型である)は、不均質な集団からの目的の細胞または粒子の物理的分離として規定され得る。
死滅した細胞と、生存細胞と、アポトーシス細胞とを区別し得る。なぜなら、各々が、例えば、それらのDNA色素への透過性において異なるからである。2種の広く使用されるDNA色素であるHoechst33342およびヨウ化プロピジウム(PI)は、死滅細胞に浸潤し得る。生存細胞は、いずれの色素も保持せず、一方アポトーシス細胞は、Hoechstを保持するがPIを保持しない。蛍光顕微鏡観察により、死滅細胞と、生存細胞と、アポトーシス細胞とを視覚的に分離することが可能となる。これらの異なる細胞からの蛍光放射は、フローサイトメトリーおよび/またはFACS分析によりそれらの分離を可能にする。これらのアッセイにおいて使用される代表的な染料としては、ヨウ化プロピジウム、Hoechst33342、7AADおよびTO−PRO−3が挙げられる。
アポトーシスの間の膜変化の段階も同様に分析され得る。これらの変化には、アポトーシスの初期段階から中間段階の間の細胞膜の内部部分から外側へのホスファチジルセリン(PS)のトランスロケーションがある。FITC標識Annexin Vを使用して、PSを検出することができる。Annexin Vは、Ca++依存性リン脂質結合タンパク質である。また、死滅細胞は、Annexin Vに結合しない。生存細胞はまた、Annexin結合にはネガティブである。アポトーシス細胞は、Annexinに結合する。このPSの分析方法を、DNAを染色するためのPIを使用する上述の方法と組み合わせ得、それにより生存細胞、死滅細胞および/またはアポトーシス細胞の異なるプロファイルを得る。
上述のように、アポトーシスの特徴は、DNAの分解である。この分解は、通常、活性化Ca/Mg依存性エンドヌクレアーゼにより行われる。末端でオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)は、ビオチン化ヌクレオチド、BrdU標識ヌクレオチドまたはジゴキシゲニン標識ヌクレオチドを、DNA鎖切断部に付加する。次いで、ビオチンにより外因的に付加されたストレプトアビジンの引き続く結合、または蛍光色素標識抗ジゴキシゲニン抗体を使用して、DNA分解を検出し得る。この方法により、アポトーシスと細胞周期状態とを相関させることが可能となる。
組み込まれ得る別のDNA結合色素は、レーザー色素スチリル−751(LDS−751)である。再び、生存細胞または死滅細胞と異なる染色パターンを示すアポトーシス細胞の能力を使用し得る。
レーザー捕獲顕微解剖(LCM)は、種々の組織からの純粋な細胞の獲得のために使用される比較的新しい技術である。トランスファーフィルムが特定の組織部分の表面に適用された後、パルスレーザービームを活性化させ得、次に、目的の細胞の直ぐ上のフィルムを活性化する。このフィルムは、溶融して、下にある細胞と融合する。次いで、このフィルムは、除去され、そしてフィルム内に含まれない残りの細胞が残される。一旦細胞が単離されると、次いで、細胞からのDNA、RNAまたはタンパク質を精製し得る。LCMによる細胞の単離は、レーザーエネルギーがこのフィルムによって吸収されるので細胞を損傷しない。この特定の技術は、蛍光分子を使用してタンパク質を検出する前述の方法のいずれかと組み合わせると有用であり得る。
動物モデルを使用するインビボ分析は、インタクトな系内でのペプチドの効果を決定するために使用される。例えば、免疫学の分野において、ペプチドは、動物に投与され得、そしてその末梢血単球は、このペプチドに対して特異的な抗体の生成において使用される。
ウイルスタンパク質(例えば、ウイルスベクター、治療的ウイルス、およびウイルスキャプシド送達組成物での使用のため)の場合、そのペプチドにより保持されるべき所望の特徴は、ウイルス粒子またはキャプシドにアセンブルする能力、および細胞に感染または侵入する能力を含み得る。このような特徴は、そのウイルスタンパク質の送達特性が重要である場合に有用である。次いで、このペプチドの細胞への送達は、複合体の形成を妨害し得る。
(予後アッセイ)
浸潤複合体のタンパク質は、例えば、活性化マクロファージおよび疾患細胞(例えば、腫瘍細胞)において発現される。これらの例を使用して、この複合体を形成するタンパク質、形成した複合体と結合したタンパク質、またはこのタンパク質をコードする遺伝子の発現を示す任意の転写物のいずれかの存在は、腫瘍細胞および/または活性化マクロファージの存在の指標である。浸潤複合体と相互作用するがその一部ではないタンパク質の例は、オステオポンチンであり、これは、侵襲性乳癌および特定の他の型の癌と関連があることが現在示されている。
浸潤複合体のタンパク質は、例えば、活性化マクロファージおよび疾患細胞(例えば、腫瘍細胞)において発現される。これらの例を使用して、この複合体を形成するタンパク質、形成した複合体と結合したタンパク質、またはこのタンパク質をコードする遺伝子の発現を示す任意の転写物のいずれかの存在は、腫瘍細胞および/または活性化マクロファージの存在の指標である。浸潤複合体と相互作用するがその一部ではないタンパク質の例は、オステオポンチンであり、これは、侵襲性乳癌および特定の他の型の癌と関連があることが現在示されている。
本明細書中に記載される診断方法は、浸潤複合体形成に関連する疾患または障害を有するかこの疾患または障害を発症する危険性を有する動物または人を同定するために、さらに利用され得る。このアッセイを利用して、浸潤複合体を形成する本明細書中で同定されたタンパク質(CD44(v3〜v6)、インテグリンB1、PI3、キナーゼSHP−1、インテグリン関連キナーゼ、FAK、カベオリン、組織プラスミノーゲン活性化因子、ウロキナーゼプラスミノーゲン活性化因子、マトリックスメタロプテイナーゼ2、マトリックスメタロプテイナーゼ9、mbMMP(膜結合メタロプロテイナーゼ)、PKCβ、PKCδ、パキシリン、rhoB、およびGタンパク質G1I)のいずれかの異常な発現と関連する障害を有するか、この障害を発症する危険性を有する被験体を同定し得る。
好ましい実施形態において、この方法は、被験体由来の細胞のサンプルにおいて、遺伝的変更/複合体を形成し、かつ/もしくは複合体およびその形成に関連するタンパク質のいずれかの発現に影響を及ぼす遺伝子または調節配列における変異の存在または不在を検出することを包含する。例えば、このような変更/変異は、以下のうちの少なくとも1つの存在を確認することにより検出され得る:1)複合体のタンパク質をコードする遺伝子のいずれかの発現を調節する遺伝子または調節配列からの1つ以上のヌクレオチドの欠失;2)複合体のタンパク質をコードする遺伝子のいずれかの発現を調節する遺伝子または調節配列への1つ以上のヌクレオチドの付加;3)複合体のタンパク質をコードする遺伝子のいずれかの発現を調節する遺伝子または調節配列からの1つ以上のヌクレオチドの置換;4)複合体のタンパク質をコードする遺伝子のいずれかの発現を調節する遺伝子または調節配列の染色体再配列;5)浸潤複合体のタンパク質のいずれかをコードする転写物のいずれかのmRNAのレベルの変更;6)複合体のタンパク質成分のいずれかまたは複合体の形成に必要な任意のタンパク質をコードする遺伝子の異常な改変;7)複合体のタンパク質をコードする遺伝子のいずれかのメッセンジャーRNA転写物の異常なスプライシングパターンの存在;8)複合体のタンパク質のいずれかまたは全ての異常なレベル;ならびに9)浸潤複合体のタンパク質の異常な翻訳後修飾。上記で列挙されたタンパク質をコードする遺伝子のいずれかにおける変更を検出するために使用され得る、当該分野で公知の多数の方法が存在する。
遺伝的変更/変異を検出するために使用されるアッセイの例としては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:PCR、RACE PCR、LCR(ライゲーション連鎖反応)、ハイブリダイゼーションアッセイにおいて使用されるDNAまたはRNAのヌクレオチドアレイ(ゲノムヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチド)、代替制限酵素消化パターン、直接配列決定、核酸二本鎖のミスマッチ切断アッセイ、電気泳動および/またはポリアクリルアミド電気泳動、ノーザンブロットアッセイおよびサザンブロットアッセイ、RNAプライマー伸長。
一実施形態において、生物学的サンプルにおける複合体のタンパク質またはこのタンパク質をコードする転写物の存在は、そのサンプル中の癌細胞の存在を決定するマーカーである。
別の実施形態において、生物学的サンプル中の、複合体のタンパク質またはこのタンパク質をコードする転写物の存在は、そのサンプル中の転移性癌細胞または転移性になる可能性を有する癌細胞の存在を決定するマーカーである。
以下の実施例は、例示として提供されるのであって、限定としてではない。
(実施例1:インビボでの腫瘍細胞の転移性侵襲)
ヌードマウスを、ケタミン/キシラジン(滅菌H2Oまたは生理食塩水20gと混合した90mg/10mg)をIPで注射して麻酔し、次いで無菌手術用に洗浄した。ツベルクリンシリンジ上に取り付けられた30ゲージの針を、胸骨の左2mmで第2肋間空隙中に挿入し、そして心臓に向けた。明赤色の血液がシリンジに入ったことは、心臓の左心室に針が適切に位置していることを示している。次いで、2×105個の腫瘍細胞を、ヌードマウスの左心室に注入する。このマウスを、麻酔から回復させる。全てのマウスを、腫瘍細胞注入の後56日間評価した。
ヌードマウスを、ケタミン/キシラジン(滅菌H2Oまたは生理食塩水20gと混合した90mg/10mg)をIPで注射して麻酔し、次いで無菌手術用に洗浄した。ツベルクリンシリンジ上に取り付けられた30ゲージの針を、胸骨の左2mmで第2肋間空隙中に挿入し、そして心臓に向けた。明赤色の血液がシリンジに入ったことは、心臓の左心室に針が適切に位置していることを示している。次いで、2×105個の腫瘍細胞を、ヌードマウスの左心室に注入する。このマウスを、麻酔から回復させる。全てのマウスを、腫瘍細胞注入の後56日間評価した。
注入された腫瘍細胞は、以下の3つの群であった:
(a)CD44−、β3−またはβ5−、β1+、TPA/UPA+、mmp−;
(b)CD44+、β3−またはβ5−、β1+;および
(c)CD44+、β3+またはβ5+、TPA/UPA+。
群(a)由来の腫瘍細胞は、いずれの腫瘍も生じなかった。群(b)由来の腫瘍細胞は、腫瘍の散在を生じた(骨に結合したものはない)。群(c)由来の腫瘍細胞は、骨腫瘍の形成を生じた。このアッセイにより、いくつかのレセプターが、転移に不可欠であることが確認された。
(a)CD44−、β3−またはβ5−、β1+、TPA/UPA+、mmp−;
(b)CD44+、β3−またはβ5−、β1+;および
(c)CD44+、β3+またはβ5+、TPA/UPA+。
群(a)由来の腫瘍細胞は、いずれの腫瘍も生じなかった。群(b)由来の腫瘍細胞は、腫瘍の散在を生じた(骨に結合したものはない)。群(c)由来の腫瘍細胞は、骨腫瘍の形成を生じた。このアッセイにより、いくつかのレセプターが、転移に不可欠であることが確認された。
(実施例2:腫瘍細胞における浸潤複合体の単離(I))
これらの観察を考慮して、浸潤複合体を、CD44でトランスフェクトした良性ヒト乳癌腫瘍細胞(MB−453)を使用して単離した。続けて同定された浸潤複合体成分は、CD44(v3〜v6)、インテグリンB1、PI3キナーゼ、SHP−1、インテグリン関連キナーゼ、FAK、カベオリン、組織プラスミノーゲン活性化因子、ウロキナーゼプラスミノーゲン活性化因子、マトリックスメタロプテイナーゼ2、マトリックスメタロプテイナーゼ9、mbMMP(膜結合メタロプロテイナーゼ)、PKCβ、PKCδ、パキシリン、rhoB、およびG1Iを含んでいた。
これらの観察を考慮して、浸潤複合体を、CD44でトランスフェクトした良性ヒト乳癌腫瘍細胞(MB−453)を使用して単離した。続けて同定された浸潤複合体成分は、CD44(v3〜v6)、インテグリンB1、PI3キナーゼ、SHP−1、インテグリン関連キナーゼ、FAK、カベオリン、組織プラスミノーゲン活性化因子、ウロキナーゼプラスミノーゲン活性化因子、マトリックスメタロプテイナーゼ2、マトリックスメタロプテイナーゼ9、mbMMP(膜結合メタロプロテイナーゼ)、PKCβ、PKCδ、パキシリン、rhoB、およびG1Iを含んでいた。
浸潤複合体の単離は、繊細なプロセスであり、特定の試薬の使用に依存する。SDS、TWEEN(登録商標)、TRITON(登録商標)、およびBRIJ(登録商標)は、浸潤複合体(単数または複数)を有する細胞を解離するのに使用するにはきつ過ぎる。デオキシコレート界面活性剤は、このプロセスで使用するには弱すぎる。両性「ZWITTERGENT(登録商標)」、3−12または3−16(CALIBIOCHEM(登録商標))は、リン酸緩衝化生理食塩水、細胞を解離および崩壊させるためのCa++、およびMg++(浸潤複合体を安定化させるため)と共にpH7.4(0.8〜1.0%)で使用される。
この浸潤複合体を、抗β1インテグリン抗体を使用して免疫沈降し、その成分をアクリルアミドゲルで分離した。さらに、2次元(2−D)ゲル電気泳動を、浸潤複合体成分を同定するために使用した。この技術は、タンパク質の等電点および分子量で、タンパク質を分離する。2次元電気泳動は、新規の細胞成分(細胞骨格タンパク質、オルガネラ成分など)を同定するため、ならびに定性的比較および定量的比較を使用してそれらの発現における変化を検出するために一般的に使用される。一旦、タンパク質がSDS−PAGEにより分離されると、ウエスタン分析を使用して、複合体の成分をさらに同定および特徴づけし得る。
免疫沈降プロトコルは、以下の2つの緩衝液に依存する:泳動緩衝液(2μlの1.25Tris−HCl、pH6.8、35μlの蒸留水、2.5μlの2−メルカプトエタノール、12.5μlの10%SDS、10μlの80%グリセロール、および2μlのブロモフェノールブルー)およびTNE緩衝液(1mM Tris−HCL、pH8.0、10mM NaClおよび0.5mM EDTA)。細胞を上記の解離溶液から取り出し、そして遠心分離でペレット化する。細胞ペレットを、1mlのTNE含有1%NP40に再懸濁し、そしてボルテックスする。この懸濁液を、氷上で30分間または37℃で10〜15分間インキュベートする。細胞の破片を3分間のEppendorf遠心分離でペレット化する。得られた上清を、新しいチューブに移し、そして8μlの抗血清を添加する。得られた溶液を、氷上で2時間または4℃で一晩インキュベートする。100μlのStaphylococcus aureusタンパク質Aおよび100μlのTNE中5%のBSAをインキュベーション後に添加する。得られた溶液を、氷上で2時間インキュベートする。得られた免疫複合体をペレット化し、そして1mlの1%NP40、0.5%のデオキシコール酸Na、0.1%のTNEまたはZWITTERGENT(登録商標)3−12または3−16(CALBIOCHEM(登録商標))中のSDSで2回洗浄する。得られたペレットを、70μlの泳動緩衝液に再懸濁し、次いで、水浴で90秒間煮沸する。得られた溶液を1分間遠心分離して、S.aereusを除去する(上清は残す)。調製物が使用前に貯蔵される場合は、次いで、得られた溶液を、冷蔵する。
(実施例3:腫瘍細胞における浸潤複合体の単離(II))
浸潤複合体もまた、CD44でトランスフェクトした良性ヒト乳癌腫瘍細胞(MB−453)を使用して単離した。続いて同定された浸潤複合体成分を、CD44(v3−v6)、インテグリンB1、PI3キナーゼ、SHP−1、インテグリン関連キナーゼ、FAK、カベオリン、組織プラスミノーゲン活性化因子、ウロキナーゼプラスミノーゲン活性化因子、マトリックスメタロプロテイナーゼ2、マトリックスメタロプロテイナーゼ9、mbMMP(膜結合メタロプロテイナーゼ)、PKCβ、PKCδ、パキシリン、rhoBおよびG1Iを含んでいた。
浸潤複合体もまた、CD44でトランスフェクトした良性ヒト乳癌腫瘍細胞(MB−453)を使用して単離した。続いて同定された浸潤複合体成分を、CD44(v3−v6)、インテグリンB1、PI3キナーゼ、SHP−1、インテグリン関連キナーゼ、FAK、カベオリン、組織プラスミノーゲン活性化因子、ウロキナーゼプラスミノーゲン活性化因子、マトリックスメタロプロテイナーゼ2、マトリックスメタロプロテイナーゼ9、mbMMP(膜結合メタロプロテイナーゼ)、PKCβ、PKCδ、パキシリン、rhoBおよびG1Iを含んでいた。
細胞解離による浸潤複合体の単離は、繊細なプロセスであり、特定の試薬の使用に依存する。SDS、Tween、TritonおよびBrijは、浸潤複合体(単数または複数)を有する細胞を解離するのに使用するにはきつ過ぎる。デオキシコレート界面活性剤は、このプロセスに使用するには弱すぎる。両性「ZWITTERGENT(登録商標)」、3−12または3−16(CALBIOCHEM(登録商標))は、pH7.4(0.8〜1.0%)でリン酸緩衝化生理食塩水、細胞を解離および崩壊させるためのCa++、およびMg++(浸潤複合体を安定化させるため)と共に使用される。
浸潤複合体を、リン酸化オステオポンチンをカラム上のリガンドとして使用するアフィニティカラムクロマトグラフィーにより解離細胞から単離した。
(実施例4:浸潤複合体成分の同定)
35S標識浸潤複合体サンプル(ヒト破骨細胞または胸部腫瘍骨転移いずれかの新鮮な培養物から精製された)を、8Mの尿素、4%(w/v)CHAPS、Tris塩基40mM、DTE65mMおよび痕跡量のブロモフェノールブルーを含有する新鮮な溶液中に懸濁した。非線形固定pH勾配(3.5〜10.0NL IPG18cm)を、第1の次元に使用した。第1の次元で泳動した後、タンパク質を再溶解し、そしてジスルフィド結合を還元するために、ストリップを平衡化した。これらのストリップを、100mlの以下を含有する溶液を含むストリップトレイ内で5分間平衡化した:Tris−HCl(50mM)ph8.4、尿素(6M)、グリセロール(30%v/v)、SDS(2%w/v)、ヨードアセトアミド(2.5%w/v)および痕跡量のブロモフェノールブルー。
35S標識浸潤複合体サンプル(ヒト破骨細胞または胸部腫瘍骨転移いずれかの新鮮な培養物から精製された)を、8Mの尿素、4%(w/v)CHAPS、Tris塩基40mM、DTE65mMおよび痕跡量のブロモフェノールブルーを含有する新鮮な溶液中に懸濁した。非線形固定pH勾配(3.5〜10.0NL IPG18cm)を、第1の次元に使用した。第1の次元で泳動した後、タンパク質を再溶解し、そしてジスルフィド結合を還元するために、ストリップを平衡化した。これらのストリップを、100mlの以下を含有する溶液を含むストリップトレイ内で5分間平衡化した:Tris−HCl(50mM)ph8.4、尿素(6M)、グリセロール(30%v/v)、SDS(2%w/v)、ヨードアセトアミド(2.5%w/v)および痕跡量のブロモフェノールブルー。
Claims (31)
- 患者において癌を同定するための方法であって、
(a)該患者から細胞または組織を単離する工程;および
(b)該細胞または組織に関連する、浸潤複合体または1つ以上の浸潤複合体成分を同定する工程;
を包含する、方法。 - 請求項1に記載の方法であって、前記浸潤複合体が、細胞移動に関連しているか、または細胞移動についてのアッセイにより同定される、方法。
- 請求項1に記載の方法であって、前記浸潤複合体が、腫瘍形成性(tumorogenicity)に関連しているか、または腫瘍形成性についてのアッセイにより同定される、方法。
- 請求項1に記載の方法であって、前記浸潤複合体が、ホーミング成分、タンパク質分解酵素を含み、かつオステオポンチンのようなリガンドと相互作用する、方法。
- 請求項1に記載の方法であって、前記浸潤複合体が、イングリンB−1、P13キナーゼ、SHP−1、インテグリン関連キナーゼ、焦点接着キナーゼ、カベオリン、およびCD44からなる群より選択されるタンパク質に対する抗体との、免疫反応により得られる、方法。
- 請求項5に記載の方法であって、前記浸潤複合体が、インテグリンβ−1、インテグリンβ−3、CD44、およびインテグリンβ−5からなる群より選択される成分に対する抗体との、免疫反応により得られる、方法。
- 請求項1に記載の方法であって、前記浸潤複合体成分が、正常な細胞または組織と比較して、前記細胞または組織において過剰発現されるか、過小発現されるか、または変異される、方法。
- 請求項1に記載の方法であって、前記浸潤複合体成分が、核酸配列として同定される、方法。
- 請求項8に記載の方法であって、前記核酸配列が、CD44(v3〜v6)、インテグリンB1、PI3キナーゼ、SHP−1、インテグリン関連キナーゼ、焦点接着キナーゼ(FAK)、カベオリン、組織プラスミノーゲンアクチベーター、ウロキナーゼプラスミノーゲンアクチベーター、マトリックスメタロプロテイナーゼ2、マトリックスメタロプロテイナーゼ9、mbMMP(膜結合型メタロプロテイナーゼ)、PKCβ、PKCδ、パキシリン、rhoB、およびG1Iからなる群より選択されるタンパク質をコードする、方法。
- 請求項1に記載の方法であって、前記浸潤複合体成分が、CD44(v3〜v6)、インテグリンB1、PI3キナーゼ、SHP−1、インテグリン関連キナーゼ、焦点接着キナーゼ(FAK)、カベオリン、組織プラスミノーゲンアクチベーター、ウロキナーゼプラスミノーゲンアクチベーター、マトリックスメタロプロテイナーゼ2、マトリックスメタロプロテイナーゼ9、mbMMP(膜結合型メタロプロテイナーゼ)、PKCβ、PKCδ、パキシリン、rhoB、およびG1Iからなる群より選択されるタンパク質である、方法。
- 1つより多くのタンパク質を含む、単離された浸潤複合体またはその部分。
- 細胞移動に関連しているか、または細胞移動についてのアッセイにより同定される、請求項11に記載の浸潤複合体。
- 腫瘍形成性に関連しているか、または腫瘍形成性についてのアッセイにより同定される、請求項11に記載の浸潤複合体。
- ホーミング成分、タンパク質分解酵素を含み、かつオステオポンチンのようなリガンドと相互作用する、請求項11に記載の浸潤複合体。
- インテグリンB−1、P13キナーゼ、SHP−1、インテグリン関連キナーゼ、焦点接着キナーゼ、カベオリン、およびCD44からなる群より選択されるタンパク質に対する抗体との、免疫反応により得られる、請求項11に記載の浸潤複合体。
- インテグリンB−1に対する抗体との、免疫反応により得られる、請求項15に記載の浸潤複合体。
- 前記浸潤複合体成分が、正常な細胞または組織と比較して、脚胞または組織において過剰発現されるか、過小発現されるか、または変異される、請求項11に記載の浸潤複合体。
- 前記浸潤複合体成分が、核酸配列として同定される、請求項11に記載の浸潤複合体。
- 請求項18に記載の浸潤複合体であって、前記核酸配列が、CD44(v3〜v6)、インテグリンB1、PI3キナーゼ、SHP−1、インテグリン関連キナーゼ、焦点接着キナーゼ(FAK)、カベオリン、組織プラスミノーゲンアクチベーター、ウロキナーゼプラスミノーゲンアクチベーター、マトリックスメタロプロテイナーゼ2、マトリックスメタロプロテイナーゼ9、mbMMP(膜結合型メタロプロテイナーゼ)、PKCβ、PKCδ、パキシリン、rhoB、およびG1Iからなる群より選択されるタンパク質をコードする、浸潤複合体。
- 請求項11に記載の浸潤複合体であって、前記浸潤複合体成分が、CD44(v3〜v6)、インテグリンB1、PI3キナーゼ、SHP−1、インテグリン関連キナーゼ、焦点接着キナーゼ(FAK)、カベオリン、組織プラスミノーゲンアクチベーター、ウロキナーゼプラスミノーゲンアクチベーター、マトリックスメタロプロテイナーゼ2、マトリックスメタロプロテイナーゼ9、mbMMP(膜結合型メタロプロテイナーゼ)、PKCβ、PKCδ、パキシリン、rhoB、およびG1Iからなる群より選択されるタンパク質である、浸潤複合体。
- 癌転移を阻害するための方法であって、
請求項11〜20のいずれかにより規定される浸潤複合体またはその成分の、集合または活性を阻害する化合物を提供する工程、
を包含する、方法。 - 癌転移の診断または阻害において有用な化合物を同定するための方法であって、
浸潤複合体または該浸潤複合体中のタンパク質のうちの1つ以上と、相互作用する化合物を同定する工程、
を包含する、方法。 - 請求項22に記載の方法であって、
前記化合物が、前記浸潤複合体の集合または活性を変化させるか否かを決定する工程、
をさらに包含する、方法。 - 請求項22に記載の方法であって、
前記浸潤複合体を含む個体またはサンプル中に存在する化合物のレベルを決定する工程、
をさらに包含する、方法。 - 請求項22に記載の方法であって、
(a)前記個体から細胞または組織を単離する工程;および
(b)該細胞または組織において1つ以上の浸潤複合体成分を同定する工程、
をさらに包含する、方法。 - 請求項25に記載の方法であって、前記浸潤複合体成分が、核酸配列として同定される、方法。
- 請求項26に記載の方法であって、前記核酸配列が、CD44(v3〜v6)、インテグリンB1、PI3キナーゼ、SHP−1、インテグリン関連キナーゼ、焦点接着キナーゼ(FAK)、カベオリン、組織プラスミノーゲンアクチベーター、ウロキナーゼプラスミノーゲンアクチベーター、マトリックスメタロプロテイナーゼ2、マトリックスメタロプロテイナーゼ9、mbMMP(膜結合型メタロプロテイナーゼ)、PKCβ、PKCδ、パキシリン、rhoB、およびG1Iからなる群より選択されるタンパク質をコードする、方法。
- 請求項25に記載の方法であって、前記浸潤複合体成分が、CD44(v3〜v6)、インテグリンB1、PI3キナーゼ、SHP−1、インテグリン関連キナーゼ、焦点接着キナーゼ(FAK)、カベオリン、組織プラスミノーゲンアクチベーター、ウロキナーゼプラスミノーゲンアクチベーター、マトリックスメタロプロテイナーゼ2、マトリックスメタロプロテイナーゼ9、mbMMP(膜結合型メタロプロテイナーゼ)、PKCβ、PKCδ、パキシリン、rhoB、およびG1Iからなる群より選択されるタンパク質である、方法。
- 浸潤複合体またはその成分の、集合または活性を妨害する、単離された化合物。
- 浸潤複合体またはその単離された成分と選択的に反応する、診断因子。
- アッセイにおいて検出するために標識されている、請求項30に記載の因子。
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