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JP2004341297A - 光ファイバ心線 - Google Patents

光ファイバ心線 Download PDF

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JP2004341297A
JP2004341297A JP2003138662A JP2003138662A JP2004341297A JP 2004341297 A JP2004341297 A JP 2004341297A JP 2003138662 A JP2003138662 A JP 2003138662A JP 2003138662 A JP2003138662 A JP 2003138662A JP 2004341297 A JP2004341297 A JP 2004341297A
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optical fiber
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less
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JP2003138662A
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Yoshihisa Kato
善久 加藤
Hideyuki Suzuki
秀幸 鈴木
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Hitachi Cable Ltd
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Hitachi Cable Ltd
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Abstract

【課題】高温高湿度の環境下や温水中において動疲労特性や伝送特性を長期間に亘って安定的に維持できる光ファイバ心線を提供するものである。
【解決手段】本発明に係る光ファイバ心線10は、光ファイバ11の外周に、紫外線硬化型樹脂で構成される被覆層12を設けたものであり、上記被覆層12を一次被覆層13と二次被覆層14の二層に形成し、かつ、その一次被覆層13を、上記光ファイバ11に対する密着力が20g/cm幅以上の紫外線硬化型樹脂で形成したものである。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ファイバ心線に係り、特に、光ファイバの外周に、紫外線硬化型樹脂で構成される被覆層を設けた光ファイバ心線に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
石英ガラスを主成分とするガラスファイバ(光ファイバ)の外周に、被覆層を設けた光ファイバ心線として、光ファイバの外周に比較的軟質の紫外線硬化型樹脂からなる一次被覆層を被覆し、その一次被覆層の外周に比較的硬質の紫外線硬化型樹脂からなる二次被覆層を被覆したものがある。ここで言う、ガラスファイバ(光ファイバ)とは、コアと、コアの外周に被覆して設けられるクラッドとで構成されるものである。
【0003】
この紫外線硬化型樹脂からなる被覆層を有する光ファイバ心線は、それらを複数本、種々の形態で集合させることでケーブル化される。現在、このケーブルを含めた光ファイバケーブルは、洞道内等を含む様々な環境下に敷設されている。
【0004】
光ファイバ心線における光ファイバ強度の安定性を高めるために、これまでに種々の提案がなされている。例えば、被覆層の構成樹脂の吸水率を限定することによって、動疲労係数を向上させた光ファイバ心線がある(例えば、特許文献1参照)。また、被覆層の構成樹脂の吸水率を限定し、かつ、被覆層と光ファイバとの接着力を一定の範囲に限定することによって、アルカリ水に対する光ファイバ心線の引張強度保持率を高めた光ファイバ心線がある(例えば、特許文献2参照)。さらに、ガラスファイバの引抜力の限定と、被覆層の構成樹脂に使用する酸化防止剤の特定とによって、ガラスファイバの強度保持率を高めた被覆光ファイバがある(例えば、特許文献3参照)。また、二次被覆層の構成樹脂の透湿率を限定することで疲労特性を向上させた光ファイバ素線(光ファイバ心線)がある(例えば、特許文献4参照)。また、被覆層を構成する紫外線硬化型樹脂のpHと濁度とを限定することで、ガラスファイバの強度劣化を抑制した被覆光ファイバ(光ファイバ心線)がある(例えば、特許文献5参照)。
【0005】
一方、光ファイバ心線における伝送特性の安定性を高めるために、これまでに種々の提案がなされている。例えば、光ファイバ裸線(光ファイバ)と一次被覆材との界面の引抜力の限定、及び一次被覆材の合成に用いるモノマーに添加する密着性モノマーの特定により、水中浸漬時の伝送損失の増加を防止した光ファイバ素線がある(例えば、特許文献6参照)。また、光ファイバの被覆層の吸水率、吸水膨潤率、及び加熱減量を限定することで、耐湿・耐水性を向上させた光ファイバテープ心線がある(例えば、特許文献7参照)。さらに、二次被覆層の外周に設けられる着色層の顔料濃度と、着色層間と二次被覆層との間の層間密着力とを限定することで、耐水性を向上させた光ファイバ心線がある(例えば、特許文献8参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開平7−215738号公報
【特許文献2】
特許第2768674号公報
【特許文献3】
特開2000−180676号公報
【特許文献4】
特開2000−275483号公報
【特許文献5】
特開2001−64040号公報
【特許文献6】
特開平9−5587号公報
【特許文献7】
特開平9−33773号公報
【特許文献8】
特開平11−311723号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した特許文献などに記載されたいずれの光ファイバ心線においても、高温高湿度の環境下や温水中において動疲労特性や伝送特性を長期間に亘って安定的に維持することはできなかった。
【0008】
以上の事情を考慮して創案された本発明の目的は、高温高湿度の環境下や温水中において動疲労特性や伝送特性を長期間に亘って安定的に維持できる光ファイバ心線を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成すべく本発明に係る光ファイバ心線は、光ファイバの外周に、紫外線硬化型樹脂で構成される被覆層を設けた光ファイバ心線において、上記被覆層を一次被覆層と二次被覆層の二層に形成し、かつ、その一次被覆層を、上記光ファイバに対する密着力が20g/cm幅以上の紫外線硬化型樹脂で形成したものである。
【0010】
具体的には、請求項2に示すように、上記一次被覆層の構成樹脂及び上記二次被覆層の構成樹脂の透湿率をそれぞれ400g/(m・24hr)以下、かつ、一次被覆層の構成樹脂と二次被覆層の構成樹脂の透湿率の和を500g/(m・24hr)以下とする。
【0011】
また、請求項3に示すように、60℃の温水に24時間浸漬した時の上記密着力の減少率、及び85℃,85%RHの雰囲気下に24時間静置した後の上記密着力の減少率を、それぞれ30%以下とする。
【0012】
また、請求項4に示すように、上記一次被覆層の構成樹脂のヤング率を0.5〜2MPa、上記二次被覆層の構成樹脂のヤング率を500〜1000MPaとすることが好ましい。
【0013】
また、請求項5に示すように、上記一次被覆層の構成樹脂及び二次被覆層の構成樹脂である紫外線硬化型樹脂を、ウレタンアクリレート系、ウレタンメタアクリレート系、ポリエステルウレタンアクリレート系、ポリエステルウレタンメタアクリレート系、ポリエーテルアクリレート系、ポリエーテルメタアクリレート系、ポリカーボネートウレタンアクリレート系、又はポリカーボネートウレタンメタアクリレート系とすることが好ましい。
【0014】
以上の構成によれば、被覆層を構成する紫外線硬化型樹脂の特性を限定したことで、高温高湿度の環境下や温水中においても、動疲労特性や伝送特性を長期間に亘って安定的に維持することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適一実施の形態を添付図面に基いて説明する。
【0016】
本発明者らが鋭意研究を行った結果、光ファイバ心線が、高温高湿度の環境下や温水中において、動疲労特性や伝送特性を長期間に亘って安定的に維持できるようにするには、光ファイバと一次被覆層との密着力、被覆層の構成樹脂の透湿率に加え、高温高湿度の環境下や温水中における被覆層の特性の変化、特に密着力の変動幅(変化率)が大きく影響していることを見出し、本発明を創案するに到った。
【0017】
本発明に係る光ファイバ心線の一実施の形態の横断面図を図1に示す。
【0018】
図1に示すように、本実施の形態に係る光ファイバ心線10は、石英ガラスファイバ(光ファイバ)11の外周に、紫外線硬化型樹脂で構成される被覆層12を設けたものである。より具体的には、被覆層12は、一次被覆層13と二次被覆層14の二層で構成され、かつ、その一次被覆層13は、光ファイバ11に対する密着力が20g/cm幅以上の紫外線硬化型樹脂で形成したものである。
【0019】
ここで言う密着力とは、石英ガラス板上に、200±10μmの膜厚で紫外線硬化型樹脂被膜を被覆形成した後、酸素濃度が500ppm以下の窒素雰囲気下、紫外線を500mJ/cmの照射量で樹脂膜に照射して硬化させ、その後、23±2℃、55±5%RH(Relative Humidity;相対湿度)の雰囲気下で樹脂膜を24hr以上静置した後、1cm幅にスリットを入れ、JIS Z0237の『90°引きはがし法(引きはがし速度(ピール速度):50mm/min)』に準拠して測定した値である。
【0020】
光ファイバ11と一次被覆層12との密着力は20g/cm幅以上、好ましくは20〜60g/cm幅である。ここで、密着力が20g/cm幅未満だと、光ファイバ11から一次被覆層12が剥離しやすくなり、光ファイバ11の伝送損失の増加を招いてしまう。また、密着力が60g/cm幅を超えると、一次被覆層12の取扱性が悪化し、例えばストリップ性が低下するといった問題が生じる。また、密着力は、引抜力(一次被覆層12中から光ファイバ11を、引抜長10mm、引抜速度50mm/minで引抜くのに要する力)で表すこともできる。光ファイバ11と一次被覆層12との引抜力は400〜1000g/cmである。ここで、引抜力が400g/cm未満だと、温水浸漬時又は高温高湿度の環境下における密着力の変動によって光ファイバ11から一次被覆層12が剥離しやすくなり、また、1000g/cmを超えると一次被覆層13のストリップ性が低下するといった問題が生じる。
【0021】
また、一次被覆層13の構成樹脂及び二次被覆層14の構成樹脂の各透湿率13′,14′は、それぞれ400g/(m・24hr)以下であり、かつ、一次被覆層13の構成樹脂と二次被覆層14の構成樹脂の各透湿率13′,14′の和は500g/(m・24hr)以下である。ここで、各透湿率13′,14′が400g/(m・24hr)を超えると、高温高湿度の環境下における光ファイバ心線10の強度低下が大きくなる。また、透湿率13′,14′の和が500g/(m・24hr)以下であるということは、透湿率13′,14′の差の最大値は300g/(m・24hr)以下となる。透湿率13′,14′の差があまり大きいと、温水中や高温高湿度下における光ファイバ11(光ファイバ心線10)の伝送損失の増加が生じやすくなるため、好ましくは透湿率13′,14′の差(13′>14′)は200g/(m・24hr)以下、より好ましくは100g/(m・24hr)以下である。
【0022】
また、光ファイバ心線10を60℃の温水に24時間浸漬した時の、光ファイバ11に対する一次被覆層13の密着力の減少率、及び光ファイバ心線10を85℃,85%RHの雰囲気下に24時間静置した後の、光ファイバ11に対する一次被覆層13の密着力の減少率は、それぞれ30%以下である。ここで、各密着力の減少率がそれぞれ30%を超えると、光ファイバ11の強度低下や伝送損失の増加が促進され、長期間に亘って動疲労特性や伝送特性を維持することが困難となるためである。
【0023】
また、一次被覆層13の構成樹脂としては、そのヤング率が0.5〜2MPaのものが好ましく、二次被覆層14の構成樹脂としては、そのヤング率が500〜1000MPaのものが好ましい。
【0024】
以上の条件を満足する一次被覆層13の構成樹脂及び二次被覆層14の構成樹脂である紫外線硬化型樹脂としては、例えば、ウレタンアクリレート系、ウレタンメタアクリレート系、ポリエステルウレタンアクリレート系、ポリエステルウレタンメタアクリレート系、ポリエーテルアクリレート系、ポリエーテルメタアクリレート系、ポリカーボネートウレタンアクリレート系、又はポリカーボネートウレタンメタアクリレート系が挙げられる。好ましくは、汎用性があり、比較的安価なウレタンアクリレート系紫外線硬化型樹脂が挙げられる。上記した樹脂の中で、一次被覆層13の構成樹脂として特に好ましいのは、ポリオール構造がエチレンオキシドを有さないウレタンアクリレートオリゴマを用いてなるウレタンアクリレート系紫外線硬化型樹脂である。
【0025】
以上、本実施の形態に係る光ファイバ心線10は、被覆層12を構成する一次被覆層13の構成樹脂及び二次被覆層14の構成樹脂の特性の限定や種類の特定をしたことで、高温高湿度の環境下や温水中においても、動疲労特性や伝送特性を長期間に亘って安定的に維持することができる。
【0026】
本実施の形態においては、光ファイバ11として石英ガラス製のファイバを用いた場合について説明を行ったが、光ファイバ11としては特に限定するものではなく、情報通信などの伝達に一般的に用いられるものであれば全て適用可能である。
【0027】
以上、本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、他にも種々のものが想定されることは言うまでもない。
【0028】
【実施例】
次に、本発明について、実施例に基づいて説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0029】
<実験例1>
先ず、一次被覆層の構成樹脂として、4種類のウレタンアクリレート系紫外線硬化型樹脂(試料a〜d)を準備する。
【0030】
試料a:ポリオール構造がテトラメチレンオキサイド−プロピレンオキサイドを有するウレタンアクリレートオリゴマ(Mw(分子量)≒5000)、100重量部に対して、ノニルフェノキシポリエチレングリコールアクリレートを20重量部(東亞合成製:アロニックス M−113)、イソボニルアクリレートを20重量部(サートマー製:SR−506)、N−ビニルカプロラクタムを10重量部(東亞合成製:アロニックス M−150)、光開始剤を2重量部、酸化防止剤を1重量部、シランカップリング剤を1重量部、アミン系安定剤を0.5重量部含有するウレタンアクリレート系紫外線硬化型樹脂を作製する。
【0031】
試料b:ポリオール構造がポリプロピレンオキサイドを有するウレタンアクリレートオリゴマ(Mw≒5000)を用いる以外は、aの樹脂と同様にしてウレタンアクリレート系紫外線硬化型樹脂を作製する。
【0032】
試料c:ポリオール構造がブチレンオキサイド−エチレンオキシドを有するウレタンアクリレートオリゴマ(Mw≒4000)を用いる以外は、aの樹脂と同様にしてウレタンアクリレート系紫外線硬化型樹脂を作製する。
【0033】
試料d:ポリオール構造がポリプロピレンオキシド−エチレンオキシドを有するウレタンアクリレートオリゴマ(Mw≒4000)を用いる以外は、aの樹脂と同様にしてウレタンアクリレート系紫外線硬化型樹脂を作製する。
【0034】
<実験例2>
次に、二次被覆層の構成樹脂として、3種類のウレタンアクリレート系紫外線硬化型樹脂(試料A〜C)を準備する。
【0035】
試料A:ポリオール構造がポリテトラメチレングリコールを有するウレタンアクリレートオリゴマ(Mw≒2000)、70重量部に対して、ウレタンプレポリマを30重量部、1,6−ヘキサンジアクリレートを10重量部(日本化薬製:カラヤッドHDDA)、イソボニルアクリレートを20重量部、N−ビニルピロリドンを30重量部、光開始剤を2重量部、酸化防止剤を1重量部、レベリング剤を1重量部、アミン系安定剤を0.5重量部含有するウレタンアクリレート系紫外線硬化型樹脂を作製する。
【0036】
試料B:ポリオール構造がポリテトラメチレンジグリコールを有するウレタンアクリレートオリゴマ(Mw≒2000)、100重量部に対して、ジシクロペンタニルジアクリレートを15重量部(日本化薬製:カラヤッド R−684)、イソボニルアクリレートを20重量部、N−ビニルピロリドンを30重量部、光開始剤を2重量部、酸化防止剤を1重量部、レベリング剤を1重量部、アミン系安定剤を0.5重量部含有するウレタンアクリレート系紫外線硬化型樹脂を作製する。
【0037】
試料C:ポリオール構造がポリテトラメチレンジグリコール−エチレンオキシドを有するウレタンアクリレートオリゴマ(Mw≒3000)、100重量部に対して、ジシクロペンタニルジアクリレートを10重量部、イソボニルアクリレートを20重量部、N−ビニルピロリドンを30重量部、光開始剤を2重量部、酸化防止剤を1重量部、レベリング剤を1重量部、アミン系安定剤を0.5重量部含有するウレタンアクリレート系紫外線硬化型樹脂を作製する。
【0038】
得られた試料a〜dを用い、図2(a)、図2(b)に示す石英製スライドガラス21上に約200μmの厚さの被膜(樹脂膜)22をそれぞれ形成する。次に、酸素濃度が500ppm以下の窒素雰囲気下、紫外線を500mJ/cmの照射量で各樹脂膜22に照射して硬化させ、その後、23±2℃、55±5%RHの雰囲気下で各樹脂膜22を24hr以上静置する。その後、各樹脂膜22に1cm幅のスリット23,23を入れると共に、スリット23,23より外側の部分の各樹脂膜22を除去し、4種類の試験片20を3組作製する。
【0039】
1組の各試験片20について、JIS Z0237の『90°引きはがし法(引きはがし速度(ピール速度):50mm/min)』に準拠し、スライドガラス21と樹脂膜22との密着力(初期密着力)を測定した。
【0040】
また、残り2組の各試験片について、60℃温水中の密着力および85℃,85%RH環境下の密着力をそれぞれ測定した。
【0041】
ここで、60℃温水中の密着力は、図2(a)、図2(b)に示した各試験片20を60℃温水中に24hr浸漬させた後、図3(a)、図3(b)に示すように、樹脂膜42の長手方向一端側(図3(a)、図3(b)中では左端側)をスライドガラス41から一部剥離させて試験片40を形成する。その試験片40を、60℃の温水31で満たされたアルミ製のウォーターバス32内にセットする。各試験片40は、長手方向両端部が固定治具34a,34bで固定されている。また、バス32の底部にはヒータ33が設けられており、これによって温水31が恒温保持される。この状態で、各試験片40について、JIS Z0237の『90°引きはがし法(引きはがし速度(ピール速度):50mm/min)』に準拠し、スライドガラス41と樹脂膜42との密着力(密着力x)、および変化率(%;={初期密着力−密着力x}×100/初期密着力)を測定した。
【0042】
また、85℃,85%RH環境下の密着力は、図2(a)、図2(b)に示した各試験片20を85℃,85%RH環境下に24hr静置した後、試験片40を形成する。その試験片40を、85℃,85%RHに調整したチャンバー付テンシロン(図示せず)内にセットする。この状態で、各試験片40について、JIS Z0237の『90°引きはがし法(引きはがし速度(ピール速度):50mm/min)』に準拠し、スライドガラス41と樹脂膜42との密着力(密着力y)、および変化率(%;={初期密着力−密着力y}×100/初期密着力)を測定した。
【0043】
一方、得られた試料a〜d及び試料A〜Cを用い、厚さが50±5μmのフィルムをそれぞれ形成する。次に、酸素濃度が500ppm以下の窒素雰囲気下、紫外線を500mJ/cmの照射量で各フィルムに照射して硬化させ、その後、23±2℃、55±5%RHの雰囲気下で各フィルムを24hr以上静置する。その後、各フィルムについて、JIS Z 0208の「防湿包装材料の透湿度試験方法(カップ法)」に準拠し、条件B(温度:40±5℃、湿度:90±2%)で透湿度試験を行い、透湿率(g/m・24hr)を測定した。
【0044】
試料a〜d及び試料A〜Cの各測定値を表1に示す。
【0045】
【表1】
Figure 2004341297
【0046】
表1に示すように、試料a〜dの内で試料a,bは、初期密着力、密着力x,yの変化率、及び透湿率の全てが、それぞれ規定値(20g/cm幅以上、30%以下、400g/m・24hr未満)を満足していた。これに対して、試料cは、初期密着力、密着力x,yの変化率、及び透湿率のいずれも規定値を満足できなかった。また、試料dは、密着力x,yの変化率及び透湿率は規定値を満足しているものの、初期密着力が10g/cm幅と規定値未満であった。
【0047】
一方、試料A〜Cの内で試料A,Bが、透湿率(400g/m・24hr未満)を満足していた。これに対して、試料Cは、透湿率が450g/m・24hrと大きかった。
【0048】
これらより、一次被覆材としては試料a,bが、二次被覆材としては試料A,Bが挙げられる。
【0049】
<実験例3>
石英ガラス光ファイバの外周に、表1に示した試料a〜dの一次被覆材及び試料A〜Cの二次被覆材を組み合わせてなる被覆層を形成し、光ファイバ心線を作製した(実施例1〜3及び比較例1〜4)。ここで、一次被覆材は、6kWの紫外線照射装置を1灯用いて、また、二次被覆材は6kWの紫外線照射装置を4灯用いて、それぞれ硬化を行った。また、各被覆材の線引速度は1200m/minとした。
【0050】
実施例1〜3及び比較例1〜4の光ファイバ心線を1000mの束にとると共に、両端末の数mを図3(a)、図3(b)に示したウオーターバス32から出して60℃の温水中に30日間浸漬する。その後、波長(λ)が1.55μmの光信号を用いて伝送損失の増分(dB/km)の測定を行い、伝送損失増が0.05dB/km以下のものを合格とした。
【0051】
また、実施例1〜3及び比較例1〜4の光ファイバ心線を85℃,85%RHの環境下に30日間静置した後、IEC893−1に準拠した試験方法を用いて動疲労係数(n値)の測定を行い、Bellcore規格で定められているn値が20以上のものを合格とした。
【0052】
また、実施例1〜3及び比較例1〜4の光ファイバ心線を用い、IWCS Pro.239−248(1992) H.C.Chandan 外,「Fiber Protective Coating Design for Evolving Telecommunication Applications」で報告されている方法で測定試料を作製し、引抜長10mm、引抜速度50mm/minで引抜力(g/cm)の測定を行い、引抜力が400〜1000g/cmのものを合格とした。
【0053】
また、実施例1〜3及び比較例1〜4の光ファイバ心線における一次被覆材と二次被覆材との透湿率の和を、表1に基づいて求めた。透湿率の和は、500g/m・24hrのものを合格とした。
【0054】
実施例1〜3及び比較例1〜4の光ファイバ心線の各測定値を表2に示す。
【0055】
【表2】
Figure 2004341297
【0056】
表2に示すように、試料aと試料Aとの組み合わせである実施例1、試料aと試料Bとの組み合わせである実施例2、及び試料bと試料Aとの組み合わせである実施例3が、伝送損失増(0.05dB/km以下)、動疲労係数(20以下)、引抜力(400〜1000g/cm)、及び透湿率の和(500g/m・24hr)を全て満足していた。
【0057】
これに対して、試料aと試料Cとの組み合わせである比較例1および試料cと試料Aとの組み合わせである比較例3は、透湿率の和が690、620(g/m・24hr)と規定値を超えていることから、伝送損失増及び動疲労係数が規定値を満足できなかった。
【0058】
また、試料bと試料Bとの組み合わせである比較例2は、試料b及び試料Bはそれぞれ単独では問題がないものの、これらを組み合わせると透湿率の和が550g/m・24hrと規定値を超えてしまうことから、動疲労係数が18と規定値を満足できなかった。
【0059】
また、試料dと試料Aとの組み合わせである比較例4は、透湿率の和は450g/m・24hr未満と規定値を満足しているものの、試料dの密着力が10g/cm幅と規定値未満であることから、引抜力が200±50g/cmと規定値を満足しておらず、その結果、伝送損失増及び動疲労係数が規定値を満足できなかった。
【0060】
以上の実験例より、本発明に係る光ファイバ心線である実施例1〜3の光ファイバ心線は、60℃温水中や85℃,85%RHの高温高湿度環境下に、長期間に亘って配置したとしても、伝送損失増は0.05以下および動疲労係数は20以上であり、伝送特性や動疲労特性を安定的に維持することができた。
【0061】
【発明の効果】
以上要するに本発明によれば、光ファイバ心線の被覆層を構成する紫外線硬化型樹脂の特性を限定したことで、高温高湿度の環境下や温水中においても、動疲労特性や伝送特性を長期間に亘って安定的に維持することができるという優れた効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る光ファイバ心線の一実施の形態の横断面図である。
【図2】初期密着力の測定に用いる試験片の平面図である。図2(b)は、図2(a)の2b−2b線断面図である。
【図3】60℃温水中の密着力の測定に用いるウォーターバスの概略図である。図3(b)は、図3(a)の3b方向矢視図である。
【符号の説明】
10 光ファイバ心線
11 光ファイバ
12 被覆層
13 一次被覆層
14 二次被覆層

Claims (5)

  1. 光ファイバの外周に、紫外線硬化型樹脂で構成される被覆層を設けた光ファイバ心線において、上記被覆層を一次被覆層と二次被覆層の二層に形成し、かつ、その一次被覆層を、上記光ファイバに対する密着力が20g/cm幅以上の紫外線硬化型樹脂で形成したことを特徴とする光ファイバ心線。
  2. 上記一次被覆層の構成樹脂及び上記二次被覆層の構成樹脂の透湿率がそれぞれ400g/(m・24hr)以下、かつ、一次被覆層の構成樹脂と二次被覆層の構成樹脂の透湿率の和が500g/(m・24hr)以下である請求項1記載の光ファイバ心線。
  3. 60℃の温水に24時間浸漬した時の上記密着力の減少率、及び85℃,85%RHの雰囲気下に24時間静置した後の上記密着力の減少率が、それぞれ30%以下である請求項1又は2記載の光ファイバ心線。
  4. 上記一次被覆層の構成樹脂のヤング率が0.5〜2MPa、上記二次被覆層の構成樹脂のヤング率が500〜1000MPaである請求項1から3いずれかに記載の光ファイバ心線。
  5. 上記一次被覆層の構成樹脂及び二次被覆層の構成樹脂である紫外線硬化型樹脂が、ウレタンアクリレート系、ウレタンメタアクリレート系、ポリエステルウレタンアクリレート系、ポリエステルウレタンメタアクリレート系、ポリエーテルアクリレート系、ポリエーテルメタアクリレート系、ポリカーボネートウレタンアクリレート系、又はポリカーボネートウレタンメタアクリレート系のものである請求項1から4いずれかに記載の光ファイバ心線。
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