JP2004281268A - 燃料電池の運転方法および燃料電池システム - Google Patents
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Abstract
【課題】長期間運転した場合でも電池性能の低下が少ない燃料電池の運転方法を提供する。また、そのような燃料電池システムを提供する。
【解決手段】水素を含む燃料ガスが供給される燃料極と、酸素を含む酸化剤ガスが供給される酸素極と、該燃料極と該酸素極との間に挟装された電解質とからなる電極接合体がセパレータを介して複数個積層されて構成された燃料電池の運転方法において、燃料ガス、および燃料極から排出される燃料極側出ガスの少なくとも一方に、酸素濃度を低下させる脱酸素処理、および過酸化水素濃度を低下させる脱過酸化水素処理の少なくとも一方を施す。
【選択図】 図2
【解決手段】水素を含む燃料ガスが供給される燃料極と、酸素を含む酸化剤ガスが供給される酸素極と、該燃料極と該酸素極との間に挟装された電解質とからなる電極接合体がセパレータを介して複数個積層されて構成された燃料電池の運転方法において、燃料ガス、および燃料極から排出される燃料極側出ガスの少なくとも一方に、酸素濃度を低下させる脱酸素処理、および過酸化水素濃度を低下させる脱過酸化水素処理の少なくとも一方を施す。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料電池の運転方法および燃料電池システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
ガスの電気化学反応により電気を発生させる燃料電池は、発電効率が高く、排出されるガスがクリーンで環境に対する影響が極めて少ない。そのため、近年、発電用、低公害の自動車用電源等、種々の用途が期待されている。燃料電池は、その電解質により分類することができ、例えば、リン酸型燃料電池、溶融炭酸塩型燃料電池、固体酸化物型燃料電池、固体高分子型燃料電池等が知られている。
【0003】
なかでも、固体高分子型燃料電池は、80℃程度の低温で作動させることができ、大きな出力密度を有する。固体高分子型燃料電池は、通常、プロトン導電性のある高分子膜を電解質とする。電解質となる高分子膜の両側にそれぞれ燃料極、酸素極となる一対の電極が設けられ電極接合体が構成される。この電極接合体をセパレータで挟持した単セルが発電単位となる。そして、水素や炭化水素等の燃料ガスが燃料極に、酸素や空気等の酸化剤ガスが酸素極にそれぞれ供給され、ガスと電解質と電極との三相界面における電気化学反応により発電する。電解質となる高分子膜は、水を含有した状態でプロトン導電性を有する。高分子膜のプロトン導電性を維持するため、通常、燃料ガスおよび酸化剤ガスは、それぞれ加湿器にて加湿された後、各々の電極へ供給される。
【0004】
燃料電池の酸素極では、電池反応により水が生成する。生成水は電気浸透や拡散によって両電極間を移動し、燃料極および酸素極から排出される。一般に、燃料電池システムでは、燃料ガス等の流路となる配管やマニホールド、加湿器等の装置の材料として、耐食性の高いステンレス材料等の金属材料が用いられる。しかし、電池の運転状態によっては、配管等に用いられる金属材料から、加湿水や生成水へ金属イオンが溶出する、いわゆる金属材料の腐食が生じる場合がある。
【0005】
例えば、固体高分子型燃料電池では、溶出した金属イオンが、電解質や電極を構成する高分子中のスルホン酸基のプロトンとイオン交換する。これにより、高分子膜のプロトン導電性が阻害され、電解質膜の抵抗が増加する。また、電極における電気化学反応も阻害される。その結果、長期間の運転により、電池性能が低下してしまう。
【0006】
また、溶出した金属イオンが燃料極で還元され金属として析出したり、水酸化物や酸化物となって酸素極に析出するおそれもある。電極に金属等が析出すると、電極面積が減少して電気化学反応を阻害する。そのため、電池の分極が増加し、上記同様に電池性能が低下する。
【0007】
このように、燃料電池では、長期間の運転における耐久性が問題となる。燃料電池の耐久性を向上させる試みとして、例えば、高負荷での運転や酸性溶液による洗浄等により、電池性能を回復させる方法が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0008】
【特許文献1】
特開2001−85037号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許文献1に開示された回復方法は、電池性能が低下した燃料電池を回復させる方法である。つまり、燃料電池の長期間の運転において、積極的に電池性能の低下を抑制する方法ではない。
【0010】
本発明者は、燃料電池の耐久性を向上させるべく、種々の検討を重ねた結果、燃料極側における金属材料の腐食が、燃料電池の耐久性に関係するという知見を得た。ここで、「燃料極側」とは、燃料ガスおよび燃料極から排出される燃料極側出ガスの流路となる配管、加湿器、気液分離器等の、燃料極の上流側および下流側に配置される一連の装置を含む概念である。燃料極側は還元雰囲気となっている。そのため、従来、燃料極側における腐食性は、酸素極側における腐食性に比べて小さいと考えられていた。つまり、燃料極側での金属材料の腐食は、あまり問題にされなかった。しかしながら、本発明者は、還元雰囲気であっても金属材料の腐食が促進される場合があることを見いだした。例えば、還元雰囲気における所定の条件下では、ステンレス材料の表面の不働態膜が不安定な状態となり、腐食速度が大きくなってしまう。
【0011】
本発明は、上記知見に基づいてなされたものであり、燃料極側での金属材料の腐食を抑制することで、長期間運転した場合でも電池性能の低下が少ない燃料電池の運転方法を提供することを課題とする。また、そのような燃料電池システムを提供することを課題とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、燃料極側における金属材料の腐食メカニズムを以下のように考えた。例えば、ステンレス材料の酸化反応は式(1)で表される。
Fe → Fe2+ + 2e− ・・・(1)
一方、燃料ガス等に酸素が存在する場合、その酸素が式(2)に表されるように還元され、腐食の還元反応を受け持つことになる。
O2 + 2H2O + 4e− → 4OH− ・・・(2)
また、通常の電池反応では、水素と酸素とから水が生成される。しかし、燃料電池の運転条件等によっては、酸素極における酸素の還元が2電子反応で止まってしまい、過酸化水素が生成されることがある。生成された過酸化水素は、生成水やクロスリークした酸素とともに、酸素極から燃料極へ移動する。よって、燃料極から排出される燃料極側出ガス中に過酸化水素が混入する場合がある。燃料極側出ガス中の過酸化水素は、式(3)で表されるように還元され、酸素と同様に腐食の還元反応を受け持つことになる。
H2O2 + 2H+ + 2e− → 2H2O ・・・(3)
このように、酸素等の存在下では、上記式(1)と、式(2)および式(3)との混成電位で、ステンレス材料の腐食は進行する。
【0013】
図1に、ステンレス材料の電流−電位曲線を模式的に示す。図1中実線で示すように、ステンレス材料では、電位の上昇とともに電流は増加するが、ある電位を超えると、表面に不働態膜が形成されるため、電流は急激に小さくなる。例えば、酸化雰囲気では、酸素の分圧が高いため、酸素等の還元反応の電位−電流曲線は、破線(A)のようになる。したがって、鉄の酸化反応と酸素等の還元反応との混成電位で決まる腐食電位(Ea)は、貴となり、腐食電流(Ia)は小さい。一方、燃料極側のような還元雰囲気では、酸素等の還元反応の電位−電流曲線は、卑な電位に移行し、破線(B)のようになる。そのため、鉄の酸化反応と酸素等の還元反応との混成電位で決まる腐食電位(Eb)は卑となり、腐食電流(Ib)は大きくなる。つまり、酸素等が微量に存在する還元雰囲気では、ステンレス材料の腐食速度は大きいことがわかる。
【0014】
ところが、さらに酸素等を少なくした場合には、酸素等の還元反応の電位−電流曲線は、さらに卑な電位に移行し、破線(C)のようになる。その結果、腐食電流(Ic)は小さくなる。つまり、燃料ガスや燃料極側出ガスに含まれる酸素や過酸化水素をできるだけ少なくすれば、金属材料の腐食を抑制することができると考えられる。
【0015】
また、過酸化水素は、式(4)、(5)に示すように、金属イオンの存在下で分解し、ラジカルとなる。
H2O2 + Fe2+ → HO・ + OH− + Fe3+ ・・・(4)
H2O2 + Fe3+ → HOO・ + H+ + Fe2+ ・・・(5)
生成したラジカルにより、電極、電解質、セパレータ等が損傷を受けると考えられる。したがって、ラジカル発生による電池性能の低下を抑制するためにも、過酸化水素をできるだけ除去することが望まれる。
【0016】
本発明の燃料電池の運転方法は、水素を含む燃料ガスが供給される燃料極と、酸素を含む酸化剤ガスが供給される酸素極と、該燃料極と該酸素極との間に挟装された電解質とからなる電極接合体がセパレータを介して複数個積層されて構成された燃料電池の運転方法であって、前記燃料ガス、および前記燃料極から排出される燃料極側出ガスの少なくとも一方に、酸素濃度を低下させる脱酸素処理、および過酸化水素濃度を低下させる脱過酸化水素処理の少なくとも一方を施すことを特徴とする(請求項1に対応)。
【0017】
すなわち、本発明の運転方法では、燃料ガスおよび燃料極側出ガスの少なくとも一方(以下、適宜「燃料ガス等」と称す。)に含まれる酸素および過酸化水素の少なくとも一方(以下、適宜「酸素等」と称す。)の濃度をできるだけ低くして燃料電池を運転する。本発明の運転方法における「脱酸素処理」は、燃料ガス等の酸素濃度を積極的に低下させる処理の他、酸素濃度の上昇を抑制するという消極的な処理をも含む。同様に、「脱過酸化水素処理」は、燃料ガス等の過酸化水素濃度を積極的に低下させる処理の他、過酸化水素濃度の上昇を抑制するという消極的な処理をも含む。
【0018】
燃料ガスには、その純度によって微量の酸素が含まれている場合がある。また、加湿水中の溶存酸素が燃料ガスに混入する場合もある。さらに、配管や樹脂シール部等から燃料ガスに酸素が混入する場合もある。したがって、燃料ガスに対して脱酸素処理を施すことにより、燃料ガスの酸素濃度を低く維持することができる。その結果、燃料極側における金属材料の腐食を効果的に抑制することができる。
【0019】
また、燃料極から排出される燃料極側出ガスから、気液分離により取り出された水素を、再び燃料ガスとして利用する場合がある。この場合には、燃料極側出ガスに対して、脱酸素処理および脱過酸化水素処理の少なくとも一方(以下、適宜「脱酸素処理等」と称す。)を施すと有効である。上述したように、燃料極側出ガスには、酸素に加え過酸化水素が含まれているおそれがある。そのため、燃料極側出ガスに対して、脱酸素処理等を施すことで、燃料極側出ガスの酸素等の濃度を低くすることができる。その結果、燃料極側における金属材料の腐食を効果的に抑制することができる。また、脱過酸化水素処理を施すことにより、過酸化水素からのラジカル生成も抑制されるため、電解質等の損傷が少なくなる。なお、燃料極側出ガスが合流した燃料ガスに対して脱酸素処理等を施した場合も同様である。
【0020】
燃料極側出ガスに対して脱酸素処理等を施すことで、燃料極側出ガスから気液分離により取り出された燃料極側回収水における酸素等の濃度をも低くすることができる。この場合、燃料極側出ガスを、水分を含むガス状態で脱酸素処理等してもよく、また、燃料極側出ガスを気液分離して得られた燃料極側回収水を脱酸素処理等してもよい。これより、燃料極側回収水を加湿水として再利用することが可能となる。なお、本明細書における「燃料極側出ガス」は、水素等の気体と燃料極側回収水との両方を含んだ概念である。
【0021】
このように、本発明の燃料電池の運転方法によれば、燃料極側における金属材料の腐食を効果的に抑制することができるため、長期間運転した場合であっても、電池性能の低下は少ない。
【0022】
本発明の燃料電池の運転方法では、脱酸素処理として、触媒による酸素の還元処理を採用することができる(請求項2に対応)。また、脱過酸化水素処理として、触媒による過酸化水素の還元処理を採用することができる(請求項3に対応)。後に詳しく説明するが、燃料ガス等を所定の触媒と接触させることにより、燃料ガス等に含まれる酸素や過酸化水素は分解され水となる。よって、触媒を用いることにより、燃料ガス等の酸素等の濃度を容易に低減することができる。
【0023】
本発明の燃料電池の運転方法では、燃料ガスを、燃料極側加湿器により加湿した後、燃料極へ供給し、該燃料極側加湿器において、該燃料ガスに脱酸素処理および脱過酸化水素処理の少なくとも一方を施す態様を採用することができる(請求項4に対応)。上述したように、固体高分子型燃料電池では、電解質となる高分子膜のプロトン導電性を維持するため、燃料ガスを加湿した後に燃料極へ供給することが多い。この場合、燃料極側加湿器の加湿水から酸素が燃料ガスに混入するおそれがある。また、燃料極側出ガスを燃料ガスや加湿水として再利用する場合には、燃料極側出ガス中の酸素あるいは過酸化水素が燃料ガスに混入するおそれもある。本態様では、燃料極側加湿器において、燃料ガスに脱酸素処理等を施す。そのため、燃料ガスの加湿と、脱酸素処理等とを一つの装置で行うことができる。つまり、脱酸素処理等を施すための装置を別途設置することなく、燃料ガス中の酸素等の濃度を低く維持することができる。
【0024】
また、燃料ガスを加湿する上記態様を採用する場合、燃料極側加湿器の加湿水には、酸素濃度を低下させる脱酸素処理および過酸化水素濃度を低下させる脱過酸化水素処理の少なくとも一方が施されており、該加湿水にて加湿することにより、燃料ガスに脱酸素処理および脱過酸化水素処理の少なくとも一方を施すことが望ましい(請求項5に対応)。すなわち、予め加湿水の酸素等の濃度を低くしておくことで、加湿水からの酸素等の混入を有効に抑制することができる。また、加湿水の酸素等の濃度が低いため、燃料極側加湿器における金属イオンの溶出も抑制される。なお、本態様における脱酸素処理等は、燃料ガスにおける酸素等の濃度の上昇を抑制するという消極的な処理の一つである。
【0025】
本発明の燃料電池システムは、水素を含む燃料ガスが供給される燃料極と、酸素を含む酸化剤ガスが供給される酸素極と、該燃料極と該酸素極との間に挟装された電解質とからなる電極接合体がセパレータを介して複数個積層されて構成された燃料電池と、前記燃料ガスおよび前記燃料極から排出される燃料極側出ガスの少なくとも一方の流路に設置され、該燃料ガスおよび該燃料極側出ガスの少なくとも一方の酸素濃度を低下させる脱酸素処理手段、および、前記燃料ガスおよび前記燃料極から排出される燃料極側出ガスの少なくとも一方の流路に設置され、該燃料ガスおよび該燃料極側出ガスの少なくとも一方の過酸化水素濃度を低下させる脱過酸化水素処理手段、の少なくとも一方と、を備えることを特徴とする(請求項6に対応)。
【0026】
本発明の燃料電池システムによれば、上述した本発明の燃料電池の運転方法を容易に実施することができる。すなわち、本発明の燃料電池システムは、脱酸素処理手段および脱過酸化水素処理手段の少なくとも一方を備える。これにより、燃料ガス等における酸素濃度や過酸化水素濃度を低く維持することができる。その結果、燃料極側における金属材料の腐食が抑制される。したがって、本発明の燃料電池システムによれば、電池性能の低下を招くことなく、燃料電池を長期間にわたり安定して運転することができる。
【0027】
本発明の燃料電池システムでは、脱酸素処理手段を、酸素を還元処理する触媒とすることができる(請求項7に対応)。また、脱過酸化水素処理手段を、過酸化水素を還元処理する触媒とすることができる(請求項8に対応)。上述したように、燃料ガス等を所定の触媒と接触させることにより、燃料ガス等に含まれる酸素や過酸化水素は分解され水となる。よって、脱酸素処理手段あるいは脱過酸化水素処理手段を、所定の触媒とすることにより、燃料ガス等の酸素等の濃度を容易に低減することができる。
【0028】
本発明の燃料電池システムでは、さらに、燃料ガスを加湿する燃料極側加湿器を備え、該燃料極側加湿器は、該燃料ガスの酸素濃度を低下させる脱酸素処理手段、および該燃料ガスの過酸化水素濃度を低下させる脱過酸化水素処理手段の少なくとも一方を有する態様を採用することができる(請求項9対応)。本態様では、燃料極側加湿器が脱酸素処理手段および脱過酸化水素処理手段の少なくとも一方を有する。そのため、燃料ガスの加湿と、脱酸素処理等とを一つの装置で行うことができる。つまり、本態様によれば、脱酸素処理等を施すための装置を別途設置することなく、燃料ガス中の酸素等の濃度を低く維持することができる。
【0029】
また、上記態様を採用する場合には、燃料極側加湿器の加湿水には、酸素濃度を低下させる脱酸素処理および過酸化水素濃度を低下させる脱過酸化水素処理の少なくとも一方が施されており、該加湿水が脱酸素処理手段および脱過酸化水素処理手段の少なくとも一方となることが望ましい(請求項10対応)。すなわち、予め加湿水の酸素等の濃度を低くしておくことで、加湿水からの酸素等の混入を有効に抑制することができる。また、加湿水の酸素等の濃度が低いため、燃料極側加湿器における金属イオンの溶出も抑制される。なお、本態様における脱酸素処理手段および脱過酸化水素手段は、燃料ガスにおける酸素濃度および過酸化水素濃度の上昇を抑制するという消極的な手段の一つである。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の燃料電池システムの実施形態を詳しく説明する。なお、本発明の燃料電池システムを説明することにより、本発明の燃料電池の運転方法をも説明することとなるため、本実施の形態において、本発明の燃料電池の運転方法については説明を省略する。
【0031】
まず、本発明の一実施形態である燃料電池システムの構成を説明する。図2に、燃料電池システムの概略を示す。図2に示すように、燃料電池システム1は、運転対象となる固体高分子型燃料電池2と、燃料極側加湿器3と、燃料極側気液分離器4と、膜分離処理装置5とを備える。
【0032】
固体高分子型燃料電池2は、電極接合体がセパレータを介して複数個積層されて構成される。電極接合体は、電解質膜とその両側に設けられた燃料極および酸素極とからなる。電解質膜は、ナフィオン115(商品名、デュポン社製)製である。燃料極および酸素極は、それぞれ、白金がカーボン粒子に担持された触媒を含む触媒層と、カーボンクロスからなる拡散層との二層から構成される。セパレータは、焼成カーボン製である。固体高分子型燃料電池2は、本発明の燃料電池システムを構成する燃料電池に含まれる。
【0033】
固体高分子型燃料電池2の上流側には、水素ボンベ6および空気圧縮機7が設けられている。燃料ガスとしての水素は、水素ボンベ6から水素圧力調整バルブ61、水素吸気バルブ62を介し、後述する燃料極側加湿器3により加湿された後、固体高分子型燃料電池2の燃料極に供給される。酸化剤ガスとしての空気は、酸素極側加湿器71により加湿された後、空気圧縮機7から固体高分子型燃料電池2の酸素極に供給される。
【0034】
燃料極側加湿器3は、固体高分子型燃料電池2の上流側に配置される。燃料極側加湿器3は、SUS316L製であり、水素を加湿するための加湿水を有する。加湿水は、酸素濃度を低下させるための減圧処理が施されたイオン交換水である。燃料極側加湿器3に導入された水素は、加湿水中をバブリングして加湿される。加湿水は脱酸素処理手段として機能する。
【0035】
燃料極側気液分離器4は、固体高分子型燃料電池2の下流側に配置される。燃料極側気液分離器4には、燃料極で反応に使用されなかった水素等が、燃料極側出ガスとして送られる。燃料極側気液分離器4の内周面には、白金がめっきされている。白金は、燃料極側出ガスに含まれる酸素および過酸化水素を還元して水に変換する。白金は、脱酸素処理手段および脱過酸化水素処理手段として機能する。燃料極側気液分離器4にて、燃料極側出ガスが水素と燃料極側回収水とに分離される。分離された水素は、水素ポンプを介して再び燃料ガスとして利用される。なお、分離された水素は、バルブの切り替えにより排出される場合もある。
【0036】
膜分離処理装置5は、燃料極側気液分離器4の下流側に配置される。膜分離処理装置5には、燃料極側気液分離器4にて分離された燃料極側回収水が送られる。膜分離処理装置5は、燃料極側回収水中の溶存酸素濃度を低下させるための中空糸膜を有する。中空糸膜は、ポリ4−メチルペンテン−1からなる(大日本インキ化学工業株式会社製)。膜膜分離処理装置5から排出された燃料極側回収水は、回収水ポンプを介して燃料極側加湿器3に送られ、加湿水として再利用される。膜分離処理装置5は、脱酸素処理手段として機能する。なお、燃料極側気液分離器4にて分離された燃料極側回収水は、バルブの切り替えにより、膜分離処理装置5に送られず排出される場合もある。
【0037】
一方、酸素極で反応に使用されなかった空気は、酸素極側出ガスとして、固体高分子型燃料電池2の下流側に設けられた酸素極側気液分離器72に送られる。酸素極側出ガスは、酸素極側気液分離器72にて、空気と酸素極側回収水とに分離される。分離された空気は排出される。また、酸素極で生成した生成水は、酸素極側回収水として酸素極側気液分離器72に送られる。酸素極側回収水は、空気を加湿するための加湿水として再利用される。なお、酸素極側回収水は、バルブの切り替えにより排出される場合もある。
【0038】
次に、上記燃料電池システムにおける燃料極側のガス等の流れを設明しながら脱酸素処理等について述べる。まず、水素ボンベ6から燃料極側加湿器3へ水素が導入される。導入された水素は、燃料極側加湿器3の加湿水中をバブリングする。加湿水は、減圧処理されている。よって、加湿水の溶存酸素濃度は極めて低い。そのため、水素の酸素濃度は上昇しない。その後、水素は固体高分子型燃料電池2の燃料極に供給される。固体高分子型燃料電池2では、水素と酸素との電気化学的反応が進行する。燃料極で反応に使用されなかった水素は、燃料極側出ガスとして、燃料極側気液分離器4に送られる。ここで、燃料極側出ガスは、水素と燃料極側回収水とに分離される。その際、燃料極側気液分離器4の内周面にめっきされた白金の触媒作用により、燃料極側出ガス中の酸素および過酸化水素は還元され水となる。その結果、燃料極側出ガスの酸素濃度および過酸化水素濃度は低下する。燃料極側気液分離器4から排出された水素は、再び燃料ガスとして利用される。一方、燃料極側気液分離器4から排出された燃料極側回収水は、膜分離処理装置5に送られる。燃料極側回収水は中空糸膜により処理される。その結果、燃料極側回収水の酸素濃度はさらに低下する。膜分離処理装置5から排出された燃料極側回収水は、燃料極側加湿器3に送られ、加湿水として再利用される。
【0039】
本実施の形態によれば、以下に示す効果が得られる。まず、燃料極側加湿器では、酸素濃度が低いため、金属イオンの溶出が抑制される。また、加湿水から燃料ガスへ酸素が混入しないため、燃料ガスの酸素濃度は低く維持される。よって、燃料ガスの流路となる配管等における金属イオンの溶出も抑制される。一方、燃料極側気液分離器にて、燃料極側出ガスの酸素濃度および過酸化水素濃度が低減される。そのため、燃料極側気液分離器や、燃料極側出ガスの流路となる配管等における金属イオンの溶出は抑制される。また、燃料極側出ガス中の水素を、燃料ガスとして再利用した場合であっても、金属イオンの溶出を促進させることはない。さらに、過酸化水素が少ないため、過酸化水素ラジカルの生成も抑制され、電解質等の損傷が少ない。また、膜分離処理装置にて、さらに燃料極側回収水の酸素が除去される。そのため、燃料極側回収水を加湿水として再利用した場合でも、加湿水の酸素濃度は上昇しない。このように、本発明の燃料電池システムでは、燃料ガス等に含まれる酸素等の濃度が極めて低い。そのため、燃料極側における金属材料の腐食は抑制され、長期間運転しても電池性能の低下が少ない。
【0040】
以上、本発明の燃料電池システムの実施形態について説明した。しかし、本発明の燃料電池システムは、上記実施形態に限定されるものではない。本発明の燃料電池システムは、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、当業者が行い得る変更、改良等を施した種々の形態にて実施することができる。
【0041】
すなわち、上記実施形態では、燃料極側出ガスを循環させてシステムを構成した。よって、燃料極側出ガスは、燃料ガスおよび加湿水として再利用される。しかし、本発明の燃料電池システムは、燃料極側出ガスを循環させる上記実施形態に限定されるものではない。燃料極側出ガスをすべて排出するようにシステムを構成してもよい。
【0042】
また、上記実施形態では、運転対象となる燃料電池を固体高分子型燃料電池とした。しかし、運転対象とする燃料電池の種類は、特に限定されるものではない。上述したリン酸型燃料電池、溶融炭酸塩型燃料電池、固体酸化物型燃料電池等を採用してもよい。なお、低温で作動する固体高分子型燃料電池を採用した場合には、特に本発明のシステムが有効である。この場合、固体高分子型燃料電池における電解質膜やセパレータの材質、電極構成等は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、電解質膜には、他の全フッ素系あるいは全炭化水素系の高分子膜を用いることができる。また、セパレータには、成形カーボン、あるいはステンレス材料の表面に貴金属や炭素材料を被覆したもの等を用いることができる。さらに、各電極の触媒として、白金以外の種々の触媒を用いることができる。
【0043】
上記実施形態では、燃料ガスと燃料極側出ガスとの両方に、脱酸素処理等を施した。しかし、燃料ガスと燃料極側出ガスとのいずれか一方のみに脱酸素処理等を施す態様を採用してもよい。例えば、燃料極側出ガスを燃料ガスあるいは加湿水として再利用しない場合には、燃料ガスのみに脱酸素処理等を施せばよい。
【0044】
また、上記実施形態では、燃料ガスに脱酸素処理を施した。加えて、燃料極側出ガスに脱酸素処理と脱過酸化水素処理との両方を施した。しかし、燃料ガス等に施す処理の種類および数は、特に限定されるものではない。燃料ガス等に施す処理の種類および数は、燃料極側出ガスの循環の有無等、システムに応じて適宜決定すればよい。例えば、燃料ガスに脱過酸化水素処理のみを施してもよく、燃料極側出ガスに脱酸素処理のみを施してもよい。また、燃料極側回収水を脱酸素処理する膜分離処理装置を省略してもよく、さらに脱過酸化水素処理する装置等を追加してもよい。
【0045】
上記実施形態では、燃料ガスを燃料極側加湿器にて加湿した後、燃料極へ供給した。しかし、燃料ガスを加湿せずに燃料極へ供給してもよい。この場合、燃料ガスを脱酸素処理するには、例えば、燃料ガスの酸素濃度を低下させるための脱酸素処理装置を、燃料電池の上流に別途設置すればよい。なお、燃料ガスを加湿する場合であっても、燃料極側加湿器の上流に脱酸素処理装置等を設置することができる。
【0046】
上記実施形態では、燃料極側加湿器における加湿水、燃料極側気液分離器における白金、および膜分離処理装置が、それぞれ脱酸素処理手段として機能する。また、燃料極側気液分離器における白金は、同時に脱過酸化水素処理手段としても機能する。しかし、脱酸素処理手段および脱過酸化水素処理手段は、上記装置等に限定されるものではない。燃料ガス等の酸素濃度あるいは過酸化水素濃度を低下させるための処理方法に応じて適宜決定すればよい。なお、脱酸素処理手段は、燃料ガス等の酸素濃度を積極的に低下させる手段の他、酸素濃度の上昇を抑制するという消極的な手段であってもよい。過酸化水素処理手段についても同様である。以下、脱酸素処理および脱過酸化水素処理として好適な、種々の処理方法を説明する。
【0047】
(1)化学的処理
上記実施形態にて示したように、触媒を用いて酸素を還元して脱酸素処理を行うことができる。同様に、触媒を用いて過酸化水素を還元して過酸化水素処理を行うことができる。すなわち、酸素あるいは過酸化水素の酸化還元平衡電位より貴な酸化還元平衡電位をもつ元素等を触媒として用いることで、酸素あるいは過酸化水素が水に分解される。本方法は、気体および液体中の酸素濃度あるいは過酸化水素濃度を低減する際に有効である。以下、ルテニウム(Ru)を触媒として用いた場合の、過酸化水素の分解について説明する。
【0048】
上記式(3)に示した過酸化水素の還元反応(H2O2+2H++2e−→2H2O)の酸化還元平衡電位は0.695V(vs.SHE)である。一方、Ru/Ru3+の酸化還元平衡電位は0.738V(vs.SHE)である。よって、触媒としてRuを用いた場合には、式(6)、(7)に示すようなRu/Ru3+の酸化・還元を仲立ちとして、過酸化水素が水に分解される(式(8)参照)。
Ru → Ru3+ + 3e− ・・・(6)
3H2 + 2Ru3+ → 2Ru + 6H+ ・・・(7)
H2O2 + H2 → 2H2O ・・・(8)
酸素あるいは過酸化水素の酸化還元平衡電位より貴な酸化還元平衡電位をもつ元素等としては、上記Ruおよび上記実施形態で使用した白金以外に、例えば、コバルト、セリウム、鉛、マンガン、酸化バナジウム、鉄等がある。よって、これらの元素等を含む触媒層と、燃料ガス等とを接触させることで、燃料ガス等を脱酸素処理等することができる。例えば、燃料ガス等の流路となる配管、加湿器、気液分離器等の内周面に上記触媒層を設ければよい。また、上記触媒層を有する脱酸素処理装置や脱過酸化水素処理装置等を別途設置してもよい。
【0049】
(2)物理的処理
加湿水あるいは燃料極側回収水を、減圧処理、加熱沸騰処理、膜分離処理、不活性ガスパージ処理等することにより、それらの酸素濃度あるいは過酸化水素濃度を低減することができる。例えば、減圧処理を行う場合には、加湿水等を減圧環境下に保持すればよい。加熱沸騰処理を行う場合には、加湿水等を加熱沸騰させればよい。膜分離処理を行う場合には、加湿水等を酸素等を分離できる膜を用いて処理すればよい。不活性ガスパージ処理を行うには、窒素等の不活性ガスを加湿水等中に通し、脱気すればよい。
【0050】
本発明の燃料電池システムでは、燃料ガス等の酸素等の濃度を低くすることで、燃料極側における金属材料の腐食を抑制した。しかしながら、金属材料の腐食は、フッ化物イオン(F−)や塩化物イオン(Cl−)等の存在により促進されるおそれがある。また、配管等に使用される樹脂シール材から有機物が溶出し、それにより電池性能が低下するおそれもある。したがって、上記脱酸素処理手段および脱過酸化水素手段に加え、F−やCl−等の不純物イオンを除去する不純物イオン除去手段、有機物を除去する有機物除去手段等を備えて本発明の燃料電池システムを構成してもよい。これらを組み合わせることで、長期間の運転による電池性能の低下をより抑制することができる。不純物イオン除去手段には、例えば、イオン交換樹脂を備えた装置を用いればよい。有機物除去手段には、例えば、活性炭を備えた装置を用いればよい。なお、脱酸素処理手段等となる上記白金等の触媒を、活性炭に担持させて用いることにより、脱酸素処理手段と有機物除去手段とを兼ねることもできる。
【0051】
【実施例】
実際に単セルの固体高分子型燃料電池を作製し、図2に示した本発明の実施形態である燃料電池システムにより運転試験を行った。そして、運転試験前後での電圧低下の程度から電池性能を評価した。また、燃料極側加湿器における金属材料の腐食の程度を調査した。以下、固体高分子型燃料電池の作製、運転試験および電池性能の評価等について説明する。
【0052】
〈固体高分子型燃料電池の作製〉
まず、酸素極および燃料極を作製した。酸素極および燃料極の触媒には、白金がカーボンブラックに担持された触媒を用いた。上記触媒を、電解質であるナフィオン115(商品名、デュポン社製)のアルコール分散液に混合してペースト状とした。このペーストを拡散層となるカーボンクロスの表面に塗布、乾燥して、酸素極および燃料極とした。次いで、これら酸素極および燃料極を、ナフィオン115からなる電解質膜(膜厚約50μm)の両表面にそれぞれ120℃でホットプレスして電極接合体を形成し、焼成カーボン製のセパレータで挟持して単セルの固体高分子型燃料電池を作製した。
〈固体高分子型燃料電池の運転試験および電池性能の評価等〉
上記作製した固体高分子型燃料電池を用い、図2に示した本発明の燃料電池システムにより運転試験を行った。運転試験では、燃料極側出ガスを循環せず、すべて排出した。なお、本運転試験を実施例の運転試験とする。予備測定として、燃料極側加湿器における加湿水の溶存酸素濃度を測定したところ、加湿水の溶存酸素濃度は0.5ppmであった。また、加湿水の温度を80℃として作動させ、加湿水中の鉄イオン濃度を、誘導結合プラズマ分析法(ICP)により測定した。その結果、加湿水中の鉄イオン濃度は0.05ppm以下であった。また、運転試験前に電流密度を0.84A/cm2として運転し、電圧値を測定しておいた。
【0053】
運転試験は、以下に示す条件で、上記固体高分子型燃料電池を650時間運転することにより行った。燃料極には、バブラ温度80℃、背圧約0.05MPa、ストイキ値の1.5倍量の水素を供給した。酸素極には、バブラ温度70℃、背圧約0.05MPa、ストイキ値の1.5倍量の空気を供給した。また、作動温度を80℃、電流密度を0.1A/cm2とした。運転試験後、電流密度を0.84A/cm2として再度運転し、電圧値を測定した。そして、運転試験前の電圧値からの低下量を求めた。
【0054】
一方、比較のため、燃料極側加湿器における加湿水を変更して運転試験を行った。本運転試験を比較例の運転試験とする。比較例の運転試験は、加湿水を変更した点を除き、すべて実施例の運転試験と同様に行った。比較例の運転試験では、加湿水として、減圧処理が施されていないイオン交換水を用いた。この加湿水の溶存酸素濃度は6ppmであった。また、加湿水の温度を80℃として作動させた時の加湿水中の鉄イオン濃度は0.1ppmであった。
【0055】
上記二つの運転試験の結果、実施例の運転試験における電圧低下量は、比較例の運転試験における電圧低下量と比べて、約半分であった。これは、実施例の運転試験では、電池性能の低下が抑制されたことを示すものである。また、燃料極側加湿器内を目視で観察した結果、実施例の運転試験で用いた燃料極側加湿器では、喫水線および溶接箇所における金属材料の腐食はほとんど見られなかった。一方、比較例の運転試験で用いた燃料極側加湿器では、喫水線および溶接箇所において金属材料が腐食した痕跡が見られた。この結果から明らかなように、実施例の運転試験では、加湿水の酸素濃度が低いため、燃料極側加湿器における金属材料の腐食が効果的に抑制された。
【0056】
以上より、本発明の燃料電池システムによれば、燃料極側における金属材料の腐食を抑制することができ、電池性能の低下を招くことなく、燃料電池を長期間にわたり運転することができることが確認できた。
【0057】
【発明の効果】
本発明の燃料電池の運転方法では、燃料ガスおよび燃料極側出ガスの少なくとも一方に、酸素濃度を低下させる脱酸素処理、および過酸化水素濃度を低下させる脱過酸化水素処理の少なくとも一方を施す。これにより、燃料極側における金属材料の腐食が抑制される。したがって、本発明の燃料電池の運転方法によれば、燃料電池を長期間運転した場合であっても、電池性能の低下は少ない。また、本発明の燃料電池システムによれば、上記本発明の燃料電池の運転方法を簡便に実施することができる。したがって、本発明の燃料電池の運転システムによれば、電池性能の低下を招くことなく、燃料電池を長期間にわたり安定して運転することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ステンレス材料の電流−電位曲線を模式的に示す。
【図2】本発明の一実施形態である燃料電池システムの概略を示す。
【符号の説明】
1:燃料電池システム 2:固体高分子型燃料電池
3:燃料極側加湿器 4:燃料極側気液分離器 5:膜分離処理装置
6:水素ボンベ 61:水素圧力調整バルブ 62:水素吸気バルブ
7:空気圧縮機 71:酸素極側加湿器 72:酸素極側気液分離器
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料電池の運転方法および燃料電池システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
ガスの電気化学反応により電気を発生させる燃料電池は、発電効率が高く、排出されるガスがクリーンで環境に対する影響が極めて少ない。そのため、近年、発電用、低公害の自動車用電源等、種々の用途が期待されている。燃料電池は、その電解質により分類することができ、例えば、リン酸型燃料電池、溶融炭酸塩型燃料電池、固体酸化物型燃料電池、固体高分子型燃料電池等が知られている。
【0003】
なかでも、固体高分子型燃料電池は、80℃程度の低温で作動させることができ、大きな出力密度を有する。固体高分子型燃料電池は、通常、プロトン導電性のある高分子膜を電解質とする。電解質となる高分子膜の両側にそれぞれ燃料極、酸素極となる一対の電極が設けられ電極接合体が構成される。この電極接合体をセパレータで挟持した単セルが発電単位となる。そして、水素や炭化水素等の燃料ガスが燃料極に、酸素や空気等の酸化剤ガスが酸素極にそれぞれ供給され、ガスと電解質と電極との三相界面における電気化学反応により発電する。電解質となる高分子膜は、水を含有した状態でプロトン導電性を有する。高分子膜のプロトン導電性を維持するため、通常、燃料ガスおよび酸化剤ガスは、それぞれ加湿器にて加湿された後、各々の電極へ供給される。
【0004】
燃料電池の酸素極では、電池反応により水が生成する。生成水は電気浸透や拡散によって両電極間を移動し、燃料極および酸素極から排出される。一般に、燃料電池システムでは、燃料ガス等の流路となる配管やマニホールド、加湿器等の装置の材料として、耐食性の高いステンレス材料等の金属材料が用いられる。しかし、電池の運転状態によっては、配管等に用いられる金属材料から、加湿水や生成水へ金属イオンが溶出する、いわゆる金属材料の腐食が生じる場合がある。
【0005】
例えば、固体高分子型燃料電池では、溶出した金属イオンが、電解質や電極を構成する高分子中のスルホン酸基のプロトンとイオン交換する。これにより、高分子膜のプロトン導電性が阻害され、電解質膜の抵抗が増加する。また、電極における電気化学反応も阻害される。その結果、長期間の運転により、電池性能が低下してしまう。
【0006】
また、溶出した金属イオンが燃料極で還元され金属として析出したり、水酸化物や酸化物となって酸素極に析出するおそれもある。電極に金属等が析出すると、電極面積が減少して電気化学反応を阻害する。そのため、電池の分極が増加し、上記同様に電池性能が低下する。
【0007】
このように、燃料電池では、長期間の運転における耐久性が問題となる。燃料電池の耐久性を向上させる試みとして、例えば、高負荷での運転や酸性溶液による洗浄等により、電池性能を回復させる方法が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0008】
【特許文献1】
特開2001−85037号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許文献1に開示された回復方法は、電池性能が低下した燃料電池を回復させる方法である。つまり、燃料電池の長期間の運転において、積極的に電池性能の低下を抑制する方法ではない。
【0010】
本発明者は、燃料電池の耐久性を向上させるべく、種々の検討を重ねた結果、燃料極側における金属材料の腐食が、燃料電池の耐久性に関係するという知見を得た。ここで、「燃料極側」とは、燃料ガスおよび燃料極から排出される燃料極側出ガスの流路となる配管、加湿器、気液分離器等の、燃料極の上流側および下流側に配置される一連の装置を含む概念である。燃料極側は還元雰囲気となっている。そのため、従来、燃料極側における腐食性は、酸素極側における腐食性に比べて小さいと考えられていた。つまり、燃料極側での金属材料の腐食は、あまり問題にされなかった。しかしながら、本発明者は、還元雰囲気であっても金属材料の腐食が促進される場合があることを見いだした。例えば、還元雰囲気における所定の条件下では、ステンレス材料の表面の不働態膜が不安定な状態となり、腐食速度が大きくなってしまう。
【0011】
本発明は、上記知見に基づいてなされたものであり、燃料極側での金属材料の腐食を抑制することで、長期間運転した場合でも電池性能の低下が少ない燃料電池の運転方法を提供することを課題とする。また、そのような燃料電池システムを提供することを課題とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、燃料極側における金属材料の腐食メカニズムを以下のように考えた。例えば、ステンレス材料の酸化反応は式(1)で表される。
Fe → Fe2+ + 2e− ・・・(1)
一方、燃料ガス等に酸素が存在する場合、その酸素が式(2)に表されるように還元され、腐食の還元反応を受け持つことになる。
O2 + 2H2O + 4e− → 4OH− ・・・(2)
また、通常の電池反応では、水素と酸素とから水が生成される。しかし、燃料電池の運転条件等によっては、酸素極における酸素の還元が2電子反応で止まってしまい、過酸化水素が生成されることがある。生成された過酸化水素は、生成水やクロスリークした酸素とともに、酸素極から燃料極へ移動する。よって、燃料極から排出される燃料極側出ガス中に過酸化水素が混入する場合がある。燃料極側出ガス中の過酸化水素は、式(3)で表されるように還元され、酸素と同様に腐食の還元反応を受け持つことになる。
H2O2 + 2H+ + 2e− → 2H2O ・・・(3)
このように、酸素等の存在下では、上記式(1)と、式(2)および式(3)との混成電位で、ステンレス材料の腐食は進行する。
【0013】
図1に、ステンレス材料の電流−電位曲線を模式的に示す。図1中実線で示すように、ステンレス材料では、電位の上昇とともに電流は増加するが、ある電位を超えると、表面に不働態膜が形成されるため、電流は急激に小さくなる。例えば、酸化雰囲気では、酸素の分圧が高いため、酸素等の還元反応の電位−電流曲線は、破線(A)のようになる。したがって、鉄の酸化反応と酸素等の還元反応との混成電位で決まる腐食電位(Ea)は、貴となり、腐食電流(Ia)は小さい。一方、燃料極側のような還元雰囲気では、酸素等の還元反応の電位−電流曲線は、卑な電位に移行し、破線(B)のようになる。そのため、鉄の酸化反応と酸素等の還元反応との混成電位で決まる腐食電位(Eb)は卑となり、腐食電流(Ib)は大きくなる。つまり、酸素等が微量に存在する還元雰囲気では、ステンレス材料の腐食速度は大きいことがわかる。
【0014】
ところが、さらに酸素等を少なくした場合には、酸素等の還元反応の電位−電流曲線は、さらに卑な電位に移行し、破線(C)のようになる。その結果、腐食電流(Ic)は小さくなる。つまり、燃料ガスや燃料極側出ガスに含まれる酸素や過酸化水素をできるだけ少なくすれば、金属材料の腐食を抑制することができると考えられる。
【0015】
また、過酸化水素は、式(4)、(5)に示すように、金属イオンの存在下で分解し、ラジカルとなる。
H2O2 + Fe2+ → HO・ + OH− + Fe3+ ・・・(4)
H2O2 + Fe3+ → HOO・ + H+ + Fe2+ ・・・(5)
生成したラジカルにより、電極、電解質、セパレータ等が損傷を受けると考えられる。したがって、ラジカル発生による電池性能の低下を抑制するためにも、過酸化水素をできるだけ除去することが望まれる。
【0016】
本発明の燃料電池の運転方法は、水素を含む燃料ガスが供給される燃料極と、酸素を含む酸化剤ガスが供給される酸素極と、該燃料極と該酸素極との間に挟装された電解質とからなる電極接合体がセパレータを介して複数個積層されて構成された燃料電池の運転方法であって、前記燃料ガス、および前記燃料極から排出される燃料極側出ガスの少なくとも一方に、酸素濃度を低下させる脱酸素処理、および過酸化水素濃度を低下させる脱過酸化水素処理の少なくとも一方を施すことを特徴とする(請求項1に対応)。
【0017】
すなわち、本発明の運転方法では、燃料ガスおよび燃料極側出ガスの少なくとも一方(以下、適宜「燃料ガス等」と称す。)に含まれる酸素および過酸化水素の少なくとも一方(以下、適宜「酸素等」と称す。)の濃度をできるだけ低くして燃料電池を運転する。本発明の運転方法における「脱酸素処理」は、燃料ガス等の酸素濃度を積極的に低下させる処理の他、酸素濃度の上昇を抑制するという消極的な処理をも含む。同様に、「脱過酸化水素処理」は、燃料ガス等の過酸化水素濃度を積極的に低下させる処理の他、過酸化水素濃度の上昇を抑制するという消極的な処理をも含む。
【0018】
燃料ガスには、その純度によって微量の酸素が含まれている場合がある。また、加湿水中の溶存酸素が燃料ガスに混入する場合もある。さらに、配管や樹脂シール部等から燃料ガスに酸素が混入する場合もある。したがって、燃料ガスに対して脱酸素処理を施すことにより、燃料ガスの酸素濃度を低く維持することができる。その結果、燃料極側における金属材料の腐食を効果的に抑制することができる。
【0019】
また、燃料極から排出される燃料極側出ガスから、気液分離により取り出された水素を、再び燃料ガスとして利用する場合がある。この場合には、燃料極側出ガスに対して、脱酸素処理および脱過酸化水素処理の少なくとも一方(以下、適宜「脱酸素処理等」と称す。)を施すと有効である。上述したように、燃料極側出ガスには、酸素に加え過酸化水素が含まれているおそれがある。そのため、燃料極側出ガスに対して、脱酸素処理等を施すことで、燃料極側出ガスの酸素等の濃度を低くすることができる。その結果、燃料極側における金属材料の腐食を効果的に抑制することができる。また、脱過酸化水素処理を施すことにより、過酸化水素からのラジカル生成も抑制されるため、電解質等の損傷が少なくなる。なお、燃料極側出ガスが合流した燃料ガスに対して脱酸素処理等を施した場合も同様である。
【0020】
燃料極側出ガスに対して脱酸素処理等を施すことで、燃料極側出ガスから気液分離により取り出された燃料極側回収水における酸素等の濃度をも低くすることができる。この場合、燃料極側出ガスを、水分を含むガス状態で脱酸素処理等してもよく、また、燃料極側出ガスを気液分離して得られた燃料極側回収水を脱酸素処理等してもよい。これより、燃料極側回収水を加湿水として再利用することが可能となる。なお、本明細書における「燃料極側出ガス」は、水素等の気体と燃料極側回収水との両方を含んだ概念である。
【0021】
このように、本発明の燃料電池の運転方法によれば、燃料極側における金属材料の腐食を効果的に抑制することができるため、長期間運転した場合であっても、電池性能の低下は少ない。
【0022】
本発明の燃料電池の運転方法では、脱酸素処理として、触媒による酸素の還元処理を採用することができる(請求項2に対応)。また、脱過酸化水素処理として、触媒による過酸化水素の還元処理を採用することができる(請求項3に対応)。後に詳しく説明するが、燃料ガス等を所定の触媒と接触させることにより、燃料ガス等に含まれる酸素や過酸化水素は分解され水となる。よって、触媒を用いることにより、燃料ガス等の酸素等の濃度を容易に低減することができる。
【0023】
本発明の燃料電池の運転方法では、燃料ガスを、燃料極側加湿器により加湿した後、燃料極へ供給し、該燃料極側加湿器において、該燃料ガスに脱酸素処理および脱過酸化水素処理の少なくとも一方を施す態様を採用することができる(請求項4に対応)。上述したように、固体高分子型燃料電池では、電解質となる高分子膜のプロトン導電性を維持するため、燃料ガスを加湿した後に燃料極へ供給することが多い。この場合、燃料極側加湿器の加湿水から酸素が燃料ガスに混入するおそれがある。また、燃料極側出ガスを燃料ガスや加湿水として再利用する場合には、燃料極側出ガス中の酸素あるいは過酸化水素が燃料ガスに混入するおそれもある。本態様では、燃料極側加湿器において、燃料ガスに脱酸素処理等を施す。そのため、燃料ガスの加湿と、脱酸素処理等とを一つの装置で行うことができる。つまり、脱酸素処理等を施すための装置を別途設置することなく、燃料ガス中の酸素等の濃度を低く維持することができる。
【0024】
また、燃料ガスを加湿する上記態様を採用する場合、燃料極側加湿器の加湿水には、酸素濃度を低下させる脱酸素処理および過酸化水素濃度を低下させる脱過酸化水素処理の少なくとも一方が施されており、該加湿水にて加湿することにより、燃料ガスに脱酸素処理および脱過酸化水素処理の少なくとも一方を施すことが望ましい(請求項5に対応)。すなわち、予め加湿水の酸素等の濃度を低くしておくことで、加湿水からの酸素等の混入を有効に抑制することができる。また、加湿水の酸素等の濃度が低いため、燃料極側加湿器における金属イオンの溶出も抑制される。なお、本態様における脱酸素処理等は、燃料ガスにおける酸素等の濃度の上昇を抑制するという消極的な処理の一つである。
【0025】
本発明の燃料電池システムは、水素を含む燃料ガスが供給される燃料極と、酸素を含む酸化剤ガスが供給される酸素極と、該燃料極と該酸素極との間に挟装された電解質とからなる電極接合体がセパレータを介して複数個積層されて構成された燃料電池と、前記燃料ガスおよび前記燃料極から排出される燃料極側出ガスの少なくとも一方の流路に設置され、該燃料ガスおよび該燃料極側出ガスの少なくとも一方の酸素濃度を低下させる脱酸素処理手段、および、前記燃料ガスおよび前記燃料極から排出される燃料極側出ガスの少なくとも一方の流路に設置され、該燃料ガスおよび該燃料極側出ガスの少なくとも一方の過酸化水素濃度を低下させる脱過酸化水素処理手段、の少なくとも一方と、を備えることを特徴とする(請求項6に対応)。
【0026】
本発明の燃料電池システムによれば、上述した本発明の燃料電池の運転方法を容易に実施することができる。すなわち、本発明の燃料電池システムは、脱酸素処理手段および脱過酸化水素処理手段の少なくとも一方を備える。これにより、燃料ガス等における酸素濃度や過酸化水素濃度を低く維持することができる。その結果、燃料極側における金属材料の腐食が抑制される。したがって、本発明の燃料電池システムによれば、電池性能の低下を招くことなく、燃料電池を長期間にわたり安定して運転することができる。
【0027】
本発明の燃料電池システムでは、脱酸素処理手段を、酸素を還元処理する触媒とすることができる(請求項7に対応)。また、脱過酸化水素処理手段を、過酸化水素を還元処理する触媒とすることができる(請求項8に対応)。上述したように、燃料ガス等を所定の触媒と接触させることにより、燃料ガス等に含まれる酸素や過酸化水素は分解され水となる。よって、脱酸素処理手段あるいは脱過酸化水素処理手段を、所定の触媒とすることにより、燃料ガス等の酸素等の濃度を容易に低減することができる。
【0028】
本発明の燃料電池システムでは、さらに、燃料ガスを加湿する燃料極側加湿器を備え、該燃料極側加湿器は、該燃料ガスの酸素濃度を低下させる脱酸素処理手段、および該燃料ガスの過酸化水素濃度を低下させる脱過酸化水素処理手段の少なくとも一方を有する態様を採用することができる(請求項9対応)。本態様では、燃料極側加湿器が脱酸素処理手段および脱過酸化水素処理手段の少なくとも一方を有する。そのため、燃料ガスの加湿と、脱酸素処理等とを一つの装置で行うことができる。つまり、本態様によれば、脱酸素処理等を施すための装置を別途設置することなく、燃料ガス中の酸素等の濃度を低く維持することができる。
【0029】
また、上記態様を採用する場合には、燃料極側加湿器の加湿水には、酸素濃度を低下させる脱酸素処理および過酸化水素濃度を低下させる脱過酸化水素処理の少なくとも一方が施されており、該加湿水が脱酸素処理手段および脱過酸化水素処理手段の少なくとも一方となることが望ましい(請求項10対応)。すなわち、予め加湿水の酸素等の濃度を低くしておくことで、加湿水からの酸素等の混入を有効に抑制することができる。また、加湿水の酸素等の濃度が低いため、燃料極側加湿器における金属イオンの溶出も抑制される。なお、本態様における脱酸素処理手段および脱過酸化水素手段は、燃料ガスにおける酸素濃度および過酸化水素濃度の上昇を抑制するという消極的な手段の一つである。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の燃料電池システムの実施形態を詳しく説明する。なお、本発明の燃料電池システムを説明することにより、本発明の燃料電池の運転方法をも説明することとなるため、本実施の形態において、本発明の燃料電池の運転方法については説明を省略する。
【0031】
まず、本発明の一実施形態である燃料電池システムの構成を説明する。図2に、燃料電池システムの概略を示す。図2に示すように、燃料電池システム1は、運転対象となる固体高分子型燃料電池2と、燃料極側加湿器3と、燃料極側気液分離器4と、膜分離処理装置5とを備える。
【0032】
固体高分子型燃料電池2は、電極接合体がセパレータを介して複数個積層されて構成される。電極接合体は、電解質膜とその両側に設けられた燃料極および酸素極とからなる。電解質膜は、ナフィオン115(商品名、デュポン社製)製である。燃料極および酸素極は、それぞれ、白金がカーボン粒子に担持された触媒を含む触媒層と、カーボンクロスからなる拡散層との二層から構成される。セパレータは、焼成カーボン製である。固体高分子型燃料電池2は、本発明の燃料電池システムを構成する燃料電池に含まれる。
【0033】
固体高分子型燃料電池2の上流側には、水素ボンベ6および空気圧縮機7が設けられている。燃料ガスとしての水素は、水素ボンベ6から水素圧力調整バルブ61、水素吸気バルブ62を介し、後述する燃料極側加湿器3により加湿された後、固体高分子型燃料電池2の燃料極に供給される。酸化剤ガスとしての空気は、酸素極側加湿器71により加湿された後、空気圧縮機7から固体高分子型燃料電池2の酸素極に供給される。
【0034】
燃料極側加湿器3は、固体高分子型燃料電池2の上流側に配置される。燃料極側加湿器3は、SUS316L製であり、水素を加湿するための加湿水を有する。加湿水は、酸素濃度を低下させるための減圧処理が施されたイオン交換水である。燃料極側加湿器3に導入された水素は、加湿水中をバブリングして加湿される。加湿水は脱酸素処理手段として機能する。
【0035】
燃料極側気液分離器4は、固体高分子型燃料電池2の下流側に配置される。燃料極側気液分離器4には、燃料極で反応に使用されなかった水素等が、燃料極側出ガスとして送られる。燃料極側気液分離器4の内周面には、白金がめっきされている。白金は、燃料極側出ガスに含まれる酸素および過酸化水素を還元して水に変換する。白金は、脱酸素処理手段および脱過酸化水素処理手段として機能する。燃料極側気液分離器4にて、燃料極側出ガスが水素と燃料極側回収水とに分離される。分離された水素は、水素ポンプを介して再び燃料ガスとして利用される。なお、分離された水素は、バルブの切り替えにより排出される場合もある。
【0036】
膜分離処理装置5は、燃料極側気液分離器4の下流側に配置される。膜分離処理装置5には、燃料極側気液分離器4にて分離された燃料極側回収水が送られる。膜分離処理装置5は、燃料極側回収水中の溶存酸素濃度を低下させるための中空糸膜を有する。中空糸膜は、ポリ4−メチルペンテン−1からなる(大日本インキ化学工業株式会社製)。膜膜分離処理装置5から排出された燃料極側回収水は、回収水ポンプを介して燃料極側加湿器3に送られ、加湿水として再利用される。膜分離処理装置5は、脱酸素処理手段として機能する。なお、燃料極側気液分離器4にて分離された燃料極側回収水は、バルブの切り替えにより、膜分離処理装置5に送られず排出される場合もある。
【0037】
一方、酸素極で反応に使用されなかった空気は、酸素極側出ガスとして、固体高分子型燃料電池2の下流側に設けられた酸素極側気液分離器72に送られる。酸素極側出ガスは、酸素極側気液分離器72にて、空気と酸素極側回収水とに分離される。分離された空気は排出される。また、酸素極で生成した生成水は、酸素極側回収水として酸素極側気液分離器72に送られる。酸素極側回収水は、空気を加湿するための加湿水として再利用される。なお、酸素極側回収水は、バルブの切り替えにより排出される場合もある。
【0038】
次に、上記燃料電池システムにおける燃料極側のガス等の流れを設明しながら脱酸素処理等について述べる。まず、水素ボンベ6から燃料極側加湿器3へ水素が導入される。導入された水素は、燃料極側加湿器3の加湿水中をバブリングする。加湿水は、減圧処理されている。よって、加湿水の溶存酸素濃度は極めて低い。そのため、水素の酸素濃度は上昇しない。その後、水素は固体高分子型燃料電池2の燃料極に供給される。固体高分子型燃料電池2では、水素と酸素との電気化学的反応が進行する。燃料極で反応に使用されなかった水素は、燃料極側出ガスとして、燃料極側気液分離器4に送られる。ここで、燃料極側出ガスは、水素と燃料極側回収水とに分離される。その際、燃料極側気液分離器4の内周面にめっきされた白金の触媒作用により、燃料極側出ガス中の酸素および過酸化水素は還元され水となる。その結果、燃料極側出ガスの酸素濃度および過酸化水素濃度は低下する。燃料極側気液分離器4から排出された水素は、再び燃料ガスとして利用される。一方、燃料極側気液分離器4から排出された燃料極側回収水は、膜分離処理装置5に送られる。燃料極側回収水は中空糸膜により処理される。その結果、燃料極側回収水の酸素濃度はさらに低下する。膜分離処理装置5から排出された燃料極側回収水は、燃料極側加湿器3に送られ、加湿水として再利用される。
【0039】
本実施の形態によれば、以下に示す効果が得られる。まず、燃料極側加湿器では、酸素濃度が低いため、金属イオンの溶出が抑制される。また、加湿水から燃料ガスへ酸素が混入しないため、燃料ガスの酸素濃度は低く維持される。よって、燃料ガスの流路となる配管等における金属イオンの溶出も抑制される。一方、燃料極側気液分離器にて、燃料極側出ガスの酸素濃度および過酸化水素濃度が低減される。そのため、燃料極側気液分離器や、燃料極側出ガスの流路となる配管等における金属イオンの溶出は抑制される。また、燃料極側出ガス中の水素を、燃料ガスとして再利用した場合であっても、金属イオンの溶出を促進させることはない。さらに、過酸化水素が少ないため、過酸化水素ラジカルの生成も抑制され、電解質等の損傷が少ない。また、膜分離処理装置にて、さらに燃料極側回収水の酸素が除去される。そのため、燃料極側回収水を加湿水として再利用した場合でも、加湿水の酸素濃度は上昇しない。このように、本発明の燃料電池システムでは、燃料ガス等に含まれる酸素等の濃度が極めて低い。そのため、燃料極側における金属材料の腐食は抑制され、長期間運転しても電池性能の低下が少ない。
【0040】
以上、本発明の燃料電池システムの実施形態について説明した。しかし、本発明の燃料電池システムは、上記実施形態に限定されるものではない。本発明の燃料電池システムは、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、当業者が行い得る変更、改良等を施した種々の形態にて実施することができる。
【0041】
すなわち、上記実施形態では、燃料極側出ガスを循環させてシステムを構成した。よって、燃料極側出ガスは、燃料ガスおよび加湿水として再利用される。しかし、本発明の燃料電池システムは、燃料極側出ガスを循環させる上記実施形態に限定されるものではない。燃料極側出ガスをすべて排出するようにシステムを構成してもよい。
【0042】
また、上記実施形態では、運転対象となる燃料電池を固体高分子型燃料電池とした。しかし、運転対象とする燃料電池の種類は、特に限定されるものではない。上述したリン酸型燃料電池、溶融炭酸塩型燃料電池、固体酸化物型燃料電池等を採用してもよい。なお、低温で作動する固体高分子型燃料電池を採用した場合には、特に本発明のシステムが有効である。この場合、固体高分子型燃料電池における電解質膜やセパレータの材質、電極構成等は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、電解質膜には、他の全フッ素系あるいは全炭化水素系の高分子膜を用いることができる。また、セパレータには、成形カーボン、あるいはステンレス材料の表面に貴金属や炭素材料を被覆したもの等を用いることができる。さらに、各電極の触媒として、白金以外の種々の触媒を用いることができる。
【0043】
上記実施形態では、燃料ガスと燃料極側出ガスとの両方に、脱酸素処理等を施した。しかし、燃料ガスと燃料極側出ガスとのいずれか一方のみに脱酸素処理等を施す態様を採用してもよい。例えば、燃料極側出ガスを燃料ガスあるいは加湿水として再利用しない場合には、燃料ガスのみに脱酸素処理等を施せばよい。
【0044】
また、上記実施形態では、燃料ガスに脱酸素処理を施した。加えて、燃料極側出ガスに脱酸素処理と脱過酸化水素処理との両方を施した。しかし、燃料ガス等に施す処理の種類および数は、特に限定されるものではない。燃料ガス等に施す処理の種類および数は、燃料極側出ガスの循環の有無等、システムに応じて適宜決定すればよい。例えば、燃料ガスに脱過酸化水素処理のみを施してもよく、燃料極側出ガスに脱酸素処理のみを施してもよい。また、燃料極側回収水を脱酸素処理する膜分離処理装置を省略してもよく、さらに脱過酸化水素処理する装置等を追加してもよい。
【0045】
上記実施形態では、燃料ガスを燃料極側加湿器にて加湿した後、燃料極へ供給した。しかし、燃料ガスを加湿せずに燃料極へ供給してもよい。この場合、燃料ガスを脱酸素処理するには、例えば、燃料ガスの酸素濃度を低下させるための脱酸素処理装置を、燃料電池の上流に別途設置すればよい。なお、燃料ガスを加湿する場合であっても、燃料極側加湿器の上流に脱酸素処理装置等を設置することができる。
【0046】
上記実施形態では、燃料極側加湿器における加湿水、燃料極側気液分離器における白金、および膜分離処理装置が、それぞれ脱酸素処理手段として機能する。また、燃料極側気液分離器における白金は、同時に脱過酸化水素処理手段としても機能する。しかし、脱酸素処理手段および脱過酸化水素処理手段は、上記装置等に限定されるものではない。燃料ガス等の酸素濃度あるいは過酸化水素濃度を低下させるための処理方法に応じて適宜決定すればよい。なお、脱酸素処理手段は、燃料ガス等の酸素濃度を積極的に低下させる手段の他、酸素濃度の上昇を抑制するという消極的な手段であってもよい。過酸化水素処理手段についても同様である。以下、脱酸素処理および脱過酸化水素処理として好適な、種々の処理方法を説明する。
【0047】
(1)化学的処理
上記実施形態にて示したように、触媒を用いて酸素を還元して脱酸素処理を行うことができる。同様に、触媒を用いて過酸化水素を還元して過酸化水素処理を行うことができる。すなわち、酸素あるいは過酸化水素の酸化還元平衡電位より貴な酸化還元平衡電位をもつ元素等を触媒として用いることで、酸素あるいは過酸化水素が水に分解される。本方法は、気体および液体中の酸素濃度あるいは過酸化水素濃度を低減する際に有効である。以下、ルテニウム(Ru)を触媒として用いた場合の、過酸化水素の分解について説明する。
【0048】
上記式(3)に示した過酸化水素の還元反応(H2O2+2H++2e−→2H2O)の酸化還元平衡電位は0.695V(vs.SHE)である。一方、Ru/Ru3+の酸化還元平衡電位は0.738V(vs.SHE)である。よって、触媒としてRuを用いた場合には、式(6)、(7)に示すようなRu/Ru3+の酸化・還元を仲立ちとして、過酸化水素が水に分解される(式(8)参照)。
Ru → Ru3+ + 3e− ・・・(6)
3H2 + 2Ru3+ → 2Ru + 6H+ ・・・(7)
H2O2 + H2 → 2H2O ・・・(8)
酸素あるいは過酸化水素の酸化還元平衡電位より貴な酸化還元平衡電位をもつ元素等としては、上記Ruおよび上記実施形態で使用した白金以外に、例えば、コバルト、セリウム、鉛、マンガン、酸化バナジウム、鉄等がある。よって、これらの元素等を含む触媒層と、燃料ガス等とを接触させることで、燃料ガス等を脱酸素処理等することができる。例えば、燃料ガス等の流路となる配管、加湿器、気液分離器等の内周面に上記触媒層を設ければよい。また、上記触媒層を有する脱酸素処理装置や脱過酸化水素処理装置等を別途設置してもよい。
【0049】
(2)物理的処理
加湿水あるいは燃料極側回収水を、減圧処理、加熱沸騰処理、膜分離処理、不活性ガスパージ処理等することにより、それらの酸素濃度あるいは過酸化水素濃度を低減することができる。例えば、減圧処理を行う場合には、加湿水等を減圧環境下に保持すればよい。加熱沸騰処理を行う場合には、加湿水等を加熱沸騰させればよい。膜分離処理を行う場合には、加湿水等を酸素等を分離できる膜を用いて処理すればよい。不活性ガスパージ処理を行うには、窒素等の不活性ガスを加湿水等中に通し、脱気すればよい。
【0050】
本発明の燃料電池システムでは、燃料ガス等の酸素等の濃度を低くすることで、燃料極側における金属材料の腐食を抑制した。しかしながら、金属材料の腐食は、フッ化物イオン(F−)や塩化物イオン(Cl−)等の存在により促進されるおそれがある。また、配管等に使用される樹脂シール材から有機物が溶出し、それにより電池性能が低下するおそれもある。したがって、上記脱酸素処理手段および脱過酸化水素手段に加え、F−やCl−等の不純物イオンを除去する不純物イオン除去手段、有機物を除去する有機物除去手段等を備えて本発明の燃料電池システムを構成してもよい。これらを組み合わせることで、長期間の運転による電池性能の低下をより抑制することができる。不純物イオン除去手段には、例えば、イオン交換樹脂を備えた装置を用いればよい。有機物除去手段には、例えば、活性炭を備えた装置を用いればよい。なお、脱酸素処理手段等となる上記白金等の触媒を、活性炭に担持させて用いることにより、脱酸素処理手段と有機物除去手段とを兼ねることもできる。
【0051】
【実施例】
実際に単セルの固体高分子型燃料電池を作製し、図2に示した本発明の実施形態である燃料電池システムにより運転試験を行った。そして、運転試験前後での電圧低下の程度から電池性能を評価した。また、燃料極側加湿器における金属材料の腐食の程度を調査した。以下、固体高分子型燃料電池の作製、運転試験および電池性能の評価等について説明する。
【0052】
〈固体高分子型燃料電池の作製〉
まず、酸素極および燃料極を作製した。酸素極および燃料極の触媒には、白金がカーボンブラックに担持された触媒を用いた。上記触媒を、電解質であるナフィオン115(商品名、デュポン社製)のアルコール分散液に混合してペースト状とした。このペーストを拡散層となるカーボンクロスの表面に塗布、乾燥して、酸素極および燃料極とした。次いで、これら酸素極および燃料極を、ナフィオン115からなる電解質膜(膜厚約50μm)の両表面にそれぞれ120℃でホットプレスして電極接合体を形成し、焼成カーボン製のセパレータで挟持して単セルの固体高分子型燃料電池を作製した。
〈固体高分子型燃料電池の運転試験および電池性能の評価等〉
上記作製した固体高分子型燃料電池を用い、図2に示した本発明の燃料電池システムにより運転試験を行った。運転試験では、燃料極側出ガスを循環せず、すべて排出した。なお、本運転試験を実施例の運転試験とする。予備測定として、燃料極側加湿器における加湿水の溶存酸素濃度を測定したところ、加湿水の溶存酸素濃度は0.5ppmであった。また、加湿水の温度を80℃として作動させ、加湿水中の鉄イオン濃度を、誘導結合プラズマ分析法(ICP)により測定した。その結果、加湿水中の鉄イオン濃度は0.05ppm以下であった。また、運転試験前に電流密度を0.84A/cm2として運転し、電圧値を測定しておいた。
【0053】
運転試験は、以下に示す条件で、上記固体高分子型燃料電池を650時間運転することにより行った。燃料極には、バブラ温度80℃、背圧約0.05MPa、ストイキ値の1.5倍量の水素を供給した。酸素極には、バブラ温度70℃、背圧約0.05MPa、ストイキ値の1.5倍量の空気を供給した。また、作動温度を80℃、電流密度を0.1A/cm2とした。運転試験後、電流密度を0.84A/cm2として再度運転し、電圧値を測定した。そして、運転試験前の電圧値からの低下量を求めた。
【0054】
一方、比較のため、燃料極側加湿器における加湿水を変更して運転試験を行った。本運転試験を比較例の運転試験とする。比較例の運転試験は、加湿水を変更した点を除き、すべて実施例の運転試験と同様に行った。比較例の運転試験では、加湿水として、減圧処理が施されていないイオン交換水を用いた。この加湿水の溶存酸素濃度は6ppmであった。また、加湿水の温度を80℃として作動させた時の加湿水中の鉄イオン濃度は0.1ppmであった。
【0055】
上記二つの運転試験の結果、実施例の運転試験における電圧低下量は、比較例の運転試験における電圧低下量と比べて、約半分であった。これは、実施例の運転試験では、電池性能の低下が抑制されたことを示すものである。また、燃料極側加湿器内を目視で観察した結果、実施例の運転試験で用いた燃料極側加湿器では、喫水線および溶接箇所における金属材料の腐食はほとんど見られなかった。一方、比較例の運転試験で用いた燃料極側加湿器では、喫水線および溶接箇所において金属材料が腐食した痕跡が見られた。この結果から明らかなように、実施例の運転試験では、加湿水の酸素濃度が低いため、燃料極側加湿器における金属材料の腐食が効果的に抑制された。
【0056】
以上より、本発明の燃料電池システムによれば、燃料極側における金属材料の腐食を抑制することができ、電池性能の低下を招くことなく、燃料電池を長期間にわたり運転することができることが確認できた。
【0057】
【発明の効果】
本発明の燃料電池の運転方法では、燃料ガスおよび燃料極側出ガスの少なくとも一方に、酸素濃度を低下させる脱酸素処理、および過酸化水素濃度を低下させる脱過酸化水素処理の少なくとも一方を施す。これにより、燃料極側における金属材料の腐食が抑制される。したがって、本発明の燃料電池の運転方法によれば、燃料電池を長期間運転した場合であっても、電池性能の低下は少ない。また、本発明の燃料電池システムによれば、上記本発明の燃料電池の運転方法を簡便に実施することができる。したがって、本発明の燃料電池の運転システムによれば、電池性能の低下を招くことなく、燃料電池を長期間にわたり安定して運転することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ステンレス材料の電流−電位曲線を模式的に示す。
【図2】本発明の一実施形態である燃料電池システムの概略を示す。
【符号の説明】
1:燃料電池システム 2:固体高分子型燃料電池
3:燃料極側加湿器 4:燃料極側気液分離器 5:膜分離処理装置
6:水素ボンベ 61:水素圧力調整バルブ 62:水素吸気バルブ
7:空気圧縮機 71:酸素極側加湿器 72:酸素極側気液分離器
Claims (10)
- 水素を含む燃料ガスが供給される燃料極と、酸素を含む酸化剤ガスが供給される酸素極と、該燃料極と該酸素極との間に挟装された電解質とからなる電極接合体がセパレータを介して複数個積層されて構成された燃料電池の運転方法であって、
前記燃料ガス、および前記燃料極から排出される燃料極側出ガスの少なくとも一方に、酸素濃度を低下させる脱酸素処理、および過酸化水素濃度を低下させる脱過酸化水素処理の少なくとも一方を施すことを特徴とする燃料電池の運転方法。 - 前記脱酸素処理は、触媒による酸素の還元処理である請求項1に記載の燃料電池の運転方法。
- 前記脱過酸化水素処理は、触媒による過酸化水素の還元処理である請求項1に記載の燃料電池の運転方法。
- 前記燃料ガスを、燃料極側加湿器により加湿した後、前記燃料極へ供給し、
該燃料極側加湿器において、該燃料ガスに前記脱酸素処理および前記脱過酸化水素処理の少なくとも一方を施す請求項1に記載の燃料電池の運転方法。 - 前期燃料極側加湿器の加湿水には、酸素濃度を低下させる脱酸素処理および過酸化水素濃度を低下させる脱過酸化水素処理の少なくとも一方が施されており、該加湿水にて加湿することにより、前期燃料ガスに前記脱酸素処理および前記脱過酸化水素処理の少なくとも一方を施す請求項4に記載の燃料電池の運転方法。
- 水素を含む燃料ガスが供給される燃料極と、酸素を含む酸化剤ガスが供給される酸素極と、該燃料極と該酸素極との間に挟装された電解質とからなる電極接合体がセパレータを介して複数個積層されて構成された燃料電池と、
前記燃料ガスおよび前記燃料極から排出される燃料極側出ガスの少なくとも一方の流路に設置され、該燃料ガスおよび該燃料極側出ガスの少なくとも一方の酸素濃度を低下させる脱酸素処理手段、および、
前記燃料ガスおよび前記燃料極から排出される燃料極側出ガスの少なくとも一方の流路に設置され、該燃料ガスおよび該燃料極側出ガスの少なくとも一方の過酸化水素濃度を低下させる脱過酸化水素処理手段、の少なくとも一方と、
を備える燃料電池システム。 - 前記脱酸素処理手段は、酸素を還元処理する触媒である請求項6に記載の燃料電池システム。
- 前記脱過酸化水素処理手段は、過酸化水素を還元処理する触媒である請求項6に記載の燃料電池システム。
- さらに、前記燃料ガスを加湿する燃料極側加湿器を備え、
該燃料極側加湿器は、該燃料ガスの酸素濃度を低下させる脱酸素処理手段、および該燃料ガスの過酸化水素濃度を低下させる脱過酸化水素処理手段の少なくとも一方を有する請求項6に記載の燃料電池システム。 - 前期燃料極側加湿器の加湿水には、酸素濃度を低下させる脱酸素処理および過酸化水素濃度を低下させる脱過酸化水素処理の少なくとも一方が施されており、該加湿水が前記脱酸素処理手段および前記脱過酸化水素処理手段の少なくとも一方となる請求項9に記載の燃料電池システム。
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