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JP2005271414A - 平版印刷版用支持体および平版印刷版原版 - Google Patents

平版印刷版用支持体および平版印刷版原版 Download PDF

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JP2005271414A JP2004088418A JP2004088418A JP2005271414A JP 2005271414 A JP2005271414 A JP 2005271414A JP 2004088418 A JP2004088418 A JP 2004088418A JP 2004088418 A JP2004088418 A JP 2004088418A JP 2005271414 A JP2005271414 A JP 2005271414A
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Yoshinori Hotta
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Abstract

【課題】耐汚れ性と耐刷性とを高いレベルで両立させることができ、赤外線吸収剤と、重合開始剤と、重合性化合物とを含有し、印刷インキおよび/または湿し水により除去可能な画像記録層を設けた場合に、極めて耐刷性に優れる平版印刷版用支持体の提供。
【解決手段】アルミニウム板に少なくとも粗面化処理、陽極酸化処理および封孔処理を施して得られる平版印刷版用支持体であって、前記封孔処理が、前記陽極酸化処理により形成される陽極酸化皮膜に存在するマイクロポアの平均ポア径よりも大きい平均粒径を有する酸化物粒子が分散している、リン原子を有する酸および/またはその塩とカルボン酸とを含有する水溶液を用いて施される、平版印刷版用支持体。
【選択図】なし

Description

本発明は、平版印刷版用支持体および平版印刷版原版に関する。
平版印刷法は水と油が本質的に混じり合わないことを利用した印刷方式であり、これに使用される平版印刷版の印刷版面には、水を受容して油性インキを反撥する領域(以下、この領域を「非画像部」という。)と、水を反撥して油性インキを受容する領域(以下、この領域を「画像部」という。)とが形成される。
平版印刷版に用いられる平版印刷版用アルミニウム支持体(以下、単に「平版印刷版用支持体」という。)は、その表面が非画像部を担うように使用されるため、親水性および保水性が優れていること、更にはその上に設けられる画像記録層との密着性が優れていること等の相反する種々の性能が要求される。例えば、耐汚れ性と耐刷性とは、トレードオフの関係にあり、両立させることが困難であった。
従来、平版印刷版を作製するため、親水性の平版印刷版用支持体上に親油性の画像記録層を設けてなる平版印刷版原版(PS版)が広く用いられている。通常は、平版印刷版原版を、リスフィルム等の原画を通して露光した後、画像部の画像記録層を残存させ、非画像部の画像記録層をアルカリ性現像液または有機溶剤によって溶解して除去することで親水性の支持体の表面を露出させる方法により製版を行って、平版印刷版を得ている。
従来の平版印刷版原版の製版工程においては、露光の後、非画像部を画像記録層に応じた現像液等によって溶解除去する工程が必要であるが、このような付加的に行われる湿式処理を不要化しまたは簡易化することが課題の一つとして挙げられている。特に、近年、地球環境への配慮から湿式処理に伴って排出される廃液の処分が産業界全体の大きな関心事となっているので、上記課題の解決の要請は一層強くなってきている。
これに対して、簡易な製版方法の一つとして、平版印刷版原版の非画像部の除去を通常の印刷工程の中で行えるような画像記録層を用い、露光後、印刷機上で非画像部を除去し、平版印刷版を得る、機上現像と呼ばれる方法が提案されている。
機上現像の具体的方法としては、例えば、湿し水、インキ溶剤または湿し水とインキとの乳化物に溶解しまたは分散することが可能な画像記録層を有する平版印刷版原版を用いる方法、印刷機の圧胴やブランケット胴との接触により、画像記録層の力学的除去を行う方法、湿し水、インキ溶剤等の浸透によって画像記録層の凝集力または画像記録層と支持体との接着力を弱めた後、圧胴やブランケット胴との接触により、画像記録層の力学的除去を行う方法が挙げられる。
なお、本発明においては、特別な説明がない限り、「現像処理工程」とは、印刷機以外の装置(通常は自動現像機)を使用し、液体(通常はアルカリ性現像液)を接触させることにより、平版印刷版原版の画像記録層の未露光部分を除去し、親水性支持体表面を露出させる工程を指し、「機上現像」とは、印刷機を用いて、液体(通常は印刷インキおよび/または湿し水)を接触させることにより、平版印刷版原版の画像記録層の未露光部分を除去し、親水性支持体表面を露出させる方法および工程を指す。
一方、近年、画像情報をコンピュータによって電子的に処理し、蓄積し、出力する、デジタル化技術が広く普及してきており、このようなデジタル化技術に対応した新しい画像出力方式が種々実用されるようになってきている。これに伴い、レーザー光のような高収斂性の輻射線にデジタル化された画像情報を担持させて、その光で平版印刷版原版を走査露光し、リスフィルムを介することなく、直接平版印刷版を製造するコンピュータ・トゥ・プレート(CTP)技術が注目されてきている。したがって、このような技術に適応した平版印刷版原版を得ることが重要な技術課題の一つとなっている。
上述したように、近年、製版作業の簡易化、乾式化および無処理化は、地球環境への配慮とデジタル化への適合化との両面から、従来にも増して、強く望まれるようになってきている。
しかしながら、従来の紫外から可視領域の光を利用する画像記録方式を機上現像等の製版作業の簡易化に用いた場合、露光後も画像記録層が定着しないため、室内光に対する感光性を有し、平版印刷版原版を包装から出した後、機上現像が完了するまでの間、完全に遮光状態に保つ必要があった。
最近、波長760〜1200nmの赤外線を放射する半導体レーザー、YAGレーザー等の高出力レーザーが安価に入手できるようになってきたことから、デジタル化技術に組み込みやすい走査露光による平版印刷版の製造方法として、これらの高出力レーザーを画像記録光源として用いる方法が有望視されるようになっている。
従来の紫外から可視領域の光を利用する製版方法では、感光性の平版印刷版原版に対して低照度から中照度で像様露光を行い、画像記録層における光化学反応による像様の物性変化によって画像記録を行う。
これに対して、上述した高出力レーザーを用いる方法では、露光領域に極短時間に大量の光エネルギーを照射して、光エネルギーを効率的に熱エネルギーに変換させ、その熱により、画像記録層において化学変化、相変化、形態または構造の変化等の熱変化を起こさせ、その変化を画像記録に利用する。したがって、画像情報はレーザー光等の光エネルギーによって入力されるが、画像記録は光エネルギーに加えて熱エネルギーによる反応も加味された状態で行われる。通常、このような高パワー密度露光による発熱を利用した記録方式はヒートモード記録と呼ばれ、光エネルギーを熱エネルギーに変えることは光熱変換と呼ばれる。
ヒートモード記録を用いる製版方法の大きな長所は、室内照明のような通常の照度レベルの光では画像記録層が感光しないこと、および、高照度露光によって記録された画像の定着が必須ではないことにある。つまり、ヒートモード記録に用いられる平版印刷版原版は、露光前には室内光により感光してしまうおそれがなく、露光後には画像の定着が必須ではない。したがって、例えば、高出力レーザーを用いた露光により不溶化しまたは可溶化する画像記録層を用い、露光した画像記録層を像様にして平版印刷版とする製版工程を機上現像で行えば、露光後、たとえ室内の環境光に暴露されても画像が影響を受けない印刷システムが可能となることが期待され、その実現が望まれている。
特許文献1には、そのようなヒートモード記録および機上現像を組み合わせた平版印刷版原版として、支持体上に、(A)赤外線吸収剤と、(B)ラジカル重合開始剤と、(C)ラジカル重合性化合物とを含有し、水可溶性または水分散性である感光層を備え、赤外線の照射により記録可能である平版印刷版原版が記載されている。この平版印刷版原版は、画像部の化学結合密度が高いため、耐刷性に優れる。
特開平2002−287334号公報
本発明者は、特許文献1に記載されている平版印刷版原版について鋭意研究した結果、機上現像して印刷したときに、耐刷性を向上させる余地があることを見出した。
本発明は、耐汚れ性と耐刷性とを高いレベルで両立させることができ、赤外線吸収剤と、重合開始剤と、重合性化合物とを含有し、印刷インキおよび/または湿し水により除去可能な画像記録層を設けた場合に、極めて耐刷性に優れる平版印刷版用支持体、および、それを用いた平版印刷版原版を提供することを目的とする。
本発明者は、陽極酸化皮膜に存在するマイクロポアを、マイクロポアの平均ポア径よりも大きい平均粒径を有する酸化物粒子が分散している、リン原子を有する酸および/またはその塩とカルボン酸とを含有する水溶液を用いて封孔することにより、耐汚れ性および耐刷性を高いレベルで両立することができること、および、赤外線吸収剤と、重合開始剤と、重合性化合物とを含有し、印刷インキおよび/または湿し水により除去可能な画像記録層を設けた場合に、耐刷性が極めて優れたものになることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は、以下の(1)〜(3)を提供する。
(1)アルミニウム板に少なくとも粗面化処理、陽極酸化処理および封孔処理を施して得られる平版印刷版用支持体であって、
前記封孔処理が、前記陽極酸化処理により形成される陽極酸化皮膜に存在するマイクロポアの平均ポア径よりも大きい平均粒径を有する酸化物粒子が分散している、リン原子を有する酸および/またはその塩とカルボン酸とを含有する水溶液を用いて施される、平版印刷版用支持体。
(2)上記(1)に記載の平版印刷版用支持体上に、画像記録層を設けてなる平版印刷版原版。
(3)前記画像記録層が、赤外線吸収剤(A)と、重合開始剤(B)と、重合性化合物(C)とを含有し、印刷インキおよび/または湿し水により除去可能な画像記録層である、上記(2)に記載の平版印刷版原版。
本発明の平版印刷版用支持体は、耐汚れ性と耐刷性とを高いレベルで両立させることができる。また、赤外線吸収剤と、重合開始剤と、重合性化合物とを含有し、印刷インキおよび/または湿し水により除去可能な画像記録層を設けた場合に、極めて耐刷性が優れたものとなる。
以下に、本発明を詳細に説明する。
<アルミニウム板(圧延アルミ)>
本発明に用いられるアルミニウム板は、寸度的に安定なアルミニウムを主成分とする金属であり、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる。純アルミニウム板のほか、アルミニウムを主成分とし微量の異元素を含む合金板や、アルミニウムまたはアルミニウム合金がラミネートされまたは蒸着されたプラスチックフィルムまたは紙を用いることもできる。更に、特公昭48−18327号公報に記載されているようなポリエチレンテレフタレートフィルム上にアルミニウムシートが結合された複合体シートを用いることもできる。
本発明に用いられるアルミニウム板は、特に限定されないが、純アルミニウム板を用いるのが好適である。完全に純粋なアルミニウムは精練技術上、製造が困難であるので、わずかに異元素を含有するものを用いてもよい。例えば、アルミニウムハンドブック第4版(軽金属協会(1990))に記載の公知の素材のもの、具体的には、JIS1050材、JIS1100材、JIS3003材、JIS3005材、国際登録合金3103A等を用いることができる。また、アルミニウム(Al)の含有率が99.4〜95質量%であって、鉄(Fe)、ケイ素(Si)、銅(Cu)、マグネシウム(Mg)、マンガン(Mn)、亜鉛(Zn)、クロム(Cr)、およびチタン(Ti)のうち少なくとも5種以上を後述する範囲内で含む、アルミニウム合金、スクラップアルミ材または二次地金を使用したアルミニウム板を使用することもできる。
本発明の平版印刷版用支持体には、アルミニウム合金が用いられるのが好ましい。アルミニウム合金においては、Al、Fe、SiおよびCuを含有するのが好ましく、更にTiを含有するのがより好ましい。
Feは、通常、原材料として使用されるアルミニウム合金(Al地金)に0.04〜0.2質量%程度含有されている。Feは、アルミニウム中に固溶する量は少なく、ほとんどが金属間化合物として残存する。Feは、アルミニウム合金の機械的強度を高める作用があり、支持体の強度に大きな影響を与える。Fe含有量が少なすぎると、機械的強度が低すぎて、平版印刷版を印刷機の版胴に取り付ける際に、版切れを起こしやすくなる。また、高速で大部数の印刷を行う際にも、同様に版切れを起こしやすくなる。一方、Fe含有量が多すぎると、必要以上に高強度となり、平版印刷版を印刷機の版胴に取り付ける際に、フィットネス性に劣り、印刷中に版切れを起こしやすくなる。また、Feの含有量が、例えば、1.0質量%より多くなると圧延途中に割れが生じやすくなる。
本発明者は、後述するFeを含む金属間化合物が、アルミニウム板中に含まれる金属間化合物の大部分を占めること、および、それらが粗面化処理中に取り除かれ(脱落し)やすく、取り除かれた(脱落した)後に形成される局所的な凹部に画像記録層が入り込んでしまうことにより露光不良、ひいては現像不良を起こす原因になることを知見した。
本発明においては、上記知見に基づいて、Fe含有量の上限を好ましくは0.29質量%とすることにより、優れた機械的強度が得られる。また、Feを含む金属間化合物量が少なくなり金属間化合物の取り除かれた(脱落した)後に形成される局所的な凹部が少なくなるため露光不良、ひいては現像不良が起こりにくく、感度も優れたものになる。
Fe含有量の下限は、地金中の含有量を考慮し、好ましくは0.05%以上とするのが妥当であるが、機械的強度を維持する上で、0.20質量%以上とすることがより好ましい。
Feを含む金属間化合物としては、例えば、Al3Fe、Al6Fe、AlFeSi系化合物、AlFeSiMn系化合物が挙げられる。
Siは、原材料であるAl地金に不可避不純物として0.03〜0.1質量%前後含有される元素であり、原材料差によるばらつきを防ぐため、意図的に微量添加されることが多い。また、Siは、スクラップアルミニウムにも多く含まれる元素である。Siは、アルミニウム中に固溶した状態で、または、金属間化合物もしくは単独の析出物として存在する。また、平版印刷版用支持体の製造過程で加熱されると、固溶していたSiが単体Siとして析出することがある。本発明者らの知見によれば、単体Siが過剰の場合、耐苛酷インキ汚れ性が低下する場合がある。ここで、「苛酷インキ汚れ」とは、印刷を何度も中断しつつ行った場合に、平版印刷版の非画像部表面部分にインキが付着しやすくなった結果、印刷された紙等に表れる点状または円環状の汚れをいう。また、Siは、電解粗面化処理に影響を与える。
更に、Siの含有量が多すぎると、粗面化処理後に陽極酸化処理を施したときに、陽極酸化皮膜の欠陥となり、欠陥部分の保水性が劣り、印刷時に紙が汚れやすくなる。
本発明においては、Si含有量は、好ましくは0.03質量%以上であり、また、好ましくは0.15質量%以下である。電解粗面化処理の安定性に優れる点で、より好ましくは、0.04質量%以上であり、また、0.1質量%以下である。
Cuは、電解粗面化処理を制御するうえで非常に重要な元素である。Cu含有量を好ましくは0.020質量%以上とすることにより、硝酸液中での電解粗面化処理により生成するピットの径を大きくできるため、露光現像後印刷する際に、非画像部における湿し水の保水量を大幅に確保でき、耐汚れ性が向上する。一方、Cu含有量が0.050質量%を超えると、硝酸液中での電解粗面化処理により生成するピットの径が大きくなりすぎるとともに径の均一性が低下するため、特に耐汚れ性に劣る場合がある。
また、本発明者は、Cu含有量をこの範囲にすることで、塩酸液中で電解粗面化処理により生成する直径0.5μm以下のピットを均一にでき、かつ、支持体表面の表面積の増加割合を最大にできることを見出した。表面積の増加割合を大きくすることにより画像記録層との接触面積を大きくできるため、これらの密着力が向上し、耐刷性および耐クリーナ耐刷性に優れたものとなる。また平版印刷版としたときの耐汚れ性が優れたものとなる。
本発明においては、上記観点から、Cuの含有量は、好ましくは0.020〜0.050質量%であり、より好ましくは0.020〜0.030質量%である。
Tiは、以前より、鋳造時の結晶組織を微細にするために、結晶微細化材として、通常、0.05質量%以下の含有量で含有されている。Ti含有量が多すぎると、電解粗面化処理、特に硝酸水溶液での電解粗面化処理において表面酸化皮膜の抵抗が過小となるため、均一なピットが形成されない場合がある。本発明においては、Tiの含有量は、0.05質量%以下であるのが好ましく、0.03質量%以下であるのがより好ましい。
また、Tiはアルミニウム板に含有されていてもいなくてもよく、またその含有量は少なくてもよいが、結晶微細化効果を高めるためには、Tiの含有量は、0.005質量%以上であるのが好ましく、0.01質量%以上であるのがより好ましい。
Tiは、主として、Alとの金属間化合物またはTiB2として添加されるが、結晶微細化効果を高めるためには、Al−Ti合金またはAl−B−Ti合金として添加されるのが好ましい。なお、Al−B−Ti合金として添加した場合、アルミニウム合金中にBが微量含有されることになるが、本発明の効果は損なわれない。
上記異元素を上記の範囲で含有するアルミニウム板を用いると、後述する電解粗面化処理において均一かつ大きなピットが形成されるため、平版印刷版としたときの感度、耐クリーナ耐刷性(耐薬品性)、耐刷性および耐汚れ性のいずれにも優れたものになる。
アルミニウム板の残部は、Alと不可避不純物からなるのが好ましい。不可避不純物の大部分は、Al地金中に含有される。不可避不純物は、例えば、Al純度99.7質量%の地金に含有されるものであれば、本発明の効果を損なわない。不可避不純物については、例えば、L.F.Mondolfo著「Aluminum Alloys:Structure and properties」(1976年)等に記載されている量の不純物が含有されていてもよい。
アルミニウム合金に含有される不可避不純物としては、例えば、Mg、Mn、Zn、Cr等が挙げられ、これらはそれぞれ0.05質量%以下含まれていてもよい。これら以外の元素については、従来公知の含有量で含まれていてもよい。
本発明に用いられるアルミニウム板は、上記原材料を用いて常法で鋳造したものに、適宜圧延処理や熱処理を施し、厚さを例えば、0.1〜0.7mmとし、必要に応じて平面性矯正処理を施して製造される。この厚さは、印刷機の大きさ、印刷版の大きさおよびユーザーの希望により、適宜変更することができる。
なお、上記アルミニウム板の製造方法としては、例えば、DC鋳造法、DC鋳造法から均熱処理および/または焼鈍処理を省略した方法、ならびに、連続鋳造法を用いることができる。
本発明においては、上述したようなアルミニウム板に、その最終圧延工程等において、転写ロールを用いた転写により凹凸を形成させることができる。
中でも、最終板厚に調整する冷間圧延、または、最終板厚調整後の表面形状を仕上げる仕上げ冷間圧延とともに、圧延ロールの凹凸面をアルミニウム板に圧接させて凹凸形状を転写し、アルミニウム板の表面に凹凸パターンを形成させる方法が好ましい。具体的には、特開平6−262203号公報に記載されている方法を好適に用いることができる。
表面に凹凸パターンを有するアルミニウム板を用いることにより、後の電気化学的粗面化処理等で消費されるエネルギーを少なくしつつ、印刷機上における湿し水の量の調整を容易にすることができる。
転写は、通常のアルミニウム板の最終冷間圧延工程で行うのが特に好ましい。転写のための圧延は1〜3パスで行うのが好ましく、それぞれの圧下率は3〜8%であるのが好ましい。
本発明においては、凹凸の転写に用いられる、表面に凹凸を有する転写ロールを得る方法として、所定のアルミナ粒子を吹き付ける方法を用いるが、中でも、エアーブラスト法が好ましい。
本発明に用いられる平版印刷版用支持体は、上記アルミニウム板に少なくとも陽極酸化皮膜を形成させ、更に、封孔処理を施して得られるが、その製造工程には、それ以外の各種の工程が含まれていてもよい。
上記アルミニウム板は、付着している圧延油を除く脱脂工程、アルミニウム板の表面のスマットを溶解するデスマット処理工程、アルミニウム板の表面を粗面化する粗面化処理工程、アルミニウム板の表面に陽極酸化皮膜を形成させる陽極酸化処理工程および陽極酸化皮膜のマイクロポアを封孔する封孔処理を経て平版印刷版用支持体とされるのが好ましい。
本発明に用いられる平版印刷版用支持体の製造工程は、酸性水溶液中で交流電流を用いてアルミニウム板を電気化学的に粗面化する粗面化処理(電気化学的粗面化処理)を含むのが好ましい。
また、本発明に用いられる平版印刷版用支持体の製造工程は、上記電気化学的粗面化処理の他に、機械的粗面化処理、酸またはアルカリ水溶液中での化学的エッチング処理等を組み合わせたアルミニウム板の表面処理工程を含んでもよい。本発明に用いられる平版印刷版用支持体の粗面化処理等の製造工程は、連続法でも断続法でもよいが、工業的には連続法を用いるのが好ましい。
本発明においては、更に、必要に応じて、親水性処理が行われる。
より具体的には、(a)機械的粗面化処理、(b)アルカリエッチング処理、(c)デスマット処理、(d)硝酸を主体とする電解液を用いた電解粗面化処理(硝酸電解)、(e)アルカリエッチング処理、(f)デスマット処理、(g)塩酸を主体とする電解液を用いた電解粗面化処理(塩酸電解)、(h)アルカリエッチング処理、(i)デスマット処理、(j)陽極酸化処理、(k)封孔処理および(l)親水化処理をこの順に施す方法が好適に挙げられる。
また、上記方法から(g)〜(i)を省略した方法、上記方法から(a)を省略した方法、上記方法から(a)および(g)〜(i)を省略した方法、上記方法から(a)〜(d)を省略した方法も好適に挙げられる。
なお、後述する各処理におけるアルミニウム板に対する処理液の相対速度は、10〜5000cm/secであるのが好ましい。
<粗面化処理(砂目立て処理)>
まず、粗面化処理について説明する。
上記アルミニウム板は、より好ましい形状に砂目立て処理される。砂目立て処理方法は、特開昭56−28893号公報に記載されているような機械的砂目立て(機械的粗面化処理)、化学的エッチング、電解グレイン等がある。更に、塩酸電解液中または硝酸電解液中で電気化学的に砂目立てする電気化学的砂目立て法(電気化学的粗面化処理、電解粗面化処理)や、アルミニウム表面を金属ワイヤーでひっかくワイヤーブラシグレイン法、研磨球と研磨剤でアルミニウム表面を砂目立てするボールグレイン法、ナイロンブラシと研磨剤で表面を砂目立てするブラシグレイン法等の機械的砂目立て法(機械的粗面化処理)を用いることができる。これらの砂目立て法は、単独でまたは組み合わせて用いることができる。例えば、ナイロンブラシと研磨剤とによる機械的粗面化処理と、塩酸電解液または硝酸電解液による電解粗面化処理との組み合わせや、複数の電解粗面化処理の組み合わせが挙げられる。中でも、電気化学的粗面化処理が好ましい。また、機械的粗面化処理と電気化学的粗面化処理とを組み合わせて行うのも好ましく、特に、機械的粗面化処理の後に電気化学的粗面化処理を行うのが好ましい。
機械的粗面化処理は、ブラシ等を使用してアルミニウム板表面を機械的に粗面化する処理であり、上述した電気化学的粗面化処理の前に行われるのが好ましい。
好適な機械的粗面化処理においては、毛径が0.07〜0.57mmである回転するナイロンブラシロールと、アルミニウム板表面に供給される研磨剤のスラリー液とで処理する。
ナイロンブラシは吸水率が低いものが好ましく、例えば、東レ社製のナイロンブリッスル200T(6,10−ナイロン、軟化点:180℃、融点:212〜214℃、比重:1.08〜1.09、水分率:20℃・相対湿度65%において1.4〜1.8、20℃・相対湿度100%において2.2〜2.8、乾引っ張り強度:4.5〜6g/d、乾引っ張り伸度:20〜35%、沸騰水収縮率:1〜4%、乾引っ張り抵抗度:39〜45g/d、ヤング率(乾):380〜440kg/mm2)が好ましい。
研磨剤としては公知のものを用いることができるが、特開平6−135175号公報および特公昭50−40047号公報に記載されているケイ砂、石英、水酸化アルミニウム、またはこれらの混合物を用いるのが好ましい。
スラリー液としては、比重が1.05〜1.3の範囲内にあるものが好ましい。スラリー液をアルミニウム板表面に供給する方法としては、例えば、スラリー液を吹き付ける方法、ワイヤーブラシを用いる方法、凹凸を付けた圧延ロールの表面形状をアルミニウム板に転写する方法が挙げられる。また、特開昭55−74898号公報、同61−162351号公報、同63−104889号公報に記載されている方法を用いてもよい。更に、特表平9−509108号公報に記載されているように、アルミナおよび石英からなる粒子の混合物を95:5〜5:95の範囲の質量比で含んでなる水性スラリー中で、アルミニウム板表面をブラシ研磨する方法を用いることもできる。このときの上記混合物の平均粒子径は、1〜40μm、特に1〜20μmの範囲内であるのが好ましい。
電気化学的粗面化処理は、酸性水溶液中で、アルミニウム板を電極として交流電流を通じ、該アルミニウム板の表面を電気化学的に粗面化する工程であり、後述の機械的粗面化処理とは異なる。
本発明においては、上記電気化学的粗面化処理において、アルミニウム板が陰極となるときにおける電気量、即ち、陰極時電気量QCと、陽極となるときにおける電気量、即ち、陽極時電気量QAとの比QC/QAを、例えば、0.5〜2.0の範囲内とすることで、アルミニウム板の表面に均一なハニカムピットを生成することができる。QC/QAが0.50未満であると、不均一なハニカムピットとなりやすく、また、2.0を超えても、不均一なハニカムピットとなりやすい。QC/QAは、0.8〜1.5の範囲内とするのが好ましい。
電気化学的粗面化処理に用いられる交流電流の波形としては、正弦波(サイン波)、矩形波、三角波、台形波等が挙げられる。中でも、矩形波または台形波が好ましい。また、交流電流の周波数は、電源装置を製作するコストの観点から、30〜200Hzであるのが好ましく、40〜120Hzであるのがより好ましく、50〜60Hzであるのが更に好ましい。
本発明に好適に用いられる台形波の一例を図2に示す。図2において、縦軸は電流値、横軸は時間を示す。また、taはアノード反応時間、tcはカソード反応時間、tpは電流値がゼロからカソードサイクル側のピークに達するまでの時間、tp′は電流値がゼロからアノードサイクル側のピークに達するまでの時間、Iaはアノードサイクル側のピーク時の電流、Icはカソードサイクル側のピーク時の電流を示す。交流電流の波形として台形波を用いる場合、電流がゼロからピークに達するまでの時間tpおよびtp′はそれぞれ0.1〜2msecであるのが好ましく、0.3〜1.5msecであるのがより好ましい。tpおよびtp′が0.1msec未満であると、電源回路のインピーダンスが影響し、電流波形の立ち上がり時に大きな電源電圧が必要となり、電源の設備コストが高くなる場合がある。また、tpおよびtp′が2msecを超えると、酸性水溶液中の微量成分の影響が大きくなり、均一な粗面化処理が行われにくくなる場合がある。
また、電気化学的粗面化処理に用いられる交流電流のdutyは、アルミニウム板表面を均一に粗面化する点から0.25〜0.75の範囲内とするのが好ましく、0.4〜0.6の範囲内とするのがより好ましい。本発明でいうdutyとは、交流電流の周期Tにおいて、アルミニウム板の陽極反応が持続している時間(アノード反応時間)をtaとしたときのta/Tをいう。特に、カソード反応時のアルミニウム板表面には、水酸化アルミニウムを主体とするスマット成分の生成に加え、酸化皮膜の溶解や破壊が発生し、次のアルミニウム板のアノード反応時におけるピッティング反応の開始点となるため、交流電流のdutyの選択は均一な粗面化に与える効果が大きい。
交流電流の電流密度は、台形波または矩形波の場合、アノードサイクル側のピーク時の電流密度Iapおよびカソードサイクル側のピーク時の電流密度Icpがそれぞれ10〜200A/dm2となるのが好ましい。また、Icp/Iapは、0.9〜1.5の範囲内にあるのが好ましい。
電気化学的粗面化処理において、電気化学的粗面化処理が終了した時点でのアルミニウム板のアノード反応に用いた電気量の総和は、50〜1000C/dm2であるのが好ましい。電気化学的粗面化処理の時間は、1秒〜30分であるのが好ましい。
電気化学的粗面化処理に用いられる酸性水溶液としては、通常の直流電流または交流電流を用いた電機化学的粗面化処理に用いるものを用いることができ、その中でも硝酸を主体とする酸性水溶液または塩酸を主体とする酸性水溶液を用いることが好ましい。ここで、「主体とする」とは、水溶液中に主体となる成分が、成分全体に対して、30質量%以上、好ましくは50質量%以上含まれていることをいう。以下、他の成分においても同様である。
硝酸を主体とする酸性水溶液としては、上述したように、通常の直流電流または交流電流を用いた電気化学的粗面化処理に用いるものを用いることができる。例えば、硝酸アルミニウム、硝酸ナトリウム、硝酸アンモニウム等の硝酸化合物のうち一つ以上を、0.01g/Lから飽和に達するまでの濃度で、硝酸濃度5〜15g/Lの硝酸水溶液に添加して使用することができる。硝酸を主体とする酸性水溶液中には、鉄、銅、マンガン、ニッケル、チタン、マグネシウム、ケイ素等のアルミニウム合金中に含まれる金属等が溶解されていてもよい。
硝酸を主体とする酸性水溶液としては、中でも、硝酸と、アルミニウム塩と、硝酸塩とを含有し、かつ、アルミニウムイオンが1〜15g/L、好ましくは1〜10g/L、アンモニウムイオンが10〜300ppmとなるように、硝酸濃度5〜15g/Lの硝酸水溶液中に硝酸アルミニウムおよび硝酸アンモニウムを添加して得られたものを用いることが好ましい。なお、上記アルミニウムイオンおよびアンモニウムイオンは、電気化学的粗面化処理を行っている間に自然発生的に増加していくものである。また、この際の液温は10〜95℃であるのが好ましく、20〜90℃であるのがより好ましく、30〜70℃であるのが特に好ましい。
硝酸を主体とする酸性水溶液としては、上述したように、通常の直流電流または交流電流を用いた電気化学的粗面化処理に用いるものを用いることができる。例えば、濃度1〜100g/Lの塩酸の水溶液に、塩化アルミニウム、塩化ナトリウム、塩化アンモニウム等の塩酸イオンを有する塩酸化合物の少なくとも一つを1g/Lから飽和するまでの範囲で添加して使用することができる。また、塩酸を含有する水溶液には、鉄、銅、マンガン、ニッケル、チタン、マグネシウム、シリカ等のアルミニウム合金中に含まれる金属が溶解していてもよい。
具体的には、塩酸濃度2〜10g/Lの塩酸水溶液に、塩化アルミニウムを溶解させてアルミニウムイオン濃度を3〜7g/Lとなるように調整した液が好ましい。
塩酸を含有する水溶液の温度は、25℃以上であるのが好ましく、30℃以上であるのがより好ましく、また、55℃以下であるのが好ましく、40℃以下であるのがより好ましい。
塩酸はそれ自身のアルミニウム溶解力が強いため、わずかな電解を加えるだけで表面に微細な凹凸を形成させることが可能である。この微細な凹凸は、平均開口径が0.01〜0.2μmであり、アルミニウム板の表面の全面に均一に生成する。
更に、電気量を増やしていくと平均開口径0.01〜0.4μmのピットを表面に有する平均開口径1〜15μmのピットが生成する。このような砂目を得るためには電解反応が終了した時点でのアルミニウム板のアノード反応にあずかる電気量の総和が、10C/dm2以上であるのが好ましく、50C/dm2以上であるのがより好ましく、さらには100C/dm2以上であるのが好ましい。また、2000C/dm2以下であるのが好ましく、600C/dm2以下であるのがより好ましい。
電気化学的粗面化処理においては、縦型、フラット型、ラジアル型等の公知の電解装置を用いることができるが、特開平5−195300号公報に記載されているようなラジアル型電解装置が特に好ましい。
図3は、本発明に好適に用いられるラジアル型電解装置の概略図である。図3において、ラジアル型電解装置は、アルミニウム板11が主電解槽21中に配置されたラジアルドラムローラ12に巻装され、搬送過程で交流電源20に接続された主極13aおよび13bによって電解処理される。酸性水溶液14は、溶液供給口15からスリット16を通じてラジアルドラムローラ12と主極13aおよび13bとの間にある溶液通路17に供給される。
ついで、主電解槽21で処理されたアルミニウム板11は、補助陽極槽22で電解処理される。この補助陽極槽22には補助陽極18がアルミニウム板11と対向配置されており、酸性水溶液14は、補助陽極18とアルミニウム板11との間を流れるように供給される。なお、補助電極に流す電流は、サイリスタ19aおよび19bにより制御される。
図示例では、補助陽極槽が主電解槽の後側に配置されているが、本発明においては、補助陽極槽は主電解槽の前側にあっても、後側にあってもよく、両側にあってもよい。
主極13aおよび13bは、カーボン、白金、チタン、ニオブ、ジルコニウム、ステンレス、燃料電池用陰極に用いる電極等から選定することができるが、カーボンが特に好ましい。カーボンとしては、一般に市販されている化学装置用不浸透性黒鉛や、樹脂含芯黒鉛等を用いることができる。
補助陽極18は、フェライト、酸化イリジウム、白金、または、白金をチタン、ニオブ、ジルコニウム等のバルブ金属にクラッドもしくはメッキしたもの等公知の酸素発生用電極から選定することができる。
主電解槽21および補助陽極槽22内を通過する酸性水溶液の供給方向はアルミニウム板11の進行とパラレルでもカウンターでもよい。
一つの電解装置には1個以上の交流電源を接続することができる。また、2個以上の電解装置を使用してもよく、各装置における電解条件は同一であってもよいし異なっていてもよい。
また、電解処理が終了した後には、処理液を次工程に持ち出さないためにニップローラによる液切りとスプレーによる水洗とを行うのが好ましい。
上記電解装置を用いる場合においては、電解装置中のアルミニウム板がアノード反応する酸性水溶液の通電量に比例して、例えば、(i)酸性水溶液の導電率と(ii)超音波の伝搬速度と(iii)温度とから求めた硝酸およびアルミニウムイオン濃度をもとに、硝酸と水の添加量を調節しながら添加し、硝酸と水の添加容積と同量の酸性水溶液を逐次電解装置からオーバーフローさせて排出することで、上記酸性水溶液の濃度を一定に保つのが好ましい。
つぎに、酸性水溶液中またはアルカリ水溶液中での化学的エッチング処理、デスマット処理等の表面処理について順を追って説明する。上記表面処理は、それぞれ上記電気化学的粗面化処理の前、または、上記電気化学的粗面化処理の後であって後述する陽極酸化処理の前において行われる。ただし、以下の各表面処理の説明は例示であり、本発明は、以下の各表面処理の内容に限定されるものではない。また、上記表面処理を初めとする以下の各処理は任意で施される。
<アルカリエッチング処理>
アルカリエッチング処理は、アルカリ水溶液中でアルミニウム板表面を化学的にエッチングする処理であり、上記電気化学的粗面化処理の前と後のそれぞれにおいて行うのが好ましい。また、電気化学的粗面化処理の前に機械的粗面化処理を行う場合には、機械的粗面化処理の後に行うのが好ましい。アルカリエッチング処理は、短時間で微細構造を破壊することができるので、後述する酸性エッチング処理よりも有利である。
アルカリエッチング処理に用いられるアルカリ水溶液としては、カセイソーダ、炭酸ソーダ、アルミン酸ソーダ、メタケイ酸ソーダ、リン酸ソーダ、水酸化カリウム、水酸化リチウム等の1種または2種以上を含有する水溶液が挙げられる。特に、水酸化ナトリウム(カセイソーダ)を主体とする水溶液が好ましい。アルカリ水溶液は、アルミニウムはもちろん、アルミニウム板中に含有される合金成分を0.5〜10質量%を含有していてもよい。
アルカリ水溶液の濃度は、1〜50質量%であるのが好ましく、1〜30質量%であるのがより好ましい。
アルカリエッチング処理は、アルカリ水溶液の液温を20〜100℃、好ましくは40〜80℃の間とし、1〜120秒間、好ましくは2〜60秒間処理することにより行うのが好ましい。アルミニウムの溶解量は、機械的粗面化処理の後に行う場合は5〜20g/m2であるのが好ましく、電気化学的粗面化処理の後に行う場合は0.01〜10g/m2であるのが好ましい。最初にアルカリ水溶液中で化学的なエッチング液をミキシングするときには、液体水酸化ナトリウム(カセイソーダ)とアルミン酸ナトリウム(アルミン酸ソーダ)とを用いて処理液を調製することが好ましい。
また、アルカリエッチング処理が終了した後には、処理液を次工程に持ち出さないために、ニップローラによる液切りとスプレーによる水洗とを行うのが好ましい。
アルカリエッチング処理を電気化学的粗面化処理の後に行う場合、電気化学的粗面化処理により生じたスマットを除去することができる。このようなアルカリエッチング処理としては、例えば、特開昭53−12739号公報に記載されているような50〜90℃の温度の15〜65質量%の硫酸と接触させる方法および特公昭48−28123号公報に記載されているアルカリエッチングする方法が好適に挙げられる。
<酸性エッチング処理>
酸性エッチング処理は、酸性水溶液中でアルミニウム板を化学的にエッチングする処理であり、上記電気化学的粗面化処理の後に行うのが好ましい。また、上記電気化学的粗面化処理の前および/または後に上記アルカリエッチング処理を行う場合は、アルカリエッチング処理の後に酸性エッチング処理を行うのも好ましい。
アルミニウム板に上記アルカリエッチング処理を施した後に、上記酸性エッチング処理を施すと、アルミニウム板表面のシリカを含む金属間化合物または単体Siを除去することができ、その後の陽極酸化処理において生成する陽極酸化皮膜の欠陥をなくすことができる。その結果、印刷時にチリ状汚れと称される非画像部に点状のインクが付着するトラブルを防止することができる。
酸性エッチング処理に用いられる酸性水溶液としては、リン酸、硝酸、硫酸、クロム酸、塩酸、またはこれらの2種以上の混酸を含有する水溶液が挙げられる。中でも、硫酸水溶液が好ましい。酸性水溶液の濃度は、50〜500g/Lであるのが好ましい。酸性水溶液は、アルミニウムはもちろん、アルミニウム板中に含有される合金成分を含有していてもよい。
酸性エッチング処理は、液温を60〜90℃、好ましくは70〜80℃とし、1〜10秒間処理することにより行うのが好ましい。このときのアルミニウム板の溶解量は0.001〜0.2g/m2であるのが好ましい。また、酸濃度、例えば、硫酸濃度とアルミニウムイオン濃度は、常温で晶出しない範囲から選択することが好ましい。好ましいアルミニウムイオン濃度は0.1〜50g/Lであり、特に好ましくは5〜15g/Lである。
また、酸性エッチング処理が終了した後には、処理液を次工程に持ち出さないために、ニップローラによる液切りとスプレーによる水洗とを行うのが好ましい。
<デスマット処理>
上記電気化学的粗面化処理の前および/または後に上記アルカリエッチング処理を行う場合は、アルカリエッチング処理により、一般にアルミニウム板の表面にスマットが生成するので、リン酸、硝酸、硫酸、クロム酸、塩酸、フッ酸、ホウフッ化水素酸、またはこれらの2種以上の混酸を含有する酸性溶液中で上記スマットを溶解する、いわゆるデスマット処理をアルカリエッチング処理の後に行うのが好ましい。なお、アルカリエッチング処理の後には、酸性エッチング処理およびデスマット処理のうち、いずれか一方を行えば十分である。
酸性溶液の濃度は、1〜500g/Lであるのが好ましい。酸性溶液中にはアルミニウムはもちろん、アルミニウム板中に含有される合金成分が0.001〜50g/L溶解していてもよい。
酸性溶液の液温は、20℃〜95℃であるのが好ましく、30〜70℃であるのがより好ましい。また、処理時間は1〜120秒であるのが好ましく、2〜60秒であるのがより好ましい。
また、デスマット処理液(酸性溶液)としては、上記電気化学的粗面化処理で用いた酸性水溶液の廃液または後述する陽極酸化処理で用いた酸性水溶液の廃液を用いるのが、廃液量削減の上で好ましい。
デスマット処理が終了した後には、処理液を次工程に持ち出さないためにニップローラによる液切りとスプレーによる水洗とを行うのが好ましい。
<陽極酸化処理>
以上のようにして必要に応じて各処理を施されたアルミニウム板に、陽極酸化処理を施して、陽極酸化皮膜を形成させる。
陽極酸化処理はこの分野で従来行われている方法で行うことができる。具体的には、硫酸、リン酸、クロム酸、シュウ酸、スルファミン酸、ベンゼンスルホン酸等の単独のまたは2種以上を組み合わせた水溶液または非水溶液の中で、アルミニウム板に直流または交流を流すと、アルミニウム板の表面に、陽極酸化皮膜を形成することができる。
陽極酸化処理の条件は、使用される電解液によって種々変化するので一概に決定され得ないが、一般的には電解液濃度1〜80質量%、液温5〜70℃、電流密度0.5〜60A/dm2、電圧1〜200V、電解時間1〜1000秒であるのが適当である。
これらの陽極酸化処理の中でも、英国特許第1,412,768号明細書に記載されている、硫酸電解液中で高電流密度で陽極酸化処理する方法、および、米国特許第3,511,661号明細書に記載されている、リン酸を電解浴として陽極酸化処理する方法が好ましい。また、硫酸中で陽極酸化処理し、更にリン酸中で陽極酸化処理するなどの多段陽極酸化処理を施すこともできる。
本発明においては、陽極酸化皮膜は、傷付きにくさおよび耐刷性の点で、0.5g/m2以上であるのが好ましく、1.0g/m2以上であるのがより好ましく、2.0g/m2以上であるのが特に好ましく、また、厚い皮膜を設けるためには多大なエネルギーを必要とすることを鑑みると、100g/m2以下であるのが好ましく、10g/m2以下であるのがより好ましく、6g/m2以下であるのが特に好ましい。
陽極酸化皮膜には、その表面にマイクロポアと呼ばれる微細な凹部が一様に分布して形成されている。陽極酸化皮膜に存在するマイクロポアのポア径および密度は、処理条件を適宜選択することによって調整することができる。
マイクロポアの平均ポア径は、後述する酸化物粒子の平均粒径にもよるが、5〜30nmであるのが好ましく、10〜20nmであるのがより好ましい。
マイクロポアの平均ポア径、密度等は、例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて測定することができる。
<ポアワイド処理>
本発明においては、陽極酸化皮膜の空隙率を好適範囲に調整し、熱伝導率を下げる目的で、陽極酸化処理の後、マイクロポアのポア径を拡げるポアワイド処理を行うことができる。このポアワイド処理は、陽極酸化皮膜が形成されたアルミニウム板を酸水溶液またはアルカリ水溶液に浸せきすることにより、陽極酸化皮膜を溶解し、マイクロポアのポア径を拡大するものである。ポアワイド処理は、陽極酸化皮膜の溶解量が、好ましくは0.01〜20g/m2、より好ましくは0.1〜5g/m2、更に好ましくは0.2〜4g/m2となる範囲で行われる。
ポアワイド処理に酸水溶液を用いる場合は、硫酸、リン酸、硝酸、塩酸等の無機酸またはこれらの混合物の水溶液を用いることが好ましい。酸水溶液の濃度は10〜1000g/Lであるのが好ましく、20〜500g/Lであるのがより好ましい。酸水溶液の温度は、10〜90℃であるのが好ましく、30〜70℃であるのがより好ましい。酸水溶液への浸せき時間は、1〜300秒であるのが好ましく、2〜100秒であるのがより好ましい。
一方、ポアワイド処理にアルカリ水溶液を用いる場合は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムおよび水酸化リチウムからなる群から選ばれる少なくとも一つのアルカリの水溶液を用いることが好ましい。アルカリ水溶液のpHは、10〜13であるのが好ましく、11.5〜13.0であるのがより好ましい。アルカリ水溶液の温度は、10〜90℃であるのが好ましく、30〜50℃であるのがより好ましい。アルカリ水溶液への浸せき時間は、1〜500秒であるのが好ましく、2〜100秒であるのがより好ましい。
ポアワイド処理後のマイクロポアの平均ポア径は、後述する酸化物粒子の平均粒径にもよるが、15〜30nmであるのが好ましく、15〜25nmであるのがより好ましい。
<封孔処理>
本発明においては、上述したようにしてアルミニウム板に陽極酸化皮膜を形成させた後、封孔処理を施す。この封孔処理は、陽極酸化処理により形成される陽極酸化皮膜に存在するマイクロポアの平均ポア径よりも大きい平均粒径を有する酸化物粒子が分散している、リン原子を有する酸および/またはその塩とカルボン酸とを含有する水溶液(以下「封孔処理液」ともいう。)を用いて施される。
まず、封孔処理液について説明する。
封孔処理液に用いられる酸化物粒子は、マイクロポアの平均ポア径より大きい平均粒径を有するものであれば特に限定されないが、後述するリン酸またはリン酸塩と反応して皮膜を形成するものであるのが好ましい。
例えば、「Zhurnal Prikladnoi Khimii」、Vo.38,No.7,p.1466−1472,July 1965に記載されている各種の元素の酸化物が挙げられる。具体的には、Al、Si、Ti、Zr、Y、Nd、La、Mg、Ca、Sr、Ba、Cr、Co、Fe、Ni、Sn、Pb、Cu、Zn、Cd、Mn等の酸化物が挙げられる。中でも、Al、Si、Mg、ZrおよびTiからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素の酸化物であるのが好ましい。
具体的には、例えば、SiO2(シリカ)、TiO2、Al23(アルミナ)、ZrO2、Y23、Nd23、La23、MgO、CaO、SrO、BaO、MnO2、CrO2、Co23、Fe23、Mn23、NiO、FeO、MnO、SnO2、PbO2、CuO、ZnO、CdOが挙げられる。
また、SiO2/Al23、MgO/Al2O等の混合酸化物;2SiO2・3Al23(ムライト)等の複合酸化物が挙げられる。
中でも、アルミナが、陽極酸化皮膜と同じ成分であり、封孔処理層と陽極酸化皮膜との密着性が優れたものになる点で、好ましい。
酸化物粒子として、具体的には、住友化学工業(株)製のAKPシリーズ、AKP−Gシリーズ、HITシリーズ、AMシリーズ;シーアイ化成(株)製のナノテック シリーズ(一般呼称:超微粒子)等の各種アルミナ粒子の市販品が好適に挙げられる。
より具体的には、SiO2(トワナライトFTB、平均粒径12μm、豊和直(株)製;ケイ砂SP−80、平均粒径5.5μm、三栄シリカ(株)製;SI−0010、平均粒径10μm、添川理化学(株)製試薬)、MgO(宇部マテリアルズ2000A、平均粒径0.2μm、宇部興産(株)製;MG−0076、平均粒径2mm、添川理化学(株)製試薬)、ZrO2(ナノテック シリーズ(一般呼称:超微粒子)ZrO2、平均粒径0.03μm、シーアイ化成(株)製;ZR−0049、平均粒径8μm、添川理化学(株)製試薬)、TiO2(ルチル、TI−0057、平均粒径1〜2μm、添川理化学(株)製試薬)、SiO2/Al23(ナノテック シリーズ(一般呼称:超微粒子)SiO2/Al23、平均粒径0.03μm、シーアイ化成(株)製)、MgO/Al23(ナノテック シリーズ(一般呼称:超微粒子)MgO/Al23、平均粒径0.05μm、シーアイ化成(株)製)、2SiO2・3Al23(混合酸化物ムライト(粉末)、平均粒径0.8μm、共立マテリアル(株)製;AL−0111、平均粒径5mm、添川理化学(株)製試薬)等が挙げられる。
これらの粒子は、所望により粉砕等により平均粒径を調整して用いられる。
これらは、単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。
また、酸化物粒子は、これらの酸化物以外の酸化物を含有していてもよい。この場合、酸化物粒子におけるこれらの酸化物の含量は、全酸化物に対して、10〜100質量%であるのが好ましく、40〜100質量%であるのがより好ましい。
封孔処理液における酸化物粒子の固形分濃度は、特に限定されないが、10質量%以下であるのが好ましく、0.1〜1.0質量%であるのがより好ましい。
酸化物粒子の平均粒径は、マイクロポアの平均ポア径にもよるが、10〜100nmであるのが好ましく、20〜50nmであるのがより好ましく、20〜30nmであるのが更に好ましい。
酸化物粒子は、マイクロポアの平均ポア径より大きい平均粒径を有する。これにより、陽極酸化皮膜に封孔処理を施した際にマイクロポアに入り込む粒子の数を抑制することができる。その結果、マイクロポアの空隙率の低下を抑制しつつ、陽極酸化皮膜上に封孔処理層を形成させることができる。
また、酸化物粒子の平均粒径は、塩酸電解等により形成される平均開口径0.01〜0.2μmの微細な凹凸よりも小さいのが好ましい。この場合、微細な凹凸による保水性、耐汚れ性、耐刷性等の向上の効果が損なわれない。
封孔処理液に用いられるリン原子を有する酸およびその塩は、分子内にリン原子を有する酸およびその塩であれば特に限定されず、例えば、ホスフィン酸、亜リン酸、二亜リン酸、次リン酸、リン酸(オルトリン酸等)、二リン酸、三リン酸、メタリン酸、ペルオキソリン酸、オルトリン酸、縮合リン酸等のオキソ酸;これらの酸の水素原子の1〜3個をナトリウム、カリウム等の金属原子で置換した塩が挙げられる。
中でも、リン酸およびその塩が好ましい。
これらは、単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。
封孔処理液におけるリン原子を有する酸および/またはその塩の濃度は、特に限定されないが、0.05〜12質量%であるのが好ましく、0.1〜10質量%であるのがより好ましく、0.3〜8質量%であるのが更に好ましい。
リン原子を有する酸および/またはその塩は、陽極酸化皮膜に封孔処理を施した際に、陽極酸化皮膜および酸化物粒子を一部溶解させて一体化させる。これにより、封孔処理層と陽極酸化皮膜との密着性が優れたものになる。
封孔処理液に用いられるカルボン酸は、特に限定されず、例えば、ギ酸、脂肪族カルボン酸、芳香族カルボン酸、複素環族カルボン酸が挙げられる。カルボン酸はモノカルボン酸であってもよく、ジカルボン酸、トリカルボン酸等の多塩基酸であってもよい。
具体的には、モノカルボン酸としては、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、ピバル酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ラウリン酸、クロトン酸、ソルビン酸、ビニル酢酸、ブテニン酸、ペンテンカルボン酸、プロピオニル酸、フェニル酢酸、3−フェニルプロピオン酸、ナフチル酢酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロヘキシルメチルカルボン酸、シクロペンタンカルボン酸、シクロオクタンカルボン酸、シクロデカンカルボン酸、アダマンタンカルボン酸、イソボルネンカルボン酸、安息香酸、ナフタレンカルボン酸、トルイル酸、ケイ皮酸、トロパ酸、サリチル酸、アセチルサリチル酸、アミノサリチル酸、アニス酸、バニリン酸、ニトロ安息香酸、シアノ安息香酸、ベラトルム酸、ピペロニル酸、プロトカテク酸、没食子酸、ホモバニリン酸、カフェー酸、フェルラ酸、ベンゾイル安息香酸、アセチル安息香酸、クロロ安息香酸、ジクロロ安息香酸、トリメチル安息香酸、N,N−ジメチルアミノ安息香酸、アミノナフタレンカルボン酸、クロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、トリフロロ酢酸、3−メチルチオプロピオン酸、3−フェニルチオプロピオン酸、3−オキソバレリン酸、メトキシカルボニル酢酸、3,5−ジオキソバレリン酸、β−オキソシクロヘキサンプロピオン酸、β−オキソ−3−ピリジンプロピオン酸、フランカルボン酸、ピリジンカルボン酸、ピコリン酸、ニコチン酸、イソニコチン酸、キノリンカルボン酸、インドール酢酸、4−イソインドールブタン酸、チオフェンカルボン酸、グリオキシル酸、プロリンピルビン酸、アセト酢酸、レブリン酸、グリコール酸、メルカプト酢酸、乳酸、グリセリン酸、コハク酸モノアミド、カルバモイル安息香酸、ショウノウ酸、ベンジル酸、オロット酸、N−メチルカルバモイルグルタル酸、アセトアミド酢酸、3−(トリメチルシリシル)プロピオン酸、ウロキサン酸、ウロン酸、α−アミノカルボン酸類(例えば、グリシン、アラニン、アミノ酪酸、バニリン、ロイシン、サルコシン、アミノプロピオン酸、アミノ馬尿酸、イソバリン、ノルバリン、イソロイシン、ノルロイシン、オルニチン、リジン、ホモリジン、アスパラギン、グルタミン、リジン、クレアチン、ノルアルギニン、シトルリン、セリン、アザセリン、トレオニン、ホモセリン、カルニチン、システイン、アセチルシステイン、ホモシステイン、メチオニン、エチオニン、ペニシラミン、フェニルアラニン、チロシン、チロニン、トリプトファン、ヒスチジン、バリン等)が挙げられる。
また、多塩基酸(ポリカルボン酸)としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、アセチレンジカルボン酸、イタコン酸、アルキル置換コハク酸(アルキル基として、メチル基、エチル基、ブチル基、オキシル基、オクチル基、デシル基)、シクロブタンジカルボン酸、シクロペンタンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、シクロヘプタンジカルボン酸、シクロオクタンジカルボン酸、シクロヘキサントリカルボン酸、ノルボルネンジカルボン酸、ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−テトラカルボン酸、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンジカルボン酸、シクロヘキサンテトラカルボン酸、ベンゼンジカルボン酸(例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸)、ビフェニルジカルボン酸、テトラクロロベンゼンジカルボン酸、ヘンゼントリカルボン酸、ベンゼンテトラカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、ナフタレントリカルボン酸、ナフタレンテトラカルボン酸、アントラセントリカルボン酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、イミノ二酢酸、ニトリロ三酢酸、エチレンジアミン四酢酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、ランチオニン、シスタチオニン、カイニン酸、メソシュウ酸、オキサル酢酸、グリセリン酸、リンゴ酸、酒石酸、グルコン酸、クエン酸、シキミ酸、キナ酸、チオフェンジカルボン酸、ピリジンジカルボン酸、4,4′−オキソジ安息香酸、ビシクロ[2.2.2]オクト−5−エン−ジカルボン酸、2,2−ビキノリン−4,4′−ジカルボン酸、Chelidamic acid、クマル酸が挙げられる。
中でも、クエン酸、ギ酸が好ましい。
これらは、単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。
封孔処理液におけるカルボン酸の濃度は、特に限定されないが、2質量%以下であるのが好ましく、0.1〜1.0質量%であるのがより好ましい。
カルボン酸は、封孔処理層の表面の親水性を向上させる。これにより、耐汚れ性が向上する。
封孔処理液は、製造方法を特に限定されないが、例えば、上述した酸化物粒子を、上述したリン原子を有する酸および/またはその塩と上述したカルボン酸とを含有する水溶液に分散させて得ることができる。
この際、必要に応じて、分散剤、反応促進剤等を用いることができる。
封孔処理液の温度は、特に限定されないが、30〜70℃であるのが好ましく、40〜60℃であるのがより好ましい。
また、封孔処理液は、pH6以下であるのが好ましく、pH4以下であるのがより好ましい。
封孔処理は、上述した封孔処理液を、アルミニウム板の陽極酸化皮膜に接触させることにより行う。接触させる方法は、特に限定されず、例えば、バーコーター塗布、回転塗布、スプレー塗布、カーテン塗布、ディップ塗布、エアーナイフ塗布、ブレード塗布、ロール塗布が挙げられる。これらは単独で1回または複数回用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ついで、封孔処理液を塗布されたアルミニウム板を乾燥させる。
乾燥方法は、特に限定されず、一般的に用いられる方法を選択できる。乾燥温度は、180〜500℃であるのが好ましく、180〜220℃であるのがより好ましい。上記範囲であると、アルミニウム板の軟化を抑制でき、優れた特性を持つ平版印刷版原版を得ることができる。
この乾燥の過程において、酸化物粒子の表面が、リン原子を有する酸および/またはその塩と反応する。これにより、酸化物粒子をその径を大きく減じさせることなく残存させることができる。
乾燥時間は、封孔処理液の水を除去することができれば特に限定されないが、一般的には、10〜300秒であるのが好ましく、30〜180秒であるのがより好ましい。
上述した封孔処理液を陽極酸化皮膜に接触させると、リン原子を有する酸および/またはその塩が、酸化物粒子の表面およびAl23からなる陽極酸化皮膜の表面を一部溶解させ、リン酸アルミニウムを形成する。酸化物粒子は、リン酸アルミニウムに被覆された状態で陽極酸化皮膜に固着し、封孔処理層を形成する。
封孔処理層により、陽極酸化皮膜のマイクロポアが封孔されるため、平版印刷版原版の製造の際に画像記録層がマイクロポアの内部に入ることを抑制することができる。その結果、画像記録層から平版印刷版用支持体への熱の移動を抑制することができる。特に、本発明においては、上述したように、用いられる酸化物粒子の平均粒径が陽極酸化皮膜のマイクロポアの平均ポア径より大きいため、マイクロポアの内部に入る酸化物粒子の数も抑制することができ、空洞が多く、断熱性の高い陽極酸化皮膜となる。
したがって、ヒートモード記録可能な画像記録層を設けた場合には、感度、耐刷性等が優れたものになる。中でも、赤外線吸収剤と、重合開始剤と、重合性化合物とを含有し、印刷インキおよび/または湿し水により除去可能な画像記録層を設けた平版印刷版原版の場合には、機上現像後の画像記録層の残膜の量を少なくすることができ、これにより平版印刷版の非画像部の表面を親水的にすることができるので、耐汚れ性が優れたものとなる。
一方、封孔処理層には、カルボン酸が含有されるため、表面の親水性が高くなり、耐汚れ性が優れたものとなる。また、この封孔処理により、印刷時にインキが潜り込むことを抑制することができるので、この点からも耐汚れ性が優れたものとなる。
更に、この封孔処理により、平版印刷版用支持体の表面に10〜100nmの微細な凹凸を形成させることができるため、平版印刷版用支持体の表面積が増加し、これにより画像記録層との密着性が向上するので、感度および耐薬品性が優れたものとなる。
陽極酸化皮膜の封孔率は30%以上であるのが好ましく、60%以上であるのがより好ましい。上記範囲であると、マイクロポアの内部に画像記録層やインキが入ることをより抑制することができる。
ここで、「封孔率」は、下記式により定義される。
封孔率=(封孔前の表面積−封孔後の表面積)/封孔前の表面積×100%
表面積は、例えば、簡易BET方式の表面積測定装置(例えば、フローソーブIII、Micromeritics社製;QUANTASORB(カンタソーブ)、湯浅アイオニクス社製)を用いて測定することができる。
封孔処理後のアルミニウム板の表面(即ち、封孔処理層の表面)は、水との接触角が60°以下であるのが好ましく、20°以下であるのがより好ましい。上記範囲であると、親水性がより優れるため、耐汚れ性が優れたものになる。また、赤外線吸収剤と、重合開始剤と、重合性化合物とを含有し、印刷インキおよび/または湿し水により除去可能な画像記録層を設けた平版印刷版原版の場合には、機上現像性が優れたものとなる。
<親水化処理>
本発明においては、封孔処理後、親水化処理を施すのが好ましい。親水化処理としては、例えば、米国特許第3,201,247号明細書に記載されているホスホモリブデート処理、英国特許第1,108,559号に記載されているアルキルチタネート処理、独国特許第1,091,433号明細書に記載されているポリアクリル酸処理、独国特許第1,134,093号明細書および英国特許第1,230,447号明細書に記載されているポリビニルホスホン酸処理、特公昭44−6409号公報に記載されているホスホン酸処理、米国特許第3,307,951号明細書に記載されているフィチン酸処理、特開昭58−16893号公報および特開昭58−18291号公報に記載されている親油性有機高分子化合物と2価の金属との塩による処理、米国特許第3,860,426号明細書に記載されているように、水溶性金属塩(例えば、酢酸亜鉛)を含む親水性セルロース(例えば、カルボキシメチルセルロース)の下塗層を設ける処理、特開昭59−101651号公報に記載されているスルホ基を有する水溶性重合体を下塗りする処理が挙げられる。
また、特開昭62−19494号公報に記載されているリン酸塩、特開昭62−33692号公報に記載されている水溶性エポキシ化合物、特開昭62−97892号公報に記載されているリン酸変性デンプン、特開昭63−56498号公報に記載されているジアミン化合物、特開昭63−130391号公報に記載されているアミノ酸の無機または有機酸、特開昭63−145092号公報に記載されているカルボキシ基またはヒドロキシ基を含む有機ホスホン酸、特開昭63−165183号公報に記載されているアミノ基とホスホン酸基を有する化合物、特開平2−316290号公報に記載されている特定のカルボン酸誘導体、特開平3−215095号公報に記載されているリン酸エステル、特開平3−261592号公報に記載されている1個のアミノ基とリンの酸素酸基1個を持つ化合物、特開平3−215095号公報に記載されているリン酸エステル、特開平5−246171号公報に記載されているフェニルホスホン酸等の脂肪族または芳香族ホスホン酸、特開平1−307745号公報に記載されているチオサリチル酸のようなS原子を含む化合物、特開平4−282637号公報に記載されているリンの酸素酸のグループを持つ化合物等を用いた下塗りによる処理も挙げられる。
更に、特開昭60−64352号公報に記載されている酸性染料による着色を行うこともできる。
また、ケイ酸ソーダ、ケイ酸カリ等のアルカリ金属ケイ酸塩の水溶液に浸せきさせる方法、親水性ビニルポリマーまたは親水性化合物を塗布して親水性の下塗層を形成させる方法等により、親水化処理を行うのが好ましい。
ケイ酸ソーダ、ケイ酸カリ等のアルカリ金属ケイ酸塩の水溶液による親水化処理は、米国特許第2,714,066号明細書および米国特許第3,181,461号明細書に記載されている方法および手順に従って行うことができる。
アルカリ金属ケイ酸塩としては、例えば、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸リチウムが挙げられる。アルカリ金属ケイ酸塩の水溶液は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等を適当量含有してもよい。
また、アルカリ金属ケイ酸塩の水溶液は、アルカリ土類金属塩または4族(第IVA族)金属塩を含有してもよい。アルカリ土類金属塩としては、例えば、硝酸カルシウム、硝酸ストロンチウム、硝酸マグネシウム、硝酸バリウム等の硝酸塩;硫酸塩;塩酸塩;リン酸塩;酢酸塩;シュウ酸塩;ホウ酸塩が挙げられる。4族(第IVA族)金属塩としては、例えば、四塩化チタン、三塩化チタン、フッ化チタンカリウム、シュウ酸チタンカリウム、硫酸チタン、四ヨウ化チタン、塩化酸化ジルコニウム、二酸化ジルコニウム、オキシ塩化ジルコニウム、四塩化ジルコニウムが挙げられる。これらのアルカリ土類金属塩および4族(第IVA族)金属塩は、単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。
また、親水性の下塗層の形成による親水化処理は、特開昭59−101651号公報および特開昭60−149491号公報に記載されている条件および手順に従って行うこともできる。
この方法に用いられる親水性ビニルポリマーとしては、例えば、ポリビニルスルホン酸、スルホ基を有するp−スチレンスルホン酸等のスルホ基含有ビニル重合性化合物と(メタ)アクリル酸アルキルエステル等の通常のビニル重合性化合物との共重合体が挙げられる。また、この方法に用いられる親水性化合物としては、例えば、−NH2基、−COOH基およびスルホ基からなる群から選ばれる少なくとも一つを有する化合物が挙げられる。
親水化処理は、20〜100℃の範囲の温度で行われるのが好ましく、20〜60℃の範囲の温度で行われるのがより好ましい。
水溶液に浸せきさせる方法の場合、浸せきさせる時間は、1秒以上であるのが好ましく、3秒以上であるのがより好ましく、また、100秒以下であるのが好ましく、20秒以下であるのがより好ましい。
<バックコート層>
上述したようにして得られる本発明の平版印刷版用支持体には、平版印刷版原版としたときに、重ねても画像記録層が傷付かないように、裏面(画像記録層が設けられない側の面)に、有機高分子化合物からなる被覆層(以下「バックコート層」ともいう。)を必要に応じて設けてもよい。
バックコート層の主成分としては、ガラス転移点が20℃以上の、飽和共重合ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリビニルアセタール樹脂および塩化ビニリデン共重合樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂を用いるのが好ましい。
飽和共重合ポリエステル樹脂は、ジカルボン酸ユニットとジオールユニットとからなる。ジカルボン酸ユニットとしては、例えば、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、テトラブロムフタル酸、テトラクロルフタル酸等の芳香族ジカルボン酸;アジピン酸、アゼライン酸、コハク酸、シュウ酸、スベリン酸、セバチン酸、マロン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の飽和脂肪族ジカルボン酸が挙げられる。
バックコート層は、更に、着色のための染料や顔料、支持体との密着性を向上させるためのシランカップリング剤、ジアゾニウム塩からなるジアゾ樹脂、有機ホスホン酸、有機リン酸、カチオン性ポリマー、滑り剤として通常用いられるワックス、高級脂肪酸、高級脂肪酸アミド、ジメチルシロキサンからなるシリコーン化合物、変性ジメチルシロキサン、ポリエチレン粉末等を適宜含有することができる。
バックコート層の厚さは、基本的には合紙がなくても、後述する記録層を傷付けにくい程度であればよく、0.01〜8μmであるのが好ましい。厚さが0.01μm未満であると、平版印刷版原版を重ねて取り扱った場合の記録層の擦れ傷を防ぐことが困難である。また、厚さが8μmを超えると、印刷中、平版印刷版周辺で用いられる薬品によってバックコート層が膨潤して厚みが変動し、印圧が変化して印刷特性を劣化させることがある。
バックコート層を支持体の裏面に設ける方法としては、種々の方法を用いることができる。例えば、上記バックコート層用成分を適当な溶媒に溶解し溶液にして塗布し、または、乳化分散液して塗布し、乾燥する方法;あらかじめフィルム状に成形したものを接着剤や熱での支持体に貼り合わせる方法;溶融押出機で溶融被膜を形成し、支持体に貼り合わせる方法が挙げられる。好適な厚さを確保するうえで最も好ましいのは、バックコート層用成分を適当な溶媒に溶解し溶液にして塗布し、乾燥する方法である。この方法においては、特開昭62−251739号公報に記載されているような有機溶剤を単独でまたは混合して、溶媒として用いることができる。
平版印刷版原版の製造においては、裏面のバックコート層と表面の記録層のどちらを先に支持体上に設けてもよく、また、両者を同時に設けてもよい。
<画像記録層>
本発明により得られる平版印刷版用支持体には、画像記録層を設けて本発明の平版印刷版原版とすることができる。画像記録層には、感光性組成物が用いられる。
本発明に好適に用いられる感光性組成物は、特に限定されず、例えば、アルカリ可溶性高分子化合物と光熱変換物質とを含有するサーマルポジ型感光性組成物(以下、この組成物およびこれを用いた画像記録層について、「サーマルポジタイプ」という。)、硬化性化合物と光熱変換物質とを含有するサーマルネガ型感光性組成物(以下、同様に「サーマルネガタイプ」という。)、光重合型感光性組成物(以下、同様に「フォトポリマータイプ」という。)、ジアゾ樹脂または光架橋樹脂を含有するネガ型感光性組成物(以下、同様に「コンベンショナルネガタイプ」という。)、キノンジアジド化合物を含有するポジ型感光性組成物(以下、同様に「コンベンショナルポジタイプ」という。)、特別な現像工程を必要としない感光性組成物(以下、同様に「無処理タイプ」という。)が挙げられる。
また、本発明により得られる平版印刷版用支持体は、サーマルポジタイプ、サーマルネガタイプ等として、レーザー光のような高収斂性の輻射線にデジタル化された画像情報を担持させて、その光で平版印刷版原版を走査露光し、リスフィルムを介することなく、直接平版印刷版を製造するコンピュータ・トゥ・プレート(CTP)技術に好適に用いられる。したがって、このような用途に用いられる、赤外線レーザー露光により書き込み可能な画像記録層が好ましい。
以下、これらの好適な感光性組成物について説明する。
<サーマルポジタイプ>
<感光層>
サーマルポジタイプの感光性組成物は、アルカリ可溶性高分子化合物と光熱変換物質とを含有する。サーマルポジタイプの画像記録層においては、光熱変換物質が赤外線レーザ等の光のエネルギーを熱に変換し、その熱がアルカリ可溶性高分子化合物のアルカリ溶解性を低下させている相互作用を効率よく解除する。
アルカリ可溶性高分子化合物としては、例えば、分子中に酸性基を含有する樹脂およびその2種以上の混合物が挙げられる。特に、フェノール性ヒドロキシ基、スルホンアミド基(−SO2NH−R(式中、Rは炭化水素基を表す。))、活性イミノ基(−SO2NHCOR、−SO2NHSO2R、−CONHSO2R(各式中、Rは上記と同様の意味である。))等の酸性基を有する樹脂がアルカリ現像液に対する溶解性の点で好ましい。
とりわけ、赤外線レーザ等の光による露光での画像形成性に優れる点で、フェノール性ヒドロキシ基を有する樹脂が好ましく、例えば、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、m−クレゾール−ホルムアルデヒド樹脂、p−クレゾール−ホルムアルデヒド樹脂、m−/p−混合クレゾール−ホルムアルデヒド樹脂、フェノール/クレゾール(m−、p−およびm−/p−混合のいずれでもよい)混合−ホルムアルデヒド樹脂(フェノール−クレゾール−ホルムアルデヒド共縮合樹脂)等のノボラック樹脂が好適に挙げられる。
更に、特開2001−305722号公報(特に[0023]〜[0042])に記載されている高分子化合物、特開2001−215693号公報に記載されている一般式(1)で表される繰り返し単位を含む高分子化合物、特開2002−311570号公報(特に[0107])に記載されている高分子化合物も好適に挙げられる。
光熱変換物質としては、記録感度の点で、波長700〜1200nmの赤外域に光吸収域がある顔料または染料が好適に挙げられる。染料としては、例えば、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、ナフトキノン染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、カルボニウム染料、キノンイミン染料、メチン染料、シアニン染料、スクワリリウム色素、ピリリウム塩、金属チオレート錯体(例えば、ニッケルチオレート錯体)が挙げられる。中でも、シアニン染料が好ましく、とりわけ特開2001−305722号公報に記載されている一般式(I)で表されるシアニン染料が好ましい。
サーマルポジタイプの感光性組成物中には、溶解阻止剤を含有させることができる。溶解阻止剤としては、例えば、特開2001−305722号公報の[0053]〜[0055]に記載されているような溶解阻止剤が好適に挙げられる。
また、サーマルポジタイプの感光性組成物中には、添加剤として、感度調節剤、露光による加熱後直ちに可視像を得るための焼出し剤、画像着色剤としての染料等の化合物、塗布性および処理安定性を向上させるための界面活性剤を含有させるのが好ましい。これらについては、特開2001−305722号公報の[0056]〜[0060]に記載されているような化合物が好ましい。
上記以外の点でも、特開2001−305722号公報に詳細に記載されている感光性組成物が好ましく用いられる。
また、サーマルポジタイプの画像記録層は、単層に限らず、2層構造であってもよい。
2層構造の画像記録層(重層系の画像記録層)としては、支持体に近い側に耐刷性および耐溶剤性に優れる下層(以下「A層」という。)を設け、その上にポジ画像形成性に優れる層(以下「B層」という。)を設けたタイプが好適に挙げられる。このタイプは感度が高く、広い現像ラチチュードを実現することができる。B層は、一般に、光熱変換物質を含有する。光熱変換物質としては、上述した染料が好適に挙げられる。
A層に用いられる樹脂としては、スルホンアミド基、活性イミノ基、フェノール性ヒドロキシ基等を有するモノマーを共重合成分として有するポリマーが耐刷性および耐溶剤性に優れている点で好適に挙げられる。B層に用いられる樹脂としては、フェノール性ヒドロキシ基を有するアルカリ水溶液可溶性樹脂が好適に挙げられる。
A層およびB層に用いられる組成物には、上記樹脂のほかに、必要に応じて、種々の添加剤を含有させることができる。具体的には、特開2002−3233769号公報の[0062]〜[0085]に記載されているような種々の添加剤が好適に用いられる。また、上述した特開2001−305722号公報の[0053]〜[0060]に記載されている添加剤も好適に用いられる。
A層およびB層を構成する各成分およびその含有量については、特開平11−218914号公報に記載されているようにするのが好ましい。
<中間層>
サーマルポジタイプの画像記録層と支持体との間には、中間層を設けるのが好ましい。中間層に含有される成分としては、特開2001−305722号公報の[0068]に記載されている種々の有機化合物が好適に挙げられる。
<その他>
サーマルポジタイプの画像記録層の製造方法および製版方法については、特開2001−305722号公報に詳細に記載されている方法を用いることができる。
<サーマルネガタイプ>
サーマルネガタイプの感光性組成物は、硬化性化合物と光熱変換物質とを含有する。サーマルネガタイプの画像記録層は、赤外線レーザ等の光で照射された部分が硬化して画像部を形成するネガ型の感光層である。
<重合層>
サーマルネガタイプの画像記録層の一つとして、重合型の画像記録層(重合層)が好適に挙げられる。重合層は、光熱変換物質と、ラジカル発生剤と、硬化性化合物であるラジカル重合性化合物と、バインダーポリマーとを含有する。重合層においては、光熱変換物質が吸収した赤外線を熱に変換し、この熱によりラジカル発生剤が分解してラジカルが発生し、発生したラジカルによりラジカル重合性化合物が連鎖的に重合し、硬化する。
光熱変換物質としては、例えば、上述したサーマルポジタイプに用いられる光熱変換物質が挙げられる。特に好ましいシアニン色素の具体例としては、特開2001−133969号公報の[0017]〜[0019]に記載されているものが挙げられる。
ラジカル発生剤としては、オニウム塩が好適に挙げられる。特に、特開2001−133969号公報の[0030]〜[0033]に記載されているオニウム塩が好ましい。
ラジカル重合性化合物としては、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物が挙げられる。
バインダーポリマーとしては、線状有機ポリマーが好適に挙げられる。水または弱アルカリ水に対して可溶性または膨潤性である線状有機ポリマーが好適に挙げられる。中でも、アリル基、アクリロイル基等の不飽和基またはベンジル基と、カルボキシ基とを側鎖に有する(メタ)アクリル樹脂が、膜強度、感度および現像性のバランスに優れている点で好適である。
ラジカル重合性化合物およびバインダーポリマーについては、特開2001−133969号公報の[0036]〜[0060]に詳細に記載されているものを用いることができる。
サーマルネガタイプの感光性組成物中には、特開2001−133969号公報の[0061]〜[0068]に記載されている添加剤(例えば、塗布性を向上させるための界面活性剤)を含有させるのが好ましい。
重合層の製造方法および製版方法については、特開2001−133969号公報に詳細に記載されている方法を用いることができる。
<酸架橋層>
また、サーマルネガタイプの画像記録層の一つとして、酸架橋型の画像記録層(酸架橋層)も好適に挙げられる。酸架橋層は、光熱変換物質と、熱酸発生剤と、硬化性化合物である酸により架橋する化合物(架橋剤)と、酸の存在下で架橋剤と反応しうるアルカリ可溶性高分子化合物とを含有する。酸架橋層においては、光熱変換物質が吸収した赤外線を熱に変換し、この熱により熱酸発生剤が分解して酸が発生し、発生した酸により架橋剤とアルカリ可溶性高分子化合物とが反応し、硬化する。
光熱変換物質としては、重合層に用いられるのと同様のものが挙げられる。
熱酸発生剤としては、例えば、光重合の光開始剤、色素類の光変色剤、マイクロレジスト等に使用されている酸発生剤等の熱分解化合物が挙げられる。
架橋剤としては、例えば、ヒドロキシメチル基またはアルコキシメチル基で置換された芳香族化合物;N−ヒドロキシメチル基、N−アルコキシメチル基またはN−アシルオキシメチル基を有する化合物;エポキシ化合物が挙げられる。
アルカリ可溶性高分子化合物としては、例えば、ノボラック樹脂、側鎖にヒドロキシアリール基を有するポリマーが挙げられる。
<フォトポリマータイプ>
光重合型感光性組成物は、付加重合性化合物と、光重合開始剤と、高分子結合剤とを含有する。
付加重合性化合物としては、付加重合可能なエチレン性不飽和結合含有化合物が好適に挙げられる。エチレン性不飽和結合含有化合物は、末端エチレン性不飽和結合を有する化合物である。具体的には、例えば、モノマー、プレポリマー、これらの混合物等の化学的形態を有する。モノマーの例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸)と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミドが挙げられる。
また、付加重合性化合物としては、ウレタン系付加重合性化合物も好適に挙げられる。
光重合開始剤としては、種々の光重合開始剤または2種以上の光重合開始剤の併用系(光開始系)を、使用する光源の波長により適宜選択して用いることができる。例えば、特開2001−22079号公報の[0021]〜[0023]に記載されている開始系が好適に挙げられる。
高分子結合剤は、光重合型感光性組成物の皮膜形成剤として機能するだけでなく、画像記録層をアルカリ現像液に溶解させる必要があるため、アルカリ水に対して可溶性または膨潤性である有機高分子重合体が用いられる。そのような有機高分子重合体としては、特開2001−22079号公報の[0036]〜[0063]に記載されているものが好適に挙げられる。
フォトポリマータイプの光重合型感光性組成物中には、特開2001−22079号公報の[0079]〜[0088]に記載されている添加剤(例えば、塗布性を向上させるための界面活性剤、着色剤、可塑剤、熱重合禁止剤)を含有させるのが好ましい。
また、フォトポリマータイプの画像記録層の上に、酸素の重合禁止作用を防止するために酸素遮断性保護層を設けることが好ましい。酸素遮断性保護層に含有される重合体としては、例えば、ポリビニルアルコール、その共重合体が挙げられる。
更に、特開2001−228608号公報の[0124]〜[0165]に記載されているような中間層または接着層を設けるのも好ましい。
<コンベンショナルネガタイプ>
コンベンショナルネガタイプの感光性組成物は、ジアゾ樹脂または光架橋樹脂を含有する。中でも、ジアゾ樹脂とアルカリ可溶性または膨潤性の高分子化合物(結合剤)とを含有する感光性組成物が好適に挙げられる。
ジアゾ樹脂としては、例えば、芳香族ジアゾニウム塩とホルムアルデヒド等の活性カルボニル基含有化合物との縮合物;p−ジアゾフェニルアミン類とホルムアルデヒドとの縮合物とヘキサフルオロリン酸塩またはテトラフルオロホウ酸塩との反応生成物である有機溶媒可溶性ジアゾ樹脂無機塩が挙げられる。特に、特開昭59−78340号公報に記載されている6量体以上を20モル%以上含んでいる高分子量ジアゾ化合物が好ましい。
結合剤としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸またはマレイン酸を必須成分として含む共重合体が挙げられる。具体的には、特開昭50−118802号公報に記載されているような2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸等のモノマーの多元共重合体、特開昭56−4144号公報に記載されているようなアルキルアクリレート、(メタ)アクリロニトリルおよび不飽和カルボン酸からなる多元共重合体が挙げられる。
コンベンショナルネガタイプの感光性組成物には、添加剤として、特開平7−281425号公報の[0014]〜[0015]に記載されている焼出し剤、染料、塗膜の柔軟性および耐摩耗性を付与するための可塑剤、現像促進剤等の化合物、塗布性を向上させるための界面活性剤を含有させるのが好ましい。
コンベンショナルネガタイプの感光層の下には、特開2000−105462号公報に記載されている、酸基を有する構成成分とオニウム基を有する構成成分とを有する高分子化合物を含有する中間層を設けるのが好ましい。
<コンベンショナルポジタイプ>
コンベンショナルポジタイプの感光性組成物は、キノンジアジド化合物を含有する。中でも、o−キノンジアジド化合物とアルカリ可溶性高分子化合物とを含有する感光性組成物が好適に挙げられる。
o−キノンジアジド化合物としては、例えば、1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホニルクロライドとフェノール−ホルムアルデヒド樹脂またはクレゾール−ホルムアルデヒド樹脂とのエステル、米国特許第3,635,709号明細書に記載されている1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホニルクロライドとピロガロール−アセトン樹脂とのエステルが挙げられる。
アルカリ可溶性高分子化合物としては、例えば、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、クレゾール−ホルムアルデヒド樹脂、フェノール−クレゾール−ホルムアルデヒド共縮合樹脂、ポリヒドロキシスチレン、N−(4−ヒドロキシフェニル)メタクリルアミドの共重合体、特開平7−36184号公報に記載されているカルボキシ基含有ポリマー、特開昭51−34711号公報に記載されているようなフェノール性ヒドロキシ基を含有するアクリル系樹脂、特開平2−866号公報に記載されているスルホンアミド基を有するアクリル系樹脂、ウレタン系の樹脂が挙げられる。
コンベンショナルポジタイプの感光性組成物には、添加剤として、特開平7−92660号公報の[0024]〜[0027]に記載されている感度調節剤、焼出剤、染料等の化合物や、特開平7−92660号公報の[0031]に記載されているような塗布性を向上させるための界面活性剤を含有させるのが好ましい。
コンベンショナルポジタイプの感光層の下には、上述したコンベンショナルネガタイプに好適に用いられる中間層と同様の中間層を設けるのが好ましい。
<無処理タイプ>
無処理タイプの感光性組成物には、熱可塑性微粒子ポリマー型、マイクロカプセル型、スルホン酸発生ポリマー含有型等が挙げられる。これらはいずれも光熱変換物質を含有する感熱型である。
中でも、赤外線吸収剤(A)と、重合開始剤(B)と、重合性化合物(C)とを含有し、印刷インキおよび/または湿し水により除去可能な画像記録層が好ましい。以下、この画像記録層について、詳細に説明する。
<赤外線吸収剤(A)>
赤外線吸収剤(A)は、波長760〜1200nmの赤外線を発するレーザーを光源とする画像形成を効率的に行うことを可能にするために画像記録層中に含有される。赤外線吸収剤は、吸収した赤外線を熱に変換する機能を有している。この際発生した熱により、後述する重合開始剤(ラジカル発生剤)(B)が熱分解し、ラジカルを発生する。本発明に用いられる赤外線吸収剤(A)は、波長760〜1200nmに吸収極大を有する染料または顔料である。
染料としては、市販の染料、および、「染料便覧」(有機合成化学協会編集、昭和45年刊)等の文献に記載されている公知のものを用いることができる。具体的には、例えば、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、ナフトキノン染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、カルボニウム染料、キノンイミン染料、メチン染料、シアニン染料、スクアリリウム色素、ピリリウム塩、金属チオレート錯体、オキソノール染料、ジイモニウム染料、アミニウム染料、クロコニウム染料が挙げられる。
好ましい染料としては、例えば、特開昭58−125246号、特開昭59−84356号、特開昭59−202829号および特開昭60−78787号の各公報等に記載されているシアニン染料、特開昭58−173696号、特開昭58−181690号および特開昭58−194595号の各公報等に記載されているメチン染料、特開昭58−112793号、特開昭58−224793号、特開昭59−48187号、特開昭59−73996号、特開昭60−52940号および特開昭60−63744号の各公報等に記載されているナフトキノン染料、特開昭58−112792号公報等に記載されているスクアリリウム色素、英国特許第434,875号明細書に記載されているシアニン染料が挙げられる。
また、米国特許第5,156,938号明細書に記載されている近赤外吸収増感剤も好適に用いられる。また、米国特許第3,881,924号明細書に記載されている置換されたアリールベンゾ(チオ)ピリリウム塩、特開昭57−142645号公報(米国特許第4,327,169号明細書)に記載されているトリメチンチアピリリウム塩、特開昭58−181051号、同58−220143号、同59−41363号、同59−84248号、同59−84249号、同59−146063号および同59−146061号の各公報に記載されているピリリウム系化合物、特開昭59−216146号に記載されているシアニン色素、米国特許第4,283,475号明細書に記載されているペンタメチンチオピリリウム塩等、特公平5−13514号公報および同5−19702号公報に記載されているピリリウム化合物も好適に用いられる。
また、米国特許第4,756,993号明細書中に式(I)および(II)として記載されている近赤外吸収染料も好適に挙げられる。
また、特開2002−278057号公報に記載されている特定のインドレニンシアニン色素も好適に挙げられる。
これらの染料のうち特に好ましいものとしては、シアニン色素、スクワリリウム色素、ピリリウム塩、ニッケルチオレート錯体、インドレニンシアニン色素が挙げられる。中でも、シアニン色素、インドレニンシアニン色素が好ましく、特に好ましい一つの例として下記一般式(i)で表されるシアニン色素が挙げられる。
Figure 2005271414
一般式(i)中、X1は、水素原子、ハロゲン原子、−NPh2、−X2−L1または下記式で表される基を表す。
Figure 2005271414
2は、酸素原子、窒素原子または硫黄原子を表し、L1は、炭素原子数1〜12の炭化水素基、ヘテロ原子を有する芳香族環またはヘテロ原子を含む炭素原子数1〜12の炭化水素基を表す。ここでヘテロ原子とは、N、S、O、ハロゲン原子およびSeを意味する。
a -は、後述するZa -と同様に定義され、Raは、水素原子、アルキル基、アリール基、置換または無置換のアミノ基およびハロゲン原子から選ばれる置換基を表す。
1およびR2は、それぞれ独立に、炭素原子数1〜12の炭化水素基を表す。画像記録層用塗布液の保存安定性の点で、R1およびR2は、炭素原子数2個以上の炭化水素基であるのが好ましい。また、R1とR2とが互いに結合し、5員環または6員環を形成しているのがより好ましい。
Ar1およびAr2は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を表す。好適な芳香族炭化水素基としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環が挙げられる。また、好適な置換基としては、例えば、炭素数12個以下の炭化水素基、ハロゲン原子、炭素数12個以下のアルコキシ基が挙げられる。
1およびY2は、それぞれ独立に、硫黄原子または炭素数12個以下のジアルキルメチレン基を表す。
3およびR4は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数20個以下の炭化水素基を表す。好適な置換基としては、例えば、炭素数12個以下のアルコキシ基、カルボキシ基、スルホ基が挙げられる。
5〜R8は、それぞれ独立に、水素原子または炭素数12個以下の炭化水素基を表す。原料の入手性から、それぞれ水素原子であるのが好ましい。
a -は、対アニオン(カウンターアニオン)を表す。一般式(i)で示されるシアニン色素が、その構造内にアニオン性の置換基を有し、電荷の中和が必要ない場合にはZa -は必要ない。好適なZa -としては、画像記録層用塗布液の保存安定性の点で、ハロゲンイオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、スルホン酸イオンが挙げられる。中でも、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロフォスフェートイオン、アリールスルホン酸イオンが好ましい。
本発明に好適に用いられる一般式(i)で表されるシアニン色素の具体例としては、特開2001−133969号公報の段落番号[0017]〜[0019]に記載されているものが挙げられる。
また、特に好ましい他の例として、特開2002−278057号公報に記載されている特定のインドレニンシアニン色素を挙げることができる。
顔料としては、市販の顔料、および、カラーインデックス(C.I.)便覧、「最新顔料便覧」(日本顔料技術協会編、1977年刊)、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)、「印刷インキ技術」(CMC出版、1984年刊)等の文献に記載されている顔料が挙げられる。
顔料としては、例えば、黒色顔料、黄色顔料、オレンジ色顔料、褐色顔料、赤色顔料、紫色顔料、青色顔料、緑色顔料、蛍光顔料、金属粉顔料、ポリマー結合色素が挙げられる。具体的には、例えば、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料、フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、ペリレンおよびペリノン系顔料、チオインジゴ系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、染付けレーキ顔料、アジン顔料、ニトロソ顔料、ニトロ顔料、天然顔料、蛍光顔料、無機顔料、カーボンブラックが挙げられる。中でも、カーボンブラックが好ましい。
顔料は、表面処理を施さずに用いてもよく、表面処理を施して用いてもよい。表面処理の方法としては、例えば、樹脂またはワックスを表面コートする方法、界面活性剤を付着させる方法、反応性物質(例えば、シランカップリング剤、エポキシ化合物、ポリイソシアネート)を顔料表面に結合させる方法が挙げられる。表面処理の方法としては、「金属石鹸の性質と応用」(幸書房)、「印刷インキ技術」(CMC出版、1984年刊)および「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)に記載されている方法を用いることができる。
顔料の平均粒径は、0.01〜10μmであるのが好ましく、0.05〜1μmであるのがより好ましく、0.1〜1μmであるのが更に好ましい。上記範囲であると、顔料分散物の画像記録層用塗布液中での良好な安定性と画像記録層の良好な均一性とが得られる。
顔料を分散させる方法としては、インキ製造、トナー製造等に用いられる公知の分散技術を用いることができる。分散機としては、例えば、超音波分散器、サンドミル、アトライター、パールミル、スーパーミル、ボールミル、インペラー、デスパーザー、KDミル、コロイドミル、ダイナトロン、3本ロールミル、加圧ニーダーが挙げられる。詳細は、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)に記載されている。
赤外線吸収剤(A)は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
赤外線吸収剤(A)の含有量は、画像記録層の全固形分に対して、1〜5質量%であるのが好ましく、1〜4質量%であるのがより好ましく、1〜3質量%であるのが更に好ましい。上記範囲であると、良好な感度が得られる。
<重合開始剤(B)>
重合開始剤(B)は、熱、光またはその両方のエネルギーによりラジカルを発生させ、後述する重合性化合物(C)の重合を開始させ促進する。重合開始剤(B)としては、熱により分解してラジカルを発生させる熱分解型のラジカル発生剤が有用である。このようなラジカル発生剤は、上述した赤外線吸収剤(A)と併用した場合、赤外線レーザーを照射することにより赤外線吸収剤(A)が発熱し、その熱によりラジカルを発生させる。したがって、これらの組み合わせによりヒートモード記録が可能となる。
ラジカル発生剤としては、例えば、オニウム塩、トリハロメチル基を有するトリアジン化合物、過酸化物、アゾ系重合開始剤、アジド化合物、キノンジアジドなどが挙げられる。中でも、オニウム塩が高感度である点で好ましい。
好ましいオニウム塩としては、例えば、ヨードニウム塩、ジアゾニウム塩、スルホニウム塩が挙げられる。特に好適に用いられるオニウム塩は、下記一般式(I)〜(III)で表されるオニウム塩である。
Figure 2005271414
上記一般式(I)中、Ar11およびAr12は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数20個以下のアリール基を表す。置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ニトロ基、炭素数12個以下のアルキル基、炭素数12個以下のアルコキシ基、炭素数12個以下のアリールオキシ基が好適に挙げられる。
11-は、ハロゲンイオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、カルボキシレートイオンおよびスルホン酸イオンからなる群から選ばれる対イオンを表す。中でも、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロフォスフェートイオン、カルボキシレートイオン、アリールスルホン酸イオンが好ましい。
上記一般式(II)中、Ar21は、置換基を有していてもよい炭素数20個以下のアリール基を表す。置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ニトロ基、炭素数12個以下のアルキル基、炭素数12個以下のアルコキシ基、炭素数12個以下のアリールオキシ基、炭素数12個以下のアルキルアミノ基、炭素数12個以下のジアルキルアミノ基、炭素数12個以下のアリールアミノ基、炭素数12個以下のジアリールアミノ基が好適に挙げられる。
21-は、上記一般式(I)におけるZ11-と同様である。
上記一般式(III)中、R31〜R33は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数20個以下の炭化水素基を表す。置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ニトロ基、炭素数12個以下のアルキル基、炭素数12個以下のアルコキシ基、炭素数12個以下のアリールオキシ基が好適に挙げられる。
31-は、上記一般式(I)におけるZ11-と同様である。
上記一般式(I)で表されるオニウム塩(OI−1〜OI−10)、上記一般式(II)で表されるオニウム塩(ON−1〜ON−5)および上記一般式(III)で表されるオニウム塩(OS−1〜OS−10)の具体例を以下に挙げる。
Figure 2005271414
Figure 2005271414
Figure 2005271414
Figure 2005271414
Figure 2005271414
また、本発明において、ラジカル発生剤として好適に用いられるオニウム塩の具体例としては、特開2001−133969号、特開2001−343742号および特開2002−148790号の各公報に記載されているものも挙げられる。
なお、本発明において、これらのオニウム塩は酸発生剤としてではなく、ラジカル重合の開始剤として機能する。
本発明において用いられるラジカル発生剤は、極大吸収波長が400nm以下であるのが好ましく、360nm以下であるのがより好ましく、300nm以下であるのが更に好ましい。このように吸収波長を紫外線領域に有すると、平版印刷版原版の取り扱いを白灯下で実施することができる。
重合開始剤(B)は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
重合開始剤(B)は、画像記録層中において、赤外線吸収剤(A)に対する質量比が5以上であるのが好ましく、また、10以下であるのが好ましく、8以下であるのがより好ましい。上記範囲であると、良好な感度と耐刷性とが得られる。重合開始剤(B)の赤外線吸収剤(A)に対する質量比が小さすぎると、赤外線吸収剤(A)の重合禁止作用に打ち勝つ重合効率が得られない。また、重合開始剤(B)の赤外線吸収剤(A)に対する質量比が大きすぎると、重合開始剤(B)が画像記録層中で析出を起こすなどの不具合を生じやすくなる。
また、重合開始剤(B)の含有量は、画像記録層の全固形分に対して、0.1〜50質量%であるのが好ましく、0.5〜30質量%であるのがより好ましく、1〜20質量%であるのが更に好ましい。上記範囲であると、良好な感度と印刷時の非画像部の良好な汚れにくさとが得られる。
画像記録層において、重合開始剤(B)は、他の成分と同一の層に添加してもよいし、オーバーコート層等の別の層を設けて、そこへ添加してもよい。
<重合性化合物(C)>
ラジカル重合性化合物(C)は、少なくとも1個のエチレン性不飽和二重結合を有するラジカル重合性化合物であり、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物から選ばれる。このような化合物群は当該産業分野において広く知られるものであり、本発明においてはこれらを特に限定なく用いることができる。これらは、例えば、モノマー、プレポリマー(即ち、2量体、3量体およびオリゴマー)、これらの混合物、これらの共重合体等の化学的形態を有する。
モノマーおよびその共重合体の例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸)や、そのエステル類、アミド類が挙げられる。好ましくは、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル類、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド類が用いられる。
また、ヒドロキシ基、アミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル、アミド類と、単官能または多官能のイソシアネート類またはエポキシ類との付加反応物、単官能または多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。また、イソシアネート基、エポキシ基等の親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステルまたはアミド類と、単官能または多官能のアルコール類、アミン類またはチオール類との付加反応物、更に、ハロゲン基、トシルオキシ基等の脱離性置換基を有する不飽和カルボン酸エステルまたはアミド類と、単官能または多官能のアルコール類、アミン類またはチオール類との置換反応物も好適である。また、別の例として、上記の不飽和カルボン酸の代わりに、不飽和ホスホン酸、スチレン、ビニルエーテル等に置き換えた化合物群を使用することも可能である。
不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステルの具体例を以下に挙げる。
アクリル酸エステルとしては、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、テトラメチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリメチロールエタントリアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ソルビトールトリアクリレート、ソルビトールテトラアクリレート、ソルビトールペンタアクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ポリエステルアクリレートオリゴマーが挙げられる。
メタクリル酸エステルとしては、テトラメチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ソルビトールトリメタクリレート、ソルビトールテトラメタクリレート、ビス〔p−(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕ジメチルメタン、ビス−〔p−(メタクリルオキシエトキシ)フェニル〕ジメチルメタンが挙げられる。
イタコン酸エステルとしては、エチレングリコールジイタコネート、プロピレングリコールジイタコネート、1,3−ブタンジオールジイタコネート、1,4−ブタンジオールジイタコネート、テトラメチレングリコールジイタコネート、ペンタエリスリトールジイタコネート、ソルビトールテトライタコネートが挙げられる。
クロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジクロトネート、テトラメチレングリコールジクロトネート、ペンタエリスリトールジクロトネート、ソルビトールテトラジクロトネートが挙げられる。
イソクロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジイソクロトネート、ペンタエリスリトールジイソクロトネート、ソルビトールテトライソクロトネートが挙げられる。
マレイン酸エステルとしては、エチレングリコールジマレエート、トリエチレングリコールジマレエート、ペンタエリスリトールジマレエート、ソルビトールテトラマレエートが挙げられる。
その他のエステルの例としては、特公昭46−27926号、特公昭51−47334号および特開昭57−196231号の各公報に記載されている脂肪族アルコール系エステル類、特開昭59−5240号、特開昭59−5241号および特開平2−226149号の各公報に記載されている芳香族系骨格を有するもの、特開平1−165613号公報に記載されているアミノ基を含有するものが好適に挙げられる。
また、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミドに用いられるモノマーの具体例としては、メチレンビス−アクリルアミド、メチレンビス−メタクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−アクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−メタクリルアミド、ジエチレントリアミントリスアクリルアミド、キシリレンビスアクリルアミド、キシリレンビスメタクリルアミドが挙げられる。
その他のアミド系モノマーの例としては、特公昭54−21726号公報に記載されているシクロへキシレン構造を有するものが挙げられる。
また、イソシアネート基とヒドロキシ基との付加反応を用いて製造されるウレタン系付加重合性化合物も好適に挙げられる。具体例としては、特公昭48−41708号公報に記載されている、1分子に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物に、下記式(IV)で表されるヒドロキシ基を含有するビニルモノマーを付加させて得られる、1分子中に2個以上の重合性ビニル基を含有するビニルウレタン化合物が挙げられる。
CH2=C(R41)COOCH2CH(R42)OH (IV)
(式中、R41およびR42は、それぞれ独立に、−Hまたは−CH3を表す。)
また、特開昭51−37193号、特公平2−32293号および特公平2−16765号の各公報に記載されているようなウレタンアクリレート類、特公昭58−49860号、特公昭56−17654号、特公昭62−39417および特公昭62−39418号の各公報に記載されているエチレンオキサイド系骨格を有するウレタン化合物類も好適に挙げられる。
更に、特開昭63−277653号、特開昭63−260909号および特開平1−105238号の各公報に記載されている、分子内にアミノ構造またはスルフィド構造を有するラジカル重合性化合物類も好適に挙げられる。これにより、感光速度に極めて優れる光重合性組成物を得ることができる。
その他の例としては、特開昭48−64183号、特公昭49−43191号および特公昭52−30490号の各公報に記載されているようなポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸を反応させたエポキシアクリレート類等の多官能のアクリレートまたはメタクリレートが挙げられる。
また、特公昭46−43946号、特公平1−40337号および特公平1−40336号に記載されている特定の不飽和化合物、特開平2−25493号公報に記載されているビニルホスホン酸系化合物等も挙げられる。
また、特開昭61−22048号公報に記載されているペルフルオロアルキル基を含有する構造も好適に使用される場合がある。
更に、日本接着協会誌vol.20、No.7、p.300〜308(1984年)に、光硬化性モノマーおよびオリゴマーとして紹介されているものも挙げられる。
重合性化合物(C)について、どのような構造を用いるか、単独で使用するか2種以上を併用するか、添加量はどうかといった、使用方法の詳細は、最終的な記録材料の性能設計にあわせて、任意に設定できる。例えば、次のような観点から選択される。
感度の点では1分子あたりの不飽和基含量が多い構造が好ましく、多くの場合、2官能以上が好ましい。また、画像部、即ち、硬化膜の強度を高くするためには、3官能以上のものがよく、更に、異なる官能数や異なる重合性基を有する化合物(例えば、アクリル酸エステル系化合物、メタクリル酸エステル系化合物、スチレン系化合物、ビニルエーテル系化合物)を組み合わせて用いることで、感光性と強度の両方を調節する方法も有効である。大きな分子量の化合物や、疎水性の高い化合物は感度や膜強度に優れる反面、機上現像性に劣るという点で好ましくない場合がある。また、画像記録層中の他の成分(例えば、バインダーポリマー、開始剤、着色剤等)との相溶性および分散性に対しても、重合性化合物(C)の選択および使用法は重要な要因であり、例えば、低純度化合物の使用や、2種以上の化合物の併用によって、相溶性を向上させうることがある。また、支持体、オーバーコート層等の密着性を向上せしめる目的で特定の構造を選択することもありうる。
これらの観点から、重合性化合物(C)の配合比は、多くの場合、画像記録層の全固形分に対して、5〜80質量%であるのが好ましく、20〜75質量%であるのがより好ましい。また、これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。そのほか、重合性化合物(C)の使用法は、酸素に対する重合阻害の大小、解像度、かぶり性、屈折率変化、表面粘着性等の観点から適切な構造、配合、添加量を任意に選択でき、更に場合によっては下塗り、上塗りといった層構成および塗布方法も実施しうる。
<バインダーポリマー>
本発明においては、画像記録層の皮膜特性の向上、機上現像性の向上等の目的で、更にバインダーポリマーを使用することができる。バインダーポリマーとしては、皮膜性を有する点で、線状有機ポリマーを用いることが好ましい。線状有機ポリマーとしては、従来公知のものを用いることができる。例えば、アクリル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、メタクリル樹脂、ポリスチレン系樹脂、ノボラック型フェノール系樹脂、ポリエステル樹脂、合成ゴム、天然ゴムが挙げられる。
バインダーポリマーは、画像部の皮膜強度を向上するために、架橋性を有していることが好ましい。バインダーポリマーに架橋性を持たせるためには、エチレン性不飽和結合等の架橋性官能基を高分子の主鎖中または側鎖中に導入すればよい。架橋性官能基は、共重合により導入してもよいし、高分子反応によって導入してもよい。
分子の主鎖中にエチレン性不飽和結合を有するポリマーの例としては、ポリ−1,4−ブタジエン、ポリ−1,4−イソプレンが挙げられる。
分子の側鎖中にエチレン性不飽和結合を有するポリマーの例としては、アクリル酸またはメタクリル酸のエステルまたはアミドのポリマーであって、エステルまたはアミドの残基(−COORまたは−CONHRのR)の少なくとも一部がエチレン性不飽和結合を有するポリマーを挙げることができる。
エチレン性不飽和結合を有する残基(上記R)の例としては、−(CH2nCR1=CR23、−(CH2O)nCH2CR1=CR23、−(CH2CH2O)nCH2CR1=CR23、−(CH2nNH−CO−O−CH2CR1=CR23、−(CH2n−O−CO−CR1=CR23および−(CH2CH2O)2−X(式中、R1〜R3はそれぞれ、水素原子、ハロゲン原子または炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、アルコキシ基もしくはアリールオキシ基を表し、R1とR2またはR3とは互いに結合して環を形成してもよい。nは、1〜10の整数を表す。Xは、ジシクロペンタジエニル残基を表す。)を挙げることができる。
エステル残基の具体例としては、−CH2CH=CH2、−CH2CH2O−CH2CH=CH2、−CH2C(CH3)=CH2、−CH2CH=CH−C65、−CH2CH2OCOCH=CH−C65、−CH2CH2OCOC(CH3)=CH2、−CH2CH2OCOCH=CH2、−CH2CH2−NHCOO−CH2CH=CH2および−CH2CH2O−X(式中、Xはジシクロペンタジエニル残基を表す。)が挙げられる。
アミド残基の具体例としては、−CH2CH=CH2、−CH2CH2−Y(式中、Yはシクロヘキセン残基を表す。)、−CH2CH2−OCO−CH=CH2が挙げられる。
架橋性を有するバインダーポリマーは、例えば、その架橋性官能基にフリーラジカル(重合開始ラジカルまたは重合性化合物の重合過程の生長ラジカル)が付加し、ポリマー間で直接にまたは重合性化合物の重合連鎖を介して付加重合して、ポリマー分子間に架橋が形成されて硬化する。または、ポリマー中の原子(例えば、官能性架橋基に隣接する炭素原子上の水素原子)がフリーラジカルにより引き抜かれてポリマーラジカルが生成し、それが互いに結合することによって、ポリマー分子間に架橋が形成されて硬化する。
バインダーポリマー中の架橋性基の含有量(ヨウ素滴定によるラジカル重合可能な不飽和二重結合の含有量)は、バインダーポリマー1gあたり、0.1〜10.0mmolであるのが好ましく、1.0〜7.0mmolであるのがより好ましく、2.0〜5.5mmolであるのが更に好ましい。上記範囲であると、良好な感度と良好な保存安定性とが得られる。
また、画像記録層の未露光部の機上現像性の向上の観点から、バインダーポリマーは、印刷インキおよび/または湿し水に対する溶解性または分散性が高いものであるのが好ましい。
印刷インキに対する溶解性または分散性を向上させるためには、バインダーポリマーは、親油的な方が好ましく、湿し水に対する溶解性または分散性を向上させるためには、バインダーポリマーは、親水的な方が好ましい。このため、本発明においては、親油的なバインダーポリマーと親水的なバインダーポリマーとを併用することも有効である。
親水的なバインダーポリマーとしては、例えば、ヒドロキシ基、カルボキシ基、カルボキシレート基、ヒドロキシエチル基、ポリオキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ポリオキシプロピル基、アミノ基、アミノエチル基、アミノプロピル基、アンモニウム基、アミド基、カルボキシメチル基、スルホン酸基、リン酸基等の親水性基を有するものが好適に挙げられる。
具体例としては、アラビアゴム、カゼイン、ゼラチン、デンプン誘導体、カルボキシメチルセルロースおよびそのナトリウム塩、セルロースアセテート、アルギン酸ナトリウム、酢酸ビニル−マレイン酸コポリマー類、スチレン−マレイン酸コポリマー類、ポリアクリル酸類およびそれらの塩、ポリメタクリル酸類およびそれらの塩、ヒドロキシエチルメタクリレートのホモポリマーおよびコポリマー、ヒドロキシエチルアクリレートのホモポリマーおよびコポリマー、ヒドロキシピロピルメタクリレートのホモポリマーおよびコポリマー、ヒドロキシプロピルアクリレートのホモポリマーおよびコポリマー、ヒドロキシブチルメタクリレートのホモポリマーおよびコポリマー、ヒドロキシブチルアクリレートのホモポリマーおよびコポリマー、ポリエチレングリコール類、ヒドロキシプロピレンポリマー類、ポリビニルアルコール類、加水分解度が60質量%以上、好ましくは80質量%以上である加水分解ポリビニルアセテート、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドン、アクリルアミドのホモポリマーおよびコポリマー、メタクリルアミドのホモポリマーおよびポリマー、N−メチロールアクリルアミドのホモポリマーおよびコポリマー、ポリビニルピロリドン、アルコール可溶性ナイロン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−プロパンとエピクロロヒドリンとのポリエーテルが挙げられる。
バインダーポリマーは、重量平均分子量が5000以上であるのが好ましく、1万〜30万であるのがより好ましく、また、数平均分子量が1000以上であるのが好ましく、2000〜25万であるのがより好ましい。多分散度(重量平均分子量/数平均分子量)は、1.1〜10であるのが好ましい。
バインダーポリマーは、ランダムポリマー、ブロックポリマー、グラフトポリマー等のいずれでもよいが、ランダムポリマーであるのが好ましい。
バインダーポリマーは、従来公知の方法により合成することができる。中でも、側鎖に架橋性基を有するバインダーポリマーは、ラジカル重合または高分子反応によって容易に合成することができる。
ラジカル重合に用いられるラジカル重合開始剤としては、アゾ系開始剤、過酸化物開始剤等の公知の化合物を用いることができる。合成する際に用いられる溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン、エチレンジクロリド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトン、メタノール、エタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、2−メトキシエチルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、トルエン、酢酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、ジメチルスルホキシド、水が挙げられる。これらは単独でまたは2種以上混合して用いられる。
バインダーポリマーは単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。
バインダーポリマーの含有量は、画像記録層の全固形分に対して、10〜90質量%であり、20〜80質量%であるのが好ましく、30〜70質量%であるのがより好ましい。上記範囲であると、良好な画像部の強度と画像形成性とが得られる。
また、重合性化合物(C)とバインダーポリマーは、質量比で1/9〜7/3となる量で用いるのが好ましい。
<界面活性剤>
画像記録層には、印刷開始時の機上現像性を促進させるため、および、塗布面状を向上させるために界面活性剤を用いるのが好ましい。界面活性剤としては、ノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、フッ素系界面活性剤等が挙げられる。界面活性剤は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明に用いられるノニオン界面活性剤は、特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリスチリルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル類、グリセリン脂肪酸部分エステル類、ソルビタン脂肪酸部分エステル類、ペンタエリスリトール脂肪酸部分エステル類、プロピレングリコールモノ脂肪酸エステル類、ショ糖脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸部分エステル類、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル類、ポリグリセリン脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレン化ひまし油類、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸部分エステル類、脂肪酸ジエタノールアミド類、N,N−ビス−2−ヒドロキシアルキルアミン類、ポリオキシエチレンアルキルアミン、トリエタノールアミン脂肪酸エステル、トリアルキルアミンオキシド、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールの共重合体が挙げられる。
本発明に用いられるアニオン界面活性剤は、特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。例えば、脂肪酸塩類、アビエチン酸塩類、ヒドロキシアルカンスルホン酸塩類、アルカンスルホン酸塩類、ジアルキルスルホ琥珀酸エステル塩類、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、分岐鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキルフェノキシポリオキシエチレンプロピルスルホン酸塩類、ポリオキシエチレンアルキルスルホフェニルエーテル塩類、N−メチル−N−オレイルタウリンナトリウム塩、N−アルキルスルホコハク酸モノアミド二ナトリウム塩、石油スルホン酸塩類、硫酸化牛脂油、脂肪酸アルキルエステルの硫酸エステル塩類、アルキル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩類、脂肪酸モノグリセリド硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、アルキルリン酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸エステル塩類、スチレン/無水マレイン酸共重合物の部分けん化物類、オレフィン/無水マレイン酸共重合物の部分けん化物類、ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物類が挙げられる。
本発明に用いられるカチオン界面活性剤は、特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。例えば、アルキルアミン塩類、第四級アンモニウム塩類、ポリオキシエチレンアルキルアミン塩類、ポリエチレンポリアミン誘導体が挙げられる。
本発明に用いられる両性界面活性剤は、特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。例えば、カルボキシベタイン類、アミノカルボン酸類、スルホベタイン類、アミノ硫酸エステル類、イミタゾリン類が挙げられる。
なお、上記界面活性剤の中で、「ポリオキシエチレン」とあるものは、ポリオキシメチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレン等の「ポリオキシアルキレン」に読み替えることもでき、本発明においては、それらの界面活性剤も用いることができる。
更に好ましい界面活性剤としては、分子内にパーフルオロアルキル基を含有するフッ素系界面活性剤が挙げられる。このようなフッ素系界面活性剤としては、例えば、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、パーフルオロアルキルリン酸エステル等のアニオン型;パーフルオロアルキルベタイン等の両性型;パーフルオロアルキルトリメチルアンモニウム塩等のカチオン型;パーフルオロアルキルアミンオキサイド、パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物、パーフルオロアルキル基および親水性基を含有するオリゴマー、パーフルオロアルキル基および親油性基を含有するオリゴマー、パーフルオロアルキル基、親水性基および親油性基を含有するオリゴマー、パーフルオロアルキル基および親油性基を含有するウレタン等のノニオン型が挙げられる。また、特開昭62−170950号、同62−226143号および同60−168144号の各公報に記載されているフッ素系界面活性剤も好適に挙げられる。
界面活性剤は、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
界面活性剤の含有量は、画像記録層の全固形分に対して、0.001〜10質量%であるのが好ましく、0.01〜5質量%であるのがより好ましい。
<着色剤>
画像記録層には、可視光域に大きな吸収を持つ染料を画像の着色剤として使用することができる。具体的には、オイルイエロー#101、オイルイエロー#103、オイルピンク#312、オイルグリーンBG、オイルブルーBOS、オイルブルー#603、オイルブラックBY、オイルブラックBS、オイルブラックT−505(以上オリエント化学工業(株)製)、ビクトリアピュアブルー、クリスタルバイオレット(CI42555)、メチルバイオレット(CI42535)、エチルバイオレット、ローダミンB(CI145170B)、マラカイトグリーン(CI42000)、メチレンブルー(CI52015)等、および特開昭62−293247号公報に記載されている染料を挙げることができる。また、フタロシアニン系顔料、アゾ系顔料、カーボンブラック、酸化チタン等の顔料も好適に用いることができる。
これらの着色剤は、画像形成後、画像部と非画像部の区別がつきやすいので、添加する方が好ましい。なお、添加量は、画像記録層中に、0.01〜10質量%の割合が好ましい。
<焼き出し剤>
画像記録層には、焼き出し画像生成のため、酸またはラジカルによって変色する化合物を添加することができる。このような化合物としては、例えばジフェニルメタン系、トリフェニルメタン系、チアジン系、オキサジン系、キサンテン系、アンスラキノン系、イミノキノン系、アゾ系、アゾメチン系等の各種色素が有効に用いられる。
具体例としては、ブリリアントグリーン、エチルバイオレット、メチルグリーン、クリスタルバイオレット、ベイシックフクシン、メチルバイオレット2B、キナルジンレッド、ローズベンガル、メタニルイエロー、チモールスルホフタレイン、キシレノールブルー、メチルオレンジ、パラメチルレッド、コンゴーフレッド、ベンゾプルプリン4B、α−ナフチルレッド、ナイルブルー2B、ナイルブルーA、メチルバイオレット、マラカイドグリーン、パラフクシン、ビクトリアピュアブルーBOH[保土ケ谷化学(株)製]、オイルブルー#603[オリエント化学工業(株)製]、オイルピンク#312[オリエント化学工業(株)製]、オイルレッド5B[オリエント化学工業(株)製]、オイルスカーレット#308[オリエント化学工業(株)製]、オイルレッドOG[オリエント化学工業(株)製]、オイルレッドRR[オリエント化学工業(株)製]、オイルグリーン#502[オリエント化学工業(株)製]、スピロンレッドBEHスペシャル[保土ケ谷化学工業(株)製]、m−クレゾールパープル、クレゾールレッド、ローダミンB、ローダミン6G、スルホローダミンB、オーラミン、4−p−ジエチルアミノフェニルイミノナフトキノン、2−カルボキシアニリノ−4−p−ジエチルアミノフェニルイミノナフトキノン、2−カルボキシステアリルアミノ−4−p−N,N−ビス(ヒドロキシエチル)アミノ−フェニルイミノナフトキノン、1−フェニル−3−メチル−4−p−ジエチルアミノフェニルイミノ−5−ピラゾロン、1−β−ナフチル−4−p−ジエチルアミノフェニルイミノ−5−ピラゾロン等の染料やp,p′,p″−ヘキサメチルトリアミノトリフェニルメタン(ロイコクリスタルバイオレット)、Pergascript Blue SRB(チバガイギー社製)等のロイコ染料が挙げられる。
上記のほかに、感熱紙や感圧紙用の素材として知られているロイコ染料も好適なものとして挙げられる。具体例としては、クリスタルバイオレットラクトン、マラカイトグリーンラクトン、ベンゾイルロイコメチレンブルー、2−(N−フェニル−N−メチルアミノ)−6−(N−p−トリル−N−エチル)アミノ−フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、3,6−ジメトキシフルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−5−メチル−7−(N,N−ジベンジルアミノ)−フルオラン、3−(N−シクロヘキシル−N−メチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−6−メチル−7−キシリジノフルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−6−メチルー7−クロロフルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−6−メトキシ−7−アミノフルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−7−(4−クロロアニリノ)フルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−7−クロロフルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−7−ベンジルアミノフルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−7,8−ベンゾフロオラン、3−(N,N−ジブチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N,N−ジブチルアミノ)−6−メチル−7−キシリジノフルオラン、3−ピペリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピロリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3,3−ビス(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(1−n−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−ザフタリド、3−(4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリドが挙げられる。
酸またはラジカルによって変色する染料は、画像記録層に、0.01〜10質量%の割合で添加されるのが好ましい。
<熱重合防止剤>
画像記録層には、画像記録層の製造中または保存中において重合性化合物(C)の不要な熱重合を防止するために、少量の熱重合防止剤を添加するのが好ましい。
熱重合防止剤としては、例えば、ヒドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4′−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2′−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、N−ニトロソ−N−フェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩が好適に挙げられる。
熱重合防止剤は、画像記録層に、約0.01〜約5質量%含有させるのが好ましい。
<高級脂肪酸誘導体等>
本発明の画像記録層には、酸素による重合阻害を防止するために、ベヘン酸やベヘン酸アミドのような高級脂肪酸誘導体等を添加して、塗布後の乾燥の過程で画像記録層の表面に偏在させてもよい。高級脂肪酸誘導体の添加量は、画像記録層の全固形分に対して、約0.1〜約10質量%であるのが好ましい。
<可塑剤>
本発明の画像記録層は、機上現像性を向上させるために、可塑剤を含有してもよい。
可塑剤としては、例えば、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジイソブチルフタレート、ジオクチルフタレート、オクチルカプリルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート、ジトリデシルフタレート、ブチルベンジルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジアリルフタレート等のフタル酸エステル類;ジメチルグリコールフタレート、エチルフタリルエチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート、トリエチレングリコールジカプリル酸エステル等のグリコールエステル類;トリクレジルホスフェート、トリフェニルホスフェート等のリン酸エステル類;ジイソブチルアジペート、ジオクチルアジペート、ジメチルセバケート、ジブチルセバケート、ジオクチルアゼレート、ジブチルマレエート等の脂肪族二塩基酸エステル類;ポリグリシジルメタクリレート、クエン酸トリエチル、グリセリントリアセチルエステル、ラウリン酸ブチル等が好適に挙げられる。
可塑剤の含有量は、画像記録層の全固形分に対して、約30質量%以下であるのが好ましい。
<無機微粒子>
画像記録層は、表面粗面化による界面接着性の強化、画像部の硬化皮膜強度向上および非画像部の機上現像性向上のために、無機微粒子を含有してもよい。
無機微粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化チタン、炭酸マグネシウム、アルギン酸カルシウム、これらの混合物が好適に挙げられる。
無機微粒子は、平均粒径が5nm〜10μmであるのが好ましく、0.5〜3μmであるのがより好ましい。上記範囲であると、画像記録層中に安定に分散して、画像記録層の膜強度を十分に保持し、印刷時の汚れを生じにくい親水性に優れる非画像部を形成することができる。
上述したような無機微粒子は、コロイダルシリカ分散物等の市販品として容易に入手することができる。
無機微粒子の含有量は、画像記録層の全固形分に対して、20質量%以下であるのが好ましく、10質量%以下であるのがより好ましい。
<低分子親水性化合物>
画像記録層は、機上現像性向上のため、親水性低分子化合物を含有してもよい。親水性低分子化合物としては、例えば、水溶性有機化合物としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等のグリコール類およびそのエーテルまたはエステル誘導体類、グリセリン、ペンタエリスリトール等のポリヒドロキシ類、トリエタノールアミン、ジエタノールアミンモノエタノールアミン等の有機アミン類およびその塩、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸等の有機スルホン酸類およびその塩、フェニルホスホン酸等の有機ホスホン酸類およびその塩、酒石酸、シュウ酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、グルコン酸、アミノ酸類等のカルボン酸類およびその塩が挙げられる。
画像記録層には、上記の成分以外の添加剤を含有していてもよい。
<画像記録層の形成>
本発明においては、上記各成分を画像記録層に含有させる方法として、種々の態様を用いることができる。
一つの態様としては、例えば、特開2002−287334号公報に記載されているように、上記各成分を溶剤に分散させ、または溶解させて画像記録層用塗布液を調製し、この画像記録層用塗布液を支持体上に塗布し、乾燥させることにより画像記録層を形成させる方法が挙げられる。この方法によれば、分子分散型画像記録層が得られる。
溶剤は、特に限定されず、例えば、エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジメトキシエタン、乳酸メチル、乳酸エチル、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラメチルウレア、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチロラクトン、トルエン、アセトン、水が挙げられる。これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
画像記録層用塗布液は、固形分濃度が1〜50質量%であるのが好ましい。
他の態様としては、例えば、特開2001−277740号公報および特開2001−277742号公報に記載されているように、上記各成分の全部または一部をマイクロカプセルに内包させて画像記録層を形成させる方法が挙げられる。この方法によれば、マイクロカプセル型画像記録層が得られる。より良好な機上現像性を得るためには、画像記録層は、マイクロカプセル型画像記録層であるのが好ましい。特に、前記赤外線吸収剤(A)、前記重合開始剤(B)および前記重合性化合物(C)の少なくとも一部がマイクロカプセル化されているのが好ましい。
マイクロカプセル型画像記録層においては、上記各成分は、全部がマイクロカプセル化されていてもよく、一部がマイクロカプセル外にも含有されていてもよい。特に、マイクロカプセル型画像記録層においては、疎水性の構成成分をマイクロカプセルに内包し、親水性構成成分をマイクロカプセル外に含有するのが好ましい態様である。より良好な機上現像性を得るためには、画像記録層は、マイクロカプセル型画像記録層であるのが好ましい。
上記各成分をマイクロカプセル化する方法としては、公知の方法を用いることができる。マイクロカプセルの製造方法としては、例えば、米国特許第2,800,457号明細書および同第2,800,458号明細書に記載されているコアセルベーションを利用する方法、米国特許第3,287,154号明細書、特公昭38−19574号公報および同42−446号公報に記載されている界面重合法による方法、米国特許第3,418,250号明細書および同第3,660,304号明細書に記載されているポリマーの析出による方法、米国特許第3,796,669号明細書に記載されているイソシアネートポリオール壁材料を用いる方法、米国特許第3,914,511号明細書に記載されているイソシアネート壁材料を用いる方法、米国特許第4,001,140号、同第4,087,376号および同第4,089,802号の各明細書に記載されている尿素−ホルムアルデヒド系または尿素ホルムアルデヒド−レゾルシノール系壁形成材料を用いる方法、米国特許第4,025,445号明細書に記載されているメラミン−ホルムアルデヒド樹脂、ヒドロキシセルロース等の壁材を用いる方法、特公昭36−9163号公報および同51−9079号公報に記載されているモノマー重合によるin situ法、英国特許第930,422号明細書および米国特許第3,111,407号明細書に記載されているスプレードライング法、英国特許第952,807号明細書および同第967,074号明細書に記載されている電解分散冷却法が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明に用いられる好ましいマイクロカプセル壁は、3次元架橋を有し、溶剤によって膨潤する性質を有するものである。このような観点から、マイクロカプセルの壁材は、ポリウレア、ポリウレタン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミドおよびこれらの混合物が好ましく、特に、ポリウレアおよびポリウレタンが好ましい。また、マイクロカプセル壁に、上記バインダーポリマーを導入可能なエチレン性不飽和結合等の架橋性官能基を有する化合物を導入してもよい。
マイクロカプセルは、平均粒径が0.01〜3.0μmであるのが好ましく、0.05〜2.0μmであるのがより好ましく、0.10〜1.0μmであるのが更に好ましい。上記範囲であると、良好な解像度と経時安定性が得られる。
画像記録層は、同一のまたは異なる上記各成分を同一のまたは異なる溶剤に分散させ、または溶解させた画像記録層用塗布液を複数調製し、塗布および乾燥を複数回繰り返して形成させることも可能である。
<塗布方法>
画像記録層の塗布量(固形分)は、用途によって異なるが、一般的に0.3〜3.0g/m2であるのが好ましい。上記範囲であると、良好な感度と画像記録層の良好な皮膜特性とが得られる。
塗布する方法としては、種々の方法を用いることができる。例えば、バーコーター塗布、回転塗布、スプレー塗布、カーテン塗布、ディップ塗布、エアーナイフ塗布、ブレード塗布、ロール塗布が挙げられる。
<保護層>
本発明の平版印刷版原版においては、画像記録層における傷等の発生防止、酸素遮断、高照度レーザー露光時のアブレーション防止等のため、必要に応じて、画像記録層の上に保護層を有していてもよい。
本発明においては、通常、露光を大気中で行うが、保護層は、画像記録層中で露光により生じる画像形成反応を阻害する大気中に存在する酸素、塩基性物質等の低分子化合物の画像記録層への混入を防止し、大気中での露光による画像形成反応の阻害を防止する。したがって、保護層に望まれる特性は、酸素等の低分子化合物の透過性が低いことであり、更に、露光に用いられる光の透過性が良好で、画像記録層との密着性に優れ、かつ、露光後の機上現像処理工程で容易に除去することができるものであるのが好ましい。このような特性を有する保護層については、以前より種々検討がなされており、例えば、米国特許第3,458,311号明細書および特開昭55−49729号公報に詳細に記載されている。
保護層に用いられる材料としては、例えば、比較的、結晶性に優れる水溶性高分子化合物が挙げられる。具体的には、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、酸性セルロース類、ゼラチン、アラビアゴム、ポリアクリル酸等の水溶性ポリマーが挙げられる。中でも、ポリビニルアルコール(PVA)を主成分として用いると、酸素遮断性、現像除去性等の基本的な特性に対して最も良好な結果を与える。ポリビニルアルコールは、保護層に必要な酸素遮断性と水溶性を与えるための未置換ビニルアルコール単位を含有する限り、一部がエステル、エーテルまたはアセタールで置換されていてもよく、一部が他の共重合成分を有していてもよい。
ポリビニルアルコールの具体例としては、71〜100%加水分解された分子量300〜2400の範囲のものが好適に挙げられる。具体的には、例えば、株式会社クラレ製のPVA−105、PVA−110、PVA−117、PVA−117H、PVA−120、PVA−124、PVA−124H、PVA−CS、PVA−CST、PVA−HC、PVA−203、PVA−204、PVA−205、PVA−210、PVA−217、PVA−220、PVA−224、PVA−217EE、PVA−217E、PVA−220E、PVA−224E、PVA−405、PVA−420、PVA−613、L−8が挙げられる。
保護層の成分(PVAの選択、添加剤の使用等)、塗布量等は、酸素遮断性および現像除去性のほか、カブリ性、密着性、耐傷性等を考慮して適宜選択される。一般には、PVAの加水分解率が高いほど(即ち、保護層中の未置換ビニルアルコール単位含有率が高いほど)、また、膜厚が厚いほど、酸素遮断性が高くなり、感度の点で好ましい。また、製造時および保存時の不要な重合反応の発生、画像露光時の不要なカブリ、画線の太り等を防止するためには、酸素透過性が高くなりすぎないことが好ましい。具体的には、25℃、1気圧下における酸素透過性Aが0.2≦A≦20(mL/(m2・day))であるのが好ましい。
上記ポリビニルアルコール(PVA)等の(共)重合体の分子量は、2000〜1000万であるのが好ましく、2万〜300万であるのがより好ましい。
保護層は、他の成分として、グリセリン、ジプロピレングリコール等を(共)重合体に対して数質量%相当量含有することができる。これにより可撓性が向上する。
また、アルキル硫酸ナトリウム、アルキルスルホン酸ナトリウム等のアニオン界面活性剤;アルキルアミノカルボン酸塩、アルキルアミノジカルボン酸塩等の両性界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等の非イオン界面活性剤を(共)重合体に対して数質量%添加することができる。
保護層の膜厚は、0.1〜5μmであるのが好ましく、0.2〜2μmであるのがより好ましい。
また、保護層の画像部との密着性、耐傷性等も平版印刷版原版の取り扱い上、極めて重要である。即ち、水溶性高分子化合物を含有するため親水性である保護層を、親油性である画像記録層に積層すると、接着力不足による保護層のはく離が生じやすく、はく離部分において、酸素による重合阻害に起因する膜硬化不良等の欠陥を引き起こすことがある。
これに対して、画像記録層と保護層との間の接着性を改良すべく、種々の提案がなされている。例えば、特開昭49−70702号公報および英国特許出願公開第1303578号明細書には、主にポリビニルアルコールからなる親水性ポリマー中に、アクリル系エマルション、水不溶性ビニルピロリドン−ビニルアセテート共重合体等を20〜60質量%混合させ、画像記録層上に積層することにより、十分な接着性が得られることが記載されている。本発明においては、これらの公知の技術をいずれも用いることができる。保護層の塗布方法については、例えば、米国特許第3,458,311号明細書および特開昭55−49729号公報に詳細に記載されている。
更に、保護層には、他の機能を付与することもできる。例えば、露光に用いられる赤外線の透過性に優れ、かつ、それ以外の波長の光を効率よく吸収しうる、着色剤(例えば、水溶性染料)の添加により、感度低下を引き起こすことなく、セーフライト適性を向上させることができる。
<平版印刷版の製造>
本発明の平版印刷版原版は、画像記録層に応じた種々の処理方法により、平版印刷版とされる。
像露光に用いられる活性光線の光源としては、例えば、水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプが挙げられる。レーザビームとしては、例えば、ヘリウム−ネオンレーザ(He−Neレーザ)、アルゴンレーザ、クリプトンレーザ、ヘリウム−カドミウムレーザ、KrFエキシマーレーザ、半導体レーザ、YAGレーザ、YAG−SHGレーザが挙げられる。
上記露光の後、画像記録層がサーマルポジタイプ、サーマルネガタイプ、コンベンショナルネガタイプ、コンベンショナルポジタイプおよびフォトポリマータイプのいずれかである場合は、露光した後、現像液を用いて現像して平版印刷版を得るのが好ましい。
現像液は、アルカリ現像液であるのが好ましく、有機溶剤を実質的に含有しないアルカリ性の水溶液であるのがより好ましい。
また、アルカリ金属ケイ酸塩を実質的に含有しない現像液も好ましい。アルカリ金属ケイ酸塩を実質的に含有しない現像液を用いて現像する方法としては、特開平11−109637号公報に詳細に記載されている方法を用いることができる。
また、アルカリ金属ケイ酸塩を含有する現像液を用いることもできる。
本発明の平版印刷版原版は、画像記録層が無処理タイプである場合には、画像露光後、それ以上の処理なしに印刷機に装着し、印刷インキおよび/または湿し水を用いて通常の手順で印刷することができる。また、特許第2938398号公報に記載されているように、印刷機シリンダー上に取りつけた後に、印刷機に搭載されたレーザーにより露光し、その後に印刷インキおよび/または湿し水をつけて機上現像することも可能である。これらの場合、印刷機上で印刷インキおよび/または湿し水により感熱層が除去されるので、別個の現像工程を必要とせず、また、現像後、印刷のために印刷機を止める必要もなく、現像が終わり次第、引き続き印刷を行うことができる。
なお、無処理タイプの感熱層を有する場合においても、水または適当な水溶液を現像液とする現像をした後、印刷に用いることができる。
1.平版印刷版用支持体の作製
(実施例1)
Si:0.06質量%、Fe:0.30質量%、Cu:0.005質量%、Mn:0.001質量%、Mg:0.001質量%、Zn:0.001質量%、Ti:0.03質量%を含有し、残部はAlと不可避不純物のアルミニウム合金を用いて溶湯を調製し、溶湯処理およびろ過を行った上で、厚さ500mm、幅1200mmの鋳塊をDC鋳造法で作成した。表面を平均10mmの厚さで面削機により削り取った後、550℃で、約5時間均熱保持し、温度400℃に下がったところで、熱間圧延機を用いて厚さ2.7mmの圧延板とした。更に、連続焼鈍機を用いて熱処理を500℃で行った後、冷間圧延で、厚さ0.24mmに仕上げ、JIS 1050材の成分範囲に属するアルミニウム板を得た。このアルミニウム板を幅1030mmにした後、以下に示す表面処理に供した。
表面処理は、以下の(a)〜(j)の各種処理を連続的に行うことにより行った。なお、各処理および水洗の後にはニップローラで液切りを行った。
(a)機械的粗面化処理
図1に示したような装置を使って、研磨剤(パミス、平均粒径30μm)と水との懸濁液(比重1.12)を研磨スラリー液としてアルミニウム板1の表面に供給しながら、回転するローラ状ナイロンブラシにより機械的粗面化処理を行った。図1において、1はアルミニウム板、2および4はローラ状ブラシ、3は研磨スラリー液、5、6、7および8は支持ローラである。研磨剤の平均粒径は30μmであった。ナイロンブラシの材質は6・10ナイロン、毛長は50mm、毛の直径は0.48mmであった。ナイロンブラシはφ300mmのステンレス製の筒に穴をあけて密になるように植毛した(ブラシの毛密度は450本/cm2であった。)。回転ブラシは3本使用した。ブラシ下部の2本の支持ローラ(φ200mm)の距離は300mmであった。ブラシローラはブラシを回転させる駆動モータの負荷が、ブラシローラをアルミニウム板に押さえつける前の負荷に対して7kWプラスになるまで押さえつけた。ブラシの回転方向はアルミニウム板の移動方向と同じであった。ブラシの回転数は200rpmであった。
(b)アルカリエッチング処理
上記で得られたアルミニウム板をカセイソーダ濃度26質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%、温度70℃の水溶液を用いてスプレーによるエッチング処理を行い、アルミニウム板を6g/m2溶解した。その後、スプレーによる水洗を行った。
(c)デスマット処理
温度30℃の硝酸濃度1質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む。)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後、スプレーで水洗した。デスマット処理に用いた硝酸水溶液は、硝酸水溶液中で交流を用いて電気化学的粗面化処理を行う工程の廃液を用いた。
(d)電気化学的粗面化処理
60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行った。このときの電解液は、硝酸10.5g/L水溶液(アルミニウムイオンを5g/L、アンモニウムイオンを0.007質量%含む。)、液温50℃であった。交流電源波形は図2に示した波形であり、電流値がゼロからピークに達するまでの時間TPが0.8msec、duty比1:1、台形の矩形波交流を用いて、カーボン電極を対極として電気化学的な粗面化処理を行った。補助アノードにはフェライトを用いた。電解槽は図3に示すものを使用した。
電流密度は電流のピーク値で30A/dm2、電気量はアルミニウム板が陽極時の電気量の総和で220C/dm2であった。補助陽極には電源から流れる電流の5%を分流させた。
その後、スプレーによる水洗を行った。
(e)アルカリエッチング処理
アルミニウム板をカセイソーダ濃度26質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%の水溶液を用いてスプレーによるエッチング処理を32℃で行い、アルミニウム板を0.25g/m2溶解し、前段の交流を用いて電気化学的粗面化処理を行ったときに生成した水酸化アルミニウムを主体とするスマット成分を除去し、また、生成したピットのエッジ部分を溶解してエッジ部分を滑らかにした。その後、スプレーによる水洗を行った。
(f)デスマット処理
温度30℃の硫酸濃度15質量%水溶液(アルミニウムイオンを4.5質量%含む。)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後、スプレーで水洗した。デスマット処理に用いた硝酸水溶液は、硝酸水溶液中で交流を用いて電気化学的粗面化処理を行う工程の廃液を用いた。
(g)電気化学的粗面化処理
60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行った。このときの電解液は、塩酸7.5g/L水溶液(アルミニウムイオンを5g/L含む。)、温度35℃であった。交流電源波形は図2に示した波形であり、電流値がゼロからピークに達するまでの時間TPが0.8msec、duty比1:1、台形の矩形波交流を用いて、カーボン電極を対極として電気化学的粗面化処理を行った。補助アノードにはフェライトを用いた。電解槽は図3に示すものを使用した。
電流密度は電流のピーク値で25A/dm2、電気量はアルミニウム板が陽極時の電気量の総和で50C/dm2であった。
その後、スプレーによる水洗を行った。
(h)アルカリエッチング処理
アルミニウム板をカセイソーダ濃度26質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%の水溶液を用いてスプレーによるエッチング処理を32℃で行い、アルミニウム板を0.10g/m2溶解し、前段の交流を用いて電気化学的粗面化処理を行ったときに生成した水酸化アルミニウムを主体とするスマット成分を除去し、また、生成したピットのエッジ部分を溶解してエッジ部分を滑らかにした。その後、スプレーによる水洗を行った。
(i)デスマット処理
温度60℃の硫酸濃度25質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む。)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後、スプレーによる水洗を行った。
(j)陽極酸化処理
陽極酸化装置を用いて陽極酸化処理を行い、実施例1の平版印刷版用支持体を得た。
第一および第二電解部に供給した電解液としては、硫酸を用いた。電解液は、いずれも、硫酸濃度170g/L(アルミニウムイオンを0.5質量%含む。)、温度38℃であった。その後、スプレーによる水洗を行った。最終的な酸化皮膜量は2.7g/m2であった。
陽極酸化処理後の陽極酸化皮膜を走査型電子顕微鏡を用いて観察し、得られたSEM写真から、陽極酸化皮膜に存在するマイクロポアの平均ポア径を算出したところ、10nmであった。
(k)封孔処理
ついで、陽極酸化皮膜のマイクロポアを塞ぐ目的で封孔処理を施した。封孔処理は、30g/Lのリン酸と1g/Lのクエン酸とを含有する水溶液(40℃)に、平均粒径15nmのシリカ粒子(スノーテックST−20、日産化学社製)を固形分濃度が15g/Lとなるように分散させて、封孔処理液を得た。ついで、得られた封孔処理液をアルミニウム板にwet塗布量が1g/m2となるように塗布し、その後、120℃で2分間乾燥させることにより、行った。その後、ニップロールで液切りし、水洗処理し、更にニップロールで液切りした。
(l)親水化処理
ついで、親水化処理を行った。親水化処理は、1質量%のケイ酸ナトリウム水溶液(液温50℃)にアルミニウム板を8秒間浸せきさせることにより、行った。
蛍光X線分析装置で測定したアルミニウム表面のSi量は、3.5mg/m2であった。
その後、ニップローラで液切りを行い、ついで水洗処理を行い、更にニップローラで液切りを行った。
更に、90℃の風を10秒間吹き付けて乾燥させて、平版印刷版用支持体を得た。
(実施例2)
上記(k)封孔処理において、シリカ粒子の代わりに、平均粒径15nmのアルミナ粒子(ナノテックアルミナ粒子、シーアイ化成社製)を固形分濃度が15g/Lとなるように用いた以外は、実施例1と同様の方法により、平版印刷版用支持体を得た。
(実施例3)
上記(k)封孔処理において、1g/Lのクエン酸の代わりに、1g/Lのギ酸を用いた以外は、実施例2と同様の方法により、平版印刷版用支持体を得た。
(実施例4)
上記(k)封孔処理において、30g/Lのリン酸の代わりに、30g/Lのリン酸二水素ナトリウム(NaH2PO4)を用いた以外は、実施例2と同様の方法により、平版印刷版用支持体を得た。
(実施例5)
上記(j)と上記(k)との間に、下記(m)を行い、かつ、上記(k)封孔処理において、平均粒径15nmのアルミナ粒子の代わりに、平均粒径40nmのアルミナ粒子(HIT−50、住友化学工業社製)を固形分濃度が15g/Lとなるように用いた以外は、実施例2と同様の方法により、平版印刷版用支持体を得た。
(m)ポアワイド処理
ポアワイド処理は、1質量%の水酸化ナトリウム水溶液(液温30℃)にアルミニウム板を10秒間浸せきさせることにより、行った。
ポアワイド処理後の陽極酸化皮膜を走査型電子顕微鏡を用いて観察し、得られたSEM写真から、陽極酸化皮膜に存在するマイクロポアの平均ポア径を算出したところ、20nmであった。
(実施例6)
上記(k)封孔処理において、平均40nmのアルミナ粒子の代わりに、平均粒径100nmのアルミナ粒子(AKP−G008、住友化学工業社製)を固形分濃度が15g/Lとなるように用いた以外は、実施例5と同様の方法により、平版印刷版用支持体を得た。
(実施例7)
上記(k)封孔処理において、平均40nmのアルミナ粒子の代わりに、平均粒径300nmのアルミナ粒子(AKP30、住友化学工業社製)を固形分濃度が15g/Lとなるように用いた以外は、実施例5と同様の方法により、平版印刷版用支持体を得た。
(比較例1)
上記(k)を行わなかった以外は、実施例1と同様の方法により、平版印刷版用支持体を得た。
(比較例2)
上記(k)封孔処理において、クエン酸を用いなかった以外は、実施例2と同様の方法により、平版印刷版用支持体を得た。
(比較例3)
上記(k)封孔処理において、30g/Lのリン酸の代わりに、30g/Lのケイ酸ナトリウムを用いた以外は、実施例2と同様の方法により、平版印刷版用支持体を得た。
(比較例4)
上記(k)封孔処理において、クエン酸を用いなかった以外は、実施例4と同様の方法により、平版印刷版用支持体を得た。
(比較例5)
上記(k)を行わなかった以外は、実施例5と同様の方法により、平版印刷版用支持体を得た。
(比較例6)
上記(j)と上記(k)との間に、上記(m)を行った以外は、実施例2と同様の方法により、平版印刷版用支持体を得た。
2.平版印刷版用支持体の表面の性状
上記で得られた各平版印刷版用支持体について、表面の接触角および封孔率を以下のようにして求めた。
(1)接触角
スワゾール(石油系炭化水素混合物)を満たしたセル中に、平版印刷版用支持体を浸せきさせ、スワゾール中で平版印刷版用支持体の表面への水滴の接触角を測定した。測定は、協和界面科学社製のFace接触角計CA−Xを用いて行った。5回測定を行って、平均値を求めた。
結果を第1表に示す。
(2)封孔率
陽極酸化皮膜のマイクロポアの封孔率は、簡易BET方式の表面積測定装置(フローソーブIII、Micromeritics社製)を用いて測定した。
結果を第1表に示す。
3.平版印刷版原版の作製
上記で得られた各平版印刷版用支持体に、下記組成の画像記録層用塗布液をバー塗布した後、70℃で60秒間、オーブンを用いて乾燥させ、乾燥塗布量0.8g/m2の画像記録層を形成させて平版印刷版原版を得た。
<画像記録層用塗布液組成>
・水 55g
・プロピレングリコールモノメチルエーテル 30g
・メタノール 5g
・後述するマイクロカプセル液 5g(固形分換算)
・エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート(日本化薬(株)製、SR9035、エチレンオキサイド付加モル数15、分子量1000) 0.2g
・重合開始剤(上記OS−7) 0.5g
・下記式で表される赤外線吸収剤(1) 0.15g
・エチレングリコール 0.1g
・フッ素系界面活性剤(大日本インキ化学工業(株)製、メガファックF−171) 0.1g
Figure 2005271414
<マイクロカプセル液>
油相成分として、トリメチロールプロパンとキシレンジイソシアナート付加体(三井武田ケミカル(株)製、タケネートD−110N)10g、ペンタエリスリトールトリアクリレート(日本化薬(株)製、SR444)3.15g、下記式で表される赤外線吸収剤(2)の0.35g、3−(N,N−ジエチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン(山本化成製ODB)1gおよび界面活性剤(竹本油脂(株)製、パイオニンA−41C)0.1gを酢酸エチル17gに溶解させた。水相成分としてポリビニルアルコール((株)クラレ製、PVA−205)の4質量%水溶液40gを調製した。油相成分および水相成分を混合し、ホモジナイザーを用いて12000rpmで10分間乳化させた。得られた乳化物を、蒸留水25gに添加し、室温で30分間かくはんした後、40℃で3時間かくはんした。その後、蒸留水を用いて希釈し、固形分濃度20質量%のマイクロカプセル液を得た。マイクロカプセルの平均粒径は0.3μmであった。
Figure 2005271414
4.露光および印刷
得られた平版印刷版原版を水冷式40W赤外線半導体レーザー搭載のCreo社製Trendsetter3244VXを用いて、出力9W、外面ドラム回転数210rpm、解像度2400dpiの条件で画像露光した。
その後、現像処理することなく、ハイデルベルグ社製印刷機SOR−Mのシリンダーに取り付けた。ついで、湿し水(IF102(富士写真フイルム(株)製エッチ液)/水=4/96(容量比))とTRANS−G(N)墨インキ(大日本インキ化学工業社製)とを供給した後、印刷用紙に毎時6000枚の印刷速度で印刷を行った。
5.平版印刷版原版の評価
(1)耐汚れ性
印刷開始後、印刷機上で画像記録層の未露光部の除去が完了し、印刷用紙にインキが転写しない状態になるまでに印刷を行い、一旦印刷を停止した。その後、1時間放置してから、再度印刷を行った。露光部にインキが付着しており、かつ、未露光部にインキが付着していない、正常な印刷物が得られるまでの印刷枚数により、耐汚れ性を評価した。
結果を第1表に示す。表中、正常な印刷物が得られるまでの印刷枚数が20枚以下であった場合を○、21枚以上40枚以下であった場合を○△、41枚以上であった場合を△として表した。
(2)耐刷性
印刷開始後、印刷機上で画像記録層の未露光部の除去が完了し、印刷用紙にインキが転写しない状態になるまでに印刷を行い、更に印刷を続けた。印刷枚数を増やしていくと徐々に画像記録層が磨耗しインキ受容性が低下して、印刷用紙におけるインキ濃度が低下した。インキ濃度(反射濃度)が印刷開始時よりも0.1低下したときの印刷枚数により、耐刷性を評価した。
結果を第1表に示す。表中、各実施例および比較例の上記印刷枚数を、比較例1の上記印刷枚数を100としたときの相対値で示した。
第1表から明らかなように、本発明の平版印刷版用支持体を用いた平版印刷版原版(実施例1〜7)は、極めて耐刷性に優れる。また、耐汚れ性にも優れる。
Figure 2005271414
本発明の平版印刷版用支持体の作製における機械粗面化処理に用いられるブラシグレイニングの工程の概念を示す側面図である。 本発明の平版印刷版用支持体の作製における電気化学的粗面化処理に用いられる交番波形電流波形図の一例を示すグラフである。 本発明の平版印刷版用支持体の作製における交流を用いた電気化学的粗面化処理におけるラジアル型セルの一例を示す側面図である。
符号の説明
1 アルミニウム板
2、4 ローラ状ブラシ
3 研磨スラリー液
5、6、7、8 支持ローラ
11 アルミニウム板
12 ラジアルドラムローラ
13a、13b 主極
14 電解処理液
15 電解液供給口
16 スリット
17 電解液通路
18 補助陽極
19a、19b サイリスタ
20 交流電源
40 主電解槽
50 補助陽極槽

Claims (3)

  1. アルミニウム板に少なくとも粗面化処理、陽極酸化処理および封孔処理を施して得られる平版印刷版用支持体であって、
    前記封孔処理が、前記陽極酸化処理により形成される陽極酸化皮膜に存在するマイクロポアの平均ポア径よりも大きい平均粒径を有する酸化物粒子が分散している、リン原子を有する酸および/またはその塩とカルボン酸とを含有する水溶液を用いて施される、平版印刷版用支持体。
  2. 請求項1に記載の平版印刷版用支持体上に、画像記録層を設けてなる平版印刷版原版。
  3. 前記画像記録層が、赤外線吸収剤(A)と、重合開始剤(B)と、重合性化合物(C)とを含有し、印刷インキおよび/または湿し水により除去可能な画像記録層である、請求項2に記載の平版印刷版原版。
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