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JP2004299018A - SiC単結晶基板等の研磨による超平滑結晶面形成方法 - Google Patents

SiC単結晶基板等の研磨による超平滑結晶面形成方法 Download PDF

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JP2004299018A
JP2004299018A JP2003097341A JP2003097341A JP2004299018A JP 2004299018 A JP2004299018 A JP 2004299018A JP 2003097341 A JP2003097341 A JP 2003097341A JP 2003097341 A JP2003097341 A JP 2003097341A JP 2004299018 A JP2004299018 A JP 2004299018A
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Osamu Etatsu
修 江龍
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Japan Science and Technology Agency
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Abstract

【課題】熱的、化学的、機械的な表面処理により結晶性表面を得ることが十分にできない材料においては、結晶性表面が得られない為に、その面上へのデバイス形成、その面上への単結晶膜成長において求める特性が得られなかった。
【構成】水に対してコロイダルシリカを5〜40重量%含有し、pHを7〜10に調整したアルカリ水性研磨液を用いて、回転バフ研磨法又は超音波振動研磨法によりSiC、III族窒化物、酸化物、又は誘電体からなる単結晶基板を研磨することにより表面部分の結晶性が単結晶ではない欠陥層を剥離して結晶性部分と欠陥層部分との境界面からなる超平滑面を形成することを特徴とする単結晶基板の超平滑結晶面形成方法。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、化学研磨や機械研磨が困難な硬質な単結晶材料を研磨して超平滑結晶面を形成する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体ウエハは、通常、円柱状の半導体単結晶ブロックをダイヤモンドソーなどにより所定の厚みのウエハに切り出して作製されているが、切断加工面には、マイクロクラックや転位などを含む加工変質層が発生するので、(1)面取り、(2)両面ラッピング、(3)化学研磨、(4)ポリッシング、(5)洗浄などの一連の仕上げ加工を行い、ウエハ表面の加工変質層や凹凸を無くして平坦度の高い鏡面を形成している。また、半導体基板表面の絶縁性酸化被膜や金属膜の除去のためにもポリッシングが行われる。
【0003】
SiやII−VI族化合物半導体結晶材料、SiOなどの絶縁性酸化被膜では、このポリッシング工程としては、コロイダルシリカを分散したアルカリ性水性研磨スラリーを回転式片面研磨装置などの研磨パッドと被加工物との間に供給しながら化学機械研磨(CMP)する方法がよく知られている(特許文献1〜6)。
【0004】
しかし、SiCはSiよりも遥かに化学的に安定で非反応性物質であり、ダイヤモンドに次ぐ硬質材料であり、Si結晶基板などと同様なコロイダルシリカを用いたCMP法による研磨は困難であり、例えば、ダイヤモンド砥粒を用いて研磨する方法が採用されてきた(特許文献7、8)。また、硬質材料であるGaNに代表されるIII族窒化物も同様にダイヤモンド砥粒を用いる研磨法が好ましいとされてきた(特許文献9)。
【0005】
SiC単結晶表面の加工変質層などの残留欠陥を除去するために、化学機械的方法に代えて、プラズマを用いた化学的気化加工方法も開発されている(特許文献10)。この特許文献10には、SiC単結晶ウエハ表面の残留欠陥を除去する従来の方法の例として、水酸化カリウムのような高温の溶融塩を用いた液体エッチング法、高濃度水酸化カリウム水溶液やクロム酸又はシュウ酸を電解質とする陽極エッチング法、表面を酸化し、続いてこの酸化部分を除去する方法が例示されている。その他に、SiC結晶基板の平坦化法としては、酸化クロムを遊離砥粒として用いるメカノケミカルポリッシング法(特許文献11、12)も開発されている。
【0006】
【特許文献1】
特公平7−12590号公
【特許文献2】
特開平10−308379号公報
【特許文献3】
特開平11−31675号公報
【特許文献4】
特許第3099002号公報
【特許文献5】
特開2001−7063号公報
【特許文献6】
特開2001−9078号公報
【特許文献7】
特開平8−323604号公報
【特許文献8】
特開平11−188610号公報
【特許文献9】
特開2001−322899号公報
【特許文献10】
特表平5−500883(特許第2771697)号公報
【特許文献11】
特開平7−80770号公報
【特許文献12】
特開2001−205555号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
半導体デバイスは、バルク基板上に成長させたエピタキシャル薄膜上に形成されることが多くなってきている。超LSIでは、より高精度に制御された電気的活性元素を取りこんだ層を必要としているためである。現在求められている、電子デバイス動作の低電圧化と高速化のためには、電気的活性元素の制御と共に、荷電担体(キャリア)から見た結晶構造の均一化が必要となる。また、デバイスとして利用する部分は、表面から数百ナノメートル以下の領域であることから、表面近傍の結晶構造の制御は、デバイス特性を左右するキーポイントとなっている。
【0008】
エピタキシャル膜は高度に平坦化された基板面上に作製される。平坦化は結晶低指数面上に行われる場合と、格子面成長を促進させるために、数度のオフ角度を作った面上に行われる場合がある。何れの場合においても、研磨の不均一さはエピタキシャル成長界面における局所的な酸化領域や結晶構造の乱れを生む。これらの場所からミクロな欠陥がエピタキシャル膜中に成長し、キャリア移動度の低下、空間電荷によるデバイス高速動作の阻害が問題となる。
【0009】
また、デバイス形成の後、デバイス動作中にこれらの点から欠陥が成長しデバイスを破壊することも問題となって来ている。1つのデバイスが占める基板上の面積の微小化が、従来、許されて来た原子ステップ単位の欠陥が、「電子的欠陥」として現れて来ている。
【0010】
SiC半導体デバイス作製プロセスのSi半導体デバイス作製プロセスとの大きな違いは、エピタキシャル成長やイオン注入プロセス温度が1500℃を超え、最表面の原子移動が発生し始める温度であることにある。原子移動はミクロな格子歪み、凹凸等から発生し、ステップバンチングと呼ばれる階段状に再結晶成長した凹凸面を発生させる。また、キャリア移動度の結晶方位依存性が大きい、エピタキシャル成長様式の結晶方位依存性が大きいことから、様々な結晶面を得ることが必要となっていることも上げられる。
【0011】
さらに、SiC半導体は、SiとCの原子半径が大きく異なる2種類の元素からなる化合物であり、Cクラスター等が表面近傍に成長し、電子的準位を作り、MOSデバイス動作速度を低速化させるなど、物性面からの問題が生じている。また、SiC半導体では期待されているデバイス動作温度が500℃前後かそれ以上の温度であること、逆耐圧が数千ボルトの高い電圧であり、順方向電流も数百アンペア/□である等、動作時に欠陥が発生しやすい環境で用いられる。これらのことから、SiC半導体基板は平坦であることは勿論であるが、結晶欠陥が少ないことが要求される。
【0012】
上記の従来の技術に記載したようなダイヤモンド等の硬質砥粒によるSiC半導体表面の原子半径レベルの平坦化の為の研磨法では、研磨面の表層近傍の結晶構造は研磨ストレスにより破壊もしくは結晶性に乱れを生じ、結晶性ではない層が形成される。また、硬質砥粒による研磨においては、研磨中に10nmを越える深さの切削痕が発生し、その周りには結晶性ではない層が発生する。
【0013】
結晶性ではない層を除去する化学的手法として酸化クロム、酸化チタンなどの化学触媒研磨法においても同様であり、且つ、これらの化学的手法においては研磨材による金属元素が研磨面に化学的に結合し残留するため、表面金属汚染が生じる。
【0014】
このように、熱的、化学的、機械的な表面処理により結晶性表面を得ることが十分にできないSiC、III族窒化物半導体単結晶や、チタン酸バリウム、ニオブ酸バリウム、二酸化テルル、モリブデン酸鉛のような光学材料用酸化物単結晶、又は誘電体セラミックスなどの単結晶基板は、研磨することによって、結晶性表面が得られないために、その面上へのデバイス形成、その面上への単結晶膜成長において求める所望の特性が得られなかった。
【0015】
本発明は、単結晶基板に対し、研磨加工の利用によって最表面層まで単結晶性の電気的にも問題のない表面を得ることができ、さらに、表面凹凸がWyko法(光学式表面形状粗さ測定装置)及びAFM法で測定して1nm以下であることを可能とする表面処理方法を提供することを目的としている。
【0016】
さらには、エピタキシャル膜の最表面近傍の結晶性について問題が発生して来ている。エピタキシャル成長膜を「研磨」することはこれまでは考えられて来なかった。これは、研磨行為による汚染に対する意識もあったと思われるが、主に、エピタキシャル膜は結晶性に優れているという思い込みがあることに起因すると思われる。
【0017】
表面を作るエピタキシャル成長終了期では、原子供給が乱れるため、数層の構造乱れを生じさせる。AFM等、最表面の平坦さだけに着目する評価では、確かに原子一層程度の凹凸しかない平坦度が得られている。しかし、結晶構造を評価すると、数層が非晶質化しているエピタキシャル膜もある。AFM等、単に平坦度だけを調べるだけでは、電子デバイス基板の表面検査法としては不充分である。このような問題は、僅かな格子歪みが、結晶表面を利用するMOSトランジスタ構造において、特性に影響が出てくる程にデバイスが微細化してきていることから顕著になってきた。
【0018】
そこで、数層の格子配列を評価することに加えて、ショットキー電極を作製し、その特性を評価することも重要である。デバイスサイズがエピタキシャル膜の表面構造を無視出来なくなってきている現在、平坦度評価に加え、表面数層単位の結晶構造評価、電子的欠陥評価を「表面微細加工」の評価として行い、これらの評価の高いエピタキシャル膜が求められる。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、硬質材料の研磨に従来使用されているダイヤモンドや炭化珪素粉末などの硬質砥粒や化学的触媒材料を用いないで、コロイダルシリカとアルカリ液の相乗的作用を利用することによりこれまで研磨が非常に困難とされてきたSiC又はIII族窒化物単結晶基板の表面部の結晶性が単結晶ではない欠陥層を効率的に剥離して超平滑結晶面を形成できることを見出した。
また、この方法を酸化物、又は誘電体からなる単結晶基板の表面部の欠陥層の除去や単結晶基板上に形成したSiC、III族窒化物、酸化物、又は誘電体からなるエピタキシャル膜の表面部の欠陥層の除去にも適用できることを見出した。
【0020】
すなわち、本発明は、(1)水に対してコロイダルシリカを5〜40重量%含有し、pHを7〜10に調整したアルカリ水性研磨液を用いて、回転バフ研磨法又は超音波振動研磨法によりSiC、III族窒化物、酸化物、又は誘電体からなる単結晶基板を研磨することにより表面部分の結晶性が単結晶ではない欠陥層を剥離して結晶性部分と欠陥層部分との境界面からなる超平滑面を形成することを特徴とする単結晶基板の超平滑結晶面形成方法、である。
また、本発明は、(2)結晶性が単結晶ではない欠陥層は、単結晶基板に既存の層、単結晶基板の前段粗研磨時に生じた層、又は500℃を越える高温度プロセス歪みにより単結晶基板に生じた層であることを特徴とする上記(1)の単結晶基板の超平滑結晶面形成方法、である。
また、本発明は、(3)結晶性が単結晶ではない欠陥層は、半導体単結晶基板にイオン注入によって導入された100nmレベルの深さの層であり、欠陥層の除去により表面に100nmレベルの凹凸構造を選択的に作製することを特徴とする上記(1)の単結晶基板の超平滑結晶面形成方法、である。
【0021】
さらに、本発明は、(4)水に対してコロイダルシリカを5〜40重量%含有し、pHを7〜10に調整したアルカリ水性研磨液を用いて、回転バフ研磨法又は超音波振動研磨法により単結晶基板上に形成されたSiC、III族窒化物、酸化物、又は誘電体からなるエピタキシャル膜を研磨することにより表面部分の結晶性が単結晶ではない欠陥層を剥離して結晶性部分と欠陥層部分との境界面からなる超平滑面を形成することを特徴とするエピタキシャル膜の超平滑結晶面形成方法。
また、本発明は、(5)該アルカリ水性研磨液は、欠陥層の研磨による除去速度が結晶性部分の研磨による除去速度より少なくとも10倍以上速い研磨能力を有することを特徴とする上記(1)ないし(4)の超平滑結晶面形成方法、である。
また、本発明は、(6)研磨面を大気に触れない状態で研磨加工することを特徴とする上記(1)ないし(5)のいずれかの超平滑結晶面形成方法、である。
また、本発明は、(7)超平滑面がWyko法(光学式表面形状粗さ測定装置)及びAFM法で測定して凹凸1nm以下であることを特徴とする上記(1)ないし(6)のいずれかの超平滑結晶面形成方法、である。
【0022】
【作用】
SiCはダイヤモンドの次に硬いと言われる材料であり、SiとCの結合が極めて強いが、結晶性が単結晶ではない欠陥層には結合の手が切れている部分がある。本発明のアルカリ水性研磨液を使用すると、研磨液に分散したコロイダルシリカのシリカ微粒子がその欠陥領域がある部分を選択的にアタックし、シリカの酸素原子と結合の手が切れた炭素原子が化学的に結合し、気化脱離し、その後、残留シリコンがコロイダルシリカに固溶し脱離するという反応が繰り返されるものと推察される。
【0023】
このような反応を効率よく促進させるには、アルカリ水性研磨液は水に対してコロイダルシリカを約5〜40重量%含有することが望ましい。コロイダルシリカの含有量が約5重量%未満では、研磨出来ず、また、約40重量%を超えるとコロイダルシリカが凝集して粒径が大きくなり、研磨面に傷が入るので好ましくない。より好ましくは、約5〜15重量%である。コロイダルシリカの平均粒径は0.5μm以下、より好ましくは0.1μm以下である。粒径が0.5μmより大きくなると研磨面が荒れてしまう。
【0024】
アルカリ水性研磨液中のNaOHやKOHは、結晶性が単結晶ではない欠陥層をエッチングする作用をする。欠陥領域がある部分をコロイダルシリカは選択的に研磨するが、NaOHやKOHの場合、それに加えて、単結晶部分も速度は遅いがエッチングにより削り取ってしまう。この作用は、NaOHの方がKOHより強いので、KOHの方が望ましい。NaOHやKOH濃度が高い場合には単結晶領域で研磨が終端されることなく、次から次へと研磨が進み、単結晶部分も削り込むのでpHは10以下に調整する必要がある。
【0025】
コロイダルシリカとアルカリ液をこのような条件とすることにより両者の相乗的な作用により、欠陥層の研磨による除去速度を結晶性部分の研磨による除去速度より少なくとも10倍以上速くすることができる。このように、アルカリ度合いが少ない場合、結晶欠陥を積極的に除去している間は、100nm〜300nm/10分程度と速いが、単結晶部分に当たった時点で研磨速度が急速に1/100〜1/10程度に落ちるので、結晶性を維持し、平滑面を得るには好都合である。
【0026】
したがって、サンプルで予め研磨時間を厳密に決めておかなくても、結晶質面が出てくると、ゆっくりとした研磨に変化する。よって、欠陥層と結晶層との明確な境界面で研磨が停止するため、欠陥層のみを選択的に剥離出来ることになり、また、結晶層と欠陥層の境界面の凹凸は数ナノメートルオーダーであり、数十ナノオーダーに広がっていることはないので、この境界面の研磨により数ナノメートルオーダーの超平滑面が得られる。
【0027】
GaNなどのIII族窒化物からなる半導体単結晶の場合やチタン酸バリウム、ニオブ酸バリウム、二酸化テルル、モリブデン酸鉛のような光学材料用酸化物単結晶、又は誘電体セラミックスなどの単結晶材料も本発明の研磨液を使用すると欠陥層の研磨速度が極めて大きく、欠陥層の領域のみが研磨され、SiCの研磨と同様の効果が得られる。
【0028】
また、イオン注入等、積極的に凹凸を持つ欠陥層を導入出来る手法によって100nmレベルの深さの欠陥層を導入した後に、欠陥層の除去により表面に100nmレベルの凹凸構造を選択的に作製したとしても、欠陥層と結晶層との境界面は、本手法によって数ナノメートル以下の凹凸性をもつ超平滑面を作ることが出来る。
【0029】
【発明の実施の形態】
本発明の方法により、半導体単結晶基板を回転バフ研磨法により研磨する場合の一例を図1及び図2に基づいて説明する。図1(A)は、半導体単結晶の固定治具に半導体単結晶を接着固定した状態を示す断面図、図1(B)はその下面図である。また、図2は、研磨時のコロイダルシリカ分散アルカリ水溶液と研磨に用いる治具、研磨台、研磨布との配置関係を示す断面図である。
【0030】
研磨対象の半導体単結晶1は固定治具2の下端の円板3の下面に接着剤を用いて適宜間隔で均等に配置して接着固定する。半導体単結晶1の研磨面が常に水平を保つように、水平研磨治具4の垂直貫通孔に該固定治具2を支持し、該固定治具2と水平研磨治具4は互いに滑らかに回転しあうようにする。該固定治具2及び水平研磨治具4は金属あるいはセラミクス製とする。
【0031】
水平研磨治具4の端部下面の数箇所には非金属材料5、例えば、半導体単結晶1と同じ種類の結晶性基板又はSi基板を接着する。非金属材料5の代わりに金属材料を用いると、金属原子とコロイダルシリカとが圧力下にある場合、金属イオンを取り込みながらシリカ粒子が凝集し、堅い大型の粒子となり、この粒子は半導体単結晶の結晶面までも削り取るので不適当である。
【0032】
コロイダルシリカ分散アルカリ水性研磨液6は回転研磨台7の縁8により回転研磨台7上に溜められる。半導体単結晶1は常にコロイダルシリカ分散アルカリ水性研磨液に浸っているようにすると、空気と半導体単結晶1が接触することはなく、研磨面で大気からの酸素の取り込みを抑えることになるので好ましい。研磨面が大気に触れるとコロイダルシリカが研磨面に凝集し、シリカの粒径が大きくなってしまう。したがって、アルゴンガス等、不活性ガス雰囲気としてもよい。
【0033】
回転研磨台7の上には研磨バフ9を配置し、該研磨バフ9で半導体単結晶1の表面を回転研磨する。研磨バフ9としては、ウレタン発泡体、ポリエステル繊維不織布、人工皮革、ポリエステル繊維不織布とポリウレタン発泡体積層構造などを用いることができる。研磨バフを用いた回転研磨法により、好ましくは、研磨面圧力を約1.4kg/cm以下とし、研磨面の相対摺動速度を約1m/分以下として研磨加工する。
【0034】
水平研磨治具4の端部下面の数箇所に接着した基板5は、研磨バフにタッチするが、該部分を金属でなく半導体単結晶1と同じ種類の結晶性基板又はSi基板にしたのは、金属であるとそれが研磨されて、金属粒子が生成し、それを核にしてシリカが凝集しシリカ砥粒が巨大化するのを防ぐためである。このような凝集シリカは極めて硬く、研磨面に瑕(結晶格子を壊す)を入れるため、これを防ぐことが重要である。
【0035】
以上、具体例として研磨バフを用いた回転研磨法について説明したが、本発明の方法は、上記の特定のアルカリ水性研磨液を用いて被研磨面がコロイダルシリカとアルカリ液の相乗的な研磨作用を受ける態様であればよく、バフの代わりに硬質プレートを用いる方法、超音波振動研磨法などでも同様の効果が得られる。
【0036】
【実施例】
実施例1
0.1μm粒径のコロイダルシリカをイオン交換純水に50重量%添加した研磨剤原液(株式会社 フジミインコーポレーテッド社調合)を、イオン交換純水にてコロイダルシリカ重量%を30重量%に希釈し、KOHでpH8の研磨液を調製した。図1、図2に示すような研磨装置を用いて、 (0001)面、(1120)面、(1100)面で切り出され、#400〜#3000のシリコンカーバイド、1ミクロン粒径のアルミナ、0.5ミクロン粒径のダイヤモンド研磨材でラッピングされた1cm角、厚さ0.3mmのSiC単結晶を研磨した。
【0037】
ジュラルミン定盤を用い、研磨バフはポバール興業株式会社製ポリウレタンパッドTD87を使用した。研磨液の温度は50℃未満に保った。研磨液の深さは8mm。研磨圧力は1.4kg/cm、研磨定盤の回転速度は80cm/s。SiCの研磨面は(0001)面で、研磨時間は10分とした。この条件で100nmの厚さの非晶質SiC層を研磨により剥離した。この時の表面の平滑度はRMS値で0.6nmであった。
【0038】
実施例2
0.1μm粒径のコロイダルシリカをイオン交換純水に50重量%添加した研磨剤原液(株式会社 フジミインコーポレーテッド社調合)を、イオン交換純水にてコロイダルシリカ重量%を20重量%に希釈し、KOHでpH8の研磨液を調製した。図1、図2に示すような研磨装置を用いて、 サファイア上に成長させた3μm厚さの(0001)面GaN表面を研磨した。
【0039】
ジュラルミン定盤を用い、研磨バフはポバール興業株式会社製ポリウレタンパッドTD87を使用した。研磨液の温度は50℃未満に保った。研磨液の深さは8mm。研磨圧力は0.6kg/cm、研磨定盤回転速度は50cm/sとした。この条件でRMS値で3nmの研磨前の表面が研磨後2nmとなった。
【0040】
研磨加工後のSiC半導体単結晶表面のAFM像
図3に、コロイダルシリカ研磨後の4H−SiC結晶性基板の表面AFM像を示す。約0.8nmのステップが多数観測されている。これは、4H−SiC単結晶の格子定数と等しく、単結晶性表面が得られていることを示している。また、結晶格子ステップが観測されていない領域はAFM装置の分解能を超えた平坦性を示している。
【0041】
研磨加工後のSiC半導体単結晶表面のCAICISS(CoAxial Impact Collision Ion Scattering Spectrometer)測定結果
図4に、コロイダルシリカ研磨後にフッ化水素酸(HF)で洗浄後の6H−SiC結晶性基板の表面をCAICISS(直衝突イオン散乱法)を用いて結晶構造を評価した結果を示す。イオンビームを表面から14度の角度で入射し、表面から3層の原子層の構造を評価している。既知のSiCの結晶構造から図4のシグナルを解析すると、SiC単結晶の再表面にSi原子が√3X√3構造で配列していることが明らかとなった。
【0042】
すなわち、本発明の方法により研磨したSiC半導体基板は、最表面まで結晶性であることが解った。図4において、1インチ基板のinnerで中心部の結晶性を、outerで外周部の結晶性を評価している。outerはinnerに比べてピークが低くブロードである。これは、研磨によるものではなく、市販の結晶性基板の品質に依存している。
【0043】
さらに、表面層から結晶構造が保たれていること、研磨後の最表面には荒削り時の亜鉛定盤からの亜鉛元素の吸着等は無いことが明らかとなった。CAICISS測定をダイヤモンド研磨の後に行っているが、ダイヤモンド研磨後では図1で示すような最表面の結晶構造の周期性によるΗe原子の散乱強度の変化は全く観測されなくなる。コロイダルシリカ研磨は損傷層を導入すること無く、ダイヤモンド研磨によって生じる数十ナノメートルの損傷層を取り除くことが可能であることが解った。
【0044】
研磨加工後のSiC半導体単結晶表面に形成した金属−半導体接触の電気的評価
研磨加工を行ったn型SiC表面(Si面)と裏面にNiを堆積させ電極を形成した。裏面はパルスレーザー照射を行いオーミック電極とした。図5に、研磨面ショットキー電極の電流−電圧特性を示す。ショットキー電極の電流Iと電圧Vとの関係は、q,κ,T,Aを各々素電荷量、ボルツマン定数、絶対温度、リチャードソン定数とすると、I=AexpqV/nκTと表される。
【0045】
研磨面をフッ化水素で洗浄を行った後、金属を堆積させショットキーデバイスを作製すると、その理想因子で定数n(図5の順方向電圧に対する電流の傾き)=1.1以下の値が得られた。この値は金属−半導体界面状態、即ち、電極堆積面の状態に極めて敏感に変化する。金属一半導体間の電流の輸送が理想的に行われるならば、定数nは1となる。欠陥がある場合には1.2以上の値になる。図5で、実線及び波線で示した電極は、同一の研磨面上に作製した電極の特性である。
【0046】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、半導体単結晶基板に対し、研磨加工の利用にによって最表面層まで単結晶性の電気的にも問題のない表面を得ることができ、さらに、表面凹凸がWyko法(光学式表面形状粗さ測定装置)及びAFM法で測定して1nm以下である超平滑面を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の方法を実施する際の研磨に用いる治具と研磨対象の半導体単結晶基板との関係を一例として示す断面図(A)及び下面図(B)である。
【図2】図2は、研磨時のコロイダルシリカ分散アルカリ水性研磨液と研磨に用いる治具、研磨台、研磨布との配置関係を示す断面図である。
【図3】図3は、実施例1における研磨後のSiC半導体単結晶表面のAFM像を示す図面代用写真である。
【図4】図4は、実施例1における研磨後のSiC半導体単結晶表面のCAICISS測定結果を示すグラフである。
【図5】図5は、実施例1における研磨後のSiC半導体単結晶表面に形成した金属電極のショットキー特性を示すグラフである。

Claims (7)

  1. 水に対してコロイダルシリカを5〜40重量%含有し、pHを7〜10に調整したアルカリ水性研磨液を用いて、回転バフ研磨法又は超音波振動研磨法によりSiC、III族窒化物、酸化物、又は誘電体からなる単結晶基板を研磨することにより表面部分の結晶性が単結晶ではない欠陥層を剥離して結晶性部分と欠陥層部分との境界面からなる超平滑面を形成することを特徴とする単結晶基板の超平滑結晶面形成方法。
  2. 結晶性が単結晶ではない欠陥層は、単結晶基板に既存の層、単結晶基板の前段粗研磨時に生じた層、又は500℃を越える高温度プロセス歪みにより単結晶基板に生じた層であることを特徴とする請求項1記載の単結晶基板の超平滑結晶面形成方法。
  3. 結晶性が単結晶ではない欠陥層は、半導体単結晶基板にイオン注入によって導入された100nmレベルの深さの層であり、欠陥層の除去により表面に100nmレベルの凹凸構造を選択的に作製することを特徴とする請求項1記載の単結晶基板の超平滑結晶面形成方法。
  4. 水に対してコロイダルシリカを5〜40重量%含有し、pHを7〜10に調整したアルカリ水性研磨液を用いて、回転バフ研磨法又は超音波振動研磨法により単結晶基板上に形成されたSiC、III族窒化物、、酸化物、又は誘電体からなるエピタキシャル膜を研磨することにより表面部分の結晶性が単結晶ではない欠陥層を剥離して結晶性部分と欠陥層部分との境界面からなる超平滑面を形成することを特徴とするエピタキシャル膜の超平滑結晶面形成方法。
  5. 該アルカリ水性研磨液は、欠陥層の研磨による除去速度が結晶性部分の研磨による除去速度より少なくとも10倍以上速い研磨能力を有することを特徴とする請求項1ないし4記載の超平滑結晶面形成方法。
  6. 研磨面を大気に触れない状態で研磨加工することを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の超平滑結晶面形成方法。
  7. 超平滑面がWyko法(光学式表面形状粗さ測定装置)及びAFM法で測定して凹凸1nm以下であることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の超平滑結晶面形成方法。
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