JP2004268103A - レーザ加工方法 - Google Patents
レーザ加工方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004268103A JP2004268103A JP2003063777A JP2003063777A JP2004268103A JP 2004268103 A JP2004268103 A JP 2004268103A JP 2003063777 A JP2003063777 A JP 2003063777A JP 2003063777 A JP2003063777 A JP 2003063777A JP 2004268103 A JP2004268103 A JP 2004268103A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- workpiece
- region
- laser
- cutting
- processing
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
- 238000000034 method Methods 0.000 title abstract description 17
- 238000003754 machining Methods 0.000 title abstract 3
- 239000000463 material Substances 0.000 claims abstract description 17
- 238000005520 cutting process Methods 0.000 claims description 138
- 238000012545 processing Methods 0.000 claims description 95
- 238000003672 processing method Methods 0.000 claims description 27
- 230000001678 irradiating effect Effects 0.000 claims description 15
- 238000010128 melt processing Methods 0.000 claims description 15
- 239000004065 semiconductor Substances 0.000 claims description 9
- 238000010521 absorption reaction Methods 0.000 abstract description 28
- XUIMIQQOPSSXEZ-UHFFFAOYSA-N Silicon Chemical compound [Si] XUIMIQQOPSSXEZ-UHFFFAOYSA-N 0.000 description 33
- 229910052710 silicon Inorganic materials 0.000 description 32
- 239000010703 silicon Substances 0.000 description 32
- 235000012431 wafers Nutrition 0.000 description 25
- 239000000758 substrate Substances 0.000 description 23
- 238000003384 imaging method Methods 0.000 description 22
- 230000005684 electric field Effects 0.000 description 10
- 239000013078 crystal Substances 0.000 description 9
- 239000011521 glass Substances 0.000 description 7
- 238000002834 transmittance Methods 0.000 description 6
- 230000015572 biosynthetic process Effects 0.000 description 5
- 230000003287 optical effect Effects 0.000 description 5
- 238000003825 pressing Methods 0.000 description 4
- 229910001218 Gallium arsenide Inorganic materials 0.000 description 3
- 238000003776 cleavage reaction Methods 0.000 description 3
- 238000002474 experimental method Methods 0.000 description 3
- 238000010438 heat treatment Methods 0.000 description 3
- 239000000155 melt Substances 0.000 description 3
- 230000010287 polarization Effects 0.000 description 3
- 230000007017 scission Effects 0.000 description 3
- 230000035882 stress Effects 0.000 description 3
- 238000005336 cracking Methods 0.000 description 2
- 238000010586 diagram Methods 0.000 description 2
- 230000005284 excitation Effects 0.000 description 2
- 238000005259 measurement Methods 0.000 description 2
- 238000002844 melting Methods 0.000 description 2
- 230000008018 melting Effects 0.000 description 2
- 230000010355 oscillation Effects 0.000 description 2
- 230000008646 thermal stress Effects 0.000 description 2
- RZVAJINKPMORJF-UHFFFAOYSA-N Acetaminophen Chemical compound CC(=O)NC1=CC=C(O)C=C1 RZVAJINKPMORJF-UHFFFAOYSA-N 0.000 description 1
- KRHYYFGTRYWZRS-UHFFFAOYSA-N Fluorane Chemical compound F KRHYYFGTRYWZRS-UHFFFAOYSA-N 0.000 description 1
- RTAQQCXQSZGOHL-UHFFFAOYSA-N Titanium Chemical compound [Ti] RTAQQCXQSZGOHL-UHFFFAOYSA-N 0.000 description 1
- 229910021417 amorphous silicon Inorganic materials 0.000 description 1
- 238000005452 bending Methods 0.000 description 1
- 150000001875 compounds Chemical class 0.000 description 1
- 238000009833 condensation Methods 0.000 description 1
- 230000005494 condensation Effects 0.000 description 1
- 238000002425 crystallisation Methods 0.000 description 1
- 230000008025 crystallization Effects 0.000 description 1
- 229910003460 diamond Inorganic materials 0.000 description 1
- 239000010432 diamond Substances 0.000 description 1
- 230000000694 effects Effects 0.000 description 1
- 238000005516 engineering process Methods 0.000 description 1
- 238000011156 evaluation Methods 0.000 description 1
- 239000000835 fiber Substances 0.000 description 1
- 229910000040 hydrogen fluoride Inorganic materials 0.000 description 1
- 230000031700 light absorption Effects 0.000 description 1
- 229910021421 monocrystalline silicon Inorganic materials 0.000 description 1
- TWNQGVIAIRXVLR-UHFFFAOYSA-N oxo(oxoalumanyloxy)alumane Chemical compound O=[Al]O[Al]=O TWNQGVIAIRXVLR-UHFFFAOYSA-N 0.000 description 1
- 230000002093 peripheral effect Effects 0.000 description 1
- 239000005297 pyrex Substances 0.000 description 1
- 238000011160 research Methods 0.000 description 1
- 229910052719 titanium Inorganic materials 0.000 description 1
- 239000010936 titanium Substances 0.000 description 1
- 238000003466 welding Methods 0.000 description 1
Images
Classifications
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C03—GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
- C03B—MANUFACTURE, SHAPING, OR SUPPLEMENTARY PROCESSES
- C03B33/00—Severing cooled glass
- C03B33/02—Cutting or splitting sheet glass or ribbons; Apparatus or machines therefor
- C03B33/0222—Scoring using a focussed radiation beam, e.g. laser
Landscapes
- Chemical & Material Sciences (AREA)
- Engineering & Computer Science (AREA)
- Materials Engineering (AREA)
- Organic Chemistry (AREA)
- Laser Beam Processing (AREA)
- Dicing (AREA)
- Processing Of Stones Or Stones Resemblance Materials (AREA)
Abstract
【解決手段】多光子吸収により形成される改質領域7によって、切断予定ライン5に沿って加工対象物1の内部に切断起点領域8を形成する。その後、加工対象物1に対して吸収性を有するレーザ光L2を切断予定ライン5に沿って加工対象物1に照射することで、切断起点領域5を起点として加工対象物1に割れ24を発生させ、切断予定ライン5に沿って加工対象物1を精度良く切断することができる。しかも、加工対象物1が固定された拡張フィルム19を拡張させることで、各チップ25が離間することになるため、切断予定ライン5に沿った加工対象物1の切断の確実性をより一層向上させることができる。
【選択図】 図18
Description
【発明の属する技術分野】
【0002】
本発明は、半導体材料基板、圧電材料基板やガラス基板等の加工対象物の切断に使用されるレーザ加工方法に関する。
【0003】
【従来の技術】
従来におけるこの種の技術を開示する文献として、下記の特許文献1を例示することができる。この特許文献1の明細書には、レーザ光を照射することにより加工対象物の内部に切断予定ラインに沿って改質領域を形成し、この改質領域を起点として加工対象物を切断する技術が記載されている。
【0004】
【特許文献1】
国際公開第02/22301号パンフレット
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
この特許文献1記載の技術は、加工対象物を切断予定ラインに沿って精度良く切断することのできる極めて有効な技術であるため、改質領域を起点として加工対象物をより一層確実に且つ高精度に切断する技術が望まれていた。
【0006】
そこで、本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、切断予定ラインに沿って加工対象物を確実且つ高精度に切断することのできるレーザ加工方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に係るレーザ加工方法は、拡張可能な保持部材の表面に固定されたウェハ状の加工対象物の内部に集光点を合わせてレーザ光を照射し、加工対象物の内部に改質領域を形成し、この改質領域によって、加工対象物の切断予定ラインに沿って加工対象物のレーザ光入射面から所定距離内側に切断起点領域を形成する工程と、切断起点領域を形成する工程後、加工対象物に対して吸収性を有するレーザ光を切断予定ラインに沿って加工対象物に照射することで、切断予定ラインに沿って加工対象物を切断する工程と、加工対象物を切断する工程後、保持部材を拡張させることで、切断された加工対象物のそれぞれの部分を離間させる工程とを備えることを特徴とする。
【0008】
このレーザ加工方法においては、多光子吸収により形成される改質領域によって、加工対象物を切断すべき所望の切断予定ラインに沿って加工対象物の内部に切断起点領域を形成することができる。そして、加工対象物に対して吸収性を有するレーザ光を切断予定ラインに沿って加工対象物に照射することで、切断起点領域を起点として加工対象物に割れを発生させ、切断予定ラインに沿って加工対象物を精度良く切断することができる。しかも、加工対象物が固定された保持部材を拡張させることで、加工対象物のそれぞれの部分が離間することになるため、切断予定ラインに沿った加工対象物の切断の確実性をより一層向上させることができる。
【0009】
また、本発明に係るレーザ加工方法は、拡張可能な保持部材の表面に固定されたウェハ状の加工対象物の内部に集光点を合わせてレーザ光を照射し、加工対象物の内部に改質領域を形成し、この改質領域によって、加工対象物の切断予定ラインに沿って加工対象物のレーザ光入射面から所定距離内側に切断起点領域を形成する工程と、切断起点領域を形成する工程後、加工対象物に対して吸収性を有するレーザ光を切断予定ラインに沿って加工対象物に照射する工程と、加工対象物に照射する工程後、保持部材を拡張させることで、加工対象物を切断し、かつ切断された加工対象物のそれぞれの部分を離間させる工程とを備えることを特徴とする。
【0010】
このレーザ加工方法においては、上述したレーザ加工方法と同様に、切断予定ラインに沿って加工対象物の内部に切断起点領域を形成することができる。そして、加工対象物に対して吸収性を有するレーザ光を切断予定ラインに沿って加工対象物に照射することで、このような照射を行わない場合に比べて小さな力によって、切断起点領域を起点とした割れを加工対象物の表面と裏面とに到達させることができる。したがって、加工対象物が固定された保持部材をより小さな力で拡張させることができ、切断予定ラインに沿って加工対象物を精度良く切断することが可能になる。しかも、この保持部材を拡張させることで、加工対象物のそれぞれの部分が離間することになるため、切断予定ラインに沿った加工対象物の切断の確実性をより一層向上させることができる。
【0011】
なお、集光点とは、レーザ光が集光した箇所のことである。また、切断起点領域とは、加工対象物が切断される際に切断の起点となる領域を意味する。したがって、切断起点領域は、加工対象物において切断が予定される切断予定部である。そして、切断起点領域は、改質領域が連続的に形成されることで形成される場合もあるし、改質領域が断続的に形成されることで形成される場合もある。また、加工対象物は半導体材料により形成され、改質領域は溶融処理領域である場合がある。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面と共に本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。本実施形態に係るレーザ加工方法における切断起点領域を形成する工程(以下、「切断起点領域形成工程」という)では、加工対象物の内部に集光点を合わせてレーザ光を照射し、加工対象物の内部に多光子吸収による改質領域を形成する。そこで、このレーザ加工方法、特に多光子吸収について最初に説明する。
【0013】
材料の吸収のバンドギャップEGよりも光子のエネルギーhνが小さいと光学的に透明となる。よって、材料に吸収が生じる条件はhν>EGである。しかし、光学的に透明でも、レーザ光の強度を非常に大きくするとnhν>EGの条件(n=2,3,4,・・・)で材料に吸収が生じる。この現象を多光子吸収という。パルス波の場合、レーザ光の強度はレーザ光の集光点のピークパワー密度(W/cm2)で決まり、例えばピークパワー密度が1×108(W/cm2)以上の条件で多光子吸収が生じる。ピークパワー密度は、(集光点におけるレーザ光の1パルス当たりのエネルギー)÷(レーザ光のビームスポット断面積×パルス幅)により求められる。また、連続波の場合、レーザ光の強度はレーザ光の集光点の電界強度(W/cm2)で決まる。
【0014】
このような多光子吸収を利用する本実施形態に係るレーザ加工の原理について、図1〜図6を参照して説明する。図1はレーザ加工中の加工対象物1の平面図であり、図2は図1に示す加工対象物1のII−II線に沿った断面図であり、図3はレーザ加工後の加工対象物1の平面図であり、図4は図3に示す加工対象物1のIV−IV線に沿った断面図であり、図5は図3に示す加工対象物1のV−V線に沿った断面図であり、図6は切断された加工対象物1の平面図である。
【0015】
図1及び図2に示すように、加工対象物1の表面3には、加工対象物1を切断すべき所望の切断予定ライン5がある。切断予定ライン5は直線状に延びた仮想線である(加工対象物1に実際に線を引いて切断予定ライン5としてもよい)。本実施形態に係るレーザ加工は、多光子吸収が生じる条件で加工対象物1の内部に集光点Pを合わせてレーザ光Lを加工対象物1に照射して改質領域7を形成する。なお、集光点とはレーザ光Lが集光した箇所のことである。
【0016】
レーザ光Lを切断予定ライン5に沿って(すなわち矢印A方向に沿って)相対的に移動させることにより、集光点Pを切断予定ライン5に沿って移動させる。これにより、図3〜図5に示すように改質領域7が切断予定ライン5に沿って加工対象物1の内部にのみ形成され、この改質領域7でもって切断起点領域(切断予定部)8が形成される。本実施形態に係るレーザ加工方法は、加工対象物1がレーザ光Lを吸収することにより加工対象物1を発熱させて改質領域7を形成するのではない。加工対象物1にレーザ光Lを透過させ加工対象物1の内部に多光子吸収を発生させて改質領域7を形成している。よって、加工対象物1の表面3ではレーザ光Lがほとんど吸収されないので、加工対象物1の表面3が溶融することはない。
【0017】
加工対象物1の切断において、切断する箇所に起点があると加工対象物1はその起点から割れるので、図6に示すように比較的小さな力で加工対象物1を切断することができる。よって、加工対象物1の表面3に不必要な割れを発生させることなく加工対象物1の切断が可能となる。
【0018】
なお、切断起点領域を起点とした加工対象物の切断には、次の2通りが考えられる。1つは、切断起点領域形成後、加工対象物に人為的な力が印加されることにより、切断起点領域を起点として加工対象物が割れ、加工対象物が切断される場合である。これは、例えば加工対象物の厚さが大きい場合の切断である。人為的な力が印加されるとは、例えば、加工対象物の切断起点領域に沿って加工対象物に曲げ応力やせん断応力を加えたり、加工対象物に温度差を与えることにより熱応力を発生させたりすることである。他の1つは、切断起点領域を形成することにより、切断起点領域を起点として加工対象物の断面方向(厚さ方向)に向かって自然に割れ、結果的に加工対象物が切断される場合である。これは、例えば加工対象物の厚さが小さい場合には、1列の改質領域により切断起点領域が形成されることで可能となり、加工対象物の厚さが大きい場合には、厚さ方向に複数列形成された改質領域により切断起点領域が形成されることで可能となる。なお、この自然に割れる場合も、切断する箇所において、切断起点領域が形成されていない部位に対応する部分の表面上にまで割れが先走ることがなく、切断起点領域を形成した部位に対応する部分のみを割断することができるので、割断を制御よくすることができる。近年、シリコンウェハ等の加工対象物の厚さは薄くなる傾向にあるので、このような制御性のよい割断方法は大変有効である。
【0019】
さて、本実施形態において多光子吸収により形成される改質領域としては、次の(1)〜(3)がある。
【0020】
(1)改質領域が1つ又は複数のクラックを含むクラック領域の場合
加工対象物(例えばガラスやLiTaO3からなる圧電材料)の内部に集光点を合わせて、集光点における電界強度が1×108(W/cm2)以上で且つパルス幅が1μs以下の条件でレーザ光を照射する。このパルス幅の大きさは、多光子吸収を生じさせつつ加工対象物の表面に余計なダメージを与えずに、加工対象物の内部にのみクラック領域を形成できる条件である。これにより、加工対象物の内部には多光子吸収による光学的損傷という現象が発生する。この光学的損傷により加工対象物の内部に熱ひずみが誘起され、これにより加工対象物の内部にクラック領域が形成される。電界強度の上限値としては、例えば1×1012(W/cm2)である。パルス幅は例えば1ns〜200nsが好ましい。なお、多光子吸収によるクラック領域の形成は、例えば、第45回レーザ熱加工研究会論文集(1998年.12月)の第23頁〜第28頁の「固体レーザー高調波によるガラス基板の内部マーキング」に記載されている。
【0021】
本発明者は、電界強度とクラックの大きさとの関係を実験により求めた。実験条件は次ぎの通りである。
【0022】
(A)加工対象物:パイレックス(登録商標)ガラス(厚さ700μm)
(B)レーザ
光源:半導体レーザ励起Nd:YAGレーザ
波長:1064nm
レーザ光スポット断面積:3.14×10−8cm2
発振形態:Qスイッチパルス
繰り返し周波数:100kHz
パルス幅:30ns
出力:出力<1mJ/パルス
レーザ光品質:TEM00
偏光特性:直線偏光
(C)集光用レンズ
レーザ光波長に対する透過率:60パーセント
(D)加工対象物が載置される載置台の移動速度:100mm/秒
【0023】
なお、レーザ光品質がTEM00とは、集光性が高くレーザ光の波長程度まで集光可能を意味する。
【0024】
図7は上記実験の結果を示すグラフである。横軸はピークパワー密度であり、レーザ光がパルスレーザ光なので電界強度はピークパワー密度で表される。縦軸は1パルスのレーザ光により加工対象物の内部に形成されたクラック部分(クラックスポット)の大きさを示している。クラックスポットが集まりクラック領域となる。クラックスポットの大きさは、クラックスポットの形状のうち最大の長さとなる部分の大きさである。グラフ中の黒丸で示すデータは集光用レンズ(C)の倍率が100倍、開口数(NA)が0.80の場合である。一方、グラフ中の白丸で示すデータは集光用レンズ(C)の倍率が50倍、開口数(NA)が0.55の場合である。ピークパワー密度が1011(W/cm2)程度から加工対象物の内部にクラックスポットが発生し、ピークパワー密度が大きくなるに従いクラックスポットも大きくなることが分かる。
【0025】
次に、本実施形態に係るレーザ加工において、クラック領域形成による加工対象物の切断のメカニズムについて図8〜図11を用いて説明する。図8に示すように、多光子吸収が生じる条件で加工対象物1の内部に集光点Pを合わせてレーザ光Lを加工対象物1に照射して切断予定ラインに沿って内部にクラック領域9を形成する。クラック領域9は1つ又は複数のクラックを含む領域である。このクラック領域9でもって切断起点領域が形成される。図9に示すようにクラック領域9を起点として(すなわち、切断起点領域を起点として)クラックがさらに成長し、図10に示すようにクラックが加工対象物1の表面3と裏面21に到達し、図11に示すように加工対象物1が割れることにより加工対象物1が切断される。加工対象物の表面と裏面に到達するクラックは自然に成長する場合もあるし、加工対象物に力が印加されることにより成長する場合もある。
【0026】
(2)改質領域が溶融処理領域の場合
加工対象物(例えばシリコンのような半導体材料)の内部に集光点を合わせて、集光点における電界強度が1×108(W/cm2)以上で且つパルス幅が1μs以下の条件でレーザ光を照射する。これにより加工対象物の内部は多光子吸収によって局所的に加熱される。この加熱により加工対象物の内部に溶融処理領域が形成される。溶融処理領域とは一旦溶融後再固化した領域や、まさに溶融状態の領域や、溶融状態から再固化する状態の領域であり、相変化した領域や結晶構造が変化した領域ということもできる。また、溶融処理領域とは単結晶構造、非晶質構造、多結晶構造において、ある構造が別の構造に変化した領域ということもできる。つまり、例えば、単結晶構造から非晶質構造に変化した領域、単結晶構造から多結晶構造に変化した領域、単結晶構造から非晶質構造及び多結晶構造を含む構造に変化した領域を意味する。加工対象物がシリコン単結晶構造の場合、溶融処理領域は例えば非晶質シリコン構造である。電界強度の上限値としては、例えば1×1012(W/cm2)である。パルス幅は例えば1ns〜200nsが好ましい。
【0027】
本発明者は、シリコンウェハの内部で溶融処理領域が形成されることを実験により確認した。実験条件は次の通りである。
【0028】
(A)加工対象物:シリコンウェハ(厚さ350μm、外径4インチ)
(B)レーザ
光源:半導体レーザ励起Nd:YAGレーザ
波長:1064nm
レーザ光スポット断面積:3.14×10−8cm2
発振形態:Qスイッチパルス
繰り返し周波数:100kHz
パルス幅:30ns
出力:20μJ/パルス
レーザ光品質:TEM00
偏光特性:直線偏光
(C)集光用レンズ
倍率:50倍
N.A.:0.55
レーザ光波長に対する透過率:60パーセント
(D)加工対象物が載置される載置台の移動速度:100mm/秒
【0029】
図12は、上記条件でのレーザ加工により切断されたシリコンウェハの一部における断面の写真を表した図である。シリコンウェハ11の内部に溶融処理領域13が形成されている。なお、上記条件により形成された溶融処理領域13の厚さ方向の大きさは100μm程度である。
【0030】
溶融処理領域13が多光子吸収により形成されたことを説明する。図13は、レーザ光の波長とシリコン基板の内部の透過率との関係を示すグラフである。ただし、シリコン基板の表面側と裏面側それぞれの反射成分を除去し、内部のみの透過率を示している。シリコン基板の厚さtが50μm、100μm、200μm、500μm、1000μmの各々について上記関係を示した。
【0031】
例えば、Nd:YAGレーザの波長である1064nmにおいて、シリコン基板の厚さが500μm以下の場合、シリコン基板の内部ではレーザ光が80%以上透過することが分かる。図12に示すシリコンウェハ11の厚さは350μmであるので、多光子吸収による溶融処理領域13はシリコンウェハの中心付近、つまり表面から175μmの部分に形成される。この場合の透過率は、厚さ200μmのシリコンウェハを参考にすると、90%以上なので、レーザ光がシリコンウェハ11の内部で吸収されるのは僅かであり、ほとんどが透過する。このことは、シリコンウェハ11の内部でレーザ光が吸収されて、溶融処理領域13がシリコンウェハ11の内部に形成(つまりレーザ光による通常の加熱で溶融処理領域が形成)されたものではなく、溶融処理領域13が多光子吸収により形成されたことを意味する。多光子吸収による溶融処理領域の形成は、例えば、溶接学会全国大会講演概要第66集(2000年4月)の第72頁〜第73頁の「ピコ秒パルスレーザによるシリコンの加工特性評価」に記載されている。
【0032】
なお、シリコンウェハは、溶融処理領域でもって形成される切断起点領域を起点として断面方向に向かって割れを発生させ、その割れがシリコンウェハの表面と裏面とに到達することにより、結果的に切断される。シリコンウェハの表面と裏面に到達するこの割れは自然に成長する場合もあるし、シリコンウェハに力が印加されることにより成長する場合もある。なお、切断起点領域からシリコンウェハの表面と裏面とに割れが自然に成長する場合には、切断起点領域を形成する溶融処理領域が溶融している状態から割れが成長する場合と、切断起点領域を形成する溶融処理領域が溶融している状態から再固化する際に割れが成長する場合とのいずれもある。ただし、どちらの場合も溶融処理領域はシリコンウェハの内部のみに形成され、切断後の切断面には、図12のように内部にのみ溶融処理領域が形成されている。加工対象物の内部に溶融処理領域でもって切断起点領域を形成すると、割断時、切断起点領域ラインから外れた不必要な割れが生じにくいので、割断制御が容易となる。
【0033】
(3)改質領域が屈折率変化領域の場合
加工対象物(例えばガラス)の内部に集光点を合わせて、集光点における電界強度が1×108(W/cm2)以上で且つパルス幅が1ns以下の条件でレーザ光を照射する。パルス幅を極めて短くして、多光子吸収を加工対象物の内部に起こさせると、多光子吸収によるエネルギーが熱エネルギーに転化せずに、加工対象物の内部にはイオン価数変化、結晶化又は分極配向等の永続的な構造変化が誘起されて屈折率変化領域が形成される。電界強度の上限値としては、例えば1×1012(W/cm2)である。パルス幅は例えば1ns以下が好ましく、1ps以下がさらに好ましい。多光子吸収による屈折率変化領域の形成は、例えば、第42回レーザ熱加工研究会論文集(1997年.11月)の第105頁〜第111頁の「フェムト秒レーザー照射によるガラス内部への光誘起構造形成」に記載されている。
【0034】
以上、多光子吸収により形成される改質領域として(1)〜(3)の場合を説明したが、ウェハ状の加工対象物の結晶構造やその劈開性などを考慮して切断起点領域を次のように形成すれば、その切断起点領域を起点として、より一層小さな力で、しかも精度良く加工対象物を切断することが可能になる。
【0035】
すなわち、シリコンなどのダイヤモンド構造の単結晶半導体からなる基板の場合は、(111)面(第1劈開面)や(110)面(第2劈開面)に沿った方向に切断起点領域を形成するのが好ましい。また、GaAsなどの閃亜鉛鉱型構造のIII−V族化合物半導体からなる基板の場合は、(110)面に沿った方向に切断起点領域を形成するのが好ましい。さらに、サファイア(Al2O3)などの六方晶系の結晶構造を有する基板の場合は、(0001)面(C面)を主面として(1120)面(A面)或いは(1100)面(M面)に沿った方向に切断起点領域を形成するのが好ましい。
【0036】
なお、上述した切断起点領域を形成すべき方向(例えば、単結晶シリコン基板における(111)面に沿った方向)、或いは切断起点領域を形成すべき方向に直交する方向に沿って基板にオリエンテーションフラットを形成すれば、そのオリエンテーションフラットを基準とすることで、切断起点領域を形成すべき方向に沿った切断起点領域を容易且つ正確に基板に形成することが可能になる。
【0037】
次に、上述したレーザ加工方法に使用されるレーザ加工装置について、図14を参照して説明する。図14はレーザ加工装置100の概略構成図である。
【0038】
レーザ加工装置100は、レーザ光Lを発生するレーザ光源101と、レーザ光Lの出力やパルス幅等を調節するためにレーザ光源101を制御するレーザ光源制御部102と、レーザ光Lの反射機能を有しかつレーザ光Lの光軸の向きを90°変えるように配置されたダイクロイックミラー103と、ダイクロイックミラー103で反射されたレーザ光Lを集光する集光用レンズ105と、集光用レンズ105で集光されたレーザ光Lが照射される加工対象物1が載置される載置台107と、載置台107をX軸方向に移動させるためのX軸ステージ109と、載置台107をX軸方向に直交するY軸方向に移動させるためのY軸ステージ111と、載置台107をX軸及びY軸方向に直交するZ軸方向に移動させるためのZ軸ステージ113と、これら3つのステージ109,111,113の移動を制御するステージ制御部115とを備える。
【0039】
この集光点PのX(Y)軸方向の移動は、加工対象物1をX(Y)軸ステージ109(111)によりX(Y)軸方向に移動させることにより行う。Z軸方向は、加工対象物1の表面3と直交する方向なので、加工対象物1に入射するレーザ光Lの焦点深度の方向となる。よって、Z軸ステージ113をZ軸方向に移動させることにより、加工対象物1の内部にレーザ光Lの集光点Pを合わせることができる。これにより、例えば、加工対象物1が多層構造を有しているような場合に、加工対象物1の基板や或いは当該基板上の積層部等、所望の位置に集光点Pを合わせることができる。
【0040】
レーザ光源101はパルスレーザ光を発生するNd:YAGレーザである。レーザ光源101に用いることができるレーザとして、この他、Nd:YVO4レーザ、Nd:YLFレーザやチタンサファイアレーザがある。本実施形態では、加工対象物1の加工にパルスレーザ光を用いているが、多光子吸収を起こさせることができるなら連続波レーザ光でもよい。
【0041】
レーザ加工装置100はさらに、載置台107に載置された加工対象物1を可視光線により照明するために可視光線を発生する観察用光源117と、ダイクロイックミラー103及び集光用レンズ105と同じ光軸上に配置された可視光用のビームスプリッタ119とを備える。ビームスプリッタ119と集光用レンズ105との間にダイクロイックミラー103が配置されている。ビームスプリッタ119は、可視光線の約半分を反射し残りの半分を透過する機能を有しかつ可視光線の光軸の向きを90°変えるように配置されている。観察用光源117から発生した可視光線はビームスプリッタ119で約半分が反射され、この反射された可視光線がダイクロイックミラー103及び集光用レンズ105を透過し、加工対象物1の切断予定ライン5等を含む表面3を照明する。なお、加工対象物1の裏面が集光用レンズ105側となるよう加工対象物1が載置台107に載置された場合は、ここでいう「表面」が「裏面」となるのは勿論である。
【0042】
レーザ加工装置100はさらに、ビームスプリッタ119、ダイクロイックミラー103及び集光用レンズ105と同じ光軸上に配置された撮像素子121及び結像レンズ123を備える。撮像素子121としては例えばCCDカメラがある。切断予定ライン5等を含む表面3を照明した可視光線の反射光は、集光用レンズ105、ダイクロイックミラー103、ビームスプリッタ119を透過し、結像レンズ123で結像されて撮像素子121で撮像され、撮像データとなる。
【0043】
レーザ加工装置100はさらに、撮像素子121から出力された撮像データが入力される撮像データ処理部125と、レーザ加工装置100全体を制御する全体制御部127と、モニタ129とを備える。撮像データ処理部125は、撮像データを基にして観察用光源117で発生した可視光の焦点を加工対象物1の表面3上に合わせるための焦点データを演算する。この焦点データを基にしてステージ制御部115がZ軸ステージ113を移動制御することにより、可視光の焦点が加工対象物の表面3に合うようにする。よって、撮像データ処理部125はオートフォーカスユニットとして機能する。また、撮像データ処理部125は、撮像データを基にして表面3の拡大画像等の画像データを演算する。この画像データは全体制御部127に送られ、全体制御部で各種処理がなされ、モニタ129に送られる。これにより、モニタ129に拡大画像等が表示される。
【0044】
全体制御部127には、ステージ制御部115からのデータ、撮像データ処理部125からの画像データ等が入力し、これらのデータも基にしてレーザ光源制御部102、観察用光源117及びステージ制御部115を制御することにより、レーザ加工装置100全体を制御する。よって、全体制御部127はコンピュータユニットとして機能する。
【0045】
次に、上述したレーザ加工装置100を使用した場合の切断起点領域形成工程について、図14及び図15を参照して説明する。図15は、本実施形態に係る切断起点領域形成工程を説明するためのフローチャートである。
【0046】
加工対象物1の光吸収特性を図示しない分光光度計等により測定する。この測定結果に基づいて、加工対象物1に対して透明な波長又は吸収の少ない波長のレーザ光Lを発生するレーザ光源101を選定する(S101)。続いて、加工対象物1の厚さを測定する。厚さの測定結果及び加工対象物1の屈折率を基にして、加工対象物1のZ軸方向の移動量を決定する(S103)。これは、レーザ光Lの集光点Pを加工対象物1の基板の内部に位置させるために、加工対象物1の表面3に位置するレーザ光Lの集光点Pを基準とした加工対象物1のZ軸方向の移動量である。この移動量は全体制御部127に入力される。
【0047】
加工対象物1をレーザ加工装置100の載置台107に載置する。そして、観察用光源117から可視光を発生させて加工対象物1を照明する(S105)。照明された切断予定ライン5を含む加工対象物1の表面3を撮像素子121により撮像する。撮像素子121により撮像された撮像データは撮像データ処理部125に送られる。この撮像データに基づいて撮像データ処理部125は観察用光源117の可視光の焦点が表面3に位置するような焦点データを演算する(S107)。
【0048】
この焦点データはステージ制御部115に送られる。ステージ制御部115は、この焦点データを基にしてZ軸ステージ113をZ軸方向の移動させる(S109)。これにより、観察用光源117の可視光の焦点が加工対象物1の表面3に位置する。なお、撮像データ処理部125は撮像データに基づいて、切断予定ライン5を含む加工対象物1の表面3の拡大画像データを演算する。この拡大画像データは全体制御部127を介してモニタ129に送られ、これによりモニタ129に切断予定ライン5付近の拡大画像が表示される。
【0049】
全体制御部127には予めステップS103で決定された移動量データが入力されており、この移動量データがステージ制御部115に送られる。ステージ制御部115はこの移動量データに基づいて、レーザ光Lの集光点Pが加工対象物1の基板の内部となる位置に、Z軸ステージ113により加工対象物1をZ軸方向に移動させる(S111)。
【0050】
続いて、レーザ光源101からレーザ光Lを発生させて、レーザ光Lを加工対象物1の表面3の切断予定ライン5に照射する。レーザ光Lの集光点Pは加工対象物1の基板の内部に位置しているので、改質領域は加工対象物1の基板の内部にのみ形成される。そして、切断予定ライン5に沿うようにX軸ステージ109やY軸ステージ111を移動させて、切断予定ライン5に沿って改質領域を形成し、この改質領域によって、加工対象物1の基板の内部に切断予定ライン5に沿った切断起点領域を形成する(S113)。
以下、実施例により、本発明についてより具体的に説明する。
【0051】
[実施例1]
本発明の実施例1について説明する。なお、図17〜図20は、図16に示す加工対象物1のXVII−XVII線に沿った部分断面図である。
【0052】
図16及び図17に示すように、加工対象物1の裏面21に拡張可能な拡張フィルム(保持部材)19を貼り付けて、この拡張フィルム19の表面19a上に加工対象物1を固定する。拡張フィルム19は、その外周部分がリング状のフィルム固定枠20に貼り付けられて、このフィルム固定枠20に固定されている。なお、この加工対象物1は、厚さ100μmのシリコンウェハである。
【0053】
このように、加工対象物1、拡張フィルム19及びフィルム固定枠20からなるユニットUを、例えば上述のレーザ加工装置100の載置台107上に、加工対象物1の表面3側が集光用レンズ105に対面するように載置する。そして、押え部材107aによりフィルム固定枠20を載置台107に固定すると共に、拡張フィルム19を載置台107に真空吸着する。
【0054】
続いて、図16に示すように、加工対象物1のオリエンテーションフラット16に平行な方向と垂直な方向とに延在する切断予定ライン5を格子状に設定する。この切断予定ラインはウェハ上に形成されている回路素子や受光面などの機能素子からなるデバイス形成面700の間に設定されている。尚、図面では簡略してデバイス形成面700は一部のみに記載している。そして、図17に示すように、加工対象物1の内部に集光点P1を合わせてレーザ光L1を照射し、その集光点P1を切断予定ライン5に沿って移動させることで、加工対象物1の内部に改質領域7を形成する。この改質領域7によって、加工対象物1の表面(レーザ光入射面)3から所定距離内側に切断起点領域8が切断予定ライン5に沿って形成される。なお、加工対象物1がシリコンウェハであるため、改質領域7としては溶融処理領域が形成される。
【0055】
続いて、図18に示すように、加工対象物1の表面3に集光点P2を合わせて、加工対象物1に対して吸収性を有するレーザ光L2を照射し、その集光点P2を切断予定ライン5に沿って移動させる。このレーザ光L2の照射によって、切断起点領域8を起点として割れ24が発生し、この割れ24が加工対象物1の表面3と裏面21とに到達する。これにより、加工対象物1は、切断予定ライン5に沿って複数のチップ25に分割される。
【0056】
このような割れ24の主な発生原因としては、レーザ光L2の照射により切断予定ライン5に沿って加工対象物1が加熱されて、加工対象物1に熱応力が生じることが挙げられる。一例として、レーザ光L2の照射により、改質領域7と加工対象物1の非改質領域(加工対象物1における改質領域7以外の部分)との界面に微細な亀裂や歪みが生じ、これらの亀裂や歪みを起点として加熱源としてのレーザ光L2の照射部位に向かって割れが進展するような引張応力が生じることで、改質領域7から表面3又は裏面21へと割れ24が発生する。
【0057】
なお、実施例1では、レーザ光L2として波長808nm,出力14Wのレーザ光を用い、その光源としてレーザダイオードを用いた。また、集光点P2におけるビーム径は約200μmとした。このようなレーザ光L2の照射によれば、加工対象物1の表面3の溶融を防止しつつ、加工対象物1を加熱することができる。そして、集光点P2におけるビーム径を絞れば絞るほど、加工対象物1を切断予定ライン5に沿って精度良く分割することができる。また、ビーム径を絞ることでウエハ表面に形成されているデバイス形成面間のみにレーザ照射できるので、デバイス形成面に無用なレーザ光L2を照射せずにすみデバイス面を保護できる。
【0058】
加工対象物1を複数のチップ25に切断した後、ユニットUをフィルム拡張装置200に搬送する。図19に示すように、ユニットUは、そのフィルム固定枠20がリング状の受け部材201とリング状の押え部材202とで挟持されて、フィルム拡張装置200に固定される。そして、受け部材201の内側に配置された円柱状の押圧部材203をユニットUの下側から拡張フィルム19の裏面19bに押し当て、さらに、図20に示すように押圧部材203を上昇させる。これにより、拡張フィルム19における各チップ25の接触部分が外方側に拡張されて各チップ25が互いに離間することになり、各チップ25を容易且つ確実にピックアップすることが可能になる。
【0059】
以上の実施例1に係るレーザ加工方法においては、多光子吸収により形成される改質領域7によって、切断予定ライン5に沿って加工対象物1の内部に切断起点領域8を形成することができる。そして、加工対象物1に対して吸収性を有するレーザ光L2を切断予定ライン5に沿って加工対象物1に照射することで、切断起点領域5を起点として加工対象物1に割れ24を発生させ、切断予定ライン5に沿って加工対象物1を精度良く切断することができる。しかも、加工対象物1が固定された拡張フィルム19を拡張させることで、各チップ25が離間することになるため、切断予定ライン5に沿った加工対象物1の切断の確実性をより一層向上させることができる。
【0060】
[実施例2]
本発明の実施例2について説明する。実施例2は、レーザ光L2を照射した際に発生する割れ24が加工対象物1の表面3と裏面21とに到達しない点で、実施例1と異なる。以下、この実施例1との相異点を中心に説明する。なお、図21は、図16に示す加工対象物1のXVII−XVII線に沿った部分断面図である。
【0061】
実施例1と同様に、加工対象物1、拡張フィルム19及びフィルム固定枠20からなるユニットUを用意し、例えば上述のレーザ加工装置100を用いて加工対象物1の内部に改質領域7を形成し、この改質領域7によって、加工対象物1の表面3から所定距離内側に切断起点領域8を切断予定ライン5に沿って形成する。なお、加工対象物1は、厚さ300μmのシリコンウェハである。
【0062】
続いて、図21に示すように、加工対象物1の表面3に集光点P2を合わせて、加工対象物1に対して吸収性を有するレーザ光L2を照射し、その集光点P2を切断予定ライン5に沿って移動させる。このレーザ光L2の照射によって、切断起点領域8を起点として割れ24が発生する。ただし、実施例2の加工対象物1の厚さ(300μm)は実施例1の加工対象物1の厚さ(100μm)に比べて厚いため、割れ24は、加工対象物1の表面3と裏面21とには到達せず、加工対象物1の内部に留まる。なお、レーザ光L2の照射条件は実施例1と同様である。
【0063】
続いて、実施例1と同様に、ユニットUをフィルム拡張装置200に搬送する。そして、フィルム拡張装置200において、ユニットUの下側から拡張フィルム19の裏面19bに押圧部材203押し当て、さらに、この押圧部材203を上昇させる。これにより、拡張フィルム19における加工対象物1の接触部分が外方側に拡張される。この拡張フィルム19の拡張に伴い、加工対象物1内の割れ24の先端が加工対象物1の表面3と裏面21とに到達して、加工対象物1が切断予定ライン5に沿って複数の各チップ25に分割され、各チップ25が互いに離間することになる。
【0064】
なお、レーザ光L2の照射条件によっては、レーザ光L2の照射時に割れ24が発生しない場合がある。このような場合であっても、レーザ光L2を照射しない場合に比べれば、拡張フィルム19の拡張によって、加工対象物1を切断予定ライン5に沿って容易且つ高精度に分割することができる。
【0065】
以上の実施例2に係るレーザ加工方法においては、上述した実施例1に係るレーザ加工方法と同様に、切断予定ライン5に沿って加工対象物1の内部に切断起点領域8を形成することができる。そして、加工対象物1に対して吸収性を有するレーザ光L2を切断予定ライン5に沿って加工対象物1に照射することで、このような照射を行わない場合に比べて小さな力によって、切断起点領域8を起点とした割れ24を加工対象物1の表面3と裏面21とに到達させることができる。したがって、加工対象物1が固定された拡張フィルム19をより小さな力で拡張させることができ、切断予定ライン5に沿って加工対象物1を精度良く切断することが可能になる。しかも、この拡張フィルム19を拡張させることで、各チップ24が離間することになるため、切断予定ライン5に沿った加工対象物1の切断の確実性をより一層向上させることができる。
【0066】
本発明は、上述した実施例1及び実施例2には限定されない。
【0067】
例えば、加工対象物1の材料、及びその加工対象物1に対して吸収性を有するレーザ光L2の種類としては、次のようなものが好ましい。すなわち、加工対象物1がシリコンウェハやGaAs系ウェハの場合は、レーザ光L2として、波長が500nm〜1100nmのレーザ光を用いることが好ましい。具体的には、YAGレーザの2倍波(波長532nm)、GaAs系の半導体レーザ(波長780nmや波長808nm)、Ndドープのファイバーレーザ(波長1060nm)等がある。また、加工対象物1がガラスの場合は、レーザ光L2として、波長が2μm以上のレーザ光を用いることが好ましい。具体的には、CO2レーザ(波長10.6μm)、COレーザ(波長約5.5μm)、フッ化水素レーザ(波長約2.9μm)等がある。
【0068】
また、レーザ光L2の照射により発生する割れ24を加工対象物1の表面3又は裏面21のいずれか一方に到達させてもよい。このような制御は、加工対象物1の厚さ方向における中心位置から表面3又は裏面21のいずれか一方に偏倚させて改質領域7を形成することで可能になる。特に、レーザ光L2の照射により割れ24を加工対象物1の拡張フィルム19側の面に到達させると、拡張フィルム19の拡張による加工対象物1の割断精度をより一層向上させることができる。
【0069】
なお、「加工対象物1の厚さ方向における中心位置から加工対象物1の表面3側に偏倚させて改質領域7を形成する」とは、切断起点領域8を構成する改質領域7が、加工対象物1の厚さ方向における厚さの半分の位置から表面3側に偏倚して形成されることを意味する。つまり、加工対象物1の厚さ方向における改質領域7の幅の中心位置が、加工対象物1の厚さ方向における中心位置から表面3側に偏倚して位置している場合を意味し、改質領域7の全ての部分が加工対象物1の厚さ方向における中心位置に対して表面3側に位置している場合のみに限る意味ではない。加工対象物1の裏面21側に偏倚させて改質領域7を形成する場合についても同様である。
【0070】
また、上述したレーザ光L2の照射は切断予定ライン5上への照射であったが、切断予定ライン5近傍への照射であってもよい。また、レーザ光L2の集光点P2の位置は加工対象物1の表面3上でなくてもよい。
【0071】
【発明の効果】
本発明に係るレーザ加工方法によれば、切断予定ラインに沿って加工対象物を確実且つ高精度に切断することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態に係るレーザ加工方法によるレーザ加工中の加工対象物の平面図である。
【図2】図1に示す加工対象物のII−II線に沿った断面図である。
【図3】本実施形態に係るレーザ加工方法によるレーザ加工後の加工対象物の平面図である。
【図4】図3に示す加工対象物のIV−IV線に沿った断面図である。
【図5】図3に示す加工対象物のV−V線に沿った断面図である。
【図6】本実施形態に係るレーザ加工方法により切断された加工対象物の平面図である。
【図7】本実施形態に係るレーザ加工方法における電界強度とクラックスポットの大きさとの関係を示すグラフである。
【図8】本実施形態に係るレーザ加工方法の第1工程における加工対象物の断面図である。
【図9】本実施形態に係るレーザ加工方法の第2工程における加工対象物の断面図である。
【図10】本実施形態に係るレーザ加工方法の第3工程における加工対象物の断面図である。
【図11】本実施形態に係るレーザ加工方法の第4工程における加工対象物の断面図である。
【図12】本実施形態に係るレーザ加工方法により切断されたシリコンウェハの一部における断面の写真を表した図である。
【図13】本実施形態に係るレーザ加工方法におけるレーザ光の波長とシリコン基板の内部の透過率との関係を示すグラフである。
【図14】本実施形態に係るレーザ加工装置の概略構成図である。
【図15】本実施形態に係る切断起点領域形成工程を説明するためのフローチャートである。
【図16】実施例1に係る加工対象物の平面図である。
【図17】実施例1に係る加工対象物に切断起点領域を形成している様子を示す断面図である。
【図18】実施例1に係る加工対象物に吸収性を有するレーザ光を照射している様子を示す断面図である。
【図19】実施例1に係る加工対象物をフィルム拡張装置にセットした様子を示す断面図である。
【図20】実施例1に係る加工対象物が固定された拡張フィルムを拡張させた様子を示す断面図である。
【図21】実施例2に係る加工対象物に吸収性を有するレーザ光を照射している様子を示す断面図である。
【符号の説明】
1…加工対象物、3…加工対象物の表面(レーザ光入射面)、5…切断予定ライン、7…改質領域、8…切断起点領域、19…拡張フィルム(保持部材)、19a…拡張フィルムの表面、25…チップ、L,L1,L2…レーザ光、P,P1,P2…集光点。
Claims (3)
- 拡張可能な保持部材の表面に固定されたウェハ状の加工対象物の内部に集光点を合わせてレーザ光を照射し、前記加工対象物の内部に改質領域を形成し、この改質領域によって、前記加工対象物の切断予定ラインに沿って前記加工対象物のレーザ光入射面から所定距離内側に切断起点領域を形成する工程と、
前記切断起点領域を形成する工程後、前記加工対象物に対して吸収性を有するレーザ光を前記切断予定ラインに沿って前記加工対象物に照射することで、前記切断予定ラインに沿って前記加工対象物を切断する工程と、
前記加工対象物を切断する工程後、前記保持部材を拡張させることで、切断された前記加工対象物のそれぞれの部分を離間させる工程とを備えることを特徴とするレーザ加工方法。 - 拡張可能な保持部材の表面に固定されたウェハ状の加工対象物の内部に集光点を合わせてレーザ光を照射し、前記加工対象物の内部に改質領域を形成し、この改質領域によって、前記加工対象物の切断予定ラインに沿って前記加工対象物のレーザ光入射面から所定距離内側に切断起点領域を形成する工程と、
前記切断起点領域を形成する工程後、前記加工対象物に対して吸収性を有するレーザ光を前記切断予定ラインに沿って前記加工対象物に照射する工程と、
前記加工対象物に照射する工程後、前記保持部材を拡張させることで、前記加工対象物を切断し、かつ切断された前記加工対象物のそれぞれの部分を離間させる工程とを備えることを特徴とするレーザ加工方法。 - 前記加工対象物は半導体材料により形成され、前記改質領域は溶融処理領域であることを特徴とする請求項1又は2記載のレーザ加工方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2003063777A JP2004268103A (ja) | 2003-03-10 | 2003-03-10 | レーザ加工方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2003063777A JP2004268103A (ja) | 2003-03-10 | 2003-03-10 | レーザ加工方法 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2004268103A true JP2004268103A (ja) | 2004-09-30 |
| JP2004268103A5 JP2004268103A5 (ja) | 2006-04-27 |
Family
ID=33125270
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP2003063777A Pending JP2004268103A (ja) | 2003-03-10 | 2003-03-10 | レーザ加工方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP2004268103A (ja) |
Cited By (4)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2007118207A (ja) * | 2005-10-25 | 2007-05-17 | Seiko Epson Corp | 積層体の加工方法 |
| JP2013126683A (ja) * | 2011-11-18 | 2013-06-27 | Hamamatsu Photonics Kk | レーザ加工方法 |
| JP2014176901A (ja) * | 2009-04-07 | 2014-09-25 | Hamamatsu Photonics Kk | レーザ加工装置及びレーザ加工方法 |
| CN111009465A (zh) * | 2018-10-05 | 2020-04-14 | 株式会社迪思科 | 晶片的加工方法 |
-
2003
- 2003-03-10 JP JP2003063777A patent/JP2004268103A/ja active Pending
Cited By (7)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2007118207A (ja) * | 2005-10-25 | 2007-05-17 | Seiko Epson Corp | 積層体の加工方法 |
| JP2014176901A (ja) * | 2009-04-07 | 2014-09-25 | Hamamatsu Photonics Kk | レーザ加工装置及びレーザ加工方法 |
| US9035216B2 (en) | 2009-04-07 | 2015-05-19 | Hamamatsu Photonics K.K. | Method and device for controlling interior fractures by controlling the laser pulse width |
| KR101769158B1 (ko) * | 2009-04-07 | 2017-08-17 | 하마마츠 포토닉스 가부시키가이샤 | 레이저 가공 장치 및 레이저 가공 방법 |
| JP2013126683A (ja) * | 2011-11-18 | 2013-06-27 | Hamamatsu Photonics Kk | レーザ加工方法 |
| CN111009465A (zh) * | 2018-10-05 | 2020-04-14 | 株式会社迪思科 | 晶片的加工方法 |
| JP2020061398A (ja) * | 2018-10-05 | 2020-04-16 | 株式会社ディスコ | ウエーハの加工方法 |
Similar Documents
| Publication | Publication Date | Title |
|---|---|---|
| JP4606741B2 (ja) | 加工対象物切断方法 | |
| JP3626442B2 (ja) | レーザ加工方法 | |
| JP4322881B2 (ja) | レーザ加工方法及びレーザ加工装置 | |
| JP3722731B2 (ja) | レーザ加工方法 | |
| JP3670267B2 (ja) | レーザ加工方法 | |
| JP4167094B2 (ja) | レーザ加工方法 | |
| WO2004080643A1 (ja) | レーザ加工方法 | |
| JP4409840B2 (ja) | 加工対象物切断方法 | |
| JP4659301B2 (ja) | レーザ加工方法 | |
| JP2003088973A (ja) | レーザ加工方法 | |
| JP3751970B2 (ja) | レーザ加工装置 | |
| JP4509720B2 (ja) | レーザ加工方法 | |
| JP4837320B2 (ja) | 加工対象物切断方法 | |
| JP3761567B2 (ja) | レーザ加工方法 | |
| JP4664140B2 (ja) | レーザ加工方法 | |
| JP2005159378A (ja) | レーザ加工方法 | |
| JP2003088974A (ja) | レーザ加工方法 | |
| WO2004080642A1 (ja) | レーザ加工方法 | |
| JP3867109B2 (ja) | レーザ加工方法 | |
| JP3867108B2 (ja) | レーザ加工装置 | |
| JP3867003B2 (ja) | レーザ加工方法 | |
| JP3990710B2 (ja) | レーザ加工方法 | |
| JP3867110B2 (ja) | レーザ加工方法 | |
| JP2003088975A (ja) | レーザ加工方法 | |
| JP3761566B2 (ja) | 半導体チップの製造方法 |
Legal Events
| Date | Code | Title | Description |
|---|---|---|---|
| A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20060309 |
|
| A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20060309 |
|
| A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20080718 |
|
| A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20080729 |
|
| A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20081202 |