JP2005075659A - セラミックス焼結体とその製法および生体用材料 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 Al2O3、ZrO2、SiO2、TiO2及びMgOからなるセラミックス焼結体であって、Al2O3の含有割合が65〜96質量%、ZrO2の含有割合が4〜34.4質量%であり、かつSiO2の含有割合が0.20質量%以上、TiO2の含有割合が0.22質量%以上、及びMgOの含有割合が0.12質量%以上であって、かつSiO2、TiO2及びMgOの合計の含有割合が0.6〜4.5質量%であることを特徴とするセラミックス焼結体。
【選択図】なし
Description
また、上記複合材の製造コスト低減若しくは特性改善の目的で、更に種々の添加物を少量に複合化する研究が行われている。例えば、アルミナが70質量%以上の組成範囲でSiO2、MgO、及びCaOを添加することにより低温での緻密化焼結を実現し、低い製造コストで耐摩耗性に優れた材料が開示されている(例えば特許文献1、特許文献2参照)。
更に、周期律表5A族金属酸化物とSiO2を同時に添加して、異方性成長促進する効果による高靭性アルミナ、ジルコニア複合材料が開示されている(例えば特許文献3参照)。
(1)前記Al2O3の平均粒径が3μm以下、及びZrO2の平均粒径が0.5μm以下であること、
(2)前記セラミックス焼結体におけるZrO2の20%以上が正方晶であること、
(3)前記TiO2とMgOの原子比Ti/Mgが0.5〜1.2の範囲であること、
(4)前記TiO2とMgOの少なくとも一部がAl2O3結晶に溶解して固溶体結晶を形成しており、その溶解量が合わせて該Al2O3の0.1質量%以上に相当する量であること、
(5)前記Al2O3の少なく一部の結晶粒内にTiとMgの酸化物若しくはこれらを含む複合酸化物粒子が分散して存在すること
が望ましい。
本発明においては、1300〜1500℃での焼成を酸化雰囲気で行い、更に前記焼成温度よりも60℃以上低い温度で還元雰囲気において熱処理する工程を有することが望ましい。
本発明のセラミックス焼結体は、上記組成範囲のAl2O3とZrO2に添加剤としてSiO2、TiO2およびMgOを一定割合含有させることにより、焼結の際にAl2O3とZrO2の結晶粒成長を抑制しながら、低い温度条件で焼結体を緻密化でき、微粒、高密度の組織形成により高強度化の実現が可能となる。
また、前記添加剤の中でTiO2とMgOの原子比(Ti/Mg)が0.5〜1.2の範囲のものが好ましい。これにより、強度低下の原因となる化合物の形成を抑制でき、より高強度化の焼結体を得ることが可能となる。
更に、前記TiO2とMgOの少なくとも一部がAl2O3結晶に溶解して固溶体結晶を形成しており、その溶解量が合わせて該Al2O3の0.1質量%以上に相当する量とすることが望ましい。これによりAl2O3結晶が固溶体形成により強化される。
更にまた、前記Al2O3の少なく一部の結晶粒内にTiあるいはMgの酸化物若しくは複合酸化物粒子が分散して存在することが望ましい。
TiあるいはMgの酸化物若しくは複合酸化物粒子の分散強化効果によりセラミックス焼結体の強度と靭性を一層向上させることが可能となる。
本発明においては特に、前記酸化雰囲気で得られた上記焼結体を、更に前記焼成温度よりも60℃以上低い温度で還元雰囲気において熱処理する工程を有することが望ましい。このような条件で焼結することにより、TiとMgの酸化物がAl2O3でその溶解度が変化し、Al2O3とは異なる化合物粒子がAl2O3の結晶粒内に析出することが可能となる。
本発明のセラミックス焼結体は、人工骨頭のような、高強度が要求される無毒で生体になじみやすく、拒否反応を起こさない人工材料として人工骨、人工歯根などの生体用材料に好適に使用される。
上記高強度を得る特徴は、Al2O365質量%以上の高ヤング率、高硬度の組成において効果的に発現される。
従って、本発明のセラミックス焼結体において、Al2O3の含有割合は65質量%以上、好ましくは70%質量以上であり、一方、Al2O3の含有割合は96質量%以下、好ましくは90質量%以下、特に好ましくは85質量%以下である。上記65〜96質量%の範囲とすることにより、高強度かつ高硬度という効果が得られる。
また、ZrO2の含有割合は4質量%以上、好ましくは10質量%以上、特に好ましくは15質量%以上であり、一方、ZrO2の含有割合は34.4質量%以下、好ましくは30質量%以下、特に好ましくは25質量%以下である。上記4〜34.4質量%の範囲とすることにより、粒径微細化という効果が得られる。
SiO2、TiO2及びMgOの含有割合がそれぞれ前記0.20質量%未満、0.22質量%未満、及び0.12質量%未満では、焼結温度で形成された液相の粘度が高くなる為焼結促進効果が小さくなる。
尚、SiO2、TiO2及びMgOの合計の含有割合が0.6〜4.5質量%、好ましくは1.0〜3.0質量%である。
該範囲とすることにより、高緻密化と微粒組織形成という効果が得られる。
(1)セラミック焼結体の高強度特性を得るには、上記焼結体中のAl2O3の平均粒径は好ましくは3μm以下、特に好ましくは2μm以下、ZrO2の平均粒径は好ましくは0.5μm以下、特に好ましくは0.3μm以下である。このような平均粒径とすることにより微粒化による強度向上だけでなく、ZrO2の微細、均一分散により相変態強化効果を大きくすることが可能となる。
(2)本発明のセラミックス焼結体中で、前記ZrO2粒子の20%以上、好ましくは40%以上を正方晶とすることが好ましい。ZrO2に、Y、Ce、Mg、Caなど種々の安定化剤を添加して、正方晶を室温においても準安定化の状態で存在させることは可能ではある。特にこれらの安定化剤を少量添加した場合、例えば、ZrO2に対して、2mol%以下のY2O3を添加すると、組織微粒化により単斜晶への相変態を抑制し、応力下での相変態発生のポテシャルが高く、相変態強化効果が大きくなる。
TiとMgの原子比が前記範囲であるときに、同時にAl2O3結晶により効果的に固溶するという効果も得られる。
(4)前記TiO2とMgOがAl2O3結晶に溶解して固溶体結晶を形成することにより、焼結後の粒界相を減少して硬度を上げるとともに、Al2O3結晶を強化し、強度を向上することは本発明のセラミックス焼結体の好ましい形態の1つである。該Al2O3結晶へのTiO2とMgOの溶解量が少なければ上記効果が小さいので、前記組成中TiO2とMgOが合わせて該Al2O3の0.1質量%以上に相当する量がAl2O3結晶に溶解していることが好ましい。この場合、該Al2O3の0.5質量%以上に相当する量が該Al2O3結晶に溶解していることが特に好ましい。
粉末として使用する場合その平均粒径は、1.0μm以下が好ましい。
また、成形には、プレス成形、鋳込み、冷間静水圧成形、或いは冷間静水圧処理などの成形法を使用可能である。次に、本発明によれば、1300〜1500の温度範囲で焼成することが重要である。上記焼結温度が1300℃未満であると緻密な焼結体が得られず、また1500℃を超えると、結晶粒成長が発生するため、いずれの場合も高強度の焼結体は得られにくい。上記の見地から、本発明の焼結体は特に1350〜1450℃で焼成されることが望ましい。また、本発明では、この焼成後に、上記焼成温度(1350〜1450℃)よりも60℃以上低い温度で熱間静水圧焼成を行うことが望ましい。更には、この熱間静水圧焼成後に、更に前記焼成温度(1350〜1450℃)よりも60℃以上低い温度で還元雰囲気において熱処理することが好ましい。
本発明によれば、このようにして得られた焼結体を、好ましくは前記焼成温度よりも60℃以上低い温度、特に好ましくは1100〜1350℃で還元雰囲気において熱処理することにより、Tiの原子価が4価から3価に変化してTiO2の溶解度が増加し、その結果Mgの溶解度が減少するため、Al2O3の結晶粒内にMgが含まれた化合物、MgAl2O4が析出する。これにより本発明の微粒子分散強化のセラミックス焼結体が得られる。
本発明のセラミックス焼結体は、高硬度及び高強度という特性を有するので、種々の構造部材、摺動部材、切削工具に使用できる。特に、人工骨頭のような、安定性、高強度、耐磨耗性が要求される生体用材料に好適に使用される。
また、X線回折強度より全ZrO2中の正方晶ZrO2の比率を計算した。計算方法を以下に示す。
正方晶比率(%)=It/(Im1+Im2+It)
ここで、It:正方晶(111)面のX線回折強度
Im1:単斜晶(111)面のX線回折強度
Im2:単斜晶(−11−1)面のX線回折強度
なお、一部の試料に対し、Al2O3の格子定数測定によりTiO2とMgOの溶解量を推定した。また、水素雰囲気で熱処理した試料を透過型電子顕微鏡でMgAl2O4微粒子が結晶粒内に析出分散していることを確認した。
上記の試料を三点曲げ試験およびビッカース硬度を測定し、上記組織構造解析の結果と合わせて表2に示した。
これに対して試料No.6は、SiO2、TiO2およびMgOを添加せず、試料No.7は上記添加量が本発明より少なく、試料No.8はSiOの量が少ないため、何れも焼成温度が高くなり、結晶粒成長により強度と硬度が低下した。また、試料No.13は上記添加量が多すぎたため、粒界相が多く形成することにより低強度、低硬度であった。
Claims (9)
- Al2O3及びZrO2と、添加剤であるSiO2、TiO2及びMgOからなるセラミックス焼結体であって、Al2O3を65〜96質量%、ZrO2を4〜34.4質量%含有して、SiO2を0.20質量%以上、TiO2を0.22質量%以上、及びMgOを0.12質量%以上含有し、かつSiO2、TiO2及びMgOの合計の含有割合が0.6〜4.5質量%であることを特徴とするセラミックス焼結体。
- 前記Al2O3の平均粒径が3μm以下、及びZrO2の平均粒径が0.5μm以下であることを特徴とする請求項1記載のセラミックス焼結体。
- 前記セラミックス焼結体におけるZrO2の20%以上が正方晶であることを特徴とする請求項1又は2記載のセラミックス焼結体。
- 前記TiO2とMgOの原子比Ti/Mgが0.5〜1.2の範囲であることを特徴とする請求項1乃至3記載のセラミックス焼結体。
- 前記TiO2とMgOの少なくとも一部がAl2O3結晶に溶解して固溶体結晶を形成しており、その溶解量が合計で該Al2O3の0.1質量%以上に相当する量であることを特徴とする請求項1乃至4記載のセラミックス焼結体。
- 前記Al2O3の少なく一部の結晶粒内にTiとMgの酸化物若しくはこれらが含まれる複合酸化物粒子が分散して存在することを特徴とする請求項1乃至4記載のセラミックス焼結体。
- Al、Zr、Si、Ti及びMgを金属として、又はこれらの金属化合物として含む原料を、これらの金属又は金属化合物を金属酸化物に換算して、セラミックス焼結体中でAl2O3を65〜96質量%、ZrO2を4〜34.4質量%含有し、更にSiO2、TiO2及びMgOの含有割合がそれぞれ0.20質量%以上、0.22質量%以上、及び0.12質量%以上であって、かつSiO2、TiO2及びMgOの合計の含有割合が0.6〜4.5質量%となるように混合して、所定形状に成形後、1300〜1500℃で焼成することを特徴とするセラミックス焼結体の製法。
- 1300〜1500℃での焼成を酸化雰囲気で行い、更に前記焼成温度よりも60℃以上低い温度で還元雰囲気において熱処理する工程を有することを特徴とする請求項7記載のセラミックス焼結体の製法。
- Al2O3及びZrO2と、添加剤であるSiO2、TiO2及びMgOからなるセラミックス焼結体であって、Al2O3を65〜96質量%、ZrO2を4〜34.4質量%含有し、更にSiO2、TiO2及びMgOをそれぞれ0.20質量%以上、0.22質量%以上、及び0.12質量%以上含有して、かつSiO2、TiO2及びMgOの合計の含有割合が0.6〜4.5質量%であるセラミックス焼結体より作製された生体用材料。
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