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JP2005349093A - ポリスルホン系選択透過性中空糸膜 - Google Patents

ポリスルホン系選択透過性中空糸膜 Download PDF

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JP2005349093A JP2004175569A JP2004175569A JP2005349093A JP 2005349093 A JP2005349093 A JP 2005349093A JP 2004175569 A JP2004175569 A JP 2004175569A JP 2004175569 A JP2004175569 A JP 2004175569A JP 2005349093 A JP2005349093 A JP 2005349093A
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Hirofumi Ogawa
浩文 小川
Koyo Mabuchi
公洋 馬淵
Noriyuki Tamamura
憲幸 玉村
Noriaki Kato
典昭 加藤
Hidehiko Sakurai
秀彦 櫻井
Noriko Kadota
典子 門田
Shinya Koyama
伸也 小山
Hiroshi Shibano
博史 柴野
Katsuhiko Nose
克彦 野瀬
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Abstract

【課題】 安全性や性能の安定性が高く、かつモジュール組み立て性に優れており、さらに血液透析中の経時変化が少なく、慢性腎不全の治療に用いる高透水性能を有する血液浄化器用として好適であるポリスルホン系中空糸膜を提供する。
【解決手段】 本発明は、親水性高分子を含有するポリスルホン系中空糸膜において、(イ)血液接触側表面の最表層の親水性高分子の含有量が、該血液接触側表面の表面近傍層の親水性高分子の含有量に対して1.1倍以上(ロ)血液接触側と反対表面の最表層の親水性高分子の含有量が、血液接触側表面の最表層の親水性高分子の含有量に対して1.1倍以上(ハ)該膜が凝集粒子の集合体から成り、しかも凝集粒子の表面に親水性高分子が濃縮している。という要件を同時に満たすことを特徴とするポリスルホン系選択透過性中空糸膜である。
【選択図】 なし

Description

本発明は安全性およびモジュール組み立て性に優れ、さらに大量の除水を行なう血液浄化治療において性能の経時変化が少ない高透水性能を有する医療用高透水性中空糸型血液浄化器に関する。
腎不全治療などにおける血液浄化療法では、血液中の尿毒素、老廃物を除去する目的で、天然素材であるセルロース、またその誘導体であるセルロースジアセテート、セルローストリアセテート、合成高分子としてはポリスルホン、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリルなどの高分子を用いた透析膜や限外濾過膜を分離材として用いた血液透析器、血液濾過器あるいは血液透析濾過器などのモジュールが広く使用されている。特に中空糸型の膜を分離材として用いたモジュールは体外循環血液量の低減、血中の物質除去効率の高さ、さらにモジュール生産時の生産性などの利点から透析器分野での重要度が高い。
上記した膜素材の中で透析技術の進歩に最も合致したものとして透水性能が高いポリスルホン系樹脂が注目されている。しかし、ポリスルホン単体で半透膜を作った場合は、ポリスルホン系樹脂が疎水性であるために血液との親和性に乏しく、エアロック現象を起こしてしまうため、そのまま血液処理用などに用いることはできない。
上記した課題の解決方法として、ポリスルホン系樹脂に親水性高分子を配合し製膜し、膜に親水性を付与する方法が提案されている。例えば、ポリエチレングリコール等の多価アルコールを配合する方法が開示されている(例えば、特許文献1,2参照)。
特開昭61−232860号公報 特開昭58−114702号公報
また、ポリビニルピロリドンを配合する方法が開示されている(例えば、特許文献3,4参照)。
特公平5−54373号公報 特公平6−75667号公報
上記した方法により上記した課題は解決される。しかしながら、親水性高分子を配合することによる親水性化技術に於いては、血液と接触する膜内面および反対面の膜外面に存在する親水性高分子の濃度により中空糸膜の膜性能が大きく影響し、その最適化が重要となる。例えば、膜内面の親水性高分子濃度を高めることにより血液適合性を確保できるが、該表面濃度が高くなりすぎると該親水性高分子の血液への溶出量が増加し、この溶出する親水性高分子の蓄積により長期透析時の副作用や合併症が起こるので好ましくない。
一方、反対面の膜外面に存在する親水性高分子の濃度が高すぎると、透析液に含まれる親水性の高いエンドトキシン(内毒素)が血液側へ浸入する可能性が高まり、発熱等の副作用を引き起こすことに繋がるとか、膜を乾燥させた時に膜外表面に存在する親水性高分子が介在し中空糸膜同士がくっつき(固着し)、モジュール組み立て性が悪化する等の新たな課題が引き起こされる。逆に、膜の外表面に存在する親水性高分子量を低くすることは、エンドトキシンの血液側への浸入を抑える点では好ましいことであるが、外表面の親水性が低くなるため、モジュール組み立て後に組み立てのために乾燥した中空糸膜束を湿潤状態に戻す際に、湿潤のために用いる生理食塩水との馴染みが低くなるので、該湿潤操作の折の空気の追い出し性であるプライミング性が低下すると言う課題の発生に繋がるので好ましくない。
上記した課題解決の方策として、中空糸膜の内表面の緻密層に存在する親水性高分子の濃度を特定範囲とし、かつ内表面の上記緻密層に存在する親水性高分子の質量比率が外表面層に存在する親水性高分子の質量比率の少なくとも1.1倍以上にする方法が開示されている(特許文献5参照)。すなわち、上記技術は内表面の緻密層表面に存在する親水性高分子の質量比率を高め血液適合性を改善し、逆に外表面に存在する親水性高分子の質量比率を低くし、膜を乾燥させた時に発生する中空糸膜同士の固着の発生を抑える思想の技術である。該技術により該課題に加え、上記した課題の一つである透析液に含まれるエンドトキシン(内毒系)が血液側へ浸入する課題も改善されるが、外表面に存在する親水性高分子の質量比率が低く過ぎるために前記したもう一つの課題であるプライミング性が低下すると言う課題の発生に繋がるという問題が残されておりその改善が必要である。
特開平6−165926号公報
また、均一膜構造の中空糸膜であるが、赤外線吸収法で定量された表面近傍の親水性高分子の中空糸膜の内表面、外表面および膜中間部における親水性高分子の含有量が特定化することにより、前記した課題の一つである透析液に含まれるエンドトキシン(内毒素)が血液側へ浸入する課題を改善する方法が開示されている(例えば、特許文献6参照)。該技術により上記課題の一つは改善されるが、例えば、前記技術と同様に、プライミング性が低下すると言う課題が解決されないし、また、中空糸膜外表面の開孔径が大きいため、耐圧性が不足するなど、特に血液透析ろ過等の従来よりも流体圧力を高める治療に用いた場合、中空糸膜が破損する心配がある。
特開2001−38170号公報
さらに、中空糸膜の内表面の親水性高分子の表面含有量を特定化することにより、血液適合性と親水性高分子の血液への溶出量を改善する方法が開示されている(例えば、特許文献7〜9参照)。
特開平6−296686号公報 特開平11−309355号公報 特開2000−157852号公報
上記技術は、いずれもが中空糸膜の反対面の外表面の親水性高分子の存在比率に関しては全く言及されておらず、前記した外表面の親水性高分子の存在比率による課題の全てを改善できてはいない。
上記した課題の内、エンドトキシン(内毒素)が血液側へ浸入する課題に関しては、エンドトキシンが、その分子中に疎水性部分を有しており、疎水性材料へ吸着しやすいという特性を利用した方法が開示されている(例えば、特許文献10参照)。すなわち、中空糸膜の外表面における疎水性高分子に対する親水性高分子の比率を5〜25%にすることにより達成できる。確かに、該方法はエンドトキシンの血液側への浸入を抑える方法としては好ましい方法ではあるが、この特性を付与するには、膜の外表面に存在する親水性高分子を洗浄で除去する必要があり、この洗浄に多大の処理時間を要し、経済的に不利である。例えば、上記した特許の実施例では、60℃の温水によるシャワー洗浄および110℃の熱水での洗浄をそれぞれ1時間ずつ掛けて行われている。
特開2000−254222号公報
また、膜の外表面に存在する親水性高分子量を低くすることは、エンドトキシンの血液側への浸入を抑える点では好ましいことであるが、外表面の親水性が低くなるため、モジュール組み立て後に組み立てのために乾燥した中空糸膜束を湿潤状態に戻す際に、湿潤のために用いる生理食塩水との馴染みが低くなるので、該湿潤操作の折の空気の追い出し性であるプライミング性が低下すると言う課題の発生に繋がるので好ましくない。この点を改良する方法として、例えばグリセリン等の親水性化合物を配合する方法が開示されている(例えば、特許文献11、12参照)。しかし、該方法は親水性化合物が透析時の異物として働き、かつ該親水性化合物は光劣化等の劣化を受けやすいため、モジュールの保存安定性等に悪影響をおよぼす等の課題に繋がる。また、モジュール組み立てにおいて中空糸膜束をモジュールに固定する時の接着剤の接着阻害を引き起こすという課題もある。
特開2001−190934号公報 特許第3193262号公報
上記したもう一つの課題である中空糸膜同士の固着を回避する方法としては、膜の外表面の開孔率を25%以上にする方法が開示されている(例えば、前掲特許文献6および特許文献13参照)。確かに、該方法は固着を回避する方法としては好ましい方法であるが、開孔率が高いために膜強度が低くなり血液リーク等の課題に繋がるという問題を有している。
特開平7−289863号公報
一方、膜の外表面の開孔率や孔面積を特定値化した方法が開示されている(例えば、特許文献14参照)。
特開2000−140589号公報
また、本願発明に示すような高い透水性を得るための、膜孔径の拡大を行なった場合、血液中のタンパクや脂質などの微粒子成分が膜孔に入り込み易くなり、血液浄化治療中に中空糸膜は目詰まり等により経時変化を起こし、初期の溶質除去性能を維持できないという課題があった。特に、血液ろ過や血液透析ろ過などの血中からの積極的な除水を行なう治療の場合に、これらの問題が顕在化する。膜表面へのたんぱく質等の吸着による膜の目詰まりを抑制する方法として、中空糸膜の内径を小さくすることで血液の流速を向上させ、さらに中空形成剤として気体を用いる乾湿式紡糸法に製造することで膜内表面を滑らかにする方法がある。(例えば、特許文献15参照)。しかし、この方法では中空形成剤として気体を用いるため中空糸膜をボビン状に巻き取る際に、一般的に用いられる流動パラフィンおよびイソプロピルアルコール等の内液が入っていないために糸の真円度が低下したり潰れが生じ、臨床使用時に残血が発生する可能性が高くなる。さらに、中空糸膜の内径を小さくすると血液側の圧力損失が上昇してしまうという問題があった。
特開平8−970号公報
また、性能劣化について、ポリスルホン系ポリマーと親水性ポリマーとからなる選択透過膜について、膜を形成する粒子構造とそれらへの親水性ポリマーの存在状態を勘案した技術が開示されている。(例えば、特許文献16参照)。この技術では、確かに膜を形成する粒子成分において、それらの表面に親水性高分子が高濃度で存在させることによる、血液での膜透水性の経時安定化が可能になる。しかしながら、本先行技術には、本願発明の課題である、膜からの親水性高分子の溶出やモジュールの組立て性などへの示唆や十分な改善は何ら見られていない。また、血液中での透水性の安定化の示唆はあるが、前述のβ2ミクログロブリンなどのタンパク質領域サイズの物質の透過性能の安定性や、特に透過水量を大きくした治療手技の際の経時変化については満足のいくものではない。
特開平7−289866号公報
本発明は、安全性およびモジュール組み立て性に優れ、さらに大量の除水を行なう血液浄化治療において性能の経時変化が少ない高透水性能を有する医療用中空糸型血液浄化器を提供することにある。
本発明は、上記技術課題を解決するために鋭意検討した結果、ポリスルホン系樹脂および親水性高分子を主成分としてなる中空糸膜において、
(イ)該中空糸膜における血液接触側表面の最表層の親水性高分子の含有量が、該血液接触側表面の表面近傍層の親水性高分子の含有量に対して1.1倍以上である。
(ロ)該中空糸膜における血液接触側と反対表面の最表層の親水性高分子の含有量が、血液接触側表面の最表層の親水性高分子の含有量に対して1.1倍以上である。
(ハ)該中空糸膜において、少なくとも血液接触側表面に緻密層を有し、該緻密層が平均直径20〜200nmの凝集粒子の集合体からなり、該凝集粒子の表面に親水性高分子が濃縮しているポリスルホン系選択透過性中空糸膜とすることにより、上記課題を解決することができたものである。
詳細な実施態様としては、該血液接触側表面最表層の親水性高分子の含有量は、通常5〜60質量%、適性には10〜50質量%、より好ましくは20〜40質量%である。それと隣接する表面近傍層の親水性高分子の含有量の範囲は、通常約2〜37質量%程度であり、最適には5〜20質量%程度である。さらに、血液接触側と反対表面最表層の親水性高分子の含有量を、血液接触側表面最表層の親水性高分子の含有量に対して、1.1倍以上であるから、親水性高分子の中空糸膜の外表面における含有量が25〜50質量%程度あれば足りる。これら各層の適正な含有量の配分は、親水性高分子の中空糸膜よりの溶出が10ppm以下にするという点も考慮して決めることができる。また、該膜が直径20〜200nmの凝集粒子の集合体から成り、しかも凝集粒子の表面に親水性高分子が濃縮していることを特徴とする。
本発明の中空糸型血液浄化器は、安全性およびモジュール組み立て性に優れており、慢性腎不全の治療に用いる高透水性能を有する医療用中空糸型血液浄化器として好適である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に用いる中空糸膜は、親水性高分子を含有するポリスルホン系樹脂で構成されているところに特徴を有する。本発明におけるポリスルホン系樹脂とは、スルホン結合を有する樹脂の総称であり特に限定されないが、例を挙げると化1、化2で示される繰り返し単位をもつポリスルホン樹脂やポリエーテルスルホン樹脂がポリスルホン系樹脂として広く市販されており、入手も容易なため好ましい。
Figure 2005349093
Figure 2005349093
本発明における親水性高分子とはポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、ポリプロピレングリコール、グリセリン、デンプンおよびその誘導体などの素材であるが、安全性や経済性よりポリビニルピロリドンを用いるのが好ましい実施態様である。ポリビニルピロリドンは、N−ビニルピロリドンをビニル重合させた水溶性の高分子化合物であり、例えばBASF社より「ルビテック」、ISP社より「プラスドン」、第一工業製薬社より「ピッツコール」の商品名で市販されており、それぞれ各種の分子量の製品がある。一般には、親水性の付与効率では低分子量のものが、一方、溶出量を低くする観点では高分子量のものを用いるのが好適であるが、最終製品の中空糸膜の要求特性に合わせて適宜選択される。単一の分子量のものを用いても良いし、分子量の異なる製品を2種以上混合して用いても良い。また、市販の製品を精製し、例えば分子量分布をシャープにしたものを用いても良い。ポリビニルピロリドンの分子量としては質量平均分子量10,000〜1,500,000のものを用いることができる。具体的には、例えばBASF社より市販されている分子量9,000のもの(K17)、以下同様に45,000(K30)、450,000(K60)、900,000(K80)、1,200,000(K90)を用いるのが好ましく、目的とする用途、特性、構造を得るために、それぞれ単独で用いてもよく、適宜2種以上を組み合わせて用いても良い。本願発明においては、K90を単独で用いるのが最も好ましい。
本発明において、上記(イ)ポリスルホン系中空糸膜における血液接触側表面の最表層の親水性高分子の含有量を同血液接触側表面の表面近傍層の親水性高分子の含有量の1.1倍以上とするということは、最表面の親水性高分子の含有量を表面近傍層より多くすることと最表層の親水性高分子の含有量を最適な20〜40質量%とすることは、それと隣接する表面近傍層の親水性高分子の含有量の範囲は、約2〜37質量%程度の範囲に存在させることが必要である。実際には表面近傍層の親水性高分子の適正な含有量を5〜20質量%程度としていることはこの理由に基づく。ということは、最高10倍程度まで許容できるが、較差の倍率がそれ以上にあまり大きくなると、親水性高分子の拡散移動が最表層から表面近傍へと逆に移るようなことも有り得るし、又そのような構造の中空糸膜の製造が難しくなるという事情もある。血液接触側表面の最表層その表面近傍層の親水性高分子の適正な含有量は、表面近傍層の親水性高分子の適正な含有量である5〜20質量%をもとに、その数値(5〜20質量%)に対する単純な1.1〜10倍程度の乗数とする計算により算定することによって、血液接触側表面の最表層の親水性高分子の含有量を最適な20〜40質量%とすることが可能であるということを意味する。その比は、普通1.1〜5倍程度、場合によっては、最適には1.2〜3倍程度の較差で親水性高分子を存在させることが好ましい。実際には、その倍率は中空糸膜の性能を考慮して任意に決めることができる。例えば、表面近傍層の親水性高分子の含有量を最下値の5質量%とすると、その最表層の親水性高分子の含有量は4〜8倍に相当する適量の20〜40質量%の範囲内で取り得るということにもなる。
本発明において上記(ロ)ポリスルホン系中空糸膜における血液接触側と反対表面の最表層の親水性高分子の含有量を、血液接触側表面の最表層の親水性高分子の含有量に対して、1.1倍以上とすることは、上記した親水性高分子の中空糸膜の外表面における含有量が25〜50質量%程度あれば足り、かつ内表面の最表層の親水性高分子の含有量の1.1倍以上であるのが好ましい。外表面の親水性高分子の含有量が少なすぎると、中空糸膜の支持層部分への血中タンパクの吸着量が増えるため血液適合性や透過性能の低下が起こる可能性がある。逆に、外表面の親水性高分子の含有量が多すぎると、透析液に含まれるエンドトキシン(内毒素)が血液側へ浸入する可能性が高まり、発熱等の副作用を引き起こすことに繋がるとか、膜を乾燥させた時に膜外表面に存在する親水性高分子が介在し中空糸膜同士が固着しモジュール組み立て性が悪化する等の課題を引き起こす可能性がある。
本発明においては、上記(ハ)ポリスルホン系選択透過性中空糸膜の少なくとも血液接触側表面に緻密層を有し、該緻密層が平均直径20〜200nmの凝集粒子の集合体からなり、該凝集粒子の表面に親水性高分子が濃縮しているのが好ましい。上記ポリスルホン系樹脂と親水性高分子とから成る選択透過膜において、該膜が血液接触面に緻密層を有し、該緻密層は凝集粒子の集合体から成るとしている。かような膜は、物質透過においての二つのチャンネルを有していると推測される。第1の透過チャンネルは、粒子が凝集した構造体において、粒子の間隙を透過する物質移動である。このような膜構造の場合は、粒子の大きさが透過させるべき溶質あるいは透過させない溶質の大きさと大きく関わる。本願発明の分離の対象とする領域では、透過の対象とする低分子蛋白質のストークス径が1nm以下であることから、膜の持つ孔の大きさは数nmのサイズが相応しい。例えば除去対象であるβ2ミクログロブリンのストークス直径は0.3nm程度であり、保持対象であるアルブミンは0.8nm程度である。血液浄化膜においては、この両タンパク間での分画が必要であり、該緻密層における粒子間隙が形成する孔径もこれを分画する大きさを有することが必要である。本願発明の平均20〜200nmの径を有する粒子が成す間隙は、数nm付近の大きさとなり、低分子タンパク質の領域の分画に最適な孔径を形成するものである。より好ましくは40〜150nmであり、さらに好ましくは60〜120nmである。また、粒子の大きさが非常に多分散であると、粒子から形成される空隙が非常に不均一なものとなる。大きな空隙は、ろ過の初期にはアルブミンの透過を起こしてしまい好ましくない。またろ過が進行するに従い、空隙に入り込んでくるアルブミン量が多いため目詰まりを起こし細孔の経時変化が大きくなる。この際には、β2ミクログロブリン等の本来は十分に透過し得る物質の透過性能にも同時に経時的な影響を及ぼす。また、逆に空隙が小さくなり過ぎると初期の透過性能自体が低下してしまう。これらの要因から、粒子の粒度分布は、その標準偏差として平均値の0.5倍以下が好ましい。さらに好ましくは0.3倍以下である。特に、本願発明の目的とする、ろ過量の大きい操作を伴う血液浄化治療においては、これらの課題に対しての改良効果がより発揮されるものである。
第2の透過チャンネルは、緻密層を形成する凝集粒子そのものに対しての透過性を有する水や尿素などの低分子への物質移動領域である。凝集粒子は、本願発明の親水性ポリマーと疎水性ポリマーの両者が相溶したブレンドポリマーによりなり、粒子はこれらポリマーが形成するマトリックスからできていると考えられる。これらのマトリックスは、尿素などの低分子(ストークス径<1nm)が透過するに十分な大きさの網目(高分子鎖の存在しない部分)を有しており、低分子の透過を担い、血液浄化における拡散による低分子の除去能を発現する。この透析による低分子分離を行なうのに最適なマトリックスサイズの形成には、前述の高分子群が優れており、素材として選択されている。本願発明の疎水性高分子と親水性高分子のブレンド材も好適に用いられる材料である。これらの点からは、第2のチャンネルに対しては、必ずしも粒子構造である必要は無く、本願発明の目的の一つである透過性能の安定化に対する焦点は前述の凝集粒子構造による第1のチャンネルの最適化技術にある。
本願発明では、血液浄化治療中の膜の目詰まりによる低分子タンパク質の除去性能変化を、膜透過の分離活性層となる緻密層を形成する凝集粒子の大きさ、分布を制御することによって抑えることができることを見出した。すなはち、牛血を用いたβ2−マイクログロブリンの篩い係数の経時的な低下が、15分後のβ2−マイクログロブリンの篩い係数(SCβ2MG(15分))と120分後のβ2−マイクログロブリンの篩い係数(SCβ2MG(120分))としたとき、SCβ2MG(120分)/SCβ2MG(15分)≧0.6であるのが好ましい。SCβ2MG(120分)/SCβ2MG(15分)が0.6より小さい場合には、膜の目詰まりが大きくなりβ2MGの除去量が不足してしまい治療効果が十分に得られない可能性がある。また、本願発明の中空糸膜においては、SCβ2MG(120分)/SCβ2MG(15分)の比が1を超えないのが好ましい。該比が1を超えると言うことは、血液浄化治療中に経時的に膜の細孔径が拡大することにつながり、後述するアルブミン漏出が増大する可能性ある。さらに、本願発明の効果を有効に発揮するため、β2ミクログロブリンの除去能自体が高い方が好ましい。特に本願発明での実施態様では、ろ過開始120分後においても十分な性能を保持していることが好ましく、従ってSCβ2MG(120分)≧0.5が好ましい態様であり、さらに好ましくは0.6以上である。
また、β2ミクログロブリンの除去性能を向上させることは望ましいが、有用タンパク質であるアルブミンの漏出が多くなると血液浄化治療での有効性は薄れることになる。従って、アルブミンの漏出を十分に抑えた膜とする必要がある。本願発明では、牛血を用いたアルブミンの篩い係数を、0.1以下であるとしている。特に、アルブミンの漏出量は経時的に低下するため、この篩い係数はろ過操作の初期である15分での測定値とすることが望ましい。すなはち、SCalb(15分)≦0.1であることが好ましい。より好ましくは、SCalb(15分)≦0.07である。さらに好ましくは、SCalb(15分)≦0.05である。
本発明におけるポリスルホン系樹脂に対する親水性高分子の膜中の構成割合は、中空糸膜に十分な親水性や、高い含水率を付与できる範囲であれば特に限定されず任意に設定することができるが、ポリスルホン系樹脂80〜99質量%に対する親水性高分子の質量割合で1〜20質量%が好ましく、3〜15質量%がより好ましい。1質量%未満では、膜の親水性付与効果が不足する可能性がある。一方、20質量%を超えると、親水性付与効果が飽和し、かつ親水性高分子の膜からの溶出量が増大し、後述の親水性高分子の膜からの溶出量が10ppmを超える可能性がある。
前記の本発明に関する好ましい態様について技術的要件に基づいて詳細に説明すると、親水性高分子を含有するポリスルホン系中空糸膜において、下記特性を同時に満足することを特徴とするポリスルホン系選択透過性中空糸膜というものになる。
(1)上記親水性高分子の中空糸膜よりの溶出が10ppm以下である。
(2)上記ポリスルホン系中空糸膜における血液接触側表面の最表層の親水性高分子の含有量が20〜40質量%である。
(3)上記ポリスルホン系中空糸膜における血液接触側表面の表面近傍層の親水性高分子の含有量が5〜20質量%である。
(4)上記ポリスルホン系中空糸膜における血液接触側と反対表面の最表層の親水性高分子の含有量が25〜50質量%であり、かつ内表面の最表層の親水性高分子の含有量の1.1倍以上である。
(5)該中空糸膜において、少なくとも血液接触側表面に緻密層を有し、該緻密層が平均直径20〜200nmの凝集粒子の集合体からなり、該凝集粒子の表面に親水性高分子が濃縮している。
本発明においては、前記のとおり(1)親水性高分子の中空糸膜よりの溶出量が10ppm以下であるのが好ましい(要件1)。該溶出量が10ppmを超えた場合は、この溶出する親水性高分子による長期透析による副作用や合併症が起こる可能性がある。該特性を満足させる方法は、例えば、疎水性高分子に対する親水性高分子の構成割合を上記の範囲にしたり、中空糸膜の製膜条件を最適化する等により達成できる。
本発明においては、前記のとおり(2)ポリスルホン系中空糸膜における血液接触側表面の最表層の親水性高分子の含有量が20〜40質量%であることが好ましい(要件2)。一応、ポリスルホン系中空糸膜における血液接触側表面の最表層の親水性高分子の含有量が5〜60質量%というような、例えば10〜50質量%のように広範囲に任意に設定できるが、本発明の効果を適性に達成するための最適な含有量は、ポリスルホン系樹脂60〜80質量%および親水性高分子20〜40質量%を主成分とするものが好ましい。20質量%未満では、血液と接触する中空糸膜表面の親水性が低く血液適合性が悪化し中空糸膜表面で血液の凝固が発生しやすくなり、該凝固した血栓による中空糸膜の閉塞が発生し中空糸膜の分離性能が低下したり、血液透析に使用した後の残血が増えたりすることがある。中空糸膜内表面の最表層の親水性高分子の含有量は21重量%以上がより好ましく、22質量%以上がさらに好ましく、23質量%以上がよりさらに好ましい。一方、40質量%を越えた場合は、血液に溶出する親水性高分子が増大し、該溶出した親水性高分子による長期透析による副作用や合併症が起こる可能性がある。中空糸膜内表面の最表層の親水性高分子の含有量は39質量%以下がより好ましく、38質量%以下がさらに好ましく、37質量%以下がよりさらに好ましい。
本発明においては、前記のとおり(3)ポリスルホン系中空糸膜における血液接触側表面の表面近傍層の親水性高分子の含有量が5〜20質量%であることが好ましい(要件3)。本発明の上記ポリスルホン系中空糸膜における血液接触側表面の表面近傍層の親水性高分子の含有量はポリスルホン系樹脂60〜99質量%および親水性高分子1〜40質量%の範囲を主成分とするものが任意に設定できるが、適正な親水性高分子の含有量は5〜20質量%であることが好ましい。普通には7〜18質量%がより好ましい。上記のとおりポリスルホン系中空糸膜における血液接触側表面の最表層の親水性高分子の含有量は、血液適合性の点より高い方が好ましいが、該含有量が増加すると血液への親水性高分子の溶出量が増大するという二律背反の現象となるために、その適正な範囲を考慮して20〜40質量%程度に決めることになる。
一方、中空糸膜内表面近傍層の親水性高分子の含有量は、1〜40質量%と比較的広範囲に取り得るが、最表層より多い、例えば最表層30質量%、表面近傍層35質量%とすると、親水性高分子の最表層への拡散移動が活発になり、最表層の親水性高分子の含有量が、所定の設計値より多く蓄積することになり、好ましくない。要するに、最表層における親水性高分子の消耗分だけ拡散移動などにより供給するという機構を考えれば、表面近傍層における親水性高分子の含有量は最表面層より比較的低い値である、一応19質量%以下がより好ましく、18質量%以下がさらに好ましい。また、中空糸膜内表面近傍の親水性高分子の含有量が少なすぎると最表層への親水性高分子の供給が行われないため、溶質除去性能や血液適合性の経時安定性が低下する可能性がある。したがって、中空糸膜内表面近傍の親水性高分子の含有量は、最適量として6質量%以上がより好ましく、7質量%以上がさらに好ましい。この表面近傍の親水性高分子の含有量は、本発明の中空糸膜を構成するポリスルホン系高分子80〜99質量%と親水性高分子1〜20質量%からなる平均含有量より、やや高いということが一般的である。
この要件3は、上記した二律背反の現象を打破し上記現象の最適化を従来技術で到達できなかった高度なレベルで達成するための要因であり、本発明の新規な特徴の一つである。すなわち、血液適合性を支配する中空糸膜の最表層の親水性高分子の含有量を血液適合性が発現できる最低のレベルに設定した。ただし、該最表層の含有量では、初期の血液適合性は満足できるが長期透析をすると該最表層に存在する親水性高分子が少しずつであるが血液に溶出していき、透析の経過とともに段々と血液適合性が低下していくという課題が発生する。この血液適合性の持続性を上記ポリスルホン系中空糸膜における血液接触側表面の表面近傍層の親水性高分子の含有量を特定化することで改善したものである。表面近傍層の親水性高分子の含有量を特定化することにより、透析の進行による血液への最表層の親水性高分子の溶出による最表層の親水性高分子の含有量の低下による血液適合性が経時的に悪化するという血液適合性の持続性低下を表面近傍層に存在する親水性高分子の最表層への移動により確保するという技術思想により完成したものである。従って、血液接触側表面の表面近傍層の親水性高分子の含有量が5質量%未満では血液適合性の持続性の低下を抑えることが不十分となる可能性がある。一方、20質量%を超えた場合は、血液に溶出する親水性高分子の量が増大し長期透析による副作用や合併症が起こる可能性がある。従来、この中空糸膜の表面近傍層および表面近傍層における親水性高分子の適正な含有量およびその構造に基づく材料挙動を解明した例がなく、本件発明者等のまさに新規な知見に基づくものである。
本発明においては、前記のとおり(4)ポリスルホン系中空糸膜における血液接触側と反対表面の最表層の親水性高分子の含有量が25〜50質量%であり、かつ内表面の最表層の親水性高分子の含有量の1.1倍以上であるのが好ましい(要件4)。外表面の親水性高分子の含有量が少なすぎると、中空糸膜の支持層部分への血中タンパクの吸着量が増えるため血液適合性や透過性能の低下が起こる可能性がある。一応ポリスルホン系樹脂90〜40質量%および親水性高分子10〜60質量%を主成分とするものからなることがありうるが、実際には外表面の親水性高分子の含有量は27質量%以上がより好ましく、29質量%以上がさらに好ましい。また乾燥膜の場合、プライミング性が悪化することがある。逆に、外表面の親水性高分子の含有量が多すぎると、透析液に含まれるエンドトキシン(内毒素)が血液側へ浸入する可能性が高まり、発熱等の副作用を引き起こすことに繋がるとか、膜を乾燥させた時に膜外表面に存在する親水性高分子が介在し中空糸膜同士が固着しモジュール組み立て性が悪化する等の課題を引き起こす可能性がある。中空糸膜外表面における親水性高分子の含有量は43質量%以下がより好ましく、40質量%以下がさらに好ましい。
また、要件4の1つとして、外表面最表層の親水性高分子の含有量は、内表面最表層の親水性高分子の含有量の1.1倍以上であることが好ましい。親水性高分子の含有量は、製膜後の中空糸膜の収縮率に影響を与える。すなわち、親水性高分子の含有量が高くなるに従い、中空糸膜の収縮率は大きくなる。例えば、内表面最表層の親水性高分子の含有量が外表面最表層の親水性高分子の含有量よりも高い場合、内表面側と外表面側の収縮率の違いにより、内表面側にミクロな皺が寄ったり、中空糸膜が破断することがある。内表面側に皺が入ると、例えば、血液透析に使用した場合、血液を流したときに血中タンパク質等が膜面に堆積しやすくなるため、経時的に透過性能が低下するなどの問題に繋がる可能性がある。このような理由から、外表面側の親水性高分子の含有量を高くするのが好ましい。さらに、本発明の中空糸膜は、内表面に緻密層を有し、外表面に向かって次第に孔径が拡大する構造を有している。すなわち、内表面側に比較して外表面側の方が空隙率が高いため、より外表面側の収縮率が大きくなる特性を有している。そのあたりの影響も加味すると、外表面最表層の親水性高分子の含有量は、内表面最表層の親水性高分子の含有量の1.1倍以上であることが好ましい。より好ましくは、1.2倍以上、さらに好ましくは1.3倍以上である。
前記理由により、外表面最表層の親水性高分子の含有量は高い方が好ましいが、2.0倍を超えるとポリスルホン系高分子に対する親水性高分子の含量が高くなりすぎ、強度不足や中空糸膜同士の固着、血液透析使用時のエンドトキシンの逆流入、親水性高分子溶出などの問題を引き起こす可能性がある。より好ましくは1.9倍以下、さらに好ましくは1.8倍以下、よりさらに好ましくは1.7倍以下である。
さらに、親水性高分子を架橋することにより不溶化することが好ましい実施態様である。架橋方法や架橋度合い等の限定無く任意である。例えば、架橋方法としては、γ線、電子線、熱、化学的架橋などが挙げられるが、中でも、開始剤などの残留物が残らず、材料浸透性が高い点で、γ線や電子線による架橋が好ましい。
本発明における不溶化とは、架橋後の膜におけるジメチルホルムアミドに対する溶解性をいう。すなわち、架橋後の膜1.0gを取り、100mlのジメチルホルムアミドに溶解し不溶分の有無を目視観察し判定される。モジュールに液が充填されたモジュールの場合は、まず充填液を抜き、つぎに透析液側流路に純水を500mL/minで5分間流した後、血液側流路に同じように純水を200mL/minで5分間流す。最後に血液側から透析液側に膜を透過するように200mL/minの純水を通液し洗浄処理を終了する。得られたモジュールより中空糸膜を取り出し、フリーズドライしたものを不溶成分測定用サンプルとする。乾燥中空糸膜モジュールの場合も、同様の洗浄処理を行い測定用サンプルとする。
次に、内表面最表層と中空糸膜内表面近傍層に関する詳細には、その二層の違いをみると、親水性高分子の濃度差による二層構造であり、中空糸膜は一般に、内表面の緻密層から外表面に向かうに従い孔径が拡大する傾向にあるから、最表層部分と表面近傍部分で密度差のある二層構造となることもある。この各層の厚みおよびその境界線は、中空糸膜の製造条件により任意に変わるものであり、又、その層の構造は性能にも多少なりとも影響する。そうすると、中空糸膜の凝固による製造工程から推測しても、最表層と表面近傍層がほとんど同時に、しかも両層が隣接して製造されている事情からすれば、一応二層が形成されることは認識できても、境界は鮮明に線引きできるようなものではなく、二層にまたがる親水性高分子の含有量の分布曲線をみるなら、連続線でつながるような場合が多く、親水性高分子の含有量の違いに起因する二層に濃度差がありうる。一般には、二層の境界において親水性高分子の含有量の分布曲線に断層ができるために、材料挙動の違う不連続な2つの層ができると仮定することは技術的に無理があろう、親水性高分子の含有量を最表層で20〜40質量%、表面近傍層のそれを5〜20質量%ということが最適範囲として一応規定しているが、親水性高分子が、表面近傍層から、最表層へと拡散移動するという機構からすれば、例えば最表層が40質量%で表面近傍層が5質量%というような設計では機能上十分に作用しないこともあると思われる。要するに二層に存在する単純な親水性高分子の含有量の較差に着目して設計することも重要である。その適正な較差値としては、両者の親水性高分子の含有量に表わす質量%で示す数値を算定の根拠にして、例えば、最表面と表面近傍層からなる二層間に、1.1倍以上ということを、二層間の親水性高分子の含有量の質量%の差で換算して算定すれば、二層の親水性高分子の含有量(含有量)の単純な差を、1〜35質量%程度に、最適には5〜25質量%程度の差の違いがあれば、親水性高分子が表面近傍層から最表層へと拡散移動が円滑にできるものといえる。例えば、最表層を32質量%とすると、表面近傍層は、7〜27質量%程度の範囲にあることになり、これは1.1〜10倍という程度の要件を満たすことになる。
なお、上記した親水性高分子の中空糸膜の最表層(凝集粒子の表面親水性高分子濃度)の含有量は、後述のごとくESCA法で測定し算出したものであり、中空糸膜の最表層部分(表層からの深さ数Å〜数十Å)の含有量の絶対値を求めたものである。通常は、ESCA法(最表層)では血液接触表面より深さが10nm(100Å)程度までの親水性高分子(PVP)含量を測定可能である。また、表面近傍層の親水性高分子の含有量は、数百nmに相当する深度までの範囲に存在する割合の絶対値を評価したものであり、ATR法(表面近傍層)では血液接触表面より深さ1000〜1500nm(1〜1.5μm)程度までの親水性高分子含有量を測定可能である。
内表面および外表面の親水性高分子の含有量は、親水性高分子の分子量にも関係することがある。例えば、分子量120万程度という高い分子量のポリビニルピロリドンを使用した場合より、分子量45万程度の低い分子量のポリビニルピロリドンを使用すると、凝固において、ポリビニルピロリドンの溶解性や溶出量が大きいことや、拡散移動が大きいという理由などにおいて、ポリスルホン系高分子に対する親水性高分子の平均質量割合1〜20質量%という含有量に比較して、最表層部分20〜40質量%および表面近傍層部分5〜20質量%というように、相対的に比較的高い親水性高分子の濃度のものが製造できるという傾向にある。例えば、ポリスルホン系樹脂80質量%に、分子量90万のポリビニルピロリドン15質量%および分子量4.5万程度のポリビニルピロリドン5質量%という分子量の異なるものを併用して製造する中空糸膜も、その二層のポリビニルピロリドンの含有量および性能に影響することもあり、この観点から中空糸膜を設計することも本発明の範疇に属する。
本発明における上記要件2および3、4を達成する方法としては、例えば、疎水性高分子に対する親水性高分子の構成割合を前記した範囲にしたり、中空糸膜の製膜条件を最適化する等により達成できる。具体的には、中空糸膜内表面側に形成される緻密層において最表層部分と表面近傍部分で密度差のある2層構造とするのが好ましい。すなわち、詳細な理由はわからないが、紡糸原液中のポリスルホン系高分子と親水性高分子の質量割合および内部凝固液濃度と温度を後述するような範囲にすることにより、中空糸膜内表面の最表層部分と表面近傍部分の凝固速度および/または相分離速度に差が生じ、かつポリスルホン系高分子と親水性高分子の溶媒/水への溶解性の違いが要件2および3のような特性を発現するのではないかと考える。また、要件4に対しては乾燥条件の適正化が重要なポイントである。すなわち、湿潤状態の中空糸膜を乾燥する際、水に溶解している親水性高分子は水の移動に伴い、中空膜内部より表面側に移動する。ここで、後述するような乾燥条件を用いることにより、水の移動にある程度の速度を持たせ、かつ中空糸膜全体で移動速度を均一にすることができ、中空糸膜内部の親水性高分子は斑なく速やかに両表面側に移動する。膜面からの水の蒸発は中空糸膜内表面側よりも外表面側からの方がより多くなるので、したがって外表面側に移動する親水性高分子の量が多くなり本願発明の中空糸膜の特徴である要件4を達成できるものと推測する。
ドープ中のポリスルホン系高分子に対する親水性高分子の質量比は0.1〜0.6が好ましい。ドープ中PVP含量が少なすぎると、膜中PVP存在比を要件2、3、4の範囲にコントロールすることが困難な場合がある。したがって、ドープ中親水性高分子/ポリスルホン系高分子は、0.15以上がより好ましく、0.2以上がさらに好ましく、0.25以上がよりさらに好ましく、特に0.3以上が好ましい。また、ドープ中PVP含量が多すぎると、膜中PVP量も多くなるため製膜後の洗浄を強化する必要がありコストアップに繋がる可能性がある。したがって、ドープ中PVP比は、0.57以下がより好ましく、0.55以下がさらに好ましい。
内部凝固液としては、15〜70質量%のジメチルアセトアミド(DMAc)水溶液が好ましい。内部凝固液濃度が低すぎると、内表面の凝固速度が速くなるため内表面近傍の親水性高分子の含有量のコントロールがしにくくなることがある。したがって、内部凝固液濃度は20質量%以上がより好ましく、25質量%以上がさらに好ましく、30質量%以上がよりさらに好ましい。また内部凝固液濃度が高すぎると、内表面の凝固速度が遅くなり、最表面の親水性高分子の含有量をコントロールしにくくなることがある。したがって、内部凝固液濃度は、60質量%以下がより好ましく、55質量%以下がさらに好ましく、50質量%以下がよりさらに好ましい。さらに、内部凝固液温度を−20〜30℃にコントロールするのが好ましい。内部凝固液温度が低すぎると、ノズル吐出直後に最表面が凝固してしまい内表面近傍の親水性高分子の含有量をコントロールしにくくなることがある。内部凝固液温度は、−10℃以上がより好ましく、0℃以上がさらに好ましく、10℃以上がよりさらに好ましい。また、内部凝固液温度が高すぎると、内表面最表層と表面近傍の膜構造(疎密)の差が大きくなりすぎるため、最表面と表面近傍の親水性高分子の含有量をコントロールしにくくなることがある。内部凝固液温度は25℃以下がより好ましく、20℃以下がさらに好ましい。また、内部凝固液温度を前記範囲に設定することにより、内部凝固液をノズルより吐出した際、溶け込んでいた溶存気体が気泡となって発生するのを抑制できる。すなわち、内部凝固液中の溶存気体の気泡化を抑制することにより、ノズル直下での糸切れや、ノブの発生を抑えるという副次効果も有する。内部凝固液温度を前記範囲にコントロールする手段としては、内部凝固液タンクからノズルまでの配管に熱交換器を設けるのが好ましい。
湿潤中空糸膜の乾燥方法の具体例としては、湿潤状態の中空糸膜束をマイクロ波乾燥機に入れ、20kPa以下の減圧下で出力0.1〜20kWのマイクロ波を照射して乾燥するのが好ましい実施態様である。乾燥時間短縮を考慮するとマイクロ波の出力は高い方が好ましいが、例えば親水性高分子を含有する中空糸膜では過乾燥や過加熱による親水性高分子の劣化・分解が起こったり、使用時の濡れ性低下が起こるなどの問題があるため、出力はあまり上げ過ぎないのが好ましい。したがって、マイクロ波の出力は18kW以下がより好ましく、16kW以下がさらに好ましく、14kW以下がよりさらに好ましい。また0.1kW未満の出力でも中空糸膜束を乾燥することは可能であるが、乾燥時間が伸びることによる処理量低下の問題が起こる可能性がある。マイクロ波の出力は0.15kW以上がより好ましく、0.2kW以上がさらに好ましい。前記出力に組み合わせる減圧度としては、乾燥前の中空糸膜束の含水率にもよるが、15kPa以下がより好ましく、10kPa以下がさらに好ましい。減圧度は低い方が、乾燥速度が速まるため好ましいが、系の密閉度を上げるためのコストアップを考慮すると0.1kPaを下限とするのが好ましい。より好ましくは0.2kPa以上、さらに好ましくは0.3kPa以上である。マイクロ波出力および減圧度の組合せの最適値は、中空糸膜束の含水率および中空糸膜束の処理本数により異なるので、実験により適宜設定値を求めるのが好ましい。
例えば、本発明の乾燥条件を実施する一応の目安として、中空糸膜1本当たり50gの水分を有する中空糸膜束を20本乾燥した場合、総水分含量は50g×20本=1,000gとなり、この時のマイクロ波の出力は1.5kW、減圧度は5kPaが適当である。
マイクロ波の照射周波数は、中空糸膜束への照射斑の抑制や、細孔内の水を細孔より押出す効果などを考慮すると1,000〜5,000MHzが好ましい。より好ましくは1,500〜4,500MHz、さらに好ましくは2,000〜4,000MHzである。
該マイクロ波照射による乾燥は中空糸膜束を均一に加熱し乾燥することが重要である。上記したマイクロ波乾燥においては、マイクロ波の発生時に付随発生する反射波による不均一加熱が発生するので、該反射波による不均一加熱を低減する手段を取る事が重要である。該方策は限定されず任意であるが、例えば、特開2000−340356号公報において開示されているオーブン中に反射板を設けて反射波を反射させ加熱の均一化を行う方法が好ましい実施態様の一つである。
上記組合せにより、中空糸膜は5時間以内で乾燥することが好ましい。乾燥時間が長すぎると、中空糸膜中の水の移動速度が遅いため、水に溶解している親水性高分子の移動にも影響を与えることがある。その結果、中空糸膜中の目的とする層まで親水性高分子を移動させることができなくなったり、或いは、移動斑が生じやすくなったりすることにより、各部の親水性高分子の含有量をコントロールできなくなる可能性がある。したがって、中空糸膜の乾燥時間は4時間以内がより好ましく、3時間以内がさらに好ましい。また、乾燥時間は短い方が親水性高分子の移動が少なく好ましいが、発熱による親水性高分子の劣化・分解の抑制、乾燥斑の低減の観点よりマイクロ波周波数、出力、減圧度の組合わせを選択すると5分以上の乾燥時間をとることが好ましく、10分以上がより好ましく、15分以上がさらに好ましい。
また、乾燥時の中空糸膜束の最高到達温度は80℃以下が好ましい。温度が上がりすぎると、親水性高分子の劣化・分解を招くおそれがあるため、乾燥時の中空糸膜の温度は75℃以下がより好ましく、70℃以下がさらに好ましい。しかし、温度が低すぎると乾燥時間が長くなるため、先述したように中空糸膜各部の親水性高分子量をコントロールできなくなる可能性がある。したがって、乾燥時の温度は20℃以上が好ましく、30℃以上がより好ましく、40℃以上がさらに好ましい。
さらに、中空糸膜は絶乾しないのが好ましい。絶乾してしまうと、使用時の再湿潤化において濡れ性が低下したり、親水性高分子が吸水しにくくなるため中空糸膜から溶出しやすくなる可能性がある。乾燥後の中空糸膜の含水率は1重量%以上が好ましく、1.5重量%以上がより好ましい。中空糸膜の含水率が高すぎると、保存時菌が増殖しやすくなったり、中空糸膜の自重により糸潰れが発生したりする可能性があるため、中空糸膜の含水率は5重量%以下が好ましく、より好ましくは4重量%以下、さらに好ましくは3重量%以下である。なお、本発明の含水率(%)とは、乾燥前の中空糸膜束の質量(a)乾燥後の中空糸膜束の質量(b)を測定し、含水率(%)=(a−b)/b×100により容易に算定できる。
また、本発明においては、中空糸膜外表面の開孔率が8〜25%であることや、中空糸膜外表面における開孔部の平均孔面積が0.3〜1.0μm2であることが前記した特性を付与するために有効であり、好ましい実施態様である。開孔率が8%未満や平均孔面積は0.3μm2未満の場合には、透水率が低下する可能性がある。また、膜を乾燥させた時に膜外表面に存在する親水性高分子が介在し中空糸膜同士が固着し、モジュール組み立て性が悪化する等の課題を引き起こす。そのため、開孔率は9%以上がより好ましく、10%以上がさらに好ましい。平均孔面積は0.4μm2以上がより好ましく、0.5μm2以上がさらに好ましく、0.6μm2以上がよりさらに好ましい。逆に開孔率が25%を超えたり、平均孔面積が1.0μm2を超える場合には、バースト圧が低下することがある。そのため、開孔率は23%以下がより好ましく、20%以下がさらに好ましく、17%以下がよりさらに好ましく、特に好ましくは15%以下である。平均孔面積は0.95μm2以下がより好ましく、0.90μm2以下がさらに好ましい。
中空糸膜の外表面における親水性高分子の含有量を上記した範囲にする方法および中空糸膜外表面の開口率を上記範囲にする方法として、先述した紡糸原液中のポリスルホン系高分子に対する親水性高分子の質量割合の調整や、中空糸膜の乾燥条件の最適化のほかに、製膜された中空糸膜の洗浄において洗浄条件を適正化することも有効な方法である。製膜条件としては、ノズル出口のエアーギャップ部の温湿度調整、延伸条件、外部凝固浴の温度・組成等の最適化が、また、洗浄方法としては、温水洗浄、アルコール洗浄および遠心洗浄等が有効である。該方法の中で、製膜条件としては、エアギャップ部の湿度および外部凝固液中の溶媒と非溶媒との組成比の最適化が、洗浄方法としてはアルコール洗浄が特に有効である。
エアギャップ部は外気を遮断するための部材で囲むのが好ましく、エアギャップ内部の湿度は、紡糸原液組成とノズル温度、エアギャップ長、外部凝固浴の温度・組成により調整するのが好ましい。例えば、ポリエーテルスルホン/ポリビニルピロリドン/ジメチルアセトアミド/RO水=10〜25/0.5〜12.5/52.5〜89.5/0〜10.0からなる紡糸原液を30〜60℃のノズルから吐出し、100〜1000mmのエアギャップを通過し、濃度0〜70質量%、温度50〜80℃の外部凝固浴に導く場合、エアギャップ部の絶対湿度は0.01〜0.3kg/kg乾燥空気となる。エアギャップ部の湿度をこのような範囲に調整することで、外表面開孔率および外表面平均孔面積、外表面親水性高分子含有率を適正な範囲にコントロールすることが可能となる。
外部凝固液は0〜50質量%のDMAc水溶液を使用するのが好ましい。外部凝固液濃度が高すぎる場合は、外表面開孔率および外表面平均孔面積が大きくなりすぎ、透析使用時エンドトキシンの血液側への逆流入の増大を起こす可能性がある。したがって、外部凝固液濃度は、より好ましくは40質量%以下、さらに好ましくは30質量%以下、よりさらに好ましくは25質量%以下である。また、外部凝固液濃度が低すぎる場合には、紡糸原液から持ち込まれる溶媒を希釈するために大量の水を使用する必要があり、また廃液処理のためのコストが増大する。そのため、外部凝固液濃度の下限はより好ましくは5質量%以上である。
本発明の中空糸膜の製造において、完全に中空糸膜構造が固定される以前に実質的に延伸をかけないことが好ましい。実質的に延伸を掛けないとは、ノズルから吐出された紡糸原液に弛みや過度の緊張が生じないように紡糸工程中のローラー速度をコントロールすることを意味する。吐出線速度/凝固浴第一ローラー速度比(ドラフト比)は0.7〜1.8が好ましい範囲である。前記比が0.7未満では、走行する中空糸膜に弛みが生じることがあり生産性の低下に繋がり、1.8を超える場合には中空糸膜の緻密層が裂けるなど膜構造が破壊されることがある。より好ましくは0.85〜1.7、さらに好ましくは0.9〜1.6、特に好ましくは1.0〜1.5である。ドラフト比をこの範囲に調整することにより細孔の変形や破壊を防ぐことができ、膜孔への血中タンパクの目詰まりを防ぎ経時的な性能安定性やシャープな分画特性を発現することが可能となる。
水洗浴を通過した中空糸膜は、湿潤状態のまま綛に巻き取り、3,000〜20,000本の束にする。ついで、得られた中空糸膜束を洗浄し、過剰の溶媒、親水性高分子を除去する。中空糸膜束の洗浄方法として、本発明では、70〜130℃の熱水、または室温〜50℃、10〜40vol%のエタノールまたはイソプロパノール水溶液に中空糸膜束を浸漬して処理するのが好ましい。
(1)熱水洗浄の場合は、中空糸膜束を過剰のRO水に浸漬し70〜90℃で15〜60分処理した後、中空糸膜束を取り出し遠心脱水を行う。この操作をRO水を更新しながら3、4回繰り返して洗浄処理を行う。
(2)加圧容器内の過剰のRO水に浸漬した中空糸膜束を121℃で2時間程度処理する方法をとることもできる。
(3)エタノールまたはイソプロパノール水溶液を使用する場合も、(1)と同様の操作を繰り返すのが好ましい。
(4)遠心洗浄器に中空糸膜束を放射状に配列し、回転中心から40℃〜90℃の洗浄水をシャワー状に吹きつけながら30分〜5時間遠心洗浄することも好ましい洗浄方法である。
前記洗浄方法を2つ以上組み合わせて行ってもよい。いずれの方法においても、処理温度が低すぎる場合には、洗浄回数を増やす等が必要になりコストアップに繋がることがある。また、処理温度が高すぎると親水性高分子の分解が加速し、逆に洗浄効率が低下することがある。上記洗浄を行うことにより、外表面親水性高分子の存在率の適正化を行い、固着抑制や溶出物の量を減ずることが可能となる。
緻密層における凝集粒子の形成は以下の過程によると考えられる。紡糸原液は、凝固液(中空形成剤など)との接触により、溶媒濃度の低下と非溶媒濃度の上昇が紡糸原液と凝固液の界面で急速に起きる。この時に、均一に溶解していたポリマーは、ポリマー同志の相互作用が高まることにより、多数のポリマーリッチ相が界面近傍で形成され、これが粒子の核となる。この後、この核を中心にポリマーが急速に析出し粒子が成長する。成長した粒子は、各々が互いに接するようになり粒子の凝集構造が形成される。すなはち、(1)粒子の核の形成(粒子の数に影響)、(2)粒子の成長(粒子の大きさに影響)、(3)粒子の凝集(個々粒子としての境界面の形成、粒子の間隙に影響)の段階で本願発明の緻密層の凝集粒子構造が決定される。特に、本願では(2)の段階である、粒子の大きさの均一性を制御することにより高度な分離特性を発揮させるものである。
本願発明に示すような、粒子構造を形成させるための手段は以下のようにして達成される。まず、製膜溶液中の高分子の濃度である。濃度が高い場合(約40%以上)、粒子の形成がポリマーリッチな系で行なわれるため粒子の境界面形成が十分でなく、明確な粒子構造にならず、密な構造になる場合がある。また、濃度が薄い場合(約12%以下)、初期でのポリマー間の絡み合いの度合いが低いためか、核形成、粒子の成長は著しく低下してしまい、実質的に緻密層の形成を起こさないか、緻密層が粒子凝集した構造でなく網目構造の膜となる。本願では、疎水性高分子と親水性高分子のブレンドから形成されるが、この両者合計の紡糸原液中における含率は、15〜35質量%である。好ましくは、17〜30質量%である。各々の高分子の含率は、疎水性高分子の濃度は12〜25質量%、親水性高分子の濃度は1〜10質量%が好ましい。
さらに、緻密層を本願に示すような、最適な粒子の大きさと分布にするには、下記要件の組合せによる最適化が必要であった。緻密層では核形成から成長の過程において、ポリマーリッチ部とポリマープアー部の形成が急激に進行する。ここではポリマーの拡散が、支配的な過程となる。拡散性に影響を及ぼす、製膜の因子として溶液の粘度と温度が関係し、特に高温であるほど拡散性が大きく、粒子成長が進行し、粒子間隙が大きくなる傾向にある。この場合の温度とは紡糸の口金より紡糸原液を吐出する時のノズル温度である。この場合、本願発明のβ2ミクログロブリンの篩い係数(SCβ2 −MG)の上昇が起き、膜性能は向上することが期待される。また一方、アルブミンの篩い係数(SCalb)の関係より上限があることは前述のとおりである。しかしながら、吐出原液の温度を上昇させていくと、粒子の大きさの分布が大きくなる傾向がみられ、膜性能の経時安定化に不利となる傾向があることが見られた。また、中空糸の中空形成剤である内部凝固液の濃度を上昇させることによっても、粒子径を大きくし、透過性を向上させることが可能であった。おそらくポリマーの粒子への凝固か緩慢となり大きな粒子への成長が起きたためと推定する。この場合は、比較的粒子径の分布は小さくできる傾向であった。しかしながら、前述の好適なノズル温度および内部凝固液濃度の範囲において吐出温度を低めで内部凝固液の濃度を高めの条件により粒子状態を制御するだけでは、本願発明の目的とする高度なろ過安定性は得られなかった。
本願発明者らが鋭意検討の結果、吐出の口金(2重管オリフィス型)において、内部凝固液を吐出する口金中心孔の断面積と製膜する中空糸の中空部内径の断面積を特定の領域にすることで、本願発明の中空糸膜の発明に至った。中空糸膜を、真円内径200μmを目標に作製した場合、口金の中空形成剤の真円型吐出部の内径を100μm前後とし、前述のドラフト比を2以下とすることで所望の中空糸膜を得ることができた。各種の吐出孔を有する口金の検討から、中空糸膜の内径に対して、内部凝固液の吐出孔内径が0.7以下となるような比率であることが好ましいことが見出された。この機構は、明らかではないが、目標の中空糸膜内径を作るために必要な吐出量の内部凝固液を吐出した際に、内部液側には、陽圧をかけて吐出された紡糸原液を膨らます働きが起きる。この際に内部凝固液が、内表面に形成される緻密層内に速やかに浸透していき、緻密層の温度や凝固液の濃度勾配の均一化を起こし、粒子構造の大きさと分布の安定化に寄与するのではないかと推定する。中空糸内径に対して口金の内部凝固液吐出孔径の比は、小さい方が好ましいが、口金の加工精度とポリマーが吐出孔に詰まった場合の口金の洗浄性の問題から、あまり小さいものは好ましく無い。吐出孔内径の大きさとして60μm以上のものが好ましい。従って、中空糸内径に対して口金の内部凝固液吐出孔径の比は、0.7〜0.3の比率が好ましい態様である。
本発明においては、上記した要件1〜5を同時に満たすことが重要である。該要件の同時達成により前記した特性の全てを満足することができるようになる。
本発明の中空糸膜束は、前記したごとく特性を有しているので血液浄化器用に用いるのが好ましい実施態様である。
上記した血液浄化器用として用いる場合は、バースト圧が0.5MPa以上の中空糸膜よりなる血液浄化器であり、該血液浄化器の透水率が150ml/m2/hr/mmHg以上であることが好ましい。
本発明におけるバースト圧とは、中空糸をモジュールにしてからの中空糸膜の耐圧性能の指標で、中空糸内側を空気で加圧し、加圧圧力を徐々に上げたときの、中空糸が内部圧に耐えられずに破裂(バースト)する圧力である。バースト圧は高いほど使用時の中空糸膜の切断やピンホールの発生に繋がる潜在欠陥が少ないため、0.5MPa以上が好ましく、0.7MPa以上がさらに好ましく、1.0MPa以上が特に好ましい。バースト圧が0.5MPa未満では後述するような血液リークに繋がる潜在的な欠陥を検知することができなくなる可能性がある。また、バースト圧は高いほど好ましいが、バースト圧を高めることに主眼を置き、膜厚を上げたり、空隙率を下げすぎると所望の膜性能を得ることができなくなることがある。したがって、血液透析膜として仕上げる場合には、バースト圧は2.0MPa未満が好ましい。より好ましくは、1.7MPa未満、さらに好ましくは1.5MPa未満、特に好ましくは1.3MPa未満である。
また、透水率が150ml/m2/hr/mmHg未満では溶質透過性が低下することがある。溶質透過性を上げるためには細孔径を大きくしたり、細孔数を増やしたりするが、そうすると膜強度が低下したり欠陥ができるといった問題が生じやすくなる。しかし本発明の中空糸膜では、外表面の孔径を最適化することにより支持層部分の空隙率を最適化し、溶質透過抵抗の低減と膜強度の向上をバランスさせたものである。より好ましい透水率の範囲は200ml/m2/hr/mmHg以上、さらに好ましくは300ml/m2/hr/mmHg以上、よりさらに好ましくは400ml/m2/hr/mmHg以上、特に好ましくは500ml/m2/hr/mmHg以上である。また、透水率が高すぎる場合、血液透析時の除水コントロールがしにくくなるため、2000ml/m2/hr/mmHg以下が好ましい。より好ましくは1800ml/m2/hr/mmHg以下、さらに好ましくは1500ml/m2/hr/mmHg以下、よりさらに好ましくは1300ml/m2/hr/mmHg以下、特に好ましくは1000ml/m2/hr/mmHg以下である。
通常、血液浄化に用いるモジュールは、製品となる最終段階で、中空糸やモジュールの欠陥を確認するため、中空糸内部あるいは外部をエアによって加圧するリークテストを行う。加圧エアによってリークが検出されたときには、モジュールは不良品として、廃棄あるいは、欠陥を修復する作業がなされる。このリークテストのエア圧力は血液透析器の保証耐圧(通常500mmHg)の数倍であることが多い。しかしながら、特に高い透水性を持つ中空糸型血液浄化膜の場合、通常の加圧リークテストで検出できない中空糸の微小な傷、つぶれ、裂け目などが、リークテスト後の製造工程(主に滅菌や梱包)、輸送工程、あるいは臨床現場での取り扱い(開梱や、プライミングなど)時に、中空糸の切断やピンホールの発生につながり、ひいては治療時に血液がリークするトラブルの元になるので改善が必要である。該トラブルはバースト圧を前記特性にすることで回避ができる。
また、中空糸膜の偏肉度が、上記した潜在的な欠陥の発生抑制に対して有効である。中空糸膜モジュール中の100本の中空糸膜断面を観察した際の膜厚の偏りであり、最大値と最小値の比で示す偏肉度が高いことが好ましい実施態様である。100本あたりの中空糸膜の偏肉度は0.6以上であるのが好ましい。100本の中空糸膜に1本でも偏肉度0.6未満の中空糸膜が含まれると、その中空糸膜が臨床使用時のリーク原因となる潜在欠点が発生し易くなることがあるので、本発明の偏肉度は平均値でなく、100本の最小値を表す。偏肉度は高い方が、膜の均一性が増し、潜在欠陥の発生が抑えられバースト圧が向上するので、より好ましくは0.65以上、さらに好ましくは0.7以上、よりさらに好ましくは0.75以上である。0.6未満では、潜在欠陥が発生しやすく、前記バースト圧が低くなり、血液リークの原因に繋がる可能性がある。
該偏肉度を0.6以上にするためには、例えば、製膜溶液の吐出口であるノズルのスリット幅を厳密に均一にすることが好ましい。中空糸膜の紡糸ノズルは、一般的に、紡糸原液を吐出する環状部と、その内側に中空形成剤となる芯液吐出孔を有するチューブインオリフィス型ノズルが用いられるが、スリット幅とは、前記紡糸原液を吐出する環状部の幅をさす。このスリット幅のバラツキを小さくすることで、紡糸された中空糸膜の偏肉を減らすことができる。具体的にはスリット幅の最大値と最小値の比が1.00以上1.11以下とし、最大値と最小値の差を10μm以下とすることが好ましく、5μm以下とすることがより好ましい。また、ノズル温度を最適化する、製膜時の内液の吐出斑を低減する、延伸倍率を最適化する等の方法も有効である。
さらに、バースト圧を高くする方策として、中空糸膜表面の傷や異物および気泡の混入を少なくし潜在的な欠陥を低減するのも有効な方法である。傷発生を低減させる方法としては、中空糸膜の製造工程のローラーやガイドの材質や表面粗度を最適化する、モジュールの組み立て時に中空糸膜束をモジュール容器に挿入する時に容器と中空糸膜との接触あるいは中空糸膜同士のこすれが少なくなるような工夫をする等が有効である。本発明では、使用するローラーは中空糸膜がスリップして中空糸膜表面に傷が付くのを防止するため、表面が鏡面加工されたものを使用するのが好ましい。また、ガイドは中空糸膜との接触抵抗をできるだけ避ける意味で、表面が梨地加工されたものやローレット加工されたものを使用するのが好ましい。中空糸膜束をモジュール容器に挿入する際には、中空糸膜束を直接モジュール容器に挿入するのではなく、中空糸膜との接触面が、例えば、梨地加工されたフィルムを中空糸膜束に巻いたものをモジュール容器に挿入し、挿入した後、フィルムのみモジュール容器から抜き取る方法を用いるのが好ましい。
中空糸膜への異物の混入を抑える方法としては、異物の少ない原料を用いる、製膜用の紡糸原液をろ過し異物を低減する方法等が有効である。本発明では、中空糸膜の膜厚よりも小さな孔径のフィルターを用いて紡糸原液をろ過するのが好ましく、具体的には均一溶解した紡糸原液を溶解タンクからノズルまで導く間に設けられた孔径10〜50μmの焼結フィルターを通過させる。ろ過処理は少なくとも1回行えば良いが、ろ過処理を何段階かにわけて行う場合は後段になるに従いフィルターの孔径を小さくしていくのがろ過効率およびフィルター寿命を延ばす意味で好ましい。フィルターの孔径は10〜45μmがより好ましく、10〜40μmがさらに好ましい。フィルター孔径が小さすぎると背圧が上昇し、定量性が落ちることがある。
また、気泡混入を抑える方法としては、製膜用のポリマー溶液の脱泡を行うのが有効である。紡糸原液の粘度にもよるが、静置脱泡や減圧脱泡を用いることができる。具体的には、溶解タンク内を−100〜−760mmHgに減圧した後、タンク内を密閉し5分〜30分間静置する。この操作を数回繰り返し脱泡処理を行う。減圧度が低すぎる場合には、脱泡の回数を増やす必要があるため処理に長時間を要することがある。また減圧度が高すぎると、系の密閉度を上げるためのコストが高くなることがある。トータルの処理時間は5分〜5時間とするのが好ましい。処理時間が長すぎると、減圧の効果により親水性高分子が劣化・分解することがある。処理時間が短すぎると脱泡の効果が不十分になることがある。
以下、本発明の有効性を実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下の実施例における物性の評価方法は以下の通りである。
1、透水率の測定
透析器の血液出口部回路(圧力測定点よりも出口側)を鉗子により封止した。37℃に保温した純水を加圧タンクに入れ、レギュレーターにより圧力を制御しながら、37℃恒温槽で保温した透析器の血液流路側へ純水を送り、透析液側から流出したろ液質量を測定した。膜間圧力差(TMP)は
TMP=(Pi+Po)/2
とする。ここで、Piは透析器入り口側圧力、Poは透析器出口側圧力である。TMPを4点変化させ濾過流量を測定し、それらの関係の傾きから透水性(mL/hr/mmHg)を算出する。このときTMPと濾過流量の相関係数は0.999以上でなくてはならない。また回路による圧力損失誤差を少なくするために、TMPは100mmHg以下の範囲で測定する。中空糸膜の透水性は膜面積と透析器の透水性から算出する。
UFR(H)=UFR(D)/A
ここでUFR(H)は中空糸膜の透水性(mL/m2/hr/mmHg)、UFR(D)は透析器の透水性(mL/hr/mmHg)、Aは透析器の膜面積(m2)である。
2、膜面積の計算
透析器の膜面積は中空糸の内径基準として求める。
A=n×π×d×L
ここで、nは透析器内の中空糸本数、πは円周率、dは中空糸の内径(m)、Lは透析器内の中空糸の有効長(m)である。
3、バースト圧
約10,000本の中空糸膜よりなるモジュールの透析液側を水で満たし栓をする。血液側から室温で乾燥空気または窒素を送り込み1分間に0.5MPaの割合で加圧していく。圧力を上昇させ、中空糸膜が加圧空気によって破裂(バースト)し、透析液側に満たした液に気泡が発生した時の空気圧をバースト圧とする。
4、偏肉度
中空糸100本の断面を200倍の投影機で観察する。一視野中、最も膜厚差がある一本の糸断面について、最も厚い部分と最も薄い部分の厚さを測定する。
偏肉度=最薄部/最厚部
偏肉度=1で膜厚が完璧に均一となる。
5、親水性高分子の溶出量
親水性高分子としてポリビニルピロリドンを用いた場合の測定法を例示する。
<乾燥中空糸膜モジュール>
モジュールの透析液側流路に生理食塩水を500mL/minで5分間通液し、ついで血液側流路に200mL/minで通液した。その後血液側から透析液側に200mL/minでろ過をかけながら3分間通液した。
<湿潤中空糸膜モジュール>
モジュール充填液を抜き出した後、乾燥中空糸膜モジュールと同じ処理操作を行った。
上記プライミング処理を行った中空糸膜モジュールを用いて、透析型人工腎臓装置製造承認基準に定められた方法で抽出し、該抽出液中のポリビニルピロリドンを比色法で定量した。
すなわち、中空糸膜1gに純水100mlを加え、70℃で1時間抽出する。得られた抽出液2.5ml、0.2モルクエン酸水溶液1.25ml、0.006規定のヨウ素水溶液0.5mlをよく混合し、室温で10分間放置した、後に470nmでの吸光度を測定した。定量は標品のポリビニルピロリドンを用いて上記方法に従い測定することにより求めた検量線にて行った。
6、親水性高分子の内外表面の最表層における含有量
親水性高分子の含有量は、X線光電子分光法(ESCA法)で求めた。親水性高分子としてポリビニルピロリドン(PVP)を用いた場合の測定法を例示する。
中空糸膜1本を内表面の一部が露出するようにカミソリで斜めに切断し、内外表面が測定できるように試料台にはりつけてESCAで測定を行った。測定条件は次に示す通りである。
測定装置:アルバック・ファイ ESCA5800
励起X線:MgKα線
X線出力:14kV,25mA
光電子脱出角度:45°
分析径:400μmφ
パスエネルギー:29.35eV
分解能:0.125eV/step
真空度:約10-7Pa以下
窒素の測定値(N)と硫黄の測定値(S)から、次の式により表面でのPVP含有比率を算出した。
<PVP添加PES(ポリエーテルスルホン)膜の場合>
PVP含有比率(Hpvp)[%]
=100×(N×111)/(N×111+S×232)
<PVP添加PSf(ポリスルホン)膜の場合>
PVP含有比率(Hpvp)[%]
=100×(N×111)/(N×111+S×442)
7、中空糸膜全体での親水性高分子含有率の測定方法
親水性高分子としてPVPを用いた場合の測定法を例示する。サンプルを、真空乾燥器を用いて、80℃で48時間乾燥させ、その10mgをCHNコーダー(ヤナコ分析工業社製、MT−6型)で分析し、窒素含有量からPVPの質量割合を下記式で計算し求めた。
PVPの質量割合(質量%)=窒素含有量(質量%)×111/14
8、中空糸膜の血液接触面の表面近傍層での親水性高分子の含有量
親水性高分子としてPVPを用いた場合の測定法を例示する。測定は赤外線吸収法分析で行った。上記6と同様の方法で準備した測定サンプルを使用し、表面近傍の測定はATR法、膜全体の測定は透過法で行った。ATR法は、内部反射エレメントとしてダイヤモンド45°を使用した方法により赤外吸収スペクトルを測定した。測定にはSPECTRA TECH社製IRμs/SIRMを使用した。赤外吸収スペクトルにおける1675cm-1付近のPVPのC=Oに由来するピークの吸収強度Apと1580cm-1付近のポリスルホン系高分子に由来するピークの吸収強度Asの比Ap/Asを求めた。ATR法においては吸収強度が測定波数に依存しているため、補正値としてポリスルホン系高分子のピーク位置υsおよびPVPのピーク位置υp(波数)の比υp/υsを実測値にかけた。次の式で、血液接触表面近傍層のPVPの含有量を算出した。
表面近傍層での親水性高分子の含有量(質量%)=Cav×Ap/As×υp/υs
ただし、Cavは前記中空糸膜全体での親水性高分子含有率の測定方法で求めたPVP質量割合である。
9、中空糸膜外表面の開孔率
中空糸膜外表面を10,000倍の電子顕微鏡で観察し写真(SEM写真)を撮影する。その画像を画像解析処理ソフトで処理して中空糸膜外表面の開孔率を求めた。画像解析処理ソフトは、例えばImage PRO Plus (Media Cybernetics,Inc.)を使用して測定する。とり込んだ画像を孔部と閉塞部が識別されるように強調・フィルタ操作を実施する。その後、孔部をカウントし、孔内部に下層のポリマー鎖が見て取れる場合には孔を結合して一孔とみなしてカウントする。測定範囲の面積(A)、および測定範囲内の孔の面積の累計(B)を求めて開孔率(%)=B/A×100で求めた。これを10視野実施してその平均を求めた。初期操作としてスケール設定を実施するものとし、また、カウント時には測定範囲境界上の孔は除外しないものとする。
10、中空糸膜外表面の開孔部の平均孔面積
前項と同様にカウントし、各孔の面積を求めた。また、カウント時には測定範囲境界上の孔は除外した。これを10視野実施してすべての孔面積の平均を求めた。
11、中空糸膜の偏肉度
中空糸100本の断面を200倍の投影機で観察する。一視野中、最も膜厚差がある一本の糸断面について、最も厚い部分と最も薄い部分の厚みを測定した。
偏肉度=最薄部/最厚部
偏肉度=1で膜厚が完璧に均一となる。
12、血液リークテスト
クエン酸を添加し、凝固を抑制した37℃の牛血液を、血液浄化器に200mL/minで送液し、10mL/min・m2の割合で血液をろ過する。このとき、ろ液は血液に戻し、循環系とする。60分間後に血液浄化器のろ液を採取し、赤血球のリークに起因する赤色を目視で観察する。この血液リーク試験を各実施例、比較例ともに30本の血液浄化器を用い、血液リークしたモジュール数を調べる。
13、中空糸膜の固着性
中空糸約10,000本を束ね、30mmφ〜35mmφのモジュールケースに装てんし、2液系ポリウレタン樹脂にて封止してモジュールを作成した。各水準5本リークテストを実施し、ウレタン樹脂封止不良に起因してリーク発生となったモジュールの本数をカウントした。
14、中空糸膜の残血性
膜面積1.5m2のモジュールの透析液側を生理食塩水で満たし、健康人から採取したヘパリン加血200mlを血液バッグに詰め、血液バッグとモジュールをチューブで連結し、37℃で血液流速100ml/min、1時間循環する。循環開始前と循環60分との血液をサンプリングし、白血球数、血小板数を測定する。測定した値はヘマトクリットの値で補正する。
補正値=測定値(60分)×ヘマトクリット(0分)/ヘマトクリット(60分)
補正値から白血球と血小板の変化率を算出する。
変化率=補正値(60分)/循環開始前値×100
60分循環終了後、生理食塩水で返血し、残血している中空糸膜の本数を数えた。残血している中空糸膜の本数が10本以下を○、11本以上30本以下を△、31本以上を×として評価を実施した。
15、プライミング性
モジュールの透析液側ポートに蓋をした状態で、血液側入口ポートから200mL/minで注射用蒸留水を流し、出口ポートに注射用蒸留水が到達した時点から10秒経過するまでの間にモジュールケースを鉗子で5回軽くたたいて脱泡した後、1分間の気泡の通過個数を目視にて確認した。判定は以下の基準で行った。
10個/分以下:○
11個/分以上30個/分未満:△
30個/分以上:×
16、凝集粒子の直径、標準偏差
中空糸膜を液体窒素中で凍結後に切断することで得られた断面をオスミウムプラズマコート後、電界放射型走査電子顕微鏡にて凍結割断面の写真(倍率;4〜7万倍)を撮影し、緻密層の凝集粒子を100個測定し、平均直径、標準偏差を算出した。粒子径は、各粒子の長径と短径の平均値とした。また最内表面から膜外面方向に向かって凝集粒子の大きさからみて10個程度の内部までを計測対象とした。(例えば、粒子直径が50nmの場合は、膜表面から500nm相当の内部の緻密層を計測領域とする。)
17、β2−ミクログロブリン篩い係数
1.5m2の中空糸膜モジュールに37℃、ヘマトクリット(Ht)40±2.0%、総タンパク濃度6.5±0.5g/dlに調整した牛血を300ml/minで血液側に流し、濾過速度90ml/minで血液濾過開始後15分および120分時点のモジュールの入口と出口の血液及び濾過液をサンプリングして、酵素免疫測定法(グラザイムβ2-Microglobulin-EIA Test 和光純薬工業)等によりβ2-ミクログロブリン(以下、β2-MGと略記する。)の濃度を測定した。なお、当該測定でモジュールに流す牛血液には適量のヒト由来β2-MGを添加して行い、サンプリングした血液は必要に応じて遠心分離してβ2-MGの測定に供した。これらのβ2-MGの濃度の値から下記式に従ってβ2-MGの篩い係数(SC)を求めた。
SC=Cfil /((CI +CO )/2)
Cfil :濾過液のβ2-MG濃度
CI :モジュール血液側入口の血液のβ2-MG濃度
CO :モジュール血液側出口の血液のβ2-MG濃度
18、アルブミンの篩い係数
上記に示すβ2-ミクログロブリンの測定と同様の実験を行ない、ろ過開始から15分後にモジュールの入口と出口で血液及びろ過液をサンプリングして、ブロモクレゾールグリーン法により、各液のアルブミン濃度を測定した。これらの濃度の値から、上記算出式中のサンプル濃度をアルブミン濃度とし、SCを求めた。
(実施例1)
ポリエーテルスルホン(住化ケムテックス社製、スミカエクセル(R)4800P)17.9質量%、ポリビニルピロリドン(BASF社製コリドン(R)K−90)4.5質量%、ジメチルアセトアミド(DMAc)74.7質量%、RO水2.9質量%を50℃で均一に溶解し、ついで真空ポンプを用いて系内を−500mmHgまで減圧した後、溶媒等が蒸発して製膜溶液組成が変化しないように直ぐに系内を密閉し15分間放置した。この操作を3回繰り返して製膜溶液の脱泡を行った。製膜溶液を30μm、15μmの2段の焼結フィルターに順に通した後、65℃に加温したチューブインオリフィスノズルの外側スリットより吐出すると同時に、内部凝固液として予め−700mmHgで60分間脱気処理した15℃の45質量%DMAc水溶液を内液吐出孔より吐出し、紡糸管により外気と遮断された450mmの乾式部を通過後、60℃のDMAc5質量%水溶液中で凝固させ、湿潤状態のまま綛に捲き上げた。使用したチューブインオリフィスノズルのノズルスリット幅は、平均60μmであり、最大61μm最小59μm、スリット幅の最大値、最小値の比は1.03、ノズルの中心吐出孔径は100μm、製膜溶液のドラフト比は1.02であった。
該中空糸膜約10,000本の束の周りに中空糸束側表面が梨地加工されたポリエチレン製のフィルムを巻きつけた後27cmの長さに切断しバンドルとした。このバンドルを80℃熱水中で30分間×4回洗浄した。得られた湿潤バンドルを600rpm×5min間遠心脱液し、乾燥装置内の回転テーブルに6本×4段に中空糸膜束をセットし、オーブン中に反射板を設置し均一加熱ができるような構造を有したマイクロ波発生装置により初期1.5kWのマイクロ波を照射するとともに真空ポンプにより前記乾燥装置内を7kPaに減圧し28分間乾燥処理を行った。続いてマイクロ波出力0.5kW、減圧度7kPaにて12分間乾燥処理を行った。さらにマイクロ波出力を0.2kWに落として同様に8分間乾燥処理を行い終了した。また、同時に遠赤外線照射を併用した。この時の中空糸膜束表面の最高到達温度は65℃で、乾燥後の中空糸膜の水分率は平均2質量%であった。得られた中空糸膜の内径は198.6μm、膜厚は30.5μmであった。紡糸工程中、中空糸膜が接触するローラーは表面が鏡面加工されたもの、ガイドはすべて表面が梨地加工されたものを使用した。
このようにして得られた中空糸膜を用いて血液浄化器を組み立て、リークテストを行った結果、中空糸同士の固着に起因するような接着不良は認められなかった。
該血液浄化器内にRO水を充填し25kGyの吸収線量でγ線を照射し架橋処理を行った。γ線照射後の血液浄化器より中空糸膜を切り出し、溶出物試験に供したところ、PVP溶出量は4ppmであり問題ないレベルであった。また、血液浄化器より取り出した中空糸膜の外表面を顕微鏡にて観察したところ傷等の欠陥は観察されなかった。
また、クエン酸加新鮮牛血を血液流量200mL/min,ろ過速度10mL/minで血液浄化器に流したが、血球リークはみられなかった。中空糸外側から中空糸内側にろ過されたエンドトキシンは検出限界以下であり、問題ないレベルであった。その他の分析結果を表1に示した。
中空糸膜の内面部に緻密層があり、凝集径を測定したところ平均110nm、標準偏差は、35μmであった。β2マイクログロブリンの篩い係数は、SCβ2MG(15分)0.92、SCβ2MG(120分)0.76であり、SCβ2MG(120分)/SCβ2MG(15分)は0.83であった。SCalb(15分)は、0.08であった。
Figure 2005349093
(比較例1)
紡糸原液をポリビニルピロリドン(BASF社製コリドン(R)K−90)2.4質量%、DMAc77質量%に変更し、乾式部長さを750mmに変更した以外は実施例1と同様にして湿潤中空糸膜を得た。得られた中空糸膜は実施例1と同様にして洗浄処理を行い、60℃の温風乾燥器中で乾燥処理を行った。得られた中空糸膜の含水率は3.4質量%、内径は199.9μm、膜厚は29.7μmであった。得られた中空糸膜束および血液浄化器の特性を表1に示す。比較例1の中空糸膜は残血性が悪かったが、これは内表面の表面近傍層のPVPの含有量が低いためと推測する。
(比較例2)
実施例1と同様にして調製した製膜溶液を100μmのフィルターに通した後、50℃に加温したチューブインオリフィスノズルから中空形成剤として予め−700mmHgで2時間脱気処理した55質量%DMAc水溶液を用いて同時に吐出、紡糸管により外気と遮断された600mmの乾式部を通過後、濃度10質量%、60℃のDMAc水溶液中で凝固させた。使用したチューブインオリフィスノズルのノズルスリット幅は、平均100μmであり、最大110μm、最小90μm、スリット幅の最大値、最小値の比は1.22、ノズルの中心吐出孔径は180μm、ドラフト比は2.45であった。得られた中空糸膜は40℃の水洗槽を45秒間通過させ溶媒と過剰の親水性高分子を除去した後、湿潤状態のまま巻き上げ空気中で50℃で乾燥した。得られた中空糸膜の内径は198.9μm、膜厚は29.7μmであった。中空糸膜中の親水性高分子の質量割合を測定したところ、7.4質量%であった。得られた中空糸膜束および血液浄化器の特性を表1に示す。本比較例で得られた中空糸膜は、内表面の最表層のPVP含有量が高くPVPの溶出量が高かった。また、中空糸膜外表面の親水性高分子含量が多いためエンドトキシンの血液側への透過がみられた。
(比較例3)
比較例2において、熱水洗浄回数を6hrに変更する以外は、比較例2と同様にして中空糸膜束および血液浄化器を得た。得られた中空糸膜束および血液浄化器の特性を表1に示す。本比較例で得られた中空糸膜束は、外表面の最表層のPVPの含有量が低く、外表面の親水性が低いためプライミング性が劣っていた。
(比較例4)
実施例1において、ポリエーテルスルホン(住化ケムテックス社製、スミカエクセル(R)4800P)30.0質量%、ポリビニルピロリドン(BASF社製コリドン(R)K−90)7.0質量%、ジメチルアセトアミド(DMAc)60.0質量%、RO水3.0質量%にした以外は、実施例1と同様にして中空糸膜および血液浄化器を得た。得られた中空糸膜束および血液浄化器の特性を表1に示す。この膜では凝集粒子は観察されなかった。
(実施例2)
ポリエーテルスルホン(住化ケムテックス社製、スミカエクセル(R)4800P)18.8質量%、ポリビニルピロリドン(BASF社製コリドン(R)K−90)5.2質量%、DMAc72.0質量%、水4質量%を50℃で溶解し、ついで真空ポンプを用いて系内を−700mmHgまで減圧した後、溶媒等が揮発して製膜溶液組成が変化しないように直ぐに系内を密閉し10分間放置した。この操作を3回繰り返して製膜溶液の脱泡を行った。得られた製膜溶液を15μm、15μmの2段のフィルターに通した後、70℃に加温したチューブインオリフィスノズルの外側スリットより吐出すると同時に、内部凝固液として予め−700mmHgで2時間脱気処理した10℃の55質量%DMAc水溶液を内液吐出孔より吐出し、紡糸管により外気と遮断された330mmのエアギャップ部を通過後、60℃の水中で凝固させた。使用したチューブインオリフィスノズルのノズルスリット幅は、平均45μmであり、最大45.5、最小44.5μm、スリット幅の最大値、最小値の比は1.02、ノズルの中心吐出孔径は100μm、ドラフト比は1.06、乾式部の絶対湿度は0.12kg/kg乾燥空気であった。凝固浴から引き揚げられた中空糸膜は90℃の水洗槽を30秒間通過させ溶媒と過剰の親水性高分子を除去した後巻き上げた。該中空糸膜約10,000本の束の周りに実施例1と同様のポリエチレン製のフィルムを巻きつけた後、30℃の40vol%イソプロパノール水溶液で30分×2回浸漬洗浄し、水に置換した。
得られた湿潤状態の中空糸膜束を600rpm×5min間遠心脱液を行い、乾燥装置内の回転テーブルに48本×2段にセットし、初期7kWのマイクロ波を照射するとともに乾燥装置内を5kPaに減圧し65分間乾燥処理を行った。続いてマイクロ波出力3.5kW、減圧度5kPaにて50分間乾燥処理を行った。さらにマイクロ波出力を2.5kWに落として同様に10分間乾燥処理を行い終了した。乾燥処理中の中空糸膜束表面の最高到達温度は65℃で含水率は平均2.8質量%であった。紡糸工程中の糸道変更のためのローラーは表面が鏡面加工されたものを使用し、固定ガイドは表面が梨地処理されたものを使用した。得られた中空糸膜の内径は200.2μm、膜厚は29.1μmであった。
このようにして得られた中空糸膜を用いて血液浄化器を組み立て、リークテストを行った結果、中空糸同士の固着に起因するような接着不良は認められなかった。
該血液浄化器は親水性高分子の架橋処理を行わずに以降の分析に供した。γ線未照射の血液浄化器より中空糸膜を切り出し、溶出物試験に供したところ、PVP溶出量は7ppmと良好であった。また、外表面を顕微鏡にて観察したところ傷等の欠陥は観察されなかった。
牛血液を用いた血液リークテストでは血球リークはみられなかった。また、エンドトキシン透過試験の結果、中空糸外側から中空糸内側にろ過されたエンドトキシンは検出限界以下であり、問題ないレベルであった。その他の分析結果を表1に示した。
(比較例5)
ポリエーテルスルホン(住化ケムテックス社製、スミカエクセル(R)7800P)23質量%、PVP(BASF社製コリドン(R)K−30)7質量%、DMAc67.5質量%、水2.5質量%を50℃で溶解し、ついで真空ポンプを用いて系内を−450mmHgまで減圧した後、溶媒等が揮発して製膜溶液組成が変化しないように直ぐに系内を密閉し30分間放置した。この操作を2回繰り返して製膜溶液の脱泡を行った。得られた製膜溶液を30μm、30μmの2段のフィルターに通した後、50℃に加温したチューブインオリフィスノズルの外側スリットより吐出すると同時に、チューブインオリフィスノズルの内液吐出孔より内部凝固液として予め減圧脱気した50℃の50質量%DMAc水溶液を吐出し、紡糸管により外気と遮断された350mmのエアギャップ部を通過後、50℃水中で凝固させた。チューブインオリフィスノズルの内液吐出孔より内部凝固液として予め減圧脱気した50℃の50質量%DMAc水溶液を吐出し、紡糸管により外気と遮断された350mmのエアギャップ部を通過後、50℃水中で凝固させた。使用したチューブインオリフィスノズルのノズルスリット幅は、平均45μmであり、最大45.5μm、最小44.5μm、スリット幅の最大値、最小値の比は1.02、ノズルの中心吐出孔径は100μm、ドラフト比は1.06、乾式部の絶対湿度は0.07kg/kg乾燥空気であった。凝固浴から引き揚げられた中空糸膜は85℃の水洗槽を45秒間通過させ溶媒と過剰の親水性高分子を除去した後巻き上げた。得られた10,000本の中空糸膜束は洗浄を行わず、そのまま60℃で20時間乾燥した。乾燥後の中空糸膜束には固着が観察され、血液浄化器を組立てる際、端部接着樹脂が中空糸膜間にうまく入らず血液浄化器を組み立てることが出来なかった。分析結果を表1に示した。
本発明のポリスルホン系中空糸膜は、安全性や性能の安定性が高く、かつモジュール組み立て性に優れており、さらに血液透析中の経時変化が少なく、慢性腎不全の治療に用いる高透水性能を有する中空糸型血液浄化器用として好適であり産業界に寄与することが大である。

Claims (11)

  1. ポリスルホン系樹脂および親水性高分子を主成分としてなる中空糸膜において、下記(イ)〜(ハ)を同時に満たすことを特徴とするポリスルホン系選択透過性中空糸膜。
    (イ)該中空糸膜における血液接触側表面の最表層の親水性高分子の含有量が、該血液接触側表面の表面近傍層の親水性高分子の含有量に対して1.1倍以上である。
    (ロ)該中空糸膜における血液接触側と反対表面の最表層の親水性高分子の含有量が、血液接触側表面の最表層の親水性高分子の含有量に対して1.1倍以上である。
    (ハ)該中空糸膜において、少なくとも血液接触側表面に緻密層を有し、該緻密層が平均直径20〜200nmの凝集粒子の集合体からなり、該凝集粒子の表面に親水性高分子が濃縮している。
  2. ポリスルホン系中空糸膜における血液接触側表面の最表層とは血液接触表面より深さが10nmまでの層とし、表面近傍層とは血液接触表面より深さが1000〜1500nm(1〜1.5μm)までの層とすることを特徴とする請求項1に記載のポリスルホン系選択透過性中空糸膜。
  3. ポリスルホン系中空糸膜における親水性高分子の含有量が血液接触側表面の最表層で20〜40質量%、表面近傍層で5〜20質量%、および血液接触側と反対表面の最表層で25〜50質量%であることを特徴とする請求項1あるいは2に記載のポリスルホン系選択透過性中空糸膜。
  4. ポリスルホン系樹脂99〜80質量%および親水性高分子1〜20質量%を主成分とすることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリスルホン系選択透過性中空糸膜。
  5. 親水性高分子がポリビニルピロリドンであることを特徴とする請求項1〜4いずれかに記載のポリスルホン系選択透過性中空糸膜。
  6. 親水性高分子の中空糸膜よりの溶出量が10ppm以下であることを特徴とする請求項1〜5いずれかに記載のポリスルホン系選択透過性中空糸膜。
  7. 中空糸膜外表面の開孔率が8%以上25%未満であることを特徴とする請求項1〜6いずれかに記載のポリスルホン系選択透過性中空糸膜。
  8. 前記親水性高分子は架橋され水に不溶化していることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のポリスルホン系選択透過性中空糸膜。
  9. 該緻密層を形成する凝集粒子の粒度分布において、標準偏差値が平均値の0.5倍未満であることを特徴とする請求項1〜8いずれかに記載のポリスルホン系選択透過性中空糸膜。
  10. 該中空糸膜をハウジングした膜面積1.5m2の血液浄化器に、ヘマトクリット(Ht)40±2.0%、総タンパク濃度6.5±0.5g/dlに調整した牛血液を300ml/minで流し、濾過速度90ml/minで血液濾過開始後15分および120分後のβ2−マイクログロブリンの篩い係数を、それぞれSCβ2MG(15分)およびSCβ2MG(120分)としたとき、SCβ2MG(120分)/SCβ2MG(15分)≧0.6であることを特徴とする請求項1〜9いずれかに記載のポリスルホン系選択透過性中空糸膜。
  11. 該中空糸膜をハウジングした膜面積1.5m2の血液浄化器に、ヘマトクリット(Ht)40±2.0%、総タンパク濃度6.5±0.5g/dlに調整した牛血を300ml/minで流し、濾過速度90ml/minで血液濾過開始後15分後の牛血清アルブミンの篩い係数が0.1以下であることを特徴とする請求項1〜10いずれかに記載のポリスルホン系選択透過性中空糸膜。
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