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JP2004300098A - 移植用臓器の処理方法 - Google Patents

移植用臓器の処理方法 Download PDF

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JP2004300098A
JP2004300098A JP2003096722A JP2003096722A JP2004300098A JP 2004300098 A JP2004300098 A JP 2004300098A JP 2003096722 A JP2003096722 A JP 2003096722A JP 2003096722 A JP2003096722 A JP 2003096722A JP 2004300098 A JP2004300098 A JP 2004300098A
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bilirubin
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Makoto Suematsu
誠 末松
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OXYGENIX KK
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Abstract

【課題】臓器移植における移植後の臓器機能不全等、移植後の再潅流傷害の生ずる機構を明らかにし、胆汁分泌作用の改善を図り移植後の再潅流傷害による初期移植片機能不全を抑制でき、ウイルス感染に対する処理を不要としてより安全且つ簡便な移植用臓器の処理方法やこれに用いる臓器移植片洗浄用処理剤や、臓器の移植方法、臓器の保存方法を提供すること。
【解決手段】臓器保存液を臓器移植片を用いて所定時間冷保存し、移植前に細胞内浸透能を有するビリルビン等の脂溶性低分子抗酸化物質の含有液で再潅流して洗浄する移植用臓器の処理方法であり、移植臓器として、肝臓、心臓、腎臓、膵臓又は肺臓が適している。

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、移植用臓器の処理方法やこれに用いる臓器移植片洗浄用処理剤や、臓器の移植方法、臓器の保存方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
臓器移植、特に死体臓器移植においては、ドナー臓器移植片の洗浄、臓器移植片への保存液の潅流、臓器移植片の冷保存及び移植前の保存液をリンスする温洗浄液の再潅流、レシピエントへの移植の手順で行われるが、臓器移植片の冷保存及び再潅流は移植後の移植片機能回復を妨げる不可避、且つ有害な過程とされている。生体肝移植、死体肝移植等いずれにおいても冷虚血再潅流(CI/R)が誘発する急性胆肝機能不全を抑制することは移植後の結果をさらに改善するために解決すべき重要な課題である(例えば、非特許文献1、2参照。)。CI/Rが誘発する胆肝機能不全の深刻な形態の一例として初期移植片の機能不全が知られている(例えば、非特許文献3参照。)。その原因の一つとして、酸素フリーラジカルや、炎症性サイトカイン等のCI/Rで産生した炎症誘発性の介在物質が肝細胞や肝非実質細胞に損傷を引き起こすことが推測されており、それを示唆する数多くの一連の証拠が挙げられている(例えば、非特許文献4。)。一方、ドナー肝臓の冷虚血前調整処理によって、肝移植片が再潅流傷害に対する抵抗性を獲得することが実験的に示されており、かかる移植片の冷虚血前調整処理として、星細胞不活性化又は欠乏(例えば、非特許文献5、6参照。)、熱ショックタンパク質の誘導(例えば、非特許文献7、8参照。)、冷保存に先立つ短期虚血(例えば、非特許文献9参照。)等が有効であると考えられている。
【0003】
更に、最近の研究により、遺伝子導入又は酵素誘発剤によるヘムオキシゲナーゼ1(HO−1)の過剰発現が動物における移植後の肝移植片の生存の改善に有効であることが報告されている(例えば、非特許文献10、11参照。)。かかる酵素はプロトヘムIX(プロトポルフィリンIX)のα−メチレンブリッジを切断することにより遊離2価鉄、一酸化炭素(CO)、及び、ビリベルジン−IXαに分解するヘムオキシゲナーゼのアイソザイムであり、ビリベルジン−IXαは、更に、ビリベルジン還元酵素により分解されビリルビン−IXαを産生する基質である(例えば、非特許文献12、13参照。)。かかるプロトポルフィリンIXから産生される物質は生物的に活性を有し、即ち、2価鉄はフェリチンの内因性誘導物質として働き、その結果、遊離鉄を細胞内に貯蔵する働きを助け(例えば、非特許文献14、15参照。)、COは正常条件及び疾病条件下で類洞毛細血管の血流と開存性を維持するために必要な物質であり(例えば、非特許文献16〜18。)、ビリベルジン及びビリルビンはin vitroで活性酸素種を除去する作用を有することが報告されている(例えば、非特許文献19参照。)。金属プロトポルフィリン等のHO−1誘導剤を用いて遺伝的に肥満のズッカー(Zucker)ラットを前処理すると、移植片生着性が顕著に改善されたことが報告されており、HO−1遺伝子導入は動物の肝臓及び心臓移植後の長期移植片生着性を裏付けている。
【0004】
HO−1タンパク質の発現をウェスタンブロット分析法により測定する方法(例えば、非特許文献20参照。)や、胆汁サンプル中のビリルビン−IXα濃度を測定する方法(例えば、非特許文献21、22参照。)や、胆汁サンプル中の全胆汁酸塩及びリン脂質量を測定する方法(例えば、非特許文献23参照。)や、試料中の乳酸脱水素酵素(LDH)量を測定する方法(例えば、非特許文献24参照。)や、ラットの肝移植の方法(例えば、非特許文献25参照。)や、ヒト血漿タンパク質画分(PPF)を含む冷保存後の再循環に用いる洗浄液(例えば、非特許文献26参照。)や、抗ビリベルジン−IXαモノクローナル抗体24G7を用いてビリルビンの免疫組織学的検出を行う方法(例えば、非特許文献27参照。)や、肝移植片を16時間冷保存した後30分再潅流した移植片におけるビリルビン分泌量(例えば、非特許文献28参照。)や血漿ビリルビン濃度(例えば、非特許文献29参照。)が知られている。その他、生体内へ侵入した細菌が好中球によって貪食されること等により発生する生体内の酸素フリーラジカル等の活性酸素は炎症、組織傷害等の要因となり、これを消去するため水溶性の薬物では、経口投与されたときは消化管や肝臓の代謝を受けて分解され、非経口投与では血中には移行しても細胞内に取り込まれることがなく、標的部位に薬物を有効濃度で到達させることが困難であるところから、ユーカリ油、タイム油等の精油成分を経皮的に投与してリンパ移行性を高くした、複数の脂溶性低分子化合物を含有する少なくとも1種以上の精油を有効成分とするフリーラジカル消去用組成物が報告されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
【特許文献1】
国際公開第98/13055号パンフレット
【非特許文献1】
Clavien PA, Harvey PRC, Strasberg SM. Transplantation 1992;53:957−978.
【非特許文献2】
Lemasters JJ, Bunzendahl H, Thurman RG. Liver Transpl Surg 1995;1:124−138.
【非特許文献3】
Greig PD,Woolf GM, Sinclair SB, Abecassis M, Strasberg SM, Taylor BR, Blendis LM, Superina RA, Glynn MFX, Langer B, Levy GA. E1. Transplantation 1989;48:447−453.
【非特許文献4】
Kumamoto Y, Suematsu M, Shimazu M, Kato Y, Sano T, Makino N, Hirano K, Naito M, Wakabayashi G, Ishimura Y, Kitajima M. Hepatology 1999;30:1454−1463.
【非特許文献5】
Nakamura T, Arii S, Monden K, Sasaoki T, Adachi Y, Ishiguro S, Fujita S, Mizumoto M, Imamura M. J Surg Res 1996;62:207−215.
【非特許文献6】
Kukan M, Vajdova K, Horecky J, Nagyova A, Mehendale HM, Trnovec T. Hepatology 1997;26:1250−1257.
【非特許文献7】
Takahashi Y, Tamaki T, Tanaka M, Konoeda Y, Kawamura A, Katori M, Kakita A. Transplant Proc 1998;30:3700−3702.
【非特許文献8】
Matsumoto K, Honda K, Kobayashi N. Protective Transplantation 2001;71:862−868.
【非特許文献9】
Yin DP, Sankary HN, Chong ASF, Ma LL, Shen J, Foster P, Williams JW. Transplantation 1998;66:152−157.
【非特許文献10】
Amersi F, Buelow R, Kato H, Ke B, Coito AJ, Shen XD, Zhao D, Zaky J, Melineck J, Lassman CR, Kolls JK, Alam J, Ritter T, Volk HD, Farmer DG, Ghobrial RM, Busuttil RW, Kupiec−Weglinski JW. J Clin Invest 1999;104:1631−1639.
【非特許文献11】
Soares MP,LinY, Anrather J, Csizmadia E, Takigami K, Sato K, Grey ST, Colvin RB, Choi AM, Poss KD, Bach FH. Nature Med 1998;4:1073−1077.
【非特許文献12】
Maines MD. FASEB J 1988;2:2557−2568.
【非特許文献13】
Maines MD, Trakshel GM, Kutty RK. J Biol Chem 1986;261:411−419.
【非特許文献14】
Ponka P, Beaumont C, Richardson DR. J Biol Chem 1998;35:35−54
【非特許文献15】
Poss KD, Tonegawa S. Proc Natl Acad Sci USA 1997;94:10919−10924.
【非特許文献16】
Suematsu M, Goda N, Sano T, Kashiwagi S, Egawa T, Shinoda Y, Ishimura Y. J Clin Invest 1995;96:2431−2437.
【非特許文献17】
Wakabayashi Y, Takamiya R, Mizuki A, Kyokane T, Goda N, Yamaguchi T, Takeoka S, Tsuchida E, Suematsu M, Ishimura Y. Am J Physiol Gastrointest Liver Physiol 1999;277:G1088−G1096.
【非特許文献18】
Suematsu M, Ishimura Y. Hepatology 2000;31:3−6
【非特許文献19】
Stocker R, Yamamoto Y, McDonagh AF, Glazer AN, Ames BN. Science 1987;235:1043−1046.
【非特許文献20】
Goda N, Suzuki K, Naito M, Takeoka S, Tsuchida E, Ishimura Y, Tamatani T, Suematsu M. J Clin Invest 1998;101:604−612.
【非特許文献21】
Shimizu S, Izumi Y, Yamazaki M, Shimizu K, Yamaguchi T, Nakajima H. Biochim Biophys Acta 1988;967:255−260.
【非特許文献22】
Izumi Y, Yamazaki M, Shimizu S, Shimizu K, Yamaguchi T, Nakajima H. Biochim Biophys Acta 1988;967:261−266.
【非特許文献23】
Tanaka A, Katagiri K, Hoshino M, Hayakawa T, Tsukada K, Takeuchi T. Am J Physiol Gastrointest Liver Physiol 1994;266:G324−G329.
【非特許文献24】
Morikawa N, Suematsu M, Kyokane T, Goda N, Kumamoto Y, Okitsu T, Ishimura Y, Kitajima M. Hepatology 1998;28:1289−1299.
【非特許文献25】
Kamada N, Calne RY. Transplantation 1979;28:47−50.
【非特許文献26】
Todo S, Nery J, Yanaga K, Podesta L, Gordon RD, Starzl TE. JAMA 1989;261:711−714.
【非特許文献27】
Ozawa N, Goda N, Makino N, Yamaguchi T, Yoshimura Y, Suematsu M. J Clin Invest 2002;109:457−467.
【非特許文献28】
Yamaguchi T, Wakabayashi Y, Tanaka M, Sano T, Ishikawa H, Nakajima H, Suematsu M, Ishimura Y. Am J Physiol Gastrointest Liver Physiol 1996;270:G1028−G1032.
【非特許文献29】
Hayashi S, Takamiya R, Yamaguchi T, Matsumoto K, Tojo SJ, Tamatani T, Kitajima M, Makino N, Ishimura Y, Suematsu M. Circ Res 1999;85:663−671.
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
HO−1によるプレコンディショニングは、肝移植片に対する保護作用を有することから、使用可能なドナー肝の供給の拡大を図ることが可能である。しかし、HO−1の保護作用を裏付けるこれらの実験データにもかかわらず、ex vivoでの移植片生存度に対するCO潅流の有益作用を示す最近の研究以外には、移植片損傷を改善する反応産物の役割はまだよく知られていない。従来、ヒトの肝臓移植において、移植片のリンス液として高濃度血漿タンパクを含有する液体が慣例的に使用されているが、このリンス液によるリンスでは、細胞損傷を抑制することができるが、胆汁分泌作用が改善されず、また、血漿製剤のためウイルス感染やコスト面で問題があった。このため、臓器移植における移植後の臓器機能不全等、移植後の再潅流傷害に対する移植保護を図り、初期移植片機能不全を抑制できるより安全且つ簡便な移植臓器処理方法が希求されていた。
【0007】
本発明の課題は、臓器移植における移植後の臓器機能不全等、移植後の再潅流傷害の生ずる機構を明らかにし、胆汁分泌作用の改善を図り移植後の再潅流傷害による初期移植片機能不全を抑制でき、ウイルス感染に対する処理を不要としてより安全且つ簡便な移植用臓器の処理方法やこれに用いる臓器移植片洗浄用処理剤や、臓器の移植方法、臓器の保存方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、in vivoでの冷虚血再潅流(CI/R)が誘発する肝移植片機能不全に対するHO−1のプレコンディショニングの効果の作用機構を明らかにすべく鋭意研究し、肝臓の冷虚血保存傷害は類洞毛細血管内皮細胞の傷害と考えられていたが、肝実質細胞の傷害であることを明らかにし、CI/Rが誘発する胆肝機能不全に対し、COよりも胆汁色素であるビリルビン−IXαが改善のための重要な要因となることを確認し、ビリルビン5〜10μmol/L程度を単に添加した乳酸リンゲル液等の洗浄液で再潅流した後に移植すると、HO−1のプレコンディショニングを行わなくとも、HO−1のプレコンディショニングを行ったのと同等の臓器保護効果が得られ、in vivoでCI/Rが誘発する機能不全を著しく抑制し、移植24時間後における肝臓の組織傷害と胆汁分泌が顕著に改善できることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち本発明は、臓器移植片に臓器保存液を潅流した後所定時間冷保存し、移植前に細胞内に取り込まれる抗酸化物質含有液を再潅流して洗浄することを特徴とする移植用臓器の処理方法(請求項1)や、細胞内に取り込まれる抗酸化物質含有液が、ビリルビン含有液であることを特徴とする請求項1記載の移植用臓器の処理方法(請求項2)や、ビリルビン含有液が、5〜10μmol/Lのビリルビン含有液であることを特徴とする請求項2記載の移植用臓器の処理方法(請求項3)や、ビリルビン含有液を、3〜10分間再潅流して洗浄することを特徴とする請求項2又は3記載の移植用臓器の処理方法(請求項4)や、臓器が、肝臓、心臓、腎臓、膵臓又は肺臓であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載の移植用臓器の処理方法(請求項5)や、臓器保存液を潅流した後所定時間冷保存されている臓器移植片を移植前に再潅流して洗浄する際に用いられる臓器移植片洗浄用処理剤であって、細胞内に取り込まれる抗酸化物質含有液を有効成分として含有することを特徴とする臓器移植片洗浄用処理剤(請求項6)や、細胞内に取り込まれる抗酸化物質含有液が、ビリルビン含有液であることを特徴とする請求項6記載の臓器移植片洗浄用処理剤(請求項7)や、ビリルビン含有液が、5〜10μmol/Lのビリルビン含有液であることを特徴とする請求項7記載の臓器移植片洗浄用処理剤(請求項8)や、臓器が、肝臓、心臓、腎臓、膵臓又は肺臓であることを特徴とする請求項6〜8のいずれか記載の臓器移植片洗浄用処理剤(請求項9)に関する。
【0010】
また本発明は、臓器移植片に臓器保存液を潅流した後所定時間冷保存し、移植前に細胞内に取り込まれる抗酸化物質含有液で再潅流して洗浄した後、移植することを特徴とする臓器の移植方法(請求項10)や、同種同系移植であることを特徴とする請求項10記載の臓器の移植方法(請求項11)や、細胞内に取り込まれる抗酸化物質含有液が、ビリルビン含有液であることを特徴とする請求項10又は11記載の臓器の移植方法(請求項12)や、ビリルビン含有液が、5〜10μmol/Lのビリルビン含有液であることを特徴とする請求項12記載の臓器の移植方法(請求項13)や、ビリルビン含有液を、3〜10分間再潅流して洗浄することを特徴とする請求項12又は13記載の臓器の移植方法(請求項14)や、臓器が、肝臓、心臓、腎臓、膵臓又は肺臓であることを特徴とする請求項10〜14のいずれか記載の臓器の移植方法(請求項15)や、臓器に臓器保存液を潅流した後所定時間冷保存し、使用前に細胞内に取り込まれる抗酸化物質含有液を再潅流して洗浄することを特徴とする臓器の保存方法(請求項16)や、細胞内に取り込まれる抗酸化物質含有液が、ビリルビン含有液であることを特徴とする請求項16記載の臓器の保存方法(請求項17)や、ビリルビン含有液が、5〜10μmol/Lのビリルビン含有液であることを特徴とする請求項17記載の臓器の保存方法(請求項18)や、ビリルビン含有液を、3〜10分間再潅流して洗浄することを特徴とする請求項17又は18記載の臓器の保存方法(請求項19)や、臓器が、肝臓、心臓、腎臓、膵臓又は肺臓であることを特徴とする請求項16〜19のいずれか記載の臓器の保存方法(請求項20)に関する。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の移植用臓器の処理方法としては、臓器移植片に臓器保存液を潅流した後所定時間冷保存し、移植前に細胞内に取り込まれる抗酸化物質含有液を再潅流して洗浄(リンス)する方法であれば特に制限されるものではなく、本発明の臓器移植片洗浄用処理剤としては、臓器保存液を潅流した後所定時間冷保存されている臓器移植片を移植前に再潅流して洗浄する際に用いられる臓器移植片洗浄用処理剤であって、細胞内に取り込まれる抗酸化物質含有液を有効成分として含有する処理剤であれば特に制限されるものではなく、本発明の臓器の移植方法としては、臓器移植片に臓器保存液を潅流した後所定時間冷保存し、移植前に細胞内に取り込まれる抗酸化物質含有液で再潅流して洗浄した後、移植する方法であれば特に制限されるものではなく、本発明の臓器の保存方法としては、臓器に臓器保存液を潅流した後所定時間冷保存し、使用前に細胞内に取り込まれる抗酸化物質含有液を再潅流して洗浄する方法であれば特に制限されるものではなく、これら本発明における上記移植用臓器としては、生体臓器、生着能を有する死体臓器であってもよく、その種類としては、肝臓、心臓、腎臓、肺臓、膵臓等を例示することができ、中でも肝臓が好ましく、特に生着能を有する死体肝を好適に例示することができ、また、移植片としては上記臓器の全体であってもその一部であってもよい。
【0012】
上記臓器保存液としては、公知の臓器保存液をも含め特に限定されないが、適用する臓器の種類等によって最適なものを選択して使用することができ、例えば、移植用臓器が死体肝の場合、活性酸素産生酵素の阻害剤を含む乳酸リンゲル液であり、腎臓では平均24時間、肝臓・膵臓では平均17時間、心臓では平均4時間の保存効果が臨床的に報告されているウィスコンシン大学溶液(UW solution)、ユーロ・コリンズ溶液の他、レシチン化スーパーオキシドジスムターゼを含有する臓器保存液(特開2002−060301号公報)、ヒアルロン酸類を含有する臓器保存液(特開平11−246301号公報)、平均分子量50万〜65万のヒドロキシエチル澱粉を2〜3.5%含有する臓器保存液(特開平09−328401号公報)、ジイソプロピル1,3−ジチオール−2−イリデンマロネートを有効成分として含む移植臓器保存液(特開2001−335401)等を例示することができる。これら臓器保存液は、通常ドナー臓器移植片を洗浄後、臓器移植片に潅流することにより用いられる。臓器保存液で還流された臓器移植片は、次いで所定の時間冷保存される。また、冷保存としては、個々の臓器移植片によって最適な保存温度での保存であることが好ましく、通常、4℃前後の温度での保存が好ましい。所定の時間の保存としては、特に限定されるものではなく、臓器移植片によって許容される保存時間内であればよく、保存液の種類にもよるが、肝臓移植片や膵臓移植片の場合は16時間以内、腎臓移植片の場合は24時間以内、心臓では4時間以内の保存であることが好ましい。
【0013】
本発明において、冷保存後移植前、好ましくは移植直前の臓器移植片の洗浄は、臓器移植片を肝細胞内に取り込まれる抗酸化物質含有液で再潅流する洗浄(リンス)であれば、特に制限されるものではなく、細胞内に取り込まれる抗酸化物質含有液としては、臓器組織内に還流した場合、細胞内に取り込まれる脂溶性抗酸化物質、好ましくは脂溶性低分子抗酸化物質や、トランスポーターにより細胞内に取り込まれるトランスポーター特異的基質となる抗酸化物質等の含有液であればどのようなものでもよく、ここで抗酸化物質とは、酸化物質に対して低濃度で脂質過酸化反応を抑える物質をいい、生体内で生じるスーパオキシドアニオン、ヒドロキシラジカル、過酸化水素などの活性酸素と反応しこれらを消去する物質をも含む。上記脂溶性抗酸化物質は細胞内に取り込まれ、抗酸化物質が低分子物質であれば細胞内へより容易に取り込まれる。
【0014】
このような細胞内浸透能を備えた脂溶性で低分子量の抗酸化物質としては、ビリルビン、ビリベルジン、ビタミンE、β−カロテン、リコピンを例示することができる他、種々の植物精油に含有される天然物由来の化合物、例えば、タイム油、シソ科精油、ユーカリ油等に含有されるフェノール系化合物や、ニンニク油、ワケギ油、ラッキョウ油等に含有される含硫系化合物や、レモン油、柑橘科油、ラベンダー油等に含有されるテルペン系化合物等を例示することができる。上記植物の精油に含有される抗酸化物質として、具体的に、チモール、カルバクロール、ジアリルスルフィド、ジアリルジスルフィド、アリシン、ジアリルトリスルフィド、d−又はl−カンフェン、β−オイデスモール、dl−リモネンであるジペンテン、d−リナロール、酢酸リナリル、リモネン、シトラール、テルピネオール等を挙げることができる。特に、移植される臓器が肝臓において、かかる脂溶性低分子抗酸化物質としてビリルビンを好適に例示することができる。
【0015】
上記トランスポーターにより細胞内に取り込まれるトランスポーター特異的基質となる抗酸化物質としては、腎臓で発現する有機アニオントランスポーターOAT1(J.Biol.Chem., 272, 18526−18529, 1997)が輸送する尿酸や、肝臓で発現するABCトランスポーターMRP2(Science, 271, 1126−1128, 1996)が輸送するグルタチオン等を例示することができる。
【0016】
また、上記細胞内に取り込まれる抗酸化物質は1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。さらに、上記細胞内に取り込まれる抗酸化物質含有液には、抗酸化物質の他、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム等の無機化合物や、乳酸等通常使用される臓器の保存液に含有される成分が含有されていてもよい。
【0017】
上記ビリルビンは、合成されたものであってもよいが、ヘモグロビンからの最終産物として得られるものであってもよい。ビリルビンはヘモグロビン成分のポリフィリン鉄(II)錯塩(ヘム)がヘムオキシゲナーゼによりαメチン位で開裂され鎖状テトラピロール誘導体(ビリベルジン)とされ、更に、ビリベルジンレダクターゼにより変換されてヘモグロビン最終産物として得られ、生成されたビリルビン−IXαは非抱合型の脂溶性である。かかるビリルビンの脂溶性低分子抗酸化物質含有液中の含有量としては、1〜20μmol/L、好ましくは5〜10μmol/Lである。
【0018】
本発明において、細胞内に取り込まれる抗酸化物質含有液を臓器移植片に再潅流して洗浄することにより、脂溶性低分子抗酸化物質等の抗酸化物質が移植片の細胞内に浸透し、冷虚血保存後の再潅流によって生じる細胞内の酸素フリーラジカル等の活性酸素を効率よく消去することができる。特に、ビリルビンは肝実質細胞内への浸透性が高く、ビリルビン含有液を使用することが好ましい。臓器移植片の再潅流による洗浄は、臓器移植片が肝臓の場合、門脈口から脂溶性低分子抗酸化物質含有液をゆっくり注入し、潅流リンスすると、細胞内に取り込まれる抗酸化物質の細胞内へ浸透を促進させることができ好ましい。再潅流時間は、細胞内に取り込まれる抗酸化物質の種類や、臓器の種類によって一概には云えないが、各臓器各抗酸化物質との組合せにおいて最適な洗浄時間を選択すればよく、例えばビリルビン含有液を肝移植片に再潅流して洗浄する場合、3〜10分間行うことが好ましい。この時間の潅流リンスにより、適量のビリルビンが細胞内に浸透し、細胞内の活性酸素を効率よく消去することができる。
【0019】
本発明の移植用臓器の処理方法は、臓器移植に際しての移植用臓器の処理として有用であり、本発明の臓器移植片洗浄用処理剤は、臓器移植に際しての移植用臓器を処理するのに有利に用いることができ、本発明の臓器の移植方法は、同種同系移植等に有利に用いられ、また、本発明の臓器の保存方法により保存されたラットなどの各種動物の臓器は、移植のための実験等の各種実験に有利に用いることができる。
【0020】
【実施例】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。以下の実験において、動物の飼育及び使用における総ての実験手順は慶應義塾大学医学部の機関規定により承認されたものである。また、各種実験データの群間の統計的分析は一元配置分散分析とフィッシャー多重比較検定により行った。なお、遊離ビリルビン群とアルブミン抱合ビリルビン群間のデータの統計上の相違はマンホイットニーU検定を使用してノンパラメトリック分析によって検証した。結果は平均値±標準誤差で表し、0.05以下のP値は有意とした。
【0021】
[ex vivo 実験]
実施例1:肝移植片の調製及びHO−1プレコンディショニング
重さ190gから230gまでの雄のウィスターラットに、固形飼料と水を自由摂取させ、6時間絶食させた。その後、HO−1の強力な誘発剤であるヘミン40μmol/kgを腹腔内注射した後18時間絶食させた。文献記載の方法(非特許文献17参照。)に準じてヘミン処理を行ったところ、肝静脈中のCO流量及びビリルビン−IXαの胆汁分泌が著しく増加すると同時にHO−1タンパク質の誘発が最大であった。この結果に基づいて、冷虚血後の移植片機能不全に対するHO−1誘導の効果を検証する最適の手順として上記時間を選択した。ヘミン非処理のコントロールとして、生理食塩水を注射したラットを24時間絶食後に用いた。
【0022】
上記ヘミン又は生理食塩水を注射したラットをペントバルビタールナトリウム(40mg/体重kg)を腹腔内注射して麻酔し、胆汁サンプルを採取するため総胆管にPE−10カテーテルを挿管した。門脈に16ゲージカテーテルを挿管し、4℃に保持した20mlの乳酸リンゲル液を流した。その後、肝臓を4℃の20mlのウィスコンシン大学溶液(University of Wisconsin Solution :UW溶液)20mlを用いて潅流した後、切除し、同溶液中に4℃で16時間保存した。胆汁形成の減少と同時に生じる細胞内ヒドロペルオキシド産生から判断して、急性酸化的ストレスが結果的に生じることから、上記保存期間として16時間を選択した。冷保存16時間後、肝移植片に対して、門脈を介して30μmol/Lのタウロコール酸ナトリウムの存在下に95%酸素5%二酸化炭素飽和クレブス−ヘンゼライト緩衝液(pH7.4、37℃)4ml/分/肝重gによる再潅流を行った(非特許文献4参照。)。
【0023】
実施例2:移植片のヘミン処理におけるHO−1タンパク質
実施例1で調製された移植片について、先行文献(非特許文献20参照。)記載の方法に従い、HO−1タンパク質の発現をウェスタンブロット分析法により測定した。また、肝静脈流中のCO流量を本発明者らの従前の方法(非特許文献16参照。)により分光光度計で測定した。結果を図1(A)、(B)に示す。図1(A)に、抗ラットHO−1モノクローナル抗体GTS−1を用いたウエスタンブロット分析による各移植片におけるHO−1タンパク質の発現を示す。レーンmは分子マーカー(30kDaと40kDa)、レーンa、bはヘミン注射を施さなかった移植片(ヘミン非処理)における冷保存しないもの(レーンa)及び16時間冷保存したもの(レーンb)、レーンc、d、eはヘミン注射を施した移植片(ヘミン処理)における冷保存しないもの(レーンc)、16時間冷保存したもの(レーンd)、16時間冷保存後30分再潅流したもの(レーンe)をそれぞれ示している。図1(B)に各移植片における肝静脈潅流液中のCO量を示す。ヘミン非処理移植片における冷保存しないもの(コントロール)及び16時間冷保存したもの(C16)と、ヘミン処理移植片における冷保存しないもの(コントロール)、16時間冷保存したもの(C16)、16時間冷保存後30分再潅流したもの(C16+R)について示す。
【0024】
図1から明らかなように、ヘミン非処理移植片における16時間の冷保存したもの(レーンb、C16)はHO−1の明白な発現はなく、COの産生の増加も見られなかった。ヘミン処理移植片では、ヘミン非処理移植片と比較してHO−1と共に静脈CO流量が著しく増加した。冷保存した移植片(レーンd、C16)及び冷保存後30分の再潅流した移植片(レーンe、C16+R)におけるHO−1発現量は、冷保存しない移植片(レーンc、コントロール)よりもわずかに増加した。他方、冷保存した移植片(レーンd、C16)及び冷保存後30分の再潅流した移植片(レーンe、C16+R)における肝静脈CO流量は、冷保存しない移植片(レーンc、コントロール)のそれより減少したが、ヘミン非処理移植片との比較において約3倍増加していた。上記結果から、ヘミン処理した肝移植片はHO−1誘導を介してCO産生能力を増加することが示唆された。
【0025】
実施例3:ヘミン処理による移植片の胆汁とビリルビンの産生
実施例1によるヘミン処理した肝移植片において、16時間冷保存後(Hemin/C16)、総胆管から40分間の再潅流時間中5分毎に胆汁サンプルを採取した。また、再潅流開始後30分経過時の胆汁サンプル中のビリルビン−IXα濃度を、先行文献(非特許文献21、22参照。)記載の方法に従い、抱合型及び非抱合型ビリルビン画分両方を認識するモノクローナル抗体24G7を使用して酵素結合免疫吸着検出法によって測定した。ヘミン非処理移植片で、冷保存なし(コントロール)、16時間冷保存(C16)についても同様に測定対象とした。また、再潅流が誘発する移植片機能不全の抑制におけるHO活性の役割を検証するために、強力なHO−1活性阻害剤である亜鉛プロトポルフィリン−IX(ZnPP、Porphyrin Product社製)と、HO活性を阻害しない銅プロトポルフィリン−IX(CuPP、Porphyrin Product社製)1μmol/Lを上記カルボゲン飽和クレブス−ヘンゼライト緩衝液(pH7.4、37℃)に添加した液により、ヘミン処理した後16時間冷保存後の肝移植変の再潅流を行い、移植片からの胆汁産生量と、30分潅流後の採取した胆汁サンプル中のビリルビン濃度を測定した。
【0026】
再潅流時の胆汁産生量の経時変化を図2(A)に示す。図2(A)から明らかなように、ヘミン非処理群において16時間冷保存された移植片(C16)における胆汁産出量は時間の経過と共に一定値に達するが、その値はヘミン非処理の冷保存なしの移植片(コントロール)よりも著しく低い値であった。この結果16時間冷保存された肝移植片は肝胆機能不全を引き起こすことを裏付け、本発明者らの従前の研究(非特許文献4参照。)とよく一致していた。反対に、ヘミン処理群において16時間冷保存した移植片(Hemin/C16)においては、胆汁産出量は再潅流開始後速くも10分で迅速な回復を示し、ヘミン非処理冷保存移植片(C16)の胆汁産出値よりも高い一定値に達することがわかった。
【0027】
また、図2(A)からも明らかなように、ZnPPの存在により移植片の再潅流時における胆汁産生量が低減し(Hemin/C16+ZnPP)、ヘミン非処理冷保存移植片(C16)における胆汁産生量との差は、ヘミン非処理冷保存移植片(C16)とヘミン処理冷保存移植片(Hemin/C16)間で観察された胆汁産生量の差よりも明らかに大きかった。ZnPPの替わりにCuPPを添加して再潅流した移植片(Hemin/C16+CuPP)では、胆汁産生量はヘミン処理後冷保存移植片(Hemin/C16)とほぼ同量であった。このことから、ZnPPはHO−1活性を阻害するだけではなく、移植片の細胞の機能も抑制することが推測された。かかる推測は、胆汁中のビリルビン−IXα量を測定することで十分に裏付けされた。
【0028】
上記各移植片について30分の再潅流後における胆汁中のビリルビン−IXα量を図2(B)に示す。図2(B)からも明らかなように、ZnPPが誘導する移植片におけるビリルビン流量の減少、即ち、ヘミン処理冷保存移植片のZnPPの存在下の再潅流(Hemin/C16+ZnPP)時と、ZnPP不存在下の再潅流(Hemin/C16)間のビリルビン−IXα量の差は、ヘミン処理移植片(Hemin/C16)とヘミン非処理移植片(C16)間のビリルビン−IXα量の差よりも大きい。
【0029】
さらに、ヘミン非処理で16時間冷保存した後30分再潅流した移植片(C16)は約200pmol/分/肝重gのビリルビンを分泌したが、この値は冷保存をせずに30分のコントロール潅流した移植片において分泌されたビリルビンの測定値に相当する(非特許文献28参照。)。移植片をヘミン処理し、16時間冷保存後30分再潅流した場合、ビリルビン流量は顕著に増加し、ヘミン非処理群のビリルビン流量の約1.5倍であった。しかしながら、かかる増加は同群において3倍となった静脈CO増加(図1(B))よりもかなり少ない。2種のヘム分解生産物間のこのような化学量論的不一致は、ヘミン処理した16時間冷保存移植片におけるビリルビン輸送効率の低下から生じている可能性が考えられる。また、ZnPPの替わりにCuPPとの共潅流した場合と比較して、ZnPPとの共潅流ではビリルビン量が著しく減少した。このことからZnPPのビリルビン分泌抑制効果は、ZnPPのHO活性阻害作用によることが示唆された。
【0030】
実施例4:ビリルビンによる移植片機能不全の回復
ビリルビンやCOが、強力なHO活性阻害剤であるZnPPによって抑制されたHO−1誘導効果を回復できるかどうかを検証するため、以下の実験を行った。ビリルビン(Sigma Chemical社製)及び/又はCOを、1μmol/LのZnPPと共に上記カルボゲン飽和クレブス−ヘンゼライト緩衝液(pH7.4、37℃)に添加し、移植片の再潅流を行った。ビリルビンの濃度として、ヘミン処理したラットから採取した門脈血サンプルにおける血漿ビリルビン濃度は3.2±0.8μmol/L(n=4)であり、コントロールの血漿ビリルビン濃度は1.0μmol/L以下である(非特許文献29参照。)とのデータに基づき、ヘミン処理した肝臓におけるビリルビンの生理的適性濃度(relevant concentration)は約5μmol/Lであると推定した。16時間冷保存後の移植片につき、ZnPP存在下、ビリルビン及びCO未添加(c)、ビリルビン5μmol/L添加(d)、CO5μmol/L添加(e)、ビリルビン及びCOそれぞれ5μmol/L添加(f)して30分共潅流した移植片から分泌される胆汁産出量(A)、胆汁中の胆汁酸塩量(B)、胆汁中のリン脂質量(C)を測定した。同様に、コントロールとしてZnPP不存在下、ヘミン非処理(a)、ヘミン処理(b)したものを用いた。胆汁サンプル中の全胆汁酸塩及びリン脂質量は文献(非特許文献23参照。)記載の方法に従い酵素阻害測定法によって測定した。結果を図3(A)、(B)、(C)に示す。
【0031】
図3(A)から明らかなように、ヘミン非処理(a)に比べて、ヘミン処理(b)により胆汁産生量が増加するが、ヘミン処理による効果はZnPPとの共潅流(c)により取り消され、ZnPP不存在下の潅流(a)より更に胆汁産生量が低減した。かかるZnPPによる胆汁産生量の減少はビリルビンとの共潅流(d)によって回復した。ビリルビンのかかる効果は同濃度のCOの共潅流(e)によっては代替できなかった。更に、ビリルビン及びCOとの共潅流(f)はビリルビンのみによる共潅流(d)によって得られる効果をさらに強化はしなかった。
【0032】
実施例5:ビリルビン投与量と移植片機能不全の回復
ビリルビン及び/又はCOの投与量に依存する共潅流における効果を調べてみた。ビリルビン及び/又はCOの投与量を変えた以外は実施例4と同様にして、ヘミン処理した移植片を16時間冷保存後、再潅流液中ZnPP存在下の各濃度のビリルビン及び/又はCOと共に30分再潅流を行い、移植片の胆汁中の胆汁産生量、胆汁中の胆汁酸塩量及びリン脂質の、ZnPP不存在下の再潅流における場合のこれらの産生量に対する割合をそれぞれ求めた。結果をそれぞれ図4(A)、(B)、(C)に示す。
【0033】
図4から明らかなように、16時間冷保存後、30分再潅流後の移植片の胆汁産生量、胆汁中の胆汁酸塩量及びリン脂質量の割合は、再潅流液中のビリルビン5μmol/L以下の濃度のとき著しく回復を示したが、5μmol/L以上の濃度では減少したことから、肝移植片に対するビリルビン効果は潅流液における5μmol/L濃度付近で変化することが分かった。一方、COの5μmol/L以下の濃度における30分再潅流によっては、移植片の胆汁産生量、胆汁中の胆汁酸塩量及びリン脂質量の回復はなかった。以上の結果から、COよりもビリルビンがヘミン処理した肝移植片において胆汁機能の回復に貢献していることがわかった。
【0034】
実施例6:肝細胞損傷のビリルビン投与による回復
実施例5と同様に、ヘミン処理した移植片を16時間冷保存後、再潅流液中ZnPP存在下、ビリルビンの濃度を換えて30分再潅流を行い、移植片の肝細胞損傷の指標となる、肝静脈潅流液中に放出された乳酸脱水素酵素(LDH)量を求めた。ZnPP不存在下で、ヘミン非処理で16時間再潅流したもの(C16)及びヘミン処理後16時間再潅流したもの(Hemin/C16)をコントロールとした。LDH量は先行文献(非特許文献24参照。)記載の方法に従い測定した。結果を図5に示す。
【0035】
図5から明らかなように、ヘミン非処理のコントロール(C16)において、16時間冷保存は細胞生存度の減少の指標となる静脈中LDH放出量が著しく増加した。ヘミン処理したコントロール(Hemin/C16)においてはLDH放出をほとんど完全に抑制した。再潅流時にZnPP共潅流するとLDH放出が著しく増加したが、再潅流液中のビリルビンの濃度が5μmol/LになるまでLDH放出量は減少し、ビリルビンの濃度が5μmol/LのときLDH放出量は最小値を示し、ビリルビン濃度の増加に伴いLDH放出量が増加した。即ち、ZnPPによるヘミン処理効果の抑制はビリルビンを5μmol/L以下で外因的に補充することにより濃度に応じて回復するが、10μmol/Lでの投与は本実験条件下において細胞障害性は改善されなかった。これらの結果から、細胞生存度の減少はHOの作用に依存すると思われ、ビリルビンがHO−1が介在する冷虚血後肝移植片に対する保護機構において重要な役割を果たしていることがわかった。
【0036】
実施例7:ex vivoにおけるビリルビン共潅流時間と再潅流傷害
実施例6により、ビリルビンが、HO−1が仲介する移植片保護における重要な役割を果たしていることが示唆されたことから、移植片にヘミン処理を行うことなく、胆汁色素であるビリルビンを再潅流液に単に添加することによってex vivoでの胆汁分泌及び細胞生存度回復の急性障害を防止し得るかを調べてみた。ビリルビンの高濃度投与は胆汁産生量減少と細胞生存度減少を引き起こすことが明らかであることから、ビリルビンの濃度として5μmol/Lを選択し、16時間冷保存した移植片を5μmol/L濃度となるようにビリルビンをカルボゲン飽和クレブス−ヘンゼライト緩衝液(pH7.4、37℃)に添加し、この緩衝液を門脈から、移植片の肝細胞に緩衝液が供給されるように5分間再潅流を行い、その後ビリルビン無添加で残り35分間再潅流を行う群(a)、同様にビリルビン含有緩衝液を用いて15分間再潅流を行い、その後ビリルビン無添加で残り25分間再潅流を行う群(b)、同様にビリルビン含有緩衝液を用いて40分間潅流を行う群(c)を試験群とし、ビリルビン無添加で40分間潅流を行う群(d)をコントロールとして、一方向性潅流後、それぞれの胆汁産生量を経時的に測定した。結果を図6(A)に示す。更に、ビリルビン含有緩衝液による再潅流時間と移植片からの胆汁産生量との関係、静脈中のLDH濃度との関係を、それぞれ図6(B)、(C)に示す。
【0037】
図6(A)から明らかなように、5分間のビリルビン再潅流を受けた移植片(a)はビリルビン無添加のコントロール(d)と比較して顕著に胆汁産生量が改善された。ビリルビン含有緩衝液による再潅流時間を15分(b)及び40分(c)に延長した移植片における胆汁産生量は、コントロール(d)及びビリルビン含有緩衝液による5分間の再潅流を受けた群(a)と比較して著しく減少した。更に、ビリルビン投与量に依存する肝静脈への胆汁産生量と同時に、移植片の傷害を指標するLDH放出が増加し、ビリルビン含有緩衝液による再潅流処理が長期間になると、細胞傷害が生じることが明らかになった。
上記実施例4〜6で示したように、ZnPPの存在下においてヘミン処理した移植片を16時間冷保存し、30分間5μmol/Lのビリルビンで再潅流しても、ヘミン処理した肝移植片において胆汁分泌及び細胞生存度に対し有害な効果は生じなかったことから、ヘミン処理及び非処理移植片の間で外因的ビリルビン受容度が異なることが示された。上記実施例2、3のヘミン処理移植片における静脈CO流量と胆汁ビリルビン分泌量間での不一致を示す観察を考慮すると、これらの結果は、移植片におけるHO−1を誘導する薬学的前処置がビリルビンの進入及び分泌の生理学的過程を修飾することを示唆している。
【0038】
[in vivo実験]
実施例8:肝移植モデル
HO−1プレコンディショニングのin vivoでの効果を検証するために、肝移植片の同種同系移植実験を実行した。重さ220〜280gの同系交配の雄のルイスラットに水を自由摂取させ、実験前24時間絶食させ、肝移植のドナー及びレシピエントとした。HO−1プレコンディショニング群において、ラットは実施例1におけるex vivoの場合と同様に、移植片調製の18時間前にヘミン処理を施した。多少の変更を加えたKamada開発の技術(非特許文献25参照。)に従い肝移植を行った。即ち、ドナーをペントバルビタールナトリウム(40mg/体重kg)の腹腔内注射によって麻酔し、開腹した。肝臓を含む腹腔内臓器は腹大動脈を介して速やかに4℃の乳酸リンゲル液20mLを用いて洗浄した後、4℃に保ったUW溶液10mLを用いて洗浄した。その後、門脈を介して10mlの冷却したUW溶液をゆっくりと肝臓に注入した。総胆管には胆汁サンプル採取のためPE−10カテーテルを挿管した。肝臓は周囲組織から単離してUW溶液中に4℃で16時間保存した。
【0039】
レシピエント手術において、上記16時間保存後の肝移植片中のUW溶液を各種洗浄液によりリンスした後、以下の手順で同種同系移植した。移植片肝静脈はレシピエントの肝上大静脈に7−0プロレンを用いて縫合し吻合した。門脈及び肝下大静脈はカフ技法を用いて吻合した。肝静脈の結紮時間は12〜14分の範囲内で、実験グループ中で同一とした。肝動脈は再建されなかった。胆管は吻合せず、挿管チューブは術後胆汁サンプルを採取するために体外に導出した。24時間生存したレシピエントを、血液サンプルを採取するためエーテル麻酔下で屠殺した。
【0040】
実施例9:移植後胆汁分泌停止及び損傷に対するビリルビンの保護的効果
16時間冷保存肝移植片における再潅流後鬱帯及び細胞損傷に対するビリルビンを用いた短期洗浄処理の有効性を示す実施例7から、in vivoでの冷保存移植片におけるビリルビン洗浄が移植後損傷に及ぼす効果を調べてみた。保存期間の終了時に、4℃の乳酸リンゲル液、あるいは乳酸リンゲル液にビリルビンを添加して各種濃度の4℃のビリルビン含有リンゲル液(臓器移植片洗浄用処理剤)を、それぞれ用いて移植前洗浄リンスを行った。洗浄リンスは、門脈を介して肝移植片に乳酸リンゲル液あるいはビリルビン含有リンゲル液を注入する閉鎖式循環により行い、その後、上記のようにレシピエント手術を行った。再潅流開始30分後と、再潅流開始24時間後における胆汁産生量を測定した。結果をそれぞれ図7(A)、(B)(PPF(−))に示す。また、再潅流開始24時間後における移植片損傷の程度を判定するため、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)及びLDHの血中濃度を常法により測定した。結果をそれぞれ図7(C)、(D)、(E)(PPF(−))に示す。
【0041】
図7(A)、(B)から明らかなように、移植前の遊離ビリルビン含有リンゲル液を門脈から注入して潅流した洗浄リンスによって、再潅流の開始30分後及び24時間後において胆汁産出量が異なっていた。また、5〜10μmol/Lのビリルビン含有リンゲル液を用いて洗浄した場合、ヘミン処理したときと同程度まで胆汁産出量が顕著に改善されたが、それ以上の高濃度のビリルビン含有リンゲル液を用いると胆汁分泌停止が生じ、50μmol/Lのビリルビン含有リンゲル液で洗浄した移植片を移植したラットはすべて移植後24時間生存できなかった(図7(B)のN.D.)。同様に、ビリルビン含有洗浄液によりリンス処理した移植24時間後の移植片におけるs(血清)AST、sALT、sLDH量は、ビリルビンの含有量に従って変化した。図7(C)、(D)、(E)に示すように、ビリルビン濃度5〜10μmol/Lでの洗浄は、ヘミン処理したときと同程度まで細胞損傷を減少させたが、それ以上のビリルビン濃度の洗浄液による洗浄は細胞損傷を悪化させた。ビリルビン濃度5〜10μmol/Lでの移植片の洗浄によるin vivoでの再潅流後胆汁鬱帯及び細胞損傷の程度からして、低濃度ビリルビンによる洗浄が移植後再潅流傷害の改善のためのヘミン処理に代替しうることがわかった。
【0042】
実施例10:in vivoでの移植片保護におけるビリルビンの効果確認
次に、移植片保護におけるビリルビンの有効性と到達性について、遊離ビリルビンを捕獲する能力をもつ血漿タンパク質の存在下におけるビリルビンの効果及び到達性の変化についても調べてみた。数個の移植片を臨床移植で通常使用されるヒト血漿タンパク質画分(PPF、Baxter Healthcare Corporation社製)を含む洗浄液(非特許文献26参照。)で処理した。PPFの主成分はアルブミン(96重量%以上)であり、その他の成分はグロブリンと電解質である。また、洗浄液中のアルブミンの濃度は約4.4g/dlとなるように調整した。ビリルビンはアルブミンと等モルで結合し得るので、PPFを含む洗浄液内の遊離ビリルビン濃度は、ビリルビン含有していても殆どゼロであると考えられる。かかるPPF添加ビリルビン含有洗浄液を用いて、閉鎖式循環に代えて開放式循環による以外は実施例9におけると同様にして、再潅流開始30分後と24時間後における胆汁産生量を測定した。結果をそれぞれ図7(A)、(B)(PPF(+))に示す。また、再潅流開始24時間後におけるsAST、sALT、sLDH量を測定した。結果をそれぞれ図7(C)、(D)、(E)(PPF(+))に示す。
【0043】
図7(A)〜(E)に示すように、PPFの存在下において10μmol/L濃度のビリルビン含有洗浄液による開放循環による洗浄リンスは、再潅流開始30分後と24時間後において、胆汁産出量の増加効果に寄与しなかったが、50μmol/L濃度のビリルビン含有洗浄液による悪影響を相殺した。一方、洗浄溶液へのPPFの添加は、細胞損傷の程度を著しく減弱せしめた。その効果は10μmol/Lでのビリルビンのみで洗浄処理した移植片に相当する値を示した。これらの結果から、ビリルビン含有洗浄液による胆汁産出量の増加効果や細胞損傷の程度の軽減はビリルビンに起因することが確認することができた。また、PPFは細胞の外周に存在して細胞死を抑制しうるが(図7(C)〜(E)のPPF(+)のビリルビン濃度がゼロ)、細胞内に浸透することができないから胆汁分泌機能の改善作用がない(図7(B)のPPF(+)のビリルビン濃度がゼロ)。これに対して、ビリルビンは脂溶性低分子抗酸化物質であり、細胞内にトランスポートされることから、細胞損傷の程度を軽減し、胆汁分泌機能を改善すると考えられ、細胞内に浸透したビリルビンが、冷保存から温洗浄するときにリンス液に含まれる酸素が活性酸素となり、この活性酸素による細胞機能(胆汁分泌)障害を抑制することが示唆された。
【0044】
実施例11:ビリルビンの移植片肝細胞内への到達性
ビリルビン洗浄による移植片組織内へのビリルビンの到達性を調べるために、本発明者らの従前の方法(非特許文献27参照。)に従い、抗ビリルビン−IXαモノクローナル抗体24G7を用いてビリルビンの免疫組織学的検出を行った。結果を図8に示す。ビリルビン不含乳酸リンゲル液を用いて潅流した移植片で見られるように(A)、モノクローナル抗体24G7の免疫反応は、クッパー細胞を含む肝非実質細胞で主に生起し、ネガティブコントロール(B)と比較すると僅かに実質細胞領域でも検出されることから、HO−1の主要細胞構成物としての内在性ビリルビンの存在が示唆された。また、ビリルビン含有リンゲル液を用いて移植片を洗浄したとき、ビリルビンは肝実質細胞に著しく吸収され免疫反応の顕著な増加を誘導していた(C)。一方、PPF添加ビリルビン含有リンゲル液を用いて移植片を洗浄したときは、ビリルビンの到達性はPPFとの共潅流によって取り消され、肝実質細胞における免疫反応がビリルビン不含乳酸リンゲル液を用いたレベルまで発現量が低減した(D)。以上の結果から、ビリルビン含有リンゲル液を用いて移植片を洗浄すると、効果的にビリルビンが移植片肝細胞内に到達し得ることがわかる。
【0045】
【発明の効果】
本発明によれば、臓器移植片を移植前に細胞内に取り込まれる抗酸化物質含有液で潅流して洗浄することにより、移植片の細胞内へ高効率で浸透し活性酸素を除去することができ、移植片の機能不全等、移植後の再潅流傷害を抑制でき、より安全且つ簡便に移植を行うことができ、しかも低価格で臓器の移植ができ、冷虚血保存後の移植であっても、再潅流傷害が抑制されるため、臓器移植の範囲の拡大を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】肝移植片のex vivoでの再潅流におけるヘミン処理の作用結果を示す図である。(A)ウェスタンブロットで測定したHO−1タンパク質の発現
(B)静脈中のCO流量
【図2】肝移植片のヘミン処理によるex vivoでの再潅流における肝機能改善を示す図である。
(A)胆汁産生量の経時変化
(B)再潅流30分の胆汁中のビリルビン量
【図3】肝移植片のHO−1阻害剤によるex vivoでの再潅流における機能不全のビリルビンによる回復を示す図である。
(A)阻害されたヘミン処理効果のビリルビンによる胆汁産生量の回復
(B)阻害されたヘミン処理効果のビリルビンによる胆汁酸塩産生量の回復
(C)阻害されたヘミン処理効果のビリルビンによるリン脂質産生量の回復
【図4】肝移植片のHO−1阻害剤によるex vivoでの再潅流における機能不全の各種濃度のビリルビンによる回復を示す図である。
(A)阻害されたヘミン処理効果のビリルビンによる胆汁産生量の回復
(B)阻害されたヘミン処理効果のビリルビンによる胆汁酸塩産生量の回復
(C)阻害されたヘミン処理効果のビリルビンによるリン脂質産生量の回復
【図5】肝移植片のHO−1阻害剤によるex vivoでの再潅流における肝細胞損傷の各種濃度のビリルビンによる回復(静脈中のLDH濃度)を示す図である。
【図6】肝移植片のex vivoでの各種ビリルビン再潅流時間における肝機能不全及び肝細胞損傷の回復を示す図である。
(A)各種ビリルビン再潅流時間における胆汁産生量の経時変化
(B)各種ビリルビン再潅流時間における胆汁産生量
(C)各種ビリルビン再潅流時間における静脈中のLDH濃度
【図7】肝移植片の移植後in vivoでの肝機能改善及び肝細胞損傷の回復がビリルビンによることを示す図である。
(A)再潅流開始30分後の胆汁産生量
(B)再潅流開始24時間後の胆汁産生量
(C)再潅流開始24時間後の血清中のAST産生量
(D)再潅流開始24時間後の血清中のALT産生量
(E)再潅流開始24時間後の血清中のLDH産生量
【図8】肝移植片の移植後in vivoでの移植組織の実質細胞へのビリルビン到達性を示す免疫組織化学の解析結果の図である。
(A)ビリルビン不含乳酸リンゲル液を用いて潅流した移植片
(B)抗ビリルビン抗体不使用のネガティブコントロール
(C)ビリルビン含有乳酸リンゲル液を用いて潅流した移植片
(D)PPF添加ビリルビン含有乳酸リンゲル液を用いて潅流した移植片

Claims (20)

  1. 臓器移植片に臓器保存液を潅流した後所定時間冷保存し、移植前に細胞内に取り込まれる抗酸化物質含有液を再潅流して洗浄することを特徴とする移植用臓器の処理方法。
  2. 細胞内に取り込まれる抗酸化物質含有液が、ビリルビン含有液であることを特徴とする請求項1記載の移植用臓器の処理方法。
  3. ビリルビン含有液が、5〜10μmol/Lのビリルビン含有液であることを特徴とする請求項2記載の移植用臓器の処理方法。
  4. ビリルビン含有液を、3〜10分間再潅流して洗浄することを特徴とする請求項2又は3記載の移植用臓器の処理方法。
  5. 臓器が、肝臓、心臓、腎臓、膵臓又は肺臓であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載の移植用臓器の処理方法。
  6. 臓器保存液を潅流した後所定時間冷保存されている臓器移植片を移植前に再潅流して洗浄する際に用いられる臓器移植片洗浄用処理剤であって、細胞内に取り込まれる抗酸化物質含有液を有効成分として含有することを特徴とする臓器移植片洗浄用処理剤。
  7. 細胞内に取り込まれる抗酸化物質含有液が、ビリルビン含有液であることを特徴とする請求項6記載の臓器移植片洗浄用処理剤。
  8. ビリルビン含有液が、5〜10μmol/Lのビリルビン含有液であることを特徴とする請求項7記載の臓器移植片洗浄用処理剤。
  9. 臓器が、肝臓、心臓、腎臓、膵臓又は肺臓であることを特徴とする請求項6〜8のいずれか記載の臓器移植片洗浄用処理剤。
  10. 臓器移植片に臓器保存液を潅流した後所定時間冷保存し、移植前に細胞内に取り込まれる抗酸化物質含有液で再潅流して洗浄した後、移植することを特徴とする臓器の移植方法。
  11. 同種同系移植であることを特徴とする請求項10記載の臓器の移植方法。
  12. 細胞内に取り込まれる抗酸化物質含有液が、ビリルビン含有液であることを特徴とする請求項10又は11記載の臓器の移植方法。
  13. ビリルビン含有液が、5〜10μmol/Lのビリルビン含有液であることを特徴とする請求項12記載の臓器の移植方法。
  14. ビリルビン含有液を、3〜10分間再潅流して洗浄することを特徴とする請求項12又は13記載の臓器の移植方法。
  15. 臓器が、肝臓、心臓、腎臓、膵臓又は肺臓であることを特徴とする請求項10〜14のいずれか記載の臓器の移植方法。
  16. 臓器に臓器保存液を潅流した後所定時間冷保存し、使用前に細胞内に取り込まれる抗酸化物質含有液を再潅流して洗浄することを特徴とする臓器の保存方法。
  17. 細胞内に取り込まれる抗酸化物質含有液が、ビリルビン含有液であることを特徴とする請求項16記載の臓器の保存方法。
  18. ビリルビン含有液が、5〜10μmol/Lのビリルビン含有液であることを特徴とする請求項17記載の臓器の保存方法。
  19. ビリルビン含有液を、3〜10分間再潅流して洗浄することを特徴とする請求項17又は18記載の臓器の保存方法。
  20. 臓器が、肝臓、心臓、腎臓、膵臓又は肺臓であることを特徴とする請求項16〜19のいずれか記載の臓器の保存方法。
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