JP2004249844A - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】操舵補助用の電動モータが駆動されない操舵領域での操舵フィーリングを改善することができるとともに組立て作業性を向上することができるようにする。
【解決手段】操舵補助用の電動モータ1によって回転され、その両端の軸部3b,3cが転がり軸受7,8を介してハウジング5に支持されたウォーム3と、該ウォーム3に噛合するウォームホイール4とを備え、各転がり軸受7,8の内輪7b,8bをウォーム3の軸部3b,3cに圧入し、外輪7a,8aをハウジング5に遊嵌し、各転がり軸受7,8の軸長方向におけるウォーム3の歯部3aと反対側に、各外輪7a,8aの軸長方向への移動を抑制する2つの弾性体11,12を配置し、ウォーム3及び転がり軸受7,8をユニットにして組立て作業性を向上するようにした。
【選択図】 図1
【解決手段】操舵補助用の電動モータ1によって回転され、その両端の軸部3b,3cが転がり軸受7,8を介してハウジング5に支持されたウォーム3と、該ウォーム3に噛合するウォームホイール4とを備え、各転がり軸受7,8の内輪7b,8bをウォーム3の軸部3b,3cに圧入し、外輪7a,8aをハウジング5に遊嵌し、各転がり軸受7,8の軸長方向におけるウォーム3の歯部3aと反対側に、各外輪7a,8aの軸長方向への移動を抑制する2つの弾性体11,12を配置し、ウォーム3及び転がり軸受7,8をユニットにして組立て作業性を向上するようにした。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は操舵補助力の発生源として電動モータを用いてなる電動パワーステアリング装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両用の電動パワーステアリング装置としては、例えば操舵輪に繋がる入力軸及び該入力軸にトーションバーを介して同軸的に繋がる出力軸の相対角変位量によって前記入力軸に加わる操舵トルクを検出し、検出したトルク等に基づいて操舵補助用の電動モータを駆動し、該電動モータの回転力を減速歯車機構を介して舵取機構に伝動することにより操舵輪の回転に応じた舵取機構の動作を前記電動モータの回転により補助し、舵取りのための運転者の労力負担を軽減するように構成されている(例えば、特許文献1。)。
【0003】
減速歯車機構としては前記電動モータの駆動軸に連結された小歯車としてのウォームと、該ウォームに噛合する大歯車としてのウォームホイールとを備え、該ウォームホイールが前記出力軸の途中に嵌合固定されている。
また、ウォームはその両端部を一対の転がり軸受で支持し、ウォームの回転性を高めてある。
【0004】
ところで、以上のように構成された電動パワーステアリング装置のウォームは、両端部を支持する転がり軸受に対して軸長方向への移動ができないように支持されているため、前記操舵輪が操舵中立位置から左又は右方向へ操舵されることにより、操舵初期から前記電動モータが回転し、操舵補助が行われるように構成された場合、車両の高速走行時に操舵角が例えば1°程度に小さいときにおいても操舵補助が行われることになり、操舵フィーリングの低下を来すことになる。このため、一般には操舵角が1°程度に小さいときは電動モータが駆動されず、適度の操舵角を超えたときに電動モータが駆動されるように構成されている。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−21943号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、このように適度の操舵角を超えるまでの間電動モータが駆動されないように構成された場合、電動モータが駆動されない操舵領域、即ち、操舵中立位置の近傍領域での操舵時、操舵輪の操舵力が前記入力軸、トーションバー、出力軸、ウォームホイール及びウォームを介して電動モータの駆動軸に伝動され、該駆動軸が回転されることになる。この結果、電動モータの駆動軸を回転させるための負荷がウォーム、ウォームホイール、出力軸、トーションバー、及び入力軸を介して操舵輪に加わり、操舵負荷が大きくなり、操舵フィーリングの低下を来すことになる。
【0007】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、操舵補助用の電動モータが駆動されない操舵領域での操舵フィーリングを改善することができる割に組立て作業性を高めることができる電動パワーステアリング装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
第1発明に係る電動パワーステアリング装置は、操舵補助用の電動モータの回転を、その両端部が転がり軸受を介してハウジングに支持された小歯車と、該小歯車に噛合する大歯車とを介して操舵手段に伝えて操舵補助するようにした電動パワーステアリング装置において、各転がり軸受は内輪が前記小歯車の両端部に圧入されており、外輪が前記ハウジングに遊嵌されており、各転がり軸受の軸長方向における小歯車の歯部と反対側に配置されて各外輪の軸長方向への移動を抑制する2つの弾性体を備えていることを特徴とする。
【0009】
第1発明にあっては、各転がり軸受の内輪を小歯車の両端部に圧入して小歯車及び各転がり軸受をユニットにすることができるため、1つの弾性体をハウジング内に挿入した状態でユニットをハウジング内に挿入し、他の1つの弾性体をハウジングに挿入することにより組み立てることができ、組立て作業性を高めることができる。しかも、この組立て時に2つの弾性体を撓ませて各転がり軸受に軸長方向の予圧を加えることができるため、各転がり軸受のアキシアルすきまをなくすることができ、アキシアルすきまによる音鳴りを減少させることができる。また、操舵中立位置から左右いずれかの方向への操舵時、小歯車に加わる軸長方向への力によって弾性体が撓むことになり、この結果、電動モータが駆動されない操舵領域での操舵負荷を低減することができ、操舵フィーリングを向上することができる。
【0010】
第2発明に係る電動パワーステアリング装置は、操舵補助用の電動モータの回転を、転がり軸受を介して支持部材に支持された小歯車と、該小歯車に噛合する大歯車とを介して操舵手段に伝えて操舵補助するようにした電動パワーステアリング装置において、前記転がり軸受は内輪が前記小歯車に圧入されており、外輪が前記支持部材に遊嵌されており、前記小歯車を軸長方向へ付勢する付勢手段と、前記外輪の両側面に接触して外輪の軸長方向への移動を抑制する2つの弾性体とを備えていることを特徴とする。
【0011】
第2発明にあっては、転がり軸受の内輪を小歯車の両端部に圧入して小歯車及び転がり軸受をユニットにすることができるため、1つの弾性体をハウジング内に挿入した状態でユニットをハウジング内に挿入し、他の1つの弾性体をハウジングに挿入することにより組み立てることができ、組立て作業性を高めることができる。しかも、この組立て時に2つの弾性体を撓ませて転がり軸受に軸長方向の予圧を加えることができるため、転がり軸受のアキシアルすきまをなくすることができ、アキシアルすきまによる音鳴りを減少させることができる。
また、操舵中立位置から左右いずれかの方向への操舵時、小歯車に加わる軸長方向への力によって弾性体が撓むことになり、この結果、電動モータが駆動されない操舵領域での操舵負荷を低減することができ、操舵フィーリングを向上することができる。
【0012】
第3発明に係る電動パワーステアリング装置は、前記弾性体の撓み量を制限する制限手段を備えていることを特徴とする。
【0013】
第3発明にあっては、小歯車に加わる軸長方向への力によって弾性体が撓むとき、この弾性体の撓み量を制限手段により制限することができるため、弾性体の耐久性を向上することができる。
【0014】
第4発明に係る電動パワーステアリング装置は、操舵補助用の電動モータの回転を、転がり軸受を介してハウジングに支持された小歯車と、該小歯車に噛合する大歯車とを介して操舵手段に伝えて操舵補助するようにした電動パワーステアリング装置において、前記転がり軸受は内輪が前記小歯車に圧入されており、外輪が前記小歯車に加わる軸長方向への力によって軸長方向へ伸長が可能な伸長環体を介して前記ハウジングに内嵌されており、前記外輪の両側面に接触して外輪の軸長方向への移動を抑制する2つの弾性体を備えていることを特徴とする。
【0015】
第4発明にあっては、転がり軸受の内輪を小歯車の端部に圧入し、伸長環体を外輪に外嵌して小歯車、転がり軸受及び伸長環体をユニットにすることができるため、1つの弾性体をハウジング内に挿入した状態でユニットをハウジング内に挿入し、他の1つの弾性体をハウジングに挿入することにより組み立てることができ、組立て作業性を高めることができる。
また、操舵中立位置から左右いずれかの方向への操舵時、小歯車に加わる軸長方向への力によって伸長環体が伸長するとともに、弾性体が撓むことになり、この結果、電動モータが駆動されない操舵領域での操舵負荷を低減することができ、操舵フィーリングを向上することができる。しかも、転がり軸受の外輪は伸長環体を介してハウジングに内嵌するため、外輪のラジアル方向へのガタつきを伸長環体により吸収することができ、外輪の内嵌部分での音鳴りを減少させることができる。
【0016】
第5発明に係る電動パワーステアリング装置は、前記伸長環体及び2つの弾性体は一体に形成されていることを特徴とする。
【0017】
第5発明にあっては、転がり軸受の内輪を小歯車の端部に圧入し、伸長環体を外輪に外嵌して小歯車、転がり軸受、一体となった伸長環体及び2つの弾性体をユニットにすることができるため、このユニットをハウジング内に挿入することにより組み立てることができ、組立て作業性をさらに高めることができる。
また、操舵中立位置から左右いずれかの方向への操舵時、小歯車に加わる軸長方向への力によって伸長環体が伸長するとともに、弾性体が撓むことになり、この結果、電動モータが駆動されない操舵領域での操舵負荷を低減することができ、操舵フィーリングを向上することができる。しかも、転がり軸受の外輪は伸長環体を介してハウジングに内嵌するため、外輪のラジアル方向へのガタつきを伸長環体により吸収することができ、外輪の内嵌部分での音鳴りを減少させることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
実施の形態1
図1は本発明に係る電動パワーステアリング装置の実施の形態1の構成を示す減速歯車機構部分の拡大断面図、図2は電動パワーステアリング装置の全体構成を示す断面図である。
【0019】
電動パワーステアリング装置は、操舵補助用の電動モータ1と、該電動モータ1の出力軸1aに雄形継手部21及び雌形継手部22を有する軸継手2を介して連結され、歯を有する小歯車としてのウォーム3及び該ウォーム3に噛合する大歯車としてのウォームホイール4を有する減速歯車機構Aと、該減速歯車機構Aを収容して支持するハウジング5と、減速歯車機構Aに繋がる舵取手段6とを備えている。
【0020】
この舵取手段6は、一端部が舵取りのための操舵輪Bに繋がり、他端部に筒部61aを有する第1の操舵軸61と、筒部61a内に挿入されてその一端部が第1の操舵軸61の筒部61aに連結され、操舵輪Bに加わる操舵トルクの作用によって捩れるトーションバー62と、他端部がトーションバー62の他端部に連結され、減速歯車機構Aに繋がる第2の操舵軸63とを備え、該第2の操舵軸63がユニバーサルジョイントを介して例えばラックピニオン式の舵取機構(不図示)に繋がる。
【0021】
ハウジング5は歯部3aの両端に軸部3b,3cを有するウォーム3を収容し、該ウォーム3の軸部3b,3cを、転がり軸受7,8を介して回転自在に支持した第1収容部5aと、ウォームホイール4を収容し、該ウォームホイール4を第2の操舵軸63及び第2の操舵軸63に嵌合された2つの転がり軸受9,10を介して支持した第2収容部5bとを有する。
【0022】
第1収容部5aはウォーム3の軸長方向に長くなっており、その長手方向一端部には転がり軸受7の外輪7aを遊嵌して支持する支持孔51及び該支持孔51に連なる環状溝52及びモータ取付部53が設けられており、このモータ取付部53に電動モータ1が取付けられている。第1収容部5aの他端部には転がり軸受8の外輪8aを遊嵌して支持する支持孔54が設けられている。
【0023】
減速歯車機構Aのウォーム3は複数条の歯を有する歯部3aの一端に設けられた軸部3bが転がり軸受7の内輪7bに圧入され、転がり軸受7を介して支持孔51に回転自在に支持されている。歯部3aの他端に設けられた軸部3cは転がり軸受8の内輪8bに圧入され、転がり軸受8を介して支持孔54に回転自在に支持されている。尚、外輪7a,8aと内輪7b,8bとの間には複数の転動体7c,8cが設けられている。ウォームホイール4は第2の操舵軸63の途中に嵌合固定されている。
【0024】
このように転がり軸受7,8の内輪7b,8bに軸部3b,3cが圧入されたウォーム3と転がり軸受7,8とはユニットCになる。このユニットCの各転がり軸受7,8のウォーム3と反対側には各外輪7a,8aの一側面に接触して外輪7a,8aの軸長方向への移動、換言すればユニットCの軸長方向への移動を抑制する第1及び第2の弾性体11,12が配置される。
【0025】
第1及び第2の弾性体11,12はばね鋼板からなる。第1の弾性体11は内周部に等配された複数の可撓片(図示せず)を有する皿ばねからなり、外周部が環状溝52に内嵌され、内周部の可撓片が外輪7aの一側面に接触して該外輪7aを歯部3a側へ押圧し、転がり軸受7に軸長方向の予圧を加え、転がり軸受7のアキシアル隙間をなくするとともに、ユニットCの軸長方向への移動を抑制している。
【0026】
第2の弾性体12は外周部に等配された複数の可撓片(図示せず)を有する皿ばねからなり、内周部が第1収容部5aの他端面に接触し、外周部の可撓片が外輪8aの一側面に接触して該外輪8aを押圧し、転がり軸受8に軸長方向の予圧を加え、転がり軸受8のアキシアル隙間をなくしている。
【0027】
電動モータ1の出力軸1aとウォーム3の軸部3bとはセレーションを有する雄形継手部21及び雌形継手部22を介して軸長方向への相対移動を可能に連結されている。雄形継手部21は軸部3bの周面にセレーションを設けることにより構成されており、また、雌形継手部22は出力軸1aに嵌合固定された筒部材の内側にセレーションを設けることにより構成されており、雄形継手部21及び雌形継手部22がセレーション嵌合されている。
【0028】
尚、ハウジング5内には、トーションバー62の捩れに応じた第1の操舵軸61及び第2の操舵軸63の相対回転変位量によって操舵輪Bに加わる操舵トルクを検出するトルクセンサ13が内装されており、該トルクセンサ13が検出したトルク等に基づいて電動モータ1が駆動制御されるように構成されている。
【0029】
以上のように構成された電動パワーステアリング装置において、ウォーム3を組み込む場合、第2の弾性体12を第1収容部5aに挿入し、該第1収容部5aの他端に第2の弾性体12を支持する。この状態でユニットCを第1収容部5aに挿入し、転がり軸受8の外輪8aを支持孔54に遊嵌するとともに、転がり軸受7の外輪7aを支持孔51に遊嵌する。そして、ユニットCを挿入方向へ押圧して第2の弾性体12を若干撓ませつつ第1の弾性体11を環状溝52に内嵌し、この第1の弾性体11を若干撓ませ、各転がり軸受7,8に予圧を加える。このように第2の弾性体12、ユニットC及び第1の弾性体11を挿入することによりウォーム3を組み込むことができるため、組立て作業性を高めることができる。
【0030】
ユニットCは軸長方向への移動が可能であり、しかも、第1及び第2の弾性体11,12がユニットCの軸長方向への移動を抑制しているため、電動モータ1が駆動されない操舵領域、即ち、車両の高速走行時の操舵角が例えば1°程度に小さい操舵領域で操舵されることにより、操舵輪Bの操舵力が第1の操舵軸61、トーションバー62、第2の操舵軸63及びウォームホイール4を介してウォーム3に伝動されたとき、該ウォーム3に加わる軸長方向への分力によってウォーム3は第1の弾性体11を撓ませつつ軸長方向一方へ移動、又は第2の弾性体12を撓ませつつ軸長方向他方へ移動し、ウォーム3の回転角が小さくなり、ウォーム3から電動モータ1の出力軸1aへの伝動を緩和することができ、電動モータ1が駆動されない操舵領域での操舵負荷を低減でき、操舵フィーリングを良好にできる。
また、ウォーム3は転がり軸受7,8の内輪7b,8bとともに回転するため、ウォーム3が内輪7b,8bに対して回転する場合に比べてウォーム3の回転性を高めることができる。
【0031】
実施の形態2
図3は実施の形態2の構成を示すもので、(a) は一方の転がり軸受部分の拡大断面図、(b) は他方の転がり軸受部分の拡大断面図である。
この実施の形態2の電動パワーステアリング装置は、第1及び第2の弾性体11,12の可撓片の撓み量を制限する第1及び第2の制限部14,15を設けて可撓片の撓み量を制限し、第1及び第2の弾性体11,12の耐久性を高めることができるようにしたものである。
【0032】
実施の形態2において、第1及び第2の弾性体11,12の各可撓片は周方向へ離隔して配置されており、各可撓片間に凹所11a,12aを有する。
第1の制限部14は環状溝52に内嵌される比較的薄肉の環板からなり、内周部に第1の弾性体11の可撓片間の各凹所11aに挿入される凸部14aが突設されており、この凸部14aが外輪7aの一側面と当接することにより、第1の弾性体11の可撓片の撓み量を制限するようにしてある。凸部14aは環板の内周部に離隔して突設された突片を板厚方向へ曲折することにより形成されている。
【0033】
第2の制限部15は第1収容部5aの他端面にハウジング5と一体に突設され、第2の弾性体12の可撓片間の各凹所12aに挿入される凸部からなり、この第2の制限部15が外輪8aの一側面と当接することにより、第2の弾性体12の可撓片の撓み量を制限するようにしてある。尚、第2の制限部15はハウジング5と一体に成形されているが、その他、第1の制限部14のように環板からなる構成としてもよい。
【0034】
実施の形態2にあっては、電動モータ1が駆動されない操舵領域でウォーム3に加わる軸長方向への力が比較的大きい場合、第1又は第2の弾性板11,12の撓み量が大きくなるが、この弾性体11,12の撓み量を第1又は第2の制限部14,15により制限することができる。例えば、ウォーム3が軸長方向一方へ移動する場合、ウォーム3の移動力が転がり軸受7の内輪7b、転動体7c及び外輪7aを介して第1の弾性体11に伝動され、該第1の弾性体11が撓み、第1の弾性体11の撓み量の増加により第1の制限部14の凸部が外輪7aの一側面に当接し、ウォーム3の移動を制限することができる。この結果、第1の弾性体11の撓み量を制限することができ、第1の弾性体11の耐久性を高めることができる。しかも、第1の制限部14は比較的薄肉の環板からなるため、ハウジング5、ウォーム3の加工寸法誤差により転がり軸受7に加える予圧が不足する場合のシムとして用いることができる。尚、ウォーム3が軸長方向他方へ移動する場合、第2の制限部15が外輪8aの一側面に当接し、ウォーム3の移動を制限する。
【0035】
実施の形態3
図4は実施の形態3の構成を示す減速歯車機構部分の拡大断面図である。
この実施の形態3の電動パワーステアリング装置は、実施の形態1、2のようにウォーム6の軸部3cを転がり軸受8により支持する代わりに、ウォーム3及びウォームホイール4の回転中心間距離を調整可能とした軸受部材16により支持し、さらに、ウォーム3の軸部3b端面と出力軸1aの端面との間に介されてウォーム3を軸長方向へ付勢する付勢手段としてのコイルバネ17と、外輪7aの両側面に接触して外輪7aの軸長方向への移動を抑制する2つの弾性体18,19とを備える構成としたものである。
【0036】
この実施の形態3において、ウォーム3は軸部3bを転がり軸受7により支持し、軸部3cを軸受部材16によりウォーム3及びウォームホイール4の回転中心間距離を調整することができるように支持してある。
【0037】
コイルバネ17は操舵中立位置のウォーム3に、内輪7b及び外輪7a間の隙間、即ち、転がり軸受7のアキシアル隙間をなくするだけの押付力を加えている。従って、コイルバネ17は僅かに撓んでおり、この撓み状態で2つの弾性体18,19の弾性復元力がバランスし、ウォーム3の軸長方向両方への移動を抑制している。
【0038】
第1収容部5aには支持孔51に連なる2つの環状溝55,56が設けられており、各環状溝55,56に外輪7aの両側面に接触して外輪7aの軸長方向への移動を抑制する弾性体18,19が内嵌されている。この弾性体18,19はばね鋼板により第1の弾性体11と同様に形成されており、各可撓片が外輪7aの両側面に接触している。各弾性体18,19はウォーム3が操舵中立位置にある場合に非撓み状態であり、ウォーム3の軸長方向両方への移動を抑制している。
【0039】
軸受部材16は第1収容部5aの他端部に前記回転中心間距離が長短となる方向へ移動可能に支持されており、該軸受部材16の軸受孔に軸部が移動自在に挿入支持されている。また、軸受部材は前記回転中心間距離が短くなる方向へ弾性体20により付勢されている。
【0040】
実施の形態3にあっては、コイルバネ17により転がり軸受7のアキシアル隙間をなくしてあるため、ウォーム3の軸長方向へのガタつきをなくすることができる。この場合においても、コイルバネ17は軸部3b及び出力軸1aの端面間に設けてあるため、コイルバネ17によるウォーム3の回転負荷をなくすることができ、ウォーム3の回転性を高めることができる。
【0041】
そして、電動モータ1が駆動されない操舵領域で操舵されることにより、ウォーム3が軸長方向一方(電動モータ側)へ移動する場合、該ウォーム3とともに転がり軸受7が移動し、一方の弾性体18が撓み、ウォーム3の電動モータ1側への移動を抑制することができ、また、ウォーム3が軸長方向他方(反電動モータ側)へ移動する場合、該ウォーム3とともに転がり軸受8が移動し、他方の弾性体19が撓み、ウォーム3の反電動モータ側への移動を抑制することができる。
【0042】
しかも、ウォーム3を支持する転がり軸受7が1個であり、電動モータ1が駆動されない操舵領域で1個の転がり軸受7をウォーム3とともに移動させる構成であるため、2個の転がり軸受7,8を用いた場合に比べて軸受手段のコスト、ひいては電動パワーステアリング装置のコストを低減でき、また、ウォーム支持部分の小形化及び軽量化を図ることができ、さらに、ウォーム3の組込作業性を向上できる。
【0043】
また、ウォーム3の反電動モータ側の軸部3cは弾性体20によって付勢された軸受部材16により支持されているため、弾性体20がウォーム3をウォームホイール4に向けて付勢し、ウォーム3とウォームホイール4との回転中心間距離を調整することができ、ウォーム3及びウォームホイール4の噛合部のバックラッシュ量を低減できる。
その他の構成及び作用は実施の形態1、2と同様であるため、同様の部品については同じ符号を付し、その詳細な説明及び作用効果の説明を省略する。
【0044】
実施の形態4
図5は実施の形態4の構成を示す減速歯車機構部分の拡大断面図である。
この実施の形態4の電動パワーステアリング装置は、実施の形態1のように転がり軸受7,8の外輪7a,8aを支持孔51,54に遊嵌する代わりに、ウォーム3の軸長方向へ伸長することが可能な伸長環体31,32を各外輪7a,8aの外周部に嵌合保持し、該伸長環体31,32を介して各外輪7a,8aを支持孔51,54に内嵌し、さらに、外輪7a,8aの両側面に接触して外輪7a,8aの軸長方向への移動を抑制する2つの弾性体33,33、34,34を伸長環体31,32の両端部と一体に設けたものである。
【0045】
実施の形態4において、第1収容部5aには支持孔51,54に連なる移動規制部57,58と、支持孔51に連なるねじ孔59とが設けられており、ねじ孔59に螺着されたねじ環35により伸長環体31,32を移動規制部57,58に押し付け、ユニットCの軸長方向の位置を決めるようにしてある。また、各転がり軸受7,8の内輪7b,8bは軸部3b,3cに圧入されている。
伸長環体31,32は各外輪7a,8aの外周面に接触するように円筒形に形成されており、ウォーム3に軸長方向の力が加わったとき、その内周面が外輪7a,8aの外周面と接した状態で伸長するようになっている。
【0046】
弾性体33,33、34,34はウォーム3に軸長方向いずれか一方への力が加わったときウォーム3の軸長方向いずれか一方へ撓むようになっており、伸長環体31,32の伸長及び弾性体33,33、34,34の撓みによってウォーム3が内輪7b,8bに対して軸長方向へ移動することを抑制している。
【0047】
実施の形態4にあっては、転がり軸受7,8の外輪7a,8aが伸長環体31,32を介して軸長方向へ移動可能であり、内輪7b,8bが軸部3b,3cに圧入されているため、電動モータ1が駆動されない操舵領域で操舵されることにより、ウォーム3が軸長方向一方(電動モータ1側)へ移動する場合、該ウォーム3とともに各転がり軸受7,8が移動し、各伸長環体31,32が伸長するとともに一方の弾性体33,34が撓みつつ軸長方向一方へ移動、又は伸長環体31,32が伸長するとともに他方の弾性体33,34が撓みつつ軸長方向他方へ移動し、ウォーム3の回転角が小さくなり、ウォーム3から電動モータ1の出力軸1aへの伝動を緩和することができ、電動モータ1が駆動されない操舵領域での操舵負荷を低減できる。
しかも、ウォーム3と、内輪7b,8bが軸部3b,3cに圧入された各転がり軸受7,8と、各転がり軸受7,8の外輪7a,8aの外周部に嵌合保持された伸長環体31,32及び弾性体33,33、34,34とをユニットCにすることができるため、実施の形態1に比べて組立て作業性を向上できる。
【0048】
実施の形態5
図6は実施の形態5の構成を示す減速歯車機構部分の拡大断面図である。
この実施の形態5の電動パワーステアリング装置は、実施の形態3のようにウォーム3の電動モータ1側を転がり軸受7により支持し、反電動モータ側を軸受部材16により支持した構成において、転がり軸受7の外輪7aを支持孔51に遊嵌する代わりに、ウォーム3の軸長方向へ伸長することが可能な実施の形態4の伸長環体31を転がり軸受7の外輪7aの外周部に嵌合保持し、該伸長環体31を介して外輪7aを支持孔51に内嵌し、さらに、外輪7aの両側面に接触して外輪7aの軸長方向への移動を抑制する2つの弾性体33,33を伸長環体31の両端部と一体に設けたものである。
【0049】
実施の形態5において、第1収容部5aには支持孔51に連なる移動規制部57及びねじ孔59が設けられており、ねじ孔57に螺着されたねじ環35により伸長環体31を移動規制部57に押し付け、ユニットCの軸長方向の位置を決めるようにしてある。
【0050】
実施の形態5にあっては、転がり軸受7の外輪7aが伸長環体31を介して軸長方向へ移動可能であり、内輪7bが軸部3bに圧入されているため、電動モータ1が駆動されない操舵領域で操舵されることにより、ウォーム3が軸長方向一方(電動モータ1側)へ移動する場合、該ウォーム3とともに転がり軸受7が移動し、伸長環体31が伸長するとともに一方の弾性体33が撓みつつ軸長方向一方へ移動、又は伸長環体31が伸長するとともに他方の弾性体33が撓みつつ軸長方向他方へ移動し、ウォーム3の回転角が小さくなり、ウォーム3から電動モータ1の出力軸1aへの伝動を緩和することができ、電動モータ1が駆動されない操舵領域での操舵負荷を低減できる。
【0051】
しかも、ウォーム3と、内輪7bが軸部3bに圧入された転がり軸受7と、転がり軸受7の外輪7aの外周部に嵌合保持された伸長環体31及び弾性体33,33とをユニットCにすることができるため、実施の形態4に比べて組立て作業性を向上できる。 また、ウォーム3に加わる軸長方向の力を伸長環体31及び弾性体33,33が分担するため、伸長環体31及び弾性体33,33の耐久性を向上することができ、長期間に亘って使用することができる。
【0052】
尚、以上説明した実施の形態では伸長環体31と弾性体33,33及び伸長環体32と弾性体34,34とを一体に形成したが、その他、伸長環体31と弾性体33,33及び伸長環体32と弾性体34,34とは別体としてもよい。このように別体とした場合、移動規制部57及びねじ環35により弾性体33,33の移動を規制し、また、移動規制部57及び支持孔54の近傍に係止される止め輪などの規制環により弾性体34,34の移動を規制する。この構成においても電動モータ1が駆動されない操舵領域での操舵負荷を低減できる電動パワーステアリング装置の組立て作業性を向上できる。
【0053】
また、以上説明した実施の形態の減速歯車機構Aは、小歯車であるウォーム3及び大歯車であるウォームホイール4を備えたウォーム歯車である他、小歯車であるハイポイドピニオン及び大歯車であるハイポイドホイールを備えたハイポイド歯車であってもよい。さらに、小歯車、大歯車としてはすば歯車であってもよく、はすば歯車の一部とウォーム歯車の一部とを合成した歯車であってもよい。
【0054】
【発明の効果】
以上詳述したように第1発明及び第3発明によれば、電動モータが駆動されない操舵領域での操舵負荷を低減することができる電動パワーステアリング装置の組立て作業性を向上でき、しかも、この組立て時に転がり軸受のアキシアルすきまをなくすることができ、アキシアルすきまによる音鳴りを減少させることができる。
【0055】
第2発明によれば、弾性体の耐久性を向上することができる。
【0056】
第4発明によれば、電動モータが駆動されない操舵領域での操舵負荷を低減することができる電動パワーステアリング装置の組立て作業性を向上でき、しかも、この組立て時に転がり軸受の外輪内嵌部分での音鳴りを減少させることができ、アキシアルすきまによる音鳴りを減少させることができる。
【0057】
第5発明によれば、電動モータが駆動されない操舵領域での操舵負荷を低減することができる電動パワーステアリング装置の組立て作業性をさらに高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る電動パワーステアリング装置の実施の形態1の構成を示す減速歯車機構部分の拡大断面図である。
【図2】本発明に係る電動パワーステアリング装置の全体構成を示す断面図である。
【図3】本発明に係る電動パワーステアリング装置の実施の形態2の構成を示すもので、(a) は一方の転がり軸受部分の拡大断面図、(b) は他方の転がり軸受部分の拡大断面図である。
【図4】本発明に係る電動パワーステアリング装置の実施の形態3の構成を示す減速歯車機構部分の拡大断面図である。
【図5】本発明に係る電動パワーステアリング装置の実施の形態4の構成を示す減速歯車機構部分の拡大断面図である。
【図6】本発明に係る電動パワーステアリング装置の実施の形態5の構成を示す減速歯車機構部分の拡大断面図である。
【符号の説明】
1 電動モータ
3 ウォーム(小歯車)
3a 歯部
3b,3c 軸部(端部)
4 ウォームホイール(大歯車)
5 ハウジング
6 舵取手段
7,8 転がり軸受
7a,8a 外輪
7b,8b 内輪
11 第1の弾性体
12 第2の弾性体
17 コイルバネ(付勢手段)
18,19 弾性体
14 第1の制限部(制限手段)
15 第2の制限部(制限手段)
31,32 伸長環体
33,34 弾性体
【発明の属する技術分野】
本発明は操舵補助力の発生源として電動モータを用いてなる電動パワーステアリング装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両用の電動パワーステアリング装置としては、例えば操舵輪に繋がる入力軸及び該入力軸にトーションバーを介して同軸的に繋がる出力軸の相対角変位量によって前記入力軸に加わる操舵トルクを検出し、検出したトルク等に基づいて操舵補助用の電動モータを駆動し、該電動モータの回転力を減速歯車機構を介して舵取機構に伝動することにより操舵輪の回転に応じた舵取機構の動作を前記電動モータの回転により補助し、舵取りのための運転者の労力負担を軽減するように構成されている(例えば、特許文献1。)。
【0003】
減速歯車機構としては前記電動モータの駆動軸に連結された小歯車としてのウォームと、該ウォームに噛合する大歯車としてのウォームホイールとを備え、該ウォームホイールが前記出力軸の途中に嵌合固定されている。
また、ウォームはその両端部を一対の転がり軸受で支持し、ウォームの回転性を高めてある。
【0004】
ところで、以上のように構成された電動パワーステアリング装置のウォームは、両端部を支持する転がり軸受に対して軸長方向への移動ができないように支持されているため、前記操舵輪が操舵中立位置から左又は右方向へ操舵されることにより、操舵初期から前記電動モータが回転し、操舵補助が行われるように構成された場合、車両の高速走行時に操舵角が例えば1°程度に小さいときにおいても操舵補助が行われることになり、操舵フィーリングの低下を来すことになる。このため、一般には操舵角が1°程度に小さいときは電動モータが駆動されず、適度の操舵角を超えたときに電動モータが駆動されるように構成されている。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−21943号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、このように適度の操舵角を超えるまでの間電動モータが駆動されないように構成された場合、電動モータが駆動されない操舵領域、即ち、操舵中立位置の近傍領域での操舵時、操舵輪の操舵力が前記入力軸、トーションバー、出力軸、ウォームホイール及びウォームを介して電動モータの駆動軸に伝動され、該駆動軸が回転されることになる。この結果、電動モータの駆動軸を回転させるための負荷がウォーム、ウォームホイール、出力軸、トーションバー、及び入力軸を介して操舵輪に加わり、操舵負荷が大きくなり、操舵フィーリングの低下を来すことになる。
【0007】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、操舵補助用の電動モータが駆動されない操舵領域での操舵フィーリングを改善することができる割に組立て作業性を高めることができる電動パワーステアリング装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
第1発明に係る電動パワーステアリング装置は、操舵補助用の電動モータの回転を、その両端部が転がり軸受を介してハウジングに支持された小歯車と、該小歯車に噛合する大歯車とを介して操舵手段に伝えて操舵補助するようにした電動パワーステアリング装置において、各転がり軸受は内輪が前記小歯車の両端部に圧入されており、外輪が前記ハウジングに遊嵌されており、各転がり軸受の軸長方向における小歯車の歯部と反対側に配置されて各外輪の軸長方向への移動を抑制する2つの弾性体を備えていることを特徴とする。
【0009】
第1発明にあっては、各転がり軸受の内輪を小歯車の両端部に圧入して小歯車及び各転がり軸受をユニットにすることができるため、1つの弾性体をハウジング内に挿入した状態でユニットをハウジング内に挿入し、他の1つの弾性体をハウジングに挿入することにより組み立てることができ、組立て作業性を高めることができる。しかも、この組立て時に2つの弾性体を撓ませて各転がり軸受に軸長方向の予圧を加えることができるため、各転がり軸受のアキシアルすきまをなくすることができ、アキシアルすきまによる音鳴りを減少させることができる。また、操舵中立位置から左右いずれかの方向への操舵時、小歯車に加わる軸長方向への力によって弾性体が撓むことになり、この結果、電動モータが駆動されない操舵領域での操舵負荷を低減することができ、操舵フィーリングを向上することができる。
【0010】
第2発明に係る電動パワーステアリング装置は、操舵補助用の電動モータの回転を、転がり軸受を介して支持部材に支持された小歯車と、該小歯車に噛合する大歯車とを介して操舵手段に伝えて操舵補助するようにした電動パワーステアリング装置において、前記転がり軸受は内輪が前記小歯車に圧入されており、外輪が前記支持部材に遊嵌されており、前記小歯車を軸長方向へ付勢する付勢手段と、前記外輪の両側面に接触して外輪の軸長方向への移動を抑制する2つの弾性体とを備えていることを特徴とする。
【0011】
第2発明にあっては、転がり軸受の内輪を小歯車の両端部に圧入して小歯車及び転がり軸受をユニットにすることができるため、1つの弾性体をハウジング内に挿入した状態でユニットをハウジング内に挿入し、他の1つの弾性体をハウジングに挿入することにより組み立てることができ、組立て作業性を高めることができる。しかも、この組立て時に2つの弾性体を撓ませて転がり軸受に軸長方向の予圧を加えることができるため、転がり軸受のアキシアルすきまをなくすることができ、アキシアルすきまによる音鳴りを減少させることができる。
また、操舵中立位置から左右いずれかの方向への操舵時、小歯車に加わる軸長方向への力によって弾性体が撓むことになり、この結果、電動モータが駆動されない操舵領域での操舵負荷を低減することができ、操舵フィーリングを向上することができる。
【0012】
第3発明に係る電動パワーステアリング装置は、前記弾性体の撓み量を制限する制限手段を備えていることを特徴とする。
【0013】
第3発明にあっては、小歯車に加わる軸長方向への力によって弾性体が撓むとき、この弾性体の撓み量を制限手段により制限することができるため、弾性体の耐久性を向上することができる。
【0014】
第4発明に係る電動パワーステアリング装置は、操舵補助用の電動モータの回転を、転がり軸受を介してハウジングに支持された小歯車と、該小歯車に噛合する大歯車とを介して操舵手段に伝えて操舵補助するようにした電動パワーステアリング装置において、前記転がり軸受は内輪が前記小歯車に圧入されており、外輪が前記小歯車に加わる軸長方向への力によって軸長方向へ伸長が可能な伸長環体を介して前記ハウジングに内嵌されており、前記外輪の両側面に接触して外輪の軸長方向への移動を抑制する2つの弾性体を備えていることを特徴とする。
【0015】
第4発明にあっては、転がり軸受の内輪を小歯車の端部に圧入し、伸長環体を外輪に外嵌して小歯車、転がり軸受及び伸長環体をユニットにすることができるため、1つの弾性体をハウジング内に挿入した状態でユニットをハウジング内に挿入し、他の1つの弾性体をハウジングに挿入することにより組み立てることができ、組立て作業性を高めることができる。
また、操舵中立位置から左右いずれかの方向への操舵時、小歯車に加わる軸長方向への力によって伸長環体が伸長するとともに、弾性体が撓むことになり、この結果、電動モータが駆動されない操舵領域での操舵負荷を低減することができ、操舵フィーリングを向上することができる。しかも、転がり軸受の外輪は伸長環体を介してハウジングに内嵌するため、外輪のラジアル方向へのガタつきを伸長環体により吸収することができ、外輪の内嵌部分での音鳴りを減少させることができる。
【0016】
第5発明に係る電動パワーステアリング装置は、前記伸長環体及び2つの弾性体は一体に形成されていることを特徴とする。
【0017】
第5発明にあっては、転がり軸受の内輪を小歯車の端部に圧入し、伸長環体を外輪に外嵌して小歯車、転がり軸受、一体となった伸長環体及び2つの弾性体をユニットにすることができるため、このユニットをハウジング内に挿入することにより組み立てることができ、組立て作業性をさらに高めることができる。
また、操舵中立位置から左右いずれかの方向への操舵時、小歯車に加わる軸長方向への力によって伸長環体が伸長するとともに、弾性体が撓むことになり、この結果、電動モータが駆動されない操舵領域での操舵負荷を低減することができ、操舵フィーリングを向上することができる。しかも、転がり軸受の外輪は伸長環体を介してハウジングに内嵌するため、外輪のラジアル方向へのガタつきを伸長環体により吸収することができ、外輪の内嵌部分での音鳴りを減少させることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
実施の形態1
図1は本発明に係る電動パワーステアリング装置の実施の形態1の構成を示す減速歯車機構部分の拡大断面図、図2は電動パワーステアリング装置の全体構成を示す断面図である。
【0019】
電動パワーステアリング装置は、操舵補助用の電動モータ1と、該電動モータ1の出力軸1aに雄形継手部21及び雌形継手部22を有する軸継手2を介して連結され、歯を有する小歯車としてのウォーム3及び該ウォーム3に噛合する大歯車としてのウォームホイール4を有する減速歯車機構Aと、該減速歯車機構Aを収容して支持するハウジング5と、減速歯車機構Aに繋がる舵取手段6とを備えている。
【0020】
この舵取手段6は、一端部が舵取りのための操舵輪Bに繋がり、他端部に筒部61aを有する第1の操舵軸61と、筒部61a内に挿入されてその一端部が第1の操舵軸61の筒部61aに連結され、操舵輪Bに加わる操舵トルクの作用によって捩れるトーションバー62と、他端部がトーションバー62の他端部に連結され、減速歯車機構Aに繋がる第2の操舵軸63とを備え、該第2の操舵軸63がユニバーサルジョイントを介して例えばラックピニオン式の舵取機構(不図示)に繋がる。
【0021】
ハウジング5は歯部3aの両端に軸部3b,3cを有するウォーム3を収容し、該ウォーム3の軸部3b,3cを、転がり軸受7,8を介して回転自在に支持した第1収容部5aと、ウォームホイール4を収容し、該ウォームホイール4を第2の操舵軸63及び第2の操舵軸63に嵌合された2つの転がり軸受9,10を介して支持した第2収容部5bとを有する。
【0022】
第1収容部5aはウォーム3の軸長方向に長くなっており、その長手方向一端部には転がり軸受7の外輪7aを遊嵌して支持する支持孔51及び該支持孔51に連なる環状溝52及びモータ取付部53が設けられており、このモータ取付部53に電動モータ1が取付けられている。第1収容部5aの他端部には転がり軸受8の外輪8aを遊嵌して支持する支持孔54が設けられている。
【0023】
減速歯車機構Aのウォーム3は複数条の歯を有する歯部3aの一端に設けられた軸部3bが転がり軸受7の内輪7bに圧入され、転がり軸受7を介して支持孔51に回転自在に支持されている。歯部3aの他端に設けられた軸部3cは転がり軸受8の内輪8bに圧入され、転がり軸受8を介して支持孔54に回転自在に支持されている。尚、外輪7a,8aと内輪7b,8bとの間には複数の転動体7c,8cが設けられている。ウォームホイール4は第2の操舵軸63の途中に嵌合固定されている。
【0024】
このように転がり軸受7,8の内輪7b,8bに軸部3b,3cが圧入されたウォーム3と転がり軸受7,8とはユニットCになる。このユニットCの各転がり軸受7,8のウォーム3と反対側には各外輪7a,8aの一側面に接触して外輪7a,8aの軸長方向への移動、換言すればユニットCの軸長方向への移動を抑制する第1及び第2の弾性体11,12が配置される。
【0025】
第1及び第2の弾性体11,12はばね鋼板からなる。第1の弾性体11は内周部に等配された複数の可撓片(図示せず)を有する皿ばねからなり、外周部が環状溝52に内嵌され、内周部の可撓片が外輪7aの一側面に接触して該外輪7aを歯部3a側へ押圧し、転がり軸受7に軸長方向の予圧を加え、転がり軸受7のアキシアル隙間をなくするとともに、ユニットCの軸長方向への移動を抑制している。
【0026】
第2の弾性体12は外周部に等配された複数の可撓片(図示せず)を有する皿ばねからなり、内周部が第1収容部5aの他端面に接触し、外周部の可撓片が外輪8aの一側面に接触して該外輪8aを押圧し、転がり軸受8に軸長方向の予圧を加え、転がり軸受8のアキシアル隙間をなくしている。
【0027】
電動モータ1の出力軸1aとウォーム3の軸部3bとはセレーションを有する雄形継手部21及び雌形継手部22を介して軸長方向への相対移動を可能に連結されている。雄形継手部21は軸部3bの周面にセレーションを設けることにより構成されており、また、雌形継手部22は出力軸1aに嵌合固定された筒部材の内側にセレーションを設けることにより構成されており、雄形継手部21及び雌形継手部22がセレーション嵌合されている。
【0028】
尚、ハウジング5内には、トーションバー62の捩れに応じた第1の操舵軸61及び第2の操舵軸63の相対回転変位量によって操舵輪Bに加わる操舵トルクを検出するトルクセンサ13が内装されており、該トルクセンサ13が検出したトルク等に基づいて電動モータ1が駆動制御されるように構成されている。
【0029】
以上のように構成された電動パワーステアリング装置において、ウォーム3を組み込む場合、第2の弾性体12を第1収容部5aに挿入し、該第1収容部5aの他端に第2の弾性体12を支持する。この状態でユニットCを第1収容部5aに挿入し、転がり軸受8の外輪8aを支持孔54に遊嵌するとともに、転がり軸受7の外輪7aを支持孔51に遊嵌する。そして、ユニットCを挿入方向へ押圧して第2の弾性体12を若干撓ませつつ第1の弾性体11を環状溝52に内嵌し、この第1の弾性体11を若干撓ませ、各転がり軸受7,8に予圧を加える。このように第2の弾性体12、ユニットC及び第1の弾性体11を挿入することによりウォーム3を組み込むことができるため、組立て作業性を高めることができる。
【0030】
ユニットCは軸長方向への移動が可能であり、しかも、第1及び第2の弾性体11,12がユニットCの軸長方向への移動を抑制しているため、電動モータ1が駆動されない操舵領域、即ち、車両の高速走行時の操舵角が例えば1°程度に小さい操舵領域で操舵されることにより、操舵輪Bの操舵力が第1の操舵軸61、トーションバー62、第2の操舵軸63及びウォームホイール4を介してウォーム3に伝動されたとき、該ウォーム3に加わる軸長方向への分力によってウォーム3は第1の弾性体11を撓ませつつ軸長方向一方へ移動、又は第2の弾性体12を撓ませつつ軸長方向他方へ移動し、ウォーム3の回転角が小さくなり、ウォーム3から電動モータ1の出力軸1aへの伝動を緩和することができ、電動モータ1が駆動されない操舵領域での操舵負荷を低減でき、操舵フィーリングを良好にできる。
また、ウォーム3は転がり軸受7,8の内輪7b,8bとともに回転するため、ウォーム3が内輪7b,8bに対して回転する場合に比べてウォーム3の回転性を高めることができる。
【0031】
実施の形態2
図3は実施の形態2の構成を示すもので、(a) は一方の転がり軸受部分の拡大断面図、(b) は他方の転がり軸受部分の拡大断面図である。
この実施の形態2の電動パワーステアリング装置は、第1及び第2の弾性体11,12の可撓片の撓み量を制限する第1及び第2の制限部14,15を設けて可撓片の撓み量を制限し、第1及び第2の弾性体11,12の耐久性を高めることができるようにしたものである。
【0032】
実施の形態2において、第1及び第2の弾性体11,12の各可撓片は周方向へ離隔して配置されており、各可撓片間に凹所11a,12aを有する。
第1の制限部14は環状溝52に内嵌される比較的薄肉の環板からなり、内周部に第1の弾性体11の可撓片間の各凹所11aに挿入される凸部14aが突設されており、この凸部14aが外輪7aの一側面と当接することにより、第1の弾性体11の可撓片の撓み量を制限するようにしてある。凸部14aは環板の内周部に離隔して突設された突片を板厚方向へ曲折することにより形成されている。
【0033】
第2の制限部15は第1収容部5aの他端面にハウジング5と一体に突設され、第2の弾性体12の可撓片間の各凹所12aに挿入される凸部からなり、この第2の制限部15が外輪8aの一側面と当接することにより、第2の弾性体12の可撓片の撓み量を制限するようにしてある。尚、第2の制限部15はハウジング5と一体に成形されているが、その他、第1の制限部14のように環板からなる構成としてもよい。
【0034】
実施の形態2にあっては、電動モータ1が駆動されない操舵領域でウォーム3に加わる軸長方向への力が比較的大きい場合、第1又は第2の弾性板11,12の撓み量が大きくなるが、この弾性体11,12の撓み量を第1又は第2の制限部14,15により制限することができる。例えば、ウォーム3が軸長方向一方へ移動する場合、ウォーム3の移動力が転がり軸受7の内輪7b、転動体7c及び外輪7aを介して第1の弾性体11に伝動され、該第1の弾性体11が撓み、第1の弾性体11の撓み量の増加により第1の制限部14の凸部が外輪7aの一側面に当接し、ウォーム3の移動を制限することができる。この結果、第1の弾性体11の撓み量を制限することができ、第1の弾性体11の耐久性を高めることができる。しかも、第1の制限部14は比較的薄肉の環板からなるため、ハウジング5、ウォーム3の加工寸法誤差により転がり軸受7に加える予圧が不足する場合のシムとして用いることができる。尚、ウォーム3が軸長方向他方へ移動する場合、第2の制限部15が外輪8aの一側面に当接し、ウォーム3の移動を制限する。
【0035】
実施の形態3
図4は実施の形態3の構成を示す減速歯車機構部分の拡大断面図である。
この実施の形態3の電動パワーステアリング装置は、実施の形態1、2のようにウォーム6の軸部3cを転がり軸受8により支持する代わりに、ウォーム3及びウォームホイール4の回転中心間距離を調整可能とした軸受部材16により支持し、さらに、ウォーム3の軸部3b端面と出力軸1aの端面との間に介されてウォーム3を軸長方向へ付勢する付勢手段としてのコイルバネ17と、外輪7aの両側面に接触して外輪7aの軸長方向への移動を抑制する2つの弾性体18,19とを備える構成としたものである。
【0036】
この実施の形態3において、ウォーム3は軸部3bを転がり軸受7により支持し、軸部3cを軸受部材16によりウォーム3及びウォームホイール4の回転中心間距離を調整することができるように支持してある。
【0037】
コイルバネ17は操舵中立位置のウォーム3に、内輪7b及び外輪7a間の隙間、即ち、転がり軸受7のアキシアル隙間をなくするだけの押付力を加えている。従って、コイルバネ17は僅かに撓んでおり、この撓み状態で2つの弾性体18,19の弾性復元力がバランスし、ウォーム3の軸長方向両方への移動を抑制している。
【0038】
第1収容部5aには支持孔51に連なる2つの環状溝55,56が設けられており、各環状溝55,56に外輪7aの両側面に接触して外輪7aの軸長方向への移動を抑制する弾性体18,19が内嵌されている。この弾性体18,19はばね鋼板により第1の弾性体11と同様に形成されており、各可撓片が外輪7aの両側面に接触している。各弾性体18,19はウォーム3が操舵中立位置にある場合に非撓み状態であり、ウォーム3の軸長方向両方への移動を抑制している。
【0039】
軸受部材16は第1収容部5aの他端部に前記回転中心間距離が長短となる方向へ移動可能に支持されており、該軸受部材16の軸受孔に軸部が移動自在に挿入支持されている。また、軸受部材は前記回転中心間距離が短くなる方向へ弾性体20により付勢されている。
【0040】
実施の形態3にあっては、コイルバネ17により転がり軸受7のアキシアル隙間をなくしてあるため、ウォーム3の軸長方向へのガタつきをなくすることができる。この場合においても、コイルバネ17は軸部3b及び出力軸1aの端面間に設けてあるため、コイルバネ17によるウォーム3の回転負荷をなくすることができ、ウォーム3の回転性を高めることができる。
【0041】
そして、電動モータ1が駆動されない操舵領域で操舵されることにより、ウォーム3が軸長方向一方(電動モータ側)へ移動する場合、該ウォーム3とともに転がり軸受7が移動し、一方の弾性体18が撓み、ウォーム3の電動モータ1側への移動を抑制することができ、また、ウォーム3が軸長方向他方(反電動モータ側)へ移動する場合、該ウォーム3とともに転がり軸受8が移動し、他方の弾性体19が撓み、ウォーム3の反電動モータ側への移動を抑制することができる。
【0042】
しかも、ウォーム3を支持する転がり軸受7が1個であり、電動モータ1が駆動されない操舵領域で1個の転がり軸受7をウォーム3とともに移動させる構成であるため、2個の転がり軸受7,8を用いた場合に比べて軸受手段のコスト、ひいては電動パワーステアリング装置のコストを低減でき、また、ウォーム支持部分の小形化及び軽量化を図ることができ、さらに、ウォーム3の組込作業性を向上できる。
【0043】
また、ウォーム3の反電動モータ側の軸部3cは弾性体20によって付勢された軸受部材16により支持されているため、弾性体20がウォーム3をウォームホイール4に向けて付勢し、ウォーム3とウォームホイール4との回転中心間距離を調整することができ、ウォーム3及びウォームホイール4の噛合部のバックラッシュ量を低減できる。
その他の構成及び作用は実施の形態1、2と同様であるため、同様の部品については同じ符号を付し、その詳細な説明及び作用効果の説明を省略する。
【0044】
実施の形態4
図5は実施の形態4の構成を示す減速歯車機構部分の拡大断面図である。
この実施の形態4の電動パワーステアリング装置は、実施の形態1のように転がり軸受7,8の外輪7a,8aを支持孔51,54に遊嵌する代わりに、ウォーム3の軸長方向へ伸長することが可能な伸長環体31,32を各外輪7a,8aの外周部に嵌合保持し、該伸長環体31,32を介して各外輪7a,8aを支持孔51,54に内嵌し、さらに、外輪7a,8aの両側面に接触して外輪7a,8aの軸長方向への移動を抑制する2つの弾性体33,33、34,34を伸長環体31,32の両端部と一体に設けたものである。
【0045】
実施の形態4において、第1収容部5aには支持孔51,54に連なる移動規制部57,58と、支持孔51に連なるねじ孔59とが設けられており、ねじ孔59に螺着されたねじ環35により伸長環体31,32を移動規制部57,58に押し付け、ユニットCの軸長方向の位置を決めるようにしてある。また、各転がり軸受7,8の内輪7b,8bは軸部3b,3cに圧入されている。
伸長環体31,32は各外輪7a,8aの外周面に接触するように円筒形に形成されており、ウォーム3に軸長方向の力が加わったとき、その内周面が外輪7a,8aの外周面と接した状態で伸長するようになっている。
【0046】
弾性体33,33、34,34はウォーム3に軸長方向いずれか一方への力が加わったときウォーム3の軸長方向いずれか一方へ撓むようになっており、伸長環体31,32の伸長及び弾性体33,33、34,34の撓みによってウォーム3が内輪7b,8bに対して軸長方向へ移動することを抑制している。
【0047】
実施の形態4にあっては、転がり軸受7,8の外輪7a,8aが伸長環体31,32を介して軸長方向へ移動可能であり、内輪7b,8bが軸部3b,3cに圧入されているため、電動モータ1が駆動されない操舵領域で操舵されることにより、ウォーム3が軸長方向一方(電動モータ1側)へ移動する場合、該ウォーム3とともに各転がり軸受7,8が移動し、各伸長環体31,32が伸長するとともに一方の弾性体33,34が撓みつつ軸長方向一方へ移動、又は伸長環体31,32が伸長するとともに他方の弾性体33,34が撓みつつ軸長方向他方へ移動し、ウォーム3の回転角が小さくなり、ウォーム3から電動モータ1の出力軸1aへの伝動を緩和することができ、電動モータ1が駆動されない操舵領域での操舵負荷を低減できる。
しかも、ウォーム3と、内輪7b,8bが軸部3b,3cに圧入された各転がり軸受7,8と、各転がり軸受7,8の外輪7a,8aの外周部に嵌合保持された伸長環体31,32及び弾性体33,33、34,34とをユニットCにすることができるため、実施の形態1に比べて組立て作業性を向上できる。
【0048】
実施の形態5
図6は実施の形態5の構成を示す減速歯車機構部分の拡大断面図である。
この実施の形態5の電動パワーステアリング装置は、実施の形態3のようにウォーム3の電動モータ1側を転がり軸受7により支持し、反電動モータ側を軸受部材16により支持した構成において、転がり軸受7の外輪7aを支持孔51に遊嵌する代わりに、ウォーム3の軸長方向へ伸長することが可能な実施の形態4の伸長環体31を転がり軸受7の外輪7aの外周部に嵌合保持し、該伸長環体31を介して外輪7aを支持孔51に内嵌し、さらに、外輪7aの両側面に接触して外輪7aの軸長方向への移動を抑制する2つの弾性体33,33を伸長環体31の両端部と一体に設けたものである。
【0049】
実施の形態5において、第1収容部5aには支持孔51に連なる移動規制部57及びねじ孔59が設けられており、ねじ孔57に螺着されたねじ環35により伸長環体31を移動規制部57に押し付け、ユニットCの軸長方向の位置を決めるようにしてある。
【0050】
実施の形態5にあっては、転がり軸受7の外輪7aが伸長環体31を介して軸長方向へ移動可能であり、内輪7bが軸部3bに圧入されているため、電動モータ1が駆動されない操舵領域で操舵されることにより、ウォーム3が軸長方向一方(電動モータ1側)へ移動する場合、該ウォーム3とともに転がり軸受7が移動し、伸長環体31が伸長するとともに一方の弾性体33が撓みつつ軸長方向一方へ移動、又は伸長環体31が伸長するとともに他方の弾性体33が撓みつつ軸長方向他方へ移動し、ウォーム3の回転角が小さくなり、ウォーム3から電動モータ1の出力軸1aへの伝動を緩和することができ、電動モータ1が駆動されない操舵領域での操舵負荷を低減できる。
【0051】
しかも、ウォーム3と、内輪7bが軸部3bに圧入された転がり軸受7と、転がり軸受7の外輪7aの外周部に嵌合保持された伸長環体31及び弾性体33,33とをユニットCにすることができるため、実施の形態4に比べて組立て作業性を向上できる。 また、ウォーム3に加わる軸長方向の力を伸長環体31及び弾性体33,33が分担するため、伸長環体31及び弾性体33,33の耐久性を向上することができ、長期間に亘って使用することができる。
【0052】
尚、以上説明した実施の形態では伸長環体31と弾性体33,33及び伸長環体32と弾性体34,34とを一体に形成したが、その他、伸長環体31と弾性体33,33及び伸長環体32と弾性体34,34とは別体としてもよい。このように別体とした場合、移動規制部57及びねじ環35により弾性体33,33の移動を規制し、また、移動規制部57及び支持孔54の近傍に係止される止め輪などの規制環により弾性体34,34の移動を規制する。この構成においても電動モータ1が駆動されない操舵領域での操舵負荷を低減できる電動パワーステアリング装置の組立て作業性を向上できる。
【0053】
また、以上説明した実施の形態の減速歯車機構Aは、小歯車であるウォーム3及び大歯車であるウォームホイール4を備えたウォーム歯車である他、小歯車であるハイポイドピニオン及び大歯車であるハイポイドホイールを備えたハイポイド歯車であってもよい。さらに、小歯車、大歯車としてはすば歯車であってもよく、はすば歯車の一部とウォーム歯車の一部とを合成した歯車であってもよい。
【0054】
【発明の効果】
以上詳述したように第1発明及び第3発明によれば、電動モータが駆動されない操舵領域での操舵負荷を低減することができる電動パワーステアリング装置の組立て作業性を向上でき、しかも、この組立て時に転がり軸受のアキシアルすきまをなくすることができ、アキシアルすきまによる音鳴りを減少させることができる。
【0055】
第2発明によれば、弾性体の耐久性を向上することができる。
【0056】
第4発明によれば、電動モータが駆動されない操舵領域での操舵負荷を低減することができる電動パワーステアリング装置の組立て作業性を向上でき、しかも、この組立て時に転がり軸受の外輪内嵌部分での音鳴りを減少させることができ、アキシアルすきまによる音鳴りを減少させることができる。
【0057】
第5発明によれば、電動モータが駆動されない操舵領域での操舵負荷を低減することができる電動パワーステアリング装置の組立て作業性をさらに高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る電動パワーステアリング装置の実施の形態1の構成を示す減速歯車機構部分の拡大断面図である。
【図2】本発明に係る電動パワーステアリング装置の全体構成を示す断面図である。
【図3】本発明に係る電動パワーステアリング装置の実施の形態2の構成を示すもので、(a) は一方の転がり軸受部分の拡大断面図、(b) は他方の転がり軸受部分の拡大断面図である。
【図4】本発明に係る電動パワーステアリング装置の実施の形態3の構成を示す減速歯車機構部分の拡大断面図である。
【図5】本発明に係る電動パワーステアリング装置の実施の形態4の構成を示す減速歯車機構部分の拡大断面図である。
【図6】本発明に係る電動パワーステアリング装置の実施の形態5の構成を示す減速歯車機構部分の拡大断面図である。
【符号の説明】
1 電動モータ
3 ウォーム(小歯車)
3a 歯部
3b,3c 軸部(端部)
4 ウォームホイール(大歯車)
5 ハウジング
6 舵取手段
7,8 転がり軸受
7a,8a 外輪
7b,8b 内輪
11 第1の弾性体
12 第2の弾性体
17 コイルバネ(付勢手段)
18,19 弾性体
14 第1の制限部(制限手段)
15 第2の制限部(制限手段)
31,32 伸長環体
33,34 弾性体
Claims (5)
- 操舵補助用の電動モータの回転を、その両端部が転がり軸受を介してハウジングに支持された小歯車と、該小歯車に噛合する大歯車とを介して操舵手段に伝えて操舵補助するようにした電動パワーステアリング装置において、各転がり軸受は内輪が前記小歯車の両端部に圧入されており、外輪が前記ハウジングに遊嵌されており、各転がり軸受の軸長方向における小歯車の歯部と反対側に配置されて各外輪の軸長方向への移動を抑制する2つの弾性体を備えていることを特徴とする電動パワーステアリング装置。
- 操舵補助用の電動モータの回転を、転がり軸受を介してハウジングに支持された小歯車と、該小歯車に噛合する大歯車とを介して操舵手段に伝えて操舵補助するようにした電動パワーステアリング装置において、前記転がり軸受は内輪が前記小歯車に圧入されており、外輪が前記ハウジングに遊嵌されており、前記小歯車を軸長方向へ付勢する付勢手段と、前記外輪の両側面に接触して外輪の軸長方向への移動を抑制する2つの弾性体とを備えていることを特徴とする電動パワーステアリング装置。
- 前記弾性体の撓み量を制限する制限手段を備えている請求項1又は2記載の電動パワーステアリング装置。
- 操舵補助用の電動モータの回転を、転がり軸受を介してハウジングに支持された小歯車と、該小歯車に噛合する大歯車とを介して操舵手段に伝えて操舵補助するようにした電動パワーステアリング装置において、前記転がり軸受は内輪が前記小歯車に圧入されており、外輪が前記小歯車に加わる軸長方向への力によって軸長方向へ伸長が可能な伸長環体を介して前記ハウジングに内嵌されており、前記外輪の両側面に接触して外輪の軸長方向への移動を抑制する2つの弾性体を備えていることを特徴とする電動パワーステアリング装置。
- 前記伸長環体及び2つの弾性体は一体に形成されている請求項4記載の電動パワーステアリング装置。
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