JP2004346020A - プロテアーゼ阻害剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】食品素材として幅広く利用することが可能であり、且つシステインプロテアーゼが関与する疾患の予防・治療剤、並びに各種飲食品及び飼料等に利用することが可能なシステインプロテアーゼ阻害剤を提供する。
【解決手段】ラクトフェリン、ラクトフェリンの部分ペプチド、及びトランスフェリンからなる群より選択される1種又は複数種の混合物を有効成分として含有するシステインプロテアーゼ阻害剤に関するものであり、骨粗鬆症、悪性腫瘍性高カルシウム血症等の予防・治療剤、並びに飲食品及び飼料等に利用することが可能なシステインプロテアーゼ阻害剤。
【選択図】 図2
【解決手段】ラクトフェリン、ラクトフェリンの部分ペプチド、及びトランスフェリンからなる群より選択される1種又は複数種の混合物を有効成分として含有するシステインプロテアーゼ阻害剤に関するものであり、骨粗鬆症、悪性腫瘍性高カルシウム血症等の予防・治療剤、並びに飲食品及び飼料等に利用することが可能なシステインプロテアーゼ阻害剤。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ラクトフェリン、ラクトフェリンの部分ペプチド、及びトランスフェリンからなる群より選択される1種又は複数種の混合物を有効成分として含有するシステインプロテアーゼ阻害剤に関するものであり、骨粗鬆症、悪性腫瘍性高カルシウム血症等の予防・治療剤、並びに飲食品及び飼料等に利用することが可能なシステインプロテアーゼ阻害剤である。
【0002】
【従来の技術】
活性中心にチオール基を有する蛋白分解酵素はシステインプロテアーゼ(チオールプロテアーゼ)と総称されている。カテプシンL、カテプシンBは、カルシウム依存性中性プロテアーゼ(CAMP)、パパイン、フィシン、プロメライン等とともに代表的なシステインプロテアーゼの一つである。そしてこれらシステインプロテアーゼに対して阻害作用を有する物質は、システインプロテアーゼが関与するとされる疾患、例えば筋ジストロフィー、筋萎縮症、心筋梗塞、脳卒中、アルツハイマー病、頭部外傷時の意識障害や運動障害、多発性硬化症、末梢神経のニューロパシー、白内障、炎症、アレルギー、劇症肝炎、骨粗鬆症、高カルシウム血症、乳癌、前立腺癌、前立腺肥大症の治療薬として、あるいは癌の増殖抑制、転移予防薬、血小板の凝集阻害薬として期待される。また、近年に至り、勝沼等の研究によってカテプシンL、カテプシンBと骨粗鬆症乃至悪性腫瘍性高カルシウム血症の関係が解明され、それによって、とりわけカテプシンL阻害剤の骨粗鬆症治療剤乃至悪性腫瘍性高カルシウム血症治療剤としての医薬への適用が注目されつつある(例えば、非特許文献1を参照)。骨組織においては、骨芽細胞(osteoblast)による骨形成と、破骨細胞(osteoclast)による骨吸収が生涯を通じて行われており、成長期には骨形成が骨吸収を上回ることにより骨重量が増加し、一方老年期には逆に骨吸収が骨形成を上回るために骨重量が減少し、骨粗鬆症の発症となる。これら骨粗鬆症の原因としては様々なものがあるが、特に骨崩壊(骨吸収)を主原因の一つとして挙げることができる。これを更に2つの原因に分けると次のようになる。即ち、一つはカルシウムの吸収と沈着不全に起因するものであり、更に詳しくはカルシウムの供給量、転送、吸収、及び沈着が関係するものであり、ビタミンD誘導体、女性ホルモン(エストロゲン)等が関与していると考えられる。いま一つは、骨支持組織であるコラーゲンの分解促進を内容とするものであり、破骨細胞内リソゾームから分泌されるシステインプロテアーゼ群、中でも特にカテプシンL、カテプシンBによる骨コラーゲン分解が主たる原因である。破骨細胞内のリソゾームから分泌されたこれらカテプシンL及びBは骨組織中のコラーゲンの分解を促進し、それによって古い骨は溶解され、ヒドロキシプロリンとともにカルシウムが血中に遊離放出させられる。従って、カテプシンL及びBのコラーゲン分解能を阻害することによって過剰な骨崩壊を防止することが可能であり、ひいては骨粗鬆症の治療が可能となる。これら骨粗鬆症の治療剤としては、エストロゲン、タンパク同化ホルモン、カルシウム剤、ビタミンD、カルシトニン、あるいはビスホスホネート等が知られている。またカテプシンL阻害、カテプシンB阻害のいわゆるシステインプロテアーゼ阻害を作用機序とする骨粗鬆症治療剤についてもいくつかのシステインプロテアーゼ阻害剤をもちいた骨粗鬆症治療剤の開発が進められているが、さらなる骨粗鬆症治療剤の開発が望まれている。
【0003】
一方、高カルシウム血症は、血清中のカルシウム濃度が正常値以上となる代謝異常であり、腫瘍患者に多く見受けられる。これを放置した場合、患者の寿命は10日程度であると言われている。原因の多くは腫瘍の骨転移である。腫瘍が骨に転移すると、骨破壊が起こり、カルシウムが血中に放出される。このカルシウムは腎臓で処理されるが、骨破壊のスピードが腎臓の処理能力を上回ったとき、高カルシウム血症の発現となる。治療方法としては、フロセミドを併用した生理的食塩水の輸液を用いることにより腎臓からのカルシウム排泄を促進する方法や、骨粗鬆症治療薬であるカルシトニンを使用する方法等が知られている。即ち、骨吸収を抑制するがごとき骨粗鬆症治療薬は悪性腫瘍性高カルシウム血症の治療剤としても有効であるといえる。
【0004】
本発明者らにより、このような目的に使用し得るシステインプロテアーゼ阻害剤としてすでに以下の公報が開示されている。
(1)カテプシンL特異的阻害ポリペプチド(特許文献1)
(2)チオールプロテアーゼ阻害剤(特許文献2)
(3)バリン誘導体およびその用途(特許文献3)
(4)チオールプロテアーゼ阻害剤(特許文献4)
(5)FA−70C1物質(特許文献5)
(6)FA−70D物質、その製造法及びその用途(特許文献6)
しかしながら、さらに、抗原性のない、安全な素材として使えるシステインプロテアーゼ阻害剤の開発が望まれていた。
【0005】
他方、これまでに、母乳中にプロテアーゼ阻害物質が存在することが知られている。母乳に含まれるプロテアーゼ阻害物質として知られているものとしては、α1−アンチキモトリプシン、α1−アンチトリプシンが挙げられ、インターα2−トリプシン阻害物質、α2−アンチプラスミン、α2−マクログロブリン、アンチトロンビンIII、アンチロイコプロテアーゼなどの阻害剤等も微量含まれている(例えば、非特許文献2を参照)。
【0006】
乳中において、システインプロテアーゼ阻害活性を有するタンパク質については、すでに以下の公報が開示されている。
(1)牛初乳由来の糖鎖を有する分子量約57kDaの新規システインプロテアーゼインヒビター(特許文献7)
(2)牛初乳由来の分子量16±2kDa又は13±2kDaの新規システインプロテアーゼインヒビター(特許文献8)
(3)人乳由来の分子量16±2kDa又は13±2kDaの新規タンパク質およびほ乳類乳に多量に含有されるタンパク質として、ラクトフェリン及びβ−カゼインなどが挙げられる。ラクトフェリン(lactoferrin:以下Lfと略すことがある)は、主に母乳中に含まれている分子量80kDaの鉄結合性糖蛋白質であり、大腸菌、カンジダ菌、クロストリジウム菌、ブドウ球菌等の有害微生物に対して抗菌作用を示すことが知られている(例えば非特許文献3および非特許文献4を参照)。また、様々な作用をもつ乳タンパク質として、疾病の治療剤に幅広く利用されている。ラクトフェリンは乳由来のタンパク質であるから安全性が高く、長期連用することが可能で、それ自体は殆ど無味無臭であり、各種の食品・医薬品・飼料の添加物として、汎用性が高いタンパク質である。
【0007】
なお、疾病の治療剤にラクトフェリンを応用した例としては、
(1)抗腫瘍剤(特許文献10)
(2)抗リウマチ剤(特許文献11)
(3)IgA産生促進剤(特許文献12)
(4)便秘を改善する育児用調製粉乳(特許文献13)
(5)血管新生病治療剤(特許文献14)
(6)経口がん転移抑制剤(特許文献15)
(7)IgE産生抑制剤(特許文献16)
等が開示されている。
【0008】
また、Lfの分解物については、
(8)抗菌性およびチロキシナーゼ活性阻害(特許文献17)
(9)細胞への病原菌付着防止(特許文献18)
(10)抗ウィルス作用(特許文献19)
等が開示されている。
【0009】
また、鉄―ラクトフェリンを有効成分とする骨強化剤が、骨疾患の予防及び治療に有効であることが開示されている(特許文献20)。この技術は、鉄とラクトフェリンが結合した鉄−ラクトフェリンを有効成分として投与し、骨の基質であるコラーゲンの前駆体であるプロリン及びリジンの水酸化に関与する酵素の補酵素である鉄を供給し、コラーゲン生成を強化するというものである。
【0010】
上記のように、これまでにシステインプロテアーゼ阻害物質が見いだされており、動物細胞、血液中、尿中及び乳中などにおいてもいくつかのシステインプロテアーゼ阻害物質が見いだされている。システインプロテアーゼ阻害物質のうち蛋白性のものはシスタチンと総称されている。シスタチンファミリーは、共通する活性部位を有することが知られており、その配列が明らかとなっている(非特許文献5)。
【0011】
しかしながら、ラクトフェリン及びその部分ペプチド、並びにトランスフェリンがシステインプロテアーゼ阻害作用を有することは知られておらず、また、ラクトフェリン及びトランスフェリンが、シスタチンファミリーの共通活性部位配列と相同性を有する領域を有することについても知られていなかった。さらに、ラクトフェリン及びその部分ペプチド、並びにトランスフェリンによるシステインプロテアーゼ阻害を作用機序とする骨疾患の予防・治療剤についても知られていなかった。
【0012】
【特許文献1】
特開平7−179496号公報
【特許文献2】
特開平9−221425号公報
【特許文献3】
特開2001−139534号公報
【特許文献4】
特開平7−242600号公報
【特許文献5】
特開2000−72797号公報
【特許文献6】
国際公開第97/31122号パンフレット
【特許文献7】
特開平7−2896号公報
【特許文献8】
特開平7−126294号公報
【特許文献9】
特開平10−80281号公報
【特許文献10】
特公平5−86932号公報
【特許文献11】
特開平5−186368号公報
【特許文献12】
特開平6−32743号公報
【特許文献13】
特開平6−205640号公報
【特許文献14】
特開平9−194388号公報
【特許文献15】
特開平10−59864号公報
【特許文献16】
特開2001−158748号公報
【特許文献17】
ヨーロッパ特許公報第438750号
【特許文献18】
特開平3−220130号公報
【特許文献19】
特開平1−233226号公報
【特許文献20】
特開2000−281586号公報
【0013】
【非特許文献1】
勝沼信彦著、「BIO media」、第7巻、第6号、第73〜77ページ、1992年
【非特許文献2】
清澤功著、「母乳の栄養学」、金原出版、第80〜81ページ
【非特許文献3】
ジャーナル・オブ・ペディアトリクス(Journal of Pediatrics)、第94巻、第1ページ、1979年
【非特許文献4】
ジャーナル・オブ・デイリー・サイエンス(Journal of Dairy Science)、第67巻、第60ページ、1984年
【非特許文献5】
早石修著、「プロテアーゼとそのインヒビター」、メジカルビュー社、第1版、第1刷、第104〜115ページ、1993年
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、食品素材として幅広く利用することが可能であり、骨粗鬆症、悪性腫瘍性高カルシウム血症等の予防・治療剤、並びに各種飲食品及び飼料等に利用することが可能な、汎用性の高いシステインプロテアーゼ阻害剤を提供することを目的としている。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、抗原性のない、安全な素材として利用する事が可能なシステインプロテアーゼ阻害物質を鋭意検索した結果、乳由来のタンパク質であるラクトフェリン及びラクトフェリン由来のペプチドフラグメント、並びにトランスフェリンにシステインプロテアーゼ阻害活性を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0016】
本発明の要旨は以下の(1)〜(8)のとおりである。
(1)ラクトフェリン、ラクトフェリンの部分ペプチド、及びトランスフェリンからなる群より選択される1種又は複数種の混合物を有効成分として含有するシステインプロテアーゼ阻害剤。
【0017】
(2)ラクトフェリン及び/又はトランスフェリンが、金属飽和型、金属部分飽和型、アポ型からなる群より選択される1種又は複数種の混合物である前記(1)に記載のシステインプロテアーゼ阻害剤。
【0018】
(3)ラクトフェリン及び/又はラクトフェリンの部分ペプチドが、以下の(a)〜(d)に示すタンパク質又はペプチドの1種又は複数種の混合物である前記(1)又は(2)に記載のシステインプロテアーゼ阻害剤。
(a)配列表の配列番号1に記載のアミノ酸配列のうち、少なくともアミノ酸番号679〜695のアミノ酸配列を有するタンパク質又はペプチド。
(b)配列表の配列番号1に記載のアミノ酸配列のうち、少なくともアミノ酸番号679〜695のアミノ酸配列を有するペプチドであって、1又は複数のアミノ酸の置換、欠失、付加、又は逆位を含み、かつシステインプロテアーゼ阻害活性を有するタンパク質又はペプチド。
(c)配列表の配列番号2に記載のアミノ酸配列のうち、少なくともアミノ酸番号676〜692のアミノ酸配列を有するタンパク質又はペプチド。
(d)配列表の配列番号2に記載のアミノ酸配列のうち、少なくともアミノ酸番号676〜692のアミノ酸配列を有するペプチドであって、1又は複数のアミノ酸の置換、欠失、付加、又は逆位を含み、かつシステインプロテアーゼ阻害活性を有するタンパク質又はペプチド。
【0019】
(4)ラクトフェリン及び/又はラクトフェリンの部分ペプチドが、以下の(e)〜(j)に示すタンパク質又はペプチドの1種又は複数種の混合物である前記(1)又は(2)に記載のシステインプロテアーゼ阻害剤。
(e)配列表の配列番号1に記載のアミノ酸配列のうち、少なくともアミノ酸番号20〜30のアミノ酸配列を有するタンパク質又はペプチド。
(f)配列表の配列番号1に記載のアミノ酸配列のうち、少なくともアミノ酸番号20〜30のアミノ酸配列を有するペプチドであって、1又は複数のアミノ酸の置換、欠失、付加、又は逆位を含み、かつシステインプロテアーゼ阻害活性を有するタンパク質又はペプチド。
(g)配列表の配列番号1に記載のアミノ酸配列のうち、少なくともアミノ酸番号31〜66のアミノ酸配列を有するタンパク質又はペプチド。
(h)配列表の配列番号1に記載のアミノ酸配列のうち、少なくともアミノ酸番号31〜66のアミノ酸配列を有するペプチドであって、1又は複数のアミノ酸の置換、欠失、付加、又は逆位を含み、かつシステインプロテアーゼ阻害活性を有するタンパク質又はペプチド。
(i)配列表の配列番号1に記載のアミノ酸配列のうち、少なくともアミノ酸番号20〜66のアミノ酸配列を有するタンパク質又はペプチド。
(j)配列表の配列番号1に記載のアミノ酸配列のうち、少なくともアミノ酸番号20〜66のアミノ酸配列を有するペプチドであって、1又は複数のアミノ酸の置換、欠失、付加、又は逆位を含み、かつシステインプロテアーゼ阻害活性を有するタンパク質又はペプチド。
【0020】
(5)ラクトフェリン及び/又はラクトフェリンの部分ペプチドが、以下の(k)〜(n)に示すタンパク質又はペプチドの1種又は複数種の混合物である前記(1)又は(2)に記載のシステインプロテアーゼ阻害剤。
(k)配列表の配列番号2に記載のアミノ酸配列のうち、少なくともアミノ酸番号36〜60のアミノ酸配列を有するタンパク質又はペプチド。
(l)配列表の配列番号2に記載のアミノ酸配列のうち、少なくともアミノ酸番号36〜60のアミノ酸配列を有するペプチドであって、1又は複数のアミノ酸の置換、欠失、付加、又は逆位を含み、かつシステインプロテアーゼ阻害活性を有するタンパク質又はペプチド。
(m)配列表の配列番号2に記載のアミノ酸配列のうち、少なくともアミノ酸番号39〜44のアミノ酸配列を有するタンパク質又はペプチド。
(n)配列表の配列番号2に記載のアミノ酸配列のうち、少なくともアミノ酸番号39〜44のアミノ酸配列を有するペプチドであって、1又は複数のアミノ酸の置換、欠失、付加、又は逆位を含み、かつシステインプロテアーゼ阻害活性を有するタンパク質又はペプチド。
【0021】
(6)システインプロテアーゼが関与する疾患の予防・治療剤である前記(1)〜(5)のいずれかに記載のシステインプロテアーゼ阻害剤。
【0022】
(7)システインプロテアーゼが関与する疾患が、骨粗鬆症又は悪性腫瘍性高カルシウム血症である前記(1)〜(6)のいずれかに記載のシステインプロテアーゼ阻害剤。
【0023】
(8)前記(1)〜(7)のいずれかに記載のシステインプロテアーゼ阻害剤を添加してなる飲食品組成物又は飼料組成物。
【0024】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の好ましい実施態様について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の好ましい実施態様に限定されず、本発明の範囲内で自由に変更することができるものである。尚、本明細書において百分率は特に断りのない限り質量による表示である。
【0025】
本発明は、ラクトフェリン、ラクトフェリンの部分ペプチド、及びトランスフェリンからなる群より選択される1種又は複数種の混合物を有効成分として含有するシステインプロテアーゼ阻害剤である。
【0026】
本発明に使用するラクトフェリンは、市販のラクトフェリンや、哺乳動物(例えば、ヒト、ウシ、ヤギ、ヒツジ、ウマ等。)の初乳、移行乳、常乳、末期乳、又はこれらの乳の処理物である脱脂乳、ホエー等を原料とし、例えばイオン交換クロマトグラフィー等の常法により、前記原料から分離して得られるラクトフェリンを用いることができる。中でも、工業的規模で製造されている市販のラクトフェリン(例えば、森永乳業社製)を使用することが好適である。更に、遺伝子工学的手法により、微生物、動物細胞、トランスジェニック動物等で生産したラクトフェリンを使用することも可能である。
【0027】
本発明のシステインプロテアーゼ阻害剤の効果において、ラクトフェリン中の金属含有量は特に限定されず、本発明では、ラクトフェリンを塩酸やクエン酸等により脱鉄したアポ型ラクトフェリン;該アポ型ラクトフェリンを、鉄、銅、亜鉛、マンガン等の金属でキレートさせて得られる飽和度100%の状態の金属飽和ラクトフェリン;及び100%未満の各種飽和度で金属が結合している状態の金属部分飽和ラクトフェリンからなる群から選ばれる、いずれか1種又は複数種の混合物を用いることができる。
【0028】
本発明に使用するラクトフェリンの部分ペプチドの製造方法としては、前記ラクトフェリンを酸又はプロテアーゼにより公知の方法で加水分解することによって製造する方法、遺伝子工学的手法を用いて組換え体ペプチドを合成することによって製造する方法、及び化学合成によって合成ペプチドを製造する方法などが例示される。尚、加水分解によって製造する方法を用いた場合、本発明のラクトフェリンの部分ペプチドは加水分解物中に混合物として含まれた形態で用いても良く、また常法に従ってHPLC等により精製した形態で用いても良い。
【0029】
本発明に使用するラクトフェリン又はラクトフェリンの部分ペプチドの好ましい形態としては、ヒトラクトフェリンのアミノ酸配列である配列表の配列番号1に記載のアミノ酸配列のうち、少なくともアミノ酸番号679〜695、並びにアミノ酸番号20〜30及び/又はアミノ酸番号31〜66、並びにアミノ酸番号20〜66のうち、いずれかのアミノ酸配列を有するタンパク質又はペプチド等を例示することができる。また、ウシラクトフェリンのアミノ酸配列である配列表の配列番号2に記載のアミノ酸配列のうち、少なくともアミノ酸番号676〜692、アミノ酸番号36〜60、及びアミノ酸番号39〜44のうち、いずれかのアミノ酸配列を有するタンパク質又はペプチド等を例示することができる。なお、配列表の配列番号1に記載のアミノ酸配列、及び配列表の配列番号2に記載のアミノ酸配列のうち、アミノ酸番号1〜19はシグナル配列である。
【0030】
このうち、配列番号1に記載のアミノ酸配列のうち、アミノ酸番号679〜695、並びにアミノ酸番号20〜30及び/又はアミノ酸番号31〜66、並びにアミノ酸番号20〜66のうち、いずれかのアミノ酸配列からなるペプチドは、システインプロテアーゼ阻害活性を有し、本発明のシステインプロテアーゼ阻害剤に使用することが可能である。さらに、配列番号2に記載のアミノ酸配列のうち、アミノ酸番号676〜692、アミノ酸番号36〜60、及びアミノ酸番号39〜44のうち、いずれかのアミノ酸配列からなるペプチドは、システインプロテアーゼ阻害活性を有し、本発明のシステインプロテアーゼ阻害剤に使用することが可能である。
【0031】
また、ラクトフェリン自体がシステインプロテアーゼ阻害活性を有することから、配列表の配列番号1のアミノ酸番号679〜695、並びにアミノ酸番号20〜30及び/又はアミノ酸番号31〜66、並びにアミノ酸番号20〜66のいずれかを含み、N末端側もしくはC末端側又はその両方に配列を延長させたアミノ酸配列を有するペプチドも、システインプロテアーゼ阻害活性を有すると考えられる。さらに、配列表の配列番号2のアミノ酸番号676〜692、アミノ酸番号36〜60、及びアミノ酸番号39〜44のいずれかを含み、N末端側もしくはC末端側又はその両方に配列を延長させたアミノ酸配列を有するペプチドも、システインプロテアーゼ阻害活性を有すると考えられる。
【0032】
これらタンパク質及びペプチドは、例えば、本発明によりそのシステインプロテアーゼ阻害活性領域が明らかとなったので、該領域を含むアミノ酸配列に基づいて化学合成によって得ることもでき、また遺伝子組換え技術等により得ることもできる。例えば、該領域を含むアミノ酸配列をコードする塩基配列を基に適当なプライマーを作製し、該プライマーを用いて、目的の塩基配列を含むcDNAを鋳型としてPCR等によって塩基配列を増幅し、得られた塩基配列を適当な発現系を用いて発現させることにより得ることができる。
【0033】
また、通常の遺伝子においては、種、属、個体等の違いによって、1又は複数の位置での1又は複数の塩基の置換、欠失、挿入、付加、又は逆位等の変異が当然存在し、このような変異を有する遺伝子がコードするタンパク質のアミノ酸においても変異が生じている場合がある。本発明に用いることができるラクトフェリン及びラクトフェリンの部分ペプチドには、システインプロテアーゼ阻害活性が損なわれない範囲において、このような変異を含むものも含有される。
【0034】
ここで、本発明に用いることができるラクトフェリン又はラクトフェリンの部分ペプチドとしては、配列表の配列番号1に記載のアミノ酸配列のうち、少なくともアミノ酸番号679〜695、アミノ酸番号20〜30、アミノ酸番号31〜66、及びアミノ酸番号20〜66のいずれかのアミノ酸配列を有するタンパク質又はペプチド、並びに、配列番号2に記載のアミノ酸配列のうち、少なくともアミノ酸番号676〜692、アミノ酸番号36〜60、及びアミノ酸番号39〜44のいずれかのアミノ酸配列を有するタンパク質又はペプチドであって、1又は複数のアミノ酸の置換、欠失、挿入、付加又は逆位を含み、システインプロテアーゼ阻害活性を有するタンパク質又はペプチドが例示される。尚、「1又は複数のアミノ酸の置換、欠失、挿入、付加又は逆位」として可能なものは、少なくとも前記アミノ酸番号のアミノ酸配列を有するタンパク質又はペプチドとシステインプロテアーゼとの間の立体的な相互作用に影響を及ぼさず、システインプロテアーゼ阻害活性を損なわない範囲で任意に設定できるものである。例えば、複数とは、配列表の配列番号1に記載のアミノ酸番号679〜695、アミノ酸番号20〜30、アミノ酸番号31〜66、及びアミノ酸番号20〜66のいずれかのアミノ酸において、並びに、配列表の配列番号2に記載のうち、アミノ酸番号676〜692、アミノ酸番号36〜60、及びアミノ酸番号39〜44のいずれかのアミノ酸において、アミノ酸残基のタンパク質の立体構造における位置や種類によっても異なるが、例えば、2から5個、好ましくは2から3個、より好ましくは2個である。
【0035】
さらに、配列表の配列番号1に記載のアミノ酸配列のうち、アミノ酸番号679〜695、アミノ酸番号20〜30、アミノ酸番号31〜66、及びアミノ酸番号20〜66のいずれかのアミノ酸、並びに、配列表の配列番号2に記載のアミノ酸番号676〜692、アミノ酸番号36〜60、及びアミノ酸番号39〜44のいずれかのアミノ酸においては、アミノ酸の種類を変更しない範囲で置換することが望ましい。すなわち、前記配列におけるアミノ酸と、同アミノ酸を置換するアミノ酸は構造上の分類で類似種類のアミノ酸であることが望ましい。具体的には前記配列のアミノ酸が酸性アミノ酸又は酸性アミノ酸アミドである場合はアスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、又はグルタミンのうちのいずれかとの置換、塩基性アミノ酸である場合はリジン、ヒスチジン、又はアルギニンのうちのいずれかとの置換、芳香族アミノ酸である場合はフェニルアラニン、チロシン、又はトリプトファンのうちのいずれかとの置換、脂肪族アミノ酸又はオキシアミノ酸である場合は、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン又はスレオニンのうちのいずれかとの置換、及び前記以外のアミノ酸(システイン、メチオニン、プロリン等)の場合はシステインプロテアーゼ阻害活性を損なわない範囲で任意に置換することが望ましい。また、配列表の配列番号1に記載のアミノ酸配列のうち、アミノ酸番号679〜695、アミノ酸番号20〜30、アミノ酸番号31〜66、及びアミノ酸番号20〜66のアミノ酸以外の範囲のアミノ酸、又は、配列表の配列番号2に記載のうち、アミノ酸番号676〜692、アミノ酸番号36〜60、及びアミノ酸番号39〜44のアミノ酸以外の範囲のアミノ酸において、アミノ酸残基のタンパク質の立体構造における位置や種類によっても異なるが、例えば、2から10個、好ましくは2から5個、より好ましくは2から3個である。
【0036】
上記のようなラクトフェリンタンパク質又はラクトフェリンの部分ペプチドと実質的に同一のタンパク質又はペプチドをコードする塩基配列は、例えば部位特異的変異法によって、特定の部位のアミノ酸残基が置換、欠失、挿入、付加、又は逆位を含むように塩基配列を改変することによって得られる。また、上記のような改変された塩基配列は、従来知られている変異処理によっても取得されうる。
【0037】
上記のような変異を有する塩基配列を適当な細胞で発現させ、本発明の試験例又は実施例に記載のシステインプロテアーゼ阻害活性の測定法によってシステインプロテアーゼ阻害活性を調べることにより、ラクトフェリンタンパク質又はラクトフェリンの部分ペプチドと実質的に同一のタンパク質又はペプチドをコードする塩基配列が得られる。
【0038】
本発明に使用するトランスフェリンは、一般に市販されているトランスフェリンや、哺乳動物(例えば、ヒト、ウシ、ヤギ、ヒツジ、ウマ等。)の乳又は血液等を原料とし、例えばカラムクロマトグラフィー法等により分離して得られるトランスフェリンを使用することができる。更に、遺伝子工学的手法により、微生物、動物細胞、トランスジェニック動物等で生産したトランスフェリンを使用することも可能である。
【0039】
本発明のシステインプロテアーゼ阻害剤の効果において、トランスフェリン中の金属含有量は特に限定されず、本発明では、トランスフェリンを塩酸やクエン酸等により脱鉄したアポ型トランスフェリン;該アポ型トランスフェリンを、鉄、銅、亜鉛、マンガン等の金属でキレートさせて得られる飽和度100%の状態の金属飽和トランスフェリン;及び100%未満の各種飽和度で金属が結合している状態の金属部分飽和トランスフェリンからなる群から選ばれる、いずれか1種又は複数種の混合物を用いることができる。
【0040】
本発明においてはトランスフェリンの部分ペプチドも使用しうる。前記ラクトフェリンのシステインプロテアーゼ阻害活性領域と推定されるアミノ酸配列(配列番号1のアミノ酸番号679〜695、及び、配列番号2のアミノ酸番号676〜692)と、トランスフェリンのアミノ酸配列を比較したところ、配列番号3に示すヒトトランスフェリンのアミノ酸配列のうち、アミノ酸番号666〜682の領域(ヒトトランスフェリンペプチドY666−R682)、及び配列番号4に示すウシトランスフェリンのアミノ酸配列のうち、アミノ酸番号672〜688の領域(ウシトランスフェリンペプチドY672−R688)に、ラクトフェリンのシステインプロテアーゼ阻害活性領域と高い相同性が認められた(図3参照)。このことと、後記実施例に示すようにトランスフェリンにシステインプロテアーゼ阻害活性が認められたことから、上記のそれぞれの領域を含むヒトトランスフェリン及びウシトランスフェリンの部分ペプチドも、同様にシステインプロテアーゼ阻害活性を有することが強く示唆される。
【0041】
本発明に使用するトランスフェリンの部分ペプチドの製造方法としては、前記トランスフェリンを酸又はプロテアーゼにより公知の方法で加水分解することによって製造する方法、遺伝子工学的手法を用いて組換え体ペプチドを合成することによって製造する方法、及び化学合成によって合成ペプチドを製造する方法などが例示される。尚、加水分解によって製造する方法を用いた場合、本発明のトランスフェリンの部分ペプチドは加水分解物中に混合物として含まれた形態で用いても良く、また常法に従ってHPLC等により精製した形態で用いても良い。
【0042】
本発明に使用するトランスフェリン又はトランスフェリンの部分ペプチドの好ましい形態としては、ヒトトランスフェリンのアミノ酸配列である配列表の配列番号3に記載のアミノ酸配列のうち、少なくともアミノ酸番号666〜682のアミノ酸配列を有するタンパク質又はペプチド、及びウシトランスフェリンのアミノ酸配列である配列表の配列番号4に記載のアミノ酸配列のうち、少なくともアミノ酸番号672〜688のアミノ酸配列を有するタンパク質又はペプチド等を例示することができる。なお、配列表の配列番号3に記載のアミノ酸配列、及び配列表の配列番号4に記載のアミノ酸配列のうち、アミノ酸番号1〜19のアミノ酸配列はシグナル配列である。
【0043】
配列番号3に記載のアミノ酸配列のうち、アミノ酸番号666〜682のアミノ酸配列からなるペプチド、及び配列番号4に記載のアミノ酸配列のうち、アミノ酸番号672〜688のアミノ酸配列からなるペプチドは、本発明によって明らかとなったシステインプロテアーゼ阻害活性領域であるヒトラクトフェリンのアミノ酸配列である配列表の配列番号1に記載のアミノ酸配列のうち、アミノ酸番号679〜695のアミノ酸配列、及びウシラクトフェリンのアミノ酸配列である配列表の配列番号2に記載のアミノ酸配列のうち、アミノ酸番号676〜692のアミノ酸配列との相同性から、システインプロテアーゼ阻害活性を有すると考えられる。また、トランスフェリン自体がシステインプロテアーゼ阻害活性を有することから、配列番号3に記載のアミノ酸配列のうち、アミノ酸番号666〜682のアミノ酸配列を含み、N末端側もしくはC末端側又はその両方に配列を延長させたアミノ酸配列を有するペプチド、及び配列表の配列番号4のアミノ酸番号672〜688を含み、N末端側もしくはC末端側又はその両方に配列を延長させたアミノ酸配列を有するペプチドも、システインプロテアーゼ阻害活性を有すると考えられる。
【0044】
これらタンパク質及びペプチドは、例えば、本発明によりそのシステインプロテアーゼ阻害活性領域と推定される領域が明らかとなったので、該領域を含むアミノ酸配列に基づいて化学合成によって得ることもでき、また遺伝子組換え技術等により得ることもできる。例えば、該領域を含むアミノ酸配列をコードする塩基配列を基に適当なプライマーを作製し、該プライマーを用いて、目的の塩基配列を含むcDNAを鋳型としてPCR等によって塩基配列を増幅し、得られた塩基配列を適当な発現系を用いて発現させることにより得ることができる。
【0045】
また、通常の遺伝子においては、種、属、個体等の違いによって、1又は複数の位置での1又は複数の塩基の置換、欠失、挿入、付加、又は逆位等の変異が当然存在し、このような変異を有する遺伝子がコードするタンパク質のアミノ酸においても変異が生じている場合がある。本発明に用いることができるトランスフェリン及びトランスフェリンの部分ペプチドには、システインプロテアーゼ阻害活性が損なわれない範囲において、このような変異を含むものも含有される。
【0046】
ここで、本発明に用いることができるトランスフェリン又はトランスフェリンの部分ペプチドとしては、配列番号3に記載のアミノ酸配列のうち、少なくともアミノ酸番号666〜682のアミノ酸配列からなるペプチド、及び配列番号4に記載のアミノ酸配列のうち、少なくともアミノ酸番号672〜688のアミノ酸配列を有するタンパク質又はペプチドであって、1又は複数のアミノ酸の置換、欠失、挿入、付加又は逆位を含み、システインプロテアーゼ阻害活性を有するタンパク質又はペプチドが例示される。尚、「1又は複数のアミノ酸の置換、欠失、挿入、付加又は逆位」として可能なものは、少なくとも前記アミノ酸番号のアミノ酸配列を有するタンパク質又はペプチドとシステインプロテアーゼとの間の立体的な相互作用に影響を及ぼさず、システインプロテアーゼ阻害活性を損なわない範囲で任意に設定できるものである。例えば、複数とは、配列番号3に記載のアミノ酸配列のうち、アミノ酸番号666〜682のアミノ酸、及び配列表の配列番号4に記載のうち、アミノ酸番号672〜688のアミノ酸において、アミノ酸残基のタンパク質の立体構造における位置や種類によっても異なるが、例えば、2から5個、好ましくは2から3個、より好ましくは2個である。
【0047】
さらに、配列表の配列番号3に記載のアミノ酸配列のうち、アミノ酸番号673〜677のアミノ酸、及び、配列表の配列番号4に記載のアミノ酸配列のうち、アミノ酸番号679〜683のアミノ酸においては、アミノ酸の種類を変更しない範囲で置換することが望ましい。すなわち、前記配列におけるアミノ酸と、同アミノ酸を置換するアミノ酸は構造上の分類で類似種類のアミノ酸であることが望ましい。具体的には前記配列のアミノ酸が酸性アミノ酸又は酸性アミノ酸アミドである場合はアスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、又はグルタミンのうちのいずれかとの置換、塩基性アミノ酸である場合はリジン、ヒスチジン、又はアルギニンのうちのいずれかとの置換、芳香族アミノ酸である場合はフェニルアラニン、チロシン、又はトリプトファンのうちのいずれかとの置換、脂肪族アミノ酸又はオキシアミノ酸である場合は、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン又はスレオニンのうちのいずれかとの置換、及び前記以外のアミノ酸(システイン、メチオニン、プロリン等)の場合はシステインプロテアーゼ阻害活性を損なわない範囲で任意に置換することが望ましい。また、配列番号3に記載のアミノ酸配列のうち、アミノ酸番号666〜682のアミノ酸以外の範囲のアミノ酸、及び配列表の配列番号4に記載のうち、アミノ酸番号672〜688のアミノ酸以外の範囲のアミノ酸において、アミノ酸残基のタンパク質の立体構造における位置や種類によっても異なるが、例えば、2から10個、好ましくは2から5個、より好ましくは2から3個である。
【0048】
上記のようなトランスフェリンタンパク質又はトランスフェリンの部分ペプチドと実質的に同一のタンパク質又はペプチドをコードする塩基配列は、例えば部位特異的変異法によって、特定の部位のアミノ酸残基が置換、欠失、挿入、付加、又は逆位を含むように塩基配列を改変することによって得られる。また、上記のような改変された塩基配列は、従来知られている変異処理によっても取得されうる。
【0049】
上記のような変異を有する塩基配列を適当な細胞で発現させ、本発明の試験例又は実施例に記載のシステインプロテアーゼ阻害活性の測定法によってシステインプロテアーゼ阻害活性を調べることにより、トランスフェリンタンパク質又はトランスフェリンの部分ペプチドと実質的に同一のタンパク質又はペプチドをコードする塩基配列が得られる。
【0050】
本発明のシステインプロテアーゼ阻害剤においては、ラクトフェリン、ラクトフェリンの部分ペプチド、又はトランスフェリンもしくはトランスフェリンの部分ペプチドをそれぞれ単独で使用することも、複数種を併用して使用することも可能である。また、ラクトフェリンの部分ペプチドは、1種を単独で使用することも、複数種を混合して用いることも可能である。さらに、トランスフェリンの部分ペプチドは、1種を単独で使用することも複数種を混合して用いることも可能である。
【0051】
本発明に用いることができるラクトフェリン、ラクトフェリンの部分ペプチド、又はトランスフェリンは、カテプシンB、L、S及びパパイン等のシステインプロテアーゼに対して阻害活性を有する。システインプロテアーゼ阻害活性は、Barrett等の方法に従って測定することができる。本発明の試験例又は実施例において、該測定方法について詳細に記載する。
【0052】
本発明のシステインプロテアーゼ阻害剤はラクトフェリン、ラクトフェリンの部分ペプチド、又はトランスフェリン、若しくはこれらを製剤学的に許容される製剤担体と組合わせて、経口的、又は非経口的にヒトを含む哺乳動物に投与することができる。本発明の製剤の投与単位形態は特に限定されず、治療目的に応じて適宜選択でき、具体的には、錠剤、丸剤、散剤、液剤、懸濁剤、乳剤、顆粒剤、カプセル剤、シロップ剤、坐剤、注射剤、軟膏剤、貼付剤、点眼剤、点鼻剤等を例示できる。製剤化にあたっては製剤担体として通常の薬剤に汎用される賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、安定剤、矯味矯臭剤、希釈剤、界面活性剤、注射剤用溶剤等の添加剤を使用できる。
【0053】
本発明の製剤中に含まれるラクトフェリン、ラクトフェリンの部分ペプチド、又はトランスフェリンの量は特に限定されず適宜選択すればよいが、例えばいずれも通常製剤中に0.005〜60質量%、好ましくは0.05〜50質量%とするのがよい。
【0054】
本発明の製剤の投与方法は特に限定されず、各種製剤形態、患者の年齢、性別、その他の条件、患者の症状の程度等に応じて決定される。本発明の製剤の有効成分の投与量は、用法、患者の年齢、性別、疾患の程度、その他の条件等により適宜選択される。通常有効成分としてのラクトフェリン、ラクトフェリンの部分ペプチド、又はトランスフェリンの量は、0.1〜1200mg/kg/日、好ましくは10〜500mg/kg/日の範囲となる量を目安とするのが良く、1日1回又は複数回に分けて投与することができる。
【0055】
本発明のシステインプロテアーゼ阻害剤は、システインプロテアーゼが関与する疾患、例えばアレルギー、筋ジストロフィー、筋萎縮症、心筋梗塞、脳卒中、アルツハイマー病、多発性硬化症、白内障、骨粗鬆症、悪性腫瘍性高カルシウム血症、前立腺肥大症、乳癌、前立腺癌等の予防・治療剤、若しくは癌細胞の増殖や転移の抑制剤、又は細菌(スタフィロコッカス・アウレウスV8等)やウイルス(ポリオウイルス、ヘルペスウイルス等)の増殖抑制剤として有用である。本発明のシステインプロテアーゼ阻害剤は、単独で使用しても良いが、公知の前記疾患の予防・治療剤、又は前記細菌・ウイルス増殖抑制剤と併用して使用することも可能である。併用することによって、前記疾患の予防・治療効果、又は前記細菌・ウイルス増殖抑制効果を高めることができる。併用する前記疾患の予防・治療剤、又は前記細菌・ウイルス増殖抑制剤は、本発明の組成物中に有効成分として含有させても良いし、本発明の組成物中には含有させずに別個の薬剤として組合わせて商品化し使用時に組み合わせても良い。
【0056】
本発明の飲食品組成物は、食品又は飲料にラクトフェリン、ラクトフェリンの部分ペプチド、又はトランスフェリンを添加して製造することができ、経口的に摂取することが可能である。飲食品組成物の形態としては、清涼飲料、炭酸飲料、栄養飲料、果汁飲料、乳酸菌飲料等の飲料(これらの飲料の濃縮原液及び調整用粉末を含む);アイスクリーム、シャーベット、かき氷等の氷菓;飴、チューインガム、キャンディー、ガム、チョコレート、錠菓、スナック菓子、ビスケット、ゼリー、ジャム、クリーム、焼き菓子等の菓子類:加工乳、乳飲料、発酵乳、バター等の乳製品;パン;経腸栄養食、流動食、育児用ミルク、スポーツ飲料;その他機能性食品等が例示される。
【0057】
本発明の飲食品組成物において、ラクトフェリン、ラクトフェリンの部分ペプチド、又はトランスフェリンを添加する量は、飲食品組成物の形態によって適宜設定されるが、通常の食品又は飲料中0.005〜60質量%、好ましくは0.05〜50質量%となるように添加すればよい。
【0058】
本発明の飼料組成物は、飼料にラクトフェリン、ラクトフェリンの部分ペプチド、又はトランスフェリンを添加して製造することができ、一般的な哺乳動物や家畜類、養魚類、愛玩動物に経口的に投与することが可能である。飼料組成物の形態としては、ペットフード、家畜飼料、養魚飼料等が例示され、穀類、粕類、糠類、魚粉、骨粉、油脂類、脱脂粉乳、ホエー、鉱物質飼料、酵母類等とともに混合して本発明の飼料組成物を製造することができる。
【0059】
本発明の飼料組成物において、ラクトフェリン、ラクトフェリンの部分ペプチド、又はトランスフェリンを添加する量は、飼料組成物の形態によって適宜設定されるが、通常の飼料中0.005〜60質量%、好ましくは0.05〜50質量%となるように添加すればよい。
【0060】
次に試験例を示して本発明を詳細に説明する。
[試験例1]
本試験は、乳中のシステインプロテアーゼ阻害物質を検出するために行った。
【0061】
(1)検出法
本発明者はプロテアーゼ阻害物質の検出法として「逆ザイモグラフィー」という手法を用い、SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動のゲル上に存在するプロテアーゼ阻害物質の検出を行った。逆ザイモグラフィーとは通常のザイモグラフィーの逆の手法によるものであり、基本的原理は次のとおりである。即ち、ゼラチンを含むSDSポリアクリルアミドゲルにプロテアーゼ阻害物質を含むサンプルをアプライし、電気泳動を行った後にゲルをプロテアーゼ溶液に浸漬してゲル中のタンパク質を分解する。この操作により阻害物質が存在する部分はプロテアーゼの活性を阻害することから、ゼラチンはプロテアーゼによる分解を免れ、これが染色液によって染色されることにより、阻害物質を識別することが可能となる。
【0062】
(2)試験方法
本発明における逆ザイモグラフィーの方法は以下のとおりである。
牛乳中の全タンパク質及びウシラクトフェリン(森永乳業社製)をサンプルとし、0.1%ゼラチンを含む12.5%SDSポリアクリルアミドゲルを用いて、電気泳動(以下、SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動をSDS−PAGEと略記することがある。)を行った。泳動後、ゲルを2.5%Triton X−100溶液に45分間浸漬して洗浄した後、更に45分間蒸留水に浸漬する操作を3回繰り返してゲルを洗浄した。このゲルを、1mgパパイン(31units/ml)を含む0.025M酢酸緩衝液(pH5.5)100mlに浸漬し、37℃で10時間保温してゼラチンを消化した。ゲルを蒸留水で洗浄後、染色液(0.025%クマシー・ブリリアント・ブルー(CBB)R−250、40%メタノール、7%酢酸水溶液)で1時間染色し、その後脱色液(40%メタノール、10%酢酸水溶液)で脱色を行った。
【0063】
これとは別に、対照試験としてゼラチンを含まない12.5%SDSポリアクリルアミドゲルを用いて前記と同様に逆ザイモグラフィーを行った。さらに、通常の12.5%SDS−PAGE(CBB染色)を行った。
【0064】
(3)試験結果
本試験の結果は図1に示すとおりである。図1は逆ザイモグラフィーのパターンを示す結果である。図1の1レーンは牛乳中の全タンパク質の通常のSDS−PAGEのパターン、2レーンは牛乳中の全タンパク質の逆ザイモグラフィーのパターン、3レーンは牛乳中の全タンパク質のゲルにゼラチンを含まない逆ザイモグラフィー(対照)のパターン、4レーンはウシラクトフェリンの逆ザイモグラフィーのパターン、5レーンはウシラクトフェリンのゲルにゼラチンを含まない逆ザイモグラフィー(対照)のパターンを各々示している。尚、図中矢印はウシ由来ラクトフェリン(分子量72kDa)のSDS−PAGEによる泳動位置を示している。尚、6レーン及び7レーンは本試験例とは直接関係がない。
【0065】
図1から明らかなとおり、2レーンにおいてウシラクトフェリンの泳動位置(72kDa)とほぼ同位置に逆ザイモグラフィーのポジティブなバンドが確認された。このことより、牛乳中にシステインプロテアーゼ阻害活性を有する物質の存在が確認された。また、4レーンにおいてウシラクトフェリンを泳動したパパインを用いた逆ザイモグラフィーにおいて、ポジティブなバンドが確認された。
【0066】
以上の結果から、ウシ由来のラクトフェリンにシステインプロテアーゼ阻害活性を有することが示唆された。
【0067】
[試験例2]
本試験は、試験例1においてシステインプロテアーゼ阻害活性が示唆された72kDaのバンドについてN末端アミノ酸配列を決定するために行った。
【0068】
(1)試験方法
試験例1で使用した牛乳中の全タンパク質サンプルを同様に使用してSDS−PAGEを行った後、ポリビニリデンジフルオライド(PVDF)膜に転写し、PVDF膜をCBBで染色後、72kDa付近に泳動された染色バンドを切り出した。このバンドについて、ヒューレットパッカード社製G1005Aプロテインシーケンシングシステムを用いてN末端アミノ酸配列を決定した。
【0069】
(2)試験結果
牛乳中の72kDa染色バンドのアミノ酸配列を決定した結果、72kDa染色バンドのN末端アミノ酸配列は配列表の配列番号2に記載されるウシラクトフェリンのそれと完全に一致した。従って、本試験の結果と試験例1の結果の両者から、ウシラクトフェリンはシステインプロテアーゼ阻害活性を有することが明らかとなった。
【0070】
[試験例3]
本試験は、ウシラクトフェリンのシステインプロテアーゼに対する阻害効果を測定するために行った。
【0071】
(1)試験方法
試験試料として市販のウシラクトフェリン(森永乳業社製)を使用し、システインプロテアーゼとしてパパイン、カテプシンB、カテプシンL、及びカテプシンS(以上いずれも市販品:和光純薬工業社製)に対してシステインプロテアーゼ阻害活性を測定した。阻害活性の測定方法はBarrett等の方法[メソッド・イン・エンザイモロジー(Methods in Enzymology)、第80巻、第535〜561ページ、1981年]を参考にして、次のとおり行った。即ち、0.1M酢酸緩衝液pH5.5に種々の濃度に溶解したサンプルに、基質としてZ−Phe−Arg−MCA(最終濃度20mM:ペプチド研究所社製)を添加し、システインプロテアーゼ(本試験では各サンプルにつき、パパイン、カテプシンB、カテプシンL、及びカテプシンSより選ばれる1種:和光純薬工業社製)溶液(最終濃度:15units/ml)を添加して混合し、37℃で10分間反応させた後、消化を受けた基質から遊離したAMCの蛍光強度(励起波長:370nm、発光波長:460nm)を蛍光分光度計(日立社製)を用いて測定した。
【0072】
(2)試験結果
本試験の結果は、表1に示すとおりである。表1は、パパイン、カテプシンB、カテプシンL、及びカテプシンSに対するウシラクトフェリンのシステインプロテアーゼ阻害効果を示す。その結果、パパイン及びカテプシンLのシステインプロテアーゼ活性は、ウシラクトフェリンの濃度が10−6Mに達したときに完全に阻害された。また、カテプシンB及びカテプシンSのシステインプロテアーゼ活性は、ウシラクトフェリンの濃度が10−5Mに達したときに70%以上阻害され、10−4Mの濃度で完全に阻害された。従って、ウシラクトフェリンは、パパイン、カテプシンB、カテプシンL、及びカテプシンSに対してシステインプロテアーゼ阻害活性を有することが判明した。
【0073】
【表1】
【0074】
[試験例4]
本試験は、ヒトラクトフェリンのシステインプロテアーゼに対する阻害効果を測定するために行った。
【0075】
(1)試験方法
試験試料として市販のヒトラクトフェリン(シグマ社製)を使用し、システインプロテアーゼとしてパパイン、カテプシンB、カテプシンL、及びカテプシンS(以上いずれも市販品:和光純薬工業社製)に対して、試験例3に記載のシステインプロテアーゼ阻害活性測定方法と同様の方法によりシステインプロテアーゼ阻害活性を測定した。
【0076】
(2)試験結果
本試験の結果は、図2に示すとおりである。図2は、パパイン、カテプシンB、カテプシンL、及びカテプシンSに対するヒトラクトフェリンのシステインプロテアーゼ阻害効果を示す。その結果、パパイン及びカテプシンLのシステインプロテアーゼ活性は、ヒトラクトフェリンの濃度が10−6Mに達したときにほぼ完全に阻害された。また、カテプシンB及びカテプシンSのシステインプロテアーゼ活性は、ヒトラクトフェリンの濃度が10−5Mに達したときに80%以上阻害され、10−4Mの濃度でほぼ完全に阻害された。従って、ヒトラクトフェリンは、パパイン、カテプシンB、カテプシンL、及びカテプシンSに対してシステインプロテアーゼ阻害活性を有することが判明した。
【0077】
[試験例5]
本試験は、ラクトフェリンの部分ペプチドのシステインプロテアーゼに対する阻害効果を測定するために行った。
【0078】
(1)試験方法
試験試料として、後記する実施例1で製造した、配列表の配列番号1に記載のアミノ酸配列のうち、アミノ酸番号679〜695のアミノ酸配列を有するペプチド〔以下、ヒトラクトフェリンペプチドY679−K695(図3を参照)と記載する。〕を使用し、システインプロテアーゼとしてパパイン、カテプシンB、及びカテプシンL(以上いずれも市販品:和光純薬工業社製)に対して、試験例3に記載のシステインプロテアーゼ阻害活性測定方法と同様の方法によりシステインプロテアーゼ阻害活性を測定した。
【0079】
(2)試験結果
本試験の結果は、図4に示すとおりである。図4は、パパイン、カテプシンB、及びカテプシンLに対するヒトラクトフェリンペプチドY679−K695のシステインプロテアーゼ阻害効果を示す。その結果、パパイン及びカテプシンLのシステインプロテアーゼ活性は、ペプチドの濃度が10−4Mに達したときに50%以上阻害され、10−3Mの濃度でほぼ完全に阻害された。また、カテプシンBのシステインプロテアーゼ活性は、ペプチドの濃度が10−3Mに達したときに60%阻害された。従って、ヒトラクトフェリンペプチドY679−K695は、パパイン、カテプシンB、及びカテプシンLに対してシステインプロテアーゼ阻害活性を有することが判明した。また、後記する実施例1で製造した、配列表の配列番号2に記載のアミノ酸配列のうち、アミノ酸番号676〜692のアミノ酸配列を有するペプチド〔以下、ウシラクトフェリンペプチドY676−K692(図3を参照)と記載する。〕について同様の阻害活性測定試験を行ったところ、ヒトラクトフェリンペプチドY679−K695とほぼ同等の活性を示すことが明らかとなった。
【0080】
[試験例6]
本試験は、ウシラクトフェリンの部分ペプチドのシステインプロテアーゼに対する阻害効果を測定するために行った。
【0081】
(1)試験方法
試験試料として、後記する実施例1と同様の方法で製造した、配列表の配列番号2に記載のアミノ酸配列のうち、アミノ酸番号36〜60のアミノ酸配列を有するペプチド〔以下、ウシラクトフェリンペプチドF36−F60と記載する。〕を使用し、システインプロテアーゼとしてパパイン(市販品:和光純薬工業社製)に対して、試験例3に記載のシステインプロテアーゼ阻害活性測定方法と同様の方法によりシステインプロテアーゼ阻害活性を測定した。
【0082】
(2)試験結果
本試験の結果は、表2に示すとおりである。表2は、パパインに対するウシラクトフェリンペプチドのシステインプロテアーゼ阻害効果を示す。その結果、パパインのシステインプロテアーゼ活性は、ウシラクトフェリンペプチドF36−F60の濃度が10−4Mに達したときに88%阻害された。従って、ウシラクトフェリンペプチドF36−F60は、パパインに対してシステインプロテアーゼ阻害活性を有することが判明した。
【0083】
【表2】
【0084】
[試験例7]
本試験は、トランスフェリンのシステインプロテアーゼに対する阻害効果を測定するために行った。
【0085】
(1)試験方法
試験試料として市販のウシトランスフェリン(日本製薬社製)を使用し、システインプロテアーゼとしてパパイン、カテプシンB、及びカテプシンL(以上いずれも市販品:和光純薬工業社製)に対して、試験例3に記載のシステインプロテアーゼ阻害活性測定方法と同様の方法によりシステインプロテアーゼ阻害活性を測定した。
【0086】
(2)試験結果
本試験の結果は、図5に示すとおりである。図5は、パパイン、カテプシンB、及びカテプシンLに対するトランスフェリンのシステインプロテアーゼ阻害効果を示す。その結果、パパインのシステインプロテアーゼ活性は、トランスフェリンの濃度が10−4Mに達したときに40%阻害され、10−3Mの濃度で完全に阻害された。また、カテプシンB及びカテプシンLのシステインプロテアーゼ活性は、トランスフェリンの濃度が10−4Mに達したときに30%以上阻害された。従って、ウシトランスフェリンは、パパイン、カテプシンB、及びカテプシンLに対してシステインプロテアーゼ阻害活性を有することが判明した。
【0087】
【実施例】
次に実施例を示して本発明を更に詳細に説明する。尚、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
配列表の配列番号1に記載のアミノ酸配列のうち、アミノ酸番号679〜695のアミノ酸配列を有するペプチド(図3を参照:ヒトラクトフェリンペプチドY679−K695)を、以下の方法により製造した。
【0088】
尚、前記本発明のペプチドは、自動アミノ酸合成装置(アプライド・バイオシステムズ社製。Model 433A)を用いて合成を行い製造を行った。
【0089】
20%ピペリジン含有N−メチルピロリドン(アプライド・バイオシステムズ社製。以下、N−メチルピロリドンをNMPと略記する)により、ペプチド合成用固相樹脂であるHMP樹脂(アプライド・バイオシステムズ社製)のアミノ保護基であるFmoc基を切断除去し、NMPで洗浄した後、 Fmoc−スレオニン[具体的には、合成するペプチドのC末端アミノ酸に相当するFmoc−アミノ酸(アプライド・バイオシステムズ社製)]をFastMoc(登録商標)リージェントキット(アプライド・バイオシステムズ社製)を使用して縮合させ、NMPで洗浄した。次に、前記Fmoc基の切断、続いて、C末端から2番目のアミノ酸に相当するFmoc−アラニンの縮合、及び洗浄を行い、さらにFmoc−アミノ酸の縮合及び洗浄を繰り返し、保護ペプチド樹脂を作製し、樹脂より粗製ペプチドを回収した。
【0090】
前記粗製ペプチドから、高速液体クロマトグラフィー(以下、HPLCと略記する。)によりペプチドの精製を行った。カラムは逆相系のC18−ODS(メルク社製。Lichrospher100)を使用した。得られた精製ペプチドはHPLC分析を行い、精製物が単一であることを更に確認した。また、精製ペプチドのアミノ酸配列を、気相式自動アミノ酸シーケンサー(アプライド・バイオシステムズ社製。Model 473A)を用いて決定した結果、配列番号1のアミノ酸番号679〜695のアミノ酸配列を有していた。
【0091】
尚、同様の方法により配列番号2に記載のアミノ酸配列のうち、アミノ酸番号676〜692のアミノ酸配列を有するペプチド(図3を参照:ウシラクトフェリンペプチドY676−K692)も製造した。
【0092】
[実施例2]
(ラクトフェリンを配合した錠剤の調製)
次の組成からなる錠剤のシステインプロテアーゼ阻害剤を次の方法により製造した。
ウシラクトフェリン(森永乳業社製) 40.0(%)
乳糖(森永乳業社製) 18.5
トウモロコシ澱粉(日清製粉社製) 30.7
ステアリン酸マグネシウム(太平化学産業社製) 1.4
カルボキシメチルセルロ−スカルシウム(五徳薬品社製) 9.4
【0093】
ウシラクトフェリン、乳糖、トウモロコシ澱粉及びカルボキシメチルセルロ−スカルシウムの混合物に、滅菌精製水を適宜添加しながら均一に混練し、50℃で3時間乾燥させ、得られた乾燥物にステアリン酸マグネシウムを添加して混合し、常法により打錠し、錠剤を得た。
【0094】
[実施例3]
(カプセル入りラクトフェリンの調製)
乳糖(和光純薬工業社製)600g、トウモロコシデンプン(日清製粉社製)400g、結晶セルロース(和光純薬工業社製)400g及びウシラクトフェリン(森永乳業社製)600gを、50メッシュ篩(ヤマト科学社製)により篩分けし、厚さ0.5mmのポリエチレン製の袋にとり、転倒混合し、全自動カプセル充填機(Cesere Pedini社製。プレス式)を用い、前記粉末をカプセル(日本エランコ社製。1号ゼラチンカプセル、Op.Yellow No.6 Body、空重量は75mg)に内容量275mgで充填し、ウシラクトフェリン82mg入りのカプセル剤7,000個を得た。
【0095】
[実施例4]
(ウシラクトフェリンを添加した飲料の調製)
脱脂粉乳(森永乳業社製)90gを50℃の温湯800mlに溶解し、砂糖(日新製糖社製)30g、インスタントコーヒー粉末(ネスレ社製)14g、カラメル(昭和化工社製)2g、及びコーヒーフレーバー(三栄化学社製)0.01g、を攪拌しながら順次添加して溶解し、10℃に冷却し、ウシラクトフェリン(森永乳業社製)1gを添加し、ウシラクトフェリン約0.1%を含むシステインプロテアーゼ阻害効果を有する乳飲料を調製した。
【0096】
[実施例5]
(ウシラクトフェリンを添加した経腸栄養食粉末の調製)
ホエー蛋白酵素分解物(森永乳業社製)10.8kg、デキストリン(昭和産業社製)36kg、及び少量の水溶性ビタミンとミネラルを水200kgに溶解し、水相をタンク内に調製した。これとは別に、大豆サラダ油(太陽油脂社製)3kg、パーム油(太陽油脂社製)8.5kg、サフラワー油(太陽油脂社製)2.5kg、レシチン(味の素社製)0.2kg、脂肪酸モノグリセリド(花王社製)0.2kg、及び少量の脂溶性ビタミンを混合溶解し、油相を調製した。タンク内の水相に油相を添加し、攪拌して混合した後、70℃に加温し、更にホモゲナイザーにより14.7MPaの圧力で均質化した。次いで、90℃で10分間殺菌した後に、濃縮し、噴霧乾燥して、中間製品粉末約59kgを調製した。この中間製品粉末50kgに、蔗糖(ホクレン社製)6.8kg、アミノ酸混合粉末(味の素社製)167g、及びウシラクトフェリン(森永乳業社製)60gを添加し、均一に混合して、ウシラクトフェリンを含有するシステインプロテアーゼ阻害効果を有する経腸栄養食粉末約57kgを製造した。
【0097】
【発明の効果】
以上詳記したとおり、本発明はラクトフェリン、ラクトフェリンの部分ペプチド、及びトランスフェリンからなる群より選択される1種又は複数種の混合物を有効成分として含有するシステインプロテアーゼ阻害剤に関するものであり、本発明により奏される効果は次のとおりである。
(1)食品素材として利用することができるタンパク質であるので、安全性に優れ日常的に長期間投与又は摂取が可能である。
(2)幅広いシステインプロテアーゼに対して阻害活性スペクトルを有する。
(3)システインプロテアーゼが関与する疾患の予防・治療剤として使用することが可能である。
【0098】
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、ウシ乳タンパク質の逆ザイモグラフィーの検出を示す図(写真)である。
【図2】図2は、システインプロテアーゼに対するヒトラクトフェリンのシステインプロテアーゼ阻害効果を示す図である。
【図3】図3は、実施例1で製造したヒトラクトフェリンの部分ペプチド(ヒトラクトフェリンペプチドY679−K695)、及びウシラクトフェリンの部分ペプチド(ウシラクトフェリンペプチドY676−K692)、並びに配列表の配列番号3に記載のアミノ酸配列のうち、アミノ酸番号666〜682のアミノ酸配列を有するペプチド(ヒトトランスフェリンペプチドY666−R682)、及び配列表の配列番号4に記載のアミノ酸配列のうち、アミノ酸番号672〜688のアミノ酸配列を有するペプチド(ウシトランスフェリンペプチドY672−R688)のアミノ酸配列を示す図である。
【図4】図4は、システインプロテアーゼに対するヒトラクトフェリンペプチドY679−K695のシステインプロテアーゼ阻害効果を示す図である。
【図5】図5は、システインプロテアーゼに対するトランスフェリンのシステインプロテアーゼ阻害効果を示す図である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、ラクトフェリン、ラクトフェリンの部分ペプチド、及びトランスフェリンからなる群より選択される1種又は複数種の混合物を有効成分として含有するシステインプロテアーゼ阻害剤に関するものであり、骨粗鬆症、悪性腫瘍性高カルシウム血症等の予防・治療剤、並びに飲食品及び飼料等に利用することが可能なシステインプロテアーゼ阻害剤である。
【0002】
【従来の技術】
活性中心にチオール基を有する蛋白分解酵素はシステインプロテアーゼ(チオールプロテアーゼ)と総称されている。カテプシンL、カテプシンBは、カルシウム依存性中性プロテアーゼ(CAMP)、パパイン、フィシン、プロメライン等とともに代表的なシステインプロテアーゼの一つである。そしてこれらシステインプロテアーゼに対して阻害作用を有する物質は、システインプロテアーゼが関与するとされる疾患、例えば筋ジストロフィー、筋萎縮症、心筋梗塞、脳卒中、アルツハイマー病、頭部外傷時の意識障害や運動障害、多発性硬化症、末梢神経のニューロパシー、白内障、炎症、アレルギー、劇症肝炎、骨粗鬆症、高カルシウム血症、乳癌、前立腺癌、前立腺肥大症の治療薬として、あるいは癌の増殖抑制、転移予防薬、血小板の凝集阻害薬として期待される。また、近年に至り、勝沼等の研究によってカテプシンL、カテプシンBと骨粗鬆症乃至悪性腫瘍性高カルシウム血症の関係が解明され、それによって、とりわけカテプシンL阻害剤の骨粗鬆症治療剤乃至悪性腫瘍性高カルシウム血症治療剤としての医薬への適用が注目されつつある(例えば、非特許文献1を参照)。骨組織においては、骨芽細胞(osteoblast)による骨形成と、破骨細胞(osteoclast)による骨吸収が生涯を通じて行われており、成長期には骨形成が骨吸収を上回ることにより骨重量が増加し、一方老年期には逆に骨吸収が骨形成を上回るために骨重量が減少し、骨粗鬆症の発症となる。これら骨粗鬆症の原因としては様々なものがあるが、特に骨崩壊(骨吸収)を主原因の一つとして挙げることができる。これを更に2つの原因に分けると次のようになる。即ち、一つはカルシウムの吸収と沈着不全に起因するものであり、更に詳しくはカルシウムの供給量、転送、吸収、及び沈着が関係するものであり、ビタミンD誘導体、女性ホルモン(エストロゲン)等が関与していると考えられる。いま一つは、骨支持組織であるコラーゲンの分解促進を内容とするものであり、破骨細胞内リソゾームから分泌されるシステインプロテアーゼ群、中でも特にカテプシンL、カテプシンBによる骨コラーゲン分解が主たる原因である。破骨細胞内のリソゾームから分泌されたこれらカテプシンL及びBは骨組織中のコラーゲンの分解を促進し、それによって古い骨は溶解され、ヒドロキシプロリンとともにカルシウムが血中に遊離放出させられる。従って、カテプシンL及びBのコラーゲン分解能を阻害することによって過剰な骨崩壊を防止することが可能であり、ひいては骨粗鬆症の治療が可能となる。これら骨粗鬆症の治療剤としては、エストロゲン、タンパク同化ホルモン、カルシウム剤、ビタミンD、カルシトニン、あるいはビスホスホネート等が知られている。またカテプシンL阻害、カテプシンB阻害のいわゆるシステインプロテアーゼ阻害を作用機序とする骨粗鬆症治療剤についてもいくつかのシステインプロテアーゼ阻害剤をもちいた骨粗鬆症治療剤の開発が進められているが、さらなる骨粗鬆症治療剤の開発が望まれている。
【0003】
一方、高カルシウム血症は、血清中のカルシウム濃度が正常値以上となる代謝異常であり、腫瘍患者に多く見受けられる。これを放置した場合、患者の寿命は10日程度であると言われている。原因の多くは腫瘍の骨転移である。腫瘍が骨に転移すると、骨破壊が起こり、カルシウムが血中に放出される。このカルシウムは腎臓で処理されるが、骨破壊のスピードが腎臓の処理能力を上回ったとき、高カルシウム血症の発現となる。治療方法としては、フロセミドを併用した生理的食塩水の輸液を用いることにより腎臓からのカルシウム排泄を促進する方法や、骨粗鬆症治療薬であるカルシトニンを使用する方法等が知られている。即ち、骨吸収を抑制するがごとき骨粗鬆症治療薬は悪性腫瘍性高カルシウム血症の治療剤としても有効であるといえる。
【0004】
本発明者らにより、このような目的に使用し得るシステインプロテアーゼ阻害剤としてすでに以下の公報が開示されている。
(1)カテプシンL特異的阻害ポリペプチド(特許文献1)
(2)チオールプロテアーゼ阻害剤(特許文献2)
(3)バリン誘導体およびその用途(特許文献3)
(4)チオールプロテアーゼ阻害剤(特許文献4)
(5)FA−70C1物質(特許文献5)
(6)FA−70D物質、その製造法及びその用途(特許文献6)
しかしながら、さらに、抗原性のない、安全な素材として使えるシステインプロテアーゼ阻害剤の開発が望まれていた。
【0005】
他方、これまでに、母乳中にプロテアーゼ阻害物質が存在することが知られている。母乳に含まれるプロテアーゼ阻害物質として知られているものとしては、α1−アンチキモトリプシン、α1−アンチトリプシンが挙げられ、インターα2−トリプシン阻害物質、α2−アンチプラスミン、α2−マクログロブリン、アンチトロンビンIII、アンチロイコプロテアーゼなどの阻害剤等も微量含まれている(例えば、非特許文献2を参照)。
【0006】
乳中において、システインプロテアーゼ阻害活性を有するタンパク質については、すでに以下の公報が開示されている。
(1)牛初乳由来の糖鎖を有する分子量約57kDaの新規システインプロテアーゼインヒビター(特許文献7)
(2)牛初乳由来の分子量16±2kDa又は13±2kDaの新規システインプロテアーゼインヒビター(特許文献8)
(3)人乳由来の分子量16±2kDa又は13±2kDaの新規タンパク質およびほ乳類乳に多量に含有されるタンパク質として、ラクトフェリン及びβ−カゼインなどが挙げられる。ラクトフェリン(lactoferrin:以下Lfと略すことがある)は、主に母乳中に含まれている分子量80kDaの鉄結合性糖蛋白質であり、大腸菌、カンジダ菌、クロストリジウム菌、ブドウ球菌等の有害微生物に対して抗菌作用を示すことが知られている(例えば非特許文献3および非特許文献4を参照)。また、様々な作用をもつ乳タンパク質として、疾病の治療剤に幅広く利用されている。ラクトフェリンは乳由来のタンパク質であるから安全性が高く、長期連用することが可能で、それ自体は殆ど無味無臭であり、各種の食品・医薬品・飼料の添加物として、汎用性が高いタンパク質である。
【0007】
なお、疾病の治療剤にラクトフェリンを応用した例としては、
(1)抗腫瘍剤(特許文献10)
(2)抗リウマチ剤(特許文献11)
(3)IgA産生促進剤(特許文献12)
(4)便秘を改善する育児用調製粉乳(特許文献13)
(5)血管新生病治療剤(特許文献14)
(6)経口がん転移抑制剤(特許文献15)
(7)IgE産生抑制剤(特許文献16)
等が開示されている。
【0008】
また、Lfの分解物については、
(8)抗菌性およびチロキシナーゼ活性阻害(特許文献17)
(9)細胞への病原菌付着防止(特許文献18)
(10)抗ウィルス作用(特許文献19)
等が開示されている。
【0009】
また、鉄―ラクトフェリンを有効成分とする骨強化剤が、骨疾患の予防及び治療に有効であることが開示されている(特許文献20)。この技術は、鉄とラクトフェリンが結合した鉄−ラクトフェリンを有効成分として投与し、骨の基質であるコラーゲンの前駆体であるプロリン及びリジンの水酸化に関与する酵素の補酵素である鉄を供給し、コラーゲン生成を強化するというものである。
【0010】
上記のように、これまでにシステインプロテアーゼ阻害物質が見いだされており、動物細胞、血液中、尿中及び乳中などにおいてもいくつかのシステインプロテアーゼ阻害物質が見いだされている。システインプロテアーゼ阻害物質のうち蛋白性のものはシスタチンと総称されている。シスタチンファミリーは、共通する活性部位を有することが知られており、その配列が明らかとなっている(非特許文献5)。
【0011】
しかしながら、ラクトフェリン及びその部分ペプチド、並びにトランスフェリンがシステインプロテアーゼ阻害作用を有することは知られておらず、また、ラクトフェリン及びトランスフェリンが、シスタチンファミリーの共通活性部位配列と相同性を有する領域を有することについても知られていなかった。さらに、ラクトフェリン及びその部分ペプチド、並びにトランスフェリンによるシステインプロテアーゼ阻害を作用機序とする骨疾患の予防・治療剤についても知られていなかった。
【0012】
【特許文献1】
特開平7−179496号公報
【特許文献2】
特開平9−221425号公報
【特許文献3】
特開2001−139534号公報
【特許文献4】
特開平7−242600号公報
【特許文献5】
特開2000−72797号公報
【特許文献6】
国際公開第97/31122号パンフレット
【特許文献7】
特開平7−2896号公報
【特許文献8】
特開平7−126294号公報
【特許文献9】
特開平10−80281号公報
【特許文献10】
特公平5−86932号公報
【特許文献11】
特開平5−186368号公報
【特許文献12】
特開平6−32743号公報
【特許文献13】
特開平6−205640号公報
【特許文献14】
特開平9−194388号公報
【特許文献15】
特開平10−59864号公報
【特許文献16】
特開2001−158748号公報
【特許文献17】
ヨーロッパ特許公報第438750号
【特許文献18】
特開平3−220130号公報
【特許文献19】
特開平1−233226号公報
【特許文献20】
特開2000−281586号公報
【0013】
【非特許文献1】
勝沼信彦著、「BIO media」、第7巻、第6号、第73〜77ページ、1992年
【非特許文献2】
清澤功著、「母乳の栄養学」、金原出版、第80〜81ページ
【非特許文献3】
ジャーナル・オブ・ペディアトリクス(Journal of Pediatrics)、第94巻、第1ページ、1979年
【非特許文献4】
ジャーナル・オブ・デイリー・サイエンス(Journal of Dairy Science)、第67巻、第60ページ、1984年
【非特許文献5】
早石修著、「プロテアーゼとそのインヒビター」、メジカルビュー社、第1版、第1刷、第104〜115ページ、1993年
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、食品素材として幅広く利用することが可能であり、骨粗鬆症、悪性腫瘍性高カルシウム血症等の予防・治療剤、並びに各種飲食品及び飼料等に利用することが可能な、汎用性の高いシステインプロテアーゼ阻害剤を提供することを目的としている。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、抗原性のない、安全な素材として利用する事が可能なシステインプロテアーゼ阻害物質を鋭意検索した結果、乳由来のタンパク質であるラクトフェリン及びラクトフェリン由来のペプチドフラグメント、並びにトランスフェリンにシステインプロテアーゼ阻害活性を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0016】
本発明の要旨は以下の(1)〜(8)のとおりである。
(1)ラクトフェリン、ラクトフェリンの部分ペプチド、及びトランスフェリンからなる群より選択される1種又は複数種の混合物を有効成分として含有するシステインプロテアーゼ阻害剤。
【0017】
(2)ラクトフェリン及び/又はトランスフェリンが、金属飽和型、金属部分飽和型、アポ型からなる群より選択される1種又は複数種の混合物である前記(1)に記載のシステインプロテアーゼ阻害剤。
【0018】
(3)ラクトフェリン及び/又はラクトフェリンの部分ペプチドが、以下の(a)〜(d)に示すタンパク質又はペプチドの1種又は複数種の混合物である前記(1)又は(2)に記載のシステインプロテアーゼ阻害剤。
(a)配列表の配列番号1に記載のアミノ酸配列のうち、少なくともアミノ酸番号679〜695のアミノ酸配列を有するタンパク質又はペプチド。
(b)配列表の配列番号1に記載のアミノ酸配列のうち、少なくともアミノ酸番号679〜695のアミノ酸配列を有するペプチドであって、1又は複数のアミノ酸の置換、欠失、付加、又は逆位を含み、かつシステインプロテアーゼ阻害活性を有するタンパク質又はペプチド。
(c)配列表の配列番号2に記載のアミノ酸配列のうち、少なくともアミノ酸番号676〜692のアミノ酸配列を有するタンパク質又はペプチド。
(d)配列表の配列番号2に記載のアミノ酸配列のうち、少なくともアミノ酸番号676〜692のアミノ酸配列を有するペプチドであって、1又は複数のアミノ酸の置換、欠失、付加、又は逆位を含み、かつシステインプロテアーゼ阻害活性を有するタンパク質又はペプチド。
【0019】
(4)ラクトフェリン及び/又はラクトフェリンの部分ペプチドが、以下の(e)〜(j)に示すタンパク質又はペプチドの1種又は複数種の混合物である前記(1)又は(2)に記載のシステインプロテアーゼ阻害剤。
(e)配列表の配列番号1に記載のアミノ酸配列のうち、少なくともアミノ酸番号20〜30のアミノ酸配列を有するタンパク質又はペプチド。
(f)配列表の配列番号1に記載のアミノ酸配列のうち、少なくともアミノ酸番号20〜30のアミノ酸配列を有するペプチドであって、1又は複数のアミノ酸の置換、欠失、付加、又は逆位を含み、かつシステインプロテアーゼ阻害活性を有するタンパク質又はペプチド。
(g)配列表の配列番号1に記載のアミノ酸配列のうち、少なくともアミノ酸番号31〜66のアミノ酸配列を有するタンパク質又はペプチド。
(h)配列表の配列番号1に記載のアミノ酸配列のうち、少なくともアミノ酸番号31〜66のアミノ酸配列を有するペプチドであって、1又は複数のアミノ酸の置換、欠失、付加、又は逆位を含み、かつシステインプロテアーゼ阻害活性を有するタンパク質又はペプチド。
(i)配列表の配列番号1に記載のアミノ酸配列のうち、少なくともアミノ酸番号20〜66のアミノ酸配列を有するタンパク質又はペプチド。
(j)配列表の配列番号1に記載のアミノ酸配列のうち、少なくともアミノ酸番号20〜66のアミノ酸配列を有するペプチドであって、1又は複数のアミノ酸の置換、欠失、付加、又は逆位を含み、かつシステインプロテアーゼ阻害活性を有するタンパク質又はペプチド。
【0020】
(5)ラクトフェリン及び/又はラクトフェリンの部分ペプチドが、以下の(k)〜(n)に示すタンパク質又はペプチドの1種又は複数種の混合物である前記(1)又は(2)に記載のシステインプロテアーゼ阻害剤。
(k)配列表の配列番号2に記載のアミノ酸配列のうち、少なくともアミノ酸番号36〜60のアミノ酸配列を有するタンパク質又はペプチド。
(l)配列表の配列番号2に記載のアミノ酸配列のうち、少なくともアミノ酸番号36〜60のアミノ酸配列を有するペプチドであって、1又は複数のアミノ酸の置換、欠失、付加、又は逆位を含み、かつシステインプロテアーゼ阻害活性を有するタンパク質又はペプチド。
(m)配列表の配列番号2に記載のアミノ酸配列のうち、少なくともアミノ酸番号39〜44のアミノ酸配列を有するタンパク質又はペプチド。
(n)配列表の配列番号2に記載のアミノ酸配列のうち、少なくともアミノ酸番号39〜44のアミノ酸配列を有するペプチドであって、1又は複数のアミノ酸の置換、欠失、付加、又は逆位を含み、かつシステインプロテアーゼ阻害活性を有するタンパク質又はペプチド。
【0021】
(6)システインプロテアーゼが関与する疾患の予防・治療剤である前記(1)〜(5)のいずれかに記載のシステインプロテアーゼ阻害剤。
【0022】
(7)システインプロテアーゼが関与する疾患が、骨粗鬆症又は悪性腫瘍性高カルシウム血症である前記(1)〜(6)のいずれかに記載のシステインプロテアーゼ阻害剤。
【0023】
(8)前記(1)〜(7)のいずれかに記載のシステインプロテアーゼ阻害剤を添加してなる飲食品組成物又は飼料組成物。
【0024】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の好ましい実施態様について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の好ましい実施態様に限定されず、本発明の範囲内で自由に変更することができるものである。尚、本明細書において百分率は特に断りのない限り質量による表示である。
【0025】
本発明は、ラクトフェリン、ラクトフェリンの部分ペプチド、及びトランスフェリンからなる群より選択される1種又は複数種の混合物を有効成分として含有するシステインプロテアーゼ阻害剤である。
【0026】
本発明に使用するラクトフェリンは、市販のラクトフェリンや、哺乳動物(例えば、ヒト、ウシ、ヤギ、ヒツジ、ウマ等。)の初乳、移行乳、常乳、末期乳、又はこれらの乳の処理物である脱脂乳、ホエー等を原料とし、例えばイオン交換クロマトグラフィー等の常法により、前記原料から分離して得られるラクトフェリンを用いることができる。中でも、工業的規模で製造されている市販のラクトフェリン(例えば、森永乳業社製)を使用することが好適である。更に、遺伝子工学的手法により、微生物、動物細胞、トランスジェニック動物等で生産したラクトフェリンを使用することも可能である。
【0027】
本発明のシステインプロテアーゼ阻害剤の効果において、ラクトフェリン中の金属含有量は特に限定されず、本発明では、ラクトフェリンを塩酸やクエン酸等により脱鉄したアポ型ラクトフェリン;該アポ型ラクトフェリンを、鉄、銅、亜鉛、マンガン等の金属でキレートさせて得られる飽和度100%の状態の金属飽和ラクトフェリン;及び100%未満の各種飽和度で金属が結合している状態の金属部分飽和ラクトフェリンからなる群から選ばれる、いずれか1種又は複数種の混合物を用いることができる。
【0028】
本発明に使用するラクトフェリンの部分ペプチドの製造方法としては、前記ラクトフェリンを酸又はプロテアーゼにより公知の方法で加水分解することによって製造する方法、遺伝子工学的手法を用いて組換え体ペプチドを合成することによって製造する方法、及び化学合成によって合成ペプチドを製造する方法などが例示される。尚、加水分解によって製造する方法を用いた場合、本発明のラクトフェリンの部分ペプチドは加水分解物中に混合物として含まれた形態で用いても良く、また常法に従ってHPLC等により精製した形態で用いても良い。
【0029】
本発明に使用するラクトフェリン又はラクトフェリンの部分ペプチドの好ましい形態としては、ヒトラクトフェリンのアミノ酸配列である配列表の配列番号1に記載のアミノ酸配列のうち、少なくともアミノ酸番号679〜695、並びにアミノ酸番号20〜30及び/又はアミノ酸番号31〜66、並びにアミノ酸番号20〜66のうち、いずれかのアミノ酸配列を有するタンパク質又はペプチド等を例示することができる。また、ウシラクトフェリンのアミノ酸配列である配列表の配列番号2に記載のアミノ酸配列のうち、少なくともアミノ酸番号676〜692、アミノ酸番号36〜60、及びアミノ酸番号39〜44のうち、いずれかのアミノ酸配列を有するタンパク質又はペプチド等を例示することができる。なお、配列表の配列番号1に記載のアミノ酸配列、及び配列表の配列番号2に記載のアミノ酸配列のうち、アミノ酸番号1〜19はシグナル配列である。
【0030】
このうち、配列番号1に記載のアミノ酸配列のうち、アミノ酸番号679〜695、並びにアミノ酸番号20〜30及び/又はアミノ酸番号31〜66、並びにアミノ酸番号20〜66のうち、いずれかのアミノ酸配列からなるペプチドは、システインプロテアーゼ阻害活性を有し、本発明のシステインプロテアーゼ阻害剤に使用することが可能である。さらに、配列番号2に記載のアミノ酸配列のうち、アミノ酸番号676〜692、アミノ酸番号36〜60、及びアミノ酸番号39〜44のうち、いずれかのアミノ酸配列からなるペプチドは、システインプロテアーゼ阻害活性を有し、本発明のシステインプロテアーゼ阻害剤に使用することが可能である。
【0031】
また、ラクトフェリン自体がシステインプロテアーゼ阻害活性を有することから、配列表の配列番号1のアミノ酸番号679〜695、並びにアミノ酸番号20〜30及び/又はアミノ酸番号31〜66、並びにアミノ酸番号20〜66のいずれかを含み、N末端側もしくはC末端側又はその両方に配列を延長させたアミノ酸配列を有するペプチドも、システインプロテアーゼ阻害活性を有すると考えられる。さらに、配列表の配列番号2のアミノ酸番号676〜692、アミノ酸番号36〜60、及びアミノ酸番号39〜44のいずれかを含み、N末端側もしくはC末端側又はその両方に配列を延長させたアミノ酸配列を有するペプチドも、システインプロテアーゼ阻害活性を有すると考えられる。
【0032】
これらタンパク質及びペプチドは、例えば、本発明によりそのシステインプロテアーゼ阻害活性領域が明らかとなったので、該領域を含むアミノ酸配列に基づいて化学合成によって得ることもでき、また遺伝子組換え技術等により得ることもできる。例えば、該領域を含むアミノ酸配列をコードする塩基配列を基に適当なプライマーを作製し、該プライマーを用いて、目的の塩基配列を含むcDNAを鋳型としてPCR等によって塩基配列を増幅し、得られた塩基配列を適当な発現系を用いて発現させることにより得ることができる。
【0033】
また、通常の遺伝子においては、種、属、個体等の違いによって、1又は複数の位置での1又は複数の塩基の置換、欠失、挿入、付加、又は逆位等の変異が当然存在し、このような変異を有する遺伝子がコードするタンパク質のアミノ酸においても変異が生じている場合がある。本発明に用いることができるラクトフェリン及びラクトフェリンの部分ペプチドには、システインプロテアーゼ阻害活性が損なわれない範囲において、このような変異を含むものも含有される。
【0034】
ここで、本発明に用いることができるラクトフェリン又はラクトフェリンの部分ペプチドとしては、配列表の配列番号1に記載のアミノ酸配列のうち、少なくともアミノ酸番号679〜695、アミノ酸番号20〜30、アミノ酸番号31〜66、及びアミノ酸番号20〜66のいずれかのアミノ酸配列を有するタンパク質又はペプチド、並びに、配列番号2に記載のアミノ酸配列のうち、少なくともアミノ酸番号676〜692、アミノ酸番号36〜60、及びアミノ酸番号39〜44のいずれかのアミノ酸配列を有するタンパク質又はペプチドであって、1又は複数のアミノ酸の置換、欠失、挿入、付加又は逆位を含み、システインプロテアーゼ阻害活性を有するタンパク質又はペプチドが例示される。尚、「1又は複数のアミノ酸の置換、欠失、挿入、付加又は逆位」として可能なものは、少なくとも前記アミノ酸番号のアミノ酸配列を有するタンパク質又はペプチドとシステインプロテアーゼとの間の立体的な相互作用に影響を及ぼさず、システインプロテアーゼ阻害活性を損なわない範囲で任意に設定できるものである。例えば、複数とは、配列表の配列番号1に記載のアミノ酸番号679〜695、アミノ酸番号20〜30、アミノ酸番号31〜66、及びアミノ酸番号20〜66のいずれかのアミノ酸において、並びに、配列表の配列番号2に記載のうち、アミノ酸番号676〜692、アミノ酸番号36〜60、及びアミノ酸番号39〜44のいずれかのアミノ酸において、アミノ酸残基のタンパク質の立体構造における位置や種類によっても異なるが、例えば、2から5個、好ましくは2から3個、より好ましくは2個である。
【0035】
さらに、配列表の配列番号1に記載のアミノ酸配列のうち、アミノ酸番号679〜695、アミノ酸番号20〜30、アミノ酸番号31〜66、及びアミノ酸番号20〜66のいずれかのアミノ酸、並びに、配列表の配列番号2に記載のアミノ酸番号676〜692、アミノ酸番号36〜60、及びアミノ酸番号39〜44のいずれかのアミノ酸においては、アミノ酸の種類を変更しない範囲で置換することが望ましい。すなわち、前記配列におけるアミノ酸と、同アミノ酸を置換するアミノ酸は構造上の分類で類似種類のアミノ酸であることが望ましい。具体的には前記配列のアミノ酸が酸性アミノ酸又は酸性アミノ酸アミドである場合はアスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、又はグルタミンのうちのいずれかとの置換、塩基性アミノ酸である場合はリジン、ヒスチジン、又はアルギニンのうちのいずれかとの置換、芳香族アミノ酸である場合はフェニルアラニン、チロシン、又はトリプトファンのうちのいずれかとの置換、脂肪族アミノ酸又はオキシアミノ酸である場合は、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン又はスレオニンのうちのいずれかとの置換、及び前記以外のアミノ酸(システイン、メチオニン、プロリン等)の場合はシステインプロテアーゼ阻害活性を損なわない範囲で任意に置換することが望ましい。また、配列表の配列番号1に記載のアミノ酸配列のうち、アミノ酸番号679〜695、アミノ酸番号20〜30、アミノ酸番号31〜66、及びアミノ酸番号20〜66のアミノ酸以外の範囲のアミノ酸、又は、配列表の配列番号2に記載のうち、アミノ酸番号676〜692、アミノ酸番号36〜60、及びアミノ酸番号39〜44のアミノ酸以外の範囲のアミノ酸において、アミノ酸残基のタンパク質の立体構造における位置や種類によっても異なるが、例えば、2から10個、好ましくは2から5個、より好ましくは2から3個である。
【0036】
上記のようなラクトフェリンタンパク質又はラクトフェリンの部分ペプチドと実質的に同一のタンパク質又はペプチドをコードする塩基配列は、例えば部位特異的変異法によって、特定の部位のアミノ酸残基が置換、欠失、挿入、付加、又は逆位を含むように塩基配列を改変することによって得られる。また、上記のような改変された塩基配列は、従来知られている変異処理によっても取得されうる。
【0037】
上記のような変異を有する塩基配列を適当な細胞で発現させ、本発明の試験例又は実施例に記載のシステインプロテアーゼ阻害活性の測定法によってシステインプロテアーゼ阻害活性を調べることにより、ラクトフェリンタンパク質又はラクトフェリンの部分ペプチドと実質的に同一のタンパク質又はペプチドをコードする塩基配列が得られる。
【0038】
本発明に使用するトランスフェリンは、一般に市販されているトランスフェリンや、哺乳動物(例えば、ヒト、ウシ、ヤギ、ヒツジ、ウマ等。)の乳又は血液等を原料とし、例えばカラムクロマトグラフィー法等により分離して得られるトランスフェリンを使用することができる。更に、遺伝子工学的手法により、微生物、動物細胞、トランスジェニック動物等で生産したトランスフェリンを使用することも可能である。
【0039】
本発明のシステインプロテアーゼ阻害剤の効果において、トランスフェリン中の金属含有量は特に限定されず、本発明では、トランスフェリンを塩酸やクエン酸等により脱鉄したアポ型トランスフェリン;該アポ型トランスフェリンを、鉄、銅、亜鉛、マンガン等の金属でキレートさせて得られる飽和度100%の状態の金属飽和トランスフェリン;及び100%未満の各種飽和度で金属が結合している状態の金属部分飽和トランスフェリンからなる群から選ばれる、いずれか1種又は複数種の混合物を用いることができる。
【0040】
本発明においてはトランスフェリンの部分ペプチドも使用しうる。前記ラクトフェリンのシステインプロテアーゼ阻害活性領域と推定されるアミノ酸配列(配列番号1のアミノ酸番号679〜695、及び、配列番号2のアミノ酸番号676〜692)と、トランスフェリンのアミノ酸配列を比較したところ、配列番号3に示すヒトトランスフェリンのアミノ酸配列のうち、アミノ酸番号666〜682の領域(ヒトトランスフェリンペプチドY666−R682)、及び配列番号4に示すウシトランスフェリンのアミノ酸配列のうち、アミノ酸番号672〜688の領域(ウシトランスフェリンペプチドY672−R688)に、ラクトフェリンのシステインプロテアーゼ阻害活性領域と高い相同性が認められた(図3参照)。このことと、後記実施例に示すようにトランスフェリンにシステインプロテアーゼ阻害活性が認められたことから、上記のそれぞれの領域を含むヒトトランスフェリン及びウシトランスフェリンの部分ペプチドも、同様にシステインプロテアーゼ阻害活性を有することが強く示唆される。
【0041】
本発明に使用するトランスフェリンの部分ペプチドの製造方法としては、前記トランスフェリンを酸又はプロテアーゼにより公知の方法で加水分解することによって製造する方法、遺伝子工学的手法を用いて組換え体ペプチドを合成することによって製造する方法、及び化学合成によって合成ペプチドを製造する方法などが例示される。尚、加水分解によって製造する方法を用いた場合、本発明のトランスフェリンの部分ペプチドは加水分解物中に混合物として含まれた形態で用いても良く、また常法に従ってHPLC等により精製した形態で用いても良い。
【0042】
本発明に使用するトランスフェリン又はトランスフェリンの部分ペプチドの好ましい形態としては、ヒトトランスフェリンのアミノ酸配列である配列表の配列番号3に記載のアミノ酸配列のうち、少なくともアミノ酸番号666〜682のアミノ酸配列を有するタンパク質又はペプチド、及びウシトランスフェリンのアミノ酸配列である配列表の配列番号4に記載のアミノ酸配列のうち、少なくともアミノ酸番号672〜688のアミノ酸配列を有するタンパク質又はペプチド等を例示することができる。なお、配列表の配列番号3に記載のアミノ酸配列、及び配列表の配列番号4に記載のアミノ酸配列のうち、アミノ酸番号1〜19のアミノ酸配列はシグナル配列である。
【0043】
配列番号3に記載のアミノ酸配列のうち、アミノ酸番号666〜682のアミノ酸配列からなるペプチド、及び配列番号4に記載のアミノ酸配列のうち、アミノ酸番号672〜688のアミノ酸配列からなるペプチドは、本発明によって明らかとなったシステインプロテアーゼ阻害活性領域であるヒトラクトフェリンのアミノ酸配列である配列表の配列番号1に記載のアミノ酸配列のうち、アミノ酸番号679〜695のアミノ酸配列、及びウシラクトフェリンのアミノ酸配列である配列表の配列番号2に記載のアミノ酸配列のうち、アミノ酸番号676〜692のアミノ酸配列との相同性から、システインプロテアーゼ阻害活性を有すると考えられる。また、トランスフェリン自体がシステインプロテアーゼ阻害活性を有することから、配列番号3に記載のアミノ酸配列のうち、アミノ酸番号666〜682のアミノ酸配列を含み、N末端側もしくはC末端側又はその両方に配列を延長させたアミノ酸配列を有するペプチド、及び配列表の配列番号4のアミノ酸番号672〜688を含み、N末端側もしくはC末端側又はその両方に配列を延長させたアミノ酸配列を有するペプチドも、システインプロテアーゼ阻害活性を有すると考えられる。
【0044】
これらタンパク質及びペプチドは、例えば、本発明によりそのシステインプロテアーゼ阻害活性領域と推定される領域が明らかとなったので、該領域を含むアミノ酸配列に基づいて化学合成によって得ることもでき、また遺伝子組換え技術等により得ることもできる。例えば、該領域を含むアミノ酸配列をコードする塩基配列を基に適当なプライマーを作製し、該プライマーを用いて、目的の塩基配列を含むcDNAを鋳型としてPCR等によって塩基配列を増幅し、得られた塩基配列を適当な発現系を用いて発現させることにより得ることができる。
【0045】
また、通常の遺伝子においては、種、属、個体等の違いによって、1又は複数の位置での1又は複数の塩基の置換、欠失、挿入、付加、又は逆位等の変異が当然存在し、このような変異を有する遺伝子がコードするタンパク質のアミノ酸においても変異が生じている場合がある。本発明に用いることができるトランスフェリン及びトランスフェリンの部分ペプチドには、システインプロテアーゼ阻害活性が損なわれない範囲において、このような変異を含むものも含有される。
【0046】
ここで、本発明に用いることができるトランスフェリン又はトランスフェリンの部分ペプチドとしては、配列番号3に記載のアミノ酸配列のうち、少なくともアミノ酸番号666〜682のアミノ酸配列からなるペプチド、及び配列番号4に記載のアミノ酸配列のうち、少なくともアミノ酸番号672〜688のアミノ酸配列を有するタンパク質又はペプチドであって、1又は複数のアミノ酸の置換、欠失、挿入、付加又は逆位を含み、システインプロテアーゼ阻害活性を有するタンパク質又はペプチドが例示される。尚、「1又は複数のアミノ酸の置換、欠失、挿入、付加又は逆位」として可能なものは、少なくとも前記アミノ酸番号のアミノ酸配列を有するタンパク質又はペプチドとシステインプロテアーゼとの間の立体的な相互作用に影響を及ぼさず、システインプロテアーゼ阻害活性を損なわない範囲で任意に設定できるものである。例えば、複数とは、配列番号3に記載のアミノ酸配列のうち、アミノ酸番号666〜682のアミノ酸、及び配列表の配列番号4に記載のうち、アミノ酸番号672〜688のアミノ酸において、アミノ酸残基のタンパク質の立体構造における位置や種類によっても異なるが、例えば、2から5個、好ましくは2から3個、より好ましくは2個である。
【0047】
さらに、配列表の配列番号3に記載のアミノ酸配列のうち、アミノ酸番号673〜677のアミノ酸、及び、配列表の配列番号4に記載のアミノ酸配列のうち、アミノ酸番号679〜683のアミノ酸においては、アミノ酸の種類を変更しない範囲で置換することが望ましい。すなわち、前記配列におけるアミノ酸と、同アミノ酸を置換するアミノ酸は構造上の分類で類似種類のアミノ酸であることが望ましい。具体的には前記配列のアミノ酸が酸性アミノ酸又は酸性アミノ酸アミドである場合はアスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、又はグルタミンのうちのいずれかとの置換、塩基性アミノ酸である場合はリジン、ヒスチジン、又はアルギニンのうちのいずれかとの置換、芳香族アミノ酸である場合はフェニルアラニン、チロシン、又はトリプトファンのうちのいずれかとの置換、脂肪族アミノ酸又はオキシアミノ酸である場合は、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン又はスレオニンのうちのいずれかとの置換、及び前記以外のアミノ酸(システイン、メチオニン、プロリン等)の場合はシステインプロテアーゼ阻害活性を損なわない範囲で任意に置換することが望ましい。また、配列番号3に記載のアミノ酸配列のうち、アミノ酸番号666〜682のアミノ酸以外の範囲のアミノ酸、及び配列表の配列番号4に記載のうち、アミノ酸番号672〜688のアミノ酸以外の範囲のアミノ酸において、アミノ酸残基のタンパク質の立体構造における位置や種類によっても異なるが、例えば、2から10個、好ましくは2から5個、より好ましくは2から3個である。
【0048】
上記のようなトランスフェリンタンパク質又はトランスフェリンの部分ペプチドと実質的に同一のタンパク質又はペプチドをコードする塩基配列は、例えば部位特異的変異法によって、特定の部位のアミノ酸残基が置換、欠失、挿入、付加、又は逆位を含むように塩基配列を改変することによって得られる。また、上記のような改変された塩基配列は、従来知られている変異処理によっても取得されうる。
【0049】
上記のような変異を有する塩基配列を適当な細胞で発現させ、本発明の試験例又は実施例に記載のシステインプロテアーゼ阻害活性の測定法によってシステインプロテアーゼ阻害活性を調べることにより、トランスフェリンタンパク質又はトランスフェリンの部分ペプチドと実質的に同一のタンパク質又はペプチドをコードする塩基配列が得られる。
【0050】
本発明のシステインプロテアーゼ阻害剤においては、ラクトフェリン、ラクトフェリンの部分ペプチド、又はトランスフェリンもしくはトランスフェリンの部分ペプチドをそれぞれ単独で使用することも、複数種を併用して使用することも可能である。また、ラクトフェリンの部分ペプチドは、1種を単独で使用することも、複数種を混合して用いることも可能である。さらに、トランスフェリンの部分ペプチドは、1種を単独で使用することも複数種を混合して用いることも可能である。
【0051】
本発明に用いることができるラクトフェリン、ラクトフェリンの部分ペプチド、又はトランスフェリンは、カテプシンB、L、S及びパパイン等のシステインプロテアーゼに対して阻害活性を有する。システインプロテアーゼ阻害活性は、Barrett等の方法に従って測定することができる。本発明の試験例又は実施例において、該測定方法について詳細に記載する。
【0052】
本発明のシステインプロテアーゼ阻害剤はラクトフェリン、ラクトフェリンの部分ペプチド、又はトランスフェリン、若しくはこれらを製剤学的に許容される製剤担体と組合わせて、経口的、又は非経口的にヒトを含む哺乳動物に投与することができる。本発明の製剤の投与単位形態は特に限定されず、治療目的に応じて適宜選択でき、具体的には、錠剤、丸剤、散剤、液剤、懸濁剤、乳剤、顆粒剤、カプセル剤、シロップ剤、坐剤、注射剤、軟膏剤、貼付剤、点眼剤、点鼻剤等を例示できる。製剤化にあたっては製剤担体として通常の薬剤に汎用される賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、安定剤、矯味矯臭剤、希釈剤、界面活性剤、注射剤用溶剤等の添加剤を使用できる。
【0053】
本発明の製剤中に含まれるラクトフェリン、ラクトフェリンの部分ペプチド、又はトランスフェリンの量は特に限定されず適宜選択すればよいが、例えばいずれも通常製剤中に0.005〜60質量%、好ましくは0.05〜50質量%とするのがよい。
【0054】
本発明の製剤の投与方法は特に限定されず、各種製剤形態、患者の年齢、性別、その他の条件、患者の症状の程度等に応じて決定される。本発明の製剤の有効成分の投与量は、用法、患者の年齢、性別、疾患の程度、その他の条件等により適宜選択される。通常有効成分としてのラクトフェリン、ラクトフェリンの部分ペプチド、又はトランスフェリンの量は、0.1〜1200mg/kg/日、好ましくは10〜500mg/kg/日の範囲となる量を目安とするのが良く、1日1回又は複数回に分けて投与することができる。
【0055】
本発明のシステインプロテアーゼ阻害剤は、システインプロテアーゼが関与する疾患、例えばアレルギー、筋ジストロフィー、筋萎縮症、心筋梗塞、脳卒中、アルツハイマー病、多発性硬化症、白内障、骨粗鬆症、悪性腫瘍性高カルシウム血症、前立腺肥大症、乳癌、前立腺癌等の予防・治療剤、若しくは癌細胞の増殖や転移の抑制剤、又は細菌(スタフィロコッカス・アウレウスV8等)やウイルス(ポリオウイルス、ヘルペスウイルス等)の増殖抑制剤として有用である。本発明のシステインプロテアーゼ阻害剤は、単独で使用しても良いが、公知の前記疾患の予防・治療剤、又は前記細菌・ウイルス増殖抑制剤と併用して使用することも可能である。併用することによって、前記疾患の予防・治療効果、又は前記細菌・ウイルス増殖抑制効果を高めることができる。併用する前記疾患の予防・治療剤、又は前記細菌・ウイルス増殖抑制剤は、本発明の組成物中に有効成分として含有させても良いし、本発明の組成物中には含有させずに別個の薬剤として組合わせて商品化し使用時に組み合わせても良い。
【0056】
本発明の飲食品組成物は、食品又は飲料にラクトフェリン、ラクトフェリンの部分ペプチド、又はトランスフェリンを添加して製造することができ、経口的に摂取することが可能である。飲食品組成物の形態としては、清涼飲料、炭酸飲料、栄養飲料、果汁飲料、乳酸菌飲料等の飲料(これらの飲料の濃縮原液及び調整用粉末を含む);アイスクリーム、シャーベット、かき氷等の氷菓;飴、チューインガム、キャンディー、ガム、チョコレート、錠菓、スナック菓子、ビスケット、ゼリー、ジャム、クリーム、焼き菓子等の菓子類:加工乳、乳飲料、発酵乳、バター等の乳製品;パン;経腸栄養食、流動食、育児用ミルク、スポーツ飲料;その他機能性食品等が例示される。
【0057】
本発明の飲食品組成物において、ラクトフェリン、ラクトフェリンの部分ペプチド、又はトランスフェリンを添加する量は、飲食品組成物の形態によって適宜設定されるが、通常の食品又は飲料中0.005〜60質量%、好ましくは0.05〜50質量%となるように添加すればよい。
【0058】
本発明の飼料組成物は、飼料にラクトフェリン、ラクトフェリンの部分ペプチド、又はトランスフェリンを添加して製造することができ、一般的な哺乳動物や家畜類、養魚類、愛玩動物に経口的に投与することが可能である。飼料組成物の形態としては、ペットフード、家畜飼料、養魚飼料等が例示され、穀類、粕類、糠類、魚粉、骨粉、油脂類、脱脂粉乳、ホエー、鉱物質飼料、酵母類等とともに混合して本発明の飼料組成物を製造することができる。
【0059】
本発明の飼料組成物において、ラクトフェリン、ラクトフェリンの部分ペプチド、又はトランスフェリンを添加する量は、飼料組成物の形態によって適宜設定されるが、通常の飼料中0.005〜60質量%、好ましくは0.05〜50質量%となるように添加すればよい。
【0060】
次に試験例を示して本発明を詳細に説明する。
[試験例1]
本試験は、乳中のシステインプロテアーゼ阻害物質を検出するために行った。
【0061】
(1)検出法
本発明者はプロテアーゼ阻害物質の検出法として「逆ザイモグラフィー」という手法を用い、SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動のゲル上に存在するプロテアーゼ阻害物質の検出を行った。逆ザイモグラフィーとは通常のザイモグラフィーの逆の手法によるものであり、基本的原理は次のとおりである。即ち、ゼラチンを含むSDSポリアクリルアミドゲルにプロテアーゼ阻害物質を含むサンプルをアプライし、電気泳動を行った後にゲルをプロテアーゼ溶液に浸漬してゲル中のタンパク質を分解する。この操作により阻害物質が存在する部分はプロテアーゼの活性を阻害することから、ゼラチンはプロテアーゼによる分解を免れ、これが染色液によって染色されることにより、阻害物質を識別することが可能となる。
【0062】
(2)試験方法
本発明における逆ザイモグラフィーの方法は以下のとおりである。
牛乳中の全タンパク質及びウシラクトフェリン(森永乳業社製)をサンプルとし、0.1%ゼラチンを含む12.5%SDSポリアクリルアミドゲルを用いて、電気泳動(以下、SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動をSDS−PAGEと略記することがある。)を行った。泳動後、ゲルを2.5%Triton X−100溶液に45分間浸漬して洗浄した後、更に45分間蒸留水に浸漬する操作を3回繰り返してゲルを洗浄した。このゲルを、1mgパパイン(31units/ml)を含む0.025M酢酸緩衝液(pH5.5)100mlに浸漬し、37℃で10時間保温してゼラチンを消化した。ゲルを蒸留水で洗浄後、染色液(0.025%クマシー・ブリリアント・ブルー(CBB)R−250、40%メタノール、7%酢酸水溶液)で1時間染色し、その後脱色液(40%メタノール、10%酢酸水溶液)で脱色を行った。
【0063】
これとは別に、対照試験としてゼラチンを含まない12.5%SDSポリアクリルアミドゲルを用いて前記と同様に逆ザイモグラフィーを行った。さらに、通常の12.5%SDS−PAGE(CBB染色)を行った。
【0064】
(3)試験結果
本試験の結果は図1に示すとおりである。図1は逆ザイモグラフィーのパターンを示す結果である。図1の1レーンは牛乳中の全タンパク質の通常のSDS−PAGEのパターン、2レーンは牛乳中の全タンパク質の逆ザイモグラフィーのパターン、3レーンは牛乳中の全タンパク質のゲルにゼラチンを含まない逆ザイモグラフィー(対照)のパターン、4レーンはウシラクトフェリンの逆ザイモグラフィーのパターン、5レーンはウシラクトフェリンのゲルにゼラチンを含まない逆ザイモグラフィー(対照)のパターンを各々示している。尚、図中矢印はウシ由来ラクトフェリン(分子量72kDa)のSDS−PAGEによる泳動位置を示している。尚、6レーン及び7レーンは本試験例とは直接関係がない。
【0065】
図1から明らかなとおり、2レーンにおいてウシラクトフェリンの泳動位置(72kDa)とほぼ同位置に逆ザイモグラフィーのポジティブなバンドが確認された。このことより、牛乳中にシステインプロテアーゼ阻害活性を有する物質の存在が確認された。また、4レーンにおいてウシラクトフェリンを泳動したパパインを用いた逆ザイモグラフィーにおいて、ポジティブなバンドが確認された。
【0066】
以上の結果から、ウシ由来のラクトフェリンにシステインプロテアーゼ阻害活性を有することが示唆された。
【0067】
[試験例2]
本試験は、試験例1においてシステインプロテアーゼ阻害活性が示唆された72kDaのバンドについてN末端アミノ酸配列を決定するために行った。
【0068】
(1)試験方法
試験例1で使用した牛乳中の全タンパク質サンプルを同様に使用してSDS−PAGEを行った後、ポリビニリデンジフルオライド(PVDF)膜に転写し、PVDF膜をCBBで染色後、72kDa付近に泳動された染色バンドを切り出した。このバンドについて、ヒューレットパッカード社製G1005Aプロテインシーケンシングシステムを用いてN末端アミノ酸配列を決定した。
【0069】
(2)試験結果
牛乳中の72kDa染色バンドのアミノ酸配列を決定した結果、72kDa染色バンドのN末端アミノ酸配列は配列表の配列番号2に記載されるウシラクトフェリンのそれと完全に一致した。従って、本試験の結果と試験例1の結果の両者から、ウシラクトフェリンはシステインプロテアーゼ阻害活性を有することが明らかとなった。
【0070】
[試験例3]
本試験は、ウシラクトフェリンのシステインプロテアーゼに対する阻害効果を測定するために行った。
【0071】
(1)試験方法
試験試料として市販のウシラクトフェリン(森永乳業社製)を使用し、システインプロテアーゼとしてパパイン、カテプシンB、カテプシンL、及びカテプシンS(以上いずれも市販品:和光純薬工業社製)に対してシステインプロテアーゼ阻害活性を測定した。阻害活性の測定方法はBarrett等の方法[メソッド・イン・エンザイモロジー(Methods in Enzymology)、第80巻、第535〜561ページ、1981年]を参考にして、次のとおり行った。即ち、0.1M酢酸緩衝液pH5.5に種々の濃度に溶解したサンプルに、基質としてZ−Phe−Arg−MCA(最終濃度20mM:ペプチド研究所社製)を添加し、システインプロテアーゼ(本試験では各サンプルにつき、パパイン、カテプシンB、カテプシンL、及びカテプシンSより選ばれる1種:和光純薬工業社製)溶液(最終濃度:15units/ml)を添加して混合し、37℃で10分間反応させた後、消化を受けた基質から遊離したAMCの蛍光強度(励起波長:370nm、発光波長:460nm)を蛍光分光度計(日立社製)を用いて測定した。
【0072】
(2)試験結果
本試験の結果は、表1に示すとおりである。表1は、パパイン、カテプシンB、カテプシンL、及びカテプシンSに対するウシラクトフェリンのシステインプロテアーゼ阻害効果を示す。その結果、パパイン及びカテプシンLのシステインプロテアーゼ活性は、ウシラクトフェリンの濃度が10−6Mに達したときに完全に阻害された。また、カテプシンB及びカテプシンSのシステインプロテアーゼ活性は、ウシラクトフェリンの濃度が10−5Mに達したときに70%以上阻害され、10−4Mの濃度で完全に阻害された。従って、ウシラクトフェリンは、パパイン、カテプシンB、カテプシンL、及びカテプシンSに対してシステインプロテアーゼ阻害活性を有することが判明した。
【0073】
【表1】
【0074】
[試験例4]
本試験は、ヒトラクトフェリンのシステインプロテアーゼに対する阻害効果を測定するために行った。
【0075】
(1)試験方法
試験試料として市販のヒトラクトフェリン(シグマ社製)を使用し、システインプロテアーゼとしてパパイン、カテプシンB、カテプシンL、及びカテプシンS(以上いずれも市販品:和光純薬工業社製)に対して、試験例3に記載のシステインプロテアーゼ阻害活性測定方法と同様の方法によりシステインプロテアーゼ阻害活性を測定した。
【0076】
(2)試験結果
本試験の結果は、図2に示すとおりである。図2は、パパイン、カテプシンB、カテプシンL、及びカテプシンSに対するヒトラクトフェリンのシステインプロテアーゼ阻害効果を示す。その結果、パパイン及びカテプシンLのシステインプロテアーゼ活性は、ヒトラクトフェリンの濃度が10−6Mに達したときにほぼ完全に阻害された。また、カテプシンB及びカテプシンSのシステインプロテアーゼ活性は、ヒトラクトフェリンの濃度が10−5Mに達したときに80%以上阻害され、10−4Mの濃度でほぼ完全に阻害された。従って、ヒトラクトフェリンは、パパイン、カテプシンB、カテプシンL、及びカテプシンSに対してシステインプロテアーゼ阻害活性を有することが判明した。
【0077】
[試験例5]
本試験は、ラクトフェリンの部分ペプチドのシステインプロテアーゼに対する阻害効果を測定するために行った。
【0078】
(1)試験方法
試験試料として、後記する実施例1で製造した、配列表の配列番号1に記載のアミノ酸配列のうち、アミノ酸番号679〜695のアミノ酸配列を有するペプチド〔以下、ヒトラクトフェリンペプチドY679−K695(図3を参照)と記載する。〕を使用し、システインプロテアーゼとしてパパイン、カテプシンB、及びカテプシンL(以上いずれも市販品:和光純薬工業社製)に対して、試験例3に記載のシステインプロテアーゼ阻害活性測定方法と同様の方法によりシステインプロテアーゼ阻害活性を測定した。
【0079】
(2)試験結果
本試験の結果は、図4に示すとおりである。図4は、パパイン、カテプシンB、及びカテプシンLに対するヒトラクトフェリンペプチドY679−K695のシステインプロテアーゼ阻害効果を示す。その結果、パパイン及びカテプシンLのシステインプロテアーゼ活性は、ペプチドの濃度が10−4Mに達したときに50%以上阻害され、10−3Mの濃度でほぼ完全に阻害された。また、カテプシンBのシステインプロテアーゼ活性は、ペプチドの濃度が10−3Mに達したときに60%阻害された。従って、ヒトラクトフェリンペプチドY679−K695は、パパイン、カテプシンB、及びカテプシンLに対してシステインプロテアーゼ阻害活性を有することが判明した。また、後記する実施例1で製造した、配列表の配列番号2に記載のアミノ酸配列のうち、アミノ酸番号676〜692のアミノ酸配列を有するペプチド〔以下、ウシラクトフェリンペプチドY676−K692(図3を参照)と記載する。〕について同様の阻害活性測定試験を行ったところ、ヒトラクトフェリンペプチドY679−K695とほぼ同等の活性を示すことが明らかとなった。
【0080】
[試験例6]
本試験は、ウシラクトフェリンの部分ペプチドのシステインプロテアーゼに対する阻害効果を測定するために行った。
【0081】
(1)試験方法
試験試料として、後記する実施例1と同様の方法で製造した、配列表の配列番号2に記載のアミノ酸配列のうち、アミノ酸番号36〜60のアミノ酸配列を有するペプチド〔以下、ウシラクトフェリンペプチドF36−F60と記載する。〕を使用し、システインプロテアーゼとしてパパイン(市販品:和光純薬工業社製)に対して、試験例3に記載のシステインプロテアーゼ阻害活性測定方法と同様の方法によりシステインプロテアーゼ阻害活性を測定した。
【0082】
(2)試験結果
本試験の結果は、表2に示すとおりである。表2は、パパインに対するウシラクトフェリンペプチドのシステインプロテアーゼ阻害効果を示す。その結果、パパインのシステインプロテアーゼ活性は、ウシラクトフェリンペプチドF36−F60の濃度が10−4Mに達したときに88%阻害された。従って、ウシラクトフェリンペプチドF36−F60は、パパインに対してシステインプロテアーゼ阻害活性を有することが判明した。
【0083】
【表2】
【0084】
[試験例7]
本試験は、トランスフェリンのシステインプロテアーゼに対する阻害効果を測定するために行った。
【0085】
(1)試験方法
試験試料として市販のウシトランスフェリン(日本製薬社製)を使用し、システインプロテアーゼとしてパパイン、カテプシンB、及びカテプシンL(以上いずれも市販品:和光純薬工業社製)に対して、試験例3に記載のシステインプロテアーゼ阻害活性測定方法と同様の方法によりシステインプロテアーゼ阻害活性を測定した。
【0086】
(2)試験結果
本試験の結果は、図5に示すとおりである。図5は、パパイン、カテプシンB、及びカテプシンLに対するトランスフェリンのシステインプロテアーゼ阻害効果を示す。その結果、パパインのシステインプロテアーゼ活性は、トランスフェリンの濃度が10−4Mに達したときに40%阻害され、10−3Mの濃度で完全に阻害された。また、カテプシンB及びカテプシンLのシステインプロテアーゼ活性は、トランスフェリンの濃度が10−4Mに達したときに30%以上阻害された。従って、ウシトランスフェリンは、パパイン、カテプシンB、及びカテプシンLに対してシステインプロテアーゼ阻害活性を有することが判明した。
【0087】
【実施例】
次に実施例を示して本発明を更に詳細に説明する。尚、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
配列表の配列番号1に記載のアミノ酸配列のうち、アミノ酸番号679〜695のアミノ酸配列を有するペプチド(図3を参照:ヒトラクトフェリンペプチドY679−K695)を、以下の方法により製造した。
【0088】
尚、前記本発明のペプチドは、自動アミノ酸合成装置(アプライド・バイオシステムズ社製。Model 433A)を用いて合成を行い製造を行った。
【0089】
20%ピペリジン含有N−メチルピロリドン(アプライド・バイオシステムズ社製。以下、N−メチルピロリドンをNMPと略記する)により、ペプチド合成用固相樹脂であるHMP樹脂(アプライド・バイオシステムズ社製)のアミノ保護基であるFmoc基を切断除去し、NMPで洗浄した後、 Fmoc−スレオニン[具体的には、合成するペプチドのC末端アミノ酸に相当するFmoc−アミノ酸(アプライド・バイオシステムズ社製)]をFastMoc(登録商標)リージェントキット(アプライド・バイオシステムズ社製)を使用して縮合させ、NMPで洗浄した。次に、前記Fmoc基の切断、続いて、C末端から2番目のアミノ酸に相当するFmoc−アラニンの縮合、及び洗浄を行い、さらにFmoc−アミノ酸の縮合及び洗浄を繰り返し、保護ペプチド樹脂を作製し、樹脂より粗製ペプチドを回収した。
【0090】
前記粗製ペプチドから、高速液体クロマトグラフィー(以下、HPLCと略記する。)によりペプチドの精製を行った。カラムは逆相系のC18−ODS(メルク社製。Lichrospher100)を使用した。得られた精製ペプチドはHPLC分析を行い、精製物が単一であることを更に確認した。また、精製ペプチドのアミノ酸配列を、気相式自動アミノ酸シーケンサー(アプライド・バイオシステムズ社製。Model 473A)を用いて決定した結果、配列番号1のアミノ酸番号679〜695のアミノ酸配列を有していた。
【0091】
尚、同様の方法により配列番号2に記載のアミノ酸配列のうち、アミノ酸番号676〜692のアミノ酸配列を有するペプチド(図3を参照:ウシラクトフェリンペプチドY676−K692)も製造した。
【0092】
[実施例2]
(ラクトフェリンを配合した錠剤の調製)
次の組成からなる錠剤のシステインプロテアーゼ阻害剤を次の方法により製造した。
ウシラクトフェリン(森永乳業社製) 40.0(%)
乳糖(森永乳業社製) 18.5
トウモロコシ澱粉(日清製粉社製) 30.7
ステアリン酸マグネシウム(太平化学産業社製) 1.4
カルボキシメチルセルロ−スカルシウム(五徳薬品社製) 9.4
【0093】
ウシラクトフェリン、乳糖、トウモロコシ澱粉及びカルボキシメチルセルロ−スカルシウムの混合物に、滅菌精製水を適宜添加しながら均一に混練し、50℃で3時間乾燥させ、得られた乾燥物にステアリン酸マグネシウムを添加して混合し、常法により打錠し、錠剤を得た。
【0094】
[実施例3]
(カプセル入りラクトフェリンの調製)
乳糖(和光純薬工業社製)600g、トウモロコシデンプン(日清製粉社製)400g、結晶セルロース(和光純薬工業社製)400g及びウシラクトフェリン(森永乳業社製)600gを、50メッシュ篩(ヤマト科学社製)により篩分けし、厚さ0.5mmのポリエチレン製の袋にとり、転倒混合し、全自動カプセル充填機(Cesere Pedini社製。プレス式)を用い、前記粉末をカプセル(日本エランコ社製。1号ゼラチンカプセル、Op.Yellow No.6 Body、空重量は75mg)に内容量275mgで充填し、ウシラクトフェリン82mg入りのカプセル剤7,000個を得た。
【0095】
[実施例4]
(ウシラクトフェリンを添加した飲料の調製)
脱脂粉乳(森永乳業社製)90gを50℃の温湯800mlに溶解し、砂糖(日新製糖社製)30g、インスタントコーヒー粉末(ネスレ社製)14g、カラメル(昭和化工社製)2g、及びコーヒーフレーバー(三栄化学社製)0.01g、を攪拌しながら順次添加して溶解し、10℃に冷却し、ウシラクトフェリン(森永乳業社製)1gを添加し、ウシラクトフェリン約0.1%を含むシステインプロテアーゼ阻害効果を有する乳飲料を調製した。
【0096】
[実施例5]
(ウシラクトフェリンを添加した経腸栄養食粉末の調製)
ホエー蛋白酵素分解物(森永乳業社製)10.8kg、デキストリン(昭和産業社製)36kg、及び少量の水溶性ビタミンとミネラルを水200kgに溶解し、水相をタンク内に調製した。これとは別に、大豆サラダ油(太陽油脂社製)3kg、パーム油(太陽油脂社製)8.5kg、サフラワー油(太陽油脂社製)2.5kg、レシチン(味の素社製)0.2kg、脂肪酸モノグリセリド(花王社製)0.2kg、及び少量の脂溶性ビタミンを混合溶解し、油相を調製した。タンク内の水相に油相を添加し、攪拌して混合した後、70℃に加温し、更にホモゲナイザーにより14.7MPaの圧力で均質化した。次いで、90℃で10分間殺菌した後に、濃縮し、噴霧乾燥して、中間製品粉末約59kgを調製した。この中間製品粉末50kgに、蔗糖(ホクレン社製)6.8kg、アミノ酸混合粉末(味の素社製)167g、及びウシラクトフェリン(森永乳業社製)60gを添加し、均一に混合して、ウシラクトフェリンを含有するシステインプロテアーゼ阻害効果を有する経腸栄養食粉末約57kgを製造した。
【0097】
【発明の効果】
以上詳記したとおり、本発明はラクトフェリン、ラクトフェリンの部分ペプチド、及びトランスフェリンからなる群より選択される1種又は複数種の混合物を有効成分として含有するシステインプロテアーゼ阻害剤に関するものであり、本発明により奏される効果は次のとおりである。
(1)食品素材として利用することができるタンパク質であるので、安全性に優れ日常的に長期間投与又は摂取が可能である。
(2)幅広いシステインプロテアーゼに対して阻害活性スペクトルを有する。
(3)システインプロテアーゼが関与する疾患の予防・治療剤として使用することが可能である。
【0098】
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、ウシ乳タンパク質の逆ザイモグラフィーの検出を示す図(写真)である。
【図2】図2は、システインプロテアーゼに対するヒトラクトフェリンのシステインプロテアーゼ阻害効果を示す図である。
【図3】図3は、実施例1で製造したヒトラクトフェリンの部分ペプチド(ヒトラクトフェリンペプチドY679−K695)、及びウシラクトフェリンの部分ペプチド(ウシラクトフェリンペプチドY676−K692)、並びに配列表の配列番号3に記載のアミノ酸配列のうち、アミノ酸番号666〜682のアミノ酸配列を有するペプチド(ヒトトランスフェリンペプチドY666−R682)、及び配列表の配列番号4に記載のアミノ酸配列のうち、アミノ酸番号672〜688のアミノ酸配列を有するペプチド(ウシトランスフェリンペプチドY672−R688)のアミノ酸配列を示す図である。
【図4】図4は、システインプロテアーゼに対するヒトラクトフェリンペプチドY679−K695のシステインプロテアーゼ阻害効果を示す図である。
【図5】図5は、システインプロテアーゼに対するトランスフェリンのシステインプロテアーゼ阻害効果を示す図である。
Claims (8)
- ラクトフェリン、ラクトフェリンの部分ペプチド、及びトランスフェリンからなる群より選択される1種又は複数種の混合物を有効成分として含有するシステインプロテアーゼ阻害剤。
- ラクトフェリン及び/又はトランスフェリンが、金属飽和型、金属部分飽和型、アポ型からなる群より選択される1種又は複数種の混合物である請求項1に記載のシステインプロテアーゼ阻害剤。
- ラクトフェリン及び/又はラクトフェリンの部分ペプチドが、以下の(a)〜(d)に示すタンパク質又はペプチドの1種又は複数種の混合物である請求項1又は2に記載のシステインプロテアーゼ阻害剤。
(a)配列表の配列番号1に記載のアミノ酸配列のうち、少なくともアミノ酸番号679〜695のアミノ酸配列を有するタンパク質又はペプチド。
(b)配列表の配列番号1に記載のアミノ酸配列のうち、少なくともアミノ酸番号679〜695のアミノ酸配列を有するペプチドであって、1又は複数のアミノ酸の置換、欠失、付加、又は逆位を含み、かつシステインプロテアーゼ阻害活性を有するタンパク質又はペプチド。
(c)配列表の配列番号2に記載のアミノ酸配列のうち、少なくともアミノ酸番号676〜692のアミノ酸配列を有するタンパク質又はペプチド。
(d)配列表の配列番号2に記載のアミノ酸配列のうち、少なくともアミノ酸番号676〜692のアミノ酸配列を有するペプチドであって、1又は複数のアミノ酸の置換、欠失、付加、又は逆位を含み、かつシステインプロテアーゼ阻害活性を有するタンパク質又はペプチド。 - ラクトフェリン及び/又はラクトフェリンの部分ペプチドが、以下の(e)〜(j)に示すタンパク質又はペプチドの1種又は複数種の混合物である請求項1又は2に記載のシステインプロテアーゼ阻害剤。
(e)配列表の配列番号1に記載のアミノ酸配列のうち、少なくともアミノ酸番号20〜30のアミノ酸配列を有するタンパク質又はペプチド。
(f)配列表の配列番号1に記載のアミノ酸配列のうち、少なくともアミノ酸番号20〜30のアミノ酸配列を有するペプチドであって、1又は複数のアミノ酸の置換、欠失、付加、又は逆位を含み、かつシステインプロテアーゼ阻害活性を有するタンパク質又はペプチド。
(g)配列表の配列番号1に記載のアミノ酸配列のうち、少なくともアミノ酸番号31〜66のアミノ酸配列を有するタンパク質又はペプチド。
(h)配列表の配列番号1に記載のアミノ酸配列のうち、少なくともアミノ酸番号31〜66のアミノ酸配列を有するペプチドであって、1又は複数のアミノ酸の置換、欠失、付加、又は逆位を含み、かつシステインプロテアーゼ阻害活性を有するタンパク質又はペプチド。
(i)配列表の配列番号1に記載のアミノ酸配列のうち、少なくともアミノ酸番号20〜66のアミノ酸配列を有するタンパク質又はペプチド。
(j)配列表の配列番号1に記載のアミノ酸配列のうち、少なくともアミノ酸番号20〜66のアミノ酸配列を有するペプチドであって、1又は複数のアミノ酸の置換、欠失、付加、又は逆位を含み、かつシステインプロテアーゼ阻害活性を有するタンパク質又はペプチド。 - ラクトフェリン及び/又はラクトフェリンの部分ペプチドが、以下の(k)〜(n)に示すタンパク質又はペプチドの1種又は複数種の混合物である請求項1又は2に記載のシステインプロテアーゼ阻害剤。
(k)配列表の配列番号2に記載のアミノ酸配列のうち、少なくともアミノ酸番号36〜60のアミノ酸配列を有するタンパク質又はペプチド。
(l)配列表の配列番号2に記載のアミノ酸配列のうち、少なくともアミノ酸番号36〜60のアミノ酸配列を有するペプチドであって、1又は複数のアミノ酸の置換、欠失、付加、又は逆位を含み、かつシステインプロテアーゼ阻害活性を有するタンパク質又はペプチド。
(m)配列表の配列番号2に記載のアミノ酸配列のうち、少なくともアミノ酸番号39〜44のアミノ酸配列を有するタンパク質又はペプチド。
(n)配列表の配列番号2に記載のアミノ酸配列のうち、少なくともアミノ酸番号39〜44のアミノ酸配列を有するペプチドであって、1又は複数のアミノ酸の置換、欠失、付加、又は逆位を含み、かつシステインプロテアーゼ阻害活性を有するタンパク質又はペプチド。 - システインプロテアーゼが関与する疾患の予防・治療剤である請求項1〜5のいずれか一項に記載のシステインプロテアーゼ阻害剤。
- システインプロテアーゼが関与する疾患が、骨粗鬆症又は悪性腫瘍性高カルシウム血症である請求項1〜6のいずれか一項に記載のシステインプロテアーゼ阻害剤。
- 請求項1〜7のいずれか一項に記載のシステインプロテアーゼ阻害剤を添加してなる飲食品組成物又は飼料組成物。
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2003
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