JP2005342871A - スローアウェイチップ - Google Patents
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Abstract
【目的】チップの外形寸法の精度及びばらつきを良好にするとともに、切りくず処理性を良好にする。
【構成】本発明のチップ(1)は、略多角形平板状又は略円形平板状をなし、厚さ方向の上面(3)又は下面(2)の少なくとも一方の周囲に形成した切れ刃(5)に沿ってブレーカ溝(12)及び/又は突起(15)を備える。該チップ(1)の外周面(20)の表面を研削加工した研削面で形成し、一方、前記ブレーカ溝(12)及び/又は突起(15)の表面を粉末プレス成形後焼結した焼結面で形成し、さらに、平面視で前記ブレーカ溝(12)及び/又は突起(15)の内側には、前記外周面(20)の研削加工時に該チップ(1)を保持するクランプ治具(40)に当接する平坦な保持面(25)を形成するとともに、前記保持面(25)の面積を前記切れ刃(5)で囲まれた領域の面積の20%〜70%の範囲に設定する。
【選択図】図1
【構成】本発明のチップ(1)は、略多角形平板状又は略円形平板状をなし、厚さ方向の上面(3)又は下面(2)の少なくとも一方の周囲に形成した切れ刃(5)に沿ってブレーカ溝(12)及び/又は突起(15)を備える。該チップ(1)の外周面(20)の表面を研削加工した研削面で形成し、一方、前記ブレーカ溝(12)及び/又は突起(15)の表面を粉末プレス成形後焼結した焼結面で形成し、さらに、平面視で前記ブレーカ溝(12)及び/又は突起(15)の内側には、前記外周面(20)の研削加工時に該チップ(1)を保持するクランプ治具(40)に当接する平坦な保持面(25)を形成するとともに、前記保持面(25)の面積を前記切れ刃(5)で囲まれた領域の面積の20%〜70%の範囲に設定する。
【選択図】図1
Description
本発明は、旋削加工又は転削加工等の切削加工に用いられるスローアウェイチップに関する。
旋削加工又は転削加工に用いられるスローアウェイチップ(以下「チップ」という。)の多くは、図9の斜視図に例示するように、すくい面とされる上面及び/又は下面に、チップ座の底面に着座する平坦なボス面が設けられている。この種のチップにおいては、このボス面を、該チップを粉末プレス成形後焼結したままのチップや研削加工によりボス面の平坦度を高めたチップ等、いわゆる型押しブレーカ付きチップがある。この種のチップは、その上面及び/又は下面に複雑形状のブレーカ溝あるいはブレーカ突起等が形成可能なことから優れた切りくず処理性を得やすくなるため、現在多くの切削加工に用いられている。(例えば、特許文献1参照)その他には、粉末プレス成形後焼結されたチップ素材の上下面及び外周面を研削加工することにより高精度に成形された、いわゆる精密級チップがある。この種のチップでは、すくい面とされる上面及び/又は下面にブレーカ溝を形成する場合には、専用の研削砥石による研ぎ込み加工が行われている。
しかしながら、上述した型押しチップにおいては、焼結後の寸法ばらつきが大きく、また焼結時の変形が生じてしまうため外形寸法や基準内接円からコーナ部切れ刃までの寸法(以下「コーナ高さ」という。)の許容範囲が大きくなってしまう。そのため、チップのコーナチェンジ又はチップ交換の際、被削材の仕上がり寸法のばらつきが発生し、最悪の場合、被削材の不良を招いてしまうことがあった。実際には、上記の不良を避けるため、コーナチェンジ又はチップ交換のたびに、コーナチェンジ又はチップ交換直後の被削材の実際の仕上がり寸法を測定し、所望の仕上がり寸法との差を補正するために補正値や切り込み量の設定変更をする必要があった。
一方、上述した精密級チップにおいては、砥石を用いた研ぎ込み加工によりブレーカ溝を形成するため、このブレーカ溝の形状を制約されたり左勝手又は右勝手といった勝手が限定されてしまったりするので、型押しブレーカ溝付きチップにくらべ汎用性、切りくず処理性に劣り、また切りくず処理性のばらつきも大きかった。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、外形寸法の精度及びばらつきが良好であり、さらに、切りくず処理性が良好なチップを提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明は、略多角形平板状又は略円形平板状をなし、厚さ方向の上面又は下面の少なくとも一方の周囲に形成した切れ刃に沿ってブレーカ溝及び/又は突起を設けたチップにおいて、該チップの外周面の表面を研削加工した研削面で形成し、一方、前記ブレーカ溝及び/又は突起の表面を粉末プレス成形後焼結した焼結面で形成し、さらに、平面視で前記ブレーカ溝及び/又は突起の内側には、前記外周面の研削加工時に該チップを保持するクランプ治具に当接する平坦な保持面を形成するとともに、前記保持面の面積を前記切れ刃で囲まれた領域の面積の20%〜70%の範囲に設定したことを特徴とするチップである。
また、本発明は、上記のチップにおいて、略多角形状又は略円形状をなす上面の中央部に、上下面を貫通する取付け孔を設けてもよい。この場合には、ブレーカ溝及び/又はブレーカ突起の内側且つ前記取付け孔の開口部周縁の周囲に、平坦な保持面を形成するとともに、前記保持面の面積を前記切れ刃で囲まれた領域の面積の20%〜70%の範囲に設定したことを特徴とするものである。なお、前記保持面を前記開口部周縁に連なって設けてもよいし、又は、前記開口部周縁から離間して設けてもよい。
上述した本発明において、切れ刃から連なるランドを前記切れ刃に沿って設け、前記ランドの切れ刃法線方向の幅(以下「ランド幅」という。)の寸法公差を±0.050mm以内に管理するのが好ましい。また、前記保持面を研削加工した研削面で形成するのが好ましい。また、前記上下面のいずれか一方の表面には、少なくとも1つの研削基準マークを設けるのが好ましく、さらに、前記研削基準マークを前記表面に対して凹設又は凸設するのがより好ましい。
本発明のチップによれば、切れ刃に沿って形成されるブレーカ溝及び/又はブレーカ突起の表面は、粉末プレス成形後焼結した焼結面で形成されるので、切りくず処理性を考慮した複雑形状に成形することができる。そのため、勝手を限定されない高い汎用性と、優れた切りくず処理性とが得られる。
さらに、切れ刃の逃げ面とされる外周面の表面が研削加工した研削面により形成されることから、該チップの外形寸法及びコーナ高さは、大幅に精度が高められるとともにばらつきが小さくなるため、バイト等のホルダに該チップを装着したときの切れ刃の刃先位置精度が大幅に向上する。これに伴い被削材の仕上がり寸法精度も向上し且つばらつきも小さくなる。よって、コーナチェンジ又はチップ交換のたびに、被削材の実際の仕上がり寸法を測定し、所望の仕上がり寸法との差を補正するために補正値や切り込み量の設定変更することが不要となる。他の効果として、切れ刃の内側に連なるブレーカ溝やブレーカ突起にかけての形状のばらつきがおさえられるため、優れた切りくず処理性が安定して得られる。また、切れ刃の内側に連なってランドが設けられた場合にも、前記ランド幅の寸法精度が優れるとともにばらつきがおさえられ、安定した切りくず処理性が得られるとともに、切れ刃強度の変動がおさえられ安定した切れ刃寿命が得られる。
チップの外周面の表面を研削加工するに際し、チップはその上下面の中央部をクランプ治具によってチップの厚さ方向に挟持されクランプされるが、本発明のチップでは、上下面のいずれか少なくとも一方の切れ刃が形成された面には、前記クランプ治具と当接する部分に平坦な保持面が形成されているので、前記クランプ治具によってチップは強固に挟持され外周面の研削加工精度が大幅に向上し、チップの外形寸法及びコーナ高さの精度が高く且つばらつきが小さくなる。前記保持面の面積は、前記切れ刃で囲まれた領域、言い換えれば切れ刃を輪郭とする平面図形の面積の20%〜70%の範囲に設定されるのが好ましい。そうすれば、前記クランプ治具と、前記保持面との当接する部分の面積が十分広く確保され、前記クランプ治具によってチップは強固に保持される。前記保持面の面積が、前記切れ刃で囲まれた領域の面積の20%未満となると、前記クランプ治具と保持面との当接する部分の面積が不十分となりチップを保持する力が不足するため、チップの外周面の研削加工精度が低下するおそれがある。一方、前記保持面の面積が、切れ刃で囲まれた領域の面積の70%よりも大きくなると、ブレーカ溝やブレーカ突起の形状が制約されることから切りくず処理性が低下してしまうおそれがある。前記保持面の面積は、切れ刃で囲まれた領域の面積の60%以下に設定されるのがより好ましく、50%以下に設定されるのが特に好ましい。そうすれば、ブレーカ溝やブレーカ突起の形状の自由度がいっそう高められ、多様な被削材材質や切削条件において優れた切りくず処理性が得られる。
チップの上面の中央部に厚さ方向に貫通する取付け孔が設けられた場合には、保持面は、取付け孔の開口部周縁から外側へ向かって延設される。ここで、保持面は前記開口部周縁に連なって形成されるか、又は前記開口部周縁から外側にわずかに離間して形成されてもよい。なお、後者の場合、離間しすぎると、クランプ治具との当接面の面積を十分に確保できなくなるおそれがあるので、保持面は前記開口部周縁から1.0mm以下の範囲で離間するのが好ましい。また、保持面は前記開口部周縁の全周にわたって連続的に設けられる必要はなく、前記開口部周縁の一部で保持面が切欠されていてもよい。このようにした場合には、クランプ治具と保持面とが周方向で偏って当接することなくバランスのよい当接状態が得られる。
前記保持面の表面は研削加工した研削面で形成されているのが好ましい。そうすれば、プレス成形後焼結した焼結面にくらべ、前記保持面の平坦度及び面粗度が向上しクランプ治具との接触面積が増加しチップを保持する力がいっそう高められる。また、切れ刃直角断面において、切れ刃の刃先からブレーカ溝の内方端部までの距離、及び切れ刃の刃先からブレーカ突起の外方端部までの距離の寸法公差を±0.050mm以内に管理するのが好ましい。また、切れ刃の内側に連なってランドが形成されたチップでは、前記ランド幅の寸法公差を±0.050mm以内に管理するのが好ましい。これは、寸法公差が±0.050mmよりも大きくなると、切りくず形状が変化してしまい切りくず処理性のばらつきが生じてしまうおそれがあるからである。また、外形寸法及びコーナ高さのばらつきが大きくなり、コーナチェンジ又はチップ交換の前後における被削材の仕上がり寸法のばらつきによる不良発生のおそれがあるからである。また、前記上下面のいずれか一方の表面には、少なくとも1つの研削基準マークが設けられるのが好ましい。さらに、前記研削基準マークが前記表面に対して凹設又は凸設されているのが好ましい。これは、チップの外周面を、前記研削基準マークを基準として研削加工することにより、チップの外形寸法、コーナ高さ、及び、ランド幅について、複数のチップにおけるチップ相互間の寸法許容差を小さくおさえることができ、しかも、一のチップにおけるコーナ相互間の寸法許容差を小さくおさえることができるので、コーナチェンジ又はチップ交換の前後における被削材の仕上がり寸法及び切りくず処理性のばらつきが大幅に改善されるからである。さらに、前記研削基準マークを凸設又は凹設する場合、チップの粉末プレス成形と同時に行うことが可能となるため製造コスト的に有利になる。
次に、本発明を適用した実施の形態について図1〜図3を参照しながら説明する。図1は本発明の第1の実施の形態に係るチップの図である。図1の(a)は平面図、(b)は側面図、図2の(a)、(b)はそれぞれ図1の(a)におけるA−A線断面拡大図、B−B線断面拡大図である。図3は図1に示すチップの外周面を研削加工するときのクランプ治具によるチップの保持状態を示す図であり、(a)は平面図であり、(b)は側面図である。図1の(a)及び(b)に示されるように、このチップ(1)は、例えば、超硬合金、被覆超硬合金、サーメット等の硬質の焼結合金からなり、略菱形平板状を呈し、厚さ方向の上面(3)及び下面(2)の周囲の稜線部には切れ刃(5)が形成されている。バイト等のチップ座(図示しない)に下面(2)を着座した場合には、上面(3)が切れ刃(5)のすくい面とされ、逆に上面(3)を着座した場合には、下面(2)が切れ刃(5)のすくい面とされる、上下面(2、3)の両面使用可能なチップである。すくい面には切れ刃(5)に沿ってブレーカ溝(12)が形成される。なお、上下面(2、3)の中央部には、該チップ(1)をバイトのチップ座(図示しない)に取付けるための取付け孔(7)が、該チップ(1)の厚さ方向に貫通して設けられている。
図2の(a)に示されるように、断面視でコーナ部(4a)には、切れ刃(5)から連なるブレーカ溝(12)が前記切れ刃(5)に沿って設けられている。このブレーカ溝(12)は前記切れ刃(5)から離間するにつれ漸次下方に向かって傾斜するように形成されている。さらに、切れ刃(5)から所定の離間した位置には、ブレーカ溝(12)から隆起しコーナ部(4a)の対角線方向外側に向かって突出するブレーカ突起(15)が形成されている。一方、図2の(b)に示されるように、直線状をなす切れ刃には、この切れ刃(5)から連なり且つ平坦面をなすランド(11)が前記切れ刃(5)に沿って設けられている。このランド(11)から連なるブレーカ溝(12)は、コーナ部(4a)と同様に、前記切れ刃(5)から離間するにつれ漸次下方に向かって傾斜するように形成されている。これらブレーカ溝(12)、ブレーカ突起(15)及びランド(11)の表面は、該チップ(1)のプレス成形後焼結した焼結面で形成されている。このような構成とすることにより、ブレーカ溝(12)、ブレーカ突起(15)及びランド(11)を研削砥石により研ぎ込み加工する場合にくらべ複雑形状、自由度の高い形状、勝手を限定されない形状に成形することができるため、高い汎用性と優れた切りくず処理性が得られる。なお、被削材によっては、切れ刃(5)の刃先に研削加工されたホーニングが前記切れ刃(5)に沿って設けられてもよい。
図1の(a)の斜線部で示されるように、平面視でチップ(1)の上下面(2、3)の取付け孔(7)の開口部周縁から連なる保持面(25)が外側に向かって延設されている。この保持面(25)は、上下面(2、3)に対して平行な平坦面をなし、ブレーカ溝(12)及びブレーカ突起(15)に達するまで形成されている。このチップ(1)では、前記保持面(25)は切れ刃(5)に対して0.05mm程度高い位置に形成されているが、等位又は低位に形成されていてもよい。そして、この保持面(25)の面積は、切れ刃(5)で囲まれた領域の面積の20%以上70%以下の範囲に設定されるのが好ましい。そして、図3の(a)及び(b)に示されるように、該チップ(1)は、その上下面(2、3)のそれぞれに設けられた保持面(25)に当接する一対のクランプ治具(40)によって該チップ(1)の厚さ方向に挟持され、上下面(2、3)間に延びる外周面(20)を全周にわたって研削加工される。上述したとおり平面視で保持面(25)は所定の面積を確保されているので、一対のクランプ治具(40)のそれぞれの端面(40a)は、該チップ(1)の上下面(2、3)に開口する取付け孔(7)の周縁から外側の範囲において、チップ(1)の保持面(25)との接触面積を損なうことなく(図3の(a)の斜線部で示す領域で)当接するため、該チップ(1)は強固に保持され、外周面(20)の研削加工精度が大幅に向上し、該チップ(1)の外形寸法及びコーナ高さの寸法精度が高く且つばらつきが小さくなる。保持面(25)の面積が切れ刃(5)で囲まれた領域の面積の20%未満になると、前記クランプ治具(40)の端面(40a)と保持面(25)との当接する部分の面積が不十分となり該チップ(1)を保持する力が不足するため、外周面(20)の研削加工精度が低下するおそれがある。一方、前記保持面(25)の面積が、切れ刃(5)で囲まれた領域の面積の70%よりも大きくなると、ブレーカ溝(12)やブレーカ突起(15)の形状が制約されることから切りくず処理性が低下してしまうおそれがある。前記保持面(25)の面積は、切れ刃(5)で囲まれた領域の面積の60%以下、特に50%以下の範囲に設定されるのがより好ましい。そうすれば、ブレーカ溝(12)やブレーカ突起(15)の形状の自由度がいっそう高められ、多様な被削材材質や切削条件において優れた切りくず処理性が得られる。保持面(25)の表面は、粉末プレス成形後焼結した焼結面で形成されてもよいが、研削加工した研削面で形成されれば、平坦度及び面粗度が向上しクランプ治具(40)による保持がいっそう強固となり好ましい。
上述したように、該チップ(1)の外形寸法及びコーナ高さの寸法精度が高く且つばらつきが小さくなると、被削材の仕上がり寸法の精度が向上し且つばらつきも小さくなるため、コーナチェンジ又はチップ交換のたびに、被削材の実際の仕上がり寸法を測定し、所望の仕上がり寸法との差を補正するために補正値や切り込み量の設定変更することが不要となる。しかも、切れ刃(5)に沿うようにすくい面に形成されたブレーカ溝(12)やブレーカ突起(15)の断面形状及び位置のばらつきがおさえられるため、優れた切りくず処理性が安定して得られる。上記のブレーカ溝(12)やブレーカ突起(15)の形状とは、具体的には、図2の(a)及び(b)に示されるように、切れ刃(5)の刃先からブレーカ溝(12)の内方端部までの距離(Wa)や切れ刃(5)からブレーカ突起(15)の外方端部までの距離(Ha)が挙げられる。これらの寸法公差が±0.050mm以内に管理された場合には、切りくずの形状が変動せず安定した切りくず処理性が得られる。プラス側の寸法公差が+0.050mmよりも大きくなると、切りくずは長く伸びて分断されなくなり、マイナス側の寸法公差が−0.050mmよりも小さくなると、切りくず詰まりが発生し切削抵抗の増加によるビビリや仕上げ面の面粗度不良が生じやすくなる。また、図1の(a)に示されるように、平面視において、ブレーカ突起(15)は、コーナ部(4a)の2等分線を基準として、この2等分線に交差する方向の偏りを非常に小さくおさえられるため、前記2等分線を挟んで対称配設される一対のコーナ部(4a)及び直線切れ刃(5)の各々は、互いに切りくず処理性がほぼ等しく得られる。したがって、チップを装着した切削工具の送り方向が変化するような切削加工、例えば旋削加工における倣い加工等において、上記の送り方向の変化に対して切りくず処理性のばらつきが小さくなる。具体的にいえば、上述したブレーカ突起(15)の前記2等分線に交差する方向の偏りは0.050mm以内であることが好ましい。これは、前記偏りが0.050mmを超えてしまうと、上記の送り方向の変化に対して切りくず処理性のばらつきの問題が生じるおそれがあるからである。前記偏りは0.035mm以内であることが好ましい。そうすれば、低炭素鋼、非鉄金属等の高延性材料の切削、又は、切りくずの厚みが薄く且つ切りくず体積が小さくなる仕上げ切削においても、切りくず処理性のばらつきが小さくおさえられる。
すくい面には切れ刃(5)に連なってランド(11)が設けられ、このランド幅(Lb)の寸法公差が±0.050mm以内に管理された場合には、安定した切りくず処理性と長い切れ刃(5)寿命が得られる。プラス側の寸法公差が+0.050mmよりも大きい場合には、切りくずはブレーカ溝(12)によって拘束されにくくなり切りくず処理性が悪化し、マイナス側の寸法公差が−0.050mmよりも小さくなると、切れ刃(5)の強度が低下し切れ刃寿命が短くなるおそれがある。さらに、上記のブレーカ溝(12)及びブレーカ突起(15)の寸法公差、ならびに、上記のランド幅(Lb)の寸法公差を、±0.035mm以内に管理するのが特に好ましい。そうすれば、低炭素鋼、非鉄金属等の高延性材料の切削において優れた切りくず処理性が得られ、広範な被削材への適用が可能となる。
チップ(1)の上面(3)又は下面(2)の少なくとも一方の保持面(25)には、外周面(20)の研削加工における加工基準となる研削基準マーク(30)が設けられるのが好ましい。このチップ(1)では、研削基準マーク(30)は、図1の(a)に示されるように、一つのコーナ部(4a)寄り(図1の(a)では右上に位置するコーナ部寄り)に設けられ、保持面(25)の表面から凹ませて形成されている。この研削基準マーク(30)に基づいて、例えば、研削基準マーク(30)が設けられたコーナ部(4a)が所定の方向に向くように、チップ(1)をクランプ治具(40)で保持し外周面(20)を研削加工することにより、再現性に優れる研削加工が行われるため、チップ間及びコーナ間における外形寸法及びコーナ高さの寸法精度がいっそう高められる。なお、研削基準マーク(30)は保持面(25)の表面に限らずブレーカ溝(12)の表面に設けられてもよく、また表面から凸状に設けられてもよい。
以上に説明した第1の実施の形態に係るチップのように、取付け孔(7)が設けられたチップに限らず、取付け孔(7)のないチップに上述した構成を適用することにより、上述と同様の効果が得られる。
次に、本発明を適用した第2の実施の形態について図4及び図5を参照しながら説明する。図4は第2の実施の形態に係るチップの図であり、(a)は平面図であり、(b)は側面図である。図5の(a)、(b)はそれぞれ図1の(a)におけるC−C線断面拡大図、D−D線断面拡大図である。図4の(a)及び(b)に示されるように、このチップ(1)は、略菱形平板状をなし、厚さ方向の上面(3)及び下面(2)の周囲の稜線部に切れ刃(5)が形成された両面使用可能なチップである。切れ刃(5)に沿って、この切れ刃(5)からランド(11)を介して連なるブレーカ溝(12)が形成されている。なお、上面(3)の中央部には、該チップ(1)をバイトのチップ座(図示しない)に取付けるための取付け孔(7)が、該チップ(1)の厚さ方向に貫通して設けられている。
図5の(a)及び(b)に示されるように、コーナ部(4a)及び直線状をなす切れ刃においては、切れ刃(5)から略水平方向に内側に延びる平坦なランド(11)が形成され、このランド(11)の内側には、前記ランド(11)から連なるブレーカ溝(12)が形成されている。このブレーカ溝(12)は切れ刃(5)から離間するにしたがって漸次下方へ近づく傾斜面とされる。コーナ部(4a)においては、図4の(a)及び図5の(b)に示されるように、平面視で切れ刃(5)に向かって突出し、断面視で上方へ凸状をなすブレーカ突起(15)が形成されている。これらブレーカ溝(12)、ブレーカ突起(15)及びランド(11)の表面は、第1の実施の形態と同様に、該チップ(1)のプレス成形後焼結した焼結面で形成されている。このような構成とすることにより、ブレーカ溝(12)、ブレーカ突起(15)及びランド(11)を研削砥石により研ぎ込み加工する場合にくらべ複雑形状、自由度の高い形状、勝手を限定されない形状に成形することができるため、高い汎用性と優れた切りくず処理性が得られる。被削材によっては、切れ刃(5)の刃先に研削加工されたホーニングが前記切れ刃(5)に沿って設けられてもよい。
図4の(a)の斜線部で示されるように、平面視でチップ(1)の上下面(2、3)には、取付け孔(7)の開口部周縁の周囲に環状をなす保持面(25)が形成されている。この保持面(25)は、上下面(2、3)に対して平行な平坦面であり、切れ刃(5)に対して0.05mm程度高い位置に形成されているが、等位又は低位に形成されていてもよい。そして、この保持面(25)の面積は、切れ刃(5)で囲まれた領域の面積の20%以上70%以下の範囲に設定されるのが好ましく、このチップ(1)の場合、約30%の大きさに設定されている。そして、第1の実施の形態で説明したように、チップ(1)の上下面(2、3)のそれぞれに設けられた保持面(25)と当接する一対のクランプ治具(40)によって、該チップ(1)はその厚さ方向に挟持され、上下面(2、3)間に延びる外周面(20)を全周にわたって研削加工される。上述したとおり平面視で保持面(25)は所定の面積を確保されているので、一対のクランプ治具(40)のそれぞれの端面(40a)は、該チップ(1)の上下面(2、3)に開口する取付け孔(7)の周縁から外側の範囲において、チップ(1)の保持面(25)との接触面積を損なうことなく当接するため、該チップ(1)は強固に保持され、外周面(20)の研削加工精度が大幅に向上し、該チップ(1)の外形寸法及びコーナ高さの寸法精度が高く且つばらつきが小さくなる。保持面(25)の面積を切れ刃(5)で囲まれた領域の面積の20%以上70%以下の範囲に設定した理由は、第1の実施の形態で説明したとおりである。このチップ(1)の保持面(25)の表面は、プレス成形後焼結した焼結面で形成されているが、研削加工することによって、平坦度及び面粗度が向上しクランプ治具による保持がいっそう強固となり好ましい。
上述したように、該チップ(1)の外形寸法及びコーナ高さの寸法精度が高く且つばらつきが小さくなると、該チップ(1)により切削した被削材の仕上がり寸法は、精度が向上し且つばらつきも小さくなるため、コーナチェンジ又はチップ交換のたびに、被削材の実際の仕上がり寸法を測定し、所望の仕上がり寸法との差を補正するために補正値や切り込み量の設定変更することが不要となる。しかも、切れ刃(5)に沿ってすくい面に形成されたブレーカ溝(12)やブレーカ突起(15)は切れ刃(5)に対する断面形状のばらつきがおさえられるため、優れた切りくず処理性が安定して得られる。さらに、ランド幅(La、Lb)のばらつきが小さくなることから切れ刃寿命が安定する。
本実施の形態に係るチップをバイトホルダに装着したときの切れ刃の刃先位置精度を測定した結果について図6を参照しながら説明する。図6は、バイトホルダに異なるチップを順次装着したときの切れ刃の刃先位置を測定した結果を示しており、横軸が装着したそれぞれのチップの番号であり、縦軸が刃先位置の測定値である。図6の(a)はバイトの後端面から切れ刃の刃先までの長手方向の距離(L)の測定結果であり、図6の(b)はバイトの一側面から切れ刃の刃先までの短手方向の距離(f)の測定結果である。比較した従来チップは、外周面の研削を行っていないことを除いたほかは、本実施の形態に係るチップと同一形状、同一材質である。図6の測定結果からわかるように、外周面(20)を研削加工した本実施の形態に係るチップ(1)は、従来チップにくらべ、チップ間の切れ刃位置のばらつきが非常に小さくなり、切れ刃位置精度が大幅に向上した。図示していないが、同一チップにおけるコーナ間の切れ刃位置のばらつきも同様に小さくなり、刃先位置精度が大幅に向上した。そのため、本発明を適用したチップによって切削加工した被削材の加工面の仕上げ寸法精度は、従来チップにくらべ大幅に向上した。
次に、本発明を適用したチップの切りくず処理性の確認試験を行った結果について図7を参照しながら説明する。図7は本実施の形態に係るチップの切りくず形状を示す図である。チップは、そのランド幅(La、Lb)がそれぞれ0.25mm、0.27mm、0.29mmに設定されたものを用いた。被削材は機械構造用炭素鋼S53C(JIS)であり、切削条件については、切削速度(Vc)が220m/min、切り込み(ap)が0.5mm、1.0mm、1.5mmの3条件、送り(f)が0.45mm/rev、0.60mm/revの2条件である。上記のランド幅(La、Lb)に設定されたチップでは、切りくず処理有効範囲である切り込み1.0mm以上の切削条件において、切りくずは短く分断し、良好な切りくず処理性が得られた。なお、ランド幅(La、Lb)が0.22mmよりも小さくなると、切れ刃(5)の強度が低下してしまい、切れ刃寿命が短くなるという問題が発生した。逆にランド幅(La、Lb)が0.32mmよりも大きくなると、切りくずがブレーカ溝(12)及びブレーカ突起(15)に拘束されなくなるため長く伸びた切りくずが発生し、切りくず処理性が悪くなる問題が生じた。すなわち、上記のランド幅(La、Lb)が、その基準値である0.27mmに対して、寸法公差が±0.050mm以内に管理されていれば、切りくず処理性及び切れ刃寿命は良好であった。さらに、上記の寸法公差を±0.035mm以内に管理することは、低炭素鋼、非鉄金属等の高延性材料の切削において優れた切りくず処理性が得られる点で特に好ましい。ランド幅(La、Lb)だけでなく、ブレーカ溝(12)やブレーカ突起(15)の形状も切りくず処理性に影響を及ぼすことから、切れ刃(5)の刃先からブレーカ溝(12)の内方端部までの距離(Wa、Wb)やブレーカ突起(15)の外方端部までの距離(Ha)については、寸法公差を±0.050mm以内に管理するのが好ましい。このようにした場合にも、切りくずの形状が変動せず安定して良好な切りくず処理性が得られる。上記のブレーカ溝(12)の内方端部までの距離(Wa、Wb)及びブレーカ突起(15)の外方端部までの距離(Ha)のプラス側の寸法公差が+0.050mmよりも大きくなると、切りくずは長く伸びて分断されなくなり、マイナス側の寸法公差が−0.050mmよりも小さくなると、切りくず詰まりが発生し切削抵抗の増加によるビビリや仕上げ面の面粗度不良が生じやすくなる。さらに、上記の寸法公差を±0.035mm以内に限定することは、低炭素鋼、非鉄金属等の高延性材料の切削において優れた切りくず処理性が得られる点で特に好ましい。
本実施の形態に係るチップの変形例について、図8の平面図を参照しながら説明する。図8の(a)に示されるチップは、図の斜線部で示されるように、保持面(25)が取付け孔(7)の開口部周縁の周囲に形成された凹状溝によって前記開口部周縁から離間して設けられたものである。このようにした場合には、クランプ治具(40)と保持面(25)とを、より外周側で当接させることができるので、チップ(1)がクランプ治具(40)の軸心まわりに回転するようなずれを防止することができる。一方、図8の(b)に示すチップは、図の斜線部に示されるように、保持面(25)が取付け孔(7)の開口部周縁に沿ってほぼ等間隔な4カ所に設けられた放射状に延びる凹状溝により分断されており、4つの保持面(25)が互いに離間するように構成されている。このようにした場合には、クランプ治具(40)と保持面(25)との当接箇所が偏ることなく、バランスのよい保持状態が得られ、該チップ(1)の保持が強固になる。
本発明は、以上に説明した略菱形平板状をなすチップに限定されることはなく、三角形、正方形等の略多角形平板状、又は略円形平板状のチップに適用可能であることはいうまでもない。また、バイト用チップに限らず、フライス、ドリル等の切削工具ホルダに着脱可能に装着されるチップに適用可能である。
1 チップ
2 下面
3 上面
5 切れ刃
7 取付け孔
11 ランド
12 ブレーカ溝
15 ブレーカ突起
20 外周面
25 保持面
30 研削基準マーク
40 クランプ治具
Wa、Wb 切れ刃からブレーカ溝の内方端部までの距離
Ha 切れ刃からブレーカ突起の外方端部までの距離
La、Lb ランド幅
2 下面
3 上面
5 切れ刃
7 取付け孔
11 ランド
12 ブレーカ溝
15 ブレーカ突起
20 外周面
25 保持面
30 研削基準マーク
40 クランプ治具
Wa、Wb 切れ刃からブレーカ溝の内方端部までの距離
Ha 切れ刃からブレーカ突起の外方端部までの距離
La、Lb ランド幅
Claims (10)
- 略多角形平板状又は略円形平板状をなし、厚さ方向の上面又は下面の少なくとも一方の周囲に形成した切れ刃に沿ってブレーカ溝及び/又は突起を設けたスローアウェイチップにおいて、該スローアウェイチップの外周面の表面を研削加工した研削面で形成し、一方、前記ブレーカ溝及び/又は突起の表面を粉末プレス成形後焼結した焼結面で形成し、さらに、平面視で前記ブレーカ溝及び/又は突起の内側には、前記外周面の研削加工時に該スローアウェイチップを保持するクランプ治具に当接する平坦な保持面を形成するとともに、前記保持面の面積を前記切れ刃で囲まれた領域の面積の20%〜70%の範囲に設定したことを特徴とするスローアウェイチップ。
- 略多角形平板状又は略円形平板状をなし、厚さ方向の上面又は下面の少なくとも一方の周囲に形成した切れ刃に沿ってブレーカ溝及び/又は突起を設けるとともに、前記上面の中央部に上下面を貫通する取付け孔を設けたスローアウェイチップにおいて、該スローアウェイチップの外周面の表面を研削加工した研削面で形成し、一方、前記ブレーカ溝及び/又は突起の表面を粉末プレス成形後焼結した焼結面で形成し、さらに、平面視で前記ブレーカ溝及び/又は突起の内側且つ前記取付け孔の開口部周縁の外側には、前記外周面の研削加工時に該スローアウェイチップを保持するクランプ治具に当接する平坦な保持面を、前記開口部周縁に連なって形成するとともに、前記保持面の面積を前記切れ刃で囲まれた領域の面積の20%〜70%の範囲に設定したことを特徴とするスローアウェイチップ。
- 略多角形平板状又は略円形平板状をなし、厚さ方向の上面又は下面の少なくとも一方の周囲に形成した切れ刃に沿ってブレーカ溝及び/又は突起を設けるとともに、前記上面の中央部に上下面を貫通する取付け孔を設けたスローアウェイチップにおいて、該スローアウェイチップの外周面の表面を研削加工した研削面で形成し、一方、前記ブレーカ溝及び/又は突起の表面を粉末プレス成形後焼結した焼結面で形成し、さらに、平面視で前記ブレーカ溝及び/又は突起の内側且つ前記取付け孔の開口部周縁の外側には、前記外周面の研削加工時に該スローアウェイチップを保持するクランプ治具に当接する平坦な保持面を、前記開口部周縁から離間して形成するとともに、前記保持面の面積を前記切れ刃で囲まれた領域の面積の20%〜70%の範囲に設定したことを特徴とするスローアウェイチップ。
- 切れ刃直角断面において、切れ刃の刃先からブレーカ溝の内方端部までの距離、及び、切れ刃の刃先からブレーカ突起の外方端部までの距離の寸法公差を±0.050mm以内としたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のスローアウェイチップ。
- 切れ刃直角断面において、切れ刃の刃先からブレーカ溝の内方端部までの距離、及び、切れ刃の刃先からブレーカ突起の外方端部までの距離の寸法公差を±0.035mm以内としたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のスローアウェイチップ。
- 前記切れ刃と前記ブレーカ溝とに連なるランドを前記切れ刃に沿って設け、前記ランドの切れ刃法線方向における幅の寸法公差を±0.050mm以内としたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のスローアウェイチップ。
- 前記切れ刃と前記ブレーカ溝とに連なるランドを前記切れ刃に沿って設け、前記ランドの切れ刃法線方向における幅の寸法公差を±0.035mm以内としたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のスローアウェイチップ。
- 前記保持面の表面を研削加工した研削面で形成したことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のスローアウェイチップ。
- 前記上面又は下面の少なくとも一方の表面に、少なくとも1つの研削基準マークを設けたことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のスローアウェイチップ。
- 前記研削基準マークを凹設又は凸設したことを特徴とする請求項9に記載のスローアウェイチップ。
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| JP2004168705A JP2005342871A (ja) | 2004-06-07 | 2004-06-07 | スローアウェイチップ |
Applications Claiming Priority (1)
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| JP2005342871A true JP2005342871A (ja) | 2005-12-15 |
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