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JP2005080488A - 回転電機ステータコイルエンドの拡張成形方法及び装置 - Google Patents

回転電機ステータコイルエンドの拡張成形方法及び装置 Download PDF

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JP2005080488A JP2003312012A JP2003312012A JP2005080488A JP 2005080488 A JP2005080488 A JP 2005080488A JP 2003312012 A JP2003312012 A JP 2003312012A JP 2003312012 A JP2003312012 A JP 2003312012A JP 2005080488 A JP2005080488 A JP 2005080488A
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Hirohisa Ichikawa
博久 市川
Toru Azeyanagi
徹 畔柳
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Aisin AW Co Ltd
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Abstract

【課題】ループ長を短くしてコイルエンド部を小型化した界磁コイルの拡張成形時の押し型からの脱落を解消する。
【解決手段】回転電機のステータの製造過程において、ステータコアAのスロット間を跨ぐコイルエンド部20を、押し型30によりステータコアの径方向外側に押し曲げ成形する拡張成形の際に、押し型の押圧面31に設けた鍔32によりステータコア端面方向へのコイルエンド部の移動を規制し、押圧面上でのずれによる押し型からの脱落を防ぐ。
【選択図】図2

Description

本発明は、モータ、ジェネレータ、モータジェネレータ等の回転電機の製造に係り、特に、回転電機のステータの製造における、ステータコアへの挿入後の界磁コイルのコイルエンド部の拡張成形に関する。
分布巻きの3相モータ等の回転電機を製造する過程では、予め組立てられたステータコアのスロットに、別途、巻線機で電線(マグネットワイヤ)を巻回して形成したU相、V相、W相の界磁コイルを挿入機(インサータ)を用いて順次挿入していく間に、挿入後のU相のコイルがステータコアの両端でスロットを跨ぐコイルエンド部が、次に挿入するV相のコイルと重なる部分を、ステータコアの径方向外側へ押し広げて、V相のコイルのコイルエンド部のための空間を確保し、V相のコイル挿入後に、V相のコイルエンド部が最後に挿入するW相のコイルと重なる範囲も同様に径方向外側へ押し広げ、W相のコイルのコイルエンド部のための空間を確保する、いわゆる中間成形を行う。図10は中間成形により押し広げられたコイルエンド部の形状を模式化して示す。図示するように、最初に挿入されたU相のコイルエンド部20uは、ステータコアAのスロットに装着されたスロットセルのカフス部11に沿って軸線方向に大きく折り曲げられ、次に挿入されたV相のコイルエンド部20vがカフス部11とU相のコイルエンド部20uに沿って折り曲げられ、最後に挿入されるW相のコイルエンド部20wがあけられたスペースに位置付けられる配置とされる。この中間成形では、砲弾形の成形機(フォーマ)をステータコアの内周側空間に挿入してコイルエンド部を押し広げる砲弾成形という方法が一般的である。
ところで、近時、環境保全の見地から、車両の駆動装置に駆動、発電、回生制動等のために回転電機を用いるハイブリッド車や電気自動車が実用化されつつあり、特にこのような車載される回転電機(一般に3相ブラシレスDCモータが用いられる)にあっては、一層の小型高出力化の要請が著しい。こうした要請に応えるには、回転電機のコイルのスロット内の占有率を高める(コイル素線の本数を増やす)ことと併せて、コイルエンド部の小型化が必要である。このようにコイルエンド部を小型化するには、コイルのループ長をスロットの軸方向長に対して可能な限り短くしなければならない。このようにステータコアの軸方向長に対してコイルのループ長を短くしてコイルエンド部を小型化した仕様のモータでは、成形時のコイルの戻り(スプリングバック)が強く、コイル同士の摩擦も強くなり、絶縁が損なわれ易い。このため、よりコイルエンド部を径方向外側に押し出すことができ、コイル同士の摩擦も少ない、拡張成形という方法が採られる。このような拡張成形を開示する技術として、特許文献1記載の技術がある。
特開平11−27889号公報
しかしながら、この拡張成形の場合、小型化したコイルエンド部では、図11に拡張成形手順を段階的に示すように、拡張成形時に拡張フォーマCで径方向に押されることで、コイルBはステータコアAの径方向への変形につれて端面方向へずれ易くなり、スロットセルのカフス部を保護し、ステータコアの両端面を押えるための治具であるサポータDと拡張フォーマCの押し型Caとの間でコイルBの一部を噛み込み、コイルの絶縁が損なわれる恐れがあった。
また、コイルのループ長が短いことで、コイルのステータコアスロットからの立ち上がり部がコア端面側へ寝にくいため、最後のW相のコイルの挿入時に、先に挿入されたU相のコイル及びV相のコイルの立ち上がり部がW相のコイルに当たって、挿入の抵抗になったり、逆にW相のコイルに過剰な力がかかることで、コイルの電線(マグネットワイヤ)の伸びや絶縁不良が発生する恐れがあった。
本発明は、上記のような事情に鑑み案出されたものであり、回転電機の製造におけるステータのコイルエンド部の拡張成形の際に、拡張成形機からのコイルの離脱を防ぐことを主たる目的とする。次に、本発明は、同じくコイルエンドの拡張成形の際に、以後に挿入されるコイルを構成するマグネットワイヤの伸びや損傷を防ぐことを更なる目的とする。
上記目的を達成するため、本発明のコイルエンド拡張成形方法は、回転電機のステータの製造過程において、ステータコアの異なるスロットに跨って挿入されたコイルがステータコアの軸線方向両端でスロット間を跨ぐコイルエンド部を、押し型によりステータコアの径方向外側に押し曲げ成形する拡張成形の際に、前記押し型の押圧面から外れるステータコア端面方向へのコイルエンド部の移動を規制することを特徴とする。
上記の構成において、前記コイルは、時期を異ならせて前記ステータコアの互いに異なるスロットに跨って挿入された複数のコイルからなり、後に挿入されたコイルのコイルエンド部の拡張成形の際に、少なくとも、先に挿入されたスロットからのコイルの立上がり部をステータコアの端面方向に寝かし変形させる構成とすることができる。より具体的には、前記コイルは、スロットとその周辺を覆うように予め配置された絶縁材により、コイルエンド部においてステータコアの両端面に対して前記絶縁材の介在により所定の沿面距離を保って拡張成形されるものであり、前記ステータコア端面方向への移動の規制は、コイルエンド部内周側のステータコア端面側への脱落を防ぐものである。
次に、本発明のコイルエンド拡張成形方法は、回転電機のステータの製造過程において、ステータコアの異なるスロットに跨って挿入されたコイルがステータコアの軸線方向両端でスロット間を跨ぐコイルエンド部を、ステータコアの径方向外側に押し曲げ成形する前段階の拡張成形の後に、ステータコアの別の互いに異なるスロットに跨って挿入された複数のコイルがステータコアの軸線方向両端でスロット間を跨ぐコイルエンド部を、ステータコアの径方向外側に押し曲げ成形する後段階の拡張成形の際に、少なくとも、先に挿入されたスロットからのコイルの立上がり部をステータコアの端面方向に寝かし変形させることを特徴とする。
上記いずれの構成と採る場合も、前記回転電機は、3相分布巻きモータであり、前記拡張成形は、最後にスロットに挿入される相のコイルを除くコイルについてなされるものとすることができる。
次に、本発明のコイルエンド拡張成形装置は、回転電機のステータの製造過程において、ステータコアの異なるスロットに跨って挿入されたコイルがステータコアの軸線方向両端でスロット間を跨ぐコイルエンド部を、押し型によりステータコアの径方向外側に押し曲げ成形する拡張成形装置において、前記押し型の先端に、該押し型の押圧面から外れるステータコア端面方向へのコイルエンド部の移動を規制する鍔を設けたことを特徴とする。
上記の構成において、より具体的には、前記ステータコアは、スロットとその周辺を覆うように予め配置された絶縁材を備え、前記コイルは、コイルエンド部においてステータコアの両端面に対して前記絶縁材の介在により所定の沿面距離を保って拡張成形されるものであり、前記鍔は、コイルエンド部内周側のステータコア端面側への脱落を防ぐべく押し型の絶縁材の端面に沿う部分に庇状に設けられた構成とすることができる。また、前記押し型は、スロットからのコイルの立上がり部を除く部分を押圧する第1の押圧部と、スロットからのコイルの立上がり部を押圧する第2の押圧部を備え、前記鍔は、前記第1の押圧部に設けられ、前記第2の押圧部は、前記第1の押圧部を挟む両側に設けられた構成とすることもできる。また、前記第2の押圧部は、前記第1の押圧部より後退した位置にあり、且つ第1の押圧部の押圧面に対して傾斜した押圧面を有し、スロットからのコイルの立上がり部をステータコアの端面方向に寝かせるものであることが望ましい。そして、前記回転電機を、任意の相数をnとするn相の分布巻きモータとする場合、前記傾斜した押圧面は、相順にステータコアのスロットに挿入されるn−1相のコイルのスロットからの立上がり部を押圧するものとされる。
上記請求項1に記載の構成では、コイルのループ長をコアの軸方向長に対して短くしたコイルエンド部の拡張成形時に、成形の進行につれてコイルエンド部がコアの両端面に近付く方向にずれる挙動が生じするのに対して、このずれによりコイルエンド部が押し型の押圧面から外れることなくすくい上げられ、コイルエンド部の拡張成形が進行する。したがって、コイルエンド部の特に内周側が拡張成形中に押し型から外れて、この成形中にステータコア端面を押さえているサポータ(治具)と押し型との間に噛み込まれて擦れ合うことがなくなり、それによりコイルの絶縁性が損なわれることがなくなる。
次に、請求項2に記載の構成では、後に挿入されたコイルの拡張成形の際に、先に挿入されたコイルのコアからの立上がり部が、付加的に寝かし変形されるため、後に挿入された隣接する他のスロットに挿入されるコイルのコアからの立ち上がり部が、先に挿入されたコイルのコイルエンド部と重なことがなくなる。したがって、後に挿入されるコイルの挿入抵抗が大きくなることがなく、挿入推力が大きくならないため、コイルを構成するマグネットワイヤの伸びや傷発生を防ぐことができる。
また、請求項3に記載の構成では、ステータコアが、通常それに装着される絶縁材を備える場合において、コイルエンド部のステータコアの軸線方向への押圧によるコイルエンド部内周側のステータコア端面側への脱落を防ぐことができる。
次に、請求項4に記載の構成では、後に挿入されたコイルの拡張成形の際に、先に挿入されたコイルのコアからの立上がり部が、付加的に寝かし変形されるため、後に挿入された隣接する他のスロットに挿入されるコイルのコアからの立ち上がり部が、先に挿入されたコイルのコイルエンド部と重なことがなくなる。したがって、後に挿入されるコイルの挿入抵抗が大きくなることがなく、挿入推力が大きくならないため、コイルを構成するマグネットワイヤの伸びや傷発生を防ぐことができる。
また、請求項5に記載の構成では、3相分布巻きモータを製造する過程において、上記の各効果を達成することができる。
次に、請求項6に記載の構成では、コイルのループ長をコアの軸方向長に対して短くしたコイルエンド部の拡張成形時に、成形の進行につれてコイルエンド部がコアの両端面に近付く方向にずれる挙動が生じするのに対して、このずれによりコイルエンド部が押し型の押圧面から外れるのを鍔ですくい上げて防ぐことができる。したがって、コイルエンド部の特に内周側が拡張成形中に押し型から外れてサポータとの間に噛み込まれて擦れ合うことがなくなり、それによりコイルの絶縁性が損なわれることがなくなる。しかもこうした効果を、格別の付加的装置や操作を要しない押圧面形状の特異性のみで達成することができる。
また、請求項7に記載の構成では、ステータコアが、通常それに装着される絶縁材を備える場合において、コイルエンド部のステータコアの軸線方向への押圧によるコイルエンド部内周側のステータコア端面側への脱落を防ぐことができる。
また、請求項8に記載の構成では、1回の操作により、コイルのスロットからの立上がり部を除く部分を、ステータコア端面側への脱落を防ぎながら押圧する成形と、コイルのスロットからの立上がり部を押圧する成形とを行うことができる。
また、請求項9に記載の構成では、1回の操作により、コイルのスロットからの立上がり部を除く部分を、ステータコア端面側への脱落を防ぎながら押圧する成形と、それに続く、コイルのスロットからの立上がり部を次のコイルの挿入に備えてステータコアの端面方向に寝かせる成形とを行うことができる。
また、請求項10に記載の構成では、任意の相数nの分布巻きモータを製造する過程において、上記の各効果を達成することができる。
本発明におけるコイルエンド部の押し型から外れる方向への移動、すなわちコイルエンド部の内周側がステータコアの端面に近付く方向の移動の規制は、ステータコアのスロットに最初に挿入されたコイルの拡張成形に適用し、スロットからの立上がり部の拡張成形は、それ以後に挿入されたコイルの拡張成形時に、その後に挿入されたコイルの押し型から外れる方向への移動の規制と併せて適用することが望ましい。このために、本発明の装置としては、拡張成形のための形状の異なる相数に応じた複数の押し型が準備され、それらを用いて各相のコイルの挿入段階に応じてコイルエンド部の拡張成形が段階的に行われる。
本発明を分布巻きの3相コイルのコイルエンド拡張成形を実施する場合を例として説明する。図1に模式化してステータコア(以下、実施例の説明においてコアと略記する)とコイルの関係をコアの軸線方向に見て示す。本実施例におけるコアAへのコイルBの組付けは、U、V、W相の各12極の界磁コイルを72個のスロット10を持つコアに組付けるものとし、U相の12極コイル(図に3極分のみを実線で示す)の1つの極のコイルを中4つのスロットを跳ばした2つのスロット10に跨がるように位置付け、この極のコイルに渡り線でつながる次の極のコイルを、それら2つのスロットのいずれか片側に隣接するスロット10とそれに対して中4つ跳ばした2つのスロットに跨がるように位置付け、同様の位置関係に各極のコイルを位置させて、1相分(12極)をインサータを用いて1回の操作でスロットに挿入する。そして、この挿入を終わった段階で、拡張成形装置(以下、実施例の説明においてフォーマという)に対する押し型の配置個数を12個とし、すべてのコイルエンドに対して本発明によるU相のコイルエンド部の拡張成形を施す。次に、V相のコイル(図に3極分のみを破線で示す)について、U相のコイルが挿入されたスロット10に対して2スロットずらして、同様にインサータを用いて1回の操作でスロットに挿入する。この挿入が終わった段階で、各コイルエンド部について、同様にV相のコイルの拡張成形を施す。そして、最後に残ったスロット10にW相のコイル(図に3極分のみ2点鎖線で示す)の挿入を行う。
次に、実施例に係るフォーマを、水平載置のコアと共に図2に軸線方向部分断面で示す。なお、この断面は、1つの極のコイルエンド部に対応する断面のみを示すもので、コアの周方向に30°ずつ隔たる他の11極のコイルエンド部についても同様の配置構成が取られる。この装置は、コアAの内周中空部に挿入可能な、全体の図示を省略するフォーマCの径方向拡張機構の先端に、上下対称に2つの押し型30を取付け支持した構成とされている。図示の押し型30は、最初にコアAのスロットに挿入されたU相のコイルのコイルエンド部20を拡張成形するためのもので、押し型30のみを抜出して斜視状態で図3に示すように、板状の垂直部分の上端に水平部分を持つ全体として鉤状のブロックとして構成されており、コアAの内周面と対峙する垂直部分の外面が押圧面31を構成している。押圧面31は、コアAの内周面と外周面の曲率の中間的曲率を有する円筒面とされ、押圧面31が両側面33につながる部分には、適宜の丸みを持たせてある。そして、本発明の特徴に従い、押圧面31の最下部に一体的に鍔32が張出し形成されている。この鍔32は、押圧面31の全幅に渡って庇状に形成され、その両端は、適宜の丸みを持たせて両側面33につなげられている。
図2を参照して、コイルBは、コアAのスロットとその周辺を覆うように予め配置された絶縁材を構成するスロットセル11により、コイルエンド部20においてコアAの両端面(水平載置状態における上下面)に対してスロットセル11のカフス部(間隔保持材としての機能を果たす)11aの介在により所定の沿面距離を保って拡張成形されるものであり、コア端面方向への移動の規制は、ステータコア端部の積層鋼板がコイルに引っ掛かってめくれるのを防止し、コイルがステータコアの角と接触して傷付くのを防止し、かつ、コイルを拡張する際にコイルの倒れ込みによりスロットセルのカフス部11aが潰れるのを防止するためにステータコアの両端面に当て付けられる治具としてのサポータDの櫛歯の底部分にコイルエンド部内周側が噛み込まれるのを防ぐものである。したがって、押し型30のこの庇状の鍔32は、押し型30のコア径方向への押出し(図2は押し型30が既に押出された状態を示す)により、サポータDの上面及び下面に沿って移動するように、上下両押し型30の鍔32間の距離を調整するスペーサ5の押し型支持部への介在により調整可能とされている。この距離は、サポートDの厚さがスロットセル11のカフス部11aの高さより若干厚くされていることから、スロットセル11のカフス部11a上端縁及び下端縁に沿って若干のスペースを保って移動する距離となる。
次に、上記フォーマによるコイルエンド拡張成形の作業工程を説明する。図4の工程説明図を参照して、当初、コイルBがコアAのスロットに挿入された状態では、フォーマCの押し型30は、コアAの内周より径方向内側に位置している。この状態から拡張作業を開始すると、次の図4の中段に示すように、先ず押し型30の鍔32がサポータDに接し始め、押圧面31のコイルエンド部20への当接により、コイルエンド部20の径方向圧縮(図に矢印で示す)が生じ始まる。更に押出しが進行して、コイルエンド部20全体の径方向移動が始まると、コイルエンド部20は、コアAの軸線方向へ移動を開始し、やがて図4の下段に示すようにコイルエンド部20の内周側が鍔32に接する状態となる。この状態からは、鍔32により軸線方向移動が規制されるため、コイルエンド部内周側が押し型30とサポータDとの間に噛み込まれる現象は回避される。こうして押し型30の押出しにより所定の位置までコイルエンド部20を押し曲げたところで、押し型30を後退させて、当初のU相のコイルエンド部の拡張成形作業が完了する。
次に示す図5は、U相のコイルのコイルエンド部拡張成形前後の状態をそれぞれ斜視図で示す。図5の上段に示すように、拡張成形前の状態では、コイルエンド部20がコイル挿入スロット以外のスロット10v,10wに被さるように位置している。なお、図示の例は、U相のコイルの1つの極がV相及びW相のコイル挿入用の4つのスロット11v,11wを跨いで挿入され、この極のコイルに渡り線23でつながる他の2つの極のコイルが隣接するスロットに挿入された状態を示す。これに対して、図5の下段に示す拡張成形後の状態では、U相のコイルのコイルエンド部20は、径方向外側に押し退けられており、それによりV相及びW相のコイルを挿入するスロット11v,11wが開放されている。これによりこれらの相のコイルのスロットへの挿入が円滑に可能となる。
ところで、上記のような拡張成形を行っても、コイルのループ長を可及的に短くした場合、先の図4の下段に示すように、スロットからの立上がり部21のマグネットワイヤの曲がりが緩やかに(曲率が小さく)なる。このような緩やかな曲がりは、次のV相やW相のコイルのインサータによる挿入時に、挿入抵抗を増加させる要因となる。この挿入抵抗の増加は、コイル挿入時のマグネットワイヤの伸びや損傷につながる。
そこで、こうした事態に対処すべく、本発明の特徴に従い、次に挿入されるV相のコイルのコイルエンド部の拡張成形のために、上記第1の押し型30とは形状が異なる第2の押し型40が準備されている。図6はこの第2の押し型40の形状を斜視図で示す。この押し型40は、第1の押し型30と概ね同様の幅と高さを持つブロック状に構成されているが、V相のコイルエンド部を押圧する押圧面41は、主としてコイルエンドの中央部の径方向押出しストロークを確保すべく幅狭とされ、その押圧面41より若干後退した押圧面44がコイルエンド部の押圧面41を挟む両側に形成されている。この両側の押圧面44は、主としてコイルエンド部の立上がり部をコアの端面方向に寝かせる変形を生じさせるべく設けられている。この押し型40の場合、第1の押圧面41は幅が狭いことから特に部分円筒面とはせずに、平面とされている。この押圧面41の下端に鍔42が形成されている点は、第1の押し型30と同様である。第2の押圧面44は、全体として第1の押圧面41と平行な平面とされているが、押圧面44の下端が下面とつながる部分は、斜めに切除されて、傾斜面45とされており、更に、押圧面44と両側面43がつながる部分における下方部分も、斜めに切除されている。こうした面構成により、第1の押圧面41が、コイルエンド部を押圧する面として機能し、第2の押圧面44における斜面45が、主としてコイルエンド部のスロットからの立上がり部を寝かせる方向に押圧する面として機能する。
この第2の押し型40のフォーマCへの取付けは、先の第1の押し型30のフォーマへの取付けと同様になされる。次に示す図7の上段及び図8の左側に示す状態は、この押し型装着時の先に示した図4と同様の拡張成形開始時の状態を軸方向部分断面及び平面視で示す。この押し型40による拡張成形作業は、先の場合と同様であるので、途中過程を省略して、次の図7の下段及び図8の右側に成形後の状態を示す。この成形時には、第2の押圧面44における傾斜面45がコイルエンド部のコアからの立上がり部21を押圧することになるので、図7の下段を参照して、立上がり部21の特にコアAのスロット10の上下に当たる部分がコアAの端面に沿う方向に寝かされることが分かる。
こうしたV相のコイルの拡張成形後の状態を次の図9に示す。図9に示す拡張成形後の状態では、U相及びV相のコイルのコイルエンド部20u,20vは、径方向外側に押し退けられており、また、それらの相のコイルエンド部の立上がり部21u,21vもコアAの端面方向に寝かされている。それによりW相のコイルを挿入する2つのスロット10wが開放されている。これにより最後のW相のコイルのスロット10wへの挿入が、先に挿入されたU相及びV相のコイルと干渉することなく円滑に可能となる。
以上詳述したように、この実施例によれば、U相のコイルエンド部の拡張成形時には、押し型30の鍔32によるコイルエンド部内周側のすくい上げにより、この部分のサポータDへの噛み込みが阻止されながらコイルエンド部の径方向への押出しがなされ、V相のコイルエンド部の拡張成形時には、第2の押し型40の第1の押圧面41とそれに付随する鍔42によるU相成形時と同様の押出しがなされると共に、先に成形されたU相のコイルのスロットからの立上がり部の寝かせ変形も傾斜面45による押圧で同時に行われる。したがって、こうした作用により、最後にスロットに挿入されるW相のコイルの挿入スロットが十分に開放され、インサータによる挿入時の挿入抵抗が軽減される。かくしてこの実施例によれば、特に、高出力化のためにコイルのスロット内占有率を高め、更に、コイルのループ長をコイルエンド部の小型化のためにコアの軸長に対して短くしたコイルにおける拡張成形に伴うコイルのサポータDへの噛み込みや、マグネットワイヤの伸びや傷発生を確実に防ぐことができる。
本発明は、一般的な多相回転電機のステータの製造に広く適用可能なものであり、例えば、3相の誘導モータやジェネレータのステータの製造における、3相コイルのU相のコイルのコイルエンドと、V相のコイルのコイルエンドの拡張成形に適用可能なものである。
実施例の分布巻き3相モータのコイル配置を示す模式図である。 実施例の拡張フォーマを軸線方向に見てステータコアと共に示す部分断面図である。 実施例のU相コイル拡張成形用の押し型を示す斜視図である。 実施例の方法によるU相コイル拡張成形工程を段階的に側面視で示す工程説明図である。 実施例の方法によるU相コイル拡張前後の状態を対比して示すステータコアの部分斜視図である。 実施例のV相コイル拡張成形用押し型を示す斜視図である。 実施例の方法によるV相コイル拡張成形工程を段階的に側面視で示す工程説明図である。 実施例の方法によるV相コイル拡張成形工程を段階的に平面視で示す工程説明図である。 実施例の方法によるV相コイル拡張後の状態を示すステータコアの部分斜視図である。 従来のU相コイルの拡張成形工程を段階的に側面視で示す工程説明図である。 一般的3相回転電機のステータコアを模式化して示す断面図である。
符号の説明
A ステータコア
B コイル
C フォーマ(拡張成形装置)
10 スロット
11 スロットセル(絶縁材)
11a カフス部
20 コイルエンド部
21 立上がり部
22 立上がり部を除く部分
30 第1の押し型
31 押圧面
32,42 鍔
40 第2の押し型
41 第1の押圧部
44 第2の押圧部
45 傾斜面(第2の押圧面)

Claims (10)

  1. 回転電機のステータの製造過程において、ステータコアの異なるスロットに跨って挿入されたコイルがステータコアの軸線方向両端でスロット間を跨ぐコイルエンド部を、押し型によりステータコアの径方向外側に押し曲げ成形する拡張成形の際に、
    前記押し型の押圧面から外れるステータコア端面方向へのコイルエンド部の移動を規制することを特徴とするコイルエンド拡張成形方法。
  2. 前記コイルは、時期を異ならせて前記ステータコアの互いに異なるスロットに跨って挿入された複数のコイルからなり、後に挿入されたコイルのコイルエンド部の拡張成形の際に、少なくとも、先に挿入されたスロットからのコイルの立上がり部をステータコアの端面方向に寝かし変形させる、請求項1記載のコイルエンド拡張成形方法。
  3. 前記コイルは、スロットとその周辺を覆うように予め配置された絶縁材により、コイルエンド部においてステータコアの両端面に対して前記絶縁材の介在により所定の沿面距離を保って拡張成形されるものであり、前記ステータコア端面方向への移動の規制は、コイルエンド部内周側のステータコア端面側への脱落を防ぐものである、請求項1又は2記載のコイルエンド拡張成形方法。
  4. 回転電機のステータの製造過程において、ステータコアの異なるスロットに跨って挿入されたコイルがステータコアの軸線方向両端でスロット間を跨ぐコイルエンド部を、ステータコアの径方向外側に押し曲げ成形する前段階の拡張成形の後に、ステータコアの別の互いに異なるスロットに跨って挿入された複数のコイルがステータコアの軸線方向両端でスロット間を跨ぐコイルエンド部を、ステータコアの径方向外側に押し曲げ成形する後段階の拡張成形の際に、少なくとも、先に挿入されたスロットからのコイルの立上がり部をステータコアの端面方向に寝かし変形させることを特徴とするコイルエンド拡張成形方法。
  5. 前記回転電機は、3相分布巻きモータであり、前記拡張成形は、最後にスロットに挿入される相のコイルを除くコイルについてなされる、請求項1〜4のいずれか1項記載のコイルエンド拡張成形方法。
  6. 回転電機のステータの製造過程において、ステータコアの異なるスロットに跨って挿入されたコイルがステータコアの軸線方向両端でスロット間を跨ぐコイルエンド部を、押し型によりステータコアの径方向外側に押し曲げ成形する拡張成形装置において、
    前記押し型の先端に、該押し型の押圧面から外れるステータコア端面方向へのコイルエンド部の移動を規制する鍔を設けたことを特徴とするコイルエンド拡張成形装置。
  7. 前記ステータコアは、スロットとその周辺を覆うように予め配置された絶縁材を備え、前記コイルは、コイルエンド部においてステータコアの両端面に対して前記絶縁材の介在により所定の沿面距離を保って拡張成形されるものであり、前記鍔は、コイルエンド部内周側のステータコア端面側への脱落を防ぐべく押し型の絶縁材の端面に沿う部分に庇状に設けられたものである、請求項6記載のコイルエンド拡張成形装置。
  8. 前記押し型は、スロットからのコイルの立上がり部を除く部分を押圧する第1の押圧部と、スロットからのコイルの立上がり部を押圧する第2の押圧部を備え、前記鍔は、前記第1の押圧部に設けられ、前記第2の押圧部は、前記第1の押圧部を挟む両側に設けられた、請求項6又は7記載のコイルエンド拡張成形装置。
  9. 前記第2の押圧部は、前記第1の押圧部より後退した位置にあり、且つ第1の押圧部の押圧面に対して傾斜した押圧面を有し、スロットからのコイルの立上がり部をステータコアの端面方向に寝かせるものである、請求項8記載のコイルエンド拡張成形装置。
  10. 前記回転電機は、任意の相数をnとするn相の分布巻きモータであり、前記傾斜した押圧面は、相順にステータコアのスロットに挿入されるn−1相のコイルのスロットからの立上がり部を押圧するものである、請求項8記載のコイルエンド拡張成形装置。
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