JP2005268849A - ダイバーシチ受信装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】DS−CDMA方式においてスペースダイバーシチ受信の効果を十分に生かしたまま、装置の小型化やデザインの自由度に寄与するアンテナ間の固定的な利得差を許容し、回路規模を小さくし、低消費電流化を実現する。
【解決手段】ディジタル信号処理部102は、RF受信信号処理部101A,101Bのブランチ対応に、両AGC増幅部8の制御を独立に行うAGC制御部11A,11Bと、サーチフィンガ処理部10A,10Bを備え、さらに1組の複数のトラッキングフィンガ処理部9、パスサーチ&パス選択部14、しきい値&補正レベル生成器18を備える。パスサーチ&パス選択部14は、サーチフィンガ処理部10A,10Bと協働して各ブランチについてダイナミックにパスサーチを行うとともに、しきい値&補正レベル生成器18からの補正信号を用いて受信信号レベルの補正を行い、この補正結果に基づいてRake合成のためのパス選択を行う。
【選択図】図1
【解決手段】ディジタル信号処理部102は、RF受信信号処理部101A,101Bのブランチ対応に、両AGC増幅部8の制御を独立に行うAGC制御部11A,11Bと、サーチフィンガ処理部10A,10Bを備え、さらに1組の複数のトラッキングフィンガ処理部9、パスサーチ&パス選択部14、しきい値&補正レベル生成器18を備える。パスサーチ&パス選択部14は、サーチフィンガ処理部10A,10Bと協働して各ブランチについてダイナミックにパスサーチを行うとともに、しきい値&補正レベル生成器18からの補正信号を用いて受信信号レベルの補正を行い、この補正結果に基づいてRake合成のためのパス選択を行う。
【選択図】図1
Description
本発明は、DS−CDMA方式にスペースダイバーシチ受信を適用したダイバーシチ受信装置に関するものである。
第3世代移動体無線通信方式として、IMT−2000の無線アクセス方式の1つである直接拡散・符号分割多元接続方式(DS−CDMA:Direct Sequence Code Division Multiple Access)方式(例えばW−CDMA方式)に関しては、現在、3GPP(Third Generation Partnership Project)において標準化作業が行なわれている。この3GPPのRelease5においては、前述したDS−CDMA方式無線インターフェースのパケット伝送機能を拡張することにより、最大データ伝送速度として14.4MHzを実現可能とする高速パケット通信方式(HSDPA:High Speed Downlink Packet Access)が仕様化されている。このHSDPAでは、パケットデータのスループット増大のため、端末側の受信C/I(3GPPではCQI:Channel Quality Indicatorで定義されている。)の変動に応じてデータ変調方式および誤り訂正符号化率の組み合わせである(以下、MCS:Modulation and Coding Schemeと呼ぶ)の最適化、データ再送要求を行なう際に以前の受信パケットデータを再利用するHybrid ARQ(Hybrid Automatic Repeat reQuest)、効率の良い無線資源管理が可能な基地局(Node-B)による高速資源割り当て(Fast Resource Allocation)等の新規技術が使われている。
上述したMCSの最適化の方法として、受信状態が良い端末に対しては、より高いレートのパケットデータ伝送を割り当て、受信状態が悪い端末に対しては、より低いレートのパケットデータ伝送に制限することで、全体として高効率な伝送を実現し、システム全体としての平均スループットを増大することができる。この受信状態の良否を判断するために、端末側から随時報告される受信C/Iが用いられる。ここで、受信C/Iとは、端末側で測定される受信SIR(Signal to Interference Ratio)のことである。
図4において、端末側の受信C/I値と基地局側から割り当てられるパケットデータのMCSのイメージ図を示す。図中、「ダウンリンクパケットデータ」の数値1〜3はそれぞれ、高次変調&高次符号化率データ、中次変調&中次符号化率データ、および低次変調&低次符号化率データを示している。図4から分かるように、端末側受信C/I値が高い時点では”1”、低い時点では”3”、それらの中間の時点では”2”が割り当てられている。したがって、端末側の受信SIR値、言い換えれば端末における受信品質特性を改善することができれば、その分、より高いレートのパケットデータ伝送を、基地局側は各端末にそれぞれ割り当てることができるので、システム全体としても平均スループットを増大することができる。
図5においてHSDPAで仕様化されている各物理チャネル信号のタイミングを示す。CPICH(Common Pilot CHannel)およびP−CCPCH(Primary Common Control Physical CHannel)&SCH(Synchronization CHannel)は、セルサーチやチャネル推定、セルからの報知情報の取得に使用される。一方、HS−SCCH(High Speed Shared Control CHannel )およびHS−PDSCH(High Speed Physical Downlink Shared CHannel)は、HSDPAを行う際に使用されるダウンリンク物理チャネル信号であり、HS−SCCHは各端末に対するパケット信号の有無や対応するMCSを知らせる制御チャネルで、HS−PDSCHはそれに対応するパケットデータチャネルである。
DS−CDMA方式の受信装置では、Rake受信方式が採用されている。Rake受信方式は、電波の反射などによって受信時に位相差、時間差がついた信号成分を別々に取り出して位相・時間を揃えて合成する受信方式である。
上述した端末における受信品質特性を改善する方法として、スペースダイバーシチ受信やマルチパス干渉キャンセラ等の技術が挙げられる。特にスペースダイバーシチ受信は、陸上移動体通信でのフェージングによる受信特性の劣化に対して、受信品質特性を改善する方式として従来から知られている(特許文献1、2参照)。
特に、特許文献1には、スペースダイバーシチ受信とRake受信を組み合わせた技術が開示されている。
特開2001−168780号公報
特開2003−258763号公報
スペースダイバーシチ受信とRake受信を組み合わせた技術において、各アンテナブランチに対して共通の利得制御を行う場合には、各アンテナブランチでのAGC特性のばらつきが大きいとRake合成でのパス選択誤りにつながり、受信特性の劣化を招く。そのため、各アンテナブランチでのAGC特性のばらつき精度が要求され、各アンテナブランチごとにAGC特性の細かな調整が必要となる。
さらに、理想的なスペースダイバーシチの特性改善効果を十分に生かすためには、各アンテナブランチのアンテナ間の相関がなく、アンテナ利得が同等であることが要求される。しかし、一般に移動体通信システムの携帯電話では、装置の小型化やデザイン等の関係から一方のアンテナをホイップアンテナとし、もう一方のアンテナを内蔵アンテナにするというようにアンテナ間において固定的な利得差を必ず生じてしまう。そのため、常にスペースダイバーシチ受信の特性改善効果を期待することは困難である。極端な場合には、シングルブランチ受信時の場合と等価程度となってしまう。
特許文献1に記載の受信装置では、アンテナブランチ毎に独立にAGCをかける技術を開示しているが、アンテナ、受信系RF部およびA/D変換器、受信系ベースバンド信号処理部等が各アンテナブランチ毎に用意されているため、回路規模、消費電流が増大してしまうという問題がある。
本発明は上述した問題点を解決するものであり、DS−CDMA方式においてスペースダイバーシチ受信を適用する場合に、スペースダイバーシチ受信の効果を十分に生かしたまま、装置の小型化やデザインの自由度に寄与するアンテナ間の固定的な利得差を許容し、回路規模を小さくし、低消費電流化を実現することが可能なダイバーシチ受信装置を提供することを目的とする。
本発明によるダイバーシチ受信装置は、DS−CDMA方式にスペースダイバーシチ受信を適用したダイバーシチ受信装置であって、スペースダイバーシチの複数のブランチに対応する複数のアンテナと、前記複数のアンテナに対応し、それぞれ、受信信号の直交復調部、AGC増幅部、およびアナログディジタル変換器を含む複数のRF受信信号処理部と、前記複数のRF受信信号処理部のディジタル出力を受けて、Rake受信および復号処理を行うとともに前記複数のRF受信信号処理部の各々のAGC増幅部の制御を独立に行うディジタル信号処理部とを備える。このディジタル信号処理部は、各ブランチの平均化遅延プロファイルを測定することにより各パスの同期捕捉と受信信号レベル検出をブランチ対応に行う、前記複数のブランチに対応した複数のサーチフィンガ処理部と、前記複数のRF受信信号処理部の出力を受けて、前記複数のサーチフィンガ処理部からの位相情報を基に複数のパスについて同期追従し、逆拡散処理を行うとともに、コヒーレント検波を行う1組の複数のトラッキングフィンガ処理部と、前記複数のサーチフィンガ処理部の受信信号レベルを補正するための補正信号を生成する補正レベル生成手段と、前記複数のサーチフィンガ処理部と協働して、各ブランチについてダイナミックにパスサーチを行い、前記補正レベル生成手段からの補正信号を用いて前記受信信号レベルの補正を行い、この補正結果に基づいてRake合成のためのパス選択を行うパスサーチ&パス選択部と、前記パスサーチ&パス選択部で選択されたパスについて、前記1組の複数のトラッキングフィンガ処理部の出力を受けてRake合成を行うRake合成部と、前記複数のRF受信信号処理部のそれぞれのアナログディジタル変換器への入力レベルを最適入力レベルとする、前記複数のブランチに対応した複数のAGC制御部と、前記複数のトラッキングフィンガ処理部の出力をRake合成するRake合成部と、前記Rake合成部の出力を復号する復号手段とを有する。
ディジタル信号処理部は前記複数のRF受信信号処理部の各々のAGC増幅部の制御を独立に行う。かつ、補正レベル生成手段が前記複数のサーチフィンガ処理部の受信信号レベルを補正するための補正信号を生成する。パスサーチ&パス選択部が前記複数のサーチフィンガ処理部と協働して、各ブランチについてダイナミックにパスサーチを行い、前記補正レベル生成手段からの補正信号を用いて前記受信信号レベルの補正を行い、この補正結果に基づいてRake合成のためのパス選択を行う。これによりブランチ対応に受信信号レベルの補正を行うことができるので、ブランチ間の平均利得差が存在しても、希望受信パスを適正に選択することができる。
前記補正レベル生成手段は、前記各ブランチ間の平均利得差に対してしきい値判定を行うことにより、当該平均利得差がしきい値以下の場合には、補正の必要性が低いと判断して受信信号レベルの補正信号を出力しないようにすることができる。
本発明の実施の形態では、前記ディジタル信号処理部は、前記複数のAGC制御部におけるゲイン設定値と、前記複数のサーチフィンガ処理部の平均化遅延プロファイルをそれぞれパスサーチ範囲内で積分した値とを用いることにより、各ブランチにおける受信信号の電界強度を測定する受信電界強度測定部を備える。この受信電界強度測定部は、各ブランチにおける受信信号の電界強度を所定の時間内で平均化し、前記各ブランチ間の平均利得の差をダイナミックに算出することができる。これにより、受信環境の変化に適正に対応することが可能となる。
前記パスサーチ&パス選択部は、前記各サーチフィンガ処理部に対してパスサーチ範囲をダイナミックに設定可能としてもよい。これにより、陸上移動体通信環境における高速に変動する遅延プロファイルに追従することが可能となる。
前記ディジタル信号処理部は、前記AGC制御部からの信号により補正判定信号を生成する補正判定信号生成器とを備え、前記補正判定信号を用いて、前記パスサーチ&パス選択部における各ブランチに対応した前記サーチフィンガ処理部の受信信号レベルの補正を抑止する。前記補正判定信号生成器は、例えば、前記複数のAGC制御部によるAGC制御におけるゲインに基づいて、熱雑音の影響が支配的となる受信信号の電界強度を判断することにより前記補正判定信号を生成することができる。これは、AGC制御におけるゲインと受信信号の電界強度が1対1に対応していることを利用するものである。これによって、受信信号レベルの誤補正を防止することができる。
前記ディジタル信号処理部は、前記受信電界強度測定部からの信号および/または前記補正レベル生成手段からの信号に基づいて前記各ブランチ間の平均利得差の違いが大きくRake受信に寄与しないと判断した場合に、前記寄与しないと判断したブランチに関係する前記RF受信信号処理部、前記AGC制御部および前記サーチフィンガ処理部の電源を一時的にオフにする間欠電源制御部を備えてもよい。これにより、無駄な電力消費を削減することができる。前記間欠電源制御部は、与えられる信号に従って、電源供給を間欠的に停止する電源オフ時間をダイナミックに変更するようにしてもよい。
本発明によれば、DS−CDMA方式においてスペースダイバーシチ受信を適用する場合に、従来例の方式では困難であったスペースダイバーシチ受信の効果を十分に生かしたまま、装置の小型化やデザインの自由度に寄与する、各アンテナブランチ間の固定的な利得差を十分に許容することが可能となる。特に、従来のシングル受信機に対して追加される回路規模を比較的小さくすることにより、低消費電流化を実現することができる。
さらに、スペースダイバーシチ受信の効果が期待できないときは、そのアンテナブランチに関する回路部の電源を一時的にオフすることで、さらに、トータルとして低消費電流化を実現することが可能となる。これにより、特にバッテリを使用する装置の使用可能時間を延ばすことができる。
本発明を携帯通信端末に適用することにより、装置を小型化し、かつ低消費電流で、受信品質特性の良い、DS−CDMA方式における高速パケットデータ伝送に対応した端末を実現することが可能となる。
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明におけるDS−CDMA方式移動体通信端末にスペースダイバーシチ受信を適用する回路の構成を示すブロック図である。ここではブランチ数が2つの場合を示している。
図1において、アンテナ1Aは送受信兼用のメインアンテナ、アンテナ1Bは受信専用のサブアンテナである。例えば、一方のアンテナはホイップアンテナであり、他方のアンテナは内蔵アンテナである。アンテナ1Aで受信された高周波信号は、デュプレクサ(DUP)2において送信波リークやスプリアスレスポンス、ブロッキング等を引き起こす不要波を減衰させた後に、RF受信信号処理部101Aへと入力される。RF受信信号処理部101Aの内部において、入力された信号は、低雑音増幅器(LNA)4で低雑音高周波増幅され、直交復調部5により互いに直交するI、Qベースバンド信号に変換される。このI、Qベースバンド信号は、低域通過フィルタ(LPF)部6によりチャネル選択が行なわれた後に、自動利得制御(AGC)増幅部7により、AGC増幅が行なわれる。この際に、A/D変換器8において受信信号が、常に最適なダイナミックレンジで量子化を行えるようにAGC制御が行われる。続いて、A/D変換器8により、ディジタルデータに変換されたI、Qのベースバンド信号は、ディジタル信号処理部102に入力される。
一方、アンテナ1Bで受信された高周波信号は、BPF3においてスプリアスレスポンス、ブロッキング等を引き起こす不要波を減衰させた後に、RF受信信号処理部101Bへと入力される。RF受信信号処理部101Bの内部では、上述したRF受信信号処理部101Aと同様な信号処理が行なわれた後に、ディジタル信号処理部102へ入力される。
ここで、DUP2あるいはBPF部6の挿入損失、RF受信信号処理部101A,101BのNFおよびゲインを考慮して、アンテナ1Aの入力端子からRF受信信号処理部101AのA/D変換器入力までの受信信号と、アンテナ1Bの入力端子からRF受信信号処理部101AのA/D変換器入力までの受信信号との間で、トータルNF(Noise Figure)およびトータルゲインが同等になるように、各段はレベルダイアグラム設計されている。その結果、ブランチAおよびブランチBの受信信号のC/Nは同等となり、スペースダイバーシチ受信を理想的に行うことができる。なおRF受信信号処理部101A,101BのLNA4は、受信信号レベルが強入力の時に飽和しないように、AGC制御が可能な機能を備えている。
ディジタル信号処理部102では、AGC増幅部7の制御、Rake受信、および復号処理が行われる。具体的には、ディジタル信号処理部102は、ブランチA,Bのスペースブランチの数(ここでは2つ)にそれぞれ対応した個数のサーチフィンガ処理部10(10A,10B)とAGC制御部11(11A,11B)とを備えている。しかし、トラッキングフィンガ処理部9、パスサーチ&パス選択部14、Rake合成部15等の各信号処理部は、シングルブランチ受信機と同じく1つのみを有する。したがって、回路規模、消費電流を削減することができる。
サーチフィンガ処理部10A,10Bは、各ブランチの平均化遅延プロファイルを測定することにより各パスの同期捕捉と受信信号レベル検出をブランチ対応に行う。トラッキングフィンガ処理部9は、サーチフィンガ処理部10A,10Bからの位相情報を基に複数のパスについて同期追従し、逆拡散処理を行うとともに、コヒーレント検波を行う。パスサーチ&パス選択部14は、複数のサーチフィンガ処理部10A,10Bと協働して、各ブランチについて時系列的に、ダイナミックにパスサーチを行い、Rake合成のためのパス選択を行う。Rake合成部15は、パスサーチ&パス選択部14で選択されたパスについてRake合成を行う。Rake合成部15の出力は、復号部16およびSIR推定部17へ出力される。
本実施の形態では、従来のように2組のトラッキングフィンガ処理部を用いる場合に比べて、1組のトラッキングフィンガ処理部#1〜#NをブランチA,Bで共用する。そのため、サーチフィンガ処理部10の処理結果に基づいてパスサーチ&パス選択部14で選択された最大N個のパス(いずれのブランチかは問わない)がトラッキングフィンガ処理部#1〜#Nに割り当てられる。A/D変換器8から出力されるディジタルデータは所定量(例えば数フレーム)分、バッファメモリ(図示せず)に記憶され、トラッキングフィンガ処理部9はサーチフィンガ処理部10およびパスサーチ&パス選択部14の処理結果に従って同データを処理できる。このように1組のN個のトラッキングフィンガ処理部を、選択されたパスに柔軟に割り当てるようにしたので、従来のようにブランチ毎にN個のトラッキングフィンガ処理部を用意する必要がなくなる。
なお、図1におけるRF受信信号処理部101A,101Bはダイレクトコンバージョン受信の構成として示しているが、従来からあるスーパーヘテロダイン受信の構成であっても何ら差し支えない。
前述したように、移動体通信システムの携帯端末等では通常、片方のアンテナをホイップアンテナ等のメインアンテナとし、もう片方のアンテナを内蔵アンテナ等のサブアンテナにすることで装置の小型化およびデザインの最適化を図る。そのためにメインおよびサブの2つのアンテナ間において、なんらかの固定的な利得差を生じてしまう。よって、各スペースブランチに対して共通の等しい利得制御を行う場合には、サーチフィンガ処理部での平均化遅延プロファイルは、2つのアンテナの固定的な利得差分をそのまま反映することになってしまう。一般に、パスサーチ&パス選択部では受信信号のレベルに対して、しきい値判定を行い、レベルの高い順にRake合成を行うパスを選択する。
図2に、従来例の方式でアンテナ間に固定的な利得差がある場合に熱雑音の影響が無視できるときのサーチフィンガ処理部での平均化遅延プロファイルの例を示す。この図では、各チップタイミングにおける希望受信パスの自己相関ピークを○とし、マルチパスや他セル干渉による相互相関ピークを×としており、便宜上、熱雑音による成分を除いている。両ブランチに共通の等しい利得制御を行う構成において、ブランチA,B間のアンテナ利得差を考慮せずにレベルの高い順にパスを選択した場合には、ブランチB側の希望受信パスは選択されず、逆にブランチA側の他ユーザ干渉を選択することになり、Rake合成した受信信号のSIRが劣化してしまう。
一方、本発明では、図1におけるRF受信信号処理部101A,101Bでは、2つのアンテナからの受信信号が、各アンテナブランチに対応するAGC制御部11A,11Bにより、両A/D変換器8において、常に最適なダイナミックレンジで量子化されるようにAGC制御が行われるため、前述した従来例のようなブランチ間のアンテナ利得差の影響を受けにくい。但し、各ブランチ独立のAGC制御によってもサーチフィンガ処理部10A,10Bで検出される信号レベルには2つのブランチ間の平均利得差の影響が残るため、後述するように必要に応じて信号レベルの補正を行う。
また、前述したように本発明では、回路規模を削減するためにトラッキングフィンガ処理部9およびパスサーチ&パス選択部14をシングルブランチ受信機と同じく単一個で構成している。このため、パスサーチ&パス選択部14は、前述のように、複数のサーチフィンガ処理部10A,10Bと協働して、各ブランチについてダイナミックにパスサーチを行うが、本実施の形態では、さらにしきい値&補正レベル生成器18からの補正信号を用いて受信信号レベルの補正を行い、この補正結果に基づいてRake合成のためのパス選択を行う。具体的には、しきい値&補正レベル生成器18は、2つのブランチ間の平均利得差に対して所定のしきい値に基づいて、レベル補正をするかどうかの判定を行う。さらに、その判定結果に基づいて、各ブランチに対応したサーチフィンガ処理部10A,10Bの受信信号レベルを所定のレベルに補正してパス選択を行うように、パスサーチ&パス選択部14に働きかける。すなわち、しきい値&補正レベル生成器18は2つのブランチ間の平均利得差が所定のしきい値より大きいときに、サーチフィンガ処理部10A,10Bでの受信信号レベルのレベル補正を行わせる。平均利得差が所定のしきい値より小さいときには、補正の効果が小さく補正を行うまでもないものと判断して、レベル補正は指示しない。レベル補正の方法としては、例えば、利得の低い方のブランチの信号レベルをその利得差に応じた所定量だけ増加させるものである。ブランチ間の平均利得差の測定方法については後述する。
上述した動作を行なうことにより、アンテナ間に固定的な利得差がある場合にも、スペースダイバーシチ受信の効果を十分に得ることができる。なお、2つのブランチ間の平均利得差に対応した前記所定のしきい値および補正レベル値のパラメータは、シミュレーション値や実際の陸上移動体通信環境における実験結果から、精度よくパス選択を行える最適値を選ぶことによって決めるものとする。
続いて、受信信号の電界強度が低い場合を考える。図3において、アンテナ間に固定的な利得差がある場合に熱雑音の影響が支配的であるときのサーチフィンガ処理部10A,10Bでの平均化遅延プロファイルの例を示す。この図では、各チップタイミングにおける希望受信パスの自己相関ピークを○、熱雑音成分を×としており、便宜上、マルチパスや他セル干渉による成分を除いている。この場合のノイズフロアレベルは受信機のNFで定められるため、アンテナ間の利得差の値によっては、ブランチBの受信信号がノイズフロアに埋もれてしまう。つまり、熱雑音の影響が支配的な場合において、前述した受信信号レベルの補正を行うと、逆に補正を行わない時よりもパス選択を誤る可能性が高くなってしまう。
一方、通常、受信信号の電界強度が低い場合には、AGC制御部11A,11BにおけるAGC制御により、RF受信信号処理部101A,101BにあるAGC増幅部7のゲインは高く制御される。
本発明では、受信電界強度とAGC制御のゲインが1対1に対応していることを利用して、AGC制御部11A,11Bで設定されたAGC制御信号11sa,11sbを用いて補正判定信号生成器13において、熱雑音の影響が支配的となる受信信号の電界強度を予め設定しておくことで、レベル補正判定信号13sを生成する。このレベル補正判定信号13sを用いて、パスサーチ&パス選択部14において、各ブランチに対応したサーチフィンガ処理部10A,10Bの受信信号レベルを補正するかどうかの判断を行い、熱雑音の影響が支配的な場合には、受信信号レベルの補正を行わないようにする、すなわち、サーチフィンガ処理部10A,10Bの受信信号レベルの補正を抑止する。
このような動作により、前述したパスサーチ&パス選択部14において、アンテナブランチ間の平均利得差に対応するレベル補正を行なった後にパス選択する際に、熱雑音の影響が支配的な場合に発生するパス選択誤りによる受信特性の劣化を防ぐことができる。
なお、熱雑音の影響が支配的となる受信信号の電界強度は、携帯無線端末の受信レベルダイアグラム設計からほぼ決まるが、生産時の個体差ばらつきがあるため、個々に調整できるように、任意に設定できる機能を備えることで対応することができる。
次に、上述した受信信号レベルを補正する際に用いる各アンテナブランチ間における固定的な利得差を導出する方法について説明する。
一般に、各アンテナブランチ間における固定的な利得差は、アンテナ自体の性能差以外に、筐体の影響、人体の影響、さらには実使用時の陸上移動体通信環境による影響などで、大きく変化する。そのため携帯無線端末の生産時に、予めROMに固定的な利得差を書き込むという方法では、実使用環境での各アンテナブランチ間利得差を反映していない。
本発明では、受信電界強度測定部19において、各アンテナブランチに対応したAGC制御部11A,11Bのゲイン設定値と、対応する各サーチフィンガ処理部10A,10Bの平均化遅延プロファイルをパスサーチ範囲内で積分した値とを用いることにより、各アンテナブランチにおける受信信号の電界強度を測定する機能を設けている。
各アンテナブランチに対応したAGC制御の周期は、A/D変換器のビット数にもよるが、通常はレイリーフェージングによる瞬時値変動ではなく、シャドウイングによる短区間中央値変動分や距離変動を補正するように動作する。そこで、パスサーチ&パス選択部14は各アンテナブランチに対応した各サーチフィンガ処理部10A,10Bに対し、パスサーチ範囲をダイナミックに設定可能とすることで、陸上移動体通信環境における高速に変動する遅延プロファイルに追従することが可能となる。
さらに、受信電界強度測定部19では、上述した方法で測定された受信信号の電界強度を所定時間(例えば数ないし数十の無線フレームに相当する時間)内で平均化を行うことで、各アンテナブランチ間の平均利得の差をダイナミックに算出可能としている。これにより、受信環境の変化に適正に対応することができる。
図6により、本実施の形態において各アンテナブランチにおける受信信号の電界強度を測定する仕組みを説明する。サーチフィンガ処理部10A,10Bにおける平均化遅延プロファイルには、希望受信パス、熱雑音、およびマルチパス&他セル干渉の相互相関レベルが含まれている。そこでこれらの受信レベルをパスサーチ区間で積分することによって、各アンテナブランチで受信されたトータルの受信信号の電界強度に比例した値を得ることができる。また、前述したように、受信電界強度とAGC制御のゲインが1対1に対応しているので、その情報を一緒に用いることで、ある時点での各アンテナブランチの受信電界強度を推定することが可能となる。すなわち、AGC制御のゲインはVGA(Voltage Gain Amplifier)方式とPGA(Programmable Gain Amplifier)の区別なく、希望受信信号+熱雑音+他干渉信号の総和がA/D変換器の入力において常に最適なダイナミックレンジで量子化できるレベル(これをターゲットレベルという)になるように動作するので、その時点で設定されているAGC制御のゲイン値は、希望受信信号+熱雑音+他干渉信号であるアンテナ端で受信した受信電界強度に1対1に対応している。ゆえに、AGC制御のゲイン値と上記積分した受信レベル値とを足し合わせて、当該システム中での固有のオフセット値(±α)を加えることで、アンテナ端で受信された受信電界強度がある程度の確度をもって推定できる。
前述したように、本発明では、各アンテナブランチにおけるアンテナ入力端子からRF受信信号処理部のA/D変換器入力までの受信信号のトータルNF、トータルゲインが同等になるようにレベルダイアグラム設計されているので、上記の機能を備えることにより、実際の周囲環境の変動に応じて、適応的に各アンテナブランチ間における固定的な利得差を導出することが可能となる
さらに本発明では、上述した受信電界強度測定部19で算出した各アンテナブランチ間の平均利得の差と、しきい値&補正レベル生成器18で生成される補正レベル値の少なくとも一方に基づいて、間欠電源制御部12において、各アンテナブランチ間の平均利得差が大きく、レベル補正値も大きくなり、それによるパス選択誤りの影響の方が大きいと判断した場合には、そのアンテナブランチに関係するRF受信信号処理部101A,101B、AGC制御部11A,11B、およびサーチフィンガ処理部10A,10Bの一方側の電源を一時的にオフ(スリープモード)にする機能を備えている。
前述したように、実使用時の人体の影響や陸上移動体通信環境による影響により、各アンテナブランチ間の平均利得差があまりに大きい場合は、そのアンテナブランチからのスペースダイバーシチ効果はほとんど期待できないし、無理にレベル補正を行なうことで、逆にパス選択誤りによる受信特性の劣化が引き起こされる。そこで、各アンテナブランチ間の平均利得差が所定値以上である場合および/またはレベル補正値が所定値以上である場合、そのアンテナブランチに関係するRF受信信号処理部、AGC制御部およびサーチフィンガ処理部の電源をオフにすることにより、無駄な消費電流を削減することができる。
図5に示したように、HS−SCCHおよびHS−PDSCHのデータ長は2ms(3スロット分)である。つまり、電源のオンオフにおける立ち上がり時間、立ち下がり時間は、上記信号のデータ長に比べて十分短いことが必要となる。一方、一般的なRF受信信号処理部の電源のスリープモードからの立ち上がり立下がり時間は、約数十μs以内であり、その他にキャリブレーションの時間を加えてもおおよそ数百μs以内で完了する。1タイムスロットは約667μsなので、上述した条件を十分満足することができる。
一方、端末のスペックを決める待ち受け時間は、ある条件下での見積もりを前提に計算される。例えば、ここで間欠受信周期を2.56sとした場合について考える。この間欠受信周期の間に、実使用時の陸上移動体通信環境が変化する場合も考えられる。しかし、前述したように本発明では、受信信号の電界強度を所定の時間内で平均化を行っており、間欠受信時に最適な移動平均周期を設定することで、各アンテナブランチ間の平均利得の差を十分ダイナミックに算出することができる。つまり、間欠受信時においても前述したような機能を用いることによって、各アンテナブランチ間の平均利得差の違いが大きく、Rake受信に寄与しないと判断した場合には、そのアンテナブランチに関係するRF受信信号処理部101A,101B、AGC制御部11A,11B、およびサーチフィンガ処理部10A,10Bの一方側の電源をオフにすることにより、無駄な消費電流を削減することができる。
なお、上記電源オフ時間は任意に設定可能であり、陸上移動体通信環境における高速に変動する遅延プロファイルに追従してダイナミックに電源オフ時間を変更するようにしてもよい。これにより、本来のスペースダイバーシチ受信の効果を損なうことなく、状況に応じて適正な低消費電流化を行うことがが可能となる。
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、上記で言及した以外にも種々の変形、変更を行うことが可能である。
1A…アンテナ、1B…アンテナ、4…低雑音増幅器(LNA)、5…直交復調部、6…低域通過フィルタ(LPF)、7…自動利得制御部(AGC)、8…A/D変換器、9…トラッキングフィンガ処理部、10,10A,10B…サーチフィンガ処理部、11,11A,11B…AGC制御部、12…間欠電源制御部、13…補正判定信号生成器、14…パスサーチ&パス選択部、15…Rake合成部、16…復号部、17…SIR推定部、18…しきい値&補正レベル生成器、19…受信電界強度測定部、102…ディジタル信号処理部、101A,101B…受信信号処理部
Claims (9)
- DS−CDMA方式にスペースダイバーシチ受信を適用したダイバーシチ受信装置であって、
スペースダイバーシチの複数のブランチに対応する複数のアンテナと、
前記複数のアンテナに対応し、それぞれ、受信信号の直交復調部、AGC増幅部、およびアナログディジタル変換器を含む複数のRF受信信号処理部と、
前記複数のRF受信信号処理部のディジタル出力を受けて、Rake受信および復号処理を行うとともに前記複数のRF受信信号処理部の各々のAGC増幅部の制御を独立に行うディジタル信号処理部とを備え、
前記ディジタル信号処理部は、
各ブランチの平均化遅延プロファイルを測定することにより各パスの同期捕捉と受信信号レベル検出をブランチ対応に行う、前記複数のブランチに対応した複数のサーチフィンガ処理部と、
前記複数のRF受信信号処理部の出力を受けて、前記複数のサーチフィンガ処理部からの位相情報を基に複数のパスについて同期追従し、逆拡散処理を行うとともに、コヒーレント検波を行う1組の複数のトラッキングフィンガ処理部と、
前記複数のサーチフィンガ処理部の受信信号レベルを補正するための補正信号を生成する補正レベル生成手段と、
前記複数のサーチフィンガ処理部と協働して、各ブランチについてダイナミックにパスサーチを行い、前記補正レベル生成手段からの補正信号を用いて前記受信信号レベルの補正を行い、この補正結果に基づいてRake合成のためのパス選択を行うパスサーチ&パス選択部と、
前記パスサーチ&パス選択部で選択されたパスについて、前記1組の複数のトラッキングフィンガ処理部の出力を受けてRake合成を行うRake合成部と、
前記複数のRF受信信号処理部のそれぞれのアナログディジタル変換器への入力レベルを最適入力レベルとする、前記複数のブランチに対応した複数のAGC制御部と、
前記複数のトラッキングフィンガ処理部の出力をRake合成するRake合成部と、
前記Rake合成部の出力を復号する復号手段とを有する
ことを特徴とするダイバーシチ受信装置。 - 前記補正レベル生成手段は、前記各ブランチ間の平均利得差に対してしきい値判定を行い、前記しきい値判定に基づき、前記受信信号レベルの補正信号を出力するか否かを判定することを特徴とする請求項1記載のダイバーシチ受信装置。
- 前記ディジタル信号処理部は、前記複数のAGC制御部におけるゲイン設定値と、前記複数のサーチフィンガ処理部の平均化遅延プロファイルをそれぞれパスサーチ範囲内で積分した値とを用いることにより、各ブランチにおける受信信号の電界強度を測定する受信電界強度測定部を備えたことを特徴とする請求項1記載のダイバーシチ受信装置。
- 前記受信電界強度測定部は、各ブランチにおける受信信号の電界強度を所定の時間内で平均化し、前記各ブランチ間の平均利得の差をダイナミックに算出することを特徴とする請求項3記載のダイバーシチ受信装置。
- 前記パスサーチ&パス選択部は、前記各サーチフィンガ処理部に対してパスサーチ範囲をダイナミックに設定可能であることを特徴とする請求項1記載のダイバーシチ受信装置。
- 前記ディジタル信号処理部は、前記AGC制御部からの信号により補正判定信号を生成する補正判定信号生成器とを備え、前記補正判定信号を用いて、前記パスサーチ&パス選択部における各ブランチに対応した前記サーチフィンガ処理部の受信信号レベルの補正を抑止することを特徴とする請求項1または2記載のダイバーシチ受信装置。
- 前記補正判定信号生成器は、前記複数のAGC制御部によるAGC制御におけるゲインに基づいて、熱雑音の影響が支配的となる受信信号の電界強度を判断することにより前記補正判定信号を生成することを特徴とする請求項6記載のダイバーシチ受信装置。
- 前記ディジタル信号処理部は、受信電界強度測定部からの信号および/または前記補正レベル生成手段からの信号に基づいて前記各ブランチ間の平均利得差の違いが大きくRake受信に寄与しないと判断した場合に、前記寄与しないと判断したブランチに関係する前記RF受信信号処理部、前記AGC制御部および前記サーチフィンガ処理部の電源を一時的にオフにする間欠電源制御部を備えたことを特徴とする請求項3記載のダイバーシチ受信装置。
- 前記間欠電源制御部は、与えられる信号に従って、電源供給を間欠的に停止する電源オフ時間をダイナミックに変更することを特徴とする請求項8記載のダイバーシチ受信装置。
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-
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