JP2004249640A - 高精度プラスチックス製光学部品用金型の冷却装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】キャビティー型とコア型との一対からなる熱可塑性樹脂用金型の該キャビティー型及びコア型の外側にヒータープレートと冷却プレートとを順次に配置し、ヒータープレートは並行した多数本の伝熱ヒーターを有していて該ヒータの長手方向に温度分布調整可能な機能を具備しており、かつ冷却プレートは並行した多数本の冷却液路を有していて該冷却液路のうちの何本かの冷却液路を流れる冷却液とその他の冷却液路を流れる冷却液が互いに向流になるように配置したことを特徴とする高精度プラスチックス製光学部品用金型の冷却装置。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱可塑性樹脂原料を使用してオーバーヘッドプロジェクター、ウィンドディスプレイ、フロントプロジェクター、デジタルカメラ、ヘッドアップディスプレイ、複写機、レーザープリンター、その他光学機器に使用する光学部品、特に成形表面の粗さがナノメートルオーダーの平滑性及び形状偏差量が数十ミクロン以下の形状精度が要求される光学部品等の高精度プラスチックス製光学部品を製造する為の金型の冷却装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
高精度なプラスチック製光学製品を成形する方法としては、射出圧縮成型法、高温射出成型法、プレス成型法等があるが、投射レンズ(特許文献1参照)、投射ミラー(特許文献2参照)のような、金型転写面内の高低差が15mm以上の曲率を有した非球面或いは球面形状であって100cm2以上の面積を有するものを転写面内精度(転写面の金型形状に対する偏差)を100μm以下に実現するためには冷却時のキャビティ型及びコア型の面内温度分布(特に成形樹脂のガラス転移温度付近での)を極めて小さく抑えることが必要である。
【0003】
上記の諸元を有する金型を使用して成形された成形品の転写面内精度を100μm以下に実現するためには、長時間かけて金型面内の温度分布を安定させながら冷却するか、又は高精度な温度調節器を冷却パターンに合わせて複数器使用し精密な温度コントロールする等、高額な初期設備投資を必要とし、または成形工程において長時間を要し量産性に乏しかった。
【0004 】
【特許文献1】
特開2002−139610
【特許文献2】
特開2002−228815
【0005 】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は金型転写面内の高低差が15mm以上の曲率、転写面積100cm2以上及び転写面内精度を100μm以下を必要とする高精度なプラスチック製光学製品を高額な温度調節器を必要とせずに、かつ短時間の成形サイクルを可能とした高精度プラスチックス製光学部品用金型の冷却装置を提供する。
【0006 】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記問題を解決した高精度プラスチックス製光学部品用金型の冷却装置であってその要旨は、
(1)キャビティー型とコア型との一対からなる熱可塑性樹脂用金型の該キャビティー型及びコア型の外側に、ヒータープレートと冷却プレートとを順次に配置し、ヒータープレートは並行した多数本の電熱ヒーターを有していて該ヒータの長手方向に温度分布調整可能な機能を具備しており、かつ冷却プレートは並行した多数本の冷却液路を有していて該冷却液路のうちの何本かの冷却液路を流れる冷却液とその他の冷却液路を流れる冷却液が互いに向流になるように配置したことを特徴とする高精度プラスチックス製光学部品用金型の冷却装置である。
(2)キャビティー型とコア型との一対からなる熱可塑性樹脂用金型の該キャビティー型及びコア型の内部に、電熱ヒーターと冷却液路とを並行して複数本を設け、電熱ヒーターはその長手方向に温度分布調整可能な機能を具備しており、かつ冷却液路のうちの何本かの冷却液路を流れる冷却液とその他の冷却液路を流れる冷却液が互いに向流になるように配置したことを特徴とする高精度プラスチックス製光学部品用金型の冷却装置である。
(3)電熱ヒーターは、長手方向に二箇所以上のコントロールが可能なものであることを特徴とする上記(1)〜(2)何れかの高精度プラスチックス製光学部品用金型の冷却装置である。
(4)冷却液路の各々には、流量調整バルブを設けたことを特徴とする上記(1)〜(3)何れかの高精度プラスチックス製光学部品用金型の冷却装置である。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の高精度プラスチックス製光学部品用金型の冷却装置を添付図面に基づいて説明する。
図1は高精度プラスチックス製光学部品用金型の冷却装置の一実施例の縦断面図である。
図2は高精度プラスチックス製光学部品用金型の冷却装置の他の実施例の縦断面図である。
図3はヒータープレートの一実施例の平面斜視図である。
図4は冷却プレートの一実施例の平面断面図である。
図5は冷却プレートの他の実施例の平面断面図である。
図6はキャビティー型の概略図である。
図7は高精度プラスチックス製光学部品用金型の内部に、電熱ヒーターと冷却液路とを設けた一実施例の縦断面図である。
【0008】
図1及び2において、1はキャビティー型であって、当該キャビティー型1は鏡面仕上げされた非球面形状を有する。
2はコア型であって、当該コア型2とキャビティー型1の一対によって熱可塑性樹脂成形体7を成形する金型を構成する。
3及び4は周枠であって、当該周枠3、4によってキャビティー型1及びコア型2が挟持されてセッチングされている。
【0009】
図1において、5はヒータープレートであって、当該ヒータープレート5は並行した多数本の電熱ヒーターの挿入用孔5−1を有し、キャビティー型1及びコア型2の外側に接触して配置されいる。
6は冷却プレートであって、該冷却プレート6は並行した多数本の冷却液路6−1(図1)、6−2及び6−3(図2)を有し、ヒータープレート5の外側に接触して配置されている。
そして、ヒータープレート5に設けられている電熱ヒーターの挿入用孔の長手方向と冷却プレート6の設けられている冷却液路とは、直交配置(図1)であっても並行配置(図2)の何れであっても良い。
図2において、冷却液路6−2は紙面に対して奥から手前に冷却液が流れる冷却液路を示し、一方冷却液路6−3は紙面に対して手前から奥に冷却液が流れる冷却液路を示しており、両冷却液路を交互に並行して配置した例である。
上述の通り、ヒータープレート5及び冷却プレート6の二枚のプレートの組合せによって、キャビティー型1及びコア型2よりなる金型の冷却装置を構成している。
【0010】
図3において、ヒータープレート5に設けられた電熱ヒーターの挿入用孔5−1内の長手方向には、分割された3本の電熱ヒーター5−2A、5−2B及び5−2Cが内挿されており、当該電熱ヒーターは各々別個に温度調整が可能な機能を具備している。
この各電熱電熱ヒーター5−2A、5−2B及び5−2Cは、各々少なくとも5cm×5cm(25cm2)面積程度を温度制御できるような性能を有していることが好ましい。
【0011】
図4においては、冷却プレート6に設けられた冷却液路6−2A及び6−2Bと冷却液路6−3A、6−3B及び6−3Cとは、冷却液が交互に向流するように配置された例である。
図5においては、冷却プレート6に設けられた右側の2本の冷却液路6−2A及び6−2Bと左側の2本の冷却液路6−3A及び6−3Bとは、冷却液が向流となるように配置されており、また冷却プレート6の中央部に位置する冷却液路6−2Cと6−3Cも向流するように配置された例である。
このように、本発明は冷却プレート6の両端面より冷却液を流入する向流冷却液路を配置したので、冷却プレート6の一端面のみ冷却液を流入する冷却液路配置の場合のように当該一端面が局部的に過冷になる虞がなく、冷却プレート6を全体的に均等に冷却することができる。
【0012】
各冷却液路の入口部には、流量調整バルブ6−4を設け、当該各バルブ6−4の開度を調整することにより冷却液の流量をコントロールすると共に、ヒータープレート5に設けられている各電熱ヒーターを温度調整することにより、金型内壁の温度分布を4℃以内に制御できる機能を具備している。
また、ヒータープレート5及び冷却プレート6は熱伝導率λが50W/m・k以上の材料を用い、一般的にはアルミニウム合金の使用が好ましく、更に銅合金を用いることがより好ましい。
【0013】
図6において、キャビティー型1の代表的な形状であって、即ち金型転写面内の高低差H1が15mm以上の曲率を有した非球面形状で100cm2以上の面積を有し、かつキャビティー型1の底面から非球面形状の最低厚みH2が30mmを有する金型には、本発明の冷却装置が好適に利用できる。
【0014】
図7は、キャビティー型1及びコア型2の内部に直接に電熱ヒータ挿入用孔5−1と冷却液路6−2、6−3とを並行して交互に複数本設けた例である。
そして電熱ヒータ挿入用孔5−1内の長手方向には、図3に示した構造と同様に分割された3本の電熱ヒーター5−2A、5−2B及び5−2Cが内挿されており、当該電熱ヒーターは各々別個に温度調整が可能な機能を具備している。
冷却液路6−2、6−3は冷却液が互いに向流になるように配置され、その各々には流量調整バルブが設けられている。
この図7において、キャビティー型1及びコア型2の内部に電熱ヒータ挿入用孔と冷却液路とを直接設けるに際し、金型に加工を施しても当該金型に必要強度が確保され、またこの加工作業の影響で当該金型の転写面精度が悪化しない場合に採用することができる。
また、金型内部に設けられる上記電熱ヒータ挿入用孔と冷却液路の配置箇所は、キャビティー型1の転写面及びコア型2の熱可塑性樹脂成形体面からの厚み方向の距離が一定になるように配置するのが好ましい。
【0015】
【実施例】
(実施例1)
ガラス転移温度が140℃(DSC法)の非晶性ポリオレフィン(ゼオノア:日本ゼオン(株)製)を100℃、48時間真空中で乾燥したものを、下記式(1)からなる非球面形状を有し、縦(光軸方向):160mm、横方向(光軸と垂直):160mm、厚さ:8mmの大きさで、図6におけるH2が30mm、H1が30mmの樹脂成形金型内で加熱溶融させながら厚み方向に、プレス圧力0.7MPaで240℃、50分加熱して賦形した。
その後240℃から100℃まで、樹脂の収縮に追従できるように厚み方向に0.5MPaの圧力を加えた状態で40分をかけて徐冷して成形体7を得た。
【0016】
当該成形体7を得るために使用したヒータープレート5は図3に示す構造であって、7075系アルミニウム合金製、300mm角であって各々50mm×50mm角のエリアが温度制御できる性能の多分割電熱ヒーターを具備した構造である。
上記の徐冷工程時において、キャビティー型1側のヒータープレート5は図3の電熱ヒーター5−2Bの温度は当初240℃に設定し、電熱ヒーター5−2A、5−2Cの温度はこれよりも5℃低く設定した。
一方、コア型2側のヒータープレート5は図3の電熱ヒーター5−2A、5−2Cの温度は当初240℃に設定し、電熱ヒーター5−2Bの温度はこれよりも10℃低く設定した。
【0017】
また、キャビティー型1側の冷却プレート6は図4に示す態様で冷却液路6−3Bを流量調整バルブ6−4で閉止し、冷却液路6−2A、6−2Bを流れる冷却水量を均等にしてその合計水量が15L/min、同様にして冷却液路6−3A、6−3Cを流れる冷却水量を均等にしてその合計水量が15L/minに流量調整バブル6−4にて調整した。
一方、コア型2側の冷却プレート6は図4に示す態様で冷却液路6−3A 、6−3Cを流量調整バルブ6−4で閉止し、冷却液路6−2A、6−2Bを流れる冷却水量を均等にしてその合計水量が15L/min、冷却液路6−3Bを流れる冷却水量を15L/minに流量調整バブル6−4にて調整した。
【0018】
上記の様に、冷却プレート6に一定量の冷却水を流しながらヒータープレート5の各電熱ヒーターの温度を制御して、キャビティー型1における金型最低厚み(H2)部分の温度と金型最大厚み(H1+H2)部分の温度差を4℃以内に維持しながら樹脂温度を240℃から100℃まで降下させて成形体7を成形した後、100℃の状態で成形体7を金型より取り出した。
このようにして得られた成形体7の転写面の基準形状に対する最大偏差は40μmであった。
【0019】
Z(h)=ch2/(1+√(1−(1+k)c2h2))+Ah4+Bh6+Ch8+Dh10……(1)
(c=1/r,c:曲線,r:半径,k:円錐率,A,B,C,Dは係数)
r=−160
k=−8.0
A=7.0−9
B=−9.0−14
C=6.5−19
D=−2.0−24
【0020】
(比較例1)
実施例1において、型内における240℃の溶融樹脂を樹脂温度100℃まで徐冷して成形体7を得る工程において、キャビティ型1側及びコア側2の冷却プレート6は図4における冷却プレート6の冷却液路6−2A及び6−2Bを流れる冷却水量を均等にしてその合計冷却水量が15L/min、また冷却液路6−3A、6−3B、6−3Cを流れる冷却水量を均等にしてその合計冷却水量が15L/minに流量調整バルブ6−4にて一定流量に調整した。
一方キャビティ型1側及びコア側2のヒータープレート5に挿入されている各電熱ヒーターは全て同温度で制御しながら、240℃から100℃まで樹脂の収縮に追従できるように0.5MPaの圧力を加えた状態で40分かけて徐冷して成形体7を成形した後、100℃の状態で成形体7を金型より取り出した。
なお、徐冷して樹脂温度が100℃に達した時点でのキャビティー型1における金型最低厚み(H2)部分の温度と金型最大厚み(H1+H2)部分の温度差が10℃であった。このようにして得られた成形体7の転写面の基準形状に対する最大偏差は60μmであった。
【0021】
(比較例2)
実施例1において、型内における240℃の溶融樹脂を樹脂温度100℃まで徐冷して成形体7を得る工程において、キャビティ型1側及びコア側2の冷却プレート6は図4における冷却プレート6の冷却液路6−2A及び6−2Bを流れる冷却水量を均等にしてその合計冷却水量が15L/min、また冷却液路6−3A、6−3B、6−3Cを流れる冷却水量を均等にしてその合計冷却水量が15L/minに流量調整バルブ6−4にて一定流量に調整した。
一方キャビティ型1側及びコア側2のヒータープレート5に挿入されている各電熱ヒーターは全て同温度で制御しながら、240℃から100℃まで樹脂の収縮に追従できるように0.5MPaの圧力を加えた状態で、240℃から160℃まで15分、160℃で30分、160℃から140℃まで10分、140℃で30分、140℃から100℃まで30分、及び100℃で30分、合計145分かけて徐冷することによって、キャビティー型1における金型最低厚み(H2)部分の温度と金型最大厚み(H1+H2)部分の温度差を4℃以内に維持して成形体7を成形した後、100℃の状態で成形体7を金型より取り出した。このようにして得られた成形体7の転写面の基準形状に対する最大偏差は40μmであった。
【0022】
【発明の効果】
本発明の金型冷却装置は、高額な初期設備投資を必要とせず比較的に成形サイクルが短いので生産性に優れている。
また、得られた成形体7の転写面の基準形状に対する最大偏差が小さいので、高精度が要求されるプラスチックス製光学部品の金型冷却装置として好適に使用される。
【図面の簡単な説明】
【図1】高精度プラスチックス製光学部品用金型の冷却装置の一実施例の縦断面図。
【図2】高精度プラスチックス製光学部品用金型の冷却装置の他の実施例の縦断面図。
【図3】ヒータープレートの一実施例の平面斜視図。
【図4】冷却プレートの一実施例の平面断面図。
【図5】冷却プレートの他の実施例の平面断面図。
【図6】キャビティー型の概略図。
【図7】高精度プラスチックス製光学部品用金型の内部に、電熱ヒーターと冷却液路とを設けた一実施例の縦断面図。
【符号の説明】
1…キャビティー型
2…コア型
3、4…周枠
5…ヒータープレート
5−1…電熱ヒーター挿入用孔
5−2A、5−2B、5−2C…電熱ヒーター
6…冷却プレート
6−1、6−2、6−3…冷却液路
6−2A、6−2B、6−3A、6−3B、6−3C…冷却液路
6−4…流量調整バルブ
7…熱可塑性樹脂成形体
Claims (4)
- キャビティー型とコア型との一対からなる熱可塑性樹脂用金型の該キャビティー型及びコア型の外側に、ヒータープレートと冷却プレートとを順次に配置し、ヒータープレートは並行した多数本の電熱ヒーターを有していて該ヒータの長手方向に温度分布調整可能な機能を具備しており、かつ冷却プレートは並行した多数本の冷却液路を有していて該冷却液路のうちの何本かの冷却液路を流れる冷却液とその他の冷却液路を流れる冷却液が互いに向流になるように配置したことを特徴とする高精度プラスチックス製光学部品用金型の冷却装置。
- キャビティー型とコア型との一対からなる熱可塑性樹脂用金型の該キャビティー型及びコア型の内部に、電熱ヒーターと冷却液路とを並行して複数本を設け、電熱ヒーターはその長手方向に温度分布調整可能な機能を具備しており、かつ冷却液路のうちの何本かの冷却液路を流れる冷却液とその他の冷却液路を流れる冷却液が互いに向流になるように配置したことを特徴とする高精度プラスチックス製光学部品用金型の冷却装置。
- 電熱ヒーターは、長手方向に二箇所以上のコントロールが可能なものであることを特徴とする請求項1〜2の何れかに記載の高精度プラスチックス製光学部品用金型の冷却装置。
- 冷却液路の各々には、流量調整バルブを設けたことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の高精度プラスチックス製光学部品用金型の冷却装置。
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