JP2004263680A - エンジン失火領域推定方法及びエンジン制御パラメータ適合方法並びにエンジン失火領域推定装置及びエンジン制御パラメータ適合装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】エンジン特性の計測データに基づいてエンジンの制御パラメータと着火遅れ・燃焼期間との関係と、着火遅れ・燃焼期間と燃焼安定性との関係をモデル化して失火推定モデルを作成し、この失火推定モデルを用いて失火領域を推定する。このように、失火推定モデルから失火領域を推定できれば、推定した失火領域を除いた燃焼可能領域のみに計測ポイントを配置してエンジン特性を計測し、その計測データに基づいてエンジン特性モデルを作成する。このエンジン特性モデルが要求精度を満足すれば、このエンジン特性モデルを用いて制御パラメータを適合する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジンの制御パラメータの適合工程で、エンジンの失火領域を推定するエンジン失火領域推定方法及びエンジン制御パラメータ適合方法並びにエンジン失火領域推定装置及びエンジン制御パラメータ適合装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年の自動車に搭載されるエンジンは、車載コンピュータで点火時期、噴射時期等の制御パラメータを運転条件に応じてマップにより最適値に制御することにより、出力向上、排気エミッション低減、燃費節減等を実現するようにしている。エンジンの制御パラメータのマップ定数の最適値は、機種毎に異なるため、エンジンの設計開発過程で、制御パラメータのマップ定数を要求性能を満足するように適合する作業が必要となってくる。
【0003】
従来の適合方法は、例えば、点火時期と噴射時期の2つの制御パラメータを適合する場合は、点火時期と噴射時期の各々についてそれぞれ必要数の計測ポイントを設定し、それらの全ての組み合わせの測定条件(各制御パラメータの計測ポイントの数が例えば10個の場合は10×10=100通りの条件)でエンジンを運転して、トルク、排気エミッション、燃費等を測定して適合度を評価し、その適合度が最高となる最適ポイントを求めるようにしている。
【0004】
しかし、近年の高性能エンジンは、可変バルブタイミング機構やEGRシステム等の様々な機能を搭載しているため、適合すべき制御パラメータが点火時期と噴射時期のみではなく、バルブタイミングやEGR率等も適合する必要がある。このため、適合すべき制御パラメータの数が増加する傾向にあり、制御パラメータの適合作業が非常に面倒なものとなってきている。
【0005】
そこで、特許文献1(特開2002−206456号公報)に示すように、予め設定した所定数の代表計測ポイントでエンジンの特性値を計測して、その計測結果に基づいて各制御パラメータとエンジンの特性値との関係を定めたモデル式を求め、このモデル式を用いて制御パラメータの適合値を算出することが提案されている。
【0006】
【特許文献1】
特開2002−206456号公報(第1頁〜第2頁等)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、可変バルブタイミング機構やEGRシステム等の様々な機能を搭載したエンジンでは、多くの制御パラメータの要因が複雑に絡み合って燃焼状態が変化するため、各制御パラメータとエンジンの特性値との関係を精度良くモデル化することは困難である。このため、精度の悪いモデル式を用いて制御パラメータの適合値を算出することになり、制御パラメータの適合値の算出精度が悪いという欠点がある。
【0008】
この対策として、上記特許文献1では、モデル式で算出した制御パラメータの適合値を実車走行試験で評価して、モデル式を修正して、再度、制御パラメータの適合値を算出して実車走行試験で評価するという作業を何回も繰り返すことで、制御パラメータの適合値の精度を確保するようにしている。
【0009】
しかし、この方法では、実車走行試験を何回も繰り返す必要があり、結果として、モデル式導入による適合工数(適合時間)削減の効果がかなり減殺されてしまう可能性がある。
【0010】
本発明はこのような事情を考慮してなされたものであり、従ってその目的は、エンジンの制御パラメータの適合作業の時間短縮化に大きな効果を期待できるエンジン失火領域推定方法及びエンジン制御パラメータ適合方法並びにエンジン失火領域推定装置及びエンジン制御パラメータ適合装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、エンジン特性の計測データに基づいてエンジンの制御パラメータと着火遅れ・燃焼期間との関係と、着火遅れ・燃焼期間と燃焼安定性との関係をモデル化して失火推定モデルを作成し、この失火推定モデルを用いて失火領域を推定するようにしたものである(請求項1、9)。
【0012】
このように、失火推定モデルから失火領域を推定できれば、推定した失火領域を除いた燃焼可能領域内で計測ポイントを配置してエンジン特性を計測し、その計測データに基づいてエンジン特性モデルを作成し、このエンジン特性モデルを用いて制御パラメータを適合することが可能となる(請求項8、11)。これにより、制御パラメータの適合工程で、予め失火領域に含まれる計測ポイントを取り除いて、燃焼可能領域のみでエンジン特性を計測することが可能となり、計測時間を大幅に短縮することができて、制御パラメータの適合工程の作業時間を大幅に短縮することができる。
【0013】
本発明で用いる失火推定モデルは、制御パラメータと燃焼安定性(失火度合い)との関係をモデル化する際に、図1に示すように、制御パラメータから着火遅れと燃焼期間を推定するモデル▲1▼と、着火遅れと燃焼期間から燃焼安定性(失火度合い)を推定するモデル▲2▼を作成し、これら2つのモデル▲1▼,▲2▼から失火推定モデルを構成したところに特徴がある。
【0014】
一般に、正常燃焼は、点火プラグの火花放電が火炎核に成長し、その火炎が混合気全体に伝播して終了する。これに対して、失火のメカニズムを解析すると、失火は、火花放電が火炎核まで成長ぜずに火炎が消滅してしまう着火遅れ中の失火と、火炎核発生後に消炎してしまう燃焼期間中の失火の2通りの失火がある(図2、図3参照)。この2通りの失火の発生メカニズムに着目して、本発明の失火推定モデルは、燃焼安定性(失火度合い)を評価するパラメータとして、まず、“着火遅れ”と“燃焼期間”という2つのパラメータを推定し、推定した“着火遅れ”と“燃焼期間”から燃焼安定性(失火度合い)を推定するようにしたものである。このようにすれば、着火遅れ中の失火と燃焼期間中の失火の2通りの失火を両方とも精度良く推定することができ、失火領域の推定精度を向上させることができる。
【0015】
ここで、着火遅れと燃焼期間は、図2に示す燃焼圧波形から求められる燃焼質量割合によって定義され、燃焼質量割合の例えば0〜10%に相当する期間を着火遅れといい、燃焼質量割合の例えば10〜90%に相当する期間を燃焼期間という(図3参照)。
【0016】
失火推定モデルの精度を向上させるために、失火推定モデルの作成を適宜の回数繰り返すようにしても良い(請求項2、10)。具体的には、作成した失火推定モデルを用いて失火領域を推定した後、推定した失火領域を除いた燃焼可能領域内に必要数の計測ポイントを配置してエンジン特性を計測し、その計測データを用いて前記失火推定モデルを作成するという処理を繰り返すことで、当該失火推定モデルの精度を向上させるようにしても良い。このようにすれば、失火推定モデルの作成を繰り返す毎に当該失火推定モデルの精度を高めていくことができる。
【0017】
この場合、失火推定モデル作成のための計測ポイントを配置する際に、実験計画法によって燃焼可能領域内に必要数の計測ポイントを配置するようにしても良いし(請求項3)、或は、制御パラメータの可変範囲内で実験計画法によって所定数の計測ポイントを配置した後、それらの計測ポイントの中から失火推定モデルにより失火領域内と推定される計測ポイントを取くようにしても良い(請求項4)。この際、失火領域内と推定されて取り除かれた計測ポイントの数分の新たな計測ポイントを実験計画法によって追加するという処理を、燃焼可能領域内に必要数の計測ポイントを配置するまで繰り返すようにすれば良い(請求項5)。要は、最終的に燃焼可能領域内に必要数の計測ポイントを配置できれば良い。
【0018】
また、失火推定モデルにより着火遅れを推定する際に、着火遅れを少なくとも点火時期と筒内ガスの組成に基づいて推定するようにすると良い(請求項6)。エンジンの各種の制御パラメータのうち、着火遅れに最も影響を及ぼすパラメータは、点火時期と筒内ガスの組成であるため、着火遅れを少なくとも点火時期と筒内ガスの組成に基づいて推定するようにすれば、着火遅れを精度良く推定することができる。
【0019】
また、失火推定モデルにより燃焼期間を推定する際に、燃焼期間を少なくとも燃焼するタイミングと筒内ガスの組成に基づいて推定するようにすれば良い(請求項7)。エンジンの各種の制御パラメータのうち、燃焼期間に最も影響を及ぼすパラメータは、燃焼するタイミングであるため、燃焼期間を少なくとも燃焼するタイミングに基づいて推定するようにすれば、燃焼期間を精度良く推定することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
《実施形態(1)》
以下、本発明の実施形態(1)を図1乃至図6に基づいて説明する。
まず、本実施形態(1)の失火推定モデルの概要を図1に基づいて説明する。本実施形態(1)の失火推定モデルは、2つのモデル▲1▼,▲2▼からなり、1つ目のモデル▲1▼は、エンジンの制御パラメータと着火遅れ・燃焼期間との関係をモデル化したものであり、2つ目のモデル▲2▼は、着火遅れ・燃焼期間と燃焼安定性との関係をモデル化したものである。
【0021】
ここで、着火遅れと燃焼期間は、図2に示す燃焼圧波形から求められる燃焼質量割合によって定義され、図3に示すように、燃焼質量割合の例えば0〜10%に相当する期間を着火遅れといい、燃焼質量割合の例えば10〜90%に相当する期間を燃焼期間という。燃焼質量割合は、燃焼開始直前の筒内ガスの全質量に対して燃焼したガスの質量の割合であり、燃焼質量割合のグラフの横軸をクランク角とすることによって、着火遅れと燃焼期間は、それぞれクランク角で表される。
【0022】
燃焼安定性は、失火度合いを表し、燃焼安定性が良いほど、燃焼のばらつきが少なく、失火しにくいことを意味する。本実施形態では、燃焼安定性を表すパラメータとして、例えばCOV(Coefficiency Of Variation) を用いる。このCOVは、図示平均有効圧の標準偏差を平均値で割ったものである。
【0023】
次に、図4に基づいて失火推定モデルの具体的構成を説明する。前述したように、失火推定モデルは、2つのモデル▲1▼,▲2▼からなり、1つ目のモデル▲1▼は、エンジンの制御パラメータと着火遅れ・燃焼期間との関係をモデル化したものであり、2つ目のモデル▲2▼は、着火遅れ・燃焼期間と燃焼安定性との関係をモデル化したものである。更に、1つ目のモデル▲1▼は、筒内ガス空燃比G/Fを演算するG/F演算部11と、着火遅れを推定する着火遅れ推定部12と、燃焼質量割合50%(MBF50%)のクランク角を推定するMBF50%推定部13と、燃焼期間を推定する燃焼期間推定部14とから構成されている。
【0024】
G/F演算部11は、エンジンの制御パラメータである吸入空気量、供給空燃比(燃料噴射量)、EGR率等に基づいて筒内ガス空燃比G/Fを所定の関数又はマップ等により演算する。この筒内ガス空燃比G/Fは、筒内ガスの組成に関するパラメータとして用いられる。
【0025】
一般に、着火遅れと燃焼期間は、筒内ガス空燃比G/Fがリーンになるほど長くなる傾向がある。更に、着火遅れは、点火時期がTDC(圧縮上死点)に近付くほど短くなる傾向がある。また、燃焼期間は、燃焼するタイミングにTDCが近づくほど短くなる傾向がある。そこで、着火遅れ推定部12は、筒内ガス空燃比G/Fと点火時期に基づいて着火遅れを所定の関数又はマップ等により演算する。
【0026】
また、同じ点火時期であっても、着火遅れの長さにより燃焼するタイミングが変化して、燃焼期間に及ぼす影響が異なるため、点火時期の代わりに、燃焼するタイミングである反応時のクランク角を用いることが妥当であると考えられる。そこで、燃焼期間推定部14では、反応時のクランク角として、燃焼期間(燃焼質量割合の10〜90%の中心である50%(MBF50%)のクランク角を用い、このMBF50%のクランク角と筒内ガス空燃比G/Fに基づいて燃焼期間を所定の関数又はマップ等により演算する。
【0027】
尚、MBF50%推定部13では、燃焼質量割合10%(MBF10%)のクランク角と筒内ガス空燃比G/Fに基づいてMBF50%のクランク角を所定の関数又はマップ等により演算する。ここで、MBF10%のクランク角は、点火時期に着火遅れを加算して求められる。
【0028】
2つ目のモデル▲2▼は、1つ目のモデル▲1▼で推定した着火遅れと燃焼期間に基づいて、燃焼安定性を表すパラメータとしてCOVを所定の関数又はマップ等により演算する。最終的には、このCOVの値が所定値以上(例えば10%以上)であるか否かで、失火領域であるか否かを判定する。
【0029】
以上説明した失火推定モデルを用いて、エンジンの失火領域を推定するエンジン失火領域推定装置(エンジン制御パラメータ適合装置)のシステム構成を図5に基づいて説明する。
【0030】
適合するエンジン21をベンチ22上に取り付け、このエンジン21のクランク軸を動力計23に連結する。失火領域推定・適合作業中は、エンジン21の各種のアクチュエータを電子制御ユニット(ECU)24によって制御する。この電子制御ユニット24は、適合ツール26(適合手段)を介してコンピュータ27に接続され、失火領域推定・適合作業中は、このコンピュータ27から適合ツール26を介して電子制御ユニット24に制御信号を送信することで、電子制御ユニット24内の各制御パラメータのマップ定数等を変更する。失火領域推定・適合作業中のエンジン21のスロットル開度は、スロットルコントロール装置25によって調整される。
【0031】
失火領域推定・適合作業中は、動力計制御盤28によって動力計23とスロットルコントロール装置25を制御してエンジン負荷を制御すると共に、動力計23で計測したエンジントルクをコンピュータ27に送信する。エンジン21の各気筒には、筒内圧(燃焼圧)を検出する筒内圧センサ(図示せず)が取り付けられ、各気筒の筒内圧センサの出力信号を燃焼解析装置29で解析し、燃焼圧波形を計測して燃焼質量割合(MBF)等を算出するようになっている。エンジン21から排出される排出ガスは、排出ガス分析計30で分析され、排出ガス中のNOx、CO、HC等のエミッションの測定結果がコンピュータ27に送信される。このシステムで適合可能なエンジン21は、吸気ポート噴射エンジン、筒内噴射エンジン等のいずれの方式でも良い。
【0032】
以上のように構成されたエンジン失火領域推定装置(エンジン制御パラメータ適合装置)を用いて、図6に示す失火推定モデル作成プログラムによって失火推定モデルを次のようにして作成する。本プログラムは、コンピュータ27によって実行され、特許請求の範囲でいうモデル作成手段としての役割を果たす。
【0033】
本プログラムが起動されると、まず、ステップ101で、失火推定モデルの作成に必要最少限の計測ポイントを実験計画法等によって配置して、各々の計測ポイントの条件でエンジン21を運転して、吸入空気量、供給空燃比、EGR率、点火時期、燃焼圧波形等の各種のエンジン特性データを計測する。この段階では、まだ失火領域を推定できないため、計測ポイントは、エンジン制御パラメータの可変範囲内で実験計画法等によって配置すれば良い。尚、類似エンジンで作成した失火推定モデルがある場合は、その失火推定モデルを用いて推定した燃焼可能領域内に必要数の計測ポイントを実験計画法等によって配置するようにしても良い。
【0034】
次のステップ102で、上記計測データに基づいて失火推定モデルを作成する。この際、吸入空気量、供給空燃比、EGR率等から筒内ガス空燃比G/Fを算出し、燃焼圧波形から燃焼質量割合(MBF)を算出すると共に、着火遅れ(MBFの0〜10%の期間)、燃焼期間(MBFの10〜90%の期間)、MBF10%のクランク角、MBF50%のクランク角、COV等を算出し、これらのデータから失火推定モデルの変数を同定する。これにより、失火推定モデルが作成される。
【0035】
上記ステップ101で計測ポイントを配置する段階では、まだ失火領域を推定できないため、一部の計測ポイントが失火領域に含まれるものと思われる。そのため、失火ポイントを除いて作成したエンジン特性モデルは、精度が要求レベルを満たしていないものと思われる。
【0036】
そこで、エンジン特性モデルの精度が要求精度を満たしていない場合には、要求精度を満たすまで計測を繰り返すものとする(ステップ108)。この際、失火推定モデルは、前回のエンジン特性用に計測されたデータを用いて精度を向上させる。
【0037】
失火推定モデルの作成後、前回の失火推定モデルで燃焼可能領域(失火領域)を推定し(ステップ104)、推定した燃焼可能領域内に必要数の計測ポイントを実験計画法等によって配置する(ステップ105)。この後、各々の計測ポイントの条件でエンジン21を運転して、吸入空気量、供給空燃比、EGR率、点火時期、燃焼圧波形等の各種のエンジン特性データを計測して(ステップ106)、その計測データに基づいてエンジン特性モデルを作成する(ステップ107)。
【0038】
この後、エンジン特性モデルの精度検証を行い(ステップ108)、要求精度が満たされていない場合には、ステップ102に戻り、エンジン特性の計測データに基づいて失火推定モデルを作成する処理を繰り返す。この段階では、前回作成した失火推定モデルを用いて燃焼可能領域(失火領域)を推定して、燃焼可能領域のみに計測ポイントを配置できるため、失火推定モデルの精度を向上させることができる。
【0039】
このようにすれば、失火推定モデルの作成を繰り返す毎に当該失火推定モデルの精度を高めていくことができる。そして、エンジン特性モデルの要求精度が満たされた時点で、失火推定モデルの作成を終了する。
【0040】
その後、エンジン21の制御パラメータを適合する場合は、上記失火推定モデルを用いて燃焼可能領域(失火領域)を推定し、燃焼可能領域内のみに計測ポイントを配置してエンジン特性を計測し、その計測データに基づいてエンジン特性モデルを作成し、このエンジン特性モデルを用いて制御パラメータを適合する(ステップ109)。
【0041】
これにより、制御パラメータの適合工程で、予め失火領域に含まれる計測ポイントを取り除いて、燃焼可能領域のみでエンジン特性を計測することが可能となり、計測時間を大幅に短縮することができて、制御パラメータの適合工程の作業時間を大幅に短縮することができる。
【0042】
《実施形態(2)》
上記実施形態(1)では、失火推定モデルの作成を繰り返す際に、前回作成した失火推定モデルを用いて燃焼可能領域(失火領域)を推定して、燃焼可能領域内のみに必要数の計測ポイントを配置するようにしたが、制御パラメータの可変範囲内で実験計画法によって所定数の計測ポイントを配置した後、それらの計測ポイントの中から前回の失火推定モデルにより失火領域内と推定される計測ポイントを取くようにしても良い。この際、失火領域内と推定されて取り除かれた計測ポイントの数分の新たな計測ポイントを実験計画法によって追加するという処理を、燃焼可能領域内に必要数の計測ポイントを配置するまで繰り返すようにすると良い。
以下、これを具体化した本発明の実施形態(2)の失火推定モデル作成プログラムを図7に基づいて説明する。
【0043】
本実施形態(2)の失火推定モデル作成プログラムにおいても、前記実施形態(1)と同じ方法で、推定した燃焼可能領域内に必要数の計測ポイントを実験計画法等によって配置した後(ステップ201〜204)、前回の失火推定モデルで失火領域を推定して、その失火領域内に存在する計測ポイントを削除する(ステップ205)。この後、ステップ206に進み、削除されなかった残りの計測ポイント(燃焼可能領域内の計測ポイント)が必要数以上であるか否かを判定し、必要数よりも少なければ、ステップ207に進み、上記ステップ205で失火領域内と推定されて取り除かれた計測ポイントの数分の新たな計測ポイントを実験計画法によって追加し、ステップ205に戻り、追加した計測ポイントの中から失火領域内に存在する計測ポイントを削除する。
【0044】
以上のような処理を燃焼可能領域内の計測ポイントが必要数以上になるまで繰り返し、必要数以上になった時点で、ステップ208に進み、各々の計測ポイントの条件でエンジン21を運転して、吸入空気量、供給空燃比、EGR率、点火時期、燃焼圧波形等の各種のエンジン特性データを計測して、その計測データに基づいてエンジン特性モデルを作成する(ステップ209)。
【0045】
この後、エンジン特性モデルの精度検証を行い(ステップ210)、要求精度が満たされていない場合には、ステップ202に戻り、エンジン特性の計測データに基づいて失火推定モデルを作成する処理を繰り返す。その後、前記実施形態(1)と同様の方法で、エンジン特性モデルを用いて制御パラメータを適合する(ステップ211)。
【0046】
以上説明した本実施形態(2)でも、前記実施形態(1)と同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の失火推定モデルを概略的に示す図
【図2】燃焼圧波形を示す図
【図3】燃焼質量割合とクランク角との関係を示す図
【図4】本発明の実施形態(1)の失火推定モデルを概略的に示す図
【図5】エンジン失火領域推定装置のシステム構成を示す図
【図6】本発明の実施形態(1)の失火推定モデル作成プログラムの処理の流れを示すフローチャート
【図7】本発明の実施形態(2)の失火推定モデル作成プログラムの処理の流れを示すフローチャート
【符号の説明】
11…G/F演算部、12…着火遅れ推定部、13…MBF50%推定部、14…燃焼期間推定部、21…エンジン、26…適合ツール(適合手段)、27…コンピュータ(モデル作成手段,失火領域推定手段)。
Claims (11)
- エンジンの制御パラメータの適合工程で、エンジンの失火領域を推定する方法であって、
エンジン特性の計測データに基づいてエンジンの制御パラメータと着火遅れ・燃焼期間との関係と、着火遅れ・燃焼期間と燃焼安定性との関係をモデル化して失火推定モデルを作成し、この失火推定モデルを用いて失火領域を推定することを特徴とするエンジン失火領域推定方法。 - 前記失火推定モデルを用いて失火領域を推定した後、推定した失火領域を除いた燃焼可能領域内に必要数の計測ポイントを配置してエンジン特性を計測し、その計測データを用いて前記失火推定モデルを作成するという処理を繰り返すことで、当該失火推定モデルの精度を向上させることを特徴とする請求項1に記載のエンジン失火領域推定方法。
- 前記計測ポイントを配置する際に、実験計画法によって前記燃焼可能領域内に必要数の計測ポイントを配置することを特徴とする請求項2に記載のエンジン失火領域推定方法。
- 前記計測ポイントを配置する際に、前記制御パラメータの可変範囲内で実験計画法によって所定数の計測ポイントを配置した後、それらの計測ポイントの中から前記失火推定モデルにより失火領域内と推定される計測ポイントを取くことを特徴とする請求項2に記載のエンジン失火領域推定方法。
- 前記失火領域内と推定されて取り除かれた計測ポイントの数分の新たな計測ポイントを実験計画法によって追加するという処理を、前記燃焼可能領域内に必要数の計測ポイントを配置するまで繰り返すことを特徴とする請求項4に記載のエンジン失火領域推定方法。
- 前記失火推定モデルは、着火遅れを少なくとも点火時期と筒内ガスの組成に基づいて推定するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のエンジン失火領域推定方法。
- 前記失火推定モデルは、燃焼期間を少なくとも燃焼するタイミングと筒内ガスの組成に基づいて推定するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のエンジン失火領域推定方法。
- 請求項1乃至7のいずれかに記載の失火領域推定方法を用いて失火領域を推定した後、推定した失火領域を除いた燃焼可能領域内で計測ポイントを配置してエンジン特性を計測し、その計測データに基づいてエンジン特性モデルを作成し、このエンジン特性モデルを用いて前記制御パラメータを適合することを特徴とするエンジン制御パラメータ適合方法。
- エンジンの失火領域を推定するエンジン失火領域推定装置であって、
エンジン特性の計測データに基づいてエンジンの制御パラメータと着火遅れ・燃焼期間との関係と、着火遅れ・燃焼期間と燃焼安定性との関係をモデル化して失火推定モデルを作成するモデル作成手段と、
前記失火推定モデルを用いて失火領域を推定する失火領域推定手段と
を備えていることを特徴とするエンジン失火領域推定装置。 - 前記モデル作成手段は、作成した前記失火推定モデルを用いて失火領域を推定した後、推定した失火領域を除いた燃焼可能領域内に必要数の計測ポイントを配置してエンジン特性を計測し、その計測データに基づいて前記失火推定モデルを作成するという処理を繰り返すことで、当該失火推定モデルの精度を向上させることを特徴とする請求項9に記載のエンジン失火領域推定装置。
- 請求項9又は10に記載のエンジン失火領域推定装置と、
前記エンジン失火領域推定装置で推定した失火領域を除いた燃焼可能領域内で計測ポイントを配置してエンジン特性を計測し、その計測データに基づいてエンジン特性モデルを作成し、このエンジン特性モデルを用いて前記制御パラメータを適合する適合手段とを備えていることを特徴とするエンジン制御パラメータ適合装置。
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