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JP2005344045A - ポリアリーレンスルフィドの製造方法 - Google Patents

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JP2005344045A
JP2005344045A JP2004166983A JP2004166983A JP2005344045A JP 2005344045 A JP2005344045 A JP 2005344045A JP 2004166983 A JP2004166983 A JP 2004166983A JP 2004166983 A JP2004166983 A JP 2004166983A JP 2005344045 A JP2005344045 A JP 2005344045A
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Satoshi Inoue
井上  敏
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Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
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Abstract

【課題】重合時に重合助剤を用いず、重合工程の途中において重合系の水分量をコントロールする必要のない簡便なポリアリーレンスルフィド樹脂の製法において、ポリアリーレンスルフィド樹脂の性状を一定にし、生成ポリマーの回収時におけるろ過性能を向上させることで後処理工程時間が短縮されるポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法を提供する。
【解決手段】有機アミド系溶媒中、スルフィド化剤とジハロ芳香族化合物とを反応させてポリアリーレンスルフィドを製造する際に、リチウムを除くアルカリ金属ハロゲン化物を添加することを特徴とするポリアリーレンスルフィドの製造方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ポリフェニレンスルフィド(以下、PPSと略称する。)に代表されるポリアリーレンスルフィド(以下、PASと略称する。)の製造方法に関する。特に、反応スラリーのろ過性能を向上させることで後処理工程時間が短縮されるポリアリーレンスルフィドの製造方法に関する。
PASを製造する方法としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドンなどの有機溶媒中で、硫化ナトリウム等のスルフィド化剤とp−ジクロルベンゼン等のジハロ芳香族化合物とを反応させる方法を基本とし、重合反応時に重合助剤としてアルカリ金属カルボン酸塩を用いる方法、重合反応を二段階で行い、第二段階の反応において積極的に多量の水を添加する方法、あるいは重合反応中、反応缶の気相部分を冷却することにより反応缶内の気相の一部を凝縮させ、これを液相に還流せしめる方法等が一般的である。
これらの方法においては、有機アミド溶媒中でスルフィド化剤とジハロ芳香族化合物とを約180〜280℃の温度範囲内で反応させPASを製造している。しかし、該反応は急激な発熱反応を伴い、望ましくない副反応等が生じ易く、その場合は、得られるPAS粒子の形状が一定とならず、得られたPASスラリーをろ別し、水洗ろ過を繰返して行うことによりPASを分離するプロセスにおいては、時間がかかり過ぎて経済的なプロセスとなり得ない場合があった。
上記の課題を解決するために、PASスラリーのろ過性能を向上させることが試みられている。例えば、反応缶の気相部分を冷却することにより反応缶の気相の一部を凝縮させ、これを液相に還流せしめ、かつ反応系の180〜275℃の範囲における反応温度までの昇温速度を平均0.01〜1.0℃/分にすることで粒子性状が安定したPASポリマーが得られ反応スラリーのろ過性能を改善する方法が挙げられている(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、この方法は、高いろ過性能を得るために昇温速度を小さくする必要があるため、昇温速度の注意深い制御が必要となる。
また、PASを製造する方法において、重合工程における撹拌翼の撹拌動力を0.2〜1.0kW/mにすることにより、析出するPASポリマー粒子の粒径を大きくする方法が挙げられている(例えば、特許文献2参照。)。しかしながら、この方法では粒径を大きくするために撹拌動力を小さくするため、冷却してPASポリマーを晶析させる方法においては、反応缶に析出したPASポリマーが多量に付着し、次の反応に悪影響を及ぼす場合があり、好ましくない。
特開2002−3603号公報 特開2003−26803号公報
本発明の目的は、重合時に重合助剤を用いなくても、重合工程の途中において重合系の水分量をコントロールする必要のない簡便なPAS樹脂の製法において、PAS樹脂の性状を一定にし、生成ポリマーの回収時におけるろ過性能を向上させることで後処理工程時間が短縮されるPAS樹脂の製造方法を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、以下の知見を得た。
(1)有機アミド系溶媒中、スルフィド化剤とジハロ芳香族化合物とを反応させてPASを製造する際に、リチウムを除くアルカリ金属ハロゲン化物を添加すると、添加されたリチウムを除くアルカリ金属ハロゲン化物が、重合反応の進行とともに生成、析出するアルカリ金属ハロゲン化物粒子を大きく成長させる。
(2)この状態で、反応後に冷却してPASを晶析させると、前記アルカリ金属ハロゲン化物粒子を種としてPASが析出し、成長するため、PAS粒子径が大きくなり、後処理工程におけるろ過性が向上する。
(3)この結果、PAS樹脂の生産性を改善することができる。
本発明は、このような知見に基づくものである。すなわち、本発明は、有機アミド系溶媒中、スルフィド化剤とジハロ芳香族化合物とを反応させてPASを製造する際に、リチウムを除くアルカリ金属ハロゲン化物を添加することを特徴とするPASの製造方法を提供する。
本発明のPAS樹脂の製造方法は、重合助剤を用いることもなく、反応途中に反応系に水を加えることもなく、簡便な方法で、反応スラリーのろ過性を大幅に改善することにより、後工程時間が短時間で実施できるため、生産性が向上し、経済的に有利な方法である。
本発明のPAS樹脂の製造方法は、通常、スルフィド化剤とジハロ芳香族化合物とを反応させるPASの重合法ではPASの生成とともにアルカリ金属ハロゲン化物が生成する。アルカリ金属ハロゲン化物の生成時にアルカリ金属ハロゲン化物を添加することで、添加したアルカリ金属ハロゲン化物が種結晶となり、重合反応の進行とともに生成、析出するアルカリ金属ハロゲン化物の粒子を大きく成長させる。反応後に冷却してPASを晶析させると、アルカリ金属ハロゲン化物を種としてPASが析出し、成長するため、PAS粒子径が大きくなり、後処理工程におけるろ過性が向上すると考えられる
本発明のPASの重合方法は、有機アミド系溶媒中、スルフィド化剤とジハロ芳香族化合物を反応させてPASを製造する方法において、リチウムを除くアルカリ金属ハロゲン化物を添加することにより、得られるPASの粒径を大きく、PASスラリーのろ過性能を改善するものである。以下に各要件について説明する。
1.リチウムを除くアルカリ金属ハロゲン化物
本発明で使用するリチウムを除くアルカリ金属ハロゲン化物としては、特に制限はない。例えば、フッ化ナトリウム、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、フッ化カリウム、塩化カリウム、臭化カリウム、ヨウ化カリウム等、フッ化ルビジウム、塩化ルビジウム、臭化ルビジウム、ヨウ化ルビジウム、フッ化セシウム、塩化セシウム、臭化セシウム、ヨウ化セシウムが挙げられ、好ましくは、使用するジハロ芳香族化合物と同じハロゲンを有するアルカリ金属ハロゲン化物、または使用するスルフィド化剤と同じアルカリ金属を有するアルカリ金属ハロゲン化物が挙げられる。より好ましくは、使用するジハロ芳香族化合物と同じハロゲンを有し、使用するスルフィド化剤と同じアルカリ金属を有するアルカリ金属ハロゲン化物が挙げられる。特にPASの製造法において最も好ましく用いられるのは、ジハロ芳香族化合物にpジクロロベンゼンを用い、スルフィド化剤に硫化ナトリウムおよび/または水硫化ナトリウム/水酸化ナトリウムを用いた場合には、アルカリ金属ハロゲン化物として塩化ナトリウムが好ましい。
この際、ハロゲン化リチウムを除くアルカリ金属ハロゲン化物は、有機アミド系溶媒には不溶であるので特に制限なく用いることができる。また、上記アルカリ金属ハロゲン化物は単独で用いても良いし、2種類以上を併用しても良い。
なお、ハロゲン化リチウムは有機アミド系溶媒に溶解し、相分離剤として働くため、PASの微粒子と粗大粒子とが生成し、ろ過性の低下を引き起こし好ましくない。
前記リチウムを除くアルカリ金属ハロゲン化物の添加量は、PAS粒径の増大効果が顕著で、ろ過性の向上に優れていることから0.01モル%以上が好ましく、PAS粒径の増大が充分に達成されていることから20モル%以下が好ましく、さらに好ましくは0.5〜5モル%の範囲である。
なお、スルフィド化剤として、リチウム塩を用いる場合は、リチウムを除くアルカリ金属ハロゲン化物を選択する必要があるが、この場合のリチウムを除くアルカリ金属ハロゲン化物の添加量は、前述の範囲よりも多めにしてもよい。
リチウムを除くアルカリ金属ハロゲン化物の添加時期はスルフィド化剤の脱水開始時、あるいは脱水途中、あるいは脱水終了後、ジハロ芳香族化合物を添加して反応を開始する前、あるいは反応途中、あるいは反応終了時。あるいは反応終了後のPAS晶析前の任意の時点に行うことができる。
前記の添加時期の中でも、添加されたハロゲン化リチウムを除くアルカリ金属ハロゲン化物を種結晶として、反応の進行とともに副生する塩化ナトリウム等の塩の粒子を成長させるので、より大きいPAS粒子を得るためには、アルカリ金属ハロゲン化物を反応開始以前に添加するのが好ましい。また、ハロゲン化リチウムを除くアルカリ金属ハロゲン化物の添加は1度に添加する量のすべてを添加しても良いし、任意の回数に分割して、添加時期を違えて添加しても良い。
2.有機アミド系溶媒
本発明において使用する有機アミド系溶媒としては、PAS重合のために知られており、例えばN−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPと記す。)、N−エチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチル(又はジエチル)アセトアミド、N−メチル(又はエチル)カプロラクタム、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ホルムアミド、アセトアミド、ヘキサメチルホスホルアミド、テトラメチルウレア、N,N’−エチレン−2−ピロリドン、2−ピロリドン、ε−カプロラクタム、ジフェニルスルホン等及びこれらの混合物を使用でき、中でもNMPが好ましい
3.スルフィド化剤
スルフィド化剤としてはアルカリ金属硫化物、アルカリ金属水硫化物、あるいはこれらの混合物等が挙げられる。
前記アルカリ金属硫化物としては、例えば、硫化リチウム、硫化ナトリウム、硫化カリウム、硫化ルビジウム、硫化セシウム等が挙げられるが、これらはそれぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。また、上記硫化アルカリ金属は無水物、水和物、水溶液のいずれを用いてもよい。上記硫化アルカリ金属の中では硫化ナトリウムと硫化カリウムが好ましく、特に硫化ナトリウムが好ましい。これら硫化アルカリ金属は、例えば、水硫化アルカリ金属とアルカリ金属塩基、硫化水素とアルカリ金属塩基とを反応させることによっても得られるが、反応系外で調製されたものを用いてもかまわない。
アルカリ金属水硫化物としては、例えば水硫化リチウム、水硫化ナトリウム、水硫化カリウム、水硫化ルビジウム、水硫化セシウム等が挙げられるが、これらはそれぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。また、上記水硫化アルカリ金属は、無水物、水和物、水溶液のいずれを用いてもよい。上記水硫化アルカリ金属の中では水硫化ナトリウムと水硫化カリウムが好ましく、特に水硫化ナトリウムが好ましい。これら水硫化アルカリ金属は、硫化水素とアルカリ金属塩基とを反応させることによっても得られるが、反応系外で調製された物を用いてもかまわない。
アルカリ金属塩基としては、例えば水酸化アルカリ金属があげられる。水酸化アルカリ金属としては、例えば水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム等が挙げられるが、これらはそれぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。上記水酸化アルカリ金属化合物の中では水酸化リチウムと水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムが好ましく、特に水酸化ナトリウムが好ましい。
なお上記のいずれの場合にも、硫化アルカリ金属、水硫化アルカリ金属中に微量存在する不純物を除去するために、アルカリ金属塩基を少量過剰に加えてもさしつかえない。
上記スルフィド化剤は無水物でもかまわないが、入手の容易性と反応の制御性等から含水物が好ましく、無水物を使用する場合には、水を加えて用いる。スルフィド化剤としては、例えば硫化リチウム、硫化ナトリウム(NaS)、硫化カリウム、硫化ルビジウム、硫化セシウム及びこれらの混合物である。これらのアルカリ金属硫化物は、水和物及び水溶液であっても良い。又、これらにそれぞれ対応する水硫化物及び水和物を、それぞれに対応する水酸化物で中和して用いることができる。これらのアルカリ金属硫化物の中では、硫化ナトリウムが安価であって工業的には好ましい。
4.ジハロ芳香族化合物
ジハロ芳香族化合物としては、p−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、2,5−ジクロロトルエン、p−ジブロモベンゼン、1,4−ジクロロナフタレン、1−メトキシ−2,5−ジクロロベンゼン、4,4’−ジクロロビフェニル、4,4’−ジブロモビフェニル、2,4−ジクロロ安息香酸、2,5−ジクロロ安息香酸、3,5−ジクロロ安息香酸、2,4−ジクロロアニリン、2,5−ジクロロアニリン、3,5−ジクロロアニリン、4,4’−ジクロロフェニルエーテル、4,4’−ジクロロジフェニルスルホキシド、4,4’−ジクロロフェニルケトン、およびこれらに類するものならびにそれらの混合物が含まれる。なかでもp−ジクロロベンゼンに代表されるp−ジハロベンゼンを主成分とするものが好ましい。
本発明のポリアリーレンスルフィドの製造方法においては、必要に応じて、PASの分子量をより大きくするために、1分子当り3個以上のハロゲン置換基を有する、例えば、1,3,5−トリクロロベンゼン、1,2,4−トリクロロベンゼン等のポリハロ芳香族化合物を用いることができる。ポリハロ芳香族化合物は、アルカリ金属硫化物1モルに対して好ましくは0.005〜1.5モル%、特に好ましくは0.02〜0.75モル%の量で使用するのが好ましい。
5.重合反応
有機アミド系溶媒中でアルカリ金属硫化物とジハロ芳香族化合物とを反応させてPASを製造する方法は特に制限されない。例えば、特公昭45‐3368号公報に記載の方法、特公昭52‐12240号公報記載のアルカリ金属カルボン酸塩を使用する方法、米国特許第4038263号明細書に記載のハロゲン化リチウム等の重合助剤を使用する方法、特公昭54‐8719号公報に記載のポリハロ芳香族化合物等の架橋剤を使用する方法、特公昭63‐33775号公報に記載の異なる水の存在量下、多段階反応を使用する方法等により製造し得る。
前記の方法の中で好ましい方法は、特開平5‐222196号公報に記載された、有機アミド系溶媒中でアルカリ金属硫化物とジハロ芳香族化合物とを反応させてPASを製造する方法において、反応中に反応缶の気相部分を冷却することにより反応缶内の気相の一部を凝縮させ、これを液相に還流せしめる方法を使用することができる。該方法を使用することにより、比較的溶融粘度の高いPASを製造することができ、従って、引張強度、衝撃強度等の機械的強度の高いPASを得ることができるため好ましい。
該方法において、還流される液体は、水とアミド系溶媒の蒸気圧差の故に、液相バルクに比較して水含有率が高い。この水含有率の高い還流液は、反応溶液上部に水含有率の高い層を形成する。その結果、残存のアルカリ金属硫化物(例えばNaS)、ハロゲン化アルカリ金属(例えばNaCl)、オリゴマー等が、その層に多く含有されるようになる。従来法においては230℃以上の高温下で、生成したPASとNaS等の原料及び副生成物とが均一に混じりあった状態では、高分子量のPASが得られないばかりでなく、せっかく生成したPASの解重合も生じ、チオフェノールの副生成が認められる。しかし、本発明では、反応缶の気相部分を積極的に冷却して、水分に富む還流液を多量に液相上部に戻してやることによって上記の不都合な現象が回避でき、反応を阻害するような因子を真に効率良く除外でき、高分子量PASを得ることができるものと思われる。但し、本発明は上記現象による効果のみにより限定されるものではなく、気相部分を冷却することによって生じる種々の影響によって、高分子量のPASが得られるのである。
該方法においては、従来法のように反応の途中で水を添加することを要しない。しかし、水を添加することを全く排除するものではない。但し、水を添加する操作を行えば、本発明の利点のいくつかは失われる。従って、好ましくは、重合反応系内の全水分量は反応の間中一定である。
反応缶の気相部分の冷却は、外部冷却でも内部冷却でも可能であり、自体公知の冷却手段により行える。たとえば、反応缶内の上部に設置した内部コイルに冷媒体を流す方法、反応缶外部の上部に巻きつけた外部コイルまたはジャケットに冷媒体を流す方法、反応缶上部に設置したリフラックスコンデンサーを用いる方法、反応缶外部の上部に水をかける又は気体(空気、窒素等)を吹き付ける等の方法が考えられるが、結果的に缶内の還流量を増大させる効果があるものならば、いずれの方法を用いても良い。外気温度が比較的低いなら(たとえば常温)、反応缶上部に従来備えられている保温材を取外すことによって、適切な冷却を行うことも可能である。外部冷却の場合、反応缶壁面で凝縮した水/アミド系溶媒混合物は反応缶壁を伝わって液相の上層に入る。従って、該水分に富む混合物は、液相上部に溜り、そこの水分量を比較的高く保つ。内部冷却の場合には、冷却面で凝縮した混合物が同様に冷却装置表面又は反応缶壁を伝わって液相中に入る。
一方、液相バルクの温度は、所定の一定温度に保たれ、あるいは所定の温度プロフィールに従ってコントロールされる。一定温度とする場合、230〜275℃の温度で0.1〜20時間反応を行うことが好ましい。より好ましくは、240〜265℃の温度で1〜6時間である。より高い分子量のPASを得るには、2段階以上の反応温度プロフィールを用いることが好ましい。この2段階操作を行う場合、第1段階は195℃以上で行うことが、反応速度が小さすぎず、実用的ことから好ましく、充分に高分子量なPASが得られ、副反応速度が増大しないことから240℃以下の温度で行うことが好ましい。更に、210〜240℃が特に好ましい。第1段階の終了は、重合反応系内ジハロ芳香族化合物残存率は、最終的に高分子量PASが得やすいことから1モル%以上が好ましく、第2段階の反応で解重合など副反応が生じにくいことから、40モル%以下が好ましい。加えて、分子量が3,000〜20,000の範囲内の時点で行うことが好ましい。これらの中でも、より好ましくは、重合反応系内ジハロ芳香族化合物残存率が2モル%〜15モル%、且つ分子量が5,000〜15,000の範囲である。その後昇温して、最終段階の反応を240〜270℃で、1時間〜10時間行うことが好ましい。前記温度範囲は、反応温度240℃以上であることが、充分に高分子量化したPASを得やすいことから好ましく、解重合等の副反応が生じにくく、安定的に高分子量物を得やすいことから270℃以下で反応することが好ましい。
実際の操作としては、先ず不活性ガス雰囲気下で、重合系の水分量が所定の量となるよう、必要に応じて脱水または水添加する。水分量は、好ましくは、アルカリ金属硫化物1モル当り0.5〜1.7モル、特に0.8〜1.2モルとする。1.7モルを超えると、副反応の発生が著しくなり、系内水分量の増加とともに、反応性生物中のフェノール等の副生成物が増大する。0.5モル未満では、反応速度が速すぎ、充分な高分子量の物を得ることができないと共に、副反応等の好ましくない反応が生ずる。
反応時の気相部分の冷却は、一定温度での1段反応の場合では、反応開始時から行うことが望ましいが、少なくとも250℃以下の昇温途中から行わなければならない。多段階反応では、第1段階の反応から冷却を行うことが望ましいが、遅くとも第1段階反応の終了後の昇温途中から行うことが好ましい。冷却効果の度合いは、通常反応缶内圧力が最も適した指標である。圧力の絶対値については、反応缶の特性、攪拌状態、系内水分量、ジハロ芳香族化合物とスルフィド化剤とのモル比等によって異なる。しかし、同一反応条件下で冷却しない場合に比べて、反応缶圧力が低下すれば、還流液量が増加して、反応溶液気液界面における温度が低下していることを意味しており、その相対的な低下の度合いが水分含有量の多い層と、そうでない層との分離の度合いを示していると考えられる。そこで、冷却は反応缶内圧が、冷却をしない場合と比較して低くなる程度に行うのが好ましい。冷却の程度は、都度の使用する装置、運転条件などに応じて、当業者が適宜設定できる。
得られたPASは、気相酸化性雰囲気下、PASの融点未満の温度で加熱処理しても良い。熱処理温度は、好ましくは180〜270℃、特に好ましくは200〜270℃である。該温度が上記下限未満では、硬化速度が不充分で加熱処理に要する時間が増加し、上記上限を超えては、硬化速度が高くなり過ぎて溶融粘度の制御ができず、またPASのゲルを生じる。また、加熱処理に要する時間は、上記の加熱処理温度等により異なるが、好ましくは0.5〜300時間、特に好ましくは1〜96時間である。該時間が上記下限未満では、熱処理による効果が充分に得られず、上記上限を超えてはPAS粒子同士が融着しやすくなり、2次粒子が著しく大きくなったり、容器缶壁への付着が生じたりして好ましくない。
該加熱処理は、好ましくは空気、純酸素等又はこれらと任意の適当な不活性ガスとの混合物のような酸素含有ガスの気相酸化性雰囲気下で実施される。不活性ガスとしては、水蒸気、窒素、二酸化炭素等又はそれらの混合物が挙げられる。上記ガスの酸素含有ガス中の酸素の濃度は、好ましくは0.5〜50体積%、特に好ましくは10〜25体積%である。該酸素濃度が、上記上限を超えてはラジカル発生量が増大し、溶融時の増粘が著しくなり、また色相が暗色化して好ましくなく、上記下限未満では、熱酸化速度が遅くなり好ましくない。
6.ポリアリーレンスルフィドの回収(後処理)
本発明の方法では、上記のようにして得られたPASスラリーからのポリアリーレンスルフィドの回収は、常法にしたがって行うことができる。例えば、PASスラリーをろ過し、溶媒を含むPASケーキを得、該PASケーキを、窒素ガス気流中、好ましくは150〜250℃の温度で、好ましくは10分間〜24時間加熱して、得られたPAS粉末に水洗浄/ろ過を数回繰り返した後、乾燥してPASを得る溶媒乾燥処理法によりPASを得ることができる。あるいは、PASスラリーをろ過し、溶媒を除去後、水洗浄・/ろ過を数回繰り返した後、乾燥してPASを得る直接水洗処理法によりPASを得ることができる。
また、特開平10−130388号に記載された反応後のPASスラリーに酸及び/又は水溶液中で酸性を示す塩を添加して酸処理しても良い。反応後のPASスラリーに添加される酸又は水素塩の量は、酸又は水素塩添加後のPASスラリーのpHが7.0〜11.0となるような量である。好ましくは該スラリーのpHが7.5〜10.0となるように添加される。該スラリーのpHが7.0未満では、得られたPASの分子量の低下を生じるため好ましくなく、また、PASの白色度の向上を図ることもできない。pHが11.0を超えては、結晶化温度Tcを高めることができず、また、PASの白色度も低い。該酸又は水素塩の添加量は、上記のようにPASスラリーのpHが7.0〜11.0となるような量であればよく、用いられる酸又は水素塩の種類、若しくは反応後のPASスラリーのpH等に依存するが、仕込みアルカリ金属硫化物1モルに対して、上限が好ましくは10モル%、特に好ましくは6.0モル%であり、下限が好ましくは0.2モル%、特に好ましくは0.5モル%である。
使用する酸としては特に制限はない。例えば酢酸、ギ酸、シュウ酸、フタル酸、塩酸、リン酸、硫酸、亜硫酸、硝酸、ホウ酸、炭酸等が使用される。また、水溶液中で酸性を示す塩も使用することができ、好ましくは塩化亜鉛、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化バリウム、硫酸水素ナトリウム等が挙げられる。実機での使用においては、金属部材への腐食が少ない有機酸が好ましい。
反応後のPASスラリーに酸及び/又は水溶液中で酸性を示す塩を添加する方法としては、公知の方法を使用することができる。例えば、反応終了後冷却したスラリー中に所定量の酸及び/又は上記の塩を添加し、攪拌する方法が挙げられる。ここで、酸及び/又は塩を添加する際のPASスラリーの温度は、好ましくは室温〜200℃であり、特に好ましくは50〜180℃である。200℃を超えての添加では、溶媒等との副反応が生じ易く、室温未満では、PASスラリーの流動性が極めて悪く充分に混合できない。添加後、PASスラリーと酸及び/又は塩とを均一に混合するため、好ましくは10分〜48時間、特に好ましくは30分〜36時間攪拌を継続することが好ましい。本発明の方法により製造されたPASは、粒径が増大しており、ろ過性能が優れている。
7.生成PAS
本発明の方法で得られたPASは粒子性状が優れ、成形加工する際には、慣用の添加剤、例えばカーボンブラック、炭酸カルシウム、シリカ、酸化チタン等の粉末状充填剤、又は炭素繊維、ガラス繊維、アスベスト繊維、ポリアラミド繊維等の繊維状充填剤を混入することができる。更に、必要に応じて、酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、離型剤、着色剤等の添加剤を配合することもできる。
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれら実施例により限定されるものではない。なお、実施例における試験方法は、以下の通りである。
(A)ろ過性:重合後に得られた反応スラリー100gを50℃に加熱した後、電動ポンプを用いて3.3×10Paの条件で直径60mm、保留サイズ1μmのろ紙を用いて減圧ろ過を行った。この時のろ過が終了するまでのろ過時間とろ液量を計測し、下記式により、ろ過性を求めた。ろ過性(g/sec)=ろ液量(g)/ろ過時間(sec)
(B)溶融粘度:島津製作所製フローテスター、CFT−500Cを用い、300℃、荷重=1.96×10Pa、L/D=10/1で6分間保持した後に測定した粘度(ポイズ)である。
(C)粒度分布:湿式粒度分布測定装置(日機装(株)製マイクロトラックSRA)を用いて、得られた反応スラリーの粒度分布測定を行い、平均粒径を求めた。
実施例1
150リットルオートクレーブに、フレーク状硫化ソーダ(60.75重量%NaS)15.415kgと塩化ナトリウム7g(硫化ソーダ1モルに対して0.1モル%)とN−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPと略すことがある)38.0kgを仕込んだ。窒素気流下攪拌しながら215℃まで昇温して、水3.529kgを留出させた(硫化ソーダ1モル当たり水1.17モル)。その後、オートクレーブを密閉して180℃まで冷却し、パラジクロロベンゼン(以下、p−DCBと略すことがある)17.913kg及びNMP16.0kgを仕込んだ。液温150℃で窒素ガスを用いて9.8×10Paに加圧して昇温を開始し、液温250℃になった時点でオートクレーブ上部への散水を開始した。該温度で2時間保持して反応を行った。反応終了後、散水を止めて、室温にまで冷却した。得られた反応スラリーを一部サンプリングして、ろ過性と粒度分布の測定を行った。残りの反応スラリーは、ろ過して溶媒を除去し、次に常法により水洗浄、ろ過を7回繰り返した後、120℃で約8時間、熱風循環乾燥機中で乾燥し、粉末状のポリマーを得た。ポリマーの溶融粘度、ろ過速度、ポリマーの平均粒径を表1に示す。
実施例2
塩化ナトリウムを70g(硫化ソーダ1モルに対して1.0モル%)用いた以外は実施例1と同様に行った。ポリマーの溶融粘度、ろ過速度、ポリマーの平均粒径を表1に示す。
実施例3
塩化ナトリウムを1.192kg(硫化ソーダ1モルに対して17.0モル%)用いた以外は実施例1と同様に行った。ポリマーの溶融粘度、ろ過速度、ポリマーの平均粒径を表1に示す。
実施例4
塩化ナトリウムに代えて20重量%塩化ナトリウム水溶液1.753kg(硫化ソーダ5.0モルに対して5モル%)を用い、水を4.866kgを留出させた(硫化ソーダ1モル当たり水1.2モル)以外は実施例1と同様に反応を行った。ポリマーの溶融粘度、ろ過速度、ポリマーの平均粒径を表1に示す。
実施例5
150リットルオートクレーブに、フレーク状硫化ソーダ(60.75重量%NaS)15.415kgとN−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPと略すことがある)38.0kgを仕込んだ。窒素気流下攪拌しながら216℃まで昇温して、水3.680kgを留出させた(硫化ソーダ1モル当たり水1.1モル)。その後、オートクレーブを密閉して180℃まで冷却し、20%塩化ナトリウム水溶液175g(硫化ソーダ1モルに対して0.5モル%)とパラジクロロベンゼン(以下、p−DCBと略すことがある)17.913kgとNMP16.0kgを仕込んだ(系内の水は硫化ソーダ1モル当たり1.16モル)。以下の操作は実施例1と同様に行った。ポリマーの溶融粘度、ろ過速度、ポリマーの平均粒径を表2に示す。
実施例6
217℃まで昇温して、水3.766kgを留出させ(硫化ソーダ1モル当たり水1.06モル)、20%塩化ナトリウム水溶液351g(硫化ソーダ1モルに対して1.0モル%)を用いた以外は実施例5と同様に行った(系内の水は硫化ソーダ1モル当たり1.19モル)。ポリマーの溶融粘度、ろ過速度、ポリマーの平均粒径を表2に示す。
実施例7
塩化ナトリウム0.42g(硫化ソーダ1モルに対し0.006モル%)を添加した以外は実施例1と同様に行った。ポリマーの溶融粘度、ろ過速度、ポリマーの平均粒径を表2に示す。
比較例1
リチウムを除くアルカリ金属ハロゲン化物を添加しない以外は、実施例1と同様にしてポリマーを得た。ポリマーの溶融粘度、ろ過速度、ポリマーの平均粒径を表2に示す。
Figure 2005344045
Figure 2005344045
本発明は、ポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法に関し、特に反応スラリーのろ過性が優れることによる後処理工程時間が短縮されるポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法に関する。

Claims (4)

  1. 有機アミド系溶媒中、スルフィド化剤とジハロ芳香族化合物とを反応させてポリアリーレンスルフィドを製造する際に、リチウムを除くアルカリ金属ハロゲン化物を添加することを特徴とするポリアリーレンスルフィドの製造方法。
  2. リチウムを除くアルカリ金属ハロゲン化物の添加量がスルフィド化剤1モルに対して0.01〜20モル%である請求項1記載のポリアリーレンスルフィドの製造方法。
  3. リチウムを除くアルカリ金属ハロゲン化物の添加時期が、スルフィド化剤とジハロ芳香族化合物が反応を開始する前である請求項1または2記載のポリアリーレンスルフィドの製造方法。
  4. リチウムを除くアルカリ金属ハロゲン化物中アルカリ金属が、ナトリウム、カリウム、ルビジウム及びセシウムからなる群から選ばれる1種以上のアルカリ金属である請求項1記載のポリアリーレンスルフィドの製造方法。
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