JP2004247060A - 透明導電性酸化物複合体とこれを用いた太陽電池および表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】従来では不可能であった1×10−4Ωcm以下の比抵抗を有して、かつ、面内方向の異方性のない透明導電性酸化物膜を提供する。
【解決手段】スズがドープされた酸化インジウム結晶相と、該酸化インジウム結晶相よりもキャリア電子移動度の高い酸化物透明導電性結晶相とを均一または不均一に積層させる。前記酸化インジウム結晶相は、酸化インジウムを主成分として、SnがSn/In原子数比で0.015〜0.170の割合で含まれ、前記酸化物透明導電性結晶相は、酸化インジウムを主成分として、TiがTi/In原子数比で0.010〜0.050の割合で含まれる相、WがW/In原子数比で0.019〜0.034の割合で含まれる相、MoがMo/In原子数比で0.010〜0.086の割合で含まれる相、および、GeがGe/In原子数比で0.020〜0.080の割合で含まれる相からなる群から選ばれる少なくとも1種以上を満足することが望ましい。
【選択図】 なし
【解決手段】スズがドープされた酸化インジウム結晶相と、該酸化インジウム結晶相よりもキャリア電子移動度の高い酸化物透明導電性結晶相とを均一または不均一に積層させる。前記酸化インジウム結晶相は、酸化インジウムを主成分として、SnがSn/In原子数比で0.015〜0.170の割合で含まれ、前記酸化物透明導電性結晶相は、酸化インジウムを主成分として、TiがTi/In原子数比で0.010〜0.050の割合で含まれる相、WがW/In原子数比で0.019〜0.034の割合で含まれる相、MoがMo/In原子数比で0.010〜0.086の割合で含まれる相、および、GeがGe/In原子数比で0.020〜0.080の割合で含まれる相からなる群から選ばれる少なくとも1種以上を満足することが望ましい。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、酸化物透明電極膜として用いられる透過率の高い透明導電性酸化物複合体に係り、特に、低抵抗であって、抵抗値の面内方向の異方性の少ない透明導電性酸化物膜が得られる透明導電性酸化物複合体と、これを用いた太陽電池および表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
酸化物透明電極膜は、高い導電性と可視光領域での高い透過率とを有する。このため、酸化物透明電極膜は太陽電池、液晶表示素子、その他各種受光素子等の電極として利用されているばかりでなく、自動車窓ガラスや建築物の窓ガラス等に用いる熱線反射膜、各種の帯電防止膜、冷凍ショーケースなどの防曇用の透明発熱体としても利用されている。
【0003】
酸化物透明電極膜には、アンチモンやフッ素がドープされた酸化錫(SnO2)膜や、アルミニウムやガリウムがドープされた酸化亜鉛(ZnO)膜や、スズがドープされた酸化インジウム(In2O3)膜などが広範に利用されている。特に、スズがドープされた酸化インジウム膜、すなわちIn2O3:Sn膜は、ITO(Indium tin oxide)膜と称され、低抵抗の酸化物透明電極膜が容易に得られることから、広範に用いられている。
【0004】
スズ以外の添加物をドープしたIn2O3膜の試みも、いくつか行われている。
本発明者は、特許文献1(特願2002−200534号)で、タングステンをドープしたIn2O3膜(In2O3:W膜)を、特許文献2(特願2002−359975号)で、チタンをドープしたIn2O3膜(In2O3:Ti膜)を、それぞれ特許出願した。
【0005】
これらの中で、タングステンあるいはチタンをドープしたIn2O3膜は、ITO膜と比べてキャリア電子の移動度の高い透明導電膜材料である。
【0006】
また、特許文献3(特開2002−256423号公報)は、モリブデンを含むIn2O3ターゲットについての発明であり、このターゲットからスパッタリング法で移動度の高いIn2O3:Mo膜が得られることが、記載されている。また、真空蒸着法で作製したIn2O3:W膜、In2O3:Mo膜について移動度が高いことが、非特許文献1(応用物理、第49巻、1号(1980)、pp.2〜16)に記されている。また、非特許文献2(Japanese Journal of Applied Physics, Vol.39,(2000) pp.1849〜1854)には、ゲルマニウムを含むIn2O3薄膜が紹介され、ゲルマニウムを含むと、キャリア電子の移動度が増加するデータが記載されている。これらのタングステン、チタン、モリブデンあるいはゲルマニウムがドープされたIn2O3膜は、キャリア電子濃度がITO膜と比べて低いため、比抵抗はITO膜と比べて高い。
【0007】
前述のIn2O3系やZnO系の酸化物透明電極膜の製造方法としては、蒸着法やイオンプレーティング法、スパッタリング法が良く用いられる。
【0008】
その中でも、スパッタリング法は、蒸気圧の低い材料を用いて被成膜物質(以下、単に「基板」と示す。)上に膜を形成する場合や、精密な膜厚制御が必要とされる場合に有効な手法であり、操作が非常に簡便であり、成膜の再現性がよいため、工業的に広範に利用されている。
【0009】
スパッタリング法は、一般に、約10Pa以下のアルゴンガス圧のもとで、基板を陽極とし、ターゲットを陰極として、これらの間にグロー放電を起こしてアルゴンプラズマを発生させ、プラズマ中のアルゴン陽イオンを陰極のターゲットに衝突させ、これによってターゲット成分の粒子をはじき飛ばし、該粒子を基板上に堆積させて成膜するというものである。
【0010】
スパッタリング法は、アルゴンプラズマの発生方法で分類され、高周波プラズマを用いる方法は高周波スパッタリング法、直流プラズマを用いる方法は直流スパッタリング法という。また、ターゲットの裏側にマグネットを配置して、アルゴンプラズマをターゲット直上に集中させ、低ガス圧でもアルゴンイオンの衝突効率を上げて成膜する方法をマグネトロンスパッタ法という。通常、前記の透明導電性酸化物膜の製造方法には、直流マグネトロンスパッタ法が採用されている。
【0011】
非特許文献3(透明導電膜の技術、オーム社、pp.144〜147)に記載されているように、従来技術で知られている低抵抗の透明導電膜としては、ITO膜がある。その抵抗値は、およそ1×10−4Ωcm程度が下限と言われている。ITOの比抵抗を限界にしている支配的な要因は、イオン化不純物散乱や中性不純物散乱といわれている。イオン化不純物散乱とは、In2O3中に存在する不純物のスズイオンによるキャリア電子の散乱である。一方、中性不純物散乱とは、ドーパントであるスズのうち、イオン化せずに中性となっている不純物によるキャリア電子の散乱であり、たとえば、In2O3格子間に位置するスズ原子や、SnO2の複合体などが、その原因と考えられる。
【0012】
In2O3中のスズ量を増加していくと、原子価が3価のインジウム位置に原子価が4価のスズイオンが置換固溶されることによって生成されるキャリア電子数の増加によって、比抵抗は減少する。しかし、スズ量が多くなるにつれ、In2O3格子間に位置するスズ原子やSnO2の複合体などの中性不純物による散乱が増大して、移動度が減少し、比抵抗を上げてしまう。このため、ITO透明導電膜として最も低抵抗化できたとしても、1×10−4Ωcm程度が限界であると考えられる。
【0013】
前述のように、電気抵抗率の限界を支配する機構は、ドーパントによる前述の中性不純物散乱やイオン化不純物散乱による移動度の低下によるといわれている。従って、中性不純物散乱やイオン化不純物散乱を抑制しながら、キャリア電子を増加すれば、より低い抵抗率を実現することができる。In2O3中にスズのような不純物元素が多くなると、キャリア電子密度は増加するが、中性不純物やイオン化不純物によるキャリア電子の散乱も増大して、移動度は低下するものと考えられる。
【0014】
Raufは、非特許文献4(J.Mater.Sci.Lett., Vol.12,(1993) pp.1902〜1905)、非特許文献5(Journal of Applied Physics, Vol.79,(1996) pp.4057〜4065)、および非特許文献6(透明導電膜の技術、オーム社、pp.147〜148)で紹介している方法で、ドーパントイオンの存在する部分と、キャリアの移動する部分とを空間的に分離した膜を作製して、1×10−4Ωcm以下のITO膜の作製に成功している。Raufは、単結晶精製に用いられるzone−refining法により温度勾配を付けた基板上に、電子ビーム蒸着法によりITO薄膜を形成し、膜中の不純物スズイオンは、温度勾配に従って温度の高いところから低いところへ移動することによって、スズ濃度の高い部分とスズ濃度の低い部分とが存在するITO膜を作製した。スズ濃度の高い部分で生成したキャリア電子が、スズ濃度の低い部分に染み出して移動するならば、スズ濃度の低い部分でのイオン化不純物散乱や中性不純物散乱の頻度は小さくできるので、移動度の低下が抑制される。この方法により、4.4×10−5Ωcmという非常に低い比抵抗を得ている。しかし、この温度勾配による方法では、膜の面内方向に電気抵抗率の変化が生じてしまうため、得られるITO膜を、太陽電池、液晶表示素子、その他各種受光素子等の酸化物透明電極膜として用いると、電極膜面内で特性の差が出てしまい、好ましくない。
【0015】
【特許文献1】
特願2002−200534号
【0016】
【特許文献2】
特願2002−359975号
【0017】
【特許文献3】
特開2002−256423号公報
【0018】
【非特許文献1】
応用物理、第49巻、1号(1980)、pp.2〜16
【0019】
【非特許文献2】
Japanese Journal of Applied Physics, Vol.39,(2000) pp.1849〜1854
【0020】
【非特許文献3】
透明導電膜の技術、オーム社、pp.144〜147
【0021】
【非特許文献4】
J.Mater.Sci.Lett., Vol.12,(1993) pp.1902〜1905
【0022】
【非特許文献5】
Journal of Applied Physics, Vol.79,(1996) pp.4057〜4065
【0023】
【非特許文献6】
透明導電膜の技術、オーム社、pp.147〜148
【0024】
【発明が解決しようとする課題】
液晶などのディスプレイの大型化と高精細化の流れに伴い、従来の透明導電膜よりも低い比抵抗の透明導電膜が求められている。前述の様に、従来の技術で得られる低抵抗透明導電膜は、ITO材料による1×10−4Ωcm程度が限界である。また、前述のRaufの提案した温度勾配による方法による膜は、10−5Ωcm台の透明導電膜が得られているものの、膜の面内方向に電気抵抗率の異方性を生んでしまうため実用的でない。10−5Ωcm台の低抵抗で、面内方向に異方性のない透明導電膜が実現できれば、大型ディスプレイの透明電極として有用である。
【0025】
本発明は、前記の課題を克服すべく提案された材料であり、従来では不可能であった1×10−4Ωcm以下の比抵抗を有して、かつ、面内方向の異方性のない透明導電性酸化物膜を提供する。
【0026】
【課題を解決するための手段】
本発明の透明導電性酸化物複合体の一態様では、スズがドープされた酸化インジウム結晶相と、該酸化インジウム結晶相よりもキャリア電子移動度の高い酸化物透明導電性結晶相とが均一または不均一に積層されている。
【0027】
さらに、前記酸化インジウム結晶相は、酸化インジウムを主成分として、スズがスズ/インジウム原子数比で0.015〜0.170の割合で含まれ、前記酸化物透明導電性結晶相は、酸化インジウムを主成分として、チタンがチタン/インジウム原子数比で0.010〜0.050の割合で含まれる相、タングステンがタングステン/インジウム原子数比で0.019〜0.034の割合で含まれる相、モリブデンがモリブデン/インジウム原子数比で0.010〜0.086の割合で含まれる相、および、ゲルマニウムがゲルマニウム/インジウム原子数比で0.020〜0.080の割合で含まれる相からなる群から選ばれる少なくとも1種以上を満足することが望ましい。
【0028】
本発明の酸化インジウム結晶相には、銀、銅、白金、パラジウム、金、ハフニウム、レニウム、シリコンなどのインジウムとスズ以外の元素が、高キャリア電子濃度の特性を損なわない範囲で含まれていてもかまわない。
【0029】
また、本発明の酸化物透明導電性結晶相には、酸化インジウムを主成分としてチタン、タングステン、モリブデン、ゲルマニウム以外の元素が、例えば、レニウム、ハフニウム、シリコン、銀、銅、白金、パラジウム、金などの元素が含まれていても、酸化インジウム結晶相よりも移動度が高いという特性を損なわなければかまわない。本発明の酸化物透明導電性結晶相は、酸化インジウムを主成分としてチタン、タングステン、モリブデン、ゲルマニウムのうちの少なくとも1元素を含む材料だけに限定してなくても、酸化スズ、酸化カドミウム、酸化亜鉛、酸化ルテニウム、酸化レニウム、酸化オスミウムなどの酸化物を主成分とした材料でも、酸化インジウム結晶相よりも高移動度であればかまわない。
【0030】
本発明の透明導電性酸化物複合体は、酸化インジウム結晶相と酸化物透明導電性結晶相の界面に、銀、銅、白金、パラジウム、金、ハフニウム、レニウムなどの金属やそれらの金属の合金が存在していても、本発明の透明導電性酸化物複合体の特性が損なわなければかまわない。また、本発明の透明導電性酸化物複合体は、酸化インジウム結晶相と酸化物透明導電性結晶相の界面に、非晶質相が本発明の透明導電性酸化物複合体の特性が損なわれない範囲で含まれていてもかまわない。
【0031】
さらに、酸化インジウム結晶相と酸化物透明導電性結晶相とが、それぞれ10〜100nmの膜厚の薄膜形状を有し、基板面に対して垂直方向に向かって酸化インジウム結晶相と酸化物透明導電性結晶相が交互に積層されていることが望ましい。各結晶相は、均一な厚さである必要はなく、10〜100nmの膜厚の中で、例えば島状に厚い部分と薄い部分とがあってよい。また、断層されていてもよい。
【0032】
さらに、スパッタリング法、イオンプレーティング法、レーザーアブレーション法、もしくはゾルゲル法で作製されたことが望ましい。
【0033】
本発明の太陽電池は、前記透明導電性酸化物複合体を透明電極として用いる。
【0034】
本発明の表示装置は、前記透明導電性酸化物複合体を透明電極として用いる。
【0035】
【発明の実施の形態】
本発明の透明導電性酸化物複合体は、酸化物透明電極膜において、スズがドープされた酸化インジウム結晶相と、スズがドープされた酸化インジウム結晶相よりもキャリア電子移動度の高い酸化物透明導電性結晶相が均一または不均一に積層されていることを特徴とする透明導電性酸化物複合体である。詳しくは、酸化インジウムを主成分としてスズを含有する酸化インジウム結晶相と、酸化インジウムを主成分としてチタン、タングステン、モリブデンおよびゲルマニウムのうちの少なくとも一つの元素を含有する酸化物透明導電性結晶相とが均一または不均一に積層されていることを特徴とする。
【0036】
酸化インジウム結晶相は、スズがドープされた酸化インジウム結晶相であり、キャリア電子の移動度は低いが、キャリア電子濃度の高キャリア電子濃度を有する結晶相である。酸化物透明導電性結晶相は、スズがドープされた酸化インジウム結晶相よりもキャリア電子移動度の高い結晶相である。
【0037】
前記酸化インジウム結晶相と酸化物透明導電性結晶相とが積層されていることを特徴としているが、具体的には、基板上に、酸化インジウム結晶相の薄膜層と酸化物透明導電性結晶相の薄膜層とが交互に積層されている場合(断層のようにずれがある場合を含む)や、酸化インジウム結晶相の島状の薄膜層と酸化物透明導電性結晶相の島状の薄膜層とが、膜厚方向に重なり合い、基板全体を被覆している状態が好ましい。
【0038】
それぞれの薄膜層の膜厚は、10nm〜数百nm程度の範囲内であることが好ましい。膜厚の均一性は、10%以内が好ましいが、前記範囲内でばらついてもよい。10nmより薄くなりすぎると、組成が均一の膜となってしまい、数百nmを超えると、本発明の効果が現れず、低抵抗化することができなくなる。
【0039】
このような構造の透明導電性酸化物複合体に電界が印加されると、高キャリア電子濃度層である酸化インジウム結晶相で生成した多くのキャリア電子が、高キャリア電子移動度層である酸化物透明導電性結晶相に染み出して移動するが、高キャリア電子移動度層である酸化物透明導電性結晶相でのイオン化不純物散乱および/あるいは中性不純物散乱の頻度は、酸化インジウム結晶相を移動するよりも小さいので、電子移動度の低下が抑制される。このことにより、1.0×10−4Ωcm以下という非常に低い抵抗率を得ることができるものと考えられる。膜の厚さ方向に、酸化インジウム結晶相の高キャリア電子濃度層と、酸化物透明導電性結晶相の高キャリア電子移動度層とが、交互に積層されているので、面内方向の比抵抗の異方性が発生せず、従来の課題を解決できる。
【0040】
本発明に係る透明導電性酸化物複合体は、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、レーザーアブレーション法、ゾルゲル法などの薄膜製造方法により製造することができるが、これらの製造方法に限定されるものではない。
【0041】
スパッタリング法で製造する場合の一例を以下に説明する。
【0042】
図1は、本発明による基板公転移動型のスパッタリング装置を示す断面図である。
【0043】
原料であるスパッタリングターゲットとして、スズを添加元素として含む酸化インジウム焼結体ターゲット(酸化インジウム結晶相形成用ターゲット)(6)と、チタン、タングステン、モリブデンおよびゲルマニウムのうちの少なくとも1種類の不純物元素を含む酸化インジウム焼結体ターゲット(酸化物透明導電性結晶相形成用ターゲット)(7)とを用いる。
【0044】
基板公転移動型のスパッタリング装置の同一チャンバー(1)内に、基板(5)と、酸化インジウム結晶相形成用ターゲット(6)と、酸化物透明導電性結晶相形成用ターゲット(7)とを配置し、ターゲットの対向面に、公転可能な基板ホルダー(4)を設ける。基板ホルダーを公転させると、基板(5)が、2つのターゲットの直上を交互に通過して、酸化インジウム結晶相と酸化物透明導電性結晶相とを交互に積層することができる。基板ホルダー(4)の公転速度とターゲットへ投入する電力とで、2の膜厚が制御できる。また、2つの結晶相成分が、同時に基板(5)に入射しないように、2つのターゲット間に、図示しない隔離板を設置し、目的特性に合わせて、該隔離板の位置や高さ等を調節することが好ましい。
【0045】
図2は、本発明による基板直行移動型のスパッタリング装置を示す断面図である。
【0046】
また、図2に示すような基板直行移動型のスパッタリング装置でも、本発明の透明導電性酸化物複合体を製造することができる。スパッタリング装置の同一チャンバー(図示略)内に、基板13と、酸化インジウム結晶相形成用ターゲット(14)と酸化物透明導電性結晶相形成用ターゲット(15)とを配置し、ターゲットの対向面に、通過移動可能な基板ホルダー(16)を設ける。磁石(17)を裏面に配置したカソード(19)には、直流電源(21)が接続され、磁石(18)を裏面に配置したカソード(20)には、直流電源(22)が接続されて、直流電圧を交互に印加させることが可能であり、酸化インジウム結晶相形成用ターゲット(14)、および酸化物透明導電性結晶相形成用ターゲット(15)のスパッタリングを、交互に行えるようになっている。
【0047】
図2に示すように、基板ホルダー(16)を通過移動させると、基板(13)が、交互に放電する2つのターゲットの直上を通過して、酸化インジウム結晶相と酸化物透明導電性結晶相とを、交互に積層することができる。基板ホルダー(16)の移動速度、各ターゲットへ投入する電力、および各ターゲットへの直流電圧の連続印加時間を変えることで、酸化インジウム結晶相および酸化物透明導電性結晶相の膜厚が制御できる。
【0048】
本発明者は、前述の方法に基づくスパッタリング法により、酸化インジウム結晶相と酸化物透明導電性結晶相が交互に積層された透明導電性薄膜積層体を作製し、その電気特性、光学特性を調べた。その結果、前記酸化インジウム結晶相は、酸化インジウムを主成分として、スズがスズ/インジウム原子数比で0.015〜0.170の割合で含まれ、前記酸化物透明導電性結晶相は、酸化インジウムを主成分として、チタンがチタン/インジウム原子数比で0.010〜0.050の割合で含まれること、タングステンがタングステン/インジウム原子数比で0.019〜0.034の割合で含まれること、モリブデンがモリブデン/インジウム原子数比で0.010〜0.086の割合で含まれること、および、ゲルマニウムがゲルマニウム/インジウム原子数比で0.020〜0.080の割合で含まれることからなる群から選ばれる少なくとも1種以上を満足させると、酸化インジウム結晶相の薄膜層が高キャリア電子濃度層となり、酸化物透明導電性結晶相の薄膜層が高キャリア電子移動度層となった交互積層体構造となり、1.0×10−4Ωcm以下の低抵抗透明導電膜が実現できることがわかり、本発明を完成するに至った。
【0049】
しかも、本発明の透明導電性酸化物複合体を構成している結晶相は、何れも可視光透過率の高い酸化インジウム系薄膜であるため、本発明の透明導電性酸化物複合体の可視光透過率も高い。このような特徴の膜は、大型の表示装置用の透明電極や、高いエネルギー変換効率の太陽電池の透明電極として利用することが可能である。
【0050】
【実施例】
以下、実施例および比較例を用いて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
【0051】
(実施例1)
本実施例では、図1に示した基板公転移動型の直流マグネトロンスパッタリング装置(トッキ社製)を使用した。チャンバー(1)内に、6インチΦの非磁性体ターゲット用の2つのカソード(2)、(3)が設けられ、その上部に、公転可能な円板状の基板ホルダー(4)が配置されている。基板ホルダー(4)を公転させると、基板ホルダー(4)に取り付けた基板(5)は、カソード(2)、(3)の直上部を、交互に通過する仕組みとなっている。
【0052】
カソード(2)に設置するターゲット(6)を前記のスズを含有する酸化インジウム焼結体ターゲットとし、カソード(3)に設置するターゲット(7)を前記のチタンを含有する酸化インジウム焼結体ターゲットとし、基板(5)にはコーニング7059ガラス基板を取り付けた。カソード(2)、(3)には、磁石(8)、(9)が配置され、両ターゲット表面上のプラズマ密度を高めてスパッタ効率をあげる仕組み(即ちマグネトロンスパッタ)となっている。両ターゲットと基板との距離を50〜80mmとし、チャンバー(1)内の真空度が1×10−4Pa以下に達した時点で、純度99.9999質量%のArガスに対して酸素を0.3〜2%混合させたスパッタガスを、スパッタガスの供給管(10)からチャンバー(1)内に導入して、チャンバー(1)内のガス圧を0.6Paと設定し、各カソードには直流電源(11)、(12)が接続され、直流電力100〜400Wをターゲット−基板間に投入して、両カソード上に直流プラズマを発生させた。厚み1mmのガラス基板(5)を、室温あるいは100〜300℃に加熱して、基板ホルダー(4)を公転させた状態で、カソード(2)およびカソード(3)と、基板ホルダー(4)との間に、直流電力を印加して直流プラズマを発生させて、カソード(2)およびカソード(3)から、スパッタ粒子が交互に供給され、スズを含有する酸化インジウム膜と、チタンを含有する酸化インジウム膜との積層膜が得られた。各層の膜厚は、基板ホルダー(4)の公転速度およびカソード投入電力で、10〜100nmの範囲で可変とした。
【0053】
具体的には、カソード(2)に10質量%のSnO2を含むIn2O3焼結体ターゲット(6)を装着し、カソード(3)に1質量%のTiO2を含むIn2O3焼結体ターゲット(7)を装着した。ターゲット(6)、(7)と基板ホルダー(4)との距離を60mmとした。チャンバー(1)内に、酸素を1.5%含むアルゴンと酸素の混合ガスを、スパッタガスとしてスパッタガスの供給管(10)から導入して、0.6Paに設定し、基板ホルダー(4)を公転させて、各カソードに直流電力150Wを同時に投入した。
【0054】
成膜時の基板温度を200℃に設定して、膜厚300nmで、スズを含有する酸化インジウム膜と、チタンを含有する酸化インジウム膜とが交互に積層された透明導電性酸化物複合体を作製した。
【0055】
前記の条件で、一方のカソードのみに直流電力を投入して得た単一組成の透明導電膜を、ICP発光分析にて組成分析を行ったところ、カソード(2)から形成される膜のスズ/インジウム原子数比は0.075であり、カソード(3)から形成される膜のチタン/インジウム原子数比は0.017であることがわかった。
【0056】
また、一方のカソードのみに直流電力を投入して得た単一組成の透明導電膜の電気特性をホール効果測定にて測定したところ、カソード(2)から形成される膜のスズをドープした酸化インジウム薄膜の、比抵抗は1.4×10−4Ωcm、キャリア濃度は1.3×1021cm−3、移動度は34.7cm2/Vsであり、また、カソード(3)から形成される膜のチタンをドープした酸化インジウム薄膜の、比抵抗は2.1×10−4Ωcm、キャリア濃度は3.5×1020cm−3、移動度は82.6cm2/Vsであった。よって、このような薄膜を交互に積層することによって本発明の透明導電性酸化物複合体が得られることがわかる。
【0057】
交互に積層された透明導電性酸化物複合体を、TEMによる薄膜積層体の断面を観察したところ、各層の膜厚は50〜70nmであった。また、EDSによる組成分析では、スズを含む酸化インジウム結晶相の薄膜層の組成は、スズ/インジウム原子数比で0.081であり、チタンを含む酸化インジウム結晶相の薄膜層の組成は、チタン/インジウム原子数比で0.016であった。
【0058】
透明導電性酸化物複合体の比抵抗を、四端子法およびホール効果測定で測定したところ、7.2×10−5Ωcmの比抵抗を示した。
【0059】
分光光度計による薄膜積層体自体の透過率を測定したところ、可視光域の平均透過率は92%以上であった。本実施例で作製された透明導電性酸化物複合体は、膜厚が±10%以内で均一な領域では、比抵抗のばらつきは±10%以内であり、比抵抗のばらつきの少ない極めて良好な透明導電性薄膜であった。
【0060】
(比較例1)
カソード(3)での放電を行わない以外は、実施例1と同じ条件で、基板(5)を公転しながら、膜厚300nmのスズを含有する酸化インジウム膜を作製した。
【0061】
実施例1と同様の方法で膜の評価を実施したところ、可視域の平均透過率は92%以上であったが、比抵抗は1.4×10−4Ωcm(キャリア濃度1.3×1021cm−3、移動度34.7cm2/Vs)であり、実施例1の膜と比べて高抵抗であった。
【0062】
(比較例2)
カソード(2)での放電を行わない以外は、実施例1と同じ条件で、基板(5)を公転しながら、膜厚300nmのチタンを含有する酸化インジウム膜を作製した。
【0063】
実施例1と同様の方法で膜の評価を実施したところ、可視域の平均透過率は92%以上であったが、比抵抗は2.1×10−4Ωcm(キャリア濃度3.5×1020cm−3、移動度82.6cm2/Vs)であり、実施例1の膜と比べて高抵抗であった。
【0064】
(実施例2)
基板温度を室温にした以外は、実施例1と同じ条件で、膜厚300nmの薄膜積層体を基板上に成膜し、さらに、チャンバー(1)内で、300℃にて1時間ほど、真空中アニールを行ったところ、9.0×10−5Ωcmの比抵抗の透明導電膜が得られた。本実施例で作製された透明導電性酸化物複合体は、膜厚が±10%以内で均一な領域では、比抵抗のばらつきは±10%以内であり、比抵抗のばらつきの少ない極めて良好な透明導電性薄膜であった。
【0065】
(比較例3)
カソード(3)での放電を行わない以外は、実施例2と同じ条件で、基板(5)を公転しながら、膜厚300nmのスズを含有する酸化インジウム膜を作製し、さらに、チャンバー(1)内で、300℃にて1時間ほど、真空中アニールを行った。
【0066】
実施例1と同様の方法で膜の評価を実施したところ、可視域の平均透過率は92%以上であったが、比抵抗は2.5×10−4Ωcmであり、実施例2の透明導電膜と比べて高抵抗であった。
【0067】
(比較例4)
カソード(2)での放電を行わない以外は、実施例2と同じ条件で、基板(5)を公転しながら、膜厚300nmのチタンを含有する酸化インジウム膜を作製し、さらに、チャンバー(1)内で、300℃にて1時間ほど、真空中アニールを行った。
【0068】
実施例1と同様の方法で膜の評価を実施したところ、可視域の平均透過率は92%以上であったが、比抵抗は3.5×10−4Ωcmであり、実施例2の薄膜積層体と比べて高抵抗であった。
【0069】
(実施例3)
基板ホルダー(4)の公転速度およびカソード投入直流電力を変えた以外は、実施例1と同じ条件で、スズを含む酸化インジウム薄膜とチタンを含む酸化インジウム薄膜との薄膜積層体を作製した。基板ホルダー(4)の公転速度および各カソードへの投入パワーを制御して、各層の厚みを10〜100nmの範囲で変化させて作製した膜厚300nmの透明導電性酸化物複合体の比抵抗を測定したところ、8.5〜9.5×10−5Ωcmの極めて低い比抵抗が実現された。
【0070】
透明導電性酸化物複合体の可視光平均透過率も、90%以上で良好であった。
【0071】
本実施例で作製された透明導電性酸化物複合体は、膜厚が大きくばらついていたが、±10%以内で均一な領域では、比抵抗のばらつきは±10%以内であり、比抵抗のばらつきの少ない極めて良好な透明導電性薄膜であった。
【0072】
(実施例4)
基板ホルダー(4)の公転速度およびカソード投入直流電力を変えた以外は、実施例2と同じ条件で、スズを含む酸化インジウム薄膜とチタンを含む酸化インジウム薄膜との薄膜積層体を作製した。基板ホルダーの公転速度および/または各カソードへの投入パワーを制御して、各層の厚みを10〜100nmの範囲で変化させて作製した膜厚300nmの透明導電性酸化物複合体の比抵抗を測定したところ、8.5〜9.5×10−5Ωcmの極めて低い比抵抗が実現された。
【0073】
透明導電性酸化物複合体の可視光平均透過率も90%以上で良好であった。
【0074】
本実施例で作製された透明導電性酸化物複合体は、膜厚が大きくばらついていたが、±10%以内で均一な領域では、比抵抗のばらつきは±10%以内であり、比抵抗のばらつきの少ない極めて良好な透明導電性薄膜であった。
【0075】
(実施例5)
実施例1において、カソード(2)およびカソード(3)のターゲット組成を変化させて、スズを含む酸化インジウム層中のスズ量とチタンを含む酸化インジウム層のチタン量を変化させた。各カソードから形成される薄膜の組成を実施例1と同様に定量したところ、スズを含む酸化インジウム層中のスズ/インジウム原子数比が0.015、0.035、0.051、0.103、0.141、0.170で、チタンを含む酸化インジウム層中のチタン/インジウム原子数比を0.010、0.023、0.038、0.050に変化させた組成の組合せのとき、7.1〜9.5×10−5Ωcm以下の低抵抗の透明導電性酸化物複合体が製造できることがわかった。
【0076】
本実施例で作製された透明導電性酸化物複合体は、膜厚が±10%以内で均一な領域では、比抵抗のばらつきは±10%以内であり、比抵抗のばらつきの少ない極めて良好な透明導電性薄膜であった。
【0077】
(実施例6)
実施例2において、カソード(2)およびカソード(3)のターゲット組成を変化させて、スズを含む酸化インジウム層中のスズ量とチタンを含む酸化インジウム層のチタン量を変化させた。各カソードから形成される薄膜の組成を実施例1と同様に定量したところ、スズを含む酸化インジウム層中のスズ/インジウム原子数比が0.016、0.034、0.050、0.101、0.142、0.168で、チタンを含む酸化インジウム層中のチタン/インジウム原子数比を0.011、0.024、0.039、0.048に変化させた組成の組合せのとき、7.1〜9.5×10−5Ωcm以下の低抵抗の透明導電性酸化物複合体が製造できることがわかった。
【0078】
本実施例で作製された透明導電性酸化物複合体は、膜厚が±10%以内で均一な領域では、比抵抗のばらつきは±10%以内であり、比抵抗のばらつきの少ない極めて良好な透明導電性薄膜であった。
【0079】
(実施例7)
カソード(3)を、5質量%の酸化タングステンを含む酸化インジウム焼結体ターゲットに変え、基板温度を300℃に変えた以外は、実施例1と同じ製造条件で、透明導電性酸化物複合体を作製した。本実施例により、スズ/インジウム原子数比で0.075のスズを含む酸化インジウム膜とタングステン/インジウム原子数比で0.023のタングステンを含む酸化インジウム膜の混合膜が得られた。各層の膜厚は30〜50nmであった。実施例1と同様に透明導電性酸化物複合体の比抵抗を測定したところ、7.8×10−5Ωcmであった。また、可視域の平均透過率は92%だった。
【0080】
本実施例で作製された透明導電性酸化物複合体は、膜厚が±10%以内で均一な領域では、比抵抗のばらつきは±10%以内であり、比抵抗のばらつきの少ない極めて良好な透明導電性薄膜であった。
【0081】
(比較例5)
カソード2での放電を行わない以外は、実施例7と同じ条件で、基板を公転しながら膜厚300nmのタングステンを含有する酸化インジウム膜を作製した。
【0082】
実施例1と同様の方法で膜の評価を実施したところ、可視域の平均透過率は92%以上であったが、比抵抗は3.0×10−4Ωcm(キャリア濃度2.9×1020cm−3、移動度72.7cm2/Vs)であり実施例5の膜と比べて高抵抗であった。(この膜は、カソード(3)での放電を行わない以外は、実施例7と同じ条件で作製したITO膜の移動度(35cm2/Vs)よりも、高移動度であった)。
【0083】
(実施例8)
ターゲット組成を変化させた以外は、実施例7と同様にして、スズを含む酸化インジウム層中のスズ量とタングステンを含む酸化インジウム層のタングステン量を変化させたところ、スズを含む酸化インジウム層中のスズ/インジウム原子数比が0.015、0.034、0.050、0.108、0.140、0.168であり、タングステンを含む酸化インジウム層中のタングステン/インジウム原子数比を0.019、0.034に変化させた組成の組合せのとき、6.8〜9.8×10−5Ωcm以下の低抵抗の透明導電性酸化物複合体が製造できることがわかった。基板公転回数およびターゲットへの投入電極を変えて、各層の膜厚を10〜100nmの範囲で変化させても同じ傾向であり、1×10−4Ωcm以下の低抵抗の透明導電性酸化物複合体が製造できた。また、基板温度を室温にして複合体を作製した後、真空中でアニールを行う方法でも同じ傾向であり1×10−4Ωcm以下の低抵抗の透明導電性酸化物複合体が製造できた。
【0084】
本実施例で作製された透明導電性酸化物複合体は、膜厚が±10%以内で均一な領域では、比抵抗のばらつきは±10%以内であり、比抵抗のばらつきの少ない極めて良好な透明導電性薄膜であった。
【0085】
(実施例9)
カソード(3)のターゲットを、モリブデンを含有する酸化インジウム焼結体ターゲットに変えた以外は、実施例1と同じ製造条件で、スズを含む酸化インジウム薄膜とモリブデンを含む酸化インジウム薄膜の積層体を形成した。ターゲット組成を変化させて、スズを含む酸化インジウム層中のスズ量とモリブデンを含む酸化インジウム層のモリブデン量を変化させたところ、スズを含む酸化インジウム層中のスズ/インジウム原子数比が0.015〜0.170であり、モリブデンを含む酸化インジウム層中のモリブデン/インジウム原子数比が0.010〜0.086のとき、8.5〜9.7×10−5Ωcm以下の低抵抗の透明導電性酸化物複合体が製造できることがわかった。各層の膜厚を10〜100nmの範囲で変化させても同じ傾向であり1×10−4Ωcm以下の低抵抗の透明導電性酸化物複合体が製造できた。
【0086】
本実施例で作製された透明導電性酸化物複合体は、膜厚が±10%以内で均一な領域では、比抵抗のばらつきは±10%以内であり、比抵抗のばらつきの少ない極めて良好な透明導電性薄膜であった。
【0087】
(実施例10)
カソード(3)のターゲットを、モリブデンを含有する酸化インジウム焼結体ターゲットに変えた以外は、実施例2と同じ製造条件で、スズを含む酸化インジウム薄膜とモリブデンを含む酸化インジウム薄膜の積層体を形成した。ターゲット組成を変化させて、スズを含む酸化インジウム層中のスズ量とモリブデンを含む酸化インジウム層のモリブデン量を変化させたところ、スズを含む酸化インジウム層中のスズ/インジウム原子数比が0.015〜0.170であり、モリブデンを含む酸化インジウム層中のモリブデン/インジウム原子数比が0.010〜0.086のとき、8.9〜9.8×10−5Ωcm以下の低抵抗の透明導電性酸化物複合体が製造できることがわかった。各層の膜厚を10〜100nmの範囲で変化させても同じ傾向であり1×10−4Ωcm以下の低抵抗の透明導電性酸化物複合体が製造できた。
【0088】
本実施例で作製された透明導電性酸化物複合体は、膜厚が±10%以内で均一な領域では、比抵抗のばらつきは±10%以内であり、比抵抗のばらつきの少ない極めて良好な透明導電性薄膜であった。
【0089】
(実施例11)
カソード(3)のターゲットをゲルマニウムを含有する酸化インジウム焼結体ターゲットに変えた以外は、実施例1と同じ製造条件で、スズを含む酸化インジウム薄膜とゲルマニウムを含む酸化インジウム薄膜の積層体を形成した。ターゲット組成を変化させて、スズを含む酸化インジウム層中のスズ量とゲルマニウムを含む酸化インジウム層のゲルマニウム量を変化させたところ、スズを含む酸化インジウム層中のスズ/インジウム原子数比が0.015〜0.170であり、ゲルマニウムを含む酸化インジウム層中のゲルマニウム/インジウム原子数比が0.020〜0.080のとき、7.5〜9.6×10−5Ωcm以下の低抵抗の透明導電性酸化物複合体が製造できることがわかった。各層の膜厚を10〜100nmの範囲で変化させても同じ傾向であり1×10−4Ωcm以下の低抵抗の透明導電性酸化物複合体が製造できた。
【0090】
本実施例で作製された透明導電性酸化物複合体は、膜厚が±10%以内で均一な領域では、比抵抗のばらつきは±10%以内であり、比抵抗のばらつきの少ない極めて良好な透明導電性薄膜であった。
【0091】
(実施例12)
カソード(3)のターゲットをゲルマニウムを含有する酸化インジウム焼結体ターゲットに変えた以外は、実施例2と同じ製造条件で、スズを含む酸化インジウム薄膜とゲルマニウムを含む酸化インジウム薄膜の積層体を形成した。ターゲット組成を変化させて、スズを含む酸化インジウム層中のスズ量とゲルマニウムを含む酸化インジウム層のゲルマニウム量を変化させたところ、スズを含む酸化インジウム層中のスズ/インジウム原子数比が0.015〜0.170であり、ゲルマニウムを含む酸化インジウム層中のゲルマニウム/インジウム原子数比が0.020〜0.080のとき、7.9〜9.8×10−5Ωcm以下の低抵抗の透明導電性酸化物複合体が製造できることがわかった。各層の膜厚を10〜100nmの範囲で変化させても同じ傾向であり1×10−4Ωcm以下の低抵抗の透明導電性酸化物複合体が製造できた。
【0092】
本実施例で作製された透明導電性酸化物複合体は、膜厚が±10%以内で均一な領域では、比抵抗のばらつきは±10%以内であり、比抵抗のばらつきの少ない極めて良好な透明導電性薄膜であった。
【0093】
(実施例13)
図2に示すような基板直行移動型型の直流マグネトロン装置を用いて、本発明の透明導電性薄膜複合体を製造する例を以下に説明する。カソード(19)に設置するターゲット(14)を、前記のスズを含有する酸化インジウム焼結体ターゲットとし、カソード(20)に設置するターゲット(15)を、前記のチタンを含有する酸化インジウム焼結体ターゲットとし、基板(13)には、コーニング7059ガラス基板を取り付けた。カソード(19)、(20)には磁石(17)、(18)が配置され、両ターゲット表面上のプラズマ密度を高めてスパッタ効率をあげる仕組み(即ちマグネトロンスパッタ)となっている。両ターゲットと基板(13)との距離を50〜80mmとし、チャンバー(1)内の真空度が1×10−4Pa以下に達した時点で、純度99.9999質量%のArガスに対して酸素を0.3〜2%混合させたスパッタガスを、スパッタガスの供給管(10)からチャンバー(1)内に導入して、チャンバー(1)内のガス圧を0.6Paと設定し、各カソードには直流電源(21)、(22)が取り付けられ、直流電力100〜400Wをターゲット−基板間に投入して、両カソード上に直流プラズマを発生させた。厚み1mmのガラス基板(13)を300℃に加熱して、基板ホルダー(16)を移動させながら、カソード(19)と基板ホルダー(16)の間、カソード(20)と基板ホルダー(16)との間に、交互に直流電力を印加して直流プラズマを発生させると、カソード(19)およびカソード(20)から供給されるスパッタ粒子が交互に供給され、スズを含有する酸化インジウム膜と、チタンを含有する酸化インジウム膜の積層膜とが、基板(13)上に得られた。各層の膜厚は、基板ホルダー(16)の移動速度およびカソード投入電力で10〜100nmの範囲で可変である。
【0094】
具体的には、カソード(19)に5インチ×15インチ×5mmtの大きさの10質量%のSnO2を含むIn2O3焼結体ターゲット(14)を装着し、カソード(20)に5インチ×15インチ×5mmtの1質量%のTiO2を含むIn2O3焼結体ターゲット(15)を装着した。ターゲット(14)、(15)の中心と、基板ホルダー(16)との距離を60mmとした。チャンバー(1)内に酸素を1.5%含むアルゴンと酸素の混合ガスをスパッタガスとして、スパッタガスの供給管(10)から導入して0.6Paに設定し、基板ホルダー(16)を移動させて、各カソードに直流電力400Wを同時に投入した。
【0095】
成膜時の基板温度を200℃に設定して、膜厚300nmで、スズを含有する酸化インジウム膜と、チタンを含有する酸化インジウム膜とが交互に積層された透明導電性酸化物複合体を作製した。
【0096】
前記の条件で、一方のカソードのみに直流電力を投入して得られる単一組成の透明導電膜を、ICP発光分析にて組成分析を行ったところ、カソード(14)から形成される膜のスズ/インジウム原子数比は0.074であり、カソード(15)から形成される膜のチタン/インジウム原子数比は0.015であることがわかった。
【0097】
交互に積層された透明導電性酸化物複合体を、TEMによる薄膜積層体の断面を観察したところ、各層の膜厚は30〜100nmであった。また、EDSによる組成分析では、スズを含む酸化インジウム結晶相の薄膜層の組成はスズ/インジウム原子数比で0.076であり、チタンを含む酸化インジウム結晶相の薄膜層の組成はチタン/インジウム原子数比で0.014であった。
【0098】
透明導電性酸化物複合体の比抵抗を四端子法およびホール効果測定で測定したところ、8.2×10−5Ωcmの比抵抗を示した。
【0099】
分光光度計による薄膜積層体自体の透過率を測定したところ、可視光域の平均透過率は92%以上であった。
【0100】
本実施例で作製された透明導電性酸化物複合体は、膜厚が±10%以内で均一な領域では、比抵抗のばらつきは±10%以内であり、比抵抗のばらつきの少ない極めて良好な透明導電性薄膜であった。
【0101】
(比較例8)
カソード(19)での放電を行わない以外は、実施例13と同じ条件で、基板(13)を直線移動しながら膜厚300nmのスズを含有する酸化インジウム膜を作製した。
【0102】
実施例1と同様の方法で膜の評価を実施したところ、可視域の平均透過率は92%以上であったが、比抵抗は1.8×10−4Ωcmであり実施例13の膜と比べて高抵抗であった。
【0103】
(比較例9)
カソード(20)での放電を行わない以外は、実施例13と同じ条件で、基板(13)を直線移動しながら膜厚300nmのチタンを含有する酸化インジウム膜を作製した。
【0104】
実施例1と同様の方法で膜の評価を実施したところ、可視域の平均透過率は92%以上であったが、比抵抗は2.5×10−4Ωcmであり実施例13の膜と比べて高抵抗であった。
【0105】
(実施例14)
基板ホルダーの移動速度カソード投入パワー、および連続投入時間を変えた以外は、実施例13と同じ条件で、スズを含む酸化インジウム薄膜とチタンを含む酸化インジウム薄膜との薄膜積層体を作製した。基板ホルダー(13)の直線移動速度および各カソードへの投入パワーを制御して、各層の厚みを10〜100nmの範囲で変化させて作製した透明導電性酸化物複合体の比抵抗を測定したところ、8.7〜9.7×10−5Ωcmの極めて低い比抵抗が実現された。
【0106】
透明導電性酸化物複合体の可視光平均透過率も90%以上で良好であった。
【0107】
本実施例で作製された透明導電性酸化物複合体は、膜厚が±10%以内で均一な領域では、比抵抗のばらつきは±10%以内であり、比抵抗のばらつきの少ない極めて良好な透明導電性薄膜であった。
【0108】
(実施例15)
図2に示すような基板直行移動型型の直流マグネトロン装置を用いて、カソード(20)に設置するターゲット(15)をタングステンを含有する酸化インジウム焼結体ターゲット、モリブデンを含有する酸化インジウム焼結体ターゲット、あるいはゲルマニウムを含有する酸化インジウム焼結体ターゲットに変えた以外は、実施例13と同様の条件で透明導電性酸化物複合体を製造したところ、実施例13と同様に、8.4〜9.8×10−5Ωcmの低い抵抗を示して、可視光平均透過率も90%以上で良好であり、比抵抗の面内のばらつきの小さい極めて良好な透明導電性薄膜がえられることがわかった。
【0109】
以上のように、実施例1〜15では、スパッタリング法で透明導電性酸化物複合体を製造したが、真空蒸着法、イオンプレーティング法、レーザーアブレーション法、インク塗布法のいずれでも、本発明の透明導電性酸化物複合体を製造することが可能であり、同様の1×10−4Ωcm以下の低抵抗値を実現できることを確認した。
【0110】
【発明の効果】
以上、詳述したように、本発明に従えば、従来の技術では達成できなかった低抵抗の透明電極を実現することができる。10−5Ωcm台の低抵抗で、面内方向に比抵抗の異方性のない透明導電膜が実現できるので、大型ディスプレイや高変換効率の太陽電池を実現するための透明電極として有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例で使用した基板公転移動型の直流マグネトロンスパッタリング装置の概略図である。
【図2】本発明の実施例で使用した基板直行移動型型の直流マグネトロンスパッタリング装置の概略図である。
【符号の説明】
1 チャンバー
2、3、19、20 カソード
4、16 基板ホルダー
5、13 基板
6、7、14、15 ターゲット
8、9、17、18 磁石
10 スパッタガスの供給管
11、12、21、22 直流電源
【発明の属する技術分野】
本発明は、酸化物透明電極膜として用いられる透過率の高い透明導電性酸化物複合体に係り、特に、低抵抗であって、抵抗値の面内方向の異方性の少ない透明導電性酸化物膜が得られる透明導電性酸化物複合体と、これを用いた太陽電池および表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
酸化物透明電極膜は、高い導電性と可視光領域での高い透過率とを有する。このため、酸化物透明電極膜は太陽電池、液晶表示素子、その他各種受光素子等の電極として利用されているばかりでなく、自動車窓ガラスや建築物の窓ガラス等に用いる熱線反射膜、各種の帯電防止膜、冷凍ショーケースなどの防曇用の透明発熱体としても利用されている。
【0003】
酸化物透明電極膜には、アンチモンやフッ素がドープされた酸化錫(SnO2)膜や、アルミニウムやガリウムがドープされた酸化亜鉛(ZnO)膜や、スズがドープされた酸化インジウム(In2O3)膜などが広範に利用されている。特に、スズがドープされた酸化インジウム膜、すなわちIn2O3:Sn膜は、ITO(Indium tin oxide)膜と称され、低抵抗の酸化物透明電極膜が容易に得られることから、広範に用いられている。
【0004】
スズ以外の添加物をドープしたIn2O3膜の試みも、いくつか行われている。
本発明者は、特許文献1(特願2002−200534号)で、タングステンをドープしたIn2O3膜(In2O3:W膜)を、特許文献2(特願2002−359975号)で、チタンをドープしたIn2O3膜(In2O3:Ti膜)を、それぞれ特許出願した。
【0005】
これらの中で、タングステンあるいはチタンをドープしたIn2O3膜は、ITO膜と比べてキャリア電子の移動度の高い透明導電膜材料である。
【0006】
また、特許文献3(特開2002−256423号公報)は、モリブデンを含むIn2O3ターゲットについての発明であり、このターゲットからスパッタリング法で移動度の高いIn2O3:Mo膜が得られることが、記載されている。また、真空蒸着法で作製したIn2O3:W膜、In2O3:Mo膜について移動度が高いことが、非特許文献1(応用物理、第49巻、1号(1980)、pp.2〜16)に記されている。また、非特許文献2(Japanese Journal of Applied Physics, Vol.39,(2000) pp.1849〜1854)には、ゲルマニウムを含むIn2O3薄膜が紹介され、ゲルマニウムを含むと、キャリア電子の移動度が増加するデータが記載されている。これらのタングステン、チタン、モリブデンあるいはゲルマニウムがドープされたIn2O3膜は、キャリア電子濃度がITO膜と比べて低いため、比抵抗はITO膜と比べて高い。
【0007】
前述のIn2O3系やZnO系の酸化物透明電極膜の製造方法としては、蒸着法やイオンプレーティング法、スパッタリング法が良く用いられる。
【0008】
その中でも、スパッタリング法は、蒸気圧の低い材料を用いて被成膜物質(以下、単に「基板」と示す。)上に膜を形成する場合や、精密な膜厚制御が必要とされる場合に有効な手法であり、操作が非常に簡便であり、成膜の再現性がよいため、工業的に広範に利用されている。
【0009】
スパッタリング法は、一般に、約10Pa以下のアルゴンガス圧のもとで、基板を陽極とし、ターゲットを陰極として、これらの間にグロー放電を起こしてアルゴンプラズマを発生させ、プラズマ中のアルゴン陽イオンを陰極のターゲットに衝突させ、これによってターゲット成分の粒子をはじき飛ばし、該粒子を基板上に堆積させて成膜するというものである。
【0010】
スパッタリング法は、アルゴンプラズマの発生方法で分類され、高周波プラズマを用いる方法は高周波スパッタリング法、直流プラズマを用いる方法は直流スパッタリング法という。また、ターゲットの裏側にマグネットを配置して、アルゴンプラズマをターゲット直上に集中させ、低ガス圧でもアルゴンイオンの衝突効率を上げて成膜する方法をマグネトロンスパッタ法という。通常、前記の透明導電性酸化物膜の製造方法には、直流マグネトロンスパッタ法が採用されている。
【0011】
非特許文献3(透明導電膜の技術、オーム社、pp.144〜147)に記載されているように、従来技術で知られている低抵抗の透明導電膜としては、ITO膜がある。その抵抗値は、およそ1×10−4Ωcm程度が下限と言われている。ITOの比抵抗を限界にしている支配的な要因は、イオン化不純物散乱や中性不純物散乱といわれている。イオン化不純物散乱とは、In2O3中に存在する不純物のスズイオンによるキャリア電子の散乱である。一方、中性不純物散乱とは、ドーパントであるスズのうち、イオン化せずに中性となっている不純物によるキャリア電子の散乱であり、たとえば、In2O3格子間に位置するスズ原子や、SnO2の複合体などが、その原因と考えられる。
【0012】
In2O3中のスズ量を増加していくと、原子価が3価のインジウム位置に原子価が4価のスズイオンが置換固溶されることによって生成されるキャリア電子数の増加によって、比抵抗は減少する。しかし、スズ量が多くなるにつれ、In2O3格子間に位置するスズ原子やSnO2の複合体などの中性不純物による散乱が増大して、移動度が減少し、比抵抗を上げてしまう。このため、ITO透明導電膜として最も低抵抗化できたとしても、1×10−4Ωcm程度が限界であると考えられる。
【0013】
前述のように、電気抵抗率の限界を支配する機構は、ドーパントによる前述の中性不純物散乱やイオン化不純物散乱による移動度の低下によるといわれている。従って、中性不純物散乱やイオン化不純物散乱を抑制しながら、キャリア電子を増加すれば、より低い抵抗率を実現することができる。In2O3中にスズのような不純物元素が多くなると、キャリア電子密度は増加するが、中性不純物やイオン化不純物によるキャリア電子の散乱も増大して、移動度は低下するものと考えられる。
【0014】
Raufは、非特許文献4(J.Mater.Sci.Lett., Vol.12,(1993) pp.1902〜1905)、非特許文献5(Journal of Applied Physics, Vol.79,(1996) pp.4057〜4065)、および非特許文献6(透明導電膜の技術、オーム社、pp.147〜148)で紹介している方法で、ドーパントイオンの存在する部分と、キャリアの移動する部分とを空間的に分離した膜を作製して、1×10−4Ωcm以下のITO膜の作製に成功している。Raufは、単結晶精製に用いられるzone−refining法により温度勾配を付けた基板上に、電子ビーム蒸着法によりITO薄膜を形成し、膜中の不純物スズイオンは、温度勾配に従って温度の高いところから低いところへ移動することによって、スズ濃度の高い部分とスズ濃度の低い部分とが存在するITO膜を作製した。スズ濃度の高い部分で生成したキャリア電子が、スズ濃度の低い部分に染み出して移動するならば、スズ濃度の低い部分でのイオン化不純物散乱や中性不純物散乱の頻度は小さくできるので、移動度の低下が抑制される。この方法により、4.4×10−5Ωcmという非常に低い比抵抗を得ている。しかし、この温度勾配による方法では、膜の面内方向に電気抵抗率の変化が生じてしまうため、得られるITO膜を、太陽電池、液晶表示素子、その他各種受光素子等の酸化物透明電極膜として用いると、電極膜面内で特性の差が出てしまい、好ましくない。
【0015】
【特許文献1】
特願2002−200534号
【0016】
【特許文献2】
特願2002−359975号
【0017】
【特許文献3】
特開2002−256423号公報
【0018】
【非特許文献1】
応用物理、第49巻、1号(1980)、pp.2〜16
【0019】
【非特許文献2】
Japanese Journal of Applied Physics, Vol.39,(2000) pp.1849〜1854
【0020】
【非特許文献3】
透明導電膜の技術、オーム社、pp.144〜147
【0021】
【非特許文献4】
J.Mater.Sci.Lett., Vol.12,(1993) pp.1902〜1905
【0022】
【非特許文献5】
Journal of Applied Physics, Vol.79,(1996) pp.4057〜4065
【0023】
【非特許文献6】
透明導電膜の技術、オーム社、pp.147〜148
【0024】
【発明が解決しようとする課題】
液晶などのディスプレイの大型化と高精細化の流れに伴い、従来の透明導電膜よりも低い比抵抗の透明導電膜が求められている。前述の様に、従来の技術で得られる低抵抗透明導電膜は、ITO材料による1×10−4Ωcm程度が限界である。また、前述のRaufの提案した温度勾配による方法による膜は、10−5Ωcm台の透明導電膜が得られているものの、膜の面内方向に電気抵抗率の異方性を生んでしまうため実用的でない。10−5Ωcm台の低抵抗で、面内方向に異方性のない透明導電膜が実現できれば、大型ディスプレイの透明電極として有用である。
【0025】
本発明は、前記の課題を克服すべく提案された材料であり、従来では不可能であった1×10−4Ωcm以下の比抵抗を有して、かつ、面内方向の異方性のない透明導電性酸化物膜を提供する。
【0026】
【課題を解決するための手段】
本発明の透明導電性酸化物複合体の一態様では、スズがドープされた酸化インジウム結晶相と、該酸化インジウム結晶相よりもキャリア電子移動度の高い酸化物透明導電性結晶相とが均一または不均一に積層されている。
【0027】
さらに、前記酸化インジウム結晶相は、酸化インジウムを主成分として、スズがスズ/インジウム原子数比で0.015〜0.170の割合で含まれ、前記酸化物透明導電性結晶相は、酸化インジウムを主成分として、チタンがチタン/インジウム原子数比で0.010〜0.050の割合で含まれる相、タングステンがタングステン/インジウム原子数比で0.019〜0.034の割合で含まれる相、モリブデンがモリブデン/インジウム原子数比で0.010〜0.086の割合で含まれる相、および、ゲルマニウムがゲルマニウム/インジウム原子数比で0.020〜0.080の割合で含まれる相からなる群から選ばれる少なくとも1種以上を満足することが望ましい。
【0028】
本発明の酸化インジウム結晶相には、銀、銅、白金、パラジウム、金、ハフニウム、レニウム、シリコンなどのインジウムとスズ以外の元素が、高キャリア電子濃度の特性を損なわない範囲で含まれていてもかまわない。
【0029】
また、本発明の酸化物透明導電性結晶相には、酸化インジウムを主成分としてチタン、タングステン、モリブデン、ゲルマニウム以外の元素が、例えば、レニウム、ハフニウム、シリコン、銀、銅、白金、パラジウム、金などの元素が含まれていても、酸化インジウム結晶相よりも移動度が高いという特性を損なわなければかまわない。本発明の酸化物透明導電性結晶相は、酸化インジウムを主成分としてチタン、タングステン、モリブデン、ゲルマニウムのうちの少なくとも1元素を含む材料だけに限定してなくても、酸化スズ、酸化カドミウム、酸化亜鉛、酸化ルテニウム、酸化レニウム、酸化オスミウムなどの酸化物を主成分とした材料でも、酸化インジウム結晶相よりも高移動度であればかまわない。
【0030】
本発明の透明導電性酸化物複合体は、酸化インジウム結晶相と酸化物透明導電性結晶相の界面に、銀、銅、白金、パラジウム、金、ハフニウム、レニウムなどの金属やそれらの金属の合金が存在していても、本発明の透明導電性酸化物複合体の特性が損なわなければかまわない。また、本発明の透明導電性酸化物複合体は、酸化インジウム結晶相と酸化物透明導電性結晶相の界面に、非晶質相が本発明の透明導電性酸化物複合体の特性が損なわれない範囲で含まれていてもかまわない。
【0031】
さらに、酸化インジウム結晶相と酸化物透明導電性結晶相とが、それぞれ10〜100nmの膜厚の薄膜形状を有し、基板面に対して垂直方向に向かって酸化インジウム結晶相と酸化物透明導電性結晶相が交互に積層されていることが望ましい。各結晶相は、均一な厚さである必要はなく、10〜100nmの膜厚の中で、例えば島状に厚い部分と薄い部分とがあってよい。また、断層されていてもよい。
【0032】
さらに、スパッタリング法、イオンプレーティング法、レーザーアブレーション法、もしくはゾルゲル法で作製されたことが望ましい。
【0033】
本発明の太陽電池は、前記透明導電性酸化物複合体を透明電極として用いる。
【0034】
本発明の表示装置は、前記透明導電性酸化物複合体を透明電極として用いる。
【0035】
【発明の実施の形態】
本発明の透明導電性酸化物複合体は、酸化物透明電極膜において、スズがドープされた酸化インジウム結晶相と、スズがドープされた酸化インジウム結晶相よりもキャリア電子移動度の高い酸化物透明導電性結晶相が均一または不均一に積層されていることを特徴とする透明導電性酸化物複合体である。詳しくは、酸化インジウムを主成分としてスズを含有する酸化インジウム結晶相と、酸化インジウムを主成分としてチタン、タングステン、モリブデンおよびゲルマニウムのうちの少なくとも一つの元素を含有する酸化物透明導電性結晶相とが均一または不均一に積層されていることを特徴とする。
【0036】
酸化インジウム結晶相は、スズがドープされた酸化インジウム結晶相であり、キャリア電子の移動度は低いが、キャリア電子濃度の高キャリア電子濃度を有する結晶相である。酸化物透明導電性結晶相は、スズがドープされた酸化インジウム結晶相よりもキャリア電子移動度の高い結晶相である。
【0037】
前記酸化インジウム結晶相と酸化物透明導電性結晶相とが積層されていることを特徴としているが、具体的には、基板上に、酸化インジウム結晶相の薄膜層と酸化物透明導電性結晶相の薄膜層とが交互に積層されている場合(断層のようにずれがある場合を含む)や、酸化インジウム結晶相の島状の薄膜層と酸化物透明導電性結晶相の島状の薄膜層とが、膜厚方向に重なり合い、基板全体を被覆している状態が好ましい。
【0038】
それぞれの薄膜層の膜厚は、10nm〜数百nm程度の範囲内であることが好ましい。膜厚の均一性は、10%以内が好ましいが、前記範囲内でばらついてもよい。10nmより薄くなりすぎると、組成が均一の膜となってしまい、数百nmを超えると、本発明の効果が現れず、低抵抗化することができなくなる。
【0039】
このような構造の透明導電性酸化物複合体に電界が印加されると、高キャリア電子濃度層である酸化インジウム結晶相で生成した多くのキャリア電子が、高キャリア電子移動度層である酸化物透明導電性結晶相に染み出して移動するが、高キャリア電子移動度層である酸化物透明導電性結晶相でのイオン化不純物散乱および/あるいは中性不純物散乱の頻度は、酸化インジウム結晶相を移動するよりも小さいので、電子移動度の低下が抑制される。このことにより、1.0×10−4Ωcm以下という非常に低い抵抗率を得ることができるものと考えられる。膜の厚さ方向に、酸化インジウム結晶相の高キャリア電子濃度層と、酸化物透明導電性結晶相の高キャリア電子移動度層とが、交互に積層されているので、面内方向の比抵抗の異方性が発生せず、従来の課題を解決できる。
【0040】
本発明に係る透明導電性酸化物複合体は、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、レーザーアブレーション法、ゾルゲル法などの薄膜製造方法により製造することができるが、これらの製造方法に限定されるものではない。
【0041】
スパッタリング法で製造する場合の一例を以下に説明する。
【0042】
図1は、本発明による基板公転移動型のスパッタリング装置を示す断面図である。
【0043】
原料であるスパッタリングターゲットとして、スズを添加元素として含む酸化インジウム焼結体ターゲット(酸化インジウム結晶相形成用ターゲット)(6)と、チタン、タングステン、モリブデンおよびゲルマニウムのうちの少なくとも1種類の不純物元素を含む酸化インジウム焼結体ターゲット(酸化物透明導電性結晶相形成用ターゲット)(7)とを用いる。
【0044】
基板公転移動型のスパッタリング装置の同一チャンバー(1)内に、基板(5)と、酸化インジウム結晶相形成用ターゲット(6)と、酸化物透明導電性結晶相形成用ターゲット(7)とを配置し、ターゲットの対向面に、公転可能な基板ホルダー(4)を設ける。基板ホルダーを公転させると、基板(5)が、2つのターゲットの直上を交互に通過して、酸化インジウム結晶相と酸化物透明導電性結晶相とを交互に積層することができる。基板ホルダー(4)の公転速度とターゲットへ投入する電力とで、2の膜厚が制御できる。また、2つの結晶相成分が、同時に基板(5)に入射しないように、2つのターゲット間に、図示しない隔離板を設置し、目的特性に合わせて、該隔離板の位置や高さ等を調節することが好ましい。
【0045】
図2は、本発明による基板直行移動型のスパッタリング装置を示す断面図である。
【0046】
また、図2に示すような基板直行移動型のスパッタリング装置でも、本発明の透明導電性酸化物複合体を製造することができる。スパッタリング装置の同一チャンバー(図示略)内に、基板13と、酸化インジウム結晶相形成用ターゲット(14)と酸化物透明導電性結晶相形成用ターゲット(15)とを配置し、ターゲットの対向面に、通過移動可能な基板ホルダー(16)を設ける。磁石(17)を裏面に配置したカソード(19)には、直流電源(21)が接続され、磁石(18)を裏面に配置したカソード(20)には、直流電源(22)が接続されて、直流電圧を交互に印加させることが可能であり、酸化インジウム結晶相形成用ターゲット(14)、および酸化物透明導電性結晶相形成用ターゲット(15)のスパッタリングを、交互に行えるようになっている。
【0047】
図2に示すように、基板ホルダー(16)を通過移動させると、基板(13)が、交互に放電する2つのターゲットの直上を通過して、酸化インジウム結晶相と酸化物透明導電性結晶相とを、交互に積層することができる。基板ホルダー(16)の移動速度、各ターゲットへ投入する電力、および各ターゲットへの直流電圧の連続印加時間を変えることで、酸化インジウム結晶相および酸化物透明導電性結晶相の膜厚が制御できる。
【0048】
本発明者は、前述の方法に基づくスパッタリング法により、酸化インジウム結晶相と酸化物透明導電性結晶相が交互に積層された透明導電性薄膜積層体を作製し、その電気特性、光学特性を調べた。その結果、前記酸化インジウム結晶相は、酸化インジウムを主成分として、スズがスズ/インジウム原子数比で0.015〜0.170の割合で含まれ、前記酸化物透明導電性結晶相は、酸化インジウムを主成分として、チタンがチタン/インジウム原子数比で0.010〜0.050の割合で含まれること、タングステンがタングステン/インジウム原子数比で0.019〜0.034の割合で含まれること、モリブデンがモリブデン/インジウム原子数比で0.010〜0.086の割合で含まれること、および、ゲルマニウムがゲルマニウム/インジウム原子数比で0.020〜0.080の割合で含まれることからなる群から選ばれる少なくとも1種以上を満足させると、酸化インジウム結晶相の薄膜層が高キャリア電子濃度層となり、酸化物透明導電性結晶相の薄膜層が高キャリア電子移動度層となった交互積層体構造となり、1.0×10−4Ωcm以下の低抵抗透明導電膜が実現できることがわかり、本発明を完成するに至った。
【0049】
しかも、本発明の透明導電性酸化物複合体を構成している結晶相は、何れも可視光透過率の高い酸化インジウム系薄膜であるため、本発明の透明導電性酸化物複合体の可視光透過率も高い。このような特徴の膜は、大型の表示装置用の透明電極や、高いエネルギー変換効率の太陽電池の透明電極として利用することが可能である。
【0050】
【実施例】
以下、実施例および比較例を用いて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
【0051】
(実施例1)
本実施例では、図1に示した基板公転移動型の直流マグネトロンスパッタリング装置(トッキ社製)を使用した。チャンバー(1)内に、6インチΦの非磁性体ターゲット用の2つのカソード(2)、(3)が設けられ、その上部に、公転可能な円板状の基板ホルダー(4)が配置されている。基板ホルダー(4)を公転させると、基板ホルダー(4)に取り付けた基板(5)は、カソード(2)、(3)の直上部を、交互に通過する仕組みとなっている。
【0052】
カソード(2)に設置するターゲット(6)を前記のスズを含有する酸化インジウム焼結体ターゲットとし、カソード(3)に設置するターゲット(7)を前記のチタンを含有する酸化インジウム焼結体ターゲットとし、基板(5)にはコーニング7059ガラス基板を取り付けた。カソード(2)、(3)には、磁石(8)、(9)が配置され、両ターゲット表面上のプラズマ密度を高めてスパッタ効率をあげる仕組み(即ちマグネトロンスパッタ)となっている。両ターゲットと基板との距離を50〜80mmとし、チャンバー(1)内の真空度が1×10−4Pa以下に達した時点で、純度99.9999質量%のArガスに対して酸素を0.3〜2%混合させたスパッタガスを、スパッタガスの供給管(10)からチャンバー(1)内に導入して、チャンバー(1)内のガス圧を0.6Paと設定し、各カソードには直流電源(11)、(12)が接続され、直流電力100〜400Wをターゲット−基板間に投入して、両カソード上に直流プラズマを発生させた。厚み1mmのガラス基板(5)を、室温あるいは100〜300℃に加熱して、基板ホルダー(4)を公転させた状態で、カソード(2)およびカソード(3)と、基板ホルダー(4)との間に、直流電力を印加して直流プラズマを発生させて、カソード(2)およびカソード(3)から、スパッタ粒子が交互に供給され、スズを含有する酸化インジウム膜と、チタンを含有する酸化インジウム膜との積層膜が得られた。各層の膜厚は、基板ホルダー(4)の公転速度およびカソード投入電力で、10〜100nmの範囲で可変とした。
【0053】
具体的には、カソード(2)に10質量%のSnO2を含むIn2O3焼結体ターゲット(6)を装着し、カソード(3)に1質量%のTiO2を含むIn2O3焼結体ターゲット(7)を装着した。ターゲット(6)、(7)と基板ホルダー(4)との距離を60mmとした。チャンバー(1)内に、酸素を1.5%含むアルゴンと酸素の混合ガスを、スパッタガスとしてスパッタガスの供給管(10)から導入して、0.6Paに設定し、基板ホルダー(4)を公転させて、各カソードに直流電力150Wを同時に投入した。
【0054】
成膜時の基板温度を200℃に設定して、膜厚300nmで、スズを含有する酸化インジウム膜と、チタンを含有する酸化インジウム膜とが交互に積層された透明導電性酸化物複合体を作製した。
【0055】
前記の条件で、一方のカソードのみに直流電力を投入して得た単一組成の透明導電膜を、ICP発光分析にて組成分析を行ったところ、カソード(2)から形成される膜のスズ/インジウム原子数比は0.075であり、カソード(3)から形成される膜のチタン/インジウム原子数比は0.017であることがわかった。
【0056】
また、一方のカソードのみに直流電力を投入して得た単一組成の透明導電膜の電気特性をホール効果測定にて測定したところ、カソード(2)から形成される膜のスズをドープした酸化インジウム薄膜の、比抵抗は1.4×10−4Ωcm、キャリア濃度は1.3×1021cm−3、移動度は34.7cm2/Vsであり、また、カソード(3)から形成される膜のチタンをドープした酸化インジウム薄膜の、比抵抗は2.1×10−4Ωcm、キャリア濃度は3.5×1020cm−3、移動度は82.6cm2/Vsであった。よって、このような薄膜を交互に積層することによって本発明の透明導電性酸化物複合体が得られることがわかる。
【0057】
交互に積層された透明導電性酸化物複合体を、TEMによる薄膜積層体の断面を観察したところ、各層の膜厚は50〜70nmであった。また、EDSによる組成分析では、スズを含む酸化インジウム結晶相の薄膜層の組成は、スズ/インジウム原子数比で0.081であり、チタンを含む酸化インジウム結晶相の薄膜層の組成は、チタン/インジウム原子数比で0.016であった。
【0058】
透明導電性酸化物複合体の比抵抗を、四端子法およびホール効果測定で測定したところ、7.2×10−5Ωcmの比抵抗を示した。
【0059】
分光光度計による薄膜積層体自体の透過率を測定したところ、可視光域の平均透過率は92%以上であった。本実施例で作製された透明導電性酸化物複合体は、膜厚が±10%以内で均一な領域では、比抵抗のばらつきは±10%以内であり、比抵抗のばらつきの少ない極めて良好な透明導電性薄膜であった。
【0060】
(比較例1)
カソード(3)での放電を行わない以外は、実施例1と同じ条件で、基板(5)を公転しながら、膜厚300nmのスズを含有する酸化インジウム膜を作製した。
【0061】
実施例1と同様の方法で膜の評価を実施したところ、可視域の平均透過率は92%以上であったが、比抵抗は1.4×10−4Ωcm(キャリア濃度1.3×1021cm−3、移動度34.7cm2/Vs)であり、実施例1の膜と比べて高抵抗であった。
【0062】
(比較例2)
カソード(2)での放電を行わない以外は、実施例1と同じ条件で、基板(5)を公転しながら、膜厚300nmのチタンを含有する酸化インジウム膜を作製した。
【0063】
実施例1と同様の方法で膜の評価を実施したところ、可視域の平均透過率は92%以上であったが、比抵抗は2.1×10−4Ωcm(キャリア濃度3.5×1020cm−3、移動度82.6cm2/Vs)であり、実施例1の膜と比べて高抵抗であった。
【0064】
(実施例2)
基板温度を室温にした以外は、実施例1と同じ条件で、膜厚300nmの薄膜積層体を基板上に成膜し、さらに、チャンバー(1)内で、300℃にて1時間ほど、真空中アニールを行ったところ、9.0×10−5Ωcmの比抵抗の透明導電膜が得られた。本実施例で作製された透明導電性酸化物複合体は、膜厚が±10%以内で均一な領域では、比抵抗のばらつきは±10%以内であり、比抵抗のばらつきの少ない極めて良好な透明導電性薄膜であった。
【0065】
(比較例3)
カソード(3)での放電を行わない以外は、実施例2と同じ条件で、基板(5)を公転しながら、膜厚300nmのスズを含有する酸化インジウム膜を作製し、さらに、チャンバー(1)内で、300℃にて1時間ほど、真空中アニールを行った。
【0066】
実施例1と同様の方法で膜の評価を実施したところ、可視域の平均透過率は92%以上であったが、比抵抗は2.5×10−4Ωcmであり、実施例2の透明導電膜と比べて高抵抗であった。
【0067】
(比較例4)
カソード(2)での放電を行わない以外は、実施例2と同じ条件で、基板(5)を公転しながら、膜厚300nmのチタンを含有する酸化インジウム膜を作製し、さらに、チャンバー(1)内で、300℃にて1時間ほど、真空中アニールを行った。
【0068】
実施例1と同様の方法で膜の評価を実施したところ、可視域の平均透過率は92%以上であったが、比抵抗は3.5×10−4Ωcmであり、実施例2の薄膜積層体と比べて高抵抗であった。
【0069】
(実施例3)
基板ホルダー(4)の公転速度およびカソード投入直流電力を変えた以外は、実施例1と同じ条件で、スズを含む酸化インジウム薄膜とチタンを含む酸化インジウム薄膜との薄膜積層体を作製した。基板ホルダー(4)の公転速度および各カソードへの投入パワーを制御して、各層の厚みを10〜100nmの範囲で変化させて作製した膜厚300nmの透明導電性酸化物複合体の比抵抗を測定したところ、8.5〜9.5×10−5Ωcmの極めて低い比抵抗が実現された。
【0070】
透明導電性酸化物複合体の可視光平均透過率も、90%以上で良好であった。
【0071】
本実施例で作製された透明導電性酸化物複合体は、膜厚が大きくばらついていたが、±10%以内で均一な領域では、比抵抗のばらつきは±10%以内であり、比抵抗のばらつきの少ない極めて良好な透明導電性薄膜であった。
【0072】
(実施例4)
基板ホルダー(4)の公転速度およびカソード投入直流電力を変えた以外は、実施例2と同じ条件で、スズを含む酸化インジウム薄膜とチタンを含む酸化インジウム薄膜との薄膜積層体を作製した。基板ホルダーの公転速度および/または各カソードへの投入パワーを制御して、各層の厚みを10〜100nmの範囲で変化させて作製した膜厚300nmの透明導電性酸化物複合体の比抵抗を測定したところ、8.5〜9.5×10−5Ωcmの極めて低い比抵抗が実現された。
【0073】
透明導電性酸化物複合体の可視光平均透過率も90%以上で良好であった。
【0074】
本実施例で作製された透明導電性酸化物複合体は、膜厚が大きくばらついていたが、±10%以内で均一な領域では、比抵抗のばらつきは±10%以内であり、比抵抗のばらつきの少ない極めて良好な透明導電性薄膜であった。
【0075】
(実施例5)
実施例1において、カソード(2)およびカソード(3)のターゲット組成を変化させて、スズを含む酸化インジウム層中のスズ量とチタンを含む酸化インジウム層のチタン量を変化させた。各カソードから形成される薄膜の組成を実施例1と同様に定量したところ、スズを含む酸化インジウム層中のスズ/インジウム原子数比が0.015、0.035、0.051、0.103、0.141、0.170で、チタンを含む酸化インジウム層中のチタン/インジウム原子数比を0.010、0.023、0.038、0.050に変化させた組成の組合せのとき、7.1〜9.5×10−5Ωcm以下の低抵抗の透明導電性酸化物複合体が製造できることがわかった。
【0076】
本実施例で作製された透明導電性酸化物複合体は、膜厚が±10%以内で均一な領域では、比抵抗のばらつきは±10%以内であり、比抵抗のばらつきの少ない極めて良好な透明導電性薄膜であった。
【0077】
(実施例6)
実施例2において、カソード(2)およびカソード(3)のターゲット組成を変化させて、スズを含む酸化インジウム層中のスズ量とチタンを含む酸化インジウム層のチタン量を変化させた。各カソードから形成される薄膜の組成を実施例1と同様に定量したところ、スズを含む酸化インジウム層中のスズ/インジウム原子数比が0.016、0.034、0.050、0.101、0.142、0.168で、チタンを含む酸化インジウム層中のチタン/インジウム原子数比を0.011、0.024、0.039、0.048に変化させた組成の組合せのとき、7.1〜9.5×10−5Ωcm以下の低抵抗の透明導電性酸化物複合体が製造できることがわかった。
【0078】
本実施例で作製された透明導電性酸化物複合体は、膜厚が±10%以内で均一な領域では、比抵抗のばらつきは±10%以内であり、比抵抗のばらつきの少ない極めて良好な透明導電性薄膜であった。
【0079】
(実施例7)
カソード(3)を、5質量%の酸化タングステンを含む酸化インジウム焼結体ターゲットに変え、基板温度を300℃に変えた以外は、実施例1と同じ製造条件で、透明導電性酸化物複合体を作製した。本実施例により、スズ/インジウム原子数比で0.075のスズを含む酸化インジウム膜とタングステン/インジウム原子数比で0.023のタングステンを含む酸化インジウム膜の混合膜が得られた。各層の膜厚は30〜50nmであった。実施例1と同様に透明導電性酸化物複合体の比抵抗を測定したところ、7.8×10−5Ωcmであった。また、可視域の平均透過率は92%だった。
【0080】
本実施例で作製された透明導電性酸化物複合体は、膜厚が±10%以内で均一な領域では、比抵抗のばらつきは±10%以内であり、比抵抗のばらつきの少ない極めて良好な透明導電性薄膜であった。
【0081】
(比較例5)
カソード2での放電を行わない以外は、実施例7と同じ条件で、基板を公転しながら膜厚300nmのタングステンを含有する酸化インジウム膜を作製した。
【0082】
実施例1と同様の方法で膜の評価を実施したところ、可視域の平均透過率は92%以上であったが、比抵抗は3.0×10−4Ωcm(キャリア濃度2.9×1020cm−3、移動度72.7cm2/Vs)であり実施例5の膜と比べて高抵抗であった。(この膜は、カソード(3)での放電を行わない以外は、実施例7と同じ条件で作製したITO膜の移動度(35cm2/Vs)よりも、高移動度であった)。
【0083】
(実施例8)
ターゲット組成を変化させた以外は、実施例7と同様にして、スズを含む酸化インジウム層中のスズ量とタングステンを含む酸化インジウム層のタングステン量を変化させたところ、スズを含む酸化インジウム層中のスズ/インジウム原子数比が0.015、0.034、0.050、0.108、0.140、0.168であり、タングステンを含む酸化インジウム層中のタングステン/インジウム原子数比を0.019、0.034に変化させた組成の組合せのとき、6.8〜9.8×10−5Ωcm以下の低抵抗の透明導電性酸化物複合体が製造できることがわかった。基板公転回数およびターゲットへの投入電極を変えて、各層の膜厚を10〜100nmの範囲で変化させても同じ傾向であり、1×10−4Ωcm以下の低抵抗の透明導電性酸化物複合体が製造できた。また、基板温度を室温にして複合体を作製した後、真空中でアニールを行う方法でも同じ傾向であり1×10−4Ωcm以下の低抵抗の透明導電性酸化物複合体が製造できた。
【0084】
本実施例で作製された透明導電性酸化物複合体は、膜厚が±10%以内で均一な領域では、比抵抗のばらつきは±10%以内であり、比抵抗のばらつきの少ない極めて良好な透明導電性薄膜であった。
【0085】
(実施例9)
カソード(3)のターゲットを、モリブデンを含有する酸化インジウム焼結体ターゲットに変えた以外は、実施例1と同じ製造条件で、スズを含む酸化インジウム薄膜とモリブデンを含む酸化インジウム薄膜の積層体を形成した。ターゲット組成を変化させて、スズを含む酸化インジウム層中のスズ量とモリブデンを含む酸化インジウム層のモリブデン量を変化させたところ、スズを含む酸化インジウム層中のスズ/インジウム原子数比が0.015〜0.170であり、モリブデンを含む酸化インジウム層中のモリブデン/インジウム原子数比が0.010〜0.086のとき、8.5〜9.7×10−5Ωcm以下の低抵抗の透明導電性酸化物複合体が製造できることがわかった。各層の膜厚を10〜100nmの範囲で変化させても同じ傾向であり1×10−4Ωcm以下の低抵抗の透明導電性酸化物複合体が製造できた。
【0086】
本実施例で作製された透明導電性酸化物複合体は、膜厚が±10%以内で均一な領域では、比抵抗のばらつきは±10%以内であり、比抵抗のばらつきの少ない極めて良好な透明導電性薄膜であった。
【0087】
(実施例10)
カソード(3)のターゲットを、モリブデンを含有する酸化インジウム焼結体ターゲットに変えた以外は、実施例2と同じ製造条件で、スズを含む酸化インジウム薄膜とモリブデンを含む酸化インジウム薄膜の積層体を形成した。ターゲット組成を変化させて、スズを含む酸化インジウム層中のスズ量とモリブデンを含む酸化インジウム層のモリブデン量を変化させたところ、スズを含む酸化インジウム層中のスズ/インジウム原子数比が0.015〜0.170であり、モリブデンを含む酸化インジウム層中のモリブデン/インジウム原子数比が0.010〜0.086のとき、8.9〜9.8×10−5Ωcm以下の低抵抗の透明導電性酸化物複合体が製造できることがわかった。各層の膜厚を10〜100nmの範囲で変化させても同じ傾向であり1×10−4Ωcm以下の低抵抗の透明導電性酸化物複合体が製造できた。
【0088】
本実施例で作製された透明導電性酸化物複合体は、膜厚が±10%以内で均一な領域では、比抵抗のばらつきは±10%以内であり、比抵抗のばらつきの少ない極めて良好な透明導電性薄膜であった。
【0089】
(実施例11)
カソード(3)のターゲットをゲルマニウムを含有する酸化インジウム焼結体ターゲットに変えた以外は、実施例1と同じ製造条件で、スズを含む酸化インジウム薄膜とゲルマニウムを含む酸化インジウム薄膜の積層体を形成した。ターゲット組成を変化させて、スズを含む酸化インジウム層中のスズ量とゲルマニウムを含む酸化インジウム層のゲルマニウム量を変化させたところ、スズを含む酸化インジウム層中のスズ/インジウム原子数比が0.015〜0.170であり、ゲルマニウムを含む酸化インジウム層中のゲルマニウム/インジウム原子数比が0.020〜0.080のとき、7.5〜9.6×10−5Ωcm以下の低抵抗の透明導電性酸化物複合体が製造できることがわかった。各層の膜厚を10〜100nmの範囲で変化させても同じ傾向であり1×10−4Ωcm以下の低抵抗の透明導電性酸化物複合体が製造できた。
【0090】
本実施例で作製された透明導電性酸化物複合体は、膜厚が±10%以内で均一な領域では、比抵抗のばらつきは±10%以内であり、比抵抗のばらつきの少ない極めて良好な透明導電性薄膜であった。
【0091】
(実施例12)
カソード(3)のターゲットをゲルマニウムを含有する酸化インジウム焼結体ターゲットに変えた以外は、実施例2と同じ製造条件で、スズを含む酸化インジウム薄膜とゲルマニウムを含む酸化インジウム薄膜の積層体を形成した。ターゲット組成を変化させて、スズを含む酸化インジウム層中のスズ量とゲルマニウムを含む酸化インジウム層のゲルマニウム量を変化させたところ、スズを含む酸化インジウム層中のスズ/インジウム原子数比が0.015〜0.170であり、ゲルマニウムを含む酸化インジウム層中のゲルマニウム/インジウム原子数比が0.020〜0.080のとき、7.9〜9.8×10−5Ωcm以下の低抵抗の透明導電性酸化物複合体が製造できることがわかった。各層の膜厚を10〜100nmの範囲で変化させても同じ傾向であり1×10−4Ωcm以下の低抵抗の透明導電性酸化物複合体が製造できた。
【0092】
本実施例で作製された透明導電性酸化物複合体は、膜厚が±10%以内で均一な領域では、比抵抗のばらつきは±10%以内であり、比抵抗のばらつきの少ない極めて良好な透明導電性薄膜であった。
【0093】
(実施例13)
図2に示すような基板直行移動型型の直流マグネトロン装置を用いて、本発明の透明導電性薄膜複合体を製造する例を以下に説明する。カソード(19)に設置するターゲット(14)を、前記のスズを含有する酸化インジウム焼結体ターゲットとし、カソード(20)に設置するターゲット(15)を、前記のチタンを含有する酸化インジウム焼結体ターゲットとし、基板(13)には、コーニング7059ガラス基板を取り付けた。カソード(19)、(20)には磁石(17)、(18)が配置され、両ターゲット表面上のプラズマ密度を高めてスパッタ効率をあげる仕組み(即ちマグネトロンスパッタ)となっている。両ターゲットと基板(13)との距離を50〜80mmとし、チャンバー(1)内の真空度が1×10−4Pa以下に達した時点で、純度99.9999質量%のArガスに対して酸素を0.3〜2%混合させたスパッタガスを、スパッタガスの供給管(10)からチャンバー(1)内に導入して、チャンバー(1)内のガス圧を0.6Paと設定し、各カソードには直流電源(21)、(22)が取り付けられ、直流電力100〜400Wをターゲット−基板間に投入して、両カソード上に直流プラズマを発生させた。厚み1mmのガラス基板(13)を300℃に加熱して、基板ホルダー(16)を移動させながら、カソード(19)と基板ホルダー(16)の間、カソード(20)と基板ホルダー(16)との間に、交互に直流電力を印加して直流プラズマを発生させると、カソード(19)およびカソード(20)から供給されるスパッタ粒子が交互に供給され、スズを含有する酸化インジウム膜と、チタンを含有する酸化インジウム膜の積層膜とが、基板(13)上に得られた。各層の膜厚は、基板ホルダー(16)の移動速度およびカソード投入電力で10〜100nmの範囲で可変である。
【0094】
具体的には、カソード(19)に5インチ×15インチ×5mmtの大きさの10質量%のSnO2を含むIn2O3焼結体ターゲット(14)を装着し、カソード(20)に5インチ×15インチ×5mmtの1質量%のTiO2を含むIn2O3焼結体ターゲット(15)を装着した。ターゲット(14)、(15)の中心と、基板ホルダー(16)との距離を60mmとした。チャンバー(1)内に酸素を1.5%含むアルゴンと酸素の混合ガスをスパッタガスとして、スパッタガスの供給管(10)から導入して0.6Paに設定し、基板ホルダー(16)を移動させて、各カソードに直流電力400Wを同時に投入した。
【0095】
成膜時の基板温度を200℃に設定して、膜厚300nmで、スズを含有する酸化インジウム膜と、チタンを含有する酸化インジウム膜とが交互に積層された透明導電性酸化物複合体を作製した。
【0096】
前記の条件で、一方のカソードのみに直流電力を投入して得られる単一組成の透明導電膜を、ICP発光分析にて組成分析を行ったところ、カソード(14)から形成される膜のスズ/インジウム原子数比は0.074であり、カソード(15)から形成される膜のチタン/インジウム原子数比は0.015であることがわかった。
【0097】
交互に積層された透明導電性酸化物複合体を、TEMによる薄膜積層体の断面を観察したところ、各層の膜厚は30〜100nmであった。また、EDSによる組成分析では、スズを含む酸化インジウム結晶相の薄膜層の組成はスズ/インジウム原子数比で0.076であり、チタンを含む酸化インジウム結晶相の薄膜層の組成はチタン/インジウム原子数比で0.014であった。
【0098】
透明導電性酸化物複合体の比抵抗を四端子法およびホール効果測定で測定したところ、8.2×10−5Ωcmの比抵抗を示した。
【0099】
分光光度計による薄膜積層体自体の透過率を測定したところ、可視光域の平均透過率は92%以上であった。
【0100】
本実施例で作製された透明導電性酸化物複合体は、膜厚が±10%以内で均一な領域では、比抵抗のばらつきは±10%以内であり、比抵抗のばらつきの少ない極めて良好な透明導電性薄膜であった。
【0101】
(比較例8)
カソード(19)での放電を行わない以外は、実施例13と同じ条件で、基板(13)を直線移動しながら膜厚300nmのスズを含有する酸化インジウム膜を作製した。
【0102】
実施例1と同様の方法で膜の評価を実施したところ、可視域の平均透過率は92%以上であったが、比抵抗は1.8×10−4Ωcmであり実施例13の膜と比べて高抵抗であった。
【0103】
(比較例9)
カソード(20)での放電を行わない以外は、実施例13と同じ条件で、基板(13)を直線移動しながら膜厚300nmのチタンを含有する酸化インジウム膜を作製した。
【0104】
実施例1と同様の方法で膜の評価を実施したところ、可視域の平均透過率は92%以上であったが、比抵抗は2.5×10−4Ωcmであり実施例13の膜と比べて高抵抗であった。
【0105】
(実施例14)
基板ホルダーの移動速度カソード投入パワー、および連続投入時間を変えた以外は、実施例13と同じ条件で、スズを含む酸化インジウム薄膜とチタンを含む酸化インジウム薄膜との薄膜積層体を作製した。基板ホルダー(13)の直線移動速度および各カソードへの投入パワーを制御して、各層の厚みを10〜100nmの範囲で変化させて作製した透明導電性酸化物複合体の比抵抗を測定したところ、8.7〜9.7×10−5Ωcmの極めて低い比抵抗が実現された。
【0106】
透明導電性酸化物複合体の可視光平均透過率も90%以上で良好であった。
【0107】
本実施例で作製された透明導電性酸化物複合体は、膜厚が±10%以内で均一な領域では、比抵抗のばらつきは±10%以内であり、比抵抗のばらつきの少ない極めて良好な透明導電性薄膜であった。
【0108】
(実施例15)
図2に示すような基板直行移動型型の直流マグネトロン装置を用いて、カソード(20)に設置するターゲット(15)をタングステンを含有する酸化インジウム焼結体ターゲット、モリブデンを含有する酸化インジウム焼結体ターゲット、あるいはゲルマニウムを含有する酸化インジウム焼結体ターゲットに変えた以外は、実施例13と同様の条件で透明導電性酸化物複合体を製造したところ、実施例13と同様に、8.4〜9.8×10−5Ωcmの低い抵抗を示して、可視光平均透過率も90%以上で良好であり、比抵抗の面内のばらつきの小さい極めて良好な透明導電性薄膜がえられることがわかった。
【0109】
以上のように、実施例1〜15では、スパッタリング法で透明導電性酸化物複合体を製造したが、真空蒸着法、イオンプレーティング法、レーザーアブレーション法、インク塗布法のいずれでも、本発明の透明導電性酸化物複合体を製造することが可能であり、同様の1×10−4Ωcm以下の低抵抗値を実現できることを確認した。
【0110】
【発明の効果】
以上、詳述したように、本発明に従えば、従来の技術では達成できなかった低抵抗の透明電極を実現することができる。10−5Ωcm台の低抵抗で、面内方向に比抵抗の異方性のない透明導電膜が実現できるので、大型ディスプレイや高変換効率の太陽電池を実現するための透明電極として有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例で使用した基板公転移動型の直流マグネトロンスパッタリング装置の概略図である。
【図2】本発明の実施例で使用した基板直行移動型型の直流マグネトロンスパッタリング装置の概略図である。
【符号の説明】
1 チャンバー
2、3、19、20 カソード
4、16 基板ホルダー
5、13 基板
6、7、14、15 ターゲット
8、9、17、18 磁石
10 スパッタガスの供給管
11、12、21、22 直流電源
Claims (6)
- スズがドープされた酸化インジウム結晶相と、該酸化インジウム結晶相よりもキャリア電子移動度の高い酸化物透明導電性結晶相とが均一または不均一に積層されていることを特徴とする透明導電性酸化物複合体。
- 前記酸化インジウム結晶相は、酸化インジウムを主成分として、スズがスズ/インジウム原子数比で0.015〜0.170の割合で含まれ、前記酸化物透明導電性結晶相は、酸化インジウムを主成分として、チタンがチタン/インジウム原子数比で0.010〜0.050の割合で含まれる相、タングステンがタングステン/インジウム原子数比で0.019〜0.034の割合で含まれる相、モリブデンがモリブデン/インジウム原子数比で0.010〜0.086の割合で含まれる相、および、ゲルマニウムがゲルマニウム/インジウム原子数比で0.020〜0.080の割合で含まれる相からなる群から選ばれる少なくとも1種以上を満足することを特徴とする請求項1に記載の透明導電性酸化物複合体。
- 酸化インジウム結晶相と酸化物透明導電性結晶相とが、それぞれ10〜100nmの膜厚の薄膜形状を有し、基板面に対して垂直方向に向かって酸化インジウム結晶相と酸化物透明導電性結晶相が交互に積層されていることを特徴とする請求項1または2に記載の透明導電性酸化物複合体。
- スパッタリング法、イオンプレーティング法、レーザーアブレーション法、もしくはゾルゲル法で作製されたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の透明導電性酸化物複合体。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の透明導電性酸化物複合体を透明電極として用いたことを特徴とする太陽電池。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の透明導電性酸化物複合体を透明電極として用いたことを特徴とする表示装置。
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|---|---|---|---|
| JP2003032555A JP2004247060A (ja) | 2003-02-10 | 2003-02-10 | 透明導電性酸化物複合体とこれを用いた太陽電池および表示装置 |
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|---|---|---|---|---|
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| CN112687753A (zh) * | 2020-12-14 | 2021-04-20 | 浙江爱旭太阳能科技有限公司 | Hjt太阳能电池tco薄膜、其制备方法及包含该薄膜的电池片 |
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-
2003
- 2003-02-10 JP JP2003032555A patent/JP2004247060A/ja not_active Withdrawn
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