JP2005008568A - 眼科用組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】眼に対する安全性を充分に備えつつ、潤い効果を良好に発揮し、また、コンタクトレンズ装用時においては、コンタクトレンズの濡れ性を高度に確保して、より一層優れた使用感を実現すると共に、保存安定性にも優れた眼科用組成物を提供すること。
【解決手段】水系媒体中に清涼化剤を含有する眼科用組成物において、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマーとヒドロキシプロピルメチルセルロースと多価アルコールとを、必須の構成成分として組み合わせ、且つ、それらの3つの成分を、それぞれ、所定の添加割合となるように含有せしめて、眼科用組成物を調製した。
【選択図】 な し
【解決手段】水系媒体中に清涼化剤を含有する眼科用組成物において、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマーとヒドロキシプロピルメチルセルロースと多価アルコールとを、必須の構成成分として組み合わせ、且つ、それらの3つの成分を、それぞれ、所定の添加割合となるように含有せしめて、眼科用組成物を調製した。
【選択図】 な し
Description
【0001】
【技術分野】
本発明は、眼科用組成物の改良に係り、特に、コンタクトレンズ用点眼剤やコンタクトレンズ用液剤等として有利に用いられ得る眼科用組成物に関するものである。
【0002】
【背景技術】
昨今、パソコン等の普及から、VDT(Visual Display Terminal )作業が増加し、目の疲れを訴える人が増加している。また、コンタクトレンズ装用者も増加し、コンタクトレンズ装用者の多くに、乾燥感(目の乾き)、目の疲れ、目のカスミ、装用中のコンタクトレンズのゴロツキ(異物感)等の症状を訴えるケースが多く見られるようになっている。
【0003】
そして、そのような症状を緩和し、また、疲れ目への爽快感を得ることを目的として、従来より、メントールやカンフル、ボルネオール等の清涼化剤を含有した人工涙液型の点眼剤が使用されている。かかる清涼化剤は、基本的に精油であり、水には溶解しない疎水性物質であるところから、そのような清涼化剤を、点眼剤等の水性液剤に配合するに際しては、従来より、一般に、疎水性物質を可溶化させる能力(可溶化能)の高い、ポリソルベートやポリオキシエチレン(POE)硬化ヒマシ油等の比較的に低分子量のエステル系界面活性物質が、溶解補助剤乃至は可溶化剤として用いられてきている。
【0004】
例えば、特開2002−97129号公報(特許文献1)には、清涼化成分の刺激を緩和し、清涼感や爽快感を持続させることを目的として、所定の粘度に調整された、清涼化成分と粘稠化剤とを含有する点眼剤が、提案されているのであるが、そこでは、清涼化剤を点眼剤中に可溶化せしめるべく、実質的には、その実施例に示されるように、ポリソルベートやポリオキシエチレン硬化ヒマシ油が使用されている。また、特開平11−130667号公報(特許文献2)においても、テルペノイド(清涼化剤)を有効成分として含有する眼科用組成物が提案され、ポリソルベートにて、かかるテルペノイドの可溶化が実現されている。
【0005】
しかしながら、上記したエステル系の低分子界面活性物質にあっては、低分子であるところから、コンタクトレンズの材質中に、清涼化剤と共に取り込まれ易く、レンズ内部への過吸着、過吸蔵が懸念され、眼刺激等の眼障害を誘発する恐れがある。また、エステル系化合物であるところから、保存乃至は保管中に加水分解を起こし易く、pHが変化する等、液剤の保存安定性の面において問題を内在している。更に、かかるエステル系低分子界面活性物質にて清涼化剤を可溶化した点眼剤を使用した場合、点眼直後に補涙による潤い効果を充分に得ることが出来なかったり、コンタクトレンズの水濡れ性を充分に向上させることも困難であったのである。
【0006】
また、上述せる如き、ポリソルベート等の可溶化能の高いエステル系低分子界面活性物質以外にも、ポリ(オキシエチレン)−ポリ(オキシプロピレン)共重合体等の非イオン性界面活性剤や、プロピレングリコールを用いて、清涼化剤を溶解せしめてなる点眼剤や眼科用組成物が、各種提案されている(特許文献3〜8参照)。しかしながら、これらポリ(オキシエチレン)−ポリ(オキシプロピレン)共重合体やプロピレングリコール等は、眼に対する安全性や耐加水分解性(pH安定性)には優れているものの、上記したエステル系の低分子界面活性物質に比して、清涼化剤に対する可溶化能が低いところから、清涼化剤は、水性液剤中に一旦は溶解するものの、液剤を保存乃至は保管している間に、水性液剤から徐々に析出乃至は分離してしまい、清涼化剤の保存安定性が悪いという問題を有している。
【0007】
このため、近年においては、眼に対する安全性や保存安定性に優れ、且つ、より良い注し心地や使用感を実現する点眼剤等の眼科用組成物が、強く望まれてきているのである。
【0008】
【特許文献1】
特開2002−97129号公報
【特許文献2】
特開平11−130667号公報
【特許文献3】
特開2000−347142号公報
【特許文献4】
特開2001−39922号公報
【特許文献5】
特開2001−187731号公報
【特許文献6】
特開2001−187733号公報
【特許文献7】
特開2002−3364号公報
【特許文献8】
特開2002−97129号公報
【0009】
【解決課題】
ここにおいて、本発明は、かかる事情を背景にして為されたものであって、その解決課題とするところは、眼に対する安全性を充分に備えつつ、潤い効果を良好に発揮し、また、コンタクトレンズ装用時においては、コンタクトレンズの濡れ性を高度に確保して、より一層優れた使用感を実現すると共に、保存安定性にも優れた眼科用組成物を提供することにある。
【0010】
【解決手段】
そして、本発明者らは、そのような課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、高分子化合物である(A)ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー及び(B)ヒドロキシプロピルメチルセルロースと共に、(C)多価アルコールを組み合わせ、それら3成分を、所定の配合割合となるように配合して清涼化剤を可溶化せしめることによって、ポリソルベート等のエステル系低分子界面活性物質を用いなくとも、清涼化剤の析出乃至は分離が極めて効果的に抑制され、優れた保存安定性が得られることを見出したのである。また、更に検討を行なったところ、コンタクトレンズに対する清涼化剤の付着が抑制されると共に、コンタクトレンズの濡れ性も向上して、極めて良好な使用感も実現され得ることを見出したのである。
【0011】
従って、本発明は、かくの如き知見に基づいて完成されたものであって、その要旨とするところは、水系媒体中に清涼化剤を含有する眼科用組成物において、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマーとヒドロキシプロピルメチルセルロースとが、それぞれ、0.05〜0.5w/w%及び0.07〜1.5w/w%となるように含有せしめられ、更に、多価アルコールが、0.1〜2.0w/w%となるように含有せしめられていることを特徴とする眼科用組成物にある。
【0012】
要するに、このような本発明に従う眼科用組成物にあっては、疎水性物質である清涼化剤を水系媒体中に溶解せしめるために、(A)ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマーと、(B)ヒドロキシプロピルメチルセルロースと、(C)多価アルコールの3成分が組み合わされ、それらが所定の配合割合となるように用いられているところから、清涼化剤に対する可溶化能が、それらの3成分を単独で用いたり、それらのうちの2成分を組み合わせて用いる場合等に比して、飛躍的に向上せしめられ得るのである。これにより、保存乃至は保管している間に、清涼化剤が水系媒体から徐々に析出したり、或いは、油層として分離してしまうようなことが顕著に抑制され、更には、清涼化剤の拡散蒸発も防止され得ることとなる。また、上記の3成分はエステル系化合物ではないところから、保存乃至は保管中に、加水分解が生じるようなこともなく、以て、眼科用組成物のpHが変化するようなことも有利に防止され得るのである。このため、本発明に従う眼科用組成物にあっては、従来のものに比して、極めて優れた保存安定性が実現され得るようになっているのである。
【0013】
また、そのような本発明に従って含有せしめられることとなる(A)〜(C)の各成分は、それ自体、眼やコンタクトレンズに対して悪影響を及ぼすようなものではなく、安全性やレンズ適合性に優れたものであるところから、かかる成分によって、眼刺激や眼障害等が発生するようなことも有利に防止され得るのである。また、特に、(A)〜(C)の3つの成分が所定の割合で組み合わされて用いられることによって、清涼化剤に起因する痛み等の眼刺激の発生も有利に緩和されて、快適な清涼感や爽快感が得られると共に、清涼化剤のコンタクトレンズへの吸着も効果的に阻止され得るようになっている。
【0014】
加えて、上述せる如き成分の粘稠化作用により、湿潤性や保湿性が有利に向上せしめられ得て、眼の潤い効果が長時間に亘って持続することとなり、乾燥感の低減も効果的に実現され得るようになっている。また、界面活性作用によって、角膜上やコンタクトレンズへの眼脂等の汚れの付着が抑制されると共に、コンタクトレンズ表面の水濡れ性乃至は涙濡れ性も改善され得て、目のカスミやコンタクトレンズの曇り、異物感等の種々の症状の発生も有利に防止され得るようになる。従って、本発明に従う眼科用組成物を使用すれば、より一層優れた使用感も享受され得るようになるのである。
【0015】
なお、本発明の好ましい態様によれば、上記した眼科用組成物は、眼に対する安全性が充分に備えられていると共に、レンズ適合性にも優れているところから、点眼剤、特に、コンタクトレンズ用点眼剤として、或いは、コンタクトレンズ用洗浄液、コンタクトレンズ用保存液、コンタクトレンズ用殺菌液、コンタクトレンズ用すすぎ液、及びマルチパーパスソリューション等のコンタクトレンズ用液剤として、好適に使用されることとなる。
【0016】
そして、かかる本発明に従う眼科用組成物を点眼剤として用いて、その所定量を点眼すれば、清涼化剤によって、刺激のない適度な清涼感や爽快感が得られると共に、乾燥感や目のカスミ等の症状も改善され得るのであり、また、コンタクトレンズの装用時に点眼すれば、コンタクトレンズ表面への汚れ付着の抑制とコンタクトレンズ表面に付着した汚れの除去とが両立して有利に実現され得ると共に、レンズ表面の水濡れ性が向上し、より一層優れた使用感及びレンズ装用感が実現され得るのである。一方、コンタクトレンズ用液剤として用いれば、コンタクトレンズ表面に付着した汚れが効果的に除去されると共に、レンズ表面の水濡れ性が向上し、曇り等の発生が効果的に抑制され得る。また、そのような液剤にて処理されたコンタクトレンズを装用すれば、装用時に、清涼化剤によって、清涼感や爽快感が得られると共に、異物感や眼刺激、乾燥感等の症状の発生も有利に抑制されるのである。
【0017】
また、本発明に従う眼科用組成物の好ましい態様の一つによれば、前記ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマーとしては、その0.1w/w%含有水溶液における表面張力が、25℃にて、55mN/m以下であるポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマーが、選択されて好適に用いられることとなる。
【0018】
さらに、本発明における別の好ましい態様の一つによれば、前記ヒドロキシプロピルメチルセルロースとしては、その平均分子量が、10,000〜500,000の範囲にあるものが、好適に採用される。
【0019】
加えて、本発明に従う眼科用組成物の更に別の好ましい態様の一つによれば、前記ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマーと前記ヒドロキシプロピルメチルセルロースとの合計含有量は、0.15〜1.8w/w%であることが望ましく、このような構成を採用することによって、本発明の上記した効果がより一層有利に発揮せしめられ得ることとなる。
【0020】
また、本発明に従う他の好ましい態様によれば、前記多価アルコールとして、プロピレングリコールが特に好適に採用される。プロピレングリコールを用いれば、コンタクトレンズへの清涼化剤の吸着が、より一層効果的に抑制され、以て、コンタクトレンズに付着した清涼化剤による眼刺激の発生が顕著に防止され得て、特に優れた使用感が得られるようになるのである。
【0021】
さらに、本発明における好ましい態様の他の一つによれば、前記清涼化剤としては、メントール、ボルネオール及びカンフルのうちの少なくとも一つが、有利に用いられることとなる。
【0022】
【発明の実施の形態】
ところで、かかる本発明に従う眼科用組成物は、清涼化剤を含有するものであって、水系媒体を主体とし、その中に、必須の成分として、(A)ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマーと(B)ヒドロキシプロピルメチルセルロースと(C)多価アルコールとの3成分が組み合わされ、それらが所定の配合割合となるように含有せしめられているところに、大きな特徴を有している。
【0023】
そこにおいて、本発明に従う眼科用組成物は、清涼感や爽快感を付与するために、清涼化剤を含有するものであって、本発明で用いられる清涼化剤としては、従来より、点眼時に清涼感や爽快感を与えたり、コンタクトレンズ装用時の異物感や痒みを解消すること等を目的として用いられているものであれば、特に限定されるものではなく、例えば、メントール、ボルネオール、カンフル、ゲラニオール、ユーカリ油、ベルガモット油、ウィキョウ油、ハッカ油、ローズ油、クールミント等を例示することが出来る。これらの中でも、メントール、ボルネオール、カンフルにあっては、少量の添加で、より高い清涼感や爽快感が得られるところから、それらのうちの少なくとも1種が、特に好適に採用されることとなる。また、この清涼化剤は、眼科用組成物中に、通常、0.0001〜0.1w/w%程度となるように含有せしめられる。
【0024】
なお、上述せる如き清涼化剤は、水系媒体に溶解し難い疎水性物質であるところから、そのままでは、水系媒体に溶解乃至は相溶しない。このため、本発明においては、そのような清涼化剤を水系媒体中に可溶化せしめるべく、上記した(A)〜(C)の3成分が組み合わされて、用いられることとなるのである。
【0025】
そして、本発明の必須成分として用いられる(A)〜(C)の3成分のうち、(A)ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマーは、よく知られているように、親水性及び親油性をそれぞれ示すポリオキシエチレン(POE)基とポリオキシプロピレン(POP)基がブロック的に配列、結合された構造を有する高分子化合物であり、生体への安全性が高く、尚且つ眼科的に許容され得るものであれば、何れも、採用可能である。かかるポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマーの具体例としては、例えば、非イオン性界面活性剤として市販されているプルロニック、プルロニックR、テトロニック、テトロニックR(以上、独国:BASF社製)、具体的には、ポロクサマー188、ポロクサマー237、ポロクサマー338、ポロクサマー407、テトロニック704、テトロニック904、テトロニック908、テトロニック1107、テトロニック1304等が挙げられ、それらのうちの1種若しくは2種以上を適宜に選択して用いることが出来る。
【0026】
また、かかるポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマーには、オキシエチレン基(EO基)やオキシプロピレン基(PO基)の付加割合によって、表面張力の異なるものが、種々存在しているのであるが、それらの中でも、特に、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマーを0.1w/w%含有する水溶液における表面張力が、25℃において、55mN/m以下、より好ましくは、50以下であるものが、好適に採用されることとなる。何故なら、かかる表面張力が55mN/mを超えるようになると、界面活性能が低下して、所望とする効果が得られなくなる恐れがあるからである。因みに、上記で具体例として挙げたポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマーは、何れも、0.1w/w%水溶液における表面張力が、25℃において、55mN/m以下である。
【0027】
さらに、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマーとしては、分子中のEO基の割合が、65〜85重量%のものを、好適に採用することが出来る。これは、かかるEO基の割合が、65重量%未満の場合には、オキシプロピレン基の割合が多くなるところから、疎水性が高まり、コンタクトレンズへの吸着が増加する傾向があるからであり、また、85重量%を超える場合には、上記した表面張力が発現され難くなり、充分な界面活性能を得ることが困難となるからである。
【0028】
加えて、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマーには、EO基やPO基の付加量によって、各種の平均分子量のものが存在しているのであるが、平均分子量が小さ過ぎる場合には、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー分子、及び可溶化された清涼化剤がコンタクトレンズ内に取り込まれて、これにより、コンタクトレンズの形状や物性に悪影響が及ぼされる恐れがあり、また、平均分子量が大きくなり過ぎる場合には、眼科用組成物の粘度が高くなり過ぎたり、洗浄力や可溶化能が低下する恐れがあるところから、一般に、5,000〜30,000の範囲にあるものが採用されることとなる。
【0029】
なお、上述せる如きポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマーの含有量としては、0.05〜0.5w/w%、より好適には、0.075〜0.35w/w%となる量が採用される。けだし、0.05w/w%未満では、清涼化剤を水性媒体中に、安定して可溶化せしめることが出来なくなって、目的とする優れた保存安定性を得られなくなると共に、コンタクトレンズ装用時には、コンタクトレンズへの眼脂等の汚れ成分の付着を充分に防止することが出来なくなったり、コンタクトレンズの水濡れ性を高めることが不可能となって、曇り除去効果に劣るようになるからであり、また、0.5w/w%よりも多くなると、眼刺激や眼障害を誘発する恐れがあるからである。
【0030】
一方、本発明の必須成分の他の一つとして用いられる(B)ヒドロキシプロピルメチルセルロースは、セルロースの水酸基の水素の一部がメチル基(−CH3 )やヒドロキシプロポキシル基(−CH2CHOHCH3)で置換された構造を有する高分子化合物であって、従来より増粘剤や粘稠化剤等として用いられている。そして、本発明においては、生体への安全性が高く、尚且つ眼科的に許容され得るものであれば、何れも、有利に用いられ得る。具体例としては、例えば、信越化学工業株式会社製のメトローズTC−5E(M.W.=20,000)、メトローズTC−5R(M.W.=30,000)、メトローズ60SH−15(M.W.=50,000)、メトローズ60SH−50(M.W.=75,000)、メトローズ60SH−4000(M.W.=300,000)、メトローズ60SH−10000(M.W.=500,000)、メトローズ65SH−50(M.W.=100,000)、メトローズ65SH−400(M.W.=110,000)、メトローズ65SH−1500(M.W.=200,000)、メトローズ65SH−4000(M.W.=300,000)、メトローズ90SH−100(M.W.=100,000)、メトローズ90SH−400(M.W.=110,000)、メトローズ90SH−4000(M.W.=300,000)等が挙げられ、それらのうちの1種若しくは2種以上を適宜に選択して用いることが出来る。
【0031】
また、上記したヒドロキシプロピルメチルセルロースにあっても、前記ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマーと同様に、各種の分子量のものが存するのであるが、それらの中でも、平均分子量が10,000〜500,000、更に好ましくは、15,000〜400,000の範囲にあるものが、より好適に採用されることとなる。何故ならば、かかる平均分子量が小さ過ぎる場合には、ヒドロキシプロピルメチルセルロース分子自体及び可溶化された清涼化剤がコンタクトレンズ内に取り込まれて、コンタクトレンズの形状や物性に悪影響が及ぼされる恐れがあるからであり、また、平均分子量が大きくなり過ぎると、眼科用組成物の粘度が高くなり過ぎて、不快なネバツキ感や、像のゆがみによる視力不安定(ブラー:blur)を招き、使用感が著しく悪化する恐れがあるからである。
【0032】
さらに、ヒドロキシプロピルメチルセルロースとしては、メトキシル基(−OCH3 )やヒドロキシプロポキシル基(−OCH2CHOHCH3)の置換度が低過ぎる場合には、ヒドロキシプロピルメチルセルロース分子中の疎水基の割合が低下し、これによって、界面活性能が極端に下がって、洗浄効力を充分に発揮することが出来なくなると共に、清涼化剤を安定的に可溶化せしめることが困難となる恐れがあり、また一方、メトキシル基置換度やヒドロキシプロポキシル基置換度が高過ぎる場合には、ヒドロキシプロピルメチルセルロース分子中の疎水基の割合が大きくなって、疎水性が高くなり過ぎて、コンタクトレンズ表面に曇りが惹起されたり、使用感が悪くなるといった傾向があるところから、ヒドロキシプロピルメチルセルロースの中でも、特に、メトキシル基置換度が28〜30重量%であり、且つヒドロキシプロポキシル基置換度が7〜12重量%であるものが、より一層好適に採用される。因みに、上記で具体例として挙げたメトローズTC−5E、メトローズTC−5R、メトローズ60SH−15、メトローズ60SH−50、メトローズ60SH−4000、メトローズ60SH−10000は、メトキシル基置換度:28〜30重量%、ヒドロキシプロポキシル基置換度:7〜12重量%である。
【0033】
また、上述せる如きヒドロキシプロピルメチルセルロースの含有量としては、0.07〜1.5w/w%、より好ましくは、0.1〜1.0w/w%が採用される。けだし、0.07w/w%未満では、清涼化剤を水性媒体中に、安定して可溶化せしめることが出来なくなって、目的とする優れた保存安定性が得られなくなると共に、コンタクトレンズ装用時には、コンタクトレンズへの眼脂等の汚れ成分の付着を充分に防止することが出来なくなったり、コンタクトレンズの水濡れ性を高めることが不可能となって、曇り除去効果に劣るようになるからであり、また一方、1.5w/w%よりも多くなると、眼科用組成物の粘度が増大して、視力不安定(ブラー)等の問題を惹起する恐れがあるからである。
【0034】
そして、それら高分子化合物である(A)ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマーと(B)ヒドロキシプロピルメチルセルロースは、それぞれ、上述せる如き添加量となるように、水系媒体中に含有せしめられるのであるが、より好適には、それらA成分とB成分の合計含有量が、0.15〜1.8w/w%となるように、更に好適には、0.175〜1.25w/w%となるように、それぞれ、上述せる如き添加量の範囲内で、添加量が適宜に設定されることが望ましい。このような合計含有量が採用されることによって、清涼化剤の保存安定性がより一層高められ得ると共に、清涼化剤による眼刺激や、ネバツキ感、視力不安定、乾燥感等の不快な症状も、より一層効果的に防止され得ることとなるからである。
【0035】
また一方、本発明に従う眼科用組成物には、(C)多価アルコールも、必須成分の一つとして用いられる。かかる多価アルコールにあっても、生体への安全性が高く、尚且つ眼科的に許容され得るものであれば、何れも、有利に用いることが出来る。具体例としては、例えば、プロピレングリコール;グリセリン;グルコース、ソルビトール、キシリトール、マンニトール等の糖アルコール等が挙げられ、それらのうちの少なくとも1種以上を適宜に選択して用いることが出来る。これらの中でも、特に、プロピレングリコールが用いられることが望ましい。けだし、プロピレングリコールを採用した場合には、眼に対する刺激の発生が極めて顕著に抑制されて、より一層優れた使用感が得られると共に、コンタクトレンズへの清涼化剤の吸着も、より効果的に抑制され得るからである。
【0036】
なお、かかる多価アルコールの含有量としては、0.1〜2.0w/w%、より好ましくは、0.15〜1.5w/w%が採用される。けだし、かかる含有量が0.1w/w%未満では、清涼化剤を水性媒体中に、安定して可溶化せしめることが出来なくなって、目的とする優れた保存安定性を得られなくなると共に、清涼化剤特有の眼刺激(痛み)を感じ易くなって、使用感が悪化するようになるからであり、また一方、2.0w/w%よりも多くなると、レンズが膨潤し、形状やサイズが変化して、レンズ規格に影響を及ぼすと共に、浸透圧が高くなり過ぎて、眼刺激、ひいては眼障害を誘発するからである。
【0037】
また、(C)多価アルコールは、上述せる如き含有量の中でも、特に、前述せる如き高分子化合物である(A)ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー及び(B)ヒドロキシプロピルメチルセルロースの合計含有量に対して、[(A成分の含有量)+(B成分の含有量)]/(C成分の含有量)=0.1〜18、より好ましくは、0.15〜8となる割合において、用いられることが望ましく、このような含有量を採用することによって、清涼化剤の保存安定性の向上と眼刺激の低減が、より一層有利に図られ得るようになる。
【0038】
かくして、本発明に従う眼科用組成物にあっては、上述せる如き(A)〜(C)の3成分が、必須の構成成分として用いられていると共に、それら3成分が、それぞれ、所定の割合となるように含有せしめられているところから、(A)〜(C)の3成分のうちの何れかを単独で用いたり、それらのうちの2成分を組み合わせて用いる場合に比して、清涼化剤が、より一層長期に亘って安定的に眼科用組成物中に溶存せしめられることとなるのである。この結果、眼科用組成物の保存・保管中に、清涼化剤が水系媒体から分離したり、析出したり、結晶化するようなことが効果的に抑制される。また、3成分を所定割合で組み合わせることにより、従来より使用されているポリソルベートやポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等のエステル系界面活性物質と同等、或いはそれ以上の可溶化能が実現され得るところから、そのようなエステル系界面活性物質を使用する必要もなくなるのである。従って、眼科用組成物を保存・保管している間に、加水分解が生じるようなことも効果的に阻止され、以て、眼科用組成物のpHが変化するようなことも有利に防止されることとなる。このように、本発明に従う眼科用組成物にあっては、清涼化剤の溶解・相溶安定性や、pH安定性が従来のものに比して高められたものであり、極めて優れた保存安定性が実現され得るようになっているのである。
【0039】
また、それら(A)〜(C)の3つの成分が、所定の割合で組み合わされて、用いられていることによって、清涼化剤による眼刺激(痛み)の発生も有利に緩和されて、快適な清涼感や爽快感が得られると共に、清涼化剤のコンタクトレンズへの吸着も効果的に阻止され得るようになっているのである。さらに、上述せる如き成分の粘稠化作用により、湿潤性や保湿性が向上せしめられて、眼の潤い効果が長時間に亘って持続し、乾燥感の低減も効果的に実現され得、また、界面活性作用によって、防汚性が向上せしめられると共に、コンタクトレンズ表面の水濡れ性乃至は涙濡れ性も改善されて、目のカスミやコンタクトレンズの曇り、異物感等の種々の症状の発生も有利に防止され得るようになっており、優れた使用感が実現され得るようになっている。
【0040】
而して、本発明に従う眼科用組成物は、上述せる如き清涼化剤、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及び多価アルコールを、従来と同様に、適当な水系媒体中に適量において添加、溶解せしめることにより、調製されるものであるが、本発明では、そのような必須成分以外にも、更に必要に応じて、一般的な点眼剤やコンタクトレンズ用の液剤において用いられている各種添加成分が、適宜に選択されて、通常の添加割合において添加せしめられていても、何等差し支えない。なお、そのような添加成分は、生体への安全性が高く、なお且つ眼科的に充分に許容され、しかもコンタクトレンズの形状又は物性に対する影響のないものであることが好ましく、また、そういった要件を満たす量的範囲内で用いられることが望ましいのであり、これによって、本発明の効果を何等阻害することなく、その添加成分に応じた各種の機能を眼科用組成物に対して有利に付与することが出来るのである。
【0041】
そして、例えば、本発明の眼科用組成物において、眼やコンタクトレンズの消毒効果乃至は殺菌効果、更には、眼科用組成物の防腐・保存効果を有利に発現させるためには、防腐効力乃至は殺菌効力を有する防腐剤や殺菌剤が添加せしめられる。なお、そのような防腐剤や殺菌剤としては、一般に、防腐乃至は殺菌効力と共に、眼やコンタクトレンズへの適合性に優れたもの、更には、アレルギー等の障害の要因となり難いものが望ましく、公知の各種のものの中から、適宜なものが選定されて、単独で或いは複数を組み合わせて用いられることとなる。
【0042】
因みに、防腐剤としては、例えば、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、安息香酸或いはその塩、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸ブチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸メチル、クロロブタノール等が挙げられる。これらの防腐剤の中でも、ソルビン酸やソルビン酸カリウムにあっては、ソフトコンタクトレンズに対する影響が極めて小さいところから、特に、好適に採用され得る。より具体的には、ソルビン酸やソルビン酸カリウムは、アニオン性であり、ソフトコンタクトレンズの材質中に吸着や取り込まれ難いものであるところから、防腐剤の吸着や取り込みによって惹起される、アレルギーの発現を有利に回避し得るのである。一方、殺菌剤としては、例えば、ポリヘキサメチレンビグアニド(PHMB)等のビグアニド系殺菌剤やポリクォーテリウム等の4級アンモニウム塩系殺菌剤等を挙げることが出来る。なお、このような防腐剤や殺菌剤を用いない場合には、特に、本発明に従う眼科用組成物を、1回で使い切るシングルドーズタイプとして用いたり、特開2002−80055号公報に開示されている如きフィルター付き吐出容器を使用するマルチドーズタイプとして用いることも可能である。
【0043】
また、本発明に従う眼科用組成物にあっては、そのpH値や浸透圧が大きくなり過ぎても、逆に小さくなり過ぎても、眼に対して刺激を与えたり、眼障害を招来する恐れがあるところから、通常、そのような眼科用組成物のpH値は、適当なpH調整剤や緩衝剤等の添加によって、5.3〜8.5程度、中でも7.0付近に調整されることが望ましく、また、浸透圧は、等張化剤等を添加せしめることによって、200〜400mOsm/kg程度に調整されていることが、好ましいのである。
【0044】
なお、そのようなpHの調整のために用いられるpH調整剤としては、水酸化ナトリウムや塩酸等が利用される一方、眼科用組成物のpHを前記した範囲に有効に且つ眼に対して安全な範囲に保つための緩衝剤としては、従来から公知の各種のものの中から、適宜に選択されて、用いられることとなる。具体的には、例えば、リン酸、ホウ酸、カルボン酸、オキシカルボン酸等の酸や、その塩(例えば、ナトリウム塩等)、更にはGood−Bufferやトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(TRIS)、ビス(2−ヒドロキシエチル)イミノトリス(ヒドロキシメチル)メタン(Bis−Tris)、炭酸水素ナトリウム等を、眼に対して安全であり、しかもコンタクトレンズに対する影響を少なくすることが出来るという理由から、挙げることが出来る。
【0045】
また、浸透圧の調整に用いられる等張化剤としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、糖類、糖アルコール等を例示することが出来る。
【0046】
さらに、コンタクトレンズ、特にソフトコンタクトレンズには、一般に、涙液からの汚れとして、カルシウム等が沈着乃至は吸着する可能性があることから、そのようなカルシウム等の沈着乃至は吸着を防止するべく、眼科用組成物には、キレート化剤も、また、有利に添加せしめられることとなる。そのようなキレート化剤としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)及びその塩、例えばエチレンジアミン四酢酸・2ナトリウム(EDTA・2Na)、エチレンジアミン四酢酸・3ナトリウム(EDTA・3Na)等が挙げられる。
【0047】
また、本発明に従う眼科用組成物にあっては、必須成分である(A)ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、(B)ヒドロキシプロピルメチルセルロース及び(C)多価アルコールの組合せによって、その粘度が有利に調整され得るようになっているものの、それ以外に、従来から公知の粘稠化剤乃至は増粘剤を、更に必要に応じて、補助的に添加せしめることも可能である。なお、そのような粘稠化剤としては、例えば、ムコ多糖類、ヘテロ多糖類等の種々のガム類;ポリビニルアルコール、ポリ−N−ビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリアクリルアミド等の合成有機高分子化合物;ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース等のセルロース誘導体;スターチ誘導体等を例示することが出来る。
【0048】
加えて、本発明に従う眼科用組成物は、上記(A)〜(C)成分の組合せにより、眼やコンタクトレンズの表面における眼脂等の汚れの除去効果(洗浄効果)も有利に発揮され得るようになっているものの、それ以外に、公知の界面活性剤を適宜に選択して、補助的に用いることも可能である。なお、採用される界面活性剤としては、生体への安全性が高く、またコンタクトレンズへの影響がないものであることが望ましい。また、平均分子量が5,000未満の界面活性剤は、使用期間が長期化するに連れて、コンタクトレンズの材質中に過吸着・過吸蔵する恐れがあり、また、特に、ポリソルベートやポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等のエステル系のものにあっては、保存時に、加水分解によるpH変化が惹起せしめられるところから、その使用は回避されるべきである。
【0049】
この他にも、本発明に従う眼科用組成物には、ストレスやコンタクトレンズの装用等に起因する眼内の炎症を抑えるために、グリチルリチン酸及びその塩、ε−アミノカプロン酸、アラントイン、アズレンスルホン酸ナトリウム等の消炎剤を添加せしめたり、ビタミンA類(パルミチン酸レチノール、β−カロチン等を含む)、ビタミンB2 、B6 、B12、酢酸d−α−トコフェロール等のビタミンE類、パンテノール等のビタミン類や、アスパラギン酸及びその塩、アミノエチルスルホン酸、アルギニン、アラニン、リジン、グルタミン酸等のアミノ酸類の各種添加成分を、目的とする眼科用組成物の用途に応じて、適宜、添加することが可能である。
【0050】
ところで、かかる本発明に従う眼科用組成物は、上述の如き成分を、従来と同様に、適当な水系媒体中にそれぞれ適量において添加、含有せしめることにより、調製されることとなるのであるが、それに際して用いられる水系媒体としては、水道水や精製水、蒸留水等の水そのものの他にも、水を主体とする溶液であれば、生体への安全性が高く、なお且つ眼科的に充分に許容され得るものである限り、何れも利用することが可能であることは、言うまでもないところである。
【0051】
また、上述の如き各種成分を含有せしめてなる、本発明に従う眼科用組成物を調製するにあたっては、何等特殊な方法を必要とせず、通常の水溶液を調製する場合と同様に、水系媒体中に各成分を溶解させることにより、容易に得ることが出来るものである。
【0052】
そして、以上のようにして得られる本発明に従う眼科用組成物は、眼に対する安全性が充分に確保されたものであるところから、例えば、点眼剤や、コンタクトレンズ用液剤として、有利に用いられることとなる。なお、かかるコンタクトレンズ用液剤としては、コンタクトレンズの洗浄、保存、殺菌のうちの少なくとも1種の機能を有する液剤、具体的には、コンタクトレンズ用殺菌液や、コンタクトレンズ用洗浄液、コンタクトレンズ用保存液、コンタクトレンズ用すすぎ液等の他、複数の機能を有する、洗浄・保存液、洗浄・保存・すすぎ液、殺菌・洗浄液等の多目的な液剤(マルチパーパスソリューション)等が挙げられる。
【0053】
具体的に、本発明に従う眼科用組成物を、点眼剤として用いて、疲れ目等の症状の眼に対して処方するに際しては、従来から公知の点眼剤乃至は点眼薬と同様に、適量を点眼せしめれば良く、これによって、清涼化剤による爽快感が有利に付与されて、疲れ目が解消され得ると共に、眼の不快感や乾燥感、目のカスミ等の症状も改善され、優れた使用感が実現され得るのである。なお、本発明に従う眼科用組成物にあっては、含有成分がコンタクトレンズに過吸着・過吸蔵するようなこともなく、レンズ適合性にも優れているところから、点眼に際しては、コンタクトレンズの装用の有無が何等問われることはない。尤も、コンタクトレンズ装用時に点眼すれば、上記の効果の他、コンタクトレンズに接触せしめられた点眼剤によって、コンタクトレンズへの汚れの付着が有利に抑制されたり、コンタクトレンズに付着した汚れが除去され得ると共に、コンタクトレンズ表面の親水性が有利に向上せしめられて、レンズの曇り等の発生が顕著に抑制され得るようになり、以て、コンタクトレンズの装用に起因する異物感等の各種の症状も効果的に解消され、コンタクトレンズの装用感が飛躍的に高められ得るのである。
【0054】
また、本発明に従う眼科用組成物を、コンタクトレンズ用液剤として用いる場合には、先ず、眼から外したコンタクトレンズを、本発明に従う眼科用組成物で満たした適当な容器中に、所定時間の間、浸漬せしめることにより、保存、洗浄又は殺菌等の手入れを行なうのである。そして、コンタクトレンズを再び装用する際には、該コンタクトレンズを液中より取り出し、そのまま装用したり、或いは、取り出したコンタクトレンズを新しい(未使用)眼科用組成物や水等で濯いだ後、装用することとなるのである。このようにして、本発明に従う眼科用組成物をコンタクトレンズに接触せしめれば、界面活性作用によって、コンタクトレンズ表面に付着する眼脂等の汚れが有利に取り除かれると共に、コンタクトレンズに対して優れた水濡れ性が付与されて、レンズの曇り等の発生も効果的に防止され得るようになるのである。その結果、コンタクトレンズの装用時には、清涼感が有利に付与されると共に、コンタクトレンズの装用に起因する乾燥感やカスミ、視力不安定、異物感等の症状も有利に低減されて、コンタクトレンズの装用感も著しく向上せしめられるのである。
【0055】
なお、かかる眼科用組成物を、コンタクトレンズ用点眼剤やコンタクトレンズ用液剤として用いた際に、その対象とするコンタクトレンズとしては、その種類が何等限定されるものではなく、例えば、非含水、低含水、高含水等の全てに分類されるソフトコンタクトレンズ、及びハードコンタクトレンズがその対象となり得るのであって、コンタクトレンズの材質等が、本発明の適用に際して何等問われることはない。
【0056】
【実施例】
以下に、本発明の実施例を示し、本発明を更に具体的に明らかにすることとするが、本発明が、そのような実施例の記載によって、何等の制約をも受けるものでないことは、言うまでもないところである。また、本発明には、以下の実施例の他にも、更には上記の具体的記述以外にも、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて種々なる変更、修正、改良等を加え得るものであることが、理解されるべきである。
【0057】
−評価試験 1−
まず、滅菌精製水に対して、所定の添加成分を、下記表1及び表2に示される各種割合においてそれぞれ添加せしめることにより、各種眼科用組成物(実施例1〜12、比較例1〜16)を、それぞれ調製した。なお、かかる眼科用組成物の調製に際しては、清涼化剤として、l−メントールを用い、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマーとしては、ポロクサマー407(BASF社製)を用い、ヒドロキシプロピルメチルセルロースとしては、メトローズ60SH−4000又はメトローズTC−5E(信越化学工業株式会社製)を用い、更に、多価アルコールとしては、グリセリン又はプロピレングリコールを用いた。また、緩衝剤としては、ホウ酸及びホウ砂を用い、キレート化剤としては、エデト酸ナトリウムを用いた。更に、防腐剤としては、ソルビン酸カリウムを用い、等張化剤としては、塩化ナトリウム及び塩化カリウムを用いた。
【0058】
<保存試験(清涼化剤の含有量の変化)>
上記で得られた実施例1〜12及び比較例1〜16に係る眼科用組成物を、それぞれ、2つの100ml容耐熱ガラス製容器に分注,密栓し、その一方を25℃の温度環境下にて、もう一方を40℃の温度環境下にて、それぞれ、6ヶ月間保存した。その後、それぞれの眼科用組成物中のl−メントールの含有量を、ガスクロマトグラフィーにて測定した。そして、得られた定量値から減少率を次式に従って算出し、下記の評価基準で評価を行なうと共に、その結果を、下記表1又は表2に示した。なお、かかる定量に際して、眼科用組成物中のl−メントールは、クロロホルムによって抽出した。
減少率(%)=保存試験後の清涼化剤含有量÷保存試験前の清涼化剤含有量×100
◎:減少率が10%未満である。
△:減少率が10%以上25%未満である。
×:減少率が25%以上である。
【0059】
【表1】
【0060】
【表2】
【0061】
上記表1及び表2の結果からも明らかなように、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマーとヒドロキシプロピルメチルセルロースと多価アルコールが所定の割合で含有せしめられてなる実施例1〜12に係る眼科用組成物にあっては、6ヶ月間、保存乃至は保管しても、清涼化剤の減少率が10%未満であり、保存安定性に優れていることが分かる。これに対して、比較例1〜16に係る眼科用組成物は、調製時には清涼化剤が可溶化するものの、6ヵ月後には、10%以上の清涼化剤が析出乃至は分離してしまい、清涼化剤の保存安定性が良好ではないことが、分かる。
【0062】
−評価試験 2−
まず、滅菌精製水に対して、所定の添加成分を、下記表3乃至表6に示される各種割合においてそれぞれ添加せしめることにより、各種眼科用組成物(実施例13〜36、比較例17〜42)を、それぞれ調製した。なお、かかる眼科用組成物の調製に際し、清涼化剤としては、dl−メントール、l−カンフルを用い、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマーとしては、ポロクサマー407(BASF社製)を用い、ヒドロキシプロピルメチルセルロースとしては、メトローズ60SH−4000又はメトローズTC−5E(信越化学工業株式会社製)を用い、更に、多価アルコールとしては、グリセリン及び/又はプロピレングリコールを用いた。また、防腐剤としては、ソルビン酸カリウムを用い、緩衝剤としては、ホウ酸及びホウ砂を用いた。更に、キレート化剤としては、エデト酸ナトリウムを用い、等張化剤としては、塩化ナトリウム及び/又は塩化カリウムを用いた。また、比較のために、エステル系低分子界面活性剤であるポリソルベート80とポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油を用いた。
【0063】
<pH安定性評価試験>
上記で得られた実施例13〜36及び比較例17〜42に係る眼科用組成物を、それぞれ、滅菌処理の施された250ml容ガラス製メジウム瓶に無菌充填し、40℃の温度環境下で、6ヶ月間保存し、保存前のpHと保存後のpHを比較することにより、pH安定性を以下の評価基準で評価して、その結果を、下記表3〜表6に示した。
◎:(保存前pH)−(保存後pH)が±0.5未満である。
△:(保存前pH)−(保存後pH)が±0.5以上1.0未満である。
×:(保存前pH)−(保存後pH)が±1.0以上である。
【0064】
<Draize法による眼刺激性試験>
上記で得られた実施例13〜36及び比較例17〜42に係る眼科用組成物を、それぞれ用いて、厚生省科学研究報告(昭和45年)における点眼用保存剤眼粘膜刺激性短期試験方法に準じて、眼刺激性試験を行ない、得られた評点から、以下の基準で、眼科用組成物の眼刺激性を評価し、その結果を、下記表3〜表6に示した。
◎:平均評点が0点以上3点未満である。
○:平均評点が3点以上5点未満である。
△:平均評点が5点以上7点未満である。
×:平均評点が7点以上である。
【0065】
<涙濡れ性評価試験>
酸素透過性ハードコンタクトレンズ[(株)メニコン製のメニコンZ又はメニコンEX]の装用者30名からなるボランティアに対して、上記で得られた各種眼科用組成物を、それぞれ、点眼剤として点眼した。そして、点眼1時間後の装用中のコンタクトレンズ表面を、細隙灯顕微鏡にて観察し、フルオレセイン染色涙液の破壊時間(BUT:tear breakup time)を観察した。そして、下記評価基準により評価を行なって、その結果を、下記表3〜表6に示した。
◎:(点眼1時間後BUT)−(点眼前BUT)が5秒以上である。
△:(点眼1時間後BUT)−(点眼前BUT)が0秒以上5秒未満である。
×:(点眼1時間後BUT)−(点眼前BUT)が負の値である。
【0066】
<ソフトコンタクトレンズに対する清涼化剤の吸着試験>
FDA(米国食品医薬品局)によるソフトコンタクトレンズの4分類から、代表的なレンズとして、(株)メニコン製のメニコンソフトMA、メニコンソフト72、メニコンフォーカスを選び、各レンズを、上記で得られた実施例13〜36及び比較例17〜42に係る眼科用組成物の5mlに、それぞれ、1枚ずつ、37℃で7日間浸漬した。その後、残液から清涼化剤を抽出して、ガスクロマトグラフ法により、定量を行なった。なお、レンズを浸漬しない眼科用組成物の5mlを、37℃で7日間放置したものをコントロールとし、コントロールに対する比率から各レンズに対する清涼化剤の吸着率を算出した。そして、下記の評価基準で評価し、その結果を、下記表3〜表6に示した。
◎:3種のレンズに対する清涼化剤の平均吸着率が1%未満である。
○:3種のレンズに対する清涼化剤の平均吸着率が1%以上3%未満である。
△:3種のレンズに対する清涼化剤の平均吸着率が3%以上5%未満である。
×:3種のレンズに対する清涼化剤の平均吸着率が5%以上である。
【0067】
【表3】
【0068】
【表4】
【0069】
【表5】
【0070】
【表6】
【0071】
かかる表3〜表6の結果より明らかなように、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマーとヒドロキシプロピルメチルセルロースと多価アルコールが所定の割合で含有せしめられてなる実施例13〜36に係る眼科用組成物にあっては、pH安定性、耐眼刺激性、涙濡れ性及び清涼化剤の耐吸着性が何れも、◎若しくは○となっており、保存安定性や、使用感に優れたものとなっていることが認められる。中でも、多価アルコールとして、プロピレングリコールを採用したものにあっては、グリセリンを採用したものに比して、より優れた耐眼刺激性や清涼化剤の耐吸着性が実現されている。
【0072】
これに対して、ポリソルベート80やPOE(60)硬化ヒマシ油が用いられた比較例17〜26にあっては、pH安定性が悪いことが分かる。また、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマーとヒドロキシプロピルメチルセルロースと多価アルコールが、所定の割合で含有せしめられていない比較例27〜42にあっては、何れも、耐眼刺激性、涙濡れ性及び清涼化剤の耐吸着性が、×若しくは△となっており、良好な使用感が実現され得ないものとなっている。
【0073】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明に従う眼科用組成物にあっては、(A)ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマーと、(B)ヒドロキシプロピルメチルセルロースと、(C)多価アルコールの3成分が組み合わされ、それらが所定の配合割合となるように用いられているところから、清涼化剤が長期に亘って、可溶化せしめられるのである。また、保存・保管中に、加水分解が生じるようなこともなく、以て、眼科用組成物のpHが変化するようなことも有利に防止され得ているのである。このため、本発明に従う眼科用組成物にあっては、従来のものに比して、極めて優れた保存安定性が実現され得るようになっているのである。
【0074】
また、清涼化剤による眼刺激(痛み)の発生も有利に緩和されて、快適な清涼感や爽快感が得られると共に、清涼化剤のコンタクトレンズへの吸着も効果的に阻止され得るようになっている。加えて、湿潤性や保湿性が向上せしめられて、眼の潤い効果が長時間に亘って持続することとなり、乾燥感の低減も効果的に実現され得るようになっている。更に、防汚効果が有利に付与せしめられていると共に、コンタクトレンズの涙濡れ性も改善されて、目のカスミやコンタクトレンズの曇り、異物感等の種々の症状の発生も有利に防止され得るようになる。このため、本発明に従う眼科用組成物を使用すれば、より一層優れた使用感も享受され得るのである。
【0075】
従って、本発明に従う眼科用組成物は、点眼剤(特に、コンタクトレンズ用点眼剤)や、コンタクトレンズ用液剤等として、有利に用いられ得るのである。
【技術分野】
本発明は、眼科用組成物の改良に係り、特に、コンタクトレンズ用点眼剤やコンタクトレンズ用液剤等として有利に用いられ得る眼科用組成物に関するものである。
【0002】
【背景技術】
昨今、パソコン等の普及から、VDT(Visual Display Terminal )作業が増加し、目の疲れを訴える人が増加している。また、コンタクトレンズ装用者も増加し、コンタクトレンズ装用者の多くに、乾燥感(目の乾き)、目の疲れ、目のカスミ、装用中のコンタクトレンズのゴロツキ(異物感)等の症状を訴えるケースが多く見られるようになっている。
【0003】
そして、そのような症状を緩和し、また、疲れ目への爽快感を得ることを目的として、従来より、メントールやカンフル、ボルネオール等の清涼化剤を含有した人工涙液型の点眼剤が使用されている。かかる清涼化剤は、基本的に精油であり、水には溶解しない疎水性物質であるところから、そのような清涼化剤を、点眼剤等の水性液剤に配合するに際しては、従来より、一般に、疎水性物質を可溶化させる能力(可溶化能)の高い、ポリソルベートやポリオキシエチレン(POE)硬化ヒマシ油等の比較的に低分子量のエステル系界面活性物質が、溶解補助剤乃至は可溶化剤として用いられてきている。
【0004】
例えば、特開2002−97129号公報(特許文献1)には、清涼化成分の刺激を緩和し、清涼感や爽快感を持続させることを目的として、所定の粘度に調整された、清涼化成分と粘稠化剤とを含有する点眼剤が、提案されているのであるが、そこでは、清涼化剤を点眼剤中に可溶化せしめるべく、実質的には、その実施例に示されるように、ポリソルベートやポリオキシエチレン硬化ヒマシ油が使用されている。また、特開平11−130667号公報(特許文献2)においても、テルペノイド(清涼化剤)を有効成分として含有する眼科用組成物が提案され、ポリソルベートにて、かかるテルペノイドの可溶化が実現されている。
【0005】
しかしながら、上記したエステル系の低分子界面活性物質にあっては、低分子であるところから、コンタクトレンズの材質中に、清涼化剤と共に取り込まれ易く、レンズ内部への過吸着、過吸蔵が懸念され、眼刺激等の眼障害を誘発する恐れがある。また、エステル系化合物であるところから、保存乃至は保管中に加水分解を起こし易く、pHが変化する等、液剤の保存安定性の面において問題を内在している。更に、かかるエステル系低分子界面活性物質にて清涼化剤を可溶化した点眼剤を使用した場合、点眼直後に補涙による潤い効果を充分に得ることが出来なかったり、コンタクトレンズの水濡れ性を充分に向上させることも困難であったのである。
【0006】
また、上述せる如き、ポリソルベート等の可溶化能の高いエステル系低分子界面活性物質以外にも、ポリ(オキシエチレン)−ポリ(オキシプロピレン)共重合体等の非イオン性界面活性剤や、プロピレングリコールを用いて、清涼化剤を溶解せしめてなる点眼剤や眼科用組成物が、各種提案されている(特許文献3〜8参照)。しかしながら、これらポリ(オキシエチレン)−ポリ(オキシプロピレン)共重合体やプロピレングリコール等は、眼に対する安全性や耐加水分解性(pH安定性)には優れているものの、上記したエステル系の低分子界面活性物質に比して、清涼化剤に対する可溶化能が低いところから、清涼化剤は、水性液剤中に一旦は溶解するものの、液剤を保存乃至は保管している間に、水性液剤から徐々に析出乃至は分離してしまい、清涼化剤の保存安定性が悪いという問題を有している。
【0007】
このため、近年においては、眼に対する安全性や保存安定性に優れ、且つ、より良い注し心地や使用感を実現する点眼剤等の眼科用組成物が、強く望まれてきているのである。
【0008】
【特許文献1】
特開2002−97129号公報
【特許文献2】
特開平11−130667号公報
【特許文献3】
特開2000−347142号公報
【特許文献4】
特開2001−39922号公報
【特許文献5】
特開2001−187731号公報
【特許文献6】
特開2001−187733号公報
【特許文献7】
特開2002−3364号公報
【特許文献8】
特開2002−97129号公報
【0009】
【解決課題】
ここにおいて、本発明は、かかる事情を背景にして為されたものであって、その解決課題とするところは、眼に対する安全性を充分に備えつつ、潤い効果を良好に発揮し、また、コンタクトレンズ装用時においては、コンタクトレンズの濡れ性を高度に確保して、より一層優れた使用感を実現すると共に、保存安定性にも優れた眼科用組成物を提供することにある。
【0010】
【解決手段】
そして、本発明者らは、そのような課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、高分子化合物である(A)ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー及び(B)ヒドロキシプロピルメチルセルロースと共に、(C)多価アルコールを組み合わせ、それら3成分を、所定の配合割合となるように配合して清涼化剤を可溶化せしめることによって、ポリソルベート等のエステル系低分子界面活性物質を用いなくとも、清涼化剤の析出乃至は分離が極めて効果的に抑制され、優れた保存安定性が得られることを見出したのである。また、更に検討を行なったところ、コンタクトレンズに対する清涼化剤の付着が抑制されると共に、コンタクトレンズの濡れ性も向上して、極めて良好な使用感も実現され得ることを見出したのである。
【0011】
従って、本発明は、かくの如き知見に基づいて完成されたものであって、その要旨とするところは、水系媒体中に清涼化剤を含有する眼科用組成物において、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマーとヒドロキシプロピルメチルセルロースとが、それぞれ、0.05〜0.5w/w%及び0.07〜1.5w/w%となるように含有せしめられ、更に、多価アルコールが、0.1〜2.0w/w%となるように含有せしめられていることを特徴とする眼科用組成物にある。
【0012】
要するに、このような本発明に従う眼科用組成物にあっては、疎水性物質である清涼化剤を水系媒体中に溶解せしめるために、(A)ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマーと、(B)ヒドロキシプロピルメチルセルロースと、(C)多価アルコールの3成分が組み合わされ、それらが所定の配合割合となるように用いられているところから、清涼化剤に対する可溶化能が、それらの3成分を単独で用いたり、それらのうちの2成分を組み合わせて用いる場合等に比して、飛躍的に向上せしめられ得るのである。これにより、保存乃至は保管している間に、清涼化剤が水系媒体から徐々に析出したり、或いは、油層として分離してしまうようなことが顕著に抑制され、更には、清涼化剤の拡散蒸発も防止され得ることとなる。また、上記の3成分はエステル系化合物ではないところから、保存乃至は保管中に、加水分解が生じるようなこともなく、以て、眼科用組成物のpHが変化するようなことも有利に防止され得るのである。このため、本発明に従う眼科用組成物にあっては、従来のものに比して、極めて優れた保存安定性が実現され得るようになっているのである。
【0013】
また、そのような本発明に従って含有せしめられることとなる(A)〜(C)の各成分は、それ自体、眼やコンタクトレンズに対して悪影響を及ぼすようなものではなく、安全性やレンズ適合性に優れたものであるところから、かかる成分によって、眼刺激や眼障害等が発生するようなことも有利に防止され得るのである。また、特に、(A)〜(C)の3つの成分が所定の割合で組み合わされて用いられることによって、清涼化剤に起因する痛み等の眼刺激の発生も有利に緩和されて、快適な清涼感や爽快感が得られると共に、清涼化剤のコンタクトレンズへの吸着も効果的に阻止され得るようになっている。
【0014】
加えて、上述せる如き成分の粘稠化作用により、湿潤性や保湿性が有利に向上せしめられ得て、眼の潤い効果が長時間に亘って持続することとなり、乾燥感の低減も効果的に実現され得るようになっている。また、界面活性作用によって、角膜上やコンタクトレンズへの眼脂等の汚れの付着が抑制されると共に、コンタクトレンズ表面の水濡れ性乃至は涙濡れ性も改善され得て、目のカスミやコンタクトレンズの曇り、異物感等の種々の症状の発生も有利に防止され得るようになる。従って、本発明に従う眼科用組成物を使用すれば、より一層優れた使用感も享受され得るようになるのである。
【0015】
なお、本発明の好ましい態様によれば、上記した眼科用組成物は、眼に対する安全性が充分に備えられていると共に、レンズ適合性にも優れているところから、点眼剤、特に、コンタクトレンズ用点眼剤として、或いは、コンタクトレンズ用洗浄液、コンタクトレンズ用保存液、コンタクトレンズ用殺菌液、コンタクトレンズ用すすぎ液、及びマルチパーパスソリューション等のコンタクトレンズ用液剤として、好適に使用されることとなる。
【0016】
そして、かかる本発明に従う眼科用組成物を点眼剤として用いて、その所定量を点眼すれば、清涼化剤によって、刺激のない適度な清涼感や爽快感が得られると共に、乾燥感や目のカスミ等の症状も改善され得るのであり、また、コンタクトレンズの装用時に点眼すれば、コンタクトレンズ表面への汚れ付着の抑制とコンタクトレンズ表面に付着した汚れの除去とが両立して有利に実現され得ると共に、レンズ表面の水濡れ性が向上し、より一層優れた使用感及びレンズ装用感が実現され得るのである。一方、コンタクトレンズ用液剤として用いれば、コンタクトレンズ表面に付着した汚れが効果的に除去されると共に、レンズ表面の水濡れ性が向上し、曇り等の発生が効果的に抑制され得る。また、そのような液剤にて処理されたコンタクトレンズを装用すれば、装用時に、清涼化剤によって、清涼感や爽快感が得られると共に、異物感や眼刺激、乾燥感等の症状の発生も有利に抑制されるのである。
【0017】
また、本発明に従う眼科用組成物の好ましい態様の一つによれば、前記ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマーとしては、その0.1w/w%含有水溶液における表面張力が、25℃にて、55mN/m以下であるポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマーが、選択されて好適に用いられることとなる。
【0018】
さらに、本発明における別の好ましい態様の一つによれば、前記ヒドロキシプロピルメチルセルロースとしては、その平均分子量が、10,000〜500,000の範囲にあるものが、好適に採用される。
【0019】
加えて、本発明に従う眼科用組成物の更に別の好ましい態様の一つによれば、前記ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマーと前記ヒドロキシプロピルメチルセルロースとの合計含有量は、0.15〜1.8w/w%であることが望ましく、このような構成を採用することによって、本発明の上記した効果がより一層有利に発揮せしめられ得ることとなる。
【0020】
また、本発明に従う他の好ましい態様によれば、前記多価アルコールとして、プロピレングリコールが特に好適に採用される。プロピレングリコールを用いれば、コンタクトレンズへの清涼化剤の吸着が、より一層効果的に抑制され、以て、コンタクトレンズに付着した清涼化剤による眼刺激の発生が顕著に防止され得て、特に優れた使用感が得られるようになるのである。
【0021】
さらに、本発明における好ましい態様の他の一つによれば、前記清涼化剤としては、メントール、ボルネオール及びカンフルのうちの少なくとも一つが、有利に用いられることとなる。
【0022】
【発明の実施の形態】
ところで、かかる本発明に従う眼科用組成物は、清涼化剤を含有するものであって、水系媒体を主体とし、その中に、必須の成分として、(A)ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマーと(B)ヒドロキシプロピルメチルセルロースと(C)多価アルコールとの3成分が組み合わされ、それらが所定の配合割合となるように含有せしめられているところに、大きな特徴を有している。
【0023】
そこにおいて、本発明に従う眼科用組成物は、清涼感や爽快感を付与するために、清涼化剤を含有するものであって、本発明で用いられる清涼化剤としては、従来より、点眼時に清涼感や爽快感を与えたり、コンタクトレンズ装用時の異物感や痒みを解消すること等を目的として用いられているものであれば、特に限定されるものではなく、例えば、メントール、ボルネオール、カンフル、ゲラニオール、ユーカリ油、ベルガモット油、ウィキョウ油、ハッカ油、ローズ油、クールミント等を例示することが出来る。これらの中でも、メントール、ボルネオール、カンフルにあっては、少量の添加で、より高い清涼感や爽快感が得られるところから、それらのうちの少なくとも1種が、特に好適に採用されることとなる。また、この清涼化剤は、眼科用組成物中に、通常、0.0001〜0.1w/w%程度となるように含有せしめられる。
【0024】
なお、上述せる如き清涼化剤は、水系媒体に溶解し難い疎水性物質であるところから、そのままでは、水系媒体に溶解乃至は相溶しない。このため、本発明においては、そのような清涼化剤を水系媒体中に可溶化せしめるべく、上記した(A)〜(C)の3成分が組み合わされて、用いられることとなるのである。
【0025】
そして、本発明の必須成分として用いられる(A)〜(C)の3成分のうち、(A)ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマーは、よく知られているように、親水性及び親油性をそれぞれ示すポリオキシエチレン(POE)基とポリオキシプロピレン(POP)基がブロック的に配列、結合された構造を有する高分子化合物であり、生体への安全性が高く、尚且つ眼科的に許容され得るものであれば、何れも、採用可能である。かかるポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマーの具体例としては、例えば、非イオン性界面活性剤として市販されているプルロニック、プルロニックR、テトロニック、テトロニックR(以上、独国:BASF社製)、具体的には、ポロクサマー188、ポロクサマー237、ポロクサマー338、ポロクサマー407、テトロニック704、テトロニック904、テトロニック908、テトロニック1107、テトロニック1304等が挙げられ、それらのうちの1種若しくは2種以上を適宜に選択して用いることが出来る。
【0026】
また、かかるポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマーには、オキシエチレン基(EO基)やオキシプロピレン基(PO基)の付加割合によって、表面張力の異なるものが、種々存在しているのであるが、それらの中でも、特に、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマーを0.1w/w%含有する水溶液における表面張力が、25℃において、55mN/m以下、より好ましくは、50以下であるものが、好適に採用されることとなる。何故なら、かかる表面張力が55mN/mを超えるようになると、界面活性能が低下して、所望とする効果が得られなくなる恐れがあるからである。因みに、上記で具体例として挙げたポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマーは、何れも、0.1w/w%水溶液における表面張力が、25℃において、55mN/m以下である。
【0027】
さらに、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマーとしては、分子中のEO基の割合が、65〜85重量%のものを、好適に採用することが出来る。これは、かかるEO基の割合が、65重量%未満の場合には、オキシプロピレン基の割合が多くなるところから、疎水性が高まり、コンタクトレンズへの吸着が増加する傾向があるからであり、また、85重量%を超える場合には、上記した表面張力が発現され難くなり、充分な界面活性能を得ることが困難となるからである。
【0028】
加えて、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマーには、EO基やPO基の付加量によって、各種の平均分子量のものが存在しているのであるが、平均分子量が小さ過ぎる場合には、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー分子、及び可溶化された清涼化剤がコンタクトレンズ内に取り込まれて、これにより、コンタクトレンズの形状や物性に悪影響が及ぼされる恐れがあり、また、平均分子量が大きくなり過ぎる場合には、眼科用組成物の粘度が高くなり過ぎたり、洗浄力や可溶化能が低下する恐れがあるところから、一般に、5,000〜30,000の範囲にあるものが採用されることとなる。
【0029】
なお、上述せる如きポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマーの含有量としては、0.05〜0.5w/w%、より好適には、0.075〜0.35w/w%となる量が採用される。けだし、0.05w/w%未満では、清涼化剤を水性媒体中に、安定して可溶化せしめることが出来なくなって、目的とする優れた保存安定性を得られなくなると共に、コンタクトレンズ装用時には、コンタクトレンズへの眼脂等の汚れ成分の付着を充分に防止することが出来なくなったり、コンタクトレンズの水濡れ性を高めることが不可能となって、曇り除去効果に劣るようになるからであり、また、0.5w/w%よりも多くなると、眼刺激や眼障害を誘発する恐れがあるからである。
【0030】
一方、本発明の必須成分の他の一つとして用いられる(B)ヒドロキシプロピルメチルセルロースは、セルロースの水酸基の水素の一部がメチル基(−CH3 )やヒドロキシプロポキシル基(−CH2CHOHCH3)で置換された構造を有する高分子化合物であって、従来より増粘剤や粘稠化剤等として用いられている。そして、本発明においては、生体への安全性が高く、尚且つ眼科的に許容され得るものであれば、何れも、有利に用いられ得る。具体例としては、例えば、信越化学工業株式会社製のメトローズTC−5E(M.W.=20,000)、メトローズTC−5R(M.W.=30,000)、メトローズ60SH−15(M.W.=50,000)、メトローズ60SH−50(M.W.=75,000)、メトローズ60SH−4000(M.W.=300,000)、メトローズ60SH−10000(M.W.=500,000)、メトローズ65SH−50(M.W.=100,000)、メトローズ65SH−400(M.W.=110,000)、メトローズ65SH−1500(M.W.=200,000)、メトローズ65SH−4000(M.W.=300,000)、メトローズ90SH−100(M.W.=100,000)、メトローズ90SH−400(M.W.=110,000)、メトローズ90SH−4000(M.W.=300,000)等が挙げられ、それらのうちの1種若しくは2種以上を適宜に選択して用いることが出来る。
【0031】
また、上記したヒドロキシプロピルメチルセルロースにあっても、前記ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマーと同様に、各種の分子量のものが存するのであるが、それらの中でも、平均分子量が10,000〜500,000、更に好ましくは、15,000〜400,000の範囲にあるものが、より好適に採用されることとなる。何故ならば、かかる平均分子量が小さ過ぎる場合には、ヒドロキシプロピルメチルセルロース分子自体及び可溶化された清涼化剤がコンタクトレンズ内に取り込まれて、コンタクトレンズの形状や物性に悪影響が及ぼされる恐れがあるからであり、また、平均分子量が大きくなり過ぎると、眼科用組成物の粘度が高くなり過ぎて、不快なネバツキ感や、像のゆがみによる視力不安定(ブラー:blur)を招き、使用感が著しく悪化する恐れがあるからである。
【0032】
さらに、ヒドロキシプロピルメチルセルロースとしては、メトキシル基(−OCH3 )やヒドロキシプロポキシル基(−OCH2CHOHCH3)の置換度が低過ぎる場合には、ヒドロキシプロピルメチルセルロース分子中の疎水基の割合が低下し、これによって、界面活性能が極端に下がって、洗浄効力を充分に発揮することが出来なくなると共に、清涼化剤を安定的に可溶化せしめることが困難となる恐れがあり、また一方、メトキシル基置換度やヒドロキシプロポキシル基置換度が高過ぎる場合には、ヒドロキシプロピルメチルセルロース分子中の疎水基の割合が大きくなって、疎水性が高くなり過ぎて、コンタクトレンズ表面に曇りが惹起されたり、使用感が悪くなるといった傾向があるところから、ヒドロキシプロピルメチルセルロースの中でも、特に、メトキシル基置換度が28〜30重量%であり、且つヒドロキシプロポキシル基置換度が7〜12重量%であるものが、より一層好適に採用される。因みに、上記で具体例として挙げたメトローズTC−5E、メトローズTC−5R、メトローズ60SH−15、メトローズ60SH−50、メトローズ60SH−4000、メトローズ60SH−10000は、メトキシル基置換度:28〜30重量%、ヒドロキシプロポキシル基置換度:7〜12重量%である。
【0033】
また、上述せる如きヒドロキシプロピルメチルセルロースの含有量としては、0.07〜1.5w/w%、より好ましくは、0.1〜1.0w/w%が採用される。けだし、0.07w/w%未満では、清涼化剤を水性媒体中に、安定して可溶化せしめることが出来なくなって、目的とする優れた保存安定性が得られなくなると共に、コンタクトレンズ装用時には、コンタクトレンズへの眼脂等の汚れ成分の付着を充分に防止することが出来なくなったり、コンタクトレンズの水濡れ性を高めることが不可能となって、曇り除去効果に劣るようになるからであり、また一方、1.5w/w%よりも多くなると、眼科用組成物の粘度が増大して、視力不安定(ブラー)等の問題を惹起する恐れがあるからである。
【0034】
そして、それら高分子化合物である(A)ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマーと(B)ヒドロキシプロピルメチルセルロースは、それぞれ、上述せる如き添加量となるように、水系媒体中に含有せしめられるのであるが、より好適には、それらA成分とB成分の合計含有量が、0.15〜1.8w/w%となるように、更に好適には、0.175〜1.25w/w%となるように、それぞれ、上述せる如き添加量の範囲内で、添加量が適宜に設定されることが望ましい。このような合計含有量が採用されることによって、清涼化剤の保存安定性がより一層高められ得ると共に、清涼化剤による眼刺激や、ネバツキ感、視力不安定、乾燥感等の不快な症状も、より一層効果的に防止され得ることとなるからである。
【0035】
また一方、本発明に従う眼科用組成物には、(C)多価アルコールも、必須成分の一つとして用いられる。かかる多価アルコールにあっても、生体への安全性が高く、尚且つ眼科的に許容され得るものであれば、何れも、有利に用いることが出来る。具体例としては、例えば、プロピレングリコール;グリセリン;グルコース、ソルビトール、キシリトール、マンニトール等の糖アルコール等が挙げられ、それらのうちの少なくとも1種以上を適宜に選択して用いることが出来る。これらの中でも、特に、プロピレングリコールが用いられることが望ましい。けだし、プロピレングリコールを採用した場合には、眼に対する刺激の発生が極めて顕著に抑制されて、より一層優れた使用感が得られると共に、コンタクトレンズへの清涼化剤の吸着も、より効果的に抑制され得るからである。
【0036】
なお、かかる多価アルコールの含有量としては、0.1〜2.0w/w%、より好ましくは、0.15〜1.5w/w%が採用される。けだし、かかる含有量が0.1w/w%未満では、清涼化剤を水性媒体中に、安定して可溶化せしめることが出来なくなって、目的とする優れた保存安定性を得られなくなると共に、清涼化剤特有の眼刺激(痛み)を感じ易くなって、使用感が悪化するようになるからであり、また一方、2.0w/w%よりも多くなると、レンズが膨潤し、形状やサイズが変化して、レンズ規格に影響を及ぼすと共に、浸透圧が高くなり過ぎて、眼刺激、ひいては眼障害を誘発するからである。
【0037】
また、(C)多価アルコールは、上述せる如き含有量の中でも、特に、前述せる如き高分子化合物である(A)ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー及び(B)ヒドロキシプロピルメチルセルロースの合計含有量に対して、[(A成分の含有量)+(B成分の含有量)]/(C成分の含有量)=0.1〜18、より好ましくは、0.15〜8となる割合において、用いられることが望ましく、このような含有量を採用することによって、清涼化剤の保存安定性の向上と眼刺激の低減が、より一層有利に図られ得るようになる。
【0038】
かくして、本発明に従う眼科用組成物にあっては、上述せる如き(A)〜(C)の3成分が、必須の構成成分として用いられていると共に、それら3成分が、それぞれ、所定の割合となるように含有せしめられているところから、(A)〜(C)の3成分のうちの何れかを単独で用いたり、それらのうちの2成分を組み合わせて用いる場合に比して、清涼化剤が、より一層長期に亘って安定的に眼科用組成物中に溶存せしめられることとなるのである。この結果、眼科用組成物の保存・保管中に、清涼化剤が水系媒体から分離したり、析出したり、結晶化するようなことが効果的に抑制される。また、3成分を所定割合で組み合わせることにより、従来より使用されているポリソルベートやポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等のエステル系界面活性物質と同等、或いはそれ以上の可溶化能が実現され得るところから、そのようなエステル系界面活性物質を使用する必要もなくなるのである。従って、眼科用組成物を保存・保管している間に、加水分解が生じるようなことも効果的に阻止され、以て、眼科用組成物のpHが変化するようなことも有利に防止されることとなる。このように、本発明に従う眼科用組成物にあっては、清涼化剤の溶解・相溶安定性や、pH安定性が従来のものに比して高められたものであり、極めて優れた保存安定性が実現され得るようになっているのである。
【0039】
また、それら(A)〜(C)の3つの成分が、所定の割合で組み合わされて、用いられていることによって、清涼化剤による眼刺激(痛み)の発生も有利に緩和されて、快適な清涼感や爽快感が得られると共に、清涼化剤のコンタクトレンズへの吸着も効果的に阻止され得るようになっているのである。さらに、上述せる如き成分の粘稠化作用により、湿潤性や保湿性が向上せしめられて、眼の潤い効果が長時間に亘って持続し、乾燥感の低減も効果的に実現され得、また、界面活性作用によって、防汚性が向上せしめられると共に、コンタクトレンズ表面の水濡れ性乃至は涙濡れ性も改善されて、目のカスミやコンタクトレンズの曇り、異物感等の種々の症状の発生も有利に防止され得るようになっており、優れた使用感が実現され得るようになっている。
【0040】
而して、本発明に従う眼科用組成物は、上述せる如き清涼化剤、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及び多価アルコールを、従来と同様に、適当な水系媒体中に適量において添加、溶解せしめることにより、調製されるものであるが、本発明では、そのような必須成分以外にも、更に必要に応じて、一般的な点眼剤やコンタクトレンズ用の液剤において用いられている各種添加成分が、適宜に選択されて、通常の添加割合において添加せしめられていても、何等差し支えない。なお、そのような添加成分は、生体への安全性が高く、なお且つ眼科的に充分に許容され、しかもコンタクトレンズの形状又は物性に対する影響のないものであることが好ましく、また、そういった要件を満たす量的範囲内で用いられることが望ましいのであり、これによって、本発明の効果を何等阻害することなく、その添加成分に応じた各種の機能を眼科用組成物に対して有利に付与することが出来るのである。
【0041】
そして、例えば、本発明の眼科用組成物において、眼やコンタクトレンズの消毒効果乃至は殺菌効果、更には、眼科用組成物の防腐・保存効果を有利に発現させるためには、防腐効力乃至は殺菌効力を有する防腐剤や殺菌剤が添加せしめられる。なお、そのような防腐剤や殺菌剤としては、一般に、防腐乃至は殺菌効力と共に、眼やコンタクトレンズへの適合性に優れたもの、更には、アレルギー等の障害の要因となり難いものが望ましく、公知の各種のものの中から、適宜なものが選定されて、単独で或いは複数を組み合わせて用いられることとなる。
【0042】
因みに、防腐剤としては、例えば、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、安息香酸或いはその塩、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸ブチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸メチル、クロロブタノール等が挙げられる。これらの防腐剤の中でも、ソルビン酸やソルビン酸カリウムにあっては、ソフトコンタクトレンズに対する影響が極めて小さいところから、特に、好適に採用され得る。より具体的には、ソルビン酸やソルビン酸カリウムは、アニオン性であり、ソフトコンタクトレンズの材質中に吸着や取り込まれ難いものであるところから、防腐剤の吸着や取り込みによって惹起される、アレルギーの発現を有利に回避し得るのである。一方、殺菌剤としては、例えば、ポリヘキサメチレンビグアニド(PHMB)等のビグアニド系殺菌剤やポリクォーテリウム等の4級アンモニウム塩系殺菌剤等を挙げることが出来る。なお、このような防腐剤や殺菌剤を用いない場合には、特に、本発明に従う眼科用組成物を、1回で使い切るシングルドーズタイプとして用いたり、特開2002−80055号公報に開示されている如きフィルター付き吐出容器を使用するマルチドーズタイプとして用いることも可能である。
【0043】
また、本発明に従う眼科用組成物にあっては、そのpH値や浸透圧が大きくなり過ぎても、逆に小さくなり過ぎても、眼に対して刺激を与えたり、眼障害を招来する恐れがあるところから、通常、そのような眼科用組成物のpH値は、適当なpH調整剤や緩衝剤等の添加によって、5.3〜8.5程度、中でも7.0付近に調整されることが望ましく、また、浸透圧は、等張化剤等を添加せしめることによって、200〜400mOsm/kg程度に調整されていることが、好ましいのである。
【0044】
なお、そのようなpHの調整のために用いられるpH調整剤としては、水酸化ナトリウムや塩酸等が利用される一方、眼科用組成物のpHを前記した範囲に有効に且つ眼に対して安全な範囲に保つための緩衝剤としては、従来から公知の各種のものの中から、適宜に選択されて、用いられることとなる。具体的には、例えば、リン酸、ホウ酸、カルボン酸、オキシカルボン酸等の酸や、その塩(例えば、ナトリウム塩等)、更にはGood−Bufferやトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(TRIS)、ビス(2−ヒドロキシエチル)イミノトリス(ヒドロキシメチル)メタン(Bis−Tris)、炭酸水素ナトリウム等を、眼に対して安全であり、しかもコンタクトレンズに対する影響を少なくすることが出来るという理由から、挙げることが出来る。
【0045】
また、浸透圧の調整に用いられる等張化剤としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、糖類、糖アルコール等を例示することが出来る。
【0046】
さらに、コンタクトレンズ、特にソフトコンタクトレンズには、一般に、涙液からの汚れとして、カルシウム等が沈着乃至は吸着する可能性があることから、そのようなカルシウム等の沈着乃至は吸着を防止するべく、眼科用組成物には、キレート化剤も、また、有利に添加せしめられることとなる。そのようなキレート化剤としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)及びその塩、例えばエチレンジアミン四酢酸・2ナトリウム(EDTA・2Na)、エチレンジアミン四酢酸・3ナトリウム(EDTA・3Na)等が挙げられる。
【0047】
また、本発明に従う眼科用組成物にあっては、必須成分である(A)ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、(B)ヒドロキシプロピルメチルセルロース及び(C)多価アルコールの組合せによって、その粘度が有利に調整され得るようになっているものの、それ以外に、従来から公知の粘稠化剤乃至は増粘剤を、更に必要に応じて、補助的に添加せしめることも可能である。なお、そのような粘稠化剤としては、例えば、ムコ多糖類、ヘテロ多糖類等の種々のガム類;ポリビニルアルコール、ポリ−N−ビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリアクリルアミド等の合成有機高分子化合物;ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース等のセルロース誘導体;スターチ誘導体等を例示することが出来る。
【0048】
加えて、本発明に従う眼科用組成物は、上記(A)〜(C)成分の組合せにより、眼やコンタクトレンズの表面における眼脂等の汚れの除去効果(洗浄効果)も有利に発揮され得るようになっているものの、それ以外に、公知の界面活性剤を適宜に選択して、補助的に用いることも可能である。なお、採用される界面活性剤としては、生体への安全性が高く、またコンタクトレンズへの影響がないものであることが望ましい。また、平均分子量が5,000未満の界面活性剤は、使用期間が長期化するに連れて、コンタクトレンズの材質中に過吸着・過吸蔵する恐れがあり、また、特に、ポリソルベートやポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等のエステル系のものにあっては、保存時に、加水分解によるpH変化が惹起せしめられるところから、その使用は回避されるべきである。
【0049】
この他にも、本発明に従う眼科用組成物には、ストレスやコンタクトレンズの装用等に起因する眼内の炎症を抑えるために、グリチルリチン酸及びその塩、ε−アミノカプロン酸、アラントイン、アズレンスルホン酸ナトリウム等の消炎剤を添加せしめたり、ビタミンA類(パルミチン酸レチノール、β−カロチン等を含む)、ビタミンB2 、B6 、B12、酢酸d−α−トコフェロール等のビタミンE類、パンテノール等のビタミン類や、アスパラギン酸及びその塩、アミノエチルスルホン酸、アルギニン、アラニン、リジン、グルタミン酸等のアミノ酸類の各種添加成分を、目的とする眼科用組成物の用途に応じて、適宜、添加することが可能である。
【0050】
ところで、かかる本発明に従う眼科用組成物は、上述の如き成分を、従来と同様に、適当な水系媒体中にそれぞれ適量において添加、含有せしめることにより、調製されることとなるのであるが、それに際して用いられる水系媒体としては、水道水や精製水、蒸留水等の水そのものの他にも、水を主体とする溶液であれば、生体への安全性が高く、なお且つ眼科的に充分に許容され得るものである限り、何れも利用することが可能であることは、言うまでもないところである。
【0051】
また、上述の如き各種成分を含有せしめてなる、本発明に従う眼科用組成物を調製するにあたっては、何等特殊な方法を必要とせず、通常の水溶液を調製する場合と同様に、水系媒体中に各成分を溶解させることにより、容易に得ることが出来るものである。
【0052】
そして、以上のようにして得られる本発明に従う眼科用組成物は、眼に対する安全性が充分に確保されたものであるところから、例えば、点眼剤や、コンタクトレンズ用液剤として、有利に用いられることとなる。なお、かかるコンタクトレンズ用液剤としては、コンタクトレンズの洗浄、保存、殺菌のうちの少なくとも1種の機能を有する液剤、具体的には、コンタクトレンズ用殺菌液や、コンタクトレンズ用洗浄液、コンタクトレンズ用保存液、コンタクトレンズ用すすぎ液等の他、複数の機能を有する、洗浄・保存液、洗浄・保存・すすぎ液、殺菌・洗浄液等の多目的な液剤(マルチパーパスソリューション)等が挙げられる。
【0053】
具体的に、本発明に従う眼科用組成物を、点眼剤として用いて、疲れ目等の症状の眼に対して処方するに際しては、従来から公知の点眼剤乃至は点眼薬と同様に、適量を点眼せしめれば良く、これによって、清涼化剤による爽快感が有利に付与されて、疲れ目が解消され得ると共に、眼の不快感や乾燥感、目のカスミ等の症状も改善され、優れた使用感が実現され得るのである。なお、本発明に従う眼科用組成物にあっては、含有成分がコンタクトレンズに過吸着・過吸蔵するようなこともなく、レンズ適合性にも優れているところから、点眼に際しては、コンタクトレンズの装用の有無が何等問われることはない。尤も、コンタクトレンズ装用時に点眼すれば、上記の効果の他、コンタクトレンズに接触せしめられた点眼剤によって、コンタクトレンズへの汚れの付着が有利に抑制されたり、コンタクトレンズに付着した汚れが除去され得ると共に、コンタクトレンズ表面の親水性が有利に向上せしめられて、レンズの曇り等の発生が顕著に抑制され得るようになり、以て、コンタクトレンズの装用に起因する異物感等の各種の症状も効果的に解消され、コンタクトレンズの装用感が飛躍的に高められ得るのである。
【0054】
また、本発明に従う眼科用組成物を、コンタクトレンズ用液剤として用いる場合には、先ず、眼から外したコンタクトレンズを、本発明に従う眼科用組成物で満たした適当な容器中に、所定時間の間、浸漬せしめることにより、保存、洗浄又は殺菌等の手入れを行なうのである。そして、コンタクトレンズを再び装用する際には、該コンタクトレンズを液中より取り出し、そのまま装用したり、或いは、取り出したコンタクトレンズを新しい(未使用)眼科用組成物や水等で濯いだ後、装用することとなるのである。このようにして、本発明に従う眼科用組成物をコンタクトレンズに接触せしめれば、界面活性作用によって、コンタクトレンズ表面に付着する眼脂等の汚れが有利に取り除かれると共に、コンタクトレンズに対して優れた水濡れ性が付与されて、レンズの曇り等の発生も効果的に防止され得るようになるのである。その結果、コンタクトレンズの装用時には、清涼感が有利に付与されると共に、コンタクトレンズの装用に起因する乾燥感やカスミ、視力不安定、異物感等の症状も有利に低減されて、コンタクトレンズの装用感も著しく向上せしめられるのである。
【0055】
なお、かかる眼科用組成物を、コンタクトレンズ用点眼剤やコンタクトレンズ用液剤として用いた際に、その対象とするコンタクトレンズとしては、その種類が何等限定されるものではなく、例えば、非含水、低含水、高含水等の全てに分類されるソフトコンタクトレンズ、及びハードコンタクトレンズがその対象となり得るのであって、コンタクトレンズの材質等が、本発明の適用に際して何等問われることはない。
【0056】
【実施例】
以下に、本発明の実施例を示し、本発明を更に具体的に明らかにすることとするが、本発明が、そのような実施例の記載によって、何等の制約をも受けるものでないことは、言うまでもないところである。また、本発明には、以下の実施例の他にも、更には上記の具体的記述以外にも、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて種々なる変更、修正、改良等を加え得るものであることが、理解されるべきである。
【0057】
−評価試験 1−
まず、滅菌精製水に対して、所定の添加成分を、下記表1及び表2に示される各種割合においてそれぞれ添加せしめることにより、各種眼科用組成物(実施例1〜12、比較例1〜16)を、それぞれ調製した。なお、かかる眼科用組成物の調製に際しては、清涼化剤として、l−メントールを用い、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマーとしては、ポロクサマー407(BASF社製)を用い、ヒドロキシプロピルメチルセルロースとしては、メトローズ60SH−4000又はメトローズTC−5E(信越化学工業株式会社製)を用い、更に、多価アルコールとしては、グリセリン又はプロピレングリコールを用いた。また、緩衝剤としては、ホウ酸及びホウ砂を用い、キレート化剤としては、エデト酸ナトリウムを用いた。更に、防腐剤としては、ソルビン酸カリウムを用い、等張化剤としては、塩化ナトリウム及び塩化カリウムを用いた。
【0058】
<保存試験(清涼化剤の含有量の変化)>
上記で得られた実施例1〜12及び比較例1〜16に係る眼科用組成物を、それぞれ、2つの100ml容耐熱ガラス製容器に分注,密栓し、その一方を25℃の温度環境下にて、もう一方を40℃の温度環境下にて、それぞれ、6ヶ月間保存した。その後、それぞれの眼科用組成物中のl−メントールの含有量を、ガスクロマトグラフィーにて測定した。そして、得られた定量値から減少率を次式に従って算出し、下記の評価基準で評価を行なうと共に、その結果を、下記表1又は表2に示した。なお、かかる定量に際して、眼科用組成物中のl−メントールは、クロロホルムによって抽出した。
減少率(%)=保存試験後の清涼化剤含有量÷保存試験前の清涼化剤含有量×100
◎:減少率が10%未満である。
△:減少率が10%以上25%未満である。
×:減少率が25%以上である。
【0059】
【表1】
【0060】
【表2】
【0061】
上記表1及び表2の結果からも明らかなように、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマーとヒドロキシプロピルメチルセルロースと多価アルコールが所定の割合で含有せしめられてなる実施例1〜12に係る眼科用組成物にあっては、6ヶ月間、保存乃至は保管しても、清涼化剤の減少率が10%未満であり、保存安定性に優れていることが分かる。これに対して、比較例1〜16に係る眼科用組成物は、調製時には清涼化剤が可溶化するものの、6ヵ月後には、10%以上の清涼化剤が析出乃至は分離してしまい、清涼化剤の保存安定性が良好ではないことが、分かる。
【0062】
−評価試験 2−
まず、滅菌精製水に対して、所定の添加成分を、下記表3乃至表6に示される各種割合においてそれぞれ添加せしめることにより、各種眼科用組成物(実施例13〜36、比較例17〜42)を、それぞれ調製した。なお、かかる眼科用組成物の調製に際し、清涼化剤としては、dl−メントール、l−カンフルを用い、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマーとしては、ポロクサマー407(BASF社製)を用い、ヒドロキシプロピルメチルセルロースとしては、メトローズ60SH−4000又はメトローズTC−5E(信越化学工業株式会社製)を用い、更に、多価アルコールとしては、グリセリン及び/又はプロピレングリコールを用いた。また、防腐剤としては、ソルビン酸カリウムを用い、緩衝剤としては、ホウ酸及びホウ砂を用いた。更に、キレート化剤としては、エデト酸ナトリウムを用い、等張化剤としては、塩化ナトリウム及び/又は塩化カリウムを用いた。また、比較のために、エステル系低分子界面活性剤であるポリソルベート80とポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油を用いた。
【0063】
<pH安定性評価試験>
上記で得られた実施例13〜36及び比較例17〜42に係る眼科用組成物を、それぞれ、滅菌処理の施された250ml容ガラス製メジウム瓶に無菌充填し、40℃の温度環境下で、6ヶ月間保存し、保存前のpHと保存後のpHを比較することにより、pH安定性を以下の評価基準で評価して、その結果を、下記表3〜表6に示した。
◎:(保存前pH)−(保存後pH)が±0.5未満である。
△:(保存前pH)−(保存後pH)が±0.5以上1.0未満である。
×:(保存前pH)−(保存後pH)が±1.0以上である。
【0064】
<Draize法による眼刺激性試験>
上記で得られた実施例13〜36及び比較例17〜42に係る眼科用組成物を、それぞれ用いて、厚生省科学研究報告(昭和45年)における点眼用保存剤眼粘膜刺激性短期試験方法に準じて、眼刺激性試験を行ない、得られた評点から、以下の基準で、眼科用組成物の眼刺激性を評価し、その結果を、下記表3〜表6に示した。
◎:平均評点が0点以上3点未満である。
○:平均評点が3点以上5点未満である。
△:平均評点が5点以上7点未満である。
×:平均評点が7点以上である。
【0065】
<涙濡れ性評価試験>
酸素透過性ハードコンタクトレンズ[(株)メニコン製のメニコンZ又はメニコンEX]の装用者30名からなるボランティアに対して、上記で得られた各種眼科用組成物を、それぞれ、点眼剤として点眼した。そして、点眼1時間後の装用中のコンタクトレンズ表面を、細隙灯顕微鏡にて観察し、フルオレセイン染色涙液の破壊時間(BUT:tear breakup time)を観察した。そして、下記評価基準により評価を行なって、その結果を、下記表3〜表6に示した。
◎:(点眼1時間後BUT)−(点眼前BUT)が5秒以上である。
△:(点眼1時間後BUT)−(点眼前BUT)が0秒以上5秒未満である。
×:(点眼1時間後BUT)−(点眼前BUT)が負の値である。
【0066】
<ソフトコンタクトレンズに対する清涼化剤の吸着試験>
FDA(米国食品医薬品局)によるソフトコンタクトレンズの4分類から、代表的なレンズとして、(株)メニコン製のメニコンソフトMA、メニコンソフト72、メニコンフォーカスを選び、各レンズを、上記で得られた実施例13〜36及び比較例17〜42に係る眼科用組成物の5mlに、それぞれ、1枚ずつ、37℃で7日間浸漬した。その後、残液から清涼化剤を抽出して、ガスクロマトグラフ法により、定量を行なった。なお、レンズを浸漬しない眼科用組成物の5mlを、37℃で7日間放置したものをコントロールとし、コントロールに対する比率から各レンズに対する清涼化剤の吸着率を算出した。そして、下記の評価基準で評価し、その結果を、下記表3〜表6に示した。
◎:3種のレンズに対する清涼化剤の平均吸着率が1%未満である。
○:3種のレンズに対する清涼化剤の平均吸着率が1%以上3%未満である。
△:3種のレンズに対する清涼化剤の平均吸着率が3%以上5%未満である。
×:3種のレンズに対する清涼化剤の平均吸着率が5%以上である。
【0067】
【表3】
【0068】
【表4】
【0069】
【表5】
【0070】
【表6】
【0071】
かかる表3〜表6の結果より明らかなように、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマーとヒドロキシプロピルメチルセルロースと多価アルコールが所定の割合で含有せしめられてなる実施例13〜36に係る眼科用組成物にあっては、pH安定性、耐眼刺激性、涙濡れ性及び清涼化剤の耐吸着性が何れも、◎若しくは○となっており、保存安定性や、使用感に優れたものとなっていることが認められる。中でも、多価アルコールとして、プロピレングリコールを採用したものにあっては、グリセリンを採用したものに比して、より優れた耐眼刺激性や清涼化剤の耐吸着性が実現されている。
【0072】
これに対して、ポリソルベート80やPOE(60)硬化ヒマシ油が用いられた比較例17〜26にあっては、pH安定性が悪いことが分かる。また、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマーとヒドロキシプロピルメチルセルロースと多価アルコールが、所定の割合で含有せしめられていない比較例27〜42にあっては、何れも、耐眼刺激性、涙濡れ性及び清涼化剤の耐吸着性が、×若しくは△となっており、良好な使用感が実現され得ないものとなっている。
【0073】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明に従う眼科用組成物にあっては、(A)ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマーと、(B)ヒドロキシプロピルメチルセルロースと、(C)多価アルコールの3成分が組み合わされ、それらが所定の配合割合となるように用いられているところから、清涼化剤が長期に亘って、可溶化せしめられるのである。また、保存・保管中に、加水分解が生じるようなこともなく、以て、眼科用組成物のpHが変化するようなことも有利に防止され得ているのである。このため、本発明に従う眼科用組成物にあっては、従来のものに比して、極めて優れた保存安定性が実現され得るようになっているのである。
【0074】
また、清涼化剤による眼刺激(痛み)の発生も有利に緩和されて、快適な清涼感や爽快感が得られると共に、清涼化剤のコンタクトレンズへの吸着も効果的に阻止され得るようになっている。加えて、湿潤性や保湿性が向上せしめられて、眼の潤い効果が長時間に亘って持続することとなり、乾燥感の低減も効果的に実現され得るようになっている。更に、防汚効果が有利に付与せしめられていると共に、コンタクトレンズの涙濡れ性も改善されて、目のカスミやコンタクトレンズの曇り、異物感等の種々の症状の発生も有利に防止され得るようになる。このため、本発明に従う眼科用組成物を使用すれば、より一層優れた使用感も享受され得るのである。
【0075】
従って、本発明に従う眼科用組成物は、点眼剤(特に、コンタクトレンズ用点眼剤)や、コンタクトレンズ用液剤等として、有利に用いられ得るのである。
Claims (7)
- 水系媒体中に清涼化剤を含有する眼科用組成物において、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマーとヒドロキシプロピルメチルセルロースとが、それぞれ、0.05〜0.5w/w%及び0.07〜1.5w/w%となるように含有せしめられ、更に、多価アルコールが、0.1〜2.0w/w%となるように含有せしめられていることを特徴とする眼科用組成物。
- コンタクトレンズ用点眼剤又はコンタクトレンズ用液剤として使用される請求項1に記載の眼科用組成物。
- 前記ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマーとして、その0.1w/w%含有水溶液における表面張力が、25℃にて、55mN/m以下であるものが用いられている請求項1又は請求項2の何れかに記載の眼科用組成物。
- 前記ヒドロキシプロピルメチルセルロースの平均分子量が、10,000〜500,000の範囲にある請求項1乃至請求項3に記載の眼科用組成物。
- 前記ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマーと前記ヒドロキシプロピルメチルセルロースとの合計含有量が、0.15〜1.8w/w%である請求項1乃至請求項4の何れかに記載の眼科用組成物。
- 前記多価アルコールが、プロピレングリコールである請求項1乃至請求項5の何れかに記載の眼科用組成物。
- 前記清涼化剤が、メントール、ボルネオール及びカンフルからなる群より選ばれる少なくとも1種以上である請求項1乃至請求項6の何れかに記載の眼科用組成物。
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