JP2005052974A - 水性インクセット - Google Patents
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Abstract
【課題】耐水性があり且つカラーブリードがない高品位の画像を得ることができ、しかも、耐擦過性、耐マーカー性に優れた画像を形成することができるインクジェット用インクシステムを提供すること。
【解決手段】少なくとも水と水溶性有機溶剤、無機又は有機の顔料を含んでなる1以上の水性着色インクと、少なくとも多価金属塩溶液を含む液体組成物とを独立に有してなる水性インクセットであって、上記水性着色インクの1つが、無機又は有機の顔料としてカーボンブラック粒子表面に有機基が化学的に結合して表面改質されたカーボンブラックを含み、上記有機基は、顔料表面に直接もしくは、他の原子団を介して化学的に結合している官能基と、イオン性モノマーと疎水性モノマーとの共重合体と、の反応物を含んでいる水性インクセット。
【選択図】 なし
【解決手段】少なくとも水と水溶性有機溶剤、無機又は有機の顔料を含んでなる1以上の水性着色インクと、少なくとも多価金属塩溶液を含む液体組成物とを独立に有してなる水性インクセットであって、上記水性着色インクの1つが、無機又は有機の顔料としてカーボンブラック粒子表面に有機基が化学的に結合して表面改質されたカーボンブラックを含み、上記有機基は、顔料表面に直接もしくは、他の原子団を介して化学的に結合している官能基と、イオン性モノマーと疎水性モノマーとの共重合体と、の反応物を含んでいる水性インクセット。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特にインクジェット記録方式に好適に適用可能な、少なくとも一方が着色成分として顔料を含む水性インクであるブラックインクとカラーインクとを含む2色以上の着色インクと、少なくとも多価金属塩溶液を含む液体組成物とを独立に有してなる水性インクセットに関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録方法は、インクの小滴を飛翔させ、紙等の被記録媒体に付着させて印刷を行う印刷方法である。この方法は、比較的安価な装置で、高解像度、高品位な画像を、高速で印刷可能であるという特徴を有する。このようなインクジェット記録に使用されるインクとしては、水を主成分とし、これに染料や顔料といった着色成分、及び目詰まり防止等を目的としてグリセリン等の湿潤剤を含有させたインクが一般的である。
【0003】
インクジェット記録方法として、最近新たに、多価金属塩溶液を記録媒体に適用した後、少なくとも1つのカルボキシル基を有する染料を着色成分として含むインクを適用する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この方法によれば、多価金属イオンと染料とから不溶性複合体が形成され、この複合体の存在によって、耐水性があり、且つカラーブリード(混色滲み)が生じない高品位の画像を得ることができるとされている。しかしながら、この方法においては、着色剤として染料を用いているため耐光性が悪い等の問題があり、改善の余地があった。
【0004】
一方、従来より、印刷インクの着色成分には、耐水性や耐光性等の堅牢性に優れた顔料が広く用いられている。ところで、この顔料を水性インクの着色成分として用いる場合には、水性媒体中に顔料を安定に分散させることが必要となる。一般に、顔料は分散性がよくないため、均一分散系を得る方法として、顔料とともに分散剤樹脂を添加することで水性媒体中に安定に分散させた顔料(以下、樹脂分散顔料という)が用いられている。このタイプの顔料では、水分散性の悪い顔料を良好に分散させるべく、水に分散するための親水性基と、疎水性の顔料に吸着するための疎水性部を有する水溶性樹脂等の樹脂分散剤が、必須になる。
【0005】
着色成分として、このような樹脂分散顔料を用いたインクをインクジェット記録に用いる場合には、インクがインクジェット記録ヘッドの微細な先端から安定な液滴となって吐出されるようにすることが要求されるため、インクジェット記録ヘッドのオリフィスの乾燥によってインクの固化等が発生しないことが要求される。しかしながら、上記した分散剤が含有された樹脂分散顔料インクをインクジェット記録に用いた場合には、分散剤を形成している樹脂、或いは顔料に対する吸着力が弱いため顔料から剥がれ落ちた樹脂分散剤、いわゆる顔料に吸着していないフリーな樹脂や樹脂分散顔料粒子が、オリフィス等に付着した後、再溶解されずに、目詰まりやインクの不吐出等が生じる場合がある。又、ベタ印字等の連続印字等を行う場合には、ヘッド温度上昇に伴いインクの吐出が不規則になり吐出方向曲がりが発生し、インクの着弾点がずれる問題が生じる。又、更に連続印字を継続すると、ノズルからインクが溢れながら吐出を繰り返していくうちにノズル近傍のオリフィス面にインクが付着するようになる。そして、そのノズル近傍のインクの付着部を核として大きなインク溜りがオリフィス上に形成される。更に印字を続けた場合には、吐出すべきインクがオリフィス上のインク溜りに引き込まれ、吐出不可能になるといったヌレ不吐問題等、記録ヘッドに対するインクの信頼性が低いという課題があった。
【0006】
上記のような樹脂分散顔料インクを用いた場合の記録ヘッドに対するインクの信頼性を改善する方法として、カーボン粒子表面に親水性基を導入することによって、分散剤を使用することなく安定に水系媒体中に分散可能な、自己分散型顔料の開発がなされている(例えば、特許文献2及び3参照)。かかる顔料をインクの着色成分とすれば、記録ヘッドに対する信頼性を向上させることができる。
【0007】
しかしながら、自己分散型顔料を着色成分として用いた水性インクを用いて、被記録媒体、特に普通紙上に印刷を行って画像を形成した場合には、インクが充分に乾いた後であっても、印字面を強く擦った際に印字面が汚れてしまうといった現象があり、画像の耐擦過性に劣るといった問題があり、改良の余地があった。
【0008】
インクの着色成分に顔料を用いた場合における新たな試みとして、顔料表面に樹脂を化学的に結合させた樹脂結合タイプの自己分散型顔料を含むインクジェット用インク、及びそれを用いたインクジェット記録方法についての提案がある(例えば、特許文献4参照)。かかる自己分散型顔料は、顔料表面の官能基と反応し得る反応性基を有するセグメント(A)と、前記反応性基を実質的に有さず、且つ前記セグメント(A)よりも液媒体に対して高い親和性を示すセグメント(B)とを有する重合体を、顔料と加熱させることで顔料複合ポリマーとして得られる。
【0009】
しかしながら、このタイプの自己分散型顔料においては、顔料表面に反応させる重合体として特定の官能基が必要であり、使用できる重合体が限定されてしまい、又、顔料表面にも重合体と反応可能な官能基が必須であり、使用できる顔料の種類も限定されてしまう、といった問題がある。又、本発明者らの検討によれば、製造上の問題として、顔料表面と反応性基を有さないセグメントにイオン性を持たせることは難しく、水性媒体に対して十分な分散性を有する顔料を得ることは難しい、と考えられる。
【0010】
又、複数の分子を用いた樹脂結合タイプの自己分散型顔料についての提案もある(例えば、特許文献5参照)。この樹脂結合タイプの自己分散型顔料では、イオン性を有する水性顔料分散が可能である。上記で述べた樹脂結合タイプの自己分散型顔料を用いることにより、インクの記録ヘッドに対する信頼性は確保できるようになるものの、印字後の耐擦過性、耐マーカー性については改善の余地があった。
【0011】
【特許文献1】
特開平5−202328号公報
【特許文献2】
特開平8−3498号公報
【特許文献3】
特開平10−195360号公報
【特許文献4】
特開平9−272831号公報
【特許文献5】
国際公開第01/51566号パンフレット
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、記録ヘッドに対するインクの信頼性、印字品位に優れ、且つカラーブリードを有効に抑えることができ、又、耐擦過性にも優れた、高品位な画像を形成することができるインクセットを提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記の目的は、下記の本発明によって達成される。即ち、本発明は、[1]少なくとも、色材を含有しない無色又は淡色の液体組成物と、該液体組成物と共にカラー画像を被記録媒体上に形成するのに用いられるブラックインクとカラーインクとを含む2色以上の水性インクと、を含んでなる水性インクセットにおいて、該液体組成物が、少なくとも多価金属塩溶液を含むものであり、ブラックインク又はカラーインクのうち少なくとも1つは、水と、水溶性有機溶剤と、無機又は有機顔料と、を含み、該無機又は有機顔料は、顔料粒子表面に有機基が化学的に結合して表面改質された顔料であり、
上記有機基は、顔料表面に直接若しくは、他の原子団を介して化学的に結合している官能基と、イオン性モノマーと疎水性モノマーとの共重合体と、の反応物を含んでいることを特徴とする水性インクセット。
【0014】
又、かかる本発明の水性インクセットの好ましい形態としては、下記の[2]〜[13]が挙げられる。[2]上記[1]の構成において、前記水性インクが、カーボンブラックを含むブラックインクと、イエローインク、マゼンタインク、及びシアンインクの中から選ばれる少なくとも1種のカラーインクを独立して含む水性インクセット。[3]上記[1]の構成において、前記水性インクが、カーボンブラックを含むブラックインクと、イエローインク、マゼンタインク、及びシアンインクを含み、且つ、これら3色のカラーインクが顔料インクであって、該顔料インクに含まれる各顔料の少なくとも1つが、顔料粒子表面に有機基が化学的に結合して表面改質された顔料であり、該有機基が、顔料表面に直接若しくは、他の原子団を介して化学的に結合している官能基と、イオン性モノマーと疎水性モノマーとの共重合体と、の反応物を含んでいる水性インクセット。
【0015】
[4]上記[1]の構成において、前記水性インクが、カーボンブラックを含むブラックインクと、イエローインク、マゼンタインク、及びシアンインクを含み、且つ、これら3色のカラーインクがが顔料インクであって、該顔料インクに含まれる各顔料の少なくとも1つが、少なくとも1つの親水性モノマーと少なくとも1つの疎水性モノマーの共重合体からなる樹脂分散剤によって分散されている水性インクセット。
【0016】
[5]上記[1]〜[4]のいずれかの構成において、前記多価金属塩溶液が、Y3+、Al3+、Fe3+、Cu2+、Ca2+、Zn2+、Mg2+、Ni2+、及びBa2+からなる群から選ばれる少なくとも1つの多価金属陽イオンを含んでいる水性インクセット。
【0017】
[6]上記[1]〜[5]のいずれかの構成において、前記共重合体の重量平均分子量が、1,000以上30,000以下の範囲にあり、且つ、上記共重合体の酸価が100以上500以下である水性インクセット。[7]上記[1]〜[6]のいずれかの構成において、前記表面改質された顔料を含む水性インクを限外ろ過した後、塩析若しくは凝析した後にろ過により分取した固形分を乾固して得た乾固物を(a)、該乾固物(a)を前記共重合体の良溶媒を用いて抽出処理を行った後にろ過により分取した固形分を乾固して得た顔料乾固物を(b)とし、それぞれの乾固物のTGA(熱重量分析)による100〜700℃の範囲における重量減少率をA(%)及びB(%)とした場合に、これらの重量減少率の差(A−B)が、(A−B)%<5%の関係を満たす水性インクセット。
【0018】
[8]上記[1]〜[7]のいずれかの構成において、前記表面改質された顔料における共重合体の含有率が、5〜40質量%の範囲内にある水性インクセット。[9]上記[1]〜[8]のいずれかの構成において、前記表面改質された顔料における共重合体の含有率が、10〜25質量%の範囲内にある水性インクセット。[10]上記[1]〜[9]のいずれかの構成において、表面改質された顔料が、水性顔料インク全質量に対して0.1〜15質量%の範囲で含まれる水性インクセット。[11]上記[1]〜[10]のいずれかの構成において、表面改質された顔料が、水性顔料インク全質量に対して1〜10質量%の範囲で含まれる水性インクセット。
【0019】
[12]上記[1]〜[11]のいずれかの構成において、表面改質された顔料を含む水性インク中に、更に、下記構造式(1)〜(4)で示される構造を有している界面活性剤の少なくとも1つを含んでいる水性インクセット:
(但し、上記構造式(1)中、Rはアルキル基を表し、nは整数を表す。)
(但し、上記構造式(2)中、Rはアルキル基を表し、nは整数を表す。)
(但し、上記構造式(3)中、Rは水素原子又はアルキル基を表し、m及びnは、それぞれ整数を表す。)
(但し、構造式(4)中、m及びnは、夫々整数を表わす。)
【0020】
[13]本発明にかかる別の実施形態は、前記[1]〜[12]のいずれかの構成の水性インクセットを使用して画像を形成する画像形成方法であって、少なくとも該水性インクセットを構成する水性インクをインクジェット記録方法により被記録媒体の画像形成領域に付与する過程(A)と、該水性インクセットを構成する多価金属塩溶液を含む液体組成物を上記画像形成領域に付与する過程(B)とを有することを特徴とする画像形成方法。
【0021】
又、かかる本発明の画像形成方法の好ましい形態としては、下記の[14]及び[15]が挙げられる。[14]上記[13]の構成において、インクジェット記録方法が、インクに熱エネルギーを作用させてインク吐出を行う画像形成方法。[15]上記[13]の構成において、インクジェット記録方法が、インクに力学的エネルギーを作用させてインク吐出を行う画像形成方法。
【0022】
[16]本発明にかかる別の実施形態は、前記[1]〜[12]のいずれかの構成の水性インクセットを構成する液体組成物を収容している液体組成物収容部と、前記[1]〜[12]のいずれかの構成の水性インクセットを構成する水性インクを収容しているインク収容部と、該液体組成物及び該水性インクの各々を吐出させるためのヘッド部を備えている記録ユニット。
【0023】
[17]本発明にかかる別の実施形態は、前記[1]〜[12]のいずれかの構成の水性インクセットを構成する液体組成物を収容している液体組成物収容部と、前記[1]〜[12]のいずれかの構成の水性インクセットを構成する水性インクを収容しているインク収容部と、を備えたインクカートリッジ。
【0024】
[18]本発明にかかる別の実施形態は、前記[1]〜[12]のいずれかの構成の水性インクセットを構成する液体組成物を収容している液体組成物収容部と、前記[1]〜[12]のいずれかの構成の水性インクセットを構成する水性インクを収容しているインク収容部と、該液体組成物及び該水性インクの各々を吐出させるためのヘッド部を備えているインクジェット記録装置。
【0025】
【発明の実施の形態】
次に、好ましい実施の形態を挙げて、本発明をより詳細に説明する。本発明の水性インクセットは、ブラックインクとカラーインクとを含む2色以上の水性インクと、少なくとも多価金属塩溶液を含む液体組成物とを独立に有してなるが、上記水性インクの少なくとも1つが、水と、水溶性有機溶剤と、無機又は有機の顔料を含んでなり、該無機又は有機の顔料は、顔料粒子表面に有機基が化学的に結合して表面改質された顔料であり、上記有機基は、顔料表面に直接若しくは、他の原子団を介して化学的に結合している官能基と、イオン性モノマーと疎水性モノマーとの共重合体と、の反応物を含んでいることを1つの特徴とする。
【0026】
本発明によれば、例えば、インクジェット記録による画像形成時に、上記した、水性インクのいずれかの着色成分に、樹脂結合タイプの自己分散型顔料に分類される、粒子表面に有機基が化学的に結合した状態に表面改質された顔料を用い、且つ、該水性インクに、多価金属塩溶液を含む液体組成物を併用する構成とすることで、耐水性に優れ、且つ、複数の色調の異なる水性着色インクを用いた場合にもカラーブリードがない高品位の画像を得ることができる。しかも、上記した構成とすることで、顔料を水性着色インクの着色成分としているにもかかわらず、耐擦過性にも優れた画像の形成が可能となる。先ず、本発明にかかる水性インクセットを構成する水性インク(以下、インクという)について説明する。
【0027】
本発明にかかるインクセットは、ブラックインクとカラーインクとを含む2色以上のインクを独立に有するが、これらのインクには、粒子表面が特定の状態に表面改質された顔料を含むインクを少なくとも1種含む。ブラックインクをかかる構成のものとする場合には、顔料としてカーボンブラックを用いることが好ましい。この際に用いることのできるカーボンブラックとしては、下記に挙げるようなものが好適である。例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック顔料で、例えば、レイヴァン(Raven)7000、レイヴァン5750、レイヴァン5250、レイヴァン5000ULTRA、レイヴァン3500、レイヴァン2000、レイヴァン1500、レイヴァン1250、レイヴァン1200、レイヴァン1190ULTRA−II、レイヴァン1170、レイヴァン1255(以上、コロンビア社製)、ブラックパールズ(Black Pearls)L、リーガル(Regal)400R、リーガル330R、リーガル660R、モウグル(Mogul)L、モナク(Monarch)700、モナク800、モナク880、モナク900、モナク1000、モナク1100、モナク1300、モナク1400、モナク2000、ヴァルカン(Valcan)XC−72R(以上、キャボット社製)、カラーブラック(Color Black)FW1、カラーブラックFW2、カラーブラックFW2V、カラーブラックFW18、カラーブラックFW200、カラーブラックS150、カラーブラックS160、カラーブラックS170、プリンテックス(Printex)35、プリンテックスU、プリンテックスV、プリンテックス140U、プリンテックス140V、スペシャルブラック(Special Black)6、スペシャルブラック5、スペシャルブラック4A、スペシャルブラック4(以上、デグッサ社製)、No.25、No.33、No.40、No.47、No.52、No.900、No.2300、MCF−88、MA600、MA7、MA8、MA100(以上、三菱化学社製)等の市販品や、別途新たに調製されたものも使用することができる。しかし、これらに限定されるものではなく、従来公知のカーボンブラックを使用することが可能である。黒色の顔料としては、上記に加えて、マグネタイト、フェライト等の磁性体微粒子や、チタンブラック等の無機顔料を用いることもできる。
【0028】
本発明にかかるインクセットに用いるカラーインクとしては、イエローインク、マゼンタインク、及びシアンインクのいずれかを少なくとも含むものが好ましいが、これらのインクの着色成分に用いる顔料としては、下記のような各種の有機顔料を挙げることができる。そして、これらの有機顔料は、樹脂分散剤によってインク中に分散させてもよいが、顔料粒子表面に有機基が化学的に結合した状態に表面改質させたものを用いてもよい。カーボンブラックや、有機顔料の顔料粒子表面の改質方法については、後述する。
【0029】
有機顔料としては、例えば、トルイジンレッド、トルイジンマルーン、ハンザエロー、ベンジジンエロー、ピラゾロンレッド等の不溶性アゾ顔料、リトールレッド、ヘリオボルドー、ピグメントスカーレット、パーマネントレッド2B等の溶性アゾ顔料、アリザリン、インダントロン、チオインジゴマルーン等の建染染料からの誘導体、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン等のフタロシアニン系顔料、キナクリドンレッド、キナクリドンマゼンタ等のキナクリドン系顔料、ペリレンレッド、ペリレンスカーレット等のペリレン系顔料、イソインドリノンエロー、イソインドリノンオレンジ等のイソインドリノン系顔料、ベンズイミダゾロンエロー、ベンズイミダゾロンオレンジ、ベンズイミダゾロンレッド等のイミダゾロン系顔料、ピランスロンレッド、ピランスロンオレンジ等のピランスロン系顔料、インジゴ系顔料、縮合アゾ系顔料、チオインジゴ系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、フラバンスロンエロー、アシルアミドエロー、キノフタロンエロー、ニッケルアゾエロー、銅アゾメチンエロー、ペリノンオレンジ、アンスロンオレンジ、ジアンスラキノニルレッド、ジオキサジンバイオレット等のその他の顔料が例示できる。
【0030】
又、有機顔料を、カラーインデックス(C.I.)ナンバーにて示すと、C.I.ピグメントイエロー12、13、14、17、20、24、74、83、86、93、97、109、110、117、120、125、128、137、138、147、148、150、151、153、154、166、168、180、185、C.I.ピグメントオレンジ16、36、43、51、55、59、61、71、C.I.ピグメントレッド9、48、49、52、53、57、97、122、123、149、168、175、176、177、180、192、215、216、217、220、223、224、226、227、228、238、240、254、255、272、C.I.ピグメントバイオレット19、23、29、30、37、40、50、C.I.ピグメントブルー15、15:1、15:3、15:4、15:6、22、60、64、C.I.ピグメントグリーン7、36、C.I.ピグメントブラウン23、25、26等が例示できる。
【0031】
本発明の水性インクセットを構成する、顔料粒子表面に有機基が化学的に結合した状態に表面改質させた顔料を含むインクとしては、インク中に含有される上記顔料が、インク全質量に対して、0.1〜15質量%の範囲内、更には、1〜10質量%の範囲内で含有されたものであることが好ましい。
【0032】
以下に、本発明を特徴づけるカーボンブラックや他の顔料における表面改質について説明する。即ち、本発明で使用する上記に挙げたような無機又は有機の顔料は、顔料粒子表面に有機基が化学的に結合して表面改質されており、該有機基が、顔料粒子表面の官能基或いは導入されてなる官能基と、該官能基と結合したイオン性モノマーと疎水性モノマーとの反応物である共重合体セグメントとを含んでいることを特徴とする。先ず、顔料粒子表面を改質する際に使用する各材料について説明する。
【0033】
[官能基]
本発明にかかる水性インク中の顔料において官能基は、顔料表面に直接、若しくは他の原子団を介して化学的に結合している。該官能基は、後述する共重合体との反応によって有機基を構成するためのものであり、ここで官能基の種類は、該共重合体が担持している官能基との関連において選択される。そして、官能基と共重合体との反応は、当該顔料が水性媒体中に分散されるものであることを考慮すると、加水分解等を生じることのない結合、例えばアミド結合等を生じるような反応とすることが好ましい。該官能基をアミノ基とし、共重合体にカルボキシル基を担持させることによって、共重合体を、顔料粒子表面にアミド結合を介して導入することができる。又、官能基をカルボキシル基とし、共重合体にアミノ基を担持させることによっても同様に共重合体を顔料粒子表面にアミド結合を介して導入することができる。
【0034】
ここで、顔料粒子表面に化学的に結合されている官能基は、直接、顔料粒子表面に結合していてもよく、又、他の原子団を介して結合していてもよい。しかし、比較的分子量の大きな共重合体を顔料表面に導入する場合、共重合体同士の立体障害を避けるために、他の原子団を介して官能基を顔料表面に導入することが好ましい。ここで、他の原子団は、多価の元素や有機基であれば特に限定されるものでない。しかし、上記した理由により官能基の顔料表面からの距離を制御するという観点から、例えば2価の有機残基が好ましく用いられる。2価の有機残基の例は、アルキレン基やアリーレン基(フェニレン基)等を包含する。
【0035】
より具体的に述べると、例えば、後述する実施例においては、顔料をアミノフェニル(2−スルホエチル)スルホンと反応させて、顔料表面にアミノフェニル(2−スルホエチル)スルホン基を導入し、その後、ペンタエチレンヘキサミンのアミノ基とアミノフェニル(2−スルホエチル)スルホン基とを反応させることにより、官能基としてのアミノ基を導入している。この場合には、アミノ基は、フェニル(2−スルホエチル)基を含む原子団を介して顔料表面に化学的に結合している、ということができる。
【0036】
[共重合体]
上記イオン性モノマーと疎水性モノマーからなる共重合体としては、例えば、アニオン性を有するアニオン性の共重合体、或いはカチオン性を有するカチオン性の共重合体が好適に用いられる。上記アニオン性の共重合体としては、疎水性モノマーと、アニオン性モノマーからなる共重合体、或いは、これらの塩等が挙げられる。この際に使用する代表的な疎水性モノマーとしては、次に挙げるモノマーがあるが、本発明は、これらに限定されるものではない。例えば、スチレン、ビニルナフタレン、メチルメタクリレート等のメタクリル酸アルキルエステル、フェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、2−エトキシエチルメタクリレート、メタクリロニトリル、2−トリメチルシロキシエチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、p−トリルメタクリレート、ソルビルメタクリレート、メチルアクリレート等のアクリル酸アルキルエステル、フェニルアクリレート、ベンジルアクリレート、アクリロニトリル、2−トリメチルシロキシエチルアクリレート、グリシジルアクリレート、p−トリルアクリレート及びソルビルアクリレート等である。
【0037】
上記において使用するアニオン性モノマーとしては、次に挙げるモノマーがあるが、本発明は、これらに限定されるものではない。例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸等が挙げられる。
【0038】
本発明にかかる共重合体の一態様としての、アニオン性モノマーと疎水性モノマーと、からなるアニオン性の共重合体としては、上記に挙げた疎水性モノマーから選択されたいずれかと、上記に挙げたアニオン性モノマーから選択された少なくとも1つとの、少なくとも2つ以上のモノマーからなる。該共重合体は、ブロック共重合体、ランダム共重合体、グラフト共重合体、或いは、これらの塩等を包含する。
【0039】
かかるアニオン性の共重合体の酸価としては、100〜500の範囲のものが好ましい。酸価をかかる範囲内とすることによって、顔料表面の親水性が高過ぎて、印字後におけるインク中の水及び溶剤が顔料表面にとどまり、被記録媒体への印字後における、インクの耐マーカー性の発現が遅くなることを有効に抑制することができる。又、顔料の表面の親水性が低過ぎてしまい、インク中に顔料が安定に分散しにくくなるといったことも有効に抑制することができる。
【0040】
尚、前記した塩とは、ナトリウム、リチウム、カリウム等のアルカリ金属塩の他、アンモニウム塩、アルキルアミン塩、アルカノールアミン塩等が挙げられ、これらを、単独或いは数種類を適宜に組み合わせて使用できる。
【0041】
上記したアニオン性の共重合体セグメントは、重量平均分子量(Mw)が1,000〜30,000の範囲のものであることが好ましく、更に好ましくは、3,000〜20,000の範囲のものを使用するとよい。又、アニオン性の共重合体セグメントの含有量は、表面改質された顔料におけるアニオン性の共重合体の含有率が5質量%以上、40質量%以下であることが好ましい。より好ましくは、10質量%以上、25質量%以下の割合で使用される。表面改質された顔料における共重合体の含有率をこの範囲内とすることで、インクの高粘度化の抑制と分散安定性とを高いレベルで両立させることができる。
【0042】
次に、カーボンブラックを例として、顔料粒子表面に化学的に有機基を結合させて、顔料粒子表面を改質する方法について説明する。本発明においては、先ず、顔料粒子表面の官能基、或いは顔料粒子表面に導入し官能基に、イオン性モノマーと疎水性モノマーとからなる共重合体を結合させ、該共重合体を顔料粒子表面に化学的に結合させる方法であれば、通常用いられるいずれの方法でもよく、特に限定されない。このような方法としては、例えば、以下の方法等を用いることができる。
【0043】
カーボンブラック等の顔料粒子表面に、ポリエチレンイミン等を導入し、その末端官能基に、アミノ基を有する、イオン性モノマーと疎水性モノマーとからなる共重合体をジアゾニウム反応で結合させる方法や、カーボンブラック等の顔料粒子表面に、分子内にアミノ基とカルボキシル基を有する共重合体をジアゾニウム反応で結合させる方法等の方法を用いることができる。この他のものとしては、最も典型的な例が、WO 01/51566 A1に開示されている。
【0044】
本発明に用いられるインクは、上記した着色成分の他に、水と、水溶性有機溶剤が含有されてなるが、この際に使用される水溶性有機溶剤としては、インクの乾燥防止効果を有するものが特に好ましい。本発明で使用し得る水溶性有機溶剤の具体的なものとしては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール等の炭素数1〜4のアルキルアルコール類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;アセトン、ジアセトンアルコール等のケトン又はケトアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール等のアルキレン基が2〜6個の炭素原子を含むアルキレングリコール類;ポリエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート等の低級アルキルエーテルアセテート;グリセリン;エチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、ジエチレングリコールメチル(又はエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類;N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等が挙げられる。上記の如き水溶性有機溶剤は、単独でも或いは混合物としても使用することができる。水としては脱イオン水を使用することが望ましい。
【0045】
本発明に用いられるインク中に含有される水溶性有機溶剤の含有量は特に限定されないが、インク全量に対して、質量基準で、好ましくは3〜50%の範囲が好適である。又、インクに含有される水の含有量は、インク全質量に対して好ましくは50〜95質量%の範囲である。
【0046】
又、インクの保湿性維持のために、尿素、尿素誘導体、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン等の保湿性固形分もインク成分として用いてもよい。尿素、尿素誘導体、トリメチロールプロパン等、保湿性固形分のインク中の含有量は一般には、インク全量に対して、質量基準で、0.1〜20.0%の範囲が好ましく、より好ましくは3.0〜10.0%の範囲である。
【0047】
この他、上記成分以外にも必要に応じて、更に、界面活性剤、pH調整剤、防錆剤、防腐剤、防カビ剤、酸化防止剤、還元防止剤、蒸発促進剤、キレート化剤等、種々の添加剤を含有させてもよい。
【0048】
特に、本発明においては、下記に挙げる構造式(1)〜(4)で表される界面活性剤のいずれかを、着色インク中に含有させることが好ましい。
(但し、上記構造式(1)中、Rはアルキル基を表し、nは整数を表す。)
(但し、上記構造式(2)中、Rはアルキル基を表し、nは整数を表す。)
(但し、上記構造式(3)中、Rは水素原子又はアルキル基を表し、m及びnは、それぞれ整数を表す。)
(但し、構造式(4)中、m及びnは、夫々整数を表わす。)
【0049】
次に、上記した水性インクとともに、本発明にかかる水性インクセットを構成する液体組成物について説明する。
【0050】
先に説明した特定の表面改質された顔料を着色成分として含有するインクでは、顔料は、分散剤を要することなくインク中に安定して分散しているが、本発明者らが検討した結果、画像形成の際に、かかるインクと共に多価金属塩を溶解状態で含んでいる液体組成物を用いると、多価金属イオンの存在によって、表面改質された顔料の分散状態が破壊され、顔料の凝集が起こることがわかった。この結果、本発明の水性インクセットを用いて画像形成を行なった場合には、耐水性があり、特に、インクに色調の異なる複数のインクを用いた場合には、カラーブリードがない高品位の画像を得ることができ、しかも、得られる画像は、耐擦過性にも優れた画像となる。
【0051】
本発明において使用する多価金属塩は特に限定されないが、2価以上の多価金属陽イオンとこれら多価金属と結合する陰イオンとから構成された、水に可溶な各種の塩が挙げられる。上記2価以上の多価金属陽イオンとしては特に限定されず、例えば、Ca2+、Cu2+、Ni2+、Mg2+、Zn2+、及びBa2+等の2価金属イオンや、Y3+、Al3+、Fe3+、及びCr3+等の3価金属イオンが挙げられる。陰イオンとしては、Cl−、NO3 −、I−、Br−、ClO3 −、及びCH3COO−等が挙げられる。
【0052】
これらのうち特に、Y3+、Al3+、及びFe3+等の3価の陽イオンが好ましく、陰イオンとしては、記録装置の腐食等の観点から、NO3 −が好ましい。液体組成物中における上記多価金属塩の濃度としては、印字品質や吐出性能等に応じて適宜に選択すればよく、特に限定されないが、好ましくは0.1〜40質量%であり、より好ましくは3〜20質量%である。
【0053】
本発明で用いる上記したような多価金属塩を溶解状態で含む液体組成物は、色材を含まないものであるが、画像に影響を与えないものであれば淡色のものでもよい。上記した多価金属塩を溶解或いは分散させるために、水、或いは水溶性有機溶剤を含む水系媒体が用いられるが、水系媒体としては、先に述べたインクに使用されるものをいずれも使用することができる。更に、必要に応じて各種の添加剤を含有させることができる点についても、インクの場合と同様である。
【0054】
上記したような構成からなる本発明の水性インクセットは、特に、インクジェット記録に好適である。本発明の水性インクセットをインクジェット記録用にする場合には、該インクセットを構成する各インクを調製する場合に、インクジェットヘッドから吐出可能である特性を有するものとすることが好ましい。インクジェットヘッドからの吐出性という観点から、例えば、粘度が1〜15mPa・sであって、表面張力が25mN/m以上であるもの、特には、粘度が1〜5mPa・sであって、表面張力が25〜50mN/mであるインクとすることが好ましい。
【0055】
本発明で使用する顔料を含むインクの分析方法について、カーボンブラックを含むブラックインクを例にとって説明する。先ず、本発明で使用する表面改質されたカーボンブラックの表面改質状態を分析する方法は特に限定されず、通常考えられるいずれかの方法を用いて分析を行うことができる。好ましくは、ESCAやTOF−SIMS等で、表面改質されたカーボンブラック粒子表面の化学結合状態を分析する方法が挙げられる。
【0056】
カーボンブラック粒子の表面に化学的に結合している有機基の量等を測定する方法も特に限定されないが、例えば、下記の方法によって行なうことができる。先ず、前記表面改質したカーボンブラックを含むインクから、塩析若しくは凝析によってインク中から有機基で改質されたカーボンブラック粒子を含む固形分を分取することができる。そして、この方法によってインク中から取り出した固形分から、表面改質されたカーボンブラック(有機基が粒子表面に結合しているカーボンブラック)のみを高純度で分取するには、更に、カーボンブラック粒子表面に化学的に結合させた共重合体の良溶媒で、インク中から取り出したカーボンブラック等を洗浄、乾燥するといった方法を用いることができる。以下、更に詳細な、インク中から表面改質されたカーボンブラックを分取する方法、分取後、乾燥して得られた乾固物を測定用試料として用いることで行なう、表面改質されたカーボンブラック粒子表面に化学的に結合している有機基の量を測定する分析方法について説明する。
【0057】
先ず、分析に先だって、以下のようにして前処理を実施し、測定用試料を調製する。上記で説明した表面改質されたカーボンブラックを含むインクから、塩析若しくは凝析して沈澱物として得られる固形分を乾固させ、その後に、共重合体の良溶媒を用いて洗浄してから、該有機基が粒子表面に化学的に結合しているカーボンブラックのみの抽出処理を行う。その方法は、(1)塩析若しくは凝析、(2)沈澱物の洗浄、(3)乾固、(4)有機基が表面に化学的に結合しているカーボンブラックのみの抽出、及び(5)乾燥、という一連の手順によって行うことができる。以下、順を追って説明する。
【0058】
(1)インク中から、表面改質カーボンブラックを含む固形分を塩析若しくは凝析させる方法としては特に限定されず、例えば、(a)塩化ナトリウム、塩化カリウム等の塩で塩析させる、(b)硝酸や塩酸等の酸を用いて凝析(酸析)させる、等の方法を用いることができる。この際、必要に応じて、塩析等の前工程として、例えば、限外濾過等を行ってもよい。
【0059】
(2)上記塩析若しくは凝析等によって得られる固形分を純水で十分に洗浄する。特に、(1)に記載した(b)の凝析を行う際には、洗浄後の濾液が中性になるまで十分に洗浄を行うことが好ましい。
【0060】
(3)上記で得られる洗浄後の固形分は、オーブン等で充分に乾燥し、乾固物として取り出す。この際の乾燥条件等は特に限定されず、例えば、60℃で2時間程度乾燥させればよい。
【0061】
(4)上記(3)で得られる乾固物には、有機基がカーボンブラック粒子表面に化学的に結合しているカーボンブラック以外に、カーボンブラック粒子表面に化学的に結合していないフリーポリマー(顔料に物理吸着しているものも含む)が混入している可能性がある。そこで、(3)で得られた乾固物を、該ポリマーの良溶媒を用いて洗浄することで、表面改質カーボンブラックを更に高純度に抽出する。上記において使用する、フリーポリマーの良溶媒は、ポリマーの構造によって異なり、一概に限定できるものではないが、例えば、テトラヒドロフラン(THF)等は、汎用性のある良溶媒である。この場合、このような良溶媒を用いて繰り返して上記乾固物を洗浄し、固形分に混入している可能性のあるフリーポリマーの除去作業を繰り返すことが好ましい。
【0062】
(5)上記したように共重合体部分を含むセグメントの良溶媒による洗浄によって、フリーポリマーの除去処理がなされた固形分は、最後にオーブン等で十分な乾燥処理を行って、残存水分や残存溶剤を揮発させて乾固物試料とする。乾燥の際に使用するオーブン等は特に限定されず、例えば、市販の真空乾燥機等を用いた乾燥を行えばよい。又、乾燥条件等についても、上記表面改質カーボンブラック乾固物から、十分に残存水や残存溶剤が除去できる条件であれば特に限定されない。例えば、数百Pa以下の真空度で、60℃×3時間程度で乾燥させればよい。
【0063】
上記した(1)〜(5)の一連の方法によってインク中から取り出したカーボンブラック乾固物を測定用試料とし、該試料の重量変化を熱重量分析を用いて測定することで、カーボンブラック粒子表面に化学的に結合した有機基の結合量を定量的に測定することができる。この結果、表面改質カーボンブラック粒子の質量を基準として該カーボンブラックに化学的に結合している有機基の含有率の測定が可能となる。
【0064】
上記で説明した、(1)塩析若しくは凝析、(2)沈澱物の洗浄、(3)乾固、(4)有機基が表面に化学的に結合しているカーボンブラックのみの抽出、及び(5)乾燥という一連の手順によって得られる、有機基が表面に化学的に結合しているカーボンブラックのみを含む乾固物試料中の、結合している有機基の含有率を測定する方法は特に限定されない。例えば、上記手順によって最終的に得られる充分に乾燥させたカーボンブラック乾固物を、熱重量分析(Thermogravimetric Analysis)等により測定し、その結果得られる熱重量分析重量減少率から、容易に求めることができる。以下、この際に行う熱重量分析について説明する。
【0065】
上記方法によって測定される熱重量分析重量減少率は、有機基が表面に化学的に結合しているカーボンブラック中におけるカーボンブラック粒子表面に導入された有機基の含有率となる。即ち、かかる熱重量分析重量減少率は下記式で与えられるが、熱重量分析前に共重合体物質の良溶媒を用いて洗浄し、有機基が表面に化学的に結合しているカーボンブラックのみを抽出した乾固物試料の重量に対する、100〜700℃まで昇温して行なった熱重量分析において生じる、カーボンブラック粒子表面に結合している有機基の脱着や燃焼等によって生じる重量減少量の割合である。
熱重量分析重量減少率=A/B×100(%)
A=熱重量分析において100〜700℃まで昇温した際の重量減少量
B=熱重量分析前における試料の重量
【0066】
上記において行なう熱重量分析における分析条件等は特に限定されず、前処理や昇温速度等、通常の条件によって測定すればよい。測定装置としては、例えば、METTLER TOLEDO社製のTGA熱重量測定装置、TGA851e/SDTA等を使用することができる。
【0067】
更に、上記した熱重量分析重量減少率の測定方法を用いれば、本発明で使用する水性顔料インクに含まれる表面改質されたカーボンブラック等の顔料における、表面改質に用いた物質と顔料粒子との結合状態を知ることができる。即ち、本発明で使用する顔料粒子表面には、有機基が化学的に結合されている。このため、顔料粒子表面の有機基は、ポリマーの良溶媒を用いた洗浄後も洗い流されることはなく、顔料粒子表面に安定に結合しているため、上記した抽出処理の有無にかかわらず、熱重量分析重量減少率は、ほぼ同じ値を示す。これに対して、一般的に用いられる樹脂分散型の顔料では、分散剤に用いられている水溶性樹脂が顔料と化学的に結合しているわけではないので、分散に使用したポリマーの良溶媒によって洗浄すると、樹脂は洗い流されてしまうため、上記した抽出処理を行った場合と、処理を行わなかった場合とでは、熱重量分析重量減少率は大きく違ったものとなる。
【0068】
このことから、本発明に好適に用いられる改質された顔料とは、該ポリマーの良溶媒による洗浄の前後において、熱重量分析による重量減少率が変化しないか、或いは実質的に変化しないものとすることができる。ここで、洗浄の前後において熱重量分析による重量減少率が実質的に変化しないとは、重量減少率の洗浄前後における値の差が、5%未満であることを指す。
【0069】
即ち、本発明にかかる水性インクセットを構成するインクに含まれる上記表面改質されたカーボンブラック等の顔料は、先に説明した共重合体が顔料粒子と直接若しくは1つ以上の原子団を介して化学的に結合しているため、ポリマーの良溶媒による溶媒抽出により抽出されるものは非常に少量である。このため、溶媒抽出前の試料の熱重量分析結果における有機基の脱着や燃焼等に起因する減量と、溶媒抽出後の試料の熱重量分析結果における有機基の脱着や燃焼等に起因する減量との差は小さくなり、この結果、重量減少率は小さくなる。これに対して、一般的に用いられる樹脂分散顔料では、樹脂分散剤が顔料と化学的に結合していないため、溶媒抽出前の試料では熱重量分析における樹脂分散剤が揮散したことに起因する減量が大きいのに対し、溶媒抽出後の試料では、溶媒抽出によって樹脂分散剤が既に除去されているため熱重量分析における樹脂分散剤が揮散したことに起因する重量減少は小さくなり、この結果、抽出前後での重量減少率の差は大きくなる。
【0070】
図1は、後述する比較例で用いた樹脂分散剤によってカーボンブラックがインク中に分散されているタイプのインクを凝析した後、洗浄乾固させた試料について熱重量分析を行った結果である。図2は、この従来の樹脂分散タイプのインクを凝析した後、洗浄乾固させ、更にTHFを用いて溶媒抽出した後の試料について熱重量分析を行った結果である。両者共に十分に蒸発乾固させてあり、水分や溶剤は除去されている。図1では、350℃付近に、樹脂分散剤の揮散に起因する重量減少が認められ、重量減少率は約13.7%であったのに対し、図2では、350℃付近での重量減少は約2.7%と非常に少なくなっていた。両者の結果から、樹脂分散タイプのインクではTHFで溶媒抽出することにより溶媒中に樹脂分散剤が大量に抽出されて、除去されたことがわかる。これは、樹脂分散タイプのインクでは、樹脂分散剤とカーボンブラックが化学的に結合していないために生じる現象である。
【0071】
図3は、後述する実施例で用いた粒子表面が特定の状態に改質されたカーボンブラックを含有する着色インクを凝析した後、洗浄乾固させた試料について熱重量分析を行った結果である。図4は、上記と同様のインクを凝析した後、洗浄乾固させ、更にTHFを用いて溶媒抽出した後の試料についての熱重量分析の結果である。図3及び図4の結果から、350℃付近での、粒子表面の改質に用いた共重合体の揮散に起因する重量減少率が、溶媒抽出前後であまり変化しておらず、このことより、溶媒抽出により共重合体部が除去されなかった、つまりカーボンブラックと共重合体部とが化学的に結合していることが確認できた。
【0072】
上記した熱重量分析を用いる以外にも、顔料粒子表面における、表面改質に用いた物質との結合状態を調べる方法がある。例えば、本発明で用いる表面改質したカーボンブラックを、先に述べたようにして塩析若しくは凝析した後に乾固させたカーボンブラック乾固物を測定用試料とし、かかる試料を、TG−GC−MS(熱重量分析−ガスクロマトグラフ−マススペクトル)、TOF−MS(飛行時間型質量分析装置)、TOF−SIMS(飛行時間型二次イオン質量分析)等とを組み合わせて分析する方法も好適である。これらの方法によって、カーボンブラック乾固物試料における表面改質に用いた物質の結合状態(吸着エネルギーの測定)、更には、カーボンブラック乾固物試料において、結合している有機基の、組成、分子量分布、更には結合ユニットを詳細に知ることができる。
【0073】
カーボンブラックに直接若しくは1つ以上の原子団を介して共重合体を化学的に結合させる方法としては、通常用いられる方法によって行えばよく、特に限定されるものではないが、例えば、以下の方法等を用いることができる。カーボンブラックに、ポリエチレンイミン等の末端にアミノ基を有するポリマーをジアゾニウム反応で結合させる方法;カーボンブラックに、分子内にアミノ基とカルボキシル基を有するポリマーをジアゾニウム反応で結合させる方法;等の方法を用いることができる。この他に、最も典型的な例がWO 01/51566 A1に開示されている。
【0074】
上記方法が、アニオンタイプの共重合体を化学的に結合させる場合には下記の3工程を含むこととなる。
第1工程;カーボンブラックにジアゾニウム反応でアミノフェニル−(2−サルフェイトエチル)−スルフォン(APSES)を付加させる工程。
第2工程;APSES処理をしたカーボンブラックにポリエチレンイミンやペンタエチレンヘキサミン(PEHA)を付加させる工程。
第3工程;疎水性モノマーとカルボキシル基を有する親水性モノマーの共重合物をつける工程。
【0075】
以上のような構成を有する本発明のインクセットは、インクジェット記録に用いられる際に、特に効果的である。インクジェット記録方法としては、インクに力学的エネルギーを作用させ、液滴を吐出する記録方法、及びインクに熱エネルギーを加えてインクの発泡により液滴を吐出する記録方法があるが、これらの記録方法に本発明の水性インクセットは特に好適である。
【0076】
次に、上記した本発明のインクセットを用いて記録を行うのに好適な、インクジェット記録装置の一例を以下に説明する。先ず、熱エネルギーを利用したインクジェット記録装置の主要部であるヘッド構成の一例を図5及び図6に示す。図5は、インク流路に沿ったヘッド13の断面図であり、図6は図5のA−B線での切断面図である。ヘッド13はインクを通す流路(ノズル)14を有するガラス、セラミック、シリコン又はプラスチック板等と発熱素子基板15とを接着して得られる。発熱素子基板15は酸化シリコン、窒化シリコン、炭化シリコン等で形成される保護層16、アルミニウム、金、アルミニウム−銅合金等で形成される電極17−1及び17−2、HfB2、TaN、TaAl等の高融点材料から形成される発熱抵抗体層18、熱酸化シリコン、酸化アルミニウム等で形成される蓄熱層19、シリコン、アルミニウム、窒化アルミニウム等の放熱性のよい材料で形成される基板20よりなっている。
【0077】
上記ヘッド13の電極17−1及び17−2にパルス状の電気信号が印加されると、発熱素子基板15のnで示される領域が急速に発熱し、この表面に接しているインク21に気泡が発生し、その圧力でメニスカス23が突出し、インク21がヘッドのノズル14を通して吐出し、吐出オリフィス22よりインク小滴24となり、被記録媒体25に向かって飛翔する。図7には、図5に示したヘッドを多数並べたマルチヘッドの一例の外観図を示す。このマルチヘッドは、マルチノズル26を有するガラス板27と、図5に説明したものと同じような発熱ヘッド28を接着して作られている。
【0078】
図8に、このヘッドを組み込んだインクジェット記録装置の一例を示す。図8において、61はワイピング部材としてのブレードであり、その一端はブレード保持部材によって保持固定されており、カンチレバーの形態をなす。ブレード61は記録ヘッド65による記録領域に隣接した位置に配置され、又、本例の場合、記録ヘッド65の移動経路中に突出した形態で保持される。
【0079】
62は記録ヘッド65の突出口面のキャップであり、ブレード61に隣接するホームポジションに配置され、記録ヘッド65の移動方向と垂直な方向に移動して、インク吐出口面と当接し、キャッピングを行う構成を備える。更に、63はブレード61に隣接して設けられるインク吸収体であり、ブレード61と同様、記録ヘッド65の移動経路中に突出した形態で保持される。上記ブレード61、キャップ62及びインク吸収体63によって吐出回復部64が構成され、ブレード61及びインク吸収体63によって吐出口面に水分、塵埃等の除去が行われる。
【0080】
65は、吐出エネルギー発生手段を有し、吐出口を配した吐出口面に対向する被記録媒体にインクを吐出して記録を行う記録ヘッド、66は記録ヘッド65を搭載して記録ヘッド65の移動を行うためのキャリッジである。キャリッジ66はガイド軸67と摺動可能に係合し、キャリッジ66の一部はモーター68によって駆動されるベルト69と接続(不図示)している。これによりキャリッジ66はガイド軸67に沿った移動が可能となり、記録ヘッド65による記録領域及びその隣接した領域の移動が可能となる。
【0081】
51は被記録媒体を挿入するための給紙部、52は不図示のモーターにより駆動される紙送りローラーである。これらの構成により記録ヘッド65の吐出口面と対向する位置へ被記録媒体が給紙され、記録が進行につれて排紙ローラー53を配した排紙部へ排紙される。以上の構成において記録ヘッド65が記録終了してホームポジションへ戻る際、吐出回復部64のキャップ62は記録ヘッド65の移動経路から退避しているが、ブレード61は移動経路中に突出している。その結果、記録ヘッド65の吐出口がワイピングされる。
【0082】
尚、キャップ62が記録ヘッド65の吐出面に当接してキャッピングを行う場合、キャップ62は記録ヘッドの移動経路中に突出するように移動する。記録ヘッド65がホームポジションから記録開始位置へ移動する場合、キャップ62及びブレード61は上記したワイピングのときの位置と同一の位置にある。この結果、この移動においても記録ヘッド65の吐出口面はワイピングされる。上述の記録ヘッドのホームポジションへの移動は、記録終了時や吐出回復時ばかりでなく、記録ヘッドが記録のために記録領域を移動する間に所定の間隔で記録領域に隣接したホームポジションへ移動し、この移動に伴って上記ワイピングが行われる。
【0083】
図9は、記録ヘッドにインク供給部材、例えば、チューブを介して供給されるインクを収容したインクカートリッジの一例を示す図である。ここで40は供給用インクを収納したインク収容部、例えば、インク袋であり、その先端にはゴム製の栓42が設けられている。この栓42に針(不図示)を挿入することにより、インク袋40中のインクをヘッドに供給可能にする。44は廃インクを受容するインク吸収体である。インク収容部としてはインクとの接液面がポリオレフィン、特にポリエチレンで形成されているものが好ましい。
【0084】
本発明で使用されるインクジェット記録装置としては、上述のようにヘッドとインクカートリッジとが別体となったものに限らず、図10に示すようなそれらが一体になったものにも好適に用いられる。図10において、70は記録ユニットであり、この中にはインクを収容したインク収容部、例えば、インク吸収体が収納されており、かかるインク吸収体中のインクが複数オリフィスを有するヘッド部71からインク滴として吐出される構成になっている。インク吸収体の材料としてはポリウレタンを用いることが本発明にとって好ましい。又、インク吸収体を用いず、インク収容部が内部にバネ等を仕込んだインク袋であるような構造でもよい。72はカートリッジ内部を大気に連通させるための大気連通口である。この記録ユニット70は図8に示す記録ヘッド65に換えて用いられるものであって、キャリッジ66に対して着脱自在になっている。
【0085】
次に、力学的エネルギーを利用したインクジェット記録装置の好ましい一例としては、複数のノズルを有するノズル形成基板と、ノズルに対向して配置される圧電材料と導電材料からなる圧力発生素子と、この圧力発生素子の周囲を満たすインクを備え、印加電圧により圧力発生素子を変位させ、インクの小液滴をノズルから吐出させるオンデマンドインクジェット記録ヘッドを挙げることができる。その記録装置の主要部である記録ヘッドの構成の一例を図11に示す。
【0086】
ヘッドは、インク室(不図示)に連通したインク流路80と、所望の体積のインク滴を吐出するためのオリフィスプレート81と、インクに直接圧力を作用させる振動板82と、この振動板82に接合され、電気信号により変位する圧電素子83と、オリフィスプレート81、振動板82等を指示固定するための基板84とから構成されている。
【0087】
図11において、インク流路80は、感光性樹脂等で形成され、オリフィスプレート81は、ステンレス、ニッケル等の金属を電鋳やプレス加工による穴あけ等により吐出口85が形成され、振動板82はステンレス、ニッケル、チタン等の金属フィルム及び高弾性樹脂フィルム等で形成され、圧電素子83は、チタン酸バリウム、PZT等の誘電体材料で形成される。以上のような構成の記録ヘッドは、圧電素子83にパルス状の電圧を与え、歪み応力を発生させ、そのエネルギーが圧電素子83に接合された振動板を変形させ、インク流路80内のインクを垂直に加圧しインク滴(不図示)をオリフィスプレート81の吐出口85より吐出して記録を行うように動作する。このような記録ヘッドは、図8に示したものと同様なインクジェット記録装置に組み込んで使用される。インクジェット記録装置の細部の動作は、先述と同様に行うもので差しつかえない。
【0088】
【実施例】
次に、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、下記実施例より限定されるものではない。尚、文中「部」、及び「%」とあるのは、特に断りのない限り質量基準である。
【0089】
<実施例で使用できるブラックインク用の顔料分散液の作製>
(顔料分散液1)
比表面積220m2/gでDBP吸油量112ml/100gのカーボンブラック500g、アミノフェニル−2−サルフェトエチル−スルフォン(APSES)45g、蒸留水900gを反応器に投入し、55℃に保温し、回転数300RPMで、20分間攪拌した。この後、25%濃度の亜硝酸ナトリウム40gを15分間滴下し、更に蒸留水50gを加えた。この後、60℃に保温し、2時間反応させた。反応物を蒸留水で希釈しながら取り出し、固形分15%の濃度に調整した。この後、遠心分離処理及び不純物を除去する精製処理を行った。この作成した分散液は、カーボンブラックに前述したAPSESの官能基が結合した分散液となった。この分散液をA1とした。
【0090】
次いで、この分散液中のカーボンブラックに結合した官能基のモル数を求めるために、以下の操作を行った。分散液中のNaイオンをプローブ式ナトリウム電極で測定し、カーボンブラック粉末当りに換算した。次いで、15%濃度の分散液A1をペンタエチレンヘキサミン(PEHA)溶液に強力に攪拌しながら室温に保ち1時間かけて、滴下した。このときのPEHA濃度は、前記測定したNaイオンのモル数の1〜10倍量の濃度で溶液量は分散液A1と同量で行った。更にこの混合物を18〜48時間攪拌し、この後不純物を除去する精製処理を行い、最終的に固形分10%のペンタエチレンヘキサミン(PEHA)が結合した分散液となった。この分散液をB1とした。
【0091】
次に、前記で得られた10%濃度の分散液B1の500gを、スチレン−アクリル酸樹脂を溶解した水溶液に攪拌しながら滴下した。この際に使用したスチレン−アクリル酸樹脂水溶液は、重量平均分子量15,000、酸価140、分散度Mw/Mn1.5のスチレン−アクリル酸樹脂190gに、1,800gの蒸留水を加え、樹脂を中和するのに必要なNaOHを加えて、攪拌して溶解調整したものを使用した。上記で得た滴下混合物をパイレックス(登録商標)蒸発皿に移し、150℃で15時間加熱し、蒸発させた。蒸発乾燥物を室温に冷却した。次いで、この蒸発乾燥物を、pH=9.0に調整したNaOH添加蒸留水中に分散機を用いて分散した。更に攪拌しながら、1.0MのNaOHを添加してpHを10〜11に調整した。この後、脱塩、不純物を除去する精製及び粗大粒子除去を行い、顔料分散液1を得た。得られた顔料分散液1は、固形分10%、pH=10.1、平均粒子径130nmの物性値をもつものであった。尚、顔料分散液1から抽出した表面が改質されたカーボンブラックのTHFでの洗浄前後における重量減少率の差は、2.5%であった。
【0092】
(顔料分散液2)
顔料分散液1と同様の方法で、分散液B1を作成した。次いで、スチレン−アクリル酸樹脂水溶液の原料を、重量平均分子量8,000、酸価170、分散度Mw/Mn1.8のスチレン−アクリル酸樹脂を用いた以外は、上記顔料分散液1と同様の方法で、顔料分散液2を得た。得られた顔料分散液2は、固形分10.5%、pH=10、平均粒子径134nmの物性値をもつものであった。尚、顔料分散液2から抽出した表面が改質されたカーボンブラックのTHFでの洗浄前後における重量減少率の差は、3.0%であった。
【0093】
<実施例で使用できるカラーインク用のカラー顔料分散液の作製>
(カラー顔料分散液)
・スチレン−アクリル酸共重合体(重量平均分子量
5,000) 5.5部
・モノエタノールアミン 1.0部
・ジエチレングリコール 5.0部
・純水 67.5部
【0094】
上記組成の各成分を混合し、ウォーターバスで70℃に加熱し、樹脂成分を完全に溶解させ、この水溶液にC.I.Pigment Yellow 74を20部、イソプロピルアルコールを1.0部加え、30分間プレミキシングを行った後、下記条件で分散処理を行った。更に、遠心分離処理を行って粗大粒子を除去した後、イエロー顔料分散液1を得た。
・分散機;サンドグラインダー
・粉砕メディア;ジルコニウムビーズ 1mm径
・粉砕メディア充填率;50%(体積)
・粉砕時間;3時間
【0095】
又、上記イエロー顔料分散液の作製において用いたC.I.Pigment Yellow 74の代わりに、C.I.Pigment Red 122を用いた以外は同様にして、マゼンタ顔料分散液1を得た。又、上記イエロー顔料分散液の作製において用いたC.I.Pigment Yellow 74の代わりに、C.I.Pigment Blue 15:3を用いた以外は同様にして、シアン顔料分散液1を得た。
【0096】
<<実施例で使用できるインクの作製>>
[ブラックインク]
上記で得られた樹脂を表面に化学結合させたタイプの自己分散型カーボンブラックを用い、下記の成分を混合し、十分攪拌して溶解或いは分散した後、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フィルム製)にて加圧ろ過し、本発明の実施例で使用し得るブラックインクを調製した。各インクの調製で用いたアセチレングリコールEO付加物としては、川研ファインケミカル(株)社製のアセチレノールE100(商品名)を使用した。
【0097】
(ブラックインク1)
・上記顔料分散液1 50部
・グリセリン 5部
・1,5−ペンタンジオール 6部
・トリメチロールプロパン 5部
・アセチレングリコールEO付加物 1.0部
・純水 残部
【0098】
(ブラックインク2)
・上記顔料分散液2 50部
・グリセリン 7部
・ジエチレングリコール 3部
・トリメチロールプロパン 6部
・アセチレングリコールEO付加物 1.0部
・純水 残部
【0099】
[カラーインク]
下記の各組成の成分を混合し、十分攪拌して溶解或いは分散した後、ポアサイズ0.2μmのミクロフィルター(富士フィルム製)にて加圧ろ過し、本発明の実施例で使用し得るカラーインクを調製した。各インクの調製で用いたアセチレングリコールEO付加物としては、川研ファインケミカル(株)社製のアセチレノールE100(商品名)を使用した。
【0100】
(シアンインク1:染料)
・C.I.ダイレクトブルー199 3部
・グリセリン 7部
・2−ピロリドン 5部
・エチレングリコール 6部
・アセチレングリコールEO付加物 1部
・純水 残部
【0101】
(シアンインク2:樹脂分散顔料)
・前記シアン顔料分散液1 30部
・グリセリン 8部
・ジエチレングリコール 8部
・ポリエチレングリコール♯400 5部
・アセチレングリコールEO付加物 0.8部
・純水 残部
【0102】
(マゼンタインク1:染料)
・C.I.アシッドレッド289 3部
・グリセリン 6部
・ジエチレングリコール 5部
・トリエチレングリコール 7部
・アセチレングリコールEO付加物 1部
・純水 残部
【0103】
(マゼンタインク2:樹脂分散顔料)
・前記マゼンタ顔料分散液1 30部
・グリセリン 8部
・ジエチレングリコール 8部
・ポリエチレングリコール♯400 5部
・アセチレングリコールEO付加物 0.8部
・純水 残部
【0104】
(イエローインク1:染料)
・C.I.アシッドイエロー23 3部
・グリセリン 7部
・ジエチレングリコール 7部
・尿素 6部
・アセチレングリコールEO付加物 1部
・純水 残部
【0105】
(イエローインク2:樹脂分散顔料)
・前記イエロー顔料分散液1 30部
・グリセリン 8部
・ジエチレングリコール 8部
・ポリエチレングリコール♯400 5部
・アセチレングリコールEO付加物 0.8部
・純水 残部
【0106】
<<実施例で使用できる液体組成物の作製>>
下記の各組成の成分を混合し、十分攪拌して溶解或いは分散した後、ポアサイズ0.2μmのミクロフィルター(富士フィルム製)にて加圧ろ過し、多価金属塩を含む液体組成物1を調製した。組成中のアセチレノールEH(商品名)は、川研ファインケミカル(株)社製のアセチレングリコールEO付加物である。
【0107】
(液体組成物用ベースインク)
・グリセリン 5.0部
・1,5−ペンタンジオール 5.0部
・トリメチロールプロパン 7.0部
・アセチレノールEH 1.0部
・純水 残部
【0108】
(液体組成物1)
・液体組成物用ベースインク 90部
・硝酸イットリウム(9水和物) 7.7部
・純水 残部
【0109】
〔実施例1〜4〕
(インクセットの調製)
上記で得た各着色インクと、液体組成物1とを表1のように組み合わせて、実施例1〜4のインクセット1〜4とした。
【0110】
【0111】
<比較例で使用したブラックインク用の顔料分散液の作製>
(顔料分散液3)
比表面積210m2/gで、DBP吸油量74ml/100gのカーボンブラック10部と、酸価200、重量平均分子量10,000のスチレン−アクリル酸共重合体の10%水酸化ナトリウム中和水溶液20部、更に、イオン交換水70部を混合し、サンドグラインダーを用いて1時間分散させた後、遠心分離処理によって粗大粒子を除去し、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フィルム製)にて加圧ろ過し、樹脂分散型顔料が含有された顔料分散液3を得た。得られた顔料分散液3の物性値は、固形分10%であり、pH=10.0、平均粒子径120nmであった。
【0112】
(顔料分散液4)
比表面積が230m2/gで、DBP吸油量が70ml/100gのカーボンブラック10gと、p−アミノ−N−安息香酸3.41gとを水72gによく混合した後、これに硝酸1.62gを滴下して70℃で撹拌した。数分後、5gの水に1.07gの亜硝酸ナトリウムを溶かした溶液を加え、更に1時間撹拌した。得られたスラリーを東洋濾紙No.2(アドバンティス社製)で濾過して、顔料粒子を充分に水洗し、90℃のオーブンで乾燥させた後、この顔料に水を足して顔料濃度10質量%の顔料水溶液を作製した。以上の方法により、表面に、フェニル基を介して親水性基が結合したアニオン性に帯電した自己分散型カーボンブラックが分散された顔料分散液4を得た。
【0113】
<<比較例で使用したブラックインクの作製>>
上記で得られた、樹脂分散型顔料が含有された顔料分散液3、及び自己分散型カーボンブラックが分散された顔料分散液4を用い、下記の成分を混合し、十分攪拌して溶解或いは分散した後、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フィルム製)にて加圧ろ過し、ブラックインク3、ブラックインク4を得た。各インクの調製で用いたアセチレングリコールEO付加物としては、川研ファインケミカル(株)社製のアセチレノールE100(商品名)を使用した。
【0114】
(ブラックインク3)
・上記顔料分散液3 50部
・グリセリン 5部
・1,5−ペンタンジオール 6部
・トリメチロールプロパン 5部
・アセチレングリコールEO付加物 1.0部
・純水 残部
【0115】
(ブラックインク4)
・上記顔料分散液4 50部
・グリセリン 5部
・1,5−ペンタンジオール 6部
・トリメチロールプロパン 5部
・アセチレングリコールEO付加物 1.0部
・純水 残部
【0116】
<比較例で使用した液体組成物の作製>
又、比較例で使用する液体組成物として、下記に示す組成の液体組成物2を調製した。
(液体組成物2)
・液体組成物用ベースインク 90.0部
・純水 10.0部
【0117】
〔比較例1〜5〕
上記のようにして得た各着色インクと液体組成物とを表2のように組み合わせて、比較例1〜5のインクセットとした。尚、液体組成物を用いない場合を比較例3とした。
【0118】
【0119】
[評価方法及び評価基準]
上記で得られた実施例及び比較例の各インクセットを構成するインクと液体組成物を用いて画像を形成した。この際、記録信号に応じて熱エネルギーをインクに付与することにより、インクを吐出させるオンデマンド型マルチ記録ヘッドを有するインクジェット記録装置BJ−F870(キヤノン製)を以下のように改造して用いた。即ち、BJ−F870のブラック(Bk)タンク挿入部に、液体組成物を充填したインクタンクを挿入し、ホトシアン、ホトマゼンタタンク挿入部に上記実施例及び比較例の各インクセットを構成するブラックインクを注入したインクタンクを1つずつ計2タンク挿入し、他のシアンタンク、マゼンタタンク、イエロータンクの挿入部には、BJ−F870の純正のインクタンクに、各インクセットを構成するカラーインクをそれぞれ注入して挿入し、使用した。印字方法は、BJ−F870を用い、ヘッドのノズル幅分の印字をホームポジションから反ホームポジションへのスキャン時のみ印字を行う、1スキャン片方向印字で行った。
【0120】
液体組成物の被記録媒体への付与は、上記した通り、ブラックタンク挿入部に、液体組成物を注入したインクタンクが挿入されたヘッドで付与した。又、各インク及び液体組成物の被記録媒体への付与量は、1スキャン片方向印字で、1/600inch×1/600inchを1ピクセルとし(以後1ピクセルは、1/600inch×1/600inchとする)、1つの記録ヘッドによる最大液体及びインク付与量を1ピクセル当たり4ドットとし、1ピクセル当たり4ドットの付与量を100%dutyとした。
【0121】
実施例及び比較例におけるブラックインクの被記録媒体への付与は、先に述べたように、ホトシアン、ホトマゼンタタンク挿入部に、実施例及び比較例のインクセットを構成するブラックインクがそれぞれに注入されたインクタンクを搭載した2つのヘッドで付与した。ブラックインクの被記録媒体への付与量は、上記したように、2つのヘッドを用いることで、1スキャン片方向印字で1ピクセル当たり最大8ドット付与できるように調整し、2つ記録ヘッドを用いることで1ピクセル当たり8ドットの付与量最大200%dutyの印字を可能とした。尚、各記録ヘッドにおける各液体組成物及びインクの1ドット当たりの吐出体積は約5plである。
【0122】
1.印字持続性
上記したようにして各インク及び液体組成物が充填されたインクタンクを装着したインクジェット記録装置を用い、2つのブラックヘッドについては、どちらか一方を使用し、1ピクセル当たり100%dutyの印字でノズルチェックパターンが最初に入っているベタ印字を連続してA4用紙3枚印字した。次に、その後2時間印字を行わず放置し、その後再び、ベタ印字を連続して3枚印字するサイクルを10回繰り返した。そのときの印字みだれ、及び不吐出の有無を下記の基準で評価した。そして、評価結果を表3に示した。
A:印字みだれ及び不吐出がみられない。
B:印字みだれが若干みられるが、不吐出はみられない。
C:印字みだれ、不吐出がみられる。
【0123】
2.印字品位
ブラックインクとカラーインクを同一のスキャンで印字する印字方法で、下記に示す普通紙A、B、C、3紙に、実施例及び比較例の各インクセットを用いて下記のようにして画像形成を行った。本試験では、ブラックインクの打ち込み量は、2つのブラックヘッドを用いて200%dutyとし、液体組成物は、該ブラックインク印字部に100%dutyの付与量で打ち込んだ。印字画像は、英数字を12ポイントのMSゴシック体で印字した。評価は、印字後、画像を12時間自然乾燥した後に、輪郭部の明瞭性を光学顕微鏡を用いて、以下の基準にて評価した。得られた評価結果は、表3に示した。
a:全ての紙で輪郭が鮮明であり、不明瞭さが見られない。
b:輪郭が鮮明であることは明らかであるが、一部の紙で輪郭の不明瞭さがある。
c:輪郭の境界が不明瞭である。
【0124】
評価に用いた普通紙
A:キヤノン(株)社製、PPC用紙NSK
B:キヤノン(株)社製、PPC用紙NDK
C:ゼロックス(株)社製、PPC用紙4024
【0125】
3.耐擦過性
ブラックインクとカラーインクを同一のスキャンで印字する印字方法で、下記に示す普通紙A、B、C、3紙に、実施例及び比較例の各インクセットを用いて画像を形成した。この際、ブラックインクについては2つのブラックヘッドを用い、200%dutyの打ち込み量で印字し、液体組成物は、ブラックインク印字部に100%dutyの付与量で打ち込んだ。画像としては、12ポイントのMSゴシック体のABCDのアルファベット文字を印字した。印字後1日放置した後、印字部上を、おもり(荷重:約40g/cm2)を乗せたシルボン紙を5回通過させ、シルボン紙が通過した後の印字部の汚れを評価した。評価基準は、以下の通りである。得られた評価結果は、表3に示した。
A:全ての紙で汚れが目立たない。
B:一部の紙で汚れが目立つ。
C:全ての紙で汚れが目立つ。
【0126】
評価に用いた普通紙
A:キヤノン(株)社製、PPC用紙NSK
B:キヤノン(株)社製、PPC用紙NDK
C:ゼロックス(株)社製、PPC用紙4024
【0127】
4.ブラックインクとカラーインク間のブリーディング
ブラックインクとカラーインクを同一のスキャンで印字する印字方法で、上記普通紙3紙に、実施例及び比較例の各インクセットを用いて画像を形成した。その際、ブラックインクは2つのブラックヘッドを用いた200%dutyのベタ部と、イエロー、又はマゼンタ、又はシアンインクの100%dutyのベタ部が隣接するようなパターンを形成し、液体組成物は、インク各色に対し100%dutyの付与量となるように印字した。評価基準は以下の通りである。得られた結果を表3に示した。
A:全ての境界で目視にてブリードが認められない。
B:目視でわずかにブリードが認められるが、気になるレベルではない。
C:目視でブリードが認められる。
【0128】
【0129】
【発明の効果】
上記した通り、本発明によれば、ブリーディングが極めて有効に抑制され、且つ耐擦過性に優れた高品位なマルチカラー画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】比較例1に使用した顔料分散液3の顔料を凝析した後の試料についての熱重量分析の結果である。
【図2】比較例1に使用した顔料分散液3の顔料を凝析した後、更にTHFで洗浄処理した後の試料についての熱重量分析結果である。
【図3】実施例3に用いた顔料分散液2の顔料を凝析した後の試料についての熱重量分析の結果である。
【図4】実施例3に用いた顔料分散液2の顔料を凝析した後、更にTHFで洗浄処理した後の試料についての熱重量分析結果である。
【図5】インクジェット記録装置ヘッドの縦断面図である。
【図6】インクジェット記録装置ヘッドの縦横面図である。
【図7】図5に示したヘッドをマルチ化したヘッドの外観斜視図である。
【図8】インクジェット記録装置の一例を示す斜視図である。
【図9】インクカートリッジの縦断面図である。
【図10】記録ユニットの一例を示す斜視図である。
【図11】記録ヘッドの構成の一例を示す図である。
【符号の説明】
13:ヘッド
14:インクノズル
15:発熱素子基板
16:保護層
17−1、17−2:電極
18:発熱抵抗体層
19:蓄熱層
20:基板
21:インク
22:吐出オリフィス(微細孔)
23:メニスカス
24:インク小滴
25:被記録媒体
26:マルチノズル
27:ガラス板
28:発熱ヘッド
40:インク袋
42:栓
44:インク吸収体
45:インクカートリッジ
51:給紙部
52:紙送りローラー
53:排紙ローラー
61:ブレード
62:キャップ
63:インク吸収体
64:吐出回復部
65:記録ヘッド
66:キャリッジ
67:ガイド軸
68:モーター
69:ベルト
70:記録ユニット
71:ヘッド部
72:大気連通口
80:インク流路
81:オリフィスプレート
82:振動板
83:圧電素子
84:基板
85:吐出口
【発明の属する技術分野】
本発明は、特にインクジェット記録方式に好適に適用可能な、少なくとも一方が着色成分として顔料を含む水性インクであるブラックインクとカラーインクとを含む2色以上の着色インクと、少なくとも多価金属塩溶液を含む液体組成物とを独立に有してなる水性インクセットに関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録方法は、インクの小滴を飛翔させ、紙等の被記録媒体に付着させて印刷を行う印刷方法である。この方法は、比較的安価な装置で、高解像度、高品位な画像を、高速で印刷可能であるという特徴を有する。このようなインクジェット記録に使用されるインクとしては、水を主成分とし、これに染料や顔料といった着色成分、及び目詰まり防止等を目的としてグリセリン等の湿潤剤を含有させたインクが一般的である。
【0003】
インクジェット記録方法として、最近新たに、多価金属塩溶液を記録媒体に適用した後、少なくとも1つのカルボキシル基を有する染料を着色成分として含むインクを適用する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この方法によれば、多価金属イオンと染料とから不溶性複合体が形成され、この複合体の存在によって、耐水性があり、且つカラーブリード(混色滲み)が生じない高品位の画像を得ることができるとされている。しかしながら、この方法においては、着色剤として染料を用いているため耐光性が悪い等の問題があり、改善の余地があった。
【0004】
一方、従来より、印刷インクの着色成分には、耐水性や耐光性等の堅牢性に優れた顔料が広く用いられている。ところで、この顔料を水性インクの着色成分として用いる場合には、水性媒体中に顔料を安定に分散させることが必要となる。一般に、顔料は分散性がよくないため、均一分散系を得る方法として、顔料とともに分散剤樹脂を添加することで水性媒体中に安定に分散させた顔料(以下、樹脂分散顔料という)が用いられている。このタイプの顔料では、水分散性の悪い顔料を良好に分散させるべく、水に分散するための親水性基と、疎水性の顔料に吸着するための疎水性部を有する水溶性樹脂等の樹脂分散剤が、必須になる。
【0005】
着色成分として、このような樹脂分散顔料を用いたインクをインクジェット記録に用いる場合には、インクがインクジェット記録ヘッドの微細な先端から安定な液滴となって吐出されるようにすることが要求されるため、インクジェット記録ヘッドのオリフィスの乾燥によってインクの固化等が発生しないことが要求される。しかしながら、上記した分散剤が含有された樹脂分散顔料インクをインクジェット記録に用いた場合には、分散剤を形成している樹脂、或いは顔料に対する吸着力が弱いため顔料から剥がれ落ちた樹脂分散剤、いわゆる顔料に吸着していないフリーな樹脂や樹脂分散顔料粒子が、オリフィス等に付着した後、再溶解されずに、目詰まりやインクの不吐出等が生じる場合がある。又、ベタ印字等の連続印字等を行う場合には、ヘッド温度上昇に伴いインクの吐出が不規則になり吐出方向曲がりが発生し、インクの着弾点がずれる問題が生じる。又、更に連続印字を継続すると、ノズルからインクが溢れながら吐出を繰り返していくうちにノズル近傍のオリフィス面にインクが付着するようになる。そして、そのノズル近傍のインクの付着部を核として大きなインク溜りがオリフィス上に形成される。更に印字を続けた場合には、吐出すべきインクがオリフィス上のインク溜りに引き込まれ、吐出不可能になるといったヌレ不吐問題等、記録ヘッドに対するインクの信頼性が低いという課題があった。
【0006】
上記のような樹脂分散顔料インクを用いた場合の記録ヘッドに対するインクの信頼性を改善する方法として、カーボン粒子表面に親水性基を導入することによって、分散剤を使用することなく安定に水系媒体中に分散可能な、自己分散型顔料の開発がなされている(例えば、特許文献2及び3参照)。かかる顔料をインクの着色成分とすれば、記録ヘッドに対する信頼性を向上させることができる。
【0007】
しかしながら、自己分散型顔料を着色成分として用いた水性インクを用いて、被記録媒体、特に普通紙上に印刷を行って画像を形成した場合には、インクが充分に乾いた後であっても、印字面を強く擦った際に印字面が汚れてしまうといった現象があり、画像の耐擦過性に劣るといった問題があり、改良の余地があった。
【0008】
インクの着色成分に顔料を用いた場合における新たな試みとして、顔料表面に樹脂を化学的に結合させた樹脂結合タイプの自己分散型顔料を含むインクジェット用インク、及びそれを用いたインクジェット記録方法についての提案がある(例えば、特許文献4参照)。かかる自己分散型顔料は、顔料表面の官能基と反応し得る反応性基を有するセグメント(A)と、前記反応性基を実質的に有さず、且つ前記セグメント(A)よりも液媒体に対して高い親和性を示すセグメント(B)とを有する重合体を、顔料と加熱させることで顔料複合ポリマーとして得られる。
【0009】
しかしながら、このタイプの自己分散型顔料においては、顔料表面に反応させる重合体として特定の官能基が必要であり、使用できる重合体が限定されてしまい、又、顔料表面にも重合体と反応可能な官能基が必須であり、使用できる顔料の種類も限定されてしまう、といった問題がある。又、本発明者らの検討によれば、製造上の問題として、顔料表面と反応性基を有さないセグメントにイオン性を持たせることは難しく、水性媒体に対して十分な分散性を有する顔料を得ることは難しい、と考えられる。
【0010】
又、複数の分子を用いた樹脂結合タイプの自己分散型顔料についての提案もある(例えば、特許文献5参照)。この樹脂結合タイプの自己分散型顔料では、イオン性を有する水性顔料分散が可能である。上記で述べた樹脂結合タイプの自己分散型顔料を用いることにより、インクの記録ヘッドに対する信頼性は確保できるようになるものの、印字後の耐擦過性、耐マーカー性については改善の余地があった。
【0011】
【特許文献1】
特開平5−202328号公報
【特許文献2】
特開平8−3498号公報
【特許文献3】
特開平10−195360号公報
【特許文献4】
特開平9−272831号公報
【特許文献5】
国際公開第01/51566号パンフレット
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、記録ヘッドに対するインクの信頼性、印字品位に優れ、且つカラーブリードを有効に抑えることができ、又、耐擦過性にも優れた、高品位な画像を形成することができるインクセットを提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記の目的は、下記の本発明によって達成される。即ち、本発明は、[1]少なくとも、色材を含有しない無色又は淡色の液体組成物と、該液体組成物と共にカラー画像を被記録媒体上に形成するのに用いられるブラックインクとカラーインクとを含む2色以上の水性インクと、を含んでなる水性インクセットにおいて、該液体組成物が、少なくとも多価金属塩溶液を含むものであり、ブラックインク又はカラーインクのうち少なくとも1つは、水と、水溶性有機溶剤と、無機又は有機顔料と、を含み、該無機又は有機顔料は、顔料粒子表面に有機基が化学的に結合して表面改質された顔料であり、
上記有機基は、顔料表面に直接若しくは、他の原子団を介して化学的に結合している官能基と、イオン性モノマーと疎水性モノマーとの共重合体と、の反応物を含んでいることを特徴とする水性インクセット。
【0014】
又、かかる本発明の水性インクセットの好ましい形態としては、下記の[2]〜[13]が挙げられる。[2]上記[1]の構成において、前記水性インクが、カーボンブラックを含むブラックインクと、イエローインク、マゼンタインク、及びシアンインクの中から選ばれる少なくとも1種のカラーインクを独立して含む水性インクセット。[3]上記[1]の構成において、前記水性インクが、カーボンブラックを含むブラックインクと、イエローインク、マゼンタインク、及びシアンインクを含み、且つ、これら3色のカラーインクが顔料インクであって、該顔料インクに含まれる各顔料の少なくとも1つが、顔料粒子表面に有機基が化学的に結合して表面改質された顔料であり、該有機基が、顔料表面に直接若しくは、他の原子団を介して化学的に結合している官能基と、イオン性モノマーと疎水性モノマーとの共重合体と、の反応物を含んでいる水性インクセット。
【0015】
[4]上記[1]の構成において、前記水性インクが、カーボンブラックを含むブラックインクと、イエローインク、マゼンタインク、及びシアンインクを含み、且つ、これら3色のカラーインクがが顔料インクであって、該顔料インクに含まれる各顔料の少なくとも1つが、少なくとも1つの親水性モノマーと少なくとも1つの疎水性モノマーの共重合体からなる樹脂分散剤によって分散されている水性インクセット。
【0016】
[5]上記[1]〜[4]のいずれかの構成において、前記多価金属塩溶液が、Y3+、Al3+、Fe3+、Cu2+、Ca2+、Zn2+、Mg2+、Ni2+、及びBa2+からなる群から選ばれる少なくとも1つの多価金属陽イオンを含んでいる水性インクセット。
【0017】
[6]上記[1]〜[5]のいずれかの構成において、前記共重合体の重量平均分子量が、1,000以上30,000以下の範囲にあり、且つ、上記共重合体の酸価が100以上500以下である水性インクセット。[7]上記[1]〜[6]のいずれかの構成において、前記表面改質された顔料を含む水性インクを限外ろ過した後、塩析若しくは凝析した後にろ過により分取した固形分を乾固して得た乾固物を(a)、該乾固物(a)を前記共重合体の良溶媒を用いて抽出処理を行った後にろ過により分取した固形分を乾固して得た顔料乾固物を(b)とし、それぞれの乾固物のTGA(熱重量分析)による100〜700℃の範囲における重量減少率をA(%)及びB(%)とした場合に、これらの重量減少率の差(A−B)が、(A−B)%<5%の関係を満たす水性インクセット。
【0018】
[8]上記[1]〜[7]のいずれかの構成において、前記表面改質された顔料における共重合体の含有率が、5〜40質量%の範囲内にある水性インクセット。[9]上記[1]〜[8]のいずれかの構成において、前記表面改質された顔料における共重合体の含有率が、10〜25質量%の範囲内にある水性インクセット。[10]上記[1]〜[9]のいずれかの構成において、表面改質された顔料が、水性顔料インク全質量に対して0.1〜15質量%の範囲で含まれる水性インクセット。[11]上記[1]〜[10]のいずれかの構成において、表面改質された顔料が、水性顔料インク全質量に対して1〜10質量%の範囲で含まれる水性インクセット。
【0019】
[12]上記[1]〜[11]のいずれかの構成において、表面改質された顔料を含む水性インク中に、更に、下記構造式(1)〜(4)で示される構造を有している界面活性剤の少なくとも1つを含んでいる水性インクセット:
(但し、上記構造式(1)中、Rはアルキル基を表し、nは整数を表す。)
(但し、上記構造式(2)中、Rはアルキル基を表し、nは整数を表す。)
(但し、上記構造式(3)中、Rは水素原子又はアルキル基を表し、m及びnは、それぞれ整数を表す。)
(但し、構造式(4)中、m及びnは、夫々整数を表わす。)
【0020】
[13]本発明にかかる別の実施形態は、前記[1]〜[12]のいずれかの構成の水性インクセットを使用して画像を形成する画像形成方法であって、少なくとも該水性インクセットを構成する水性インクをインクジェット記録方法により被記録媒体の画像形成領域に付与する過程(A)と、該水性インクセットを構成する多価金属塩溶液を含む液体組成物を上記画像形成領域に付与する過程(B)とを有することを特徴とする画像形成方法。
【0021】
又、かかる本発明の画像形成方法の好ましい形態としては、下記の[14]及び[15]が挙げられる。[14]上記[13]の構成において、インクジェット記録方法が、インクに熱エネルギーを作用させてインク吐出を行う画像形成方法。[15]上記[13]の構成において、インクジェット記録方法が、インクに力学的エネルギーを作用させてインク吐出を行う画像形成方法。
【0022】
[16]本発明にかかる別の実施形態は、前記[1]〜[12]のいずれかの構成の水性インクセットを構成する液体組成物を収容している液体組成物収容部と、前記[1]〜[12]のいずれかの構成の水性インクセットを構成する水性インクを収容しているインク収容部と、該液体組成物及び該水性インクの各々を吐出させるためのヘッド部を備えている記録ユニット。
【0023】
[17]本発明にかかる別の実施形態は、前記[1]〜[12]のいずれかの構成の水性インクセットを構成する液体組成物を収容している液体組成物収容部と、前記[1]〜[12]のいずれかの構成の水性インクセットを構成する水性インクを収容しているインク収容部と、を備えたインクカートリッジ。
【0024】
[18]本発明にかかる別の実施形態は、前記[1]〜[12]のいずれかの構成の水性インクセットを構成する液体組成物を収容している液体組成物収容部と、前記[1]〜[12]のいずれかの構成の水性インクセットを構成する水性インクを収容しているインク収容部と、該液体組成物及び該水性インクの各々を吐出させるためのヘッド部を備えているインクジェット記録装置。
【0025】
【発明の実施の形態】
次に、好ましい実施の形態を挙げて、本発明をより詳細に説明する。本発明の水性インクセットは、ブラックインクとカラーインクとを含む2色以上の水性インクと、少なくとも多価金属塩溶液を含む液体組成物とを独立に有してなるが、上記水性インクの少なくとも1つが、水と、水溶性有機溶剤と、無機又は有機の顔料を含んでなり、該無機又は有機の顔料は、顔料粒子表面に有機基が化学的に結合して表面改質された顔料であり、上記有機基は、顔料表面に直接若しくは、他の原子団を介して化学的に結合している官能基と、イオン性モノマーと疎水性モノマーとの共重合体と、の反応物を含んでいることを1つの特徴とする。
【0026】
本発明によれば、例えば、インクジェット記録による画像形成時に、上記した、水性インクのいずれかの着色成分に、樹脂結合タイプの自己分散型顔料に分類される、粒子表面に有機基が化学的に結合した状態に表面改質された顔料を用い、且つ、該水性インクに、多価金属塩溶液を含む液体組成物を併用する構成とすることで、耐水性に優れ、且つ、複数の色調の異なる水性着色インクを用いた場合にもカラーブリードがない高品位の画像を得ることができる。しかも、上記した構成とすることで、顔料を水性着色インクの着色成分としているにもかかわらず、耐擦過性にも優れた画像の形成が可能となる。先ず、本発明にかかる水性インクセットを構成する水性インク(以下、インクという)について説明する。
【0027】
本発明にかかるインクセットは、ブラックインクとカラーインクとを含む2色以上のインクを独立に有するが、これらのインクには、粒子表面が特定の状態に表面改質された顔料を含むインクを少なくとも1種含む。ブラックインクをかかる構成のものとする場合には、顔料としてカーボンブラックを用いることが好ましい。この際に用いることのできるカーボンブラックとしては、下記に挙げるようなものが好適である。例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック顔料で、例えば、レイヴァン(Raven)7000、レイヴァン5750、レイヴァン5250、レイヴァン5000ULTRA、レイヴァン3500、レイヴァン2000、レイヴァン1500、レイヴァン1250、レイヴァン1200、レイヴァン1190ULTRA−II、レイヴァン1170、レイヴァン1255(以上、コロンビア社製)、ブラックパールズ(Black Pearls)L、リーガル(Regal)400R、リーガル330R、リーガル660R、モウグル(Mogul)L、モナク(Monarch)700、モナク800、モナク880、モナク900、モナク1000、モナク1100、モナク1300、モナク1400、モナク2000、ヴァルカン(Valcan)XC−72R(以上、キャボット社製)、カラーブラック(Color Black)FW1、カラーブラックFW2、カラーブラックFW2V、カラーブラックFW18、カラーブラックFW200、カラーブラックS150、カラーブラックS160、カラーブラックS170、プリンテックス(Printex)35、プリンテックスU、プリンテックスV、プリンテックス140U、プリンテックス140V、スペシャルブラック(Special Black)6、スペシャルブラック5、スペシャルブラック4A、スペシャルブラック4(以上、デグッサ社製)、No.25、No.33、No.40、No.47、No.52、No.900、No.2300、MCF−88、MA600、MA7、MA8、MA100(以上、三菱化学社製)等の市販品や、別途新たに調製されたものも使用することができる。しかし、これらに限定されるものではなく、従来公知のカーボンブラックを使用することが可能である。黒色の顔料としては、上記に加えて、マグネタイト、フェライト等の磁性体微粒子や、チタンブラック等の無機顔料を用いることもできる。
【0028】
本発明にかかるインクセットに用いるカラーインクとしては、イエローインク、マゼンタインク、及びシアンインクのいずれかを少なくとも含むものが好ましいが、これらのインクの着色成分に用いる顔料としては、下記のような各種の有機顔料を挙げることができる。そして、これらの有機顔料は、樹脂分散剤によってインク中に分散させてもよいが、顔料粒子表面に有機基が化学的に結合した状態に表面改質させたものを用いてもよい。カーボンブラックや、有機顔料の顔料粒子表面の改質方法については、後述する。
【0029】
有機顔料としては、例えば、トルイジンレッド、トルイジンマルーン、ハンザエロー、ベンジジンエロー、ピラゾロンレッド等の不溶性アゾ顔料、リトールレッド、ヘリオボルドー、ピグメントスカーレット、パーマネントレッド2B等の溶性アゾ顔料、アリザリン、インダントロン、チオインジゴマルーン等の建染染料からの誘導体、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン等のフタロシアニン系顔料、キナクリドンレッド、キナクリドンマゼンタ等のキナクリドン系顔料、ペリレンレッド、ペリレンスカーレット等のペリレン系顔料、イソインドリノンエロー、イソインドリノンオレンジ等のイソインドリノン系顔料、ベンズイミダゾロンエロー、ベンズイミダゾロンオレンジ、ベンズイミダゾロンレッド等のイミダゾロン系顔料、ピランスロンレッド、ピランスロンオレンジ等のピランスロン系顔料、インジゴ系顔料、縮合アゾ系顔料、チオインジゴ系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、フラバンスロンエロー、アシルアミドエロー、キノフタロンエロー、ニッケルアゾエロー、銅アゾメチンエロー、ペリノンオレンジ、アンスロンオレンジ、ジアンスラキノニルレッド、ジオキサジンバイオレット等のその他の顔料が例示できる。
【0030】
又、有機顔料を、カラーインデックス(C.I.)ナンバーにて示すと、C.I.ピグメントイエロー12、13、14、17、20、24、74、83、86、93、97、109、110、117、120、125、128、137、138、147、148、150、151、153、154、166、168、180、185、C.I.ピグメントオレンジ16、36、43、51、55、59、61、71、C.I.ピグメントレッド9、48、49、52、53、57、97、122、123、149、168、175、176、177、180、192、215、216、217、220、223、224、226、227、228、238、240、254、255、272、C.I.ピグメントバイオレット19、23、29、30、37、40、50、C.I.ピグメントブルー15、15:1、15:3、15:4、15:6、22、60、64、C.I.ピグメントグリーン7、36、C.I.ピグメントブラウン23、25、26等が例示できる。
【0031】
本発明の水性インクセットを構成する、顔料粒子表面に有機基が化学的に結合した状態に表面改質させた顔料を含むインクとしては、インク中に含有される上記顔料が、インク全質量に対して、0.1〜15質量%の範囲内、更には、1〜10質量%の範囲内で含有されたものであることが好ましい。
【0032】
以下に、本発明を特徴づけるカーボンブラックや他の顔料における表面改質について説明する。即ち、本発明で使用する上記に挙げたような無機又は有機の顔料は、顔料粒子表面に有機基が化学的に結合して表面改質されており、該有機基が、顔料粒子表面の官能基或いは導入されてなる官能基と、該官能基と結合したイオン性モノマーと疎水性モノマーとの反応物である共重合体セグメントとを含んでいることを特徴とする。先ず、顔料粒子表面を改質する際に使用する各材料について説明する。
【0033】
[官能基]
本発明にかかる水性インク中の顔料において官能基は、顔料表面に直接、若しくは他の原子団を介して化学的に結合している。該官能基は、後述する共重合体との反応によって有機基を構成するためのものであり、ここで官能基の種類は、該共重合体が担持している官能基との関連において選択される。そして、官能基と共重合体との反応は、当該顔料が水性媒体中に分散されるものであることを考慮すると、加水分解等を生じることのない結合、例えばアミド結合等を生じるような反応とすることが好ましい。該官能基をアミノ基とし、共重合体にカルボキシル基を担持させることによって、共重合体を、顔料粒子表面にアミド結合を介して導入することができる。又、官能基をカルボキシル基とし、共重合体にアミノ基を担持させることによっても同様に共重合体を顔料粒子表面にアミド結合を介して導入することができる。
【0034】
ここで、顔料粒子表面に化学的に結合されている官能基は、直接、顔料粒子表面に結合していてもよく、又、他の原子団を介して結合していてもよい。しかし、比較的分子量の大きな共重合体を顔料表面に導入する場合、共重合体同士の立体障害を避けるために、他の原子団を介して官能基を顔料表面に導入することが好ましい。ここで、他の原子団は、多価の元素や有機基であれば特に限定されるものでない。しかし、上記した理由により官能基の顔料表面からの距離を制御するという観点から、例えば2価の有機残基が好ましく用いられる。2価の有機残基の例は、アルキレン基やアリーレン基(フェニレン基)等を包含する。
【0035】
より具体的に述べると、例えば、後述する実施例においては、顔料をアミノフェニル(2−スルホエチル)スルホンと反応させて、顔料表面にアミノフェニル(2−スルホエチル)スルホン基を導入し、その後、ペンタエチレンヘキサミンのアミノ基とアミノフェニル(2−スルホエチル)スルホン基とを反応させることにより、官能基としてのアミノ基を導入している。この場合には、アミノ基は、フェニル(2−スルホエチル)基を含む原子団を介して顔料表面に化学的に結合している、ということができる。
【0036】
[共重合体]
上記イオン性モノマーと疎水性モノマーからなる共重合体としては、例えば、アニオン性を有するアニオン性の共重合体、或いはカチオン性を有するカチオン性の共重合体が好適に用いられる。上記アニオン性の共重合体としては、疎水性モノマーと、アニオン性モノマーからなる共重合体、或いは、これらの塩等が挙げられる。この際に使用する代表的な疎水性モノマーとしては、次に挙げるモノマーがあるが、本発明は、これらに限定されるものではない。例えば、スチレン、ビニルナフタレン、メチルメタクリレート等のメタクリル酸アルキルエステル、フェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、2−エトキシエチルメタクリレート、メタクリロニトリル、2−トリメチルシロキシエチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、p−トリルメタクリレート、ソルビルメタクリレート、メチルアクリレート等のアクリル酸アルキルエステル、フェニルアクリレート、ベンジルアクリレート、アクリロニトリル、2−トリメチルシロキシエチルアクリレート、グリシジルアクリレート、p−トリルアクリレート及びソルビルアクリレート等である。
【0037】
上記において使用するアニオン性モノマーとしては、次に挙げるモノマーがあるが、本発明は、これらに限定されるものではない。例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸等が挙げられる。
【0038】
本発明にかかる共重合体の一態様としての、アニオン性モノマーと疎水性モノマーと、からなるアニオン性の共重合体としては、上記に挙げた疎水性モノマーから選択されたいずれかと、上記に挙げたアニオン性モノマーから選択された少なくとも1つとの、少なくとも2つ以上のモノマーからなる。該共重合体は、ブロック共重合体、ランダム共重合体、グラフト共重合体、或いは、これらの塩等を包含する。
【0039】
かかるアニオン性の共重合体の酸価としては、100〜500の範囲のものが好ましい。酸価をかかる範囲内とすることによって、顔料表面の親水性が高過ぎて、印字後におけるインク中の水及び溶剤が顔料表面にとどまり、被記録媒体への印字後における、インクの耐マーカー性の発現が遅くなることを有効に抑制することができる。又、顔料の表面の親水性が低過ぎてしまい、インク中に顔料が安定に分散しにくくなるといったことも有効に抑制することができる。
【0040】
尚、前記した塩とは、ナトリウム、リチウム、カリウム等のアルカリ金属塩の他、アンモニウム塩、アルキルアミン塩、アルカノールアミン塩等が挙げられ、これらを、単独或いは数種類を適宜に組み合わせて使用できる。
【0041】
上記したアニオン性の共重合体セグメントは、重量平均分子量(Mw)が1,000〜30,000の範囲のものであることが好ましく、更に好ましくは、3,000〜20,000の範囲のものを使用するとよい。又、アニオン性の共重合体セグメントの含有量は、表面改質された顔料におけるアニオン性の共重合体の含有率が5質量%以上、40質量%以下であることが好ましい。より好ましくは、10質量%以上、25質量%以下の割合で使用される。表面改質された顔料における共重合体の含有率をこの範囲内とすることで、インクの高粘度化の抑制と分散安定性とを高いレベルで両立させることができる。
【0042】
次に、カーボンブラックを例として、顔料粒子表面に化学的に有機基を結合させて、顔料粒子表面を改質する方法について説明する。本発明においては、先ず、顔料粒子表面の官能基、或いは顔料粒子表面に導入し官能基に、イオン性モノマーと疎水性モノマーとからなる共重合体を結合させ、該共重合体を顔料粒子表面に化学的に結合させる方法であれば、通常用いられるいずれの方法でもよく、特に限定されない。このような方法としては、例えば、以下の方法等を用いることができる。
【0043】
カーボンブラック等の顔料粒子表面に、ポリエチレンイミン等を導入し、その末端官能基に、アミノ基を有する、イオン性モノマーと疎水性モノマーとからなる共重合体をジアゾニウム反応で結合させる方法や、カーボンブラック等の顔料粒子表面に、分子内にアミノ基とカルボキシル基を有する共重合体をジアゾニウム反応で結合させる方法等の方法を用いることができる。この他のものとしては、最も典型的な例が、WO 01/51566 A1に開示されている。
【0044】
本発明に用いられるインクは、上記した着色成分の他に、水と、水溶性有機溶剤が含有されてなるが、この際に使用される水溶性有機溶剤としては、インクの乾燥防止効果を有するものが特に好ましい。本発明で使用し得る水溶性有機溶剤の具体的なものとしては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール等の炭素数1〜4のアルキルアルコール類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;アセトン、ジアセトンアルコール等のケトン又はケトアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール等のアルキレン基が2〜6個の炭素原子を含むアルキレングリコール類;ポリエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート等の低級アルキルエーテルアセテート;グリセリン;エチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、ジエチレングリコールメチル(又はエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類;N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等が挙げられる。上記の如き水溶性有機溶剤は、単独でも或いは混合物としても使用することができる。水としては脱イオン水を使用することが望ましい。
【0045】
本発明に用いられるインク中に含有される水溶性有機溶剤の含有量は特に限定されないが、インク全量に対して、質量基準で、好ましくは3〜50%の範囲が好適である。又、インクに含有される水の含有量は、インク全質量に対して好ましくは50〜95質量%の範囲である。
【0046】
又、インクの保湿性維持のために、尿素、尿素誘導体、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン等の保湿性固形分もインク成分として用いてもよい。尿素、尿素誘導体、トリメチロールプロパン等、保湿性固形分のインク中の含有量は一般には、インク全量に対して、質量基準で、0.1〜20.0%の範囲が好ましく、より好ましくは3.0〜10.0%の範囲である。
【0047】
この他、上記成分以外にも必要に応じて、更に、界面活性剤、pH調整剤、防錆剤、防腐剤、防カビ剤、酸化防止剤、還元防止剤、蒸発促進剤、キレート化剤等、種々の添加剤を含有させてもよい。
【0048】
特に、本発明においては、下記に挙げる構造式(1)〜(4)で表される界面活性剤のいずれかを、着色インク中に含有させることが好ましい。
(但し、上記構造式(1)中、Rはアルキル基を表し、nは整数を表す。)
(但し、上記構造式(2)中、Rはアルキル基を表し、nは整数を表す。)
(但し、上記構造式(3)中、Rは水素原子又はアルキル基を表し、m及びnは、それぞれ整数を表す。)
(但し、構造式(4)中、m及びnは、夫々整数を表わす。)
【0049】
次に、上記した水性インクとともに、本発明にかかる水性インクセットを構成する液体組成物について説明する。
【0050】
先に説明した特定の表面改質された顔料を着色成分として含有するインクでは、顔料は、分散剤を要することなくインク中に安定して分散しているが、本発明者らが検討した結果、画像形成の際に、かかるインクと共に多価金属塩を溶解状態で含んでいる液体組成物を用いると、多価金属イオンの存在によって、表面改質された顔料の分散状態が破壊され、顔料の凝集が起こることがわかった。この結果、本発明の水性インクセットを用いて画像形成を行なった場合には、耐水性があり、特に、インクに色調の異なる複数のインクを用いた場合には、カラーブリードがない高品位の画像を得ることができ、しかも、得られる画像は、耐擦過性にも優れた画像となる。
【0051】
本発明において使用する多価金属塩は特に限定されないが、2価以上の多価金属陽イオンとこれら多価金属と結合する陰イオンとから構成された、水に可溶な各種の塩が挙げられる。上記2価以上の多価金属陽イオンとしては特に限定されず、例えば、Ca2+、Cu2+、Ni2+、Mg2+、Zn2+、及びBa2+等の2価金属イオンや、Y3+、Al3+、Fe3+、及びCr3+等の3価金属イオンが挙げられる。陰イオンとしては、Cl−、NO3 −、I−、Br−、ClO3 −、及びCH3COO−等が挙げられる。
【0052】
これらのうち特に、Y3+、Al3+、及びFe3+等の3価の陽イオンが好ましく、陰イオンとしては、記録装置の腐食等の観点から、NO3 −が好ましい。液体組成物中における上記多価金属塩の濃度としては、印字品質や吐出性能等に応じて適宜に選択すればよく、特に限定されないが、好ましくは0.1〜40質量%であり、より好ましくは3〜20質量%である。
【0053】
本発明で用いる上記したような多価金属塩を溶解状態で含む液体組成物は、色材を含まないものであるが、画像に影響を与えないものであれば淡色のものでもよい。上記した多価金属塩を溶解或いは分散させるために、水、或いは水溶性有機溶剤を含む水系媒体が用いられるが、水系媒体としては、先に述べたインクに使用されるものをいずれも使用することができる。更に、必要に応じて各種の添加剤を含有させることができる点についても、インクの場合と同様である。
【0054】
上記したような構成からなる本発明の水性インクセットは、特に、インクジェット記録に好適である。本発明の水性インクセットをインクジェット記録用にする場合には、該インクセットを構成する各インクを調製する場合に、インクジェットヘッドから吐出可能である特性を有するものとすることが好ましい。インクジェットヘッドからの吐出性という観点から、例えば、粘度が1〜15mPa・sであって、表面張力が25mN/m以上であるもの、特には、粘度が1〜5mPa・sであって、表面張力が25〜50mN/mであるインクとすることが好ましい。
【0055】
本発明で使用する顔料を含むインクの分析方法について、カーボンブラックを含むブラックインクを例にとって説明する。先ず、本発明で使用する表面改質されたカーボンブラックの表面改質状態を分析する方法は特に限定されず、通常考えられるいずれかの方法を用いて分析を行うことができる。好ましくは、ESCAやTOF−SIMS等で、表面改質されたカーボンブラック粒子表面の化学結合状態を分析する方法が挙げられる。
【0056】
カーボンブラック粒子の表面に化学的に結合している有機基の量等を測定する方法も特に限定されないが、例えば、下記の方法によって行なうことができる。先ず、前記表面改質したカーボンブラックを含むインクから、塩析若しくは凝析によってインク中から有機基で改質されたカーボンブラック粒子を含む固形分を分取することができる。そして、この方法によってインク中から取り出した固形分から、表面改質されたカーボンブラック(有機基が粒子表面に結合しているカーボンブラック)のみを高純度で分取するには、更に、カーボンブラック粒子表面に化学的に結合させた共重合体の良溶媒で、インク中から取り出したカーボンブラック等を洗浄、乾燥するといった方法を用いることができる。以下、更に詳細な、インク中から表面改質されたカーボンブラックを分取する方法、分取後、乾燥して得られた乾固物を測定用試料として用いることで行なう、表面改質されたカーボンブラック粒子表面に化学的に結合している有機基の量を測定する分析方法について説明する。
【0057】
先ず、分析に先だって、以下のようにして前処理を実施し、測定用試料を調製する。上記で説明した表面改質されたカーボンブラックを含むインクから、塩析若しくは凝析して沈澱物として得られる固形分を乾固させ、その後に、共重合体の良溶媒を用いて洗浄してから、該有機基が粒子表面に化学的に結合しているカーボンブラックのみの抽出処理を行う。その方法は、(1)塩析若しくは凝析、(2)沈澱物の洗浄、(3)乾固、(4)有機基が表面に化学的に結合しているカーボンブラックのみの抽出、及び(5)乾燥、という一連の手順によって行うことができる。以下、順を追って説明する。
【0058】
(1)インク中から、表面改質カーボンブラックを含む固形分を塩析若しくは凝析させる方法としては特に限定されず、例えば、(a)塩化ナトリウム、塩化カリウム等の塩で塩析させる、(b)硝酸や塩酸等の酸を用いて凝析(酸析)させる、等の方法を用いることができる。この際、必要に応じて、塩析等の前工程として、例えば、限外濾過等を行ってもよい。
【0059】
(2)上記塩析若しくは凝析等によって得られる固形分を純水で十分に洗浄する。特に、(1)に記載した(b)の凝析を行う際には、洗浄後の濾液が中性になるまで十分に洗浄を行うことが好ましい。
【0060】
(3)上記で得られる洗浄後の固形分は、オーブン等で充分に乾燥し、乾固物として取り出す。この際の乾燥条件等は特に限定されず、例えば、60℃で2時間程度乾燥させればよい。
【0061】
(4)上記(3)で得られる乾固物には、有機基がカーボンブラック粒子表面に化学的に結合しているカーボンブラック以外に、カーボンブラック粒子表面に化学的に結合していないフリーポリマー(顔料に物理吸着しているものも含む)が混入している可能性がある。そこで、(3)で得られた乾固物を、該ポリマーの良溶媒を用いて洗浄することで、表面改質カーボンブラックを更に高純度に抽出する。上記において使用する、フリーポリマーの良溶媒は、ポリマーの構造によって異なり、一概に限定できるものではないが、例えば、テトラヒドロフラン(THF)等は、汎用性のある良溶媒である。この場合、このような良溶媒を用いて繰り返して上記乾固物を洗浄し、固形分に混入している可能性のあるフリーポリマーの除去作業を繰り返すことが好ましい。
【0062】
(5)上記したように共重合体部分を含むセグメントの良溶媒による洗浄によって、フリーポリマーの除去処理がなされた固形分は、最後にオーブン等で十分な乾燥処理を行って、残存水分や残存溶剤を揮発させて乾固物試料とする。乾燥の際に使用するオーブン等は特に限定されず、例えば、市販の真空乾燥機等を用いた乾燥を行えばよい。又、乾燥条件等についても、上記表面改質カーボンブラック乾固物から、十分に残存水や残存溶剤が除去できる条件であれば特に限定されない。例えば、数百Pa以下の真空度で、60℃×3時間程度で乾燥させればよい。
【0063】
上記した(1)〜(5)の一連の方法によってインク中から取り出したカーボンブラック乾固物を測定用試料とし、該試料の重量変化を熱重量分析を用いて測定することで、カーボンブラック粒子表面に化学的に結合した有機基の結合量を定量的に測定することができる。この結果、表面改質カーボンブラック粒子の質量を基準として該カーボンブラックに化学的に結合している有機基の含有率の測定が可能となる。
【0064】
上記で説明した、(1)塩析若しくは凝析、(2)沈澱物の洗浄、(3)乾固、(4)有機基が表面に化学的に結合しているカーボンブラックのみの抽出、及び(5)乾燥という一連の手順によって得られる、有機基が表面に化学的に結合しているカーボンブラックのみを含む乾固物試料中の、結合している有機基の含有率を測定する方法は特に限定されない。例えば、上記手順によって最終的に得られる充分に乾燥させたカーボンブラック乾固物を、熱重量分析(Thermogravimetric Analysis)等により測定し、その結果得られる熱重量分析重量減少率から、容易に求めることができる。以下、この際に行う熱重量分析について説明する。
【0065】
上記方法によって測定される熱重量分析重量減少率は、有機基が表面に化学的に結合しているカーボンブラック中におけるカーボンブラック粒子表面に導入された有機基の含有率となる。即ち、かかる熱重量分析重量減少率は下記式で与えられるが、熱重量分析前に共重合体物質の良溶媒を用いて洗浄し、有機基が表面に化学的に結合しているカーボンブラックのみを抽出した乾固物試料の重量に対する、100〜700℃まで昇温して行なった熱重量分析において生じる、カーボンブラック粒子表面に結合している有機基の脱着や燃焼等によって生じる重量減少量の割合である。
熱重量分析重量減少率=A/B×100(%)
A=熱重量分析において100〜700℃まで昇温した際の重量減少量
B=熱重量分析前における試料の重量
【0066】
上記において行なう熱重量分析における分析条件等は特に限定されず、前処理や昇温速度等、通常の条件によって測定すればよい。測定装置としては、例えば、METTLER TOLEDO社製のTGA熱重量測定装置、TGA851e/SDTA等を使用することができる。
【0067】
更に、上記した熱重量分析重量減少率の測定方法を用いれば、本発明で使用する水性顔料インクに含まれる表面改質されたカーボンブラック等の顔料における、表面改質に用いた物質と顔料粒子との結合状態を知ることができる。即ち、本発明で使用する顔料粒子表面には、有機基が化学的に結合されている。このため、顔料粒子表面の有機基は、ポリマーの良溶媒を用いた洗浄後も洗い流されることはなく、顔料粒子表面に安定に結合しているため、上記した抽出処理の有無にかかわらず、熱重量分析重量減少率は、ほぼ同じ値を示す。これに対して、一般的に用いられる樹脂分散型の顔料では、分散剤に用いられている水溶性樹脂が顔料と化学的に結合しているわけではないので、分散に使用したポリマーの良溶媒によって洗浄すると、樹脂は洗い流されてしまうため、上記した抽出処理を行った場合と、処理を行わなかった場合とでは、熱重量分析重量減少率は大きく違ったものとなる。
【0068】
このことから、本発明に好適に用いられる改質された顔料とは、該ポリマーの良溶媒による洗浄の前後において、熱重量分析による重量減少率が変化しないか、或いは実質的に変化しないものとすることができる。ここで、洗浄の前後において熱重量分析による重量減少率が実質的に変化しないとは、重量減少率の洗浄前後における値の差が、5%未満であることを指す。
【0069】
即ち、本発明にかかる水性インクセットを構成するインクに含まれる上記表面改質されたカーボンブラック等の顔料は、先に説明した共重合体が顔料粒子と直接若しくは1つ以上の原子団を介して化学的に結合しているため、ポリマーの良溶媒による溶媒抽出により抽出されるものは非常に少量である。このため、溶媒抽出前の試料の熱重量分析結果における有機基の脱着や燃焼等に起因する減量と、溶媒抽出後の試料の熱重量分析結果における有機基の脱着や燃焼等に起因する減量との差は小さくなり、この結果、重量減少率は小さくなる。これに対して、一般的に用いられる樹脂分散顔料では、樹脂分散剤が顔料と化学的に結合していないため、溶媒抽出前の試料では熱重量分析における樹脂分散剤が揮散したことに起因する減量が大きいのに対し、溶媒抽出後の試料では、溶媒抽出によって樹脂分散剤が既に除去されているため熱重量分析における樹脂分散剤が揮散したことに起因する重量減少は小さくなり、この結果、抽出前後での重量減少率の差は大きくなる。
【0070】
図1は、後述する比較例で用いた樹脂分散剤によってカーボンブラックがインク中に分散されているタイプのインクを凝析した後、洗浄乾固させた試料について熱重量分析を行った結果である。図2は、この従来の樹脂分散タイプのインクを凝析した後、洗浄乾固させ、更にTHFを用いて溶媒抽出した後の試料について熱重量分析を行った結果である。両者共に十分に蒸発乾固させてあり、水分や溶剤は除去されている。図1では、350℃付近に、樹脂分散剤の揮散に起因する重量減少が認められ、重量減少率は約13.7%であったのに対し、図2では、350℃付近での重量減少は約2.7%と非常に少なくなっていた。両者の結果から、樹脂分散タイプのインクではTHFで溶媒抽出することにより溶媒中に樹脂分散剤が大量に抽出されて、除去されたことがわかる。これは、樹脂分散タイプのインクでは、樹脂分散剤とカーボンブラックが化学的に結合していないために生じる現象である。
【0071】
図3は、後述する実施例で用いた粒子表面が特定の状態に改質されたカーボンブラックを含有する着色インクを凝析した後、洗浄乾固させた試料について熱重量分析を行った結果である。図4は、上記と同様のインクを凝析した後、洗浄乾固させ、更にTHFを用いて溶媒抽出した後の試料についての熱重量分析の結果である。図3及び図4の結果から、350℃付近での、粒子表面の改質に用いた共重合体の揮散に起因する重量減少率が、溶媒抽出前後であまり変化しておらず、このことより、溶媒抽出により共重合体部が除去されなかった、つまりカーボンブラックと共重合体部とが化学的に結合していることが確認できた。
【0072】
上記した熱重量分析を用いる以外にも、顔料粒子表面における、表面改質に用いた物質との結合状態を調べる方法がある。例えば、本発明で用いる表面改質したカーボンブラックを、先に述べたようにして塩析若しくは凝析した後に乾固させたカーボンブラック乾固物を測定用試料とし、かかる試料を、TG−GC−MS(熱重量分析−ガスクロマトグラフ−マススペクトル)、TOF−MS(飛行時間型質量分析装置)、TOF−SIMS(飛行時間型二次イオン質量分析)等とを組み合わせて分析する方法も好適である。これらの方法によって、カーボンブラック乾固物試料における表面改質に用いた物質の結合状態(吸着エネルギーの測定)、更には、カーボンブラック乾固物試料において、結合している有機基の、組成、分子量分布、更には結合ユニットを詳細に知ることができる。
【0073】
カーボンブラックに直接若しくは1つ以上の原子団を介して共重合体を化学的に結合させる方法としては、通常用いられる方法によって行えばよく、特に限定されるものではないが、例えば、以下の方法等を用いることができる。カーボンブラックに、ポリエチレンイミン等の末端にアミノ基を有するポリマーをジアゾニウム反応で結合させる方法;カーボンブラックに、分子内にアミノ基とカルボキシル基を有するポリマーをジアゾニウム反応で結合させる方法;等の方法を用いることができる。この他に、最も典型的な例がWO 01/51566 A1に開示されている。
【0074】
上記方法が、アニオンタイプの共重合体を化学的に結合させる場合には下記の3工程を含むこととなる。
第1工程;カーボンブラックにジアゾニウム反応でアミノフェニル−(2−サルフェイトエチル)−スルフォン(APSES)を付加させる工程。
第2工程;APSES処理をしたカーボンブラックにポリエチレンイミンやペンタエチレンヘキサミン(PEHA)を付加させる工程。
第3工程;疎水性モノマーとカルボキシル基を有する親水性モノマーの共重合物をつける工程。
【0075】
以上のような構成を有する本発明のインクセットは、インクジェット記録に用いられる際に、特に効果的である。インクジェット記録方法としては、インクに力学的エネルギーを作用させ、液滴を吐出する記録方法、及びインクに熱エネルギーを加えてインクの発泡により液滴を吐出する記録方法があるが、これらの記録方法に本発明の水性インクセットは特に好適である。
【0076】
次に、上記した本発明のインクセットを用いて記録を行うのに好適な、インクジェット記録装置の一例を以下に説明する。先ず、熱エネルギーを利用したインクジェット記録装置の主要部であるヘッド構成の一例を図5及び図6に示す。図5は、インク流路に沿ったヘッド13の断面図であり、図6は図5のA−B線での切断面図である。ヘッド13はインクを通す流路(ノズル)14を有するガラス、セラミック、シリコン又はプラスチック板等と発熱素子基板15とを接着して得られる。発熱素子基板15は酸化シリコン、窒化シリコン、炭化シリコン等で形成される保護層16、アルミニウム、金、アルミニウム−銅合金等で形成される電極17−1及び17−2、HfB2、TaN、TaAl等の高融点材料から形成される発熱抵抗体層18、熱酸化シリコン、酸化アルミニウム等で形成される蓄熱層19、シリコン、アルミニウム、窒化アルミニウム等の放熱性のよい材料で形成される基板20よりなっている。
【0077】
上記ヘッド13の電極17−1及び17−2にパルス状の電気信号が印加されると、発熱素子基板15のnで示される領域が急速に発熱し、この表面に接しているインク21に気泡が発生し、その圧力でメニスカス23が突出し、インク21がヘッドのノズル14を通して吐出し、吐出オリフィス22よりインク小滴24となり、被記録媒体25に向かって飛翔する。図7には、図5に示したヘッドを多数並べたマルチヘッドの一例の外観図を示す。このマルチヘッドは、マルチノズル26を有するガラス板27と、図5に説明したものと同じような発熱ヘッド28を接着して作られている。
【0078】
図8に、このヘッドを組み込んだインクジェット記録装置の一例を示す。図8において、61はワイピング部材としてのブレードであり、その一端はブレード保持部材によって保持固定されており、カンチレバーの形態をなす。ブレード61は記録ヘッド65による記録領域に隣接した位置に配置され、又、本例の場合、記録ヘッド65の移動経路中に突出した形態で保持される。
【0079】
62は記録ヘッド65の突出口面のキャップであり、ブレード61に隣接するホームポジションに配置され、記録ヘッド65の移動方向と垂直な方向に移動して、インク吐出口面と当接し、キャッピングを行う構成を備える。更に、63はブレード61に隣接して設けられるインク吸収体であり、ブレード61と同様、記録ヘッド65の移動経路中に突出した形態で保持される。上記ブレード61、キャップ62及びインク吸収体63によって吐出回復部64が構成され、ブレード61及びインク吸収体63によって吐出口面に水分、塵埃等の除去が行われる。
【0080】
65は、吐出エネルギー発生手段を有し、吐出口を配した吐出口面に対向する被記録媒体にインクを吐出して記録を行う記録ヘッド、66は記録ヘッド65を搭載して記録ヘッド65の移動を行うためのキャリッジである。キャリッジ66はガイド軸67と摺動可能に係合し、キャリッジ66の一部はモーター68によって駆動されるベルト69と接続(不図示)している。これによりキャリッジ66はガイド軸67に沿った移動が可能となり、記録ヘッド65による記録領域及びその隣接した領域の移動が可能となる。
【0081】
51は被記録媒体を挿入するための給紙部、52は不図示のモーターにより駆動される紙送りローラーである。これらの構成により記録ヘッド65の吐出口面と対向する位置へ被記録媒体が給紙され、記録が進行につれて排紙ローラー53を配した排紙部へ排紙される。以上の構成において記録ヘッド65が記録終了してホームポジションへ戻る際、吐出回復部64のキャップ62は記録ヘッド65の移動経路から退避しているが、ブレード61は移動経路中に突出している。その結果、記録ヘッド65の吐出口がワイピングされる。
【0082】
尚、キャップ62が記録ヘッド65の吐出面に当接してキャッピングを行う場合、キャップ62は記録ヘッドの移動経路中に突出するように移動する。記録ヘッド65がホームポジションから記録開始位置へ移動する場合、キャップ62及びブレード61は上記したワイピングのときの位置と同一の位置にある。この結果、この移動においても記録ヘッド65の吐出口面はワイピングされる。上述の記録ヘッドのホームポジションへの移動は、記録終了時や吐出回復時ばかりでなく、記録ヘッドが記録のために記録領域を移動する間に所定の間隔で記録領域に隣接したホームポジションへ移動し、この移動に伴って上記ワイピングが行われる。
【0083】
図9は、記録ヘッドにインク供給部材、例えば、チューブを介して供給されるインクを収容したインクカートリッジの一例を示す図である。ここで40は供給用インクを収納したインク収容部、例えば、インク袋であり、その先端にはゴム製の栓42が設けられている。この栓42に針(不図示)を挿入することにより、インク袋40中のインクをヘッドに供給可能にする。44は廃インクを受容するインク吸収体である。インク収容部としてはインクとの接液面がポリオレフィン、特にポリエチレンで形成されているものが好ましい。
【0084】
本発明で使用されるインクジェット記録装置としては、上述のようにヘッドとインクカートリッジとが別体となったものに限らず、図10に示すようなそれらが一体になったものにも好適に用いられる。図10において、70は記録ユニットであり、この中にはインクを収容したインク収容部、例えば、インク吸収体が収納されており、かかるインク吸収体中のインクが複数オリフィスを有するヘッド部71からインク滴として吐出される構成になっている。インク吸収体の材料としてはポリウレタンを用いることが本発明にとって好ましい。又、インク吸収体を用いず、インク収容部が内部にバネ等を仕込んだインク袋であるような構造でもよい。72はカートリッジ内部を大気に連通させるための大気連通口である。この記録ユニット70は図8に示す記録ヘッド65に換えて用いられるものであって、キャリッジ66に対して着脱自在になっている。
【0085】
次に、力学的エネルギーを利用したインクジェット記録装置の好ましい一例としては、複数のノズルを有するノズル形成基板と、ノズルに対向して配置される圧電材料と導電材料からなる圧力発生素子と、この圧力発生素子の周囲を満たすインクを備え、印加電圧により圧力発生素子を変位させ、インクの小液滴をノズルから吐出させるオンデマンドインクジェット記録ヘッドを挙げることができる。その記録装置の主要部である記録ヘッドの構成の一例を図11に示す。
【0086】
ヘッドは、インク室(不図示)に連通したインク流路80と、所望の体積のインク滴を吐出するためのオリフィスプレート81と、インクに直接圧力を作用させる振動板82と、この振動板82に接合され、電気信号により変位する圧電素子83と、オリフィスプレート81、振動板82等を指示固定するための基板84とから構成されている。
【0087】
図11において、インク流路80は、感光性樹脂等で形成され、オリフィスプレート81は、ステンレス、ニッケル等の金属を電鋳やプレス加工による穴あけ等により吐出口85が形成され、振動板82はステンレス、ニッケル、チタン等の金属フィルム及び高弾性樹脂フィルム等で形成され、圧電素子83は、チタン酸バリウム、PZT等の誘電体材料で形成される。以上のような構成の記録ヘッドは、圧電素子83にパルス状の電圧を与え、歪み応力を発生させ、そのエネルギーが圧電素子83に接合された振動板を変形させ、インク流路80内のインクを垂直に加圧しインク滴(不図示)をオリフィスプレート81の吐出口85より吐出して記録を行うように動作する。このような記録ヘッドは、図8に示したものと同様なインクジェット記録装置に組み込んで使用される。インクジェット記録装置の細部の動作は、先述と同様に行うもので差しつかえない。
【0088】
【実施例】
次に、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、下記実施例より限定されるものではない。尚、文中「部」、及び「%」とあるのは、特に断りのない限り質量基準である。
【0089】
<実施例で使用できるブラックインク用の顔料分散液の作製>
(顔料分散液1)
比表面積220m2/gでDBP吸油量112ml/100gのカーボンブラック500g、アミノフェニル−2−サルフェトエチル−スルフォン(APSES)45g、蒸留水900gを反応器に投入し、55℃に保温し、回転数300RPMで、20分間攪拌した。この後、25%濃度の亜硝酸ナトリウム40gを15分間滴下し、更に蒸留水50gを加えた。この後、60℃に保温し、2時間反応させた。反応物を蒸留水で希釈しながら取り出し、固形分15%の濃度に調整した。この後、遠心分離処理及び不純物を除去する精製処理を行った。この作成した分散液は、カーボンブラックに前述したAPSESの官能基が結合した分散液となった。この分散液をA1とした。
【0090】
次いで、この分散液中のカーボンブラックに結合した官能基のモル数を求めるために、以下の操作を行った。分散液中のNaイオンをプローブ式ナトリウム電極で測定し、カーボンブラック粉末当りに換算した。次いで、15%濃度の分散液A1をペンタエチレンヘキサミン(PEHA)溶液に強力に攪拌しながら室温に保ち1時間かけて、滴下した。このときのPEHA濃度は、前記測定したNaイオンのモル数の1〜10倍量の濃度で溶液量は分散液A1と同量で行った。更にこの混合物を18〜48時間攪拌し、この後不純物を除去する精製処理を行い、最終的に固形分10%のペンタエチレンヘキサミン(PEHA)が結合した分散液となった。この分散液をB1とした。
【0091】
次に、前記で得られた10%濃度の分散液B1の500gを、スチレン−アクリル酸樹脂を溶解した水溶液に攪拌しながら滴下した。この際に使用したスチレン−アクリル酸樹脂水溶液は、重量平均分子量15,000、酸価140、分散度Mw/Mn1.5のスチレン−アクリル酸樹脂190gに、1,800gの蒸留水を加え、樹脂を中和するのに必要なNaOHを加えて、攪拌して溶解調整したものを使用した。上記で得た滴下混合物をパイレックス(登録商標)蒸発皿に移し、150℃で15時間加熱し、蒸発させた。蒸発乾燥物を室温に冷却した。次いで、この蒸発乾燥物を、pH=9.0に調整したNaOH添加蒸留水中に分散機を用いて分散した。更に攪拌しながら、1.0MのNaOHを添加してpHを10〜11に調整した。この後、脱塩、不純物を除去する精製及び粗大粒子除去を行い、顔料分散液1を得た。得られた顔料分散液1は、固形分10%、pH=10.1、平均粒子径130nmの物性値をもつものであった。尚、顔料分散液1から抽出した表面が改質されたカーボンブラックのTHFでの洗浄前後における重量減少率の差は、2.5%であった。
【0092】
(顔料分散液2)
顔料分散液1と同様の方法で、分散液B1を作成した。次いで、スチレン−アクリル酸樹脂水溶液の原料を、重量平均分子量8,000、酸価170、分散度Mw/Mn1.8のスチレン−アクリル酸樹脂を用いた以外は、上記顔料分散液1と同様の方法で、顔料分散液2を得た。得られた顔料分散液2は、固形分10.5%、pH=10、平均粒子径134nmの物性値をもつものであった。尚、顔料分散液2から抽出した表面が改質されたカーボンブラックのTHFでの洗浄前後における重量減少率の差は、3.0%であった。
【0093】
<実施例で使用できるカラーインク用のカラー顔料分散液の作製>
(カラー顔料分散液)
・スチレン−アクリル酸共重合体(重量平均分子量
5,000) 5.5部
・モノエタノールアミン 1.0部
・ジエチレングリコール 5.0部
・純水 67.5部
【0094】
上記組成の各成分を混合し、ウォーターバスで70℃に加熱し、樹脂成分を完全に溶解させ、この水溶液にC.I.Pigment Yellow 74を20部、イソプロピルアルコールを1.0部加え、30分間プレミキシングを行った後、下記条件で分散処理を行った。更に、遠心分離処理を行って粗大粒子を除去した後、イエロー顔料分散液1を得た。
・分散機;サンドグラインダー
・粉砕メディア;ジルコニウムビーズ 1mm径
・粉砕メディア充填率;50%(体積)
・粉砕時間;3時間
【0095】
又、上記イエロー顔料分散液の作製において用いたC.I.Pigment Yellow 74の代わりに、C.I.Pigment Red 122を用いた以外は同様にして、マゼンタ顔料分散液1を得た。又、上記イエロー顔料分散液の作製において用いたC.I.Pigment Yellow 74の代わりに、C.I.Pigment Blue 15:3を用いた以外は同様にして、シアン顔料分散液1を得た。
【0096】
<<実施例で使用できるインクの作製>>
[ブラックインク]
上記で得られた樹脂を表面に化学結合させたタイプの自己分散型カーボンブラックを用い、下記の成分を混合し、十分攪拌して溶解或いは分散した後、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フィルム製)にて加圧ろ過し、本発明の実施例で使用し得るブラックインクを調製した。各インクの調製で用いたアセチレングリコールEO付加物としては、川研ファインケミカル(株)社製のアセチレノールE100(商品名)を使用した。
【0097】
(ブラックインク1)
・上記顔料分散液1 50部
・グリセリン 5部
・1,5−ペンタンジオール 6部
・トリメチロールプロパン 5部
・アセチレングリコールEO付加物 1.0部
・純水 残部
【0098】
(ブラックインク2)
・上記顔料分散液2 50部
・グリセリン 7部
・ジエチレングリコール 3部
・トリメチロールプロパン 6部
・アセチレングリコールEO付加物 1.0部
・純水 残部
【0099】
[カラーインク]
下記の各組成の成分を混合し、十分攪拌して溶解或いは分散した後、ポアサイズ0.2μmのミクロフィルター(富士フィルム製)にて加圧ろ過し、本発明の実施例で使用し得るカラーインクを調製した。各インクの調製で用いたアセチレングリコールEO付加物としては、川研ファインケミカル(株)社製のアセチレノールE100(商品名)を使用した。
【0100】
(シアンインク1:染料)
・C.I.ダイレクトブルー199 3部
・グリセリン 7部
・2−ピロリドン 5部
・エチレングリコール 6部
・アセチレングリコールEO付加物 1部
・純水 残部
【0101】
(シアンインク2:樹脂分散顔料)
・前記シアン顔料分散液1 30部
・グリセリン 8部
・ジエチレングリコール 8部
・ポリエチレングリコール♯400 5部
・アセチレングリコールEO付加物 0.8部
・純水 残部
【0102】
(マゼンタインク1:染料)
・C.I.アシッドレッド289 3部
・グリセリン 6部
・ジエチレングリコール 5部
・トリエチレングリコール 7部
・アセチレングリコールEO付加物 1部
・純水 残部
【0103】
(マゼンタインク2:樹脂分散顔料)
・前記マゼンタ顔料分散液1 30部
・グリセリン 8部
・ジエチレングリコール 8部
・ポリエチレングリコール♯400 5部
・アセチレングリコールEO付加物 0.8部
・純水 残部
【0104】
(イエローインク1:染料)
・C.I.アシッドイエロー23 3部
・グリセリン 7部
・ジエチレングリコール 7部
・尿素 6部
・アセチレングリコールEO付加物 1部
・純水 残部
【0105】
(イエローインク2:樹脂分散顔料)
・前記イエロー顔料分散液1 30部
・グリセリン 8部
・ジエチレングリコール 8部
・ポリエチレングリコール♯400 5部
・アセチレングリコールEO付加物 0.8部
・純水 残部
【0106】
<<実施例で使用できる液体組成物の作製>>
下記の各組成の成分を混合し、十分攪拌して溶解或いは分散した後、ポアサイズ0.2μmのミクロフィルター(富士フィルム製)にて加圧ろ過し、多価金属塩を含む液体組成物1を調製した。組成中のアセチレノールEH(商品名)は、川研ファインケミカル(株)社製のアセチレングリコールEO付加物である。
【0107】
(液体組成物用ベースインク)
・グリセリン 5.0部
・1,5−ペンタンジオール 5.0部
・トリメチロールプロパン 7.0部
・アセチレノールEH 1.0部
・純水 残部
【0108】
(液体組成物1)
・液体組成物用ベースインク 90部
・硝酸イットリウム(9水和物) 7.7部
・純水 残部
【0109】
〔実施例1〜4〕
(インクセットの調製)
上記で得た各着色インクと、液体組成物1とを表1のように組み合わせて、実施例1〜4のインクセット1〜4とした。
【0110】
【0111】
<比較例で使用したブラックインク用の顔料分散液の作製>
(顔料分散液3)
比表面積210m2/gで、DBP吸油量74ml/100gのカーボンブラック10部と、酸価200、重量平均分子量10,000のスチレン−アクリル酸共重合体の10%水酸化ナトリウム中和水溶液20部、更に、イオン交換水70部を混合し、サンドグラインダーを用いて1時間分散させた後、遠心分離処理によって粗大粒子を除去し、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フィルム製)にて加圧ろ過し、樹脂分散型顔料が含有された顔料分散液3を得た。得られた顔料分散液3の物性値は、固形分10%であり、pH=10.0、平均粒子径120nmであった。
【0112】
(顔料分散液4)
比表面積が230m2/gで、DBP吸油量が70ml/100gのカーボンブラック10gと、p−アミノ−N−安息香酸3.41gとを水72gによく混合した後、これに硝酸1.62gを滴下して70℃で撹拌した。数分後、5gの水に1.07gの亜硝酸ナトリウムを溶かした溶液を加え、更に1時間撹拌した。得られたスラリーを東洋濾紙No.2(アドバンティス社製)で濾過して、顔料粒子を充分に水洗し、90℃のオーブンで乾燥させた後、この顔料に水を足して顔料濃度10質量%の顔料水溶液を作製した。以上の方法により、表面に、フェニル基を介して親水性基が結合したアニオン性に帯電した自己分散型カーボンブラックが分散された顔料分散液4を得た。
【0113】
<<比較例で使用したブラックインクの作製>>
上記で得られた、樹脂分散型顔料が含有された顔料分散液3、及び自己分散型カーボンブラックが分散された顔料分散液4を用い、下記の成分を混合し、十分攪拌して溶解或いは分散した後、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フィルム製)にて加圧ろ過し、ブラックインク3、ブラックインク4を得た。各インクの調製で用いたアセチレングリコールEO付加物としては、川研ファインケミカル(株)社製のアセチレノールE100(商品名)を使用した。
【0114】
(ブラックインク3)
・上記顔料分散液3 50部
・グリセリン 5部
・1,5−ペンタンジオール 6部
・トリメチロールプロパン 5部
・アセチレングリコールEO付加物 1.0部
・純水 残部
【0115】
(ブラックインク4)
・上記顔料分散液4 50部
・グリセリン 5部
・1,5−ペンタンジオール 6部
・トリメチロールプロパン 5部
・アセチレングリコールEO付加物 1.0部
・純水 残部
【0116】
<比較例で使用した液体組成物の作製>
又、比較例で使用する液体組成物として、下記に示す組成の液体組成物2を調製した。
(液体組成物2)
・液体組成物用ベースインク 90.0部
・純水 10.0部
【0117】
〔比較例1〜5〕
上記のようにして得た各着色インクと液体組成物とを表2のように組み合わせて、比較例1〜5のインクセットとした。尚、液体組成物を用いない場合を比較例3とした。
【0118】
【0119】
[評価方法及び評価基準]
上記で得られた実施例及び比較例の各インクセットを構成するインクと液体組成物を用いて画像を形成した。この際、記録信号に応じて熱エネルギーをインクに付与することにより、インクを吐出させるオンデマンド型マルチ記録ヘッドを有するインクジェット記録装置BJ−F870(キヤノン製)を以下のように改造して用いた。即ち、BJ−F870のブラック(Bk)タンク挿入部に、液体組成物を充填したインクタンクを挿入し、ホトシアン、ホトマゼンタタンク挿入部に上記実施例及び比較例の各インクセットを構成するブラックインクを注入したインクタンクを1つずつ計2タンク挿入し、他のシアンタンク、マゼンタタンク、イエロータンクの挿入部には、BJ−F870の純正のインクタンクに、各インクセットを構成するカラーインクをそれぞれ注入して挿入し、使用した。印字方法は、BJ−F870を用い、ヘッドのノズル幅分の印字をホームポジションから反ホームポジションへのスキャン時のみ印字を行う、1スキャン片方向印字で行った。
【0120】
液体組成物の被記録媒体への付与は、上記した通り、ブラックタンク挿入部に、液体組成物を注入したインクタンクが挿入されたヘッドで付与した。又、各インク及び液体組成物の被記録媒体への付与量は、1スキャン片方向印字で、1/600inch×1/600inchを1ピクセルとし(以後1ピクセルは、1/600inch×1/600inchとする)、1つの記録ヘッドによる最大液体及びインク付与量を1ピクセル当たり4ドットとし、1ピクセル当たり4ドットの付与量を100%dutyとした。
【0121】
実施例及び比較例におけるブラックインクの被記録媒体への付与は、先に述べたように、ホトシアン、ホトマゼンタタンク挿入部に、実施例及び比較例のインクセットを構成するブラックインクがそれぞれに注入されたインクタンクを搭載した2つのヘッドで付与した。ブラックインクの被記録媒体への付与量は、上記したように、2つのヘッドを用いることで、1スキャン片方向印字で1ピクセル当たり最大8ドット付与できるように調整し、2つ記録ヘッドを用いることで1ピクセル当たり8ドットの付与量最大200%dutyの印字を可能とした。尚、各記録ヘッドにおける各液体組成物及びインクの1ドット当たりの吐出体積は約5plである。
【0122】
1.印字持続性
上記したようにして各インク及び液体組成物が充填されたインクタンクを装着したインクジェット記録装置を用い、2つのブラックヘッドについては、どちらか一方を使用し、1ピクセル当たり100%dutyの印字でノズルチェックパターンが最初に入っているベタ印字を連続してA4用紙3枚印字した。次に、その後2時間印字を行わず放置し、その後再び、ベタ印字を連続して3枚印字するサイクルを10回繰り返した。そのときの印字みだれ、及び不吐出の有無を下記の基準で評価した。そして、評価結果を表3に示した。
A:印字みだれ及び不吐出がみられない。
B:印字みだれが若干みられるが、不吐出はみられない。
C:印字みだれ、不吐出がみられる。
【0123】
2.印字品位
ブラックインクとカラーインクを同一のスキャンで印字する印字方法で、下記に示す普通紙A、B、C、3紙に、実施例及び比較例の各インクセットを用いて下記のようにして画像形成を行った。本試験では、ブラックインクの打ち込み量は、2つのブラックヘッドを用いて200%dutyとし、液体組成物は、該ブラックインク印字部に100%dutyの付与量で打ち込んだ。印字画像は、英数字を12ポイントのMSゴシック体で印字した。評価は、印字後、画像を12時間自然乾燥した後に、輪郭部の明瞭性を光学顕微鏡を用いて、以下の基準にて評価した。得られた評価結果は、表3に示した。
a:全ての紙で輪郭が鮮明であり、不明瞭さが見られない。
b:輪郭が鮮明であることは明らかであるが、一部の紙で輪郭の不明瞭さがある。
c:輪郭の境界が不明瞭である。
【0124】
評価に用いた普通紙
A:キヤノン(株)社製、PPC用紙NSK
B:キヤノン(株)社製、PPC用紙NDK
C:ゼロックス(株)社製、PPC用紙4024
【0125】
3.耐擦過性
ブラックインクとカラーインクを同一のスキャンで印字する印字方法で、下記に示す普通紙A、B、C、3紙に、実施例及び比較例の各インクセットを用いて画像を形成した。この際、ブラックインクについては2つのブラックヘッドを用い、200%dutyの打ち込み量で印字し、液体組成物は、ブラックインク印字部に100%dutyの付与量で打ち込んだ。画像としては、12ポイントのMSゴシック体のABCDのアルファベット文字を印字した。印字後1日放置した後、印字部上を、おもり(荷重:約40g/cm2)を乗せたシルボン紙を5回通過させ、シルボン紙が通過した後の印字部の汚れを評価した。評価基準は、以下の通りである。得られた評価結果は、表3に示した。
A:全ての紙で汚れが目立たない。
B:一部の紙で汚れが目立つ。
C:全ての紙で汚れが目立つ。
【0126】
評価に用いた普通紙
A:キヤノン(株)社製、PPC用紙NSK
B:キヤノン(株)社製、PPC用紙NDK
C:ゼロックス(株)社製、PPC用紙4024
【0127】
4.ブラックインクとカラーインク間のブリーディング
ブラックインクとカラーインクを同一のスキャンで印字する印字方法で、上記普通紙3紙に、実施例及び比較例の各インクセットを用いて画像を形成した。その際、ブラックインクは2つのブラックヘッドを用いた200%dutyのベタ部と、イエロー、又はマゼンタ、又はシアンインクの100%dutyのベタ部が隣接するようなパターンを形成し、液体組成物は、インク各色に対し100%dutyの付与量となるように印字した。評価基準は以下の通りである。得られた結果を表3に示した。
A:全ての境界で目視にてブリードが認められない。
B:目視でわずかにブリードが認められるが、気になるレベルではない。
C:目視でブリードが認められる。
【0128】
【0129】
【発明の効果】
上記した通り、本発明によれば、ブリーディングが極めて有効に抑制され、且つ耐擦過性に優れた高品位なマルチカラー画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】比較例1に使用した顔料分散液3の顔料を凝析した後の試料についての熱重量分析の結果である。
【図2】比較例1に使用した顔料分散液3の顔料を凝析した後、更にTHFで洗浄処理した後の試料についての熱重量分析結果である。
【図3】実施例3に用いた顔料分散液2の顔料を凝析した後の試料についての熱重量分析の結果である。
【図4】実施例3に用いた顔料分散液2の顔料を凝析した後、更にTHFで洗浄処理した後の試料についての熱重量分析結果である。
【図5】インクジェット記録装置ヘッドの縦断面図である。
【図6】インクジェット記録装置ヘッドの縦横面図である。
【図7】図5に示したヘッドをマルチ化したヘッドの外観斜視図である。
【図8】インクジェット記録装置の一例を示す斜視図である。
【図9】インクカートリッジの縦断面図である。
【図10】記録ユニットの一例を示す斜視図である。
【図11】記録ヘッドの構成の一例を示す図である。
【符号の説明】
13:ヘッド
14:インクノズル
15:発熱素子基板
16:保護層
17−1、17−2:電極
18:発熱抵抗体層
19:蓄熱層
20:基板
21:インク
22:吐出オリフィス(微細孔)
23:メニスカス
24:インク小滴
25:被記録媒体
26:マルチノズル
27:ガラス板
28:発熱ヘッド
40:インク袋
42:栓
44:インク吸収体
45:インクカートリッジ
51:給紙部
52:紙送りローラー
53:排紙ローラー
61:ブレード
62:キャップ
63:インク吸収体
64:吐出回復部
65:記録ヘッド
66:キャリッジ
67:ガイド軸
68:モーター
69:ベルト
70:記録ユニット
71:ヘッド部
72:大気連通口
80:インク流路
81:オリフィスプレート
82:振動板
83:圧電素子
84:基板
85:吐出口
Claims (1)
- 少なくとも、色材を含有しない無色又は淡色の液体組成物と、該液体組成物と共にカラー画像を被記録媒体上に形成するのに用いられるブラックインクとカラーインクとを含む2色以上の水性インクと、を含んでなる水性インクセットにおいて、該液体組成物が、少なくとも多価金属塩溶液を含むものであり、ブラックインク又はカラーインクのうち少なくとも1つは、水と、水溶性有機溶剤と、無機又は有機顔料と、を含み、該無機又は有機顔料は、顔料粒子表面に有機基が化学的に結合して表面改質された顔料であり、
上記有機基は、顔料表面に直接若しくは、他の原子団を介して化学的に結合している官能基と、イオン性モノマーと疎水性モノマーとの共重合体と、の反応物を含んでいることを特徴とする水性インクセット。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2003205457A JP2005052974A (ja) | 2003-08-01 | 2003-08-01 | 水性インクセット |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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| JP2003205457A JP2005052974A (ja) | 2003-08-01 | 2003-08-01 | 水性インクセット |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2005052974A true JP2005052974A (ja) | 2005-03-03 |
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ID=34362732
Family Applications (1)
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| JP2003205457A Pending JP2005052974A (ja) | 2003-08-01 | 2003-08-01 | 水性インクセット |
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Cited By (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2006249203A (ja) * | 2005-03-09 | 2006-09-21 | Brother Ind Ltd | インクジェット記録用インク |
| CN112375424A (zh) * | 2020-10-27 | 2021-02-19 | 安徽省粤隆印刷科技有限公司 | 一种基于水性油墨的包装盒绿色印刷工艺 |
-
2003
- 2003-08-01 JP JP2003205457A patent/JP2005052974A/ja active Pending
Cited By (3)
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