JP2004323870A - 耐遅れ破壊特性の優れた高強度pc鋼線およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】重量%でC:0.6〜1.2%、Si:0.12〜2.0%、Mn:0.3〜1.0%、P:0.025%以下、S:0.0025%以下を含み、さらに必要に応じて、Al、Cr、Mo、Ni、Cu、V、Nb、W、Ti、Bの1種または2種以上を含む鋼にパテンティングを行った後、冷間伸線加工し、フェライトとセメンタイトの層状組織とした後、最終工程において、時間を300≧t≧1(s)の範囲で、700−100×log(t)≧T≧450℃の高温にてブルーイングを行い、板状セメンタイト形状を、長さと厚みの比(以下アスペクト比とする)の平均値を30以下とした、引張強さが1650MPa以上の耐遅れ破壊特性に優れた高強度PC鋼線。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポール、パイルおよび建築、橋梁等のプレストレストコンクリート構造物の補強材として広く使われているPC鋼線に関わるものであり、特に強度が1650MPa以上である遅れ破壊特性の優れた高強度PC鋼線およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポール、パイルおよび建築、橋梁等のプレストレストコンクリート構造物の補強材として広く使われているPC鋼材は、通常、JIS G 3536に規定されているPC鋼線及びPC鋼より線、JISG 3109に規定されているPC鋼棒が使われている。PC鋼線に用いられる材料はJIS G 3502に適合したピアノ線材であり、パテンティング処理をした後、伸線加工することにより製造される。
【0003】
一方、PC鋼棒は、例えば特許文献1に記載されているように、C量が0.25〜0.35%の中炭素鋼を用いて焼入れ・焼戻し処理をすることによって製造されている。PC鋼棒の特徴として非特許文献1に記載されているように、強度が1275MPa(130kgf/mm2)を超えるような高強度PC鋼棒は、PC鋼線に比べて遅れ破壊特性が劣っている。そのためPC鋼棒の遅れ破壊特性を向上させるために従来多くの提案がある。例えば、特許文献2では、P、S含有量を低減することが有効であると提案している。また、特許文献1では、Si、Mn含有量を規制するとともに焼入れ処理後、焼戻し工程中で曲げ加工または引き抜き加工を施すことを提案している。これに対し、PC鋼線に関しては、もともとPC鋼棒と比較して耐遅れ破壊特性が優れていたことから、耐遅れ破壊特性向上という観点での発明は殆どなされていないのが現状である。しかしながら、近年PC鋼線にも高強度化、あるいは外ケーブル化が要求され現状では1650MPa級の高強度のものが要求されている。よく知られているように(例えば松山晋作著「遅れ破壊」/日刊工業新聞社)鋼材は高強度化するに従い、あるいは使用環境が過酷になるに従い、耐水素脆化感受性が増大するため、耐遅れ破壊特性を高めた高強度PC鋼線が求められている。例えば特許文献3では伸線加工後に所定の温度、所定の時間保持することによって、遅れ破壊特性を向上させることを提案している。しかしこれは鋼材組織、機械的性質を変えることなく、単に加熱により鋼材中の水素を除去することを目的としており、使用中に侵入してきた水素による破壊を抑制することはできず、耐遅れ破壊特性を向上させる根本的な対策とはいえない。特許文献4、特許文献5も同様である。
【0004】
【特許文献1】
特公平5−41684号公報
【特許文献2】
特公平5−59967号公報
【特許文献3】
特開平10−259425号公報
【特許文献4】
特開平8−337844号公報
【特許文献5】
特開平8−337845号公報
【非特許文献1】
「プレストレスコンクリート設計施工規準・同解説」(日本建築学会編集、丸善43〜45頁)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の如き実状に鑑みなされたものであって、遅れ破壊特性の良好な強度が1650MPa以上の高強度のPC鋼線を実現するとともにその製造方法を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、まずパテンティング・伸線・ブルーイングによって製造した種々の強度レベルのPC鋼線を用いて、遅れ破壊挙動を詳細に解析した。PC鋼線の遅れ破壊特性は、広く用いられているFIP試験によって評価した。これは、20質量%のチオシアン酸アンモニウム水溶液を50℃に加熱した溶液中で、PC鋼線にその大気中における破断荷重の70%の荷重を付与して破断時間を測定する方法である。この際、PC鋼線の試験溶液に接する表面積1cm2当たりの試験溶液量(以下比液量とする)は55cc/cm2とした。また、FIP試験におけるPC鋼線の水素吸蔵挙動を、昇温ガスクロマトグラフで測定した。
【0007】
以上の試験を行うことによって、高強度PC鋼線のFIP破断時間を増加させる、即ち遅れ破壊特性を上げるべく、鋼材成分、オーステナイト加熱温度、伸線条件、ブルーイング熱処理条件の影響等について検討を重ねた。この結果、ブルーイング時間(t)を300≧t≧1(s)の範囲で、700−100×log(t)≧T≧450℃の高温でブルーイングを施し、パーライト中のラメラ状セメンタイトの長さと幅の比であるアスペクト比の平均が30以下である組織を形成させれば、1650MPa以上の高強度域でもFIP試験の破断時間のf50値(累積破断率が50%の破断時間)が30時間以上であることを見出した。なお、以下比液量が55cc/cm2において、破断時間が30時間以上であれば、実使用で遅れ破壊の可能性が非常に小さい。なお、500℃以上のブルーイング温度で1650MPa以上を達成するには、鋼材成分、伸線減面率を適度に選択する必要がある。
【0008】
以上の検討結果に基づき、鋼材成分、伸線条件、ブルーイング条件を最適に選択すれば、遅れ破壊特性に優れた高強度PC鋼棒を実現できるという結論に達し、本発明をなしたものである。
【0009】
本発明は以上の知見に基づいてなされたものであって、その要旨とするところは、次の通りである。
(1)質量%で、C:0.6〜1.1%、Si:0.12〜2.0%、Mn:0.3〜1.0%、P:0.025%以下、S:0.0025%以下を含み、且つ、(フェライトとセメンタイトの層状組織である)パーライト組織を主体とし、かつパーライト中の板状セメンタイトの平均アスペクト比が30以下で、引張強さが1650MPa以上を有することを特徴とする耐遅れ破壊特性に優れた高強度PC鋼線。
(2)さらに、質量%で、Al:0.005〜0.1%、Cr:0.05〜2.0%、Mo:0.05〜1.0%、Ni:0.05〜3.0%、Cu:0.05〜1.0%、V:0.05〜0.3%、Nb:0.005〜0.1%、W:0.05〜0.5%、Ti:0.005〜0.05%、B:0.0003〜0.005%の1種または2種以上を含むことを特徴とする耐遅れ破壊特性に優れた高強度PC鋼線。
(3)質量%で、C:0.6〜1.1%、Si:0.12〜2.0%、Mn:0.3〜1.0%、P:0.025%以下、S:0.0025%以下を含み、(フェライトとセメンタイトの層状組織である)パーライト組織を主体とし、かつ50℃、20重量%のチオシアン酸アンモニウム溶液中に10時間以上浸漬し、100℃/hの速度で昇温した際、250℃以上の500℃以下の温度域での水素放出量の総和が0.2質量ppm以下で、引張強さが1650MPa以上を有することを特徴とする耐遅れ破壊特性に優れた高強度PC鋼線。
(4)さらに、質量%で、Al:0.005〜0.1%、Cr:0.05〜2.0%、Mo:0.05〜1.0%、Ni:0.05〜3.0%、Cu:0.05〜1.0%、V:0.05〜0.3%、Nb:0.005〜0.1%、W:0.05〜0.5%、Ti:0.005〜0.05%、B:0.0003〜0.005%の1種または2種以上を含むことを特徴とする耐遅れ破壊特性に優れた高強度PC鋼線。
(5)質量%で、C:0.6〜1.1%、Si:0.12〜2.0%、Mn:0.3〜1.0%、P:0.025%以下、S:0.0025%以下を含む鋼にパテンティングを行った後、冷間伸線加工し、フェライトとセメンタイトの層状組織とした組織を得た後、最終工程において、時間を300≧t≧1(s)の範囲で、700−100×log(t)≧T≧450℃の高温にてブルーイングを行うことにより引張強さが1650MPa以上とすることを特徴とする耐遅れ破壊特性に優れた高強度PC鋼線の製造方法。
(6)さらに、質量%で、Al:0.005〜0.1%、Cr:0.05〜2.0%、Mo:0.05〜1.0%、Ni:0.05〜3.0%、Cu:0.05〜1.0%、V:0.05〜0.3%、Nb:0.005〜0.1%、W:0.05〜0.5%、Ti:0.005〜0.05%、B:0.0003〜0.005%の1種または2種以上を含むことを特徴とする耐遅れ破壊特性に優れた高強度PC鋼線。
【0010】
【発明の実施の形態】
まず、本発明の対象とする鋼の成分の限定理由について述べる。以下、単位は質量%とする。
【0011】
C:CはPCの鋼線の強度を確保する上で必須の元素であるが、0.6%未満ではパテンティング時に初析フェライト量が増大するため所要の強度が得られず、一方1.1%を超えると初析セメンタイト量が増加し伸線特性が著しく劣化するため、0.6〜1.1%の範囲に制限した。
【0012】
Si:Siはリラクゼーション特性を向上させるとともに固溶体硬化作用によって強度を高める作用がある。0.12%未満では前記作用が発揮できず、一方、2%を超えるとその効果が飽和するため、0.12〜2.0%の範囲に制限した。
【0013】
Mn:Mnは脱酸、脱硫のために必要であるばかりでなく、パテンティング材の強度を高める作用があるが、0.3%未満では上記の効果が得られず、1%を超えると鋳造時の偏析が顕著になり、パテンティング時に伸線特性を劣化させるミクロマルテンサイトが生成するため、0.3〜1.0%の範囲に制限した。
【0014】
P:PはMnとともに共偏析し、著しく焼き入れ性を高めるため、パテンティング時のミクロマルテンサイトの生成を助長するため、0.025%以下とした。
【0015】
S:SはMnSとして析出し、伸線特性を劣化させるため、0.025%以下とした。
【0016】
以上が本発明の対象とする鋼の基本成分であるが、本発明においては、さらにこの鋼に重量%で、Al:0.005〜0.1%、Cr:0.05〜2.0%、Mo:0.05〜1.0%、Ni:0.05〜3.0%、Cu:0.05〜1.0%、V:0.05〜0.3%、Nb:0.005〜0.1%、W:0.05〜0.5%、Ti:0.005〜0.05%、B:0.0003〜0.0050%の1種または2種以上を含有せしめることができる。
【0017】
Al:Alは脱酸および熱処理時においてAlNを形成することによりオーステナイト粒の粗大化を防止し靭性劣化を抑制する効果とともにNを固定し遅れ破壊特性の向上に有効な固溶Bを確保する効果も有しているが、0.005%未満ではこれらの効果が発揮されず、0.1%を超えても効果が飽和するため0.005〜0.1%の範囲に限定した。
【0018】
Cr:Crはパーライトラメラ間隔を微細化し、パテンティング材を高強度化させるために有効な元素であるが、0.05%未満ではその効果が十分に発揮できず、一方2.0%を超えると効果が飽和するために0.05〜2.0%に限定した。
【0019】
Mo:MoはCrと同様にパーライトラメラ間隔を微細化するためパテンティング材を高強度化させるために有効な元素であるが、0.05%未満ではその効果が十分に発揮できず、一方1.0%を超えるとパーライト変態の進行を遅らせるため、0.05〜1.0%に制限した。
【0020】
Ni:Niは水素の侵入を抑制する効果があるが、0.05%未満では効果が発揮できず、一方3.0%を超えても添加量にみあう効果が発揮できないため、0.05〜3.0%の範囲に制限した。
【0021】
Cu:Cuも水素の侵入を抑制する効果があるが、0.05%未満では効果が発揮できず、1.0%を超えると熱間加工性が劣化するため、0.05〜1.0%に制限した。
【0022】
V:Vは炭窒化物を生成することによりオーステナイト粒を微細化させるために有効な元素である。また、パテンティング時にも炭化物として析出し、水素のトラップサイトとして機能するため耐遅れ破壊特性を向上させる効果があるが、0.05%未満では前記作用の効果が得られず、一方1.0%を超えても効果が飽和するため0.05〜1.0%に限定した。
【0023】
Nb:NbもVと同様に炭窒化物を生成することによりオーステナイト粒を微細化させ、延性および靭性を改善するために有効な元素である。0.005%未満では上記効果が不十分であり、一方0.1%を超えるとこの効果が飽和するため0.005〜0.1%に制限した。
【0024】
W:WはVと同様、高強度のPC鋼線の遅れ破壊特性を向上させるために有効な元素であるが、0.05%未満では前記の効果が発揮されず、一方、0.5%を超えて添加しても効果が飽和するため、0.05〜0.5%の範囲に限定した。
【0025】
Ti:Tiは脱酸およびTiNを形成することによりオーステナイト粒の粗大化を防止する効果とともにNを固定し遅れ破壊特性の向上に有効な固溶Bを確保する効果を有しているが、0.005%未満ではこれらの効果が発揮されず、0.05%を超えても効果が飽和するため0.005〜0.05%の範囲に限定した。
【0026】
B:Bは遅れ破壊特性を向上させる効果があるが、Bが0.0003%未満では前記の効果が発揮されず、0.0050%を超えても効果が飽和するため0.0003〜0.0050%に制限した。
【0027】
N:NはAl、V、Nb、Tiの窒化物を生成することによりオーステナイト粒の細粒化効果があり、延性および靭性の向上に寄与できるため、0.003〜0.015%が好ましい範囲である。
【0028】
次に本発明で目的とする高強度PC鋼線の遅れ破壊特性の向上に対して最も重要な点であるPC鋼線の組織形態およびブルーイング温度の限定理由について述べる。
【0029】
図1にブルーイング温度がFIP試験による平均破断時間に及ぼす影響について解析した一例を示す。FIP試験は比液量55cc/cm2、負荷荷重は1200MPaで、各鋼種について12本ずつ実施した結果である。同図から明らかなように、ブルーイング温度が高くなるに伴いFIP試験におけるf50破断時間は長くなり、耐遅れ破壊特性が改善されたことを示す。好ましいブルーイング温度は500℃以上である。ブルーイング温度とブルーイング時間の関係について、図2に示す。図中、●はFIP試験f50破断時間が30h以上のもの、×は、30h未満のもの、または1650MPa未満のものを示す。効果が認められるのは、ブルーイング時間が300≧t≧1(s)の範囲で、且つ、ブルーイング温度が700−100×log(t)≧T≧450℃の範囲である。
【0030】
伸線されたパーライト組織において、板状に伸延されたセメンタイトは、図3に示すように、高温でブルーイングすることによって溶解し分断される。図4はブルーイング温度が板状セメンタイトの長さと厚みの比(アスペクト比)に及ぼす影響を解析した結果を示す。測定は、試験片を飽和ピクラール溶液でエッチングした後に走査型電子顕微鏡(SEM)でセメンタイトが直線的であるような任意の3箇所を5000倍で撮影し、その視野を画像解析によって平均アスペクト比を求めた。同図より、ブルーイング温度が高くなるに伴ってセメンタイトは分断され、球状化されることを示す。
【0031】
図5は、セメンタイトのアスペクト比がFIP破断時間に及ぼす影響を示す。セメンタイトのアスペクト比が小さくなるに伴ってFIP破断時間は長くなる。顕著な効果が認められるのは、アスペクト比が30以下の場合であり、より好ましくは20以下である。これは、セメンタイトのアスペクト比が小さいと、亀裂先端の応力緩和が容易になるためFIP破断時間が長くなるものと考えられる。
【0032】
なお、このような組織状態であることを確認する簡便な手法として、水素昇温分析によって250℃〜500℃の温度域で放出される水素量を測定することによって特定する方法を考案した。図6に、図3で示すパーライト組織を有するPC鋼線を、10時間FIP試験を実施した後に取り出し、100℃/hの昇温速度で水素分析を実施した際の水素放出曲線を示す。350℃ブルーイング材は、100℃と350℃近傍に水素放出のピークを有する。100℃のピークは拡散性水素量、350℃のピークはセメンタイトとフェライト界面近傍にパイルアップした加工転位にトラップされる水素と考えられている。高温ブルーイングすることによってセメンタイトは球状化し、界面転位は減少するため、トラップ水素量も減少する。そのため、図6において、500℃ブルーイング材は350℃のピークが検出されない。図7に、ブルーイング温度と350℃ピークの水素量(250℃から500℃の放出水素量)の関係を示す。図のように、ブルーイング温度と350℃ピークの水素は密接な関係があり、450℃以上のブルーイング温度であれば、250℃から500℃の放出水素量は0.2質量ppm以下である。
【0033】
【実施例】
表1に示す化学組成を有する供試材を通常の熱間圧延条件で圧延した後、種々の温度範囲でパテンティング、伸線し、温度を変えてブルーイングを実施し、PC鋼線を製造した。ブルーイング時間は30sとした。上記のPC鋼線を用いて、機械的性質、組織形態、遅れ破壊特性について評価した結果を表2に示す。遅れ破壊特性は、FIP試験にて、1200MPaの負荷応力で実施した。評価は、FIP試験における12本の破断時間のf50をとることによって実施した。
【0034】
表1、2のA〜Tが本発明例で、その他は比較例である。同表に見られるように本発明例はいずれもブルーイング温度が450℃以上で、引張強さ1650MPa以上を達成している。FIP試験におけるf50破断時間は30時間以上である。
【0035】
比較例であるUは、鋼材成分および伸線減面率が適当でなかったために、450℃以上のブルーイングで1650MPaを達成できなかった例である。
【0036】
比較例であるV〜Zはいずれも従来の製造方法で製造したものである。即ち、400℃以下のブルーイングを実施しており、1650MPa以上を達成しているものの、セメンタイトのアスペクト比が30より大きく、FIP試験の破断時間は30時間以下であり、遅れ破壊特性が悪い例である。
【0037】
【表1】
【0038】
【表2】
【0039】
【発明の効果】
本発明は伸線パーライト鋼よりなるPC鋼線において、板状セメンタイトのアスペクト比を制御することによって、引張強さが1650MPa以上の高強度PC鋼線の遅れ破壊特性を大幅に向上させることを可能にするとともに、鋼の化学成分、伸線減面率、ブルーイング条件を最適に選択することによって、その製造方法を確立したものであり、産業上の効果は極めて顕著なものがある。
【図面の簡単な説明】
【図1】ブルーイング温度がFIP試験破断時間に及ぼす影響を示す図である。
【図2】ブルーイング温度・時間がFIP結果に及ぼす影響を示す図である。
【図3】(a)は350℃ブルーイング材、(b)は500℃ブルーイング材のセメンタイト形状を示す図である。
【図4】セメンタイトのアスペクト比がFIP破断時間に及ぼす影響を示す図である。
【図5】ブルーイング温度がセメンタイトのアスペクト比に及ぼす影響を示す図である。
【図6】ブルーイング温度が昇温水素分析における水素放出曲線に及ぼす影響を示す図。
【図7】ブルーイング温度が昇温分析の250〜500℃の温度で放出される水素量に及ぼす影響を示す図である。
Claims (7)
- 質量%で、C:0.6〜1.1%、Si:0.12〜2.0%、Mn:0.3〜1.0%、P:0.025%以下、S:0.0025%以下を含み、且つ、(フェライトとセメンタイトの層状組織である)パーライト組織を主体とし、かつパーライト中の板状セメンタイトの平均アスペクト比が30以下で、引張強さが1650MPa以上を有することを特徴とする耐遅れ破壊特性に優れた高強度PC鋼線。
- さらに、質量%で、Al:0.005〜0.1%、Cr:0.05〜2.0%、Mo:0.05〜1.0%、Ni:0.05〜3.0%、Cu:0.05〜1.0%、V:0.05〜0.3%、Nb:0.005〜0.1%、W:0.05〜0.5%、Ti:0.005〜0.05%、B:0.0003〜0.005%の1種または2種以上を含むことを特徴とする耐遅れ破壊特性に優れた高強度PC鋼線。
- 質量%で、C:0.6〜1.1%、Si:0.12〜2.0%、Mn:0.3〜1.0%、P:0.025%以下、S:0.0025%以下を含み、(フェライトとセメンタイトの層状組織である)パーライト組織を主体とし、かつ50℃、20重量%のチオシアン酸アンモニウム溶液中に10時間以上浸漬し、100℃/hの速度で昇温した際、250℃以上の500℃以下の温度域での水素放出量の総和が0.2質量ppm以下で、引張強さが1650MPa以上を有することを特徴とする耐遅れ破壊特性に優れた高強度PC鋼線。
- さらに、質量%で、Al:0.005〜0.1%、Cr:0.05〜2.0%、Mo:0.05〜1.0%、Ni:0.05〜3.0%、Cu:0.05〜1.0%、V:0.05〜0.3%、Nb:0.005〜0.1%、W:0.05〜0.5%、Ti:0.005〜0.05%、B:0.0003〜0.005%の1種または2種以上を含むことを特徴とする耐遅れ破壊特性に優れた高強度PC鋼線。
- 質量%で、C:0.6〜1.1%、Si:0.12〜2.0%、Mn:0.3〜1.0%、P:0.025%以下、S:0.0025%以下を含む鋼にパテンティングを行った後、冷間伸線加工し、フェライトとセメンタイトの層状組織とした組織を得た後、最終工程において、時間を300≧t≧1(s)の範囲で、700−100×log(t)≧T≧450℃の高温にてブルーイングを行うことにより引張強さが1650MPa以上とすることを特徴とする耐遅れ破壊特性に優れた高強度PC鋼線の製造方法。
- さらに質量%で、Al:0.005〜0.1%、Cr:0.05〜2.0%、Mo:0.05〜1.0%、Ni:0.05〜3.0%、Cu:0.05〜1.0%、V:0.05〜0.3%、Nb:0.005〜0.1%、W:0.05〜0.5%、Ti:0.005〜0.05%、B:0.0003〜0.005%の1種または2種以上を含むことを特徴とする耐遅れ破壊特性に優れた高強度PC鋼線。
- 上記請求項1〜7のいずれかの項を満足するPC鋼線を製造するための圧延線材。
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