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JP2004261260A - 人工血管 - Google Patents

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JP2004261260A
JP2004261260A JP2003052512A JP2003052512A JP2004261260A JP 2004261260 A JP2004261260 A JP 2004261260A JP 2003052512 A JP2003052512 A JP 2003052512A JP 2003052512 A JP2003052512 A JP 2003052512A JP 2004261260 A JP2004261260 A JP 2004261260A
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JP
Japan
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blood vessel
artificial
artificial blood
tissue
growth factor
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Pending
Application number
JP2003052512A
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English (en)
Inventor
Yasuhide Nakayama
泰秀 中山
Michiko Hayashi
美智子 林
Keiichi Takamizawa
計一 高見沢
Hatsue Ueda
初江 植田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Bridgestone Corp
National Cerebral and Cardiovascular Center
Original Assignee
Bridgestone Corp
National Cerebral and Cardiovascular Center
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Publication date
Application filed by Bridgestone Corp, National Cerebral and Cardiovascular Center filed Critical Bridgestone Corp
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Abstract

【課題】生体内へ埋入した人工物の周辺に形成される管状の組織体を脱細胞処理することにより得られる人工血管において、繊維質の比率や密度などが制御された組織体を従来よりも短い人工物埋入期間にて再現性良く形成させ、この組織体から内径6mm以下の小口径であっても長期に亘り高い開存率を維持し得る人工血管、特に、分岐部を有する人工血管を容易に提供する。
【解決手段】生体内に埋入する人工物として、メチルメタクリレート、スチレン、2,2,2−トリフルオロエチレンメタクリレート、N,N−ジメチルアクリルアミド、メタクリル酸ナトリウム、(N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド)メチオダイドの1種又は2種以上のモノマーを表面にグラフト重合したアクリル樹脂、又は、メチルメタクリレートを表面にグラフト重合したアクリル樹脂の表面をジチオカーボネートポリマーでコーティングしたものを用いる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、小口径でも開存率の良好な人工血管に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、人工血管としては、ポリエステル樹脂やPTFE樹脂製のメッシュからなるチューブが古くから実用化されており、小口径化や開存率向上などを課題として研究が進められている。現在までに検討されている技術は、主に、抗血栓材料として実績のあるセグメント化ポリウレタンチューブを使用したもの、グラフト鎖などを利用してヘパリンなどの抗血栓物質を表面に固定した人工血管材料などがある。
【0003】
一方、人工材料以外で人工血管を作成する検討もある。例えば、生体内へ人工物を埋入した際にこれを被覆するように形成される組織体である。該組織体は繊維質を含有しているため、物理的強度に優れており、組織適合性と血液適合性に優れた材料として検討がなされた(Chambell et al, Novel Vascular Graft Grown Within Recipient’s Own Peritoneal Cavity, Circulation Research, 1173, 1999)。
【0004】
生体内へ埋入した人工物の周囲を被覆するように形成される組織体で人工血管を作製する場合、一般には、人工物を生体内に埋入し、一定期間保持した後に摘出し、人工物の表面に形成された組織体をアルコールなどで脱細胞処理して多孔構造体とする方法がとられている。そして、埋入する人工物の材質としては、生体内で不活性であることが知られているシリコン樹脂、塩化ビニル樹脂、低密度ポリエチレンなどが検討されている。
【0005】
【非特許文献1】
Chambell et al, Novel Vascular Graft Grown Within Recipient’s Own Peritoneal Cavity, Circulation Research, 1173, 1999
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
生体内へ埋入した人工物の周囲を被覆するように形成される組織体を利用した従来の人工血管では次のような問題があった。
【0007】
生体内から摘出した組織体をアルコールなどで脱細胞処理して得られる多孔構造体の密度、柔軟性、空孔率、肉厚などを制御する技術が未だに確立されていない。即ち、形成される組織体の肉厚などは、人工物の埋入期間とある程度相関があるものの、宿主である生体の状態や人工物の埋入場所、埋入後の感染状態などによって形成される組織体の物性が大きく異なり、再現性のある組織体が得られていない。
【0008】
人工物自体に埋入期間中の寸法安定性がなければ、得られる組織体の寸法、形状に再現性を得ることはできないが、形成される組織体の物性が人工物の材料によってある程度決定されてしまい、組織体の物性の調整が不可能である。例えば、従来検討されている人工物のうち、シリコンを埋入した際に形成される組織体は硬く伸びにくく、人工血管としては不適であり、塩化ビニル樹脂や低密度ポチエチレンでは柔軟すぎて物理的強度が不足する傾向がある。
【0009】
その一方で、人工血管へ要求される特性として、材料自体が弾性力学的に生体血管に近似なS−S曲線(低血圧領域では高いコンプライアンスで低弾性であり、高血圧領域では低血圧領域よりも低いコンプライアンスの高弾性である特性)を示し、さらに移植しようとする部位によってそれぞれ異なるコンプライアンスβ値(例えば、ヒト冠状動脈は約40、大腿動脈は約20、頚動脈は約5)を有している必要がある。なぜならば、コンプライアンス値が異なる人工血管を生体血管へ吻合すると、血流による血管の拍動に伴う収縮挙動が互いに異なる結果、吻合部分において機械的ストレスが常時負荷されることになる。この機械的ストレスは吻合部において生体組織の肥厚を惹起し、この肥厚組織が吻合部周辺で血管狭窄さらには血管閉塞を引き起こすこととなる。
【0010】
また、これら組織体を人工血管として利用した場合、内壁に内皮細胞が生着することで抗血栓性を向上させる効果が期待でき、外周に血管平滑筋細胞を生着させて血管ポンプの機能を付与させることが期待できるが、このためには組織体の密度(空孔率)や孔径が、細胞が生着するために適している必要がある。
【0011】
従って、これら生体内で形成させた組織体を人工血管として利用するためには、埋入期間の調整により組織体の肉厚を調整するだけでなく、組織体の柔軟性などを支配する要素である組織体中の繊維質の比率や脱細胞処理後の密度(空孔率)などを厳密に制御する必要があるが、このような課題は未だ解決されていないのが現状である。
【0012】
更に、従来は人工血管として適用できる強度を有する組織体が形成されるまでには、3ヶ月以上もの埋入期間が必要であり、埋入する宿主への侵襲期間が長くなるという問題もあった。
【0013】
本発明は、上記従来の問題点を解決し、繊維質の比率や密度などが制御された組織体を従来よりも短い人工物埋入期間で再現性良く形成させ、この組織体から内径6mm以下の小口径であっても長期に亘り高い開存率を維持し得る人工血管、特に、分岐部を有する人工血管を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明の人工血管は、生体内へ埋入した人工物の周辺に形成される管状の組織体を脱細胞処理することにより得られる人工血管において、該人工物が、
▲1▼ メチルメタクリレート、スチレン、2,2,2−トリフルオロエチレンメタクリレート、N,N−ジメチルアクリルアミド、メタクリル酸ナトリウム及び(N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド)メチオダイドからなる群から選択されるモノマーの1種又は2種以上を表面にグラフト重合したアクリル樹脂
又は
▲2▼ メチルメタクリレートを表面にグラフト重合したアクリル樹脂の表面をジチオカーボネートポリマーでコーティングしたもの
であることを特徴とする。
【0015】
即ち、本発明者らは、本発明の目的を達成すべく鋭意検討した結果、生体内に埋入する人工物の表面の性質に注目し、該人工物の表面の性質と形成される組織体の性質に関連があること、上記▲1▼又は▲2▼の特定の人工物、即ち、特定のモノマーの導入、更にはコーティングにより表面の性状を調整したアクリル樹脂を用いることにより、生体内で再現性良く繊維質の比率や密度などが制御された組織体を従来よりも短い人工物埋入期間にて形成させることができ、この組織体から内径6mm以下の小口径であっても長期に亘り高い開存率を維持し得る人工血管、更には分岐部を有する人工血管を提供することができることを見出し、本発明を完成させた。
【0016】
本発明で用いる人工物は、アクリル樹脂の表面がモノマーの導入、更にはコーティングにより改質されたことにより、得られる組織体は人工血管としての十分な強度と耐久性を有し、しかも柔軟性にも優れ、この結果、小口径でも開存率の良好な人工血管が提供される。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の人工血管の実施の形態を詳細に説明する。
【0018】
本発明の人工血管は、生体内へ埋入した人工物の周辺に形成される管状の組織体を脱細胞処理することにより得られるものである。
【0019】
ここでいう生体とはヒト、ヤギ、ウシ、イヌ、ウサギ、ラット、マウスなど動物界に分類される生物を意味する。
【0020】
人工物の埋入部位としては例えば、人工物を受け入れる容積をある程度有する腹腔内や、四肢部、臀部又は背部などの臓器に近くない部位の皮下が好ましい。また、埋入には低侵襲な方法で行うことと動物愛護の精神を尊厳し、十分な麻酔下で最小限の切開術で行うことが好ましい。
【0021】
埋入する人工物としては、埋入した際に変形することがない強度(硬度)を有しており、化学的安定性があり、滅菌などの負荷に耐性があり、生体を刺激する溶出物がない又は少ないことから、本発明においては、アクリル樹脂を基材とし、アクリル樹脂製の基材の表面にメチルメタクリレート、スチレン、2,2,2−トリフルオロエチレンメタクリレート、N,N−ジメチルアクリルアミド、メタクリル酸ナトリウム、及び(N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド)メチオダイドからなる群から選択されるモノマーの1種又は2種以上をグラフト重合したものを用いる。
【0022】
これらのモノマーをアクリル樹脂の表面に導入することにより、アクリル樹脂の表面の性状が改質され、良好な組織体を形成することができるようになる。
【0023】
また、特にメチルメタクリレートをアクリル樹脂の表面にグラフト重合させた場合は、この表面を更に、ジチオカーボネートポリマーでコーティングしても良い。即ち、メチルメタクリレートをグラフト重合させたアクリル樹脂の表面は接触角が約70°の疎水性であるが、これを若干強く、接触角で約80°とすることで形成される組織体の性質を微妙に調整することが可能となる。
【0024】
表面にグラフト重合させるモノマーの種類によって、得られる組織体の性質が変化するため、どのようなモノマーを導入したアクリル樹脂を使用するかは、人工血管を移植吻合する生体血管のコンプライアンスβ値を考慮して当業者によって適宜選択することができる。
【0025】
これらのモノマーのアクリル樹脂表面へのグラフト重合は、例えばアクリル樹脂基材の表面に光重合開始剤を側鎖に有するポリスチレン誘導体を薄く塗布し、前記グラフト導入するモノマーの溶液へ浸漬して光開始グラフト重合することにより行うことが可能である。
【0026】
また、メチルメタクリレートをグラフト重合させたアクリル樹脂の表面をジチオカーボネートポリマーでコーティングする方法としては、ジチオカーボネートポリマー溶液を噴霧する方法や、浸漬する方法等が挙げられる。
【0027】
グラフト率は、X線光電子分光法で元素分率を測定することにより求めることができ、例えばポリメチルメタクリレートをグラフト導入する場合にはO/C比で0.30〜0.50、特に0.40程度が、さらにこれをジチオカーボネートポリマーでコーティングする場合はN/C比で0.022〜0.032、特に0.027程度であり、S/C比で0.040〜0.060、特に0.054程度であることが好ましい。また、ポリスチレンをグラフト導入した場合はO/C比で0.01〜0.05、特に0.03程度、ポリ(2,2,2−トリフルオロエチレンメタクリレート)をグラフト導入した場合はO/C比で0.30〜0.40、特に0.35程度、F/C比で0.35〜0.55、特に0.43程度、ポリ(N,N−ジメチルアクリルアミド)をグラフト導入した場合はN/C比で0.10〜0.30、特に0.20程度、O/C比で0.10〜0.30、特に0.18程度、ポリメタクリル酸ナトリウムをグラフト導入した場合は、O/C比で0.40〜0.60、特に0.49程度、Na/C比で0.10〜0.30、特に0.16程度、ポリ(N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド)メチオダイドをグラフト導入した場合はN/C比で0.05〜0.25、特に0.14程度、O/C比で0.05〜0.20、特に0.13程度、N/I比で0.8〜1.5、特に1.2程度が好適であり、得られる組織体の物性を移植しようとする生体血管の物体に近づけるべく、これらモノマーの重合時間、モノマー濃度などをパラメターとして当業者によって適宜調整すれば良い。
【0028】
また、本発明においては生体内へ埋入する人工物の表面には、増殖因子としての生理活性物質を表面被覆するなどして固定することが可能である。増殖因子を固定することで、組織体の形成を促進することが可能であり、これにより組織体の形成のための人工物の埋入期間を短縮することができる。また、形成される組織体に毛細血管を誘導することができ、脱細胞処理後の密度や柔軟性などの物性値を人工血管としてより好ましい値に調整することも可能となる。
【0029】
このような生理活性物質としては、血管内皮増殖因子、インスリン様増殖因子、インスリン様増殖因子結合蛋白や繊維芽細胞増殖因子が使用可能であり、例えば、血管内皮増殖因子を使用すれば毛細血管の誘導と内皮化の促進が可能となり、繊維芽細胞増殖因子を固定すれば組織体の形成を促進して短期間の埋入で人工血管として有用な組織体を形成させることができる。また、インスリン様増殖因子又はインスリン様増殖因子結合蛋白を固定すれば組織体に筋繊維を誘導することができる。生理活性物質の固定量としてはいずれの生理活性物質も0.1〜1.0μg/cm、特に0.5μg/cm前後が好適であり、人工血管に要求される物性や形成させるまでの期間を考慮して、当業者によって適宜増減すれば良い。
【0030】
埋入する人工物の形状としては、直径0.3〜15.0mmの棒状部を有するものであれば良く、これにより、人工物の直径(外径)をほぼ内径とする管状の組織体が得られる。この人工物が分岐部を有する場合には、分岐部以降の枝部分の径を同一のものを使用したり小さくしたりすることも可能であり、これにより種々の枝状の組織体を得ることができる。
【0031】
組織体が形成された人工物は、人工物が直線状であれば生体内から摘出した後に、そのまま組織体から抜去すれば管状の組織体が得られ、直線状の人工血管とすることができる。また、人工物が分岐部を有する場合には生体内から摘出後に人工物のみを一部切断したり、破砕又は溶解することにより組織体から容易に除去することができ、分岐部を有する管状の組織体が得られる。この分岐部を有する組織体を用いた人工血管は、本発明の最も好ましい例である。即ち、血管の分岐部位は、血流が血管壁へぶつかるように当たっている部位であり、動脈瘤が発生しやすいが、このような分岐型人工血管であれば、これをそのまま動脈瘤の治療に使用することができる。
【0032】
このようにして得られた組織体は、次いで脱細胞処理する。脱細胞処理の方法としては、コラゲナーゼなどの酵素処理によって細胞外マトリックスを溶出させて洗浄する方法やアルコールなどの水溶性有機溶媒で洗浄する方法があるが,グルタアルデヒドやホルムアルデヒドなどのアルデヒド化合物及び/又はメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等の水溶性有機溶媒で処理する方法がある。具体的には、アルデヒド化合物を終濃度1〜3%程度となるように調整し、組織体の体積の約50倍量の固定液中へ組織体を2時間以上浸漬する方法が好ましい。これによってタンパク鎖のリジン残基などを架橋することで、組織体の構造を維持することが可能となる。
【0033】
脱細胞処理の後の組織体は、更に凍結乾燥することにより、密度などを安定して制御することができる。脱細胞処理後に凍結乾燥せずに、アルコールなどの水溶性有機溶媒、燐酸緩衝生理食塩水、生理食塩水中で保存することも可能であるが、保存時の物性変化を抑制する意味でも凍結乾燥させることが好ましい。ここで乾燥方法としては、乾燥時の収縮現象において空孔の閉塞や繊維質の会合が起こる可能性があり、再現性良く人工血管として有用な物性を有する組織体を得られなくなる可能性があるため、凍結乾燥が好ましい。
【0034】
本発明によれば、人工物の材質、導入するモノマーの種類やその導入量、表面に固定する生理活性物質の種類や固定量、埋入期間等を調整することによって、様々なコンプライアンスβ値を有する人工血管を形成することができる。従って、本発明においては、これらの条件を調整することにより、吻合する生体血管のコンプライアンスβ値に近いコンプライアンスβ値を有する人工血管を形成することが好ましい。例えば、ヒト冠状動脈であればコンプライアンスβ値は約40であるが、ポリメチルメタクリレート鎖を表面にグラフト導入したアクリル樹脂製の人工物を1ヶ月間埋入して得られる組織体を脱細胞処理して得られる人工血管のコンプライアンスβ値は約40となり、冠状動脈用の人工血管として有用である。
【0035】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
【0036】
実施例1
外径3mm、長さ30mmのアクリル樹脂製の丸棒(生体組織を物理的に必要以上に刺激しないように、丸棒表面は鏡面仕上げで両末端は半球状の曲面仕上げとした。)に光重合性開始剤を側鎖に有するポリスチレン誘導体を塗布し、常法によって精製したメチルメタクリレート・ベンゼン溶液中に浸漬して、光開始グラフト重合を行い、ポリメチルメタクリレート鎖を表面にグラフト導入した。グラフト率としては、X線光電子分光法により、O/C比で0.4であることが確認された。この丸棒を常法によりエチレンオキサイドガス滅菌した。
【0037】
通常手技によって局所麻酔、剃毛されたウサギ背部の表皮をイソジン消毒後に速やかに約30mm切開し、滅菌した丸棒を皮下組織の下へ埋入して縫合した。縫合部位はイソジンにて1日2回の消毒を行い、水は自由給水とし、飼料としてヘイキューブを体重に応じて適量給仕した。
【0038】
埋入期間中、縫合部において感染の所見は認められず、抗生物質は一切使用する必要がなかった。埋入から1ヶ月後に埋入時と同様の手順にて丸棒を摘出した。摘出した丸棒は、全面が肉厚約100ミクロンの組織体で均質に被覆されていた(図1参照)。
【0039】
この組織体を1%ホルムアルデヒド及びエタノール中で洗浄して脱細胞処理した後、凍結乾燥して本発明の人工血管を得た。図2(a)はこの人工血管の径方向断面を光学顕微鏡によって観察した像の全体像であり、図2(b)はその拡大像であるが、均質な多孔構造を有することが確認された。図2(c)は同じ部位での電子顕微鏡像であるが、組織体に不規則な部分は存在せず、肉厚方向に対して均質な多孔体であることが分かる。
【0040】
次に、この丸棒の埋入期間を1ヶ月から2、3、4ヶ月と延長したこと以外は同様にして組織体を生成させ、各々の組織体について、上記と同様にして脱細胞処理した後、コンプライアンスβ値を測定し、埋入期間との関係を調べたところ、図3に示す如く、コンプライアンスβ値は、経時的に増加した。
【0041】
また、埋入期間が1ヶ月のものと4ヶ月のもので耐内圧試験を行うと、水の圧入によって内圧を200mmHg(26.6kPa)まで負荷しても破裂することなく、この時に外径は約10%まで伸長した。この圧力負荷を0〜200mmHgの間で徐々に上下変化させ、繰り返し圧力負荷に対する外径の変化を確認したが、図4に示す如く、履歴回数によらず外径変化は同じ挙動を示し、本発明の人工血管が、血管の拍動に追従できる柔軟性を有していることが確認された。
【0042】
実施例2
ポリメチルメタクリレート鎖をグラフト導入したアクリル製丸棒に繊維芽細胞増殖因子を0.5μg/cm固定したこと以外は、すべて実施例1と同様の方法で埋入と摘出を行った。埋入2週間後に摘出するとすでに組織体が形成されており(図5参照)、繊維芽細胞増殖因子の固定によって組織体が形成されるまでの埋入期間の短縮が可能であることが分かった。
【0043】
実施例3
固定する生理活性物質を内皮細胞増殖因子(0.5μg/cm)としたこと以外は、すべて実施例2と同様の方法で埋入と摘出を行った。埋入2週間後にはまだ組織体は十分に形成されておらず(図6参照)、組織体が形成されるまでの期間を短縮する効果については繊維芽細胞増殖因子を固定した人工物の方が優れていることが分かった。しかしながら、埋入1ヶ月後には人工物周辺に十分に組織体が形成され(図7(a)参照)、しかも多くの毛細血管が誘導されていた(図7(b)参照)。
【0044】
この毛細血管は脱細胞処理の後に、連通性の良好な空孔部となり、内皮細胞増殖因子はコンプライアンスβ値を調整するのに有用な生理活性物質であることが分かった。この人工血管に形成された空孔部は細胞の生着、即ち、内壁に血管内皮細胞細胞を生着させて外周に平滑筋細胞を生着させるのに有効なものである。
【0045】
実施例4
アクリル製丸棒からなる外径3mmの人工物に、3mmの同じ径の分岐枝を設け、Y字型の人工物を得た。これを実施例1と同様の手法で表面にポリメチルメタクリレート鎖をグラフト導入した後、ウサギ背皮下部へ埋入して1ヶ月後に摘出した。図8は摘出時の様子であり、図9は摘出した人工物である。Y字型の人工物を被覆するように組織体が形成されており、分岐型人工血管に有用な組織体が形成されていることが分かった。
【0046】
【発明の効果】
以上詳述した通り、本発明によれば、生体内へ埋入した人工物の周辺に形成される管状の組織体を脱細胞処理することにより得られる人工血管において、表面性状が改良された人工物を用いることにより、生体内で再現性良く繊維質の比率や密度などが制御された組織体を従来よりも短い人工物埋入期間にて形成し、この組織体から内径6mm以下の小口径であっても長期に亘り高い開存率を維持し得る人工血管、特に、分岐部を有する人工血管を容易に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1において、人工物を埋入1ヶ月後に摘出した際の写真である。
【図2】(a)図は実施例1で作成した人工血管の光学顕微鏡像(全体像)であり、(b)図はその部分拡大像、(c)図は電子顕微鏡像である。
【図3】実施例1における埋入期間と得られる人工血管のコンプライアンスβ値の関係を示すグラフである。
【図4】実施例1おける1ヶ月埋入品と4ヶ月埋入品の繰り返し耐内圧試験結果を示すグラフである。
【図5】実施例2において、繊維芽細胞増殖因子を固定した人工物を埋入2週間後に摘出した際の写真である。
【図6】実施例3において、内皮細胞増殖因子を固定した人工物を埋入2週間後に摘出した際の写真である。
【図7】(a)図は実施例3において内皮細胞増殖因子を固定した人工物を埋入1ヶ月後に摘出した際の写真であり、(b)図はその周辺組織の写真である。
【図8】実施例4において、Y型人工物を埋入1ヶ月後に摘出した際の写真である。
【図9】実施例4において摘出された、組織体に被覆されたY字型人工物の写真である。

Claims (9)

  1. 生体内へ埋入した人工物の周辺に形成される管状の組織体を脱細胞処理することにより得られる人工血管において、
    該人工物が、メチルメタクリレート、スチレン、2,2,2−トリフルオロエチレンメタクリレート、N,N−ジメチルアクリルアミド、メタクリル酸ナトリウム及び(N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド)メチオダイドからなる群から選択されるモノマーの1種又は2種以上を表面にグラフト重合したアクリル樹脂であることを特徴とする人工血管。
  2. 生体内へ埋入した人工物の周辺に形成される管状の組織体を脱細胞処理することにより得られる人工血管において、
    該人工物が、メチルメタクリレートを表面にグラフト重合したアクリル樹脂の表面をジチオカーボネートポリマーでコーティングしたものであることを特徴とする人工血管。
  3. 組織体を脱細胞処理した後、凍結乾燥することにより得られることを特徴とする請求項1又は2に記載の人工血管。
  4. アルデヒド化合物及び/又は水溶性有機溶媒を用いて脱細胞処理することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の人工血管。
  5. 埋入する人工物の表面に生理活性物質が固定されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の人工血管。
  6. 生理活性物質が、インスリン様増殖因子、インスリン様増殖因子結合蛋白、血管内皮増殖因子及び繊維芽細胞増殖因子からなる群から選択されることを特徴とする請求項5に記載の人工血管。
  7. 埋入する人工物が、直径0.3〜15.0mmの棒状部を有することを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の人工血管。
  8. 人工物が分岐部を有することを特徴とする請求項7に記載の人工血管。
  9. コンプライアンスβ値が60以下であることを特徴とする請求項1ないし8に記載の人工血管。
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