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JP2005155600A - 水冷式エンジン及びそのシリンダブロック - Google Patents

水冷式エンジン及びそのシリンダブロック Download PDF

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JP2005155600A
JP2005155600A JP2004183991A JP2004183991A JP2005155600A JP 2005155600 A JP2005155600 A JP 2005155600A JP 2004183991 A JP2004183991 A JP 2004183991A JP 2004183991 A JP2004183991 A JP 2004183991A JP 2005155600 A JP2005155600 A JP 2005155600A
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Abstract

【課題】シリンダ周囲へのウォータジャケットの成形を容易とする。
【解決手段】シリンダ周囲にウォータジャケットの形成されるシリンダブロック3の中段部を、そのウォータジャケットとなる部位を境に、そのシリンダ側の壁面を構成するシリンダライナ部21と、同ウォータジャケットとなる部位を囲む外壁を構成するシリンダ外壁部32とに分割形成する。シリンダライナ部21には、組み付けに際してシリンダヘッドが載置されてその底面が当接される平板状のアッパデッキ部22が一体成形されており、シリンダ外壁部32の頂面は、そのアッパデッキ部22を当接支持する受け面32aとなっている。シリンダライナ部21をシリンダ外壁部32に装着した際に、シリンダライナ部21の外周面24、シリンダ外壁部32の内周面35及びアッパデッキ部22の下面によって、シリンダ周囲にウォータジャケットが区画形成される。
【選択図】 図3

Description

本発明は、シリンダ周囲にウォータジャケットが区画形成されたシリンダブロックをシリンダヘッドに組み付けて形成される水冷式エンジン、及びそうした水冷式エンジンに用いられるシリンダブロックに関する。
水冷式エンジンのシリンダブロックには、冷却水を循環させるウォータジャケットがシリンダ周囲に形成されている。シリンダブロックは大きくは、シリンダボアの形成されたシリンダ部をその上部に、クランクケースを構成するクランクケース部をその下部にそれぞれを備えて構成されている。
ちなみにこうした水冷式エンジンのシリンダブロックにおけるウォータジャケット構造としては、ウォータジャケットがシリンダブロック頂面に開口されたオープンデッキ構造と、ウォータジャケットがシリンダブロック頂面に開口されずに閉塞されたクローズデッキ構造とがある。
従来、特許文献1に見られるように、シリンダ部とクランクケース部との上下2つのパーツに分割された構造の水冷式エンジン用シリンダブロックが提案されている。このシリンダブロックでは、ウォータジャケットがシリンダ部の下方に開口される構造となっている。そのため、上記クローズデッキ構造のウォータジャケットであれ、中子を用いることなく成形が可能となり、通常の砂中子を使用し難いダイキャスト製法であれ容易にその製造方法として採用することができるようになっている。
また特許文献2には、シリンダブロック本体にシリンダライナ下端部を圧入装着する構造の水冷式エンジン用シリンダブロックが記載されている。このシリンダブロックは、シリンダライナがウォータジャケットに接する、いわゆるウェットライナ構造とされている。
なお同文献には、外周に突出されてシリンダブロック本体に当接される突起部を、シリンダライナのシリンダヘッド側端部に設ける構成も記載されている。この構成では、シリンダライナをその上端部及び下端部の双方で支持することができ、シリンダライナをより強固に固定することができる。
実公昭62−119450号 特開2002−97997号
ところで上記のような水冷式エンジンのシリンダブロックは、シリンダ周囲にウォータジャケットが形成される都合上、入り組んだ複雑な形状となっている。そのため、その鋳造に際して鋳巣等の鋳造欠陥が生じ易く、品質の保証が困難となっていた。またそうしたシリンダブロックの鋳造型においてウォータジャケット成形用の型部分は極めて肉薄となり、鋳造中の冷却が困難であることから、型寿命を縮める大きい要因となっていた。特に近年には、エンジンの小型化や軽量化、冷却水循環量の低減などの要求により、ウォータジャケットはより幅狭に形成される傾向にあり、上記不具合が一層顕在化しているのが実情である。
なおクランクケース部とシリンダライナ部とを別体に成形した特許文献1のシリンダブロックにおいても、ウォータジャケットとなる幅狭く深い溝をシリンダ部に成形する必要があることに変わりはなく、その鋳造に際して上記不具合はやはり避け難いものとなっている。
もっとも、こうした不具合は、特許文献2のようなウェットライナ構造を採用することで、回避することはできる。これは、シリンダライナがウォータジャケットのシリンダ側の壁面を構成するため、シリンダブロック本体に幅狭く深い溝を設けずとも、ウォータジャケットを形成することができるためである。
しかしながら、この種のシリンダブロックでは、シリンダボアにシリンダライナ下端部を圧入装着されているため、装着時にシリンダが変形してしまう虞がある。そのため、こうした構造では、シリンダライナ装着後のシリンダ壁面の仕上加工は必須となる。
更にウェットライナ構造のシリンダブロックでは、次のような問題もある。エンジンの運転中にシリンダヘッドの底面は、燃焼圧によって上方に持ち上げられるように変形する。このとき、シリンダヘッドにボルト締結されたシリンダブロック本体の頂面は、シリンダヘッド底面と一体に変形する。ところが、シリンダライナは、シリンダヘッドに直接には固定されておらず、またヘッドガスケットにより下方に押し付けられてもいる。そのため、シリンダライナ頂面は、上記シリンダヘッド底面の変形に追従できず、シリンダブロック頂面との間に段差ができてしまうため、冷却水、燃焼ガスのシール性の低下を招いてしまう。なお上記のようにシリンダライナ上端部に突起部を設けただけでは、シリンダブロック本体に対するシリンダライナの周方向の変位を規制できるだけで、上記シリンダヘッド底面の変形にシリンダライナ頂面を追従させるには不十分である。
本発明は、こうした現状に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、シリンダ周囲へのウォータジャケットの形成の容易な水冷式エンジン及びそのシリンダブロックを提供することにある。
以下、上記課題を解決するための手段、及びその作用効果を記載する。
(手段)
請求項1に記載の発明は、シリンダ周囲にウォータジャケットが区画形成されたシリンダブロックをシリンダヘッドに組み付けて形成される水冷式エンジンであって、前記ウォータジャケットとなる部位を境に、そのシリンダ側の壁面を構成するシリンダライナ部と、同ウォータジャケットとなる部位を囲む外壁を構成するシリンダ外壁部とに前記シリンダブロックを分割形成するとともに、前記組み付けに際して前記シリンダヘッドに当接されるアッパデッキ部が前記シリンダライナ部に一体成形され、且つ前記シリンダ外壁部の頂面が該アッパデッキ部を当接支持する受け面とされたことをその要旨とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の水冷式エンジンにおいて、前記シリンダ外壁部には、前記シリンダライナ部をその下方にて支持する支持部が更に一体成形されてなることをその要旨とする。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の水冷式エンジンにおいて、前記支持部は、前記シリンダライナ部の下端を当接支持する支持面を有してなることをその要旨とする。
請求項4に記載の発明は、請求項2又は3に記載の水冷式エンジンにおいて、前記支持部は、前記シリンダ側の壁面を当接支持する支持面を有してなることをその要旨とする。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の水冷式エンジンにおいて、前記シリンダ外壁部には、当該シリンダブロックのクランクケース部が更に一体成形されてなることをその要旨とする。
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか1項に記載の水冷式エンジンにおいて、前記アッパデッキ部には、前記シリンダヘッド及び前記シリンダ外壁部の内部にそれぞれ形成された流体通路を連通させる貫通孔が形成されてなることをその要旨とする。
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のいずれか1項に記載の水冷式エンジンにおいて、前記シリンダヘッドの底面と前記受け面との間に前記アッパデッキ部を狭持した状態で、前記シリンダヘッドと前記シリンダ外壁部とを締め付け固定することで、前記シリンダブロックが前記シリンダヘッドに組付けられてなることをその要旨とする。
請求項8に記載の発明は、シリンダ周囲にウォータジャケットが区画形成されて、シリンダヘッドに組み付けられることで水冷式エンジンの本体部を構成するシリンダブロックであって、当該シリンダブロックを、前記ウォータジャケットとなる部位を境に、そのシリンダ側の壁面を構成するシリンダライナ部と、同ウォータジャケットとなる部位を囲む外壁を構成するシリンダ外壁部とに分割形成するとともに、当該シリンダブロックの頂面を構成する略平板状のアッパデッキ部が前記シリンダライナ部に一体成形され、且つ前記シリンダ外壁部の頂面が該アッパデッキ部を当接支持する受け面とされたことをその要旨とする。
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の水冷式エンジンのシリンダブロックにおいて、前記シリンダ外壁部には、前記シリンダライナ部の下方にて該シリンダライナ部を支持する支持部が更に一体成形されてなることをその要旨とする。
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の水冷式エンジンのシリンダブロックにおいて、前記支持部は、前記シリンダライナ部の下端を当接支持する支持面を有してなることをその要旨とする。
請求項11に記載の発明は、請求項9又は10に記載の水冷式エンジンのシリンダブロックにおいて、前記支持部は、前記シリンダ側の壁面を当接支持する支持面を有してなることをその要旨とする。
請求項12に記載の発明は、請求項8〜11のいずれか1項に記載の水冷式エンジンのシリンダブロックにおいて、前記シリンダ外壁部には、当該シリンダブロックのクランクケース部が更に一体成形されてなることをその要旨とする。
請求項13に記載の発明は、請求項8〜12のいずれか1項に記載の水冷式エンジンのシリンダブロックにおいて、前記アッパデッキ部には、前記シリンダ外壁部の内部に形成された流体通路に連通される貫通孔が形成されてなることをその要旨とする。
請求項14に記載の発明は、請求項8〜13のいずれか1項に記載の水冷式エンジンのシリンダブロックにおいて、前記受け面よりヘッドボルトの締結されるボルト締結穴を穿設するとともに、前記アッパデッキ部に前記ヘッドボルトの挿通されるボルト挿通孔を形成したことをその要旨とする。
(作用効果)
請求項1及び請求項8に記載の構成では、シリンダライナ部とシリンダ外壁部とを組み付けた際、シリンダライナ部の外周とシリンダ外壁部の内周との対向面間に間隙が形成され、その間隙の上方がアッパデッキ部によって閉塞されるようになる。そしてそれらシリンダライナ部の外周、シリンダ外壁部の内周及びアッパデッキ部の下面とによって、シリンダボアの周囲にウォータジャケットが区画形成されるようになる。
こうして形成されるウォータジャケットはそのシリンダ側の壁面がシリンダライナ部側に、その外周側の壁面がシリンダ外壁部側にと、それぞれ別途に成形されることから、その成形用の型に幅狭い凸状を設けたり、中子を用いたりせずともその成形が可能となる。そしてそうした型形状の簡易化により、鋳巣等の鋳造欠陥の抑制や型寿命の延命が図られるようになる。したがって請求項1及び請求項8に記載の構成によれば、シリンダ周囲へのウォータジャケットの形成を容易とすることができる。
また請求項2及び請求項9に記載の構成では、シリンダライナ部をシリンダ外壁部に組み付けた際に、シリンダ外壁部に一体成形された支持部にて、シリンダライナ部下方部分が支持される。これに加え、シリンダライナ部の上方では、そのアッパデッキ部がシリンダ外壁部の頂面にて当接支持されることから、シリンダライナ部はシリンダ外壁部に対してその上部及び下部の双方にて支持されるようになる。したがって、シリンダライナ部をシリンダ外壁部に対してより安定して固定することができ、シリンダライナ部の剛性の確保が容易となる。なおそうした支持部は、例えば請求項3及び請求項10に記載のようなシリンダライナ部の下端を当接支持する支持面を設けたり、或いは請求項4及び請求項11に記載のようなシリンダライナ部のシリンダ側の壁面を当接支持する支持面を設けたりすることで、シリンダ外壁部に一体成形することができる。
なお請求項5及び請求項12に記載のように、上記シリンダ外壁部に、シリンダブロックのクランクケース部を更に一体成形することもできる。このように構成とすれば、部品点数の削減が可能となり、その成形に必要な型数も削減できる。
通常、シリンダヘッド及びシリンダブロックには、冷却水や潤滑用のオイル、ブローバイガスといった流体の流通させる流体通路が各々形成されている。請求項6に記載の構成では、シリンダブロック側の流体通路をシリンダ外壁部の内部に形成するとともに、アッパデッキ部に形成された貫通孔を通じてそうした流体通路のシリンダヘッド側とシリンダブロック側とを連結させている。そのため、シリンダヘッド側の流体通路とシリンダブロック側の流体通路とを容易に連結することができる。またそうした貫通孔をアッパデッキ部に形成することで、結果として受け面の面積を大きく取ることができるようになり、シ
リンダライナ部がシリンダ外壁部に対してより安定して固定されるようにもなる。
更に請求項13に記載の発明では、シリンダ外壁部内部に形成された流体通路に連通される貫通孔がアッパデッキ部に形成されていることから、そうした流体通路がシリンダブロック頂面に開口されるようになる。したがって、請求項6に記載の構成と同様に、シリンダヘッド側の流体通路とシリンダブロック側の流体通路との連結が容易とすることができ、またシリンダライナ部とシリンダ外壁部との固定の安定化が図られるようにもなる。
また請求項7に記載の構成では、シリンダヘッドとシリンダブロックとの組み付けが、シリンダヘッドとシリンダ外壁部との締め付け固定を通じてなされる。この組み付けに際して、アッパデッキ部は、シリンダヘッドの底面とシリンダ外壁部頂面の受け面との間に挟み込まれ、それら底面及び受け面から圧縮力を受けて締結固定されるようになる。そのため、シリンダライナ部はそのアッパデッキ部にて強く固定されるようになり、その剛性を向上することができる。
更に請求項14に記載の構成では、受け面より穿設されたボルト締結穴に対して、アッパデッキ部に形成されたボルト挿通孔を介してヘッドボルトが挿入装着されるようになる。これにより、ヘッドボルトによるシリンダヘッドとシリンダ外壁部との締め付け固定に際して、シリンダヘッドの底面とシリンダ外壁部頂面の受け面との間にアッパデッキ部が狭持されることとなるため、請求項7に記載の構成と同様の効果を奏することができる。
以下、本発明に係る水冷式エンジン及びそのシリンダブロックを具体化した一実施形態を、図を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の適用された直列4気筒式の水冷式エンジン1における本体部の斜視構造を示している。水冷式エンジン1の本体部は大きくは、シリンダヘッド2及びシリンダブロック3を備えて構成されている。シリンダヘッド2とシリンダブロック3とは、ガスケット4を介してボルト締結にて組み付けられる。なおシリンダヘッド2の上方にはヘッドカバーが、シリンダブロック3の下方にはオイルパンがそれぞれ取付けられるようになっている。
図2(a)は、シリンダブロック3の斜視構造を、図2(b)はその側面構造をそれぞれ示している。これらの図に示されるように、シリンダブロック3には、その上部に4つのシリンダボア5が形成され、その下部にはクランクケース部31、いわゆるシリンダブロックのスカート部分が設けられている。クランクケース部31は、その下方に取付けられる上記オイルパンと共に、クランクシャフトが収容されるクランクケースを形成する。またシリンダブロック3の頂部には、シリンダヘッド2が載置されてその底面と当接される平板状のアッパデッキ部22が設けられている。
図3にシリンダブロック3の分解斜視構造を示す。同図に示すように、シリンダブロック3は、内周ブロック20と外周ブロック30とにより分割形成されている。これにより上記アッパデッキ部22とクランクケース部31との間の中段部は、シリンダ周囲に形成されるウォータジャケットとなる部位を境に、シリンダ側の周壁を構成するシリンダライナ部21と、同ウォータジャケットとなる部位を囲む外壁を構成するシリンダ外壁部32とに分割形成されている。そしてシリンダライナ部21は上記アッパデッキ部22と一体成形され、シリンダ外壁部32は上記クランクケース部31と一体成形されている。
シリンダライナ部21とアッパデッキ部22とを構成する内周ブロック20は、例えばアルミニウム合金やマグネシウム合金からなり、ダイカスト製法等を用いて一体に鋳造されている。またクランクケース部31とシリンダ外壁部32とを構成する外周ブロック3
0は、上記内周ブロック20と同様、アルミニウム合金やマグネシウム合金等からなり、ダイカスト製法等を用いて一体に鋳造されている。こうした外周ブロック30のクランクケース部31及びシリンダ外壁部32の外周には、縦横に延伸されるように、補強のための複数のリブ3aが形成されている。
図4(a)は、内周ブロック20の斜視構造を、図4(b)はその側面構造をそれぞれ示している。
これら図に示されるように、内周ブロック20のシリンダライナ部21は、各気筒のシリンダライナとなる4つの円管体を連続して繋げた形状に形成されている。各円筒体の内周面23は上記シリンダボア5の周壁を構成し、その外周面24はシリンダ周囲に形成されるウォータジャケットのシリンダ側の壁面を構成する。シリンダライナ部21の下端には、シリンダボア外周側に突出された凸部25が設けられている。なおシリンダボア5の表面となるシリンダライナ部21の内周面23には、例えば鉄等による保護膜が溶射等によって被覆形成されている。
アッパデッキ部22は、上記シリンダライナ部21の上端部に略平板状をなして形成されている。このアッパデッキ部22は、シリンダブロック3の頂面部を構成する。アッパデッキ部22上面は、上記シリンダヘッド2が載置される載置面26となっており、組み付けに際してシリンダヘッド2の底面が当接されるようになっている。またアッパデッキ部22には、上記シリンダヘッド2とシリンダブロック3との締結に用いられるヘッドボルトの挿通される複数のボルト挿通孔27が形成されている。また他にもアッパデッキ部22には、冷却水孔28やオイル孔29a、ブローバイガス孔29b等の複数の貫通孔が形成されてもいる。
図5(a)は、外周ブロック30の斜視構造を、図4(b)はその側面構造をそれぞれ示している。
これら図に示されるように、クランクケース部31上部には、その上方に突出するようにシリンダ外壁部32が形成されている。シリンダ外壁部32は、上記内周ブロック20のシリンダライナ部21の外周面24と対向するように形成された内周面35を有する略環状に成形されている。こうしたシリンダ外壁部32の内周面35は、シリンダ周囲に形成されるウォータジャケットの外壁を構成する。内周面35の上下方向略中央には、段差35aが設けられ、内周面35の段差35aよりも下方の部分は、それよりも上方の部分に比して上記シリンダライナ部21の外周面24に近づくように成形されている(図3参照)。
またシリンダ外壁部32の上端部には、その外周からシリンダボア外周側に突出したフランジ36が形成されている。このフランジ36は、シリンダ外壁部32の外周に形成された上記リブ3aに連結されており、その剛性が高められている。なおフランジ36の形成されたシリンダ外壁部32の頂面は、上記内周ブロック20のアッパデッキ部22を当接支持する受け面32aとなっている。なお本実施形態では、シリンダ外壁部32の上端部に上記の如くフランジ36を形成することで、そうした受け面の面積が拡大されている。
シリンダ外壁部32には、上記ヘッドボルトの締結される複数のボルト締結穴37が上記受け面32aから穿設されている。更にシリンダ外壁部32の内部には、シリンダヘッド2から上記オイルパンに余剰したオイルを戻すためのオイル通路38a、クランクケースからシリンダヘッド2内へと延伸されてブローバイガスを通すブローバイガス通路38bが形成されており、それら通路は、上記受け面32aに開口されている。またシリンダ外壁部32の側部には、ウォータジャケットに対する冷却水の流入或いは流出に用いられる冷却水口39が形成されてもいる。
シリンダ外壁部32の内部には、その上方から上記内周ブロック20のシリンダライナ部21が挿入装着される。このとき、シリンダライナ部21の外周面24とシリンダ外壁部32の内周面35との対向面間には、間隙が形成されるようになっている。そして上記アッパデッキ部22に形成された冷却水孔28は、そのアッパデッキ部22下面側において、そうした間隙の部分に開口されるようになっている。またこのとき、シリンダ外壁部32の各ボルト締結穴37、及びオイル通路38a及びブローバイガス通路38bの各開口は、上記アッパデッキ部22に形成された各ボルト挿通孔27、オイル孔29a及びブローバイガス孔29bとそれぞれ同位置に位置されるようになっている。
図6には、内周ブロック20を外周ブロック30に装着した状態での、図2(b)のVI−VI線に沿ったシリンダブロック3の断面構造が示されている。
同図に示すように、内周ブロック20のシリンダライナ部21は、シリンダ外壁部32の上記受け面32aとアッパデッキ部22の下面とが当接される位置までシリンダ外壁部32内に挿入されている。そしてこれにより、シリンダライナ部21の外周面24、シリンダ外壁部32の内周面35、及び上記アッパデッキ部22の下面とによって、シリンダ周囲にウォータジャケット6が区画形成されるようになっている。
一方、シリンダライナ部21下端の凸部25の外周面は、シリンダ外壁部32の内周面35の下方部分と当接されている。そしてこれにより、シリンダライナ部21はその下方の外周面において、シリンダ外壁部32の内周面35の下方部分により当接支持される構造となっている。すなわち本実施形態では、シリンダ外壁部32の内周面35の下方部分が上記支持部及び支持面に対応する構成となっている。
図7には、シリンダブロック3を上記シリンダヘッド2に組み付けた状態での、図1のVII−VII線に沿った水冷式エンジン1の本体部分の断面構造が示されている。同図に示すように、シリンダブロック3は、ヘッドボルト7の締結を通じてシリンダヘッド2に組み付けられる。
ここでヘッドボルト7は、内周ブロック20のアッパデッキ部22に形成されたボルト挿通孔27を介して、外周ブロック30に設けられたボルト締結穴37内に挿入され、ねじ止めされる。このとき、内周ブロック20のアッパデッキ部22は、シリンダヘッド2の底面2aと外周ブロック30のシリンダ外壁部32の上記受け面32aとの間に狭持されており、ヘッドボルト7の締め付けによってそれら底面2aと受け面32aとから圧縮力を受けて締結固定される。
なおシリンダヘッド2の底面2aには、該シリンダヘッド2内に形成されたウォータジャケット、オイル通路及びブローバイガス通路が開口されている。それらの開口は、組付け後に、上記アッパデッキ部22の各対応する貫通孔、すなわち冷却水孔28、オイル孔29a、ブローバイガス孔29bとそれぞれ同位置に位置されており、それらアッパデッキ部22の各貫通孔を通じて、シリンダヘッド2側の各通路と外周ブロック30側の各通路とが互い連結されている。
以上のように構成された本実施の形態では、シリンダ周囲に形成されるウォータジャケット6の内周壁が内周ブロック20側に、またその外周壁が外周ブロック30側にと、それぞれ別体に成形されている。そのため、ウォータジャケット6の成形に係る型部分の形状を簡易とすることができる。そして型形状が簡易化されたことで、鋳巣等の鋳造欠陥の大幅な低減や型寿命の延命が可能となることから、シリンダ周囲へのウォータジャケット6の成形が容易となっている。
なお上記のように溶射にて鉄等からなる保護膜を被覆形成してシリンダボア5壁面を形成する場合、鋳巣等の鋳造欠陥による窪みが存在すると、その窪みがそのままシリンダボア5表面に表れてしまうようになる。そしてその結果、ピストンリングとシリンダボア5との摺動面間に隙間ができ、潤滑油消費量増大等の不具合の発生を招くこととなる。したがって従来、上記溶射による保護膜の被覆形成を行う場合には、予め上記鋳造欠陥による窪み除去する加工が必要となっており、製造コストを増大させる要因となっていた。その点、本実施の形態では、上記のような型形状の簡易化により、鋳巣等の鋳造欠陥が大幅に抑制されているため、シリンダボア表面の溶射処理に係る製造コストを低減することができるようにもなっている。
以上説明した本実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)シリンダブロック3を、上記内周ブロック20と上記外周ブロック30とによる分割構造とし、ウォータジャケット6の内周壁と外周壁とを別体にて成形するようにしたことで、その成形に係る型形状の簡易化を図ることができる。これにより、鋳巣等の鋳造欠陥の抑制や鋳造型の型寿命の延命が図られるようになることから、シリンダ周囲へのウォータジャケット6の成形を容易とすることができる。
(2)鋳造欠陥が抑制されたことで、シリンダボア5表面への溶射による鉄等の保護膜の被覆形成も容易とすることができる。
(3)シリンダ外壁部32の内周面35の下方部にて、内周ブロック20のシリンダライナ部21下端部に形成された凸部25の外周面が当接支持されているため、シリンダライナ部21が安定して固定することができる。
(4)シリンダヘッド2とシリンダブロック3との組付けに際して、内周ブロック20のアッパデッキ部22がシリンダヘッド2の底面2aとシリンダ外壁部32の受け面32aとの間に狭持された状態で、ヘッドボルト7により締め付け固定されるため、内周ブロック20を安定して固定することができる。またアッパデッキ部22、シリンダ外壁部32及びシリンダヘッド2がヘッドボルト7によって一体に締結されているため、燃焼圧でシリンダヘッド2底面が上方に持ち上げられるように変形したとしても、シール部分の当接面間が広がらず、シール性を保持できる。
(5)上記(3)及び(4)により、シリンダライナ部21が別体形成された構造にも拘わらず、その剛性を容易に確保することができる。
(6)シリンダ外壁部32の頂面部へのフランジ36の形成を通じて受け面32aの面積が拡大されているため、アッパデッキ部22を安定して固定することができる。
(7)シリンダヘッド2及び外周ブロック30の内部にそれぞれ形成された流体通路を連通させる貫通孔をアッパデッキ部22に形成しているため、シリンダヘッド2と外周ブロック30との間の流体通路の接続を簡易な構成で行うことができる。またそうした貫通孔をアッパデッキ部22に形成する構成としたことで、受け面32aの面積が大きく取れるようになり、外周ブロック30に対する内周ブロック20の固定が安定化するようにもなる。
なお上記実施形態は、以下のように変更して実施することもできる。
・上記実施形態では、内周ブロック20及び外周ブロック30を、アルミニウム合金製或いはマグネシウム合金製としていたが、例えばそれらの一方又は双方を鋳鉄製とするなど、それらの材料を任意に変更しても良い。例えばシリンダブロック3全体の機械的強度が外周ブロック30側である程度確保されるとすれば、内周ブロック20には、比較的強度の確保の難しい材料、セラミクスや焼結合金等の使用も考えられる。また直接シリンダ内の燃焼ガスに晒されることのない外周ブロック30には、樹脂材料等の比較的耐熱性の低い材料の使用を考慮しても良い。
・上記実施形態では、内周ブロック20及び外周ブロック30をダイカスト製法にて成
形していたが、それらの製法もこれに限らず任意に変更しても良い。
・上記実施形態では、シリンダボア5壁面に溶射により鉄等からなる保護膜を被覆形成していたが、そうした加工は行わないようにしても良い。例えばシリンダライナ部21の内周面23に別途製造されたシリンダライナを装着するようにしたり、或いは内周ブロック20が鋳鉄等の十分な摩耗耐性を有する材料で成形されているのであれば、その母材をそのままシリンダボア5表面としたりしても良い。
・アッパデッキ部22と受け面32aとの当接面、凸部25の外周面と内周面35の下方部分と当接面における冷却水のシール性が問題となるのであれば、シール剤の塗布やゴム等のシール部材の介設といったシール構造を必要に応じてそれらの当接面間等に設置するようにしても良い。
・上記実施形態では、シリンダライナ部21の下端部に凸部25を形成し、その凸部25の外周面とシリンダ外壁部32の内周面35との当接により、シリンダライナ部21の下方を支持するようにしていた。こうした凸部25を、シリンダ外壁部32の内周面35側に設けるようにしても良い。こうした場合にも、シリンダライナ部21の下方を当接支持できるため、その安定した固定が可能となる。
・シリンダ外壁部32にシリンダライナ部21の下端を当接支持する支持面を一体成形し、その支持面にてシリンダライナ部21の下方の支持を行うようにしても良い。そうした場合にも、シリンダライナ部21の安定固定は可能である。
・アッパデッキ部22の固定だけでシリンダライナ部21の剛性を十分確保できるのであれば、シリンダライナ部21の下方を支持する支持部をシリンダ外壁部32に設けないようにしても良い。ただしその場合には、シリンダライナ部21下方におけるウォータジャケット6からの冷却水の漏洩を防止するためのシール構造を設ける必要がある。
・上記実施形態では、クランクケース部31とシリンダ外壁部32とを一体成形して外周ブロック30を構成するようにしていたが、クランクケース部31とシリンダ外壁部32とを別体として成形するようにしても良い。その場合、シリンダブロック3は、内周ブロック20、シリンダ外壁部32及びクランクケース部31の3つの成形体による分割構造となる。こうした構造を採用すれば、部品点数及び鋳造型数が増加することにはなるが、クランクケース部31とシリンダ外壁部32とを一体成形した場合に形状が複雑となってその成形が困難となる場合等には有利である。
・上記実施形態では、直列4気筒の水冷式エンジンに本発明を適用した場合を説明したが、シリンダ周囲にウォータジャケットが区画形成されたシリンダブロックをシリンダヘッドに組み付けて形成される水冷式エンジンであれば、これに限らず任意の形式のエンジンに本発明を適用することができる。
本発明の一実施形態について水冷式エンジンの本体部分の斜視図。 同実施形態のシリンダブロックの(a)斜視構造及び(b)側面構造を併せ示す図。 同シリンダブロックの分解斜視図。 同シリンダブロックを構成する内周ブロックの(a)斜視構造及び(b)側面構造を併せ示す図。 同シリンダブロックを構成する外周ブロックの(a)斜視構造及び(b)側面構造を併せ示す図。 図2(b)のVI−VI線に沿った断面図。 図1のVII−VII線に沿った断面図。
符号の説明
1…水冷式エンジン、2…シリンダヘッド(2c…底面)、3…シリンダブロック、3a…リブ、4…ガスケット、5…シリンダボア、6…ウォータジャケット(流体通路)、7…ヘッドボルト、20…内周ブロック、21…シリンダライナ部(23…内周面、24…外周面(ウォータジャケットのシリンダ側の壁面)、25…凸部)、22…アッパデッキ部(26…載置面)、27…ボルト挿通孔、28…冷却水孔(貫通孔)、29a…オイル孔(貫通孔)、29b…ブローバイガス孔(貫通孔)、30…外周ブロック、31…クランクケース部、32…シリンダ外壁部(32a…受け面、35…内周面、35a…段差、36…フランジ)、37…ボルト締結穴、38a…オイル通路(流体通路)、38b…ブローバイガス通路(流体通路)、39…冷却水口。

Claims (14)

  1. シリンダ周囲にウォータジャケットが区画形成されたシリンダブロックをシリンダヘッドに組み付けて形成される水冷式エンジンであって、
    前記ウォータジャケットとなる部位を境に、そのシリンダ側の壁面を構成するシリンダライナ部と、同ウォータジャケットとなる部位を囲む外壁を構成するシリンダ外壁部とに前記シリンダブロックを分割形成するとともに、前記組み付けに際して前記シリンダヘッドに当接されるアッパデッキ部が前記シリンダライナ部に一体成形され、且つ前記シリンダ外壁部の頂面が該アッパデッキ部を当接支持する受け面とされた水冷式エンジン。
  2. 前記シリンダ外壁部には、前記シリンダライナ部をその下方にて支持する支持部が更に一体成形されてなる請求項1に記載の水冷式エンジン。
  3. 前記支持部は、前記シリンダライナ部の下端を当接支持する支持面を有してなる請求項2に記載の水冷式エンジン。
  4. 前記支持部は、前記シリンダ側の壁面を当接支持する支持面を有してなる請求項2又は3に記載の水冷式エンジン。
  5. 前記シリンダ外壁部には、当該シリンダブロックのクランクケース部が更に一体成形されてなる請求項1〜4のいずれか1項に記載の水冷式エンジン。
  6. 前記アッパデッキ部には、前記シリンダヘッド及び前記シリンダ外壁部の内部にそれぞれ形成された流体通路を連通させる貫通孔が形成されてなる請求項1〜5のいずれか1項に記載の水冷式エンジン。
  7. 前記シリンダヘッドの底面と前記受け面との間に前記アッパデッキ部を狭持した状態で、前記シリンダヘッドと前記シリンダ外壁部とを締め付け固定することで、前記シリンダブロックが前記シリンダヘッドに組付けられてなる請求項1〜6のいずれか1項に記載の水冷式エンジン。
  8. シリンダ周囲にウォータジャケットが区画形成されて、シリンダヘッドに組み付けられることで水冷式エンジンの本体部を構成するシリンダブロックであって、
    当該シリンダブロックを、前記ウォータジャケットとなる部位を境に、そのシリンダ側の壁面を構成するシリンダライナ部と、同ウォータジャケットとなる部位を囲む外壁を構成するシリンダ外壁部とに分割形成するとともに、当該シリンダブロックの頂面を構成する略平板状のアッパデッキ部が前記シリンダライナ部に一体成形され、且つ前記シリンダ外壁部の頂面が該アッパデッキ部を当接支持する受け面とされた水冷式エンジンのシリンダブロック。
  9. 前記シリンダ外壁部には、前記シリンダライナ部をその下方にて支持する支持部が更に一体成形されてなる請求項8に記載の水冷式エンジンのシリンダブロック。
  10. 前記支持部は、前記シリンダライナ部の下端を当接支持する支持面を有してなる請求項9に記載の水冷式エンジンのシリンダブロック。
  11. 前記支持部は、前記シリンダ側の壁面を当接支持する支持面を有してなる請求項9又は10に記載の水冷式エンジンのシリンダブロック。
  12. 前記シリンダ外壁部には、当該シリンダブロックのクランクケース部が更に一体成形さ
    れてなる請求項8〜11のいずれか1項に記載の水冷式エンジンのシリンダブロック。
  13. 前記アッパデッキ部には、前記シリンダ外壁部の内部に形成された流体通路に連通される貫通孔が形成されてなる請求項8〜12のいずれか1項に記載の水冷式エンジンのシリンダブロック。
  14. 請求項8〜13のいずれか1項に記載の水冷式エンジンのシリンダブロックにおいて、
    前記受け面よりヘッドボルトの締結されるボルト締結穴を穿設するとともに、前記アッパデッキ部に前記ヘッドボルトの挿通されるボルト挿通孔を形成した
    ことを特徴とする水冷式エンジンのシリンダブロック。
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