JP2004351574A - 精密研磨工具及び精密研磨方法 - Google Patents
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- Grinding And Polishing Of Tertiary Curved Surfaces And Surfaces With Complex Shapes (AREA)
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Abstract
【課題】非軸対称非球面に対して高い面精度の研磨を迅速に行うことができる精密研磨工具及び精密研磨方法を提供する。
【解決手段】ドーム状に膨張した又はドーム状に形成された弾性研磨体3を有する精密研磨工具1を用い、弾性研磨体3を被研磨面のほぼ全体に押し当てながら、被研磨面及び弾性研磨体3をそれぞれ回転させ、スラリー状の研磨剤10を弾性研磨体3に供給して被研磨面を研磨する。弾性研磨体3の表面粗さの平均値Raが0.1μm以下であることが好ましい。
【選択図】 図1
【解決手段】ドーム状に膨張した又はドーム状に形成された弾性研磨体3を有する精密研磨工具1を用い、弾性研磨体3を被研磨面のほぼ全体に押し当てながら、被研磨面及び弾性研磨体3をそれぞれ回転させ、スラリー状の研磨剤10を弾性研磨体3に供給して被研磨面を研磨する。弾性研磨体3の表面粗さの平均値Raが0.1μm以下であることが好ましい。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、レンズなどの表面を鏡面に仕上げる精密研磨工具及び精密研磨方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
NC制御の切削技術が進歩し、レンズ等の非軸対称非球面を切削により形成することが可能になってきている。光学製品では、創成した切削面を所望の平滑な光学鏡面に研磨する必要がある。近年、レンズの性能が向上し、鏡面研磨に対する形状精度や面精度の要求が厳しくなってきている。
【0003】
従来より、特許文献1に示すように、非軸対称非球面の鏡面研磨には、ゴム状の弾性材で構成される中空ドーム状のポリシャヘッドを用いることが行われている。研磨方法は、ポリシャヘッドの表面に研磨パッドを貼り付け、ポリシャヘッドの内部に圧縮空気を導入してドーム状部に張りを与え、スラリー状の研磨剤を供給してポリシャヘッドと被研磨物とを回転させながらこれらを摺り合わせて鏡面研磨するものである。
【0004】
また、被研磨物の被研磨面の一部に当接する小さいドーム状の弾性研磨体を用いる部分研磨方法が知られている。この部分研磨方法は、被研磨面の形状から最大の曲率を求め、この最大の曲率より大きい曲率を有するドーム状の弾性研磨体を選択し、弾性研磨体を回転させながら被研磨面の一部に当て、弾性研磨体を被研磨面全体に走査させることによって、被研磨面全体を研磨するものである。
【0005】
【特許文献1】
特開平11−77503号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、弾性材で構成される中空ドーム状のポリシャヘッドの表面に研磨パッドを貼り付けて行う研磨では、非軸対称非球面の形状追随性に優れるが、例えば表面粗さが2nm程度の高い面精度に仕上げることができないという問題点がある。
【0007】
また、部分研磨方法は、小さいポリシングヘッドにより研磨面全体を研磨するため、長い研磨時間が必要となり、製造コストが高いという問題がある。
【0008】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、非軸対称非球面に対して高い面精度の研磨を迅速に行うことができる精密研磨工具を提供することを目的とする。
【0009】
また、本発明は、非軸対称非球面に対して高い面精度の研磨を迅速に行うことができる精密研磨方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、特許文献1に示されている弾性材で構成される中空ドーム状のポリシャヘッドの表面に研磨パッドを貼り付けて行う従来の研磨方法で期待する表面粗さの光学鏡面が得られなかったのは、研磨パッドに原因があると考えた。従来、研磨パッドの表面をサンドペーパーなどで修正し、その後、研磨作業を行うことにより、所望の光学鏡面が得られる場合があったが、非効率であった。この研磨パッドは、通常花びら形で、研磨液の保持等の機能を有し、研磨パッドの突出した花びらの間の隙間は、砥粒や水の供給と、研磨くずを排出する通路として機能し、鏡面研磨には必要な部材であると考えられていた。
【0011】
ところが、研磨パッドを貼らず、弾性材で構成される中空ドーム状のポリシャヘッドを直接被研磨面に当てて研磨を行ったところ、このポリシャヘッドは研磨剤を保持する機能を期待できないにもかかわらず、期待する表面粗さの光学鏡面が得られることを見出した。また、研磨により得られる表面粗さは弾性研磨体の表面粗さが影響し、弾性研磨体の表面粗さの平均値Raを0.1μm以下とすることにより、十分面精度が良い光学鏡面を形成できることを見出した。かかる研磨方法は、被研磨面のほぼ全体にドーム状の弾性研磨体を押し当てながら研磨することにより、弾性研磨体が被研磨面の曲面に追随変形しながら被研磨面全体を均一に研磨するため、部分研磨方法と比べて極めて研磨速度が速い。
【0012】
被研磨面を研磨する部分である弾性研磨体を、ドーム状に膨張させるかあるいはドーム状に形成された弾性シートで構成すると、弾性研磨体の内圧や弾性シートの硬度等の研磨条件の幅が大きくなり、適切な研磨を行うことが可能となる。
【0013】
また、ドーム状の弾性研磨体の内圧を一定に保つために、ドーム状の弾性研磨体の中を密封空間に形成すると共に、密封空間の圧力を一定に保つ逆止弁を設けることが好ましい。
【0014】
また、研磨剤の平均粒径は5nm〜5μmの範囲とすることが好ましい。
【0015】
従って、請求項1記載の発明は、ドーム状に膨張する又はドーム状に形成された弾性材で構成される、表面粗さの平均値Raが0.1μm以下の弾性研磨体と、前記弾性研磨体を支持すると共に、研磨装置のチャックに取り付けられる装着部を備える支持治具とを有することを特徴とする精密研磨工具を提供する。
【0016】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の精密研磨工具において、前記弾性研磨体が弾性シートで構成され、前記支持治具と前記弾性研磨体とが密封空間を形成することを特徴とする精密研磨工具を提供する。
【0017】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の精密研磨工具において、前記密封空間と接続され、前記密封空間に加圧流体を導入すると共に、その密封を維持する逆止弁が前記支持治具に取り付けられていることを特徴とする精密研磨工具を提供する。
【0018】
請求項4記載の発明は、ドーム状に膨張した又はドーム状に形成された弾性研磨体に被研磨面を押し当てながら、前記被研磨面及び前記弾性研磨体をそれぞれ回転させ、スラリー状の研磨剤を前記弾性研磨体に供給して前記被研磨面を研磨することを特徴とする精密研磨方法を提供する。
【0019】
請求項5記載の発明は、請求項4記載の精密研磨方法において、前記弾性研磨体の表面粗さの平均値Raが0.1μm以下であることを特徴とする精密研磨方法を提供する。
【0020】
請求項6記載の発明は、請求項4記載の精密研磨方法において、前記研磨剤の平均粒径が5nm〜5μmであることを特徴とする精密研磨方法を提供する。
【0021】
請求項7記載の発明は、請求項4〜6いずれかに記載の精密研磨方法において、前記弾性研磨体が、弾性シートで構成され、圧力流体で前記弾性シートの内面に圧力を加え、前記弾性シートに張りを与えながら研磨することを特徴とする精密研磨方法を提供する。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の精密研磨工具及び精密研磨方法の実施の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。
【0023】
図1は、本発明の精密研磨工具の一実施形態とこれを用いた精密研磨方法を説明する断面図である。
【0024】
この精密研磨工具1は、支持治具2に弾性研磨体3が取り付けられている構造を有する。支持治具2は、ステンレススチール等の金属で構成され、円盤状の支持治具本体21と、研磨装置に取り付けるために支持治具本体2の下面中央部に一体に設けられている装着部22と、支持治具本体21とは別体のリング状の押さえ部材23とで構成されている。押さえ部材23は、支持治具本体21の上面の外周面に図示しない圧着治具によって固定されるようになっている。
【0025】
弾性研磨体3は弾性シートで構成され、平らな円形のシート状の形状、又は、図1に示すように、リング状のフランジ部31が外周に設けられたドーム状部32を有する中空ドーム状の形状に成形されている。弾性研磨体3の外周部又はフランジ部31が支持治具本体21の上面外周面とリング状の押さえ部材23との間に、いわばパッキンのように圧着されて支持治具本体21に取り付けられている。これにより、弾性研磨体3の外周部又はフランジ部31は支持治具本体21の上面に圧着し、弾性研磨体3と支持治具本体21との間の空間が密封空間4を形成できるようになっている。
【0026】
また、支持治具本体21を貫通してこの密封空間4内に圧力流体を導入する配管5が設けられ、この配管5には逆止弁6が設けられている。逆止弁6は密封空間4内の圧力流体の圧力を一定に保つ機能を有する。圧力流体を密封空間4内へ導入することにより、平らなシート状の弾性研磨体3を膨らませてドーム状に形成することができる。また、ドーム状に成形された弾性研磨体3に張りを与えてドーム状の形状を保持することができる。弾性シートで構成される中空の弾性研磨体3は圧力流体の圧力でその形状をある程度変更することができる。
【0027】
このような精密研磨工具1の弾性研磨体3は、図1に示した弾性シートで構成され、圧力流体の内圧でドーム状の形状を保持するもの以外に、弾性素材をドーム状のブロックに形成したもの、ドーム状の弾性シートの中空部を他の弾性素材で充填したものなどでもよい。弾性シートの厚みは0.1〜10mm、特に0.2〜5mmの範囲が好ましく、JIS A硬さ(タイプAデュロメータ)10〜100、ヤング率102〜103N・cm−2、耐熱温度は100℃以上の物性値を備えるものが好ましい。弾性シートや弾性素材の材質は、天然ゴム、クロロプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、シリコンゴム、フッ素ゴム等のゴム、ポリエチレン、ナイロン等の熱可塑性樹脂、スチレン系、ウレタン系等の熱可塑性樹脂エラストマーを例示することができる。
【0028】
また、本発明の精密研磨工具1においては、弾性研磨体3の外表面の表面粗さの平均値Raは0.1μm以下、好ましくは、0.09μm以下とする。表面粗さの平均値Raは低いほどよい。弾性研磨体3の表面粗さがこれより粗いと、被研磨面を十分な面精度で研磨することが困難となる。弾性研磨体の表面粗さをこのような表面粗さとするためには、例えば弾性シートを成形する金型の表面粗さを0.1μm以下として金型の表面粗さを弾性シートに転写する方法や、弾性シートの表面を研磨する方法を採用することができる。なお、弾性研磨体は研磨体として使用中に表面が摩耗して上記表面粗さとなる場合がある。
【0029】
本発明で用いる弾性研磨体3としては、被研磨面より大面積であることが好ましい。これにより、被研磨面のほぼ全面に弾性研磨体3を当接させて研磨することが可能となる。また、弾性研磨体の面積を被研磨面の面積よりも大面積とすることにより、弾性研磨体の自転の周速度を速くして研磨速度を向上させると共に、弾性研磨体の形状追随性を向上させることができる。弾性研磨体のドーム状部の直径は、被研磨面の直径の1.1〜10倍、好ましくは1.5〜5倍程度の大きさとすることが望ましい。
【0030】
本発明の精密研磨工具1及び精密研磨方法の対象となる被研磨面としては、鏡面研磨を必要とするあらゆるものが研磨対象となる。例えば、球面、軸対称非球面、非軸対称非球面などの曲面を有する各種のレンズの凸面や凹面、金型、光学製品などが対象となり、材質としてはプラスチック、ガラス、超硬、鋼など制限はない。
【0031】
この精密研磨工具1を用いる精密研磨方法について説明する。図1に示すように、所定の厚さ、硬度、ドームの曲率等を選択した弾性研磨体3を支持治具2に装着する。弾性研磨体3と支持治具本体2との間の密封空間4に逆止弁6を介して配管5から圧縮空気等の所定の圧力の圧力流体を導入する。そのときの圧力流体の圧力は弾性研磨体3が被研磨物7の被研磨面の全体に均一に当たるように選定する。弾性研磨体3に研磨パッドを貼り付けない。密封空間4が所定の圧力になったときに圧力流体の導入を止め、精密研磨工具1を研磨装置のチャックに装着部22を介して装着する。
【0032】
一方の被研磨物7は、例えばワックス等の接合材を介して被研磨面と反対側の面を装着治具8に固定し、研磨装置のチャックに装着治具8を介して装着する。
【0033】
そして、被研磨物7の被研磨面のほぼ全面に弾性研磨体3を直接押し当て、被研磨物7又は精密研磨工具1に所定の荷重を加えて研磨圧力を与えながら精密研磨工具1を所定の回転数で回転させつつ、被研磨物7を所定の回転数で回転させて相互に擦り合わせ、ノズル9から研磨剤を含むスラリー10を弾性研磨体3の表面に供給しながら研磨を行う。
【0034】
この場合、弾性研磨体3に与える内圧は、例えば0.2〜1.2kgf/cm2、弾性研磨体3の回転数は、例えば10〜200rpm/min、被研磨物7の回転数は、例えば10〜100rpm/min、研磨圧力は、例えば1〜8kgfの研磨条件で研磨することができる。
【0035】
本発明の精密研磨工具1は、表面粗さが所定の弾性研磨体1を用いて被研磨物7の被研磨面のほぼ全体に弾性研磨体3を押し付けながら、被研磨面及び弾性研磨体3をそれぞれ回転させ、スラリー状の研磨剤を弾性研磨体3に供給して被研磨面を研磨することにより、弾性研磨体3が被研磨面の曲面に追随して例えば表面粗さの平均値Raが2〜10nm程度の鏡面研磨面を迅速に得ることができる。
【0036】
研磨パッドを介さずに表面が滑らかな弾性研磨体3を用いて極めて高い面精度に迅速に研磨できる理由は、明確ではない。表面粗さ計で測定された弾性研磨体を構成するゴムシートの表面粗さの平均値Raは、概ね0.0786μm〜0.0857μm程度であるが、研磨に使っていないものでは概ね0.5μm〜1.5μmの突起や凹みが存在する。研磨に使用したものでは表面粗さの平均値Raは、0.064μm程度に低下し、概ね0.25μm〜0.5μmの細かい凹凸が存在する。この細かい凹凸が平均粒径1μm程度の研磨剤を保持すると共に、削られた微粒子の通り道になっていると考えられる。
【0037】
この精密研磨工具1を取り付ける研磨装置としては、被研磨物7に所定の回転数で回転駆動させる手段と、精密研磨工具1を所定の回転数で回転駆動させる手段と、精密研磨工具1と被研磨物7とを所定の研磨圧力で密着させる加圧手段とを有するものであればよい。
【0038】
例えば、図2に示すNC制御の部分研磨装置100のポリシングヘッド101を本発明の精密研磨工具1で置き換えるようにしてもよい。この部分研磨装置100は、4軸NC制御によりポリシング軸を加工面に対して法線方向に向くように制御して研磨するものである。ポリシングヘッド101は例えば球形の弾性体の表面に研磨パッドを貼り付けたものが用いられる。この部分研磨装置100は、ワークの水平方向の位置を制御するX軸テーブル102、ワーク110の傾きを制御する角度割り出しが可能なチルトテーブル103、ポリシャヘッド101の垂直方向の位置を制御するZ軸昇降機構104、ワーク110の回転位置を制御する回転テーブル105の4軸で研磨する。ポリシングヘッド101はエアーシリンダ106の圧力制御により所定の荷重でワーク110に押し付けられながら回転駆動される。
【0039】
例えば、この部分研磨装置100のポリシングヘッド101を本発明の精密研磨工具1に交換し、チルトテーブル103は水平にし、ポリシングヘッド101の回転軸を垂直方向にしてワーク110を所定の回転数で回転させると共に、精密研磨工具1を所定の回転数で回転させながら所定の荷重でワークに押し付ける方法で研磨することができる。
【0040】
上記精密研磨工具の説明では、逆止弁を用いて密封空間内の圧力を一定に保つようにしていたが、装着部の中心に圧力流体を導入できる通路を設け、圧力流体側と連通させることにより、密封空間内を一定の圧力に維持するようにしてもよい。また、上記説明では、被研磨面のほぼ全面に弾性研磨体を当てながら研磨するように説明しているが、被研磨面の一部に弾性研磨体を当てながら研磨するようにしてもよい。
【0041】
【実施例】
図2に示したNC制御の部分研磨装置のポリシャヘッドを本発明の精密研磨工具に交換して研磨を行った。
【0042】
<実施例1>
被加工物は、材質がショットS−3で外径が40φの光学ガラスレンズの凸面側を研削装置で非球面加工し、凹面側を球面加工し更に光学鏡面(表面粗さの平均値Ra:0.003μm)にしたものを用い、その凸面を被研磨面とした。
【0043】
この光学ガラスレンズの凹面側をワックスを使用してドライヤーで溶かして装着治具に接着した。
【0044】
弾性研磨体3は、厚さ1mm、硬度HS90のNBRゴムシートが120Rのドーム状に形成されたものを用いた。このゴムシートの表面粗さの平均値Raは0.0786〜0.0857μm程度である。
【0045】
研磨剤は、酸化セリウム(セロックス平均粒径1μm)を用い、純水を希釈液として比重1.07±0.01のスラリーに調製した。
【0046】
研磨条件は、ポリシャ回転数:30rpm、ワーク回転数:60rpm、研磨荷重:3.5kgf、研磨時間:5minで行った。
【0047】
研磨後の光学ガラスレンズの凸面の表面粗さの平均値Raは0.0027μmであった。3時間使用した弾性研磨体の表面粗さの平均値Raは0.064μm程度であった。
【0048】
<比較例1>
実施例1と同じ弾性研磨体を用いて、その表面に研磨パッドとして厚さ0.8mmのセリウムシートを貼り付けたものを用いた。
【0049】
実施例1と同じNC研磨装置を用い、同じ研磨剤を用い、同一の研磨条件で同一の時間研磨を行った。
【0050】
研磨後の光学ガラスレンズの凸面の表面粗さRaは0.0193μmであった。
【0051】
<実施例2>
被加工物は、材質がBK−7で外径が40φの光学ガラスレンズの凸面側を研削装置で非球面加工し、凹面側を球面加工し更に光学鏡面(表面粗さの平均値Ra:0.003μm)にしたものを用い、その凸面を被研磨面とした。
【0052】
実施例1と同じ弾性研磨体を用い、実施例1と同じNC研磨装置を用い、同じ研磨剤を用い、同一の研磨条件で同一の時間研磨を行った。その結果、研磨後の光学ガラスレンズの凸面の表面粗さの平均値Raは0.0077μmであった。
【0053】
<比較例2>
実施例2と同じ被加工物を用い、比較例1と同様に研磨パッドとして厚さ0.8mmのセリウムシートを貼り付けた弾性研磨体を用い、実施例1と同じNC研磨装置を用い、同じ研磨剤を用い、同一の研磨条件で同一の時間研磨を行った。その結果、研磨後の光学ガラスレンズの凸面の表面粗さの平均値Raは0.0114μmであった。
【0054】
<実施例3>
被加工物は、材質がBK−7で外径が28φの光学ガラスレンズの凸面側を研削装置で非球面加工し、凹面側を研削装置で球面加工し更に光学鏡面(表面粗さ平均値Ra:0.003μm)にしたものを用い、その凸面を被研磨面とした。
【0055】
実施例1と同じ弾性研磨体を用い、実施例1と同じNC研磨装置を用い、同じ研磨剤を用い、同一の研磨条件で同一の時間研磨を行った。その結果、研磨後の光学ガラスレンズの凸面の表面粗さの平均値Raは0.0068μmであった。
【0056】
<比較例3>
実施例3と同じ被加工物を用い、比較例1と同様に研磨パッドとして厚さ0.8mmのセリウムシートを貼り付けた弾性研磨体を用い、実施例1と同じNC研磨装置を用い、同じ研磨剤を用い、同一の研磨条件で同一の時間研磨を行った。その結果、研磨後の光学ガラスレンズの凸面の表面粗さの平均値Raは0.0161μmであった。
【0057】
【発明の効果】
本発明の精密研磨工具は、研磨パッドを介さずに弾性研磨体で直接被研磨面を研磨することにより、高い面精度の研磨面を迅速に得ることができる。
【0058】
本発明の精密研磨方法は、研磨パッドを介さずに弾性研磨体で直接被研磨面を研磨することにより、高い面精度の研磨面を迅速に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の精密研磨工具の一実施形態とこれを用いた精密研磨方法を説明する断面図である。
【図2】NC制御の部分研磨装置の概要を示す概略構成図である。
【符号の説明】
1:精密研磨工具
2:支持治具
21:支持治具本体
22:装着部
23:押さえ治具
3:弾性研磨体
4:密封空間
5:配管
6:逆止弁
7:被研磨物
8:装着治具
9:ノズル
10:研磨剤を含むスラリー
【発明の属する技術分野】
本発明は、レンズなどの表面を鏡面に仕上げる精密研磨工具及び精密研磨方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
NC制御の切削技術が進歩し、レンズ等の非軸対称非球面を切削により形成することが可能になってきている。光学製品では、創成した切削面を所望の平滑な光学鏡面に研磨する必要がある。近年、レンズの性能が向上し、鏡面研磨に対する形状精度や面精度の要求が厳しくなってきている。
【0003】
従来より、特許文献1に示すように、非軸対称非球面の鏡面研磨には、ゴム状の弾性材で構成される中空ドーム状のポリシャヘッドを用いることが行われている。研磨方法は、ポリシャヘッドの表面に研磨パッドを貼り付け、ポリシャヘッドの内部に圧縮空気を導入してドーム状部に張りを与え、スラリー状の研磨剤を供給してポリシャヘッドと被研磨物とを回転させながらこれらを摺り合わせて鏡面研磨するものである。
【0004】
また、被研磨物の被研磨面の一部に当接する小さいドーム状の弾性研磨体を用いる部分研磨方法が知られている。この部分研磨方法は、被研磨面の形状から最大の曲率を求め、この最大の曲率より大きい曲率を有するドーム状の弾性研磨体を選択し、弾性研磨体を回転させながら被研磨面の一部に当て、弾性研磨体を被研磨面全体に走査させることによって、被研磨面全体を研磨するものである。
【0005】
【特許文献1】
特開平11−77503号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、弾性材で構成される中空ドーム状のポリシャヘッドの表面に研磨パッドを貼り付けて行う研磨では、非軸対称非球面の形状追随性に優れるが、例えば表面粗さが2nm程度の高い面精度に仕上げることができないという問題点がある。
【0007】
また、部分研磨方法は、小さいポリシングヘッドにより研磨面全体を研磨するため、長い研磨時間が必要となり、製造コストが高いという問題がある。
【0008】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、非軸対称非球面に対して高い面精度の研磨を迅速に行うことができる精密研磨工具を提供することを目的とする。
【0009】
また、本発明は、非軸対称非球面に対して高い面精度の研磨を迅速に行うことができる精密研磨方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、特許文献1に示されている弾性材で構成される中空ドーム状のポリシャヘッドの表面に研磨パッドを貼り付けて行う従来の研磨方法で期待する表面粗さの光学鏡面が得られなかったのは、研磨パッドに原因があると考えた。従来、研磨パッドの表面をサンドペーパーなどで修正し、その後、研磨作業を行うことにより、所望の光学鏡面が得られる場合があったが、非効率であった。この研磨パッドは、通常花びら形で、研磨液の保持等の機能を有し、研磨パッドの突出した花びらの間の隙間は、砥粒や水の供給と、研磨くずを排出する通路として機能し、鏡面研磨には必要な部材であると考えられていた。
【0011】
ところが、研磨パッドを貼らず、弾性材で構成される中空ドーム状のポリシャヘッドを直接被研磨面に当てて研磨を行ったところ、このポリシャヘッドは研磨剤を保持する機能を期待できないにもかかわらず、期待する表面粗さの光学鏡面が得られることを見出した。また、研磨により得られる表面粗さは弾性研磨体の表面粗さが影響し、弾性研磨体の表面粗さの平均値Raを0.1μm以下とすることにより、十分面精度が良い光学鏡面を形成できることを見出した。かかる研磨方法は、被研磨面のほぼ全体にドーム状の弾性研磨体を押し当てながら研磨することにより、弾性研磨体が被研磨面の曲面に追随変形しながら被研磨面全体を均一に研磨するため、部分研磨方法と比べて極めて研磨速度が速い。
【0012】
被研磨面を研磨する部分である弾性研磨体を、ドーム状に膨張させるかあるいはドーム状に形成された弾性シートで構成すると、弾性研磨体の内圧や弾性シートの硬度等の研磨条件の幅が大きくなり、適切な研磨を行うことが可能となる。
【0013】
また、ドーム状の弾性研磨体の内圧を一定に保つために、ドーム状の弾性研磨体の中を密封空間に形成すると共に、密封空間の圧力を一定に保つ逆止弁を設けることが好ましい。
【0014】
また、研磨剤の平均粒径は5nm〜5μmの範囲とすることが好ましい。
【0015】
従って、請求項1記載の発明は、ドーム状に膨張する又はドーム状に形成された弾性材で構成される、表面粗さの平均値Raが0.1μm以下の弾性研磨体と、前記弾性研磨体を支持すると共に、研磨装置のチャックに取り付けられる装着部を備える支持治具とを有することを特徴とする精密研磨工具を提供する。
【0016】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の精密研磨工具において、前記弾性研磨体が弾性シートで構成され、前記支持治具と前記弾性研磨体とが密封空間を形成することを特徴とする精密研磨工具を提供する。
【0017】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の精密研磨工具において、前記密封空間と接続され、前記密封空間に加圧流体を導入すると共に、その密封を維持する逆止弁が前記支持治具に取り付けられていることを特徴とする精密研磨工具を提供する。
【0018】
請求項4記載の発明は、ドーム状に膨張した又はドーム状に形成された弾性研磨体に被研磨面を押し当てながら、前記被研磨面及び前記弾性研磨体をそれぞれ回転させ、スラリー状の研磨剤を前記弾性研磨体に供給して前記被研磨面を研磨することを特徴とする精密研磨方法を提供する。
【0019】
請求項5記載の発明は、請求項4記載の精密研磨方法において、前記弾性研磨体の表面粗さの平均値Raが0.1μm以下であることを特徴とする精密研磨方法を提供する。
【0020】
請求項6記載の発明は、請求項4記載の精密研磨方法において、前記研磨剤の平均粒径が5nm〜5μmであることを特徴とする精密研磨方法を提供する。
【0021】
請求項7記載の発明は、請求項4〜6いずれかに記載の精密研磨方法において、前記弾性研磨体が、弾性シートで構成され、圧力流体で前記弾性シートの内面に圧力を加え、前記弾性シートに張りを与えながら研磨することを特徴とする精密研磨方法を提供する。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の精密研磨工具及び精密研磨方法の実施の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。
【0023】
図1は、本発明の精密研磨工具の一実施形態とこれを用いた精密研磨方法を説明する断面図である。
【0024】
この精密研磨工具1は、支持治具2に弾性研磨体3が取り付けられている構造を有する。支持治具2は、ステンレススチール等の金属で構成され、円盤状の支持治具本体21と、研磨装置に取り付けるために支持治具本体2の下面中央部に一体に設けられている装着部22と、支持治具本体21とは別体のリング状の押さえ部材23とで構成されている。押さえ部材23は、支持治具本体21の上面の外周面に図示しない圧着治具によって固定されるようになっている。
【0025】
弾性研磨体3は弾性シートで構成され、平らな円形のシート状の形状、又は、図1に示すように、リング状のフランジ部31が外周に設けられたドーム状部32を有する中空ドーム状の形状に成形されている。弾性研磨体3の外周部又はフランジ部31が支持治具本体21の上面外周面とリング状の押さえ部材23との間に、いわばパッキンのように圧着されて支持治具本体21に取り付けられている。これにより、弾性研磨体3の外周部又はフランジ部31は支持治具本体21の上面に圧着し、弾性研磨体3と支持治具本体21との間の空間が密封空間4を形成できるようになっている。
【0026】
また、支持治具本体21を貫通してこの密封空間4内に圧力流体を導入する配管5が設けられ、この配管5には逆止弁6が設けられている。逆止弁6は密封空間4内の圧力流体の圧力を一定に保つ機能を有する。圧力流体を密封空間4内へ導入することにより、平らなシート状の弾性研磨体3を膨らませてドーム状に形成することができる。また、ドーム状に成形された弾性研磨体3に張りを与えてドーム状の形状を保持することができる。弾性シートで構成される中空の弾性研磨体3は圧力流体の圧力でその形状をある程度変更することができる。
【0027】
このような精密研磨工具1の弾性研磨体3は、図1に示した弾性シートで構成され、圧力流体の内圧でドーム状の形状を保持するもの以外に、弾性素材をドーム状のブロックに形成したもの、ドーム状の弾性シートの中空部を他の弾性素材で充填したものなどでもよい。弾性シートの厚みは0.1〜10mm、特に0.2〜5mmの範囲が好ましく、JIS A硬さ(タイプAデュロメータ)10〜100、ヤング率102〜103N・cm−2、耐熱温度は100℃以上の物性値を備えるものが好ましい。弾性シートや弾性素材の材質は、天然ゴム、クロロプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、シリコンゴム、フッ素ゴム等のゴム、ポリエチレン、ナイロン等の熱可塑性樹脂、スチレン系、ウレタン系等の熱可塑性樹脂エラストマーを例示することができる。
【0028】
また、本発明の精密研磨工具1においては、弾性研磨体3の外表面の表面粗さの平均値Raは0.1μm以下、好ましくは、0.09μm以下とする。表面粗さの平均値Raは低いほどよい。弾性研磨体3の表面粗さがこれより粗いと、被研磨面を十分な面精度で研磨することが困難となる。弾性研磨体の表面粗さをこのような表面粗さとするためには、例えば弾性シートを成形する金型の表面粗さを0.1μm以下として金型の表面粗さを弾性シートに転写する方法や、弾性シートの表面を研磨する方法を採用することができる。なお、弾性研磨体は研磨体として使用中に表面が摩耗して上記表面粗さとなる場合がある。
【0029】
本発明で用いる弾性研磨体3としては、被研磨面より大面積であることが好ましい。これにより、被研磨面のほぼ全面に弾性研磨体3を当接させて研磨することが可能となる。また、弾性研磨体の面積を被研磨面の面積よりも大面積とすることにより、弾性研磨体の自転の周速度を速くして研磨速度を向上させると共に、弾性研磨体の形状追随性を向上させることができる。弾性研磨体のドーム状部の直径は、被研磨面の直径の1.1〜10倍、好ましくは1.5〜5倍程度の大きさとすることが望ましい。
【0030】
本発明の精密研磨工具1及び精密研磨方法の対象となる被研磨面としては、鏡面研磨を必要とするあらゆるものが研磨対象となる。例えば、球面、軸対称非球面、非軸対称非球面などの曲面を有する各種のレンズの凸面や凹面、金型、光学製品などが対象となり、材質としてはプラスチック、ガラス、超硬、鋼など制限はない。
【0031】
この精密研磨工具1を用いる精密研磨方法について説明する。図1に示すように、所定の厚さ、硬度、ドームの曲率等を選択した弾性研磨体3を支持治具2に装着する。弾性研磨体3と支持治具本体2との間の密封空間4に逆止弁6を介して配管5から圧縮空気等の所定の圧力の圧力流体を導入する。そのときの圧力流体の圧力は弾性研磨体3が被研磨物7の被研磨面の全体に均一に当たるように選定する。弾性研磨体3に研磨パッドを貼り付けない。密封空間4が所定の圧力になったときに圧力流体の導入を止め、精密研磨工具1を研磨装置のチャックに装着部22を介して装着する。
【0032】
一方の被研磨物7は、例えばワックス等の接合材を介して被研磨面と反対側の面を装着治具8に固定し、研磨装置のチャックに装着治具8を介して装着する。
【0033】
そして、被研磨物7の被研磨面のほぼ全面に弾性研磨体3を直接押し当て、被研磨物7又は精密研磨工具1に所定の荷重を加えて研磨圧力を与えながら精密研磨工具1を所定の回転数で回転させつつ、被研磨物7を所定の回転数で回転させて相互に擦り合わせ、ノズル9から研磨剤を含むスラリー10を弾性研磨体3の表面に供給しながら研磨を行う。
【0034】
この場合、弾性研磨体3に与える内圧は、例えば0.2〜1.2kgf/cm2、弾性研磨体3の回転数は、例えば10〜200rpm/min、被研磨物7の回転数は、例えば10〜100rpm/min、研磨圧力は、例えば1〜8kgfの研磨条件で研磨することができる。
【0035】
本発明の精密研磨工具1は、表面粗さが所定の弾性研磨体1を用いて被研磨物7の被研磨面のほぼ全体に弾性研磨体3を押し付けながら、被研磨面及び弾性研磨体3をそれぞれ回転させ、スラリー状の研磨剤を弾性研磨体3に供給して被研磨面を研磨することにより、弾性研磨体3が被研磨面の曲面に追随して例えば表面粗さの平均値Raが2〜10nm程度の鏡面研磨面を迅速に得ることができる。
【0036】
研磨パッドを介さずに表面が滑らかな弾性研磨体3を用いて極めて高い面精度に迅速に研磨できる理由は、明確ではない。表面粗さ計で測定された弾性研磨体を構成するゴムシートの表面粗さの平均値Raは、概ね0.0786μm〜0.0857μm程度であるが、研磨に使っていないものでは概ね0.5μm〜1.5μmの突起や凹みが存在する。研磨に使用したものでは表面粗さの平均値Raは、0.064μm程度に低下し、概ね0.25μm〜0.5μmの細かい凹凸が存在する。この細かい凹凸が平均粒径1μm程度の研磨剤を保持すると共に、削られた微粒子の通り道になっていると考えられる。
【0037】
この精密研磨工具1を取り付ける研磨装置としては、被研磨物7に所定の回転数で回転駆動させる手段と、精密研磨工具1を所定の回転数で回転駆動させる手段と、精密研磨工具1と被研磨物7とを所定の研磨圧力で密着させる加圧手段とを有するものであればよい。
【0038】
例えば、図2に示すNC制御の部分研磨装置100のポリシングヘッド101を本発明の精密研磨工具1で置き換えるようにしてもよい。この部分研磨装置100は、4軸NC制御によりポリシング軸を加工面に対して法線方向に向くように制御して研磨するものである。ポリシングヘッド101は例えば球形の弾性体の表面に研磨パッドを貼り付けたものが用いられる。この部分研磨装置100は、ワークの水平方向の位置を制御するX軸テーブル102、ワーク110の傾きを制御する角度割り出しが可能なチルトテーブル103、ポリシャヘッド101の垂直方向の位置を制御するZ軸昇降機構104、ワーク110の回転位置を制御する回転テーブル105の4軸で研磨する。ポリシングヘッド101はエアーシリンダ106の圧力制御により所定の荷重でワーク110に押し付けられながら回転駆動される。
【0039】
例えば、この部分研磨装置100のポリシングヘッド101を本発明の精密研磨工具1に交換し、チルトテーブル103は水平にし、ポリシングヘッド101の回転軸を垂直方向にしてワーク110を所定の回転数で回転させると共に、精密研磨工具1を所定の回転数で回転させながら所定の荷重でワークに押し付ける方法で研磨することができる。
【0040】
上記精密研磨工具の説明では、逆止弁を用いて密封空間内の圧力を一定に保つようにしていたが、装着部の中心に圧力流体を導入できる通路を設け、圧力流体側と連通させることにより、密封空間内を一定の圧力に維持するようにしてもよい。また、上記説明では、被研磨面のほぼ全面に弾性研磨体を当てながら研磨するように説明しているが、被研磨面の一部に弾性研磨体を当てながら研磨するようにしてもよい。
【0041】
【実施例】
図2に示したNC制御の部分研磨装置のポリシャヘッドを本発明の精密研磨工具に交換して研磨を行った。
【0042】
<実施例1>
被加工物は、材質がショットS−3で外径が40φの光学ガラスレンズの凸面側を研削装置で非球面加工し、凹面側を球面加工し更に光学鏡面(表面粗さの平均値Ra:0.003μm)にしたものを用い、その凸面を被研磨面とした。
【0043】
この光学ガラスレンズの凹面側をワックスを使用してドライヤーで溶かして装着治具に接着した。
【0044】
弾性研磨体3は、厚さ1mm、硬度HS90のNBRゴムシートが120Rのドーム状に形成されたものを用いた。このゴムシートの表面粗さの平均値Raは0.0786〜0.0857μm程度である。
【0045】
研磨剤は、酸化セリウム(セロックス平均粒径1μm)を用い、純水を希釈液として比重1.07±0.01のスラリーに調製した。
【0046】
研磨条件は、ポリシャ回転数:30rpm、ワーク回転数:60rpm、研磨荷重:3.5kgf、研磨時間:5minで行った。
【0047】
研磨後の光学ガラスレンズの凸面の表面粗さの平均値Raは0.0027μmであった。3時間使用した弾性研磨体の表面粗さの平均値Raは0.064μm程度であった。
【0048】
<比較例1>
実施例1と同じ弾性研磨体を用いて、その表面に研磨パッドとして厚さ0.8mmのセリウムシートを貼り付けたものを用いた。
【0049】
実施例1と同じNC研磨装置を用い、同じ研磨剤を用い、同一の研磨条件で同一の時間研磨を行った。
【0050】
研磨後の光学ガラスレンズの凸面の表面粗さRaは0.0193μmであった。
【0051】
<実施例2>
被加工物は、材質がBK−7で外径が40φの光学ガラスレンズの凸面側を研削装置で非球面加工し、凹面側を球面加工し更に光学鏡面(表面粗さの平均値Ra:0.003μm)にしたものを用い、その凸面を被研磨面とした。
【0052】
実施例1と同じ弾性研磨体を用い、実施例1と同じNC研磨装置を用い、同じ研磨剤を用い、同一の研磨条件で同一の時間研磨を行った。その結果、研磨後の光学ガラスレンズの凸面の表面粗さの平均値Raは0.0077μmであった。
【0053】
<比較例2>
実施例2と同じ被加工物を用い、比較例1と同様に研磨パッドとして厚さ0.8mmのセリウムシートを貼り付けた弾性研磨体を用い、実施例1と同じNC研磨装置を用い、同じ研磨剤を用い、同一の研磨条件で同一の時間研磨を行った。その結果、研磨後の光学ガラスレンズの凸面の表面粗さの平均値Raは0.0114μmであった。
【0054】
<実施例3>
被加工物は、材質がBK−7で外径が28φの光学ガラスレンズの凸面側を研削装置で非球面加工し、凹面側を研削装置で球面加工し更に光学鏡面(表面粗さ平均値Ra:0.003μm)にしたものを用い、その凸面を被研磨面とした。
【0055】
実施例1と同じ弾性研磨体を用い、実施例1と同じNC研磨装置を用い、同じ研磨剤を用い、同一の研磨条件で同一の時間研磨を行った。その結果、研磨後の光学ガラスレンズの凸面の表面粗さの平均値Raは0.0068μmであった。
【0056】
<比較例3>
実施例3と同じ被加工物を用い、比較例1と同様に研磨パッドとして厚さ0.8mmのセリウムシートを貼り付けた弾性研磨体を用い、実施例1と同じNC研磨装置を用い、同じ研磨剤を用い、同一の研磨条件で同一の時間研磨を行った。その結果、研磨後の光学ガラスレンズの凸面の表面粗さの平均値Raは0.0161μmであった。
【0057】
【発明の効果】
本発明の精密研磨工具は、研磨パッドを介さずに弾性研磨体で直接被研磨面を研磨することにより、高い面精度の研磨面を迅速に得ることができる。
【0058】
本発明の精密研磨方法は、研磨パッドを介さずに弾性研磨体で直接被研磨面を研磨することにより、高い面精度の研磨面を迅速に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の精密研磨工具の一実施形態とこれを用いた精密研磨方法を説明する断面図である。
【図2】NC制御の部分研磨装置の概要を示す概略構成図である。
【符号の説明】
1:精密研磨工具
2:支持治具
21:支持治具本体
22:装着部
23:押さえ治具
3:弾性研磨体
4:密封空間
5:配管
6:逆止弁
7:被研磨物
8:装着治具
9:ノズル
10:研磨剤を含むスラリー
Claims (7)
- ドーム状に膨張する又はドーム状に形成された弾性材で構成される、表面粗さの平均値Raが0.1μm以下の弾性研磨体と、前記弾性研磨体を支持すると共に、研磨装置のチャックに取り付けられる装着部を備える支持治具とを有することを特徴とする精密研磨工具。
- 請求項1記載の精密研磨工具において、
前記弾性研磨体が弾性シートで構成され、前記支持治具と前記弾性研磨体とが密封空間を形成することを特徴とする精密研磨工具。 - 請求項2記載の精密研磨工具において、
前記密封空間と接続され、前記密封空間に加圧流体を導入すると共に、その密封を維持する逆止弁が前記支持治具に取り付けられていることを特徴とする精密研磨工具。 - ドーム状に膨張した又はドーム状に形成された弾性研磨体に被研磨面を押し当てながら、前記被研磨面及び前記弾性研磨体をそれぞれ回転させ、スラリー状の研磨剤を前記弾性研磨体に供給して前記被研磨面を研磨することを特徴とする精密研磨方法。
- 請求項4記載の精密研磨方法において、
前記弾性研磨体の表面粗さの平均値Raが0.1μm以下であることを特徴とする精密研磨方法。 - 請求項4記載の精密研磨方法において、
前記研磨剤の平均粒径が5nm〜5μmであることを特徴とする精密研磨方法。 - 請求項4〜6いずれかに記載の精密研磨方法において、
前記弾性研磨体が、弾性シートで構成され、圧力流体で前記弾性シートの内面に圧力を加え、前記弾性シートに張りを与えながら研磨することを特徴とする精密研磨方法。
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| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2003153203A JP2004351574A (ja) | 2003-05-29 | 2003-05-29 | 精密研磨工具及び精密研磨方法 |
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| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2003153203A JP2004351574A (ja) | 2003-05-29 | 2003-05-29 | 精密研磨工具及び精密研磨方法 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
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| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP2003153203A Withdrawn JP2004351574A (ja) | 2003-05-29 | 2003-05-29 | 精密研磨工具及び精密研磨方法 |
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Cited By (3)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| CN102581743A (zh) * | 2012-02-21 | 2012-07-18 | 宁波大学 | 一种非球面光学零件的研抛方法 |
| CN108972162A (zh) * | 2018-08-06 | 2018-12-11 | 大连理工大学 | 一种蓝宝石整流罩成形磨削方法 |
| JP2024524041A (ja) * | 2021-06-10 | 2024-07-05 | ジーコ イノヴェーションズ リミテッド | 研磨工具,研磨機および加工物を研磨する方法 |
-
2003
- 2003-05-29 JP JP2003153203A patent/JP2004351574A/ja not_active Withdrawn
Cited By (3)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| CN102581743A (zh) * | 2012-02-21 | 2012-07-18 | 宁波大学 | 一种非球面光学零件的研抛方法 |
| CN108972162A (zh) * | 2018-08-06 | 2018-12-11 | 大连理工大学 | 一种蓝宝石整流罩成形磨削方法 |
| JP2024524041A (ja) * | 2021-06-10 | 2024-07-05 | ジーコ イノヴェーションズ リミテッド | 研磨工具,研磨機および加工物を研磨する方法 |
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