JP2005329789A - 車体前部のメンバ部材の補強構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】 フルラップ衝突で求められる最大曲げ反力の抑制、及びオフセット衝突で求められる曲げ角度の抑制という要求特性を両立することができる車体前部のメンバ部材の補強構造を提供する。
【解決手段】 上下方向に屈曲した屈曲部13を有するフロントサイドメンバエクステンション本体3を車体前部に車両前後方向に沿って延設し、前記フロントサイドメンバエクステンション本体3の屈曲部13の内方に上下に間隔をおいて上側補強部材5及び下側補強部材7を配置すると共に、前記フロントサイドメンバエクステンション本体3に車両前後方向の荷重が入力されて曲げ変形を起こしたときに、前記上側補強部材5及び下側補強部材7が当接して反力を生じるように構成している。
【選択図】 図3
【解決手段】 上下方向に屈曲した屈曲部13を有するフロントサイドメンバエクステンション本体3を車体前部に車両前後方向に沿って延設し、前記フロントサイドメンバエクステンション本体3の屈曲部13の内方に上下に間隔をおいて上側補強部材5及び下側補強部材7を配置すると共に、前記フロントサイドメンバエクステンション本体3に車両前後方向の荷重が入力されて曲げ変形を起こしたときに、前記上側補強部材5及び下側補強部材7が当接して反力を生じるように構成している。
【選択図】 図3
Description
本発明は、車体前部のメンバ部材の補強構造に関し、更に詳しくは、いわゆるフルラップ衝突及びオフセット衝突の双方に要求される反力特性を充足する車体前部のメンバ部材の補強構造に関する。
従来、サイドメンバエクステンション等の車体前部に設けられたメンバ部材には、その内方に補強部材が設けられたものがあり、車両衝突によってメンバ部材が曲げ変形を起こしたときに、補強部材がメンバ部材本体に当接するように構成されている(例えば、特許文献1,2参照)。
まず、特許文献1においては、軸圧潰により衝撃を吸収する中空断面の骨格部材(例えば、フロントサイドメンバ等のメンバ部材)の内側に補強部材(例えば、リインフォース)を設け、この補強部材に脆弱部として蛇腹部を形成して骨格部材の軸圧縮時に軸圧潰しやすいものとし、前記蛇腹部を骨格部材と干渉させることで軸圧縮時の骨格部材の曲げ変形を抑制して骨格部材が軸圧潰しやすくしている。
また、特許文献2においては、骨格部材(メンバ部材)であるフロントサイドメンバエクステンションの内部にハット型断面形状の補強部材であるリインフォースを設け、フロントサイドメンバエクステンション前端に圧縮力が作用したときのフロントサイドメンバエクステンションとリインフォースの座屈モード波形のピーク数を互いに異なる素数とすることで、圧縮力によるフロントサイドメンバエクステンションの座屈形状の凹み部分が内部のリインフォースに接触するようにして、フロントサイドメンバエクステンションの断面潰れを抑制してフロントサイドメンバエクステンションの補強効果を高めている。
特開2003−312534公報
特開2003−312549公報
しかしながら、前記従来技術のメンバ部材によっては、いわゆるフルラップ衝突及びオフセット衝突の双方に要求される反力特性を充足させることが困難であり、また、この反力特性を充足させるためには、車両重量の増加やコスト上昇を招くおそれがあった。
即ち、前記特許文献1,2の技術によっては、フロントサイドメンバエクステンションなどのメンバ部材の曲げ変形を抑制して、曲げ反力を大きくすることができるが、一旦曲げ反力が最大値になったあとに、さらに曲げ変形させると曲げ反力が単調減少してしまい、フルラップ衝突で求められる最大曲げ反力の抑制と、オフセット衝突における曲げ角度の抑制とを両立することができないという問題があった。
そこで、本発明は、フルラップ衝突で求められる最大曲げ反力の抑制と、オフセット衝突における曲げ角度の抑制とを両立することができる車体前部のメンバ部材の補強構造を提供することを目的としている。
前記目的を達成するために、本発明に係る車体前部のメンバ部材の補強構造は、上下方向に屈曲した屈曲部を有するメンバ本体を、車体前部に車両前後方向に沿って延設するとともに、互いに近づく方向に凸状に湾曲した湾曲部を有する上側補強部材及び下側補強部材を、メンバ本体の屈曲部の内方に上下対向的に配置し、前記メンバ本体に車両前後方向の荷重が入力されて屈曲部を中心に曲げ変形を起こしたときに、前記上側補強部材及び下側補強部材の湾曲部同士が当接して反力を生ずるように構成している。
本発明に係る車体前部のメンバ部材の補強構造によれば、前記メンバ本体に車両前後方向の荷重が入力されて屈曲部を中心に曲げ変形を起こしたときに、前記上側補強部材及び下側補強部材の湾曲部同士が当接して反力を生ずるため、いわゆるフルラップ衝突及びオフセット衝突の双方の要求特性を満たすメンバ部材を得ることができる。
即ち、フルラップ衝突は、オフセット衝突よりもメンバ部材の曲げ角度が小さいが、メンバ部材の曲げ反力は大きくなる。また、オフセット衝突は、メンバ部材の曲げ角度が大きくなるが、曲げ反力は小さくなる。従って、フルラップ衝突においては、メンバ部材の曲げ反力を抑制することが求められ、オフセット衝突においては、メンバ部材の曲げ角度を抑制することが求められる。よって、本発明によれば、上側補強部材及び下側補強部材の湾曲部同士が当接するまでは、メンバ部材の曲げ反力を抑制すると共に、湾曲部同士が当接したのちは、互いに反力が発生するため、曲げ角度を小さくすることができ、フルラップ衝突で求められる最大曲げ反力の抑制と、オフセット衝突における曲げ角度の抑制とを両立することができる。
以下、本発明の実施形態を、メンバ部材としてフロントサイドメンバエクステンションを例にとって説明する。
[第1の実施形態]
図1は本発明の第1実施形態によるフロントサイドメンバエクステンションを示す斜視図、図2は図1の下側補強部材を示す斜視図、及び図3は図1の一部を切り欠いて示す側面図である。
図1は本発明の第1実施形態によるフロントサイドメンバエクステンションを示す斜視図、図2は図1の下側補強部材を示す斜視図、及び図3は図1の一部を切り欠いて示す側面図である。
本実施形態によるメンバ部材であるフロントサイドメンバエクステンション1は、車体前部に配設されたフロントサイドメンバの後端部に接合されており、図1に示すように、メンバ本体である断面略ハット状のフロントサイドメンバエクステンション本体3と、該フロントサイドメンバエクステンション本体3の内方に設けられ、上下対向的に配置された上側補強部材5及び下側補強部材7とを備えている。
前記フロントサイドメンバエクステンション本体3は、図3に示すように、車両前方に延びる前部9と、該前部9から後方斜め下方に向けて延設される傾斜部11と、該傾斜部11の下端部に設けられた屈曲部13と、該屈曲部13から車両後方に延びる後部15とから一体に形成され、前記前部9及び後部15はともに略水平状に延びている。また、前記屈曲部13は前方斜め下方に向けて凸状に屈曲している。即ち、フロントサイドメンバエクステンション本体3は、屈曲部13において、その延設方向が傾斜部11の後方斜め下方から車両後方側に変更されている。さらに、フロントサイドメンバエクステンション本体3は、下部に配置された底面17と、該底面17の左右両端から上方に延設された側面19と、該側面19の上端から車幅方向に延びる取付フランジ21とから一体に形成されており、前記取付フランジ21は、フロア及びダッシュパネルの下面に接合される。
また、前記上側補強部材5は、図1に示すように、断面略コ字状に形成されており、下側に配置された底部23と、該底部23の左右両端から上方に延びる側部フランジ25とから構成されている。そして、図3に示すように、前記上側補強部材5は、側面視でフロントサイドメンバエクステンション本体3に沿って形成され、フロントサイドメンバエクステンション本体3の屈曲部13付近で前方斜め下方に凸状に湾曲しており、その湾曲方向がフロントサイドメンバエクステンションの屈曲部13の屈曲方向と同じ方向に構成されている。上側補強部材5の底部23はフロントサイドメンバエクステンション本体3の中立軸27よりも上方の位置に配置され、側部フランジ25は、その全長に亘って、フロントサイドメンバエクステンション本体3の側面19にスポット溶接等により接合されている。
さらに、図2に示すように、前記下側補強部材7は、前後両端に接合フランジ29,31が形成され、図3に示すように、接合フランジ29,31はフロントサイドメンバエクステンション本体3の屈曲部13の前後でフロントサイドメンバエクステンション本体3の底面17にスポット溶接等で接合されている。また、下側補強部材7はフロントサイドメンバエクステンション1の屈曲部13付近で後方斜め上方に向けて凸状に湾曲しており、その湾曲方向がフロントサイドメンバエクステンション本体3の屈曲部13の屈曲方向と逆方向に形成されている。これにより、上側補強部材5の湾曲部33と下側補強部材7の湾曲部35は、互いに近づく方向、即ち逆方向に凸状に湾曲している。そして、図3に示すように、上側補強部材5の湾曲部33の頂部33aと下側補強部材7の湾曲部35の頂部35aとは、所定の間隔dをおいて配置されている。なお、この間隔dは、上側補強部材5の湾曲部33の位置を下げたり、下側補強部材7の湾曲部35の位置を上げたりすることにより、適宜、変更することができる。さらに、間隔dの大きさを適宜変更することにより、湾曲部同士33,35の当接タイミングを調整することができ、また、湾曲部同士33,35の当接による反力の大きさも調整することもできる。
図4は前端部に荷重が入力された場合にフロントサイドメンバエクステンションが曲げ変形を起こしている状態を示す側面図、図5は本発明によるフロントサイドメンバエクステンションに荷重が入力された場合におけるフロントサイドメンバエクステンションの曲げ角度と反力との関係を示すグラフである。
フロントサイドメンバエクステンション1の前端部に荷重fが車両後方に向けて入力されると、フロントサイドメンバエクステンション1は、屈曲部13を中心にして車両後方側に曲げ角度θの曲げ変形を起こす。
そして、図5に示すように、本発明によるフロントサイドメンバエクステンション1では、曲げ角度θmax1及びθmax2で曲げ反力の極大値を2つ(Fmax1,Fmax2)有している。また、最初の極大値であるFmax1は、フルラップ衝突に要求される曲げ反力の規定値であるFmax以下に設定され、最終的な曲げ角度はオフセット衝突に要求される曲げ角度の規定値であるθmaxに設定されている。
つまり、フルラップ衝突とオフセット衝突の反力特性の要求を両立させるフロントサイドメンバエクステンション1においては、フルラップ衝突でのフロントサイドメンバエクステンション1の曲げ反力をFmax以下とし、オフセット衝突でのフロントサイドメンバエクステンション1の曲げ角度をθmax以下とすればよい。このためには、フロントサイドメンバエクステンション1の曲げ反力特性が、図5のようにフルラップ衝突時の最大曲げ反力の最大値Fmax1とオフセット衝突時の曲げ反力の最大値Fmax2が、Fmax1<Fmax2で、Fmax1となる曲げ角θmax1とFmax2となる曲げ角θmax2の間の曲げ角(θmax1<θ<θmax2)において曲げ角が大きくなるにつれて曲げ反力FがFmax1から一旦下降し、その後上昇に転じてFmax2に至ることが求められる。
以下に、車両前方から衝突荷重が入力された場合のフロントサイドメンバエクステンションの変形の推移を図6〜図8を用いて説明する。なお、図6は本発明の第1実施形態によるフロントサイドメンバエクステンションの側面図であり、荷重入力前の状態を示しており、図7は図6のフロントサイドメンバエクステンションの前端部に荷重が入力されて曲げ変形を起こした状態を示す側面図であり、図8は図7の状態から更に変形が進んだフロントサイドメンバエクステンションの側面図である。
まず、図7に示すように、フロントサイドメンバエクステンション1の前部9に車両後方の荷重fが入力されると、フロントサイドメンバエクステンション1の屈曲部13に作用する曲げモーメントによって屈曲部13を中心にフロントサイドメンバエクステンション1が曲げ角度θ(B)の曲げ変形を起こす。ここで、上側補強部材5の湾曲部33は、その湾曲方向をフロントサイドメンバエクステンション1の屈曲部13の屈曲方向と同じ下方に設定しているので、フロントサイドメンバエクステンション1の屈曲部13の曲げ変形に追従して下に凸の変形モードとなる曲げ変形が生じる。さらに、上側補強部材5の湾曲部33はフロントサイドメンバエクステンションの中立軸27よりも上側に配置されているために、フロントサイドメンバエクステンション本体3の屈曲部13付近に曲げ変形に伴って生じる座屈の断面潰れにより、上側補強部材5の湾曲部33の頂部33aは中立軸27に近づくように下方に移動する。
一方、これと同時にフロントサイドメンバエクステンション本体3の屈曲部13に生じる曲げ変形に伴って下側補強部材7の接合フランジ同士29,31の距離が狭まることによって、下側補強部材7の湾曲部35に曲げ変形が生じる。ここで、下側補強部材7の湾曲部35の湾曲方向を上に凸としたために、下側補強部材7の湾曲部35の曲げ変形モードは上に凸となり、下側補強部材7の湾曲部35の頂部35aはフロントサイドメンバエクステンション本体3の底面17に対して上方に移動する。
さらに、フロントサイドメンバエクステンション1の屈曲部13の曲げ変形がさらに進み、曲げ角度θが大きくなるにつれて、上側補強部材5の湾曲部33の頂部33aと下側補強部材7の湾曲部35の頂部35aの距離dは減少し、図8に示すように、それぞれの頂部同士33a,35aは当接する。そして、フロントサイドメンバエクステンション1の曲げ変形が更に進むと、各湾曲部同士33,35に互いに反力が生ずるようになる。
図9は、本発明の第1実施形態によるサイドメンバエクステンションに荷重が入力された場合におけるサイドメンバエクステンションの曲げ角度と反力との関係を示すグラフである。なお、θ(A)は図6の状態における曲げ角度に対応し、θ(B)は図7の状態における曲げ角度に対応し、θ(C)は図8の状態における曲げ角度に対応している。
屈曲部13を中心とするフロントサイドメンバエクステンション1の曲げ角度θに対する曲げ反力Fの変化は、フロントサイドメンバエクステンション本体3の曲げ反力F1と、上側補強部材5の湾曲部33の曲げ反力F2と、下側補強部材7の湾曲部35の曲げ反力F3とを合計した曲げ反力となり、F=F1+F2+F3を満たしている。
まず、フロントサイドメンバエクステンション1に荷重fが入力される前で曲げ角度θ=θ(A)=0のとき、フロントサイドメンバエクステンション本体3の曲げ反力F1は、曲げ変形が生じる屈曲部13が座屈して断面潰れが発生するので曲げ角θに対して極大値を示した後は、曲げ角度θの増加に伴って単調減少する。上側補強部材5と下側補強部材7の曲げ反力F2,F3についても、それぞれの湾曲部33,35の頂部33a,35a付近に生じる降伏と、上側補強部材5と下側補強部材7の曲げ角度の増加に伴う曲げモーメントのモーメントアームの増加によって極大値となった後は、曲げ角度θの増加に伴って一旦は減少する。しかし、上側補強部材5の湾曲部33の頂部33aと下側補強部材7の湾曲部35の頂部35aが当接(干渉)したのちは、それぞれの上側補強部材5及び下側補強部材7に反力が発生する。この反力によって、上側補強部材5の湾曲部33の頂部33aの下方移動と、下側補強部材7の湾曲部35の頂部35aの上方移動とが抑制されるようになる。これにより、上側補強部材5と下側補強部材7の曲げ変形が抑制されるとともに上側補強部材5の曲げ反力F2と下側補強部材7の曲げ反力F3が上昇して曲げ反力Fが2つ目の極大値を示す。
以上より、フロントサイドメンバエクステンション本体3、上側補強部材5及び下側補強部材7の曲げ反力の合計(F1+F2+F3)で与えられるフロントサイドメンバエクステンションの反力Fは、上側補強部材5の湾曲部33と下側補強部材7の湾曲部35が当接する前に一旦極大値を示し、その後減少するが、上側補強部材5の湾曲部33と下側補強部材7の湾曲部35が干渉した後は再び増加し始め、2つ目の極大値を示す。
ここで、上側補強部材5の湾曲部33と下側補強部材7の湾曲部35が当接するときのフロントサイドメンバエクステンション1の屈曲部13の曲げ角度θ(C)が、フルラップ衝突におけるフロントサイドメンバエクステンション1の曲げ角度の最大値付近になるようにすれば、フルラップ衝突時のフロントサイドメンバエクステンション1の最大曲げ反力をFmax以下とし、かつ、オフセット衝突時の最大曲げ角度をθmax以下にすることができる。このため、フルラップ衝突とオフセット衝突の双方に求められる特性要求を満たしたフロントサイドメンバエクステンション1を得ることができる。
以下に、本発明の第1実施形態による作用効果について説明する。
一般に、車両の前面衝突は、いわゆるフルラップ衝突とオフセット衝突に大別される。
このフルラップ衝突は、衝突エネルギーを車両前面のほぼ全幅で吸収するため、車体変形量は比較的小さいが、衝突時の車体減速度や乗員の減速度は大きくなる。車両衝突時には、ほぼエンジンコンパートメントのみが変形するので、ダッシュパネルやフロアパネルの下部に設けられたフロントサイドメンバエクステンションの曲げ角度は小さい。しかし、フロントサイドメンバエクステンション1に生じる曲げ反力は大きくなり、車体減速度は大きくなる。このように、フルラップ衝突においては、フロントサイドメンバエクステンション1に生じる曲げ反力を規定値以下に抑制して車体減速度を低くすることが要求される。
一方、オフセット衝突においては、衝突エネルギーを車両の一部(例えば、左右片側)で吸収するため、車体変形量は大きくなり、衝突時の車体減速度や乗員の減速度は小さくなる。つまり、フロントサイドメンバエクステンション1に生じる屈曲部13を中心とする曲げ角度は大きいが、フロントサイドメンバエクステンション1に生じる曲げ反力は小さくなる。このように、オフセット衝突においては、フロントサイドメンバエクステンション1に生じる曲げ角度を規定値以下に抑制することが要求される。
従って、本発明によれば、フロントサイドメンバエクステンション1の曲げ反力と曲げ角度を規定値以下に抑えることにより、フルラップ衝突とオフセット衝突の双方に対する要求特性を充足することができる。
なお、フロントサイドメンバエクステンション1に補強構造を追設しない場合は、フルラップ衝突で求められる曲げ反力を規定値以下とすることと、オフセット衝突で求められる曲げ角を規定値以下とすることの双方を満たすことが困難となる。
つまり、フロントサイドメンバエクステンション1に何らの補強構造を加えずに、曲げ反力の最大値をフルラップ衝突に対応させてFmax以下とすると、フロントサイドメンバエクステンション1の屈曲変形に伴う屈曲部13の応力集中により、曲げ反力の最大値を超えてなお曲げ変形をさせると、屈曲部13に生じる座屈による断面潰れが屈曲部13の曲げ反力を単調低下させてしまう。そのため、オフセット衝突時のフロントサイドメンバエクステンション1の曲げ角θがθmaxよりも大きくなってしまう。逆に、オフセット衝突時のフロントサイドメンバエクステンション1の曲げ角をθmax以下にしようとするとフルラップ衝突時の曲げ反力がFmax以上になってしまう。このように、フロントサイドメンバエクステンション1になんら補強構造を加えないと、フルラップ衝突で求められる曲げ反力をFmax以下とすることと、オフセット衝突で求められる曲げ角θをθmax以下とすることの要求特性を両立させることが困難となる。しかし、本発明によれば、上側補強部材5及び下側補強部材7からなる補強構造を設けているため、フルラップ衝突の要求特性とオフセット衝突の要求特性との両立を図ることができる。
また、本実施形態においては、車体前部に車両前後方向に沿って延設され、上下方向に屈曲した屈曲部13を有するメンバ本体(フロントサイドメンバエクステンション本体)3と、該メンバ本体3の屈曲部13の内方に上下対向的に取り付けられ、互いに近づく方向に凸状に湾曲した湾曲部33,35を有する上側補強部材5及び下側補強部材7とを備え、前記メンバ本体3に車両前後方向の荷重fが入力されて屈曲部13を中心に曲げ変形を起こしたときに、前記上側補強部材5及び下側補強部材7の湾曲部同士33,35が当接して反力を生ずるように構成している。このため、いわゆるフルラップ衝突及びオフセット衝突の双方の要求特性を満たすメンバ部材(フロントサイドメンバエクステンション)1を得ることができる。
即ち、フルラップ衝突は、オフセット衝突よりも車体変形量は小さいため、メンバ部材1の曲げ角度が小さく、車両室内の変形もあまり生じない。その一方、高い車体減速度が生じ、メンバ部材1の曲げ反力は大きくなるため、これに伴う乗員の減速度も大きくなる。このため、フルラップ衝突においては、図5に示すように、メンバ部材1の曲げ角度の最大値よりも、メンバ部材1の曲げ反力の最大値Fmax1を規定値Fmax以下に管理することが求められるが、本実施形態によれば、簡単かつ確実に曲げ反力の最大値を規定値以下に抑えることができる。
また、オフセット衝突は、車体の部分的衝突により発生するため、メンバ部材1の変形量が大きく、図5に示すように、曲げ角度の最大値θmaxも大きくなる。ここで、本実施形態では、曲げ角度の最大値θmaxが規定値と同一角度に設定されている。このように、オフセット衝突の場合は、曲げ角度の最大値を規定値θmax以下に管理することが求められるが、本実施形態によれば、簡単かつ確実に曲げ角度の最大値を規定値以下に抑えることができる。
また、前記上側補強部材5をメンバ本体3の屈曲部13の屈曲方向と同一方向に湾曲させ、下側補強部材7をメンバ本体3の屈曲方向と反対方向に湾曲させると共に、これらの上側補強部材5及び下側補強部材7の湾曲部同士33,35を所定の間隔dをおいて配置することにより、メンバ本体3に車両前後方向の荷重fが入力されたときに、上側補強部材5と下側補強部材7の曲げ変形モードが互いに逆方向になるように構成している。このため、簡単な構造で、メンバ部材1が曲げ変形を起こした場合に、前記上側補強部材5及び下側補強部材7の湾曲部同士33,35が確実に当接して反力を生ずるようにすることができる。また、上側補強部材5及び下側補強部材7という簡単な構造で湾曲部同士33,35による反力を発生させることができる。
さらに、前記上側補強部材5及び下側補強部材7の少なくともいずれかに、前記メンバ本体3の曲げ角度θに対する上側補強部材5及び下側補強部材7の湾曲部同士33,35の当接タイミングを調整する当接調整手段を設けているため、前記湾曲部同士33,35の当接による反力を発生させるタイミングを適宜、調整することができる。
なお、前記上側補強部材5及び下側補強部材7の湾曲部同士33,35の間隔dを変更することにより、前記湾曲部同士33,35の当接タイミングを調整するようにしているため、当接タイミングの調整を簡単に、かつ正確に行うことができる。
また、上下方向に屈曲した屈曲部13を有するメンバ本体3を車体前部に車両前後方向に沿って延設し、前記メンバ本体3の屈曲部13の内方に上下に間隔を隔てて上側補強部材5及び下側補強部材7を配置すると共に、前記メンバ本体3に車両前後方向の荷重fが入力されて曲げ変形を起こしたときに、前記上側補強部材5及び下側補強部材7が当接して反力Fを生じるように構成している。このため、いわゆるフルラップ衝突及びオフセット衝突の双方における要求特性を満たすメンバ部材(フロントサイドメンバエクステンション)1を得ることができる。
なお、本実施形態によれば、フルラップ衝突時におけるメンバ部材1の曲げ角度では上側補強部材5と下側補強部材7の湾曲部33,35を干渉させず、オフセット衝突時における曲げ角度では湾曲部33,35を干渉させるように適宜、調整することができる。
また、上側補強部材5の曲げ変形モードと下側補強部材7の曲げ変形モードの曲げ方向が互いに逆方向に設定されているために、曲げ角度θが大きくなるにつれて上側補強部材5の湾曲部33の頂部33aと下側補強部材7の湾曲部35の頂部35aとの間隔dを狭め、上側補強部材5及び下側補強部材7の湾曲部33,35を干渉させて反力を発生させることができる。
さらに、上側補強部材5の頂部33aと下側補強部材7の頂部35aとを間隔dをおいて配置したことにより、メンバ部材1の屈曲部13の曲げ角θが小さいときには、上側補強部材5と下側補強部材7が干渉しないので、上側補強部材5と下側補強部材7の干渉による反力が発生せず、メンバ部材1の曲げ反力の極大値を規定値以下にすることができる。
[第2の実施形態]
以下に、第2実施形態によるフロントサイドメンバエクステンションについて説明するが、前記第1実施形態と同一構造については、同一符号を付してその説明を省略する。
以下に、第2実施形態によるフロントサイドメンバエクステンションについて説明するが、前記第1実施形態と同一構造については、同一符号を付してその説明を省略する。
本実施形態においては、第1実施形態による下側補強部材の前後両端部の側端部にフランジを設け、該フランジをフロントサイドメンバエクステンション本体の側面にスポット溶接等で接合している。
図10は本発明の第2実施形態によるフロントサイドメンバエクステンションを示す側面図、図11は図10の下側補強部材を示す斜視図である。
本実施形態に係るフロントサイドメンバエクステンション43における下側補強部材37には、図11に示すように、前端に設けられた接合フランジ29の近傍部の左右両端に上方に延びる左右一対のフランジ39,39が形成され、後端に設けられた接合フランジ31の近傍部の左右両端にも上方に延びる左右一対のフランジ41,41が形成されている。また、図10に示すように、前部のフランジ39及び後部のフランジ41はフロントサイドメンバエクステンション本体3の側面19に接合されており、下側補強部材37のうち、前記前部及び後部のフランジ39,41の間の部位は側面19に接合されていないため、上下に湾曲自在に形成されている。
以下に、車両前方から衝突荷重が入力された場合のフロントサイドメンバエクステンションの変形の推移を図12〜図14を用いて説明する。なお、図12は本発明の第2実施形態によるフロントサイドメンバエクステンションを示す側面図であり、荷重入力前の状態を示しており、図13は図12のフロントサイドメンバエクステンションの前端部に荷重fが入力されて曲げ変形を起こした状態を示す側面図であり、上側補強部材5と下側補強部材とが当接しており、図14は図13の状態から更に変形が進んだフロントサイドメンバエクステンションの側面図である。また、図13は、前記第1実施形態における図7と同一の曲げ角度の曲げ変形を起こした状態を示しており、図14は、前記図8と同一の曲げ角度の曲げ変形を起こした状態を示している。
図13に示すように、フロントサイドメンバエクステンション43に車両前後方向の荷重fが入力された場合、上側補強部材5の湾曲部33は前方斜め下方に向けて曲げ変形を起こし、下側補強部材37の湾曲部35は後方斜め上方に向けて曲げ変形を起こす。ここで、下側補強部材37がフロントサイドメンバエクステンション本体3に対して曲げ変形をするのは、前部のフランジ39と後部のフランジ41との間で側面19に接合されていない部位に限定されるため、下側補強部材37における曲げ変形をする部位の長さは、第1実施形態の場合よりも短くなる。このため、図7と比較して図13の方が、下側補強部材37の上方への移動量が大きくなり、図13においては、下側補強部材37の湾曲部35の頂部35aと、上側補強部材5の湾曲部33の頂部33aとが当接している。
さらに、図14に示すように、フロントサイドメンバエクステンション43の曲げ変形が進むと、下側補強部材37の湾曲部35と上側補強部材5の湾曲部33との干渉が更に進んで互いの変形及び反力が大きくなる。ここで、第1実施形態においては、図8に示すように、フロントサイドメンバエクステンション1の曲げ角度がθ(C)のときに下側補強部材7の湾曲部35の頂部35aと上側補強部材5の湾曲部33の頂部33aとが当接し始めているが、本実施形態においては、図14に示すように、両湾曲部同士33,35の干渉が進んで変形を起こしている。
また、図15は本発明の第2実施形態によるサイドメンバエクステンションに荷重が入力された場合におけるサイドメンバエクステンションの曲げ角度と反力との関係を示すグラフである。
下側補強部材37のフランジ39,41をフロントサイドメンバエクステンション本体3に結合したために、フロントサイドメンバエクステンション43の屈曲部13の曲げ変形時に下側補強部材37の湾曲部35に生じる曲げ変形はフランジ同士39,41の間の部位に限定されるので、フロントサイドメンバエクステンション1の屈曲部13の曲げ角度の増加に伴って下側補強部材37の湾曲部35の頂部35aが上方に移動する移動量は、フランジがない第1実施形態に比べて大きくなる。これにより、上側補強部材5の湾曲部33と下側補強部材37の湾曲部35が干渉するフロントサイドメンバエクステンション1の屈曲部13の曲げ角度が第1実施形態に比べて小さくなる。
また、上側補強部材5の湾曲部33と下側補強部材37の湾曲部35との当接タイミングが早まるので、フロントサイドメンバエクステンション1の曲げ反力が極大値になった後の反力が単調減少するところの反力の減少分が第1実施形態よりも小さいために湾曲部33,35が当接して生じるフロントサイドメンバエクステンション全体43の曲げ反力の極大値が、破線で示す第1実施形態に比べて大きくなり、第2実施形態における最大曲げ角度θ’maxを第1実施形態における最大曲げ角度(規定値)θmaxよりも低減させることができる。そのため、前部のフランジ39と後部のフランジ41との間の長さを調節することにより、上側補強部材5の湾曲部33と下側補強部材37の湾曲部35との当接タイミング、及び、これらの湾曲部同士33,35の当接による曲げ反力の大きさを調整することができる。
以下に、本実施形態による作用効果を説明する。
前記当接調整手段は、前記上側補強部材5及び下側補強部材37の少なくともいずれかの前部と後部に設けられてメンバ本体3の側面19に固定されたフランジ39,41であり、このフランジ39,41の固定位置を変更することにより、前記湾曲部同士33,35の当接タイミングを調整するようにしている。
また、前記反力調整手段は、前記上側補強部材5及び下側補強部材37の少なくともいずれかの前部と後部に設けられてメンバ本体3の側面19に固定されたフランジ39,41であり、このフランジ39,41の固定位置を変更することにより、上側補強部材5及び下側補強部材37の湾曲部同士33,35の当接による反力の大きさを調整するように構成している。
このように、フランジ39,41の位置を変更するという非常に簡単な手段で前記湾曲部同士33,35の当接タイミング、及び、湾曲部同士33,35の当接による反力の大きさを調整することができる。
[第3の実施形態]
以下に、第3実施形態によるフロントサイドメンバエクステンションについて説明するが、前記第1及び第2実施形態と同一構造については、同一符号を付してその説明を省略する。
以下に、第3実施形態によるフロントサイドメンバエクステンションについて説明するが、前記第1及び第2実施形態と同一構造については、同一符号を付してその説明を省略する。
第3実施形態に係るフロントサイドメンバエクステンションは、第1実施形態に比べて、上側補強部材の湾曲部における側部フランジをフロントサイドメンバエクステンション本体の側面に接合しないようにしたものであり、湾曲部における側部フランジを除去しても良い。
図16は、本発明の第3実施形態によるフロントサイドメンバエクステンションを示す側面図である。
上側補強部材5の左右両側には、側部フランジ(フランジ)25が形成され、該側部フランジ25はフロントサイドメンバエクステンション本体3の側面19に接合されている。ここで、図16の一点鎖線で囲んだ部位Eは上側補強部材5の湾曲部33であり、この湾曲部33における側部フランジ25はフロントサイドメンバエクステンション本体3の側面19に接合されておらず、湾曲部33以外の部位が側面19に接合されている。従って、フロントサイドメンバエクステンション45が曲げ変形を起こした場合に、上側補強部材5の湾曲部33の部位は、上下移動量が大きくなる。
以下に、車両前方から荷重fが入力された場合のフロントサイドメンバエクステンション45の変形の推移を図17〜図19を用いて説明する。なお、図18は、前記第1実施形態における図7と同一の曲げ角度の曲げ変形を起こした状態を示しており、図19は、前記図8と同一の曲げ角度の曲げ変形を起こした状態を示している。
図18に示すように、フロントサイドメンバエクステンション45に車両前後方向の荷重fが入力された場合、上側補強部材5の湾曲部33は前方斜め下方に向けて曲げ変形を起こし、下側補強部材7の湾曲部35は後方斜め上方に向けて曲げ変形を起こしている。ここで、上側補強部材5がフロントサイドメンバエクステンション本体3よりも大きな曲げ変形をするのは、側部フランジ25が接合されていない湾曲部の部位Eに限定されるため、図7と比較して図18の方が、上側補強部材5の下方への移動量が大きくなり、図18においては、下側補強部材7の湾曲部35の頂部35aと上側補強部材5の湾曲部33の頂部33aとが当接している。
さらに、図19に示すように、フロントサイドメンバエクステンション45の曲げ変形が進むと、下側補強部材7の湾曲部35と上側補強部材5の湾曲部33との干渉が更に進んで反力が大きくなる。
また、図20は本発明の第3実施形態によるサイドメンバエクステンションに荷重が入力された場合におけるサイドメンバエクステンションの曲げ角度と反力との関係を示すグラフである。
上側補強部材5の湾曲部33に対応する側部フランジ25をフロントサイドメンバエクステンション本体3に接合しないことにより、フロントサイドメンバエクステンション45に屈曲部13を中心に曲げ変形が生じるときに上側補強部材5の湾曲部33の曲げ変形はフロントサイドメンバエクステンション本体3の側面19に拘束されなくなり、湾曲部33の頂部33aにおける下方移動量が、湾曲部33全体をフロントサイドメンバエクステンション本体3の側面19に結合する第1実施形態よりも大きくなる。これにより、第1実施形態に比較して、上側補強部材5の湾曲部33と下側補強部材7の湾曲部35が当接するフロントサイドメンバエクステンション45の屈曲部13の曲げ角度が第1実施形態に比べて小さくなるので、上側補強部材5の側部フランジ25のうち、フロントサイドメンバエクステンション45の側面19に接合する長さを調節することで、上側補強部材5の湾曲部33と下側補強部材7の湾曲部35が当接するフロントサイドメンバエクステンション45の曲げ角度を調整することができる。
以下に、本実施形態による作用効果を説明する。
前記当接調整手段は、前記上側補強部材5及び下側補強部材7の少なくともいずれかの前部と後部に設けられてメンバ本体3の側面19に固定されたフランジ25であり、このフランジ25の固定位置を変更することにより、前記湾曲部同士33,35の当接タイミングを調整するようにしている。
また、前記反力調整手段は、前記上側補強部材5及び下側補強部材7の少なくともいずれかの前部と後部に設けられてメンバ本体3の側面19に固定されたフランジ25であり、このフランジ25の固定位置を変更することにより、上側補強部材5及び下側補強部材7の湾曲部同士33,35の当接による反力の大きさを調整するように構成している。
このように、フランジ25の固定位置を、図16に示す部位E以外に限定し、この部位Eの湾曲部33の側部フランジ25はフロントサイドメンバエクステンション本体3に接合しないという非常に簡単かつ安価な手段で前記湾曲部同士33,35の当接タイミング、及び、湾曲部同士33,35の当接による反力の大きさを調整することができる。
[第4の実施形態]
以下に、第4実施形態によるフロントサイドメンバエクステンションについて説明するが、前記第1〜第3実施形態と同一構造については、同一符号を付してその説明を省略する。
以下に、第4実施形態によるフロントサイドメンバエクステンションについて説明するが、前記第1〜第3実施形態と同一構造については、同一符号を付してその説明を省略する。
本実施形態においては、下側補強部材の湾曲部に車両前後方向に沿ってリブを形成したものを示すが、上側補強部材の下面に下方に凸状のリブを形成しても良く、また上側補強部材及び下側補強部材の双方にリブを設けても良い。
図21は本発明の第4実施形態によるフロントサイドメンバエクステンションを示す側面図、図22は下側補強部材の斜視図である。
本実施形態に係るフロントサイドメンバエクステンション47においては、下側補強部材49の湾曲部35にフロントサイドメンバエクステンション本体3の中立軸27に向かう方向、即ち、上方に凸状のリブ51,51を左右一対に形成しており、これらのリブ51,51は、車両前後方向に沿って延設されている。
以下に、車両前方から衝突荷重が入力された場合のフロントサイドメンバエクステンションの変形の推移を図23〜図25を用いて説明する。なお、図24は、前記第1実施形態における図7と同一の曲げ角度の曲げ変形を起こした状態を示しており、図25は、前記図8と同一の曲げ角度の曲げ変形を起こした状態を示している。
図24に示すように、フロントサイドメンバエクステンション47に車両後方の荷重fが入力された場合、上側補強部材5の湾曲部33は前方斜め下方に向けて曲げ変形を起こし、下側補強部材49の湾曲部35は後方斜め上方に向けて曲げ変形を起こしている。ここで、下側補強部材49にリブ51が形成されているため、図7と比較して図24の方が、上側補強部材5の湾曲部33の頂部33aと下側補強部材49の湾曲部35の頂部35aとの距離dが短くなり、両頂部33a,35aの当接タイミングが早くなる。
さらに、図25に示すように、フロントサイドメンバエクステンション47の曲げ変形が進むと、下側補強部材49の湾曲部35と上側補強部材5の湾曲部33との干渉が更に進んで互いの変形及び反力が大きくなる。
このように、第1実施形態に比べて上側補強部材5の湾曲部33が下側補強部材3の湾曲部35に当接するときのフロントサイドメンバエクステンション1の屈曲部13の曲げ角度θが小さくなるので、リブ51の隆起高さを調節することで、上側補強部材5の湾曲部33と下側補強部材49の湾曲部35が当接するフロントサイドメンバエクステンション47の曲げ角度を調整することができ、また、フロントサイドメンバエクステンション47の最大曲げ角度を調整することができる。そして、下側補強部材49の湾曲部35にフロントサイドメンバエクステンション47の中立軸27に向かうリブを設ける場合や上側補強部材5の湾曲部33と下側補強部材3の湾曲部35の両方にフロントサイドメンバエクステンション47の中立軸27に向かう方向に隆起したリブ51を設ける場合においても、リブ51の隆起高さを大きくすることで、上側補強部材5の湾曲部33が下側補強部材3の湾曲部35に当接するフロントサイドメンバエクステンション47の屈曲部13の曲げ角度を小さくすることができ、また、フロントサイドメンバエクステンション47の最大曲げ角度を調整することができる。
以下に、本実施形態による作用効果について説明する。
前記当接調整手段は、前記上側補強部材5及び下側補強部材49の少なくともいずれかに設けられて上下方向に突出したリブ51であり、このリブ51の高さを調整することにより、前記湾曲部同士33,35の当接タイミングを調整するようにしている。
また、前記反力調整手段は、前記上側補強部材5及び下側補強部材49の少なくともいずれかに設けられて上下方向に突出したリブ51であり、このリブ51の高さを調整することにより、上側補強部材5及び下側補強部材49の湾曲部同士33,35の当接による反力の大きさを調整するように構成している。
このように、非常に簡単かつ安価な手段で前記湾曲部同士33,35の当接タイミングの調整、及び湾曲部同士33,35の当接による反力の大きさの調整を行うことができる。
[第5の実施形態]
以下に、第5実施形態によるフロントサイドメンバエクステンションについて説明するが、前記第1〜第4実施形態と同一構造については、同一符号を付してその説明を省略する。
以下に、第5実施形態によるフロントサイドメンバエクステンションについて説明するが、前記第1〜第4実施形態と同一構造については、同一符号を付してその説明を省略する。
第5実施形態においては、下側補強部材の湾曲部に車両前後方向に沿って2本のスリットを設けているが、上側補強部材にスリットを設けても良く、また、上側補強部材及び下側補強部材の双方にスリットを設けても良い。
図27は本発明の第5実施形態によるフロントサイドメンバエクステンションを示す側面図、図28は図27の下側補強部材を示す斜視図である。
本実施形態に係るフロントサイドメンバエクステンション53においては、下側補強部材55における湾曲部35の左右両側に車両前後方向に沿って左右一対のスリット57,57を形成しており、かつ、これらのスリット同士57,57の間で下側補強部材55を上方に凸状に膨らませて凸部59を形成している。即ち、スリット同士57,57の間の下側補強部材55における曲率半径を、スリット57の左右両側の曲率半径よりも小さく設定している。なお、下側補強部材55の側端57aとスリット57との間を、スリット間57,57よりも上方に凸状に湾曲させても良い。
以下に、車両前方から衝突荷重fが入力された場合のフロントサイドメンバエクステンションの変形の推移を図29〜図31を用いて説明する。なお、図30は、前記第1実施形態における図7と同一の曲げ角度の曲げ変形を起こした状態を示しており、図31は、前記図8と同一の曲げ角度の曲げ変形を起こした状態を示している。
図30に示すように、フロントサイドメンバエクステンション53に車両前後方向の荷重fが入力された場合、上側補強部材5の湾曲部33は前方斜め下方に向けて曲げ変形を起こし、下側補強部材55の湾曲部35は後方斜め上方に向けて曲げ変形を起こしている。ここで、下側補強部材55のスリット間に凸部59が形成されているため、図7と比較して図30の方が、上側補強部材5の湾曲部33の頂部33aと下側補強部材55の湾曲部35の頂部35aとの距離が短くなり、両頂部33a,35aの当接タイミングが早くなる。
さらに、図31に示すように、フロントサイドメンバエクステンション53の曲げ変形が進むと、下側補強部材55の湾曲部35と上側補強部材5の湾曲部33との干渉が更に進んで互いの変形及び反力が大きくなる。ここで、図31に示す上側補強部材5の湾曲部33の頂部33aがスリット57と側端57aとの間に当接したときには、曲げ反力が若干上昇するため、図32のグラフには、第1〜第4実施形態の極大値に以外に、θ(C)に対応する曲げ角度で示す極大値が加わって3個の極大値を示している。即ち、上側補強部材5の湾曲部33と下側補強部材55の湾曲部35が当接する前の曲げ反力の極大値と、下側補強部材55の湾曲部35の全幅が上側補強部材5の湾曲部33に当接した後の曲げ反力の極大値と、これらの極大値の間に更にもう一つの極大値が生じている。
また、破線で示す第1実施形態と比較すると、曲げ反力の第3の極大値は大きくなり、かつ、第3の極大値を示す曲げ角度が小さくなっている。これにより、図32のグラフに示すように、曲げ反力Fと曲げ角度θとの積によって得られるエネルギー吸収量を大きくすることができ、オフセット衝突時のフロントサイドメンバエクステンション1の最大曲げ角度を小さくすることができる。
以下に、本実施形態による作用効果について説明する。
前記上側補強部材5及び下側補強部材55の少なくともいずれかに車両前後方向に沿って複数のスリット57を形成し、これらのスリット同士57,57の間の補強部材を上下方向に突出させて凸部59を形成し、この凸部59の突出高さを調整することにより、前記湾曲部同士33,35の当接タイミングを調整するようにしている。
また、前記上側補強部材5及び下側補強部材55の少なくともいずれかに車両前後方向に沿って複数のスリット57を形成し、これらのスリット同士57,57の間で補強部材を上下方向に突出させて凸部59を形成し、この凸部59の突出高さを調整することにより、上側補強部材5及び下側補強部材55の湾曲部同士33,35の当接による反力の大きさを調整するように構成している。
このように、非常に簡単かつ安価な手段で前記湾曲部同士33,35の当接タイミングの調整、及び湾曲部同士33,35の当接による反力の大きさの調整を行うことができる。
なお、これまでは、メンバ部材単体について主に説明してきたが、次に、メンバ部材を車体に取り付けた状態について簡単に説明する。
図33は本発明に係るフロントサイドメンバエクステンションを組み付けた車体を斜め上方から見た斜視図、図34は図33の車体下部の要部を斜め下方から見た斜視図である。
図33に示すように、車体61の前部には、エンジンルーム63が設けられており、該エンジンルーム63は、ダッシュパネル65によってキャビン67と分けられている。また、図34に示すように、このダッシュパネル65は上方に向けて延びており、ダッシュパネル65の下端部65aから車両後方に向けてフロア69が延設されている。
そして、前記フロア69及びダッシュパネル65の下面には、フロントサイドメンバエクステンション1,43,45,47,53が接合されている。つまり、フロントサイドメンバエクステンション本体3の傾斜部11はダッシュパネル65に接合され、後部15はフロア69に接合されている。なお、フロア69には、クロスメンバ71,73がフロントサイドメンバエクステンション1,43,45,47,53と直交して配設されている。
1,43,45,47,53…フロントサイドメンバエクステンション(メンバ部材)
3…フロントサイドメンバエクステンション本体(メンバ本体)
5…上側補強部材
7,37,49,55…下側補強部材
13…屈曲部
19…側面
25…側部フランジ(フランジ、当接調整手段、反力調整手段)
33,35…湾曲部
39,41…フランジ(当接調整手段、反力調整手段)
51…リブ(当接調整手段、反力調整手段)
57…スリット
59…凸部(当接調整手段、反力調整手段)
3…フロントサイドメンバエクステンション本体(メンバ本体)
5…上側補強部材
7,37,49,55…下側補強部材
13…屈曲部
19…側面
25…側部フランジ(フランジ、当接調整手段、反力調整手段)
33,35…湾曲部
39,41…フランジ(当接調整手段、反力調整手段)
51…リブ(当接調整手段、反力調整手段)
57…スリット
59…凸部(当接調整手段、反力調整手段)
Claims (13)
- 車体前部に車両前後方向に沿って延設され、上下方向に屈曲した屈曲部を有するメンバ本体と、該メンバ本体の屈曲部の内方に上下対向的に取り付けられ、互いに近づく方向に凸状に湾曲した湾曲部を有する上側補強部材及び下側補強部材とを備え、
前記メンバ本体に車両前後方向の荷重が入力されて屈曲部を中心に曲げ変形を起こしたときに、前記上側補強部材及び下側補強部材の湾曲部同士が当接して反力を生ずるように構成したことを特徴とする車体前部のメンバ部材の補強構造。 - 前記上側補強部材をメンバ本体の屈曲部の屈曲方向と同一方向に湾曲させ、下側補強部材をメンバ本体の屈曲方向と反対方向に湾曲させると共に、これらの上側補強部材及び下側補強部材の湾曲部同士を所定の間隔をおいて配置することにより、メンバ本体に車両前後方向の荷重が入力されたときに、上側補強部材と下側補強部材の曲げ変形モードが互いに逆方向になるように構成したことを特徴とする請求項1に記載の車体前部のメンバ部材の補強構造。
- 前記上側補強部材及び下側補強部材の少なくともいずれかに、前記メンバ本体の曲げ角度に対する上側補強部材及び下側補強部材の湾曲部同士の当接タイミングを調整する当接調整手段を設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の車体前部のメンバ部材の補強構造。
- 前記上側補強部材及び下側補強部材の湾曲部同士の間隔を変更することにより、前記湾曲部同士の当接タイミングを調整するようにしたことを特徴とする請求項3に記載の車体前部のメンバ部材の補強構造。
- 前記当接調整手段は、前記上側補強部材及び下側補強部材の少なくともいずれかの前部と後部に設けられてメンバ本体の側面に固定されたフランジであり、このフランジの固定位置を変更することにより、前記湾曲部同士の当接タイミングを調整するようにしたことを特徴とする請求項3に記載の車体前部のメンバ部材の補強構造。
- 前記当接調整手段は、前記上側補強部材及び下側補強部材の少なくともいずれかに設けられて上下方向に突出したリブであり、このリブの高さを調整することにより、前記湾曲部同士の当接タイミングを調整するようにしたことを特徴とする請求項3に記載の車体前部のメンバ部材の補強構造。
- 前記上側補強部材及び下側補強部材の少なくともいずれかに車両前後方向に沿って複数のスリットを形成し、これらのスリット同士の間の補強部材を上下方向に突出させて凸部を形成し、この凸部の突出高さを調整することにより、前記湾曲部同士の当接タイミングを調整するようにしたことを特徴とする請求項3に記載の車体前部のメンバ部材の補強構造。
- 前記上側補強部材及び下側補強部材の少なくともいずれかに、前記メンバ本体の曲げ変形時における上側補強部材及び下側補強部材の湾曲部同士の当接による反力の大きさを調整する反力調整手段を設けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の車体前部のメンバ部材の補強構造。
- 前記上側補強部材及び下側補強部材の湾曲部同士の間隔を変更することにより、上側補強部材及び下側補強部材の湾曲部同士の当接による反力の大きさを調整するように構成したことを特徴とする請求項8に記載の車体前部のメンバ部材の補強構造。
- 前記反力調整手段は、前記上側補強部材及び下側補強部材の少なくともいずれかの前部と後部に設けられてメンバ本体の側面に固定されたフランジであり、このフランジの固定位置を変更することにより、上側補強部材及び下側補強部材の湾曲部同士の当接による反力の大きさを調整するように構成したことを特徴とする請求項8に記載の車体前部のメンバ部材の補強構造。
- 前記反力調整手段は、前記上側補強部材及び下側補強部材の少なくともいずれかに設けられて上下方向に突出したリブであり、このリブの高さを調整することにより、上側補強部材及び下側補強部材の湾曲部同士の当接による反力の大きさを調整するように構成したことを特徴とする請求項8に記載の車体前部のメンバ部材の補強構造。
- 前記上側補強部材及び下側補強部材の少なくともいずれかに車両前後方向に沿って複数のスリットを形成し、これらのスリット同士の間で補強部材を上下方向に突出させて凸部を形成し、この凸部の突出高さを調整することにより、上側補強部材及び下側補強部材の湾曲部同士の当接による反力の大きさを調整するように構成したことを特徴とする請求項8に記載の車体前部のメンバ部材の補強構造。
- 上下方向に屈曲した屈曲部を有するメンバ本体を車体前部に車両前後方向に沿って延設し、前記メンバ本体の屈曲部の内方に上下に間隔を隔てて上側補強部材及び下側補強部材を対向的に配置し、前記メンバ本体に車両前後方向の荷重が入力されて曲げ変形を起こしたときに、前記上側補強部材及び下側補強部材が当接して反力を生じるように構成したことを特徴とする車体前部のメンバ部材の補強構造。
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| JP2004149066A Pending JP2005329789A (ja) | 2004-05-19 | 2004-05-19 | 車体前部のメンバ部材の補強構造 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP2005329789A (ja) |
Cited By (10)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| KR100726524B1 (ko) * | 2005-12-15 | 2007-06-11 | 현대자동차주식회사 | 자동차의 프론트사이드멤버 충격흡수장치 |
| JP2007269092A (ja) * | 2006-03-30 | 2007-10-18 | Toyoda Gosei Co Ltd | ステアリングホイール |
| JP2009234495A (ja) * | 2008-03-28 | 2009-10-15 | Mazda Motor Corp | 自動車のフレーム構造 |
| JP2012011828A (ja) * | 2010-06-29 | 2012-01-19 | Suzuki Motor Corp | 車両の下部構造 |
| JP2012056372A (ja) * | 2010-09-06 | 2012-03-22 | Toyota Motor Corp | サイドメンバ構造 |
| GB2505669A (en) * | 2012-09-06 | 2014-03-12 | Secr Defence | Chassis frame deformable on under vehicle impact |
| JP2017505232A (ja) * | 2014-01-07 | 2017-02-16 | オートテック エンジニアリング エー.アイ.イー. | 屈曲角が限定された金属ビーム |
| JP2018144638A (ja) * | 2017-03-06 | 2018-09-20 | 新日鐵住金株式会社 | 自動車の耐衝撃部材 |
| CN111516757A (zh) * | 2020-04-10 | 2020-08-11 | 东风柳州汽车有限公司 | 一种纵梁结构和汽车 |
| CN116472217A (zh) * | 2020-11-23 | 2023-07-21 | 大众汽车股份公司 | 具有封闭中空型材的车辆承载结构、尤其纵梁和具有至少一个这样车辆承载结构的车辆框架结构 |
-
2004
- 2004-05-19 JP JP2004149066A patent/JP2005329789A/ja active Pending
Cited By (10)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
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