JP2004302614A - 電子情報システム - Google Patents
電子情報システム Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004302614A JP2004302614A JP2003092089A JP2003092089A JP2004302614A JP 2004302614 A JP2004302614 A JP 2004302614A JP 2003092089 A JP2003092089 A JP 2003092089A JP 2003092089 A JP2003092089 A JP 2003092089A JP 2004302614 A JP2004302614 A JP 2004302614A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- information
- rfid tag
- display medium
- paper
- printed
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Abstract
【課題】紙をその非効率な情報保存記録機能から開放し、且つ紙の優れた表示品質を温存し、更に紙に印刷された情報をシステムに簡単に取り込んで加工することを容易に行うことを可能とした電子情報システムを提供する。
【解決手段】コンテンツ共有システムは、印刷装置1、2、RFID読取装置3、クライアント端末4、データ記憶管理装置5を備える。ネットワーク6上のデータ記憶管理装置5に保存されたコンテンツ情報が印刷されたRFIDタグ付き情報表示媒体のRFIDタグのIDコードとコンテンツ情報とを1:1に対応させた対応関係をデータ記憶管理装置5に登録し、情報表示媒体のコンテンツ情報の書き換え要求に伴い、情報表示媒体のRFIDタグからIDコードを読み取り、IDコードに対応するコンテンツ情報をデータ記憶管理装置5から検索し、検索したコンテンツ情報を別のRFIDタグ付き情報表示媒体に印刷する。
【選択図】 図1
【解決手段】コンテンツ共有システムは、印刷装置1、2、RFID読取装置3、クライアント端末4、データ記憶管理装置5を備える。ネットワーク6上のデータ記憶管理装置5に保存されたコンテンツ情報が印刷されたRFIDタグ付き情報表示媒体のRFIDタグのIDコードとコンテンツ情報とを1:1に対応させた対応関係をデータ記憶管理装置5に登録し、情報表示媒体のコンテンツ情報の書き換え要求に伴い、情報表示媒体のRFIDタグからIDコードを読み取り、IDコードに対応するコンテンツ情報をデータ記憶管理装置5から検索し、検索したコンテンツ情報を別のRFIDタグ付き情報表示媒体に印刷する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子情報システムに関し、特に、パーソナルコンピュータ(以下パソコン)等の情報処理装置が接続されたネットワーク上の記憶装置、或いはネットワーク上のサーバ或いは大型のメインフレーム等の情報処理装置に記憶された情報をユーザが使いやすい形で利用可能とする場合に好適な電子情報システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
古来人間が使用してきた情報媒体である書籍、絵、写真、図面、メモなどに用いられる紙は、古代エジプトのパピルスまで遡るならば数千年の歴史がある。現在も木材から製造された大量の紙や、或いは使用済みの紙を回収して再生した再生紙が広く使用されている。紙に画像を印刷して得られた印刷物は、その高い濃度コントラスト、カラー印刷の場合の印刷の美しさ、落としても壊れず人間が容易に持てる取り扱い易さ、見る姿勢の自由さ、少量の情報を印刷する場合(即ち印刷枚数が少ない場合)の持ち運びの手軽さ、電源が不要で何処でも使える便利さなどから、情報表示媒体として現在でも捨てがたい魅力を持っている。
【0003】
しかしながら、情報が電子化されると共に電子化された情報を高密度に記録する手段が著しく発達してきた今日においては、紙は電子的な情報記録方式と比べて圧倒的に低い記録密度のために記録媒体としては全く時代遅れとなり、ある側面では役割を終えようとしている。紙においては、大量の情報を記録する記録媒体としては、重い、嵩張る、情報の検索の効率が悪いなどの欠点が相対的にクローズアップされるようになった。また、紙は長い期間或いは頻繁に使用すると傷みやすく、更に経時変化で紙自体がぼろぼろになるという、記録媒体としての耐久性の低さも問題である。
【0004】
このため、情報表示媒体として、コンピュータの情報出力装置としてのディスプレイ装置を改良し、紙に画像を印刷して得られる印刷物と同等の表示品質を目指してたゆみない努力が続けられてきた。ディスプレイ装置においては、以前はブラウン管を用いたCRT表示方式しかなかったものが、液晶表示方式が加わることで、ディスプレイ装置がパネル状に小型化されると共に、表示がカラー化され、更に、TFT(Thin Film Transistor)を個々の画素に配置したアクティブ・マトリックス方式が市場に出現したことで、画質は格段に向上している。
【0005】
更に、紙のような形で使用できることを目指して薄くてしなやかに曲げることが可能な電子ペーパと呼ばれる電子ディスプレイが精力的に開発されている。また、使い易いという長所を持つ紙の使い方に近づけるために、媒体上に一度印刷した画像を必要に応じて消去することで新しい画像を印刷することができる再使用可能なリライタブル・ペーパのような技術も開発されている。
【0006】
ところで、紙にID情報をもたせるという提案は従来から幾つかなされてきた。従来、例えば、紙にRFIDタグを付け該RFIDタグに書き込まれたIDコードにより大量の書類の束から特定の書類の検索を容易にする方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この方法は、RFIDタグに書き込まれたIDコードにより特定の紙の検索を容易にするものであるが、印刷された紙から印刷の元になったネットワーク上のコンテンツ情報にアクセスするということはできない。
【0007】
また、従来、原稿複写の機密管理に関する方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。この方法においては、原稿の複写に関する機密保持を行うために、原稿の紙に機密レベルを示すセキュリティ情報を保持したRFIDタグを付与する(後述の本発明で説明する紙にRFIDタグを付与するという概念はここに開示されている)。そして、原稿複写を行う人間にもRFIDタグを持たせる。セキュリティ情報の保持方法はRFIDタグに限定されており、バーコードや指紋、音声などの使用は開示されていない。
【0008】
紙に付与するRFIDタグには、どのセキュリティレベルの者に原稿複写を許可するかを決める許可条件が書き込まれている。また、人間が持つRFIDタグには、その人間のセキュリティレベルが書き込まれている。複写機で原稿の複写を行う場合には、複写機に備え付けられた紙用のRF(Radio Frequency)受信器と、人間が持つRFIDタグ用の受信器とによりそれぞれ同時に読み取ったセキュリティ情報を比較し、複写許可が与えられる条件に合致すれば複写を許可し、合致しなければ複写できないように複写機自身が制御する。
【0009】
しかし、ここで開示されているのは、紙の記録媒体としての機能を排除し、紙に情報の一時的な表示機能としての役割だけを持たせるという発想ではないし、このままでは印刷された紙からその印刷物の元になったネットワーク上のコンテンツ情報を誤りなくアクセスするということもできない。特に、ここで用いられるRFIDタグはセキュリティ情報を保持すればよいのであるから、原稿の紙それぞれの固体を区別して認識する必要はない。同じセキュリティレベルの原稿であれば同じID情報を付与しても機密保持という観点からは何ら問題ない。
【0010】
このような点から考えると、ここで使用するRFIDタグは個体それぞれを全て区別して管理するための機能を持つ必要性がない。また、セキュリティ情報の管理は、複写機の傍に設置されたCPUまたは複写機の内部に装備されたCPUにより行うことができるのであり(スタンドアロン)、インターネットを介したデータの授受は行わなくても可能である。また、実際のID情報の処理を行う際には、紙に付与されたRFIDタグと複写機の操作者が持つRFIDタグの両方から、実質的に同時にセキュリティ情報を読み取ることが必要になるという点でも、後述の本発明の方法とは別のものである。
【0011】
また、従来、有価証券、各種の証書、入場券、証明書などのそれ自体に価値をもたせた印刷物の偽造を排除して遠隔地からリモート印刷を行う場合の印刷物発行管理システム、発行管理方法及びそれに用いるプリンタに関する提案がされている(例えば、特許文献3参照)。このシステムにおいては、遠隔地から記載内容(コンテンツ)をネットワークなどにより電子的に転送し、それを予め用意された印刷媒体(用紙)に印刷することによって、価値をもたせた印刷物を印刷する。例えば入場券などの用紙を予め各地のプレイガイドなどの入場券販売所に配布しておき、特定のイベントの内容とチケットのグレード(例えばA席やB席など)、座席番号、チケットの値段などの情報をネットワークを介して転送し、用紙に印刷する。
【0012】
その際に、(1)用紙が専用の形式や紙質が定められたものであって、印刷に用いるべく用意されたものであることを示す識別情報を予め用紙に付与すること、(2)印刷する前にプリンタにセットされた用紙が偽物でないことを、用紙に付与されたバーコードなどで表示される識別情報を読み取ることで確認すること、(3)印刷に用いるべき用紙であると判断した後、ネットワークを介してコンテンツ情報をプリンタにダウンロードすること、(4)ダウンロードしたコンテンツ情報をプリンタで印刷し、その印刷が紙詰まりなどを発生せず正常に終了したことを識別情報として用紙に記録し、これを読み取って正常な印刷が行われたかどうかを判断すること、などの手順をとる。
【0013】
このような手順を踏むことにより、正しくない用紙にコンテンツ情報が印刷されることを防止し、また、印刷過程でのトラブルにより印刷が正常に行われなかった場合にはそれを識別情報として紙に記録し、正常に印刷されなかった印刷物が出回ることを防止する。また、識別情報としては、文字情報、バーコード、磁気情報、或いは透かしなどが使用される。この場合、RFIDタグに関する記載はない。
【0014】
この方法においても、用紙に付与される識別情報は必ずしも個々の用紙を区別するものである必要はない。その理由は、用紙が正式のものであるかどうかが判断できればこの仕組みは機能するからである。更に、ダウンロードするコンテンツ情報は、紙に付与したRFIDタグそのものが指定するのではない。ID情報はセキュリティのチェックに使われているのであって、コンテンツ情報そのものにアクセスするために使われているのではないのである。この提案ではコンテンツ情報をID情報を使って直接アクセスするという記載はなく、実際には端末からの指示によりコンテンツ情報が呼び出される必要がある。
【0015】
また、従来、印刷用紙に付与したRFIDタグに予め書き込まれた情報を印刷直前に読み取って用紙上に印刷する方法が提案されている(例えば、特許文献4参照)。これにより、RFIDタグに書き込まれた情報と用紙に印刷される情報とを確実に一致させる。
【0016】
また、従来、インターネットに接続された印刷物発行サーバに保存されたコンテンツ情報を、同じくインターネットに接続された印刷装置のような印刷物発行クライアントにより読み出してRFIDタグ付きの用紙に印刷する方法が提案されている(例えば、特許文献5参照)。この方法では、印刷物の二重発行防止、改ざん防止、RFIDタグへのコンテンツ情報の書き込み確認、印刷が正常に行われたかどうかのチェックなどの発行管理を厳格に行うために、印刷するコンテンツ情報をRFIDタグに書き込むようになっている。
【0017】
また、従来、印刷データを暗号化してRFIDタグに記録することにより、印刷物の機密保持や印刷物の改ざんを防止する方法が提案されている(例えば、特許文献6、特許文献7参照)。これらの方法は、RFIDタグに印刷されたコンテンツの電子情報を書き込むという方法である。
【0018】
しかしながら、これらの方法は、印刷物が高精彩画像などの大きなデータ量を伴うものである場合には、RFIDタグの記憶容量を大きくしなければならないこと、また、そのデータ量が大きいためにその読み取りに時間を要する場合があること、更に、RFIDタグに記録された情報とその印刷内容との間に違いがあることを検査する(印刷内容の改ざんのチェックなどが必要な場合)などの特殊なケースを除き、情報記録の重複を行うことになり記録として効率が悪いこと、などの問題がある(後述の本発明のように印刷物を電子情報システムへ取り込むという目的にはそぐわない)。
【0019】
実際、これらの提案に開示されている実施例では、上記の方式は印刷されるコンテンツのデータ量が小さいチケットや有価証券、証書などに限られており、一般の印刷物に適用する例は挙げられていないし、その必要性も開示されていない。
【0020】
また、従来、紙やマイクロフィルムのような物理原稿に識別情報や管理情報を付与し、該情報をその物理原稿のコンテンツである電子文書ファイルと共に統一して管理し、その利用頻度を把握する方法が提案されている(例えば、特許文献8参照)。この識別情報は、物理原稿の検索を自動倉庫を使って容易に行うためにも利用される。この方法では、コンテンツである電子文書ファイルと印刷物である物理原稿とを関連付けて管理するので、例えば保管期間が過ぎたものは物理原稿と電子文書ファイルとを一緒に廃棄することも、電子文書だけを残すことも可能である。
【0021】
しかしながら、この提案には、物理文書を記録媒体として保存するという明確な方法が記載されており、紙を一時的な情報表示媒体として使用して記録は電子データに受け持たせるという役割分担の考えはない。また、識別情報の保持手段としてRFIDタグを用いる記載はなく、複数の文書の識別情報の一括同時読み取りや、識別情報の書き換えなどの方法も開示されていない。
【0022】
他方、印刷装置が設置されている環境において、該印刷装置とは離れたところに保存されている情報をインターネットなどの情報ネットワークを介してダウンロードして利用するという方法は、これまで幾つか提案されている(例えば、特許文献9、特許文献10、特許文献11参照)。
【0023】
【特許文献1】
特開2002−120475号公報
【特許文献2】
特開2001−160117号公報
【特許文献3】
特開平11−78176号公報
【特許文献4】
特開2001−096814号公報
【特許文献5】
特開2001−134672号公報
【特許文献6】
特開2000−285203号公報
【特許文献7】
特開2002−99209号公報
【特許文献8】
特開平7−28680号公報
【特許文献9】
特開平11−78176号公報
【特許文献10】
特開2001−134672号公報
【特許文献11】
特許第3167126号
【0024】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、紙のような形態の電子ディスプレイを開発しようとする多くの努力にも関わらず、紙に画像を印刷して得られる印刷物の使い易さは非常に優れており、紙がその全ての役割を終えて完全に姿を消す見通しが立った訳ではない。電子ペーパのようなディスプレイは、今後実際に市場に出て特定の分野で使用され始め、次第にその使用範囲を広げていくことであろうが、電子ペーパが全ての紙に取って代わるにはまだ相当の改良が必要である。リライタブル・ペーパなどの場合でも、その画質や耐久性の点で完全に紙に取って代わる程の品質は達成されていない。
【0025】
記録媒体としての紙の不便さを除去し、情報表示媒体としての紙の飛び抜けて優れた見易さ及び使い易さを実現させることは、最近の電子ペーパのようなディスプレイやリライタブル・ペーパをもってしても容易ではないのが現状である。
【0026】
本発明の目的は、紙をその非効率な情報保存記録機能から開放し、且つ紙の優れた表示品質を温存し、更に紙に印刷された情報をシステムに簡単に取り込んで加工することを容易に行うことを可能とした電子情報システムを提供することにある。
【0027】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するため、請求項1記載の電子情報システムは、ネットワークを介して電子情報の通信が可能な電子情報システムにおいて、情報の印刷が可能で識別コードが記憶された情報表示媒体に印刷されたコンテンツ情報、及び前記識別コードと前記コンテンツ情報との対応関係を記憶する記憶手段と、前記情報表示媒体から識別コードを読み取る読取手段と、前記読取手段により前記情報表示媒体から読み取られた識別コードと前記情報表示媒体に印刷されたコンテンツ情報との対応関係に基づいて、前記記憶手段からコンテンツ情報を検索し利用する検索手段とを備えることを特徴とする。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
【0029】
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る印刷装置1、印刷装置2、RFID読取装置3、クライアント端末4、データ記憶管理装置5を備えたコンテンツ共有システム(電子情報システム)の構成例を示すブロック図である。図中、6はインターネットを含むネットワーク、7はRFID(Radio Frequency Identification)タグ71が付与されたRFIDタグ付き情報表示媒体であり、紙を含む媒体として構成されている。
【0030】
印刷装置1(印刷装置)は、制御部11、メモリ12、印刷部13、操作部14、ネットワークインタフェース部15、RFID読取部16(読取手段)を備えている。制御部11は、印刷装置1の各部の制御を司る。メモリ12は、印刷情報や読取情報等を記憶する。印刷部13は、RFIDタグ付き情報表示媒体を含む各種媒体に画像を形成する印刷動作を行う。操作部14は、印刷部数の設定や印刷動作開始の指示等を行うためのものである。ネットワークインタフェース部15は、ネットワーク6との間のインタフェースを司る。RFID読取部16は、RFIDタグ付き情報表示媒体のRFIDタグに記憶された例えば96ビットのIDコードを非接触で(電磁波により)で読み取る。
【0031】
印刷装置2(印刷装置)は、制御部21、メモリ22、印刷部23、操作部24、ネットワークインタフェース部25、RFID読取部26(読取手段)、RFID書込部27を備えている。制御部21は、印刷装置2の各部の制御を司る。メモリ22は、印刷情報や読取情報等を記憶する。印刷部23は、RFIDタグ付き情報表示媒体を含む各種媒体に画像を形成する印刷動作を行う。操作部24は、印刷部数の設定や印刷動作開始の指示等を行うためのものである。ネットワークインタフェース部25は、ネットワーク6との間のインタフェースを司る。RFID読取部26は、RFIDタグ付き情報表示媒体のRFIDタグに記憶された例えば96ビットのIDコードを非接触で読み取る。RFID書込部27は、RFIDタグ付き情報表示媒体のRFIDタグに例えば96ビットのIDコードを非接触で(電磁波により)で書き込む。
【0032】
RFID読取装置3(読取手段)は、制御部31、メモリ32、操作部33、ネットワークインタフェース部34、RFID読取部35を備えている。制御部31は、RFID読取装置3の各部の制御を司る。メモリ32は、読取情報を記憶する。操作部33は、読取動作開始の指示等を行うためのものである。ネットワークインタフェース部34は、ネットワーク6との間のインタフェースを司る。RFID読取部35は、RFIDタグ付き情報表示媒体のRFIDタグに記憶された例えば96ビットのIDコードを非接触で(電磁波により)読み取る読取ヘッドを備える。
【0033】
尚、図1ではRFID読取装置3を大きく図示しているが、RFID読取装置3は充分に小型にすることは容易であり、小型のセンサだけをRFID読取装置3の読取ヘッドに組み込み、残りのデータ処理機能はクライアント端末4の筐体の中に配設されるボードに搭載することもできる。
【0034】
クライアント端末4(情報検索装置)は、例えばPC(パーソナルコンピュータ)として構成されており、クライアント端末4の各部の制御を司る制御部、各種情報を記憶するメモリ(ROM、RAM、ハードディスクを含む)、各種操作や指示を行うための操作部(キーボード、マウスを含む)、各種表示を行う表示部(電子ディスプレイ)、ネットワーク6との間のインタフェースを司るネットワークインタフェース部(以上図示略)等を備えている。クライアント端末4には、上記RFID読取装置3が接続されている。
【0035】
データ記憶管理装置5(情報管理装置)は、データ管理部51、データ記憶部52(記憶手段)、ネットワークインタフェース部53を備えている。データ管理部51は、データ記憶部52に対する記憶及び外部への転送を管理し、RFIDタグ付き情報表示媒体のRFIDタグに記憶されるIDコードを管理する。データ記憶部52は、それぞれのRFIDタグ付き情報表示媒体に印刷されたコンテンツ情報、各コンテンツ情報とIDコードとを重複なく1:1で対応させた対応関係を記憶する。ネットワークインタフェース部53は、ネットワーク6との間のインタフェースを司る。データ記憶管理装置5は、RFIDタグ付き情報表示媒体に印刷する情報等を管理するサーバとして構成されている。
【0036】
尚、データ記憶管理装置5はネットワーク6に複数台接続することが可能である。また、データ記憶管理装置5のデータ記憶部51は一般的にはハードディスクを使用するが、CDRドライブ、CDRWドライブ、DVD、その他の電子情報を記憶するための良く知られた記憶装置も使用することができる。
【0037】
RFID読取装置3とRFIDタグ付き情報表示媒体7とは、RFID読取装置3のRFID読取部35とRFIDタグ付き情報表示媒体7のRFIDタグ71の間において無線でデータ通信を行うことにより、RFID読取部35がRFIDタグ71に記憶されたIDコードを非接触で読み取る。本実施の形態では、RFID読取部35の無線周波数は例えば13.56KHzである。また、RFIDタグ付き情報表示媒体7のRFIDタグ71に記憶されるIDコードのデータ形式としては、例えば、上述したMIT(Massachusetts Institute of Technology、米国 マサチューセッツ工科大学)のオートIDセンターが提唱している物流管理システムをそのまま採用し、オートIDセンターが標準化しているIDコードであるEPC(Electronic Product Code)を用い、EPCに対応するIPアドレスを保存して問い合わせに応えるネーム・サーバを活用し、オートIDセンターが開発したSAVANTと名づけられたソフトを活用してデータ収集を行うものとするが、これに限定されるものではない。
【0038】
尚、RFIDタグ付き情報表示媒体のRFIDタグのIDコードは、印刷時にRFIDタグに書き込まれるか、又はRFID製造時に予め書き込んでおく。また、データ記憶管理装置5に記憶された1つの電子ファイルに対応したコンテンツ情報が複数のRFIDタグ付き情報表示媒体にまたがって印刷される場合は、その複数のRFIDタグ付き情報表示媒体全体に対して1つのIDコードを対応付けるものとする。また、IDコードとして、最大でも256ビットとし、それ以下(望ましくは128ビット)のデータ長の重複のないIDコードを用いる。
【0039】
また、RFIDタグ付き情報表示媒体のIDコードは、RFIDタグ付き情報表示媒体に印刷されたコンテンツ情報のファイル名としても用いる。また、RFIDタグ付き情報表示媒体に印刷するコンテンツ情報が同一であるか否かに関わらず、それぞれのRFIDタグ付き情報表示媒体にIDコードを重複なく付与することで全てのRFIDタグ付き情報表示媒体のそれぞれを1枚残らず誤りなく区別する。また、RFIDタグ付き情報表示媒体のIDコードは、コンテンツ情報の印刷時に必要に応じて書き換えることをも可能である。
【0040】
また、印刷装置がRFIDタグ付き情報表示媒体に印刷された情報の内容を書き換えて印刷する場合、書き換えた新しい情報と該新しい情報を印刷する別のRFIDタグ付き情報表示媒体のIDコードとを対応付ける。また、RFIDタグ付き情報表示媒体のIDコードは、RFIDタグ付き情報表示媒体に印刷された情報の追記や書き換えなどの際、必要に応じて書き換え可能である。また、印刷装置は、RFID読取部でRFIDタグ付き情報表示媒体から読み取ったIDコードをRFIDタグ付き情報表示媒体に印刷するコンテンツ情報のアドレスと対応付けてデータ記憶管理装置5に転送する。
【0041】
本コンテンツ共有システムでは、ネットワーク6上のデータ記憶管理装置5に保存されているコンテンツ情報が印刷されたRFIDタグ付き情報表示媒体のRFIDタグに記憶されたIDコードと前記コンテンツ情報とを、重複なく1:1に対応させた対応関係をデータ記憶管理装置5に登録しておき、RFIDタグ付き情報表示媒体のコンテンツ情報の修正を行う場合は、RFIDタグ付き情報表示媒体のRFIDタグからIDコードを読み取り、IDコードに対応するコンテンツ情報をデータ記憶管理装置5から検索し、検索したコンテンツ情報を新たな(別の)RFIDタグ付き情報表示媒体に印刷するものである。
【0042】
また、本コンテンツ共有システムでは、RFIDタグ付き情報表示媒体に印刷されたコンテンツ情報と、コンテンツ情報の印刷履歴、印刷物の存在状態等を管理することができると共に、RFIDタグ付き情報表示媒体に印刷されたコンテンツ情報を高度なセキュリティを保持しながらネットワーク6を介して共有することが可能となっている。
【0043】
次に、本コンテンツ共有システムにおけるRFIDタグ付き情報表示媒体を用いた原稿修正手順の流れを図2及び図3のフローチャートを参照しながら詳細に説明する。
【0044】
図2及び図3は、RFIDタグ付き情報表示媒体にコンテンツ情報が印刷された印刷原稿があり、印刷原稿のコンテンツ情報を修正する場合についての原稿修正手順の流れを示したフローチャートである。
【0045】
RFIDタグ付き情報表示媒体(印刷原稿)に印刷されるコンテンツ情報は、クライアント端末4において作成され、データ記憶管理装置5のデータ記憶部52に登録され保存されている。データ記憶管理装置5のデータ記憶部52に登録されるコンテンツ情報は、RFIDタグ付き情報表示媒体(印刷原稿)に対する該コンテンツ情報の印刷時に、RFIDタグ付き情報表示媒体(印刷原稿)のRFIDタグから読み取ったIDコードと1:1に対応付けられ、その対応関係もデータ記憶管理装置5のデータ記憶部52に保存されている。
【0046】
先ず、RFIDタグ付き情報表示媒体(印刷原稿)に印刷したコンテンツ情報(印刷情報)の書き換え要求に伴い(ステップS1)、クライアント端末4に接続したRFID読取装置3のRFID読取部35によりRFIDタグ付き情報表示媒体(印刷原稿)のRFIDタグに記憶されたIDコードを非接触で読み取る(ステップS2)。次に、原稿管理システム(本実施の形態では例えばクライアント端末4が備えるとするが、これに限定されるものではない)(検索手段)は、RFID読取装置3により読み取ったIDコード(ID番号)が許可されているものであるか否かを判定する(ステップS3)。
【0047】
原稿管理システムは、IDコードが許可されていないと判断した場合は、クライアント端末4の電子ディスプレイに対し、データ記憶管理装置5からコンテンツ情報のダウンロードが不許可である旨を表示し(ステップS4)、IDコードが許可されていると判断した場合は、ステップS5に移行する。
【0048】
次に、原稿管理システムは、RFID読取装置3によるIDコードの読み取りに伴い、そのIDコードを用いて(IDコードとコンテンツ情報との対応関係に基づいて)、ネットワーク6上に接続されている複数のデータ記憶管理装置5の何れかに登録保存されているRFIDタグ付き情報表示媒体(印刷原稿)のコンテンツ情報を検索する(ステップS5)。原稿管理システムは、コンテンツ情報が複数のデータ記憶管理装置5の何れかに登録されていると判断した場合は、コンテンツ情報をクライアント端末4にダウンロードして電子ディスプレイに表示する(ステップS6)。クライアント端末4の電子ディスプレイに表示されたコンテンツ情報は、操作者が必要に応じて電子ディスプレイ上で修正を行う(ステップS7)。
【0049】
他方、原稿管理システムは、コンテンツ情報が何れのデータ管理装置5にも登録されていないと判断した場合は、未登録の旨を電子ディスプレイに表示すると共に、RFIDタグ付き情報表示媒体(印刷原稿)をネットワーク6に別に接続されたRFIDリーダ内蔵画像読取装置(図示略)にセットし読み取ることで新たにコンテンツ情報を登録することができる旨を電子ディスプレイに表示する(ステップS8)。
【0050】
電子ディスプレイに対する上記表示に基づき、操作者がRFIDリーダ内蔵画像読取装置にセットしたRFIDタグ付き情報表示媒体(印刷原稿)から新たにコンテンツ(画像)を読み取る(ステップS9)。これに伴い、原稿管理システムは、ステップS2で読み取ったRFIDタグ付き情報表示媒体(印刷原稿)のRFIDタグのIDコードと、ステップS9で新たに読み取ったコンテンツ情報との対応関係をデータ記憶管理装置5に登録し保存する(ステップS10)。更に、原稿管理システムは、上記読み取った新たなコンテンツ(画像)のうち文字情報をOCR(Optical Character Reader)ソフトにより文字データに変換する(ステップS11)。クライアント端末4の電子ディスプレイに表示された新たなコンテンツ情報は、操作者が必要に応じて電子ディスプレイ上で修正を行う(ステップS12)。
【0051】
原稿管理システムは、上記ステップS7或いは上記ステップS12におけるコンテンツ情報の修正が終了したら、修正後のコンテンツ情報をデータ記憶管理装置5に新たに登録し保存する(ステップS13)。更に、原稿管理システムは、修正前と修正後のコンテンツ情報の対応関係をデータ記憶管理装置5に追加記録する(ステップS14)。
【0052】
次に、原稿管理システムは、ネットワーク6に接続されている印刷装置1または印刷装置2に上記修正登録したコンテンツ情報を送信することで、印刷装置1または印刷装置2によりRFIDタグ付きの新たな紙にコンテンツ情報を印刷する(ステップS15)。原稿管理システムは、印刷装置1または印刷装置2によりコンテンツ情報を印刷する際に、RFID読取装置3によりRFIDタグ付きの新たな紙のRFIDタグからIDコードを読み取り、IDコードと上記修正登録したコンテンツ情報との対応関係を上記同様にデータ記憶管理装置5に記録する(ステップS16)。こうして元のRFIDタグ付き情報表示媒体(印刷原稿)から電子的な修正を施した修正印刷原稿を作ることができる。
【0053】
尚、本実施の形態では、RFIDタグ付き情報表示媒体のRFIDタグに記憶するIDコードとして例えば96ビットのIDコードを用いたが、これに限定されるものではなく、例えば128ビットのIDコードを用い、MITのオートIDセンターが標準化しているものとは別のID管理システムを利用してもよい。
【0054】
次に、上述した本実施の形態について更に詳細に説明する。
【0055】
近年、文書データの作成に関してはますます電子化される傾向にあり、コンピュータを用いたデータ処理によりコンテンツの電子データを作成することが一般的となってきている。電子データとしては、ワードプロセッサソフト、表計算ソフト、その他の文書作成加工ソフト、イメージスキャナなどの画像読取装置で読み取った画像データ、デジタルカメラやデジタルビデオカメラなどの撮像装置により撮影した画像データなどのほか、必要に応じ音声データなども含まれる。
【0056】
従来は、上記のような電子データをプリンタなどの印刷装置を用いて印刷を行うことで印刷物とすることが一般的であった。この場合、印刷装置はネットワークに接続し、同じくネットワークに接続されたパソコンなどのクライアント端末からの指示により指定された文書ファイルのコンテンツ情報を、ネットワークに接続した記憶装置からダウンロードし、印刷装置により印刷を行うのが一般的である。
【0057】
印刷して可視化する文書のコンテンツ情報の電子データは、ネットワークに接続した記憶装置に保存されることが多くなり、ネットワークに接続されていない独立したパソコンなどの情報処理装置は減少する傾向にある。
【0058】
本実施の形態では、紙が有する情報保存記録機能を紙から完全に切り離し、コンテンツ情報は原則的に全て電子データとして、ネットワーク上のサーバ(データ記憶管理装置5)が管理する記憶装置(データ記憶部52)に保存する。この記憶装置としては、コンピュータシステムやネットワークシステムにおいて一般的に使用されるものを利用することができる。最も一般的に利用できる記憶装置としてはハードディスクがある。また、コンパクトディスク、DVD、光磁気ディスクなども利用可能である。
【0059】
特に、インターネットが高度に発達してきた現在では、社会環境の多くの場所でインターネットにアクセスすることが可能になってきている。この傾向は今後ますます加速し、ユビキタスネットワークという言葉で表されるように、社会のあらゆる場所で何処でもネットワークにアクセスすることが可能になってきている。
【0060】
このようなインフラストラクチャを利用すれば、紙も更に使いやすくすることができる。即ち、人間が書籍、新聞、報告書、写真、広告、その他の一般に紙と呼ばれる記録媒体に記載された文字情報や画像情報などの紙情報を利用する環境では、ほとんどいつもインターネットへのアクセスが可能になる。そこで、紙に印刷する情報を、インターネットに接続されたパソコン、サーバ、大型のメインフレーム等が管理する記憶装置に保存しておけば、それを世界中の何処からもインターネットを介して読み出すことができるようになる。
【0061】
過去においてはインターネットとの接続は有線のみであったが、現在は携帯電話機によるアクセスや無線LANやBluetoothなどによる無線通信も使用可能になってきている。このような技術を利用すれば、インターネットに通信線(配線)で接続することなく無線通信で繋がれた端末を使用してインターネットにアクセスすることができる。つまり、通信線の接続なしに、何処にいてもインターネット上で管理する文書情報を端末にダウンロードして読んだり、端末で作成した文書をアップロードしてインターネット上のサーバが管理する記憶装置に保存したりすることができる。携帯電話機の利用に関しては第3の実施の形態で後述する。
【0062】
また、印刷された文書に手書きの文字の書き込みがある原稿の情報をインターネット上に取り込むこともイメージスキャナの高度な発達により可能になるし、インターネット上に保存されていない原稿の情報であってもそれをインターネット上に取り込んで電子データとして扱うことが可能である。スケッチやメモ書きを扱うことはもちろん、電子データのない印刷原稿や銀塩写真や紙幣や有価証券やチケット、或いは戸籍謄本や住民票などの公的文書までも電子データとして取り込むことができるし、初めから電子データとして作成することも可能である。また、医療分野で使われる紙のカルテにRFIDタグを付与して手書き書き込みを含むそのコンテンツをイメージリーダで読み取り、医療データベースと結合することもできるし、同時に膨大な数の紙のカルテをそれに付与したRFIDタグで管理することもできる。RFIDタグと検索用のアンテナがあれば、探そうとするカルテが何処にあるかを簡単に知ることができる。
【0063】
このようにして、印刷物の画像の元となる電子データであるコンテンツ情報がある場合でも、紙に印刷された印刷情報だけがあって電子データが存在しないまたは失われた場合でも、電子データに基づき印刷された印刷物に後から手書きのような電子的な手段でない方法で情報が追記された場合でも、電子データに基づき印刷された紙を切り貼りして作成した物理的に加工された印刷物の場合でも、基本的に全ての文書データを電子化することができる。更に、OCRソフトを用いれば、イメージスキャナで読み取った紙の上の画像情報中の文字を文字情報として認識して電子データとして保存することもできる。
【0064】
ところで、紙が従来果たしてきた情報の伝達形態が、インターネット上において縦横無尽に行き交う大量の情報の伝達形態に切り替えられていった場合、大量の情報を人間が受け取って理解するためには、多くの場合何等かのディスプレイを使うことが必要になる(限られた状況では音声も使用できるが、人間が情報を受け取るためには圧倒的に視覚を用いる方が便利である)。大量の情報をディスプレイを通じて視覚から受け取る際の人間の疲労は大変なものである。例えば長編小説や長文の学術書、或いは難解な研究論文を読みこなそうとすると、情報量がそれ程大きくない限り、人間の疲労を和らげるという点で既存の電子ディスプレイよりも紙のほうが圧倒的に読みやすい。
【0065】
軽くて人間が容易に手に持って操作できる紙の場合は、紙に記載(印刷)された内容を人間が自由な姿勢で読むことができるので、長時間読む間に姿勢を様々に変えて疲労を軽減することができる。また、紙は電源や特別の補助装置も不要なので、どんな場所へもそのまま持って行って使用できる。紙はオフィスの机の上だけでなく電車の中でも使用できるし、歩きながらでも容易に使用できる。紙に記載される情報量がある程度大きくなると(枚数が多くなると)、紙は持ち運びに不便ではあるが、人間が一度に読む量は限られているので、多数枚の紙をいくつかの巻に分割して製本することで扱いやすくすることは過去から長く行われてきた。
【0066】
また、光を受けることで記載内容を視覚で読み取る受光型の情報表示媒体である紙は、目に優しい画像を人間に提供できる。紙は電子ペーパなどに比べて画像濃度の格段に大きなコントラストを実現できるので、はるかに見易い。また、紙は手で触れることができるので、紙に記載された情報には実体感が伴い、人間が受け入れ易い。
【0067】
更に、紙に対しては、何の予備知識も特別の訓練もなしに人間が長い間使い慣れてきたペンや鉛筆などの筆記用具で紙面の何処にでも自由に書き込みを行ったりそれを消したりすることができる。紙に対する自由な書き込みは、人間が紙の記載(印刷)内容を理解する助けになるし、紙の記載(印刷)内容から考えを発展させるきっかけを作る場合もあり、人間の創造力を飛躍させる助けになることもしばしばある。また、机の上に沢山の紙を広げてそれぞれを比較検討したり、複数枚の紙を重ねていくつかの束に分類したりすることも容易にできる。
【0068】
また、上記のような、紙に対する書き込みや分類などの各種操作に関して操作法を習得するということは不要である。紙は落としても壊れないし、落とした紙を足で踏まれても壊れて使えなくなることはない。更に、紙は使用した(印刷や書き込みなどを行った)後に充電する手間なども要らない。
【0069】
紙には上記のような数々の利点があるために、ネットワーク上の記憶装置に保存されている情報をしっかりと読みこなそうとする時に、一度には読みこなせないような大量の情報を扱う場合を除けば、情報をディスプレイに表示するのではなく、読みやすい紙に情報を印刷して利用することが容易にできる方が便利である。紙には基本的に記録媒体としての役割を持たせるのではなく、一時的に情報を紙に表示(印刷、書き込み)して用が済んだら使い捨てるような使い方が、情報を読む上では楽である。
【0070】
このようにすることで紙の最も優れた性質を利用し、紙に不向きな役割はネットワークに受け持たせてしまうことは、情報を読みやすくし記録にも便利な使い方であり、日常このような使い方はよく行われている。これは、紙をネットワークシステムに接続した一種のディスプレイとして機能させるという方法を指向している。更に、使用した紙は何回も再生して使用することが既に完成された技術として実際に大規模に行われており、資源の再利用や有効活用という点でも充分な対策がとられている。
【0071】
しかしながら、単なる紙は通常の電子ディスプレイよりも決定的に不便な点がある。それは、プリンタがあればデータのダウンロードはかなり自由にできるが、電子ディスプレイ側からのデータの加工やアップロードは困難だということである。つまり、紙にプリントアウトされた情報はそこでシステムと切り離され、電子的な情報処理の可能なネットワーク上の仮想世界からモノが情報を担う現実世界へ放り出されたままとなり、電子ディスプレイのように仮想世界に戻ってデータ処理を行うことは大変やりにくい。
【0072】
特に、例えば電子ファイルから読み出されプリンタにより紙に印刷された情報がある程度一人歩きしてしまうと、その情報の元となった電子ファイルを利用することは特定の人以外には非常に困難になる。これは、機密保持上は必ずしも欠点ではないが、情報を利用するという点では大きな欠点である。もちろん、イメージスキャナなどの画像読取装置を利用することにより、ある程度はその情報をシステムに再び取り込むことは可能であるが、その場合には元の電子データに比べて情報が変質したり欠落したり或いは余計な情報がノイズとして載ったり、文字情報が画像情報としてしか利用できなくなったりする。高精彩画像であればその情報を完全に復元することは事実上不可能である。
【0073】
さりとて、紙にプリントアウトされた情報の元となった電子ファイルをネットワークから探し出そうとしても、ファイル名がわからず電子ファイル検索が不可能なことが多い。ファイル名がわかっていてもその電子ファイルが何処にあるかが判らなければ、電子ファイルを見つけ出せない場合もしばしばある。
【0074】
また、上述したような文書データ作成の電子化において、紙の機能を真似ようとした場合、紙の原稿に対し、情報の印刷、捺印、手書きによる文字の書き込み、或いは印刷画像の上から所定の情報を重ねて印刷するなどの原稿の加工を行った場合には、その結果をイメージスキャナなどの画像読取装置で読み取って画像情報として保存するしかなく、元の電子データに遡って修正加工を加えることはできない。しかし、電子ディスプレイでは電子ファイルが表示される限り、上記の修正加工を加えることが可能である。これは、ネットワークと電子ディスプレイとの間の情報の流れを断ち切らずに保持することができるためである。
【0075】
上述したように、紙の場合には、情報が一旦システム(コンピュータやプリンタなど)を介して印刷されてシステムの外へアウトプットされてしまうと、そこでシステムとの間の情報のつながりが断ち切られ、システムへの情報のフィードバックは非常に困難になるという大きな欠点がある。
【0076】
そこで、本実施の形態では、上記図1乃至図3で説明したように、紙にRFIDタグを付与したRFIDタグ付き情報表示媒体を使用し、RFIDタグ付き情報表示媒体のRFIDタグに記憶されたIDコードを読み取り、該IDコードによって、RFIDタグ付き情報表示媒体に印刷された後の印刷情報とネットワーク上のデータ記憶管理装置5に保存されているコンテンツ情報との関連付けを行うものである。
【0077】
本実施の形態では、ネットワーク6に接続されるクライアント端末4等の機器においては、どのRFIDタグ付き情報表示媒体(紙)に何を書き込んだかを認識することができ、RFIDタグ付き情報表示媒体(紙)を用意しておけば、それに書き込まれた印刷情報の元となるネットワーク上に保存された情報(電子データ)にアクセスすることができる。そして、ネットワーク上に保存された情報(電子データ)を人間が見える形でRFIDタグ付き情報表示媒体(紙)の上に表示(印刷)するだけでなく、そのRFIDタグ付き情報表示媒体(紙)に何等かの方法で情報の書き込みができるようになる。これは電子ディスプレイ上で行ってもよいが、RFIDタグ付き情報表示媒体(紙)の上に手書きで書き込んだり別の紙情報を貼り付けたりした場合も、それを元の情報と区別して読み取り、修正された情報として保存することも可能である。
【0078】
また、手元にある原稿を複写したい場合は、原稿の元となる情報をネットワーク上から簡単に呼び出して複製を作ることができる。1枚の原稿から多数枚の紙に複写を行う場合には、光学的に画像を読み取って複写するのではなく、原稿の元となる情報をネットワーク上からダウンロードして印刷することで複写することができる。或いは、複写の複写を重ねる必要がある場合にも、全てその原稿の元となる情報をネットワーク上から呼び出して複製を作ることができるので、光学複写に特有の画質の劣化を避けることができる。
【0079】
紙に付与するID情報(IDコード)の検知方式としては、バーコードなどの光学式のID認識方式や磁気を使う方式もあるが、ID情報を記録しておく手段としては、半導体ICから構成されるRFIDタグが圧倒的に優れている。例えば、必要に応じ後から情報を書き換えたり書き加えたりすることができる点でも、重なった多数枚の紙のID情報を一度に読み取ることができる点でも、表面が汚れてもID情報を読み取ることができる点でも、ID情報の読取装置が小型化できる点でも、読取装置とRFIDタグとの距離がある程度はなれていても読み取りが可能な点でもRFIDタグが優れている。高周波でID情報の読み取り及び書き込みを行うことができ、しかもその高周波によってRF回路の動作のための電力供給まで行うことができるRFIDタグの特徴を十分に生かすことができる。
【0080】
RFIDタグを用いる方式によれば、RFIDタグに電池を搭載する必要がなく、紙に付与しても違和感が起きないような非常に小さいサイズのRFIDタグを実現することができる。即ち、紙などの情報表示媒体を電子ディスプレイと同様のレベルでネットワークシステムにつなぎ止める上では、RFIDタグが圧倒的に優れているということができる。
【0081】
本実施の形態においては、上述したように、原則として情報表示媒体(紙)に付与したRFIDタグに、その情報表示媒体に印刷したコンテンツの情報を印刷と重複して記録する必要はない。情報表示媒体には情報の表示機能を持たせ、情報の記録機能はネットワーク上のサーバ(データ記憶管理装置5)が管理する記憶装置(データ記憶部52)に受け持たせる、という役割分担が特徴である。これにより、情報表示媒体に高精細な高画質情報が印刷してあっても、その高画質情報をRFIDタグから読み取ったり書き込んだりする必要がなく、情報の読み取り及び書き込みを極めて短時間で行うことが可能になる。
【0082】
情報表示媒体(紙)に付与したRFIDタグは紙のイメージを壊さずに紙に付与できる形にする必要があるため、それ程厳重なパッケージングを行わなくても使用可能でなければならない。このため、RFIDタグを構成する半導体ICはそれなりに厳しい環境に晒される。半導体ICにあまり高密度の集積回路を搭載すれば、ノイズに対する耐久性を低下させ外界の環境の影響を受けやすくなるので、誤動作を招きやすくなる。従って、紙に搭載するRFIDタグであれば、特に、RFIDタグを構成する回路は無理な高集積化をせずに可能な限りシンプルな構成とし、ノイズ耐性や環境耐性を高くする必要がある。
【0083】
また、RFIDタグ付き情報表示媒体に印刷されたコンテンツ情報を電子情報として保持しないならば、大容量のメモリは不要となり、これまたメモリの誤動作の危険を避けることができるし、紙として適正な製造コストでRFIDタグを付与できるという大きな利点がある(実際、RFIDタグを構成する回路を単純化することができれば有機半導体による回路の搭載も夢ではない)。従って、特殊な用途を別にすれば、RFIDタグに印刷情報を重複して記録する必要はないばかりか、不必要に複雑なチップ(RFIDタグを構成する半導体IC)を用いることは避けなければならない。
【0084】
RFIDタグ付き情報表示媒体のRFIDタグに記憶するIDコードについては、完全に重複がなくネットワーク上のデータ記憶管理装置5に記憶するコンテンツ情報と完全に1:1に対応させることが必要である。そして、定められた範囲の中では、ネットワークの何処からでもRFIDタグのIDコードからコンテンツ情報にアクセスできるようにすることが重要である。これは、例えば96ビットまたは128ビット程度のIDコードによるアクセス空間で容易に実現することができる。これにより、コンテンツ情報の誤った読み出しを防止することができる。また、このようにすることで、RFIDタグ付き情報表示媒体に記載されている紙情報と異なるコンテンツ情報が読み出されることを防止することができ、結果として機密保持に大きく寄与することができる。
【0085】
IDコードとコンテンツ情報との対応関係において、コンテンツ情報のファイルのファイル名を使った場合には、その重複を完全に防ぐことは難しいし、また充分に小さなデータ量で誤りなくファイルの位置まで指定したり、リンクを取ることは現実的ではない。
【0086】
複数ページからなるコンテンツ情報が単一の電子ファイルから構成される場合には、それを印刷する際にはその文書のセット全体で一つのIDコードを与えてもよい。必ずしもRFIDタグ付き情報表示媒体1枚に必ず1個のIDコードを与える必要はない。
【0087】
本実施の形態で使用するIDコードは、上述したように例えば96ビットまたは128ビット程度の大きさで充分である。この程度の大きさのアドレス空間であれば、個々のRFTDタグ付き情報表示媒体を個別に区別するには充分である。256ビットを超える大きさのデータ量は、基本的に不要であるばかりでなく、RFID読取装置3により多数枚のRFTDタグ付き情報表示媒体のRFTDタグからIDコードを同時に読み取る際に、RFID読取装置3の読み取り速度を十分に高くできず、読み取りミスを引き起こす恐れがでてくるために望ましくない。
【0088】
個々のRFTDタグ付き情報表示媒体を誤りなく読み取るために、且つ多数枚のRFTDタグ付き情報表示媒体を同時に高速で読み取るためには、最大でも256ビット、望ましくは128ビット程度のデータ量でIDコードを構成する必要がある。即ち、RFIDタグが持つデータ量が小さいことが、IDコード読み取りの高速化やRFID読取装置及びRFID書込装置の簡略化や低価格化のために必要である。
【0089】
IDコードの例としては、上述したような、米国マサチューセッツ工科大学が主管するオートIDセンターが用いる物流管理を主目的とした96ビットのエレクトロニック・プロダクト・コード(EPC)や、インターネットプロトコルのIPv6で用いられる128ビットのIPアドレス、或いは日本のT−Enginフォーラムが設立したユビキタスIDセンターの128ビットのユビキタスID(UBID)などがある。本発明のIDコードをこれらに一致させて使用することにより、独自の複雑なIDコード管理システムを独立に設計する必要がなくなり、インターネットを活用して今後成熟していく物流管理システムやユビキタスネットワークシステムの中でIDデータ処理とその管理を行うことができるので、標準化という観点からも大きな利点がある。
【0090】
(第1の実施形態)
更に、本実施の形態について詳細に説明する。
【0091】
本実施の形態は、上述したように、RFIDタグ付き情報表示媒体に印刷するコンテンツ情報をネットワーク上のサーバ(データ記憶管理装置5)が管理する記憶装置(データ記憶部52)からダウンロードする方式が従来と異なる。本実施の形態では、紙のようなRFIDタグ付き情報表示媒体とネットワーク上の情報処理システム(クライアント端末4、データ記憶管理装置5など)とを、RFIDタグ付き情報表示媒体に付与したRFIDタグに記憶されたIDコードにより関連付けるだけでなく、RFIDタグ付き情報表示媒体に印刷された情報を必要に応じネットワークから直接呼び出すことが大きな特徴である。
【0092】
IDコードはネットワーク上のサーバ(データ記憶管理装置5)が管理し、IDコードを鍵として、記憶装置(データ記憶部52)に保存されているコンテンツ情報とそのコンテンツ情報が印刷されたRFIDタグ付き情報表示媒体とを結びつけるだけでなく、特に印刷の際にはどのRFIDタグ付き情報表示媒体に印刷を行ったかを記録しておき、複写要請のような再印刷要請があれば、記憶装置(データ記憶部52)に保存されているコンテンツ情報を印刷装置にダウンロードする。
【0093】
この処理はパソコンなどのクライアント端末4を用いず、RFIDタグ付き情報表示媒体のRFIDタグに記憶されたIDコードを読み取ると共に、印刷装置に対する複写処理命令を印刷装置の複写ボタン操作を行うだけで、ネットワーク上のデータ記憶管理装置5からコンテンツ情報を検索し、印刷装置にダウンロードすることが望ましい。或いは、この処理の一部または全てをネットワーク上のサーバ(データ記憶管理装置5)に依頼してもよいが、原則としてユーザがクライアント端末4を操作する必要がないようにシステムを構成する。
【0094】
原理的には、RFIDタグ付き情報表示媒体(紙)のRFIDタグに記憶されたIDコードのような、ネットワーク上のデータ記憶管理装置5に保存されているコンテンツ情報のアドレスとの関連を示す情報があれば、様々な方法でコンテンツ情報の電子データを検索することが可能である。しかし、その手順がシステムとして整備され自動化されて短時間で電子データのダウンロードができるものでなければ、それを実際に日常的に使用することはできない。
【0095】
本実施の形態では、RFIDタグ付き情報表示媒体(紙)のRFIDタグに記憶されたIDコードを事実上瞬時に読み取り、IDコードに対応するコンテンツ情報の電子データをネットワーク上のデータ記憶管理装置5から短時間でダウンロードする操作を、細かなファイル操作やOSの操作などを行うことなく、実際上自動的に実現することができる。例えば、RFIDタグ付き情報表示媒体のRFIDタグに記憶されたIDコードを、クライアント端末4に接続されたRFID読取装置3で読み取ると、待ち時間なしにクライアント端末4の電子ディスプレイ上に文書が表示され、即座にその文書の修正加工作業に入ることができる。
【0096】
また、本実施の形態では、ネットワークに接続する印刷装置を複写機とすれば、複写機の原稿台にRFIDタグ付き情報表示媒体(紙)を置いて複写ボタンを押すと、即座にRFIDタグ付き情報表示媒体のコンテンツ情報(電子データ)が自動的にネットワーク上のデータ記憶管理装置5からダウンロードされるため、コンテンツ情報を別のRFIDタグ付き情報表示媒体(紙)に印刷することで複写を行うことができる。つまり、原稿の画像を光学的に読み取ってそれをそのまま光学的に複写するのではなく、コンテンツ情報(電子データ)を別のRFIDタグ付き情報表示媒体(紙)に印刷することで複写を行うことができる。
【0097】
上記コンテンツ情報の印刷が行われたRFIDタグ付き情報表示媒体に対し、別の情報の追加印刷や手書きによる追加書き込み等があれば、RFIDタグ付き情報表示媒体からイメージスキャナなどの画像読取装置を介して画像を読み取り、読取情報を、RFIDタグ付き情報表示媒体のRFIDタグに記憶されたIDコードが指定する元のコンテンツ情報と比較することで、追加修正部分を区別して保存することができる。また、元の印刷物が修正変更を受けたことも記録して管理することができる。極端な例として、IDコードが与えられているが何も印刷されていないRFIDタグ付き情報表示媒体に対し、ネットワークを介さず光学的に別の原稿の情報の複写を行ったり、手書きで文字や画像を書いたりした場合には、それを画像読取装置で読み取って新しいコンテンツファイルを作り、コンテンツファイルとIDコードとを関連付けることもできる。
【0098】
上述したデータ処理をクライアント端末4を用いず印刷装置1または印刷装置2の中で行うか、またはデータ処理をネットワーク上のサーバ(データ記憶管理装置5)に依頼する。RFIDタグ付き情報表示媒体(原稿)に印刷されている情報の複写や、RFIDタグ付き情報表示媒体(原稿)に印刷されている情報の修正を行おうとする人が、コンテンツ情報のファイル名をわかっていなくても、或いはそのファイルが何処にあるのか判らなかったとしても、RFIDタグ付き情報表示媒体さえあれば、印刷の元になるコンテンツ情報をネットワーク上のデータ記憶管理装置5から自動的にダウンロードすることができる。こうして、電子情報システムの中でのRFIDタグ付き情報表示媒体の使いやすさを格段に引き上げることができる。
【0099】
上述したようなRFIDタグ付き情報表示媒体の使い方の別の応用としては、RFIDタグ付き情報表示媒体(紙)のRFIDタグのIDコードを読み取るRFID読取装置を、プリンタやイメージスキャナに組み込むだけでなく、パソコンやPDA(Personal Digital Assistant)や携帯電話機などのような情報機器に接続できるように構成することにより、RFIDタグ付き情報表示媒体(紙)を用意しておくだけで、その印刷内容を上記情報機器のディスプレイに表示し、加工修正をディスプレイ上で行って印刷するということが可能となる。実際には、RFIDタグ付き情報表示媒体(紙)の情報を手書きや切り貼りで加工して原稿にするよりは、ネットワーク上からファイルを呼び出して電子的にデータ加工を行い、データ加工が完了したらその内容を印刷する方がはるかに楽であり、合理的である。従来の方式ではファイル名がわからなければこのようなことはできなかった。
【0100】
RFIDタグを紙などの情報表示媒体に付与した場合、RFIDタグに記憶するIDコードの管理には、何等かの管理システムが必要であるが、この種の管理システムは必要に応じ個別に構築することができる。しかし、この種の管理システムが数多く個別に存在するようになると、異なる管理システムで割り振られたIDコードを読むことが難しく、IDコードの読み取りができたりできなかったりするということが多発する。これは、RFIDタグ付き情報表示媒体の使いやすさを著しく悪くする。
【0101】
これを解決するためには、できる限り標準化されたID管理システムを利用することが望ましい。現在、物流管理を主な目的としてRFIDタグをあらゆる物に付与し、物流管理を総合的に行おうとする試みがある。また、あらゆる電子機器や家電製品、冷暖房設備や風呂などの湯沸し機器、家庭内の防犯用監視システムや火災警報システムなどにマイクロプロセッサを組み込んだりIDコードを割り振ったりすることで、各機器をネットワークに接続して総合的に管理するユビキタスコンピューティングやユビキタスネットワークと呼ばれるシステムが普及し始めている。
【0102】
こうして無線タグとかゴマ粒チップなどと呼ばれるRFIDタグを用いることで、上記のような物流管理や品質管理或いは家庭内の機器管理に適用されるIDコード管理体系を利用できる環境が整いつつある。上記の例のように、あらゆる物品にIDコードを割り振り、有線通信、或いは必要なら機器や物にRFIDタグを貼り付けることによる無線通信を実現し、必要に応じ非接触のID読取書込装置を世の中の要所要所に配置することで、物の世界とネットワークの仮想世界を結びつけることを想定することができる。
【0103】
そして、品物の個別チェックを行うと共にチェックに基づく情報をインターネットを使って収集することで、物流の全体管理や、家庭内やオフィスの個々の機器の全体管理を可能にすることができる。このIDコード管理体系は、基本的にそのままRFIDタグを付与した印刷物の管理に使用することができる。
【0104】
米国マサチューセッツ工科大学が提唱するAuto−ID Centerはその代表的なものであるし、日本のT−Engineフォーラムが設立したユビキタスIDセンターが提案するシステムも利用可能である。こうして世界中に張り巡らされたインターネットを利用し、物流管理を主目的としたIDコード管理体系をそのまま利用することにより、RFIDタグを付与した情報表示媒体(紙)に印刷された情報を、実際上、電子情報システムに取り込むことが可能となり、紙の情報保存記録機能をネットワークに移管し、紙の優れた情報表示機能を有効に活用することが可能になる。
【0105】
本発明を有効に機能させるためには、RFIDタグに記憶されたIDコードを高周波で読み取るRFID読取装置を内蔵した印刷装置(上記図1の例では、RFID読取部16を内蔵した印刷装置1、RFID読取部26を内蔵した印刷装置2)を用いる。印刷時に情報の書き換えを行うことが必要になる可能性があるので、RFID読取装置だけでなくRFID書込装置も印刷装置に内蔵させると更に都合がよい(上記図1の例では、RFID読取部26及びRFID書込部27を内蔵した印刷装置2)。
【0106】
RFID読取装置を内蔵した印刷装置(複写機)またはRFID読取及びRFID書込装置を内蔵した印刷装置(複写機)の原稿台にRFIDタグ付き情報表示媒体を置いて読取指示を行えば、RFIDタグ付き情報表示媒体のRFIDタグから自動的にIDコードを読み取り、そのIDコードに対応したコンテンツ情報をネットワーク上のデータ記憶管理装置5からダウンロードすることで、コンテンツ情報を印刷することができる。これは、実質的に原稿の複写となる。
【0107】
上記のような複写機では、印刷画像を光学的に読み取る必要はないので走査光学系は不要となり、機体の小型化及び低コスト化を図ることができる。また、走査光学系の走査が不要となるので複写速度を高速化する上で都合がよい。RFIDタグは多数個を同時に読み取らせることも可能なので、複写機の原稿台にセットする原稿として多数枚のRFIDタグ付き情報表示媒体を重ねておいてRFIDタグのIDコードをまとめて読み取り、全ての原稿のコンテンツ情報をまとめてネットワーク上のデータ記憶管理装置5からダウンロードして印刷することも可能である。この場合、上記のような複写機では、従来の複写機のような自動的に原稿を原稿台(プラテンガラス)上に送る自動給紙装置は不要となる。
【0108】
更に、画像読取装置を用意すれば修正された紙原稿の読み取りを行うことができる。この場合には、読み取った原稿の光学画像情報とIDコードによりネットワークからダウンロードした修正前の情報とを比較し、修正部分が何処であるかを検出して記録することができる。これによれば、修正前のコンテンツ情報に追加修正データを書き加え、電子データとして保存することができる。この機能は文書の改ざんチェックに利用することもできる。
【0109】
以上説明したように、本実施の形態によれば、紙が有する情報保存記録機能を紙から完全に切り離し、コンテンツ情報はネットワーク上のデータ記憶管理装置5にIDコードに対応付けて保存し、検索により利用可能とすることで、紙をその非効率な情報保存記録機能から開放し、且つ紙の優れた表示品質を温存し、更に紙に印刷された情報をシステムに簡単に取り込んで加工することを容易に行うことができるようになるという効果を奏する。
【0110】
更に、詳細に効果を説明すると、コンテンツ情報が印刷されたRFIDタグ付き情報表示媒体のRFIDタグのIDコードとコンテンツ情報とを重複なく1:1に対応させた対応関係を、ネットワーク上のデータ記憶管理装置5に登録しておくことで、RFIDタグ付き情報表示媒体に印刷されたコンテンツ情報、コンテンツ情報の印刷履歴、印刷物の存在状態等々を的確に管理することができ、高度なセキュリティを保持しながら、あたかも印刷されたコンテンツ情報もネットワークに接続されているかのように共有することができる。
【0111】
また、RFIDタグ付き情報表示媒体のRFIDタグのIDコードとコンテンツ情報とを重複なく1:1に対応させることで、RFIDタグ付き情報表示媒体に印刷されたコンテンツ情報を必要に応じ、ネットワークから直接呼び出すことが可能となる。
【0112】
また、IDコードとコンテンツ情報とを1:1に対応させた対応関係をネットワーク上のデータ記憶管理装置5に登録してあるRFIDタグ付き情報表示媒体(印刷原稿)があれば、そのコンテンツ情報をネットワーク上のデータ記憶管理装置5から自動的に読み出して利用することができるので、RFIDタグ付き情報表示媒体(印刷原稿)に印刷されたコンテンツ情報の修正を完全にクライアント端末4の電子ディスプレイ上で行うことができる。
【0113】
また、RFIDタグ付き情報表示媒体(印刷原稿)に対する修正後のコンテンツ情報を、ネットワーク上の印刷装置により別のRFIDタグ付き情報表示媒体に印刷することにより、修正跡のないRFIDタグ付き情報表示媒体(印刷原稿)が得られるばかりでなく、修正後のコンテンツ情報も電子データとしてネットワーク上のデータ記憶管理装置5に記憶し保存することができる。
【0114】
また、ネットワーク上のデータ記憶管理装置5に保存されるコンテンツ情報(電子データ)は、RFIDタグ付き情報表示媒体(紙)との関連性を考えなければ、従来どおりの電子ファイル操作が可能であり、RFIDタグ付き情報表示媒体(紙)に印刷したり、RFIDタグ付き情報表示媒体(紙)から読み取ったり修正したりする場合だけ、RFIDタグに記憶されたIDコードに基づく、コンテンツ情報とRFIDタグ付き情報表示媒体との対応関係を活用することができる。
【0115】
また、RFIDタグ付き情報表示媒体に印刷されたコンテンツ情報をネットワーク上のデータ記憶管理装置5に登録し管理するため、ユーザにとってセキュリティに注意を要するコンテンツの印刷物を容易に作成することができる。
【0116】
また、印刷物の複製を作成する際には、全てその印刷物(印刷原稿)の元となる情報をネットワーク上のデータ記憶管理装置5から呼び出して印刷装置により複写を行う(複製を作る)ことができるので、光学複写に特有の画質の劣化を起こすことなく、オリジナルの印刷物と同様の印刷物を作成することができる。
【0117】
また、コンテンツを管理する立場にとっては、コンテンツに関する印刷情報を見ることによって、関連する印刷物全ての管理を行うことが可能となる。
【0118】
[第2の実施の形態]
本発明の第2の実施の形態に係る印刷装置、RFID読取装置、クライアント端末、データ記憶管理装置からなるコンテンツ共有システムの構成は、第1の実施の形態で示した図1と同様であり、詳細は上述したので説明を省略する。
【0119】
本実施の形態では、複数枚のRFIDタグ付き情報表示媒体(印刷原稿)のコンテンツ情報をダウンロードする方法について説明する。
【0120】
RFIDタグ付き情報表示媒体(印刷原稿)のコンテンツ情報は、クライアント端末4において作成され、データ記憶管理装置5のデータ記憶部52に登録され保存されている。そのコンテンツ情報は、印刷時にRFIDタグ付き情報表示媒体(印刷原稿)のRFIDタグから読み取ったIDコードと1:1に関連付けられ、その対応関係もデータ記憶管理装置5のデータ記憶部52に保存されている。
【0121】
RFIDタグ付き情報表示媒体(印刷原稿)が複数枚ある場合も、その原稿修正手順は図2及び図3に示したものとほぼ同様である。
【0122】
先ず、クライアント端末4に接続したRFID読取装置3のRFID読取部35(読取ヘッド)に複数枚のRFIDタグ付き情報表示媒体(印刷原稿)を重ねたままの状態で近づけ、それら全てのIDコードを一括して同時に読み取る。次に、クライアント端末4の制御部内の原稿管理システムは、上記IDコードを用いてネットワーク6上の複数のデータ記憶管理装置5の何れかに登録保存されている上記複数枚のRFIDタグ付き情報表示媒体(印刷原稿)に対応したコンテンツ情報を検索し、クライアント端末4のハードディスクにダウンロードし、コンテンツ情報のファイルの位置を電子ディスプレイに表示する。
【0123】
次に、原稿管理システムは、上記コンテンツ情報のファイルを電子ディスプレイ上に表示する。これにより、操作者が必要に応じて順次、電子ディスプレイ上で修正加工を行う。原稿管理システムは、操作者による修正が終了したら、修正後のコンテンツ情報を新たにデータ記憶管理装置5のデータ記憶部52に登録し保存する。
【0124】
そして、原稿管理システムは、ネットワーク6に接続されている印刷装置1または印刷装置2により、コンテンツ情報を新たなRFIDタグ付き情報表示媒体(紙)に印刷する。原稿管理システムは、印刷装置1または印刷装置2により印刷する際に、新たなRFIDタグ付き情報表示媒体(紙)のRFIDタグのIDコードをRFID読取装置3により読み取り、IDコードと上記修正登録したコンテンツ情報との対応関係を同じくデータ記憶管理装置5のデータ記憶部52に保存する。こうして複数枚のRFIDタグ付き情報表示媒体(印刷原稿)から第1の実施の形態とほぼ同様にして電子的な修正を行った修正印刷原稿を作ることができる。
【0125】
尚、データ記憶管理装置5は、印刷装置が複数のRFIDタグ付き情報表示媒体に同じ情報を印刷する場合において、印刷装置のRFID読取部で複数のRFIDタグ付き情報表示媒体から読み取られ転送されるIDコードをコンテンツ情報と対応付ける際は、複数のRFIDタグ付き情報表示媒体のそれぞれのIDコードと印刷する単一の(同じ)コンテンツ情報とを対応付ける。
【0126】
以上説明したように、本実施の形態によれば、紙が有する情報保存記録機能を紙から完全に切り離し、コンテンツ情報はネットワーク上のデータ記憶管理装置5に保存することで、紙をその非効率な情報保存記録機能から開放し、且つ紙の優れた表示品質を温存し、更に紙に印刷された情報をシステムに簡単に取り込んで加工することを容易に行うことができるようになるという効果を奏する。
【0127】
[第3の実施の形態]
本発明の第3の実施の形態に係る印刷装置、クライアント端末、データ記憶管理装置からなるコンテンツ共有システムの構成は、第1の実施の形態で示した図1からRFID読取装置を除外としたものと同様であり、詳細は上述したので説明を省略する。
【0128】
本実施の形態では、クライアント端末4にRFID読取装置が接続されておらず、携帯電話機にRFID読取装置を組み込んだ場合について説明する。
【0129】
携帯電話機のRFID読取装置により、RFIDタグ付き情報表示媒体(印刷原稿)のRFIDタグからIDコードを非接触で読み取り、iモード(携帯電話機からインターネットに接続するためのサービス)を活用して、RFIDタグ付き情報表示媒体(印刷原稿)のコンテンツ情報をネットワーク6上のデータ記憶管理装置5から自動的に検索し、そのコンテンツ情報をE−mailによりクライアント端末4に転送する。携帯電話機のRFID読取装置によるIDコードの読み取りの際には、RFIDタグ付き情報表示媒体(印刷原稿)のRFIDが付与してある部分に携帯電話機のRFID読取装置の読取ヘッドをかざし、携帯電話機に設けてある読取ボタンを押す。クライアント端末4のE−mailアドレスは携帯電話機から入力する。
【0130】
携帯電話機により入力したダウンロード先のクライアント端末4のE−mailアドレスと、携帯電話機のRFID読取装置により読み取ったIDコードで指定されたコンテンツ情報の上記E−mailアドレスに対する転送要求が、i−モードによりネットワーク6上のデータ記憶管理装置5に対して送信される。この一連の操作を自動的に処理することにより、携帯電話機によりコンテンツ情報転送先のクライアント端末4のE−mailアドレスを入力して、携帯電話機のRFID読取装置によりRFIDタグ付き情報表示媒体(印刷原稿)のRFIDタグのIDコードを読み取れば、データ記憶管理装置5からクライアント端末4にコンテンツ情報がE−mailで転送されてくる。
【0131】
操作者はクライアント端末4に転送されたコンテンツ情報のファイルを開き、電子ディスプレイ上に表示する。更に、操作者は電子ディスプレイ上に表示された表示内容をチェックし、修正が必要な場合には修正を行い、その表示内容の一部または全部を他の文書に利用する場合には、画面の切り取り、コピー、或いは貼り付けを行って文書の加工を行う。文書の加工が終了したらそれを登録し、必要に応じてRFIDタグ付き情報表示媒体(紙)に印刷する。
【0132】
このとき、RFIDリーダ内蔵印刷装置(印刷装置1または印刷装置2)を使用し、別のRFIDタグ付き情報表示媒体(紙)に上記加工された後の文書を印刷する際に、RFIDリーダ内蔵印刷装置のRFIDリーダにより上記RFIDタグ付き情報表示媒体(紙)のRFIDタグから新しいIDコードを読み取り、該IDコードと上記加工された文書のコンテンツ情報との対応関係をデータ記憶管理装置5に保存する。このようにして加工された後のRFIDタグ付き情報表示媒体(印刷原稿)とそのコンテンツ情報との関連付けを維持する。
【0133】
加工後のRFIDタグ付き情報表示媒体(印刷原稿)のコンテンツ情報を複写したければRFIDリーダ内蔵印刷装置を用い、RFIDタグ付き情報表示媒体(印刷原稿)のRFIDタグからIDコードを読み取り、コンテンツ情報をデータ記憶管理装置5から自動的にダウンロードして印刷することにより、RFIDタグ付き情報表示媒体(印刷原稿)の光学的な読み取りを行うことなくRFIDタグ付き情報表示媒体(原稿)の複写を行うことができる。
【0134】
尚、携帯電話機に内蔵したRFID読取装置を原稿以外の物に付与されたRFIDタグのIDコードの読み取りにも使用できるようにすることにより、携帯電話機の物品認識能力を拡大し、汎用性を持たせることも可能である。また、携帯電話機にRFID読取装置を内蔵した場合を例に挙げたが、PDA等の携帯端末にRFID読取装置を内蔵してもよく、この場合も上記と同様の効果がある。
【0135】
以上説明したように、本実施の形態によれば、紙が有する情報保存記録機能を紙から完全に切り離し、コンテンツ情報はネットワーク上のデータ記憶管理装置5に保存することで、紙をその非効率な情報保存記録機能から開放し、且つ紙の優れた表示品質を温存し、更に紙に印刷された情報をシステムに簡単に取り込んで加工することを容易に行うことができるようになるという効果を奏する。
【0136】
[第4の実施の形態]
本発明の第4の実施の形態に係る印刷装置、RFID読取装置、クライアント端末、データ記憶管理装置からなるコンテンツ共有システムの構成は、第1の実施の形態で示した図1と同様であり、詳細は上述したので説明を省略する。
【0137】
本実施の形態では、クライアント端末4で電子ディスプレイを用いて文書を作成し、その文書のコンテンツ情報をネットワーク6上のデータ記憶管理装置5に登録する。この文書のコンテンツ情報をRFIDリーダ内蔵印刷装置(印刷装置1または印刷装置2)により複数枚のRFIDタグ付き情報表示媒体(紙)に印刷し、RFIDリーダ内蔵印刷装置のRFIDリーダによりRFIDタグ付き情報表示媒体(紙)のRFIDタグのIDコードを印刷時に読み取り、上記コンテンツ情報とIDコードとを関連付けてデータ記憶管理装置5に登録し保存する。コンテンツ情報が印刷されたRFIDタグ付き情報表示媒体(印刷原稿)は複数枚となり、それぞれのRFIDタグのIDコードとコンテンツ情報とを関連付ける。
【0138】
この後、複数枚のRFIDタグ付き情報表示媒体(印刷原稿)は封筒に入れ、封印をして発送準備をする。封印をした後にRFIDタグ付き情報表示媒体(印刷原稿)を確認する必要が生じた場合、RFID読取装置3により封筒内のRFIDタグ付き情報表示媒体(印刷原稿)のRFIDタグのIDコードを非接触で読み取り、自動的にそのIDコードに対応するコンテンツ情報をデータ記憶管理装置5からクライアント端末4にダウンロードし、クライアント端末4の電子ディスプレイ上で上記封印されたRFIDタグ付き情報表示媒体(印刷原稿)の文面を確認する。こうして封印した封筒を開封することなく発送前にその内容をチェックすることができる。
【0139】
以上説明したように、本実施の形態によれば、紙が有する情報保存記録機能を紙から完全に切り離し、コンテンツ情報はネットワーク上のデータ記憶管理装置5に保存することで、紙をその非効率な情報保存記録機能から開放し、且つ紙の優れた表示品質を温存し、更に紙に印刷された情報をシステムに簡単に取り込んで加工することを容易に行うことができるようになるという効果を奏する。
【0140】
上記実施の形態では、コンテンツ共有システムを図1に示す構成としたが、印刷装置、RFID読取装置、クライアント端末、データ記憶管理装置の設置台数は任意とすることが可能である。また、RFID読取装置の他に、RFID書込装置、RFID読取/RFID書込装置などを設置する構成としてもよい。
【0141】
本発明は、上述した実施の形態の機能を実現するソフトウェアのプログラム(図2及び図3のフローチャート)をコンピュータ又はCPUに供給し、そのコンピュータ又はCPUが該供給されたプログラムを読出して実行することによって、達成することができる。
【0142】
この場合、上記プログラムは、該プログラムを記録した記憶媒体から直接供給されるか、又はインターネット、商用ネットワーク、若しくはローカルエリアネットワーク等に接続される不図示の他のコンピュータやデータベース等からダウンロードすることにより供給される。
【0143】
上記プログラムの形態は、オブジェクトコード、インタプリタにより実行されるプログラムコード、OS(オペレーティングシステム)に供給されるスクリプトデータ等の形態から成ってもよい。
【0144】
また、本発明は、上述した実施の形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムを記憶した記憶媒体をコンピュータ又はCPUに供給し、そのコンピュータ又はCPUが記憶媒体に記憶されたプログラムを読出して実行することによっても、達成することができる。
【0145】
この場合、格納媒体から読出されたプログラムコード自体が上述した各実施の形態の機能を実現すると共に、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成する。
【0146】
プログラムコードを記憶する記憶媒体としては、例えば、ROM、RAM、NV−RAM、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク(登録商標)、光磁気ディスク、CD−ROM、MO、CD−R、CD−RW、DVD−ROM、DVD−RAM、DVD−RW、DVD+RW、磁気テープ、不揮発性のメモリカード等がある。
【0147】
上述した実施の形態の機能は、コンピュータから読出されたプログラムコードを実行することによるばかりでなく、コンピュータ上で稼動するOS等がプログラムコードの指示に基づいて実際の処理の一部又は全部を行うことによっても実現することができる。
【0148】
更に、本発明は、前述した実施の形態を実現するソフトウェアのプログラムがネットワーク上のデータベース又はホームページから通信プログラムによりダウンロードされ、このプログラムを読出して実行することによって達成することができる。
【0149】
上記プログラムは、クライアントコンピュータのブラウザを用いてインターネットのホームページに接続し、該ホームページからコンピュータプログラム自体、又は自動インストール機能を含む圧縮ファイルをハードディスク等の記憶媒体にダウンロードすることによっても供給することができる。
【0150】
また、上記プログラムは、プログラムコードを暗号化した上で格納したCD−ROM等の記憶媒体をユーザに配布し、所定の条件をクリアしたユーザに対し、インターネットを介してホームページから暗号化を解く鍵情報をダウンロードさせ、その鍵情報を使用することにより暗号化されたプログラムコードを実行してコンピュータにインストールさせることによっても供給することができる。
【0151】
上述した実施の形態の機能は、プログラムコードを複数のファイルに分割し、夫々のファイルを異なるホームページからダウンロードすることによっても実現することができる。即ち、本発明の機能処理をコンピュータで実現させるためのプログラムファイルを複数のユーザに対してダウンロードさせるWWWサーバも、本発明を構成する。
【0152】
また、上述した実施の形態の機能は、記憶媒体から読出されたプログラムが、コンピュータに挿入された機能拡張ボード又はコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備えられたメモリに書込まれた後、そのプログラムの指示に基づき、その機能拡張ボード又は機能拡張ユニットに備えられたCPU又はMPU等が実際の処理の一部又は全部を実行することによっても実現することができる。
【0153】
本発明の実施態様の例を以下に列挙する。
【0154】
〔実施態様1〕 ネットワークを介して電子情報の通信が可能な電子情報システムにおいて、
情報の印刷が可能で識別コードが記憶された情報表示媒体に印刷されたコンテンツ情報、及び前記識別コードと前記コンテンツ情報との対応関係を記憶する記憶手段と、前記情報表示媒体から識別コードを読み取る読取手段と、前記読取手段により前記情報表示媒体から読み取られた識別コードと前記情報表示媒体に印刷されたコンテンツ情報との対応関係に基づいて、前記記憶手段からコンテンツ情報を検索し利用する検索手段とを備えることを特徴とする電子情報システム。
【0155】
〔実施態様2〕 前記情報表示媒体から識別コードを読み取る読取手段を有する印刷手段を備え、前記印刷手段による前記情報表示媒体に対するコンテンツ情報の印刷時に、前記印刷手段の前記読取手段により前記情報表示媒体から識別コードを読み取り、前記読み取られた識別コードと前記情報表示媒体に印刷されたコンテンツ情報との対応関係を前記記憶手段に登録することを特徴とする実施態様1記載の電子情報システム。
【0156】
この実施態様により、コンテンツ情報、コンテンツ情報の印刷履歴、印刷物の存在状態等々を的確に管理でき、高度なセキュリティを保持しながら、あたかも印刷されたコンテンツ情報もネットワークに接続されているかのように共有できる。
【0157】
〔実施態様3〕 前記情報表示媒体は、RFIDタグが付与されると共に前記RFIDタグに前記識別コードとしてのIDコードが記憶される紙を含む媒体であり、前記IDコードが非接触で読み取られることを特徴とする実施態様1記載の電子情報システム。
【0158】
この実施態様により、RFIDタグに記憶されたIDコードにより、ネットワーク上の記憶手段に保存されるコンテンツ情報との関連付けが容易となる。
【0159】
〔実施態様4〕 前記情報表示媒体のIDコードは、前記情報表示媒体に対するコンテンツ情報の印刷時に前記RFIDタグに書き込まれることを特徴とする実施態様3記載の電子情報システム。
【0160】
この実施態様により、RFIDタグに記憶されたIDコードにより、ネットワーク上の記憶手段に保存される印刷されたコンテンツ情報との関連付けが容易となる。
【0161】
〔実施態様5〕 1つのコンテンツ情報が複数の情報表示媒体にまたがって印刷される場合、前記複数の情報表示媒体全体に対して1つのIDコードを対応付けることを特徴とする実施態様1記載の電子情報システム。
【0162】
この実施態様により、複数の情報表示媒体にまたがる1つのコンテンツ情報を的確に管理できる。
【0163】
〔実施態様6〕 前記情報表示媒体のIDコードとして、最大でも256ビットを超えないデータ長の重複のないIDコードを用いることを特徴とする実施態様1記載の電子情報システム。
【0164】
この実施態様により、情報表示媒体からIDコードを読み取ることにより、ネットワークの何処からでもコンテンツ情報へのアクセスが可能となる。
【0165】
〔実施態様7〕 前記検索手段は、前記情報表示媒体のIDコードに基づいて、前記情報表示媒体に印刷されたコンテンツ情報を前記記憶手段から検索する場合、前記情報表示媒体のIDコードの読み取りに従い前記記憶手段にアクセスし検索を行うことを特徴とする実施態様1記載の電子情報システム。
【0166】
この実施態様により、情報表示媒体からIDコードを読み取るだけで自動的にコンテンツ情報にアクセスすることが可能となる。
【0167】
〔実施態様8〕 前記読取手段は、前記ネットワークに接続可能な情報処理装置に接続されていることを特徴とする実施態様1記載の電子情報システム。
【0168】
この実施態様により、読み取ったIDコードにより、情報処理装置を介してコンテンツ情報へのアクセスが可能となる。
【0169】
〔実施態様9〕 前記読取手段は、前記ネットワークに接続可能な携帯電話機に内蔵されていることを特徴とする実施態様1記載の電子情報システム。
【0170】
この実施態様により、読み取ったIDコードにより、携帯電話機を介してコンテンツ情報へのアクセスが可能となる。
【0171】
〔実施態様10〕 前記読取手段は、前記ネットワークに接続可能な携帯端末に内蔵されていることを特徴とする実施態様1記載の電子情報システム。
【0172】
この実施態様により、読み取ったIDコードにより、携帯端末を介してコンテンツ情報へのアクセスが可能となる。
【0173】
〔実施態様11〕 前記読取手段は、前記ネットワークに接続されていることを特徴とする実施態様1記載の電子情報システム。
【0174】
この実施態様により、読み取ったIDコードにより、直接コンテンツ情報へのアクセスが可能となる。
【0175】
〔実施態様12〕 前記情報表示媒体のIDコードは、前記情報表示媒体に印刷されたコンテンツ情報のファイル名としても用いることを特徴とする実施態様1記載の電子情報システム。
【0176】
この実施態様により、コンテンツ情報のファイル管理が容易となる。
【0177】
〔実施態様13〕 前記情報表示媒体に印刷するコンテンツ情報が同一であるか否かに関わらず、それぞれの前記情報表示媒体にIDコードを重複なく付与することでそれぞれの前記情報表示媒体を区別することを特徴とする実施態様1記載の電子情報システム。
【0178】
この実施態様により、情報表示媒体に印刷されたコンテンツ情報を、IDコードに基づき必要に応じネットワークから直接呼び出すことが可能となる。
【0179】
〔実施態様14〕 前記情報表示媒体のRFIDタグには、前記記憶手段に記憶される前記情報表示媒体に印刷されたコンテンツ情報は重複して記憶しないことを特徴とする実施態様3記載の電子情報システム。
【0180】
この実施態様により、情報表示媒体に付与するRFIDタグの回路を簡易化でき、ノイズ耐性や環境耐性を高くできる。
【0181】
〔実施態様15〕 前記情報表示媒体のIDコードは、前記情報表示媒体に対するコンテンツ情報の印刷時に必要に応じて書き換え可能であることを特徴とする実施態様1記載の電子情報システム。
【0182】
この実施態様により、情報表示媒体の活用度等が向上する。
【0183】
〔実施態様16〕 前記ネットワークは、インターネットを含むことを特徴とする実施態様1記載の電子情報システム。
【0184】
この実施態様により、情報表示媒体に印刷されたコンテンツ情報を必要に応じインターネットから直接呼び出すことが可能となる。
【0185】
〔実施態様17〕 前記記憶手段は、前記印刷手段が複数の情報表示媒体に同じコンテンツ情報を印刷する場合に、前記印刷手段の前記読取手段で前記複数の情報表示媒体から読み取られ転送されるIDコードをコンテンツ情報と対応付けて記憶する際は、前記複数の情報表示媒体のそれぞれのIDコードと前記印刷する単一のコンテンツ情報とを対応付けて記憶することを特徴とする実施態様1記載の電子情報システム。
【0186】
この実施態様により、複数の情報表示媒体に印刷される同一のコンテンツ情報を的確に管理できる。
【0187】
〔実施態様18〕 前記記憶手段は、前記印刷手段が前記情報表示媒体に印刷されたコンテンツ情報の内容を書き換えて印刷する場合に、書き換えた新しいコンテンツ情報と該新しいコンテンツ情報を印刷する別の情報表示媒体のIDコードとを対応付けて記憶することを特徴とする実施態様1記載の電子情報システム。
【0188】
この実施態様により、元の情報表示媒体(印刷原稿)から電子的な修正を行った別の情報表示媒体(修正印刷原稿)を作ることができる。
【0189】
〔実施態様19〕 前記情報表示媒体のIDコードは、前記情報表示媒体に印刷されたコンテンツ情報の追記や書き換えなどの際、必要に応じて書き換え可能であることを特徴とする実施態様1記載の電子情報システム。
【0190】
この実施態様により、情報表示媒体の活用度等が向上する。
【0191】
〔実施態様20〕 前記情報表示媒体のRFIDタグに対するIDコードの読み取り、又はIDコードの読み取り及び書き込みは、電磁波により行うことを特徴とする実施態様3記載の電子情報システム。
【0192】
この実施態様により、コンテンツ情報を印刷した情報表示媒体を例えば封筒に入れ封印した後、封筒内の情報表示媒体の文面を開封せずにチェックできる。
【0193】
〔実施態様21〕 前記印刷手段は、前記読取手段で前記情報表示媒体から読み取ったIDコードを、前記情報表示媒体に印刷するコンテンツ情報のアドレスと対応付けて前記記憶手段に転送することを特徴とする実施態様2記載の電子情報システム。
【0194】
この実施態様により、ネットワーク上の記憶手段に保存される印刷されたコンテンツ情報とIDコードとの関連付けが容易となる。
【0195】
〔実施態様22〕 前記情報表示媒体のRFIDタグのIDコードのデータ形式を、標準化された既存のIDコードのデータ形式に一致させることを特徴とする実施態様3記載の電子情報システム。
【0196】
この実施態様により、独自の複雑なID管理システムを設計することが不要となる。
【0197】
〔実施態様23〕 ネットワークを介して電子情報の通信が可能な電子情報システムを構成する情報検索装置において、
情報の印刷が可能で識別コードが記憶された情報表示媒体から読み取られた前記識別コードと前記情報表示媒体に印刷されたコンテンツ情報との対応関係に基づいて、前記情報表示媒体に印刷されたコンテンツ情報及び前記情報表示媒体の識別コードとコンテンツ情報との対応関係を記憶する記憶手段から、コンテンツ情報を検索することを特徴とする情報検索装置。
【0198】
〔実施態様24〕 ネットワークを介して電子情報の通信が可能な電子情報システムを構成する記憶装置において、
情報の印刷が可能で識別コードが記憶された情報表示媒体に印刷されたコンテンツ情報、及び前記情報表示媒体の識別コードと前記情報表示媒体に印刷されたコンテンツ情報との対応関係を記憶することを特徴とする記憶装置。
【0199】
〔実施態様25〕 前記記憶装置は、前記ネットワークに接続されたサーバ等の情報管理装置に装備されていることを特徴とする実施態様24記載の記憶装置。
【0200】
〔実施態様26〕 ネットワークを介して電子情報の通信が可能な電子情報システムにより実行される情報検索方法において、
情報の印刷が可能で識別コードが記憶された情報表示媒体から前記識別コードを非接触で読み取る読取ステップと、前記情報表示媒体に印刷されたコンテンツ情報、及び識別コードとコンテンツ情報との対応関係を前記ネットワーク上の記憶手段に記憶する記憶ステップと、前記情報表示媒体から読み取られた識別コードと前記情報表示媒体に印刷されたコンテンツ情報との対応関係に基づいて、前記記憶手段からコンテンツ情報を検索する検索ステップとを備えることを特徴とする情報検索方法。
【0201】
〔実施態様27〕 ネットワークを介して電子情報の通信が可能な電子情報システムの情報検索方法をコンピュータに実行させるプログラムにおいて、
情報の印刷が可能で識別コードが記憶された情報表示媒体から前記識別コードを非接触で読み取る読取モジュールと、前記情報表示媒体に印刷されたコンテンツ情報、及び識別コードとコンテンツ情報との対応関係を前記ネットワーク上の記憶手段に記憶する記憶モジュールと、前記情報表示媒体から読み取られた識別コードと前記情報表示媒体に印刷されたコンテンツ情報との対応関係に基づいて、前記記憶手段からコンテンツ情報を検索する検索モジュールとを備えることを特徴とするプログラム。
【0202】
〔実施態様28〕 前記請求項27記載のプログラムを格納することを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【0203】
【発明の効果】
以上詳細説明したように、請求項1記載の電子情報システムによれば、情報の印刷が可能で識別コードが記憶された情報表示媒体から識別コードを読み取り、読み取られた識別コードと情報表示媒体に印刷されたコンテンツ情報との対応関係に基づいて、コンテンツ情報及び識別コードとコンテンツ情報との対応関係を記憶した記憶手段からコンテンツ情報を検索し利用する。即ち、紙が有する情報保存記録機能を紙から完全に切り離し、コンテンツ情報はネットワーク上の記憶手段に識別コードに対応付けて保存し、検索により利用可能とすることで、紙をその非効率な情報保存記録機能から開放し、且つ紙の優れた表示品質を温存し、更に紙に印刷された情報をシステムに簡単に取り込んで加工することを容易に行うことが可能になるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る印刷装置、RFID読取装置、クライアント端末、データ記憶管理装置を備えたコンテンツ共有システムの構成例を示すブロック図である。
【図2】RFIDタグ付き情報表示媒体を用いた原稿修正手順の流れを示すフローチャートである。
【図3】図2のフローチャートの続きである。
【符号の説明】
1、2印刷装置
3 RFID読取装置
4 クライアント端末
5 データ記憶管理装置
6 ネットワーク
7 RFIDタグ付き情報表示媒体
11 制御部
13 印刷部
15 ネットワークインタフェース部
16 RFID読取部
21 制御部
23 印刷部
25 ネットワークインタフェース部
26 RFID読取部
27 RFID書込部
31 制御部
34 ネットワークインタフェース部
35 RFID読取部
51 データ管理部
52 データ記憶部
53 ネットワークインタフェース部
71 RFIDタグ
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子情報システムに関し、特に、パーソナルコンピュータ(以下パソコン)等の情報処理装置が接続されたネットワーク上の記憶装置、或いはネットワーク上のサーバ或いは大型のメインフレーム等の情報処理装置に記憶された情報をユーザが使いやすい形で利用可能とする場合に好適な電子情報システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
古来人間が使用してきた情報媒体である書籍、絵、写真、図面、メモなどに用いられる紙は、古代エジプトのパピルスまで遡るならば数千年の歴史がある。現在も木材から製造された大量の紙や、或いは使用済みの紙を回収して再生した再生紙が広く使用されている。紙に画像を印刷して得られた印刷物は、その高い濃度コントラスト、カラー印刷の場合の印刷の美しさ、落としても壊れず人間が容易に持てる取り扱い易さ、見る姿勢の自由さ、少量の情報を印刷する場合(即ち印刷枚数が少ない場合)の持ち運びの手軽さ、電源が不要で何処でも使える便利さなどから、情報表示媒体として現在でも捨てがたい魅力を持っている。
【0003】
しかしながら、情報が電子化されると共に電子化された情報を高密度に記録する手段が著しく発達してきた今日においては、紙は電子的な情報記録方式と比べて圧倒的に低い記録密度のために記録媒体としては全く時代遅れとなり、ある側面では役割を終えようとしている。紙においては、大量の情報を記録する記録媒体としては、重い、嵩張る、情報の検索の効率が悪いなどの欠点が相対的にクローズアップされるようになった。また、紙は長い期間或いは頻繁に使用すると傷みやすく、更に経時変化で紙自体がぼろぼろになるという、記録媒体としての耐久性の低さも問題である。
【0004】
このため、情報表示媒体として、コンピュータの情報出力装置としてのディスプレイ装置を改良し、紙に画像を印刷して得られる印刷物と同等の表示品質を目指してたゆみない努力が続けられてきた。ディスプレイ装置においては、以前はブラウン管を用いたCRT表示方式しかなかったものが、液晶表示方式が加わることで、ディスプレイ装置がパネル状に小型化されると共に、表示がカラー化され、更に、TFT(Thin Film Transistor)を個々の画素に配置したアクティブ・マトリックス方式が市場に出現したことで、画質は格段に向上している。
【0005】
更に、紙のような形で使用できることを目指して薄くてしなやかに曲げることが可能な電子ペーパと呼ばれる電子ディスプレイが精力的に開発されている。また、使い易いという長所を持つ紙の使い方に近づけるために、媒体上に一度印刷した画像を必要に応じて消去することで新しい画像を印刷することができる再使用可能なリライタブル・ペーパのような技術も開発されている。
【0006】
ところで、紙にID情報をもたせるという提案は従来から幾つかなされてきた。従来、例えば、紙にRFIDタグを付け該RFIDタグに書き込まれたIDコードにより大量の書類の束から特定の書類の検索を容易にする方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この方法は、RFIDタグに書き込まれたIDコードにより特定の紙の検索を容易にするものであるが、印刷された紙から印刷の元になったネットワーク上のコンテンツ情報にアクセスするということはできない。
【0007】
また、従来、原稿複写の機密管理に関する方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。この方法においては、原稿の複写に関する機密保持を行うために、原稿の紙に機密レベルを示すセキュリティ情報を保持したRFIDタグを付与する(後述の本発明で説明する紙にRFIDタグを付与するという概念はここに開示されている)。そして、原稿複写を行う人間にもRFIDタグを持たせる。セキュリティ情報の保持方法はRFIDタグに限定されており、バーコードや指紋、音声などの使用は開示されていない。
【0008】
紙に付与するRFIDタグには、どのセキュリティレベルの者に原稿複写を許可するかを決める許可条件が書き込まれている。また、人間が持つRFIDタグには、その人間のセキュリティレベルが書き込まれている。複写機で原稿の複写を行う場合には、複写機に備え付けられた紙用のRF(Radio Frequency)受信器と、人間が持つRFIDタグ用の受信器とによりそれぞれ同時に読み取ったセキュリティ情報を比較し、複写許可が与えられる条件に合致すれば複写を許可し、合致しなければ複写できないように複写機自身が制御する。
【0009】
しかし、ここで開示されているのは、紙の記録媒体としての機能を排除し、紙に情報の一時的な表示機能としての役割だけを持たせるという発想ではないし、このままでは印刷された紙からその印刷物の元になったネットワーク上のコンテンツ情報を誤りなくアクセスするということもできない。特に、ここで用いられるRFIDタグはセキュリティ情報を保持すればよいのであるから、原稿の紙それぞれの固体を区別して認識する必要はない。同じセキュリティレベルの原稿であれば同じID情報を付与しても機密保持という観点からは何ら問題ない。
【0010】
このような点から考えると、ここで使用するRFIDタグは個体それぞれを全て区別して管理するための機能を持つ必要性がない。また、セキュリティ情報の管理は、複写機の傍に設置されたCPUまたは複写機の内部に装備されたCPUにより行うことができるのであり(スタンドアロン)、インターネットを介したデータの授受は行わなくても可能である。また、実際のID情報の処理を行う際には、紙に付与されたRFIDタグと複写機の操作者が持つRFIDタグの両方から、実質的に同時にセキュリティ情報を読み取ることが必要になるという点でも、後述の本発明の方法とは別のものである。
【0011】
また、従来、有価証券、各種の証書、入場券、証明書などのそれ自体に価値をもたせた印刷物の偽造を排除して遠隔地からリモート印刷を行う場合の印刷物発行管理システム、発行管理方法及びそれに用いるプリンタに関する提案がされている(例えば、特許文献3参照)。このシステムにおいては、遠隔地から記載内容(コンテンツ)をネットワークなどにより電子的に転送し、それを予め用意された印刷媒体(用紙)に印刷することによって、価値をもたせた印刷物を印刷する。例えば入場券などの用紙を予め各地のプレイガイドなどの入場券販売所に配布しておき、特定のイベントの内容とチケットのグレード(例えばA席やB席など)、座席番号、チケットの値段などの情報をネットワークを介して転送し、用紙に印刷する。
【0012】
その際に、(1)用紙が専用の形式や紙質が定められたものであって、印刷に用いるべく用意されたものであることを示す識別情報を予め用紙に付与すること、(2)印刷する前にプリンタにセットされた用紙が偽物でないことを、用紙に付与されたバーコードなどで表示される識別情報を読み取ることで確認すること、(3)印刷に用いるべき用紙であると判断した後、ネットワークを介してコンテンツ情報をプリンタにダウンロードすること、(4)ダウンロードしたコンテンツ情報をプリンタで印刷し、その印刷が紙詰まりなどを発生せず正常に終了したことを識別情報として用紙に記録し、これを読み取って正常な印刷が行われたかどうかを判断すること、などの手順をとる。
【0013】
このような手順を踏むことにより、正しくない用紙にコンテンツ情報が印刷されることを防止し、また、印刷過程でのトラブルにより印刷が正常に行われなかった場合にはそれを識別情報として紙に記録し、正常に印刷されなかった印刷物が出回ることを防止する。また、識別情報としては、文字情報、バーコード、磁気情報、或いは透かしなどが使用される。この場合、RFIDタグに関する記載はない。
【0014】
この方法においても、用紙に付与される識別情報は必ずしも個々の用紙を区別するものである必要はない。その理由は、用紙が正式のものであるかどうかが判断できればこの仕組みは機能するからである。更に、ダウンロードするコンテンツ情報は、紙に付与したRFIDタグそのものが指定するのではない。ID情報はセキュリティのチェックに使われているのであって、コンテンツ情報そのものにアクセスするために使われているのではないのである。この提案ではコンテンツ情報をID情報を使って直接アクセスするという記載はなく、実際には端末からの指示によりコンテンツ情報が呼び出される必要がある。
【0015】
また、従来、印刷用紙に付与したRFIDタグに予め書き込まれた情報を印刷直前に読み取って用紙上に印刷する方法が提案されている(例えば、特許文献4参照)。これにより、RFIDタグに書き込まれた情報と用紙に印刷される情報とを確実に一致させる。
【0016】
また、従来、インターネットに接続された印刷物発行サーバに保存されたコンテンツ情報を、同じくインターネットに接続された印刷装置のような印刷物発行クライアントにより読み出してRFIDタグ付きの用紙に印刷する方法が提案されている(例えば、特許文献5参照)。この方法では、印刷物の二重発行防止、改ざん防止、RFIDタグへのコンテンツ情報の書き込み確認、印刷が正常に行われたかどうかのチェックなどの発行管理を厳格に行うために、印刷するコンテンツ情報をRFIDタグに書き込むようになっている。
【0017】
また、従来、印刷データを暗号化してRFIDタグに記録することにより、印刷物の機密保持や印刷物の改ざんを防止する方法が提案されている(例えば、特許文献6、特許文献7参照)。これらの方法は、RFIDタグに印刷されたコンテンツの電子情報を書き込むという方法である。
【0018】
しかしながら、これらの方法は、印刷物が高精彩画像などの大きなデータ量を伴うものである場合には、RFIDタグの記憶容量を大きくしなければならないこと、また、そのデータ量が大きいためにその読み取りに時間を要する場合があること、更に、RFIDタグに記録された情報とその印刷内容との間に違いがあることを検査する(印刷内容の改ざんのチェックなどが必要な場合)などの特殊なケースを除き、情報記録の重複を行うことになり記録として効率が悪いこと、などの問題がある(後述の本発明のように印刷物を電子情報システムへ取り込むという目的にはそぐわない)。
【0019】
実際、これらの提案に開示されている実施例では、上記の方式は印刷されるコンテンツのデータ量が小さいチケットや有価証券、証書などに限られており、一般の印刷物に適用する例は挙げられていないし、その必要性も開示されていない。
【0020】
また、従来、紙やマイクロフィルムのような物理原稿に識別情報や管理情報を付与し、該情報をその物理原稿のコンテンツである電子文書ファイルと共に統一して管理し、その利用頻度を把握する方法が提案されている(例えば、特許文献8参照)。この識別情報は、物理原稿の検索を自動倉庫を使って容易に行うためにも利用される。この方法では、コンテンツである電子文書ファイルと印刷物である物理原稿とを関連付けて管理するので、例えば保管期間が過ぎたものは物理原稿と電子文書ファイルとを一緒に廃棄することも、電子文書だけを残すことも可能である。
【0021】
しかしながら、この提案には、物理文書を記録媒体として保存するという明確な方法が記載されており、紙を一時的な情報表示媒体として使用して記録は電子データに受け持たせるという役割分担の考えはない。また、識別情報の保持手段としてRFIDタグを用いる記載はなく、複数の文書の識別情報の一括同時読み取りや、識別情報の書き換えなどの方法も開示されていない。
【0022】
他方、印刷装置が設置されている環境において、該印刷装置とは離れたところに保存されている情報をインターネットなどの情報ネットワークを介してダウンロードして利用するという方法は、これまで幾つか提案されている(例えば、特許文献9、特許文献10、特許文献11参照)。
【0023】
【特許文献1】
特開2002−120475号公報
【特許文献2】
特開2001−160117号公報
【特許文献3】
特開平11−78176号公報
【特許文献4】
特開2001−096814号公報
【特許文献5】
特開2001−134672号公報
【特許文献6】
特開2000−285203号公報
【特許文献7】
特開2002−99209号公報
【特許文献8】
特開平7−28680号公報
【特許文献9】
特開平11−78176号公報
【特許文献10】
特開2001−134672号公報
【特許文献11】
特許第3167126号
【0024】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、紙のような形態の電子ディスプレイを開発しようとする多くの努力にも関わらず、紙に画像を印刷して得られる印刷物の使い易さは非常に優れており、紙がその全ての役割を終えて完全に姿を消す見通しが立った訳ではない。電子ペーパのようなディスプレイは、今後実際に市場に出て特定の分野で使用され始め、次第にその使用範囲を広げていくことであろうが、電子ペーパが全ての紙に取って代わるにはまだ相当の改良が必要である。リライタブル・ペーパなどの場合でも、その画質や耐久性の点で完全に紙に取って代わる程の品質は達成されていない。
【0025】
記録媒体としての紙の不便さを除去し、情報表示媒体としての紙の飛び抜けて優れた見易さ及び使い易さを実現させることは、最近の電子ペーパのようなディスプレイやリライタブル・ペーパをもってしても容易ではないのが現状である。
【0026】
本発明の目的は、紙をその非効率な情報保存記録機能から開放し、且つ紙の優れた表示品質を温存し、更に紙に印刷された情報をシステムに簡単に取り込んで加工することを容易に行うことを可能とした電子情報システムを提供することにある。
【0027】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するため、請求項1記載の電子情報システムは、ネットワークを介して電子情報の通信が可能な電子情報システムにおいて、情報の印刷が可能で識別コードが記憶された情報表示媒体に印刷されたコンテンツ情報、及び前記識別コードと前記コンテンツ情報との対応関係を記憶する記憶手段と、前記情報表示媒体から識別コードを読み取る読取手段と、前記読取手段により前記情報表示媒体から読み取られた識別コードと前記情報表示媒体に印刷されたコンテンツ情報との対応関係に基づいて、前記記憶手段からコンテンツ情報を検索し利用する検索手段とを備えることを特徴とする。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
【0029】
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る印刷装置1、印刷装置2、RFID読取装置3、クライアント端末4、データ記憶管理装置5を備えたコンテンツ共有システム(電子情報システム)の構成例を示すブロック図である。図中、6はインターネットを含むネットワーク、7はRFID(Radio Frequency Identification)タグ71が付与されたRFIDタグ付き情報表示媒体であり、紙を含む媒体として構成されている。
【0030】
印刷装置1(印刷装置)は、制御部11、メモリ12、印刷部13、操作部14、ネットワークインタフェース部15、RFID読取部16(読取手段)を備えている。制御部11は、印刷装置1の各部の制御を司る。メモリ12は、印刷情報や読取情報等を記憶する。印刷部13は、RFIDタグ付き情報表示媒体を含む各種媒体に画像を形成する印刷動作を行う。操作部14は、印刷部数の設定や印刷動作開始の指示等を行うためのものである。ネットワークインタフェース部15は、ネットワーク6との間のインタフェースを司る。RFID読取部16は、RFIDタグ付き情報表示媒体のRFIDタグに記憶された例えば96ビットのIDコードを非接触で(電磁波により)で読み取る。
【0031】
印刷装置2(印刷装置)は、制御部21、メモリ22、印刷部23、操作部24、ネットワークインタフェース部25、RFID読取部26(読取手段)、RFID書込部27を備えている。制御部21は、印刷装置2の各部の制御を司る。メモリ22は、印刷情報や読取情報等を記憶する。印刷部23は、RFIDタグ付き情報表示媒体を含む各種媒体に画像を形成する印刷動作を行う。操作部24は、印刷部数の設定や印刷動作開始の指示等を行うためのものである。ネットワークインタフェース部25は、ネットワーク6との間のインタフェースを司る。RFID読取部26は、RFIDタグ付き情報表示媒体のRFIDタグに記憶された例えば96ビットのIDコードを非接触で読み取る。RFID書込部27は、RFIDタグ付き情報表示媒体のRFIDタグに例えば96ビットのIDコードを非接触で(電磁波により)で書き込む。
【0032】
RFID読取装置3(読取手段)は、制御部31、メモリ32、操作部33、ネットワークインタフェース部34、RFID読取部35を備えている。制御部31は、RFID読取装置3の各部の制御を司る。メモリ32は、読取情報を記憶する。操作部33は、読取動作開始の指示等を行うためのものである。ネットワークインタフェース部34は、ネットワーク6との間のインタフェースを司る。RFID読取部35は、RFIDタグ付き情報表示媒体のRFIDタグに記憶された例えば96ビットのIDコードを非接触で(電磁波により)読み取る読取ヘッドを備える。
【0033】
尚、図1ではRFID読取装置3を大きく図示しているが、RFID読取装置3は充分に小型にすることは容易であり、小型のセンサだけをRFID読取装置3の読取ヘッドに組み込み、残りのデータ処理機能はクライアント端末4の筐体の中に配設されるボードに搭載することもできる。
【0034】
クライアント端末4(情報検索装置)は、例えばPC(パーソナルコンピュータ)として構成されており、クライアント端末4の各部の制御を司る制御部、各種情報を記憶するメモリ(ROM、RAM、ハードディスクを含む)、各種操作や指示を行うための操作部(キーボード、マウスを含む)、各種表示を行う表示部(電子ディスプレイ)、ネットワーク6との間のインタフェースを司るネットワークインタフェース部(以上図示略)等を備えている。クライアント端末4には、上記RFID読取装置3が接続されている。
【0035】
データ記憶管理装置5(情報管理装置)は、データ管理部51、データ記憶部52(記憶手段)、ネットワークインタフェース部53を備えている。データ管理部51は、データ記憶部52に対する記憶及び外部への転送を管理し、RFIDタグ付き情報表示媒体のRFIDタグに記憶されるIDコードを管理する。データ記憶部52は、それぞれのRFIDタグ付き情報表示媒体に印刷されたコンテンツ情報、各コンテンツ情報とIDコードとを重複なく1:1で対応させた対応関係を記憶する。ネットワークインタフェース部53は、ネットワーク6との間のインタフェースを司る。データ記憶管理装置5は、RFIDタグ付き情報表示媒体に印刷する情報等を管理するサーバとして構成されている。
【0036】
尚、データ記憶管理装置5はネットワーク6に複数台接続することが可能である。また、データ記憶管理装置5のデータ記憶部51は一般的にはハードディスクを使用するが、CDRドライブ、CDRWドライブ、DVD、その他の電子情報を記憶するための良く知られた記憶装置も使用することができる。
【0037】
RFID読取装置3とRFIDタグ付き情報表示媒体7とは、RFID読取装置3のRFID読取部35とRFIDタグ付き情報表示媒体7のRFIDタグ71の間において無線でデータ通信を行うことにより、RFID読取部35がRFIDタグ71に記憶されたIDコードを非接触で読み取る。本実施の形態では、RFID読取部35の無線周波数は例えば13.56KHzである。また、RFIDタグ付き情報表示媒体7のRFIDタグ71に記憶されるIDコードのデータ形式としては、例えば、上述したMIT(Massachusetts Institute of Technology、米国 マサチューセッツ工科大学)のオートIDセンターが提唱している物流管理システムをそのまま採用し、オートIDセンターが標準化しているIDコードであるEPC(Electronic Product Code)を用い、EPCに対応するIPアドレスを保存して問い合わせに応えるネーム・サーバを活用し、オートIDセンターが開発したSAVANTと名づけられたソフトを活用してデータ収集を行うものとするが、これに限定されるものではない。
【0038】
尚、RFIDタグ付き情報表示媒体のRFIDタグのIDコードは、印刷時にRFIDタグに書き込まれるか、又はRFID製造時に予め書き込んでおく。また、データ記憶管理装置5に記憶された1つの電子ファイルに対応したコンテンツ情報が複数のRFIDタグ付き情報表示媒体にまたがって印刷される場合は、その複数のRFIDタグ付き情報表示媒体全体に対して1つのIDコードを対応付けるものとする。また、IDコードとして、最大でも256ビットとし、それ以下(望ましくは128ビット)のデータ長の重複のないIDコードを用いる。
【0039】
また、RFIDタグ付き情報表示媒体のIDコードは、RFIDタグ付き情報表示媒体に印刷されたコンテンツ情報のファイル名としても用いる。また、RFIDタグ付き情報表示媒体に印刷するコンテンツ情報が同一であるか否かに関わらず、それぞれのRFIDタグ付き情報表示媒体にIDコードを重複なく付与することで全てのRFIDタグ付き情報表示媒体のそれぞれを1枚残らず誤りなく区別する。また、RFIDタグ付き情報表示媒体のIDコードは、コンテンツ情報の印刷時に必要に応じて書き換えることをも可能である。
【0040】
また、印刷装置がRFIDタグ付き情報表示媒体に印刷された情報の内容を書き換えて印刷する場合、書き換えた新しい情報と該新しい情報を印刷する別のRFIDタグ付き情報表示媒体のIDコードとを対応付ける。また、RFIDタグ付き情報表示媒体のIDコードは、RFIDタグ付き情報表示媒体に印刷された情報の追記や書き換えなどの際、必要に応じて書き換え可能である。また、印刷装置は、RFID読取部でRFIDタグ付き情報表示媒体から読み取ったIDコードをRFIDタグ付き情報表示媒体に印刷するコンテンツ情報のアドレスと対応付けてデータ記憶管理装置5に転送する。
【0041】
本コンテンツ共有システムでは、ネットワーク6上のデータ記憶管理装置5に保存されているコンテンツ情報が印刷されたRFIDタグ付き情報表示媒体のRFIDタグに記憶されたIDコードと前記コンテンツ情報とを、重複なく1:1に対応させた対応関係をデータ記憶管理装置5に登録しておき、RFIDタグ付き情報表示媒体のコンテンツ情報の修正を行う場合は、RFIDタグ付き情報表示媒体のRFIDタグからIDコードを読み取り、IDコードに対応するコンテンツ情報をデータ記憶管理装置5から検索し、検索したコンテンツ情報を新たな(別の)RFIDタグ付き情報表示媒体に印刷するものである。
【0042】
また、本コンテンツ共有システムでは、RFIDタグ付き情報表示媒体に印刷されたコンテンツ情報と、コンテンツ情報の印刷履歴、印刷物の存在状態等を管理することができると共に、RFIDタグ付き情報表示媒体に印刷されたコンテンツ情報を高度なセキュリティを保持しながらネットワーク6を介して共有することが可能となっている。
【0043】
次に、本コンテンツ共有システムにおけるRFIDタグ付き情報表示媒体を用いた原稿修正手順の流れを図2及び図3のフローチャートを参照しながら詳細に説明する。
【0044】
図2及び図3は、RFIDタグ付き情報表示媒体にコンテンツ情報が印刷された印刷原稿があり、印刷原稿のコンテンツ情報を修正する場合についての原稿修正手順の流れを示したフローチャートである。
【0045】
RFIDタグ付き情報表示媒体(印刷原稿)に印刷されるコンテンツ情報は、クライアント端末4において作成され、データ記憶管理装置5のデータ記憶部52に登録され保存されている。データ記憶管理装置5のデータ記憶部52に登録されるコンテンツ情報は、RFIDタグ付き情報表示媒体(印刷原稿)に対する該コンテンツ情報の印刷時に、RFIDタグ付き情報表示媒体(印刷原稿)のRFIDタグから読み取ったIDコードと1:1に対応付けられ、その対応関係もデータ記憶管理装置5のデータ記憶部52に保存されている。
【0046】
先ず、RFIDタグ付き情報表示媒体(印刷原稿)に印刷したコンテンツ情報(印刷情報)の書き換え要求に伴い(ステップS1)、クライアント端末4に接続したRFID読取装置3のRFID読取部35によりRFIDタグ付き情報表示媒体(印刷原稿)のRFIDタグに記憶されたIDコードを非接触で読み取る(ステップS2)。次に、原稿管理システム(本実施の形態では例えばクライアント端末4が備えるとするが、これに限定されるものではない)(検索手段)は、RFID読取装置3により読み取ったIDコード(ID番号)が許可されているものであるか否かを判定する(ステップS3)。
【0047】
原稿管理システムは、IDコードが許可されていないと判断した場合は、クライアント端末4の電子ディスプレイに対し、データ記憶管理装置5からコンテンツ情報のダウンロードが不許可である旨を表示し(ステップS4)、IDコードが許可されていると判断した場合は、ステップS5に移行する。
【0048】
次に、原稿管理システムは、RFID読取装置3によるIDコードの読み取りに伴い、そのIDコードを用いて(IDコードとコンテンツ情報との対応関係に基づいて)、ネットワーク6上に接続されている複数のデータ記憶管理装置5の何れかに登録保存されているRFIDタグ付き情報表示媒体(印刷原稿)のコンテンツ情報を検索する(ステップS5)。原稿管理システムは、コンテンツ情報が複数のデータ記憶管理装置5の何れかに登録されていると判断した場合は、コンテンツ情報をクライアント端末4にダウンロードして電子ディスプレイに表示する(ステップS6)。クライアント端末4の電子ディスプレイに表示されたコンテンツ情報は、操作者が必要に応じて電子ディスプレイ上で修正を行う(ステップS7)。
【0049】
他方、原稿管理システムは、コンテンツ情報が何れのデータ管理装置5にも登録されていないと判断した場合は、未登録の旨を電子ディスプレイに表示すると共に、RFIDタグ付き情報表示媒体(印刷原稿)をネットワーク6に別に接続されたRFIDリーダ内蔵画像読取装置(図示略)にセットし読み取ることで新たにコンテンツ情報を登録することができる旨を電子ディスプレイに表示する(ステップS8)。
【0050】
電子ディスプレイに対する上記表示に基づき、操作者がRFIDリーダ内蔵画像読取装置にセットしたRFIDタグ付き情報表示媒体(印刷原稿)から新たにコンテンツ(画像)を読み取る(ステップS9)。これに伴い、原稿管理システムは、ステップS2で読み取ったRFIDタグ付き情報表示媒体(印刷原稿)のRFIDタグのIDコードと、ステップS9で新たに読み取ったコンテンツ情報との対応関係をデータ記憶管理装置5に登録し保存する(ステップS10)。更に、原稿管理システムは、上記読み取った新たなコンテンツ(画像)のうち文字情報をOCR(Optical Character Reader)ソフトにより文字データに変換する(ステップS11)。クライアント端末4の電子ディスプレイに表示された新たなコンテンツ情報は、操作者が必要に応じて電子ディスプレイ上で修正を行う(ステップS12)。
【0051】
原稿管理システムは、上記ステップS7或いは上記ステップS12におけるコンテンツ情報の修正が終了したら、修正後のコンテンツ情報をデータ記憶管理装置5に新たに登録し保存する(ステップS13)。更に、原稿管理システムは、修正前と修正後のコンテンツ情報の対応関係をデータ記憶管理装置5に追加記録する(ステップS14)。
【0052】
次に、原稿管理システムは、ネットワーク6に接続されている印刷装置1または印刷装置2に上記修正登録したコンテンツ情報を送信することで、印刷装置1または印刷装置2によりRFIDタグ付きの新たな紙にコンテンツ情報を印刷する(ステップS15)。原稿管理システムは、印刷装置1または印刷装置2によりコンテンツ情報を印刷する際に、RFID読取装置3によりRFIDタグ付きの新たな紙のRFIDタグからIDコードを読み取り、IDコードと上記修正登録したコンテンツ情報との対応関係を上記同様にデータ記憶管理装置5に記録する(ステップS16)。こうして元のRFIDタグ付き情報表示媒体(印刷原稿)から電子的な修正を施した修正印刷原稿を作ることができる。
【0053】
尚、本実施の形態では、RFIDタグ付き情報表示媒体のRFIDタグに記憶するIDコードとして例えば96ビットのIDコードを用いたが、これに限定されるものではなく、例えば128ビットのIDコードを用い、MITのオートIDセンターが標準化しているものとは別のID管理システムを利用してもよい。
【0054】
次に、上述した本実施の形態について更に詳細に説明する。
【0055】
近年、文書データの作成に関してはますます電子化される傾向にあり、コンピュータを用いたデータ処理によりコンテンツの電子データを作成することが一般的となってきている。電子データとしては、ワードプロセッサソフト、表計算ソフト、その他の文書作成加工ソフト、イメージスキャナなどの画像読取装置で読み取った画像データ、デジタルカメラやデジタルビデオカメラなどの撮像装置により撮影した画像データなどのほか、必要に応じ音声データなども含まれる。
【0056】
従来は、上記のような電子データをプリンタなどの印刷装置を用いて印刷を行うことで印刷物とすることが一般的であった。この場合、印刷装置はネットワークに接続し、同じくネットワークに接続されたパソコンなどのクライアント端末からの指示により指定された文書ファイルのコンテンツ情報を、ネットワークに接続した記憶装置からダウンロードし、印刷装置により印刷を行うのが一般的である。
【0057】
印刷して可視化する文書のコンテンツ情報の電子データは、ネットワークに接続した記憶装置に保存されることが多くなり、ネットワークに接続されていない独立したパソコンなどの情報処理装置は減少する傾向にある。
【0058】
本実施の形態では、紙が有する情報保存記録機能を紙から完全に切り離し、コンテンツ情報は原則的に全て電子データとして、ネットワーク上のサーバ(データ記憶管理装置5)が管理する記憶装置(データ記憶部52)に保存する。この記憶装置としては、コンピュータシステムやネットワークシステムにおいて一般的に使用されるものを利用することができる。最も一般的に利用できる記憶装置としてはハードディスクがある。また、コンパクトディスク、DVD、光磁気ディスクなども利用可能である。
【0059】
特に、インターネットが高度に発達してきた現在では、社会環境の多くの場所でインターネットにアクセスすることが可能になってきている。この傾向は今後ますます加速し、ユビキタスネットワークという言葉で表されるように、社会のあらゆる場所で何処でもネットワークにアクセスすることが可能になってきている。
【0060】
このようなインフラストラクチャを利用すれば、紙も更に使いやすくすることができる。即ち、人間が書籍、新聞、報告書、写真、広告、その他の一般に紙と呼ばれる記録媒体に記載された文字情報や画像情報などの紙情報を利用する環境では、ほとんどいつもインターネットへのアクセスが可能になる。そこで、紙に印刷する情報を、インターネットに接続されたパソコン、サーバ、大型のメインフレーム等が管理する記憶装置に保存しておけば、それを世界中の何処からもインターネットを介して読み出すことができるようになる。
【0061】
過去においてはインターネットとの接続は有線のみであったが、現在は携帯電話機によるアクセスや無線LANやBluetoothなどによる無線通信も使用可能になってきている。このような技術を利用すれば、インターネットに通信線(配線)で接続することなく無線通信で繋がれた端末を使用してインターネットにアクセスすることができる。つまり、通信線の接続なしに、何処にいてもインターネット上で管理する文書情報を端末にダウンロードして読んだり、端末で作成した文書をアップロードしてインターネット上のサーバが管理する記憶装置に保存したりすることができる。携帯電話機の利用に関しては第3の実施の形態で後述する。
【0062】
また、印刷された文書に手書きの文字の書き込みがある原稿の情報をインターネット上に取り込むこともイメージスキャナの高度な発達により可能になるし、インターネット上に保存されていない原稿の情報であってもそれをインターネット上に取り込んで電子データとして扱うことが可能である。スケッチやメモ書きを扱うことはもちろん、電子データのない印刷原稿や銀塩写真や紙幣や有価証券やチケット、或いは戸籍謄本や住民票などの公的文書までも電子データとして取り込むことができるし、初めから電子データとして作成することも可能である。また、医療分野で使われる紙のカルテにRFIDタグを付与して手書き書き込みを含むそのコンテンツをイメージリーダで読み取り、医療データベースと結合することもできるし、同時に膨大な数の紙のカルテをそれに付与したRFIDタグで管理することもできる。RFIDタグと検索用のアンテナがあれば、探そうとするカルテが何処にあるかを簡単に知ることができる。
【0063】
このようにして、印刷物の画像の元となる電子データであるコンテンツ情報がある場合でも、紙に印刷された印刷情報だけがあって電子データが存在しないまたは失われた場合でも、電子データに基づき印刷された印刷物に後から手書きのような電子的な手段でない方法で情報が追記された場合でも、電子データに基づき印刷された紙を切り貼りして作成した物理的に加工された印刷物の場合でも、基本的に全ての文書データを電子化することができる。更に、OCRソフトを用いれば、イメージスキャナで読み取った紙の上の画像情報中の文字を文字情報として認識して電子データとして保存することもできる。
【0064】
ところで、紙が従来果たしてきた情報の伝達形態が、インターネット上において縦横無尽に行き交う大量の情報の伝達形態に切り替えられていった場合、大量の情報を人間が受け取って理解するためには、多くの場合何等かのディスプレイを使うことが必要になる(限られた状況では音声も使用できるが、人間が情報を受け取るためには圧倒的に視覚を用いる方が便利である)。大量の情報をディスプレイを通じて視覚から受け取る際の人間の疲労は大変なものである。例えば長編小説や長文の学術書、或いは難解な研究論文を読みこなそうとすると、情報量がそれ程大きくない限り、人間の疲労を和らげるという点で既存の電子ディスプレイよりも紙のほうが圧倒的に読みやすい。
【0065】
軽くて人間が容易に手に持って操作できる紙の場合は、紙に記載(印刷)された内容を人間が自由な姿勢で読むことができるので、長時間読む間に姿勢を様々に変えて疲労を軽減することができる。また、紙は電源や特別の補助装置も不要なので、どんな場所へもそのまま持って行って使用できる。紙はオフィスの机の上だけでなく電車の中でも使用できるし、歩きながらでも容易に使用できる。紙に記載される情報量がある程度大きくなると(枚数が多くなると)、紙は持ち運びに不便ではあるが、人間が一度に読む量は限られているので、多数枚の紙をいくつかの巻に分割して製本することで扱いやすくすることは過去から長く行われてきた。
【0066】
また、光を受けることで記載内容を視覚で読み取る受光型の情報表示媒体である紙は、目に優しい画像を人間に提供できる。紙は電子ペーパなどに比べて画像濃度の格段に大きなコントラストを実現できるので、はるかに見易い。また、紙は手で触れることができるので、紙に記載された情報には実体感が伴い、人間が受け入れ易い。
【0067】
更に、紙に対しては、何の予備知識も特別の訓練もなしに人間が長い間使い慣れてきたペンや鉛筆などの筆記用具で紙面の何処にでも自由に書き込みを行ったりそれを消したりすることができる。紙に対する自由な書き込みは、人間が紙の記載(印刷)内容を理解する助けになるし、紙の記載(印刷)内容から考えを発展させるきっかけを作る場合もあり、人間の創造力を飛躍させる助けになることもしばしばある。また、机の上に沢山の紙を広げてそれぞれを比較検討したり、複数枚の紙を重ねていくつかの束に分類したりすることも容易にできる。
【0068】
また、上記のような、紙に対する書き込みや分類などの各種操作に関して操作法を習得するということは不要である。紙は落としても壊れないし、落とした紙を足で踏まれても壊れて使えなくなることはない。更に、紙は使用した(印刷や書き込みなどを行った)後に充電する手間なども要らない。
【0069】
紙には上記のような数々の利点があるために、ネットワーク上の記憶装置に保存されている情報をしっかりと読みこなそうとする時に、一度には読みこなせないような大量の情報を扱う場合を除けば、情報をディスプレイに表示するのではなく、読みやすい紙に情報を印刷して利用することが容易にできる方が便利である。紙には基本的に記録媒体としての役割を持たせるのではなく、一時的に情報を紙に表示(印刷、書き込み)して用が済んだら使い捨てるような使い方が、情報を読む上では楽である。
【0070】
このようにすることで紙の最も優れた性質を利用し、紙に不向きな役割はネットワークに受け持たせてしまうことは、情報を読みやすくし記録にも便利な使い方であり、日常このような使い方はよく行われている。これは、紙をネットワークシステムに接続した一種のディスプレイとして機能させるという方法を指向している。更に、使用した紙は何回も再生して使用することが既に完成された技術として実際に大規模に行われており、資源の再利用や有効活用という点でも充分な対策がとられている。
【0071】
しかしながら、単なる紙は通常の電子ディスプレイよりも決定的に不便な点がある。それは、プリンタがあればデータのダウンロードはかなり自由にできるが、電子ディスプレイ側からのデータの加工やアップロードは困難だということである。つまり、紙にプリントアウトされた情報はそこでシステムと切り離され、電子的な情報処理の可能なネットワーク上の仮想世界からモノが情報を担う現実世界へ放り出されたままとなり、電子ディスプレイのように仮想世界に戻ってデータ処理を行うことは大変やりにくい。
【0072】
特に、例えば電子ファイルから読み出されプリンタにより紙に印刷された情報がある程度一人歩きしてしまうと、その情報の元となった電子ファイルを利用することは特定の人以外には非常に困難になる。これは、機密保持上は必ずしも欠点ではないが、情報を利用するという点では大きな欠点である。もちろん、イメージスキャナなどの画像読取装置を利用することにより、ある程度はその情報をシステムに再び取り込むことは可能であるが、その場合には元の電子データに比べて情報が変質したり欠落したり或いは余計な情報がノイズとして載ったり、文字情報が画像情報としてしか利用できなくなったりする。高精彩画像であればその情報を完全に復元することは事実上不可能である。
【0073】
さりとて、紙にプリントアウトされた情報の元となった電子ファイルをネットワークから探し出そうとしても、ファイル名がわからず電子ファイル検索が不可能なことが多い。ファイル名がわかっていてもその電子ファイルが何処にあるかが判らなければ、電子ファイルを見つけ出せない場合もしばしばある。
【0074】
また、上述したような文書データ作成の電子化において、紙の機能を真似ようとした場合、紙の原稿に対し、情報の印刷、捺印、手書きによる文字の書き込み、或いは印刷画像の上から所定の情報を重ねて印刷するなどの原稿の加工を行った場合には、その結果をイメージスキャナなどの画像読取装置で読み取って画像情報として保存するしかなく、元の電子データに遡って修正加工を加えることはできない。しかし、電子ディスプレイでは電子ファイルが表示される限り、上記の修正加工を加えることが可能である。これは、ネットワークと電子ディスプレイとの間の情報の流れを断ち切らずに保持することができるためである。
【0075】
上述したように、紙の場合には、情報が一旦システム(コンピュータやプリンタなど)を介して印刷されてシステムの外へアウトプットされてしまうと、そこでシステムとの間の情報のつながりが断ち切られ、システムへの情報のフィードバックは非常に困難になるという大きな欠点がある。
【0076】
そこで、本実施の形態では、上記図1乃至図3で説明したように、紙にRFIDタグを付与したRFIDタグ付き情報表示媒体を使用し、RFIDタグ付き情報表示媒体のRFIDタグに記憶されたIDコードを読み取り、該IDコードによって、RFIDタグ付き情報表示媒体に印刷された後の印刷情報とネットワーク上のデータ記憶管理装置5に保存されているコンテンツ情報との関連付けを行うものである。
【0077】
本実施の形態では、ネットワーク6に接続されるクライアント端末4等の機器においては、どのRFIDタグ付き情報表示媒体(紙)に何を書き込んだかを認識することができ、RFIDタグ付き情報表示媒体(紙)を用意しておけば、それに書き込まれた印刷情報の元となるネットワーク上に保存された情報(電子データ)にアクセスすることができる。そして、ネットワーク上に保存された情報(電子データ)を人間が見える形でRFIDタグ付き情報表示媒体(紙)の上に表示(印刷)するだけでなく、そのRFIDタグ付き情報表示媒体(紙)に何等かの方法で情報の書き込みができるようになる。これは電子ディスプレイ上で行ってもよいが、RFIDタグ付き情報表示媒体(紙)の上に手書きで書き込んだり別の紙情報を貼り付けたりした場合も、それを元の情報と区別して読み取り、修正された情報として保存することも可能である。
【0078】
また、手元にある原稿を複写したい場合は、原稿の元となる情報をネットワーク上から簡単に呼び出して複製を作ることができる。1枚の原稿から多数枚の紙に複写を行う場合には、光学的に画像を読み取って複写するのではなく、原稿の元となる情報をネットワーク上からダウンロードして印刷することで複写することができる。或いは、複写の複写を重ねる必要がある場合にも、全てその原稿の元となる情報をネットワーク上から呼び出して複製を作ることができるので、光学複写に特有の画質の劣化を避けることができる。
【0079】
紙に付与するID情報(IDコード)の検知方式としては、バーコードなどの光学式のID認識方式や磁気を使う方式もあるが、ID情報を記録しておく手段としては、半導体ICから構成されるRFIDタグが圧倒的に優れている。例えば、必要に応じ後から情報を書き換えたり書き加えたりすることができる点でも、重なった多数枚の紙のID情報を一度に読み取ることができる点でも、表面が汚れてもID情報を読み取ることができる点でも、ID情報の読取装置が小型化できる点でも、読取装置とRFIDタグとの距離がある程度はなれていても読み取りが可能な点でもRFIDタグが優れている。高周波でID情報の読み取り及び書き込みを行うことができ、しかもその高周波によってRF回路の動作のための電力供給まで行うことができるRFIDタグの特徴を十分に生かすことができる。
【0080】
RFIDタグを用いる方式によれば、RFIDタグに電池を搭載する必要がなく、紙に付与しても違和感が起きないような非常に小さいサイズのRFIDタグを実現することができる。即ち、紙などの情報表示媒体を電子ディスプレイと同様のレベルでネットワークシステムにつなぎ止める上では、RFIDタグが圧倒的に優れているということができる。
【0081】
本実施の形態においては、上述したように、原則として情報表示媒体(紙)に付与したRFIDタグに、その情報表示媒体に印刷したコンテンツの情報を印刷と重複して記録する必要はない。情報表示媒体には情報の表示機能を持たせ、情報の記録機能はネットワーク上のサーバ(データ記憶管理装置5)が管理する記憶装置(データ記憶部52)に受け持たせる、という役割分担が特徴である。これにより、情報表示媒体に高精細な高画質情報が印刷してあっても、その高画質情報をRFIDタグから読み取ったり書き込んだりする必要がなく、情報の読み取り及び書き込みを極めて短時間で行うことが可能になる。
【0082】
情報表示媒体(紙)に付与したRFIDタグは紙のイメージを壊さずに紙に付与できる形にする必要があるため、それ程厳重なパッケージングを行わなくても使用可能でなければならない。このため、RFIDタグを構成する半導体ICはそれなりに厳しい環境に晒される。半導体ICにあまり高密度の集積回路を搭載すれば、ノイズに対する耐久性を低下させ外界の環境の影響を受けやすくなるので、誤動作を招きやすくなる。従って、紙に搭載するRFIDタグであれば、特に、RFIDタグを構成する回路は無理な高集積化をせずに可能な限りシンプルな構成とし、ノイズ耐性や環境耐性を高くする必要がある。
【0083】
また、RFIDタグ付き情報表示媒体に印刷されたコンテンツ情報を電子情報として保持しないならば、大容量のメモリは不要となり、これまたメモリの誤動作の危険を避けることができるし、紙として適正な製造コストでRFIDタグを付与できるという大きな利点がある(実際、RFIDタグを構成する回路を単純化することができれば有機半導体による回路の搭載も夢ではない)。従って、特殊な用途を別にすれば、RFIDタグに印刷情報を重複して記録する必要はないばかりか、不必要に複雑なチップ(RFIDタグを構成する半導体IC)を用いることは避けなければならない。
【0084】
RFIDタグ付き情報表示媒体のRFIDタグに記憶するIDコードについては、完全に重複がなくネットワーク上のデータ記憶管理装置5に記憶するコンテンツ情報と完全に1:1に対応させることが必要である。そして、定められた範囲の中では、ネットワークの何処からでもRFIDタグのIDコードからコンテンツ情報にアクセスできるようにすることが重要である。これは、例えば96ビットまたは128ビット程度のIDコードによるアクセス空間で容易に実現することができる。これにより、コンテンツ情報の誤った読み出しを防止することができる。また、このようにすることで、RFIDタグ付き情報表示媒体に記載されている紙情報と異なるコンテンツ情報が読み出されることを防止することができ、結果として機密保持に大きく寄与することができる。
【0085】
IDコードとコンテンツ情報との対応関係において、コンテンツ情報のファイルのファイル名を使った場合には、その重複を完全に防ぐことは難しいし、また充分に小さなデータ量で誤りなくファイルの位置まで指定したり、リンクを取ることは現実的ではない。
【0086】
複数ページからなるコンテンツ情報が単一の電子ファイルから構成される場合には、それを印刷する際にはその文書のセット全体で一つのIDコードを与えてもよい。必ずしもRFIDタグ付き情報表示媒体1枚に必ず1個のIDコードを与える必要はない。
【0087】
本実施の形態で使用するIDコードは、上述したように例えば96ビットまたは128ビット程度の大きさで充分である。この程度の大きさのアドレス空間であれば、個々のRFTDタグ付き情報表示媒体を個別に区別するには充分である。256ビットを超える大きさのデータ量は、基本的に不要であるばかりでなく、RFID読取装置3により多数枚のRFTDタグ付き情報表示媒体のRFTDタグからIDコードを同時に読み取る際に、RFID読取装置3の読み取り速度を十分に高くできず、読み取りミスを引き起こす恐れがでてくるために望ましくない。
【0088】
個々のRFTDタグ付き情報表示媒体を誤りなく読み取るために、且つ多数枚のRFTDタグ付き情報表示媒体を同時に高速で読み取るためには、最大でも256ビット、望ましくは128ビット程度のデータ量でIDコードを構成する必要がある。即ち、RFIDタグが持つデータ量が小さいことが、IDコード読み取りの高速化やRFID読取装置及びRFID書込装置の簡略化や低価格化のために必要である。
【0089】
IDコードの例としては、上述したような、米国マサチューセッツ工科大学が主管するオートIDセンターが用いる物流管理を主目的とした96ビットのエレクトロニック・プロダクト・コード(EPC)や、インターネットプロトコルのIPv6で用いられる128ビットのIPアドレス、或いは日本のT−Enginフォーラムが設立したユビキタスIDセンターの128ビットのユビキタスID(UBID)などがある。本発明のIDコードをこれらに一致させて使用することにより、独自の複雑なIDコード管理システムを独立に設計する必要がなくなり、インターネットを活用して今後成熟していく物流管理システムやユビキタスネットワークシステムの中でIDデータ処理とその管理を行うことができるので、標準化という観点からも大きな利点がある。
【0090】
(第1の実施形態)
更に、本実施の形態について詳細に説明する。
【0091】
本実施の形態は、上述したように、RFIDタグ付き情報表示媒体に印刷するコンテンツ情報をネットワーク上のサーバ(データ記憶管理装置5)が管理する記憶装置(データ記憶部52)からダウンロードする方式が従来と異なる。本実施の形態では、紙のようなRFIDタグ付き情報表示媒体とネットワーク上の情報処理システム(クライアント端末4、データ記憶管理装置5など)とを、RFIDタグ付き情報表示媒体に付与したRFIDタグに記憶されたIDコードにより関連付けるだけでなく、RFIDタグ付き情報表示媒体に印刷された情報を必要に応じネットワークから直接呼び出すことが大きな特徴である。
【0092】
IDコードはネットワーク上のサーバ(データ記憶管理装置5)が管理し、IDコードを鍵として、記憶装置(データ記憶部52)に保存されているコンテンツ情報とそのコンテンツ情報が印刷されたRFIDタグ付き情報表示媒体とを結びつけるだけでなく、特に印刷の際にはどのRFIDタグ付き情報表示媒体に印刷を行ったかを記録しておき、複写要請のような再印刷要請があれば、記憶装置(データ記憶部52)に保存されているコンテンツ情報を印刷装置にダウンロードする。
【0093】
この処理はパソコンなどのクライアント端末4を用いず、RFIDタグ付き情報表示媒体のRFIDタグに記憶されたIDコードを読み取ると共に、印刷装置に対する複写処理命令を印刷装置の複写ボタン操作を行うだけで、ネットワーク上のデータ記憶管理装置5からコンテンツ情報を検索し、印刷装置にダウンロードすることが望ましい。或いは、この処理の一部または全てをネットワーク上のサーバ(データ記憶管理装置5)に依頼してもよいが、原則としてユーザがクライアント端末4を操作する必要がないようにシステムを構成する。
【0094】
原理的には、RFIDタグ付き情報表示媒体(紙)のRFIDタグに記憶されたIDコードのような、ネットワーク上のデータ記憶管理装置5に保存されているコンテンツ情報のアドレスとの関連を示す情報があれば、様々な方法でコンテンツ情報の電子データを検索することが可能である。しかし、その手順がシステムとして整備され自動化されて短時間で電子データのダウンロードができるものでなければ、それを実際に日常的に使用することはできない。
【0095】
本実施の形態では、RFIDタグ付き情報表示媒体(紙)のRFIDタグに記憶されたIDコードを事実上瞬時に読み取り、IDコードに対応するコンテンツ情報の電子データをネットワーク上のデータ記憶管理装置5から短時間でダウンロードする操作を、細かなファイル操作やOSの操作などを行うことなく、実際上自動的に実現することができる。例えば、RFIDタグ付き情報表示媒体のRFIDタグに記憶されたIDコードを、クライアント端末4に接続されたRFID読取装置3で読み取ると、待ち時間なしにクライアント端末4の電子ディスプレイ上に文書が表示され、即座にその文書の修正加工作業に入ることができる。
【0096】
また、本実施の形態では、ネットワークに接続する印刷装置を複写機とすれば、複写機の原稿台にRFIDタグ付き情報表示媒体(紙)を置いて複写ボタンを押すと、即座にRFIDタグ付き情報表示媒体のコンテンツ情報(電子データ)が自動的にネットワーク上のデータ記憶管理装置5からダウンロードされるため、コンテンツ情報を別のRFIDタグ付き情報表示媒体(紙)に印刷することで複写を行うことができる。つまり、原稿の画像を光学的に読み取ってそれをそのまま光学的に複写するのではなく、コンテンツ情報(電子データ)を別のRFIDタグ付き情報表示媒体(紙)に印刷することで複写を行うことができる。
【0097】
上記コンテンツ情報の印刷が行われたRFIDタグ付き情報表示媒体に対し、別の情報の追加印刷や手書きによる追加書き込み等があれば、RFIDタグ付き情報表示媒体からイメージスキャナなどの画像読取装置を介して画像を読み取り、読取情報を、RFIDタグ付き情報表示媒体のRFIDタグに記憶されたIDコードが指定する元のコンテンツ情報と比較することで、追加修正部分を区別して保存することができる。また、元の印刷物が修正変更を受けたことも記録して管理することができる。極端な例として、IDコードが与えられているが何も印刷されていないRFIDタグ付き情報表示媒体に対し、ネットワークを介さず光学的に別の原稿の情報の複写を行ったり、手書きで文字や画像を書いたりした場合には、それを画像読取装置で読み取って新しいコンテンツファイルを作り、コンテンツファイルとIDコードとを関連付けることもできる。
【0098】
上述したデータ処理をクライアント端末4を用いず印刷装置1または印刷装置2の中で行うか、またはデータ処理をネットワーク上のサーバ(データ記憶管理装置5)に依頼する。RFIDタグ付き情報表示媒体(原稿)に印刷されている情報の複写や、RFIDタグ付き情報表示媒体(原稿)に印刷されている情報の修正を行おうとする人が、コンテンツ情報のファイル名をわかっていなくても、或いはそのファイルが何処にあるのか判らなかったとしても、RFIDタグ付き情報表示媒体さえあれば、印刷の元になるコンテンツ情報をネットワーク上のデータ記憶管理装置5から自動的にダウンロードすることができる。こうして、電子情報システムの中でのRFIDタグ付き情報表示媒体の使いやすさを格段に引き上げることができる。
【0099】
上述したようなRFIDタグ付き情報表示媒体の使い方の別の応用としては、RFIDタグ付き情報表示媒体(紙)のRFIDタグのIDコードを読み取るRFID読取装置を、プリンタやイメージスキャナに組み込むだけでなく、パソコンやPDA(Personal Digital Assistant)や携帯電話機などのような情報機器に接続できるように構成することにより、RFIDタグ付き情報表示媒体(紙)を用意しておくだけで、その印刷内容を上記情報機器のディスプレイに表示し、加工修正をディスプレイ上で行って印刷するということが可能となる。実際には、RFIDタグ付き情報表示媒体(紙)の情報を手書きや切り貼りで加工して原稿にするよりは、ネットワーク上からファイルを呼び出して電子的にデータ加工を行い、データ加工が完了したらその内容を印刷する方がはるかに楽であり、合理的である。従来の方式ではファイル名がわからなければこのようなことはできなかった。
【0100】
RFIDタグを紙などの情報表示媒体に付与した場合、RFIDタグに記憶するIDコードの管理には、何等かの管理システムが必要であるが、この種の管理システムは必要に応じ個別に構築することができる。しかし、この種の管理システムが数多く個別に存在するようになると、異なる管理システムで割り振られたIDコードを読むことが難しく、IDコードの読み取りができたりできなかったりするということが多発する。これは、RFIDタグ付き情報表示媒体の使いやすさを著しく悪くする。
【0101】
これを解決するためには、できる限り標準化されたID管理システムを利用することが望ましい。現在、物流管理を主な目的としてRFIDタグをあらゆる物に付与し、物流管理を総合的に行おうとする試みがある。また、あらゆる電子機器や家電製品、冷暖房設備や風呂などの湯沸し機器、家庭内の防犯用監視システムや火災警報システムなどにマイクロプロセッサを組み込んだりIDコードを割り振ったりすることで、各機器をネットワークに接続して総合的に管理するユビキタスコンピューティングやユビキタスネットワークと呼ばれるシステムが普及し始めている。
【0102】
こうして無線タグとかゴマ粒チップなどと呼ばれるRFIDタグを用いることで、上記のような物流管理や品質管理或いは家庭内の機器管理に適用されるIDコード管理体系を利用できる環境が整いつつある。上記の例のように、あらゆる物品にIDコードを割り振り、有線通信、或いは必要なら機器や物にRFIDタグを貼り付けることによる無線通信を実現し、必要に応じ非接触のID読取書込装置を世の中の要所要所に配置することで、物の世界とネットワークの仮想世界を結びつけることを想定することができる。
【0103】
そして、品物の個別チェックを行うと共にチェックに基づく情報をインターネットを使って収集することで、物流の全体管理や、家庭内やオフィスの個々の機器の全体管理を可能にすることができる。このIDコード管理体系は、基本的にそのままRFIDタグを付与した印刷物の管理に使用することができる。
【0104】
米国マサチューセッツ工科大学が提唱するAuto−ID Centerはその代表的なものであるし、日本のT−Engineフォーラムが設立したユビキタスIDセンターが提案するシステムも利用可能である。こうして世界中に張り巡らされたインターネットを利用し、物流管理を主目的としたIDコード管理体系をそのまま利用することにより、RFIDタグを付与した情報表示媒体(紙)に印刷された情報を、実際上、電子情報システムに取り込むことが可能となり、紙の情報保存記録機能をネットワークに移管し、紙の優れた情報表示機能を有効に活用することが可能になる。
【0105】
本発明を有効に機能させるためには、RFIDタグに記憶されたIDコードを高周波で読み取るRFID読取装置を内蔵した印刷装置(上記図1の例では、RFID読取部16を内蔵した印刷装置1、RFID読取部26を内蔵した印刷装置2)を用いる。印刷時に情報の書き換えを行うことが必要になる可能性があるので、RFID読取装置だけでなくRFID書込装置も印刷装置に内蔵させると更に都合がよい(上記図1の例では、RFID読取部26及びRFID書込部27を内蔵した印刷装置2)。
【0106】
RFID読取装置を内蔵した印刷装置(複写機)またはRFID読取及びRFID書込装置を内蔵した印刷装置(複写機)の原稿台にRFIDタグ付き情報表示媒体を置いて読取指示を行えば、RFIDタグ付き情報表示媒体のRFIDタグから自動的にIDコードを読み取り、そのIDコードに対応したコンテンツ情報をネットワーク上のデータ記憶管理装置5からダウンロードすることで、コンテンツ情報を印刷することができる。これは、実質的に原稿の複写となる。
【0107】
上記のような複写機では、印刷画像を光学的に読み取る必要はないので走査光学系は不要となり、機体の小型化及び低コスト化を図ることができる。また、走査光学系の走査が不要となるので複写速度を高速化する上で都合がよい。RFIDタグは多数個を同時に読み取らせることも可能なので、複写機の原稿台にセットする原稿として多数枚のRFIDタグ付き情報表示媒体を重ねておいてRFIDタグのIDコードをまとめて読み取り、全ての原稿のコンテンツ情報をまとめてネットワーク上のデータ記憶管理装置5からダウンロードして印刷することも可能である。この場合、上記のような複写機では、従来の複写機のような自動的に原稿を原稿台(プラテンガラス)上に送る自動給紙装置は不要となる。
【0108】
更に、画像読取装置を用意すれば修正された紙原稿の読み取りを行うことができる。この場合には、読み取った原稿の光学画像情報とIDコードによりネットワークからダウンロードした修正前の情報とを比較し、修正部分が何処であるかを検出して記録することができる。これによれば、修正前のコンテンツ情報に追加修正データを書き加え、電子データとして保存することができる。この機能は文書の改ざんチェックに利用することもできる。
【0109】
以上説明したように、本実施の形態によれば、紙が有する情報保存記録機能を紙から完全に切り離し、コンテンツ情報はネットワーク上のデータ記憶管理装置5にIDコードに対応付けて保存し、検索により利用可能とすることで、紙をその非効率な情報保存記録機能から開放し、且つ紙の優れた表示品質を温存し、更に紙に印刷された情報をシステムに簡単に取り込んで加工することを容易に行うことができるようになるという効果を奏する。
【0110】
更に、詳細に効果を説明すると、コンテンツ情報が印刷されたRFIDタグ付き情報表示媒体のRFIDタグのIDコードとコンテンツ情報とを重複なく1:1に対応させた対応関係を、ネットワーク上のデータ記憶管理装置5に登録しておくことで、RFIDタグ付き情報表示媒体に印刷されたコンテンツ情報、コンテンツ情報の印刷履歴、印刷物の存在状態等々を的確に管理することができ、高度なセキュリティを保持しながら、あたかも印刷されたコンテンツ情報もネットワークに接続されているかのように共有することができる。
【0111】
また、RFIDタグ付き情報表示媒体のRFIDタグのIDコードとコンテンツ情報とを重複なく1:1に対応させることで、RFIDタグ付き情報表示媒体に印刷されたコンテンツ情報を必要に応じ、ネットワークから直接呼び出すことが可能となる。
【0112】
また、IDコードとコンテンツ情報とを1:1に対応させた対応関係をネットワーク上のデータ記憶管理装置5に登録してあるRFIDタグ付き情報表示媒体(印刷原稿)があれば、そのコンテンツ情報をネットワーク上のデータ記憶管理装置5から自動的に読み出して利用することができるので、RFIDタグ付き情報表示媒体(印刷原稿)に印刷されたコンテンツ情報の修正を完全にクライアント端末4の電子ディスプレイ上で行うことができる。
【0113】
また、RFIDタグ付き情報表示媒体(印刷原稿)に対する修正後のコンテンツ情報を、ネットワーク上の印刷装置により別のRFIDタグ付き情報表示媒体に印刷することにより、修正跡のないRFIDタグ付き情報表示媒体(印刷原稿)が得られるばかりでなく、修正後のコンテンツ情報も電子データとしてネットワーク上のデータ記憶管理装置5に記憶し保存することができる。
【0114】
また、ネットワーク上のデータ記憶管理装置5に保存されるコンテンツ情報(電子データ)は、RFIDタグ付き情報表示媒体(紙)との関連性を考えなければ、従来どおりの電子ファイル操作が可能であり、RFIDタグ付き情報表示媒体(紙)に印刷したり、RFIDタグ付き情報表示媒体(紙)から読み取ったり修正したりする場合だけ、RFIDタグに記憶されたIDコードに基づく、コンテンツ情報とRFIDタグ付き情報表示媒体との対応関係を活用することができる。
【0115】
また、RFIDタグ付き情報表示媒体に印刷されたコンテンツ情報をネットワーク上のデータ記憶管理装置5に登録し管理するため、ユーザにとってセキュリティに注意を要するコンテンツの印刷物を容易に作成することができる。
【0116】
また、印刷物の複製を作成する際には、全てその印刷物(印刷原稿)の元となる情報をネットワーク上のデータ記憶管理装置5から呼び出して印刷装置により複写を行う(複製を作る)ことができるので、光学複写に特有の画質の劣化を起こすことなく、オリジナルの印刷物と同様の印刷物を作成することができる。
【0117】
また、コンテンツを管理する立場にとっては、コンテンツに関する印刷情報を見ることによって、関連する印刷物全ての管理を行うことが可能となる。
【0118】
[第2の実施の形態]
本発明の第2の実施の形態に係る印刷装置、RFID読取装置、クライアント端末、データ記憶管理装置からなるコンテンツ共有システムの構成は、第1の実施の形態で示した図1と同様であり、詳細は上述したので説明を省略する。
【0119】
本実施の形態では、複数枚のRFIDタグ付き情報表示媒体(印刷原稿)のコンテンツ情報をダウンロードする方法について説明する。
【0120】
RFIDタグ付き情報表示媒体(印刷原稿)のコンテンツ情報は、クライアント端末4において作成され、データ記憶管理装置5のデータ記憶部52に登録され保存されている。そのコンテンツ情報は、印刷時にRFIDタグ付き情報表示媒体(印刷原稿)のRFIDタグから読み取ったIDコードと1:1に関連付けられ、その対応関係もデータ記憶管理装置5のデータ記憶部52に保存されている。
【0121】
RFIDタグ付き情報表示媒体(印刷原稿)が複数枚ある場合も、その原稿修正手順は図2及び図3に示したものとほぼ同様である。
【0122】
先ず、クライアント端末4に接続したRFID読取装置3のRFID読取部35(読取ヘッド)に複数枚のRFIDタグ付き情報表示媒体(印刷原稿)を重ねたままの状態で近づけ、それら全てのIDコードを一括して同時に読み取る。次に、クライアント端末4の制御部内の原稿管理システムは、上記IDコードを用いてネットワーク6上の複数のデータ記憶管理装置5の何れかに登録保存されている上記複数枚のRFIDタグ付き情報表示媒体(印刷原稿)に対応したコンテンツ情報を検索し、クライアント端末4のハードディスクにダウンロードし、コンテンツ情報のファイルの位置を電子ディスプレイに表示する。
【0123】
次に、原稿管理システムは、上記コンテンツ情報のファイルを電子ディスプレイ上に表示する。これにより、操作者が必要に応じて順次、電子ディスプレイ上で修正加工を行う。原稿管理システムは、操作者による修正が終了したら、修正後のコンテンツ情報を新たにデータ記憶管理装置5のデータ記憶部52に登録し保存する。
【0124】
そして、原稿管理システムは、ネットワーク6に接続されている印刷装置1または印刷装置2により、コンテンツ情報を新たなRFIDタグ付き情報表示媒体(紙)に印刷する。原稿管理システムは、印刷装置1または印刷装置2により印刷する際に、新たなRFIDタグ付き情報表示媒体(紙)のRFIDタグのIDコードをRFID読取装置3により読み取り、IDコードと上記修正登録したコンテンツ情報との対応関係を同じくデータ記憶管理装置5のデータ記憶部52に保存する。こうして複数枚のRFIDタグ付き情報表示媒体(印刷原稿)から第1の実施の形態とほぼ同様にして電子的な修正を行った修正印刷原稿を作ることができる。
【0125】
尚、データ記憶管理装置5は、印刷装置が複数のRFIDタグ付き情報表示媒体に同じ情報を印刷する場合において、印刷装置のRFID読取部で複数のRFIDタグ付き情報表示媒体から読み取られ転送されるIDコードをコンテンツ情報と対応付ける際は、複数のRFIDタグ付き情報表示媒体のそれぞれのIDコードと印刷する単一の(同じ)コンテンツ情報とを対応付ける。
【0126】
以上説明したように、本実施の形態によれば、紙が有する情報保存記録機能を紙から完全に切り離し、コンテンツ情報はネットワーク上のデータ記憶管理装置5に保存することで、紙をその非効率な情報保存記録機能から開放し、且つ紙の優れた表示品質を温存し、更に紙に印刷された情報をシステムに簡単に取り込んで加工することを容易に行うことができるようになるという効果を奏する。
【0127】
[第3の実施の形態]
本発明の第3の実施の形態に係る印刷装置、クライアント端末、データ記憶管理装置からなるコンテンツ共有システムの構成は、第1の実施の形態で示した図1からRFID読取装置を除外としたものと同様であり、詳細は上述したので説明を省略する。
【0128】
本実施の形態では、クライアント端末4にRFID読取装置が接続されておらず、携帯電話機にRFID読取装置を組み込んだ場合について説明する。
【0129】
携帯電話機のRFID読取装置により、RFIDタグ付き情報表示媒体(印刷原稿)のRFIDタグからIDコードを非接触で読み取り、iモード(携帯電話機からインターネットに接続するためのサービス)を活用して、RFIDタグ付き情報表示媒体(印刷原稿)のコンテンツ情報をネットワーク6上のデータ記憶管理装置5から自動的に検索し、そのコンテンツ情報をE−mailによりクライアント端末4に転送する。携帯電話機のRFID読取装置によるIDコードの読み取りの際には、RFIDタグ付き情報表示媒体(印刷原稿)のRFIDが付与してある部分に携帯電話機のRFID読取装置の読取ヘッドをかざし、携帯電話機に設けてある読取ボタンを押す。クライアント端末4のE−mailアドレスは携帯電話機から入力する。
【0130】
携帯電話機により入力したダウンロード先のクライアント端末4のE−mailアドレスと、携帯電話機のRFID読取装置により読み取ったIDコードで指定されたコンテンツ情報の上記E−mailアドレスに対する転送要求が、i−モードによりネットワーク6上のデータ記憶管理装置5に対して送信される。この一連の操作を自動的に処理することにより、携帯電話機によりコンテンツ情報転送先のクライアント端末4のE−mailアドレスを入力して、携帯電話機のRFID読取装置によりRFIDタグ付き情報表示媒体(印刷原稿)のRFIDタグのIDコードを読み取れば、データ記憶管理装置5からクライアント端末4にコンテンツ情報がE−mailで転送されてくる。
【0131】
操作者はクライアント端末4に転送されたコンテンツ情報のファイルを開き、電子ディスプレイ上に表示する。更に、操作者は電子ディスプレイ上に表示された表示内容をチェックし、修正が必要な場合には修正を行い、その表示内容の一部または全部を他の文書に利用する場合には、画面の切り取り、コピー、或いは貼り付けを行って文書の加工を行う。文書の加工が終了したらそれを登録し、必要に応じてRFIDタグ付き情報表示媒体(紙)に印刷する。
【0132】
このとき、RFIDリーダ内蔵印刷装置(印刷装置1または印刷装置2)を使用し、別のRFIDタグ付き情報表示媒体(紙)に上記加工された後の文書を印刷する際に、RFIDリーダ内蔵印刷装置のRFIDリーダにより上記RFIDタグ付き情報表示媒体(紙)のRFIDタグから新しいIDコードを読み取り、該IDコードと上記加工された文書のコンテンツ情報との対応関係をデータ記憶管理装置5に保存する。このようにして加工された後のRFIDタグ付き情報表示媒体(印刷原稿)とそのコンテンツ情報との関連付けを維持する。
【0133】
加工後のRFIDタグ付き情報表示媒体(印刷原稿)のコンテンツ情報を複写したければRFIDリーダ内蔵印刷装置を用い、RFIDタグ付き情報表示媒体(印刷原稿)のRFIDタグからIDコードを読み取り、コンテンツ情報をデータ記憶管理装置5から自動的にダウンロードして印刷することにより、RFIDタグ付き情報表示媒体(印刷原稿)の光学的な読み取りを行うことなくRFIDタグ付き情報表示媒体(原稿)の複写を行うことができる。
【0134】
尚、携帯電話機に内蔵したRFID読取装置を原稿以外の物に付与されたRFIDタグのIDコードの読み取りにも使用できるようにすることにより、携帯電話機の物品認識能力を拡大し、汎用性を持たせることも可能である。また、携帯電話機にRFID読取装置を内蔵した場合を例に挙げたが、PDA等の携帯端末にRFID読取装置を内蔵してもよく、この場合も上記と同様の効果がある。
【0135】
以上説明したように、本実施の形態によれば、紙が有する情報保存記録機能を紙から完全に切り離し、コンテンツ情報はネットワーク上のデータ記憶管理装置5に保存することで、紙をその非効率な情報保存記録機能から開放し、且つ紙の優れた表示品質を温存し、更に紙に印刷された情報をシステムに簡単に取り込んで加工することを容易に行うことができるようになるという効果を奏する。
【0136】
[第4の実施の形態]
本発明の第4の実施の形態に係る印刷装置、RFID読取装置、クライアント端末、データ記憶管理装置からなるコンテンツ共有システムの構成は、第1の実施の形態で示した図1と同様であり、詳細は上述したので説明を省略する。
【0137】
本実施の形態では、クライアント端末4で電子ディスプレイを用いて文書を作成し、その文書のコンテンツ情報をネットワーク6上のデータ記憶管理装置5に登録する。この文書のコンテンツ情報をRFIDリーダ内蔵印刷装置(印刷装置1または印刷装置2)により複数枚のRFIDタグ付き情報表示媒体(紙)に印刷し、RFIDリーダ内蔵印刷装置のRFIDリーダによりRFIDタグ付き情報表示媒体(紙)のRFIDタグのIDコードを印刷時に読み取り、上記コンテンツ情報とIDコードとを関連付けてデータ記憶管理装置5に登録し保存する。コンテンツ情報が印刷されたRFIDタグ付き情報表示媒体(印刷原稿)は複数枚となり、それぞれのRFIDタグのIDコードとコンテンツ情報とを関連付ける。
【0138】
この後、複数枚のRFIDタグ付き情報表示媒体(印刷原稿)は封筒に入れ、封印をして発送準備をする。封印をした後にRFIDタグ付き情報表示媒体(印刷原稿)を確認する必要が生じた場合、RFID読取装置3により封筒内のRFIDタグ付き情報表示媒体(印刷原稿)のRFIDタグのIDコードを非接触で読み取り、自動的にそのIDコードに対応するコンテンツ情報をデータ記憶管理装置5からクライアント端末4にダウンロードし、クライアント端末4の電子ディスプレイ上で上記封印されたRFIDタグ付き情報表示媒体(印刷原稿)の文面を確認する。こうして封印した封筒を開封することなく発送前にその内容をチェックすることができる。
【0139】
以上説明したように、本実施の形態によれば、紙が有する情報保存記録機能を紙から完全に切り離し、コンテンツ情報はネットワーク上のデータ記憶管理装置5に保存することで、紙をその非効率な情報保存記録機能から開放し、且つ紙の優れた表示品質を温存し、更に紙に印刷された情報をシステムに簡単に取り込んで加工することを容易に行うことができるようになるという効果を奏する。
【0140】
上記実施の形態では、コンテンツ共有システムを図1に示す構成としたが、印刷装置、RFID読取装置、クライアント端末、データ記憶管理装置の設置台数は任意とすることが可能である。また、RFID読取装置の他に、RFID書込装置、RFID読取/RFID書込装置などを設置する構成としてもよい。
【0141】
本発明は、上述した実施の形態の機能を実現するソフトウェアのプログラム(図2及び図3のフローチャート)をコンピュータ又はCPUに供給し、そのコンピュータ又はCPUが該供給されたプログラムを読出して実行することによって、達成することができる。
【0142】
この場合、上記プログラムは、該プログラムを記録した記憶媒体から直接供給されるか、又はインターネット、商用ネットワーク、若しくはローカルエリアネットワーク等に接続される不図示の他のコンピュータやデータベース等からダウンロードすることにより供給される。
【0143】
上記プログラムの形態は、オブジェクトコード、インタプリタにより実行されるプログラムコード、OS(オペレーティングシステム)に供給されるスクリプトデータ等の形態から成ってもよい。
【0144】
また、本発明は、上述した実施の形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムを記憶した記憶媒体をコンピュータ又はCPUに供給し、そのコンピュータ又はCPUが記憶媒体に記憶されたプログラムを読出して実行することによっても、達成することができる。
【0145】
この場合、格納媒体から読出されたプログラムコード自体が上述した各実施の形態の機能を実現すると共に、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成する。
【0146】
プログラムコードを記憶する記憶媒体としては、例えば、ROM、RAM、NV−RAM、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク(登録商標)、光磁気ディスク、CD−ROM、MO、CD−R、CD−RW、DVD−ROM、DVD−RAM、DVD−RW、DVD+RW、磁気テープ、不揮発性のメモリカード等がある。
【0147】
上述した実施の形態の機能は、コンピュータから読出されたプログラムコードを実行することによるばかりでなく、コンピュータ上で稼動するOS等がプログラムコードの指示に基づいて実際の処理の一部又は全部を行うことによっても実現することができる。
【0148】
更に、本発明は、前述した実施の形態を実現するソフトウェアのプログラムがネットワーク上のデータベース又はホームページから通信プログラムによりダウンロードされ、このプログラムを読出して実行することによって達成することができる。
【0149】
上記プログラムは、クライアントコンピュータのブラウザを用いてインターネットのホームページに接続し、該ホームページからコンピュータプログラム自体、又は自動インストール機能を含む圧縮ファイルをハードディスク等の記憶媒体にダウンロードすることによっても供給することができる。
【0150】
また、上記プログラムは、プログラムコードを暗号化した上で格納したCD−ROM等の記憶媒体をユーザに配布し、所定の条件をクリアしたユーザに対し、インターネットを介してホームページから暗号化を解く鍵情報をダウンロードさせ、その鍵情報を使用することにより暗号化されたプログラムコードを実行してコンピュータにインストールさせることによっても供給することができる。
【0151】
上述した実施の形態の機能は、プログラムコードを複数のファイルに分割し、夫々のファイルを異なるホームページからダウンロードすることによっても実現することができる。即ち、本発明の機能処理をコンピュータで実現させるためのプログラムファイルを複数のユーザに対してダウンロードさせるWWWサーバも、本発明を構成する。
【0152】
また、上述した実施の形態の機能は、記憶媒体から読出されたプログラムが、コンピュータに挿入された機能拡張ボード又はコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備えられたメモリに書込まれた後、そのプログラムの指示に基づき、その機能拡張ボード又は機能拡張ユニットに備えられたCPU又はMPU等が実際の処理の一部又は全部を実行することによっても実現することができる。
【0153】
本発明の実施態様の例を以下に列挙する。
【0154】
〔実施態様1〕 ネットワークを介して電子情報の通信が可能な電子情報システムにおいて、
情報の印刷が可能で識別コードが記憶された情報表示媒体に印刷されたコンテンツ情報、及び前記識別コードと前記コンテンツ情報との対応関係を記憶する記憶手段と、前記情報表示媒体から識別コードを読み取る読取手段と、前記読取手段により前記情報表示媒体から読み取られた識別コードと前記情報表示媒体に印刷されたコンテンツ情報との対応関係に基づいて、前記記憶手段からコンテンツ情報を検索し利用する検索手段とを備えることを特徴とする電子情報システム。
【0155】
〔実施態様2〕 前記情報表示媒体から識別コードを読み取る読取手段を有する印刷手段を備え、前記印刷手段による前記情報表示媒体に対するコンテンツ情報の印刷時に、前記印刷手段の前記読取手段により前記情報表示媒体から識別コードを読み取り、前記読み取られた識別コードと前記情報表示媒体に印刷されたコンテンツ情報との対応関係を前記記憶手段に登録することを特徴とする実施態様1記載の電子情報システム。
【0156】
この実施態様により、コンテンツ情報、コンテンツ情報の印刷履歴、印刷物の存在状態等々を的確に管理でき、高度なセキュリティを保持しながら、あたかも印刷されたコンテンツ情報もネットワークに接続されているかのように共有できる。
【0157】
〔実施態様3〕 前記情報表示媒体は、RFIDタグが付与されると共に前記RFIDタグに前記識別コードとしてのIDコードが記憶される紙を含む媒体であり、前記IDコードが非接触で読み取られることを特徴とする実施態様1記載の電子情報システム。
【0158】
この実施態様により、RFIDタグに記憶されたIDコードにより、ネットワーク上の記憶手段に保存されるコンテンツ情報との関連付けが容易となる。
【0159】
〔実施態様4〕 前記情報表示媒体のIDコードは、前記情報表示媒体に対するコンテンツ情報の印刷時に前記RFIDタグに書き込まれることを特徴とする実施態様3記載の電子情報システム。
【0160】
この実施態様により、RFIDタグに記憶されたIDコードにより、ネットワーク上の記憶手段に保存される印刷されたコンテンツ情報との関連付けが容易となる。
【0161】
〔実施態様5〕 1つのコンテンツ情報が複数の情報表示媒体にまたがって印刷される場合、前記複数の情報表示媒体全体に対して1つのIDコードを対応付けることを特徴とする実施態様1記載の電子情報システム。
【0162】
この実施態様により、複数の情報表示媒体にまたがる1つのコンテンツ情報を的確に管理できる。
【0163】
〔実施態様6〕 前記情報表示媒体のIDコードとして、最大でも256ビットを超えないデータ長の重複のないIDコードを用いることを特徴とする実施態様1記載の電子情報システム。
【0164】
この実施態様により、情報表示媒体からIDコードを読み取ることにより、ネットワークの何処からでもコンテンツ情報へのアクセスが可能となる。
【0165】
〔実施態様7〕 前記検索手段は、前記情報表示媒体のIDコードに基づいて、前記情報表示媒体に印刷されたコンテンツ情報を前記記憶手段から検索する場合、前記情報表示媒体のIDコードの読み取りに従い前記記憶手段にアクセスし検索を行うことを特徴とする実施態様1記載の電子情報システム。
【0166】
この実施態様により、情報表示媒体からIDコードを読み取るだけで自動的にコンテンツ情報にアクセスすることが可能となる。
【0167】
〔実施態様8〕 前記読取手段は、前記ネットワークに接続可能な情報処理装置に接続されていることを特徴とする実施態様1記載の電子情報システム。
【0168】
この実施態様により、読み取ったIDコードにより、情報処理装置を介してコンテンツ情報へのアクセスが可能となる。
【0169】
〔実施態様9〕 前記読取手段は、前記ネットワークに接続可能な携帯電話機に内蔵されていることを特徴とする実施態様1記載の電子情報システム。
【0170】
この実施態様により、読み取ったIDコードにより、携帯電話機を介してコンテンツ情報へのアクセスが可能となる。
【0171】
〔実施態様10〕 前記読取手段は、前記ネットワークに接続可能な携帯端末に内蔵されていることを特徴とする実施態様1記載の電子情報システム。
【0172】
この実施態様により、読み取ったIDコードにより、携帯端末を介してコンテンツ情報へのアクセスが可能となる。
【0173】
〔実施態様11〕 前記読取手段は、前記ネットワークに接続されていることを特徴とする実施態様1記載の電子情報システム。
【0174】
この実施態様により、読み取ったIDコードにより、直接コンテンツ情報へのアクセスが可能となる。
【0175】
〔実施態様12〕 前記情報表示媒体のIDコードは、前記情報表示媒体に印刷されたコンテンツ情報のファイル名としても用いることを特徴とする実施態様1記載の電子情報システム。
【0176】
この実施態様により、コンテンツ情報のファイル管理が容易となる。
【0177】
〔実施態様13〕 前記情報表示媒体に印刷するコンテンツ情報が同一であるか否かに関わらず、それぞれの前記情報表示媒体にIDコードを重複なく付与することでそれぞれの前記情報表示媒体を区別することを特徴とする実施態様1記載の電子情報システム。
【0178】
この実施態様により、情報表示媒体に印刷されたコンテンツ情報を、IDコードに基づき必要に応じネットワークから直接呼び出すことが可能となる。
【0179】
〔実施態様14〕 前記情報表示媒体のRFIDタグには、前記記憶手段に記憶される前記情報表示媒体に印刷されたコンテンツ情報は重複して記憶しないことを特徴とする実施態様3記載の電子情報システム。
【0180】
この実施態様により、情報表示媒体に付与するRFIDタグの回路を簡易化でき、ノイズ耐性や環境耐性を高くできる。
【0181】
〔実施態様15〕 前記情報表示媒体のIDコードは、前記情報表示媒体に対するコンテンツ情報の印刷時に必要に応じて書き換え可能であることを特徴とする実施態様1記載の電子情報システム。
【0182】
この実施態様により、情報表示媒体の活用度等が向上する。
【0183】
〔実施態様16〕 前記ネットワークは、インターネットを含むことを特徴とする実施態様1記載の電子情報システム。
【0184】
この実施態様により、情報表示媒体に印刷されたコンテンツ情報を必要に応じインターネットから直接呼び出すことが可能となる。
【0185】
〔実施態様17〕 前記記憶手段は、前記印刷手段が複数の情報表示媒体に同じコンテンツ情報を印刷する場合に、前記印刷手段の前記読取手段で前記複数の情報表示媒体から読み取られ転送されるIDコードをコンテンツ情報と対応付けて記憶する際は、前記複数の情報表示媒体のそれぞれのIDコードと前記印刷する単一のコンテンツ情報とを対応付けて記憶することを特徴とする実施態様1記載の電子情報システム。
【0186】
この実施態様により、複数の情報表示媒体に印刷される同一のコンテンツ情報を的確に管理できる。
【0187】
〔実施態様18〕 前記記憶手段は、前記印刷手段が前記情報表示媒体に印刷されたコンテンツ情報の内容を書き換えて印刷する場合に、書き換えた新しいコンテンツ情報と該新しいコンテンツ情報を印刷する別の情報表示媒体のIDコードとを対応付けて記憶することを特徴とする実施態様1記載の電子情報システム。
【0188】
この実施態様により、元の情報表示媒体(印刷原稿)から電子的な修正を行った別の情報表示媒体(修正印刷原稿)を作ることができる。
【0189】
〔実施態様19〕 前記情報表示媒体のIDコードは、前記情報表示媒体に印刷されたコンテンツ情報の追記や書き換えなどの際、必要に応じて書き換え可能であることを特徴とする実施態様1記載の電子情報システム。
【0190】
この実施態様により、情報表示媒体の活用度等が向上する。
【0191】
〔実施態様20〕 前記情報表示媒体のRFIDタグに対するIDコードの読み取り、又はIDコードの読み取り及び書き込みは、電磁波により行うことを特徴とする実施態様3記載の電子情報システム。
【0192】
この実施態様により、コンテンツ情報を印刷した情報表示媒体を例えば封筒に入れ封印した後、封筒内の情報表示媒体の文面を開封せずにチェックできる。
【0193】
〔実施態様21〕 前記印刷手段は、前記読取手段で前記情報表示媒体から読み取ったIDコードを、前記情報表示媒体に印刷するコンテンツ情報のアドレスと対応付けて前記記憶手段に転送することを特徴とする実施態様2記載の電子情報システム。
【0194】
この実施態様により、ネットワーク上の記憶手段に保存される印刷されたコンテンツ情報とIDコードとの関連付けが容易となる。
【0195】
〔実施態様22〕 前記情報表示媒体のRFIDタグのIDコードのデータ形式を、標準化された既存のIDコードのデータ形式に一致させることを特徴とする実施態様3記載の電子情報システム。
【0196】
この実施態様により、独自の複雑なID管理システムを設計することが不要となる。
【0197】
〔実施態様23〕 ネットワークを介して電子情報の通信が可能な電子情報システムを構成する情報検索装置において、
情報の印刷が可能で識別コードが記憶された情報表示媒体から読み取られた前記識別コードと前記情報表示媒体に印刷されたコンテンツ情報との対応関係に基づいて、前記情報表示媒体に印刷されたコンテンツ情報及び前記情報表示媒体の識別コードとコンテンツ情報との対応関係を記憶する記憶手段から、コンテンツ情報を検索することを特徴とする情報検索装置。
【0198】
〔実施態様24〕 ネットワークを介して電子情報の通信が可能な電子情報システムを構成する記憶装置において、
情報の印刷が可能で識別コードが記憶された情報表示媒体に印刷されたコンテンツ情報、及び前記情報表示媒体の識別コードと前記情報表示媒体に印刷されたコンテンツ情報との対応関係を記憶することを特徴とする記憶装置。
【0199】
〔実施態様25〕 前記記憶装置は、前記ネットワークに接続されたサーバ等の情報管理装置に装備されていることを特徴とする実施態様24記載の記憶装置。
【0200】
〔実施態様26〕 ネットワークを介して電子情報の通信が可能な電子情報システムにより実行される情報検索方法において、
情報の印刷が可能で識別コードが記憶された情報表示媒体から前記識別コードを非接触で読み取る読取ステップと、前記情報表示媒体に印刷されたコンテンツ情報、及び識別コードとコンテンツ情報との対応関係を前記ネットワーク上の記憶手段に記憶する記憶ステップと、前記情報表示媒体から読み取られた識別コードと前記情報表示媒体に印刷されたコンテンツ情報との対応関係に基づいて、前記記憶手段からコンテンツ情報を検索する検索ステップとを備えることを特徴とする情報検索方法。
【0201】
〔実施態様27〕 ネットワークを介して電子情報の通信が可能な電子情報システムの情報検索方法をコンピュータに実行させるプログラムにおいて、
情報の印刷が可能で識別コードが記憶された情報表示媒体から前記識別コードを非接触で読み取る読取モジュールと、前記情報表示媒体に印刷されたコンテンツ情報、及び識別コードとコンテンツ情報との対応関係を前記ネットワーク上の記憶手段に記憶する記憶モジュールと、前記情報表示媒体から読み取られた識別コードと前記情報表示媒体に印刷されたコンテンツ情報との対応関係に基づいて、前記記憶手段からコンテンツ情報を検索する検索モジュールとを備えることを特徴とするプログラム。
【0202】
〔実施態様28〕 前記請求項27記載のプログラムを格納することを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【0203】
【発明の効果】
以上詳細説明したように、請求項1記載の電子情報システムによれば、情報の印刷が可能で識別コードが記憶された情報表示媒体から識別コードを読み取り、読み取られた識別コードと情報表示媒体に印刷されたコンテンツ情報との対応関係に基づいて、コンテンツ情報及び識別コードとコンテンツ情報との対応関係を記憶した記憶手段からコンテンツ情報を検索し利用する。即ち、紙が有する情報保存記録機能を紙から完全に切り離し、コンテンツ情報はネットワーク上の記憶手段に識別コードに対応付けて保存し、検索により利用可能とすることで、紙をその非効率な情報保存記録機能から開放し、且つ紙の優れた表示品質を温存し、更に紙に印刷された情報をシステムに簡単に取り込んで加工することを容易に行うことが可能になるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る印刷装置、RFID読取装置、クライアント端末、データ記憶管理装置を備えたコンテンツ共有システムの構成例を示すブロック図である。
【図2】RFIDタグ付き情報表示媒体を用いた原稿修正手順の流れを示すフローチャートである。
【図3】図2のフローチャートの続きである。
【符号の説明】
1、2印刷装置
3 RFID読取装置
4 クライアント端末
5 データ記憶管理装置
6 ネットワーク
7 RFIDタグ付き情報表示媒体
11 制御部
13 印刷部
15 ネットワークインタフェース部
16 RFID読取部
21 制御部
23 印刷部
25 ネットワークインタフェース部
26 RFID読取部
27 RFID書込部
31 制御部
34 ネットワークインタフェース部
35 RFID読取部
51 データ管理部
52 データ記憶部
53 ネットワークインタフェース部
71 RFIDタグ
Claims (1)
- ネットワークを介して電子情報の通信が可能な電子情報システムにおいて、
情報の印刷が可能で識別コードが記憶された情報表示媒体に印刷されたコンテンツ情報、及び前記識別コードと前記コンテンツ情報との対応関係を記憶する記憶手段と、前記情報表示媒体から識別コードを読み取る読取手段と、前記読取手段により前記情報表示媒体から読み取られた識別コードと前記情報表示媒体に印刷されたコンテンツ情報との対応関係に基づいて、前記記憶手段からコンテンツ情報を検索し利用する検索手段とを備えることを特徴とする電子情報システム。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2003092089A JP2004302614A (ja) | 2003-03-28 | 2003-03-28 | 電子情報システム |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2003092089A JP2004302614A (ja) | 2003-03-28 | 2003-03-28 | 電子情報システム |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2004302614A true JP2004302614A (ja) | 2004-10-28 |
Family
ID=33405291
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP2003092089A Pending JP2004302614A (ja) | 2003-03-28 | 2003-03-28 | 電子情報システム |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP2004302614A (ja) |
Cited By (5)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2006229717A (ja) * | 2005-02-18 | 2006-08-31 | Ricoh Co Ltd | 画像形成装置 |
| JP2008286867A (ja) * | 2007-05-15 | 2008-11-27 | Canon Inc | 画像形成システム |
| JP2009086798A (ja) * | 2007-09-28 | 2009-04-23 | Hitachi Ltd | 印刷システム |
| US8059130B2 (en) | 2006-01-27 | 2011-11-15 | Fuji Xerox Co., Ltd. | Document reservation processing operation system |
| CN106067047A (zh) * | 2016-05-31 | 2016-11-02 | 无锡昊瑜节能环保设备有限公司 | 基于rfid的公交收费系统 |
-
2003
- 2003-03-28 JP JP2003092089A patent/JP2004302614A/ja active Pending
Cited By (5)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2006229717A (ja) * | 2005-02-18 | 2006-08-31 | Ricoh Co Ltd | 画像形成装置 |
| US8059130B2 (en) | 2006-01-27 | 2011-11-15 | Fuji Xerox Co., Ltd. | Document reservation processing operation system |
| JP2008286867A (ja) * | 2007-05-15 | 2008-11-27 | Canon Inc | 画像形成システム |
| JP2009086798A (ja) * | 2007-09-28 | 2009-04-23 | Hitachi Ltd | 印刷システム |
| CN106067047A (zh) * | 2016-05-31 | 2016-11-02 | 无锡昊瑜节能环保设备有限公司 | 基于rfid的公交收费系统 |
Similar Documents
| Publication | Publication Date | Title |
|---|---|---|
| US8493601B2 (en) | Techniques for performing actions based upon physical locations of paper documents | |
| US7538904B2 (en) | System for administering readout contents, image reader device, and method for administering contents | |
| US7865042B2 (en) | Document management method using barcode to store access history information | |
| US8488142B2 (en) | Document management support system including information medium controllers that communicate with an information management server | |
| JP2004152258A (ja) | ワークフローの中で書類を追跡する方法及び装置 | |
| JP2005295564A (ja) | 文書管理方法 | |
| US7746490B2 (en) | Printed document managing method, printed document managing program, image forming apparatus, and printed document managing system | |
| JP4572136B2 (ja) | 文書管理方法 | |
| JP2006191624A (ja) | マルチメディアドキュメント集合のセキュアスタンピング用の方法、製品及び装置 | |
| JP4307124B2 (ja) | 表示媒体廃棄装置及びシステム、並びにコンテンツ管理方法 | |
| JP2006178975A (ja) | 情報処理方法及びそのコンピュータプログラム | |
| US20030002081A1 (en) | Printing methodology and apparatus adapted to receive data form a portable memory device and generate personalized print items | |
| JP2006053686A (ja) | 電子情報システム | |
| CN1979548A (zh) | 工作流管理系统、方法和存储介质 | |
| JP2004302614A (ja) | 電子情報システム | |
| US20040049733A1 (en) | Virtual annotation of a recording on an archival media | |
| JP4407436B2 (ja) | 画像出力装置および画像出力方法 | |
| JP2004310293A (ja) | 印刷物管理方法及びシステム | |
| JP3954316B2 (ja) | 印刷方法、データ処理方法、印刷処理システム、情報処理システム、コンピュータ読み取り可能な記録媒体、及びプログラム | |
| US7895292B2 (en) | Information management system, information processing device, and computer usable medium | |
| JP5284664B2 (ja) | 画像ファイル管理システム | |
| JP2008140053A (ja) | 情報管理システムおよび情報管理方法およびプログラムおよび記録媒体 | |
| JP2007011790A (ja) | 電子文書管理システムおよびその方法 | |
| JP2004295573A (ja) | コンテンツ情報印刷履歴管理方法 | |
| JP2003016376A (ja) | 自動識別番号付与機能を有するデータ入力管理システム |