JP2004277780A - 銀系合金の積層構造並びにそれを用いた電極、配線、反射膜及び反射電極 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、低電気抵抗、耐候性、耐熱性、加工性、密着性及び高反射率を全て所定レベル以上に兼ね備えた銀系合金の積層構造並びにこれを用いた電極、配線、反射膜及び反射電極を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明に係る銀系合金の積層構造は、基板上に、銀を主成分とし第2成分以下に標準電極電位が負である元素を少なくとも1種含有する下部銀系合金薄膜を形成し、該下部銀系合金薄膜の上に銀を主成分とし第2成分以下に標準電極電位が正である金属のみを含有する上部銀系合金薄膜を前記下部銀系合金薄膜よりも薄く形成したことを特徴とする。
【選択図】図1
【解決手段】本発明に係る銀系合金の積層構造は、基板上に、銀を主成分とし第2成分以下に標準電極電位が負である元素を少なくとも1種含有する下部銀系合金薄膜を形成し、該下部銀系合金薄膜の上に銀を主成分とし第2成分以下に標準電極電位が正である金属のみを含有する上部銀系合金薄膜を前記下部銀系合金薄膜よりも薄く形成したことを特徴とする。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶ディスプレイ等のディスプレイの反射膜や反射電極膜或いは電極膜、配線に適した低電気抵抗、耐候性(耐湿性を含む)、耐熱性、加工性(良エッチング性)、密着性及び高反射率を兼ね備えた銀系合金の積層構造に関し、さらにそれを用いた電極、配線、反射膜及び反射電極に及ぶ。
【0002】
【従来の技術】
液晶ディスプレイ等のディスプレイの反射膜や反射電極膜或いは電極膜、配線に適した銀系合金についてAg−Pd−Cu系銀合金の開示がある(例えば特許文献1〜3を参照。)。
【特許文献1】特開2002−277855号公報、請求項4
【特許文献2】特開2002−226765号公報、請求項2
【特許文献3】特開2001−221908号公報、請求項3
【特許文献4】特開2001−210989号公報、請求項1
【0003】
しかし、液晶ディスプレイ等のディスプレイの反射膜や反射電極膜等の用途に使用するためには、低電気抵抗、耐候性、耐熱性、加工性、密着性及び高反射率を全て所定レベル以上に兼ね備える必要があった。この点、特許文献1〜4に記載された銀系合金は、耐熱性に問題があり、カラーフィルター等の加熱工程による表面ラフネスの増加とヒロック発生による反射率の低下が生じた。
【0004】
耐ヒロック性、耐湿性、耐候性、成膜時状態(As−Depo)での反射率、成膜後長時間放置時の反射率の維持、低電気抵抗等全ての要求特性に優れた銀系合金は、存在しなかった。その理由は、例えば耐湿性と耐熱性ではトレードオフの関係となり、双方の特性を高いレベルで両立することが困難だった為である。
【0005】
また、透明酸化膜を銀または殆どの銀合金の上部に保護膜、ヒロック抑制、もしくは光学補正膜としての目的で積層した場合、可視光波長域全域もしくは一部の波長域における反射率低下がみられた。
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、低電気抵抗、耐候性、耐熱性、加工性、密着性及び高反射率を全て所定レベル以上に兼ね備えた銀系合金がないことに鑑み、これらの特性を一定レベルで付与させるために銀系合金の積層構造を提供することを目的とする。すなわち本発明は、耐熱性に特化した材料と、耐候性に特化した材料の2つを組み合わせることで、双方の長所を生かし短所を補う事を目的とする。下部の層には耐熱性の高いAg合金を設け、高い耐熱性を得ることを目的とする。さらにその上部に耐候性の高いAg合金を設け、下部のAg合金が変質する事を防ぐことを目的とする。
【0007】
本発明の目的は、下部の層と上部の層の両方の長所を生かし短所を補うAg合金積層体を提供しようというものであるから、下部と上部に組み合わせる材料は、耐熱性に特化した物と耐候性に特化した物以外の組み合わせとすることが可能である。例えば、下部にエッチング性に特化した材料、上部に反射率に特化した材料を組み合わせることで、良好なエッチング性と高反射率を兼ね備えた積層体を提供することを目的とする。他にも、下部に低抵抗に特化した材料、上部に耐候性に特化した材料を組み合わせることで、低抵抗と高耐候性を兼ね備えた積層体を提供することを目的とする。これらの応用により反射板、電極、配線、反射電極、反射配線など様々な用途への使用を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る銀系合金の積層構造は、基板上に、銀を主成分とし第2成分以下に標準電極電位が負である元素を少なくとも1種含有する下部銀系合金薄膜を形成し、該下部銀系合金薄膜の上に銀を主成分とし第2成分以下に標準電極電位が正である金属のみを含有する上部銀系合金薄膜を前記下部銀系合金薄膜よりも薄く形成したことを特徴とする。
【0009】
本発明に係る銀系合金の積層構造は、基板上に金属若しくは合金からなる薄膜を積層した積層構造であって、前記薄膜のうち少なくとも1つは銀を主成分とし第2成分以下に標準電極電位が負である元素を少なくとも1種含有する下部銀系合金薄膜で形成し、該下部銀系合金薄膜の上に銀を主成分とし第2成分以下に標準電極電位が正である金属のみを含有する上部銀系合金薄膜を形成するか或いは前記下部銀系合金薄膜の上に金属若しくは合金からなる薄膜を中間層として少なくとも1層設けて該中間層の上に銀を主成分とし第2成分以下に標準電極電位が正である金属のみを含有する上部銀系合金薄膜を形成し、且つ前記上部銀系合金薄膜を前記下部銀系合金薄膜よりも薄く形成したことを特徴とする。
【0010】
本発明に係る銀系合金の積層構造では、前記上部銀系合金薄膜にSiO2、Al2O3の少なくともいずれか一方を添加することが好ましい。
【0011】
本発明に係る銀系合金の積層構造では、前記上部銀系合金薄膜は、10nm以上の膜厚を有することが好ましい。
【0012】
本発明に係る銀系合金の積層構造では、前記中間層は前記下部銀系合金薄膜と前記上部銀系合金薄膜との親和性を強化するための密着層であることが好ましい。
【0013】
本発明に係る銀系合金の積層構造では、前記基板上に該基板と前記積層構造との密着を強化するための下地層を形成することが好ましい。
【0014】
本発明に係る銀系合金の積層構造では、前記積層構造の最表層に特殊雰囲気からの保護を強化するための保護層を形成することが好ましい。
【0015】
本発明に係る銀系合金の積層構造では、前記基板は、ガラス基板、樹脂基板又はガラス/樹脂積層基板であることが好ましい。
【0016】
本発明に係る銀系合金の積層構造では、前記下部銀系合金薄膜は、銀を50原子%以上含有する銀−亜鉛−パラジウム−銅系合金であることが好ましい。
【0017】
本発明に係る銀系合金の積層構造では、前記上部銀系合金薄膜は、銀を50原子%以上含有する銀−パラジウム系合金、または銀−パラジウム−銅系合金であることが好ましい。
【0018】
本発明に係る銀系合金電極は、前記銀系合金の積層構造を有することを特徴とする。
【0019】
本発明に係る銀系合金配線は、前記銀系合金の積層構造をパターン形成したことを特徴とする。
【0020】
本発明に係る銀系合金反射膜は、前記銀系合金の積層構造を有することを特徴とする。
【0021】
本発明に係る銀系合金反射電極は、前記銀系合金の積層構造を有することを特徴とする。
【0022】
本発明に係る自発光型ディスプレイは、前記銀系合金の積層構造を備えることを特徴とする。
【0023】
本発明に係るフラットパネルディスプレイは、前記銀系合金の積層構造を備えることを特徴とする。
【0024】
本発明に係る半導体素子は、前記銀系合金の積層構造を備えることを特徴とする。
【0025】
【発明の実施形態】
以下実施例を示して本発明を詳細に説明するが本発明はこれらの記載に限定して解釈されない。
【0026】
本実施例の銀合金の積層構造の一形態を図1に示す。図1に示すように、銀系合金の積層構造は、基板上に、銀を主成分とし第2成分以下に標準電極電位が負である元素を少なくとも1種含有する下部銀系合金薄膜を形成し、該下部銀系合金薄膜の上に銀を主成分とし第2成分以下に標準電極電位が正である金属のみを含有する上部銀系合金薄膜を前記下部銀系合金薄膜よりも薄く形成する。本発明で銀を主成分とする銀合金というときは銀が50原子%以上含有する銀合金を意味する。
【0027】
基板として無アルカリガラス、ソーダ石灰ガラス等からなるガラス基板、Al2O3、サファイア基板、また、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアセタール、或いはポリブチレンテレフタレート、変性ポリフェニレンエーテル等の各種のプラストマー材料、各種のエラストマー材料、シリコーンゴム、天然ゴム、クロロプレンゴム又はEPDM等の樹脂基板が例示できる。また、ガラス基板の上に樹脂をコーティングした基板を用いても良い。
【0028】
下部銀系合金薄膜は、銀を主成分とし第2成分以下に標準電極電位が負である元素を少なくとも1種含有する銀系合金である。標準電極電位が負である元素のリストを表1に示した。例えばLi、Be、Na、Mg、Al、Si、K、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、C、Ni、Zn、Ga、Ge、Rb、Sr、Y、Zr、Nb、Mo、In、Sn、Cs、Ba、Hf、Ta、W、Tl、Bi、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Ac、Th、Pa、Cが例示できる。さらに、下部銀系合金薄膜は、表1に示した金属のほか、表2に示した白金族、金、銅を第2成分以下に含有しても良い。さらに、下部銀系合金薄膜は、表3に示した酸化物を含有しても良い。
【表1】
【表2】
【表3】
【0029】
下部銀系合金薄膜の組成としては、AgZnPdCu、AgNdCu、AgNd、AgZnCu,AgSnCu,AgInCu,Ag−Mg系、Ag−Li系、AgZn、AgZnCu、,AgZnPdCu、AgNd、AgNdCu、AgNdPd、AgNdMg、AgNdTi、AgNdTe、AgNdAu、AgNdCuAu、AgNdCuPd、AgSn、AgSnCu、AgIn、AgInCu、AgTi、AgTiCu、AgAl、AgAlCu、AgGe、AgGeCu、AgMg、AgMgCu、AgMgPd、AgMgPdCu、AgNi、AgNiCu、AgTa、AgTaCu、AgY,AgYCu、AgGa、AgGaCu、AgC、AgNb、AgNbCu、AgPdAl、AgPdCuAl、AgZnPdAlCu、AgLi、AgLiCu、AgLiPd、AgLiPdCu、AgLiMg、AgLiMgCu、AgITO、AgSnO2、AgInO2、AgZnOを例示できる。下部銀系合金薄膜の組成は、表4に例示した。
【表4】
【0030】
上部銀系合金薄膜は、銀を主成分とし第2成分以下に標準電極電位が正である金属のみを含有する銀系合金である。標準電極電位が正である金属は、Cu、Ru、Rh、Pd、Re、Os、Ir、Pt、Auである。上部銀系合金薄膜の組成としては、AgPdCuをはじめとして表5〜表7に示したものが例示できる。表5〜表7の中で「○」はその金属を含有するとの意味である。
【表5】
【表6】
【表7】
【0031】
上部銀系合金薄膜を下部銀系合金薄膜よりも薄く形成する。この理由は、上部銀系合金薄膜は一種の保護膜として機能させ、耐熱性は主として下部銀系薄膜で確保するためである。上部銀系合金薄膜は10nm(100Å)以上であることが好ましい。10nm未満であると、保護膜としての機能が低下し、下部銀系薄膜の耐湿性を確保できなくなるからである。
【0032】
反射膜の反射率低下は、主に以下の2つの理由から引き起こされる。
▲1▼加熱プロセスによる反射膜の結晶成長とヒロック発生による乱反射。これは結晶成長のし易さ、つまり耐熱性に起因する。
▲2▼放置時に大気中の物質と反射膜が化学反応、酸化、水酸化などを起こすことによる表面の変質。これは、耐候性に起因する。
【0033】
以後、本発明であるAg合金について記述する。
▲1▼の材料的な改善方法として、Agの結晶成長を抑制する効果の高い元素を添加する。Agの結晶成長を抑制する元素としては、標準電極電位が正な元素よりも、負である元素の方が効果が高い。▲2▼の材料的な改善方法として、標準電極電位が正である様な化学的に安定である元素を添加する。上記から▲1▼の改善方法と▲2▼の改善方法が矛盾する。つまり、材料設計の際にトレードオフとなり、1つの材料としての改善は、耐熱性と耐候性がバランスする性能を超えた高いレベルでの両立が困難であることを意味する。本技術は、耐熱性と耐候性を一材料として高いレベルで改善しようとする物ではなく、耐熱性に特化した材料と、耐候性に特化した材料の2つを組み合わせることで、双方の長所を生かし短所を補う技術である。
【0034】
下部の層には耐熱性の高いAg合金を設け、高い耐熱性を得ることを目的とする。さらにその上部に耐候性の高いAg合金を設け、下部のAg合金が変質する事を防ぐことを目的とする少なくとも2層以上である積層構造である。この技術は、下部の層と上部の層の双方の両方の長所を生かし短所を補うAg合金積層体を提供しようというものであるから、下部と上部に組み合わせる材料は、耐熱性に特化した物と耐候性に特化した物以外の組み合わせとすることが可能である。例えば、下部にエッチング性に特化した材料、上部に反射率に特化した材料を組み合わせることで、良好なエッチング性と高反射率を兼ね備えた積層体として用いることができる。他にも、下部に低抵抗に特化した材料、上部に耐候性に特化した材料を組み合わせることで、低抵抗と高耐候性を兼ね備えた積層体として用いることができる。これらの応用により反射板、電極、配線、反射電極、反射配線、半導体素子など様々な用途への使用が可能である。
【0035】
図2に別形態の銀系合金の積層構造を示した。図2に示した銀系合金の積層構造は、基板上に金属若しくは合金からなる薄膜を積層した積層構造である。前記薄膜のうち少なくとも1つは銀を主成分とし第2成分以下に標準電極電位が負である元素を少なくとも1種含有する下部銀系合金薄膜で形成し、該下部銀系合金薄膜の上に銀を主成分とし第2成分以下に標準電極電位が正である金属のみを含有する上部銀系合金薄膜を形成する。或いは前記下部銀系合金薄膜の上に金属若しくは合金からなる薄膜を中間層として少なくとも1層設けて該中間層の上に銀を主成分とし第2成分以下に標準電極電位が正である金属のみを含有する上部銀系合金薄膜を形成する。さらに前記上部銀系合金薄膜を前記下部銀系合金薄膜よりも薄く形成したことを特徴とする。
【0036】
基板、下部銀系合金薄膜、上部銀系薄膜は前述したとおりである。中間層は、下部銀系合金薄膜と上部銀系薄膜の密着性、親和性を向上させるために設けても良い。また下部銀系合金薄膜、上部銀系薄膜とは別に機能を有する銀系合金薄膜としても良い。中間層の組成としては例えば、Ag−Pd、Ag−Cu、Ag等が例示できる。
【0037】
また、上部銀系合金薄膜に反射率及び耐食性の低下を生じさせない程度にSiO2、Al2O3の少なくともいずれか一方を添加することも出来る。また、上部銀系合金薄膜は、10nm以上の膜厚を有する。
【0038】
なお、積層構造の最表層に特殊雰囲気からの保護を強化するための保護層を形成しても良い。
【0039】
下部銀系合金薄膜は、耐候性は劣るものの耐熱性に優れた銀を50原子%以上含有する銀−亜鉛−パラジウム−銅系合金とし、上部銀系合金薄膜は、耐熱性に劣るものの耐候性に優れた銀を50原子%以上含有する銀−パラジウム系合金、または銀−パラジウム−銅系合金とすることが好ましい。反射率は共に高い。
【0040】
図2の積層構造の変形として図3に示した積層構造としても良い。すなわち、基板と積層構造との密着性向上を目的として下地層を設けても良い。下地層としては、Si、Ta、Ti、Mo、Cr、Al、ITO、IrO2、ZnO、SiO2、TiO2、Ta2O5、ZrO2等が例示できる。中間層は図3のように複層設けても良い。
【0041】
以下に、材料的な改善方法として、Agの結晶成長を抑制する効果の高い元素を添加する。Agの結晶成長を抑制する元素としては、標準電極電位が正な元素よりも、負である元素の方が効果が高い。積層構造によるこの改善結果として実施例を示す。
【0042】
【実施例】
ガラス基板上に反射膜を作製した。つまり、ガラス基板表面を常法により前処理を行なった後、第1の被覆層としてAg−Pd−Cu−Zn(AZPC)が96.26−0.26−0.58−2.9at%である組成の下部銀系合金薄膜を、Ag−Pd−Cu−Zn合金ターゲットを使用してスパッタリング法によって形成した。次に下部銀系合金薄膜の表面に第2の被覆層としてAg−Pd−Cu(APC)が98.07−0.87−1.06at%である組成の上部銀系合金薄膜を、Ag−Pd−Cu合金ターゲットを使用してスパッタリング法によって形成した。この時の被覆の膜厚は第1の被覆層を200nm、第2の被覆層を10nmとして合計210nmとしたものを作製した(実施例1−1)。また、第1の被覆層を200nm、第2の被覆層を30nmとして合計230nmとしたものを作製した(実施例1−2)。なお比較例として第1の被覆層AZPCのみ単層の場合、並びに第2の被覆層APCのみ単層の場合についても同様の試験を行って比較した。これら比較用のAZPC単層、APC単層のそれぞれの膜厚は耐熱試験用には200nm、また耐候性又は耐候性試験後に耐熱性試験を行ったものは10nm及び30nmとした。
【0043】
このときのスパッタリングの条件は以下のとおりである。成膜圧力0.3Pa、成膜温度は常温でRfマグネトロンスパッタリングにて成膜を行った。
【0044】
この様にして作成した反射膜について以下の評価試験を行った。試験条件は以下のとおりであった。(1)成膜直後、(2)湿度50%のクリーンルーム大気中72時間放置による耐候性試験、(3)250℃、1時間保持による耐熱性試験、(4) (2)を行った後(3)を行った耐候性試験後の耐熱性試験。(1)と(3)の評価方法として、原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscopy(AFM))による表面状態の観察を行った。また、(1)、(2)、(4)の評価方法として、波長700nm、550nm、及び400nmにおける反射率の測定を行った。
【0045】
(1)のAFM像を図4に示した。(3)のAFM像を図5に示した。比較例としてAPC単層に(2)を行ったもののAFM像を図6に、AZPC単層に(2)を行ったもののAFM像を図7に示した。 この結果から、APC単層では耐熱性が十分でなく、本実施例のAZPCの上部にAPCを薄く成膜したものは、AZPC単層と同様の耐熱性を維持していることがわかった。
【0046】
次に(1)の反射率測定結果を表8に示した。(2)の反射率測定結果を表9に示した。(4)の反射率測定結果を表10に示した。また、(2)と(1)の反射率の差Δ値である変化量を表11に示した。
【表8】
【表9】
【表10】
【表11】
【0047】
表8〜表10より、AZPC単層に比べ、本実施例のAPCを薄く積層したものはAPC単層と同等かそれ以上の耐候性を維持していることがわかった。また、耐候試験後の耐熱性はAPC単層、AZPC単層に比べ、本実施例のAZPCの上部にAPCを薄く成膜したものが優れていることがわかった。
【0048】
これら、図4〜図7と表8〜表11により、耐熱性、耐候性共に、APC単層、AZPC単層に比べ、本実施例のAZPCの上部にAPCを薄く成膜したものが優れていることがわかった。
【0049】
これは、耐熱性の高い下部銀系合金薄膜の上部に耐候性の高い上部銀系合金薄膜を積層させることにより、下部銀系合金に含有されている標準電極電位が負の金属が化学反応、酸化、水酸化等の変質を引き起こす物質から保護する事で、反射率の低下を抑制したからである。
【0050】
また、本積層構造の厚さの大半を耐熱性の高い下部銀系合金とする事で積層構造全体の結晶成長を最低限に抑制し、その上部に耐候性の高い上部銀系合金を薄く保護層として設ける事で、下部銀系合金が変質する様な物質から隔離する事で表面の変質による反射率低下を抑制したからである。
【0051】
(比較例4)
さらに、下部銀系合金薄膜の膜厚を30nm、上部銀系合金薄膜の膜厚を
200nmとした以外は実施例1−2と同様にして銀系合金薄膜の積層構造を作製して比較例3とした。比較例4は成膜後の初期特性については実施例と同等の性能を有しており問題なかったが、比較例4は耐熱性が実施例1−2と比較して劣っていた。
【0052】
(比較例5)
ガラス基板上に反射膜を作製した。つまり、ガラス基板表面を常法により前処理を行なった後、第1の被覆層としてAg−Pd−Cuが98.07−0.87−1.06at%である組成の下部銀系合金薄膜を、Ag−Pd−Cu合金ターゲットを使用してスパッタリング法によって形成した。次に下部銀系合金薄膜の表面に第2の被覆層としてAg−Pd−Cu−Znが96.29−0.26−0.58−2.9at%である組成の上部銀系合金薄膜を、Ag−Pd−Cu−Zn合金ターゲットを使用してスパッタリング法によって形成した。このときの被覆の厚さは下部銀系合金薄膜が200nm、上部銀系合金薄膜が30nmであった。銀系合金の積層構造として厚みは230nmであった。成膜は、成膜圧力0.5Pa、成膜温度25℃であり、マグネトロンスパッタリング装置を用いて行った。比較例5は成膜後の初期特性については実施例1と同等の性能を有しており問題なかったが、比較例5は耐候性、耐熱性共に実施例1と比較して劣っていた。
【0053】
なお、表4に示した銀合金の組成の下部銀系合金薄膜、すなわち銀を主成分とし第2成分以下に標準電極電位が負である元素を少なくとも1種含有する下部銀系合金薄膜を2種類準備してこれらを積層させた場合は耐候性が不十分であった。
【0054】
また、表5〜表7に示した上部銀系合金薄膜、すなわち銀を主成分とし第2成分以下に標準電極電位が正である金属のみを含有する上部銀系合金薄膜を2種類準備してこれらを積層させた場合は耐熱性が不十分であった。
【0055】
AZPCについて説明する。
下部銀系合金薄膜の組成として、次のものが例示できる。
優れた耐食性を有する銀合金であって、銀を主成分とし、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、鉄、ルテニウム、コバルト、ロジウム、イリジウム、ニッケル、パラジウム、白金、銅、金、亜鉛、アルミニウム、ガリウム、インジウム、ケイ素、ゲルマニウム及びスズからなる群から選ばれた少なくとも1種類の元素を含有することを特徴とする銀合金である。
高反射率の特性を有する銀合金であって、銀を主成分とし、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、鉄、ルテニウム、コバルト、ロジウム、イリジウム、ニッケル、パラジウム、白金、銅、金、亜鉛、アルミニウム、ガリウム、インジウム、ケイ素、ゲルマニウム及びスズからなる群から選ばれた少なくとも1種類の元素を含有することを特徴とする銀合金である。
電気的に低抵抗の特性を有する銀合金であって、銀を主成分とし、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、鉄、ルテニウム、コバルト、ロジウム、イリジウム、ニッケル、パラジウム、白金、銅、金、亜鉛、アルミニウム、ガリウム、インジウム、ケイ素、ゲルマニウム及びスズからなる群から選ばれた少なくとも1種類の元素を含有することを特徴とする銀合金である。
優れた耐熱性を有する銀合金であって、銀を主成分とし、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、鉄、ルテニウム、コバルト、ロジウム、イリジウム、ニッケル、パラジウム、白金、銅、金、亜鉛、アルミニウム、ガリウム、インジウム、ケイ素、ゲルマニウム及びスズからなる群から選ばれた少なくとも1種類の元素を含有することを特徴とする銀合金である。
上記の銀合金は、少なくとも1種類の各元素の含有量が0.1原子パーセント以上8.0原子パーセント以下であることを特徴とする銀合金である。
優れた耐食性を有する銀合金であって、銀を主成分とし、亜鉛、ニッケル、錫及びインジウムからなる群から選ばれた1種類の元素を含有し、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、鉄、ルテニウム、コバルト、ロジウム、イリジウム、パラジウム、白金、銅、金、アルミニウム、ガリウム、ケイ素、及びゲルマニウムからなる群から選ばれた少なくとも1種類の元素を含有することを特徴とする銀合金である。
高反射率の特性を有する銀合金であって、銀を主成分とし、亜鉛、ニッケル、錫及びインジウムからなる群から選ばれた1種類の元素を含有し、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、鉄、ルテニウム、コバルト、ロジウム、イリジウム、パラジウム、白金、銅、金、アルミニウム、ガリウム、ケイ素、及びゲルマニウムからなる群から選ばれた少なくとも1種類の元素を含有することを特徴とする銀合金である。
電気的に低抵抗の特性を有する銀合金であって、銀を主成分とし、亜鉛、ニッケル、錫及びインジウムからなる群から選ばれた1種類の元素を含有し、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、鉄、ルテニウム、コバルト、ロジウム、イリジウム、パラジウム、白金、銅、金、アルミニウム、ガリウム、ケイ素、及びゲルマニウムからなる群から選ばれた少なくとも1種類の元素を含有することを特徴とする銀合金である。
優れた耐熱性を有する銀合金であって、銀を主成分とし、亜鉛、ニッケル、錫及びインジウムからなる群から選ばれた1種類の元素を含有し、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、鉄、ルテニウム、コバルト、ロジウム、イリジウム、パラジウム、白金、銅、金、アルミニウム、ガリウム、ケイ素、及びゲルマニウムからなる群から選ばれた少なくとも1種類の元素を含有することを特徴とする銀合金である。
前記銀合金は、前記1種類の元素の含有量が0.1原子パーセント以上8.0原子パーセント以下であり、前記少なくとも1種類の各元素の含有量が0.1原子パーセント以上8.0原子パーセント以下であることを特徴とする銀合金である。
優れた耐熱性を有する銀合金であって、銀を主成分とし、亜鉛又はインジウムを0.1原子パーセント以上8.0原子パーセント以下含有し、銅を0.1原子パーセント以上8.0原子パーセント以下含有し、更にパラジウムを0.1原子パーセント以上8.0原子パーセント以下含有することを特徴とする銀合金である。
高反射率の特性を有する銀合金であって、銀を主成分とし、亜鉛又はインジウムを0.1原子パーセント以上8.0原子パーセント以下含有し、銅を0.1原子パーセント以上8.0原子パーセント以下含有し、更にパラジウムを0.1原子パーセント以上8.0原子パーセント以下含有することを特徴とする銀合金である。
電気的に低抵抗の特性を有する銀合金であって、銀を主成分とし、亜鉛又はインジウムを0.1原子パーセント以上8.0原子パーセント以下含有し、銅を0.1原子パーセント以上8.0原子パーセント以下含有し、更にパラジウムを0.1原子パーセント以上8.0原子パーセント以下含有することを特徴とする銀合金である。
優れた耐食性を有する銀合金であって、銀を主成分とし、亜鉛又はインジウムを0.1原子パーセント以上8.0原子パーセント以下含有し、銅を0.1原子パーセント以上8.0原子パーセント以下含有し、更にパラジウムを0.1原子パーセント以上8.0原子パーセント以下含有することを特徴とする銀合金である。
優れた耐熱性を有する銀合金であって、銀を主成分とし、亜鉛を3.0原子パーセント以上8.0原子パーセント以下含有し、銅を0.3原子パーセント以上1.7原子パーセント以下含有し、更にパラジウムを0.2原子パーセント以上3.0原子パーセント以下含有することを特徴とする銀合金である。
優れた耐食性を有する銀合金であって、銀を主成分とし、亜鉛を0.1原子パーセント以上8.0原子パーセント以下含有し、銅を0.1原子パーセント以上含有し、更にパラジウムを0.2原子パーセント以上含有することを特徴とする銀合金である。
優れた耐熱性及び耐食性を有する銀合金であって、銀を主成分とし、亜鉛を3.0原子パーセント以上8.0原子パーセント以下含有し、銅を0.3原子パーセント以上1.7原子パーセント以下含有し、更にパラジウムを0.2原子パーセント以上含有することを特徴とする銀合金である。
前記銀合金からなる下部銀系原型合金薄膜及び本願の銀系合金積層構造は、反射光の黄色化を抑制した反射型LCD用反射板又は反射配線電極となる。
前記銀合金からなる下部銀系原型合金薄膜及び本願の銀系合金積層構造は、光学記録媒体ともなり得る。
エラストマー材料からなる基板と、この基板上に形成された電磁波遮蔽膜と、を備えた電磁波遮蔽体であって、前記電磁波遮蔽膜が本願に係る銀系合金の積層構造である電磁波遮蔽体である。
プラストマー材料からなる基板と、この基板上に形成された電磁波遮蔽膜と、を備えた電磁波遮蔽体であって、前記電磁波遮蔽膜が本願に係る銀系合金の積層構造である電磁波遮蔽体である。
前記電磁波遮蔽膜が1の膜又は複数の膜からなっていても良い。
記下地層は、インジウム・錫酸化物、酸化イリジウム、酸化亜鉛、二酸化ケイ素、酸化チタン、五酸化タンタル、酸化ジルコニウム、ケイ素、タンタル、チタン、モリブデン、クロム、アルミニウムからなる群から選ばれた1又は複数の材料、若しくは、該1又は複数の材料を少なくとも主成分として含む材料を用いて形成した薄膜であることを特徴とする。
前記銀合金からなることを特徴とする電子部品用金属材料である。
配線パターン、電極及び接点それぞれは、溶液によるエッチングにより形成されものである。
前記配線パターン、電極及び接点それぞれは、ガス雰囲気中でのエッチングにより形成されたものである。
前記配線パターン、電極及び接点それぞれが、タングステン、タンタル、モリブデン、酸化インジウム、酸化錫、窒化チタン、二酸化ケイ素、窒化シリコン、酸化チタン、酸化ニオブの何れか1種類もしくは複数で混合されて形成された下地層の上に形成されたものである。
前記配線パターン、電極及び接点それぞれが、ガラス又はプラストマー材料の基板上に直接形成されたものである。
前記銀合金からなる金属膜を、タングステン、タンタル、モリブデン、インジウム・錫酸化物、窒化チタン、二酸化ケイ素、窒化ケイ素の何れかによる下地の上に形成することにより、配線パターン、電極及び接点のうちの少なくとも1つを形成することを特徴とする銀系合金の積層構造の加工方法である。
前記銀合金からなる金属膜をガラス又はプラストマー材料の基板上に直接形成することにより、配線パターン、電極及び接点のうちの少なくとも1つを形成することを特徴とする銀系合金の積層構造の加工方法である。
前記の銀合金により形成された反射膜、配線パターン及び電極のうちの少なくとも1つを有することを特徴とする電子光学部品である。
上記に例示した下部銀系合金及び本願の銀系合金の積層構造は下記の問題を解決する。
従来の金属材料では、優れた耐食性、高反射率、電気的に低抵抗、優れた耐熱性を有する材料に対する開発が必ずしも十分ではなかった。
また、従来の反射型液晶表示パネルでは、反射型LCD用反射板の製造時又は使用時において、大気中の硫黄、酸素、水分等と反応することがあり、それにより、反射特性が劣化し、反射光の色度が変化し、黄色に変色してしまうという黄色化の問題があった。
また、AlあるいはAl合金により形成した薄膜では、光学記録媒体の用途によってはいまだ充分な反射率が得られているとはいえない。また、耐候性や、薄膜を形成した場合の反射率、透過率について十分な特性を有する合金材料の開発は未だなされていない。
また、前記従来のエラストマー材料を用いた電磁波遮蔽体では、複雑な形状への折り曲げ追随性、耐腐食性、耐候性や耐摩耗性等にも問題があり、EMC素材として全く採用(適用)されない等の問題があった。
また、前記従来のプラストマー材料基板を用いた電磁波遮蔽体では、電磁波遮蔽性、赤外線遮蔽性、透明性、非視認性、耐腐食性、耐候性や耐摩耗性等が十分に満たされてなく、EMC素材として全く採用(適用)されない等の問題があった。
また、従来の電子機器、電子部品では、電気的な低抵抗率が十分でなく、加工性に優れた配線材料、電極材料、接点材料が開発されていなかった。
また、建材ガラス用赤外線及び熱線を反射する反射膜としては、AgやAl若しくはこれらのうちいずれかの元素を主成分とする合金材料から形成された反射膜が幅広く知られている。しかし、これらの反射膜は耐熱性に対して決して優れているとは言えない。
例えばAgやAlは熱に対しての耐熱性が高くなく、特定温度では表面部が拡散し易いために、例えば液晶表示素子用の反射板を製作する場合には、製作プロセス中での温度雰囲気が制限される。更に、建材ガラス用の赤外線及び熱線反射膜に至っては、大気中で夏季に高温に曝されると、反射膜自体が化学的に変異(変色)してしまう等、熱に対しての品質の安定性に問題があった。
また、反射率が高い材料としては、AgやAl以外にAuが知られているが、Auは価格的に大変高価であるため、建材窓ガラス用反射膜に用いるにはコスト的な面から実用性が乏しいと判断されている。
また、反射率が高く、コスト的な面からも大変安価で、実用性が高いとされるAlについては、PMMA、シリコーン樹脂等の樹脂基板等を用いた場合に、樹脂基板から析出されるガス成分に対して化学反応を起こす虞れがある。このことから、ガスの放出作用が低い材料からなる基板にのみ有効となって、基板材料が制限されてしまうばかりか、樹脂とのコンタクトを図る場合には材料の化学的な安定性が懸念されてしまう等の不安、課題が残る。
また、400〜4000nmの可視及び赤外域と称される光学波長領域中で、Agは数多くの金属元素中で最も光学反射率が高いために、高反射率を特徴とする膜としては優れた特性を保持しているものと検討されている。しかし、熱に対しての自己拡散エネルギーが活発であるために、熱が加えられた場合に経時変化が生じるという問題がある。そのため、一時的であっても100℃前後の熱が加えられた場合には表面部に拡散現象が起こり、Ag本来が保有する光沢を失って白濁化してしまう。換言すれば、反射率が高いというAg本来の特性が大幅に低減してしまう。
また、ガラスや樹脂製の基板上に反射膜を形成した際には、Agは大気中に放置されると、大気中の湿気(主として水分)を吸収して黄色化してしまうため、反射率が高いというAg本来の特性が損なわれてしまう等の問題が生じる。従って、高反射率であるという本来の特性を保持することができず、耐候性に対しても決して優れているとは言えない。
本発明は前記諸問題を考慮してなされたものであり、その目的は、優れた耐食性を有する銀合金を提供することにある。また、本発明の他の目的は、高い反射率を有する銀合金を提供することにある。また、本発明の他の目的は、電気的に低抵抗の特性を有する銀合金を提供することにある。また、本発明の他の目的は、優れた耐熱性を有する銀合金を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、反射光の黄色化を抑制したスパッタリングターゲット、反射型LCD用反射板、反射配線電極、薄膜及びその製造方法を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、Agと比較した場合に高反射率を維持し、耐候性を改善した光学記録媒体を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、半透明反射膜の耐候性が改善され、より高い信頼性が得られる光学記録媒体を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、柔軟性、形状自在性(複雑な形状への折り曲げ追随性)を備え、主にEMC対策材料として応用展開が広く、また、高温高湿の環境下においても高い電磁波遮蔽能力が継続的に保持されるといった耐候性の材料的な安定性が格段に改善され、しかも、エラストマー材料基板との接合性(密着性)がより一層効果的に強化され、より高い信頼性が得られる電磁波遮蔽体を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、電磁波遮蔽性と赤外線遮蔽性、透明性、非視認性、耐腐食性、耐候性や耐摩耗性等を備え、主にEMC対策材料として応用展開が広く、また、高温高湿の環境下においても高い電磁波遮蔽能力が継続的に保持されるといった耐候性の材料的な安定性が格段に改善され、しかも、プラストマー材料基板との接合性(密着性)がより一層効果的に強化され、より高い信頼性が得られる電磁波遮蔽体を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、従来に比して電気的に低抵抗率であって、安定かつ加工性に優れた電子部品用金属材料、配線材料、銀合金を使用した電子部品、電子機器、金属膜の加工方法、電子光学部品を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、Ag自体の保有する高い光学特性が保持され、更にはAgの材料的な安定性が格段に改善されるとともに、信頼性の高い高耐熱性反射膜を用いた積層体及び建材ガラスを提供することにある。
Ag−Zn−Pd−Cu系銀合金は、優れた耐食性、高反射率、電気的に低抵抗及び優れた耐熱性のうちの少なくとも1つの特性を有する銀合金であって、Ag主成分とし、Znを0.1at%以上8.0at%以下含有し、Cuを0.1at%以上8.0at%以下含有し、更にPdを0.1at%以上8.0at%以下含有する合金である。また、より好ましくは、Znの含有量が0.1at%以上5.0at%以下、Cuの含有量が0.1at%以上5.0at%以下、Pdの含有量が0.1at%以上5.0at%以下である。
Ag−In−Pd−Cu系銀合金は、優れた耐食性、高反射率、電気的に低抵抗及び優れた耐熱性のうちの少なくとも1つの特性を有する銀合金であって、Ag主成分とし、Inを0.1at%以上8.0at%以下含有し、Cuを0.1at%以上8.0at%以下含有し、更にPdを0.1at%以上8.0at%以下含有する合金である。また、より好ましくは、Inの含有量が0.1at%以上5.0at%以下、Cuの含有量が0.1at%以上5.0at%以下、Pdの含有量が0.1at%以上5.0at%以下である。
またAg−Zn−Pd−Cu系銀合金は、優れた耐熱性を有する銀合金であって、Agを主成分とし、Znを3.0at%以上8.0at%以下含有し、Cuを0.3at%以上1.7at%以下含有し、更にPdを0.2at%以上3.0at%以下含有する合金である。また、特に好ましい耐熱性を有する銀合金中のCuの含有量は0.3at%以上0.5at%以下である。
またAg−Zn−Pd−Cu系銀合金は、優れた耐食性を有する銀合金であって、Agを主成分とし、Znを0.1at%以上8.0at%以下含有し、Cuを0.1at%以上含有し、更にPdを0.2at%以上含有する合金である。
またAg−Zn−Pd−Cu系銀合金は、優れた耐熱性及び耐食性を有する銀合金であって、Agを主成分とし、Znを3.0at%以上8.0at%以下含有し、Cuを0.3at%以上1.7at%以下含有し、更にPdを0.2at%以上含有する合金である。また、特に好ましい耐熱性を有する銀合金中のCuの含有量は0.3at%以上0.5at%以下である。
上記の組成の銀合金ターゲットを作製して薄膜を形成しても良い。スパッタリングターゲットの場合、前述した銀合金からなるインゴットを鋳造法により製造する。また、スパッタリングターゲットの他の製造方法について説明する。スパッタリングターゲット材の製造方法としては、大気雰囲気中の溶解法、あるいは真空中での溶融法が挙げられる。前述した銀合金を溶融法で製造する場合には、先ず、基となる母合金を作製し、これにAgを追加で混入して、Agが規定量になるように合金に含有される金属の含有量を整えるものとする。
大気中で行なう場合について説明する。先ず、アルゴン(以下、Ar)雰囲気(400〜600Torr)中で、前述した銀合金をアーク溶解にて溶融混合することにより、母合金を作製する。
次に、高周波溶融炉において、Agの溶解を行なう。このときのAgの量は、全体溶解量から母合金中のAgの量を差し引いた量とする。この際の溶融温度は、例えば1000〜1500℃として、例えば、0.1〜0.2リットルの並型黒鉛坩堝を用いる。
完全に溶融した後、酸化防止材を投入し、溶融中の酸素との固溶を抑制、防止する。酸化防止材としては、ホウ砂、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸リチウム、カーボン等を用いることができる。
完全に溶融した状態で、約1時間放置し、前記の母合金を添加してさらに0.5〜1時間溶融させる。この際の溶融温度は、例えば1050〜2000℃とする。
次に、例えばアルミナ、あるいはタルクを内面に塗布してあるFeの鋳型に溶融物を注湯する。Feの鋳型は、引け巣を防止するため、予め電気炉等で300〜500℃程度に熱しておく。
鋳型内の溶融物を冷却、凝固し、インゴットを鋳型から取り出して、常温まで冷却する。次に、インゴットの最上部の押湯部を切断除去し、インゴットを圧延機により圧延し、90mm×90mm×8.1mmの板状の合金を作製する。
その後、例えば400〜500℃の温度で電気炉内にArガスを封入した状態で、1〜1.5時間程度、熱処理し、その後さらにプレス機によりそり修正を行なう。
その後、製品形状にワイヤーカットし、耐水研磨紙を用いて製品全面を研磨し、表面粗度を調整し、最終的にAg合金のスパッタリングターゲット材を作製することができる。
以上、大気中での溶解法について説明したが、その他の溶解法を用いることも可能であり、以下、Ar雰囲気中で行なう溶解の場合について説明する。
先ず、Ar雰囲気(400〜600Torr)中で、前述した銀合金をアーク溶解にて溶融混合し、母合金を作製する。
次に、高周波溶融炉において、前記の母合金とAgの溶解を行なう。このときのAgの量は、全体溶解量から母合金中のAgの量を差し引いた量とする。
母合金とAgを入れた坩堝を高周波溶融炉に入れ、真空引きを行なう。酸素を巻き込まない程度に真空に引いた後、溶融炉をAr雰囲気(100〜600Torr)にしてから溶融を開始する。
この際の溶融温度は、例えば、1050〜1400℃とし、坩堝は、例えば、0.1〜0.2リットルの並型黒鉛坩堝を用いる。
次に、例えばアルミナ、あるいはタルクを内面に塗布してあるFeの鋳型に溶融物を注湯する。
Feの鋳型は、引け巣を防止するため、予め電気炉等で300〜500℃程度に熱しておく。
鋳型内の溶融物を、冷却、凝固し、インゴットを鋳型から取り出して、常温まで冷却する。
次に、インゴットの最上部の押湯部を切断除去し、インゴットを圧延機により圧延し、90mm×90mm×8.1mmの板状の合金を作製する。
その後、例えば電気炉で400〜500℃によりArガスを封入した状態で、1〜1.5時間程度、熱処理し、その後さらにプレス機によりそり修正を行なう。
その後、製品形状にワイヤーカットし、耐水研磨紙を用いて製品全面を研磨し、表面粗度を調整し、最終的に本発明の銀合金のスパッタリングターゲット材を作製することができる。
前述のように、本発明の銀合金のスパッタリングターゲット材を作製する場合において、Agに対してZn及びその他の元素Xを添加して溶融する場合においても、従来行われている容易な方法を適用することができ、価格的にも製法的にもメリットが大きい。
Zn、Ni、Sn及びInを含有させるのは、塩化、硫化防止及び脱酸素効果(酸化防止)、マイグレーション防止(イオン化防止)のためであり、Pdを含有させたのはAgに対して共晶合金を作る為に耐食性がさらに上がると考察される為である。また、前記少なくとも1種類の各元素で、例えばCuを含有させるのは、電気抵抗を下げること、Ag合金の加工性を上げること、マイグレーション防止等を目的としている。
また、前記銀合金では、後述する反射率の測定において表13、表14に示すように実用上高い反射率が得られることが確認されている。また、後述する抵抗値の測定において表12に示すように電気的に低抵抗化が実現できることが確認されている。
【表12】
本願の下部銀系合金薄膜及び上部銀系合金薄膜は、前記スパッタリングターゲットを用いたスパッタ装置において例えばRF(交流)マグネトロンスパッタリング法により形成される。従って、この薄膜のいずれかからなる反射型LCD用反射板は、微視的にみても均一な特性を安定に提供することができる。
前述した銀合金からなる薄膜によって反射型LCD用反射板を形成している。このため、この反射型LCD用反射板の製造時又は使用時において、大気中の硫黄、酸素、水分等と反応することを抑制できる。従って、反射光の色度が変化し、黄色に変色してしまうという黄色化を抑制することができる。また、反射光を高反射率化(即ち反射光の反射率を向上)することができ、安定的に高い反射率を確保することができる。
次に、本発明に係る第4の実施の形態による反射配線電極及びその製造方法について説明する。反射配線電極は前記薄膜のいずれかからなるものである。
前記薄膜は、前記スパッタリングターゲットを用いたスパッタ装置においてRF(交流)マグネトロンスパッタリング法により成膜され、その後、エッチングにより所定形状に加工される。この薄膜からなる反射配線電極は、微視的にみても均一な特性を安定に提供することができる。また、前記薄膜は、例えば、燐酸を含有するエッチング液でエッチング加工することが可能である。燐酸系のエッチング液としては、例えばH3PO4+HNO3+CH3COOHを用いることが可能である。
また、前記反射型LCD用反射板及び反射配線電極それぞれは石英ガラス基板などの下地に対して十分な密着性を有するものである。
尚、前記実施の形態では、薄膜をスパッタリング法により成膜しているが、薄膜を蒸着法、CVD法、メッキ法などの他の成膜法により成膜することも可能である。
Agに所定量のPd、Cu、Znを添加したAg−Pd−Cu−Zn合金、又は、Agに所定量のPd、Cu、Inを添加したAg−Pd−Cu−In合金により、光学記録媒体用の薄膜、すなわち、反射膜を形成して光学記録媒体を作製した場合の400nmの波長レーザー光に対する反射率、550nmの波長レーザー光に対する反射率を測定した。この場合の測定結果を表14に示す。比較例としてAgを主成分とし、Pdを0.5at%とCuを1.0at%含有したAg−0.5at%Pd‐1.0at%合金の薄膜についての反射率を測定した。
【表13】
表13に示した測定結果より、AgにPd、Cu、Zn又はInを含有しているAg合金のスパッタリングターゲット材を用いて、光学記録媒体の薄膜を形成した場合においては、実用上望ましい高い反射率が得られることがわかる。
次に、表13に示した薄膜を250℃の温度で1時間熱処理を施した後の400nmの波長レーザー光に対する反射率、550nmの波長レーザー光に対する反射率を測定した。この場合の測定結果を表14に示す。
【表14】
表14に示した測定結果より、実用上望ましい高い反射率が得られることがわかる。
また、Agは、硫黄と結合しやすいので大気中に長時間放置されると、Ag2Sとなり黒色化する。この結果、Ag薄膜の光学特性が劣化する。また、Agは、塩素とも激しく反応してAgClとなり白濁化する。この結果、Ag薄膜の光学特性が劣化する。しかし、Agは、酸素、水素、あるいは水に対しては比較的安定な物質である。一方、Zn、In、Sn及びNiは、脱酸素効果(酸化防止)、硫化、塩化防止等の作用があり、硫黄や塩素に対して化学的に安定な物質である。
前記Ag合金のスパッタリングターゲットによれば、塩素、水素、酸素、硫黄という、大気中、あるいは特殊環境中で検討される非金属元素による汚染や光学記録媒体に採用される際に要求される環境や雰囲気下での高い耐候性の向上の実現が可能になる。
耐食性試験(5%NaCl浸水試験)及びその結果について説明する。 5%NaCl浸水試験のサンプルは、ポリカーボネート基板上に表中に示す組成(at%表示)のAg合金を成膜したものを使用した。 5%NaCl浸水試験は、常温で、5%濃度の塩水にこのサンプルを浸漬した後、3分経過後、3時間経過後、24時間経過後に目視により確認したものである。
表16に示すように、Ag−Zn−Cu−Pd合金中のPdの含有量が0.1at%の場合、24時間経過後に若干の白色が観察されたが、Pdの含有量が0.2at%以上の場合は24時間経過後も変化が無かった。したがって、耐食性を得るためにはPdの含有量を0.2at%以上とすれば良いことが確認された。
表17に示すように、Ag−Zn−Cu−Pd合金中のCuの含有量を0at%〜5.0at%まで変えたサンプルで耐食性試験を行った場合、いずれのサンプルも24時間経過後の変化が観察されなかった。したがって、この合金ではCuの組成が耐食性に影響しないことが確認された。
表15に示すように、Ag−Zn−Cu−Pd合金中のZnの含有量を0.8at%〜8.0at%まで変えたサンプルで耐食性試験を行った場合、いずれのサンプルも24時間経過後の変化が観察されなかった。したがって、この合金ではCuの組成が耐食性に影響しないことが確認された。
【表15】
【表16】
【表17】
基板がエラストマー材料の時、その材料としては、シリコーンゴム、天然ゴム、クロロプレンゴム又はEPDM(エチレン・プロピレンとジエンとのゴム状三元共重合体)等が挙げられる。
また、基板がプラストマー材料の時、その材料としては、例としてプラスチックフィルムやエンジニアリングプラスチック等が挙げられ、主な種類として、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアセタール、或いはポリブチレンテレフタレート、変性ポリフェニレンエーテル等が挙げられる。
密着助長下地膜の材料としては、酸素や各種の材質からなる基板に対して材料的に安定であり、前記基板と少なくとも前記銀合金からなる電磁波遮蔽膜との密着性を考慮すると、Si、Ta、Ti、Mo、Cr、Al、ITO、IrO2、ZnO、SiO2、TiO2、Ta2O5、ZrO2等からなる群から選ばれた1又は複数の材料、若しくは、該1又は複数の材料を少なくとも主成分として含む材料を用いて形成したものであることが好ましい。
また、前述した銀合金は、シリコーンゴム、天然ゴム、クロロプレンゴム又はEPDM等の各種のエラストマー材料に対して化学的安定性が高く、エラストマー材料からなる基板材質に対して制限されないことも確認されている。
また、前述した銀合金は、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアセタール、或いはポリブチレンテレフタレート、変性ポリフェニレンエーテル等の各種のプラストマー材料に対して化学的安定性が高く、プラストマー材料からなる基板材質に対して制限されないことも確認されている。
また、各種のエラストマー材料からなる基板の密着助長下地膜としては、Si、Ta、Ti、Mo、Cr、Al、ITO、ZnO、SiO2、TiO2、Ta2O5、ZrO2が望ましい。
その理由としては、シリコーンゴム、天然ゴム、クロロプレンゴム又はEPDMからなる基板は特定の純度や材質の場合にはガスの発生が大変多いこと、金属はその発生ガスと反応が強いこと、銀合金の薄膜と密着させる接合、界面に反応不動態被膜(例えば酸化膜等)を生じる可能性が高いこと等から適切であるとは言い難いからである。
550nmの波長の光に対する反射率を前記試験試料片の薄膜(成膜直後のもの)で測定した。次に、この試験試料片を大気中でオーブンに入れ約1時間放置して550nmの波長の光に対する反射率を測定した。この時のオーブンの加熱方法としては、抵抗加熱式を採用し、加熱温度を250℃、加熱速度を20℃/minに設定した。そして、成膜直後の薄膜の反射率に対して1時間加熱した後の反射率の変化率を計算した。これらの試験結果を表18及び表19に示す。前記銀合金では、後述する耐熱性試験において表18、表19に示すようにアニール後の反射率の減少が少ないという耐熱性に優れているといった結果が得られており、更に耐食性試験において表12に示すようにNaClに対して良好な結果が得られているので、耐熱性及び耐食性に優れた銀合金であることが確認されている。
【表18】
【表19】
【0056】
【発明の効果】
本発明により、低電気抵抗、耐食性、耐熱性、加工性、密着性及び高反射率を全て所定レベル以上に兼ね備えた銀系合金の積層構造を提供することができた。すなわち本発明は、耐熱性に特化した材料と、耐候性に特化した材料の2つを組み合わせることで、下部の層には耐熱性の高いAg合金を設け、高い耐熱性を得ることを目的とする。さらにその上部に耐候性の高いAg合金を設け、下部のAg合金が変質する事を防ぐことができた。また、本発明により、反射板、電極、配線、反射電極、反射配線など様々な用途への使用を可能とした。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例の銀合金の積層構造の一形態を示す図である。
【図2】本実施例の銀合金の積層構造の第2の形態を示す図である。
【図3】本実施例の銀合金の積層構造の第3の形態を示す図である。
【図4】実施例の(1)初期の表面AFM写真の画像である。
【図5】実施例の(3)耐候性評価後のAFM写真の画像である。
【図6】比較例のAPC単層に(2)を行ったもののAFMの画像である。
【図7】比較例のAZPC単層に(2)を行ったもののAFMの画像である。
【図8】Ag−0.5at%Pd−1.0at%CuにZnを1.8〜7.3at%まで添加し、250℃で1時間のアニール試験を行った後の試料表面を顕微鏡観察した結果を示す写真の画像である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶ディスプレイ等のディスプレイの反射膜や反射電極膜或いは電極膜、配線に適した低電気抵抗、耐候性(耐湿性を含む)、耐熱性、加工性(良エッチング性)、密着性及び高反射率を兼ね備えた銀系合金の積層構造に関し、さらにそれを用いた電極、配線、反射膜及び反射電極に及ぶ。
【0002】
【従来の技術】
液晶ディスプレイ等のディスプレイの反射膜や反射電極膜或いは電極膜、配線に適した銀系合金についてAg−Pd−Cu系銀合金の開示がある(例えば特許文献1〜3を参照。)。
【特許文献1】特開2002−277855号公報、請求項4
【特許文献2】特開2002−226765号公報、請求項2
【特許文献3】特開2001−221908号公報、請求項3
【特許文献4】特開2001−210989号公報、請求項1
【0003】
しかし、液晶ディスプレイ等のディスプレイの反射膜や反射電極膜等の用途に使用するためには、低電気抵抗、耐候性、耐熱性、加工性、密着性及び高反射率を全て所定レベル以上に兼ね備える必要があった。この点、特許文献1〜4に記載された銀系合金は、耐熱性に問題があり、カラーフィルター等の加熱工程による表面ラフネスの増加とヒロック発生による反射率の低下が生じた。
【0004】
耐ヒロック性、耐湿性、耐候性、成膜時状態(As−Depo)での反射率、成膜後長時間放置時の反射率の維持、低電気抵抗等全ての要求特性に優れた銀系合金は、存在しなかった。その理由は、例えば耐湿性と耐熱性ではトレードオフの関係となり、双方の特性を高いレベルで両立することが困難だった為である。
【0005】
また、透明酸化膜を銀または殆どの銀合金の上部に保護膜、ヒロック抑制、もしくは光学補正膜としての目的で積層した場合、可視光波長域全域もしくは一部の波長域における反射率低下がみられた。
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、低電気抵抗、耐候性、耐熱性、加工性、密着性及び高反射率を全て所定レベル以上に兼ね備えた銀系合金がないことに鑑み、これらの特性を一定レベルで付与させるために銀系合金の積層構造を提供することを目的とする。すなわち本発明は、耐熱性に特化した材料と、耐候性に特化した材料の2つを組み合わせることで、双方の長所を生かし短所を補う事を目的とする。下部の層には耐熱性の高いAg合金を設け、高い耐熱性を得ることを目的とする。さらにその上部に耐候性の高いAg合金を設け、下部のAg合金が変質する事を防ぐことを目的とする。
【0007】
本発明の目的は、下部の層と上部の層の両方の長所を生かし短所を補うAg合金積層体を提供しようというものであるから、下部と上部に組み合わせる材料は、耐熱性に特化した物と耐候性に特化した物以外の組み合わせとすることが可能である。例えば、下部にエッチング性に特化した材料、上部に反射率に特化した材料を組み合わせることで、良好なエッチング性と高反射率を兼ね備えた積層体を提供することを目的とする。他にも、下部に低抵抗に特化した材料、上部に耐候性に特化した材料を組み合わせることで、低抵抗と高耐候性を兼ね備えた積層体を提供することを目的とする。これらの応用により反射板、電極、配線、反射電極、反射配線など様々な用途への使用を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る銀系合金の積層構造は、基板上に、銀を主成分とし第2成分以下に標準電極電位が負である元素を少なくとも1種含有する下部銀系合金薄膜を形成し、該下部銀系合金薄膜の上に銀を主成分とし第2成分以下に標準電極電位が正である金属のみを含有する上部銀系合金薄膜を前記下部銀系合金薄膜よりも薄く形成したことを特徴とする。
【0009】
本発明に係る銀系合金の積層構造は、基板上に金属若しくは合金からなる薄膜を積層した積層構造であって、前記薄膜のうち少なくとも1つは銀を主成分とし第2成分以下に標準電極電位が負である元素を少なくとも1種含有する下部銀系合金薄膜で形成し、該下部銀系合金薄膜の上に銀を主成分とし第2成分以下に標準電極電位が正である金属のみを含有する上部銀系合金薄膜を形成するか或いは前記下部銀系合金薄膜の上に金属若しくは合金からなる薄膜を中間層として少なくとも1層設けて該中間層の上に銀を主成分とし第2成分以下に標準電極電位が正である金属のみを含有する上部銀系合金薄膜を形成し、且つ前記上部銀系合金薄膜を前記下部銀系合金薄膜よりも薄く形成したことを特徴とする。
【0010】
本発明に係る銀系合金の積層構造では、前記上部銀系合金薄膜にSiO2、Al2O3の少なくともいずれか一方を添加することが好ましい。
【0011】
本発明に係る銀系合金の積層構造では、前記上部銀系合金薄膜は、10nm以上の膜厚を有することが好ましい。
【0012】
本発明に係る銀系合金の積層構造では、前記中間層は前記下部銀系合金薄膜と前記上部銀系合金薄膜との親和性を強化するための密着層であることが好ましい。
【0013】
本発明に係る銀系合金の積層構造では、前記基板上に該基板と前記積層構造との密着を強化するための下地層を形成することが好ましい。
【0014】
本発明に係る銀系合金の積層構造では、前記積層構造の最表層に特殊雰囲気からの保護を強化するための保護層を形成することが好ましい。
【0015】
本発明に係る銀系合金の積層構造では、前記基板は、ガラス基板、樹脂基板又はガラス/樹脂積層基板であることが好ましい。
【0016】
本発明に係る銀系合金の積層構造では、前記下部銀系合金薄膜は、銀を50原子%以上含有する銀−亜鉛−パラジウム−銅系合金であることが好ましい。
【0017】
本発明に係る銀系合金の積層構造では、前記上部銀系合金薄膜は、銀を50原子%以上含有する銀−パラジウム系合金、または銀−パラジウム−銅系合金であることが好ましい。
【0018】
本発明に係る銀系合金電極は、前記銀系合金の積層構造を有することを特徴とする。
【0019】
本発明に係る銀系合金配線は、前記銀系合金の積層構造をパターン形成したことを特徴とする。
【0020】
本発明に係る銀系合金反射膜は、前記銀系合金の積層構造を有することを特徴とする。
【0021】
本発明に係る銀系合金反射電極は、前記銀系合金の積層構造を有することを特徴とする。
【0022】
本発明に係る自発光型ディスプレイは、前記銀系合金の積層構造を備えることを特徴とする。
【0023】
本発明に係るフラットパネルディスプレイは、前記銀系合金の積層構造を備えることを特徴とする。
【0024】
本発明に係る半導体素子は、前記銀系合金の積層構造を備えることを特徴とする。
【0025】
【発明の実施形態】
以下実施例を示して本発明を詳細に説明するが本発明はこれらの記載に限定して解釈されない。
【0026】
本実施例の銀合金の積層構造の一形態を図1に示す。図1に示すように、銀系合金の積層構造は、基板上に、銀を主成分とし第2成分以下に標準電極電位が負である元素を少なくとも1種含有する下部銀系合金薄膜を形成し、該下部銀系合金薄膜の上に銀を主成分とし第2成分以下に標準電極電位が正である金属のみを含有する上部銀系合金薄膜を前記下部銀系合金薄膜よりも薄く形成する。本発明で銀を主成分とする銀合金というときは銀が50原子%以上含有する銀合金を意味する。
【0027】
基板として無アルカリガラス、ソーダ石灰ガラス等からなるガラス基板、Al2O3、サファイア基板、また、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアセタール、或いはポリブチレンテレフタレート、変性ポリフェニレンエーテル等の各種のプラストマー材料、各種のエラストマー材料、シリコーンゴム、天然ゴム、クロロプレンゴム又はEPDM等の樹脂基板が例示できる。また、ガラス基板の上に樹脂をコーティングした基板を用いても良い。
【0028】
下部銀系合金薄膜は、銀を主成分とし第2成分以下に標準電極電位が負である元素を少なくとも1種含有する銀系合金である。標準電極電位が負である元素のリストを表1に示した。例えばLi、Be、Na、Mg、Al、Si、K、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、C、Ni、Zn、Ga、Ge、Rb、Sr、Y、Zr、Nb、Mo、In、Sn、Cs、Ba、Hf、Ta、W、Tl、Bi、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Ac、Th、Pa、Cが例示できる。さらに、下部銀系合金薄膜は、表1に示した金属のほか、表2に示した白金族、金、銅を第2成分以下に含有しても良い。さらに、下部銀系合金薄膜は、表3に示した酸化物を含有しても良い。
【表1】
【表2】
【表3】
【0029】
下部銀系合金薄膜の組成としては、AgZnPdCu、AgNdCu、AgNd、AgZnCu,AgSnCu,AgInCu,Ag−Mg系、Ag−Li系、AgZn、AgZnCu、,AgZnPdCu、AgNd、AgNdCu、AgNdPd、AgNdMg、AgNdTi、AgNdTe、AgNdAu、AgNdCuAu、AgNdCuPd、AgSn、AgSnCu、AgIn、AgInCu、AgTi、AgTiCu、AgAl、AgAlCu、AgGe、AgGeCu、AgMg、AgMgCu、AgMgPd、AgMgPdCu、AgNi、AgNiCu、AgTa、AgTaCu、AgY,AgYCu、AgGa、AgGaCu、AgC、AgNb、AgNbCu、AgPdAl、AgPdCuAl、AgZnPdAlCu、AgLi、AgLiCu、AgLiPd、AgLiPdCu、AgLiMg、AgLiMgCu、AgITO、AgSnO2、AgInO2、AgZnOを例示できる。下部銀系合金薄膜の組成は、表4に例示した。
【表4】
【0030】
上部銀系合金薄膜は、銀を主成分とし第2成分以下に標準電極電位が正である金属のみを含有する銀系合金である。標準電極電位が正である金属は、Cu、Ru、Rh、Pd、Re、Os、Ir、Pt、Auである。上部銀系合金薄膜の組成としては、AgPdCuをはじめとして表5〜表7に示したものが例示できる。表5〜表7の中で「○」はその金属を含有するとの意味である。
【表5】
【表6】
【表7】
【0031】
上部銀系合金薄膜を下部銀系合金薄膜よりも薄く形成する。この理由は、上部銀系合金薄膜は一種の保護膜として機能させ、耐熱性は主として下部銀系薄膜で確保するためである。上部銀系合金薄膜は10nm(100Å)以上であることが好ましい。10nm未満であると、保護膜としての機能が低下し、下部銀系薄膜の耐湿性を確保できなくなるからである。
【0032】
反射膜の反射率低下は、主に以下の2つの理由から引き起こされる。
▲1▼加熱プロセスによる反射膜の結晶成長とヒロック発生による乱反射。これは結晶成長のし易さ、つまり耐熱性に起因する。
▲2▼放置時に大気中の物質と反射膜が化学反応、酸化、水酸化などを起こすことによる表面の変質。これは、耐候性に起因する。
【0033】
以後、本発明であるAg合金について記述する。
▲1▼の材料的な改善方法として、Agの結晶成長を抑制する効果の高い元素を添加する。Agの結晶成長を抑制する元素としては、標準電極電位が正な元素よりも、負である元素の方が効果が高い。▲2▼の材料的な改善方法として、標準電極電位が正である様な化学的に安定である元素を添加する。上記から▲1▼の改善方法と▲2▼の改善方法が矛盾する。つまり、材料設計の際にトレードオフとなり、1つの材料としての改善は、耐熱性と耐候性がバランスする性能を超えた高いレベルでの両立が困難であることを意味する。本技術は、耐熱性と耐候性を一材料として高いレベルで改善しようとする物ではなく、耐熱性に特化した材料と、耐候性に特化した材料の2つを組み合わせることで、双方の長所を生かし短所を補う技術である。
【0034】
下部の層には耐熱性の高いAg合金を設け、高い耐熱性を得ることを目的とする。さらにその上部に耐候性の高いAg合金を設け、下部のAg合金が変質する事を防ぐことを目的とする少なくとも2層以上である積層構造である。この技術は、下部の層と上部の層の双方の両方の長所を生かし短所を補うAg合金積層体を提供しようというものであるから、下部と上部に組み合わせる材料は、耐熱性に特化した物と耐候性に特化した物以外の組み合わせとすることが可能である。例えば、下部にエッチング性に特化した材料、上部に反射率に特化した材料を組み合わせることで、良好なエッチング性と高反射率を兼ね備えた積層体として用いることができる。他にも、下部に低抵抗に特化した材料、上部に耐候性に特化した材料を組み合わせることで、低抵抗と高耐候性を兼ね備えた積層体として用いることができる。これらの応用により反射板、電極、配線、反射電極、反射配線、半導体素子など様々な用途への使用が可能である。
【0035】
図2に別形態の銀系合金の積層構造を示した。図2に示した銀系合金の積層構造は、基板上に金属若しくは合金からなる薄膜を積層した積層構造である。前記薄膜のうち少なくとも1つは銀を主成分とし第2成分以下に標準電極電位が負である元素を少なくとも1種含有する下部銀系合金薄膜で形成し、該下部銀系合金薄膜の上に銀を主成分とし第2成分以下に標準電極電位が正である金属のみを含有する上部銀系合金薄膜を形成する。或いは前記下部銀系合金薄膜の上に金属若しくは合金からなる薄膜を中間層として少なくとも1層設けて該中間層の上に銀を主成分とし第2成分以下に標準電極電位が正である金属のみを含有する上部銀系合金薄膜を形成する。さらに前記上部銀系合金薄膜を前記下部銀系合金薄膜よりも薄く形成したことを特徴とする。
【0036】
基板、下部銀系合金薄膜、上部銀系薄膜は前述したとおりである。中間層は、下部銀系合金薄膜と上部銀系薄膜の密着性、親和性を向上させるために設けても良い。また下部銀系合金薄膜、上部銀系薄膜とは別に機能を有する銀系合金薄膜としても良い。中間層の組成としては例えば、Ag−Pd、Ag−Cu、Ag等が例示できる。
【0037】
また、上部銀系合金薄膜に反射率及び耐食性の低下を生じさせない程度にSiO2、Al2O3の少なくともいずれか一方を添加することも出来る。また、上部銀系合金薄膜は、10nm以上の膜厚を有する。
【0038】
なお、積層構造の最表層に特殊雰囲気からの保護を強化するための保護層を形成しても良い。
【0039】
下部銀系合金薄膜は、耐候性は劣るものの耐熱性に優れた銀を50原子%以上含有する銀−亜鉛−パラジウム−銅系合金とし、上部銀系合金薄膜は、耐熱性に劣るものの耐候性に優れた銀を50原子%以上含有する銀−パラジウム系合金、または銀−パラジウム−銅系合金とすることが好ましい。反射率は共に高い。
【0040】
図2の積層構造の変形として図3に示した積層構造としても良い。すなわち、基板と積層構造との密着性向上を目的として下地層を設けても良い。下地層としては、Si、Ta、Ti、Mo、Cr、Al、ITO、IrO2、ZnO、SiO2、TiO2、Ta2O5、ZrO2等が例示できる。中間層は図3のように複層設けても良い。
【0041】
以下に、材料的な改善方法として、Agの結晶成長を抑制する効果の高い元素を添加する。Agの結晶成長を抑制する元素としては、標準電極電位が正な元素よりも、負である元素の方が効果が高い。積層構造によるこの改善結果として実施例を示す。
【0042】
【実施例】
ガラス基板上に反射膜を作製した。つまり、ガラス基板表面を常法により前処理を行なった後、第1の被覆層としてAg−Pd−Cu−Zn(AZPC)が96.26−0.26−0.58−2.9at%である組成の下部銀系合金薄膜を、Ag−Pd−Cu−Zn合金ターゲットを使用してスパッタリング法によって形成した。次に下部銀系合金薄膜の表面に第2の被覆層としてAg−Pd−Cu(APC)が98.07−0.87−1.06at%である組成の上部銀系合金薄膜を、Ag−Pd−Cu合金ターゲットを使用してスパッタリング法によって形成した。この時の被覆の膜厚は第1の被覆層を200nm、第2の被覆層を10nmとして合計210nmとしたものを作製した(実施例1−1)。また、第1の被覆層を200nm、第2の被覆層を30nmとして合計230nmとしたものを作製した(実施例1−2)。なお比較例として第1の被覆層AZPCのみ単層の場合、並びに第2の被覆層APCのみ単層の場合についても同様の試験を行って比較した。これら比較用のAZPC単層、APC単層のそれぞれの膜厚は耐熱試験用には200nm、また耐候性又は耐候性試験後に耐熱性試験を行ったものは10nm及び30nmとした。
【0043】
このときのスパッタリングの条件は以下のとおりである。成膜圧力0.3Pa、成膜温度は常温でRfマグネトロンスパッタリングにて成膜を行った。
【0044】
この様にして作成した反射膜について以下の評価試験を行った。試験条件は以下のとおりであった。(1)成膜直後、(2)湿度50%のクリーンルーム大気中72時間放置による耐候性試験、(3)250℃、1時間保持による耐熱性試験、(4) (2)を行った後(3)を行った耐候性試験後の耐熱性試験。(1)と(3)の評価方法として、原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscopy(AFM))による表面状態の観察を行った。また、(1)、(2)、(4)の評価方法として、波長700nm、550nm、及び400nmにおける反射率の測定を行った。
【0045】
(1)のAFM像を図4に示した。(3)のAFM像を図5に示した。比較例としてAPC単層に(2)を行ったもののAFM像を図6に、AZPC単層に(2)を行ったもののAFM像を図7に示した。 この結果から、APC単層では耐熱性が十分でなく、本実施例のAZPCの上部にAPCを薄く成膜したものは、AZPC単層と同様の耐熱性を維持していることがわかった。
【0046】
次に(1)の反射率測定結果を表8に示した。(2)の反射率測定結果を表9に示した。(4)の反射率測定結果を表10に示した。また、(2)と(1)の反射率の差Δ値である変化量を表11に示した。
【表8】
【表9】
【表10】
【表11】
【0047】
表8〜表10より、AZPC単層に比べ、本実施例のAPCを薄く積層したものはAPC単層と同等かそれ以上の耐候性を維持していることがわかった。また、耐候試験後の耐熱性はAPC単層、AZPC単層に比べ、本実施例のAZPCの上部にAPCを薄く成膜したものが優れていることがわかった。
【0048】
これら、図4〜図7と表8〜表11により、耐熱性、耐候性共に、APC単層、AZPC単層に比べ、本実施例のAZPCの上部にAPCを薄く成膜したものが優れていることがわかった。
【0049】
これは、耐熱性の高い下部銀系合金薄膜の上部に耐候性の高い上部銀系合金薄膜を積層させることにより、下部銀系合金に含有されている標準電極電位が負の金属が化学反応、酸化、水酸化等の変質を引き起こす物質から保護する事で、反射率の低下を抑制したからである。
【0050】
また、本積層構造の厚さの大半を耐熱性の高い下部銀系合金とする事で積層構造全体の結晶成長を最低限に抑制し、その上部に耐候性の高い上部銀系合金を薄く保護層として設ける事で、下部銀系合金が変質する様な物質から隔離する事で表面の変質による反射率低下を抑制したからである。
【0051】
(比較例4)
さらに、下部銀系合金薄膜の膜厚を30nm、上部銀系合金薄膜の膜厚を
200nmとした以外は実施例1−2と同様にして銀系合金薄膜の積層構造を作製して比較例3とした。比較例4は成膜後の初期特性については実施例と同等の性能を有しており問題なかったが、比較例4は耐熱性が実施例1−2と比較して劣っていた。
【0052】
(比較例5)
ガラス基板上に反射膜を作製した。つまり、ガラス基板表面を常法により前処理を行なった後、第1の被覆層としてAg−Pd−Cuが98.07−0.87−1.06at%である組成の下部銀系合金薄膜を、Ag−Pd−Cu合金ターゲットを使用してスパッタリング法によって形成した。次に下部銀系合金薄膜の表面に第2の被覆層としてAg−Pd−Cu−Znが96.29−0.26−0.58−2.9at%である組成の上部銀系合金薄膜を、Ag−Pd−Cu−Zn合金ターゲットを使用してスパッタリング法によって形成した。このときの被覆の厚さは下部銀系合金薄膜が200nm、上部銀系合金薄膜が30nmであった。銀系合金の積層構造として厚みは230nmであった。成膜は、成膜圧力0.5Pa、成膜温度25℃であり、マグネトロンスパッタリング装置を用いて行った。比較例5は成膜後の初期特性については実施例1と同等の性能を有しており問題なかったが、比較例5は耐候性、耐熱性共に実施例1と比較して劣っていた。
【0053】
なお、表4に示した銀合金の組成の下部銀系合金薄膜、すなわち銀を主成分とし第2成分以下に標準電極電位が負である元素を少なくとも1種含有する下部銀系合金薄膜を2種類準備してこれらを積層させた場合は耐候性が不十分であった。
【0054】
また、表5〜表7に示した上部銀系合金薄膜、すなわち銀を主成分とし第2成分以下に標準電極電位が正である金属のみを含有する上部銀系合金薄膜を2種類準備してこれらを積層させた場合は耐熱性が不十分であった。
【0055】
AZPCについて説明する。
下部銀系合金薄膜の組成として、次のものが例示できる。
優れた耐食性を有する銀合金であって、銀を主成分とし、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、鉄、ルテニウム、コバルト、ロジウム、イリジウム、ニッケル、パラジウム、白金、銅、金、亜鉛、アルミニウム、ガリウム、インジウム、ケイ素、ゲルマニウム及びスズからなる群から選ばれた少なくとも1種類の元素を含有することを特徴とする銀合金である。
高反射率の特性を有する銀合金であって、銀を主成分とし、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、鉄、ルテニウム、コバルト、ロジウム、イリジウム、ニッケル、パラジウム、白金、銅、金、亜鉛、アルミニウム、ガリウム、インジウム、ケイ素、ゲルマニウム及びスズからなる群から選ばれた少なくとも1種類の元素を含有することを特徴とする銀合金である。
電気的に低抵抗の特性を有する銀合金であって、銀を主成分とし、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、鉄、ルテニウム、コバルト、ロジウム、イリジウム、ニッケル、パラジウム、白金、銅、金、亜鉛、アルミニウム、ガリウム、インジウム、ケイ素、ゲルマニウム及びスズからなる群から選ばれた少なくとも1種類の元素を含有することを特徴とする銀合金である。
優れた耐熱性を有する銀合金であって、銀を主成分とし、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、鉄、ルテニウム、コバルト、ロジウム、イリジウム、ニッケル、パラジウム、白金、銅、金、亜鉛、アルミニウム、ガリウム、インジウム、ケイ素、ゲルマニウム及びスズからなる群から選ばれた少なくとも1種類の元素を含有することを特徴とする銀合金である。
上記の銀合金は、少なくとも1種類の各元素の含有量が0.1原子パーセント以上8.0原子パーセント以下であることを特徴とする銀合金である。
優れた耐食性を有する銀合金であって、銀を主成分とし、亜鉛、ニッケル、錫及びインジウムからなる群から選ばれた1種類の元素を含有し、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、鉄、ルテニウム、コバルト、ロジウム、イリジウム、パラジウム、白金、銅、金、アルミニウム、ガリウム、ケイ素、及びゲルマニウムからなる群から選ばれた少なくとも1種類の元素を含有することを特徴とする銀合金である。
高反射率の特性を有する銀合金であって、銀を主成分とし、亜鉛、ニッケル、錫及びインジウムからなる群から選ばれた1種類の元素を含有し、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、鉄、ルテニウム、コバルト、ロジウム、イリジウム、パラジウム、白金、銅、金、アルミニウム、ガリウム、ケイ素、及びゲルマニウムからなる群から選ばれた少なくとも1種類の元素を含有することを特徴とする銀合金である。
電気的に低抵抗の特性を有する銀合金であって、銀を主成分とし、亜鉛、ニッケル、錫及びインジウムからなる群から選ばれた1種類の元素を含有し、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、鉄、ルテニウム、コバルト、ロジウム、イリジウム、パラジウム、白金、銅、金、アルミニウム、ガリウム、ケイ素、及びゲルマニウムからなる群から選ばれた少なくとも1種類の元素を含有することを特徴とする銀合金である。
優れた耐熱性を有する銀合金であって、銀を主成分とし、亜鉛、ニッケル、錫及びインジウムからなる群から選ばれた1種類の元素を含有し、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、鉄、ルテニウム、コバルト、ロジウム、イリジウム、パラジウム、白金、銅、金、アルミニウム、ガリウム、ケイ素、及びゲルマニウムからなる群から選ばれた少なくとも1種類の元素を含有することを特徴とする銀合金である。
前記銀合金は、前記1種類の元素の含有量が0.1原子パーセント以上8.0原子パーセント以下であり、前記少なくとも1種類の各元素の含有量が0.1原子パーセント以上8.0原子パーセント以下であることを特徴とする銀合金である。
優れた耐熱性を有する銀合金であって、銀を主成分とし、亜鉛又はインジウムを0.1原子パーセント以上8.0原子パーセント以下含有し、銅を0.1原子パーセント以上8.0原子パーセント以下含有し、更にパラジウムを0.1原子パーセント以上8.0原子パーセント以下含有することを特徴とする銀合金である。
高反射率の特性を有する銀合金であって、銀を主成分とし、亜鉛又はインジウムを0.1原子パーセント以上8.0原子パーセント以下含有し、銅を0.1原子パーセント以上8.0原子パーセント以下含有し、更にパラジウムを0.1原子パーセント以上8.0原子パーセント以下含有することを特徴とする銀合金である。
電気的に低抵抗の特性を有する銀合金であって、銀を主成分とし、亜鉛又はインジウムを0.1原子パーセント以上8.0原子パーセント以下含有し、銅を0.1原子パーセント以上8.0原子パーセント以下含有し、更にパラジウムを0.1原子パーセント以上8.0原子パーセント以下含有することを特徴とする銀合金である。
優れた耐食性を有する銀合金であって、銀を主成分とし、亜鉛又はインジウムを0.1原子パーセント以上8.0原子パーセント以下含有し、銅を0.1原子パーセント以上8.0原子パーセント以下含有し、更にパラジウムを0.1原子パーセント以上8.0原子パーセント以下含有することを特徴とする銀合金である。
優れた耐熱性を有する銀合金であって、銀を主成分とし、亜鉛を3.0原子パーセント以上8.0原子パーセント以下含有し、銅を0.3原子パーセント以上1.7原子パーセント以下含有し、更にパラジウムを0.2原子パーセント以上3.0原子パーセント以下含有することを特徴とする銀合金である。
優れた耐食性を有する銀合金であって、銀を主成分とし、亜鉛を0.1原子パーセント以上8.0原子パーセント以下含有し、銅を0.1原子パーセント以上含有し、更にパラジウムを0.2原子パーセント以上含有することを特徴とする銀合金である。
優れた耐熱性及び耐食性を有する銀合金であって、銀を主成分とし、亜鉛を3.0原子パーセント以上8.0原子パーセント以下含有し、銅を0.3原子パーセント以上1.7原子パーセント以下含有し、更にパラジウムを0.2原子パーセント以上含有することを特徴とする銀合金である。
前記銀合金からなる下部銀系原型合金薄膜及び本願の銀系合金積層構造は、反射光の黄色化を抑制した反射型LCD用反射板又は反射配線電極となる。
前記銀合金からなる下部銀系原型合金薄膜及び本願の銀系合金積層構造は、光学記録媒体ともなり得る。
エラストマー材料からなる基板と、この基板上に形成された電磁波遮蔽膜と、を備えた電磁波遮蔽体であって、前記電磁波遮蔽膜が本願に係る銀系合金の積層構造である電磁波遮蔽体である。
プラストマー材料からなる基板と、この基板上に形成された電磁波遮蔽膜と、を備えた電磁波遮蔽体であって、前記電磁波遮蔽膜が本願に係る銀系合金の積層構造である電磁波遮蔽体である。
前記電磁波遮蔽膜が1の膜又は複数の膜からなっていても良い。
記下地層は、インジウム・錫酸化物、酸化イリジウム、酸化亜鉛、二酸化ケイ素、酸化チタン、五酸化タンタル、酸化ジルコニウム、ケイ素、タンタル、チタン、モリブデン、クロム、アルミニウムからなる群から選ばれた1又は複数の材料、若しくは、該1又は複数の材料を少なくとも主成分として含む材料を用いて形成した薄膜であることを特徴とする。
前記銀合金からなることを特徴とする電子部品用金属材料である。
配線パターン、電極及び接点それぞれは、溶液によるエッチングにより形成されものである。
前記配線パターン、電極及び接点それぞれは、ガス雰囲気中でのエッチングにより形成されたものである。
前記配線パターン、電極及び接点それぞれが、タングステン、タンタル、モリブデン、酸化インジウム、酸化錫、窒化チタン、二酸化ケイ素、窒化シリコン、酸化チタン、酸化ニオブの何れか1種類もしくは複数で混合されて形成された下地層の上に形成されたものである。
前記配線パターン、電極及び接点それぞれが、ガラス又はプラストマー材料の基板上に直接形成されたものである。
前記銀合金からなる金属膜を、タングステン、タンタル、モリブデン、インジウム・錫酸化物、窒化チタン、二酸化ケイ素、窒化ケイ素の何れかによる下地の上に形成することにより、配線パターン、電極及び接点のうちの少なくとも1つを形成することを特徴とする銀系合金の積層構造の加工方法である。
前記銀合金からなる金属膜をガラス又はプラストマー材料の基板上に直接形成することにより、配線パターン、電極及び接点のうちの少なくとも1つを形成することを特徴とする銀系合金の積層構造の加工方法である。
前記の銀合金により形成された反射膜、配線パターン及び電極のうちの少なくとも1つを有することを特徴とする電子光学部品である。
上記に例示した下部銀系合金及び本願の銀系合金の積層構造は下記の問題を解決する。
従来の金属材料では、優れた耐食性、高反射率、電気的に低抵抗、優れた耐熱性を有する材料に対する開発が必ずしも十分ではなかった。
また、従来の反射型液晶表示パネルでは、反射型LCD用反射板の製造時又は使用時において、大気中の硫黄、酸素、水分等と反応することがあり、それにより、反射特性が劣化し、反射光の色度が変化し、黄色に変色してしまうという黄色化の問題があった。
また、AlあるいはAl合金により形成した薄膜では、光学記録媒体の用途によってはいまだ充分な反射率が得られているとはいえない。また、耐候性や、薄膜を形成した場合の反射率、透過率について十分な特性を有する合金材料の開発は未だなされていない。
また、前記従来のエラストマー材料を用いた電磁波遮蔽体では、複雑な形状への折り曲げ追随性、耐腐食性、耐候性や耐摩耗性等にも問題があり、EMC素材として全く採用(適用)されない等の問題があった。
また、前記従来のプラストマー材料基板を用いた電磁波遮蔽体では、電磁波遮蔽性、赤外線遮蔽性、透明性、非視認性、耐腐食性、耐候性や耐摩耗性等が十分に満たされてなく、EMC素材として全く採用(適用)されない等の問題があった。
また、従来の電子機器、電子部品では、電気的な低抵抗率が十分でなく、加工性に優れた配線材料、電極材料、接点材料が開発されていなかった。
また、建材ガラス用赤外線及び熱線を反射する反射膜としては、AgやAl若しくはこれらのうちいずれかの元素を主成分とする合金材料から形成された反射膜が幅広く知られている。しかし、これらの反射膜は耐熱性に対して決して優れているとは言えない。
例えばAgやAlは熱に対しての耐熱性が高くなく、特定温度では表面部が拡散し易いために、例えば液晶表示素子用の反射板を製作する場合には、製作プロセス中での温度雰囲気が制限される。更に、建材ガラス用の赤外線及び熱線反射膜に至っては、大気中で夏季に高温に曝されると、反射膜自体が化学的に変異(変色)してしまう等、熱に対しての品質の安定性に問題があった。
また、反射率が高い材料としては、AgやAl以外にAuが知られているが、Auは価格的に大変高価であるため、建材窓ガラス用反射膜に用いるにはコスト的な面から実用性が乏しいと判断されている。
また、反射率が高く、コスト的な面からも大変安価で、実用性が高いとされるAlについては、PMMA、シリコーン樹脂等の樹脂基板等を用いた場合に、樹脂基板から析出されるガス成分に対して化学反応を起こす虞れがある。このことから、ガスの放出作用が低い材料からなる基板にのみ有効となって、基板材料が制限されてしまうばかりか、樹脂とのコンタクトを図る場合には材料の化学的な安定性が懸念されてしまう等の不安、課題が残る。
また、400〜4000nmの可視及び赤外域と称される光学波長領域中で、Agは数多くの金属元素中で最も光学反射率が高いために、高反射率を特徴とする膜としては優れた特性を保持しているものと検討されている。しかし、熱に対しての自己拡散エネルギーが活発であるために、熱が加えられた場合に経時変化が生じるという問題がある。そのため、一時的であっても100℃前後の熱が加えられた場合には表面部に拡散現象が起こり、Ag本来が保有する光沢を失って白濁化してしまう。換言すれば、反射率が高いというAg本来の特性が大幅に低減してしまう。
また、ガラスや樹脂製の基板上に反射膜を形成した際には、Agは大気中に放置されると、大気中の湿気(主として水分)を吸収して黄色化してしまうため、反射率が高いというAg本来の特性が損なわれてしまう等の問題が生じる。従って、高反射率であるという本来の特性を保持することができず、耐候性に対しても決して優れているとは言えない。
本発明は前記諸問題を考慮してなされたものであり、その目的は、優れた耐食性を有する銀合金を提供することにある。また、本発明の他の目的は、高い反射率を有する銀合金を提供することにある。また、本発明の他の目的は、電気的に低抵抗の特性を有する銀合金を提供することにある。また、本発明の他の目的は、優れた耐熱性を有する銀合金を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、反射光の黄色化を抑制したスパッタリングターゲット、反射型LCD用反射板、反射配線電極、薄膜及びその製造方法を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、Agと比較した場合に高反射率を維持し、耐候性を改善した光学記録媒体を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、半透明反射膜の耐候性が改善され、より高い信頼性が得られる光学記録媒体を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、柔軟性、形状自在性(複雑な形状への折り曲げ追随性)を備え、主にEMC対策材料として応用展開が広く、また、高温高湿の環境下においても高い電磁波遮蔽能力が継続的に保持されるといった耐候性の材料的な安定性が格段に改善され、しかも、エラストマー材料基板との接合性(密着性)がより一層効果的に強化され、より高い信頼性が得られる電磁波遮蔽体を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、電磁波遮蔽性と赤外線遮蔽性、透明性、非視認性、耐腐食性、耐候性や耐摩耗性等を備え、主にEMC対策材料として応用展開が広く、また、高温高湿の環境下においても高い電磁波遮蔽能力が継続的に保持されるといった耐候性の材料的な安定性が格段に改善され、しかも、プラストマー材料基板との接合性(密着性)がより一層効果的に強化され、より高い信頼性が得られる電磁波遮蔽体を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、従来に比して電気的に低抵抗率であって、安定かつ加工性に優れた電子部品用金属材料、配線材料、銀合金を使用した電子部品、電子機器、金属膜の加工方法、電子光学部品を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、Ag自体の保有する高い光学特性が保持され、更にはAgの材料的な安定性が格段に改善されるとともに、信頼性の高い高耐熱性反射膜を用いた積層体及び建材ガラスを提供することにある。
Ag−Zn−Pd−Cu系銀合金は、優れた耐食性、高反射率、電気的に低抵抗及び優れた耐熱性のうちの少なくとも1つの特性を有する銀合金であって、Ag主成分とし、Znを0.1at%以上8.0at%以下含有し、Cuを0.1at%以上8.0at%以下含有し、更にPdを0.1at%以上8.0at%以下含有する合金である。また、より好ましくは、Znの含有量が0.1at%以上5.0at%以下、Cuの含有量が0.1at%以上5.0at%以下、Pdの含有量が0.1at%以上5.0at%以下である。
Ag−In−Pd−Cu系銀合金は、優れた耐食性、高反射率、電気的に低抵抗及び優れた耐熱性のうちの少なくとも1つの特性を有する銀合金であって、Ag主成分とし、Inを0.1at%以上8.0at%以下含有し、Cuを0.1at%以上8.0at%以下含有し、更にPdを0.1at%以上8.0at%以下含有する合金である。また、より好ましくは、Inの含有量が0.1at%以上5.0at%以下、Cuの含有量が0.1at%以上5.0at%以下、Pdの含有量が0.1at%以上5.0at%以下である。
またAg−Zn−Pd−Cu系銀合金は、優れた耐熱性を有する銀合金であって、Agを主成分とし、Znを3.0at%以上8.0at%以下含有し、Cuを0.3at%以上1.7at%以下含有し、更にPdを0.2at%以上3.0at%以下含有する合金である。また、特に好ましい耐熱性を有する銀合金中のCuの含有量は0.3at%以上0.5at%以下である。
またAg−Zn−Pd−Cu系銀合金は、優れた耐食性を有する銀合金であって、Agを主成分とし、Znを0.1at%以上8.0at%以下含有し、Cuを0.1at%以上含有し、更にPdを0.2at%以上含有する合金である。
またAg−Zn−Pd−Cu系銀合金は、優れた耐熱性及び耐食性を有する銀合金であって、Agを主成分とし、Znを3.0at%以上8.0at%以下含有し、Cuを0.3at%以上1.7at%以下含有し、更にPdを0.2at%以上含有する合金である。また、特に好ましい耐熱性を有する銀合金中のCuの含有量は0.3at%以上0.5at%以下である。
上記の組成の銀合金ターゲットを作製して薄膜を形成しても良い。スパッタリングターゲットの場合、前述した銀合金からなるインゴットを鋳造法により製造する。また、スパッタリングターゲットの他の製造方法について説明する。スパッタリングターゲット材の製造方法としては、大気雰囲気中の溶解法、あるいは真空中での溶融法が挙げられる。前述した銀合金を溶融法で製造する場合には、先ず、基となる母合金を作製し、これにAgを追加で混入して、Agが規定量になるように合金に含有される金属の含有量を整えるものとする。
大気中で行なう場合について説明する。先ず、アルゴン(以下、Ar)雰囲気(400〜600Torr)中で、前述した銀合金をアーク溶解にて溶融混合することにより、母合金を作製する。
次に、高周波溶融炉において、Agの溶解を行なう。このときのAgの量は、全体溶解量から母合金中のAgの量を差し引いた量とする。この際の溶融温度は、例えば1000〜1500℃として、例えば、0.1〜0.2リットルの並型黒鉛坩堝を用いる。
完全に溶融した後、酸化防止材を投入し、溶融中の酸素との固溶を抑制、防止する。酸化防止材としては、ホウ砂、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸リチウム、カーボン等を用いることができる。
完全に溶融した状態で、約1時間放置し、前記の母合金を添加してさらに0.5〜1時間溶融させる。この際の溶融温度は、例えば1050〜2000℃とする。
次に、例えばアルミナ、あるいはタルクを内面に塗布してあるFeの鋳型に溶融物を注湯する。Feの鋳型は、引け巣を防止するため、予め電気炉等で300〜500℃程度に熱しておく。
鋳型内の溶融物を冷却、凝固し、インゴットを鋳型から取り出して、常温まで冷却する。次に、インゴットの最上部の押湯部を切断除去し、インゴットを圧延機により圧延し、90mm×90mm×8.1mmの板状の合金を作製する。
その後、例えば400〜500℃の温度で電気炉内にArガスを封入した状態で、1〜1.5時間程度、熱処理し、その後さらにプレス機によりそり修正を行なう。
その後、製品形状にワイヤーカットし、耐水研磨紙を用いて製品全面を研磨し、表面粗度を調整し、最終的にAg合金のスパッタリングターゲット材を作製することができる。
以上、大気中での溶解法について説明したが、その他の溶解法を用いることも可能であり、以下、Ar雰囲気中で行なう溶解の場合について説明する。
先ず、Ar雰囲気(400〜600Torr)中で、前述した銀合金をアーク溶解にて溶融混合し、母合金を作製する。
次に、高周波溶融炉において、前記の母合金とAgの溶解を行なう。このときのAgの量は、全体溶解量から母合金中のAgの量を差し引いた量とする。
母合金とAgを入れた坩堝を高周波溶融炉に入れ、真空引きを行なう。酸素を巻き込まない程度に真空に引いた後、溶融炉をAr雰囲気(100〜600Torr)にしてから溶融を開始する。
この際の溶融温度は、例えば、1050〜1400℃とし、坩堝は、例えば、0.1〜0.2リットルの並型黒鉛坩堝を用いる。
次に、例えばアルミナ、あるいはタルクを内面に塗布してあるFeの鋳型に溶融物を注湯する。
Feの鋳型は、引け巣を防止するため、予め電気炉等で300〜500℃程度に熱しておく。
鋳型内の溶融物を、冷却、凝固し、インゴットを鋳型から取り出して、常温まで冷却する。
次に、インゴットの最上部の押湯部を切断除去し、インゴットを圧延機により圧延し、90mm×90mm×8.1mmの板状の合金を作製する。
その後、例えば電気炉で400〜500℃によりArガスを封入した状態で、1〜1.5時間程度、熱処理し、その後さらにプレス機によりそり修正を行なう。
その後、製品形状にワイヤーカットし、耐水研磨紙を用いて製品全面を研磨し、表面粗度を調整し、最終的に本発明の銀合金のスパッタリングターゲット材を作製することができる。
前述のように、本発明の銀合金のスパッタリングターゲット材を作製する場合において、Agに対してZn及びその他の元素Xを添加して溶融する場合においても、従来行われている容易な方法を適用することができ、価格的にも製法的にもメリットが大きい。
Zn、Ni、Sn及びInを含有させるのは、塩化、硫化防止及び脱酸素効果(酸化防止)、マイグレーション防止(イオン化防止)のためであり、Pdを含有させたのはAgに対して共晶合金を作る為に耐食性がさらに上がると考察される為である。また、前記少なくとも1種類の各元素で、例えばCuを含有させるのは、電気抵抗を下げること、Ag合金の加工性を上げること、マイグレーション防止等を目的としている。
また、前記銀合金では、後述する反射率の測定において表13、表14に示すように実用上高い反射率が得られることが確認されている。また、後述する抵抗値の測定において表12に示すように電気的に低抵抗化が実現できることが確認されている。
【表12】
本願の下部銀系合金薄膜及び上部銀系合金薄膜は、前記スパッタリングターゲットを用いたスパッタ装置において例えばRF(交流)マグネトロンスパッタリング法により形成される。従って、この薄膜のいずれかからなる反射型LCD用反射板は、微視的にみても均一な特性を安定に提供することができる。
前述した銀合金からなる薄膜によって反射型LCD用反射板を形成している。このため、この反射型LCD用反射板の製造時又は使用時において、大気中の硫黄、酸素、水分等と反応することを抑制できる。従って、反射光の色度が変化し、黄色に変色してしまうという黄色化を抑制することができる。また、反射光を高反射率化(即ち反射光の反射率を向上)することができ、安定的に高い反射率を確保することができる。
次に、本発明に係る第4の実施の形態による反射配線電極及びその製造方法について説明する。反射配線電極は前記薄膜のいずれかからなるものである。
前記薄膜は、前記スパッタリングターゲットを用いたスパッタ装置においてRF(交流)マグネトロンスパッタリング法により成膜され、その後、エッチングにより所定形状に加工される。この薄膜からなる反射配線電極は、微視的にみても均一な特性を安定に提供することができる。また、前記薄膜は、例えば、燐酸を含有するエッチング液でエッチング加工することが可能である。燐酸系のエッチング液としては、例えばH3PO4+HNO3+CH3COOHを用いることが可能である。
また、前記反射型LCD用反射板及び反射配線電極それぞれは石英ガラス基板などの下地に対して十分な密着性を有するものである。
尚、前記実施の形態では、薄膜をスパッタリング法により成膜しているが、薄膜を蒸着法、CVD法、メッキ法などの他の成膜法により成膜することも可能である。
Agに所定量のPd、Cu、Znを添加したAg−Pd−Cu−Zn合金、又は、Agに所定量のPd、Cu、Inを添加したAg−Pd−Cu−In合金により、光学記録媒体用の薄膜、すなわち、反射膜を形成して光学記録媒体を作製した場合の400nmの波長レーザー光に対する反射率、550nmの波長レーザー光に対する反射率を測定した。この場合の測定結果を表14に示す。比較例としてAgを主成分とし、Pdを0.5at%とCuを1.0at%含有したAg−0.5at%Pd‐1.0at%合金の薄膜についての反射率を測定した。
【表13】
表13に示した測定結果より、AgにPd、Cu、Zn又はInを含有しているAg合金のスパッタリングターゲット材を用いて、光学記録媒体の薄膜を形成した場合においては、実用上望ましい高い反射率が得られることがわかる。
次に、表13に示した薄膜を250℃の温度で1時間熱処理を施した後の400nmの波長レーザー光に対する反射率、550nmの波長レーザー光に対する反射率を測定した。この場合の測定結果を表14に示す。
【表14】
表14に示した測定結果より、実用上望ましい高い反射率が得られることがわかる。
また、Agは、硫黄と結合しやすいので大気中に長時間放置されると、Ag2Sとなり黒色化する。この結果、Ag薄膜の光学特性が劣化する。また、Agは、塩素とも激しく反応してAgClとなり白濁化する。この結果、Ag薄膜の光学特性が劣化する。しかし、Agは、酸素、水素、あるいは水に対しては比較的安定な物質である。一方、Zn、In、Sn及びNiは、脱酸素効果(酸化防止)、硫化、塩化防止等の作用があり、硫黄や塩素に対して化学的に安定な物質である。
前記Ag合金のスパッタリングターゲットによれば、塩素、水素、酸素、硫黄という、大気中、あるいは特殊環境中で検討される非金属元素による汚染や光学記録媒体に採用される際に要求される環境や雰囲気下での高い耐候性の向上の実現が可能になる。
耐食性試験(5%NaCl浸水試験)及びその結果について説明する。 5%NaCl浸水試験のサンプルは、ポリカーボネート基板上に表中に示す組成(at%表示)のAg合金を成膜したものを使用した。 5%NaCl浸水試験は、常温で、5%濃度の塩水にこのサンプルを浸漬した後、3分経過後、3時間経過後、24時間経過後に目視により確認したものである。
表16に示すように、Ag−Zn−Cu−Pd合金中のPdの含有量が0.1at%の場合、24時間経過後に若干の白色が観察されたが、Pdの含有量が0.2at%以上の場合は24時間経過後も変化が無かった。したがって、耐食性を得るためにはPdの含有量を0.2at%以上とすれば良いことが確認された。
表17に示すように、Ag−Zn−Cu−Pd合金中のCuの含有量を0at%〜5.0at%まで変えたサンプルで耐食性試験を行った場合、いずれのサンプルも24時間経過後の変化が観察されなかった。したがって、この合金ではCuの組成が耐食性に影響しないことが確認された。
表15に示すように、Ag−Zn−Cu−Pd合金中のZnの含有量を0.8at%〜8.0at%まで変えたサンプルで耐食性試験を行った場合、いずれのサンプルも24時間経過後の変化が観察されなかった。したがって、この合金ではCuの組成が耐食性に影響しないことが確認された。
【表15】
【表16】
【表17】
基板がエラストマー材料の時、その材料としては、シリコーンゴム、天然ゴム、クロロプレンゴム又はEPDM(エチレン・プロピレンとジエンとのゴム状三元共重合体)等が挙げられる。
また、基板がプラストマー材料の時、その材料としては、例としてプラスチックフィルムやエンジニアリングプラスチック等が挙げられ、主な種類として、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアセタール、或いはポリブチレンテレフタレート、変性ポリフェニレンエーテル等が挙げられる。
密着助長下地膜の材料としては、酸素や各種の材質からなる基板に対して材料的に安定であり、前記基板と少なくとも前記銀合金からなる電磁波遮蔽膜との密着性を考慮すると、Si、Ta、Ti、Mo、Cr、Al、ITO、IrO2、ZnO、SiO2、TiO2、Ta2O5、ZrO2等からなる群から選ばれた1又は複数の材料、若しくは、該1又は複数の材料を少なくとも主成分として含む材料を用いて形成したものであることが好ましい。
また、前述した銀合金は、シリコーンゴム、天然ゴム、クロロプレンゴム又はEPDM等の各種のエラストマー材料に対して化学的安定性が高く、エラストマー材料からなる基板材質に対して制限されないことも確認されている。
また、前述した銀合金は、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアセタール、或いはポリブチレンテレフタレート、変性ポリフェニレンエーテル等の各種のプラストマー材料に対して化学的安定性が高く、プラストマー材料からなる基板材質に対して制限されないことも確認されている。
また、各種のエラストマー材料からなる基板の密着助長下地膜としては、Si、Ta、Ti、Mo、Cr、Al、ITO、ZnO、SiO2、TiO2、Ta2O5、ZrO2が望ましい。
その理由としては、シリコーンゴム、天然ゴム、クロロプレンゴム又はEPDMからなる基板は特定の純度や材質の場合にはガスの発生が大変多いこと、金属はその発生ガスと反応が強いこと、銀合金の薄膜と密着させる接合、界面に反応不動態被膜(例えば酸化膜等)を生じる可能性が高いこと等から適切であるとは言い難いからである。
550nmの波長の光に対する反射率を前記試験試料片の薄膜(成膜直後のもの)で測定した。次に、この試験試料片を大気中でオーブンに入れ約1時間放置して550nmの波長の光に対する反射率を測定した。この時のオーブンの加熱方法としては、抵抗加熱式を採用し、加熱温度を250℃、加熱速度を20℃/minに設定した。そして、成膜直後の薄膜の反射率に対して1時間加熱した後の反射率の変化率を計算した。これらの試験結果を表18及び表19に示す。前記銀合金では、後述する耐熱性試験において表18、表19に示すようにアニール後の反射率の減少が少ないという耐熱性に優れているといった結果が得られており、更に耐食性試験において表12に示すようにNaClに対して良好な結果が得られているので、耐熱性及び耐食性に優れた銀合金であることが確認されている。
【表18】
【表19】
【0056】
【発明の効果】
本発明により、低電気抵抗、耐食性、耐熱性、加工性、密着性及び高反射率を全て所定レベル以上に兼ね備えた銀系合金の積層構造を提供することができた。すなわち本発明は、耐熱性に特化した材料と、耐候性に特化した材料の2つを組み合わせることで、下部の層には耐熱性の高いAg合金を設け、高い耐熱性を得ることを目的とする。さらにその上部に耐候性の高いAg合金を設け、下部のAg合金が変質する事を防ぐことができた。また、本発明により、反射板、電極、配線、反射電極、反射配線など様々な用途への使用を可能とした。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例の銀合金の積層構造の一形態を示す図である。
【図2】本実施例の銀合金の積層構造の第2の形態を示す図である。
【図3】本実施例の銀合金の積層構造の第3の形態を示す図である。
【図4】実施例の(1)初期の表面AFM写真の画像である。
【図5】実施例の(3)耐候性評価後のAFM写真の画像である。
【図6】比較例のAPC単層に(2)を行ったもののAFMの画像である。
【図7】比較例のAZPC単層に(2)を行ったもののAFMの画像である。
【図8】Ag−0.5at%Pd−1.0at%CuにZnを1.8〜7.3at%まで添加し、250℃で1時間のアニール試験を行った後の試料表面を顕微鏡観察した結果を示す写真の画像である。
Claims (17)
- 基板上に、銀を主成分とし第2成分以下に標準電極電位が負である元素を少なくとも1種含有する下部銀系合金薄膜を形成し、該下部銀系合金薄膜の上に銀を主成分とし第2成分以下に標準電極電位が正である金属のみを含有する上部銀系合金薄膜を前記下部銀系合金薄膜よりも薄く形成したことを特徴とする銀系合金の積層構造。
- 基板上に金属若しくは合金からなる薄膜を積層した積層構造であって、前記薄膜のうち少なくとも1つは銀を主成分とし第2成分以下に標準電極電位が負である元素を少なくとも1種含有する下部銀系合金薄膜で形成し、該下部銀系合金薄膜の上に銀を主成分とし第2成分以下に標準電極電位が正である金属のみを含有する上部銀系合金薄膜を形成するか或いは前記下部銀系合金薄膜の上に金属若しくは合金からなる薄膜を中間層として少なくとも1層設けて該中間層の上に銀を主成分とし第2成分以下に標準電極電位が正である金属のみを含有する上部銀系合金薄膜を形成し、且つ前記上部銀系合金薄膜を前記下部銀系合金薄膜よりも薄く形成したことを特徴とする銀系合金の積層構造。
- 前記上部銀系合金薄膜にSiO2、Al2O3の少なくともいずれか一方を添加したことを特徴とする請求項1又は2記載の銀系合金の積層構造。
- 前記上部銀系合金薄膜は、10nm以上の膜厚を有することを特徴とする請求項1、2又は3記載の銀系合金の積層構造。
- 前記中間層は前記下部銀系合金薄膜と前記上部銀系合金薄膜との親和性を強化するための密着層であることを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の銀系合金の積層構造。
- 前記基板上に該基板と前記積層構造との密着を強化するための下地層を形成したことを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載の銀系合金の積層構造。
- 前記積層構造の最表層に特殊雰囲気からの保護を強化するための保護層を形成したことを特徴とする請求項1、2、3、4、5又は6記載の銀系合金の積層構造。
- 前記基板は、ガラス基板、樹脂基板又はガラス/樹脂積層基板であることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6又は7記載の銀系合金の積層構造。
- 前記下部銀系合金薄膜は、銀を50原子%以上含有する銀−亜鉛−パラジウム−銅系合金であることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7又は8記載の銀系合金の積層構造。
- 前記上部銀系合金薄膜は、銀を50原子%以上含有する銀−パラジウム系合金、または銀−パラジウム−銅系合金であることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8又は9記載の銀系合金の積層構造。
- 請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10記載の銀系合金の積層構造を有することを特徴とする銀系合金電極。
- 請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10記載の銀系合金の積層構造をパターン形成したことを特徴とする銀系合金配線。
- 請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10記載の銀系合金の積層構造を有することを特徴とする銀系合金反射膜。
- 請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10記載の銀系合金の積層構造を有することを特徴とする銀系合金反射電極。
- 請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10記載の銀系合金の積層構造を備えることを特徴とする自発光型ディスプレイ。
- 請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10記載の銀系合金の積層構造を備えることを特徴とするフラットパネルディスプレイ。
- 請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10記載の銀系合金の積層構造を備えることを特徴とする半導体素子。
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