上記特許文献1の農作物収穫機は、圃場に植生する生姜等の農作物を機械的に引上げ処理するもので収穫作業の省力化が図れるものであり、また、引上げ処理とともに収穫後に不要となる葉先側茎葉部の切断処理が行え、しかも、引上げ処理されて畝上に放出された作物体が切断処理された茎葉部に覆われて見えなくなることがなく、引上げ処理後の作物体の回収作業も容易に行えて、作業能率の向上が図れるものである。
しかし、上記の農作物収穫機は、掻き込み装置と切断装置と茎葉放出手段を、上記のように構成し、更に、引上げ搬送装置の挟持搬送始端部の上側に配置しているので、茎葉切断処理と茎葉放出処理を行う部分が複雑で大きなものとなり、しかも、その部分が機体前部上方に突出する状態となっている。このため、機体の構成が、複雑で大きなものとなり、また、前方視界も悪く、機体の操縦性が良くないものとなっていた。
そこで、本発明は、生姜等の農作物の収穫作業の省力化と作業能率の向上が図れるものにするとともに、機体を簡易でコンパクトな構成とし、更に、前方視界も良く、機体の操縦性が良好なものとすることを課題とする。
本発明は、上記課題を解決するために、以下の技術的手段を講じたものである。
即ち、請求項1記載の発明は、歩行操縦用の操縦ハンドル6を機体の後部に設け、駆動回転して機体を前進走行させる走行回転体3,3を機体の左右両側に設け、機体の前進走行中に作物体Pの茎葉部PLを挟持して後側上方に搬送し作物体Pを引上げる引上げ搬送装置15を前記左右走行回転体3,3より機体左右方向内側に設け、作物体Pの茎葉部PLを切断する切断装置16を前記引上げ搬送装置15の後部下側に設け、前記引上げ搬送装置15の後側に排出された茎葉部P2を機体側方に案内する案内体40,40を前記引上げ搬送装置15の後側から前記走行回転体3,3の後端部より機体前後方向前側を通って前記走行回転体3の左右外側方に至るように設けたことを特徴とする農作物収穫機としたものである。
請求項2記載の発明は、前記案内体40,40の機体左右方向外側部を機体平面視で前記走行回転体3の後端部より機体前後方向後方で機体左右方向外側方に位置する個所まで延長し、該案内体40,40の機体左右方向外側部の機体左右方向内側に位置する前記操縦ハンドル6の側部を機体平面視で前記走行回転体3の後端部より後方で機体左右方向内側に位置するように配置して、前記案内体40,40の機体左右方向外側部とその左右方向内側の操縦ハンドル6との左右間で前記走行回転体3,3の後端部後方の領域に作業者が入り込んだ状態で立って位置することを可能に構成したことを特徴とする請求項1記載の農作物収穫機としたものである。
請求項3記載の発明は、前記案内体40,40を、上下二段で機体左右方向内側から機体左右方向外側に延びるように設けた棒状部材で構成したことを特徴とする請求項1記載の農作物収穫機としたものである。
従って、この農作物収穫機は、左右の走行回転体3,3の駆動回転により前進走行する。圃場内に機体を移動させたら、作物体Pが植生する畝Uの左右両側方個所(畝両側の谷部)を左右の走行回転体3,3が通過するように機体を位置させ、機体が作物体Pが列状に植生する畝Uを跨ぐような状態として機体を前進させる。作業者は、走行回転体3の後方個所に立って移動する機体に追従して歩行移動する。機体の進行方向を変更するなどの操縦操作は、機体と共に歩行移動しながら機体の後部に設けた操縦ハンドル6をもって行う。そして、機体の前進走行中に、左右走行回転体3,3より機体左右方向内側に設けた引上げ搬送装置15が作物体Pの茎葉部PLを挟持して後側上方に搬送し地中にある作物体Pの最終収穫物Eを引上げる。また、引上げ搬送装置15の後部下側に設けた切断装置16が引上げ搬送装置15の挟持個所より下側の茎葉部PLを切断する。切断装置16が茎葉部PLを切断すると、引上げ搬送装置15による作物体Pの上方への引上げ作用は解放され、切断個所より下側の根本側部分P1は畝U上に放出される。一方、切断個所より上側の葉先側部分P2は、引上げ搬送装置15によってその搬送終端部まで搬送され排出される。引上げ搬送装置15の後側に排出された葉先側部分P2の茎葉部は、案内体40,40によって、引上げ搬送装置15の後側から走行回転体3,3の後端部より機体前後方向前側を通って走行回転体3の左右外側方に至るように案内され、引上げ処理されて畝U上に放出された作物体Pの根本側部分P1から左右側方にずれた個所の圃場に切断処理された葉先側部分P2の茎葉部が排出される。作業者は、走行回転体3の後方を歩行移動するが、引上げ搬送装置15の後側に排出された葉先側部分P2の茎葉部は、案内体40,40によって作業者の前方を通って機体外側方に案内されて行くことになり、切断処理された葉先側部分P2の茎葉部が作業者に倒れ掛かってくるようなことが生じにくい。
また、前記案内体40,40の機体左右方向外側部を機体平面視で前記走行回転体3の後端部より機体前後方向後方で機体左右方向外側方に位置する個所まで延長し、該案内体40,40の機体左右方向外側部の機体左右方向内側に位置する前記操縦ハンドル6の側部を機体平面視で前記走行回転体3の後端部より後方で機体左右方向内側に位置するように配置することで、作業者は、案内体40,40の機体左右方向外側部とその左右方向内側の操縦ハンドル6との左右間で走行回転体3の後端部後方の領域に入り込んだ状態で立つことができる。これにより、作業者は、引上げ搬送装置15の後側に排出された葉先側部分P2の茎葉部が引上げ搬送装置15の後側及び案内体40,40の前側で詰まった状態になっていないかどうか容易に監視でき、且つ、詰まったときはそれを解消する対応を迅速に行え、しかも、そのような位置に作業者が立っていながらも、引上げ搬送装置15の後側に排出された葉先側部分P2の茎葉部は、案内体40,40によって作業者の前方を通って機体外側方に案内されて行くので、切断処理された葉先側部分P2の茎葉部が作業者に倒れ掛かってくるようなことが生じにくい。
更に、前記案内体40,40を、上下二段で機体左右方向内側から機体左右方向外側に延びるように設けた棒状部材で構成すると、機体構成の簡略化が更に図れ、また、機体の前方視界も更に良好になって、機体の操縦性が更に良好になる。
請求項1記載の発明は、上記構成としたものなので、圃場に植生する生姜等の作物体Pを機械的に引上げ処理するもので収穫作業の省力化が図れるものであり、また、引上げ処理とともに収穫後に不要となる葉先側の茎葉部の切断処理が行え、しかも、引上げ処理されて畝U上に放出された作物体Pの根本側部分P1が切断処理された葉先側部分P2の茎葉部に覆われて見えなくなることがなく、引上げ処理後の作物体Pの根本側部分P1の回収作業も容易に行えて、作業能率の向上が図れるものである。また、切断手段と茎葉放出手段を簡易でコンパクトに構成でき、機体の前方視界も良く、機体の操縦性が良いものである。更に、機体と共に歩行移動する作業者に、切断処理された葉先側部分P2の茎葉部が倒れ掛かってくるようなことも生じにくい。
請求項2記載の発明は、上記構成としたものなので、請求項1記載の発明の効果を奏するとともに、案内体40,40の機体左右方向外側部とその左右方向内側の操縦ハンドル6との左右間で走行回転体3の後端部後方の領域に作業者が入り込んだ状態で立つことができ、これにより、作業者は引上げ搬送装置15の後側に排出された葉先側部分P2の茎葉部が引上げ搬送装置15の後側及び案内体40,40の前側で詰まった状態になっていないかどうか容易に監視でき、且つ、詰まったときはそれを解消する対応を迅速に行え、しかも、そのような位置に立っていながらも、引上げ搬送装置15の後側に排出された葉先側部分P2の茎葉部は、案内体40,40によって作業者の前方を通って機体外側方に案内されて行くので、切断処理された葉先側部分P2の茎葉部が作業者に倒れ掛かってくるようなことが生じにくい。
請求項3記載の発明は、上記構成としたものなので、請求項1記載の発明の効果を奏するとともに、機体構成の簡略化が更に図れ、また、機体の前方視界も更に良好になって、機体の操縦性が更に良好になる。
圃場の畝Uに列状に植生する生姜の引上げ作業をする農作物収穫機を、以下に詳細に説明する。
この農作物収穫機は、図に示すように、走行装置1と、作物体Pの引上げ作業を行う作業部Wとを設けたもので、走行装置1は機体を機体前方となる進行方向Dに向って前進走行させ、その走行中に作業部Wが作物体Pの引上げ作業を行っていく。これにより、この農作物収穫機は、機体進行方向Dにそって列状に並ぶ作物体Pを機械的に且つ連続的に引抜いていくことになる。
走行装置1は、左右両側に、走行回転体、即ち、自由回転する前輪2,2と駆動回転する後輪3,3を備え、後側に、エンジン4と、該エンジン4の動力を受けて後輪3,3と作業部Wに動力を変速伝動する変速伝動機構を内装したミッションケース5と、歩行操縦用の操縦ハンドル6を備えた歩行操縦型で四輪構成の走行装置で、これにより機体が自走するよう構成している。左右の前輪2,2及び後輪3,3は、作業時に、圃場に形成された畝Uを跨いで畝両側の谷部分を走行する。後輪3,3は、機体後部に配置されたエンジン4から動力が伝動されて駆動回転する。具体的には、エンジン4の動力が、エンジン4の前側に配置されエンジン4に連結するミッションケース5内の変速伝動機構に伝動し、該変速伝動機構を経てミッションケース5の左右両側部に装着した車輪伝動ケース7,7内の伝動機構に伝動し、該車輪伝動ケース7,7の下部の左右方向外側方に突出する後輪車軸8,8に伝動して該車軸8,8に取り付けている前記後輪3,3が駆動回転する構成としている。
また、機体の操縦部として歩行型の操縦ハンドル6をその左右の把持部9,9が機体後端上側に位置するように機体後部に設けている。操縦ハンドル6の把持部9,9から前側に延びる左右のハンドルフレーム10,10は下方に屈曲してミッションケース5の左右両側部に固着している。また、操縦ハンドル6の近傍には、操縦者の握り操作により操作されるサイドクラッチレバー11,11を左右に設けていて、これにより左右の後輪3,3への伝動を個々に遮断するサイドクラッチを操作することができて機体の旋回が容易に行える。更に、後輪3,3への伝動と作業部Wへの伝動を遮断する主クラッチを操作する主クラッチ操作レバー12と、ミッションケース5内の走行伝動部に設けた走行変速装置を、低速前進伝動状態、高速前進伝動状態、後進伝動状態、前後進中立状態に切り替え操作する変速レバー13も操縦ハンドル6の近傍に配置している。
なお、上記走行装置1は、左右の走行回転体を左右の前輪2,2と左右の後輪3,3で構成しているが、クローラ式走行装置で構成しても良い。
次に、作業部Wについて説明する。
作業部Wには、作物体Pの茎葉部PLを挟持して引上げ搬送する左右一対の引上げ搬送ベルト14,14を緩やかに後上がり傾斜した姿勢に設けた引上げ搬送装置15と、作物体Pの茎葉部PLを切断する切断装置16を設けている。また、引上げ搬送装置15は、機体平面視で左右の走行回転体2,2;3,3の間に配置するとともに、機体側面視で機体前部側から機体前後中間部付近にかけて後上がり傾斜姿勢で配置している。切断装置16は、引上げ搬送装置15の後部下側に配置している。更に、切断装置16により切断されて根本側部分P1から切り離され引上げ搬送装置15の後端部から排出される葉先側部分P2を受ける茎葉受け台17を設け、該茎葉受け台17の下側に、ミッションケース5の前部から機体前方へ後上がり姿勢で延びる左右のフレーム19,19を配置し、該左右のフレーム19,19とミッションケース5の下方に、前記切断装置16により切断されて地面に落下した根本側部分P1を機体後方に通過可能とする空間部Sを有するように構成している。
更に具体的な構成を説明する。ミッションケース5の前部に、左右の作業部伝動ケース18,18と、前方に前下がり傾斜で延びる左右2本のフレーム19,19の後端部を固着している。そして、引上げ搬送装置15は、左右一対の上側の駆動プーリー20,20と左右一対の下側の従動プーリー21,21、左右の引上げ搬送ベルト14,14の内側から支持する複数のローラー22,22…を左右に設け、これら左右のプーリー及びローラの周りに、それぞれ引上げ搬送装置15の搬送体となる引上げ搬送ベルト14,14を巻き掛け、左右の引上げ搬送ベルト14,14の外周面は機体の左右中央部において互いに接当する状態となるようにしている。そして、ミッションケース5内の動力が伝動フレーム18,18内の伝動手段を経て、駆動プーリー20,20の駆動側回転軸23,23に伝動して、左右の引上げ搬送ベルト14,14がその左右中央部側で互いに接当する作物体挟持箇所において機体後方側に移動するように周回駆動される構成としている。前記駆動プーリー20,20は、前記左右のフレーム19,19の左右間に配置し前記第一作業部伝動ケース18,18の下部に固着した第二作業部伝動ケース24,24から上方に突出させて支持した駆動側回転軸23,23に一体回転するように取付け、前記従動プーリー21,21は、前記フレーム19,19の前端部に固着した取付け部材から上方に突出させて回転自在に支持した従動側回転軸25,25に一体回転するように取付け、前記複数のローラー22,22…は、前記駆動側回転軸23,23と従動側回転軸25,25とにわたって装着された支持部材26,26に取付けた複数の支持軸に回転自在に取付けている。支持部材26,26は、引上げ搬送ベルト14,14の上側に配置しているので、引上げ搬送ベルト14,14で挟持搬送される作物体Pの茎葉部PLに接触しにくくなっている。このため、作物体Pが生姜である場合に、引上げ搬送装置15が茎葉部PLを挟持搬送しているとき左右横方向に広がるように生育する土中の生姜を割ってしまうことが生じにくくなる。すなわち、地中の生姜が左右に広がって生育していて複数本の茎葉部PLが左右に幅広く並んで生育しているとき、引上げ搬送装置15は左右に林立する複数の茎葉部PLの中間部付近を左右中央側一箇所に集めて挟持することになるが、このとき、複数のローラー22,22…を取り付ける支持部材を引上げ搬送ベルト14,14の下側に配置していて、複数のローラー22,22…を取り付ける支持部材の端部に左右両端側の茎葉部PLが当たると、左右に広がった生姜の左右両端部を左右内側に引っ張る状態となって、これにより左右に広がった生姜を大きく湾曲させて割ってしまうことがある。しかしながら、本例では、複数のローラー22,22…を取り付ける支持部材26,26を引上げ搬送ベルト14,14の上側に配置しているので、このような問題を回避できる。
引上げ搬送装置15の挟持始端箇所Aは、左右の引上げ搬送ベルト14,14が左右中央側前部でベルト外周面を互いに接触させ始める個所となり、機体の前進走行中に、この挟持始端部に作物体Pの茎葉部PLが入り込んでくると、左右の引上げ搬送ベルト14,14が作物体Pの茎葉部PLを挟んで後側斜め上方に搬送する。引上げ搬送ベルト14,14の機体後方水平方向の移動速度は、作業時の機体前進速度(走行変速装置VCを低速前進伝動状態としたときの速度)と略同じ大きさの速度になるように設定しているので、機体が前進走行していても、引上げ搬送装置15に挟持搬送される作物体Pは畝Uに対して前後に倒れず略垂直姿勢のままで上方に引上げ作用を受けることになる。引上げ搬送装置15の挟持終端箇所は、引上げ搬送装置15の後端部にあって左右の引上げ搬送ベルト14,14が左右中央側後部でベルト外周面が互いに離れ始める個所となり、左右の引上げ搬送ベルト14,14が挟持搬送した作物体Pの茎葉部PLがこの箇所から排出される。なお、引上げ搬送ベルト14,14の機体後方水平方向の移動速度を、作業時の機体前進速度(走行変速装置VCを低速前進伝動状態としたときの速度)よりも10〜20%速い速度に設定すると、地中で互いに繋がった状態にある生姜の塊群を機体前進方向前側から引上げるように作用することになり、引上げ時に生姜の塊群が割れるのを生じにくくすることができる。
引上げ搬送ベルト14,14の左右一方側を他方側に対して離れる方向に移動可能に構成している。具体的には、左右一方側の引上げ搬送ベルト14を駆動プーリ20の回転軸23を軸に支持部材26の前側を左右方向外側に回動可能に設けている。作業時は引上げ搬送ベルト14,14が互いに接当状態となる位置で固定する固定手段を設け、該固定手段の固定を解除することで左右方向外側への回動が可能となる。これにより、引上げ搬送ベルト14,14の間に過大な量の茎葉部PLが入り込んで過負荷状態となってエンジン4が停止してしまったときなどに、引上げ搬送ベルト14,14の間に詰まった茎葉部PLを容易に取り除くことができる。ところで、図中の15aは、引上げ搬送装置15の上側を覆うカバーである。
左右の前輪2,2は、上下調節可能に設けている。左右の前輪2,2を下方に位置調節すると、引上げ搬送装置15の前下がり傾斜が大きくなって、作物体引上げ高さHが増大し、左右の前輪2,2を上方に位置調節すると、引上げ搬送装置15の前下がり傾斜が小さくなって、作物体引上げ高さHが小さくなる。従って、左右の前輪2,2の上下調節機構によって引上げ搬送装置15の作物体引上げ高さHを設定調節可能となっている。具体的には、左右の前輪2,2は、前記フレーム19,19の前端部左右両側部に取り付けた前輪支持軸27,27の左右両端部の前輪支持アーム取付け部28,28に、上下に延びる前輪支持アーム29,29を装着し、その下端部に前輪車軸30,30を設け、これに左右の前輪2,2を回転自在に取り付けている。左右の前輪2,2の上下調節機構は、前輪支持アーム取付け部28,28に対する前輪支持アーム29,29の取付け高さを調節可能とすることで構成している。図例では、取付け穴と取付けピンで構成しているが、他の構成によって実現してもよい。
切断装置16は、左右一対の円盤状カッターを左右中央部で一部上下に重なるようにして引上げ搬送装置15の後部下側に設けた構成としている。切断装置16の左右の円盤状カッターは、ミッションケース5内からの動力を第一作業部伝動ケース18及び第二作業部伝動ケース24,24内の伝動手段を介して円盤状カッターの回転軸31,31に伝動して駆動回転している。左右の引上げ搬送ベルト14,14によって挟持搬送される作物体Pの茎葉部PLは、その挟持搬送終端個所Cまで搬送される手前でその挟持搬送通路を遮るように配置された駆動回転する左右の円盤状カッターで切断作用を受けて切断される。左右の円盤状カッターの前側外周が交差する個所に作物体Pの茎葉部PLが搬送されるように設定しているので、ここから切断が開始される。そして、引上げ搬送装置15の挟持始端箇所Aから切断装置16が茎葉部PLを切断する時点の引上げ搬送装置15の挟持箇所Bまでの作物体引上げ高さHを、引上げ搬送装置15が作用する前で地中に生育していた作物体Pの最終収穫物Eの最大深さdより小さくなるように設定している。具体的には、作物体引上げ高さHを2〜6cmに設定する。なお、切断装置16を左右のフレーム19,19より下側に位置するように配置することもできる。このようにすると、切断装置16であるカッターの交換がフレーム19,19に妨げられず容易に行え、また、切断された後の根本側部分P1がフレーム19,19に引っかかって引きずって行くようなことが生じにくくなり、一層適確な作業が行える。
従って、この農作物収穫機は、歩行操縦型の走行装置1によって機体を前進走行させ、引上げ搬送装置15によって作物体Pの茎葉部PLを挟持して引上げ搬送する。このとき土中にある作物体Pの最終収穫物Eも引上げられ、土中に張った根は引きちぎられる。そして、最終収穫物Eの底部が地表面より上方に上昇する前に切断装置16によって茎葉部PLが切断される。このため、最終収穫物Eはその上側に土等が被さった状態のままとなる。切断装置16により切断された後の作物体Pの根本側部分P1は、左右のフレーム19,19及びミッションケース5の下方に形成された空間部Sを通って機体後方に通過していく。このような作業を行った後、圃場に残された作物体Pの根本側部分P1は、作業者によって圃場から引き抜かれて最終収穫物Eが回収されるが、前記作業によって一度引上げられているので、軽い力で容易且つ迅速に取り上げることができ、また、完全に引き抜かれずに最終収穫物Eの上側に土等が被さった状態のままで残されているので、乾燥等による品質低下が生じにくい。一方、切断装置16によって切断されて根本側部分P1から切り離された葉先側部分P2は、引上げ搬送装置15の後端部から排出され、案内体40,40に案内されて機体左右方向外側方に放出される。
この農作物収穫機は、前記切断装置16により切断されて根本側部分P1から切り離された葉先側部分P2を引上げ搬送装置15の終端個所Cから機体後方に排出する。そして、その排出された葉先側部分P2の茎葉部を受ける茎葉受け台17を設けている。本例において、この茎葉受け台17は、具体的には、引上げ搬送装置15の挟持搬送終端個所Cの下方箇所から機体の左右両外側に向けて広がる板面を有する板体32で形成している。この茎葉受け台17は、引上げ搬送装置15の挟持搬送終端個所Cから放出された葉先側部分P2の茎葉部を下方から支持するように受け、そして、案内体40,40に案内されてその茎葉部を機体の左右外側方の圃場に(畝両側の谷部に)放出される。なお、茎葉受け台17の後側に、第一作業部伝動ケース18、ミッションケース5、エンジン4の上側を覆うカバー部33を形成している。
そして、この農作物収穫機は、歩行操縦用の操縦ハンドル6を機体の後部に設け、駆動回転して機体を前進走行させる走行回転体3,3を機体の左右両側に設け、機体の前進走行中に作物体Pの茎葉部PLを挟持して後側上方に搬送し作物体Pを引上げる引上げ搬送装置15を前記左右走行回転体3,3より機体左右方向内側に設け、作物体Pの茎葉部PLを切断する切断装置16を前記引上げ搬送装置15の後部下側に設け、前記引上げ搬送装置15の後側に排出された茎葉部P2を機体側方に案内する案内体40,40を設けたものである。
そして、案内体40,40は、前記引上げ搬送装置15の後側から前記走行回転体3,3の後端部より機体前後方向前側を通って前記走行回転体3,3の左右外側方に至るように設けている。また、案内体40,40の機体左右方向外側部40a,40aを機体平面視で左側後輪3の後端部より機体前後方向後方で機体左右方向外側方に位置する個所まで延長し、該案内体40,40の機体左右方向外側部40a,40aの機体左右方向内側に位置する操縦ハンドル6の側部(左側把持部9)を機体平面視で左側後輪3の後端部より後方で機体左右方向内側に位置するように配置して、前記案内体40,40の機体左右方向外側部40a,40aとその左右方向内側の操縦ハンドル6(左側把持部9)との左右間で左側後輪3の後端部後方の領域に作業者が入り込んだ状態で立って位置することを可能に構成している。更にまた、案内体40,40を、上下二段で機体左右方向内側から機体左右方向外側に延びるように設けた棒状部材で構成している。なお、図例では、案内体40,40は、引上げ搬送装置15の後側右寄り個所から上方に立ち上がる支柱41を設け、この支柱41に、上下に適宜設定した上下間隔で、機体側方に延びる上下の案内体40,40を取り付けている。また、上下の案内体40,40の上下間は、支柱41から左右外側方に向けて解放状態に設けている、即ち、上下の案内体40,40は、支柱41への取付個所から各機体左右方向外側部40a,40aに至るまで上下互いに連結していない構成なので、案内体40,40の後方に位置する作業者が上下の案内体40,40の間を通して手を前方に延ばして案内体40,40の前側に位置する茎葉部を掴むことができるので、作業者が強制的に葉先側部分P2の茎葉部を掴んで機体側方に移動させて排出するときに手や腕を容易に動かすことができて、その排出作業が容易且つ迅速に行え、作業能率の向上が図れる。また、案内体40,40を、作業時には上記の状態となる作業位置に位置可能に構成し、機体の運搬時や格納時などには、案内体40,40の機体からのはみ出し量が少なくなる格納位置に移動可能に設けることもできる。具体的には、例えば、案内体40,40を支柱41を軸に前方或は後方に回動可能に構成することで容易にそれが実現できる。
従って、この農作物収穫機は、左右の走行回転体3,3の駆動回転により前進走行する。圃場内に機体を移動させたら、作物体Pが植生する畝Uの左右両側方個所(畝両側の谷部)を左右の走行回転体3,3が通過するように機体を位置させ、機体が作物体Pが列状に植生する畝Uを跨ぐような状態として機体を前進させる。作業者は、走行回転体3の後方個所に立って移動する機体に追従して歩行移動する。機体の進行方向を変更するなどの操縦操作は、機体と共に歩行移動しながら機体の後部に設けた操縦ハンドル6をもって行う。そして、機体の前進走行中に、左右走行回転体3,3より機体左右方向内側に設けた引上げ搬送装置15が作物体Pの茎葉部PLを挟持して後側上方に搬送し地中にある作物体Pの最終収穫物Eを引上げる。また、引上げ搬送装置15の後部下側に設けた切断装置16が引上げ搬送装置15の挟持個所より下側の茎葉部PLを切断する。切断装置16が茎葉部PLを切断すると、引上げ搬送装置15による作物体Pの上方への引上げ作用は解放され、切断個所より下側部分の作物体P1は畝U上に放出される。一方、切断個所より上側部分の茎葉部P2は、引上げ搬送装置15によってその搬送終端部まで搬送され排出される。引上げ搬送装置15の後側に排出された茎葉部P2は、案内体40,40によって、引上げ搬送装置15の後側から走行回転体3,3の後端部より機体前後方向前側を通って走行回転体3の左右外側方に至るように案内され、引上げ処理されて畝U上に放出された作物体P1から左右側方にずれた個所の圃場に切断処理された茎葉部P2が排出される。よって、この農作物収穫機は、圃場に植生する生姜等の作物体Pを機械的に引上げ処理するもので収穫作業の省力化が図れるものであり、また、引上げ処理とともに収穫後に不要となる葉先側の茎葉部P2の切断処理が行え、しかも、引上げ処理されて畝U上に放出された作物体P1が切断処理された茎葉部P2に覆われて見えなくなることがなく、引上げ処理後の作物体P1の回収作業も容易に行えて、作業能率の向上が図れるものである。また、切断手段と茎葉放出手段を簡易でコンパクトに構成でき、機体の前方視界も良く、機体の操縦性が良いものである。更に、機体と共に歩行移動する作業者に、切断処理された茎葉部P2が倒れ掛かってくるようなことも生じにくい。
また、作業者は、案内体40,40の機体左右方向外側部とその左右方向内側の操縦ハンドル6との左右間で走行回転体3の後端部後方の領域に入り込んだ状態で立つことができる。これにより、作業者は、引上げ搬送装置15の後側に排出された茎葉部P2が引上げ搬送装置15の後側及び案内体40,40の前側で詰まった状態になっていないかどうか容易に監視でき、且つ、詰まったときはそれを解消する対応を迅速に行え、しかも、そのような位置に作業者が立っていながらも、引上げ搬送装置15の後側に排出された茎葉部P2は、案内体40,40によって作業者の前方を通って機体外側方に案内されて行くので、切断処理された葉先側の茎葉部P2が作業者に倒れ掛かってくるようなことが生じにくい。
更に、前記案内体40,40を、上下二段で機体左右方向内側から機体左右方向外側に延びるように設けた棒状部材で構成したことにより、機体構成の簡略化が更に図れ、また、機体の前方視界も更に良好になって、機体の操縦性が更に良好になる。
また、この農作物収穫機は、機体後部にエンジン4を配置し、該エンジン4の前側にミッションケース5を配置し、該ミッションケース5の前部に機体前方へ後上がり姿勢で延びる左右のフレーム19,19を固着し、該フレーム19,19の上側に前記引上げ搬送装置15を配置し、前記ミッションケース5の左右両側部に走行回転体3,3を駆動する動力を伝動する伝動部材を内装しミッションケース5の底部より下側に延設される伝動ケース7,7を介して左右の後輪3,3を装着した構成としている。また、茎葉受け台17は、左右のフレーム19,19の上側に配置している。これにより、畝Uを跨いで走行する機体の左右のフレーム19,19とミッションケース5の下方に、切断装置16により切断され畝Uに残される根本側部分P1を機体後方に通過可能とする空間部Sを機体底部に充分に確保することができる。従って、機体がコンパクトに構成されるものでありながら、畝U上に着地した根本側部分P1を、大きく倒したり引きずったりせずに機体後方に通過させられ、しかも、切断された葉先側部分P2が根本側部分P1の上に落下することも防止される。
本例の農作物収穫機は、引上げ搬送装置15の挟持始端部に作物体Pの茎葉部PLを掻集める茎葉掻集め装置34を引上げ搬送装置15の前側に設けている。この茎葉掻集め装置34は、左右のフレーム19,19の各前端部に固着した左右の支持部材35,35にそれぞれ取付けた左右の支持フレーム36,36の前部と後部とに、それぞれ前側プーリー37,37と後側プーリー38,38とを軸着し、左右ぞれぞれの前側プーリー37,37と後側プーリー38,38とに、外周側に突出するラグ39a…を多数有する掻集めベルト39,39を巻き掛け、更に、後側プーリー38,38の回転軸は、引上げ搬送装置15の従動プーリー21,21と一体回転する回転軸25,25の上部に自在継ぎ手を介して連結して構成している。この茎葉掻集め装置34は、左右の掻集めベルト39,39の前側が、左右外側に広がり且つ下位に位置するように傾斜した姿勢で配置している。これにより、掻集めベルト39,39は、左右に広がった作物体Pの茎葉部PLを引上げ搬送装置15の挟持始端部に向けて葉を持上げるようにしながら掻集めるように作用する。なお、畝Uの大きさや作物体Pの茎葉部の左右の広がりの程度に対応して、茎葉掻集め装置34の左右の掻集めベルト39,39の各前部の左右位置及び上下高さを調節可能に設けている。更に、左右の掻集めベルト39,39の各前部の左右位置及び上下高さの調節に対応して左右傾斜角度も調節することで、茎葉部の掻き集め作用力が効果的に発揮されるようにも調節できる。また、掻集めベルト39,39の周回速度は、その機体後方の分速度が機体の前進速度と略同じ大きさから若干早い速度になるように設定して、掻集めベルト39,39が作物体Pを前方に押し倒さないようにしている。更にまた、本例では、左右の掻集めベルト39,39の各前端部から更に前方に延出するガイド棒42,42を設けているので、茎葉掻集め装置34の大型化を押えつつ、茎葉部の掻集め範囲の拡大が図れる。具体的には、ガイド棒42,42は、左右の支持フレーム36,36の前部に取り付ける。そして、作業時には、ガイド棒42,42の前部が機体前側左右外側方に延びる位置に位置させ、機体の運搬時や格納時には、機体内側或は機体内側後方位置まで移動(例えば、ガイド棒の取付部を軸に回動)させて収納可能に構成することもできる。
また、茎葉掻き集め装置34を駆動する後側プーリー38,38は、引上げ搬送装置15の従動プーリー21,21の上側に設けているので、作物体Pが生姜である場合に、引上げ搬送装置15が茎葉部PLを挟持するとき横側にのびて生育する生姜を割ってしまうことが生じにくくなる。すなわち、地中の生姜が左右に広がって生育していて複数本の茎葉部PLが左右に幅広く並んで生育しているとき、引上げ搬送装置15は左右に林立する複数の茎葉部PLの中間部付近を左右中央側一箇所に集めて挟持することになるが、このとき、茎葉掻き集め装置を駆動する後側プーリーが引上げ搬送装置15の従動プーリー21,21の下側に設けられていて該後側プーリーが大きく下方に突出していると、その突出部に左右両端側の茎葉部PLが当たると左右に広がった生姜の左右両端部を左右内側に引っ張る状態となって、これにより左右に広がった生姜を大きく湾曲させて割ってしまうことがあり、或いはまた、後側プーリーの下側突出部との当たり箇所を通過して逆に左右両端側の茎葉部PLが大きくたるみ、このため、左右に広がった生姜の左右端側が引上げ搬送装置15で挟持された茎葉部で引っ張り上げられず、左右中央側箇所だけで引っ張り上げられる状態が生じ、このため左右に広がった生姜が前記とは逆に大きく湾曲して割れてしまうことがある。しかしながら、本例では、茎葉掻き集め装置34を駆動する後側プーリー38,38は、引上げ搬送装置15の従動プーリー21,21の上側に設けているので、このような問題を回避できる。
また、茎葉掻き集め装置34は、その掻き集め作用部(掻集めベルト39,39)の前部が走行回転体(前輪)2,2の前方を横切るように左右に広がっている構成としている。これにより、畝Uに生えている作物体Pの茎葉部が畝Uの左右側方の谷部まで左右に大きく広がっている場合でも、適確に引上げ搬送装置15の挟持始端部Aに掻き集められ、且つ、左右に広がった作物体Pの茎葉部を走行回転体(前輪)2,2を踏みつけて引上げ作業の妨げとならないようにすることができ、適確な引上げ作業が行えるようになる。
ところで、案内体43,43を図4に示すように、引上げ搬送装置15の後部上で機体平面視で引上げベルト14,14の周回内側に位置する個所に取付けて、案内体43,43が、機体平面視で引上げ搬送装置15の引上げベルト14,14の周回内側から周回外側後方に延び、更に、左右外側方に延びる状態となるよう設けることで、案内体43,43が引上げ搬送装置15から排出される茎葉部を機体側方に案内するとともに、引上げベルト14,14に貼り付いて連れ回りする茎葉部を阻止する作用も生じ、茎葉部の排出を適確に行えるものとなる。なお、図例のように、左右の引上げベルト14,14の各周回内側から周回外側に案内体43,43を左右それぞれ延出させると一層効果が顕著になり、また、引上げベルト14,14の周回内側から引上げベルトの上側と下側の上下両方から引上げベルト14,14の周回内側から周回外側に案内体43,43を上下それぞれ延出させると一層効果が顕著になる。なお、案内体43,43,43,43の具体的な取付けは、支持部材26に取り付ける構成とする。
更に、図5に示すように、引上げ搬送装置15の挟持終端部Cの左右両側方に案内体44,44を設け、各案内体44,44は、それぞれ機体後方に延び、続いて左右外側方に延びるように設け、更に、中央案内体45を、左右一方側の案内体44に沿うように延びるように設け、該中央案内体45の取付個所と取付姿勢を変更することで、右側の案内体44に沿って延びる状態と左側の案内体44に沿って延びる状態とに変更可能に設けることもできる。こうすると、茎葉部の排出方向を左右切換えが可能となり、圃場条件等に応じて選択できる作業行路の自由度が拡大でき、作業性が向上する。なお、案内体44,44の具体的な取付けは、支持部材26に取り付ける構成とする。
図6に示す構成は、引上げ搬送装置15の左右の引上げベルト14’,14’の後部位置を前後にずらした構成である。このようにすると、左右の引上げベルト14’,14’が互いに接当する部分が終わる個所から後方に挟持されていた茎葉部が排出され、更に、そこから後方に延びる左右一方側の引上げベルト14’にて後方に案内されつつ、左右他方側においては引上げベルト14’がないためにその側に茎葉部が放出されるようになって、機体の一側方へ茎葉部を案内する上記のような案内体なしに茎葉部を機体の一側方に排出できるようになり、機体構成の簡略化が図れる。図中の符号20’,20’は、左右の引上げ搬送ベルト14’,14’を駆動回転する駆動プーリーを示し、図示省略しているが、左右の引上げ搬送ベルト14’,14’は、この駆動プーリー20’,20’と前側に設けた従動プーリーと、引上げ搬送ベルト14’,14’の内側から支持する複数のローラーとの周りに巻き掛けられて周回動する構成となっている。
図7に示す構成は、引上げ搬送装置15の後側に排出された茎葉部を機体の左右外側方に移送させる移送手段45と、該移送手段45によって移送されてきた茎葉部を後輪3の前方に落下させるシュータ46を設けた構成である。従った、作物体Pから切断された葉先側部分P2の茎葉部を後輪3が踏みつけていくものとなり、機体側方で葉先側部分P2の茎葉部が滞留することが生じにくくなり、能率良く作業が行えるものとなる。なお、移送手段45は、図7に示すような棒材で構成した案内体によって案内するものでもよく、駆動回転する左右一対の挟持搬送ベルトによって移送するものでもよい。
なお、引上げ搬送装置15の前側の従動プーリ21,21を左右外方に移動可能に設けて、引上げ搬送装置15の挟持始端部Aより前側で平面視V字状に広がる左右の引上げ搬送ベルト14,14間の隙間を左右に拡大可能に構成したものである。これにより、畝U上に作物体Pが二列で植生している場合でも一対の引上げ搬送ベルト14,14で適確に挟持して引上げ作業が行えるようになる。