JP2004321895A - 塗装方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ワキ不具合や肌不良といった塗装不良を防止しつつ下塗り塗装と中塗り塗装とのウェットオンウェット塗装系が実現できる塗装方法を提供する。
【解決手段】少なくとも下塗り塗料、中塗り塗料及び上塗り塗料の3つの塗料を塗装する塗装方法であって、水系下塗り塗料を塗装したのち、親水性溶剤により下塗り塗膜面を処理して低温で加温し、さらにウェットオンウェットで中塗り塗料を塗装し、これらを同時に焼き付け硬化させる。
【選択図】 図1
【解決手段】少なくとも下塗り塗料、中塗り塗料及び上塗り塗料の3つの塗料を塗装する塗装方法であって、水系下塗り塗料を塗装したのち、親水性溶剤により下塗り塗膜面を処理して低温で加温し、さらにウェットオンウェットで中塗り塗料を塗装し、これらを同時に焼き付け硬化させる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【技術分野】
本発明は、自動車ボディ等に適用して好ましい塗装方法に関し、特に下塗り塗料と中塗り塗料とをウェットオンウェットで塗装し、これを同時に焼き付ける2コート1ベーク系の塗装方法に関する。
【0002】
【背景技術】
自動車ボディの塗装系は、エポキシ系樹脂を主剤とする電着塗料などが適用される下塗り塗装と、ポリエステル系樹脂を主剤とする中塗り塗料と、同じくポリエステル系塗料を主剤とする上塗り塗料の3種の塗料を用い、下塗り塗装を施したのちこれを焼き付け、硬化した下塗り塗膜の上に中塗り塗装を施したのちこれを焼き付け、硬化した中塗り塗膜の上に上塗り塗装を施したのちこれを焼き付けることで完成する、いわゆる3コート3ベーク系の塗装方法が採用されている。
【0003】
ところが、こうした3コート3ベーク塗装系では、下塗り塗装工程、中塗り塗装工程及び上塗り塗装工程のそれぞれに乾燥炉が必要とされるので、乾燥炉を設置するための広い工程スペースが必要となり、また乾燥炉で消費されるエネルギが自動車の生産コストに反映する。
【0004】
そこで、これら3つの工程に設けられた乾燥炉を2つ以下に減じて上記問題を解決するために、下塗り塗装と中塗り塗装又は中塗り塗装と上塗り塗装をウェットオンウェットで塗装することが検討されている。
【0005】
しかしながら、下塗り塗装と中塗り塗装とをウェットオンウェットで塗装し、これらを同時に焼き付ける塗装系では、以下の問題があった。
【0006】
すなわち、下塗り塗料の焼き付け温度は170℃×20分保持であるのに対し、中塗り塗料の焼き付け温度は140℃×20分保持であるため、これらを同時に焼き付けると、図4に示すように上層に塗装された中塗り塗膜が140℃近傍で先に硬化し始めたのちに下層に塗装された下塗り塗膜が170℃近傍で硬化し始める。
【0007】
このため、下層の下塗り塗膜が硬化する際に、その溶剤が、既に硬化が進行している中塗り塗膜を突き破って蒸発するワキ不具合や、中塗り塗膜が硬化したのちに下塗り塗膜が硬化して収縮することで中塗り塗膜が肌不良になるといった問題があった。
【0008】
【発明の開示】
本発明は、ワキ不具合や肌不良といった塗装不良を防止しつつ下塗り塗装と中塗り塗装とのウェットオンウェット塗装系が実現できる塗装方法を提供することを目的とする。
【0009】
上記目的を達成するために、本発明によれば、少なくとも下塗り塗料、中塗り塗料及び上塗り塗料の3つの塗料を塗装する塗装方法において、水系下塗り塗料を塗装したのち、親水性溶剤により下塗り塗膜面を処理して低温で加温し、さらにウェットオンウェットで前記中塗り塗料を塗装し、これらを同時に焼き付け硬化させ、前記上塗り塗料を塗装することを特徴とする塗装方法が提供される。
【0010】
本発明では、親水性溶剤を用いて水系下塗り塗膜を処理して加温した後、これら下塗り塗料と中塗り塗料とを同時に焼き付け硬化させるので、親水性溶剤による処理および加温の際に、下層の下塗り塗膜に残存した溶剤分、すなわち水分の蒸発が促進され(特に、水との共沸によって沸点が水単独の沸点より降下し)、下層の下塗り塗料の溶剤が未硬化状態である上層の中塗り塗膜を突き破るといったワキ不具合の発生を防止することができ、また中塗り塗膜の肌不良を防止することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1(A)は本発明の実施形態に係る塗装方法を示す工程図である。
【0012】
本実施形態に係る塗装方法は、下塗り塗装、中塗り塗装及び上塗り塗装の3コート系の塗装系において、下塗り塗装と中塗り塗装とをウェットオンウェットで塗装し、これらを同時に焼き付けたのち上塗り塗装を施す、いわゆる3コート2ベークの塗装系である。下塗り塗装と中塗り塗装に関していえば2コート1ベークの塗装系である。
【0013】
すなわち、洗浄・前処理された被塗物である自動車ボディを電着槽に浸漬させることで電着塗装を施し、これを焼き付け硬化させることなく中塗りブースに搬送し、未硬化の電着塗膜上に中塗り塗料を塗装したのち、中塗り乾燥炉にてこれら未硬化の電着塗膜及び中塗り塗膜を同時に焼き付ける。
【0014】
ここで、本実施形態で用いられる電着塗料は水系塗料であり、また電着塗料と中塗り塗料は、硬化温度及び硬化温度保持時間が実質的に同一である。従来の電着塗料の硬化条件は170℃×20分保持が一般的であり、また中塗り塗料の硬化条件は140℃×20分保持が一般的であるが、本実施形態では、電着塗料及び中塗り塗料の硬化条件をともに160℃×20分保持とする。
【0015】
すなわち、既存の電着塗料および中塗り塗料に対し、本例の電着塗料はその硬化温度を低温化させるものであり、また、本例の中塗り塗料はその硬化温度を高温化させたものである。
【0016】
電着塗料の硬化温度を低温化させる手法としては、たとえば、電着塗料が基体樹脂としてのエポキシ系樹脂と、架橋剤としてのブロックポリイソシアネートとを含む材質である場合には、ブロックポリイソシアネートをブロックするアルコール系ブロック剤に、既存のアルコール系ブロック剤より短いアルキル基のアルコール系ブロック剤を採用する。短いアルキル基のアルコール系ブロック剤を用いることでブロック剤の解離温度が低下し、これにより電着塗料の反応温度を低温化させることができる。
【0017】
また、中塗り塗料の硬化温度を高温化させる手法としては、たとえば、中塗り塗料が水酸基とカルボキシル基とを有する基体樹脂と、架橋剤としてのブロックポリイソシアネートとを含む材質である場合には、ブロックポリイソシアネートをブロックするアルコール系ブロック剤に、既存のアルコール系ブロック剤より長いアルキル基のアルコール系ブロック剤を採用する。長いアルキル基のアルコール系ブロック剤を用いることでブロック剤の解離温度が上昇し、これにより中塗り塗料の反応温度を高温化させることができる。
【0018】
また、中塗り塗料の硬化温度を高温化させる他の手法として、中塗り塗料が水酸基とカルボキシル基とを有する基体樹脂と、架橋剤としてのブロックポリイソシアネートとを含む材質である場合には、中塗り塗料中に中和しているアミンについて既存のアミンよりも高沸点のアミンを採用する。これによりアミンと水との結合力が低下し、極力長い時間カルボキシル基をブロックすることができるので、中塗り塗料の反応温度を高温化させることができる。
【0019】
なお、本発明の塗装方法では、上記のように160℃×20分保持の硬化条件に何ら限定されることはなく、電着塗料及び中塗り塗料の硬化条件をともにT℃×t分保持(T,tは任意の数)とすることもできる。この場合には、電着塗料及び中塗り塗料ともに従来の硬化条件を上述した手法を用いて変更させる。
【0020】
特に本実施形態では、電着塗装を終了して所定時間のセッティングの後に、親水性溶剤を用いてこの電着塗膜を処理し、さらにその表面を低温で加温する。
【0021】
本例で使用することができる親水性溶剤としては、特に限定されることなく、エーテル系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤などを例示することができ、なかでもエーテル系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤などの低沸点の親水性溶剤が好ましい。ここでいう低沸点の親水性溶剤としては、水よりも沸点が低い溶剤が最も好ましいが、水との共沸により水単独よりも低沸点化できるものであれば良い。こうした低沸点の親水性溶剤で水系電着塗膜を処理すると、飽和蒸気圧が大幅に減少し、急激な水蒸気蒸発を有効に抑制することができ、相変化を容易に行うことができる。
【0022】
低沸点のエーテル系溶剤としては、メチルエーテル、エチルエーテル、プロピルエーテル、イソプロピルエーテル、メチルエチルエーテル、メチルプロピルエーテル、メチルイソプロピルエーテル、メチルブチルエーテル、メチルイソブチルエーテル、メチルイソアミルエーテル、エチルプロピルエーテル、エチルイソプロピルエーテル、エチルブチルエーテル、エチルイソブチルエーテル、ビニルエーテル、アリルエーテル、メチルビニルエーテル、メチルアリルエーテル、エチルビニルエーテル、エチルアリルエーテル、酸化エチレン、酸化プロピレン、酸化トリメチレン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジオキサンなどを例示することができる。
【0023】
また、低沸点のエステル系溶剤としては、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、ギ酸イソブチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸sec−ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、イソ酪酸メチル、ケイ皮酸メチルなどを例示することができる。
【0024】
また、低沸点のアルコール系溶剤としては、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、アリルアルコールなどを例示することができる。
【0025】
さらにケトン系溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトンなどを例示することができる。
【0026】
以上の低沸点親水性溶剤のなかでも、飽和蒸気圧、蒸気速度および溶解性の観点から、低沸点アルコールがより好ましい。さらに、低沸点アルコールのなかでも、人体に対して毒性の低いメチルアルコールやエチルアルコールが環境対策上、最も好ましい。
【0027】
また、こうした親水性溶剤による処理は、スプレー塗装やディッピングの何れによっても良い。また、親水性溶剤処理後の加温は、少なくとも電着塗膜の硬化開始温度未満の温度で行う必要があり、好ましくは40℃〜120℃の温度で20秒〜3分である。
【0028】
次に本実施形態の塗装方法を適用した塗装ラインの一例を説明する。図2は本発明の実施形態に係る塗装方法を適用した塗装ラインを示す図であって図1(A)の工程図に対応するラインレイアウト図、図3は本発明の実施形態に係る塗装方法による電着塗膜と中塗り塗膜を示す断面図である。
【0029】
ホワイトボディとして組み立てられた自動車ボディは、車体組立工程から塗装工場に搬入され、最初の前処理ブース1にて、ボディに付着した油や塵埃が除去されるとともに、ボディを構成する鋼板表面に防錆用化成被膜が形成される。
【0030】
前処理ブース1を通過することで清浄及び化成被膜が形成されたボディは、電着塗料が満たされた電着塗装槽2に搬送され、電着塗料に浸漬される。電着塗装槽2では電着塗料に高電圧が印加されることにより電着塗料が電気泳動し、これによりボディに電着塗膜が形成される。電着塗装槽2を出槽したボディは、電着水洗ブース3に搬入され、ここでボディに付着した余分な電着塗料が洗い流される。ここで、硬化条件を160℃×20分保持とした水系電着塗料を電着塗装槽2に満たしておく。
【0031】
従来の塗装方法では、電着水洗を終了したボディを電着乾燥炉に搬入し、電着塗膜を焼き付け硬化させるが、本実施形態では電着乾燥炉を設けずに、電着塗膜が未硬化の状態でボディを親水性溶剤塗布ブース10aへ搬送する。なお、既存の塗装ラインをそのまま使用する場合には、電着乾燥炉の運転を停止して未硬化の電着塗膜が形成されたボディをそのまま通過させる。
【0032】
この親水性溶剤塗布ブース10aにおいて、電着塗膜の表面に低沸点アルコールなどの親水性溶剤をスプレー塗装する。または、スプレー塗装に代えて親水性溶剤を満たした槽にボディを浸漬しても良い。スプレー塗装の場合は、電着塗膜の表面に親水性溶剤が充分に付着する程度の吐出量で塗装する。
【0033】
親水性溶剤を塗布したら、ボディを低温加温炉10bへ搬入し、電着塗膜の表面全体に、たとえば50℃前後の温風を吹き付ける。図3は、この低温加温炉10bにおいて、鋼板11の表面に形成された電着塗膜12と、その表面に塗布された親水性溶剤13の様子を模式的に示す断面図である。本実施形態では、電着塗膜12の表面に親水性溶剤13が適量塗布されているので、同図の矢印で示すように、下層の下塗り塗膜12に残存した水分がこの親水性溶剤に吸収され、水分の蒸発が促進される。特に、水との共沸によって沸点が水単独の沸点より降下することになる。これにより、次の中塗り塗膜との焼き付け硬化時において、下塗り塗膜12に含まれる水分が既に蒸発しているので、下層の下塗り塗膜12の水分が未硬化状態である上層の中塗り塗膜13を突き破るといったワキ不具合の発生を防止することができ、また中塗り塗膜の肌不良を防止することができる。
【0034】
低温加温を終えたら、ボディを中塗りブース4へ搬入する。中塗りブース4では、硬化条件を160℃×20分保持にした中塗り塗料をボディに塗装する。塗装方法は特に限定されず、ベル式塗装ガンやスプレー式塗装ガンなどを用いて塗装する。また、中塗り塗料の材質も特に限定されず、水系塗料及び有機溶剤系塗料の何れも使用することができるが、電着塗料が水系塗料である場合には中塗り塗料も水系塗料を用いることがより好ましい。
【0035】
未硬化の電着塗膜の上に中塗り塗料が塗布されたボディは中塗り乾燥炉5に搬入され、ここで電着塗膜及び中塗り塗膜が同時に焼き付け硬化される。
【0036】
本例では、硬化条件が同じ電着塗料と中塗り塗料を用いているので、ボディ温度が160℃近傍に達したときに、電着塗膜12及び中塗り塗膜13が同時に硬化反応を開始し、さらに電着塗料および中塗り塗料それぞれのガラス転移点を超えたところで電着塗膜12および中塗り塗膜13ともに粘度が一旦低下し、ここで電着塗膜12および中塗り塗膜13ともに平滑になる。そして、さらにボディ温度が上昇すると電着塗膜12および中塗り塗膜13の粘度が再度上昇し、最終的に硬化する。
【0037】
図2に戻り、中塗り乾燥炉5を通過し、硬化した電着塗膜及び中塗り塗膜が形成されたボディは、シーリング工程、ストーンガード塗布工程、アンダーコート塗布工程およびインシュレータセット工程(これらを総称して図2に8で示す。)に搬送される。
【0038】
シーリング工程とは、自動車ボディのパネル合わせ面やヘミング部に塩化ビニル樹脂製シーリング材を塗布し、水密性・気密性あるいは防錆性を確保するための工程である。
【0039】
ストーンガード塗布工程とは、自動車ボディのシルアウタ、ドア下部、フロントフェンダ下部、リヤフェンダ下部などに、走行中の飛び石による塗膜損傷を防止するためのストーンガードコート(耐チッピング塗料)を塗布するための工程である。
【0040】
アンダーコート塗布工程とは、自動車ボディの床裏面、タイヤハウスなどに塩化ビニル樹脂製アンダーコート材を塗布し、走行中の飛び石による塗膜損傷を防止するための工程である。
【0041】
インシュレータセット工程とは、ダッシュパネルやフロア面の適宜箇所にインシュレータ(防音・防振材)をセットする工程である。
【0042】
これらの工程で使用される材料、すなわちシーリング材、ストーンガードコート、アンダーコート材およびインシュレータは何れも加熱工程を必要とするので、次の工程に乾燥炉9が設けられている。自動車ボディが乾燥炉9を通過することでシーリング材、ストーンガードコート、アンダーコート材がそれぞれ硬化し、またインシュレータは一時的に軟化することでパネル面に馴染むことになる。
【0043】
次に自動車ボディを上塗りブース6に搬入する。上塗りブース6では従来公知の方法により上塗り塗料が塗装され、次の上塗り乾燥炉7にて上塗り塗膜が焼き付け硬化される。
【0044】
以上のように、本実施形態の塗装方法によれば、従来必要とされた電着乾燥炉が不要となるので、塗装ラインの工程スペースが格段に縮小される。また、電着乾燥炉にて使用されていた熱エネルギーも不要となるので生産コストを低減させることができる。
【0045】
これに加えて、電着塗膜に親水性溶剤を塗布して加温するので、下層の下塗り塗膜に残存した水分が親水性溶剤に吸収されて充分に蒸発し、その結果、ワキ不具合や肌不良といった塗装不具合を防止することができる。
【0046】
なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【0047】
たとえば、図1(A)に示すシーリング工程、ストーンガード塗布工程、アンダーコート塗布工程およびインシュレータセット工程は、同図(B)に示すように、低温加温工程と中塗り塗装工程との間に設定することもできる。この場合には、これらシーリング工程、ストーンガード塗布工程、アンダーコート塗布工程およびインシュレータセット工程を終了した後の専用乾燥炉、すなわち図2の乾燥炉9を省略し、中塗り乾燥炉5で代用することも可能である。
【0048】
【実施例】
実施例1
自動車ドアパーツに脱脂、前処理およびリン酸亜鉛化成被膜処理を施し、これを水洗したのち、カチオン電着塗料(日本ペイント社製PTU−100)を250Vの電圧で3分間電着塗装した。これを水洗したのち室温で5分間セッティングした。電着膜厚は20μmであった。
【0049】
この電着塗膜の上に、メチルアルコールをウェット膜厚が5μmとなるようにスプレー塗装し、さらに50℃の温風を1分間吹き付けた。
【0050】
次いで、中塗り塗料(日本ペイント社製OP−61)を乾燥膜厚で25〜30μmとなるように塗装し、160℃×20分保持の条件で電着塗膜および中塗り塗膜を同時に焼き付けた。
【0051】
次いで、中塗り塗膜の上に、上塗り塗料としてのベース塗料(日本ペイント社製シルバーメタリックベーススーパーラックM−80)とクリヤ塗料(日本ペイント社製クリヤスーパーラックO−80)をウェットオンウェットで塗装し、140℃×20分保持で焼き付けた。ベース塗膜の膜厚は10μm、クリヤ塗膜の膜厚は30μmであった。
【0052】
実施例2
電着塗装後のメチルアルコールによる処理を、2秒間のディッピングに変更したこと以外は実施例1と同じ条件でテストピースを作製した。
【0053】
実施例3
実施例1のメチルアルコールをエチルアルコールに変更したこと以外は実施例1と同じ条件でテストピースを作製した。
【0054】
実施例4
実施例2のメチルアルコールをエチルアルコールに変更したこと以外は実施例2と同じ条件でテストピースを作製した。
【0055】
比較例1
実施例1の親水性溶剤による処理およびその後の温風吹き付けを省略したこと以外は実施例1と同じ条件でテストピースを作製した。
【0056】
評価方法
上記実施例1〜4および比較例1のテストピースの塗膜外観(塗り肌)を目視評価し、非常に良好なものを○、やや良好なものを△、不良のものを×とした。
【0057】
また、テストピースの塗膜にカッターで2mmの升目を100個作り、その表面にセロファンテープを密着させ、強く引き剥がした後の状態を評価した。そして、100%剥がれなかったものを◎、95%以上剥がれなかったものを○、90%以上剥がれなかったものを△、90%未満剥がれなかったものを×とした。以上の結果を表1に示す。
【0058】
【表1】
考察
実施例1〜4のテストピースは全て良好な塗装品質を示したが、比較例1は塗装肌に欠陥が生じた。また、密着性についても実施例1〜4の方が比較例1に比べて良好であった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る塗装方法を示す工程図である。
【図2】本発明の実施形態に係る塗装方法を適用した塗装ラインを示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係る塗装方法の低温加温炉における塗膜状態を説明するための断面図である。
【図4】従来の塗装方法の中塗り乾燥炉における時間と温度との関係及び時間と粘度との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1…前処理ブース
2…電着塗装槽
3…電着水洗ブース
4…中塗り塗装ブース
5…中塗り乾燥炉
6…上塗り塗装ブース
7…上塗り乾燥炉
10a…親水性溶剤塗布ブース
10b…低温加温炉
【技術分野】
本発明は、自動車ボディ等に適用して好ましい塗装方法に関し、特に下塗り塗料と中塗り塗料とをウェットオンウェットで塗装し、これを同時に焼き付ける2コート1ベーク系の塗装方法に関する。
【0002】
【背景技術】
自動車ボディの塗装系は、エポキシ系樹脂を主剤とする電着塗料などが適用される下塗り塗装と、ポリエステル系樹脂を主剤とする中塗り塗料と、同じくポリエステル系塗料を主剤とする上塗り塗料の3種の塗料を用い、下塗り塗装を施したのちこれを焼き付け、硬化した下塗り塗膜の上に中塗り塗装を施したのちこれを焼き付け、硬化した中塗り塗膜の上に上塗り塗装を施したのちこれを焼き付けることで完成する、いわゆる3コート3ベーク系の塗装方法が採用されている。
【0003】
ところが、こうした3コート3ベーク塗装系では、下塗り塗装工程、中塗り塗装工程及び上塗り塗装工程のそれぞれに乾燥炉が必要とされるので、乾燥炉を設置するための広い工程スペースが必要となり、また乾燥炉で消費されるエネルギが自動車の生産コストに反映する。
【0004】
そこで、これら3つの工程に設けられた乾燥炉を2つ以下に減じて上記問題を解決するために、下塗り塗装と中塗り塗装又は中塗り塗装と上塗り塗装をウェットオンウェットで塗装することが検討されている。
【0005】
しかしながら、下塗り塗装と中塗り塗装とをウェットオンウェットで塗装し、これらを同時に焼き付ける塗装系では、以下の問題があった。
【0006】
すなわち、下塗り塗料の焼き付け温度は170℃×20分保持であるのに対し、中塗り塗料の焼き付け温度は140℃×20分保持であるため、これらを同時に焼き付けると、図4に示すように上層に塗装された中塗り塗膜が140℃近傍で先に硬化し始めたのちに下層に塗装された下塗り塗膜が170℃近傍で硬化し始める。
【0007】
このため、下層の下塗り塗膜が硬化する際に、その溶剤が、既に硬化が進行している中塗り塗膜を突き破って蒸発するワキ不具合や、中塗り塗膜が硬化したのちに下塗り塗膜が硬化して収縮することで中塗り塗膜が肌不良になるといった問題があった。
【0008】
【発明の開示】
本発明は、ワキ不具合や肌不良といった塗装不良を防止しつつ下塗り塗装と中塗り塗装とのウェットオンウェット塗装系が実現できる塗装方法を提供することを目的とする。
【0009】
上記目的を達成するために、本発明によれば、少なくとも下塗り塗料、中塗り塗料及び上塗り塗料の3つの塗料を塗装する塗装方法において、水系下塗り塗料を塗装したのち、親水性溶剤により下塗り塗膜面を処理して低温で加温し、さらにウェットオンウェットで前記中塗り塗料を塗装し、これらを同時に焼き付け硬化させ、前記上塗り塗料を塗装することを特徴とする塗装方法が提供される。
【0010】
本発明では、親水性溶剤を用いて水系下塗り塗膜を処理して加温した後、これら下塗り塗料と中塗り塗料とを同時に焼き付け硬化させるので、親水性溶剤による処理および加温の際に、下層の下塗り塗膜に残存した溶剤分、すなわち水分の蒸発が促進され(特に、水との共沸によって沸点が水単独の沸点より降下し)、下層の下塗り塗料の溶剤が未硬化状態である上層の中塗り塗膜を突き破るといったワキ不具合の発生を防止することができ、また中塗り塗膜の肌不良を防止することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1(A)は本発明の実施形態に係る塗装方法を示す工程図である。
【0012】
本実施形態に係る塗装方法は、下塗り塗装、中塗り塗装及び上塗り塗装の3コート系の塗装系において、下塗り塗装と中塗り塗装とをウェットオンウェットで塗装し、これらを同時に焼き付けたのち上塗り塗装を施す、いわゆる3コート2ベークの塗装系である。下塗り塗装と中塗り塗装に関していえば2コート1ベークの塗装系である。
【0013】
すなわち、洗浄・前処理された被塗物である自動車ボディを電着槽に浸漬させることで電着塗装を施し、これを焼き付け硬化させることなく中塗りブースに搬送し、未硬化の電着塗膜上に中塗り塗料を塗装したのち、中塗り乾燥炉にてこれら未硬化の電着塗膜及び中塗り塗膜を同時に焼き付ける。
【0014】
ここで、本実施形態で用いられる電着塗料は水系塗料であり、また電着塗料と中塗り塗料は、硬化温度及び硬化温度保持時間が実質的に同一である。従来の電着塗料の硬化条件は170℃×20分保持が一般的であり、また中塗り塗料の硬化条件は140℃×20分保持が一般的であるが、本実施形態では、電着塗料及び中塗り塗料の硬化条件をともに160℃×20分保持とする。
【0015】
すなわち、既存の電着塗料および中塗り塗料に対し、本例の電着塗料はその硬化温度を低温化させるものであり、また、本例の中塗り塗料はその硬化温度を高温化させたものである。
【0016】
電着塗料の硬化温度を低温化させる手法としては、たとえば、電着塗料が基体樹脂としてのエポキシ系樹脂と、架橋剤としてのブロックポリイソシアネートとを含む材質である場合には、ブロックポリイソシアネートをブロックするアルコール系ブロック剤に、既存のアルコール系ブロック剤より短いアルキル基のアルコール系ブロック剤を採用する。短いアルキル基のアルコール系ブロック剤を用いることでブロック剤の解離温度が低下し、これにより電着塗料の反応温度を低温化させることができる。
【0017】
また、中塗り塗料の硬化温度を高温化させる手法としては、たとえば、中塗り塗料が水酸基とカルボキシル基とを有する基体樹脂と、架橋剤としてのブロックポリイソシアネートとを含む材質である場合には、ブロックポリイソシアネートをブロックするアルコール系ブロック剤に、既存のアルコール系ブロック剤より長いアルキル基のアルコール系ブロック剤を採用する。長いアルキル基のアルコール系ブロック剤を用いることでブロック剤の解離温度が上昇し、これにより中塗り塗料の反応温度を高温化させることができる。
【0018】
また、中塗り塗料の硬化温度を高温化させる他の手法として、中塗り塗料が水酸基とカルボキシル基とを有する基体樹脂と、架橋剤としてのブロックポリイソシアネートとを含む材質である場合には、中塗り塗料中に中和しているアミンについて既存のアミンよりも高沸点のアミンを採用する。これによりアミンと水との結合力が低下し、極力長い時間カルボキシル基をブロックすることができるので、中塗り塗料の反応温度を高温化させることができる。
【0019】
なお、本発明の塗装方法では、上記のように160℃×20分保持の硬化条件に何ら限定されることはなく、電着塗料及び中塗り塗料の硬化条件をともにT℃×t分保持(T,tは任意の数)とすることもできる。この場合には、電着塗料及び中塗り塗料ともに従来の硬化条件を上述した手法を用いて変更させる。
【0020】
特に本実施形態では、電着塗装を終了して所定時間のセッティングの後に、親水性溶剤を用いてこの電着塗膜を処理し、さらにその表面を低温で加温する。
【0021】
本例で使用することができる親水性溶剤としては、特に限定されることなく、エーテル系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤などを例示することができ、なかでもエーテル系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤などの低沸点の親水性溶剤が好ましい。ここでいう低沸点の親水性溶剤としては、水よりも沸点が低い溶剤が最も好ましいが、水との共沸により水単独よりも低沸点化できるものであれば良い。こうした低沸点の親水性溶剤で水系電着塗膜を処理すると、飽和蒸気圧が大幅に減少し、急激な水蒸気蒸発を有効に抑制することができ、相変化を容易に行うことができる。
【0022】
低沸点のエーテル系溶剤としては、メチルエーテル、エチルエーテル、プロピルエーテル、イソプロピルエーテル、メチルエチルエーテル、メチルプロピルエーテル、メチルイソプロピルエーテル、メチルブチルエーテル、メチルイソブチルエーテル、メチルイソアミルエーテル、エチルプロピルエーテル、エチルイソプロピルエーテル、エチルブチルエーテル、エチルイソブチルエーテル、ビニルエーテル、アリルエーテル、メチルビニルエーテル、メチルアリルエーテル、エチルビニルエーテル、エチルアリルエーテル、酸化エチレン、酸化プロピレン、酸化トリメチレン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジオキサンなどを例示することができる。
【0023】
また、低沸点のエステル系溶剤としては、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、ギ酸イソブチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸sec−ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、イソ酪酸メチル、ケイ皮酸メチルなどを例示することができる。
【0024】
また、低沸点のアルコール系溶剤としては、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、アリルアルコールなどを例示することができる。
【0025】
さらにケトン系溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトンなどを例示することができる。
【0026】
以上の低沸点親水性溶剤のなかでも、飽和蒸気圧、蒸気速度および溶解性の観点から、低沸点アルコールがより好ましい。さらに、低沸点アルコールのなかでも、人体に対して毒性の低いメチルアルコールやエチルアルコールが環境対策上、最も好ましい。
【0027】
また、こうした親水性溶剤による処理は、スプレー塗装やディッピングの何れによっても良い。また、親水性溶剤処理後の加温は、少なくとも電着塗膜の硬化開始温度未満の温度で行う必要があり、好ましくは40℃〜120℃の温度で20秒〜3分である。
【0028】
次に本実施形態の塗装方法を適用した塗装ラインの一例を説明する。図2は本発明の実施形態に係る塗装方法を適用した塗装ラインを示す図であって図1(A)の工程図に対応するラインレイアウト図、図3は本発明の実施形態に係る塗装方法による電着塗膜と中塗り塗膜を示す断面図である。
【0029】
ホワイトボディとして組み立てられた自動車ボディは、車体組立工程から塗装工場に搬入され、最初の前処理ブース1にて、ボディに付着した油や塵埃が除去されるとともに、ボディを構成する鋼板表面に防錆用化成被膜が形成される。
【0030】
前処理ブース1を通過することで清浄及び化成被膜が形成されたボディは、電着塗料が満たされた電着塗装槽2に搬送され、電着塗料に浸漬される。電着塗装槽2では電着塗料に高電圧が印加されることにより電着塗料が電気泳動し、これによりボディに電着塗膜が形成される。電着塗装槽2を出槽したボディは、電着水洗ブース3に搬入され、ここでボディに付着した余分な電着塗料が洗い流される。ここで、硬化条件を160℃×20分保持とした水系電着塗料を電着塗装槽2に満たしておく。
【0031】
従来の塗装方法では、電着水洗を終了したボディを電着乾燥炉に搬入し、電着塗膜を焼き付け硬化させるが、本実施形態では電着乾燥炉を設けずに、電着塗膜が未硬化の状態でボディを親水性溶剤塗布ブース10aへ搬送する。なお、既存の塗装ラインをそのまま使用する場合には、電着乾燥炉の運転を停止して未硬化の電着塗膜が形成されたボディをそのまま通過させる。
【0032】
この親水性溶剤塗布ブース10aにおいて、電着塗膜の表面に低沸点アルコールなどの親水性溶剤をスプレー塗装する。または、スプレー塗装に代えて親水性溶剤を満たした槽にボディを浸漬しても良い。スプレー塗装の場合は、電着塗膜の表面に親水性溶剤が充分に付着する程度の吐出量で塗装する。
【0033】
親水性溶剤を塗布したら、ボディを低温加温炉10bへ搬入し、電着塗膜の表面全体に、たとえば50℃前後の温風を吹き付ける。図3は、この低温加温炉10bにおいて、鋼板11の表面に形成された電着塗膜12と、その表面に塗布された親水性溶剤13の様子を模式的に示す断面図である。本実施形態では、電着塗膜12の表面に親水性溶剤13が適量塗布されているので、同図の矢印で示すように、下層の下塗り塗膜12に残存した水分がこの親水性溶剤に吸収され、水分の蒸発が促進される。特に、水との共沸によって沸点が水単独の沸点より降下することになる。これにより、次の中塗り塗膜との焼き付け硬化時において、下塗り塗膜12に含まれる水分が既に蒸発しているので、下層の下塗り塗膜12の水分が未硬化状態である上層の中塗り塗膜13を突き破るといったワキ不具合の発生を防止することができ、また中塗り塗膜の肌不良を防止することができる。
【0034】
低温加温を終えたら、ボディを中塗りブース4へ搬入する。中塗りブース4では、硬化条件を160℃×20分保持にした中塗り塗料をボディに塗装する。塗装方法は特に限定されず、ベル式塗装ガンやスプレー式塗装ガンなどを用いて塗装する。また、中塗り塗料の材質も特に限定されず、水系塗料及び有機溶剤系塗料の何れも使用することができるが、電着塗料が水系塗料である場合には中塗り塗料も水系塗料を用いることがより好ましい。
【0035】
未硬化の電着塗膜の上に中塗り塗料が塗布されたボディは中塗り乾燥炉5に搬入され、ここで電着塗膜及び中塗り塗膜が同時に焼き付け硬化される。
【0036】
本例では、硬化条件が同じ電着塗料と中塗り塗料を用いているので、ボディ温度が160℃近傍に達したときに、電着塗膜12及び中塗り塗膜13が同時に硬化反応を開始し、さらに電着塗料および中塗り塗料それぞれのガラス転移点を超えたところで電着塗膜12および中塗り塗膜13ともに粘度が一旦低下し、ここで電着塗膜12および中塗り塗膜13ともに平滑になる。そして、さらにボディ温度が上昇すると電着塗膜12および中塗り塗膜13の粘度が再度上昇し、最終的に硬化する。
【0037】
図2に戻り、中塗り乾燥炉5を通過し、硬化した電着塗膜及び中塗り塗膜が形成されたボディは、シーリング工程、ストーンガード塗布工程、アンダーコート塗布工程およびインシュレータセット工程(これらを総称して図2に8で示す。)に搬送される。
【0038】
シーリング工程とは、自動車ボディのパネル合わせ面やヘミング部に塩化ビニル樹脂製シーリング材を塗布し、水密性・気密性あるいは防錆性を確保するための工程である。
【0039】
ストーンガード塗布工程とは、自動車ボディのシルアウタ、ドア下部、フロントフェンダ下部、リヤフェンダ下部などに、走行中の飛び石による塗膜損傷を防止するためのストーンガードコート(耐チッピング塗料)を塗布するための工程である。
【0040】
アンダーコート塗布工程とは、自動車ボディの床裏面、タイヤハウスなどに塩化ビニル樹脂製アンダーコート材を塗布し、走行中の飛び石による塗膜損傷を防止するための工程である。
【0041】
インシュレータセット工程とは、ダッシュパネルやフロア面の適宜箇所にインシュレータ(防音・防振材)をセットする工程である。
【0042】
これらの工程で使用される材料、すなわちシーリング材、ストーンガードコート、アンダーコート材およびインシュレータは何れも加熱工程を必要とするので、次の工程に乾燥炉9が設けられている。自動車ボディが乾燥炉9を通過することでシーリング材、ストーンガードコート、アンダーコート材がそれぞれ硬化し、またインシュレータは一時的に軟化することでパネル面に馴染むことになる。
【0043】
次に自動車ボディを上塗りブース6に搬入する。上塗りブース6では従来公知の方法により上塗り塗料が塗装され、次の上塗り乾燥炉7にて上塗り塗膜が焼き付け硬化される。
【0044】
以上のように、本実施形態の塗装方法によれば、従来必要とされた電着乾燥炉が不要となるので、塗装ラインの工程スペースが格段に縮小される。また、電着乾燥炉にて使用されていた熱エネルギーも不要となるので生産コストを低減させることができる。
【0045】
これに加えて、電着塗膜に親水性溶剤を塗布して加温するので、下層の下塗り塗膜に残存した水分が親水性溶剤に吸収されて充分に蒸発し、その結果、ワキ不具合や肌不良といった塗装不具合を防止することができる。
【0046】
なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【0047】
たとえば、図1(A)に示すシーリング工程、ストーンガード塗布工程、アンダーコート塗布工程およびインシュレータセット工程は、同図(B)に示すように、低温加温工程と中塗り塗装工程との間に設定することもできる。この場合には、これらシーリング工程、ストーンガード塗布工程、アンダーコート塗布工程およびインシュレータセット工程を終了した後の専用乾燥炉、すなわち図2の乾燥炉9を省略し、中塗り乾燥炉5で代用することも可能である。
【0048】
【実施例】
実施例1
自動車ドアパーツに脱脂、前処理およびリン酸亜鉛化成被膜処理を施し、これを水洗したのち、カチオン電着塗料(日本ペイント社製PTU−100)を250Vの電圧で3分間電着塗装した。これを水洗したのち室温で5分間セッティングした。電着膜厚は20μmであった。
【0049】
この電着塗膜の上に、メチルアルコールをウェット膜厚が5μmとなるようにスプレー塗装し、さらに50℃の温風を1分間吹き付けた。
【0050】
次いで、中塗り塗料(日本ペイント社製OP−61)を乾燥膜厚で25〜30μmとなるように塗装し、160℃×20分保持の条件で電着塗膜および中塗り塗膜を同時に焼き付けた。
【0051】
次いで、中塗り塗膜の上に、上塗り塗料としてのベース塗料(日本ペイント社製シルバーメタリックベーススーパーラックM−80)とクリヤ塗料(日本ペイント社製クリヤスーパーラックO−80)をウェットオンウェットで塗装し、140℃×20分保持で焼き付けた。ベース塗膜の膜厚は10μm、クリヤ塗膜の膜厚は30μmであった。
【0052】
実施例2
電着塗装後のメチルアルコールによる処理を、2秒間のディッピングに変更したこと以外は実施例1と同じ条件でテストピースを作製した。
【0053】
実施例3
実施例1のメチルアルコールをエチルアルコールに変更したこと以外は実施例1と同じ条件でテストピースを作製した。
【0054】
実施例4
実施例2のメチルアルコールをエチルアルコールに変更したこと以外は実施例2と同じ条件でテストピースを作製した。
【0055】
比較例1
実施例1の親水性溶剤による処理およびその後の温風吹き付けを省略したこと以外は実施例1と同じ条件でテストピースを作製した。
【0056】
評価方法
上記実施例1〜4および比較例1のテストピースの塗膜外観(塗り肌)を目視評価し、非常に良好なものを○、やや良好なものを△、不良のものを×とした。
【0057】
また、テストピースの塗膜にカッターで2mmの升目を100個作り、その表面にセロファンテープを密着させ、強く引き剥がした後の状態を評価した。そして、100%剥がれなかったものを◎、95%以上剥がれなかったものを○、90%以上剥がれなかったものを△、90%未満剥がれなかったものを×とした。以上の結果を表1に示す。
【0058】
【表1】
考察
実施例1〜4のテストピースは全て良好な塗装品質を示したが、比較例1は塗装肌に欠陥が生じた。また、密着性についても実施例1〜4の方が比較例1に比べて良好であった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る塗装方法を示す工程図である。
【図2】本発明の実施形態に係る塗装方法を適用した塗装ラインを示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係る塗装方法の低温加温炉における塗膜状態を説明するための断面図である。
【図4】従来の塗装方法の中塗り乾燥炉における時間と温度との関係及び時間と粘度との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1…前処理ブース
2…電着塗装槽
3…電着水洗ブース
4…中塗り塗装ブース
5…中塗り乾燥炉
6…上塗り塗装ブース
7…上塗り乾燥炉
10a…親水性溶剤塗布ブース
10b…低温加温炉
Claims (4)
- 少なくとも下塗り塗料、中塗り塗料及び上塗り塗料の3つの塗料を塗装する塗装方法において、
水系下塗り塗料を塗装したのち、親水性溶剤により下塗り塗膜面を処理して低温で加温し、さらにウェットオンウェットで前記中塗り塗料を塗装し、これらを同時に焼き付け硬化させ、前記上塗り塗料を塗装することを特徴とする塗装方法。 - 前記親水性溶剤が低沸点アルコールであることを特徴とする請求項1記載の塗装方法。
- 前記親水性溶剤の処理および加温の後、シーリング、ストーンガードコート、アンダーコートを塗装するとともにインシュレータをセットし、その後、前記中塗り塗料を塗装することを特徴とする請求項1又は2記載の塗装方法。
- 前記下塗り塗料と前記中塗り塗料を塗装を同時に焼き付け硬化させた後、シーリング、ストーンガードコート、アンダーコートを塗装するとともにインシュレータをセットし、その後、前記上塗り塗料を塗装することを特徴とする請求項1又は2記載の塗装方法。
Priority Applications (1)
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| JP2003118156A JP2004321895A (ja) | 2003-04-23 | 2003-04-23 | 塗装方法 |
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Cited By (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2013522032A (ja) * | 2010-03-24 | 2013-06-13 | ビーエーエスエフ コーティングス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング | 色及び/又は効果を付与する複層塗装系の製造方法 |
| CN112708318A (zh) * | 2020-12-29 | 2021-04-27 | 芜湖春风新材料有限公司 | 一种低温水性车身涂料、制备方法及其使用方法 |
-
2003
- 2003-04-23 JP JP2003118156A patent/JP2004321895A/ja active Pending
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