JP2005240684A - 燃料噴射弁用増圧装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 燃料噴射弁用増圧装置において、増圧制御弁閉弁時の速やかな油膜除去により、圧力脈動による影響を受ける前に閉弁して、駆動損失を低減する。また、増圧制御弁の作動不安定による増圧サイクル変動を抑制する。
【解決手段】 コモンレール10から増圧室46に供給される燃料を増圧ピストン41の駆動により増圧する増圧器4と、増圧器の増圧作動を制御する増圧制御弁1を設ける。2位置3方弁である増圧制御弁1の弁体3は、増圧制御室44とコモンレール10から増圧室46の間を開閉するテーパシート部31と、増圧制御室44とリターン通路1cの間を開閉するリングシート部32を備え、弁体3の移動方向の端面に形成される略平面シートであるリングシート部32は、面圧を上げるために、座面34に対して僅かに傾斜させてその外周端縁に尖り形状の座面当たり部32aを設けている。
【選択図】 図1
【解決手段】 コモンレール10から増圧室46に供給される燃料を増圧ピストン41の駆動により増圧する増圧器4と、増圧器の増圧作動を制御する増圧制御弁1を設ける。2位置3方弁である増圧制御弁1の弁体3は、増圧制御室44とコモンレール10から増圧室46の間を開閉するテーパシート部31と、増圧制御室44とリターン通路1cの間を開閉するリングシート部32を備え、弁体3の移動方向の端面に形成される略平面シートであるリングシート部32は、面圧を上げるために、座面34に対して僅かに傾斜させてその外周端縁に尖り形状の座面当たり部32aを設けている。
【選択図】 図1
Description
本発明は、内燃機関に用いられる燃料噴射弁用の増圧装置に関する。
内燃機関の各気筒に設けた燃料噴射弁に、共通の蓄圧器(コモンレール)から燃料を供給するコモンレール式燃料噴射システムが注目されている。また、近年、燃費や排気ガス浄化性能を向上させる目的で、燃料の噴射圧力を高めることが要求されており、これを簡易に実現する燃料噴射弁用の増圧装置が提案されている(例えば、特許文献1等)。
特表2002−539372号公報
燃料噴射弁用の増圧装置は、一般に、コモンレールから供給される燃料を増圧ピストンで加圧して、噴射圧を高圧にするものである。その一例として、例えば、特許文献1の構成を図10に示すと、コモンレール10には高圧ポンプPで加圧した燃料タンクTの燃料が蓄圧されており、コモンレール10から燃料噴射弁100´の燃料溜まり101に所定圧の燃料が供給されるようになっている。増圧器はコモンレール10と燃料溜まり101の間に配置され、増圧ピストン103を用いて増圧室104に供給される燃料を増圧した後、燃料溜まり101に供給する。増圧ピストン103の駆動は、電磁駆動式の増圧制御弁105を用いて圧力室106の油圧を増減することにより制御される。
コモンレール10の燃料は、また、噴孔を開閉するニードル109の背圧室108にも供給されている。噴射制御弁107を開いて背圧室108の油圧を低下させると、ニードル109がリフトしてコモンレール10の燃料または増圧器で増圧された燃料を噴射する。このような増圧装置を付設することで、より高圧での噴射を可能にするとともに、運転状態に応じたよりきめ細かい制御を行って、所望の噴射率を実現可能となる。
ここで、増圧作動を制御する増圧制御弁105は2位置3方弁で、弁体のシート位置を切り換えることにより、圧力室106をコモンレール10またはリターン通路に選択的に連通させて、圧力室106の油圧を増減させる。一般的に、2位置3方弁の弁体には、円筒シール部を有するスプール弁や、2つのテーパシート部を有する弁が用いられる。また、特許文献2には、燃料噴射弁のノズル制御用として、テーパシート部とフラットシート部を有する制御弁が開示されている。バルブシート部の一方をフラットシート部とすると、組み付け時の位置決め精度が要求されない利点がある。
特開2001−90634号公報
ところが、特許文献2の制御弁構造を、上記図10の増圧制御弁105に適用する場合には、次のような問題がある。すなわち、制御弁のフラットシート部が座面に着座して閉弁しようとする時に、面圧が十分にとれないために、油膜を排除するのに時間を要して、閉弁時間が長くなってしまう。特に、テーパシート部とフラットシート部のシート径を同じくして油圧バランスさせる構造となっている場合、テーパシート部が開弁する際に発生した圧力脈動が、閉弁途中(油膜排除中)のフラットシート部に作用すると、増圧制御弁の作動が不安定になる。
その結果、フラットシート部の閉弁がさらに遅れ、コモンレール圧の燃料がリークし続けて燃料噴射弁の駆動損失が増大したり、増圧制御弁の不安定な作動が増圧のサイクル変動を引き起こす、という問題が生じた。さらに、テーパシート部開弁直後の小クリアランス域で、高速の燃料流れによりテーパシート部と座面とのクリアランスに負圧が発生し、テーパシート部が閉じる方向に力が発生することも、増圧制御弁の作動を不安定にし、増圧サイクル変動が大きくなる要因となっていた。
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、閉弁時の速やかな油膜除去により、圧力脈動による影響を受ける前に閉弁して、駆動損失を低減し、増圧制御弁の作動不安定による増圧サイクル変動を抑制すること、また、開弁直後の高速の燃料流れによる圧力低下(縮流)を抑制して、増圧制御弁の作動不安定による増圧のサイクル変動を抑制することを目的としている。
上記課題を解決するために、本発明請求項1の燃料噴射弁用増圧装置は、燃料を蓄圧する蓄圧器の燃料を噴射ノズルから噴射する燃料噴射弁に設けられ、前記蓄圧器から増圧室に供給される燃料を増圧ピストンの駆動により増圧して前記噴射ノズルに供給する増圧器と、前記増圧器の増圧作動を制御する増圧制御弁を備えている。
前記増圧制御弁は、弁体のシート位置を切り換えることにより増圧制御室を前記蓄圧器またはリターン通路に選択的に連通させて、前記増圧ピストンに作用する油圧を増減するものであり、
前記増圧制御弁の前記弁体は、前記増圧制御室と前記蓄圧器の間を開閉するバルブシート部と、前記増圧制御室と前記リターン通路の間を開閉するバルブシート部を備えている。さらに、これらバルブシート部の一方を、前記弁体の移動方向の端面に形成される略平面シートとして、そのシート面に尖り形状の座面当たり部を設けている。
前記増圧制御弁は、弁体のシート位置を切り換えることにより増圧制御室を前記蓄圧器またはリターン通路に選択的に連通させて、前記増圧ピストンに作用する油圧を増減するものであり、
前記増圧制御弁の前記弁体は、前記増圧制御室と前記蓄圧器の間を開閉するバルブシート部と、前記増圧制御室と前記リターン通路の間を開閉するバルブシート部を備えている。さらに、これらバルブシート部の一方を、前記弁体の移動方向の端面に形成される略平面シートとして、そのシート面に尖り形状の座面当たり部を設けている。
上記構成によれば、バルブシート部に設けた尖り形状の座面当たり部によって、シート面圧が増大するので、速やかに油膜を除去することができる。従って、圧力脈動による影響を受ける前に閉弁して、増圧制御弁のスイッチングリークによる駆動損失を低減するとともに、増圧制御弁の作動を安定にして増圧のサイクル変動を防止することが可能となる。
請求項2記載の発明では、前記略平面シートを、前記座面当たり部となる外周端縁から内径側へ向けて座面との距離が広がるように僅かに傾斜するシート形状とする。
具体的には、略平面シートを座面に対して僅かに傾斜させることで、尖り形状の座面当たり部を容易に形成できる。また、座面当たり部を外周端縁に形成すれば弁体の体格が必要以上に大きくならず、シート位置も安定する。
請求項3記載の発明では、前記略平面シートのシート面と座面とのなす角度を、0.5°〜10°の範囲に設定する。
傾斜角度を上記範囲とすることで、十分な強度を確保しつつ、尖り形状の座面当たり部による上記効果を得ることができる。
請求項4記載の発明では、前記増圧制御室と前記リターン通路の間を開閉するバルブシート部を、前記略平面シートとする。
具体的には、増圧制御弁は、弁体の一端面側にリターン通路を設け、対向する弁体端面に上述した座面当たり部を有する略平面シートを形成して、リターン通路を開閉する構成とすることで、増圧時に速やかに閉弁して増圧作動を開始することができる。
請求項5の発明は、本発明の燃料噴射弁用増圧装置は、燃料を蓄圧する蓄圧器の燃料を噴射ノズルから噴射する燃料噴射弁に設けられ、前記蓄圧器から増圧室に供給される燃料を増圧ピストンの駆動により増圧して前記噴射ノズルに供給する増圧器と、前記増圧器の増圧作動を制御する増圧制御弁を備えている。
前記増圧制御弁は、弁体のシート位置を切り換えることにより増圧制御室を前記蓄圧器またはリターン通路に選択的に連通させて、前記増圧ピストンに作用する油圧を増減するものであり、
前記増圧制御弁の前記弁体は、前記増圧制御室と前記蓄圧器の間を開閉するバルブシート部と、前記増圧制御室と前記リターン通路の間を開閉するバルブシート部を備える。さらに、これらバルブシート部の一方を、前記弁体の外周面に形成される略円錐面シートとするとともに、該略円錐面シートの外径と座面の内径を僅差に設けて、シート位置前後に流路拡大部を有する形状としている。
前記増圧制御弁は、弁体のシート位置を切り換えることにより増圧制御室を前記蓄圧器またはリターン通路に選択的に連通させて、前記増圧ピストンに作用する油圧を増減するものであり、
前記増圧制御弁の前記弁体は、前記増圧制御室と前記蓄圧器の間を開閉するバルブシート部と、前記増圧制御室と前記リターン通路の間を開閉するバルブシート部を備える。さらに、これらバルブシート部の一方を、前記弁体の外周面に形成される略円錐面シートとするとともに、該略円錐面シートの外径と座面の内径を僅差に設けて、シート位置前後に流路拡大部を有する形状としている。
上記構成によれば、バルブシート部と座面の重なり部分、すなわち縮流が発生する長さが短縮されるとともに、その前後において流路が拡大されるので流速が低下し、バルブシート部に作用する移動方向と逆向きの力を低減できる。その結果、増圧制御弁の作動を安定にして増圧のサイクル変動を防止することが可能となる。
請求項6記載の発明では、前記略円錐面シートの外径と座面の内径との差を、0.1 mm以下とする。
具体的には、バルブシート部と座面の重なり部を0.1 mm以下とすることで、縮流の発生を抑制して増圧制御弁の作動を安定にする効果が高い。
請求項7記載の発明では、前記増圧制御室と前記蓄圧器の間を開閉するバルブシート部が、前記略円錐面シートであるものとする。
具体的には、増圧制御弁は、弁体の中間部周りにコモンレール圧を導入する構成とし、その下流位置に上述した略円錐面シートを形成することで、増圧時に速やかに開弁して作動不良を防止することができる。
請求項8記載の発明では、前記増圧制御弁の前記弁体を、2つのバルブシート部のシート径を略同一とする。
2つのバルブシート径を略同一として圧力バランス構造とすることで、弁体駆動に必要な力を低減し、小型に構成できるが、圧力脈動等の影響も受けやすいため、本発明を適用する効果が高い。
以下、図1〜図5に基づいて本発明の第1の実施形態を説明する。図5は本発明の増圧装置を適用した燃料噴射弁100を含むディーゼルエンジンのコモンレール式燃料噴射システムの全体構成を示す概略図である。図5において、燃料噴射システムは、主な構成要素として、燃料噴射弁100と、燃料を蓄圧する蓄圧器(コモンレール)10と、燃料タンクTと、高圧ポンプPとを備えており、燃料タンクTの燃料を吐出量の可変機構を持つ公知の高圧ポンプPで加圧してコモンレール10に供給するようになっている。燃料噴射弁100には、コモンレール10の燃料を増圧する増圧器4と、コモンレール10の燃料または増圧器4で増圧された燃料を噴射する噴射ノズル5と、増圧器4の作動を制御する増圧制御弁1と、噴射ノズル5の作動を制御する噴射制御弁6が設けられる。
噴射ノズル5は、コマンドピストン12によって駆動されるニードル13が、先端部に設けたシート51から離座することにより噴孔52を開放して、燃料溜まり16から供給される燃料を噴射する。噴射制御弁6は、2位置2方弁で、コモンレール10に連通する噴射制御室11とリターン通路14との間を開閉することにより、噴射制御室11の制御油圧を増減させてコマンドピストン12の背圧を制御する。燃料溜まり16は、逆止弁17を備える燃料通路15を介してコモンレール10に連通し、噴射制御室11は、オリフィス18を介して逆止弁17下流の燃料通路15に連通している。噴射制御室11とリターン通路14の間にはオリフィス19が設けられる。
増圧器4の増圧ピストン41は、大径ボア内を油密を保って摺動する大径ピストン41aと小径ボア内を油密を保って摺動する小径プランジャ41bからなり、これら大径ピストン41aと小径プランジャ41bは一体となって図の上下方向に摺動する。増圧器4の増圧室46は、小径プランジャ41bの下端面を室壁とし、燃料通路43を介して逆止弁17下流の燃料通路15に接続している。一方、大径ピストン41aの上端面には、燃料通路42を介してコモンレール10の圧力が、下端面には増圧制御室44の圧力が作用しており、増圧制御室44の圧力を低下させると、増圧ピストン41が下降して増圧室46に供給される燃料を増圧する。増圧制御室44内には、スプリング45が配設されて大径ピストン41aを上方に付勢している。
増圧制御室43の圧力を制御する増圧制御弁1は、2位置3方弁で、燃料通路1aにて増圧制御室44に連通するとともに、燃料通路1bにてコモンレール10に、リターン通路1cにて燃料タンクTに連通している。次に、増圧制御弁1の詳細構造について、図1を用いて説明する。
図1(a)において、増圧制御弁1は、バルブボデーBに設けたボア内を油密を保って図の上下方向に摺動する弁体3と、弁体3を駆動する電磁アクチュエータ2を有する。電磁アクチュエータ2は、弁体3の上端に結合された円板状のアーマチャ22と、ソレノイド21、スプリング23からなる。弁体3は、通常状態ではスプリング23により下方に付勢され、ソレノイド21に通電するとアーマチャ22とともに上方に吸引される。弁体3は略円柱状で、軸方向の上端部を摺動部とし、中間部に設けた細径部周りにコモンレール10に連通する燃料通路1bが開口する環状空間B1を有している。弁体3の下端部が位置する弁室B2の側面には、増圧制御室44に連通する燃料通路1aが開口し、弁室B2の底面に燃料タンクTに連通するリターン通路1cが開口している。
弁室B2に位置する弁体3の下端部には、環状空間B1側にテーパシート部31が、リターン通路1c側にリングシート部32が設けられる。弁体3は、中間部の細径部に続く部位を摺動部径より大径とするとともに、下方に向けて拡径する円錐面シートを設けてテーパシート部31とし、弁室B2の上部内壁面に設けた円錐面状の座面33に着座させる。一方、弁体3の下端面は中央部が凹陥する円環状で、外周部に形成される円環状の略平面シートをリングシート部32として、対向する弁室B2の下部内壁面に設けた水平面状の座面34に着座させる。弁室B2は燃料通路1aを介して増圧制御室44と常時連通し、テーパシート部31は、増圧制御室44とコモンレール10に至る燃料通路1bとの間を開閉するバルブシート部として、リングシート部32は、増圧制御室44と燃料タンクTに至るリターン通路1cとの間を開閉するバルブシート部として機能する。
ここで、弁体3は、摺動部径とテーパシート部31およびリングシート部32のシート径を略同一としてある。このように油圧バランスする構造とすることで、電磁アクチュエータ2の要求吸引力を低減し、小型に構成することができる。また、バルブシート部を、テーパシート部31とリングシート部32の組み合わせとすることにより、組み付け時の精密な位置決めが不要となる利点がある。さらに、本発明では、図1(b)のように、リングシート部32のシート面(座面当接面)を水平面とせず、座面34に対して僅かに傾斜させる。具体的には、シート面となる外周縁部を、内径側から外径側へ向けて座面34との距離が狭まる略円錐面状に形成し、該シート面の外周端縁を尖り形状の座面当たり部32aとする。このように、座面当たり部32aを設けることで、面圧を高めて速やかな閉弁を実現することができる。
上記構成の燃料噴射弁用増圧装置の作動について、図1、2を用いて説明する。増圧していない初期状態においては、増圧制御弁1の弁体3は、スプリング23によりリングシート部32が座面34に押し付けられてリターン通路1cを閉じる位置にある。この状態から増圧を開始する時には、ソレノイド21に通電して電磁力によりアーマチャ22を吸引する。図1(a)に示すように、これに伴いアーマチャ22と一体の弁体3が上方に吸引されて、リングシート部32を開き、次いでテーパシート部31が座面34に着座してコモンレール10に至る燃料通路1bを閉じる。
この時、図5に示す増圧器4の増圧制御室44は、燃料通路1aおよび弁室B2を介してリターン通路1cに連通し、コモンレール圧の燃料が抜かれて大気圧となる。すると、増圧ピストン41が上端面と下端面の面積差により下方に付勢され、増圧室46内のコモンレール圧燃料を加圧する。これにより、増圧された燃料が、燃料通路15を介して燃料溜まり16に供給される。増圧を終了する時は、ソレノイド21への通電を終了し、スプリング23の付勢力によって弁体3を押し下げて、テーパシート部31を開き、さらにリングシート部32を閉じる。これにより、増圧制御室44を燃料通路1a、弁室B2を介して燃料通路1bに連通させてコモンレール圧に戻し、スプリング45の付勢力によって増圧ピストン41を復帰させる。
ところで、増圧終了時に、増圧制御弁1の弁体3がテーパシート部31を開いた直後は、まだリングシート部32も開いており、図2(a)のように、コモンレール圧の燃料がリングシート部32と座面34の間のギャップを通ってリターン通路1cへ流出する。このため、図2(b)のように、リングシート部32には通過する燃料の油膜が生じており、この油膜が閉弁しようとするリングシート部32に作用して閉弁を妨げる原因となる。特に、図3(b)に示す従来の弁体3´のように、リングシート部32´がフラットな水平面であると、その影響が大きく、また、閉弁が遅れると、テーパシート部31を開弁した際に生じた圧力脈動が作用して、リングシート部32´の閉弁をさらに妨げる油圧力となる上、燃料がリークし続けるために駆動損失が増加したり、増圧のサイクル変動が生じるおそれがあった。
これに対し、図3(a)に示す本実施形態の弁体3は、リングシート部32を座面34に対して僅かに傾斜させて、外周端縁部に尖り形状の座面当たり部32aを設けた。このように、閉弁時に座面に当たる部位を尖り形状とすることで、シート面圧を上げることができる。例えば、従来構成のシート面圧(約49N)に比べると、本実施形態のシート面圧は約480N(シートの潰れ代を10μmとして計算した場合)で、およそ10倍に増大する。図4は、本発明の効果を示すもので、図3(b)に示す従来構成では、リングシート部32´の閉弁開始から終了までに時間を要し、一端下降した弁体3´が再び上昇するなど圧力脈動の影響が見られるが、図3(a)に示す本実施形態の構成では、速やかに油膜を除去することができるので、圧力脈動の影響を受ける前にリングシート部32を閉弁することができる。さらに、その結果として、増圧制御弁1のスイッチングリークによる駆動損失を低減し、増圧のサイクル変動を防止することができる。
リングシート部32の略円錐面と座面34とのなす角度は、通常、0.5°〜10°の範囲に設定される。上記効果を得るためには、0.5°以上の角度が必要であり、また、円管の片持梁であるリングシート部32の外側にはコモンレール10の圧力が、等分布荷重としてかかっており、このような場合に強度を十分確保するためには、上記角度を10°以下にする必要がある。ただし、この場合でも弾性領域での変形は生じ、シート面がこすれることで磨耗し、耐久性が低下するおそれがある(フレッティング摩耗)。これを防止するために、上記角度は、好ましくは、0.5°〜1.5°の範囲に設定するとよく、図3(a)では、例えば1.0°としている。
本発明の第2の実施形態を図6〜8に従って説明する。図6は、本実施形態の増圧制御弁1構成を示す図で、上記第1の実施形態は、弁体3のリングシート部32形状に特徴を有していたが、本実施形態では、弁体3のテーパシート部31形状に特徴を有する。増圧制御弁1のその他の構成と増圧装置の基本構成および作動は、上記図1、5に示した通りであり、説明を省略する。図6において、弁室B2に位置する弁体3の下端部は、中間部の細径部に続く部位を摺動部径より僅かに大径としてあり、かつ下方に向けて拡径する円錐面シートを設けて、対向する円錐面状の座面33に着座するテーパシート部31とする。この時、図7(a)のように、テーパシート部31と座面33は略平行としてあり、さらに、テーパシート部31の外径と座面33の内径を僅差として、テーパシート部31と座面33の重なり幅をごく小さくする(図では、例えば、0.05mmとする)。これにより、テーパシート部31と座面33の間に形成される絞り部35長さを短縮して、開弁直後の作動の安定性を向上することができる。
上記構成において、増圧終了時、ソレノイド21への通電を停止すると、スプリング23の付勢力によって弁体3が押し下げられて、テーパシート部31が開き、さらにリングシート部32が閉じる。これにより、増圧制御室44に、燃料通路1a、弁室B2、燃料通路1bを介して連通するコモンレール10からの燃料が流入し、増圧ピストン41が復帰する。ところで、この際、図7(b)の従来構成のように、テーパシート部31´と座面33の重なり幅が大きいと(絞り部35が長いと)、テーパシート部31´が開いた直後の小クリアランスの領域で、コモンレール圧の燃料が高速で流出するために、縮流流れとなって圧力が低下し、テーパシート部31´が閉弁する方向(図の上向き)に力が発生する。すると、テーパシート部31´、リングシート部32とも開いた状態となって、増圧制御弁1の作動が不安定になり、コモンレール10の燃料がリークする状態が続くために、増圧制御室44の圧力が上昇しない。このため、増圧ピストン41が復帰しない期間が発生して、増圧期間がサイクル間で変動する。
これに対し、図7(a)に示す本実施形態では、弁体3のテーパシート部31の外径を小さくして、テーパシート部31と座面33の間の絞り部35長さを短くした。これにより縮流(燃料流れによる圧力が低下)が発生する長さを短縮するとともに、シート前後の流路を拡大して流速を低くする形状とし、上向き力を低減することができる。この効果を得るために、テーパシート部31と座面33の重なり幅は、通常、0.1mm程度ないしそれ以下とするのがよく、絞り部35での縮流の発生を抑制して、リングシート部32の速やかな閉弁を実現する。この時、増圧制御弁1の体格をほぼ限界程度に小さくした設計において、例えば、
上向き力=π×テーパシート部31の外径(3mm)×シート重なり幅(0.1mm)×コモンレール圧(80MPa)=75N
となり、スプリング力(90N)より小さいので、スプリング23がテーパシート部31を正常に押し下げることができる。
上向き力=π×テーパシート部31の外径(3mm)×シート重なり幅(0.1mm)×コモンレール圧(80MPa)=75N
となり、スプリング力(90N)より小さいので、スプリング23がテーパシート部31を正常に押し下げることができる。
図8に本発明の効果を示す。図8(a)は、テーパシート部31開弁時のシート面クリアランスと上向き力の関係を示すものである。シート面クリアランスは、絞り部35の幅(テーパシート部31と座面33の対向面間の距離)を表し、例えば、勾配30°のテーパシート部31が20μm降下した時のシート面クリアランスは、20×cos30°=17.3μmとなる。この時、従来の構成では、弁体3に加わる上向き力が大きくなって、リングシート部32の閉弁を妨げるが、本発明の構成とすることで、上向き力を小さくし、リングシート部32の閉弁が可能となる。その結果、図8(b)に示すように、従来の構成では増圧室46の圧力がサイクル間で変動し、噴射率が一定しないが、本発明の構成では、増圧サイクル変動が抑制され、噴射率の制御性が向上していることがわかる。
図9に増圧制御弁1構成の他の例を示す。上記第2の実施形態では、弁体3のテーパシート部31が着座する座面33を円錐面状に形成したが、図9(a)に示すように、座面33´を水平面として、その内周端縁にテーパシート部31が着座する構成としてもよい。この構成でも、絞り部長さが短くなり、シート位置前後で流路が急拡大するので、燃料流れによる圧力低下が生じにくく、上記第2の実施形態と同様の効果が得られる。また、図9(b)に示すように、弁体3のテーパシート部311を、傾斜角度の異なる2つの円錐面を組み合わせた形状とし、シート位置前後で流路が急拡大するように構成してもよい。座面33は円錐面状とする。この構成でも、絞り部長さが短くなり、燃料流れによる圧力低下を抑制して、上記第2の実施形態と同様の効果が得られる。
以上のように、本発明によれば、増圧制御弁1のシート形状を工夫することにより開閉弁時の燃料流れを制御して、増圧制御弁1の作動不良を防止することができる。よって、増圧サイクル変動を抑制して、燃料噴射弁の噴射率を高精度に制御できる。なお、上記第1の実施形態の構成と第2の実施形態の構成を組み合わせた弁体形状とすることもでき、より効果的な増圧制御が可能となる。
1 増圧制御弁
1a 燃料通路
1b 燃料通路
1c リターン通路
2 電磁アクチュエータ
21 ソレノイド
22 アーマチャ
23 スプリング
3 弁体
31 テーパシート部(略円錐面シート)
32 リングシート部(略平面シート)
32a 座面当たり部
33、34 座面
35 絞り部
4 増圧制御弁
41 増圧ピストン
44 制御油圧室
10 コモンレール(蓄圧室)
B バルブボデー
B1 環状流路
B2 弁室
T 燃料タンク
P 燃料ポンプ
1a 燃料通路
1b 燃料通路
1c リターン通路
2 電磁アクチュエータ
21 ソレノイド
22 アーマチャ
23 スプリング
3 弁体
31 テーパシート部(略円錐面シート)
32 リングシート部(略平面シート)
32a 座面当たり部
33、34 座面
35 絞り部
4 増圧制御弁
41 増圧ピストン
44 制御油圧室
10 コモンレール(蓄圧室)
B バルブボデー
B1 環状流路
B2 弁室
T 燃料タンク
P 燃料ポンプ
Claims (8)
- 燃料を蓄圧する蓄圧器の燃料を噴射ノズルから噴射する燃料噴射弁に設けられ、前記蓄圧器から増圧室に供給される燃料を増圧ピストンの駆動により増圧して前記噴射ノズルに供給する増圧器と、前記増圧器の増圧作動を制御する増圧制御弁とを備える燃料噴射弁用増圧装置であって、
前記増圧制御弁は、弁体のシート位置を切り換えることにより増圧制御室を前記蓄圧器またはリターン通路に選択的に連通させて、前記増圧ピストンに作用する油圧を増減するものであり、
前記増圧制御弁の前記弁体が、前記増圧制御室と前記蓄圧器の間を開閉するバルブシート部と、前記増圧制御室と前記リターン通路の間を開閉するバルブシート部を備え、これらバルブシート部の一方を、前記弁体の移動方向の端面に形成される略平面シートとして、そのシート面に尖り形状の座面当たり部を設けたことを特徴とする燃料噴射弁用増圧装置。 - 前記略平面シートを、前記座面当たり部となる外周端縁から内径側へ向けて座面との距離が広がるように僅かに傾斜するシート形状とした請求項1記載の燃料噴射弁用増圧装置。
- 前記略平面シートのシート面と座面とのなす角度が、0.5°〜10°の範囲に設定される請求項1または2記載の燃料噴射弁用増圧装置。
- 前記増圧制御室と前記リターン通路の間を開閉するバルブシート部が、前記略平面シートである請求項1ないし3のいずれかに記載の燃料噴射弁用増圧装置。
- 燃料を蓄圧する蓄圧器の燃料を噴射ノズルから噴射する燃料噴射弁に設けられ、前記蓄圧器から増圧室に供給される燃料を増圧ピストンの駆動により増圧して前記噴射ノズルに供給する増圧器と、前記増圧器の増圧作動を制御する増圧制御弁とを備える燃料噴射弁用増圧装置であって、
前記増圧制御弁は、弁体のシート位置を切り換えることにより増圧制御室を前記蓄圧器またはリターン通路に選択的に連通させて、前記増圧ピストンに作用する油圧を増減するものであり、
前記増圧制御弁の前記弁体が、前記増圧制御室と前記蓄圧器の間を開閉するバルブシート部と、前記増圧制御室と前記リターン通路の間を開閉するバルブシート部を備え、これらバルブシート部の一方を、前記弁体の外周面に形成される略円錐面シートとするとともに、該略円錐面シートの外径と座面の内径を僅差に設けて、シート位置前後に流路拡大部を有する形状としたことを特徴とする燃料噴射弁用増圧装置。 - 前記略円錐面シートの外径と座面の内径との差が、0.1 mm以下である請求項5に記載の燃料噴射弁用増圧装置。
- 前記増圧制御室と前記蓄圧器の間を開閉するバルブシート部が、前記略円錐面シートである請求項5または6記載の燃料噴射弁用増圧装置。
- 前記増圧制御弁の前記弁体は、2つのバルブシート部のシート径が略同一である請求項1ないし7のいずれかに記載の燃料噴射弁用増圧装置。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2004052010A JP2005240684A (ja) | 2004-02-26 | 2004-02-26 | 燃料噴射弁用増圧装置 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2004052010A JP2005240684A (ja) | 2004-02-26 | 2004-02-26 | 燃料噴射弁用増圧装置 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2005240684A true JP2005240684A (ja) | 2005-09-08 |
Family
ID=35022684
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP2004052010A Pending JP2005240684A (ja) | 2004-02-26 | 2004-02-26 | 燃料噴射弁用増圧装置 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP2005240684A (ja) |
Cited By (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2008128081A (ja) * | 2006-11-20 | 2008-06-05 | Denso Corp | 3方切替弁、およびこれを備えるインジェクタ |
-
2004
- 2004-02-26 JP JP2004052010A patent/JP2005240684A/ja active Pending
Cited By (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2008128081A (ja) * | 2006-11-20 | 2008-06-05 | Denso Corp | 3方切替弁、およびこれを備えるインジェクタ |
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Legal Events
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