以下、実施の形態を用いて本発明をさらに具体的に説明する。
〈第1の実施の形態〉
本実施の形態においては、青色領域及び赤色領域の2波長領域の光をそれぞれ出射するコヒーレント光源が搭載され、偏光性ホログラム素子と波長板とを用いた検出光学系を有する光ピックアップについて説明する。
図1は本発明の第1の実施の形態における光ピックアップを示す概略構成図である。
本実施の形態においては、青色領域のコヒーレント光源として、第2高調波発生(SHG)技術を利用したSHGブルーレーザユニット1が用いられている。図2に、SHGブルーレーザユニット1の構成を示す。SHGブルーレーザユニット1は、近赤外半導体レーザと光導波路型波長変換素子とにより構成されている。
図2の構成においては、近赤外半導体レーザとして、波長可変が可能な分布ブラッグ反射型(DBR)半導体レーザ11が用いられている。DBR半導体レーザ11は、活性領域とDBR領域とからなり、それぞれ独立した電極を有している。DBR半導体レーザ11の発振波長は810nmであり、出力は50mWである。
一方、光導波路型波長変換素子としては、Mgが5mol%ドープされたLiNbO3 基板15上に周期的な分極反転領域17とプロトン交換光導波路(以下『光導波路』という)16とが形成された擬似位相整合方式(QPM)の分極反転型光導波路デバイス14が用いられている。
DBR半導体レーザ11から出射されたレーザ光は、コリメートレンズ12とフォーカスレンズ13とによって光導波路16内に結合され、DBR半導体レーザ11の出力50mWに対して光導波路16からの出力光として3mWの青色光(波長405nm)が得られる。ビームの広がり角は、垂直方向が13.2度、水平方向が5.7度である。
また、本実施の形態においては、赤色領域のコヒーレント光源として、AlGaInP系の赤色半導体レーザユニット2が用いられている。赤色半導体レーザユニット2の発振波長は670nmであり、閾値76mA及び5mWでの動作電流は90mAである。
以下に、図1を用いて、本実施の形態の光ピックアップの構成について、さらに具体的に説明する。
それぞれ検出用フォトディテクタを有するSHGブルーレーザユニット1及び赤色半導体レーザユニット2から出射されたレーザ光は、それぞれコリメートレンズ3、4によって平行光となり、光合波手段としての誘電体多層膜ミラー5によって同一光軸上を伝搬するように合波される。このように、本実施の形態においては、光合波手段として誘電体多層膜ミラー5が用いられているが、回折格子などを用いて同一光軸上を伝搬させることも可能である。しかし、光利用効率を考慮すると、誘電体多層膜ミラー5を用いるのが望ましい。この誘電体多層膜ミラー5は、P波、S波ともに波長500nm以下の光を透過し、波長500nm以上の光を反射する構成となっている。誘電体多層膜ミラー5を透過及び反射した光は、偏光性ホログラム6及び波長板7を透過した後、立ち上げミラー8によって紙面の垂直方向に曲げられ(但し、図1においては、紙面の上方に曲げられているように描かれている)、対物レンズ9によって光ディスク10上に集光される。
偏光性ホログラム6は、LiNbO3 基板上にプロトン交換(δn=0.04)及びエッチング(深さ100μm)によってグレーティングが形成された構成となっている。ここで、グレーティングのピッチは8μm(=Λ)に設定されている。プロトン交換によって異常光の屈折率は増加し、常光の屈折率は低下するので、プロトン交換領域をエッチングすることにより、異常光の屈折率変化が厚みの低減によって補償され、常光のみに感度を有するグレーティングが形成される。このため、偏光性ホログラム6は、往路の偏光方向が異常光方向(C軸方向もしくは結晶主軸)と平行になるように配置されている。尚、偏光方向は、図1に示されている。
波長板7は、波長504nm(3/4・λ2 <λ<5/4・λ1 )の光に対してλの位相変調(遅延量)が得られるように設計されている。このため、波長板7は、青色光(波長λ1 )に対して5/4波長板(506nm)として作用し、赤色光(波長λ2 )に対して3/4波長板(502nm)として作用する。従って、青色光及び赤色光は、波長板7によって共に円偏光に変換され、その後、対物レンズ9によって光ディスク10上に集光される。
すなわち、波長板7の遅延量λは、青色光(波長λ1 )に対してλ1 /4の略奇数倍であり、赤色光(波長λ2 )に対してもλ2 /4略奇数倍である。従って、波長板7は、どちらの波長の光に対しても1/4波長板として作用する。また、対物レンズ9は、青色光及び赤色光に対して収差が小さくなるように設計されている。
光ディスク10からの反射光は、再び対物レンズ9、立ち上げミラー8を通過した後、波長板7によって直線偏光に変換される。反射光の偏光方向は往路の偏光方向に対して90度回転しているので、反射光は、偏光性ホログラム6に対して常光方向に平行に入射し、偏光性ホログラム6のグレーティングによってθ(=λ/Λ)方向に回折する。波長板7は、往復で、青色光に対して10/4波長板として作用し、赤色光に対して6/4波長板として作用し、ともに半波長板として作用するため、偏光方向が90度回転する。偏光性ホログラム6の回折効率としては、青色光に対して60%、赤色光に対して50%が実現された。
誘電体多層膜ミラー5を透過及び反射した青色光及び赤色光は、それぞれコリメートレンズ3、4を透過した後、各レーザユニット1、2に集積化された検出用フォトディテクタ上に集光される。そして、検出用フォトディテクタによってフォーカス信号、トラッキングサーボ信号及びRF信号が検出される。この場合、フォーカスサーボは3分割フォトディテクタを用いてスポットサイズディテクション法(以下『SSD法』という)によって行われ、トラッキングサーボは4分割フォトディテクタを用いて位相差法によって行われる。本実施の形態においては、光ディスク10からの反射光の50%以上がフォトディテクタ上に到達し、安定なサーボ動作及び再生信号が得られた。
本実施の形態の波長板7は、その厚みを所定の値に設定することにより、DVDやHD−DVDで用いられる赤色光及び青色光に対して、ともに1/4波長板として作用することができる。そして、このような波長板7を備えていることにより、偏光分離手段である偏光性ホログラム6を利用して構成された検出光学系を用いて安定にサーボ動作及び再生信号の検出を行うことができる。この波長板7は、従来と同様に水晶などを用いて容易に作製することができるので、その実用的効果は大きい。
本実施の形態においては、青色領域のコヒーレント光源としてSHGブルーレーザユニット1を用いているが、GaN系青色半導体レーザを用いても同様の効果が得られる。
ここで、GaN系青色半導体レーザの作製方法について説明する。まず、SiC基板上にn型GaNを成長させて、n型AlGaN/GaN超格子のクラッド層及びn型GaN光ガイド層を形成し、InGaNの多重量子井戸活性層を形成した後に、p型AlGaN層、p型GaN光ガイド層、p型AlGaN/GaN超格子クラッド層、p型GaN層を形成し、さらにp型電極を形成する。尚、SiC基板は導電性であるため、基板の裏面にn型電極を形成する。これにより、動作電流Iop=100mAに対して5mWの青色光(波長405nm)が得られる。
本実施の形態の光ピックアップにおいては、青色光の光源と赤色光の光源とが搭載され、それぞれが偏光性の検出光学系を有しているので、検出用フォトディテクタに大きな光量の光を導くことができる。従って、本実施の形態の光ピックアップを用いれば、赤色光によってDVD−Rを、青色光によってHD−DVD−Rを、それぞれ安定に再生することができる。
次に、検出用フォトディテクタがコヒーレント光源から分離され、偏光性ホログラムの代わりに偏光分離素子(PBS)が用いられた構成について、図3を参照しながら説明する。
図3の構成において、SHGブルーレーザ18及び赤色半導体レーザ19から出射された光は、それぞれコリメートレンズ20、20−1とPBS21、22を透過した後、光合波手段としての誘電体多層膜ミラー23によって同一光軸上を伝搬するように合波される。合波された光ビームは、図1の構成で用いられた波長板7と同じように作用する波長板24を透過した後、立ち上げミラー25−1によって紙面に垂直な方向に曲げられ(但し、図3においては、紙面の上方に曲げられているように描かれている)、対物レンズ25によって光ディスク26上に集光される。
光ディスク26からの反射光は、再び対物レンズ25、立ち上げミラー25−1、波長板24を通過した後、誘電体多層膜ミラー23で透過及び反射し、それぞれの光路に配置されたPBS21、22に導かれる。青色光及び赤色光の偏光方向は、波長板24によってもとの偏光方向に対して90度回転されているために、それぞれPBS21、22によって光路が90度曲げられ、それぞれ検出レンズ27、28及びシリンドリカルレンズ29、30を透過した後に、フォトディテクタ31、32上に集光される。
以上のような構成において、フォーカス方向のサーボ動作を非点収差法によって行い、トラッキング方向のサーボ動作を位相差法によって行うことにより、良好な再生信号が得られた。
図3の構成においても、波長板24は、波長504nm(3/4・λ2 <λ<5/4・λ1 )の光に対してλの位相変調(遅延量)が得られるように設計されているので、青色光(波長λ1 )に対して5/4波長板(506nm)として作用し、赤色光(波長λ2 )に対して3/4波長板(502nm)として作用する。すなわち、波長板24の遅延量λは、青色光(波長λ1 )に対してλ1 /4の略奇数倍であり、赤色光(波長λ2 )に対してもλ2 /4の略奇数倍である。従って、波長板24は、どちらの波長の光に対しても1/4波長板として作用する。このため、図3のように偏光分離素子(PBS)を用いた検出光学系においても、検出用フォトディテクタ上に十分な光量の光を導くことができるので、安定なサーボ動作及び信号検出が可能となる。特に、SHGブルーレーザと異なり、GaN系及びAlGaInP系の半導体レーザなどはサンプル間での発振波長のばらつきが大きいので、図3の構成によって得られる効果は大きい。
また、本実施の形態の波長板は1/4波長板として作用するように設計されているので、波長の許容幅も大きく、実用的効果は大きい。
さらに、波長650nmのAlGaInP系半導体レーザと波長395nmのGaN系半導体レーザとを用いた光ピックアップにおいても、波長490nmに対する波長板を設計することにより、上記と同様の効果を奏する光ピックアップを実現することができる。
尚、上記したように、本実施の形態の波長板は、水晶などを用いて容易に作製することができるが、複屈折の波長分散の大きい材料を用いて作製することもできる。例えば、芳香族ポリスルファン系樹脂は、赤色波長(690nm)での複屈折に対して青色波長(380nm)での複屈折が1.65倍大きくなる。従って、この樹脂を用いれば、波長690nmの光に対して1/4波長板として作用し、波長380nmの光に対して3/4波長板として作用する波長板を作製することができる。以下、複屈折の波長分散の大きい材料を用いて作製した波長板について説明する。
ここで、芳香族ポリスルファン系樹脂における波長690nmの光に対する複屈折をna 、芳香族ポリスルファン系樹脂を用いて作製した波長板の厚さをdとする。このとき、波長380nmの光に対する複屈折は1.65na となる。この場合、波長690nmの光に与えられる位相差はna ×dとなるので、これが690nmの1/4となるように、すなわち、na ×d=690×1/4の関係が成り立つように厚さdを選定する。
芳香族ポリスルファン系樹脂を用いて作製した波長板の厚さがdの場合、波長380nmの光に与えられる位相差は1.65na ×dとなり、上記na ×d=690×1/4の関係を用いれば、1.65×690×1/4=285nmとなる。この位相差は、380nmの3/4に相当する。従って、芳香族ポリスルファン系樹脂を用いれば、赤色(波長690nm)の光に対して直線偏光を円偏光に変換することができ、さらに青色(波長380nm)の光に対しても直線偏光を円偏光に変換することのできる波長板を作製することができる。
尚、ここでは、樹脂として芳香族ポリスルファン系樹脂を用いたが、構成単位として主鎖をなす結合中にビフェニル骨格、ナフタレン骨格もしくはスチルベン骨格を含む単位を有するポリエステル(特開平7−233249号公報参照)などの複屈折の波長分散の大きい材料であれば何ら問題はない。
さらに、大きな複屈折を有する材料を用いることにより、波長400nm前後の青色光を用いて、上記と同じことを実現することができる。
以上のように複屈折の波長分散の大きい材料を用いて作製した波長板を用いる場合、この波長板の遅延量λは、波長λ1 の光に対してλ1 /4の(2n+3)倍であり、波長λ2 (>λ1 )の光に対してλ2 /4の(2n+1)倍(但し、n=0、1、2、・・・)であるのが望ましい。
〈第2の実施の形態〉
本実施の形態においては、異なる波長の光を出射する複数のコヒーレント光源が同一の基板(サブマウント)の上に実装されたレーザユニットを用いた光ピックアップについて説明する。
具体的には、本実施の形態においては、GaN系青色半導体レーザチップ(波長405nm)とAlGaInP系赤色半導体レーザチップ(波長650nm)とAlGaAs系近赤外半導体レーザチップ(波長790nm)とがSiサブマウント上に実装されたレーザユニットについて説明する。図4は本実施の形態の光ピックアップを示す概略構成図、図5はそれに用いられるレーザユニットを示す概要図である。
図5に示すように、Siサブマウント45−4の上には、GaN系青色半導体レーザチップ45とAlGaInP系赤色半導体レーザチップ46とAlGaAs系近赤外半導体レーザチップ47とが実装されている。ここで、最短波長である青色半導体レーザチップ45(波長405nm)が中央に実装されており、赤色半導体レーザチップ46(波長650nm)と近赤外半導体レーザチップ47(波長790nm)とは、青色半導体レーザチップ45(波長405nm)の両側に200μm離間して実装されている。
それぞれのレーザチップ45〜47から出射された光は、エッチドミラー45−3で反射されて光路の方向が変えられた後、焦点距離25mmのコリメートレンズ34によって平行光となる(図4参照)。本実施の形態において、コリメートレンズ34は、青色半導体レーザチップ45(波長405nm)から出射される光がレンズの中心(すなわち、光軸上)に位置するように配置されている。各レーザチップ45〜47の位置は、コリメートレンズ34によって平行光が得られるように、それぞれ最適な焦点位置に調整されている。
図4に示すように、コリメートレンズ34によって平行光となった光は、偏光性ホログラム35及び誘電体多層膜ミラー36を透過した後、立ち上げミラー37によって紙面に垂直な方向に曲げられる(但し、図4においては、紙面の左方向に曲げられているように描かれている)。そして、可変位相板44及び波長板38を透過した後、対物レンズ39によって光ディスク40上に集光される。ここで、誘電体多層膜ミラー36は、波長780nmの光に対する反射率が50%で、青色領域及び赤色領域の光を100%透過するように設計されており、波長板38は、上記第1の実施の形態で用いられた波長板と同じように作用する。
波長板38としては、波長504nmの光に対してλの位相変調(遅延量)が得られるように設計された上記第1の実施の形態の波長板と同じ波長板が用いられているので、光ディスク40からの反射光は偏光性ホログラム35で回折し、その回折効率として50%以上の高い値が得られた。
立ち上げミラー37と波長板38との間に設置された可変位相板44は、対物レンズ39で発生する球面収差を補正するためのものである。図6(a)、(b)に、可変位相板44の構成を示す。
図6(b)に示すように、可変位相板44は、液晶48−3と、それを両側から挟み込むように配置された配向膜(ポリイミド系)48−2とITO(InSnOx )電極48−1とガラス基板49とにより構成されている。液晶48−3の厚みは2μmであり、各配向膜48−2の厚みは80nmである。配向膜48−2は、液晶48−3の長軸(矢印)が図6(a)に示すC軸の方向に並ぶようにラビングされている。
液晶48−3としては、誘電率の異方性が正の液晶(例えば、メルク社のZLI−4792)が用いられている。液晶48−3は、電圧(〜60Hz)を印加することにより、Z軸方向に徐々に傾き、C軸の偏光方向に対して屈折率が低下する。このため、印加電圧を調整することにより、液晶48−3にC軸方向の屈折率変化、すなわち位相変化を与えることができる。図6(a)は、印加電圧が0Vのときの液晶48−3の状態を示している。
ITO電極48−1は、半径500μmごとに同心円状の領域に分割されている。但し、図6(a)においては、概念的に4つのITO電極48−1のみが描かれている。
対物レンズ39は、青色光に対して収差が最も小さくなるように設計された非球面レンズである。図7(a)に、対物レンズ39に赤色光が入射したときに発生する球面収差の分布を示している。この場合、図7(b)に示すような分布の電圧を可変位相板44に印加することにより、図7(a)に示す球面収差を補償することができる。
具体的には、対物レンズ39が有効ビーム径4mmの非球面レンズである場合に、赤色光に対して最大でφ1 =100mλの球面収差が発生した。この場合、V1 =5Vなる電圧を印加することにより、図7(c)に示すような屈折率分布を生じさせることができ、赤色光に対する非球面レンズ(対物レンズ39)の球面収差を補償することができた。その結果、直線偏光で可変位相板44のC軸方向に入射した赤色光は、波長板38を透過した後、対物レンズ39によって基材厚み0.6mmの光ディスク40上に集光され、良好な集光特性が得られた。近赤外光に対しても同様であり、対物レンズ39で発生する球面収差を補償するような電圧を印加することにより、良好な集光特性が得られる。
尚、本実施の形態においては、色収差によって発生する球面収差を補償する場合を例に挙げて説明したが、基材厚みの誤差によって発生する球面収差を補償することもできる。特に、青色光に対しては、基材厚みの誤差によって発生する球面収差が大きくなるので、その実用的効果は大きい。
また、本実施の形態においては、液晶材料として誘電率の異方性が正の液晶を用いたが、誘電率の異方性が負の液晶(例えば、メルク社のMLC−6608)を用いても、同様の効果が得られる。尚、誘電率の異方性が負の液晶を用いる場合には、液晶の長軸がZ軸方向から少しC軸方向に傾くように配向処理を行うのが望ましい。
図4、図5に示すように、光ディスク40からの反射光は、それぞれ、検出用フォトディテクタ43と、レーザユニット33に集積化された検出用フォトディテクタ45−1及び45−2に導かれる。
波長790nmの近赤外光は、誘電体多層膜ミラー36で反射し、検出レンズ41及びシリンドリカルレンズ42を透過した後、4分割フォトディテクタ43に導かれる。この場合、フォーカスサーボは非点収差法によって行われ、トラッキングサーボはプッシュプル法によって行われる。
一方、波長405nmの青色光と波長650nmの赤色光は、偏光性ホログラム35で回折し、コリメートレンズ34を透過した後、レーザユニット33の上に設けられた3分割フォトディテクタ45−1及び6分割フォトディテクタ45−2に導かれる。この場合、フォーカスサーボは3分割フォトディテクタ45−1を用いてSSD法によって行われ、トラッキングサーボは6分割フォトディテクタ45−2を用いて位相差法によって行われる。特に、図5に示すように、6分割フォトディテクタ45−2の上方の4つのフォトディテクタによって青色光の検出を行い、下方の4つのフォトディテクタによって赤色光の検出を行うように構成することにより、フォトディテクタ45−2の分割数を8から6に減らすことができる。
図4、図5の構成においては、最短波長である青色半導体レーザチップ45がコリメートレンズ34の中心に調整され(すなわち、サブマウント45−4の上で、コリメートレンズ34の光軸中心に対応する位置に実装され)、また、液晶レンズ(可変位相板44)によって対物レンズ39の収差を補正することができるため、全ての波長の光に対してトータルの透過波面収差を50mλ以下の小さな値に抑えることができる。これにより、良好な再生特性が得られる。
本実施の形態の光ピックアップにおいては、青色光、赤色光及び近赤外光の各光源が搭載され、それぞれが検出光学系を有しているので、青色光によってHD−DVD−Rを、赤色光によってDVD−Rを、近赤外光によってCD−Rを、それぞれ安定に再生することができる。
また、図4、図5の構成においては、3つの波長の光源(GaN系青色半導体レーザチップ45、AlGaInP系赤色半導体レーザチップ46、AlGaAs系近赤外半導体レーザチップ47)が実装されたレーザユニット33を例に挙げて説明したが、GaN系青色半導体レーザチップとAlGaInP系赤色半導体レーザチップの2つの波長の半導体レーザチップが実装されたレーザユニットを用いた場合であっても、同様の効果が得られる。図8に、その場合の概略構成図を示す。
図8の構成において、レーザユニット50には、GaN系青色半導体レーザチップとAlGaInP系赤色半導体レーザチップの2つの半導体レーザチップが実装されており、また、図5の場合と同様に、3分割及び6分割のフォトディテクタが実装されている(但し、これらは図8には図示されていない)。コリメートレンズ51は、より短波長であるGaN系青色半導体レーザチップから出射される光がレンズの中心(すなわち、光軸上)に位置するように配置されている。偏光性ホログラム52を透過した後の光は、立ち上げミラー53によって紙面に垂直な方向に曲げられ(但し、図8においては、紙面の左方向に曲げられているように描かれている)、上記第1の実施の形態で用いられた波長板と同じように作用する波長板54を透過した後に、対物レンズ55によって光ディスク56上に集光される。
光ディスク56からの反射光は、再び対物レンズ55、波長板54、立ち上げミラー53を通過した後、偏光性ホログラム52によって回折され、レーザユニット50に集積化された検出用フォトディテクタに導かれて、サーボ動作及びRF信号の検出が行われる。
図8の構成においても、最短波長である青色半導体レーザチップがコリメートレンズ51の中心に調整されている(すなわち、サブマウントの上で、コリメートレンズ51の光軸中心に対応する位置に実装されている)。これにより、全ての波長の光に対してトータルの透過波面収差を50mλ以下の小さな値に抑えることができるので、良好な再生特性が得られる。また、光ピックアップに青色光の光源と赤色光の光源が搭載され、それぞれが検出光学系を有しているので、青色光によってHD−DVD−Rを、赤色光によってDVD−Rを、それぞれ安定に再生することができる。
本実施の形態のように、同一のサブマウント上に複数の半導体レーザチップを実装し、1つのコリメートレンズによって平行光に変換するようにすれば、小型の光ピックアップを実現することができ、光ディスクドライブの厚みを大幅に薄くすることができる。また、直接結合による小型のSHGブルーレーザも提案されており、GaN系半導体レーザの代わりにSHGブルーレーザを搭載しても、同様の効果が得られる。
また、対物レンズとして非球面レンズを用いた場合、異なる波長の光が入射すると、色収差によって球面収差が発生するが、本実施の形態のように同心円状の領域に分割された液晶からなる可変位相板を用いることにより、対物レンズで発生する球面収差を補償することができる。特に、多波長のコヒーレント光源が搭載された光ピックアップにおいて、その実用的効果が大きい。
〈第3の実施の形態〉
本実施の形態においては、複数のコヒーレント光源から出射される光を光合波手段としての誘電体多層膜ミラーによって合波し、1つの対物レンズによって光ディスク上に集光することのできる光ピックアップについて説明する。複数の光学部品を透過及び反射した光は、その光学部品の収差の影響を受けるが、本実施の形態の構成は、かかる問題点を解決するために有効である。
図9に、本実施の形態における光ピックアップの概略構成図を示す。図8に示すように、本実施の形態の光ピックアップは、それぞれ検出用フォトディテクタが集積化されたGaN系青色半導体レーザユニット57(波長405nm)と、AlGaInP系赤色半導体レーザユニット58(波長650nm)と、AlGaAs系近赤外半導体レーザユニット59(波長790nm)とを有している。そして、これらの各レーザユニット57〜59から出射される光は、光合波手段としての2つの誘電体多層膜ミラーM1、M2によって合波される。
各半導体レーザユニット57〜59から出射された光は、それぞれコリメートレンズ60〜62によって平行光となった後、偏光性ホログラム63〜65と波長板66〜68を透過する。波長板66〜68は、それぞれの波長の光に対してλ/4の位相変調(遅延量)が得られるように設計されており、それぞれの波長の光は、波長板66〜68によって円偏光に変換される。
図10(a)、(b)に、誘電体多層膜ミラーM1、M2の透過特性を示す。図10(a)に示すように、誘電体多層膜ミラーM1は、波長500nm以下の光をP波、S波ともに95%以上透過し、波長500nm以上の光をP波、S波ともに95%以上反射する。一方、図10(b)に示すように、誘電体多層膜ミラーM2は、波長700nm以下の光をP波、S波ともに95%以上透過し、波長700nm以上の光をP波、S波ともに95%以上反射する。
これらの誘電体多層膜ミラーM1、M2は、SiO2 とTiO2 の多層膜(計20層以上)により構成されている。尚、2つの誘電体多層膜ミラーM1、M2のうち、誘電体多層膜ミラーM2は、膜厚制御を高精度で行うことにより、P波とS波の立ち上がりの波長差が50nm以下となるように作製されている。
青色半導体レーザユニット57から出射された波長405nmの青色光は、誘電体多層膜ミラーM1、M2を透過する。赤色半導体レーザユニット58から出射された波長650nmの赤色光は、誘電体多層膜ミラーM1で反射した後、誘電体多層膜ミラーM2を透過する。また、近赤外半導体レーザユニット59から出射された波長790nmの近赤外光は、誘電体多層膜ミラーM2で反射する。これにより、3つの光は同一光軸上を伝搬するように合波される。合波された光は、立ち上げミラー69によって紙面に垂直な方向に曲げられ(但し、図9においては、紙面の上方に曲げられているように描かれている)、対物レンズ70によって光ディスク71上に集光される。図8の構成においては、3つの波長の光に対して収差を小さくするために、対物レンズ70として開口数(NA)0.6の組レンズが用いられている。
光ディスク71からの反射光は、それぞれ往路と同じ光路を通るが、波長板66〜68により、偏光方向が往路に対して90度回転される。その後、光ディスク71からの反射光は、偏光性ホログラム63〜65によって回折され、各レーザユニット57〜59に集積化されたそれぞれの検出用フォトディテクタに導かれる。フォトディテクタは、上記第2の実施の形態と同様に、3分割フォトディテクタと6分割フォトディテクタとにより構成されている。この場合、フォーカスサーボは3分割フォトディテクタを用いてSSD法によって行われ、トラッキングサーボは6分割フォトディテクタを用いて位相差法によって行われる。
一般に、光学部品は、反射波面収差よりも透過波面収差の方が小さい。光学部品を光が透過する場合には、表面と裏面で収差を打ち消し合うため、表面状態で発生する収差のみを考えればよい。一方、光学部品で反射する光に対しては、光学部品の歪みなどが直接波面収差に影響を及ぼす。従って、光学部品は、透過部品として用いる方が収差が小さくなるため望ましい。また、同じ波面収差の光学部品は、より短い波長の光に対してより大きな収差として影響を及ぼす。
以上の点を考慮して、図9に示す本実施の形態の光ピックアップにおいては、最短波長であるGaN系青色半導体レーザユニット57から出射される光が誘電体多層膜ミラーM1、M2を透過するように構成されている。
図9の構成においては、各波長の光に対する対物レンズ通過後の透過波面収差を50mλ以下に抑圧することができ、再生特性において良好な結果を得ることができた。また、図9の構成の光ピックアップにおいては、青色光、赤色光及び近赤外光の各光源が搭載され、それぞれが検出光学系を有しているので、青色光によってHD−DVD−Rを、赤色光によってDVD−Rを、近赤外光によってCD−Rを、それぞれ安定に再生することができる。
図11に、本実施の形態における他の光ピックアップの概略構成図を示す。図11に示す光ピックアップにおいては、誘電体多層膜ミラーM2の代わりに、透過特性がP波とS波で異なる誘電体多層膜ミラーM3が用いられている。
誘電体多層膜ミラーにおいてS波とP波のどちらに対しても同じ透過特性を得るためには、蒸着時の制御を精密に行うことが必要がある。量産時の歩留まりを考慮すると、図12(a)、(b)に示すような透過特性をそれぞれ有する誘電体多層膜ミラーM1、M3を備えた構成の方が有利である。具体的には、図12(b)に示すように、誘電体多層膜ミラーM3は、波長790nmの光に対してP波の透過率が95%以上、S波の反射率が95%以上となるように設計されている。一方、図12(a)に示すように、誘電体多層膜ミラーM1は、図10(a)に示したものと同様に、波長500nm以下の光をP波、S波ともに95%以上透過し、波長500nm以上の光をP波、S波ともに95%以上反射する。
図11の構成において、GaN系青色半導体レーザユニット72(波長405nm)とAlGaInP系赤色半導体レーザユニット73(波長650nm)から出射された光は、コリメートレンズ75、76によってそれぞれ平行光となった後、誘電体多層膜ミラーM1によって同一光軸上を伝搬するように合波される。合波された2つの光は、偏光性ホログラム78及び波長板80を透過し、それぞれの光が円偏光に変換される。ここで、波長板80は、上記第1の実施の形態で用いられた波長板と同じように作用する。すなわち、波長板80の遅延量λは、青色光(波長λ1 )に対してλ1 /4の略奇数倍であり、赤色光(波長λ2 )に対してもλ2 /4の略奇数倍である。従って、波長板80は、どちらの波長の光に対しても1/4波長板として作用する。
一方、AlGaAs系近赤外半導体レーザユニット74から出射された波長790nmの近赤外光は、コリメートレンズ77によって平行光となり、無偏光性のガラスホログラム79を透過した後に、誘電体多層膜ミラーM3で反射する。これにより、3つの光は、最終的に同一光軸上を伝搬するように合波される。
合波された3つの光は、立ち上げミラー81によって紙面に垂直な方向に曲げられ(但し、図11においては、紙面の上方に曲げられているように描かれている)、対物レンズ82によって光ディスク83上に集光される。尚、図11の構成においても、3つの波長の光に対して収差を小さくするために、対物レンズ82として開口数(NA)0.6の組レンズが用いられている。
光ディスク83からの反射光は、それぞれ往路と同じ光路を通って、各レーザユニット72〜74に集積化されたそれぞれの検出用フォトディテクタ上に導かれる。
すなわち、青色光(波長405nm)及び赤色光(波長650nm)は、その偏光方向が波長板80によってもとの偏光方向に対して90度回転された後、偏光性ホログラム78によって回折され、レーザユニット72、73に集積化されたそれぞれの検出用フォトディテクタ上に導かれる。
一方、近赤外光(波長790nm)に関しては、誘電体多層膜ミラーM3の透過特性がP波とS波で異なるため、AlGaAs系近赤外半導体レーザユニット74に対応して設けられた検出光学系を構成する光学部品として無偏光性のガラスホログラム79が用いられている。そして、光ディスク83で反射した近赤外光(波長790nm)は、誘電体多層膜ミラーM3で反射し、ガラスホログラム79及びコリメートレンズ77を透過した後、レーザユニット74に集積化された検出用フォトディテクタ上に導かれる。図9の構成と比較すると、ガラスホログラム79が用いられており、検出用フォトディテクタ上に導かれる近赤外光の光量が小さくなるため、サーボ系のゲインなどを調整する必要があるが、再生特性などの劣化は観測されなかった。
図11の構成においても、最短波長であるGaN系青色半導体レーザユニット72から出射される光が、誘電体多層膜ミラーM1、M3を透過するように構成されているため、各波長の光に対する対物レンズ通過後の透過波面収差を50mλ以下に抑圧することができ、再生特性においても良好な結果を得ることができた。また、図11の構成の光ピックアップにおいては、青色光、赤色光及び近赤外光の各光源が搭載され、それぞれが検出光学系を有しているので、青色光によってHD−DVD−Rを、赤色光によってDVD−Rを、近赤外光によってCD−Rを、それぞれ安定に再生することができる。
尚、本実施の形態においては、青色半導体レーザとしてGaN系半導体レーザが用いられているが、GaN系半導体レーザの代わりにSHGブルーレーザを用いても、同様の効果が得られる。
また、本実施の形態においては、3つの波長の光に対して収差を小さくするために、対物レンズとして組レンズが用いられているが、上記第2の実施の形態のように、対物レンズとして非球面レンズを用い、液晶レンズ(可変位相板)によって非球面レンズ(対物レンズ)の収差を補正する構成であっても、同様の効果が得られる。
〈第4の実施の形態〉
本実施の形態においては、複数のコヒーレント光源と、偏光性ホログラムを用いた検出光学系とを有し、1つの波長板によって安定なサーボ動作及び再生信号の検出を行うことのできる光ピックアップ及び光情報記録再生装置について説明する。
このような光ピックアップ及び光情報記録再生装置を実現するために、本実施の形態においては、液晶材料から構成される位相可変型波長板が用いられる。また、コヒーレント光源としては、GaN系青色半導体レーザ(波長405nm)とAlGaInP系赤色半導体レーザ(波長650nm)とAlGaAs系近赤外半導体レーザ(波長790nm)とが用いられる。
図13(a)は本実施の形態における光ピックアップを示す概略構成図、図13(b)は図13(a)の構成における偏光性ホログラムや光ディスクの複屈折性の結晶主軸とコヒーレント光源の偏光方向との関係を示す図である。この構成においても、図9に示した構成と同様の誘電体多層膜ミラーM1、M2が用いられ、これらの誘電体多層膜ミラーM1、M2は、各波長においてP波、S波ともに同じ透過特性を示す。
図13の構成において、GaN系青色半導体レーザユニット84(波長405nm)とAlGaInP系赤色半導体レーザユニット85(波長650nm)から出射された光は、コリメートレンズ87、88によってそれぞれ平行光となった後、誘電体多層膜ミラーM1によって同一光軸上を伝搬するように合波される。一方、AlGaAs系近赤外半導体レーザユニット86から出射された波長790nmの近赤外光は、コリメートレンズ89によって平行光となった後、誘電体多層膜ミラーM2で反射する。これにより、3つの光は、同一光軸上を伝搬するように合波される。合波された3つの光は、偏光性ホログラム90を透過した後、立ち上げミラー91によって紙面に垂直な方向に曲げられる(但し、図13(a)においては、紙面の上方に曲げられているように描かれている)。そして、位相可変型波長板R1を透過した後、対物レンズ93によって光ディスク94上に集光される。尚、対物レンズ93としては、組レンズが用いられている。
本実施の形態においては、誘電体多層膜ミラーM1、M2の透過特性がP波とS波で同じであるため、全ての波長の光に対して、偏光性ホログラム90を用いて検出光学系が構成されている。従って、位相可変型波長板R1を、全ての波長の光に対して1/4波長板として作用するように調整する必要がある。そこで、本実施の形態においては、位相可変型波長板R1として、図14(a)〜(c)に示すような液晶材料から構成される位相可変型波長板が用いられている。
ここで、位相可変型波長板R1の構成について説明する。図14(b)に示すように、位相可変型波長板R1は、上記第2の実施の形態で説明した可変位相板44と同様に、液晶98と、それを両側から挟み込むように配置された配向膜(ポリイミド系)97とITO(InSnOx )電極96とガラス基板95とにより構成されている。液晶98の厚みは3μmであり、配向膜97の厚みは80nmである。配向膜97は、液晶98の長軸(矢印)が図13(a)に示すC軸の方向に並ぶようにラビングされている。
液晶98としては、誘電率の異方性が正の液晶(例えば、メルク社のZLI−4792)が用いられている。液晶98は、電圧(〜60Hz)を印加することにより、Z軸方向に徐々に傾き、C軸の偏光方向に対して屈折率が低下する。このため、印加電圧を調整することにより、液晶98にC軸方向の屈折率変化、すなわち位相変化を与えることができる。図14(b)は、印加電圧V=0のときの液晶98の傾きを示し、図14(c)は、印加電圧V=V1のときの液晶98の傾きを示している。
液晶98の傾きによる位相変調φ(rad)は、液晶の複屈折量を△n、液晶の厚みをd、液晶の傾きをθとしたとき、近似的に、φ(rad)〜2π×△n×d×(cos2θ)/λによって表記される。従って、λ=780nm、△n=0.1に対して、θ=0(印加電圧V=0)のとき、位相変調として0.385λが得られる。そこで、1.5Vの電圧を印加して、液晶98を図13(c)に示すような角度θを有するように傾けることにより、波長λ=780nmの光に対して位相変調が0.25λ(λ/4)となるように位相可変型波長板R1を調整した。
このように、本実施の形態で使用される可変位相型波長板R1は、印加電圧を変化させることによって位相変調を任意に変化させることができるので、赤色光及び青色光に対してもλ/4の位相変調を得ることができる。具体的には、本実施の形態においては、位相可変型波長板R1に、赤色光に対しては2V、青色光に対しては5Vの電圧を印加することより、位相可変型波長板R1をそれぞれの波長の光に対して1/4波長板として作用させることができる。
尚、位相可変型波長板R1は、その結晶主軸(C軸:異常光方向)が合波された光の偏光方向に対して45度傾いた状態で設置されている。
光ディスク94からの反射光は、位相可変型波長板R1によってその偏光方向がもとの偏光方向に対して90度回転され、偏光性ホログラム90によって回折された後、それぞれの半導体レーザユニット84〜86に集積化された検出用フォトディテクタ上に導かれる。
位相可変型波長板R1は、印加電圧を調整することによってC軸方向の屈折率が変化するため、得られる位相変調を変化させることができる。また、合波された光の偏光方向は位相可変型波長板R1の結晶主軸(C軸)に対して45度傾いているので、光ディスク94上に集光される光の波長λに対してλ/4の位相変調が得られるように位相可変型波長板R1への印加電圧を調整することにより、合波されたそれぞれの光を円偏光に変換することができる。光ディスク94からの反射光については、さらにλ/4の位相変調が得られるため、往路に対して偏光方向が90度回転した直線偏光に変換される。そして、このような位相可変型波長板R1を備えていることにより、複数の波長の光源を備えた光ピックアップにおいても、偏光分離手段を利用して構成された検出光学系を用いて安定にサーボ動作及び再生信号の検出を行うことができるので、その実用的効果は大きい。
図14の構成においては、液晶材料が単独で用いられているが、屈折率の波長分散関係の異なる2つの液晶材料から構成される位相可変型波長板R1bを用いることにより、さらに実用的なデバイスを実現することができる。以下、その構成について、図15(a)、(b)を参照しながら説明する。
具体的には、この位相可変型波長板R1bは、トラン系を含む液晶124とフェニルシクロヘキサン系を主成分とする液晶123とにより構成されている。図15(a)、(b)に示すように、それぞれの配向方向(矢印で図示)は、互いに直交する関係にある(印加電圧V=0の場合)。尚、トラン系を含む液晶124とフェニルシクロヘキサン系を主成分とする液晶123とは、それぞれ配向膜(ポリイミド系)122とITO(InSnOx )電極121とガラス基板120とに挟まれている。
図16(a)、(b)は、トラン系を含む液晶124とフェニルシクロヘキサン系を主成分とする液晶123のそれぞれについての、波長と位相変調量との関係を示している。図16(a)に示すように、トラン系を含む液晶124は、波長分散の大きい材料である。一方、図16(b)に示すように、フェニルシクロヘキサン系を主成分とする液晶123は、波長分散の小さい材料である。尚、図16(b)のフェニルシクロヘキサン系を主成分とする液晶123の厚みは、図16(a)のトラン系を含む液晶124の厚みの2倍になっている。
2つの液晶123、124の遅光軸(C軸)を直交させて構成することにより、複屈折が生じるC軸方向も直交方向となる。その結果、2つの液晶123、124の組合せによって得られる位相変調量は、両液晶123、124でそれぞれ生じる複屈折量の差となる。従って、フェニルシクロヘキサン系を主成分とする液晶123の厚みを、トラン系を含む液晶124の厚みの2倍に設定することにより、図16(c)に示す波長分散特性が得られる。これは、図16(b)の特性から図16(a)の特性を減じたものに相当する。
本実施の形態においては、トラン系を含む液晶124の厚みを2μm、フェニルシクロヘキサン系を主成分とする液晶123の厚みを4μmに設定することにより、波長780nmの光に対して200nmの位相差、波長650nmの光に対して160nmの位相差、波長405nmの光に対して90nmの位相差をそれぞれ得ることができ、それぞれの波長の光に対してほぼ1/4波長板として作用することのできる位相可変型波長板R1bを実現することができた。また、フェニルシクロヘキサン系を主成分とする液晶123への印加電圧を調整することによって特性の微調整を行うことができるので、環境温度が変化等した場合であっても、安定に1/4波長板として作用させることができる。
尚、図15の位相可変型波長板R1bは液晶材料のみによって構成されているが、図17(a)、(b)に示すように、屈折率の波長分散関係の異なる液晶とフィルムとの組合わせから構成される位相可変型波長板R1cを用いることにより、さらに実用的な光ピックアップを実現することができる。
この位相可変型波長板R1cは、液晶232とポリビニルアルコール系フィルム133とを組み合わせることによって構成されている。尚、液晶232は、配向膜(ポリイミド系)134とITO(InSnOx )電極135とガラス基板136とに挟まれている。また、ポリビニルアルコール系フィルム133は、ガラス基板136の上に形成されている。
液晶232としては、波長分散の大きい材料(例えば、トラン系を含む液晶)が用いられている。一方、ポリビニルアルコール系フィルム133は、波長分散の小さい材料である。液晶232とポリビニルアルコール系フィルム133とを、その遅相軸(C軸)が図17(a)、(b)に矢印などで示すように互いに直交する関係となる(印加電圧V=0の場合)ように配置することにより、複屈折が生じるC軸方向も直交方向となる。従って、この位相可変型波長板R1cにおいても、液晶232とポリビニルアルコール系フィルム133でそれぞれ生じる複屈折量の差が、実際の位相変調量となる。
具体的には、液晶232の厚みを2μmに設定したとき、波長780nmの光に対して200nmの位相変調量が得られ、図16(a)に示すような波長分散関係となった。一方、ポリビニルアルコール系フィルム133の厚みを100μmに設定したとき、波長780nmの光に対して400nmの位相変化量が得られ、図16(b)に示すような波長分散関係となった。結果として得られる位相変調量は、図16(c)に示すような波長分散特性となった。これにより、波長780nmの光に対して200nmの位相差、波長650nmの光に対して160nmの位相差、波長405nmの光に対して90nmの位相差をそれぞれ得ることができ、それぞれの波長の光に対してほぼ1/4波長板として作用することのできる位相可変型波長板R1cを実現することができた。
この位相可変型波長板R1cにおいては、液晶232への印加電圧を調整することによって特性の微調整を行うことができるので、環境温度が変化等した場合であっても、安定に1/4波長板として作用させることができる。
異なる波長のコヒーレント光源を備えた従来の光ピックアップにおいては、検出光学系の1つが偏光分離手段を利用して構成されている場合、1/4波長板をそれぞれの波長の光ごとに切り替えなければ安定なサーボ動作及び信号の検出を行うことができない。これに対して、本実施の形態のように、液晶材料から構成される位相可変型波長板を光ピックアップに挿入し、印加電圧の調整によって位相変調量を制御するように構成すれば、1つの位相可変型波長板を全ての波長の光に対して1/4波長板として作用させることができるので、安定に信号の検出を行うことができると共に、各種のメディアとの互換性も実現することができる。従って、その実用的効果は大きい。また、屈折率の波長分散関係の異なる液晶又はフィルムとの組合わせにより、位相可変型波長板への印加電圧を低減することができるので、さらに実用的なデバイスを実現することができる。
〈第5の実施の形態〉
上記第4の実施の形態においては、複数の波長の光に対して1/4波長板として作用する位相可変型波長板R1、R1b又はR1cを用いた光ピックアップ及び光情報記録再生装置について説明した。本実施の形態においては、位相可変型波長板を光ディスクで生じる複屈折量を補正するために用いた光ピックアップ及び光情報記録再生装置について説明する。
光ディスクの基板として用いられるポリカーボネートは、その成形時に屈折率の異方性が生じ、複屈折性が発生する。図18に、ポリカーボネート基板の波長632.8nmに対する複屈折性の一例を示す。図18より、光ディスクの内周方向では大きな複屈折性を示し、往復行路で100nm程度の位相差(波長405nmの光に対して約1/4波長の位相差)が生じることが分かる。
検出光学系に偏光性ホログラムやPBS(偏光分離素子)などを用いた構成においては、1/4波長板が偏光性ホログラムあるいはPBS(偏光分離素子)と光ディスクとの間に存在するため、上記のように光ディスクに複屈折性が生じると、検出用フォトディテクタ上に導かれる光の光量が変化する。これに対して、本実施の形態においては、位相可変型波長板を用いることにより、検出用フォトディテクタ上に導かれる光量を一定に保つことが可能となる。
図19(a)は本実施の形態における光ピックアップを示す概略構成図、図19(b)は図19(a)の構成における偏光性ホログラムや光ディスクの複屈折性の結晶主軸とコヒーレント光源の偏光方向との関係を示す図である。
図19の構成において、GaN系青色半導体レーザユニット110(波長405nm)とAlGaInP系赤色半導体レーザユニット111(波長650nm)から出射された光は、コリメートレンズ113、114によってそれぞれ平行光となった後、誘電体多層膜ミラーM1によって同一光軸上を伝搬するように合波される。一方、AlGaAs系近赤外半導体レーザユニット112から出射された波長790nmの近赤外光は、コリメートレンズ115によって平行光となった後、誘電体多層膜ミラーM2で反射する。これにより、3つの光は、同一光軸上を伝搬するように合波される。合波された3つの光は、偏光性ホログラム116を透過した後、立ち上げミラー117によって紙面に垂直な方向に曲げられる(但し、図19(a)においては、紙面の上方に曲げられているように描かれている)。そして、位相可変型波長板R1、R2を透過した後、対物レンズ118によって光ディスク119上に集光される。
位相可変型波長板R1は、そのC軸方向が合波された光の偏光方向に対して45度傾いた状態で設置されており、全ての波長の光に対して1/4波長板として作用するように調整されている。光ディスク119からの反射光は、位相可変型波長板R1によってその偏光方向がもとの偏光方向に対して90度回転され、偏光性ホログラム116によって回折された後、それぞれの半導体レーザユニット110〜112に集積化された検出用フォトディテクタ上に導かれる。
図19(a)、(b)に示す構成において、位相可変型波長板R2を、そのC軸方向が光ディスク119の半径方向と平行になるように設置することにより、位相可変型波長板R2を用いて、光ディスク119で生じる複屈折量を補正することができる。光ディスク119で生じる複屈折量に対しては、光ディスク119の半径方向とそれに垂直な方向に結晶軸ができるので、その結晶軸と位相可変型波長板R2の結晶軸とを平行に位置させることにより、光ディスク119で生じる複屈折量を補正することができる。これにより、光ディスク119で生じる複屈折量が大きくても、位相可変型波長板R2によって反射光の偏光方向を往路に対して90度回転させることができるので、各レーザユニット110〜112に集積化された検出用フォトディテクタ上に導かれる光の光量を一定に保つことができる。すなわち、位相可変型波長板R2は、位相波長可変型波長板R1と光ディスク119とで生じる遅延量の和が入射する光の波長に対して1/4波長板として作用するように、言い換えれば、検出用フォトディテクタ上に導かれる光の光量が最大となるように、その位相差を調整する。
例えば、青色光を用いて再生する場合には、位相可変型波長板R1が波長405nmの光に対して1/4波長板として作用するように位相可変型波長板R1への印加電圧を調整し、検出用フォトディテクタ上に導かれる光の光量が一定となるように位相可変波長板R2への印加電圧を調整する。これにより、光ディスク119間で複屈折量がばらついていても、安定にサーボ動作及び再生を行うことができる。
特に、青色領域では、その複屈折量が波長分散関係により大きくなる。また、波長が短くなるので位相変調量はさらに大きくなる。従って、本実施の形態のように、光ディスク119で生じる複屈折量を補償するための位相可変型波長板R2が搭載された光ピックアップの実用的効果は大きい。また、光ディスク119の複屈折性によって生じる位相変調量は波長によって異なるため、異なる波長のコヒーレント光源を備えた光ピックアップにおいて、特にその効果が大きい。
〈第6の実施の形態〉
図20(a)は位相可変型波長板を1つにまとめた本実施の形態における光ピックアップを示す概略構成図、図20(b)は図20(a)の構成における偏光性ホログラムや光ディスクの複屈折性の結晶主軸とコヒーレント光源の偏光方向との関係を示す図である。
本構成においては、図20(b)に示すように、光ピックアップと光ディスク109とが互いに45度傾いた状態で設置されている。このため、位相可変型波長板R3の結晶主軸(C軸)と光ディスク109の基板の半径方向とが互いに平行となるので、1枚の位相可変型波長板R3に、1/4波長板としての機能と光ディスク109で生じる複屈折量を補償する機能とを併有させることができる。そして、このような位相可変型波長板R3を備えていることにより、異なる波長のコヒーレント光源を備えた光ピックアップにおいても、偏光分離手段を利用して構成された検出光学系を用いて安定にサーボ動作及び再生信号の検出を行うことができる。また、光ディスクの複屈折性を補償することができ、さらに光ピックアップの簡素化や消費電力の低減を図ることもできるので、その実用的効果は大きい。尚、位相可変型波長板R3の結晶主軸(C軸)と光ディスク109の基板の半径方向とが互いに垂直であっても、同様の効果が得られる。
光ディスク109に複屈折性がある場合、位相可変型波長板R3の位相変調と光ディスク109の位相変調との合計がトータルの位相変調となる。このため、光ディスク109の位相変調がλ/4と大きい場合、トータルでλ/2の位相差が生じる。これは、往復ではλの位相差となるため、偏光性の検出光学系を用いた場合、検出用フォトディテクタ上に導かれる光の光量がゼロとなる。これに対して、本実施の形態においては、1枚の位相可変型波長板R3に、1/4波長板としての機能と光ディスク109で生じる複屈折量を補償する機能とを併有させているので、偏光性の検出光学系を用いた場合であっても、検出用フォトディテクタ上に導かれる光の光量がゼロとなることはない。
本実施の形態の構成においても、図9、図13、図19と同様に、誘電体多層膜ミラーM1、M2が用いられており、これらの誘電体多層膜ミラーM1、M2は、各波長においてP波、S波ともに同じ透過特性を示す。
図20の構成において、GaN系青色半導体レーザユニット99(波長405nm)とAlGaInP系赤色半導体レーザユニット100(波長650nm)から出射された光は、コリメートレンズ102、103によってそれぞれ平行光となった後、誘電体多層膜ミラーM1によって同一光軸上を伝搬するように合波される。一方、AlGaAs系近赤外半導体レーザユニット101から出射された波長790nmの近赤外光は、コリメートレンズ104によって平行光となった後、誘電体多層膜ミラーM2で反射する。これにより、3つの光は、同一光軸上を伝搬するように合波される。合波された3つの光は、偏光性ホログラム105を透過した後、立ち上げミラー106によって紙面に垂直な方向に曲げられる(但し、図20(a)においては、紙面の上方に曲げられているように描かれている)。そして、位相可変型波長板R3を透過した後、対物レンズ108によって光ディスク109上に集光される。
光ディスク109からの反射光は、再び対物レンズ108、位相可変型波長板R3、立ち上げミラー106を通過した後、偏光性ホログラム105によって回折されて、それぞれの半導体レーザユニット99〜101に集積化された検出用フォトディテクタ上に導かれる。
本実施の形態の光ピックアップの構成においては、合波された光の偏光方向が光ディスク109の半径方向に対して45度傾いており、かつ、位相可変型波長板R3の結晶主軸(C軸)と光ディスク109の半径方向とが互いに平行となっている。そのため、直線偏光で出射された光の偏光方向は、位相可変型波長板R3の結晶主軸(C軸)に対して45度の角をなすので、位相可変型波長板R3を1/4波長板として作用させることができる。また、光ディスク109で発生する複屈折量は半径方向に生じ、その方向は位相可変型波長板R3の結晶主軸(C軸)と平行であるため、位相可変型波長板R3を用いて光ディスク109で生じる複屈折量を補償することもできる。
本実施の形態においては、全ての波長の光に対して、偏光性ホログラム105を用いて検出光学系が構成されている。このため、位相可変型波長板R3を、全ての波長の光に対して1/4波長板として作用するように調整する必要がある。コヒーレント光源から出射された光は、直線偏光で偏光性ホログラム105の異常光方向に入射する。偏光性ホログラム105は異常光方向の光に対して屈折率変化を感じないので、光は回折しない。位相可変型波長板R3の位相変調と光ディスク109で生じる片道の位相変調との和がnπ/4(往復でnπ/2)(但し、n=1、3、5、7、・・・)となるように制御すれば、光ディスク109からの反射光は、位相可変型波長板R3を通過した後に、偏光方向がもとの偏光方向に対して90度回転した直線偏光に変換される。すなわち、各レーザユニット99〜101に集積化された検出用フォトディテクタ上に導かれる光の光量が最大となるように位相変調が制御されることとなり、安定なサーボ動作及び信号の検出が可能となる。
本実施の形態においては、3波長領域の光をそれぞれ出射する光源を備えた光ピックアップについて説明したが、2波長領域の光をそれぞれ出射する光源を備えた光ピックアップにおいても、同様の効果が得られる。特に、光ディスクの複屈折量は短波長領域において大きくなるので、短波長の光源を備えた光ピックアップにおいて、特にその効果が大きい。
本実施形態においても、上記第4の実施の形態において説明した屈折率の波長分散関係の異なる2つの液晶材料から構成される位相可変型波長板を用いることにより、さらに実用的なデバイスを実現することができる。この場合、トラン系を含む液晶及びフェニルシクロヘキサン系を主成分とする液晶のそれぞれへの印加電圧を調整することによって特性の微調整を行うことができるので、環境温度が変化等した場合であっても、位相可変型波長板を安定に1/4波長板として作用させることができる。