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JP2005268445A - 半導体レーザ装置 - Google Patents

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JP2005268445A
JP2005268445A JP2004076939A JP2004076939A JP2005268445A JP 2005268445 A JP2005268445 A JP 2005268445A JP 2004076939 A JP2004076939 A JP 2004076939A JP 2004076939 A JP2004076939 A JP 2004076939A JP 2005268445 A JP2005268445 A JP 2005268445A
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博文 宮島
Hirobumi Suga
博文 菅
Masanori Yamanaka
正宣 山中
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Hamamatsu Photonics KK
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Abstract

【課題】 ヒートシンクの冷媒流路の腐食を防ぎ、長期にわたり半導体レーザアレイを安定して冷却することのできる半導体レーザ装置を提供する。
【解決手段】 半導体レーザ装置1は、半導体レーザユニット100a〜100cが積層されてなる半導体レーザスタック200と、チラー(冷媒供給手段)500と、これらを接続する配管600と、これらの中を流通する冷媒400から成る。チラー500は、冷媒400を半導体レーザスタック200に供給する。冷媒400はフルオロカーボンから成る。半導体レーザユニット100a〜100cは、それぞれ半導体レーザアレイ2a〜2c、ヒートシンク10a〜10cを有する。ヒートシンク10a〜10cはそれぞれ冷媒流路を有する。冷媒流路内を流通する冷媒の流速は1〜10m/s以下である。冷媒流路は、流路断面積の変化が±30%以下である。
【選択図】図1

Description

本発明は半導体レーザ装置に関する。
近年、数W〜100Wという高い出力を有する半導体レーザ装置が開発されている。このような半導体レーザ装置は、レーザメス、レーザハンダゴテ、レーザマーカーの光源としても使用されている。
半導体レーザアレイの電気−光変換効率は、50%程度であるため、投入した電力の半分が熱となる。この熱により、レーザ出力、効率、素子寿命は大きな影響を受ける。このような熱を効率良く冷却するため、熱伝導率が高く、熱容量が大きい水を冷媒とするヒートシンクが用いられる。このようなヒートシンクとしては、例えば、複数の銅製の平板状部材を組み合せて微細な流路を形成し、この流路内に冷却水を循環させる構成を有するヒートシンクが知られている。冷却水は、流路の上部に載置された半導体レーザアレイと熱交換して半導体レーザアレイを冷却する(例えば特許文献1および2参照)。
このような装置は、半導体レーザアレイが複数積層されたスタック構造を有する。高出力化を図る場合には、複数のヒートシンクが、積層された各半導体レーザアレイの間にそれぞれ挿入されるようにして配置される。この場合、各ヒートシンクは各半導体レーザアレイの冷却を行うだけでなく、各々の半導体レーザアレイの間で電気的導通路の役割も果すため、各半導体レーザアレイの作動中にはヒートシンクにも電界が印加される(例えば特許文献1の図1参照)。
国際公開第00/11717号パンフレット 特開平10−209531号公報
しかしながら、従来の水を冷媒とするヒートシンクを備えた半導体レーザ装置では、以下に示す流路の腐食を充分に防止することができず、長期にわたり冷却すべき半導体レーザアレイを効率良くかつ安定して冷却することができないという問題があった。
すなわち、上記のような半導体レーザスタック装置においては、ヒートシンクは電気回路の一部を構成し、ヒートシンク自体にも電流を流すことから、ヒートシンク内部を流れる水に電流が流れる。冷却水には導電率を抑制したイオン交換水が用いられるが、イオン交換水も1MΩ程度の抵抗値を有するため、1V程度の印加電圧により1μA程度の電流が流れ、流路内でヒートシンクを電極として水の電気分解が発生してしまう。そうすると、流路の内壁に電気化学的に腐食が発生する。このような腐食が進行すると、流路の目詰まり、水漏れ、漏電によるショート等の問題が発生する。
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、ヒートシンクの冷媒流路の腐食を防ぎ、長期にわたり半導体レーザアレイを安定して冷却することのできる半導体レーザ装置を提供することを目的とする。
本発明は、半導体レーザアレイと、冷媒流路を有するヒートシンクと、冷媒流路内を流通する冷媒と、冷媒をヒートシンクに供給する冷媒供給手段とを備え、冷媒はフルオロカーボンを含んでいることを特徴とする。
上記の構成によれば、冷媒として、水よりもはるかに反応性や導電性が低いフルオロカーボン(fluoro carbon)を用いたことにより、冷媒流路の腐食を防止することができる。
この場合、冷媒流路内を流通する冷媒の流速が10m/s以下であることが好ましい。
このように冷媒の流速を10m/s以下にすることにより、キャビテーションの発生を防止することができる。
この場合、冷媒流路内を流通する冷媒の流速が1m/s以上であることが好ましい。
このように冷媒の流速を1m/s以上とすることにより、熱抵抗を減少させて十分な冷却効率を達成することができる。
この場合、冷媒流路は、流路断面積の変化が±30%以下であることが好ましい。
このように流路断面積の変化を少なくすることにより、冷媒の流速の変化を抑制することができる。そのため、キャビテーションの発生をさらに確実に防止することができる。なお、上記「流路断面積」とは、流線に垂直な断面における流路の面積の合計を意味する。冷媒流路に分岐路がないときは、「流路断面積」とは、その1本の流路の断面積を意味する。また、冷媒流路が複数の分岐路を有するときは、「流路断面積」とは、流線に垂直な断面における分岐路の断面積の合計を意味する。
この場合、ヒートシンクが、マイクロチャネル型または噴流冷却型のヒートシンクであることが好ましい。
マイクロチャネル型のヒートシンクは、微細な冷媒流路に冷媒を流通させ半導体レーザアレイの直下を冷却する型式のヒートシンクである。また噴流冷却型のヒートシンクは、半導体レーザアレイの直下に設けられた小孔から冷媒を噴出させ、その冷媒の噴流乱流により、熱交換を効率的に行う型式のヒートシンクである。フルオロカーボンを冷媒として用いた場合に、ヒートシンクがこのような微細な冷媒流路を有するものであれば、ヒートシンクの冷却効率はより高いものとなる。
また、冷媒流路は幅1mm以下の微細流路を含んでいることが好ましい。
フルオロカーボンを冷媒として用いた場合に、ヒートシンクが幅1mm以下の微細流路を含んでいるものであれば、ヒートシンクの冷却効率はより高いものとなる。なお、上記「幅1mm以下」とは、冷媒流路の流線に垂直な流路断面において、その最小の幅が1mm以下であることを意味する。
また、ヒートシンクは、上面に第1の溝部が形成された第1の平板状部材と、下面に第2の溝部が形成された第2の平板状部材と、第1の平板状部材の上面と第2の平板状部材の下面との間に配置される仕切り板と、を有しており、仕切り板には、第1の溝部と第2の溝部とを連通する複数の穴が設けられ、第1の溝部から延在し、前記第2の溝部に連通することなく第1の平板状部材、仕切り板および第2の平板状部材を貫通する冷媒供給口と、第2の溝部から延在し、第1の溝部に連通することなく第2の平板状部材、仕切り板および第1の平板状部材を貫通する冷媒排出口と、を含んでおり、冷媒供給口、第1の溝部、複数の孔、第2の溝部、冷媒排出口により冷媒流路が構成されているものとできる。
このように溝部と穴により冷媒流路が構成されていることにより、冷媒を多数に分岐することができ、分岐された流路の1つあたりの流速を抑制しつつ、多数の熱変換部でトータルの熱量は除去可能とすることができる。また、第1、第2の平板状部材と仕切り板とで構成することによりヒートシンクの薄型化が可能となる。
さらにこの場合、第1のヒートシンクと、第2のヒートシンクと、第1の半導体レーザアレイと、第2の半導体レーザアレイとを備え、第1の半導体レーザアレイは、第1のヒートシンクにおける第2の平板状部材の上面と、第2のヒートシンクにおける第1の平板状部材の下面との間に配置されており、第2の半導体レーザアレイは、第2のヒートシンクにおける第2の平板状部材の上面に配置されており、第1のヒートシンクの冷媒供給口と第2のヒートシンクの冷媒供給口が連通し、第1のヒートシンクの冷媒排出口と第2のヒートシンクの冷媒排出口が連通するようにされているものとできる。
このように本発明の半導体レーザ装置は、複数の半導体レーザアレイと複数のヒートシンクを積層した半導体レーザスタック装置とすることができる。このような半導体レーザスタック装置は、ヒートシンクが長寿命であり安定して冷却することができるので、長期にわたり安定した出力を得ることができる。また、ヒートシンクは薄型であるため、半導体レーザスタック装置の小型化が可能となる。
本発明の半導体レーザ装置によれば、ヒートシンクの冷媒流路の腐食を防ぎ、長期にわたり半導体レーザアレイを安定して冷却することができる。
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る半導体レーザ装置の構成図である。この半導体レーザ装置1は、半導体レーザユニット100a〜100cが積層されてなる半導体レーザスタック200と、チラー(冷媒供給手段)500と、これらを接続する配管600と、これらの中を流通する冷媒400から成る。
チラー500は、空冷ユニット510と循環ポンプ520を備える。空冷ユニット510は冷媒を冷却し、循環ポンプ520は配管600を介して冷媒400を半導体レーザスタック200に供給する。
冷媒400はフルオロカーボンから成る。フルオロカーボンは、炭化水素の水素原子の一部あるいは全部をフッ素原子で置換した化合物である。フッ素原子の原子半径は水素原子のそれに比べて大きいため、フッ素原子は炭素の原子骨格を被覆する形となる。またフッ素原子は電気陰性度が大きく、電子雲はフッ素原子側に局在する。このため炭素骨格部の電子濃度が低下し、反応性は大幅に低下する。その結果、フルオロカーボンはほとんどの物質と反応しない高い化学的安定性を有する。また、フルオロカーボンは、1013Ω・mという、水の10Ω・mに比べてはるかに高い抵抗率を有するので、水と異なり通電による電気分解を起こしにくい。さらに好ましくは、冷媒は、炭化水素の水素原子の全部をフッ素原子で置換した化合物であるパーフルオロカーボン(per fluoro carbon)である。パーフルオロカーボンは、特に化学的安定性が高く、抵抗率も高いため、冷媒として特に好ましい。
図2は本実施形態に係る半導体レーザスタックを示す構成図である。半導体レーザスタック200は、3つの半導体レーザユニット100a〜100c、プラス電極110、マイナス電極120、止めネジ140、供給口160、排出口180を備えて構成される。半導体レーザユニット100a〜100cは、それぞれ半導体レーザアレイ2a〜2c、ダミースペーサ4a〜4c、n型電極6a〜6c、シーリング用シリコンラバー8a〜8c、ヒートシンク10a〜10cを有する。半導体レーザアレイ2aはヒートシンク10aの上面(後述の上側平板部材40の上面。以下同じ)とヒートシンク10bの下面(後述の下側平板部材20の下面。以下同じ)との間に配置され、半導体レーザアレイ2bはヒートシンク10bの上面とヒートシンク10cの下面との間に配置され、半導体レーザアレイ2cはヒートシンク10cの上面に載置されている。これらは止めネジ140により積層されたまま固定される。
各ヒートシンク10a〜10cは導電性であり、プラス電極110、ヒートシンク10a、半導体レーザアレイ2a、n型電極6a、ヒートシンク10b、半導体レーザアレイ2b、n型電極6b、ヒートシンク10c、半導体レーザアレイ2c、n型電極6c、およびマイナス電極120が順次、電気的に接続されている。これにより、プラス電極110とマイナス電極120との間に電圧を印加することで、半導体レーザアレイ2a〜2cからレーザ光を出力させることができる。
半導体レーザアレイ2a〜2cは、一次元的に配列された複数の半導体レーザ素子を含んでおり、したがって、一列に並んだ複数のレーザ発光スポットを有する。本実施形態では、複数の半導体レーザ素子がモノリシックに集積された半導体レーザアレイを使用する。このような半導体レーザアレイでは、通常、活性層や電極を複数のストライプに分割して並列に配置することにより、複数のストライプ導波路が設けられている。なお、本発明では、このような構造の半導体レーザアレイに代えて、独立した複数の半導体レーザチップを一列に並べた構造の半導体レーザアレイを使用することもできる。
供給口160、排出口180のそれぞれは、半導体レーザユニット100a〜100cを貫通して設けられている。供給口160は、半導体レーザユニット100a〜100cにそれぞれ形成された供給口160a〜160cと接続されており(詳細は後述)、排出口180は、半導体レーザユニット100a〜100cにそれぞれ形成された排出口180a〜180cと接続されている(詳細は後述)。これにより、供給口160からヒートシンク100a〜100cに対してフルオロカーボンからなる冷媒を供給でき、ヒートシンク100a〜100cから排出口180に対して冷媒を排出することが可能となる。
次に、半導体レーザユニット100a〜100cについて説明する。なお、半導体レーザユニット100a〜100cはそれぞれ同一の構成を有するため、以下、半導体レーザユニット100aについてのみ説明する。
図3は、本実施形態に係る半導体レーザスタックを構成する半導体レーザユニットを示す構成図である。半導体レーザユニット100aは、半導体レーザアレイ2a、ダミースペーサ4a、n型電極6a、シーリング用シリコンラバー8a、ヒートシンク10aを備えて構成される。ヒートシンク10aの上面には、半導体レーザアレイ2a、ダミースペーサ4a、シーリング用シリコンラバー8aが載置されている。半導体レーザアレイ2aに隣接して載置されたダミースペーサ4aは、半導体レーザアレイ2aとほぼ同じ厚さを持ち、半導体レーザアレイ2aと一緒にその上にn型電極6aを載置される。供給口160a、排出口180aが貫通して設けられたシーリング用シリコンラバー8aは、その上に載置されるヒートシンク間の絶縁を確保するとともに、冷媒の漏洩を防止する役割を果たす。
図4は、上記ヒートシンク10aの一例として示す、3層構造のヒートシンクの構成図である。このヒートシンク10aは噴流冷却型のヒートシンクである。ヒートシンク10aは、下側平板部材20(第1の平板状部材)、中間平板部材30(仕切り板)、上側平板部材40(第2の平板状部材)を順次積層して形成されている。下側平板部材20は約400μm程度の厚さを有する銅製の平板で、2つの貫通口22、24を有している。下側平板部材20の上面(中間平板部材30と接触する面)側には、深さが約200μmの冷媒流路用溝部26(第1の溝部)が形成されている。冷媒流路用溝部26は釣鐘形状をなし、その釣鐘形状頂部は上記貫通口22とつながっており、釣鐘形状下部は下側平板部材20の一端(半導体レーザアレイ2aが配置される方向)に拡がっている。貫通口22、24の間であって、下側平板部材20のほぼ中央部には、ネジ用穴28が設けられ、前述の止めネジ140によるネジ止めに用いられる。
上側平板部材40も約400μm程度の厚さを有する銅製の平板で、下側平板部材20の貫通口22、24に対応する位置に、2つの貫通口42、44を有している。上側平板部材40の下面(中間平板部材30と接触する面)側には、深さが約200μmの冷媒流路用溝部46(第2の溝部)が形成されている。冷媒流路用溝部46は釣鐘形状をなし、その釣鐘形状頂部は貫通口44とつながっており、釣鐘形状下部は上側平板部材40の一端(半導体レーザアレイ2aが配置される方向)に拡がっている。一方、図4に示すように、貫通口42は、冷媒流路用溝部46中で島状に隔離され、溝部とはつながっていない。また、下側平板部材20には、下側平板部材のネジ用穴28に対応する位置に、ネジ用穴48が設けられている。
中間平板部材30は、100μm程度の厚さを有する銅製の平板で、下側平板部材20の貫通口22、24に対応する位置に貫通口32、34が設けられている。また、下側平板部材のネジ用穴28に対応する位置に、ネジ用穴38が設けられている。さらに、半導体レーザアレイ2aが配置される部分には、複数の導水孔36が形成されている。
下側平板部材20の上面と中間平板部材30の下面、中間平板部材30の上面と上側平板部材40の下面とを接合することにより、下側平板部材20に形成された冷媒流路用溝部26と中間平板部材30の下面とによって、冷媒流路の一部を成す空間が形成される。同様に、上側平板部材40に形成された冷媒流路用溝部46と中間平板部材30の上面とによって、冷媒流路の一部を成す空間が形成される。
下側平板部材20に形成された貫通口22、中間平板部材30に形成された貫通口32、上側平板部材40に形成された貫通口42は連結されて、冷媒流路に冷媒を供給するための供給口160aを形成する。また下側平板部材20に形成された貫通口24、中間平板部材30に形成された貫通口34、上側平板部材40に形成された貫通口44は連結されて、冷媒流路から冷媒を排出するための排出口180aを形成する。
そして、上記供給口160a、冷媒流路用溝部26、導水孔36、冷媒流路用溝部46、排出口180aにより冷媒流路が形成される。導水孔36は1μm以下の幅を有する微細流路である。ここで導水孔36は、冷媒流路用溝部46に冷媒を噴出させ、噴流乱流にするために十分小さい径を有する。さらに、冷媒を噴流乱流にするために、ヒートシンク10a内を流通する冷媒の流速は1m/s以上、より好ましくは2m/s以上とされる。その一方で、導水孔36は複数設けられており、冷媒流路を流通する冷媒の流速は、冷媒流路の全流域で10m/s以下となるようにされている。この冷媒の流速の制御は、例えば図1に示すチラー500の循環ポンプ520の冷媒供給圧力を調整することにより行う。さらに、ヒートシンク10aの冷媒流路は、複数の導水孔36により分岐されており、その分岐路を合計して計算した場合の流路断面積の変化は、±30%以下とされている。
次に、本実施形態の半導体レーザ装置の機能について説明する。
本発明の半導体レーザ装置では、冷媒として従来用いられていた水に替えてフルオロカーボンを用いる。図7は、微細流路を流れる水およびフルオロカーボンついて流速と熱抵抗の関係を示すグラフ図である。横軸は流速を示し、縦軸は熱抵抗を示す。従来から、フルオロカーボンは水に比べて熱伝達特性がかなり劣ることが知られており、半導体レーザアレイの冷媒としては用いられていなかった。図7のグラフの実線および破線は、フルオロカーボンと水について流速と熱抵抗との関係を計算により求めたものである。この計算値に示すように、フルオロカーボンの熱抵抗(実線)は、各流速域で水の熱抵抗(破線)に比べてかなり大きく、冷媒として劣ることを示しており、従来からの認識を裏付けている。
ところが、本発明者らが、実際にフルオロカーボンと水を半導体レーザ装置のヒートシンクの冷媒として用いた場合を想定して実験を行ったところ、フルオロカーボンの熱伝達特性は予想よりも優れたものとなることが判明した。図7の菱形印および丸印は、半導体レーザ装置のヒートシンクの冷媒流路を想定した幅1mmの微細な流路にフルオロカーボンと水を各々流通させ、その流速に対する熱抵抗の測定値をプロットしたものである。図7実測値に示すように、実際のフルオロカーボンの熱抵抗は計算値よりもかなり小さく、計算値(実線)では、フルオロカーボンの熱抵抗は水のそれに比べて、各流速域で1℃/W以上も大きいのに対し、実測値(菱形印)では0.5℃/W程度しか大きくないことが判る。なお、水は計算値(破線)および実測値(丸印)ともよく一致していることが判る。
このようにフルオロカーボンの熱伝達特性が計算値よりも、半導体レーザ装置を想定した実測値で優れたものとなる理由は、以下のようなものであると推測される。すなわち、フルオロカーボンは水よりも表面張力が小さい。そのため、半導体レーザ装置のような微細な冷媒流路にフルオロカーボンを流通させると、冷媒流路により微細なところまで進入することができるため、熱伝導の効果が推定したよりも大きくなる。その結果として、計算値よりも熱抵抗値が小さくなると考えられる。
以上より、フルオロカーボンを半導体レーザ装置のヒートシンク用冷媒として用いた場合は、水に近い冷却効率を得ることができることが判明した。そして、フルオロカーボンは水に比べてはるかに化学的安定性が高く、導電性が低いため、冷媒流路の腐食を防止する効果も高いものとなる。
一方、フルオロカーボンを冷媒として用いた場合、水を用いた場合に比べてキャビテーションが生じやすいことが判明した。キャビテーションは、流体の流れで局部的に低い圧力を生ずる部分で、流体の蒸発、溶解ガスの分離などが起こり、流体中に空洞を生じる現象である。キャビテーションが発生すると、発熱体との接触面積が減るため、熱交換効率が低下してしまう。
図8は、水およびフルオロカーボンについて流速とキャビテーション数との関係を示すグラフ図である。図8から判るように、水(破線)に比べてフルオロカーボン(実線)は、各流速域でキャビテーション数が小さくキャビテーションが生じやすいことが判る。キャビテーション数が5以下になるとキャビテーション発生のリスクが大きくなる。ところが図8が示すように、フルオロカーボンの場合も、流速が10m/s以下ではキャビテーション数は急激に大きくなり、キャビテーション発生のリスクは急減する。そこで、本実施形態では、冷媒流路を溝部や導水孔で冷媒を多数に分岐することにより、分岐の1つあたりの流速を10m/s以下に抑制してキャビテーションを防止しつつ、多数の熱交換部でトータルの熱量は除去可能に設計されている。
図9は、上記の関係をまとめ、水およびフルオロカーボンについて流速と熱抵抗、並びに流速とキャビテーション数との関係を示すグラフ図である。
図9の熱抵抗−流速曲線TFは、図7で示した水とフルオロカーボンの流速に対する熱抵抗の関係を示し、破線が水を、実線がフルオロカーボンを示す。また図9のキャビテーション数−流速曲線CFは、図8で示した水とフルオロカーボンの流速に対するキャビテーション数の関係を示し、破線が水を、実線がフルオロカーボンを示す。これより、流速に対し、熱抵抗とキャビテーション発生リスクは、トレードオフ(二律背反)の関係にあることが判る。キャビテーションが発生すると熱交換効率の低下、また壊食(機械的腐食)といった大きな悪影響が生ずる。従って、流速を抑えつつ、熱効率を高める必要がある。以上のような観点から、本発明者らは、ヒートシンクの冷媒流路を流通するフルオロカーボンからなる冷媒の流速を、1〜10m/s、より好ましくは2〜8m/s、さらに好ましくは3〜7m/sとすることとにした。この流速であれば、キャビテーションのリスクは抑えつつ、水を冷媒として用いた場合に比べてそれほど劣らない冷却効率を維持することができる。
キャビテーションの発生リスクは、冷媒流速の変化によっても影響される。冷媒流速の変化が大きい場合は、平均冷媒流速が同じでも、キャビテーションが生じやすくなる。冷媒流速は、冷媒流路の流路断面積に反比例する関係にある。そこで、本実施形態では、ヒートシンクにおける冷媒流路の流路断面積の変化を±30%以下になるように設計した。
図10は、ヒートシンクの冷媒流路における供給口から排出口までの流路断面積変化を示すグラフ図である。図10より、ヒートシンクの供給口から導水孔までは、流路断面積はほぼ一定である。導水孔(ヒートシンクの仕切り板にある複数孔)の部分になると、冷媒を噴出させる関係から、流路断面積はより小さくなる。そして、導水孔の部分を過ぎるとまた流路断面積は大きくなる。しかし、その流路断面積の変化は±30%以下であり、より好ましくは±10%以下とされる。これにより、冷媒流速の変動を抑え、キャビテーションの発生を防止することができる。
図1に示すような、以上説明した構成の半導体レーザ装置1が動作する場合、チラー500により冷却されたフルオロカーボンからなる冷媒400が、配管600を介して半導体レーザスタック200に供給される。冷媒400は、ヒートシンク10a〜10cに供給される。ヒートシンク10a〜10cに供給されたフルオロカーボンからなる冷媒400は、ヒートシンク10a〜10c上に配置された半導体レーザアレイ2a〜2cを冷却する。ヒートシンク10a〜10cから排出された冷媒400は、配管600を介してチラー500に戻され、再び冷却されて半導体レーザスタック200のヒートシンク10a〜10cを冷却する。
ヒートシンク10a〜10cを流通するフルオロカーボンからなる冷媒400は、流速が1〜10m/sにされ、効率よく冷却でき、かつキャビテーションが生じないようにされる。さらに、ヒートシンクの冷媒流路断面積の変化は±30%以下に抑えられているため、流速変化によるキャビテーションの発生も抑えられる。このため、半導体レーザアレイ2a〜2cは効率良く冷却され、冷媒流路に壊食が生じることもない。
さらに、フルオロカーボンからなる冷媒400は、冷媒流路を腐食することがないため、長期間にわたり安定して半導体レーザアレイ2a〜2cを冷却することができ、素子寿命の向上、光出力の安定に寄与するものとなる。
図5は、3層構造のヒートシンクの別の態様を示す構成図である。このヒートシンク10a’は、導水孔36の数が図4に示すヒートシンク10aより多い点で、図4に示すヒートシンク10aと相違をなす。このため、冷媒流路はさらに多くの分岐路を有することになり、分岐路を合計して計算した流路断面積の変化は、より少なくなる。
図6は、5層構造のヒートシンクを示す構成図である。このヒートシンク10a”は、上記3層構造ヒートシンク10aの下側平板部材20の下側に下側中間平板部材50が接合されている点と、上側平板部材40の上側に上側中間平板部材60が接合されている点が、図4に示すヒートシンク10aと相違をなす。下側中間平板部材50には、下側平板部材20の貫通口22、24、ネジ用穴28に対応した、貫通口52、54、ネジ用穴58が設けられている。また上側中間平板部材60には、上側平板部材40の貫通口42、44、ネジ用穴48に対応した、貫通穴62、64、ネジ用穴68が設けられている。そして、ネジ用穴58,68に止めネジを締結することにより、下側中間平板部材50および上側中間平板部材60が、下側平板部材20および上側平板部材40に接合される。その結果、貫通口52、貫通口22、貫通口32、貫通口42、および貫通口62が連結されて、冷媒流路に冷媒を供給するための供給口160aが形成される。また、貫通口54、貫通口24、貫通口34、貫通口44、および貫通口64が連結されて、冷媒流路から冷媒を排出するための排出口180aが形成される。この5層構造のヒートシンク10a”は、下側中間平板部材50と上側中間平板部材60が追加配置されているため、耐久性がより向上している。
尚、本発明の半導体レーザ装置は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
例えば、上記実施形態では、噴流冷却型ヒートシンクの場合を中心に説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、マイクロチャンネル型のヒートシンクにも適用可能なものである。
本実施形態に係る半導体レーザ装置の構成図である。 本実施形態に係る半導体レーザスタックの構成図である。 本実施形態に係る半導体レーザスタックを構成する半導体レーザユニットの構成図である。 3層構造のヒートシンクを示す構成図である。 3層構造のヒートシンクの別の態様を示す構成図である。 5層構造のヒートシンクを示す構成図である。 微細流路を流れる水およびフルオロカーボンついて流速と熱抵抗の関係を示すグラフ図である。 水およびフルオロカーボンについて流速とキャビテーション数との関係を示すグラフ図である。 水およびフルオロカーボンについて流速と熱抵抗、並びに流速とキャビテーション数との関係を示すグラフ図である。 ヒートシンクの冷媒流路における供給口から排出口までの流路断面積変化を示すグラフ図である。
符号の説明
1…半導体レーザ装置、2a,2b,2c…半導体レーザアレイ、10a,10a’,10a”,10b,10c…ヒートシンク、100a,100b,100c…半導体レーザユニット、200…半導体レーザスタック、400…冷媒、500…チラー(冷媒供給手段)

Claims (8)

  1. 半導体レーザアレイと、冷媒流路を有するヒートシンクと、該冷媒流路内を流通する冷媒と、該冷媒を前記ヒートシンクに供給する冷媒供給手段とを備え、
    前記冷媒は、フルオロカーボンを含んでいることを特徴とする半導体レーザ装置。
  2. 前記冷媒流路内を流通する冷媒の流速が10m/s以下であることを特徴とする請求項1に記載の半導体レーザ装置。
  3. 前記冷媒流路内を流通する冷媒の流速が1m/s以上であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の半導体レーザ装置。
  4. 前記冷媒流路は、流路断面積の変化が±30%以下であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の半導体レーザ装置。
  5. 前記ヒートシンクが、マイクロチャネル型または噴流冷却型のヒートシンクであることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の半導体レーザ装置。
  6. 前記冷媒流路は、幅1mm以下の微細流路を含んでいることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の半導体レーザ装置。
  7. 前記ヒートシンクは、上面に第1の溝部が形成された第1の平板状部材と、下面に第2の溝部が形成された第2の平板状部材と、前記第1の平板状部材の上面と前記第2の平板状部材の下面との間に配置される仕切り板と、を有しており、
    前記仕切り板には、前記第1の溝部と前記第2の溝部とを連通する複数の穴が設けられ、
    前記第1の溝部から延在し、前記第2の溝部に連通することなく前記第1の平板状部材、仕切り板および第2の平板状部材を貫通する冷媒供給口と、
    前記第2の溝部から延在し、前記第1の溝部に連通することなく前記第2の平板状部材、仕切り板および第1の平板状部材を貫通する冷媒排出口と、を含んでおり、
    前記冷媒供給口、第1の溝部、複数の孔、第2の溝部、冷媒排出口により前記冷媒流路が構成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の半導体レーザ装置。
  8. 請求項7に記載の半導体レーザ装置であって、
    第1のヒートシンクと、第2のヒートシンクと、第1の半導体レーザアレイと、第2の半導体レーザアレイとを備え、
    前記第1の半導体レーザアレイは、前記第1のヒートシンクにおける前記第2の平板状部材の上面と、前記第2のヒートシンクにおける前記第1の平板状部材の下面との間に配置されており、
    前記第2の半導体レーザアレイは、前記第2のヒートシンクにおける前記第2の平板状部材の上面に配置されており、
    前記第1のヒートシンクの冷媒供給口と前記第2のヒートシンクの冷媒供給口が連通し、
    前記第1のヒートシンクの冷媒排出口と前記第2のヒートシンクの冷媒排出口が連通する
    ようにされていることを特徴とする半導体レーザ装置。
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