以下、本発明に係る複数の好適な実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明に係るコネクタのロック構造の第1実施形態を示す雌雄コネクタハウジングの平面図、図2は図1における雌コネクタハウジングとスライドロック部材の外観斜視図、図3は図2におけるスライドロック部材装着後の雌コネクタハウジングの外観斜視図である。
また、図4は図3における雌コネクタハウジングの正面図、図5は図3における雌コネクタハウジングの背面図、図6は図4におけるA−A線断面図、図7(a)は図2におけるスライドロック部材の平面図、図7(b)は図7(a)の正面図、図7(c)は図7(a)の底面図である。また、図8は図1における雌雄コネクタハウジングのロック前の状態を示す平面図、図9は図1における雌雄コネクタハウジングのロック後の状態を示す平面図である。
また、図10は本発明に係るコネクタのロック構造の第2実施形態を示す雌コネクタハウジングとスライドロック部材の外観斜視図、図11は図10における斜め下方から見た外観斜視図、図12は図10におけるスライドロック部材のロック前の状態を示す横断面図、図13は図12におけるスライドロック部材のロック後の状態を示す横断面図である。
図1に示すように、本発明に係る第1実施形態であるコネクタのロック構造は、複数の雌端子14を収容し、係合突起15を有する雄コネクタハウジング11と、相互嵌合により雌端子14に電気的に接続される複数の雄端子16を収容し、コネクタ挿入方向に係合突起15を挿通させる挿通溝17を有する雌コネクタハウジング12との嵌合構造である。そして、雌コネクタハウジング12内には、中途嵌合状態においては係合突起15のコネクタ挿入方向への移動を許容し、且つ完全嵌合状態においては係合突起15のコネクタ離脱方向への移動を阻止する係止部18を有するスライドロック部材13が、コネクタ挿入方向に対して直交する方向にスライド移動可能に装着されている。
雄コネクタハウジング11は、その上面中央部においてコネクタ挿入方向端部に係合突起15が形成されている。雄コネクタハウジング11には、複数の雌端子14がコネクタ挿入方向に向けて収容されている。各雌端子14には、ワイヤハーネス(不図示)に有する各リード部(不図示)が電気的に接続される。
図1および図2に示すように、雌コネクタハウジング12は、四角筒形状のフード部20を有する。また、フード部20の内側がコネクタ挿入部21になっており、フード部20の内面の中央部に挿通溝17が形成されている。挿通溝17には、雄コネクタハウジング11が雌コネクタハウジング12に挿入される際に、雄コネクタハジング11の係合突起15が挿通される。雌コネクタハウジング12には、複数の雄端子16がコネクタ挿入方向に向けて収容されている。各雄端子16は、基板(不図示)上に配されたプリント配線(不図示)に電気的に接続される。つまり、雌コネクタハウジング12は、その側面に一対に設けられた基板固定部22,22が基板に固定されることにより、基板上に配される。
また、雌コネクタハウジング12は、スライドロック部材13を挿入可能な開口部23を有するとともに、開口部23の内側に、コネクタ挿入方向に対して直交する方向にスライドロック部材13を移動可能に支持する支持部24を有する。開口部23は、フード部20の上面における中央部において、コネクタ挿入方向の後方側を開放して形成されている。支持部24は、開口部23の内側であって、フード部20に平行に配されている。開口部23は、スライドロック部材13を雌コネクタハウジング12に挿入するのに用いられる。そのため、スライドロック部材13が開口部23を介して雌コネクタハウジング12内に収容されるため、スライドロック部材13の雌コネクタハウジング12からの突出量を最小限に抑えることができる。また、支持部24は、スライドロック部材13をコネクタ挿入方向に対して直交する方向に移動可能に支持するため、スライドロック部材13がスムースなスライド移動を行うことができる。
また、雌コネクタハウジング12は、スライドロック部材13が開口部23を介して挿入されてから、スライドロック部材13を抜け止めして移動をガイドするガイド部25を有する。ガイド部25は、支持部24の背面側に2個の切欠き26,26を有する板状に突出形成されている。ガイド部25は、スライドロック部材13の下面に形成された一対の突部27,27(図7(c)参照)に対応して配されているため、スライドロック部材13が開口部23を介して挿入される際に、スライドロック部材13の突部27,27を通過させ、その後に、スライドロック部材13がコネクタ挿入方向に対して直交する方向に移動する際に、突部27,27に摺接することにより、スライドロック部材13を抜け止めしながらスムースにスライド移動させる。
また、雌コネクタハウジング12は、支持部24の側端部に当接用壁28を有する。当接用壁28は、スライドロック部材13において支持部24に内装される本体29の端部に形成された付勢手段である弾性片30が当接するように配されている。そのため、スライドロック部材13の弾性片30が当接用壁28に当接することで、スライドロック部材13を押し戻す方向(図1中、下方向)に付勢する。しかも、雌コネクタハウジング後方側の外方向に傾斜しているので、弾性片30の撓み量を小さくして過大変形を防止できる。これにより、弾性片30の破損を防止するとともに、スライドロック部材13を均一な弾性力でスムースに移動させることができる。
図7(a)〜(c)に示すように、スライドロック部材13は、合成樹脂により成形されており、主として、本体29と、突部27,27と、弾性片30と、係止部18と、傾斜面32と、操作部33と、を備えている。
本体29は、開口部23を介して雌コネクタハウジング12に挿入され、支持部24によって支持される板形状に形成されている。突部27,27は、本体29の下面において後方側に一対に突出形成されている。突部27,27は、スライドロック部材13が開口部23を介して挿入される際に、ガイド部25の切欠き26,26(図2参照)を通過し、その後、スライドロック部材13が移動される際に、ガイド部25に摺接することにより、抜け止めされながらスライド移動される。
弾性片30は、本体29の端部において側方に向けて突出形成されており、本体29側に向けて弾性変形可能に形成されている。この弾性片30は、雌コネクタハウジング12の当接用壁28に当接されることにより、スライドロック部材13の移動の際に、弾性変形して弾性反発力を蓄積し、スライドロック部材13を押し戻す方向(図1中、下方向)に付勢している。
係止部18は、本体29の下面において、雄コネクタハウジング12の係合突起15を係合する鉤状であり、雌コネクタハウジング12内に向けて突出形成されている。そして、係止部18は、スライドロック部材13が移動前の第1状態にあるとき、雄コネクタハウジング12の係合突起15のコネクタ挿入方向の前方側に配される。また、雄コネクタハウジング11が雌コネクタハウジング12に挿入された後に、スライドロック部材13が一方向に移動後、再び逆方向に押し戻された第2状態にあるとき、雄コネクタハウジング12の係合突起15のコネクタ挿入方向の後方側に配されて係合突起15を係止し、雄コネクタハウジング11をロックする。
係止部18は、スライドロック部材13がコネクタ挿入方向に対して直交する方向に一度移動してから再び押し戻される往復移動により、雄コネクタハウジング12の係合突起15に係止して、雄コネクタハウジング11を雌コネクタハウジング12にロックするため、コネクタ離脱方向へは移動しない。そのため、雌雄コネクタハウジング11,12のコネクタ挿入方向の長さに影響を与えることなくロック及びアンロックを確実に行うことができる。
傾斜面32は、係止部18のコネクタ挿入方向前方側に配されている。この傾斜面32は、雄コネクタハウジング11が雌コネクタハウジング12に挿入される際に、雄コネクタハウジング11の係合突起15に当接する。そのため、雄コネクタハウジング11の係合突起15がスライドロック部材13の傾斜面32に当接しながら挿入することにより、スライドロック部材13を雌コネクタハウジング12の当接用壁28側に移動させる。そして、雄コネクタハウジング11の挿入が進み、係合突起15が係止部18を乗り越えたとき、当接用壁28に撓み状態で当接していた弾性片30の反発力によりスライドロック部材13を自動的に押し戻す。これにより、係合突起15が係止部18に係止されるため、その動作がスナップアクション的に行われるので、雌雄コネクタハウジング11,12の嵌合状態が中途嵌合状態であった場合、雄コネクタハウジング11が押し戻されるので容易に中途嵌合状態を判別できる。
操作部33は、端面を波状にして本体29から僅かに突出して形成されている。この操作部33は、雄コネクタハウジング11を雌コネクタハウジング12から離脱させるときに操作するもので、操作部33を摘んでスライドロック部材13を当接用壁28側に移動させることで、容易にアンロック状態にすることができる。すなわち、作業者が操作部33を押圧或いは摘んで当接用壁28側に移動させるだけで、係合突起15と係止部18の係止状態を解除させることができ、雌コネクタハウジング12から雄コネクタハウジング11を引抜くことで、雌雄コネクタハウジング11,12を容易に離脱させることができる。
また、係止部18の対向位置には、雄コネクタハウジング11の係合突起15の幅に対応して離間した位置に、コネクタ挿入方向に沿って突出されたガイド板34が形成されている。このガイド板34は、雄コネクタハウジング11の係合突起15が進行する際に、その係合突起15を係止部18の後方へ確実に案内する。
図2〜図5に示すように、スライドロック部材13は、雌コネクタハウジング12の背面側から、開口部23に向けて挿入することで装着される。このとき、本体29が雌コネクタハウジング12の支持部24によって支持され、スライドロック部材13の本体29の下面に突出した突部27,27(図7(c)参照)が雌コネクタハウジング12のガイド部25の切欠き26,26を通過する。そして、雌コネクタハウジング12に挿入されたスライドロック部材13は、操作部33がフード部20の上面に僅かに突出しているだけであり、フード部20の上面が略平坦になっている。
図6に示すように、雌コネクタハウジング12に収容された雄端子16は、上段側の雄端子16のリード部16Aの先端部が雌コネクタハウジング12の下面、即ち、基板の上面と同一面を形成するように折り曲げられて配されている。また、下段側の雄端子16のリード部16Aは上段側よりも短く形成されており、その先端部が雌コネクタハウジング12の下面と同一面を形成するように折り曲げられて配されている。
次に、図8及び図9に基づいて、雌雄コネクタハウジング11,12のスライドロック部材13によるロック動作について説明する。先ず、スライドロック部材13が雌コネクタハウジング12に装着されている状態(図1参照)において、図8に示すように、雄コネクタハウジング11が雌コネクタハウジング12のコネクタ挿入部21内に挿入される。そして、係合突起15が傾斜面32に当接しながら挿入され、この挿入に伴ってスライドロック部材13はコネクタ挿入方向と直交する当接用壁28側の方向にスライド移動する。このとき、スライドロック部材13の弾性片30は、当接用壁28に撓んだ状態で当接しており、当接用壁28側とは逆方向に付勢されている。
そして、雄コネクタハウジング11がコネクタ挿入部21内に完全挿入されるまでの間に、雄コネクタハウジング11の係合突起15は、傾斜面32に当接しながら雌コネクタハウジング12の挿通溝17を通過し、ガイド板34と係止部18との間を通過すると、スライドロック部材13が弾性片30の付勢力によって元の位置(図9の位置)に自動的に押し戻され、係合突起15は係止部18の後方側に配置される。
図9に示すように、スライドロック部材13が元の位置に押し戻されると、係止部18が係合突起15のコネクタ挿入方向後方側に配されるため、係止部18により係合突起15が係止され、雄コネクタハウジング11と雌コネクタハウジング12はロック状態となる。これにより、雄コネクタハウジング11の雌端子14と雌コネクタハウジング12の雄端子16とが電気的に接続される。
このロック状態を解除するに際しては、スライドロック部材13の操作部33を操作して当接用壁28側(図9中、上方)に移動させることにより、係止部18と係合突起15との係止状態が容易に解除され、アンロック状態となる。これにより、雄コネクタハウジング11の係合突起15に、ガイド板34と係止部18との間、雌コネクタハウジング12の挿通溝17へと通ずる通路が形成されるため、雄コネクタハウジング11をコネクタ挿入部21から離反方向に引き出すことができ、雄コネクタハウジング11を雌コネクタハウジング12から容易に離脱させることができる。
上述したように第1実施形態のコネクタのロック構造によれば、スライドロック部材13が、コネクタ挿入方向に対して直交する方向にスライド移動可能に雌コネクタハウジング12に装着されている。そして、雄コネクタハウジング11の係合突起15が雌コネクタハウジング12の挿通溝17を介して雌コネクタハウジング12内に挿入される。この挿入に伴って、スライドロック部材13がコネクタ挿入方向に対し直交する当接用壁28側に弾性片30を撓ませながら移動し、係合突起15が係止部18を乗り越えることで、弾性片30の付勢力によって自動的に元の位置に押し戻される。これにより、係止部18が係合突起15を係止して、雄コネクタハウジング11のコネクタ離脱方向への移動を阻止することで、雄コネクタハウジング11と雌コネクタハウジング12とを抜け止め状態にロックする。
従って、スライドロック部材13がコネクタ挿入方向に対して直交する方向に付勢されることにより、雄コネクタハウジング11を雌コネクタハウジング12から抜け止めすることができるため、雌雄コネクタハウジング11,12のコネクタ挿入方向の長さに影響を与えることがなく、雌雄コネクタハウジング11,12のコンパクト化を図ることができるとともに、ロック及びアンロックを確実に行うことができる。
また、開口部23を介して、スライドロック部材13が雌コネクタハウジング12に挿入され、支持部24により、コネクタ挿入方向に対して直交する方向にスライドロック部材13が移動可能に支持される。これにより、スライドロック部材13の雌コネクタハウジング12からの突出量を最小限に抑えることができ、スライドロック部材13のスムースなスライド移動を行うことができる。
また、ガイド部25により、装着されたスライドロック部材13が抜け止めされてスライド移動されるので、スライドロック部材13は抜け止めを図りながら、ガイド部25に案内されスムースにスライド移動を行うことができる。
また、弾性片30が、雌コネクタハウジング12の当接用壁28に当接することにより、スライドロック部材13が付勢された状態で雄コネクタハウジング11の係合突起15が挿入されるので、スライドロック部材13の押し戻しを付勢力により自動的に行うことができ、雌雄コネクタハウジング11,12の完全嵌合状態を容易にロックすることができる。
また、雄コネクタハウジング11が雌コネクタハウジング12に挿入される際に、スライドロック部材13の傾斜面32に雄コネクタハウジング11の係合突起15が当接しながらスライド移動するので、雄コネクタハウジング11の挿入に伴ってスライドロック部材13をスライド移動させることができる。これにより、中途嵌合状態では雄コネクタハウジング11が雌コネクタハウジング12内から押し出されるので、中途嵌合状態を容易に検知することができる。
また、操作部33によりスライドロック部材13を容易にスライド移動させることができるので、雌雄コネクタハウジング11,12の完全嵌合状態を容易に解除することができる。
次に、本発明に係るコネクタのロック構造の第2実施形態を図10〜図13に基づいて詳細に説明する。なお、既に説明した第1実施形態と同様な構成・作用を有する部材等については、図中に同一符号または相当符号を付することにより説明を簡略化或いは省略する。
図10および図11に示すように、本発明の第2実施形態であるコネクタのロック構造は、雄コネクタハウジング11の雌コネクタハウジング12への挿入時に係合突起15に当接する当接斜面を有する押圧片42が、スライドロック部材41に形成されている。このスライドロック部材41が、係合突起15の押圧片42への当接により、スライド移動されて係止部43が係合突起15のコネクタ離脱方向への移動を阻止する構成である。
スライドロック部材41は、板形状の本体44の中央部に押圧片42を有する。押圧片42は、可撓性を有しており、コネクタ挿入方向に対して当接斜面を形成するようにへ字形状に構成されている。また、スライドロック部材41は、本体44の端部に緩衝部45を有する。緩衝部45は、スライドロック部材41が、スライド移動した際に雌コネクタハウジング12の開口部23の端面に衝突することにより、その際の衝撃を緩和する。また、スライドロック部材41は、雌コネクタハウジング12に形成された矩形の開口部23に収容される形状にされている。
図12に示すように、第2実施形態のコネクタのロック構造では、スライドロック部材41が雌コネクタハウジング12に装着されている状態において、雄コネクタハウジング11が雌コネクタハウジング12のコネクタ挿入部21内に挿入される。このとき、係合突起15が押圧片42に当接することにより、スライドロック部材41が押圧片42により付勢される。
図13に示すように、係合突起15が係止部43を越える位置まで挿入されると、スライドロック部材41がスライド移動されることにより、係止部43が係合突起15のコネクタ離脱方向への移動を阻止し、雄コネクタハウジング11を雌コネクタハウジング12から抜け止めしてロック状態とする。
前述した第2実施形態のコネクタのロック構造によれば、雄コネクタハウジング11の雌コネクタハウジング12への挿入時に、スライドロック部材41の当接斜面を有する押圧片42に雄コネクタハウジング11の係合突起15が当接することで、雄コネクタハウジング11の挿入に伴ってスライドロック部材13が自動的にスライド移動される。そして、係止部43により、係合突起15のコネクタ離脱方向への移動が阻止され、雄コネクタハウジング11と雌コネクタハウジング12の完全嵌合状態がロックされる。このとき、雌雄コネクタハウジング11,12が中途嵌合状態であると、雄コネクタハウジング11が押し戻されるので、中途嵌合状態を検知することができる。
従って、スライドロック部材41がコネクタ挿入方向に対して直交する方向に移動することにより、雄コネクタハウジング11を雌コネクタハウジング12から抜け止めることができ、雌雄コネクタハウジング11,12のコネクタ挿入方向の長さに影響を与えることがなく、雌雄コネクタハウジング11,12のコンパクト化を図ることができるとともに、ロック及びアンロックを確実に行うことができる。
また、緩衝部45により、スライドロック部材41がスライド移動した際に生ずる衝撃が緩和されるため、引っ掛かり等を起こすことなくスライドロック部材41をスムースに移動させることができる。
次に、本発明に係るコネクタのロック構造の第3実施形態を図14〜図24に基づいて詳細に説明する。なお、既に説明した第1実施形態と同様な構成・作用を有する部材等については、図中に同一符号または相当符号を付することにより説明を簡略化或いは省略する。
図14は本発明に係るコネクタのロック構造の第3実施形態を示す雌雄コネクタの斜視図、図15は図14における雄コネクタハウジングとスライドロック部材の斜視図、図16は図15における雄コネクタハウジングの本体の斜視図、図17は図15における雄コネクタハウジングの蓋体の斜視図、図18は図17における蓋体の背面の斜視図、図19は図15におけるスライドロック部材の斜視図、図20は図19におけるスライドロック部材の背面の斜視図、図21は図14における雌コネクタハウジングの斜視図、図22は図14における雌雄コネクタの初期嵌合状態を示す斜視図、図23は図22における雌雄コネクタが更に嵌合した中途嵌合状態を示す斜視図、そして、図24は図23における雌雄コネクタが更に嵌合した完全嵌合状態を示す斜視図である。
図14に示すように、本発明に係る第3実施形態であるコネクタのロック構造は、複数の雄端子16を収容し、係合突起115を有する雌コネクタ2と、雄端子16に電気的に接続される複数の雌端子14を収容し、スライドロック部材113及び付勢手段である当接用壁128を有する雄コネクタ1との嵌合構造である。
図15から図18に示すように、雄コネクタ1は、複数の雌端子14(不図示)を整列させて収容する雄コネクタハウジング111を有する。雄コネクタハウジング111は、複数の雌端子14を所定のピッチで整列させ且つコネクタ挿入方向に向けて保持するハウジング本体150に、ハウジング本体150と協働して複数の雌端子14に接続されるワイヤハーネス(不図示)を固定する蓋体151を装着した組立体を、上下2段に連結して構成されている。ワイヤハーネスの各ワイヤは、その先端部に露出されたリード部(不図示)を各雌端子14にそれぞれ圧接されて電気的に接続される。また、雄コネクタハウジング111の長手方向に平行な一側面上の略中央部にはスライドロック部材113が前記長手方向(即ち、コネクタ挿入方向に対して直交する方向)に移動可能に保持されている。
雄コネクタハウジング111のハウジング本体150は合成樹脂を射出成形することによって形成されており、ハウジング本体150のコネクタ挿入方向前方側の端部には、端面に開口を有して雌端子14を収容する複数の雌端子収容孔157が前記長手方向に整列して設けられている。ハウジング本体150の前記長手方向に平行な一側面上において、コネクタ挿入方向前方の縁部の略中央部には、スライドロック部材113の前記長手方向の移動を案内する第1ガイド部125が設けられている。第1ガイド部125は、前記長手方向に平行な略角柱状にハウジング本体150から突出して形成されており、前記長手方向に垂直な断面において、ハウジング本体150との接合端から先端に行くに従って広がるように(以後、逆台形状と呼ぶ)形成されている。さらに、第1ガイド部125の前記長手方向近傍には、当接用壁128が設けられている。当接用壁128には当接面159が設けられており、当接面159は、前記長手方向において雄コネクタハウジング111の中央部から側端部に向けてコネクタ挿入方向前方に上昇するように傾斜して形成されている。
ハウジング本体150のコネクタ挿入方向後方側の端部(基部)には、雌端子収容孔157に連通して、且つ前記リード部が設けられた前記ワイヤの前記先端部をそれぞれ収容する複数のワイヤ収容部158が設けられており、各ワイヤ収容部158は隔壁154によって隣接するワイヤ収容部158と隔絶され、前記一側面側を開放して形成されている。前記長手方向に整列された複数の隔壁154には、係止突起155がそれぞれ設けられており、各係止突起155は蓋体151に対応して設けられた係止溝156にそれぞれ係合して、蓋体151をハウジング本体150に固定する。ハウジング本体150の前記一側面と反対の側面には、別個のハウジング本体150を連結するための連結突起152と、連結溝153とが設けられており、連結突起152が別個のハウジング本体150の連結溝153に、且つ別個のハウジング本体150の連結突起152が連結溝153にそれぞれ嵌合することにより、一組のハウジング本体150、150が連結される。
雄コネクタハウジング111の蓋体151は合成樹脂を射出成形することにより形成されており、蓋体151の前記長手方向に平行な一側面上において、コネクタ挿入方向後方側の縁部の略中央部にはスライドロック部材113の前記長手方向の移動を案内する第2ガイド部126が設けられている。第2ガイド部126は、前記長手方向に平行な略角柱状に蓋体151から突出して形成されており、前記長手方向に垂直な断面において、逆台形状に形成されている。第2ガイド部126の前記長手方向近傍には、雄コネクタ1と雌コネクタ2の嵌合状態を示すインジケータ166が設けられている。インジケータ166としては、スライドロック部材113の前記長手方向への移動を妨げない程度に塗布された塗料、又は凹状の窪み等を例示することができる。
蓋体151の前記一側面のコネクタ挿入方向における略中央部には、複数の係止溝156が前記長手方向に整列して蓋体151を貫通して形成されており、各係止溝156がハウジング本体150の対応する係止突起155と係合することにより、蓋体151がハウジング本体150に固定される。蓋体151の前記一側面とは反対の側面上には、各雌端子14に電気的に接続される前記各ワイヤを、ハウジング本体150のワイヤ収容部158と協働して固定する複数の第1ワイヤ固定部160及び複数の第2ワイヤ固定部161が設けられている。
蓋体151には、前記長手方向にスライドロック部材113を移動可能に支持する支持部124が設けられており、支持部124は蓋体151の前記一側面と、コネクタ挿入方向前方の端面とにより構成される角部に階段状に形成されている。
図15、図19及び図20に示すように、スライドロック部材113は、合成樹脂を射出成形することにより形成されており、略矩形板状の本体129を有している。雄コネクタハウジング111にスライドロック部材113を装着した際に、コネクタ挿入方向後方側となる本体129の上面の縁部には、波形状に(即ち、凸部と凹部とを交互に配置して)形成された操作部133が設けられている。本体129のコネクタ挿入方向前方側の当接用壁128と近接する角部とは反対の角部には係止部118が設けられており、本体129の係止部118後部領域には切り欠きが設けられ、また係止部118の先端部のコネクタ挿入方向前方側には傾斜面132が設けられている。言い換えれば、本体129の前記領域を切り欠くことにより鉤状に突出した係止部118を形成している。
本体129の下面のコネクタ挿入方向における略中央部には、雄コネクタハウジング111の蓋体151の支持部124に支持される支持体127が、前記長手方向に平行に前記下面より突出して形成されている。支持体127には、弾性片130が設けられており、弾性片130は、略J字形状に形成され、その湾曲部分を当接用壁128の当接面159に当接させるように、またその直線部分を前記長手方向に略平行に配置するように支持突起127に接続されている。
本体129の下面において、コネクタ挿入方向前方側縁部には、ハウジング本体150の第1ガイド部125と嵌合する第1ガイド溝162が、またコネクタ挿入方向後方側縁部には、蓋体151の第2ガイド部126と嵌合する第2ガイド溝163が、それぞれ前記長手方向に平行に設けられている。第1ガイド溝162は第1ガイド部125の形状に、また第2ガイド溝163は第2ガイド部の形状に、それぞれ対応して逆台形状に形成されており、第1ガイド部125及び第2ガイド部126が、第1ガイド溝162及び第2ガイド溝163にそれぞれ圧入されることにより、スライドロック部材113の脱落を防止する。また、第1ガイド溝162は、本体129の前記長手方向と直交する一側面まで延設されており、第2ガイド溝163は、本体129の前記長手方向と直交する他側面まで延設されており、これによりスライドロック部材113を前記長手方向に移動可能に保持すると共に、スライドロック部材113の過度の移動を防止する。
図21に示すように、雌コネクタ2は、合成樹脂を射出成形することにより形成されており、複数の雄端子16を上下2段に且つ前記長手方向に平行に整列させて収容する雌コネクタハウジング112を有する。各雄端子16が、その基端部を基板(不図示)上に配されたプリント配線(不図示)に電気的に接続されると共に、雌コネクタハウジング112の前記長手方向と直交する両側面にそれぞれ設けられた基板固定部22,22が基板に固定されて、雌コネクタ2は基板上に配置される。雌コネクタハウジング112は、複数の雄端子16を取り囲み且つ雄コネクタハウジング111が挿脱される略矩形筒状のフード部120を有している。フード部120の内壁の略中央部には、雄コネクタハウジングに装着されたスライドロック部材113を収容する収容部164が設けられており、収容部164はスライドロック部材113の形状と、その前記長手方向の移動量を考慮して形成されている。
フード部120の内壁には、前記長手方向に平行に収容部164内に突出する係合突起115が設けられている。フード部120の開口部に面する係合突起115の側面は、雌コネクタハウジング112の基部に向かって傾斜しており、雄コネクタ1が雌コネクタ2に挿入される際に、スライドロック部材113の係止部118の傾斜面132と当接して、スライドロック部材113を前記長手方向に移動させる。
図15に示すように、雄コネクタハウジング111にスライドロック部材113が装着された状態において、スライドロック部材113の弾性片130は、当接用壁128の当接面159のコネクタ挿入方向前方に位置している。このとき、弾性片130はスライドロック部材113(より詳細には、スライドロック部材113の本体129)と雄コネクタハウジング111との間に介在し、スライドロック部材113の本体129により完全に覆われる。雄コネクタハウジング111が雌コネクタハウジング112に挿入されると、スライドロック部材113の係止部118の傾斜面132が、雌コネクタハウジング112の係合突起115に当接し、前記長手方向の当接用壁128側にスライドロック部材113を移動させる。この時、弾性片130は、当接用壁128によりコネクタ挿入方向前方に偏向され、同時にスライドロック部材113を逆方向に移動させる付勢力を発生させる。
次に、図14及び図22から図24に基づいて、雄コネクタ1及び雌コネクタ2のスライドロック部材113によるロック動作について説明する。
スライドロック部材113が雄コネクタハウジング111に装着されている状態(図14及び図15参照)において、図22に示すように、雄コネクタハウジング111及びスライドロック部材113が雌コネクタハウジング112のフード部120内に挿入される。この時、係合突起115が傾斜面132に当接しながら挿入され、この挿入に伴ってスライドロック部材113は前記長手方向の当接用壁128側にスライド移動される。このとき、スライドロック部材113の弾性片130は、その先端部を当接用壁128の当接面159に当接させた状態で撓んでいる。
そして、図23に示すように、雄コネクタハウジング111がフード部120内に完全挿入されるまでの間に、スライドロック部材113の係止部118の傾斜面132が係合突起115との当接から解除される。このとき、雄コネクタハウジング111の蓋体151に設けられたインジケータ166はスライドロック部材113に覆われており、雌雄コネクタが中途嵌合状態であることが確認される。
そして、雄コネクタハウジング111がフード部120内にさらに挿入されると、図24に示すように、スライドロック部材113が弾性片130の付勢力によって元の位置に自動的に押し戻され、係合突起115は係止部118の後方側(即ち、係合位置)に配置される。スライドロック部材113が元の位置に押し戻されると、係止部118が係合突起115のコネクタ挿入方向後方側に配されるため、係合突起115により係止部118が係止され、雄コネクタハウジング111と雌コネクタハウジング112はロック状態となる。このとき、インジケータ166はスライドロック部材113の前記長手方向の側方に出現し、雌雄コネクタが完全嵌合状態であることを明示する。
このロック状態を解除するに際しては、スライドロック部材113の操作部133を操作して当接用壁128側に移動させることにより、係合突起115と係止部118との係止状態が容易に解除され、アンロック状態となる。これにより、雄コネクタハウジング111をフード部120から離反方向に引き出すことができ、雄コネクタハウジング111を雌コネクタハウジング112から容易に離脱させることができる。
前述した第3実施形態のコネクタのロック構造によれば、雌コネクタハウジング112がフード部120の内部にスライドロック部材113の収容部164と係合突起115とを有しているので、雌雄コネクタが完全に嵌合した状態において、スライドロック部材113の露出部分を削減することができ、誤操作による雌雄コネクタのアンロックを防止することができる。そして、雄コネクタハウジング111が雌コネクタハウジング112に挿入される際に、係合突起115がスライドロック部材113の係止部11の傾斜面132に当接し、スライドロック部材113をコネクタ挿入方向に対して直交する一方向に移動させて係止部118との係合位置に到達する。これにより、雄コネクタハウジング111を雌コネクタハウジング112に挿入する一連の操作において、雌雄コネクタのロック動作を自動的に行うことができる。
次に、本発明に係るコネクタのロック構造の第4実施形態を図25から図28に基づいて詳細に説明する。なお、既に説明した第1実施形態から第3実施形態と同様な構成・作用を有する部材等については、図中に同一符号または相当符号を付することにより説明を簡略化或いは省略する。
図25は本発明に係るコネクタのロック構造の第4実施形態を示す雄コネクタの斜視図、図26は図25における雄コネクタハウジングの斜視図、図27は図25におけるスライドロック部材の斜視図、そして図28は図27におけるスライドロック部材の背面の斜視図である。
図25に示すように、雄コネクタ1は当接用壁228を設けられた雄コネクタハウジング111と、スライドロック部材213とを有している。
スライドロック部材213は、雄コネクタハウジング111の長手方向に平行な一側面上に、前記長手方向(即ち、コネクタ挿入方向に対して直交する方向)に移動可能に保持されている。
図26に示すように、雄コネクタハウジング111は、合成樹脂を射出成形することにより、スライドロック部材213に設けられた弾性片を当接させる当接用壁と共に一体に形成されている。当接用壁228は、雄コネクタハウジング111の前記一側面上のコネクタ挿入方向後方側の側端部に設けられており、略矩形状に前記一側面から突出して形成されている。当接用壁228の中央部には、雄コネクタハウジング111の中央部側の前記長手方向と直交する側面から反対側面の近傍に達する略三角形状の切り欠き部が設けられている。前記切り欠き部の一斜面は、コネクタ挿入方向前方に、且つ雄コネクタハウジング111の中央部方向に面するように傾斜されており、スライドロック部材213に設けられた弾性片と当接する当接面259を形成している。
当接用壁228の前記切り欠き部のコネクタ挿入方向前方には、スライドロック部材213の前記長手方向の移動を案内する第1ガイド部225と、第2ガイド部226とが設けられている。第2ガイド部226は、当接用壁228のコネクタ挿入方向前方の端面に、略コ字溝状に且つ前記長手方向に平行に形成されている。また、第1ガイド部225は、当接用壁228の前記一側面上において第2ガイド部226と前記切り欠き部との間に、略コ字溝状に且つ前記長手方向に平行に形成されている。さらに、当接用壁228の前記切り欠き部のコネクタ挿入方向後方には、スライドロック部材213の前記長手方向の移動を案内する第3ガイド部227が設けられている。第3ガイド部227は、当接用壁228のコネクタ挿入方向後方の端面に、略コ字溝状に且つ前記長手方向に平行に形成されている。
スライドロック部材213は、弾性の金属材料により弾性片230と共に一体に形成されている。スライドロック部材213は、略矩形薄板状の本体229を有しており、雄コネクタハウジング111にスライドロック部材213を装着した際に、コネクタ挿入方向後方側となる本体229の縁部の中央部には、突出して形成された操作部233が設けられている。本体229の側部におけるコネクタ挿入方向中央部には、相手方コネクタに設けられた係合突起の形状に対応する切り欠き部が設けられており、該切り欠き部のコネクタ挿入方向前方には、係止部218が設けられている。係止部218のコネクタ挿入方向前方側の角部は、面取り状に形成された傾斜辺を有しており、前記傾斜辺には、その直交方向に連続する金属片が延設されており、該金属片が本体229に対して鉛直下方に直角に屈曲されて、相手方コネクタに設けられた係合突起と当接する傾斜面232を形成している。
本体229のコネクタ挿入方向前方の端部には、略へ字形状に本体229の下方に突出する第1ガイド突起234が設けられている。また、本体229のコネクタ挿入方向前方側の縁部には、本体229の外方に金属片が延設されており、該金属片が本体229に対して鉛直下方に直角に屈曲され、さらにその先端部を本体229の内方に直角に屈曲されており、略L字形状の第2ガイド突起235を形成している。同様に、本体229のコネクタ挿入方向後方側の縁部には、本体229の外方に金属片が延設されており、該金属片が本体229に対して鉛直下方に直角に屈曲され、さらにその先端部を本体229の内方に直角に屈曲されており、略L字形状の第3ガイド突起236を形成している。第1ガイド突起234が当接用壁228の第1ガイド部225と係合し、第2ガイド突起235が当接用壁228の第2ガイド部226と係合し、そして第3ガイド突起236が当接用壁228の第3ガイド部227と係合することにより、スライドロック部材213は雄コネクタハウジング上を前記長手方向に移動可能に保持される。
第3ガイド突起のコネクタ中央部側の端部において、本体229と直交する端面には、本体229の外方に連続する金属片が設けられており、該金属片はその基端部(即ち、第3ガイド突起との接続部)において本体229の中心部に向けて湾曲され、且つその先端部を略J字形状にコネクタ挿入方向前方に向けて湾曲されており、本体229の下方に弾性片230を形成している。スライドロック部材213が雄コネクタハウジング111に装着された状態において、弾性片230はスライドロック部材213(より詳細には、スライドロック部材213の本体229)と雄コネクタハウジング111との間に介在し、スライドロック部材213の本体229により完全に覆われる。
相手方コネクタである雌コネクタの構造、及び雌コネクタとのロック動作については、前述した第3実施形態と同様であるため、説明を省略する。
前述した第4実施形態のコネクタのロック構造によれば、一般に銅合金等の金属材料は樹脂材料と比較して弾性に優れているので、スライドロック部材の移動に応じて撓む弾性片を金属材料により形成することで弾性片を小型化することができ、よって雌雄コネクタの一層のコンパクト化を図ることができる。
次に、本発明に係るコネクタのロック構造の第5実施形態を図29から図36に基づいて詳細に説明する。なお、既に説明した第1実施形態から第4実施形態と同様な構成・作用を有する部材等については、図中に同一符号または相当符号を付することにより説明を簡略化或いは省略する。
図29は本発明に係るコネクタのロック構造の第5実施形態を示す雌雄コネクタの斜視図、図30は図29に示す雄コネクタハウジングの蓋体の上側面の平面図、図31は図29に示すスライドロック部材の上側面の平面図、図32は図29に示すスライドロック部材の下側面の平面図、図33は雄コネクタハウジングの蓋体にスライドロック部材を装着した際の平面図、図34は図33におけるXXXIV-XXXIV矢視断面図、図35は図33におけるXXXV-XXXV矢視断面図、図36(A)〜(B)は雌雄コネクタの嵌合移動に伴うスライドロック部材の動作を説明する模式図である。
図29に示すように、本発明に係る第5実施形態であるコネクタのロック構造は、複数の雄端子16(図示せず)を収容すると共に係合突起115を有する雌コネクタ2と、雄端子16に電気的に接続される複数の雌端子14(図示せず)を収容すると共にスライドロック部材313及び付勢手段を構成する当接用壁328を有する雄コネクタ1との嵌合構造である。尚、雌コネクタ2の構成については、前述した第3実施形態と同様であるため説明を省略する。
雄コネクタ1は、複数の雌端子14(不図示)を整列させて収容する雄コネクタハウジング311を有する。雄コネクタハウジング311は、複数の雌端子14を所定のピッチで整列させ且つコネクタ挿入方向に向けて保持する2個のハウジング本体350,350が上下2段に連結した組立体に、さらに蓋体351が組み付けられて構成されている。そして、雄コネクタハウジング311の上側面の略中央部にはスライドロック部材313が雄コネクタハウジング311の長手方向(即ち、コネクタ挿入方向に対して直交する方向)に移動可能に支持されて装着されている。
雄コネクタハウジング311のハウジング本体350は合成樹脂を射出成形することによって形成されており、ハウジング本体350のコネクタ挿入方向前方側の端部には、端面に開口を有して雌端子14を収容する複数の雌端子収容孔361が前記長手方向に整列して設けられている。各雌端子14には、ワイヤハーネス等の各ワイヤの先端部に露出されたリード部(不図示)がそれぞれ圧接されて電気的に接続されている。ハウジング本体350の下側面には連結突起352が、また上側面には連結溝353が、前記長手方向に整列して複数設けられており、連結突起352が他のハウジング本体350の連結溝353にそれぞれ嵌合して、ハウジング本体350,350が連結されている。
雄コネクタハウジング311の蓋体351は合成樹脂を射出成形することにより形成されており、ハウジング本体350と接合する側面(図29における、下側面)には、連結突起352が前記長手方向に整列して複数設けられており、ハウジング本体350の連結溝353にそれぞれ嵌合して、ハウジング本体350,350の組立体に連結されている。また、蓋体351の前記長手方向の両側部には下方に延びる係止腕371,371がそれぞれ設けられており、各係止腕371は、ハウジング本体350の前記長手方向の両側部に設けられた嵌合溝363にそれぞれ嵌合し、且つ各係止腕371の先端部に設けられた係止爪がハウジング本体350,350の組立体の下側面に係合しており、これにより、ハウジング本体350,350の組立体と蓋体351とがさらに強固に一体とされている。
さらに図30を参照して、蓋体351の連結突起352が設けられた側面とは反対側の側面(図29における上側面)において、コネクタ挿入方向前方側縁部の略中央部には、前記長手方向のスライドロック部材313の移動を案内するガイド部365が設けられており、ガイド部365は前記長手方向に平行な略角柱状に形成されている。さらに、ガイド部365のコネクタ挿入方向後方には、一対の当接用壁328,328が、スライドロック部材313の移動方向(即ち、コネクタ挿入方向と直交する方向であって、雄コネクタハウジング311の前記長手方向)に平行なスライドロック部材313の仮想中心線に関して対称に設けられており、各当接用壁328は前記長手方向に平行な略角柱状に形成されている。一対の当接用壁328,328の互いに対向する側面には、当接面359,359がそれぞれ設けられており、一対の当接面359,359は、スライドロック部材313の装着時にスライドロック部材313に向かうに従って両者の間隔が次第に拡開するように傾斜して形成されている。また、各当接用壁328の当接面359が設けられた側面とは反対側の側面には、断面略コ字形の案内溝367が前記長手方向に平行に形成されている。また、一対の当接用壁328,328の間には、スライドロック部材313の抜けを防止するための突起状の抜け止め369が形成されている。
図31および図32に示すように、スライドロック部材313は、合成樹脂を射出成形することにより形成されており、略矩形板状の本体329を有している。本体329の上面において、雄コネクタハウジング311にスライドロック部材313を装着した際にコネクタ挿入方向後方側となる縁部には、操作部375が本体329から突出して設けられており、さらに操作部375には、スライドロック部材313の係合を解除する際の操作方向を示す矢印が突出して形成されている。前記矢印を凸状に形成することにより、視認を容易とし、また操作時に指をかかり易くして操作性を向上させることができる。
操作部375に形成された前記矢印の示す方向の後方側にあたる本体329の側部において、コネクタ挿入方向前方側の角部には、略三角形に切欠かれることにより傾斜面332が形成されている。また、コネクタ挿入方向略中央部には、係止部318が設けられており、係止部318はその後部領域を略矩形に切欠くことにより鉤状に形成されている。
本体329の下面には一対の弾性片330,330が、スライドロック部材313の前記仮想中心線に関して対称に設けられており、一対の弾性片330,330は、係止部318が設けられた本体329の側部とは他方の側部においてコネクタ挿入方向略中央部に突設された基部377からそれぞれ延出し、係止部318に向かうに従って次第に拡開するように略ハ字形に形成されている。また、本体329の下面において、コネクタ挿入方向前方側および後方側の縁部にそれぞれ立設された側壁には、蓋体351の一対の当接用壁328,328に形成された案内溝367,367にそれぞれ嵌合して摺接するガイドレール379,379が前記長手方向に平行に設けられており、各ガイドレール379は側壁からそれぞれ内方に突出して形成されている。
図33から図35を参照して、スライドロック部材313は、各弾性片330が傾斜した当接面359に沿うように、蓋体351に装着される。このとき、各弾性片330は、スライドロック部材313(より詳細には、スライドロック部材313の本体329)と雄コネクタハウジング311との間に介在し、スライドロック部材313の本体329により完全に覆われる。また、スライドロック部材313のガイドレール379,379が当接用壁328,328に設けられた案内溝367,367に嵌合し、スライドロック部材313の前記長手方向の移動を案内すると共に、スライドロック部材313の基部377が蓋体351の抜け止め369と当接し、スライドロック部材313の前記長手方向の移動を規制してスライドロック部材の脱落を防止している。
次に、図36(A)及び(B)を参照して、雄コネクタ1及び雌コネクタ2の嵌合に伴うスライドロック部材313の動作について説明する。
雄コネクタ1及び雌コネクタ2が非嵌合状態においては、スライドロック部材313は、図36(A)に示すように、一対の弾性片330,330の基部377を抜け止め369に当接させた状態で配置されている。このとき、一対の弾性片330,330の各先端部は一対の当接面359,359にそれぞれ軽く接触するか、若しくは僅かな隙間を置いて近接した状態とされている。雄コネクタハウジング311が雌コネクタハウジング112(不図示)に挿入されると、スライドロック部材313の傾斜面332が雌コネクタハウジング112の係合突起115(不図示)に当接し、図36(B)に示すように、スライドロック部材313は操作部375に形成された前記矢印方向に移動する。
図36(B)に示す状態において、一対の弾性片330,330は、一対の当接面359,359によりその先端を互いに接近する方向に偏向されている。このとき、各弾性片330は、その弾性による復元作用により当接面359を押圧し、当接面359に弾性復元力を作用させている。この弾性復元力には、スライドロック部材の移動方向に対して平行な成分と垂直な成分とが含まれているが、一対の弾性片330,330および一対の当接用壁328,328(より詳細には、一対の当接面359,359)が、スライドロック部材313の前記仮想中心線に関して線対称に形成されているので、各弾性片330の前記弾性復元力の垂直方向成分は、互いに打ち消しあうことになる。従って、一対の弾性片330,330は、スライドロック部材313の移動方向に平行で且つ操作部375の前記矢印方向とは逆方向の付勢力を発生させる。
そして、雄コネクタハウジング311が雌コネクタハウジング112にさらに挿入されるのに伴って、雌コネクタハウジング112の係合突起115が係止部318のコネクタ挿入方向後方の前記切欠きの側方に到達すると、スライドロック部材313は、一対の弾性片330,330による前記付勢力により図36(A)に示す元の位置に自動的に押し戻される。このとき、係合突起115は、係止部318のコネクタ挿入方向後方の前記切欠き(即ち、係合位置)に配置され、雄コネクタハウジング311と雌コネクタハウジング112はロック状態となる。
このロック状態を解除するに際しては、スライドロック部材313の操作部375を矢印方向に操作することにより、係合突起315と係止部318との係止状態が容易に解除され、アンロック状態となる。これにより、雄コネクタハウジング311を雌コネクタハウジング112から離反方向に引き出すことができ、雄コネクタハウジング311を雌コネクタハウジング112から容易に離脱させることができる。
前述した第5実施形態のコネクタのロック構造によれば、雌雄コネクタハウジングの嵌合および離脱移動時のスライドロック部材313の移動に伴って、スライドロック部材313の前記仮想中心線に関して対象に形成された一対の当接用壁328,328に一対の弾性片330,330がそれぞれ当接し、一対の弾性片330,330が前記仮想中心線に関して対象に且つ均等に撓むので、各弾性片330の弾性復元力のうちスライドロック部材313の移動方向と直交する方向の成分は互いに打ち消しあうように作用する。これにより、スライドロック部材313には、スライドロック部材の移動方向に平行な付勢力が作用することになり、移動時のスライドロック部材313の傾きが防止され、ガタなく滑らかにスライドロック部材313を移動させることが可能となり、係合突起115と係止部318との係合を確実にすると共に、係合解除時の操作性が向上する。また、弾性片330の長さを短くすることができ、コネクタのロック構造の小型化が可能となる。
なお、本発明のコネクタのロック構造は、前述した各実施形態に限定されるものでなく、適宜な変形,改良等が可能である。例えば、雌雄コネクタハウジングに収容される雄・雌端子の数は、図示したものに限定されず、少なくとも1つ以上であれば良く、複数の端子を3段、4段等の複数段配列にしても良い。
また、弾性片の形状については、弾性復元力を生じるものであれば、それらの形状は限定されない。例えば、湾曲形状等にしても良い。