以下、放電型表示装置として3電極面放電構造のAC型プラズマディスプレイパネル(以下、PDP)を例に説明する。図18は一般的なPDPの全体構成を示す模式的斜視図、図19はPDPの要部斜視図、図20は図18のXX−XX線における構造断面図である。PDPは、可視光領域(380nm〜770nm)における透過率が優れたガラス等からなる前面基板101aと背面基板101bとを対向配置し、前面基板101a及び背面基板101bの対向面の周縁部を封止材102で封止することによって生じた空間にXe−Ne、Xe−He等の放電媒体を封入した自己発光型の表示装置である(例えば、特許文献1参照。)。
前面基板101aはガラス基板120aを母体としており、背面基板101b対向面には、放電のための一対の透明電極104(104a,104b)とバス電極105(105a,105b)とから構成される表示電極106(106a,106b)が所定ピッチで形成されており、さらに、表示電極106(106a,106b)を被覆して、AC駆動用の誘電体層107aが形成されている。また、MgO蒸着膜等の図示しない保護膜が誘電体層107aを被覆し、誘電体層107aへのイオン衝撃を防ぐとともに、放電のための2次電子を放出するなど重要な役割を果たしている。
一方、背面基板101bはガラス基板120bを母体としており、前面基板101a対向面には、アドレス電極108が所定ピッチで形成されており、さらに、アドレス電極108を被覆して誘電体層107bが形成されている。また、隣合うアドレス電極108の略中間領域にあたる誘電体層107b上に、アドレス電極108と同方向に延びる隔壁109が形成されており、さらに、隔壁109の側面及び誘電体層107bの表面にカラー表示用の赤,緑,青の3色の蛍光体層110a,110b,110cが周期的に形成されている。
表示電極106a,106bとアドレス電極108との交点によって区画される領域が画素単位の表示領域となり、一方の表示電極106aとアドレス電極108との間に電圧を印加して表示書き込みのためのアドレス放電を選択的に発生し、引き続いて一対の表示電極106a,106b間に電圧を印加して前記アドレス放電の生じたセルに表示維持のための放電を発生させ、この放電によって放電媒体中のXeと衝突して真空紫外光が放出される。真空紫外光は背面基板101bの蛍光体層110a,110b,110cにて可視光に励起され、可視光を外部へ射出させる。よって、表示電極106a,106b及びアドレス電極108に印加する電圧により各放電空間における電界を制御し、真空紫外光の発生を制御することにより表示装置として機能する。
バス電極105a,105bは、ライン抵抗を下げるとともに、パネル外部に設けた外部回路から透明電極104a,104bに電圧を供給する機能を与えられており、一方の端部が前面基板101aの周縁部まで、すなわち前面基板101aの一方向の端縁部に導出されている。そして、前面基板101aの周縁部におけるバス電極が外部回路と電気的に接続する端子部となる。同様に、アドレス電極108は、パネル外部に設けた外部回路からアドレス電極に電圧を供給する機能を与えられており、背面基板101bの周縁部まで配置されている。
誘電体層107a(誘電体層107b)は、それ自体公知のスクリーン印刷法により表示電極106a,106b(アドレス電極108)を被覆して形成される。スクリーン印刷法は、一般的に低融点ガラス粉末(フリット)をエチルセルロース樹脂を主成分とするビヒクルに分散させてペースト化したものを前面基板101a,背面基板101bに塗布し、樹脂成分を焼成することにより誘電体層107a,107bを形成する。ところで、スクリーン印刷法では、泡及び異物等がペーストに混入する虞があるため、誘電体層107a,107bに電圧が印加された際に、層が破壊されてしまう虞が生じる。
そこで、誘電体層107a,107bを均質かつ安定して形成する方法として、CVD法等の気相成長法が提案されている。この気相成長法によれば、誘電体層107a,107bの膜厚を安定して高精度かつ均一に成膜することができるとともに高スループットが実現され、大規模量産において低コスト化が可能な方法として期待されている。
気相成長法により前面基板101aに誘電体層107aを、背面基板101bに誘電体層107bを形成する場合、表示電極,アドレス電極の各端子部を熱処理工程での酸化から保護するため、一旦、各基板に誘電体層となる誘電体材料を略一面に成膜し、前面基板101aと背面基板101bとを封止材102を介して接着し、排気・放電媒体封入の工程が終了した後に、すなわち、熱処理工程が終了した後に、エッチングにより外部回路(駆動ドライバ回路)と電気的に接続する領域の誘電体層107a,107bを除去し、バス電極105a,105b、アドレス電極108の各端子部をそれぞれ露出させる。
特開平7−105848号公報
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1に係る放電型表示装置(PDP)の構造断面図である。本発明の実施の形態1に係る放電型表示装置は、可視光領域における透過率が優れたガラス等からなる前面基板1aと背面基板1bとを対向配置し、これら前面基板1a及び背面基板1bの対向面の周縁部を低融点ガラスペースト等の封止材2で封止することによって生じた空間に、Xe−Ne、Xe−He等の放電媒体を封入した構成を有している。
前面基板1aはガラス基板20aを母体としており、背面基板1b対向面には、一対のITO(In2 O3 −SnO2 )、NESA(SnO2 )等の金属酸化膜11aが所定ピッチで形成されており、さらにCr−Cu−Cr、Al、又はAg等からなる一対の金属膜12aが所定ピッチで形成されている。詳細は後述するが、表示領域における金属酸化膜11aが透明電極として機能し、表示領域の外側、すなわち周縁領域における金属酸化膜11aが本発明に係る金属酸化物層として機能する。また、金属膜12aはバス電極として機能するとともに、表示領域外(周縁領域)における金属膜12aが端子部となる。金属酸化膜11a(透明電極)は、金属膜12a(バス電極)の一部と重畳しており、金属酸化膜11aと金属膜12aとは、協業して放電を生じさせる役割を果たす。また、放電に伴う電荷を蓄積するため、金属酸化膜11a(透明電極)及び金属膜12a(バス電極)を被覆してSiO2 を主成分とする厚さ7.5μm程度の誘電体層7aが形成されており、誘電体層7aの表面にはMgOからなる厚さ数百nmの保護膜(図示せず)が形成されている。なお、誘電体層7aは、後述する製造方法により基板周縁領域を除く領域に形成されている。
一方、背面基板1bはガラス基板20bを母体としており、前面基板1a対向面には、ITO、NESA等の金属酸化膜11b、及び前面基板1a上の金属膜12a(バス電極)と略直交するCr、Al、又はAg等の金属膜12bが所定ピッチで順次形成されており、さらに金属膜12bを被覆して誘電体層7bが形成されている。なお、金属酸化膜11bが本発明に係る金属酸化物層として機能する。また、隣合う金属膜12bの略中間領域にあたる誘電体層7b上に、金属膜12bと略平行する隔壁9が所定ピッチで形成されており、さらに、隔壁9の側面及び誘電体層7bの表面にカラー表示のための赤,緑,青の3色の蛍光体層10a,10b,10c(以下、区別が不要な場合には蛍光体層10とすることもある)が周期的に形成されている。隔壁9は、隣合う画素における放電の干渉を防止して解像度を向上させるとともに、前面基板1a,背面基板1b間の間隙寸法を決定するスペーサとしても機能する。なお、金属膜12bはアドレス電極として機能するとともに、表示領域外(周縁領域)における金属膜12bが端子部となる。
図2、図3及び図4は本発明の実施の形態1に係る放電型表示装置(PDP)に用いる前面基板1aの製造方法を示す説明図であり、図2は平面図を、図3は周縁領域における断面図を、図4は表示領域における断面図をそれぞれ示す。まず、可視光領域における透過率が優れたガラス基板20a上に、ITO、NESA等の金属酸化膜21aを表示領域40を含む基板一面に100nm厚で成膜させる(図2,3,4(a))。金属酸化膜21aの成膜方法としては、例えば酸素ガスを流す、若しくは酸素ガスを流さずに電子ビームでITO材料を基板に蒸着する蒸着法、又は、酸素ガス、他の不活性ガス(例えばArガス)のプラズマでITOターゲットをスパッタリングして基板に成膜するスパッタ法等がある。もちろん、スクリーン印刷法、インクジェット法、ディスペンサ法等の塗布方法によりITOインクを基板に塗布し、その後、基板を400℃で焼成することで金属酸化膜を成膜してもよく、金属酸化膜の成膜方法については限定されるものではない。
次いで、フォトリソグラフィー法により金属酸化膜21aをパターニングし、ストライプ状となるように金属酸化膜11aを残膜させる(図2,3,4(b))。表示領域40における金属酸化膜11aが透明電極として機能し、周縁領域における金属酸化膜11aが本発明に係る金属酸化物層として機能する。特徴的な点、すなわち従来と異なる点は、表示領域40に加えて周縁領域にも金属酸化膜11aを残膜させたことにある。例えば、奇数番目の金属酸化膜パターンは表示領域40を含み左側周縁部にまで残膜されており、偶数番目の金属酸化膜パターンは表示領域40を含み右側周縁部にまで残膜されている。なお、スクリーン印刷法、インクジェット法、ディスペンサ法等の塗布方法の場合には、パターニング形状を有する印刷マスクを介して塗布すれば、パターニングする必要がないことはいうまでもない。
さらに、Cr−Cu−Cr、Al、又はAg等からなる金属膜22aを成膜させた(図2,3,4(c))後に、フォトリソグラフィー法により金属膜22aをパターニングし、金属酸化膜11a上の金属膜12aを残膜させる(図2,3,4(d))。つまり、金属膜12aは表示領域40に加えて周縁領域にも残膜しており、残膜した金属膜12aがバス電極として機能するとともに、周縁領域における金属膜12aが外部回路と電気的に接続する端子部として機能する。前述した金属酸化膜11a(透明電極)は導電性を有するが、そのシート抵抗値が所望する抵抗値より高いため、金属膜12a(バス電極)を形成してライン抵抗を下げ、電圧供給部である端子部に対して近傍の画素と遠隔の画素との間のライン抵抗による電圧降下量の差を低減して、放電光強度が表示領域40の全域にわたって均一となるようにし、輝度ムラを抑制するとともに、優れた色再現性を確保する。もちろん、金属膜12aは光透過性が低いため、表示領域40における線幅は必要とする抵抗値以下となる最小の線幅であればよく、通常50〜200μmの線幅で形成する。
そして、プラズマCVD法等の気相成長法により、厚さ7.5μm程度のSiO2 からなる誘電体13aを基板の一面に成膜して金属酸化膜11a及び金属膜12aを被覆し、さらに電子ビーム蒸着法により、MgOからなる保護層(図示せず)を蒸着する(図2,3,4(e))。
図5、図6及び図7は本発明の実施の形態1に係る放電型表示装置(PDP)に用いる背面基板1bの製造方法を示す説明図であり、図5は平面図を、図6は周縁領域における断面図を、図7は表示領域における断面図をそれぞれ示す。まず、可視光領域における透過率が優れたガラス基板20b上に、ITO、NESA等の金属酸化膜21bを、表示領域40を含む基板一面に100nm厚で成膜させた(図5,6,7(a))後に、金属酸化膜21bをパターニングし、ストライプ状となるように金属酸化膜11bを残膜させる(図5,6,7(b))。なお、金属酸化膜の成膜方法及びパターニング方法は、前述した前面基板と同様の方法で形成できるが、前面基板との相違点は、金属酸化膜を残膜させる領域が周縁領域だけでよく、表示領域40には残膜させる必要性がない点である(もちろん、表示領域40にも残膜させてもよい)。つまり、背面基板においては、金属酸化膜は、後述するエッチングの進行を停止させる機能を有するだけでよく、本発明に係る金属酸化物層として機能する。
さらに、Cr−Cu−Cr、Al、又はAg等からなる金属膜22bを成膜させた(図5,6,7(c))後に、フォトリソグラフィー法により金属膜22bをパターニングし、所定のパターンを有する金属膜12bを残膜させる(図5,6,7(d))。特徴的な点は、すなわち従来と異なる点は、周縁領域における金属膜12bは金属酸化膜11b上に残膜するようにパターニングさせたことにある。金属膜12bは表示領域40に加えて周縁領域にも残膜しており、残膜した金属膜12bがアドレス電極として機能するとともに、周縁領域における金属膜12bが外部回路と電気的に接続する端子部として機能する。
そして、プラズマCVD法等の気相成長法により、厚さ7.5μm程度のSiO2 からなる誘電体13bを基板の一面に成膜して金属酸化膜11b及び金属膜12bを被覆する(図5,6,7(e))。そして、隣合う金属膜12b(アドレス電極)の略中間領域にあたる誘電体13b上に、金属膜12bの長手方向に隔壁9をスクリーン印刷法により形成する(図5,6,7(f))。さらに、隔壁9の側面及び誘電体13bの表面にカラー表示のための赤,緑,青の3色の蛍光体層10をスクリーン印刷法により形成する(図5,6,7(g))。なお、隔壁9及び蛍光体層10は表示領域40に形成し、基板周縁領域には形成する必要はない。また、本例では、前面基板の両方の周縁部に端子部を設ける形態について、背面基板の一方の周縁部にのみ端子部を設ける形態について図示したが、端子部を設ける位置については限定されるものではない。
次に、前面基板1a及び背面基板1bを用いて放電型表示装置(PDP)を製造する方法について説明する。図8は本発明の実施の形態1に係る放電型表示装置(PDP)の製造方法を示す説明図である。まず、背面基板1b(又は前面基板1a)の周縁部に低融点ガラスペースト等の封止材2をスクリーン印刷法により塗布し、塗布した封止材2を略400℃で仮焼成して仮硬化させる(図8(a))。なお、封止材2の塗布領域は広範囲に渡るため、スクリーン印刷法による塗布が望ましいが、特に限定されるものではなく、ディスペンサ法等であってもよい。
さらに、金属酸化膜11a(透明電極)と金属膜12b(アドレス電極)とが直交するように、前面基板1aと背面基板1bとを対向させ、挟持手段又は押圧手段等によって、前面基板1a及び背面基板1bの外面から加圧した状態で、略450℃の焼成を行い、封止材2を前面基板1a及び背面基板1bに融着させる。そして、内部の排気を行ない、清浄化した空間にXe−Ne、Xe−He等の放電媒体を封入する(図8(b))。具体的には、背面基板1bに図示しない通気孔が予め設けられており、この通気孔を介して排気及び放電媒体の封入を行う。
そして、外部回路と電気的に接続する領域である、表示領域40より外側の周縁領域の誘電体13a,13bをエッチング除去して誘電体層7a,7bとする(図8(c))。エッチング方法は、例えば、フッ酸(HF)、KOH、及び、KOHとイソプロピルアルコールとの混合溶液等によるウェットエッチングである。
図9は本発明の実施の形態1におけるエッチングによる基板状態の経時変化を示す説明図である。図9(a)は、エッチング前の基板の周縁領域における状態図であり、ガラス基板20(ガラス基板20a,20b)上には金属膜12(金属膜12a,12b)が、金属酸化膜11(金属酸化膜11a,11b)を介して形成されており、さらに、主成分がSiO2 である誘電体13(誘電体13a、13b)が一面に形成されている。この状態から、フッ酸によるエッチングを行う場合に、本来の目的である金属膜12の上面の誘電体13がエッチングされるまでの間に、金属膜12の側面の誘電体13及び金属酸化膜11の側面の誘電体13がエッチングされるが、金属酸化膜11とガラス基板20とは密着性があるために、エッチャントがその界面45に浸透することはない(図9(b))。
従って、さらに時間が経過してガラス基板20自体がエッチングされるが、そのエッチングの態様は等方的であり、従来(図21(c))のようなガラス基板の界面に沿ってエッチングが進行することはなく、金属酸化膜11のガラス基板20に対する接触面積が著しく低下することはない。よって、金属膜12の上面における誘電体13のエッチングが完了した時点においても、金属膜12が金属酸化膜11と一体となってガラス基板20から剥離する不具合を防止することができる(図9(d))。なお、実際にこのような方法で製造した放電型表示装置の端子部をフッ酸でエッチングしたが、端子部の電極が基板から剥離する不具合は観察されなかった。
なお、本実施形態では、金属酸化物層として機能する金属酸化膜と、透明電極とを同一の製造工程にて製造する形態について説明したが、もちろん、透明電極とは異なる材料である金属酸化膜を成膜するようにしてもよいことはもちろんである。本発明の主旨は、表示領域より外側に位置する基板周縁部に金属酸化物層を設けることにより、エッチングの際に、電極と基板との界面にエッチャントが浸透する事態を防止することにある。
(実施の形態2)
実施の形態1では、電極と基板との間に金属酸化物層を設けることにより、誘電体層をエッチングにより除去する場合であっても、エッチャントがその界面に浸透するのを防止する放電型表示装置の製造方法を説明したが、電極と誘電体層との界面に金属酸化物層を設けてもよく、このようにしたものが実施の形態2である。図10は本発明の実施の形態2に係る放電型表示装置(PDP)の構造断面図である。本発明の実施の形態2に係る放電型表示装置は、可視光領域における透過率が優れたガラス等からなる前面基板51aと背面基板51bとを対向配置し、これら前面基板51a及び背面基板51bの対向面の周縁部を低融点ガラスペースト等の封止材52で封止することによって生じた空間に、Xe−Ne、Xe−He等の放電媒体を封入した構成を有している。
前面基板51aはガラス基板70aを母体としており、背面基板51b対向面には、一対のITO、NESA等の金属酸化膜61が所定ピッチで形成されており、さらにAlからなる一対の金属膜62aが所定ピッチで形成されている。なお、Alの表面は酸化され、本発明に係る金属酸化物層たるアルミナ層80aで被覆されている。詳細は後述するが、実施の形態1とは異なり、金属酸化膜61は表示領域にのみ形成され、透明電極としての機能を有するのみで十分である。また、表示領域における金属膜62aがバス電極であり、表示領域外における金属膜62a、より正確には、金属膜62a上のアルミナ層80aが端子部となる。さらに、放電に伴う電荷を蓄積するため、SiO2 を主成分とする厚さ7.5μm程度の誘電体層57aが形成されており、誘電体層57aの表面にはMgOからなる厚さ数百nmの保護膜(図示せず)が形成されている。
一方、背面基板51bはガラス基板70bを母体としており、前面基板51a対向面には、前面基板51a上の金属膜62a(バス電極)と略直交するAlからなる金属膜62bが所定ピッチで形成されており、さらに、金属膜62bを被覆して誘電体層57bが形成されている。なお、前面基板51aと同様、Alの表面は酸化され、本発明に係る金属酸化物層たるアルミナ層80bで被覆されている。また、隣合う金属膜62bの略中間領域にあたる誘電体層57b上に、金属膜62bと略平行する隔壁59が所定ピッチで形成されており、さらに、隔壁59の側面及び誘電体層57bの表面にカラー表示のための赤,緑,青の3色の蛍光体層60a,60b,60cが周期的に形成されている。なお、金属膜62bはアドレス電極として機能するとともに、表示領域外(周縁領域)における金属膜62b、より正確には、金属膜62b上のアルミナ層80bが端子部となる。
図11、図12及び図13は本発明の実施の形態2に係る放電型表示装置(PDP)に用いる前面基板51aの製造方法を示す説明図であり、図11は平面図を、図12は周縁領域における断面図を、図13は表示領域における断面図をそれぞれ示す。まず、可視光領域における透過率が優れたガラス基板70a上に、ITO、NESA等の金属酸化膜71を100nm厚で成膜させる(図11,12,13(a))。金属酸化膜71の成膜方法としては、実施の形態1と同様、例えば蒸着法、スパッタ法、塗布方法等があるが、金属酸化膜71の成膜方法については限定されるものではない。
次いで、フォトリソグラフィー法により金属酸化膜71をパターニングし、ラダー状となるように金属酸化膜61を残膜させる(図11,12,13(b))。パターニング形状は従来と同様であり、表示領域90にのみ金属酸化膜61を残膜させ、残膜させた金属酸化膜61が透明電極として機能する。
さらに、Alからなる金属膜72aを2μm厚で成膜させた(図11,12,13(c))後に、フォトリソグラフィー法により金属膜72aをパターニングし、金属膜62aを残膜させる(図11,12,13(d))。なお、金属膜62aは表示領域90に加えて周縁領域にも残膜しており、表示領域90においては金属酸化膜61の一部と重畳し、バス電極として機能するとともに、周縁領域における金属膜62aが外部回路と電気的に接続する端子部として機能する。
次いで、酸素雰囲気で加熱を行って、金属膜62aの表面に本発明に係る金属酸化物層であるアルミナ層80aを形成する(図11,12,13(e))。そして、プラズマCVD法等の気相成長法により、厚さ7.5μm程度のSiO2 からなる誘電体63aを基板の一面に成膜し、さらに電子ビーム蒸着法により、MgOからなる保護層(図示せず)を蒸着する(図11,12,13(f))。
図14、図15及び図16は本発明の実施の形態2に係る放電型表示装置(PDP)に用いる背面基板51bの製造方法を示す説明図であり、図14は平面図を、図15は周縁領域における断面図を、図16は表示領域における断面図をそれぞれ示す。まず、可視光領域における透過率が優れたガラス基板70b上に、Alからなる金属膜72bを2μm厚で成膜させた(図14,15,16(a))後に、フォトリソグラフィー法により金属膜72bをパターニングし、金属膜62bを残膜させる(図14,15,16(b))。金属膜62bは、前面基板と同様に、表示領域90に加えて周縁領域にも残膜しており、金属膜62bがアドレス電極として機能するとともに、周縁領域における金属膜62bが外部回路と電気的に接続する端子部として機能する。
次いで、酸素雰囲気で加熱を行って、金属膜62bの表面に本発明に係る金属酸化物層であるアルミナ層80bを形成する(図14,15,16(c))。そして、プラズマCVD法等の気相成長法により、厚さ7.5μm程度のSiO2 からなる誘電体63bを基板の一面に成膜する(図14,15,16(d))。そして、隣合う金属膜62b(アドレス電極)の略中間領域にあたる誘電体63b上に、金属膜62bの長手方向に隔壁59をスクリーン印刷法により形成する(図14,15,16(e))。さらに、隔壁59の側面及び誘電体63bの表面にカラー表示のための赤,緑,青の3色の蛍光体層60をスクリーン印刷法により形成する(図14,15,16(f))。なお、隔壁9及び蛍光体層10は表示領域40に形成し、基板周縁領域には形成する必要はない。
次に、前面基板51a及び背面基板51bを用いて放電型表示装置(PDP)を製造するが、その方法は実施の形態1にて説明した方法(図8)と同様であるため、その詳細な説明を省略する。なお、外部回路と電気的に接続する領域である、表示領域90より外側の周縁領域の誘電体63a,63bは、エッチング除去されて誘電体層57a,57bとなる。
図17は本発明の実施の形態2におけるエッチングによる基板状態の経時変化を示す説明図である。図17(a)は、エッチング前の基板の周縁領域における状態図であり、ガラス基板70(ガラス基板70a,70b)上には金属膜62(金属膜62a,62b)が形成されており、さらに金属膜62を被覆して金属酸化物層であるアルミナ層80(アルミナ層80a,80b)が形成されている。そして、主成分がSiO2 である誘電体63(誘電体63a、63b)が一面に形成されている。この状態から、フッ酸によるエッチングを行う場合に、本来の目的である金属膜62の上面の誘電体63がエッチングされるまでの間に、アルミナ層80の側面の誘電体63がエッチングされるが、アルミナ層80とガラス基板70とは密着性があるために、エッチャントがその界面95に浸透することはない(図17(b))。従って、さらに時間が経過してガラス基板70自体がエッチングされるが、そのエッチングの態様は等方的であり、従来(図21(c))のようなガラス基板の界面に沿ってエッチングが進行することはなく、アルミナ層80のガラス基板70に対する接触面積が著しく低下することはない(図17(c))。
また、アルミナ層80の上面における誘電体63のエッチングが完了した際に、アルミナ層80とガラス基板70との界面95の途中でエッチングが完了すべく、アルミナ層80の膜厚を酸化処理時間によって容易に制御(設定)することができるため、金属膜62とガラス基板70との界面96にはエッチャントが浸透することはなく、金属膜62のガラス基板70に対する接触面積が低下すること虞は全くない。従って、誘電体63のエッチングが完了した時点においても、金属膜62がアルミナ層80と一体となってガラス基板70から剥離する不具合を防止することができる(図17(d))。なお、実際にこのような方法で製造した放電型表示装置の端子部をフッ酸でエッチングしたが、端子部の電極が基板から剥離する不具合は観察されなかった。また、本実施形態のように、基板上に電極を形成した後に、形成した電極の表面を酸化させることにより金属酸化物層を形成するようにすれば、安価に電極を酸化膜で被覆して電極が基板から剥離する不具合を防止できる。
なお、本実施形態では、バス電極及びアドレス電極として機能する金属膜(電極)を形成した後に、形成した電極の表面を熱酸化させることにより、電極と誘電体層との界面に金属酸化物層を形成する形態について説明したが、バス電極及びアドレス電極として機能する電極を形成した後に、形成した電極を被覆するITO、NESA等の金属酸化膜を形成して同等の機能を有する金属酸化物層としてもよい。
また、各実施の形態では前面基板及び背面基板を融着させ、その結果生じた空間にXe−Ne、Xe−He等の放電媒体を封入した後に、外部回路と電気的に接続する領域である、表示領域より外側の周縁領域の誘電体をエッチング除去する形態について説明したが、前面基板及び背面基板を融着させる前に、それぞれの誘電体層をエッチング除去する形態であってもよいことはいうまでもない。なお、融着工程は500℃程度の熱処理を行うため、各実施の形態で説明したように、熱処理が必要な工程では誘電体を電極に被覆するようにした方が、それぞれの電極の熱処理による酸化を防止して断線等の不具合を防止できるため望ましい。
さらに、誘電体層の形成方法としては、プラズマCVD法等の気相成長法による方法を示したが、蒸着法、スパッタ法、誘電体の原料となる化合物の加水分解反応と重合反応によって得られるゾル液を塗布した後に熱処理を行って誘電体層を形成するゾルゲル法、誘電体の原料を溶媒に溶融した溶液を塗布した後に熱処理を行って誘電体層を形成するスピンオングラス(SOG)法、並びにスロットコータ法及びスプレーコータ等の各種コータ法であってもよく、特に限定されるものではない。このような基板一面に誘電体を形成する方法であれば、本発明による製造方法を適用し、誘電体を除去する場合に、電極が基板から剥離する不具合を防止することができる。
さらにまた、前面基板の表示領域には、バス電極として機能する金属膜(電極)の他に、ITO、NESA等の金属酸化膜からなる透明電極を形成する形態について説明したが、透明電極を省略した形態であってもよい。透明電極は一般にシート抵抗が数10Ω/□と比較的高く、放電用の電極として採用するには消費電力の観点から望ましくはない。例えば、大画面表示、すなわち画素セルのサイズが大きく、バス電極を放電用の電極として兼用しても、出射光の光損失が問題となることがない場合には、バス電極の表示領域におけるパターン形状を、T字状、ラダー状等のように出射光の経路を設けることにすれば、透明電極を形成する必要はない。
また、各実施の形態では、2枚の基板がともにSiO2 を主成分とする誘電体層を備える形態について説明したが、一方の基板(例えば、表示電極が設けられた前面側の基板)だけがSiO2 を主成分とする誘電体層を備え、他方の基板(例えば、アドレス電極が設けられた背面側の基板)は通常のフリットガラス等の別材料からなる誘電体層を備えるような形態であってもよい。このような場合は、まず、フリットガラス等の誘電体層を硝酸等を用いてエッチングした後に、SiO2 を主成分とする誘電体層を除去する。