JP2004209740A - 液体吐出ヘッド - Google Patents
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Abstract
【課題】振動板の変位に関して変形量の向上、圧力発生室側方向に関しての静止から初期変形への移り易さ、液体吐出時において振動部域端部に発生する応力の緩和・解消が可能な液体吐出ヘッドを提供する。
【解決手段】印加信号によって伸縮する圧電/電歪素子と、圧力発生室と、圧力発生室の一部を構成する振動板104と、インク供給流路と、インクリザーバと、ノズルとから構成され、圧電/電歪素子の変形によって振動板を変位させ、圧電/電歪素子に対応した圧力発生室内のインク圧力を高めることによってノズルからインク体を噴射させる液体吐出ヘッドにおいて、振動板は圧力発生室外側の圧力発生室の長手方向に沿って少なくとも1つ以上の凹部102を有し、圧電/電歪素子が、凹部の凹形状表面の一部もしくは全部を覆うように、且つ凹形状に形成されている。
【選択図】 図6
【解決手段】印加信号によって伸縮する圧電/電歪素子と、圧力発生室と、圧力発生室の一部を構成する振動板104と、インク供給流路と、インクリザーバと、ノズルとから構成され、圧電/電歪素子の変形によって振動板を変位させ、圧電/電歪素子に対応した圧力発生室内のインク圧力を高めることによってノズルからインク体を噴射させる液体吐出ヘッドにおいて、振動板は圧力発生室外側の圧力発生室の長手方向に沿って少なくとも1つ以上の凹部102を有し、圧電/電歪素子が、凹部の凹形状表面の一部もしくは全部を覆うように、且つ凹形状に形成されている。
【選択図】 図6
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、印加信号によって伸縮する駆動素子から発生させた機械的エネルギーにより所望の液体を吐出する液体吐出ヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から液体吐出装置は、微細加工、実験分析、画像形成等の様々な分野で応用されているが、ここではインクジェットによる記録方法を例にとって説明する。
【0003】
インク滴を吐出し、これを被記録媒体上に付着させて画像形成を行うインクジェット記録方法は、高速記録が可能であり、また記録品位も高く、低騒音であるという利点を有している。さらに、この方法はカラー画像記録が容易であって、普通紙等にも記録でき、さらに装置を小型化し易いといった多くの優れた利点を有している。このようなインクジェット記録方法を用いる記録装置には、一般にインクを飛翔インク体として吐出させるための吐出口と、この吐出口に連通するインク路と、このインク路の一部に設けられ、インク路内のインクに吐出のための吐出エネルギーを与えるエネルギー発生手段とを有する記録ヘッドが備えられる。
【0004】
インクを吐出させて記録を得るインクジェットヘッドの代表例としては、ピエゾ素子を振動させてインク室の容積を変化させて第1のタイミングでインクを吸引し、第2のタイミングでインクに圧力を加えて液体として記録用紙に飛翔させるものや(例えば、特許文献1参照。)、また、極めて細いノズル形成部材に発熱要素を内蔵させ、熱エネルギーによりノズル形成部材に瞬間的に気泡を生じさせ、気泡の膨張力によりインクを吐出させるものなどが提案されている(例えば、特許文献2参照。)。ピエゾ素子を用いたインクジェットヘッドは、電圧変位でインク滴の液体サイズを可変させることができ、インクに熱を加えることがないためインク選択の幅が広がるという利点がある。
【0005】
そうした中、近年の高精細印字の要求により、多ノズル化に伴う精密微細加工と複雑な所望形状が必要とされるようになった。例えば、圧電性を有する薄膜を駆動源とするインクジェットヘッドにおいては、振動板の機械的変形特性はインク吐出特性に大きく影響し、振動板の形成方法、材質特性も重要となっている(例えば、特許文献3参照。)。
【0006】
従来、図15のように、圧電素子1101、下部電極1102、振動板1103と一体に焼成された構成で、下部電極1102は、その幅が圧力発生室1106の幅より狭く形成され、圧電素子1101は、その幅が下部電極1102の幅よりも大きく形成された構成のものが開示されている(例えば、特許文献4参照。)。この作製方法によると、圧力発生室1106上の一部に、振動板1103と駆動素子である圧電素子1101が一体となった凹形状の部分が作製される。
【0007】
また、図16のように、下電極1202を印刷する際に中央部の肉厚を周辺部よりも厚く印刷しておくことにより、焼成後において圧電素子1201が圧力発生室1205側にたわまず、圧電素子1201の収縮力が圧力発生室1205形成部材の側壁である圧力発生室隔室1204に作用しない構成が開示されている(例えば、特許文献5参照。)。この作製方法によると、振動板1203の一部分に凹形状の部分が作製される。
【0008】
【特許文献1】
米国特許第3946398号明細書
【特許文献2】
特開昭54―161935号公報
【特許文献3】
特開平10―286953号公報
【特許文献4】
特開平07―148921号公報
【特許文献5】
特開平07―60960号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の特許文献4(図11)のように、上記凹部が駆動素子である圧電素子1101のみにしか形成されていない場合、上記振動板1103の変形時に上記圧力発生室1106上の振動板支持部との境界部1105に発生する応力を緩和・解消できず、長時間にわたる駆動において疲労による振動特性の劣化、もしくは破壊することがある。
【0010】
また、上記の特許文献5(図12)のように、振動板1203中央部は圧力発生室1205側に対して凸形状に変形しているが、圧電素子1201が平坦形状に形成されている。この場合、下電極1202中央部は周辺部よりも厚みがあり変形しにくくなり、圧電素子1201の変形応力を、圧力発生室を収縮させる振動板変位に変換するのに効率が悪い。
【0011】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものである。本発明の目的は、振動板の変位に関して変形量の向上、圧力発生室側方向に関しての静止から初期変形への移り易さ、液体吐出時において振動部域端部に発生する応力の緩和・解消が可能な液体吐出ヘッドを提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明の液体吐出ヘッドは、印加信号によって伸縮する圧電/電歪素子と、圧力発生室と、圧力発生室の一部を構成する振動板と、インク供給流路と、インクリザーバと、ノズルとから構成され、圧電/電歪素子の変形によって振動板を変位させ、圧電/電歪素子に対応した圧力発生室内のインク圧力を高めることによってノズルからインク体を噴射させる液体吐出ヘッドにおいて、振動板は圧力発生室外側の圧力発生室の長手方向に沿って少なくとも1つ以上の凹部を有し、圧電/電歪素子が、凹部の凹形状表面の一部もしくは全部を覆うように、且つ凹形状に形成されている。
【0013】
即ち、本発明のインクジェットヘッドは、本発明の液体吐出ヘッドでは、振動板が、圧力発生室外側の圧力発生室長手方向に沿って少なくとも1つ以上の凹部を有し、圧電/電歪素子が、凹形状表面の一部もしくは全部を覆うように、且つ凹形状に形成されていることで、振動板の圧力発生室側への変位量向上、圧力発生室側方向に関しての静止から初期変形への移り易さを実現し、振動部への発生応力を緩和・解消させることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
まず、ノズル先端液面のメニスカス制御により液体吐出させる過程において、上記振動板の変位量向上、さらには振動特性の向上について説明する。
【0015】
現在一般的に用いられている吐出法は、圧電振動子の伸縮で発生した圧力を、振動板を通じて圧力発生室内の体積変位に変換し、メニスカス制御を行うことでインク滴を発生させるものである。その際、振動板を圧力発生室側へ急激に変位させ圧力発生室体積を収縮させる運動があるため、振動板を効果的に圧力発止室側へ変位させる必要がある。ここでいう効果的とは振動板の変位に関して、変形量の向上、圧力発生室側方向に関しての静止から初期変形への移り易さ、液体吐出時において振動部域端部に発生する応力の緩和・解消に関するものである。
【0016】
例えば図1、図2(圧力発生室断面図)に示すように、振動板603、703の圧力発生室外側に凹部602、702を有し、駆動素子601、701の一部が凹形状の外面上に凹形状に形成されることで上記の効果的な振動変位を実現できる。
【0017】
それは、図3に示すように、たわみ振動により圧力発生室体積を変化させる場合、その駆動素子表面に凹部を形成することで、駆動素子上面の束縛されていない部分で発生する変位(座屈応力)に対して圧力発生室側へたわみやすくなり、変位しやすくなるからである。その際、図3(a)、図3(b)の形状いずれでも問題はないが振動板変位、発生圧力を考慮する必要がある。例えば、図3(a)の構造に対して、図3(b)の構造の方が変形量は大きく、発生圧力は大きくなる。実際の設計に際しては、駆動素子幅、圧力発生室幅、振動板特性、駆動素子特性を考慮に入れて、必要な変位と発生圧力を得られるようにしなければならない。
【0018】
また、駆動素子以外の圧力発生室上の振動板表面に凹部を形成することで、液体吐出過程において一部に応力が集中せず、応力を緩和・解消することができる。
【0019】
ただし、振動板構造全体として吐出に適した振動板の実効的厚さ、凹部の形状、形成位置、形成数、さらには圧力発生室幅に対する駆動素子幅を、吐出に適した振動変位、発生圧力が得られるように適宜設定する必要がある。
【0020】
また上記のような凹部を形成することで、従来より駆動素子幅(W1)/圧力発生室幅(W2)の比を大きくしても振動変位を生むことができ、剛性も上がり発生圧力の増大を図ることができる。凹部は矩形状でもかまわないが、図4、図5に示すように矩形でない形状のほうが凹部内のエッジ形状である角部(隅)に応力が集中せずより好ましい。
【0021】
その振動板の支持構造の降伏応力が発生する応力以上になるように適宜設計される必要がある。
【0022】
次に、本発明の実施の形態について説明する。
【0023】
本発明の液体吐出ヘッドは、振動板が、圧力発生室外側の圧力発生室長手方向に沿って少なくとも1つ以上の凹部を有し、圧電/電歪素子が、凹形状表面の一部もしくは全部覆うように、且つ凹形状に形成されていることを特徴としていることにより、振動板の変位に関して、変形量の向上、圧力発生室側方向に関しての静止から初期変形への移り易さ、液体吐出時において振動部域端部に発生する応力の緩和・解消をすることができる。
【0024】
圧力発生室外側の振動板表面へ矩形状の凹部を形成するには、例えば、Si単結晶基板におけるエッチング時間の制御や、エッチングストップ技術を用いて形成した振動板をエッチング加工することで作製できる。エッチストップ技術とは、Si単結晶基板におけるp型不純物層のエッチング速度が遅いことを利用し、p型不純物層のみをエッチングにより残留させ、その残留層を振動板として用いるものである。さらにレジスト、または酸化膜等をマスクとしてその振動板をArまたはSF6を主成分とするガスによりドライエッチングして凹部を形成するものである。その際、凹部の形状、配置は、圧力発生室幅、駆動素子幅、駆動素子の特性により適宜決めることになる。
【0025】
また圧力発生室外側の振動板表面へ矩形状でない凹部を形成するには、例えば、圧力発生室を有する基板と振動板を接合後、振動板を構造値として適正な厚みまで薄片化研磨し、酸溶液により振動板表側をエッチング加工することで作製できる。例えば、振動板にSiO2を主成分とする材料を用い、レジスト等をエッチングマスクとしてHFを主成分とする溶液でエッチング加工、または振動板にMgOを主成分とする材料を用い、レジスト等をエッチングマスクとしてリン酸を主成分とする溶液でエッチング加工すれば、ウェットエッチングに特有な矩形状でない凹部を形成することができる。
【0026】
もちろん、単結晶基板に、圧力発生室形成の際のエッチストップ層となる材料例えばSiN、熱酸化膜などを成膜して、必要ならばそのエッチストップ層上に振動板に適した材料例えばSiO2、Crなどを成膜して所望の振動板厚さを形成し、その後、振動板表面をエッチング加工することでも、上記のような矩形もしくは矩形でない凹部を形成できる。
【0027】
また振動板は、例えば、酸化シリコンSiO2の他、ニッケル、アルミニウムなどの金属や、アルミナ、またはポリイミド系の樹脂のような特性の異なる複数の材料により積層された構造であっても問題はない。さらにはSOI基板のSOI層/絶縁層/Si層(圧力発生室側)を振動板構成とすることも可能である。
【0028】
次に、圧力発生源として圧電性膜を用いる場合、上記凹部を有する振動板上に下電極を形成後、構造体の許容する温度範囲内、且つプロセス工程からみて可能な成膜手段で形成することが可能である。例えばスパッタリング、CVD、ゾルゲル、EB、蒸着、レーザーアブレーションなどで作製プロセス条件に適応する手段を用いる。用いる圧電体薄膜は、チタン酸ジルコン酸鉛、マグネシウムニオブ酸鉛、ニッケルニオブ酸鉛、亜鉛ニオブ酸鉛、マンガンニオブ酸鉛、アンチモンスズ酸鉛、チタン酸鉛、亜鉛酸化物、アルミ窒化物のうち少なくとも1種類を主成分とし、電極材料は、白金、パラジウム、銀―パラジウム、銀―白金、白金―パラジウムからなる合金のうち少なくとも1種類以上を主成分とする。
【0029】
そして、基板表面に対し垂直な隔壁をもつ圧力発生室は、Si(110)単結晶基板のKOH溶液による異方性エッチング、もしくはSi単結晶基板をSF6ガスを主成分とするガスを用いてドライエッチングすることにより高精度に作製できる。ノズル部は圧力発生室基板内、もしくは圧力発生室を密閉する基板内に含まれ、振動板変位方向に垂直でも平行でも作製可能である。
【0030】
以下に具体的な実施例を示すが、駆動素子、振動板、圧力発生室、インク供給流路、インクリザーバ、およびノズル等の寸法や形状や材質、駆動条件等は一例であり、設計事項として任意に変更できるものである。
【0031】
【実施例】
以下実施例を用いて本発明を、より詳細に説明する。
(実施例1)(要約―ボロン拡散層振動板 矩形+たくさん凹)
長さ方向に長手形状を有する圧力発生室の、幅方向の断面図を基に、以下の手順で液体吐出ヘッドを作製し、評価した(図6(a)、図7、図8参照)。実際、凹部内の凹み幅5μmで隣接する凹部までは5μmの等間隔であり、駆動素子幅85μm、圧力発生室幅100μmとしてある。
【0032】
(1)n型Si(110)単結晶基板204(厚さ100〜300μm)の表面に個体拡散源から1×1019cm−3以上の高濃度ボロンを、深さ4μmを目標として拡散した層203を形成する。マスクとしてSiO2を成膜後、フォトリソ技術により、圧力発生室に対応する部分に凹パターニング201を施す。
【0033】
(2)SF6ガスを主成分とするドライエッチングで、Si振動板203上に凹パターン205(深さ2.0μm)を形成し、SiO2マスクを剥離する。
【0034】
(3)下電極としてPt膜208(厚さ100nm)を形成し、圧電体薄膜としてZnO膜207(厚さ10μm)をスパッタリング成膜し、上電極としてPt膜206(厚さ100nm)を形成する。
【0035】
(4)フォトリソ技術によるレジストマスクを用いて、表面の上電極Pt膜206をArを主成分とするガスでドライエッチングし上電極パターンを形成する。次にフォトリソ技術によるレジストマスクを用いて、ZnO膜をHCl希釈液でエッチングし、表面の下電極Pt膜208をエッチングし駆動素子209を形成する。ここで下電極の不必要部分をエッチングにて取り去ることで、圧力発生室上の振動板の特性を確保する。さらに、圧力発生室の表面に関して、上電極との接触がとれるように加工された保護用の絶縁膜SiN膜210を0.1μm成膜することで以後のプロセスによる損傷を防ぐ。ここで駆動素子は、保護膜/上電極/圧電膜/下電極という構造になっており、圧電素子幅W1は80μm、圧力発生室幅W2は100μmである。
【0036】
(5)KOH溶液でSi(110)基板のエッチングを行い、振動板に垂直である圧力発生室隔壁を形成する。ボロン拡散層でエッチングがストップするため、振動板203が形成される。
【0037】
(6)各圧力発生室にインクを供給するインクリザーバー、インク供給流路、各圧力発生室に対応するノズル部を有する基板212を、圧力発生室を有する基板に接着剤211で接着する。
【0038】
インクリザーバーに吐出液体を供給し、先端ノズル側から供給インクの流入を確認後、駆動波形を印加して液体を吐出させた。
【0039】
吐出ヘッドの圧電素子の駆動条件を、矩形波電圧30V、オフセット電圧15V、周波数1kHzの矩形パルスよりなる電気信号とし、吐出口よりインクを吐出させた。この状況をパルス光源と顕微鏡を用い観察した。すなわち、圧電体を駆動するための駆動パルスに同期し、且つ所定の遅延時間をおいてパルス光を発光させながら、吐出状況を観察した。この状況をパルス光源と顕微鏡を用いて観察した。
【0040】
PZT膜に比較して圧電定数の小さいZnO膜でも長時間安定して吐出を行えたことから、振動板表面に凹部を形成したことで、発生圧力を減少させずに液体吐出に充分な変位量を得ることができ、また、液体吐出ヘッドの耐久性も向上した。
(実施例2)(要約―酸化膜振動板 矩形+少ない凹)
長さ方向に長手形状を有する圧力発生室の、幅方向の断面図を基に、以下の手順で液体吐出ヘッドを作製し、評価した(図6(b)、図9、図10参照)。実際、凹部内の凹み幅は5μmで隣接する凹部までは5μmの等間隔であり、駆動素子幅85μm、圧力発生室幅100μmとしてある。
【0041】
(1)Si(110)単結晶基板305(厚さ100〜300μm)に、表面保護層となる熱酸化膜304(厚さ0.5μメータ)を形成する。次に振動板形成側にSiO2膜303(厚さ4.5μm)を形成し、フォトリソ技術により、圧力発生室に内のレジストに凹パター301(深さ2.0μm)を形成する。
【0042】
(2)Arを主成分とするガスでドライエッチングを行い、振動板SiO2膜上の圧力発生室外側一部に凹部パターン306を形成し、レジストマスクを剥離する。
【0043】
(3)下電極となるPt膜309(厚さ100nm)を形成し、圧電体薄膜としてPb(Zr0.52Ti0.48)O3膜308(厚さ3μm)をスパッタリング成膜する。その後上電極となるPt膜307(厚さ100nm)を形成する。
【0044】
(4)フォトリソ技術によるレジストマスクを用いて、表面の上電極Pt膜307をArを主成分とするガスでドライエッチングし上電極パターンを形成する。次にフォトリソ技術によるレジストマスクを用いて、Pb(Zr0.52Ti0.48)O3膜308を、HFとHNO3主成分とする混合溶液でエッチングし、表面の下電極Pt膜309をエッチングし駆動素子310を形成する。ここで下電極の不必要部分をエッチングにて取り去ることで、圧力発生室上の振動板の特性を確保する。さらに、圧力発生室の表面に関して、上電極との接触がとれるように加工された保護用の絶縁膜SiN膜311を0.1μm成膜することで以後のプロセスによる損傷を防ぐ。ここで駆動素子310は、保護膜/上電極/圧電膜/下電極という構造になっており、圧電素子幅W1は80μm、圧力発生室幅W2は100μmである。
【0045】
(5)KOH溶液でSi基板のエッチングを行い、振動板に垂直である圧力発生室隔壁を形成する。
【0046】
(6)各圧力発生室にインクを供給するインクリザーバー、インク供給流路、各圧力発生室に対応するノズル部を有する基板313を圧力発生室を有する基板に接着剤312で接着する。
【0047】
インクリザーバーに吐出液体を供給し、先端ノズル側から供給インクの流入を確認後、駆動波形を印加して液体を吐出させた。
【0048】
吐出ヘッドの圧電素子の駆動条件を、矩形波電圧30V、オフセット電圧15V、周波数1kHzの矩形パルスよりなる電気信号とし、吐出口よりインクを吐出させた。この状況をパルス光源と顕微鏡を用い観察した。すなわち、圧電体を駆動するための駆動パルスに同期し、且つ所定の遅延時間をおいてパルス光を発光させながら、吐出状況を観察した。この状況をパルス光源と顕微鏡を用いて観察した。
【0049】
長時間安定して吐出を行えたことから、振動板表面に凹部を形成したことで、発生圧力を減少させずに液体吐出に充分な変位量を得ることができ、液体吐出ヘッドの耐久性も向上した。
(実施例3)(要約―パイレックス振動板 丸状凹)
長さ方向に長手形状を有する圧力発生室の、幅方向の断面図を基に、以下の手順で液体吐出ヘッドを作製し、評価した(図11、図12参照)。実際、凹部内の凹み幅は最大5μmで隣接する凹部までは5μmの等間隔であり、駆動素子幅80μm、圧力発生室幅100μmとしてある。
【0050】
(1)Si(110)単結晶基板403(厚さ100〜300μm)に、表面保護層となるSiN膜402、404(厚さ100nm)を成膜する。基板裏面に、フォトリソ技術により圧力発生室レジストパターニングを施し、SF6を主成分とするガスでSiNドライエッチングを行いパターン405を形成する。その後レジスト膜を剥離する。
【0051】
(2)KOHを主成分とする溶液でSiエッチングを行い、基板表面に対して垂直な圧力発生室隔壁を形成する。
【0052】
(3)表面保護層のSiN膜を剥離し、パイレックスガラス406を陽極接合により接合する。
【0053】
(4)パイレックスガラス406を薄片化研磨し、6μmの厚さの薄片化後のパイレックスガラス407にする。
【0054】
(5)フォトリソ技術によりレジスト409をパターニングして、圧力発生室上のパイレックスガラス407の表面に凹パターン408を形成する。圧力発生室内側にレジストを充填し保護マスク410を形成し、HFを主成分とする溶液で表面をエッチング(最大深さ2μm)する。
【0055】
(6)下電極となるPt膜(厚さ100nm)形成し、圧電体薄膜としてZnO膜(厚さ10μm)をスパッタリング成膜し、その後上電極となるPt膜(厚さ100nm)を形成する。フォトリソ技術によるレジストマスクを用いて、表面の上電極Pt膜をArを主成分とするガスでドライエッチングし上電極パターンを形成する。次にフォトリソ技術によるレジストマスクを用いてZnO膜を、HCl希釈液でエッチングし、表面の下電極Pt膜をエッチングし、駆動素子411を形成する。ここで下電極の不必要部分をエッチングにて取り去ることで、圧力発生室上の振動板の特性を確保する。さらに、圧力発生室の表面に関して、上電極との接触がとれるように加工された保護用の絶縁膜SiN膜412を0.1μm成膜することで以後のプロセスによる損傷を防ぐ。ここで駆動素子411は、保護膜/上電極/圧電膜/下電極という構造になっており、圧電素子幅W1は80μm、圧力発生室幅W2は100μmである。
【0056】
(7)各圧力発生室にインクを供給するインクリザーバー、インク供給流路、各圧力発生室に対応するノズル部を有する基板414を圧力発生室を有する基板に接着剤413で接着する。
【0057】
インクリザーバーに吐出液体を供給し、先端ノズル側から供給インクの流入を確認後、駆動波形を印加して液体を吐出させた。
【0058】
吐出ヘッドの圧電素子の駆動条件を、矩形波電圧30V、オフセット電圧15V、周波数1kHzの矩形パルスよりなる電気信号とし、吐出口よりインクを吐出させた。この状況をパルス光源と顕微鏡を用い観察した。すなわち、圧電体を駆動するための駆動パルスに同期し、且つ所定の遅延時間をおいてパルス光を発光させながら、吐出状況を観察した。この状況をパルス光源と顕微鏡を用いて観察した。
【0059】
PZT膜に比較して圧電定数の小さいZnO膜でも長時間安定して吐出を行えたことから、振動板表面に凹部を形成したことで、発生圧力を減少させずに液体吐出に充分な変位量を得ることができ、また、液体吐出ヘッドの耐久性も向上した。
(実施例1〜3に対する比較例)(要約―壊れる 凹なし)
長さ方向に長手形状を有する圧力発生室の、幅方向の断面図を基に、以下の手順で液体吐出ヘッドを作製し、評価した。(図13、図14参照)駆動素子幅8μm、圧力発生室幅100μmとしてある。
【0060】
(1)Si(110)単結晶基板503(厚さ100〜300μm)に、表面保護層となる熱酸化膜502(厚さ0.5μメータ)を形成する。次に振動板形成側にSiO2膜501(厚さ4.5μm)をスパッタリング成膜して振動板として必要な厚みを形成する。
【0061】
(2)下電極となるPt膜506(厚さ100nm)を形成し、圧電体薄膜としてPb(Zr0.52Ti0.48)O3膜505(厚さ3μm)をスパッタリング成膜する。その後上電極となるPt膜504(厚さ100nm)を形成する。
【0062】
(3)フォトリソ技術によるレジストマスクを用いて、表面の上電極Pt膜504をArを主成分とするガスでドライエッチングし上電極パターンを形成する。次にフォトリソ技術によるレジストマスクを用いて、Pb(Zr0.52Ti0.48)O3膜505をHF、HNO3などを主成分とする混合溶液でエッチングし、表面の下電極Pt膜506をエッチングし、駆動素子507を形成する。圧力発生室の表面に関して、上電極との接触がとれるように加工された保護用の絶縁膜SiN膜508を0.1μm成膜する。ここで駆動素子507は、保護膜/上電極/圧電膜/下電極という構造になっており、圧電素子幅W1は80μm、圧力発生室幅W2は100μmである。
【0063】
(4)KOH溶液でSi基板のエッチングを行い、振動板に垂直である圧力発生室隔壁を形成する。
【0064】
(5)各圧力発生室にインクを供給するインクリザーバー、インク供給流路、各圧力発生室に対応するノズル部を有する基板510を、圧力発生室を有する基板に接着剤509で接着する。
【0065】
インクリザーバーに吐出液体を供給し、先端ノズル側から供給インクの流入を確認後、駆動波形を印加して液体を吐出させた。
【0066】
吐出ヘッドの圧電素子の駆動条件を、矩形波電圧30V、オフセット電圧15V、周波数1kHzの矩形パルスよりなる電気信号とし、吐出口よりインクを吐出させた。この状況をパルス光源と顕微鏡を用い観察した。すなわち、圧電体を駆動するための駆動パルスに同期し、且つ所定の遅延時間をおいてパルス光を発光させながら、吐出状況を観察した。この状況をパルス光源と顕微鏡を用いて観察した。
【0067】
3×106回のパルスを印加したところ、吐出体積が急激に減少し、吐出液体の体積、速度に関してばらつきがみられた。これは振動板支持部において応力が集中し、振動板に疲労破壊もしくは振動特性が大きく変化したためである。
(実施例4)
インクジェット吐出ヘッドを複数装備し、駆動用回路を備え、吐出ヘッドと被記録媒体とを所望の間隔で対向させるための支持体と、入力された情報に応じて、吐出ヘッドと被記録媒体との相対位置を変化させるための機構を有する記録装置を作製した。本実施例の記録装置は、高解像度・高速印字が可能で、従来と比較して長時間にわたり安定した液体吐出が得られた。
【0068】
以上、本発明の4つの実施例が示され説明されたが、当業者であれば、本発明の趣旨と範囲は本明細書内特定の説明と図に限定されるのではなく、本特許請求の範囲に全て述べられた様々の修正と変更に及ぶことが理解されるであろう。
【0069】
本発明の実施態様の例を以下に列挙する。
【0070】
本発明の実施態様は、印加信号によって伸縮する圧電/電歪素子と、圧力発生室と、圧力発生室の一部を構成する振動板と、インク供給流路と、インクリザーバと、ノズルとから構成され、圧電/電歪素子の変形によって振動板を変位させ、圧電/電歪素子に対応した圧力発生室内のインク圧力を高めることによってノズルからインク体を噴射させる液体吐出ヘッドにおいて、振動板は圧力発生室外側の圧力発生室の長手方向に沿って少なくとも1つ以上の凹部を有し、圧電/電歪素子が、凹部の凹形状表面の一部もしくは全部を覆うように、且つ凹形状に形成されている。
【0071】
本実施態様の液体吐出ヘッドによれば、振動板が、圧力発生室外側の圧力発生室長手方向に沿って少なくとも1つ以上の凹部を有し、圧電/電歪素子が、凹形状表面の一部もしくは全部を覆うように、且つ凹形状に形成されていることで、振動板の圧力発生室側への変位量向上、圧力発生室側方向に関しての静止から初期変形への移り易さを実現し、振動部への発生応力を緩和・解消させることができる。
【0072】
また、本発明においては、凹部の最大深さが、振動板の最大厚さの0.3倍以上であることが好ましい。
【0073】
また、本発明においては、凹部の形状は、多角形状もしくは円形状であることが好ましい。
【0074】
本実施態様によれば、凹部は多角形状でもかまわないが、多角形状でない円形状のほうが凹部内のエッジ形状である角部(隅)に応力が集中せずより好ましい。
【0075】
また、本発明においては、振動板は、特性の異なる複数の材料により積層された構造であることが好ましい。
【0076】
また、本発明の実施態様は、上述の液体吐出ヘッドを有する記録装置である。
【0077】
本実施態様によれば、長時間の駆動に対して、従来と比較して振動板特性が劣化せず、耐久性のある記録装置を提供することが可能になる。
【0078】
また、本発明においては、複数の液体吐出ヘッドを備え、各駆動素子を伸縮させる電気信号を供給する手段を備えていることが好ましい。
【0079】
本実施態様によれば、高解像度・高速印字が可能で、従来と比較して長時間にわたり安定した液体吐出が得られる記録装置を提供することが可能になる。
【0080】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明には、以下の効果がある。
【0081】
本発明のインクジェットヘッドは、本発明の液体吐出ヘッドでは、振動板が、圧力発生室外側の圧力発生室長手方向に沿って少なくとも1つ以上の凹部を有し、圧電/電歪素子が、凹形状表面の一部もしくは全部を覆うように、且つ凹形状に形成されていることで、振動板の圧力発生室側への変位量向上、圧力発生室側方向に関しての静止から初期変形への移り易さを実現し、振動部への発生応力を緩和・解消させることができる。結果として長時間の駆動に対して、従来と比較して振動板特性が劣化せず、耐久性のある記録装置を提供することが可能になった。
【図面の簡単な説明】
【図1】矩形状凹部を有する圧力発生室断面図である。
【図2】矩形状凹部を有する圧力発生室断面図である。
【図3】凹部を有する圧力発生室断面の振動板変位の模式図である。
【図4】矩形でない凹部を有する圧力発生室断面図である。
【図5】矩形でない凹部を有する圧力発生室断面図である。
【図6】本発明における実施例図である。
【図7】本発明における実施例1の作製工程図である。
【図8】本発明における実施例1の作製工程図である。
【図9】本発明における実施例2の作製工程図である。
【図10】本発明における実施例2の作製工程図である。
【図11】本発明における実施例3の作製工程図である。
【図12】本発明における実施例3の作製工程図である。
【図13】本発明における実施例に対する比較例の作製工程図である。
【図14】本発明における実施例に対する比較例の作製工程図である。
【図15】従来の技術の圧力発生室断面図である。
【図16】従来の技術の圧力発生室断面図である。
【符号の説明】
101、209、310、411 駆動素子全体(上電極/圧電膜/下電極)
102、602、702、902、1002 凹部
103、210、311、412、508、 保護膜
104、603、703、903、1003、1103、1203 振動板
105、604、704、904、1004、1104、1204 圧力発生室隔壁
106、211、312、413、509 接着剤
107 密閉基板
201 SiO2パターン
202 SiO2マスク
203 ボロン拡散層
204、305、403、503、 Si基板
205 ボロン拡散層内の凹部
206、307、504、 上電極膜
207 ZnO膜
208、309、506 下電極膜
212、313、414,510 圧力発生室密閉基板
301 レジストパターン
302 レジスト
303、501 スパッタで成膜されたSiO2膜
304、502 熱酸化膜
305 Si基板
306 スパッタで成膜されたSiO2膜内の凹部
308 PZT膜
401 Si基板表面
402 SiN膜
403 Si基板
404 SiN保護膜
405 圧力発生室開口部
406 パイレックスガラス
407 薄片化後のパイレックスガラス
408 パイレックスガラス形成された矩形でない凹部
409 レジストマスク
410 圧力発生室内保護用レジスト
505、601、701、901、1001 圧電膜
1101、1201 圧電素子
1102 下部電極
1202 下電極
1105 境界部
1106、1205 圧力発生室
【発明の属する技術分野】
本発明は、印加信号によって伸縮する駆動素子から発生させた機械的エネルギーにより所望の液体を吐出する液体吐出ヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から液体吐出装置は、微細加工、実験分析、画像形成等の様々な分野で応用されているが、ここではインクジェットによる記録方法を例にとって説明する。
【0003】
インク滴を吐出し、これを被記録媒体上に付着させて画像形成を行うインクジェット記録方法は、高速記録が可能であり、また記録品位も高く、低騒音であるという利点を有している。さらに、この方法はカラー画像記録が容易であって、普通紙等にも記録でき、さらに装置を小型化し易いといった多くの優れた利点を有している。このようなインクジェット記録方法を用いる記録装置には、一般にインクを飛翔インク体として吐出させるための吐出口と、この吐出口に連通するインク路と、このインク路の一部に設けられ、インク路内のインクに吐出のための吐出エネルギーを与えるエネルギー発生手段とを有する記録ヘッドが備えられる。
【0004】
インクを吐出させて記録を得るインクジェットヘッドの代表例としては、ピエゾ素子を振動させてインク室の容積を変化させて第1のタイミングでインクを吸引し、第2のタイミングでインクに圧力を加えて液体として記録用紙に飛翔させるものや(例えば、特許文献1参照。)、また、極めて細いノズル形成部材に発熱要素を内蔵させ、熱エネルギーによりノズル形成部材に瞬間的に気泡を生じさせ、気泡の膨張力によりインクを吐出させるものなどが提案されている(例えば、特許文献2参照。)。ピエゾ素子を用いたインクジェットヘッドは、電圧変位でインク滴の液体サイズを可変させることができ、インクに熱を加えることがないためインク選択の幅が広がるという利点がある。
【0005】
そうした中、近年の高精細印字の要求により、多ノズル化に伴う精密微細加工と複雑な所望形状が必要とされるようになった。例えば、圧電性を有する薄膜を駆動源とするインクジェットヘッドにおいては、振動板の機械的変形特性はインク吐出特性に大きく影響し、振動板の形成方法、材質特性も重要となっている(例えば、特許文献3参照。)。
【0006】
従来、図15のように、圧電素子1101、下部電極1102、振動板1103と一体に焼成された構成で、下部電極1102は、その幅が圧力発生室1106の幅より狭く形成され、圧電素子1101は、その幅が下部電極1102の幅よりも大きく形成された構成のものが開示されている(例えば、特許文献4参照。)。この作製方法によると、圧力発生室1106上の一部に、振動板1103と駆動素子である圧電素子1101が一体となった凹形状の部分が作製される。
【0007】
また、図16のように、下電極1202を印刷する際に中央部の肉厚を周辺部よりも厚く印刷しておくことにより、焼成後において圧電素子1201が圧力発生室1205側にたわまず、圧電素子1201の収縮力が圧力発生室1205形成部材の側壁である圧力発生室隔室1204に作用しない構成が開示されている(例えば、特許文献5参照。)。この作製方法によると、振動板1203の一部分に凹形状の部分が作製される。
【0008】
【特許文献1】
米国特許第3946398号明細書
【特許文献2】
特開昭54―161935号公報
【特許文献3】
特開平10―286953号公報
【特許文献4】
特開平07―148921号公報
【特許文献5】
特開平07―60960号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の特許文献4(図11)のように、上記凹部が駆動素子である圧電素子1101のみにしか形成されていない場合、上記振動板1103の変形時に上記圧力発生室1106上の振動板支持部との境界部1105に発生する応力を緩和・解消できず、長時間にわたる駆動において疲労による振動特性の劣化、もしくは破壊することがある。
【0010】
また、上記の特許文献5(図12)のように、振動板1203中央部は圧力発生室1205側に対して凸形状に変形しているが、圧電素子1201が平坦形状に形成されている。この場合、下電極1202中央部は周辺部よりも厚みがあり変形しにくくなり、圧電素子1201の変形応力を、圧力発生室を収縮させる振動板変位に変換するのに効率が悪い。
【0011】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものである。本発明の目的は、振動板の変位に関して変形量の向上、圧力発生室側方向に関しての静止から初期変形への移り易さ、液体吐出時において振動部域端部に発生する応力の緩和・解消が可能な液体吐出ヘッドを提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明の液体吐出ヘッドは、印加信号によって伸縮する圧電/電歪素子と、圧力発生室と、圧力発生室の一部を構成する振動板と、インク供給流路と、インクリザーバと、ノズルとから構成され、圧電/電歪素子の変形によって振動板を変位させ、圧電/電歪素子に対応した圧力発生室内のインク圧力を高めることによってノズルからインク体を噴射させる液体吐出ヘッドにおいて、振動板は圧力発生室外側の圧力発生室の長手方向に沿って少なくとも1つ以上の凹部を有し、圧電/電歪素子が、凹部の凹形状表面の一部もしくは全部を覆うように、且つ凹形状に形成されている。
【0013】
即ち、本発明のインクジェットヘッドは、本発明の液体吐出ヘッドでは、振動板が、圧力発生室外側の圧力発生室長手方向に沿って少なくとも1つ以上の凹部を有し、圧電/電歪素子が、凹形状表面の一部もしくは全部を覆うように、且つ凹形状に形成されていることで、振動板の圧力発生室側への変位量向上、圧力発生室側方向に関しての静止から初期変形への移り易さを実現し、振動部への発生応力を緩和・解消させることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
まず、ノズル先端液面のメニスカス制御により液体吐出させる過程において、上記振動板の変位量向上、さらには振動特性の向上について説明する。
【0015】
現在一般的に用いられている吐出法は、圧電振動子の伸縮で発生した圧力を、振動板を通じて圧力発生室内の体積変位に変換し、メニスカス制御を行うことでインク滴を発生させるものである。その際、振動板を圧力発生室側へ急激に変位させ圧力発生室体積を収縮させる運動があるため、振動板を効果的に圧力発止室側へ変位させる必要がある。ここでいう効果的とは振動板の変位に関して、変形量の向上、圧力発生室側方向に関しての静止から初期変形への移り易さ、液体吐出時において振動部域端部に発生する応力の緩和・解消に関するものである。
【0016】
例えば図1、図2(圧力発生室断面図)に示すように、振動板603、703の圧力発生室外側に凹部602、702を有し、駆動素子601、701の一部が凹形状の外面上に凹形状に形成されることで上記の効果的な振動変位を実現できる。
【0017】
それは、図3に示すように、たわみ振動により圧力発生室体積を変化させる場合、その駆動素子表面に凹部を形成することで、駆動素子上面の束縛されていない部分で発生する変位(座屈応力)に対して圧力発生室側へたわみやすくなり、変位しやすくなるからである。その際、図3(a)、図3(b)の形状いずれでも問題はないが振動板変位、発生圧力を考慮する必要がある。例えば、図3(a)の構造に対して、図3(b)の構造の方が変形量は大きく、発生圧力は大きくなる。実際の設計に際しては、駆動素子幅、圧力発生室幅、振動板特性、駆動素子特性を考慮に入れて、必要な変位と発生圧力を得られるようにしなければならない。
【0018】
また、駆動素子以外の圧力発生室上の振動板表面に凹部を形成することで、液体吐出過程において一部に応力が集中せず、応力を緩和・解消することができる。
【0019】
ただし、振動板構造全体として吐出に適した振動板の実効的厚さ、凹部の形状、形成位置、形成数、さらには圧力発生室幅に対する駆動素子幅を、吐出に適した振動変位、発生圧力が得られるように適宜設定する必要がある。
【0020】
また上記のような凹部を形成することで、従来より駆動素子幅(W1)/圧力発生室幅(W2)の比を大きくしても振動変位を生むことができ、剛性も上がり発生圧力の増大を図ることができる。凹部は矩形状でもかまわないが、図4、図5に示すように矩形でない形状のほうが凹部内のエッジ形状である角部(隅)に応力が集中せずより好ましい。
【0021】
その振動板の支持構造の降伏応力が発生する応力以上になるように適宜設計される必要がある。
【0022】
次に、本発明の実施の形態について説明する。
【0023】
本発明の液体吐出ヘッドは、振動板が、圧力発生室外側の圧力発生室長手方向に沿って少なくとも1つ以上の凹部を有し、圧電/電歪素子が、凹形状表面の一部もしくは全部覆うように、且つ凹形状に形成されていることを特徴としていることにより、振動板の変位に関して、変形量の向上、圧力発生室側方向に関しての静止から初期変形への移り易さ、液体吐出時において振動部域端部に発生する応力の緩和・解消をすることができる。
【0024】
圧力発生室外側の振動板表面へ矩形状の凹部を形成するには、例えば、Si単結晶基板におけるエッチング時間の制御や、エッチングストップ技術を用いて形成した振動板をエッチング加工することで作製できる。エッチストップ技術とは、Si単結晶基板におけるp型不純物層のエッチング速度が遅いことを利用し、p型不純物層のみをエッチングにより残留させ、その残留層を振動板として用いるものである。さらにレジスト、または酸化膜等をマスクとしてその振動板をArまたはSF6を主成分とするガスによりドライエッチングして凹部を形成するものである。その際、凹部の形状、配置は、圧力発生室幅、駆動素子幅、駆動素子の特性により適宜決めることになる。
【0025】
また圧力発生室外側の振動板表面へ矩形状でない凹部を形成するには、例えば、圧力発生室を有する基板と振動板を接合後、振動板を構造値として適正な厚みまで薄片化研磨し、酸溶液により振動板表側をエッチング加工することで作製できる。例えば、振動板にSiO2を主成分とする材料を用い、レジスト等をエッチングマスクとしてHFを主成分とする溶液でエッチング加工、または振動板にMgOを主成分とする材料を用い、レジスト等をエッチングマスクとしてリン酸を主成分とする溶液でエッチング加工すれば、ウェットエッチングに特有な矩形状でない凹部を形成することができる。
【0026】
もちろん、単結晶基板に、圧力発生室形成の際のエッチストップ層となる材料例えばSiN、熱酸化膜などを成膜して、必要ならばそのエッチストップ層上に振動板に適した材料例えばSiO2、Crなどを成膜して所望の振動板厚さを形成し、その後、振動板表面をエッチング加工することでも、上記のような矩形もしくは矩形でない凹部を形成できる。
【0027】
また振動板は、例えば、酸化シリコンSiO2の他、ニッケル、アルミニウムなどの金属や、アルミナ、またはポリイミド系の樹脂のような特性の異なる複数の材料により積層された構造であっても問題はない。さらにはSOI基板のSOI層/絶縁層/Si層(圧力発生室側)を振動板構成とすることも可能である。
【0028】
次に、圧力発生源として圧電性膜を用いる場合、上記凹部を有する振動板上に下電極を形成後、構造体の許容する温度範囲内、且つプロセス工程からみて可能な成膜手段で形成することが可能である。例えばスパッタリング、CVD、ゾルゲル、EB、蒸着、レーザーアブレーションなどで作製プロセス条件に適応する手段を用いる。用いる圧電体薄膜は、チタン酸ジルコン酸鉛、マグネシウムニオブ酸鉛、ニッケルニオブ酸鉛、亜鉛ニオブ酸鉛、マンガンニオブ酸鉛、アンチモンスズ酸鉛、チタン酸鉛、亜鉛酸化物、アルミ窒化物のうち少なくとも1種類を主成分とし、電極材料は、白金、パラジウム、銀―パラジウム、銀―白金、白金―パラジウムからなる合金のうち少なくとも1種類以上を主成分とする。
【0029】
そして、基板表面に対し垂直な隔壁をもつ圧力発生室は、Si(110)単結晶基板のKOH溶液による異方性エッチング、もしくはSi単結晶基板をSF6ガスを主成分とするガスを用いてドライエッチングすることにより高精度に作製できる。ノズル部は圧力発生室基板内、もしくは圧力発生室を密閉する基板内に含まれ、振動板変位方向に垂直でも平行でも作製可能である。
【0030】
以下に具体的な実施例を示すが、駆動素子、振動板、圧力発生室、インク供給流路、インクリザーバ、およびノズル等の寸法や形状や材質、駆動条件等は一例であり、設計事項として任意に変更できるものである。
【0031】
【実施例】
以下実施例を用いて本発明を、より詳細に説明する。
(実施例1)(要約―ボロン拡散層振動板 矩形+たくさん凹)
長さ方向に長手形状を有する圧力発生室の、幅方向の断面図を基に、以下の手順で液体吐出ヘッドを作製し、評価した(図6(a)、図7、図8参照)。実際、凹部内の凹み幅5μmで隣接する凹部までは5μmの等間隔であり、駆動素子幅85μm、圧力発生室幅100μmとしてある。
【0032】
(1)n型Si(110)単結晶基板204(厚さ100〜300μm)の表面に個体拡散源から1×1019cm−3以上の高濃度ボロンを、深さ4μmを目標として拡散した層203を形成する。マスクとしてSiO2を成膜後、フォトリソ技術により、圧力発生室に対応する部分に凹パターニング201を施す。
【0033】
(2)SF6ガスを主成分とするドライエッチングで、Si振動板203上に凹パターン205(深さ2.0μm)を形成し、SiO2マスクを剥離する。
【0034】
(3)下電極としてPt膜208(厚さ100nm)を形成し、圧電体薄膜としてZnO膜207(厚さ10μm)をスパッタリング成膜し、上電極としてPt膜206(厚さ100nm)を形成する。
【0035】
(4)フォトリソ技術によるレジストマスクを用いて、表面の上電極Pt膜206をArを主成分とするガスでドライエッチングし上電極パターンを形成する。次にフォトリソ技術によるレジストマスクを用いて、ZnO膜をHCl希釈液でエッチングし、表面の下電極Pt膜208をエッチングし駆動素子209を形成する。ここで下電極の不必要部分をエッチングにて取り去ることで、圧力発生室上の振動板の特性を確保する。さらに、圧力発生室の表面に関して、上電極との接触がとれるように加工された保護用の絶縁膜SiN膜210を0.1μm成膜することで以後のプロセスによる損傷を防ぐ。ここで駆動素子は、保護膜/上電極/圧電膜/下電極という構造になっており、圧電素子幅W1は80μm、圧力発生室幅W2は100μmである。
【0036】
(5)KOH溶液でSi(110)基板のエッチングを行い、振動板に垂直である圧力発生室隔壁を形成する。ボロン拡散層でエッチングがストップするため、振動板203が形成される。
【0037】
(6)各圧力発生室にインクを供給するインクリザーバー、インク供給流路、各圧力発生室に対応するノズル部を有する基板212を、圧力発生室を有する基板に接着剤211で接着する。
【0038】
インクリザーバーに吐出液体を供給し、先端ノズル側から供給インクの流入を確認後、駆動波形を印加して液体を吐出させた。
【0039】
吐出ヘッドの圧電素子の駆動条件を、矩形波電圧30V、オフセット電圧15V、周波数1kHzの矩形パルスよりなる電気信号とし、吐出口よりインクを吐出させた。この状況をパルス光源と顕微鏡を用い観察した。すなわち、圧電体を駆動するための駆動パルスに同期し、且つ所定の遅延時間をおいてパルス光を発光させながら、吐出状況を観察した。この状況をパルス光源と顕微鏡を用いて観察した。
【0040】
PZT膜に比較して圧電定数の小さいZnO膜でも長時間安定して吐出を行えたことから、振動板表面に凹部を形成したことで、発生圧力を減少させずに液体吐出に充分な変位量を得ることができ、また、液体吐出ヘッドの耐久性も向上した。
(実施例2)(要約―酸化膜振動板 矩形+少ない凹)
長さ方向に長手形状を有する圧力発生室の、幅方向の断面図を基に、以下の手順で液体吐出ヘッドを作製し、評価した(図6(b)、図9、図10参照)。実際、凹部内の凹み幅は5μmで隣接する凹部までは5μmの等間隔であり、駆動素子幅85μm、圧力発生室幅100μmとしてある。
【0041】
(1)Si(110)単結晶基板305(厚さ100〜300μm)に、表面保護層となる熱酸化膜304(厚さ0.5μメータ)を形成する。次に振動板形成側にSiO2膜303(厚さ4.5μm)を形成し、フォトリソ技術により、圧力発生室に内のレジストに凹パター301(深さ2.0μm)を形成する。
【0042】
(2)Arを主成分とするガスでドライエッチングを行い、振動板SiO2膜上の圧力発生室外側一部に凹部パターン306を形成し、レジストマスクを剥離する。
【0043】
(3)下電極となるPt膜309(厚さ100nm)を形成し、圧電体薄膜としてPb(Zr0.52Ti0.48)O3膜308(厚さ3μm)をスパッタリング成膜する。その後上電極となるPt膜307(厚さ100nm)を形成する。
【0044】
(4)フォトリソ技術によるレジストマスクを用いて、表面の上電極Pt膜307をArを主成分とするガスでドライエッチングし上電極パターンを形成する。次にフォトリソ技術によるレジストマスクを用いて、Pb(Zr0.52Ti0.48)O3膜308を、HFとHNO3主成分とする混合溶液でエッチングし、表面の下電極Pt膜309をエッチングし駆動素子310を形成する。ここで下電極の不必要部分をエッチングにて取り去ることで、圧力発生室上の振動板の特性を確保する。さらに、圧力発生室の表面に関して、上電極との接触がとれるように加工された保護用の絶縁膜SiN膜311を0.1μm成膜することで以後のプロセスによる損傷を防ぐ。ここで駆動素子310は、保護膜/上電極/圧電膜/下電極という構造になっており、圧電素子幅W1は80μm、圧力発生室幅W2は100μmである。
【0045】
(5)KOH溶液でSi基板のエッチングを行い、振動板に垂直である圧力発生室隔壁を形成する。
【0046】
(6)各圧力発生室にインクを供給するインクリザーバー、インク供給流路、各圧力発生室に対応するノズル部を有する基板313を圧力発生室を有する基板に接着剤312で接着する。
【0047】
インクリザーバーに吐出液体を供給し、先端ノズル側から供給インクの流入を確認後、駆動波形を印加して液体を吐出させた。
【0048】
吐出ヘッドの圧電素子の駆動条件を、矩形波電圧30V、オフセット電圧15V、周波数1kHzの矩形パルスよりなる電気信号とし、吐出口よりインクを吐出させた。この状況をパルス光源と顕微鏡を用い観察した。すなわち、圧電体を駆動するための駆動パルスに同期し、且つ所定の遅延時間をおいてパルス光を発光させながら、吐出状況を観察した。この状況をパルス光源と顕微鏡を用いて観察した。
【0049】
長時間安定して吐出を行えたことから、振動板表面に凹部を形成したことで、発生圧力を減少させずに液体吐出に充分な変位量を得ることができ、液体吐出ヘッドの耐久性も向上した。
(実施例3)(要約―パイレックス振動板 丸状凹)
長さ方向に長手形状を有する圧力発生室の、幅方向の断面図を基に、以下の手順で液体吐出ヘッドを作製し、評価した(図11、図12参照)。実際、凹部内の凹み幅は最大5μmで隣接する凹部までは5μmの等間隔であり、駆動素子幅80μm、圧力発生室幅100μmとしてある。
【0050】
(1)Si(110)単結晶基板403(厚さ100〜300μm)に、表面保護層となるSiN膜402、404(厚さ100nm)を成膜する。基板裏面に、フォトリソ技術により圧力発生室レジストパターニングを施し、SF6を主成分とするガスでSiNドライエッチングを行いパターン405を形成する。その後レジスト膜を剥離する。
【0051】
(2)KOHを主成分とする溶液でSiエッチングを行い、基板表面に対して垂直な圧力発生室隔壁を形成する。
【0052】
(3)表面保護層のSiN膜を剥離し、パイレックスガラス406を陽極接合により接合する。
【0053】
(4)パイレックスガラス406を薄片化研磨し、6μmの厚さの薄片化後のパイレックスガラス407にする。
【0054】
(5)フォトリソ技術によりレジスト409をパターニングして、圧力発生室上のパイレックスガラス407の表面に凹パターン408を形成する。圧力発生室内側にレジストを充填し保護マスク410を形成し、HFを主成分とする溶液で表面をエッチング(最大深さ2μm)する。
【0055】
(6)下電極となるPt膜(厚さ100nm)形成し、圧電体薄膜としてZnO膜(厚さ10μm)をスパッタリング成膜し、その後上電極となるPt膜(厚さ100nm)を形成する。フォトリソ技術によるレジストマスクを用いて、表面の上電極Pt膜をArを主成分とするガスでドライエッチングし上電極パターンを形成する。次にフォトリソ技術によるレジストマスクを用いてZnO膜を、HCl希釈液でエッチングし、表面の下電極Pt膜をエッチングし、駆動素子411を形成する。ここで下電極の不必要部分をエッチングにて取り去ることで、圧力発生室上の振動板の特性を確保する。さらに、圧力発生室の表面に関して、上電極との接触がとれるように加工された保護用の絶縁膜SiN膜412を0.1μm成膜することで以後のプロセスによる損傷を防ぐ。ここで駆動素子411は、保護膜/上電極/圧電膜/下電極という構造になっており、圧電素子幅W1は80μm、圧力発生室幅W2は100μmである。
【0056】
(7)各圧力発生室にインクを供給するインクリザーバー、インク供給流路、各圧力発生室に対応するノズル部を有する基板414を圧力発生室を有する基板に接着剤413で接着する。
【0057】
インクリザーバーに吐出液体を供給し、先端ノズル側から供給インクの流入を確認後、駆動波形を印加して液体を吐出させた。
【0058】
吐出ヘッドの圧電素子の駆動条件を、矩形波電圧30V、オフセット電圧15V、周波数1kHzの矩形パルスよりなる電気信号とし、吐出口よりインクを吐出させた。この状況をパルス光源と顕微鏡を用い観察した。すなわち、圧電体を駆動するための駆動パルスに同期し、且つ所定の遅延時間をおいてパルス光を発光させながら、吐出状況を観察した。この状況をパルス光源と顕微鏡を用いて観察した。
【0059】
PZT膜に比較して圧電定数の小さいZnO膜でも長時間安定して吐出を行えたことから、振動板表面に凹部を形成したことで、発生圧力を減少させずに液体吐出に充分な変位量を得ることができ、また、液体吐出ヘッドの耐久性も向上した。
(実施例1〜3に対する比較例)(要約―壊れる 凹なし)
長さ方向に長手形状を有する圧力発生室の、幅方向の断面図を基に、以下の手順で液体吐出ヘッドを作製し、評価した。(図13、図14参照)駆動素子幅8μm、圧力発生室幅100μmとしてある。
【0060】
(1)Si(110)単結晶基板503(厚さ100〜300μm)に、表面保護層となる熱酸化膜502(厚さ0.5μメータ)を形成する。次に振動板形成側にSiO2膜501(厚さ4.5μm)をスパッタリング成膜して振動板として必要な厚みを形成する。
【0061】
(2)下電極となるPt膜506(厚さ100nm)を形成し、圧電体薄膜としてPb(Zr0.52Ti0.48)O3膜505(厚さ3μm)をスパッタリング成膜する。その後上電極となるPt膜504(厚さ100nm)を形成する。
【0062】
(3)フォトリソ技術によるレジストマスクを用いて、表面の上電極Pt膜504をArを主成分とするガスでドライエッチングし上電極パターンを形成する。次にフォトリソ技術によるレジストマスクを用いて、Pb(Zr0.52Ti0.48)O3膜505をHF、HNO3などを主成分とする混合溶液でエッチングし、表面の下電極Pt膜506をエッチングし、駆動素子507を形成する。圧力発生室の表面に関して、上電極との接触がとれるように加工された保護用の絶縁膜SiN膜508を0.1μm成膜する。ここで駆動素子507は、保護膜/上電極/圧電膜/下電極という構造になっており、圧電素子幅W1は80μm、圧力発生室幅W2は100μmである。
【0063】
(4)KOH溶液でSi基板のエッチングを行い、振動板に垂直である圧力発生室隔壁を形成する。
【0064】
(5)各圧力発生室にインクを供給するインクリザーバー、インク供給流路、各圧力発生室に対応するノズル部を有する基板510を、圧力発生室を有する基板に接着剤509で接着する。
【0065】
インクリザーバーに吐出液体を供給し、先端ノズル側から供給インクの流入を確認後、駆動波形を印加して液体を吐出させた。
【0066】
吐出ヘッドの圧電素子の駆動条件を、矩形波電圧30V、オフセット電圧15V、周波数1kHzの矩形パルスよりなる電気信号とし、吐出口よりインクを吐出させた。この状況をパルス光源と顕微鏡を用い観察した。すなわち、圧電体を駆動するための駆動パルスに同期し、且つ所定の遅延時間をおいてパルス光を発光させながら、吐出状況を観察した。この状況をパルス光源と顕微鏡を用いて観察した。
【0067】
3×106回のパルスを印加したところ、吐出体積が急激に減少し、吐出液体の体積、速度に関してばらつきがみられた。これは振動板支持部において応力が集中し、振動板に疲労破壊もしくは振動特性が大きく変化したためである。
(実施例4)
インクジェット吐出ヘッドを複数装備し、駆動用回路を備え、吐出ヘッドと被記録媒体とを所望の間隔で対向させるための支持体と、入力された情報に応じて、吐出ヘッドと被記録媒体との相対位置を変化させるための機構を有する記録装置を作製した。本実施例の記録装置は、高解像度・高速印字が可能で、従来と比較して長時間にわたり安定した液体吐出が得られた。
【0068】
以上、本発明の4つの実施例が示され説明されたが、当業者であれば、本発明の趣旨と範囲は本明細書内特定の説明と図に限定されるのではなく、本特許請求の範囲に全て述べられた様々の修正と変更に及ぶことが理解されるであろう。
【0069】
本発明の実施態様の例を以下に列挙する。
【0070】
本発明の実施態様は、印加信号によって伸縮する圧電/電歪素子と、圧力発生室と、圧力発生室の一部を構成する振動板と、インク供給流路と、インクリザーバと、ノズルとから構成され、圧電/電歪素子の変形によって振動板を変位させ、圧電/電歪素子に対応した圧力発生室内のインク圧力を高めることによってノズルからインク体を噴射させる液体吐出ヘッドにおいて、振動板は圧力発生室外側の圧力発生室の長手方向に沿って少なくとも1つ以上の凹部を有し、圧電/電歪素子が、凹部の凹形状表面の一部もしくは全部を覆うように、且つ凹形状に形成されている。
【0071】
本実施態様の液体吐出ヘッドによれば、振動板が、圧力発生室外側の圧力発生室長手方向に沿って少なくとも1つ以上の凹部を有し、圧電/電歪素子が、凹形状表面の一部もしくは全部を覆うように、且つ凹形状に形成されていることで、振動板の圧力発生室側への変位量向上、圧力発生室側方向に関しての静止から初期変形への移り易さを実現し、振動部への発生応力を緩和・解消させることができる。
【0072】
また、本発明においては、凹部の最大深さが、振動板の最大厚さの0.3倍以上であることが好ましい。
【0073】
また、本発明においては、凹部の形状は、多角形状もしくは円形状であることが好ましい。
【0074】
本実施態様によれば、凹部は多角形状でもかまわないが、多角形状でない円形状のほうが凹部内のエッジ形状である角部(隅)に応力が集中せずより好ましい。
【0075】
また、本発明においては、振動板は、特性の異なる複数の材料により積層された構造であることが好ましい。
【0076】
また、本発明の実施態様は、上述の液体吐出ヘッドを有する記録装置である。
【0077】
本実施態様によれば、長時間の駆動に対して、従来と比較して振動板特性が劣化せず、耐久性のある記録装置を提供することが可能になる。
【0078】
また、本発明においては、複数の液体吐出ヘッドを備え、各駆動素子を伸縮させる電気信号を供給する手段を備えていることが好ましい。
【0079】
本実施態様によれば、高解像度・高速印字が可能で、従来と比較して長時間にわたり安定した液体吐出が得られる記録装置を提供することが可能になる。
【0080】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明には、以下の効果がある。
【0081】
本発明のインクジェットヘッドは、本発明の液体吐出ヘッドでは、振動板が、圧力発生室外側の圧力発生室長手方向に沿って少なくとも1つ以上の凹部を有し、圧電/電歪素子が、凹形状表面の一部もしくは全部を覆うように、且つ凹形状に形成されていることで、振動板の圧力発生室側への変位量向上、圧力発生室側方向に関しての静止から初期変形への移り易さを実現し、振動部への発生応力を緩和・解消させることができる。結果として長時間の駆動に対して、従来と比較して振動板特性が劣化せず、耐久性のある記録装置を提供することが可能になった。
【図面の簡単な説明】
【図1】矩形状凹部を有する圧力発生室断面図である。
【図2】矩形状凹部を有する圧力発生室断面図である。
【図3】凹部を有する圧力発生室断面の振動板変位の模式図である。
【図4】矩形でない凹部を有する圧力発生室断面図である。
【図5】矩形でない凹部を有する圧力発生室断面図である。
【図6】本発明における実施例図である。
【図7】本発明における実施例1の作製工程図である。
【図8】本発明における実施例1の作製工程図である。
【図9】本発明における実施例2の作製工程図である。
【図10】本発明における実施例2の作製工程図である。
【図11】本発明における実施例3の作製工程図である。
【図12】本発明における実施例3の作製工程図である。
【図13】本発明における実施例に対する比較例の作製工程図である。
【図14】本発明における実施例に対する比較例の作製工程図である。
【図15】従来の技術の圧力発生室断面図である。
【図16】従来の技術の圧力発生室断面図である。
【符号の説明】
101、209、310、411 駆動素子全体(上電極/圧電膜/下電極)
102、602、702、902、1002 凹部
103、210、311、412、508、 保護膜
104、603、703、903、1003、1103、1203 振動板
105、604、704、904、1004、1104、1204 圧力発生室隔壁
106、211、312、413、509 接着剤
107 密閉基板
201 SiO2パターン
202 SiO2マスク
203 ボロン拡散層
204、305、403、503、 Si基板
205 ボロン拡散層内の凹部
206、307、504、 上電極膜
207 ZnO膜
208、309、506 下電極膜
212、313、414,510 圧力発生室密閉基板
301 レジストパターン
302 レジスト
303、501 スパッタで成膜されたSiO2膜
304、502 熱酸化膜
305 Si基板
306 スパッタで成膜されたSiO2膜内の凹部
308 PZT膜
401 Si基板表面
402 SiN膜
403 Si基板
404 SiN保護膜
405 圧力発生室開口部
406 パイレックスガラス
407 薄片化後のパイレックスガラス
408 パイレックスガラス形成された矩形でない凹部
409 レジストマスク
410 圧力発生室内保護用レジスト
505、601、701、901、1001 圧電膜
1101、1201 圧電素子
1102 下部電極
1202 下電極
1105 境界部
1106、1205 圧力発生室
Claims (1)
- 印加信号によって伸縮する圧電/電歪素子と、圧力発生室と、該圧力発生室の一部を構成する振動板と、インク供給流路と、インクリザーバと、ノズルとから構成され、前記圧電/電歪素子の変形によって前記振動板を変位させ、前記圧電/電歪素子に対応した前記圧力発生室内のインク圧力を高めることによって前記ノズルからインク体を噴射させる液体吐出ヘッドにおいて、
前記振動板は前記圧力発生室外側の前記圧力発生室の長手方向に沿って少なくとも1つ以上の凹部を有し、前記圧電/電歪素子が、前記凹部の凹形状表面の一部もしくは全部を覆うように、且つ前記凹形状に形成されていることを特徴とする液体吐出ヘッド。
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