JP2005048785A - 自動車用非石綿ブレーキライニング材 - Google Patents
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Abstract
【課題】速度に対して摩擦係数が低下するような(制動中に時間が経過するにつれて摩擦係数が上昇する)特性を有し、ブレーキ踏力に対し期待以上に制動力を増加させ、ドライバーに安心感を得させ、異音や鳴きが発生し難い自動車用非石綿ブレーキライニング材を提供する。
【解決手段】繊維基材、結合剤及び摩擦調整剤を含む自動車用非石綿ブレーキライニング材において、繊維基材又は摩擦調整剤の一部に鉄成分を含み、さらに摩擦調整剤の一部にアブレッシブを含み、かつショアー硬度が80以下で380〜430℃における液状分解物量が40重量%以上のカシューダスト粉末を含有してなる自動車用非石綿ブレーキライニング材。
【選択図】 なし
【解決手段】繊維基材、結合剤及び摩擦調整剤を含む自動車用非石綿ブレーキライニング材において、繊維基材又は摩擦調整剤の一部に鉄成分を含み、さらに摩擦調整剤の一部にアブレッシブを含み、かつショアー硬度が80以下で380〜430℃における液状分解物量が40重量%以上のカシューダスト粉末を含有してなる自動車用非石綿ブレーキライニング材。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車のブレーキに使用される非石綿系ブレーキライニング材に関する。特にブレーキの効きがより高く、ドライバーがより高い安心感が得られるようなブレーキの効きの上昇があり、かつ鳴きやブレーキ異音の発生し難い自動車用非石綿ブレーキライニング材に関する。
【0002】
【従来の技術】
ブレーキの機能は、ブレーキロータとブレーキライニング材の接触で摩擦を発生させ、自動車の運動エネルギーを熱に変換するものである。 ドライバーがブレーキペダルを踏んでブレーキコントロールするとき、より意のままに操れるようにするには、ブレーキ踏力が軽く、ペダルストロークも短くすることが望まれる。ブレーキ踏力を軽くするためには、ブレーキライニング材の摩擦係数を高める必要がある。
【0003】
ブレーキライニング材の摩擦係数を高める手段として、アルミナ、シリカ、ジルコンサンド、マイカ等のアブレッシブを配合する。これらの成分が相手材のブレーキロータを制動時にミクロンオーダーで引っ掻くことにより、摩擦係数が高くなる。この引っ掻き抵抗は速度が高くなるにつれて低下する。これをμ(摩擦係数)−V(速度)特性であらわすと図1に示すようなμ−V負勾配を持った特性となる。
【0004】
すなわち、図1は摺動速度と摩擦係数の関係を示し、摩擦調整剤、繊維基材、結合剤を含むブレーキライニングにおいて3重量%のアルミナを入れた組成で摩擦特性を計測した。
なお、図1は初速6(m/sec)、0.3Gで減速した場合のμ−V特性を示す。タイヤ径:600mm、ブレーキロータ有効径:250mmで減速Gは換算した。約2.5(m/sec)は車両速度20(km/h)に相当する。
μ−V勾配が図1のように負であると自励振動を励起力とする異音が発生し易くなる。
【0005】
また、摩擦材に一定の面圧を与え、ある速度 V0から減速をした場合のμ(摩擦係数)−T(時間)特性を表すと図2のように時間が経過するにつれて摩擦係数が上昇する特性になる。この速度に対して摩擦係数が低下する(制動中に時間が経過するにつれて摩擦係数が上昇する)特性は、制動中のドライバーにより高い安心感を与える。
すなわち、図2は、摩擦係数(μ)の時間変化を示し、図1のμ−Vを制動時間とμの関係に書き直したものである。
【0006】
制動時に発生する鳴き(1〜十数KHzのスキール音)や異音(約50〜300Hzのグローン音)は、ドライバーに不快感を与える場合がある。鳴きや異音は、摩擦による自励振動が音として伝達したものであり、摩擦係数(μ)が高いと発生し易く、速度が小さくなるにつれて摩擦係数が大きくなると発生し易い。この鳴きの振動数は通常約1000〜15000Hzであり、特に200℃以上の高温熱履歴を受けた後に発生頻度が高くなることが分かっている。
【0007】
乗用車に用いられるブレーキライニングには、例えば、特許文献1、特許文献2、非特許文献1等に示されるように、金属繊維、無機繊維、有機繊維等の繊維基材と、フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂を主成分とする結合剤と、さらに黒鉛、三硫化アンチモン等の潤滑剤、鉄、銅、黄銅等の金属粉、硫酸バリウム、炭酸カルシウム等の充填剤、カシューダスト、NBR、SBR等の摩擦調整剤及びアブレッシブ等が含まれている。ブレーキライニング材は、これらの混合物を加熱加圧成形することで得られる。
【0008】
【特許文献1】
特開昭49−21544号公報(第1−2頁)
【特許文献2】
特開平2−132175号公報(第1−3頁)
【非特許文献1】
潤滑第19巻9号(1974年)(第626頁)
【0009】
しかしながら上記の特許文献1、特許文献2、非特許文献1等に示されるようなブレーキライニング材は、速度に対して摩擦係数が低下するような(制動中に時間が経過するにつれて摩擦係数が上昇する)特性のブレーキライニング材ではないため、ブレーキ踏力に対し期待以上に制動力の増加が認められず、ドライバーに不快感を与え、異音や鳴きが発生し易いという欠点を有していた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、速度に対して摩擦係数が低下するような(制動中に時間が経過するにつれて摩擦係数が上昇する)特性を有し、ブレーキ踏力に対し期待以上に制動力を増加させ、ドライバーに安心感を得させ、異音や鳴きが発生し難い自動車用非石綿ブレーキライニング材を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、繊維基材、結合剤及び摩擦調整剤を含む自動車用非石綿ブレーキライニング材において、繊維基材又は摩擦調整剤の一部に鉄成分を含み、さらに摩擦調整剤の一部にアブレッシブを含み、かつショアー硬度が80以下で380〜430℃における液状分解物量が40重量%以上のカシューダスト粉末を含有してなる自動車用非石綿ブレーキライニング材に関する。
【0012】
また、本発明は、全組成物中に、鉄成分が、2〜10体積%、アブレッシブが、5〜15体積%及びカシューダスト粉末が、3〜30体積%含有してなる前記の自動車用非石綿ブレーキライニング材に関する。
また、本発明は、鉄成分が鉄繊維であり、かつ鉄繊維の平均繊維径が50〜500μmである前記の自動車用非石綿ブレーキライニング材に関する。
さらに、本発明は、カシューダスト粉末が、平均粒径が150〜400μmである前記の自動車用非石綿ブレーキライニング材に関する。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明において、繊維基材又は摩擦調整剤の一部に用いられる鉄成分は、速度に対して摩擦係数が低下するような(制動中に時間が経過するにつれて摩擦係数が上昇する)特性が得られる点及び異音や鳴きの発生を抑制する点で全組成物中に、2〜10体積%含有することが好ましく、3〜8体積%含有することがさらに好ましい。鉄成分としては、繊維状又は粉末状の状態で用いることができる。
なお、鉄繊維を用いる場合は、平均繊維径が50〜500μmのものを用いることが好ましく、100〜300μmのものを用いることがさらに好ましい。
【0014】
また、摩擦調整剤の一部に用いられるアブレッシブは、摩擦係数を高くする点、鳴きの発生やブレーキロータ摩耗の増大を防止する点及び速度に対して摩擦係数の低下する(制動中に時間が経過するにつれて摩擦係数が上昇する)ような特性を高める点で全組成物中に、5〜15体積%含有することが好ましく、7〜15体積%含有することがさらに好ましい。
【0015】
アブレッシブとしては、アルミナ、シリカ、ジルコンサンド、ジルコニア、ムライト、タルク、クレー、窒化ケイ素、炭化ケイ素等又は白雲母、金雲母等のマイカなどを用いることができ、特に、モース硬度が3以上で、かつ融点が1800℃以上のものを使用すれば摩擦係数の温度の上昇に対する変化が少ないので好ましい。また粒度は10μm以下のものであれば相手材であるブレーキロータの摩耗が少なくてすむので好ましい。
【0016】
カシューダスト粉末は、カシューオイルの硬化の形態により、ショアー硬度が40〜100及び380〜430℃における液状分解物量が0〜70重量%のものがあるが、本発明で用いるカシューダスト粉末としては、ショアー硬度が80以下及び380〜430℃における液状分解物量が40重量%以上、好ましくはショアー硬度が75以下及び380〜430℃における液状分解物が30重量%以上とされ、ショアー硬度が80を超え380〜430℃における液状分解物量が40重量%未満のカシューダスト粉末を用いると停止間際においても摩擦係数が上昇し、異音と鳴きが発生し易くなる。
【0017】
なお、380〜430℃における液状分解物とは、380〜430℃において2時間放置したカシューダスト粉末から抽出されるタール状の分解物である。
ショアー硬度が80以下及び380〜430℃における液状分解物量が40重量%以上のカシューダスト粉末は、全組成物中に、3〜30体積%含有することが好ましく、5〜20体積%含有することがさらに好ましい。
また、カシューダスト粉末は、平均粒径が150〜400μmのものを用いることが好ましく、200〜300μmのものを用いることがさらに好ましい。
【0018】
本発明に用いられるブレーキライニング材の繊維基材としては、上記の鉄繊維の他に、アラミド繊維、アクリル繊維、フェノール繊維等の有機繊維、ガラス繊維、炭素繊維、セラミック繊維、ロックウール、チタン酸カリウム繊維等の無機繊維、銅繊維、黄銅繊維、青銅繊維等の金属繊維の1種又は2種以上を混合したものを用いることができる。繊維基材の含有量は、全組成物中に20〜50体積%とすることが好ましく、25〜40体積%とすることがさらに好ましい。
【0019】
結合剤としては、従来公知のものを用いることができ、特に制限はないが、例えば、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、フラン樹脂等を単独または併用して用いることができる。結合剤の含有量は、全組成物中に10〜30体積%とすることが好ましく、15〜25体積%とすることがさらに好ましい。
【0020】
また、摩擦調整剤としては、上記のアブレッシブ並びにショアー硬度が80以下及び380〜430℃における液状分解物量が40重量%以上のカシューダスト粉末以外に黒鉛、三硫化アンチモン、二硫化モリブデン 等の潤滑剤、鉄、銅、黄銅等の金属粉、硫酸バリウム、酸化カルシウム、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、硫酸バリウム、炭酸マグネシウム等の充填剤、NBR、SBR等の有機質摩擦調整剤など1種又は2種以上併用したものを用いることができる。摩擦調整剤の含有量は、全組成物中に30〜60体積%とすることが好ましく、35〜50体積%とすることがさらに好ましい。
なお、本発明において、各成分の体積%は、その成分の使用重量をその成分の密度で除して算出した値である。
【0021】
本発明になるブレーキライニング材を用いてブレーキライニングを得るには、繊維基材、結合剤及び摩擦調整剤を含む組成物を均一に混合した後、予備成形し、次いで金型内に裏金及び予備成形体を挿設した後、加熱加圧成形法で成形し、熱処理を行って得られる。成形温度は130〜170℃が好ましく、140〜160℃がさらに好ましい。圧力は20〜60MPaが好ましく、30〜50MPaがさらに好ましい。熱処理温度は100〜300℃が好ましく、150〜250℃がさらに好ましい。
【0022】
【実施例】
以下、本発明の実施例を説明する。
実施例1〜3、比較例1〜2
表1に示す成分を配合し、混合機内で均一に混合してブレーキライニング材を得た後、予備成形し、次いで金型内に裏金及び予備成形体を挿設した後、温度140℃、圧力40MPaの条件で10分間加熱加圧成形し、その後200℃で6時間熱処理してブレーキライニングを得た。
【0023】
なお、表1に示す成分において、鉄繊維は平均繊維径が100μmのものを、ノボラックフェノール樹脂は、日立化成工業(株)製、商品名HP491UPを、カシューダストAは、ショアー硬度が70及び400℃における熱分解物量が42重量%で平均粒径が250μmのカシューダスト粉末を、またカシューダストBは、非石綿ブレーキライニング材で一般的に用いられているショアー硬度が92及び400℃における熱分解物量が4重量%で平均粒径が250μmのカシューダスト粉末を用いた。さらにマイカとして金雲母を使用した。表1に示す組成の数値は体積%を示す。
【0024】
【表1】
【0025】
次に、本発明になる実施例1〜3で得たブレーキライニング材を用いたブレーキライニングと比較例1〜2で得たブレーキライニング材を用いたブレーキライニングについてダイナモ試験機でJASO C406(乗用車ブレーキ装置ダイナモメータ試験方法)に準じて平均摩擦係数及び摩擦係数上昇を測定した。その測定結果を表2に示す。また車両を用いて、温度、速度及び減速度を変化させて制動を行い、鳴き・異音の発生率を測定した。この測定結果も合わせて表2に示す。
【0026】
【表2】
【0027】
鳴き及び異音の発生率は、次式により求めた。
【数1】
鳴き・異音の発生率(%)=鳴き・異音発生回数(回)/制動回数(回)×100…数1
【0028】
表2に示されるように本発明になるブレーキライニング材を用いたブレーキライニングは、比較例1のブレーキライニング材を用いたブレーキライニングに比較して鳴き及び異音の発生率が少ないことが明らかである。また、比較例2のブレーキライニング材を用いたブレーキライニングに比較してμ(摩擦係数)の上昇が大きいことが明らかである。μの上昇が大きければ、効きの上昇があり、ドライバーの安心感をより高めることができ、ドライバーがブレーキペダルを踏んでブレーキコントロールするとき、より意のままに操ることができる。
【0029】
【発明の効果】
本発明によれば、速度に対して摩擦係数の低下するような(制動中に時間が経過するにつれて摩擦係数が上昇する)特性のブレーキライニング材が得られるため、ブレーキ踏力に対し期待以上に制動力が増加するので、ドライバーはより高い安心感を得ることができ、また摩擦係数が高いため、ドライバーがブレーキペダルを踏んでブレーキコントロールするとき、より意のままに操れ、ドライバーに不快感を与える鳴きや異音が発生し難く、工業的に極めて好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】摺動速度と摩擦係数との関係を示すグラフである。
【図2】制動時間と摩擦係数との関係を示すグラフである。
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車のブレーキに使用される非石綿系ブレーキライニング材に関する。特にブレーキの効きがより高く、ドライバーがより高い安心感が得られるようなブレーキの効きの上昇があり、かつ鳴きやブレーキ異音の発生し難い自動車用非石綿ブレーキライニング材に関する。
【0002】
【従来の技術】
ブレーキの機能は、ブレーキロータとブレーキライニング材の接触で摩擦を発生させ、自動車の運動エネルギーを熱に変換するものである。 ドライバーがブレーキペダルを踏んでブレーキコントロールするとき、より意のままに操れるようにするには、ブレーキ踏力が軽く、ペダルストロークも短くすることが望まれる。ブレーキ踏力を軽くするためには、ブレーキライニング材の摩擦係数を高める必要がある。
【0003】
ブレーキライニング材の摩擦係数を高める手段として、アルミナ、シリカ、ジルコンサンド、マイカ等のアブレッシブを配合する。これらの成分が相手材のブレーキロータを制動時にミクロンオーダーで引っ掻くことにより、摩擦係数が高くなる。この引っ掻き抵抗は速度が高くなるにつれて低下する。これをμ(摩擦係数)−V(速度)特性であらわすと図1に示すようなμ−V負勾配を持った特性となる。
【0004】
すなわち、図1は摺動速度と摩擦係数の関係を示し、摩擦調整剤、繊維基材、結合剤を含むブレーキライニングにおいて3重量%のアルミナを入れた組成で摩擦特性を計測した。
なお、図1は初速6(m/sec)、0.3Gで減速した場合のμ−V特性を示す。タイヤ径:600mm、ブレーキロータ有効径:250mmで減速Gは換算した。約2.5(m/sec)は車両速度20(km/h)に相当する。
μ−V勾配が図1のように負であると自励振動を励起力とする異音が発生し易くなる。
【0005】
また、摩擦材に一定の面圧を与え、ある速度 V0から減速をした場合のμ(摩擦係数)−T(時間)特性を表すと図2のように時間が経過するにつれて摩擦係数が上昇する特性になる。この速度に対して摩擦係数が低下する(制動中に時間が経過するにつれて摩擦係数が上昇する)特性は、制動中のドライバーにより高い安心感を与える。
すなわち、図2は、摩擦係数(μ)の時間変化を示し、図1のμ−Vを制動時間とμの関係に書き直したものである。
【0006】
制動時に発生する鳴き(1〜十数KHzのスキール音)や異音(約50〜300Hzのグローン音)は、ドライバーに不快感を与える場合がある。鳴きや異音は、摩擦による自励振動が音として伝達したものであり、摩擦係数(μ)が高いと発生し易く、速度が小さくなるにつれて摩擦係数が大きくなると発生し易い。この鳴きの振動数は通常約1000〜15000Hzであり、特に200℃以上の高温熱履歴を受けた後に発生頻度が高くなることが分かっている。
【0007】
乗用車に用いられるブレーキライニングには、例えば、特許文献1、特許文献2、非特許文献1等に示されるように、金属繊維、無機繊維、有機繊維等の繊維基材と、フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂を主成分とする結合剤と、さらに黒鉛、三硫化アンチモン等の潤滑剤、鉄、銅、黄銅等の金属粉、硫酸バリウム、炭酸カルシウム等の充填剤、カシューダスト、NBR、SBR等の摩擦調整剤及びアブレッシブ等が含まれている。ブレーキライニング材は、これらの混合物を加熱加圧成形することで得られる。
【0008】
【特許文献1】
特開昭49−21544号公報(第1−2頁)
【特許文献2】
特開平2−132175号公報(第1−3頁)
【非特許文献1】
潤滑第19巻9号(1974年)(第626頁)
【0009】
しかしながら上記の特許文献1、特許文献2、非特許文献1等に示されるようなブレーキライニング材は、速度に対して摩擦係数が低下するような(制動中に時間が経過するにつれて摩擦係数が上昇する)特性のブレーキライニング材ではないため、ブレーキ踏力に対し期待以上に制動力の増加が認められず、ドライバーに不快感を与え、異音や鳴きが発生し易いという欠点を有していた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、速度に対して摩擦係数が低下するような(制動中に時間が経過するにつれて摩擦係数が上昇する)特性を有し、ブレーキ踏力に対し期待以上に制動力を増加させ、ドライバーに安心感を得させ、異音や鳴きが発生し難い自動車用非石綿ブレーキライニング材を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、繊維基材、結合剤及び摩擦調整剤を含む自動車用非石綿ブレーキライニング材において、繊維基材又は摩擦調整剤の一部に鉄成分を含み、さらに摩擦調整剤の一部にアブレッシブを含み、かつショアー硬度が80以下で380〜430℃における液状分解物量が40重量%以上のカシューダスト粉末を含有してなる自動車用非石綿ブレーキライニング材に関する。
【0012】
また、本発明は、全組成物中に、鉄成分が、2〜10体積%、アブレッシブが、5〜15体積%及びカシューダスト粉末が、3〜30体積%含有してなる前記の自動車用非石綿ブレーキライニング材に関する。
また、本発明は、鉄成分が鉄繊維であり、かつ鉄繊維の平均繊維径が50〜500μmである前記の自動車用非石綿ブレーキライニング材に関する。
さらに、本発明は、カシューダスト粉末が、平均粒径が150〜400μmである前記の自動車用非石綿ブレーキライニング材に関する。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明において、繊維基材又は摩擦調整剤の一部に用いられる鉄成分は、速度に対して摩擦係数が低下するような(制動中に時間が経過するにつれて摩擦係数が上昇する)特性が得られる点及び異音や鳴きの発生を抑制する点で全組成物中に、2〜10体積%含有することが好ましく、3〜8体積%含有することがさらに好ましい。鉄成分としては、繊維状又は粉末状の状態で用いることができる。
なお、鉄繊維を用いる場合は、平均繊維径が50〜500μmのものを用いることが好ましく、100〜300μmのものを用いることがさらに好ましい。
【0014】
また、摩擦調整剤の一部に用いられるアブレッシブは、摩擦係数を高くする点、鳴きの発生やブレーキロータ摩耗の増大を防止する点及び速度に対して摩擦係数の低下する(制動中に時間が経過するにつれて摩擦係数が上昇する)ような特性を高める点で全組成物中に、5〜15体積%含有することが好ましく、7〜15体積%含有することがさらに好ましい。
【0015】
アブレッシブとしては、アルミナ、シリカ、ジルコンサンド、ジルコニア、ムライト、タルク、クレー、窒化ケイ素、炭化ケイ素等又は白雲母、金雲母等のマイカなどを用いることができ、特に、モース硬度が3以上で、かつ融点が1800℃以上のものを使用すれば摩擦係数の温度の上昇に対する変化が少ないので好ましい。また粒度は10μm以下のものであれば相手材であるブレーキロータの摩耗が少なくてすむので好ましい。
【0016】
カシューダスト粉末は、カシューオイルの硬化の形態により、ショアー硬度が40〜100及び380〜430℃における液状分解物量が0〜70重量%のものがあるが、本発明で用いるカシューダスト粉末としては、ショアー硬度が80以下及び380〜430℃における液状分解物量が40重量%以上、好ましくはショアー硬度が75以下及び380〜430℃における液状分解物が30重量%以上とされ、ショアー硬度が80を超え380〜430℃における液状分解物量が40重量%未満のカシューダスト粉末を用いると停止間際においても摩擦係数が上昇し、異音と鳴きが発生し易くなる。
【0017】
なお、380〜430℃における液状分解物とは、380〜430℃において2時間放置したカシューダスト粉末から抽出されるタール状の分解物である。
ショアー硬度が80以下及び380〜430℃における液状分解物量が40重量%以上のカシューダスト粉末は、全組成物中に、3〜30体積%含有することが好ましく、5〜20体積%含有することがさらに好ましい。
また、カシューダスト粉末は、平均粒径が150〜400μmのものを用いることが好ましく、200〜300μmのものを用いることがさらに好ましい。
【0018】
本発明に用いられるブレーキライニング材の繊維基材としては、上記の鉄繊維の他に、アラミド繊維、アクリル繊維、フェノール繊維等の有機繊維、ガラス繊維、炭素繊維、セラミック繊維、ロックウール、チタン酸カリウム繊維等の無機繊維、銅繊維、黄銅繊維、青銅繊維等の金属繊維の1種又は2種以上を混合したものを用いることができる。繊維基材の含有量は、全組成物中に20〜50体積%とすることが好ましく、25〜40体積%とすることがさらに好ましい。
【0019】
結合剤としては、従来公知のものを用いることができ、特に制限はないが、例えば、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、フラン樹脂等を単独または併用して用いることができる。結合剤の含有量は、全組成物中に10〜30体積%とすることが好ましく、15〜25体積%とすることがさらに好ましい。
【0020】
また、摩擦調整剤としては、上記のアブレッシブ並びにショアー硬度が80以下及び380〜430℃における液状分解物量が40重量%以上のカシューダスト粉末以外に黒鉛、三硫化アンチモン、二硫化モリブデン 等の潤滑剤、鉄、銅、黄銅等の金属粉、硫酸バリウム、酸化カルシウム、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、硫酸バリウム、炭酸マグネシウム等の充填剤、NBR、SBR等の有機質摩擦調整剤など1種又は2種以上併用したものを用いることができる。摩擦調整剤の含有量は、全組成物中に30〜60体積%とすることが好ましく、35〜50体積%とすることがさらに好ましい。
なお、本発明において、各成分の体積%は、その成分の使用重量をその成分の密度で除して算出した値である。
【0021】
本発明になるブレーキライニング材を用いてブレーキライニングを得るには、繊維基材、結合剤及び摩擦調整剤を含む組成物を均一に混合した後、予備成形し、次いで金型内に裏金及び予備成形体を挿設した後、加熱加圧成形法で成形し、熱処理を行って得られる。成形温度は130〜170℃が好ましく、140〜160℃がさらに好ましい。圧力は20〜60MPaが好ましく、30〜50MPaがさらに好ましい。熱処理温度は100〜300℃が好ましく、150〜250℃がさらに好ましい。
【0022】
【実施例】
以下、本発明の実施例を説明する。
実施例1〜3、比較例1〜2
表1に示す成分を配合し、混合機内で均一に混合してブレーキライニング材を得た後、予備成形し、次いで金型内に裏金及び予備成形体を挿設した後、温度140℃、圧力40MPaの条件で10分間加熱加圧成形し、その後200℃で6時間熱処理してブレーキライニングを得た。
【0023】
なお、表1に示す成分において、鉄繊維は平均繊維径が100μmのものを、ノボラックフェノール樹脂は、日立化成工業(株)製、商品名HP491UPを、カシューダストAは、ショアー硬度が70及び400℃における熱分解物量が42重量%で平均粒径が250μmのカシューダスト粉末を、またカシューダストBは、非石綿ブレーキライニング材で一般的に用いられているショアー硬度が92及び400℃における熱分解物量が4重量%で平均粒径が250μmのカシューダスト粉末を用いた。さらにマイカとして金雲母を使用した。表1に示す組成の数値は体積%を示す。
【0024】
【表1】
【0025】
次に、本発明になる実施例1〜3で得たブレーキライニング材を用いたブレーキライニングと比較例1〜2で得たブレーキライニング材を用いたブレーキライニングについてダイナモ試験機でJASO C406(乗用車ブレーキ装置ダイナモメータ試験方法)に準じて平均摩擦係数及び摩擦係数上昇を測定した。その測定結果を表2に示す。また車両を用いて、温度、速度及び減速度を変化させて制動を行い、鳴き・異音の発生率を測定した。この測定結果も合わせて表2に示す。
【0026】
【表2】
【0027】
鳴き及び異音の発生率は、次式により求めた。
【数1】
鳴き・異音の発生率(%)=鳴き・異音発生回数(回)/制動回数(回)×100…数1
【0028】
表2に示されるように本発明になるブレーキライニング材を用いたブレーキライニングは、比較例1のブレーキライニング材を用いたブレーキライニングに比較して鳴き及び異音の発生率が少ないことが明らかである。また、比較例2のブレーキライニング材を用いたブレーキライニングに比較してμ(摩擦係数)の上昇が大きいことが明らかである。μの上昇が大きければ、効きの上昇があり、ドライバーの安心感をより高めることができ、ドライバーがブレーキペダルを踏んでブレーキコントロールするとき、より意のままに操ることができる。
【0029】
【発明の効果】
本発明によれば、速度に対して摩擦係数の低下するような(制動中に時間が経過するにつれて摩擦係数が上昇する)特性のブレーキライニング材が得られるため、ブレーキ踏力に対し期待以上に制動力が増加するので、ドライバーはより高い安心感を得ることができ、また摩擦係数が高いため、ドライバーがブレーキペダルを踏んでブレーキコントロールするとき、より意のままに操れ、ドライバーに不快感を与える鳴きや異音が発生し難く、工業的に極めて好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】摺動速度と摩擦係数との関係を示すグラフである。
【図2】制動時間と摩擦係数との関係を示すグラフである。
Claims (4)
- 繊維基材、結合剤及び摩擦調整剤を含む自動車用非石綿ブレーキライニング材において、繊維基材又は摩擦調整剤の一部に鉄成分を含み、さらに摩擦調整剤の一部にアブレッシブを含み、かつショアー硬度が80以下で380〜430℃における液状分解物量が40重量%以上のカシューダスト粉末を含有してなる自動車用非石綿ブレーキライニング材。
- 全組成物中に鉄成分が、2〜10体積%、アブレッシブが、5〜15体積%及びカシューダスト粉末が、3〜30体積%含有してなる請求項1記載の自動車用非石綿ブレーキライニング材。
- 鉄成分が鉄繊維であり、かつ鉄繊維の平均繊維径が50〜500μmである請求項1又は2記載の自動車用非石綿ブレーキライニング材。
- カシューダスト粉末が、平均粒径が150〜400μmである請求項1又は2記載の自動車用非石綿ブレーキライニング材。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2003202750A JP2005048785A (ja) | 2003-07-29 | 2003-07-29 | 自動車用非石綿ブレーキライニング材 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2003202750A JP2005048785A (ja) | 2003-07-29 | 2003-07-29 | 自動車用非石綿ブレーキライニング材 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2005048785A true JP2005048785A (ja) | 2005-02-24 |
Family
ID=34262338
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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| JP2003202750A Pending JP2005048785A (ja) | 2003-07-29 | 2003-07-29 | 自動車用非石綿ブレーキライニング材 |
Country Status (1)
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|---|---|
| JP (1) | JP2005048785A (ja) |
Cited By (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JPWO2017130332A1 (ja) * | 2016-01-27 | 2018-11-15 | 日立化成株式会社 | 摩擦材組成物、摩擦材及び摩擦部材 |
-
2003
- 2003-07-29 JP JP2003202750A patent/JP2005048785A/ja active Pending
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| JPWO2017130332A1 (ja) * | 2016-01-27 | 2018-11-15 | 日立化成株式会社 | 摩擦材組成物、摩擦材及び摩擦部材 |
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