JP2004260017A - 薄膜型コモンモードチョークコイル及びコモンモードチョークコイルアレイ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】磁性基板1上に絶縁層、導体層を厚み方向に積み重ねた積層構造体で、少なくとも2個のコイル導体を形成し、そのうち少なくとも2層の導体層5,7はスパイラル形状の導体パターンであり、該スパイラル形状の導体パターンは 導体幅(W1)としたとき、 W1≦36μm である。また、前記スパイラル形状の導体パターンの導体厚(T)と導体間スペース(W2)の関係をW2<T×2 とする。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、薄膜型コモンモードチョークコイル及びコモンモードチョークコイルアレイに係り、とくに平衡伝送方式で問題となっている電磁妨害の原因となるコモンモード電流の抑制に使用されるフィルタに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、チップ型のコモンモードチョークコイルとしては、積層タイプが知られている。この部品はフェライト等の磁性体シート表面にコイル導体パターンが形成されて第1コイルを形成する第1コイル用磁性シートと、同様な第2コイル用磁性シートを交互に積層した構造である。
【0003】
また、薄膜工法を使用したものとして、下記特許文献1に示されたコモンモードチョークコイルが知られている。この部品は磁性基板上に薄膜工法で引き出し電極を形成し、その後順次、絶縁層、第1コイル導体、絶縁層、第2コイル導体、絶縁層を薄膜工法を用いて形成し、その上面より磁性基板で挟み込んだ構造である。
【0004】
【特許文献1】特開平8−203737号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記の従来積層タイプでは、第1コイル、第2コイル導体間に磁性体シートが存在し、コモンモードチョークコイルとして使用する場合には2個のコイルの磁気的結合が低下し特性上問題となる。
【0006】
また、前記特許文献1の薄膜工法を使用した薄膜タイプのコモンモードチョークコイルは、2個のコイル導体間は非磁性の絶縁層であり、上下から磁性基板により挟み込んでいる為、磁気的結合の問題点は解決されている。
【0007】
しかしながら、最近の平衡伝送線路においてはGHz近傍の伝送信号の高速伝送が必要となっており、この高速伝送に対応できない。
【0008】
この高速伝送化の対策としては、数点挙げられる。
【0009】
第1としては、特性インピーダンスの整合が挙げられる。この整合が重要なことは伝送回路上の公知事項である。
【0010】
第2として、磁気的結合のより一層の改善が挙げられる。但し、この改善には構造的に限界がある。
【0011】
第3の対策としては、導体間の静電容量の低下が挙げられる。但し、この静電容量を低くするために単に導体間スペースを大きくしたのでは形状の大形化を招く。
【0012】
本発明は、上記の点に鑑み、GHz近傍の伝送信号の高速伝送が可能で、超小型の薄膜型コモンモードチョークコイル及びコモンモードチョークコイルアレイを提供することを目的とする。
【0013】
本発明のその他の目的や新規な特徴は後述の実施の形態において明らかにする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本願請求項1の発明に係る薄膜型コモンモードチョークコイルは、磁性基板上に絶縁層、導体層を厚み方向に積み重ねた積層構造体で、少なくとも2個のコイル導体を形成し、そのうち少なくとも2層の導体層はスパイラル形状の導体パターンであり、該スパイラル形状の導体パターンは 導体幅(W1)が
W1≦36μm
であることを特徴としている。
【0015】
本願請求項2の発明に係る薄膜型コモンモードチョークコイルは、請求項1において、前記スパイラル形状の導体パターンの導体厚(T)と導体間スペース(W2)の関係を
W2<T×2
としたことを特徴としている。
【0016】
本願請求項3の発明に係る薄膜型コモンモードチョークコイルは、請求項1又は2において、前記スパイラル形状の導体パターンが、薄膜で形成された下地導体とその上の厚付け導体とからなり、該厚付け導体がCuめっき層であることを特徴としている。
【0017】
本願請求項4の発明に係る薄膜型コモンモードチョークコイルは、請求項3において、前記下地導体の下層がCrで上層がCuであるか、あるいは下層がTiで上層がCuであることを特徴としている。
【0018】
本願請求項5の発明に係る薄膜型コモンモードチョークコイルは、請求項3又は4において、前記スパイラル形状の導体パターン表面がNiめっき膜で覆われていることを特徴としている。
【0019】
本願請求項6の発明は、請求項1,2,3,4又は5において、前記積層構造体の上面を磁性材料で覆ったことを特徴としている。
【0020】
本願請求項7の発明は、請求項1,2,3,4又は5において、前記積層構造体の上面に別の磁性基板を貼り付けたことを特徴としている。
【0021】
本願請求項8の発明は、請求項1,2,3,4,5,6又は7の薄膜型コモンモードチョークコイルを複数個含んだ薄膜型コモンモードチョークコイルアレイであることを特徴としている。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る薄膜型コモンモードチョークコイル及びコモンモードチョークコイルアレイの実施の形態を図面に従って説明する。
【0023】
図1及び図2は本発明の実施の形態であって、図1は薄膜型コモンモードチョークコイルを構成する場合の分解斜視図、図2は外観の斜視図である。実際の作製時は複数個の部品を同時に基板上で作製するが、本実施の形態では1素子分で説明する。
【0024】
これらの図に示す様に、外形がチップ型の薄膜型コモンモードチョークコイルは、第1磁性基板1の主面上に絶縁層2、第1引き出し電極層3、絶縁層4、第1コイル導体層(スパイラル形状コイル導体パターン)5、絶縁層6、第2コイル導体層(スパイラル形状コイル導体パターン)7、絶縁層8、第2引出し電極層9、絶縁層10、第2磁性基板11の順で積層一体化して構成されている。前記第1コイル導体層5と第2コイル導体層7とは磁気的結合する配置であり、両導体層5,7にディファレンシャルモードの電流が流れたときは磁束が打ち消し合い、コモンモードの電流が流れたときは磁束が加算されるようになっている。
【0025】
この時、第1引出し電極層3と第1コイル導体層5、第2引出し電極層9と第2コイル導体層7はそれぞれスルーホール4a,8aを介して電気的に接続されている。また、各引き出し電極層の一端と各コイル導体層の一端はそれぞれ外部電極15(図2のようにチップ外周表面に形成される)に接続される。
【0026】
前記磁性基板1,11は焼結フェライト、複合フェライト等であり、絶縁層2,4,6,8,10はポリイミド樹脂,エポキシ樹脂等の絶縁性に優れ,加工性の良い材料である。
【0027】
スパイラル形状コイル導体パターンである第1コイル導体層5と第2コイル導体層7の導体幅と伝送信号の減衰特性の関係は図3に示す通りである。図3中、曲線aは導体幅45μm、導体間スペース20μm、曲線bは導体幅36μm、導体間スペース13μm、曲線cは導体幅12μm、導体間スペース12μmの場合のディファレンシャルモード減衰特性(dB)の周波数特性であり、スパイラル形状導体幅が細くなることでデータ伝送減衰特性が向上している。また、図3から、伝送信号のカットオフ周波数(減衰−3dB)を2.4GHz(800MHz伝送×3)以上とする為には導体幅を36μm以下に細くすることが有効となる。従って、第1及び第2コイル導体層5,7の導体幅W1が
W1≦36μm
である事が高速伝送化にとって大きな効果があるといえる。
【0028】
また、この時導体幅の減少で直流抵抗増加が発生するが、その減少を抑えるため導体厚を増加する必要がある。導体厚を増加するためには、真空成膜/エッチング工法では導体厚さTの2倍のサイドエッチングが発生し、導体厚を厚くした場合、導体間スペースがT×2以上となり現実的に導体を厚くすることは困難である(導体間スペースが広くなり、スパイラル形成面積が広域である必要がある)。
【0029】
これはスパイラル形状のコイル導体層5,7を電気めっき(アディティブ法)で形成することで改善される。そして、スパイラル形状の導体厚と導体間スペースを以下の関係とすることが可能であり、少ないスペースに厚いスパイラル形状のコイル導体層5,7が形成可能である。
W2<T×2
【0030】
上記条件のスパイラル形状のコイル導体層5,7をめっきで形成する手順は以下の通りである。
【0031】
図4(A)のように、絶縁層4,6上に真空成膜法(スパッタ等)で下地導体膜20を成膜する。この時、下地導体膜20は絶縁層4,6の樹脂との密着性及び後の電気めっきを考慮するとCr/Cu(下層がCr、上層がCu)又はTi/Cuが好ましい。
【0032】
その膜上にフォトレジスト21を塗布する。この時のフォトレジスト21はこの後に電気めっきするスパイラル形状導体厚より厚く塗布することが好ましい。
【0033】
次に、スパイラル形状導体パターンとするために必要なパターンを有したフォトマスクを使用して露光し、レジスト21を現像することにより、図4(B)のレジストパターンが形成される。つまり、スパイラル形状に合致させて下地導体膜20を露出させる。
【0034】
次に、図4(C)のように、既に成膜した下地導体膜20を電極とし厚付け導体22の電気めっきを行う。この時レジスト21のパターンがダムとなり、スパイラル形状に電気めっきが形成される。
【0035】
次に、図4(D)のように、電気めっき後不要となったレジストを剥離し、さらに図4(E)のようにスパイラル形状めっき部で形成された厚付け導体22以外の下地導体膜20をエッチングにより除去する。これにより、スパイラル形状のコイル導体層5,7が完成する。
【0036】
この厚付け導体に使用する電気めっき金属は、めっき性、コスト、電気伝導度等を考慮するとCuが好ましい。
【0037】
また、電気めっきにて形成したCuの厚付け導体22上に耐腐食性や上層に塗布する樹脂の密着性を考慮し、図4(F)のようにNiめっきで覆うことも効果的である。
【0038】
次に薄膜型コモンモードチョークコイルの製造手順を図1を参照し説明する。第1磁性基板1上に絶縁層2を形成する。形成方法としては、スピンコート法、ディップ法、スプレー法、印刷法が採用される。
【0039】
次に、絶縁層2上に導体を成膜し、フォトリソグラフィー法により第1引出し電極層3を形成する。成膜工法はスパッタ、蒸着、めっき等が採用される。フォトリソグラフィー工法は感光性のレジストを使用し、露光現像後、不要金属部分をエッチングしその後レジストを剥離する。
【0040】
次に、絶縁層4を形成する。形成工法は絶縁層2と同様であるが、引出し電極層3とスパイラル形状の第1コイル導体層5との接続の為、フォトリソグラフィー工法を使用しスルーホール4aを現像により形成する。このスルーホール4aにより引き出し電極層3と第1コイル導体層5とが電気的に接続される。
【0041】
次にスパイラル形状の第1コイル導体5の成膜、パターンニングを行うが工法は図4で述べた通り、電気めっき工法(アディティブ法)を使用する。
【0042】
次に、絶縁層6を絶縁層2と同様工法で形成し、その上に、スパイラル形状の第2コイル導体7の成膜、パターンニングを行う。第1コイル導体5と同様である。
【0043】
次に、絶縁層8を絶縁層4と同様工法で形成し、第2引出し電極層9とスパイラル形状の第2コイル導体層7との接続の為、フォトリソグラフィー工法を使用しスルーホール8aを現像により形成する。
【0044】
次に、第2引出し電極層9を第1引き出し電極層3と同様工法で形成する。
【0045】
次に、絶縁層10を絶縁層2と同様工法で形成し、その上に、第2磁性基板11を貼り付ける。
【0046】
上記は1素子分図での説明であるが、実際は複数個同時に基板上で作製される。この基板上で作製されたものを1素子形状に切断後、図2のように外部電極15を形成しコモンモードチョークコイルが完成する。
【0047】
この実施の形態によれば、次の通りの効果を得ることができる。
【0048】
(1) 2層のスパイラル形状の導体パターンである第1及び第2コイル導体層5,7は導体幅(W1)が
W1≦36μm
であり、図3からわかるように伝送信号のカットオフ周波数を2.4GHz以上にすることが可能であり、高速伝送に対応できる。
【0049】
(2) 図4に示した電気めっき工法(アディティブ法)を使用して下地導体膜20上に厚付け導体22を形成することで、前記スパイラル形状のコイル導体層5,7の導体厚(T)と導体間スペース(W2)の関係を
W2<T×2
とすることが可能であり、導体間スペースを小さくしてスパイラル形状の小型化(小面積化)を図ることができる。
【0050】
(3) 下地導体膜20の下層がCrで上層がCuであるか、あるいは下層がTiで上層がCuであるため、絶縁層の樹脂との付着性が良好であり、Cuの厚付け導体22の電気めっきに好適である。
【0051】
(4) スパイラル形状のコイル導体層5,7表面をNiめっき膜で被覆することにより、耐腐食性を良好にし、上層に塗布する樹脂の絶縁層の密着性を良好にすることが可能である。
【0052】
図5は本発明の他の実施の形態であって、薄膜型コモンモードチョークコイルアレイを作製した例を示す。この場合、前記実施の形態のコモンモードチョークコイルの構成を第1磁性基板1上に2個並べて形成している。この構成では、2010タイプ(縦2mm、横1mm、厚さ1mm)のコモンモードチョークコイルアレイを実現できる。なお、前記実施の形態と同一又は相当部分に同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0053】
各実施の形態において、第2磁性基板を貼り付ける代わりに、磁粉含有の樹脂等の磁性材料を塗布等で設けて覆う構造としてもよい。
【0054】
以上本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明はこれに限定されることなく請求項の記載の範囲内において各種の変形、変更が可能なことは当業者には自明であろう。
【0055】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、GHz近傍の伝送信号の高速伝送が可能で、超小型の薄膜型コモンモードチョークコイル及びコモンモードチョークコイルアレイを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態であって薄膜型コモンモードチョークコイルを構成する場合の分解斜視図である。
【図2】前記実施の形態の外観を示す斜視図である。
【図3】コモンモードチョークコイルのディファレンシャルモード減衰特性を示すグラフである。
【図4】前記実施の形態におけるスパイラル形状の導体パターンの形成工程を示す説明図である。
【図5】本発明の他の実施の形態であって薄膜型コモンモードチョークコイルアレイを構成する場合の分解斜視図である。
【符号の説明】
1,11 磁性基板
2,4,6,8,10 絶縁層
3,9 引き出し電極層
5,7 コイル導体層
20 下地導体膜
21 レジストパターン
22 厚付け導体
Claims (8)
- 磁性基板上に絶縁層、導体層を厚み方向に積み重ねた積層構造体で、少なくとも2個のコイル導体を形成し、そのうち少なくとも2層の導体層はスパイラル形状の導体パターンであり、該スパイラル形状の導体パターンは
導体幅(W1)が
W1≦36μm
であることを特徴とする薄膜型コモンモードチョークコイル。 - 前記スパイラル形状の導体パターンの導体厚(T)と導体間スペース(W2)の関係を
W2<T×2
とした請求項1記載の薄膜型コモンモードチョークコイル。 - 前記スパイラル形状の導体パターンが、薄膜で形成された下地導体とその上の厚付け導体とからなり、該厚付け導体がCuめっき層である請求項1又は2記載の薄膜型コモンモードチョークコイル。
- 前記下地導体の下層がCrで上層がCuであるか、あるいは下層がTiで上層がCuである請求項3記載の薄膜型コモンモードチョークコイル。
- 前記スパイラル形状の導体パターン表面がNiめっき膜で覆われている請求項3又は4記載の薄膜型コモンモードチョークコイル。
- 前記積層構造体の上面を磁性材料で覆った請求項1,2,3,4又は5記載の薄膜型コモンモードチョークコイル。
- 前記積層構造体の上面に別の磁性基板を貼り付けた請求項1,2,3,4又は5記載の薄膜型コモンモードチョークコイル。
- 請求項1,2,3,4,5,6又は7の薄膜型コモンモードチョークコイルを複数個含んだ薄膜型コモンモードチョークコイルアレイ。
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