JP2004238680A - 耐陰極剥離性に優れた下地処理剤及びそれを使用した重防食被覆鋼材 - Google Patents
耐陰極剥離性に優れた下地処理剤及びそれを使用した重防食被覆鋼材 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】高温領域(60〜100℃)で要求される耐陰極剥離性に優れる下地処理剤を得ると共に、この処理剤を使用して信頼性の高い重防食被覆鋼材を提供すること。
【解決手段】重防食被覆は、下地処理として亜鉛金属粉末と膨張性層状粘土鉱物、及び微粒子シリカを含むクロム酸水溶液による処理、焼き付け乾燥により、皮膜層2を形成した後に、樹脂プライマー層3、0.3mm以上の厚みを有する防食被覆層4を順次積層することで達成される。
【効果】金属粉末と膨張性層状粘土鉱物、及び微粒子シリカを含むクロム酸による下地処理により腐食電解反応が抑制され、高温での耐陰極剥離性を抑制することが可能となる。これにより、信頼性の高い防食被覆が得られる。
【選択図】 図1
【解決手段】重防食被覆は、下地処理として亜鉛金属粉末と膨張性層状粘土鉱物、及び微粒子シリカを含むクロム酸水溶液による処理、焼き付け乾燥により、皮膜層2を形成した後に、樹脂プライマー層3、0.3mm以上の厚みを有する防食被覆層4を順次積層することで達成される。
【効果】金属粉末と膨張性層状粘土鉱物、及び微粒子シリカを含むクロム酸による下地処理により腐食電解反応が抑制され、高温での耐陰極剥離性を抑制することが可能となる。これにより、信頼性の高い防食被覆が得られる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、施工による疵対策等で陰極防食が行われる重防食被覆鋼材において、疵部からの陰極剥離が少なく長期の防食性に優れる重防食被覆鋼材の下地処理剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
ラインパイプ等で長期防食性が要求される場合、ポリオレフィン樹脂を被覆した重防食被覆鋼管が使用される。配管は埋設で使用される場合が多いために、樹脂被覆鋼管では搬送や施行工事において貫通疵発生を想定して、疵部の鋼材腐食を抑制するため陰極防食が併用される。ところが、陰極防食は疵周辺部の被覆接着力を低下させる陰極剥離を生じさせるため、ラインパイプに使用する重防食被覆鋼管では耐陰極剥離性が重要である。これに対して従来技術としては、重防食被覆の下地処理にクロメート処理、樹脂プライマー処理を施すことで耐陰極剥離性を向上させている。下地処理に用いるクロメート処理剤には、例えば特許文献1に示されるように高温の陰極剥離性を改善した燐酸クロメートや、あるいは特許文献2に示されるようにシランカップリング剤を添加して性能を向上させたもの等がある。
【0003】
耐陰極剥離性は重要であるために重防食被覆鋼材では種々の改善が行われている。特に、近年ではポリプロピレンに代表される高温環境使用での需要も増加しており、100℃に達する高温での耐剥離性に優れる重防食被覆鋼材が要望されている。一方、これまでの特許文献3に代表されるクロメート処理剤では、達成可能な高温性能に限界があった。また、特許文献2に代表される第3成分であるシランカップリング剤や樹脂成分を添加する方法は、処理液の安定性に問題が生じやすい。高温での耐陰極剥離性に優れる下地処理としては、特許文献4に示されるダクロ処理とクロメート処理を組み合わせて用いる方法もあるが、ダクロ処理液の保存安定性と2層処理が必要であるという問題点があった。
【0004】
【特許文献1】
特許第1696992号
【特許文献2】
特許第1985806号
【特許文献3】
特許第1991880号
【特許文献4】
特開2001−277425号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、ポリオレフィン被覆に代表される重防食被覆鋼材において、耐陰極剥離性に優れるとともに、処理液の安定性、処理作業性に優れる下地処理剤及びそれを使用した重防食被覆鋼材を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記の問題を解決する手段として、下地処理用の化成処理液として亜鉛金属粉末、膨張性層状粘土鉱物、及び微粒子シリカを含むクロム酸水溶液を用いて鋼材表面に防食樹脂の下地処理を形成することが有効であることを知見した。
【0007】
すなわち、本発明の要旨とするところは次のとおりである。
(1) クロム酸水溶液に微粒子シリカを加え、更に膨張性層状粘土鉱物及び金属亜鉛粉を加えたことを特徴とする耐陰極剥離性に優れた下地処理剤。
(2) 前記微粒子シリカは、クロム酸水溶液中の全クロム量に対して0.5〜3.0の範囲で加え、前記膨張性層状粘土鉱物が前記微粒子シリカを加えたクロム酸水溶液100重量部に対し1〜10重量部であり、また、前記金属亜鉛粉を1〜30重量部加えたことを特徴とする(1)記載の耐陰極剥離性に優れた下地処理剤。
(3) 酸洗あるいはブラスト処理を施した鋼材表面に(1)又は(2)記載の下地処理剤を塗布し、その上にプライマー層、防食樹脂被覆層を順次被覆したことを特徴とする耐陰極剥離性に優れた重防食被覆鋼材。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明につき詳細に説明を行なう。
本発明に係る重防食被覆は、図1の断面図に示す如く、亜鉛金属粉末、膨張性層状粘土鉱物、及び微粒子シリカを含むクロム酸水溶液の乾燥成分からなる処理被膜層2を形成した後、樹脂プライマー層3、0.3mm以上の厚みを有する防食樹脂被覆層4を順次積層することで形成される。この場合の防食樹脂被覆層としては、変性ポリオレフィン単独、又は変性ポリオレフィン接着剤層とポリオレフィンの2層被覆、あるいはポリウレタン系の樹脂被覆が望ましい。以上の積層被覆により耐陰極剥離性に優れた重防食被覆鋼材が得られる。
【0009】
本発明に使用する鋼材としては普通鋼、あるいは高合金鋼などどのような鋼種でも適用可能である。その代表的な品種としては重防食被覆が適用される鋼管、また、海洋構造物等で使用される鋼管杭、鋼管矢板、鋼矢板、H形鋼、線材等がある。これらの鋼材を下地処理を行う時は、その表面のスケール、汚染物等を除去するため、アルカリ脱脂〜酸洗、サンドブラスト処理、グリッドブラスト処理、あるいはショットブラスト処理等のいずれかの処理を行なう。
【0010】
次に、本発明による亜鉛金属粉末、膨張性層状粘土鉱物、及び微粒子シリカを含むクロム酸水溶液である下地処理剤を塗布し、乾燥を行なう。以下に本発明の下地処理剤について詳細に説明する。
ベースとなるクロム酸水溶液は、無水クロム酸(CrO3)を溶解した水溶液を有機系還元剤で部分的に還元し、6価のクロムイオンと3価のクロムイオンを混在させた溶液である。6価から3価クロムへの還元率は全クロムに対して10〜70%に調整する。この範囲を外れると密着性と耐剥離性能が低下する。さらに必要に応じてリン酸等を全クロムに対して0.1〜2の範囲で添加しても良い。また、液の安定性が問題にならないプロセスの場合は、シランカップリング剤、エマルジョン系樹脂等を添加しても良い。
【0011】
そして上記クロム酸水溶液に微粒子シリカを加える。微粒子シリカは、乾式法により合成した5〜50nm径の1次粒子が2次凝集したものを用いると密着性に優れる。例えば日本アエロジル社製のAEROSIL 130、AEROSIL200、AEROSIL 200V、AEROSIL 200CF、AEROSIL 200FAD、AEROSIL 300、AEROSIL 300CF、AEROSIL 380、AEROSIL OX50、AEROSIL TT600、AEROSIL MOX等の微粒子シリカである。このとき、微粒子シリカの添加量としては後述する前記クロム酸水溶液中の全クロム量に対して重量比で0.5〜3.0の範囲で添加する。0.5未満では耐水密着性や耐陰極剥離性が低下し、3.0超ではシリカ成分が過剰となり皮膜の凝集力が低下する。
【0012】
前記微粒子シリカを加えたクロム酸水溶液に対し、膨張性層状粘土鉱物を加える。膨張性層状粘土鉱物は液の粘性を上昇させる目的を主としている。他に粘度をあげる手法としては有機物を用いる方法もあるが、その方法ではクロム酸と反応したり、乾燥後の被膜に水溶性成分として残存し易いため好ましくない。膨張性層状粘土鉱物は、乾燥被膜中の割合が少ない方が膜形成に不要な成分が少なくなり、密着性の面で良いことから、少量の添加で液の増粘性の高いものを選択する。例えば親水性の合成スメクタイトを用いると、少量の添加で大きな増粘効果が得られるので望ましい。膨張性層状粘土鉱物の添加量は、前記微粒子シリカを含むクロム酸水溶液100重量部に対して、その増粘効果の発現する1重量部以上とすることが望ましく、被膜中に残存して性能を低下させない10重量部以下とすることが望ましい。
【0013】
また、金属亜鉛粉は、少なくとも80%以上は含有する金属粉を用いる。亜鉛以外の他成分としては微量成分を除き、Mg、Al等の鉄よりも卑な金属を使用することが望ましい。形状は任意であるが、粒径としては最大でも10μm以下とすることが望ましい。粒径が大きい場合には液分散性が悪く沈殿が生じ易い。金属亜鉛粉の添加量は、前記微粒子シリカを含むクロム酸水溶液100重量部に対し1〜30重量部とすることが望ましい。1重量部未満では添加効果が乏しく、また添加量が30重量部を超えると液分散性と樹脂の鋼材への密着性が低下するからである。
【0014】
このようにして調整した下地処理剤をクロム換算で100〜800mg/m2の付着量となるように鋼材に塗布する。塗布量が100mg/m2未満では、鋼材面を皮膜が十分に覆うことが出来ず、800mg/m2超では、皮膜乾燥時にクラックが発生して密着力が低下しやすい。
【0015】
上記本発明による下地処理剤を塗布したの後に施す重防食被覆について説明する。
被覆する樹脂としては、耐久性と水、酸素に対するバリアー性に優れるものであれば、例えば塩化ビニル、ポリエステル、アクリル、エポキシ、フッ素系樹脂等、何でも良いが、ポリオレフィン樹脂、ポリウレタン樹脂が望ましい。このような防食被覆においては、防食被覆と鋼材の接着性、耐陰極剥離性、防食性を向上させるプライマー処理を実施する。本発明の重防食被覆鋼材に使用するプライマーには熱硬化性の樹脂を用い、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂に硬化剤と無機顔料を添加したものを主成分として用いる。ポリウレタン樹脂としてはプレポリマーを使用した湿気硬化型の1液タイプのもの、あるいはイソシアネートとポリオールとの反応を利用した2液硬化タイプのものが代表的である。特に、高い耐熱性の要求に対してはプライマーにはエポキシ樹脂を用いると良く、一般にその主成分としてはビスフェノールA型、ビスフェノールF型の樹脂を単独、もしくは混合して使用する。更に高温特性が要求される場合、多官能性のフェノールノボラックやハロゲン化樹脂を上記のビスフェノールA型あるいは、ビスフェノールF型の樹脂と組み合わせて用いる。
【0016】
硬化剤には、2液硬化型のアミン系硬化剤、あるい潜在性硬化剤であるイミダゾール化合物にジシアンジアミド、またはフェノール系硬化剤を単独又は混合して用いると密着性、耐食性に優れる。また、添加する無機顔料は全体積に対して3〜30vol%の範囲で添加することで収縮歪みを低下し、密着特性が大きく改善される。無機顔料には、シリカ、酸化チタン、ウォラストナイト、マイカ、タルク、カオリン、酸化クロム、硼酸亜鉛、ホウ酸亜鉛、燐酸亜鉛等の顔料、もしくは亜鉛、Al等の金属粉、あるいはセラミック粉等、その他にストロンチウムクロメート等の防錆顔料を適宜用いる。これらの顔料は樹脂との濡れ性を良くするために、その表面にシランカップリング処理を施してもよい。以上の熱硬化型の樹脂プライマーを用い、前述の下地処理と組み合わせることにより耐剥離性において優れた性能を持つ重防食被覆鋼材の下地処理を提供することが出来る。樹脂プライマーは液体で供給される場合、ロール又は刷毛塗装、しごき塗り、エアースプレー塗装等の方法を用いる。粉体で供給される場合には、静電粉体塗装等の方法を用い、20〜500μmの範囲で塗装する。膜厚が20μmより薄い場合にはピンホールが多数発生する。一方、膜厚の上限は樹脂の種類によって異なるが、500μmを越える厚膜塗装では低温での耐衝撃性等の特性が低下しやすい。
【0017】
重防食被覆に使用するポリオレフィン樹脂は、その主成分としては低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレンなどの従来公知のポリオレフィン、及びエチレン−プロピレンブロックまたはランダム共重合体、ポリアミド−プロピレンブロック叉はランダム共重合体等公知のポリオレフィン共重合体を含む樹脂である。他成分としては、耐熱性、耐候性対策としてカーボンブラック又はその他の着色顔料、充填強化剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系の耐候剤等を任意の組み合わせて添加する。ポリオレフィン樹脂を被覆に用いる場合、下地のプライマーと接触する下層部分にはポリオレフィンを変性した接着剤を用いる。この接着剤は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロンなどの公知のポリオレフィン、及び公知のポリオレフィン共重合体樹脂を、マレイン酸、アクリル酸、メタアクリル酸などの不飽和カルボン酸または、その酸無水物で変性したもの、あるいは、その変性物をポリオレフィン樹脂で適宜希釈したもの等、従来公知の変性ポリオレフィンである。50〜700μmの薄い変性ポリオレフィン接着剤層に0.3〜5mmのポリオレフィン樹脂層を組み合わせて用いる方法が価格、性能のバランスからは好ましいが、ポリオレフィン被覆層を省略し、変性ポリオレフィン樹脂層を0.3mm以上被覆して防食層として用いても良い。ポリオレフィン被覆の方法としては、例えばダイスを用いて加熱溶融した樹脂を直接鋼材に被覆する押出被覆方法を用いる。あるいは、加熱した鋼材に予め成形したポリオレフィンシートを貼り付ける方法、粉砕したポリオレフィンを粉体塗装して溶融して皮膜を形成する方法がある。これらの方法によりは0.3mm以上の膜厚を有するポリオレフィン防食被覆層を形成する。
【0018】
重防食被覆にはポリウレタン樹脂を塗装する方法もある。ポリウレタン樹脂は、ポリオールと充填無機顔料、着色顔料の混合物からなる主剤と、イソシアネート化合物からなる硬化剤を2液混合塗装する。ポリオールとしてはポリエステルポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリプロピレングリコールなどのポリエーテルポリオール、アクリルポリオール、ひまし油誘導体、その他含水酸基化合物を用いる。イソシアネートとしてはメチレンジフェニルジイソシアネートなどの一般市販のイソシアネートを使用する。充填無機顔料としては、シリカ、酸化チタン、カオリンクレーなどの一般市販の無機顔料を用いる、また着色顔料には、樹脂に耐候性を付与するため、一般的にはカーボンブラックを用いる。意匠性から他の着色顔料を用いる場合には、紫外線吸収剤を併せて添加する。被覆厚みとしては重防食層としての機能と経済性を考慮し、0.5〜6mmまでの間が望ましい。
【0019】
【実施例】
表1の水準番号1〜11については、亜鉛金属粉末として平均粒径:3.5μm以下の三井金属塗料亜鉛粉末LS−2を用い、膨張性層状粘土鉱物として増粘効果の高い合成スメクタイト(コープケミカル(株)製SWN)を、また微粒子シリカとして日本アエロジル社製のAEROSIL 200を使用し、クロム酸水溶液は有機還元剤で40%の部分還元した下地処理剤を使用した。
【0020】
重防食被覆鋼材として200A、長さ5.5mの鋼管を用いて表1に示す条件にてポリプロピレン被覆鋼管を製作した。鋼管表面にまずグリッドでブラスト処理を施した後、表1の成分及び条件で下地処理を施した後、加熱炉で鋼材を200℃まで加熱した。この後、エポキシ樹脂(ビスフェノールA型主剤に20%のフェノールノボラック樹脂添加、イミダゾール硬化促進剤とフェノール系硬化剤、シリカ系無機顔料を含む)を半反応させたものを粉砕した粉体プライマーを用いて平均膜厚が50μmとなるよう静電粉体塗装を実施した。この後、2層Tダイスを用いて、下層に0.1mmの変性ポリオレフィン接着剤層、上層に2mmのポリプロピレン樹脂層を回転搬送によりスパイラル状に押出被覆後、鋼管を水冷し、ポリプロピレン被覆重防食鋼管を作製した。
【0021】
一方、水準番号12については、フレーク状(粒径:1.33〜1.54μm/ブレーン法測定)の亜鉛粉末及び、粒状アルミニウム粉末(1μm以下)を用い、クロム酸水溶液中に水溶性エポキシ系樹脂、高分子アルコールを添加し、懸濁分散した水溶液を調整し前掲の特許文献4相当の下地処理剤を使用した。
さらに、水準番号13については、クロム酸溶液に乾式法シリカ(アエロジル200:日本アエロジル社製)を全クロムに対する重量比で1.0及び、燐酸成分を全クロムに対する重量比で0.5添加し、還元剤にデキストリンを用いて40%までの部分還元を行い特許文献1に相当するクロメート処理剤を使用した。
【0022】
水準番号12、13については、200A、長さ5.5mの鋼管表面にグリッドブラスト処理を施し、前述の下地処理剤で夫々下地処理をロール塗布・乾燥させた後に、粉体プライマーを用いて平均膜厚が50μmとなるよう静電粉体塗装を実施した。この後、鋼管を200℃に加熱し、2層Tダイスを用いて下層に0.1mmの変性ポリオレフィン接着剤層、上層に2mmのポリプロピレン樹脂層を回転搬送によりスパイラル状に押出被覆後、鋼管を水冷し、ポリプロピレン被覆重防食鋼管を作製した。
また、水準番号14については、同様のプロセスでクロメート処理を施さないポリプロピレン被覆鋼管を作成した。
【0023】
作製した被覆鋼管は150×80mmの鋼片に切断し、被覆面中央に8mmφの鋼材面に達する被覆貫通疵を作製し、被覆上に円筒状のプラスチックセル立てて、内部に3%塩水を充填した。疵の鋼材部に標準の飽和カロメル電極電位に対して−1.5Vに電圧を調整し、60℃と100℃のオーブン中で陰極剥離試験を30日及び60日間実施した。
【0024】
表1における陰極剥離試験結果から明らかなように、本発明の成分範囲の下地処理による重防食被覆材(水準番号1〜5)は、比較例(水準番号6〜14)に比べ陰極剥離試験結果が良好で優れた性能を示した。
また、各水準の処理液を混合調整後、常温で一週間放置し、液安定性を比較した結果、本発明の下地処理剤は亜鉛粉末の沈殿は生じるもののゲル化には至らず、再攪拌により亜鉛は容易に分散した。これに対し、比較例12の処理剤では、処理剤を混合し、放置後1日で液のゲル化が生じた。
【0025】
【表1】
【0026】
【発明の効果】
重防食被覆鋼材において、電気防食を行った場合の疵部からの剥離発生に対して重防食被覆に本発明の下地処理を行うことにより、従来の塗布型クロメート処理では得られなかった高い剥離進展抑制効果が得られる。また、高温領域でもこれまで得られなかった優れた耐陰極剥離性が得られる。さらに、処理液の安定性にも優れることから、より信頼性の高い重防食被覆を提供するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の重防食被覆鋼材の被覆構成断面図の一例を示す。
【符号の説明】
1 鋼材
2 本発明の下地処理被膜
3 プライマー樹脂
4 防食被覆層
【発明の属する技術分野】
本発明は、施工による疵対策等で陰極防食が行われる重防食被覆鋼材において、疵部からの陰極剥離が少なく長期の防食性に優れる重防食被覆鋼材の下地処理剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
ラインパイプ等で長期防食性が要求される場合、ポリオレフィン樹脂を被覆した重防食被覆鋼管が使用される。配管は埋設で使用される場合が多いために、樹脂被覆鋼管では搬送や施行工事において貫通疵発生を想定して、疵部の鋼材腐食を抑制するため陰極防食が併用される。ところが、陰極防食は疵周辺部の被覆接着力を低下させる陰極剥離を生じさせるため、ラインパイプに使用する重防食被覆鋼管では耐陰極剥離性が重要である。これに対して従来技術としては、重防食被覆の下地処理にクロメート処理、樹脂プライマー処理を施すことで耐陰極剥離性を向上させている。下地処理に用いるクロメート処理剤には、例えば特許文献1に示されるように高温の陰極剥離性を改善した燐酸クロメートや、あるいは特許文献2に示されるようにシランカップリング剤を添加して性能を向上させたもの等がある。
【0003】
耐陰極剥離性は重要であるために重防食被覆鋼材では種々の改善が行われている。特に、近年ではポリプロピレンに代表される高温環境使用での需要も増加しており、100℃に達する高温での耐剥離性に優れる重防食被覆鋼材が要望されている。一方、これまでの特許文献3に代表されるクロメート処理剤では、達成可能な高温性能に限界があった。また、特許文献2に代表される第3成分であるシランカップリング剤や樹脂成分を添加する方法は、処理液の安定性に問題が生じやすい。高温での耐陰極剥離性に優れる下地処理としては、特許文献4に示されるダクロ処理とクロメート処理を組み合わせて用いる方法もあるが、ダクロ処理液の保存安定性と2層処理が必要であるという問題点があった。
【0004】
【特許文献1】
特許第1696992号
【特許文献2】
特許第1985806号
【特許文献3】
特許第1991880号
【特許文献4】
特開2001−277425号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、ポリオレフィン被覆に代表される重防食被覆鋼材において、耐陰極剥離性に優れるとともに、処理液の安定性、処理作業性に優れる下地処理剤及びそれを使用した重防食被覆鋼材を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記の問題を解決する手段として、下地処理用の化成処理液として亜鉛金属粉末、膨張性層状粘土鉱物、及び微粒子シリカを含むクロム酸水溶液を用いて鋼材表面に防食樹脂の下地処理を形成することが有効であることを知見した。
【0007】
すなわち、本発明の要旨とするところは次のとおりである。
(1) クロム酸水溶液に微粒子シリカを加え、更に膨張性層状粘土鉱物及び金属亜鉛粉を加えたことを特徴とする耐陰極剥離性に優れた下地処理剤。
(2) 前記微粒子シリカは、クロム酸水溶液中の全クロム量に対して0.5〜3.0の範囲で加え、前記膨張性層状粘土鉱物が前記微粒子シリカを加えたクロム酸水溶液100重量部に対し1〜10重量部であり、また、前記金属亜鉛粉を1〜30重量部加えたことを特徴とする(1)記載の耐陰極剥離性に優れた下地処理剤。
(3) 酸洗あるいはブラスト処理を施した鋼材表面に(1)又は(2)記載の下地処理剤を塗布し、その上にプライマー層、防食樹脂被覆層を順次被覆したことを特徴とする耐陰極剥離性に優れた重防食被覆鋼材。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明につき詳細に説明を行なう。
本発明に係る重防食被覆は、図1の断面図に示す如く、亜鉛金属粉末、膨張性層状粘土鉱物、及び微粒子シリカを含むクロム酸水溶液の乾燥成分からなる処理被膜層2を形成した後、樹脂プライマー層3、0.3mm以上の厚みを有する防食樹脂被覆層4を順次積層することで形成される。この場合の防食樹脂被覆層としては、変性ポリオレフィン単独、又は変性ポリオレフィン接着剤層とポリオレフィンの2層被覆、あるいはポリウレタン系の樹脂被覆が望ましい。以上の積層被覆により耐陰極剥離性に優れた重防食被覆鋼材が得られる。
【0009】
本発明に使用する鋼材としては普通鋼、あるいは高合金鋼などどのような鋼種でも適用可能である。その代表的な品種としては重防食被覆が適用される鋼管、また、海洋構造物等で使用される鋼管杭、鋼管矢板、鋼矢板、H形鋼、線材等がある。これらの鋼材を下地処理を行う時は、その表面のスケール、汚染物等を除去するため、アルカリ脱脂〜酸洗、サンドブラスト処理、グリッドブラスト処理、あるいはショットブラスト処理等のいずれかの処理を行なう。
【0010】
次に、本発明による亜鉛金属粉末、膨張性層状粘土鉱物、及び微粒子シリカを含むクロム酸水溶液である下地処理剤を塗布し、乾燥を行なう。以下に本発明の下地処理剤について詳細に説明する。
ベースとなるクロム酸水溶液は、無水クロム酸(CrO3)を溶解した水溶液を有機系還元剤で部分的に還元し、6価のクロムイオンと3価のクロムイオンを混在させた溶液である。6価から3価クロムへの還元率は全クロムに対して10〜70%に調整する。この範囲を外れると密着性と耐剥離性能が低下する。さらに必要に応じてリン酸等を全クロムに対して0.1〜2の範囲で添加しても良い。また、液の安定性が問題にならないプロセスの場合は、シランカップリング剤、エマルジョン系樹脂等を添加しても良い。
【0011】
そして上記クロム酸水溶液に微粒子シリカを加える。微粒子シリカは、乾式法により合成した5〜50nm径の1次粒子が2次凝集したものを用いると密着性に優れる。例えば日本アエロジル社製のAEROSIL 130、AEROSIL200、AEROSIL 200V、AEROSIL 200CF、AEROSIL 200FAD、AEROSIL 300、AEROSIL 300CF、AEROSIL 380、AEROSIL OX50、AEROSIL TT600、AEROSIL MOX等の微粒子シリカである。このとき、微粒子シリカの添加量としては後述する前記クロム酸水溶液中の全クロム量に対して重量比で0.5〜3.0の範囲で添加する。0.5未満では耐水密着性や耐陰極剥離性が低下し、3.0超ではシリカ成分が過剰となり皮膜の凝集力が低下する。
【0012】
前記微粒子シリカを加えたクロム酸水溶液に対し、膨張性層状粘土鉱物を加える。膨張性層状粘土鉱物は液の粘性を上昇させる目的を主としている。他に粘度をあげる手法としては有機物を用いる方法もあるが、その方法ではクロム酸と反応したり、乾燥後の被膜に水溶性成分として残存し易いため好ましくない。膨張性層状粘土鉱物は、乾燥被膜中の割合が少ない方が膜形成に不要な成分が少なくなり、密着性の面で良いことから、少量の添加で液の増粘性の高いものを選択する。例えば親水性の合成スメクタイトを用いると、少量の添加で大きな増粘効果が得られるので望ましい。膨張性層状粘土鉱物の添加量は、前記微粒子シリカを含むクロム酸水溶液100重量部に対して、その増粘効果の発現する1重量部以上とすることが望ましく、被膜中に残存して性能を低下させない10重量部以下とすることが望ましい。
【0013】
また、金属亜鉛粉は、少なくとも80%以上は含有する金属粉を用いる。亜鉛以外の他成分としては微量成分を除き、Mg、Al等の鉄よりも卑な金属を使用することが望ましい。形状は任意であるが、粒径としては最大でも10μm以下とすることが望ましい。粒径が大きい場合には液分散性が悪く沈殿が生じ易い。金属亜鉛粉の添加量は、前記微粒子シリカを含むクロム酸水溶液100重量部に対し1〜30重量部とすることが望ましい。1重量部未満では添加効果が乏しく、また添加量が30重量部を超えると液分散性と樹脂の鋼材への密着性が低下するからである。
【0014】
このようにして調整した下地処理剤をクロム換算で100〜800mg/m2の付着量となるように鋼材に塗布する。塗布量が100mg/m2未満では、鋼材面を皮膜が十分に覆うことが出来ず、800mg/m2超では、皮膜乾燥時にクラックが発生して密着力が低下しやすい。
【0015】
上記本発明による下地処理剤を塗布したの後に施す重防食被覆について説明する。
被覆する樹脂としては、耐久性と水、酸素に対するバリアー性に優れるものであれば、例えば塩化ビニル、ポリエステル、アクリル、エポキシ、フッ素系樹脂等、何でも良いが、ポリオレフィン樹脂、ポリウレタン樹脂が望ましい。このような防食被覆においては、防食被覆と鋼材の接着性、耐陰極剥離性、防食性を向上させるプライマー処理を実施する。本発明の重防食被覆鋼材に使用するプライマーには熱硬化性の樹脂を用い、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂に硬化剤と無機顔料を添加したものを主成分として用いる。ポリウレタン樹脂としてはプレポリマーを使用した湿気硬化型の1液タイプのもの、あるいはイソシアネートとポリオールとの反応を利用した2液硬化タイプのものが代表的である。特に、高い耐熱性の要求に対してはプライマーにはエポキシ樹脂を用いると良く、一般にその主成分としてはビスフェノールA型、ビスフェノールF型の樹脂を単独、もしくは混合して使用する。更に高温特性が要求される場合、多官能性のフェノールノボラックやハロゲン化樹脂を上記のビスフェノールA型あるいは、ビスフェノールF型の樹脂と組み合わせて用いる。
【0016】
硬化剤には、2液硬化型のアミン系硬化剤、あるい潜在性硬化剤であるイミダゾール化合物にジシアンジアミド、またはフェノール系硬化剤を単独又は混合して用いると密着性、耐食性に優れる。また、添加する無機顔料は全体積に対して3〜30vol%の範囲で添加することで収縮歪みを低下し、密着特性が大きく改善される。無機顔料には、シリカ、酸化チタン、ウォラストナイト、マイカ、タルク、カオリン、酸化クロム、硼酸亜鉛、ホウ酸亜鉛、燐酸亜鉛等の顔料、もしくは亜鉛、Al等の金属粉、あるいはセラミック粉等、その他にストロンチウムクロメート等の防錆顔料を適宜用いる。これらの顔料は樹脂との濡れ性を良くするために、その表面にシランカップリング処理を施してもよい。以上の熱硬化型の樹脂プライマーを用い、前述の下地処理と組み合わせることにより耐剥離性において優れた性能を持つ重防食被覆鋼材の下地処理を提供することが出来る。樹脂プライマーは液体で供給される場合、ロール又は刷毛塗装、しごき塗り、エアースプレー塗装等の方法を用いる。粉体で供給される場合には、静電粉体塗装等の方法を用い、20〜500μmの範囲で塗装する。膜厚が20μmより薄い場合にはピンホールが多数発生する。一方、膜厚の上限は樹脂の種類によって異なるが、500μmを越える厚膜塗装では低温での耐衝撃性等の特性が低下しやすい。
【0017】
重防食被覆に使用するポリオレフィン樹脂は、その主成分としては低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレンなどの従来公知のポリオレフィン、及びエチレン−プロピレンブロックまたはランダム共重合体、ポリアミド−プロピレンブロック叉はランダム共重合体等公知のポリオレフィン共重合体を含む樹脂である。他成分としては、耐熱性、耐候性対策としてカーボンブラック又はその他の着色顔料、充填強化剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系の耐候剤等を任意の組み合わせて添加する。ポリオレフィン樹脂を被覆に用いる場合、下地のプライマーと接触する下層部分にはポリオレフィンを変性した接着剤を用いる。この接着剤は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロンなどの公知のポリオレフィン、及び公知のポリオレフィン共重合体樹脂を、マレイン酸、アクリル酸、メタアクリル酸などの不飽和カルボン酸または、その酸無水物で変性したもの、あるいは、その変性物をポリオレフィン樹脂で適宜希釈したもの等、従来公知の変性ポリオレフィンである。50〜700μmの薄い変性ポリオレフィン接着剤層に0.3〜5mmのポリオレフィン樹脂層を組み合わせて用いる方法が価格、性能のバランスからは好ましいが、ポリオレフィン被覆層を省略し、変性ポリオレフィン樹脂層を0.3mm以上被覆して防食層として用いても良い。ポリオレフィン被覆の方法としては、例えばダイスを用いて加熱溶融した樹脂を直接鋼材に被覆する押出被覆方法を用いる。あるいは、加熱した鋼材に予め成形したポリオレフィンシートを貼り付ける方法、粉砕したポリオレフィンを粉体塗装して溶融して皮膜を形成する方法がある。これらの方法によりは0.3mm以上の膜厚を有するポリオレフィン防食被覆層を形成する。
【0018】
重防食被覆にはポリウレタン樹脂を塗装する方法もある。ポリウレタン樹脂は、ポリオールと充填無機顔料、着色顔料の混合物からなる主剤と、イソシアネート化合物からなる硬化剤を2液混合塗装する。ポリオールとしてはポリエステルポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリプロピレングリコールなどのポリエーテルポリオール、アクリルポリオール、ひまし油誘導体、その他含水酸基化合物を用いる。イソシアネートとしてはメチレンジフェニルジイソシアネートなどの一般市販のイソシアネートを使用する。充填無機顔料としては、シリカ、酸化チタン、カオリンクレーなどの一般市販の無機顔料を用いる、また着色顔料には、樹脂に耐候性を付与するため、一般的にはカーボンブラックを用いる。意匠性から他の着色顔料を用いる場合には、紫外線吸収剤を併せて添加する。被覆厚みとしては重防食層としての機能と経済性を考慮し、0.5〜6mmまでの間が望ましい。
【0019】
【実施例】
表1の水準番号1〜11については、亜鉛金属粉末として平均粒径:3.5μm以下の三井金属塗料亜鉛粉末LS−2を用い、膨張性層状粘土鉱物として増粘効果の高い合成スメクタイト(コープケミカル(株)製SWN)を、また微粒子シリカとして日本アエロジル社製のAEROSIL 200を使用し、クロム酸水溶液は有機還元剤で40%の部分還元した下地処理剤を使用した。
【0020】
重防食被覆鋼材として200A、長さ5.5mの鋼管を用いて表1に示す条件にてポリプロピレン被覆鋼管を製作した。鋼管表面にまずグリッドでブラスト処理を施した後、表1の成分及び条件で下地処理を施した後、加熱炉で鋼材を200℃まで加熱した。この後、エポキシ樹脂(ビスフェノールA型主剤に20%のフェノールノボラック樹脂添加、イミダゾール硬化促進剤とフェノール系硬化剤、シリカ系無機顔料を含む)を半反応させたものを粉砕した粉体プライマーを用いて平均膜厚が50μmとなるよう静電粉体塗装を実施した。この後、2層Tダイスを用いて、下層に0.1mmの変性ポリオレフィン接着剤層、上層に2mmのポリプロピレン樹脂層を回転搬送によりスパイラル状に押出被覆後、鋼管を水冷し、ポリプロピレン被覆重防食鋼管を作製した。
【0021】
一方、水準番号12については、フレーク状(粒径:1.33〜1.54μm/ブレーン法測定)の亜鉛粉末及び、粒状アルミニウム粉末(1μm以下)を用い、クロム酸水溶液中に水溶性エポキシ系樹脂、高分子アルコールを添加し、懸濁分散した水溶液を調整し前掲の特許文献4相当の下地処理剤を使用した。
さらに、水準番号13については、クロム酸溶液に乾式法シリカ(アエロジル200:日本アエロジル社製)を全クロムに対する重量比で1.0及び、燐酸成分を全クロムに対する重量比で0.5添加し、還元剤にデキストリンを用いて40%までの部分還元を行い特許文献1に相当するクロメート処理剤を使用した。
【0022】
水準番号12、13については、200A、長さ5.5mの鋼管表面にグリッドブラスト処理を施し、前述の下地処理剤で夫々下地処理をロール塗布・乾燥させた後に、粉体プライマーを用いて平均膜厚が50μmとなるよう静電粉体塗装を実施した。この後、鋼管を200℃に加熱し、2層Tダイスを用いて下層に0.1mmの変性ポリオレフィン接着剤層、上層に2mmのポリプロピレン樹脂層を回転搬送によりスパイラル状に押出被覆後、鋼管を水冷し、ポリプロピレン被覆重防食鋼管を作製した。
また、水準番号14については、同様のプロセスでクロメート処理を施さないポリプロピレン被覆鋼管を作成した。
【0023】
作製した被覆鋼管は150×80mmの鋼片に切断し、被覆面中央に8mmφの鋼材面に達する被覆貫通疵を作製し、被覆上に円筒状のプラスチックセル立てて、内部に3%塩水を充填した。疵の鋼材部に標準の飽和カロメル電極電位に対して−1.5Vに電圧を調整し、60℃と100℃のオーブン中で陰極剥離試験を30日及び60日間実施した。
【0024】
表1における陰極剥離試験結果から明らかなように、本発明の成分範囲の下地処理による重防食被覆材(水準番号1〜5)は、比較例(水準番号6〜14)に比べ陰極剥離試験結果が良好で優れた性能を示した。
また、各水準の処理液を混合調整後、常温で一週間放置し、液安定性を比較した結果、本発明の下地処理剤は亜鉛粉末の沈殿は生じるもののゲル化には至らず、再攪拌により亜鉛は容易に分散した。これに対し、比較例12の処理剤では、処理剤を混合し、放置後1日で液のゲル化が生じた。
【0025】
【表1】
【0026】
【発明の効果】
重防食被覆鋼材において、電気防食を行った場合の疵部からの剥離発生に対して重防食被覆に本発明の下地処理を行うことにより、従来の塗布型クロメート処理では得られなかった高い剥離進展抑制効果が得られる。また、高温領域でもこれまで得られなかった優れた耐陰極剥離性が得られる。さらに、処理液の安定性にも優れることから、より信頼性の高い重防食被覆を提供するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の重防食被覆鋼材の被覆構成断面図の一例を示す。
【符号の説明】
1 鋼材
2 本発明の下地処理被膜
3 プライマー樹脂
4 防食被覆層
Claims (3)
- クロム酸水溶液に微粒子シリカを加え、更に膨張性層状粘土鉱物及び金属亜鉛粉を加えたことを特徴とする耐陰極剥離性に優れた下地処理剤。
- 前記微粒子シリカは、クロム酸水溶液中の全クロム量に対して0.5〜3.0の範囲で加え、前記膨張性層状粘土鉱物が前記微粒子シリカを加えたクロム酸水溶液100重量部に対し1〜10重量部であり、また、前記金属亜鉛粉を1〜30重量部加えたことを特徴とする請求項1記載の耐陰極剥離性に優れた下地処理剤。
- 酸洗あるいはブラスト処理を施した鋼材表面に請求項1又は2記載の下地処理剤を塗布し、その上にプライマー層、防食樹脂被覆層を順次被覆したことを特徴とする耐陰極剥離性に優れた重防食被覆鋼材。
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| JP2003029109A JP2004238680A (ja) | 2003-02-06 | 2003-02-06 | 耐陰極剥離性に優れた下地処理剤及びそれを使用した重防食被覆鋼材 |
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|---|---|---|---|---|
| JP2018192393A (ja) * | 2017-05-15 | 2018-12-06 | 関西ペイント株式会社 | 複層塗膜形成方法 |
| JP2023042739A (ja) * | 2021-09-15 | 2023-03-28 | クニミネ工業株式会社 | 化成液、アルミニウム基材の化成処理方法、化成処理済み基材、アルミニウム電解コンデンサ用電極材、及びコンデンサ |
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2003
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| JP7660843B2 (ja) | 2021-09-15 | 2025-04-14 | クニミネ工業株式会社 | 化成液、アルミニウム基材の化成処理方法、化成処理済み基材、アルミニウム電解コンデンサ用電極材、及びコンデンサ |
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