JP2005262078A - 造水方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 海水等の原水を蒸留法によって淡水化する際にスケールの発生を効果的に防止し、淡水を高回収率でかつ安定的に得ることができる造水方法を提供すること。
【解決手段】 スケール成分を含有する原水をNF膜(ナノろ過膜)により膜分離処理し、前記スケール成分を除去した透過水を蒸留法により処理して淡水を得ることを特徴とする造水方法。
【選択図】 なし
【解決手段】 スケール成分を含有する原水をNF膜(ナノろ過膜)により膜分離処理し、前記スケール成分を除去した透過水を蒸留法により処理して淡水を得ることを特徴とする造水方法。
【選択図】 なし
Description
本発明は、スケール成分を選択的に分離するためのNF膜(ナノろ過膜)及び蒸留法を用いた淡水の造水方法に関する。
海水を淡水化する方法としては、蒸留法、多段蒸留法、逆浸透膜法、及びイオン交換膜法などがある。
蒸留法は、海水を加熱して水蒸気に相変化させて、この水蒸気を凝縮器で凝縮することで淡水化するものである。海水に含有する塩類の蒸発温度は水の蒸発温度と比べて非常に高いので、水蒸気に含まれる塩類の濃度は海水濃度の1万分の1程度に低減でき、この水蒸気を凝縮すると塩濃度が低い淡水が得られる。
多段蒸留法は、蒸留法の一種であり、水蒸気の凝縮に用いる冷却水の温度が蒸気を凝縮する過程で上昇するため、この冷却水として用いる海水を沸騰圧力以下に低下させることにより冷却水の一部を蒸発させ、更に、この発生した水蒸気を凝縮させるのに用いた冷却水の圧力を低下させて蒸発させる。このように蒸発を多段で実施し、各段で発生した水蒸気を集めて最終的に凝縮器で凝縮して淡水が得られる。この多段蒸留法は、1段で全量を蒸発させる方式と比較して、同一量の淡水を得るのに必要な熱エネルギーを大幅に減少させることができる。
しかし、蒸留法や多段蒸留法により海水を淡水化する際に、海水に含まれるHCO3 - 、SO4 2-、Mg2+、Ca2+などのイオン(スケール成分)が加熱、濃縮によってCaCO3 、Mg(OH)2 、CaSO4 などのスケールとなって析出し、これらスケールにより淡水化の運転効率が大きく低下するという問題を有していた。そのため、蒸留法などにより海水を淡水化する際にはスケール防止対策が行われている。その方法としては、脱炭酸・pHコントロール法と抑制剤添加法とがある。
脱炭酸・pHコントロール法は、海水に酸を添加して海水中の重炭酸イオン(HCO3 - )を炭酸ガスに変えて脱炭酸塔で除去する方法である。また、通常pH=8.3程度の海水に酸を添加してpH=7.0程度に制御すれば、水酸化マグネシウムの析出も抑制することができる。
抑制剤添加法は、薬剤によりスケール成分の過飽和性を維持させると共に、析出したスケールをスラッジ化して結晶化を防ぐ方法である。
特に、カルシウムは海水中の炭酸塩や硫酸塩の存在により溶解度以上に濃縮されるとスケールを生成しやすいので、溶解度以上に濃縮しないように淡水の回収率が制限されており、製造効率が悪いという問題を有していた。
上記技術やその問題点と直接関係はないが、化粧料に含有させる濃縮水を得るために、海洋深層水を限外ろ過後、逆浸透膜ろ過法、電気透析法、イオン交換膜法および蒸留法の処理法から選ばれる少なくとも1種の処理法により処理する技術が開示されている(特許文献1)。
特開2000−159654号公報
しかし、前記技術は、肌改善効果に有効な濃度の微量金属や有用無機塩を含有する濃縮水を海洋深層水から得ることを目的とするものであって、蒸留法により海水等を淡水化する際に問題となるスケールの発生を抑制することを目的とするものではない。また、前記技術ではスケールの発生を効果的に防止することはできない。
本発明の目的は、海水等の原水を蒸留法によって淡水化する際にスケールの発生を効果的に防止し、淡水を高回収率でかつ安定的に得ることができる造水方法を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、海水等の原水を蒸留法で処理する前に特定の分離膜を用いて膜分離処理し、原水からスケール成分を除去することにより蒸留工程においてスケールの発生を効果的に抑制できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の造水方法は、スケール成分を含有する原水をNF膜(ナノろ過膜)により膜分離処理し、前記スケール成分を除去した透過水を蒸留法により処理して淡水を得ることを特徴とする。
前記造水方法によると、スケール成分を含有する海水等の原水をNF膜で膜分離処理することによりSO4 2-、Mg2+、Ca2+などの2価イオンを選択的に分離することができ、原水中のスケール成分を実用上問題とならない程度に十分に除去した透過水を得ることができる。そして該透過水を用いることにより、その後の蒸留工程においてCaCO3 やCaSO4 などのスケールの発生を効果的に抑制することができる。そのため、従来の蒸留法においてスケールの発生を防止するために必要であった脱炭酸・pHコントロール法や抑制剤添加法を行う必要がなく、また蒸留工程において原水の回収率を制限する必要がなくなるため生産コストを削減することができる。さらに、蒸留による透過水の回収率を高くすることにより、蒸留後には副生成物として高濃度の濃縮液が得られ、濃縮液中の有効成分の分離回収が容易になり製造効率が向上するという利点もある。
本発明においては、前記NF膜が、薄膜とこれを支持する多孔性支持膜とからなる複合半透膜であり、前記薄膜が下記一般式(1)で表されるピペラジン系化合物と、2価以上の多官能酸ハロゲン化物との縮合反応によって得られる構成単位を有するポリアミド系樹脂を含むことが好ましい。
また、前記一般式(1)で表されるピペラジン系化合物のR1 、R2 、R3 、及びR4 がすべてHであることがさらに好ましい。
また、前記多官能酸ハロゲン化物が芳香族多官能酸ハロゲン化物であることがさらに好ましい。
本発明においては、前記蒸留法が多段蒸留法であることが好ましい。多段蒸留法は、1段で全量を蒸発させる方式と比較して、同一量の淡水を得るのに必要な熱エネルギーを大幅に減少させることができる。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
本発明において使用するNF膜(ナノろ過膜)は、スケール成分(例えば、SO4 2-、CO3 2-、Mg2+、Ca2+、Ba2+など)を分離除去できるものであれば特に制限されないが、操作圧力1.96MPa(20kgf/cm2 )以下、分画分子量200〜1000、NaCl阻止率90%以下ものが好ましく、特に硫酸イオン(SO4 2-)を選択的に除去できるものが好ましい。
また、塩分濃度3.5%の海水を原水として、操作圧力1.96MPa(20kgf/cm2 )で運転した場合、NF膜による原水中のイオン阻止率は、カルシウムイオンについては20%以上であることが好ましく、さらに好ましくは40%以上である。マグネシウムイオンについては30%以上であることが好ましく、さらに好ましくは60%以上である。硫酸イオンについては90%以上であることが好ましく、さらに好ましくは95%以上である。塩素イオンについは30%以下であることが好ましく、さらに好ましくは20%以下である。
本発明においては、前記NF膜が、薄膜とこれを支持する多孔性支持膜とからなる複合半透膜であり、前記薄膜が上記一般式(1)で表されるピペラジン系化合物と、2価以上の多官能酸ハロゲン化物との縮合反応によって得られる構成単位を有するポリアミド系樹脂を含むことが好ましい。
上記一般式(1)において、R1 、R2 、R3 、及びR4 はそれぞれ独立に、H、炭素数1〜3のアルキル基、又は炭素数1〜4のアルコキシル基である。
ポリアミド系樹脂の原料であるジアミン成分として前記ピペラジン系化合物以外の化合物を用いると、スケール成分ではない1価イオンの阻止率が高くなる傾向にある。そのため、得られる透過水中の有効成分(例えば、Na+ 、K+ 、Cl- など)の含有濃度が低くなり、蒸留後における有効成分の分離回収が困難になるため生産効率が悪化する傾向にある。また、前記ピペラジン系化合物以外の化合物を用いると、十分な透過流束が得られない傾向にある。
本発明においては、成膜の透水性や1価イオンの透過性の観点から前記一般式(1)で表されるピペラジン系化合物のR1 、R2 、R3 、およびR4 がすべてHであることが好ましい。
2価以上の多官能性酸ハロゲン化物としては、芳香族、脂肪族、又は脂環式の多官能性酸ハロゲン化物が挙げられる。芳香族多官能性酸ハロゲン化物としては、例えば、トリメシン酸クロライド、テレフタル酸クロライド、イソフタル酸クロライド、ビフェニルジカルボン酸クロライド、ナフタレンジカルボン酸ジクロライド、ベンゼントリスルホン酸クロライド、ベンゼンジスルホン酸クロライド、クロロスルホニルベンゼンジカルボン酸クロライド等が挙げられる。脂肪族多官能性酸ハロゲン化物としては、例えば、プロパンジカルボン酸クロライド、ブタンジカルボン酸クロライド、ペンタンジカルボン酸クロライド、プロパントリカルボン酸クロライド、ブタントリカルボン酸クロライド、ペンタントリカルボン酸クロライド、グルタリルハライド、アジポイルハライド等が挙げられる。脂環式多官能性酸ハロゲン化物としては、例えば、シクロプロパントリカルボン酸クロライド、シクロブタンテトラカルボン酸クロライド、シクロペンタントリカルボン酸クロライド、シクロペンタンテトラカルボン酸クロライド、シクロヘキサントリカルボン酸クロライド、テトラハイドロフランテトラカルボン酸クロライド、シクロペンタンジカルボン酸クロライド、シクロブタンジカルボン酸クロライド、シクロヘキサンジカルボン酸クロライド、テトラハイドロフランジカルボン酸クロライド等が挙げられる。これら多官能性酸ハロゲン化物は1種で用いてもよく、2種以上用いてもよい。
本発明においては、反応性、成膜の透水性、1価イオンの透過性などの観点から、芳香族多官能酸ハロゲン化物であることが好ましい。
前記ポリアミド系樹脂は、架橋構造を有することが好ましく、その場合、3価以上の多官能酸ハロゲン化物を使用することが好ましい。
また、ポリアミド系樹脂を含む薄膜の性能を向上させるために、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸などのポリマー、ソルビトール、グリセリンなどの多価アルコールなどを共重合させてもよい。
薄膜(分離活性層)の厚みは、薄膜の製法等にもよるが、0.01〜100μmが好ましく、0.1〜10μmがより好ましい。当該厚みが薄い方が透過流束の面で優れるが、薄くなりすぎると薄膜の機械的強度が低下して欠陥が生じ易く、スケール成分の分離性能に悪影響を及ぼす傾向があるからである。
上記薄膜を支持する多孔性支持膜は、薄膜を支持しうるものであれば特に限定されず、例えば、ポリスルホン、ポリエーテルスルホンのようなポリアリールエーテルスルホン、ポリイミド、ポリフッ化ビニリデンなど種々のものをあげることができるが、特に化学的、機械的、熱的に安定である点からポリスルホン、ポリアリールエーテルスルホンからなる多孔性支持膜が好ましく用いられる。かかる多孔性支持膜は、通常約25〜125μm、好ましくは約40〜75μmの厚みを有するが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
また、多孔性支持膜は、対称構造でも非対称構造でもよいが、薄膜の支持機能と通液性を両立させる上で、非対称構造が好ましい。なお、多孔性支持膜の薄膜形成側面の平均孔径は、1〜1000nmが好ましい。
薄膜を多孔質支持膜上に形成させる際に、その方法については何ら制限なく、あらゆる公知の手法を用いることができる。例えば、界面縮合法、相分離法、薄膜塗布法などが挙げられる。中でも、多孔質支持膜上にアミン成分を含有した水溶液を塗布した後に、かかる多孔質支持膜を多官能酸ハロゲン化物を含有した非水溶性溶液に接触させることにより多孔質支持膜上に薄膜を形成させる界面縮合法が好ましい。かかる界面縮合法の条件等の詳細は、特開昭58−24303号公報、特開平1−180208号公報等に記載されており、それらの公知技術を適宜採用することができる。
また、その反応場に、製膜を容易にし、あるいは得られる複合半透膜の性能を向上させるための目的で、各種の試薬を存在させることが可能である。これらの試薬として、例えばポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸などの重合体、ソルビトール、グリセリンなどのような多価アルコール、特開平2−187135号公報に記載のテトラアルキルアンモニウムハライドやトリアルキルアンモニウムと有機酸の塩などのアミン塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウムなどの界面活性剤、縮重合反応にて生成するハロゲン化水素を除去しうる水酸化ナトリウム、リン酸三ナトリウム、トリエチルアミン、カンファースルホン酸、あるいは公知のアシル化触媒、また、特開平8−224452号公報に記載の溶解度パラメーターが8〜14(cal/cm3 )1/2 の化合物などがあげられる。
本発明において使用するNF膜はその形状になんら制限を受けるものではない。すなわち平膜状、あるいはスパイラルエレメント状など考えられるあらゆる膜形状のものを使用することができる。
本発明の造水方法は、前記方法で作製したNF膜(ナノろ過膜)を用いてスケール成分を含有する原水(例えば、海水、地表水など)を膜分離処理し、前記スケール成分を実用上問題とならない程度に十分に除去した透過水を蒸留法により処理して淡水を得る方法である。
本発明においては、原水をそのままNF膜で膜分離処理してもよく、原水中の懸濁物質をろ過した後にNF膜で膜分離処理してもよい。NF膜を用いた膜分離処理の操作条件は特に制限されないが、運転圧力0.196〜1.96MPa(2〜20kgf/cm2 )、処理温度10〜30℃、及び通水流量2〜30L/minの範囲内で操作することが好ましい。
NF膜で膜分離処理して得られる透過水は、その後の蒸留工程で問題とならない程度にスケール成分が十分に除去されいる。そのため、蒸留工程においてCaCO3 、Mg(OH)2 、CaSO4 などのスケールの析出を効果的に抑制することができる。
本発明において、蒸留法や多段蒸留法は特に制限されず公知の方法を採用することができる。
以下、本発明の構成と効果を具体的に示す実施例等について説明する。なお、表1に記載の各イオンの除去率(%)は下記式により算出される値である。
<イオン除去率>
除去率(%)={1−(透過水中の各イオン濃度/海水中の各イオン濃度)}×100
実施例1
薄膜とこれを支持する多孔性支持膜とからなる複合半透膜であって、前記薄膜がピペラジンとトリメシン酸トリクロライドとの縮合反応によって得られる構成単位を有するポリアミド系樹脂からなるNF膜(日東電工社製、NTR−729HF)を用いて、運転圧力1.87MPa(19.1kgf/cm2 )、処理温度25℃、及び通水流量20L/minの条件で海水を膜分離処理した(透過水の回収率:48.5%)。分離性能を表1に示す。
除去率(%)={1−(透過水中の各イオン濃度/海水中の各イオン濃度)}×100
実施例1
薄膜とこれを支持する多孔性支持膜とからなる複合半透膜であって、前記薄膜がピペラジンとトリメシン酸トリクロライドとの縮合反応によって得られる構成単位を有するポリアミド系樹脂からなるNF膜(日東電工社製、NTR−729HF)を用いて、運転圧力1.87MPa(19.1kgf/cm2 )、処理温度25℃、及び通水流量20L/minの条件で海水を膜分離処理した(透過水の回収率:48.5%)。分離性能を表1に示す。
参考例1
薄膜とこれを支持する多孔性支持膜とからなる複合半透膜であって、前記薄膜がメタフェニレンジアミンとトリメシン酸トリクロライドとの縮合反応によって得られる構成単位を有するポリアミド系樹脂からなるNF膜を用いて、運転圧力2.33MPa(23.8kgf/cm2 )、処理温度25℃、及び通水流量20L/minの条件で海水を膜分離処理した(透過水の回収率:47.2%)。分離性能を表1に示す。
薄膜とこれを支持する多孔性支持膜とからなる複合半透膜であって、前記薄膜がメタフェニレンジアミンとトリメシン酸トリクロライドとの縮合反応によって得られる構成単位を有するポリアミド系樹脂からなるNF膜を用いて、運転圧力2.33MPa(23.8kgf/cm2 )、処理温度25℃、及び通水流量20L/minの条件で海水を膜分離処理した(透過水の回収率:47.2%)。分離性能を表1に示す。
Claims (5)
- スケール成分を含有する原水をNF膜(ナノろ過膜)により膜分離処理し、前記スケール成分を除去した透過水を蒸留法により処理して淡水を得ることを特徴とする造水方法。
- 前記一般式(1)で表されるピペラジン系化合物のR1 、R2 、R3 、及びR4 がすべてHである請求項2記載の造水方法。
- 前記多官能酸ハロゲン化物が芳香族多官能酸ハロゲン化物である請求項2又は3記載の造水方法。
- 前記蒸留法が多段蒸留法である請求項1〜4のいずれかに記載の造水方法。
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