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JP2004123728A - 新規フラボノイド化合物及びその利用 - Google Patents

新規フラボノイド化合物及びその利用 Download PDF

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JP2004123728A JP2003308400A JP2003308400A JP2004123728A JP 2004123728 A JP2004123728 A JP 2004123728A JP 2003308400 A JP2003308400 A JP 2003308400A JP 2003308400 A JP2003308400 A JP 2003308400A JP 2004123728 A JP2004123728 A JP 2004123728A
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Abstract

【課題】フラボノイド類が有する生理活性を維持しているとともに、細胞内でその生理活性を発現し易い新規フラボノイド化合物を提供する。
【解決手段】以下の一般式(1)で表される化合物。この化合物は、抗ガン用剤などとして好適に使用できる。
【化1】

(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8及びR9は、同一又は異なって、水素原子、水酸基又は低級アルコキシ基を表す。R10及びR11は共に水素原子又は一緒になってオキソ基を表す。クロマン骨格の2位と3位との間の結合は一重結合又は二重結合を表す。)
【選択図】 なし

Description

 本発明は、新規フラボノイド化合物及びその利用に関する。特に、細胞内で活性を発現し易いフラボノイド化合物及びその利用に関する。
 フラボノイド類は、野菜や果物等の広範囲の植物性食品に含まれており、様々な生理活性を有する。
 生理活性の1例を挙げると、フラボノイド類は、活性酸素を消去する抗酸化作用を有している。このためフラボノイドは、例えばDNAの酸化による損傷を抑制でき、その結果発ガンを防止する作用を有する(例えば非特許文献1)。また、活性酸素の過多により炎症が生じるところ、フラボノイド類は、抗酸化作用を有するために、抗炎症活性を有している(例えば非特許文献2)。さらに、フラボノイド類は、血中の低密度リポタンパク質(LDL)の過酸化を抑制することにより、酸化LDLがもたらす動脈硬化症を予防できる(例えば非特許文献3)。
 また、ヘテロサイクリックアミン類は、タンパク質性食品の加熱により生成する発ガン物質であり、肝代謝酵素チトクロームP450の 1Aにより代謝されて活性化するところ、フラボノイド類は該酵素の活性を阻害することにより発ガンを防止することも知られている(例えば非特許文献4)。
 また、一部のフラボノイド類は、エストロジェン様作用を示し、乳ガンを予防することが報告されている(例えば非特許文献5)。
 また、フラボノイド類は、ダイオキシンの毒性を、アリール炭化水素受容体を活性化する毒性発現の初期段階で抑制する(例えば特許文献1)。
 さらに、フラボノイド類は、ガン細胞の細胞周期を調節してその増殖を停止させることも報告されている(例えば非特許文献6)。
 また、疫学的研究においても、フラボノイド類の摂取量と、冠動脈心疾患やガンによる死亡率との間に相関関係が見出されている(例えば非特許文献7)。
 フラボノイド類は、食品中では主に配糖体として存在しているが、その殆どが小腸で加水分解されて、アグリコンとして小腸細胞に取り込まれる。小腸細胞内に取り込まれたフラボノイドの多くは、グルクロン酸や硫酸等に抱合されて小腸腔内又は血液中に放出される。特に、水酸基を有するフラボノイドは抱合を受け易いために、速やかに細胞から排出され、さらに尿中又は胆汁中に排泄される。従って、細胞内で十分に生理活性を発現できるフラボノイド濃度を維持するためには、大量にフラボノイドを摂取する必要がある。
特開2001−348382号公報(段落0011) Free Radic.Res.36,2002,307-316 Food Factors for Cancer Prevention (Springer),p468-471,1997 Biochem.Pharmacol.39,1990,1743-50 ; J.Clin.Invest.88,1991,1785-92 Mutat.Res.379,1997,21-32 Food Chem.Toxic.38,2000,555-64 Food Factors for Cancer Prevention (Springer),p623-626,1997 Lancet.342,1993,1007-11 ; J.Natl.Cancer Inst.92,2000,154-60
 本発明は、フラボノイド類が有する生理活性を維持しているとともに、細胞内でその生理活性を発現し易い新規フラボノイド化合物、その製造方法、及び、その化合物を含む医薬又は食品組成物を提供することを主目的とする。
 前記目的を達成するために本発明者は研究を重ねた結果、以下の知見を得た。
 すなわち、一般式(1)
(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8及びR9は、同一又は異なって、水素原子、水酸基又は低級アルコキシ基を表す。R10及びR11は共に水素原子又は一緒になってオキソ基を表す。クロマン骨格の2位と3位との間の結合は一重結合又は二重結合を表す。(クロマン骨格のうちの1位〜4位の位置を式中に数字で示している))
で表される化合物は、
以下の一般式(2)
(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8及びR9は、同一又は異なって、水素原子、水酸基又は低級アルコキシ基を表す。R10及びR11は共に水素原子又は一緒になってオキソ基を表す。クロマン骨格の2位と3位との間の結合は一重結合又は二重結合を表す。)
で表される化合物(一般式(1)の化合物のクロマン骨格の3位のアミノ基に代えて水酸基を有する対応フラボノール化合物)と同等の生理活性を示し、かつ、細胞内に取り込まれ易いとともに、グルクロン酸等により抱合され難い。
 なお、通常「クロマン骨格」には、2位と3位との間の結合が二重結合であるものは含まれないが、本発明における「クロマン骨格」にはこのようなものも含まれる。
 本発明は、前記知見に基づき完成されたものであり、以下の化合物、その製造方法及びこの化合物を有効成分とする医薬又は食品組成物を提供する。
 項1. 以下の一般式(1)で表される化合物。
(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8及びR9は、同一又は異なって、水素原子、水酸基又は低級アルコキシ基を表す。R10及びR11は共に水素原子又は一緒になってオキソ基を表す。クロマン骨格の2位と3位との間の結合は一重結合又は二重結合を表す。)
 項2. 一般式(1)において、R2、R4及びR7が水酸基を表し、R1、R3、R5、R6、R8及びR9が水素原子を表し、R10及びR11が一緒になってオキソ基を表し、クロマン骨格の2位と3位との間の結合が二重結合を表す項1に記載の化合物。
 項3. 一般式(1)において、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8及びR9が水素原子を表し、R10及びR11が一緒になってオキソ基を表し、クロマン骨格の2位と3位との間の結合が二重結合を表す項1に記載の化合物。
 項4. 一般式(1)において、R2及びR4が水酸基を表し、R1、R3、R5、R6、R7、R8及びR9が水素原子を表し、R10及びR11が一緒になってオキソ基を表し、クロマン骨格の2位と3位との間の結合が二重結合を表す項1に記載の化合物。
 項5. 一般式(1)において、R2、R7及びR8が水酸基を表し、R1、R3、R4、R5、R6及びR9が水素原子を表し、R10及びR11が一緒になってオキソ基を表し、クロマン骨格の2位と3位との間の結合が二重結合を表す項1に記載の化合物。
 項6. 一般式(1)において、R2、R4、R7、R9が水酸基を表し、R1、R3、R5、R6及びR8が水素原子を表し、R10及びR11が一緒になってオキソ基を表し、クロマン骨格の2位と3位との間の結合が二重結合を表す項1に記載の化合物。
 項7. 一般式(1)において、R2、R4、R7及びR8が水酸基を表し、R1、R3、R5、R6及びR9が水素原子を表し、R10及びR11が一緒になってオキソ基を表し、クロマン骨格の2位と3位との間の結合が二重結合を表す項1に記載の化合物。
 項8. 一般式(1)において、R2、R4、R6、R7、R8が水酸基を表し、R1、R3、R5及びR9が水素原子を表し、R10及びR11が一緒になってオキソ基を表し、クロマン骨格の2位と3位との間の結合が二重結合を表す項1に記載の化合物。
 項9. 一般式(1)において、R2、R4及びR8が水酸基を表し、R7がメトキシ基を表し、R1、R3、R5、R6及びR9が水素原子を表し、R10及びR11が一緒になってオキソ基を表し、クロマン骨格の2位と3位との間の結合が二重結合を表す項1に記載の化合物。
 項10. 一般式(1)において、R2、R4及びR7が水酸基を表し、R8がメトキシ基を表し、R1、R3、R5、R6及びR9が水素原子を表し、R10及びR11が一緒になってオキソ基を表し、クロマン骨格の2位と3位との間の結合が二重結合を表す項1に記載の化合物。
 項11. 下記の一般式(1)
(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8及びR9は、同一又は異なって、水素原子、水酸基又は低級アルコキシ基を表す。R10及びR11は共に水素原子又は一緒になってオキソ基を表す。クロマン骨格の2位と3位との間の結合は一重結合又は二重結合を表す。)
で表される化合物の製造方法であって、下記の一般式(2)
(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8及びR9は、同一又は異なって、水素原子、水酸基又は低級アルコキシ基を表す。R10及びR11は共に水素原子又は一緒になってオキソ基を表す。クロマン骨格の2位と3位との間の結合は一重結合又は二重結合を表す。)
の化合物を、哺乳動物の小腸表面細胞ホモジネートとともにインキュベートする工程と;上記一般式(1)の化合物を回収する工程とを含む製造方法。
 項12. 上記一般式(1)において、R2、R4及びR7が水酸基を表し、R1、R3、R5、R6、R8及びR9が水素原子を表し、R10及びR11が一緒になってオキソ基を表し、クロマン骨格の2位と3位との間の結合が二重結合を表す化合物の製造方法であって、上記一般式(2)において、R2、R4及びR7が水酸基を表し、R1、R3、R5、R6、R8及びR9が水素原子を表し、R10及びR11が一緒になってオキソ基を表し、クロマン骨格の2位と3位との間の結合が二重結合を表す化合物を、哺乳動物の小腸表面細胞ホモジネートとともにインキュベートする工程と;上記一般式(1)において、R2、R4及びR7が水酸基を表し、R1、R3、R5、R6、R8及びR9が水素原子を表し、R10及びR11が一緒になってオキソ基を表し、クロマン骨格の2位と3位との間の結合が二重結合を表す化合物を回収する工程とを含む製造方法。
 項13. 下記の一般式(1)
(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8及びR9は、同一又は異なって、水素原子、水酸基又は低級アルコキシ基を表す。R10及びR11は共に水素原子又は一緒になってオキソ基を表す。クロマン骨格の2位と3位との間の結合は一重結合又は二重結合を表す。)
 で表される化合物の製造方法であって、下記の一般式(2)
(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8及びR9は、同一又は異なって、水素原子、水酸基又は低級アルコキシ基を表す。R10及びR11は共に水素原子又は一緒になってオキソ基を表す。クロマン骨格の2位と3位との間の結合は一重結合又は二重結合を表す。)
の化合物を、アンモニアの存在下で放置する工程と;上記一般式(1)の化合物を回収する工程とを含む製造方法。
 項14. 上記の一般式(2)の化合物をアンモニアの存在下で放置する工程を加圧下に行う項13に記載の方法。
 項15. 上記一般式(1)で表される化合物が、上記一般式(1)においてR2、R4及びR7が水酸基を表し、R1、R3、R5、R6、R8及びR9が水素原子を表し、R10及びR11が一緒になってオキソ基を表し、クロマン骨格の2位と3位との間の結合が二重結合を表す化合物であり、上記一般式(2)で表される化合物が、上記一般式(2)において、R2、R4及びR7が水酸基を表し、R1、R3、R5、R6、R8及びR9が水素原子を表し、R10及びR11が一緒になってオキソ基を表し、クロマン骨格の2位と3位との間の結合が二重結合を表す化合物である項13又は14に記載の方法。
 項16. 項1〜10のいずれかに記載の化合物からなる遺伝子酸化抑制剤。
 項17. 項1〜10のいずれかに記載の化合物からなるダイオキシン毒性発現抑制剤。
 項18. 項1〜10のいずれかに記載の化合物からなる抗ガン剤。
 項19. 項1〜10のいずれかに記載の化合物からなる免疫不全予防剤。
 項20. 項1〜10のいずれかに記載の化合物からなる催奇形性予防剤。
 項21. 項1〜10のいずれかに記載の化合物からなる抗炎症剤。
 項22. 項1〜10のいずれかに記載の化合物からなる動脈硬化症の予防又は治療剤。
 項23. 項1〜10のいずれかに記載の化合物からなる糖尿病の予防又は治療剤。
 項24. 項1〜10のいずれかに記載の化合物を有効成分とする遺伝子酸化抑制用組成物。
 項25. 項1〜10のいずれかに記載の化合物を有効成分とするダイオキシン毒性発現抑制用組成物。
 項26. 項1〜10のいずれかに記載の化合物を有効成分とする抗ガン用組成物。
 項27. 項1〜10のいずれかに記載の化合物を有効成分とする免疫不全予防用組成物。
 項28. 項1〜10のいずれかに記載の化合物を有効成分とする催奇形性予防用組成物。
 項29. 項1〜10のいずれかに記載の化合物を有効成分とする抗炎症用組成物。
 項30. 項1〜10のいずれかに記載の化合物を有効成分とする動脈硬化症の予防又は治療用組成物。
 項31. 項1〜10のいずれかに記載の化合物を有効成分とする糖尿病の予防又は治療用組成物。
 項32. 項1〜10のいずれかに記載の化合物をヒトに投与するガン予防方法。
 項33. 項1〜10のいずれかに記載の化合物をヒトに投与する免疫不全予防方法。
 項34. 項1〜10のいずれかに記載の化合物をヒトに投与する催奇形性予防方法。
 項35. 項1〜10のいずれかに記載の化合物をヒトに投与する炎症の予防又は治療方法。
 項36. 項1〜10のいずれかに記載の化合物をヒトに投与する動脈硬化症の予防又は治療方法。
 項37. 項1〜10のいずれかに記載の化合物をヒトに投与する糖尿病の予防方法。
 本発明によると、フラボノイド類が有する生理活性を維持しているとともに、細胞内でその生理活性を発現し易い新規フラボノイド化合物が提供される。
 さらにいえば、本発明の化合物は、上記一般式(1)で表されるところ、上記一般式(2)で表される対応フラボノール化合物と同等の生理活性を有する。また、本発明の化合物はアミノ基を有するために、細胞内に取り込まれやすく、かつ、グルクロン酸等による抱合を受け難いことから、細胞内に高濃度で存在させることができる。この点で、上記一般式(2)で表される対応フラボノール化合物に比べて、医薬品や健康食品等の有効成分として有用性が高い。
 以下、本発明を詳細に説明する。
(I)本発明の化合物
 本発明の化合物は、文献未記載の新規化合物であり、前記一般式(1)
で表される化合物である。
 低級アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、sec-ブトキシ基、tert-ブトキシ基、n-ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert-ペンチル基等の炭素数1〜5個程度、特に炭素数1〜4個程度の直鎖又は分岐状のアルコキシ基が挙げられる。
 上記一般式(1)の化合物の中では、特に以下の化合物が好ましい。
・R2、R4及びR7が水酸基を表し、R1、R3、R5、R6、R8及びR9  が水素原子を表し、R10及びR11が一緒になってオキソ基を表し、クロマン  骨格の2位と3位との間の結合が二重結合を表す化合物。
 この化合物は、フラボノール類の1種として知られているケンフェロール(Kaempferol)(上記一般式(2)において、R2、R4及びR7が水酸基を表し、R1、R3、R5、R6、R8及びR9が水素原子を表し、R10及びR11が一緒になってオキソ基を表し、クロマン骨格の2位と3位との間の結合が二重結合を表す化合物)のクロマン骨格の3位水酸基をアミノ基としたものである。
・R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8及びR9が水素原子を表し  、R10及びR11が一緒になってオキソ基を表し、クロマン骨格の2位と3位  との間の結合が二重結合を表す化合物。
 この化合物は、フラボノール類の1種として知られているフラボノール(Flavonol)(上記一般式(2)において、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8及びR9が水素原子を表し、R10及びR11が一緒になってオキソ基を表し、クロマン骨格の2位と3位との間の結合が二重結合を表す化合物)のクロマン骨格の3位水酸基をアミノ基としたものである。
・R2及びR4が水酸基を表し、R1、R3、R5、R6、R7、R8及びR9  が水素原子を表し、R10及びR11が一緒になってオキソ基を表し、クロマン  骨格の2位と3位との間の結合が二重結合を表す化合物。
 この化合物は、フラボノール類の1種として知られているガランジン(Galangin)(上記一般式(2)において、R2及びR4が水酸基を表し、R1、R3、R5、R6、R7、R8及びR9が水素原子を表し、R10及びR11が一緒になってオキソ基を表し、クロマン骨格の2位と3位との間の結合が二重結合を表す化合物)のクロマン骨格の3位水酸基をアミノ基としたものである。
・R2、R7及びR8が水酸基を表し、R1、R3、R4、R5、R6及びR9  が水素原子を表し、R10及びR11が一緒になってオキソ基を表し、クロマン  骨格の2位と3位との間の結合が二重結合を表す化合物。
 この化合物は、フラボノール類の1種として知られているフィセチン(Fisetin)(上記一般式(2)において、R2、R7及びR8が水酸基を表し、R1、R3、R4、R5、R6及びR9が水素原子を表し、R10及びR11が一緒になってオキソ基を表し、クロマン骨格の2位と3位との間の結合が二重結合を表す化合物)のクロマン骨格の3位水酸基をアミノ基としたものである。
・ R2、R4、R7、R9が水酸基を表し、R1、R3、R5、R6及びR8が水素原子を表し、R10及びR11が一緒になってオキソ基を表し、クロマン骨格の2位と3位との間の結合が二重結合を表す化合物。
 この化合物は、フラボノール類の1種として知られているモーリン(Morin)(上記一般式(2)において、R2、R4、R7、R9が水酸基を表し、R1、R3、R5、R6及びR8が水素原子を表し、R10及びR11が一緒になってオキソ基を表し、クロマン骨格の2位と3位との間の結合が二重結合を表す化合物)のクロマン骨格の3位水酸基をアミノ基としたものである。
・ R2、R4、R7及びR8が水酸基を表し、R1、R3、R5、R6及びR9が水素原子を表し、R10及びR11が一緒になってオキソ基を表し、クロマン骨格の2位と3位との間の結合が二重結合を表す化合物。
 この化合物は、フラボノール類の1種として知られているケルセチン(Quercetin)(上記一般式(2)において、R2、R4、R6、R7及びR8が水酸基を表し、R1、R3、R5及びR9が水素原子を表し、R10及びR11が一緒になってオキソ基を表し、クロマン骨格の2位と3位との間の結合が二重結合を表す化合物)のクロマン骨格の3位水酸基をアミノ基としたものである。
・R2、R4、R6、R7、R8が水酸基を表し、R1、R3、R5及びR9が  水素原子を表し、R10及びR11が一緒になってオキソ基を表し、クロマン骨  格の2位と3位との間の結合が二重結合を表す化合物。
 この化合物は、フラボノール類の1種として知られているミリセチン(Myricetin)(上記一般式(2)において、R2、R4、R6、R7、R8が水酸基を表し、R1、R3、R5及びR9が水素原子を表し、R10及びR11が一緒になってオキソ基を表し、クロマン骨格の2位と3位との間の結合が二重結合を表す化合物)のクロマン骨格の3位水酸基をアミノ基としたものである。
・ R2、R4及びR8が水酸基を表し、R7がメトキシ基を表し、R1、R3、R5、R6及びR9が水素原子を表し、R10及びR11が一緒になってオキソ基を表し、クロマン骨格の2位と3位との間の結合が二重結合を表す化合物。
 この化合物は、フラボノール類の1種として知られているタマリキセチン(Tamarixetin)(上記一般式(2)において、R2、R4及びR8が水酸基を表し、R7がメトキシ基を表し、R1、R3、R5、R6及びR9が水素原子を表し、R10及びR11が一緒になってオキソ基を表し、クロマン骨格の2位と3位との間の結合が二重結合を表す化合物)のクロマン骨格の3位水酸基をアミノ基としたものである。
・ R2、R4及びR7が水酸基を表し、R8がメトキシ基を表し、R1、R3、R5、R6及びR9が水素原子を表し、R10及びR11が一緒になってオキソ基を表し、クロマン骨格の2位と3位との間の結合が二重結合を表す化合物。
 この化合物は、フラボノール類の1種として知られているイソラムネチン(Isorhamnetin)(上記一般式(2)において、R2、R4及びR7が水酸基を表し、R8がメトキシ基を表し、R1、R3、R5、R6及びR9が水素原子を表し、R10及びR11が一緒になってオキソ基を表し、クロマン骨格の2位と3位との間の結合が二重結合を表す化合物)のクロマン骨格の3位水酸基をアミノ基としたものである。
 特に、一般式(1)において、R2、R4及びR7が水酸基を表し、R1、R3、R5、R6、R8及びR9が水素原子を表し、R10及びR11が一緒になってオキソ基を表し、クロマン骨格の2位と3位との間の結合が二重結合を表す化合物が好ましい。
本発明の化合物の作用・用途
 本発明の化合物は、フラボノイド類の有する生理活性と同等の生理活性を有する。
 具体的には、本発明の化合物は、フリーラジカル発生化合物であるAAPHによるDNAの酸化を抑制する活性を有する。DNAの酸化は発ガンを誘発することが非特許文献1に記載されている。また本発明の化合物は、食品由来のDNA変異原物質であるヘテロサイクリックアミン類(例えばTrp-P-2)によるDNAの変異を抑制する活性を有する。これらのことから、本発明の化合物は発ガンを防止でき、抗ガン剤、特にガン予防剤として好適に使用できる。
 またDNA中のデオキシグアノシンが酸化されて8-オキソデオキシグアノシンになると遺伝子の転写時にアデノシン等に読み替えられる。これは突然変異を誘発し、動脈硬化症や糖尿病を引き起こすことが報告されている(Mutat.Res.,267,1992,277-290;Free Radic.Biol.Med.,26,1999,202-226)。本発明の化合物は、AAPHによるこのような酸化を抑制することから、動脈硬化症及び糖尿病の予防剤といて好適に使用できる。
 またダイオキシンはアリール水素炭化水素受容体(AhR)に結合することによりこれを活性化して種々の遺伝子を発現させ、その結果発ガン、免疫不全、催奇形性などを誘発するが(特許文献1)、本発明の化合物はAhRの活性化を抑制することにより、ダイオキシンの毒性を抑制する。このことから、本発明の化合物は、ダイオキシンによる疾患の予防、治療又は改善剤、例えば抗ガン剤(特にガン予防剤)、免疫不全予防剤又は催奇形性予防剤として好適に使用できる。
 以上説明した本発明の化合物が有する生理活性は、対応するフラボノール化合物より若干劣るが、略同等のものである。
 また、活性酸素の過多により炎症が生じるところ、本発明の化合物は、抗酸化作用を有するために、抗炎症作用を有すると考えられる。このことから、本発明の化合物は抗炎症剤として好適に使用できると考えられる。
 また、本発明の化合物は、抗酸化作用を有するために、血中の低密度リポタンパク質(LDL)の過酸化を抑制することにより、酸化LDLがもたらす動脈硬化症を抑制する作用を有すると考えられる。このことからも、本発明の化合物は動脈硬化症予防剤又は動脈硬化症治療若しくは改善剤として使用できると考えられる。
 また、本発明の化合物は、エストロジェン様作用を示し、乳ガンを抑制すると考えられる。このことからも、本発明の化合物は抗ガン剤、特に乳ガンの予防、治療又は改善剤として使用できると考えられる。
 また、本発明の化合物は、血糖値低下作用を有すると考えられる。このことからも、本発明の化合物は糖尿病の予防、治療又は改善剤として使用できると考えられる。
 また本発明の化合物は、ガン細胞の細胞周期を調節してその増殖を停止させる作用を有すると考えられる。このことからも本発明の化合物は抗ガン剤として使用できると考えられる。
 従来公知のフラボノール化合物は、細胞内に入り難いとともに、グルクロン酸等による抱合を受け易いために、細胞内で活性を発現させるためには大量に摂取する必要があり医薬品としては使用し難い。
 これに対して、本発明の化合物は、アミノ基を有するために小腸細胞内に取り込まれ易く、また小腸細胞から漿膜側(血管側)に移行し易い。さらに本発明の化合物は、対応するフラボノールより硫酸又はグルクロン酸等による抱合を受け難いために、尿中又は胆汁中に排出され難く、その結果細胞から排出され難い。
 これらのことから、本発明の化合物は、少量の投与により、生理活性を発現できるだけの濃度で小腸細胞内又は他組織の細胞内に存在させることができるために、医薬品の有効成分として使用し易い。また本発明の化合物は比較的少量で生理活性を発現するため、本発明の化合物を有効成分とする健康食品は比較的安価なものとなる。
(II)医薬組成物・食品組成物
 本発明の組成物は、上記一般式(1)で表される化合物を有効成分とする組成物であり、これは遺伝子酸化抑制、ダイオキシン毒性発現抑制、活性酸素の除去、及び、血中LDLの過酸化の抑制のために使用できる。
 具体的には、遺伝子酸化による発ガン又はダイオキシンにより誘発される発ガンを予防するために使用できる。また遺伝子酸化による動脈硬化症を予防するために使用できる。また遺伝子酸化による糖尿病を予防又は治療(改善を含む)するために使用できる。またダイオキシンにより誘発される免疫不全及び催奇形性を予防するために使用できる。また活性酸素の消去による炎症の予防又は治療(改善を含む)のために使用できる。また血中LDLの過酸化を抑制することによる動脈硬化症の予防又は治療(改善を含む)のために使用できる。
 また本発明の組成物は医薬組成物であってもよく食品組成物であってもよい。医薬組成物は、本発明の化合物のみからなるものであってもよく、薬学的に許容される担体(賦活剤、増量剤、結合剤、潤沢剤など)や慣用の添加剤などど混合したものであってもよい。この医薬組成物は、調製する形態(錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、シロップ剤などの経口投与剤;注射剤、点滴剤、外用剤、座剤などの非経口投与剤)等に応じて経口投与又は非経口投与することができる。また投与量は、有効成分の種類、投与対象又は患者の年齢、体重、症状によって異なり一概に規定できないが、1日投与量として、経口投与の場合0.1〜5000mg程度(特に0.1〜500mg程度)、非経口投与の場合0.01〜500mg程度(特に0.01〜50mg程度)を1日1回又は数回に分けて投与できる。
 食品組成物に含まれる食品の種類は特に限定されない。例えばクッキー、ゼリーのような菓子;ジュース、茶のような飲料;米飯などの主食加工品;総菜等の食品に本発明の化合物などを添加した組成物とすることができる。
 食品組成物中の本発明の化合物の含有量は、1日摂取量として0.01〜100mg程度になるように含まれていればよい。
(III)予防方法・治療方法
 本発明の方法は、本発明の一般式(1)で表される化合物をヒトに投与するガン予防方法、同様の免疫不全予防方法、同様の催奇形性予防方法、同様の炎症の予防又は治療方法、同様の動脈硬化の予防又は治療方法及び、糖尿病の予防方法である。
 投与対象となるヒトは、特に限定されず健常人;ダイオキシンによる疾患に羅患し易い環境であるゴミ焼却施設の従業員、ゴミ焼却施設の付近の住人;ガンにかかり易い喫煙者、肝硬変患者、大腸ポリープ患者;高血圧症患者などを対象にできる。
 投与方法は特に限定されない。また投与量は、1日投与量として、経口投与の場合0.1〜5000mg程度(特に0.1〜500mg程度)、非経口投与の場合0.01〜500mg程度(特に0.01〜50mg程度)とすればよい。
(IV)本発明の化合物の製造方法
第1の製造方法
 本発明の化合物は、上記一般式(2)で表される化合物(上記一般式(1)で表される化合物のクロマン骨格の3位アミノ基が水酸基で置換された対応化合物)を、例えば哺乳動物の小腸表面細胞ホモジネートとともにインキュベートした後、生成した上記一般式(1)で表される化合物を回収することにより得られる。
<原料化合物>
 本発明では、上記一般式(2)の化合物を原料として用いる。これらの化合物は、和光純薬社、ナカライテスク社、シグマ社、フナコシ社、クリハラ産業社、エクストラシンテース社(フランス)等から市販されている。
<小腸表面細胞ホモジネート>
 哺乳動物の種類は特に限定されず、ラット、マウス、ウサギ、ブタ、イヌ等の入手し易いものを使用すればよいが、高い比活性を得易い点でラットを使用するのが好ましい。高い比活性が得られるという点で、小腸表面細胞のうち、十二指腸及び空腸の十二指腸に近い部分の表面細胞がより好ましい。
 小腸表面細胞ホモジネートは、例えば以下の方法により得ることができる。先ず、動物から摘出した小腸を反転させた後、ガラス板等で腸内表面細胞を削り取る。得られた表面細胞を、リン酸バッファー等のpH4〜7.5程度のバッファーに懸濁させる。この細胞懸濁液をホモジナイザーにてホモジナイズし、タンパク質量0.1〜10mg/ml程度、特に2〜4mg/ml程度となるように同様のバッファーで希釈することにより小腸表面細胞ホモジネートが得られる。
<原料化合物の代謝>
 原料化合物を適当な溶媒(アルコールを含む水、又は、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、酢酸エチル等)に溶解させた溶液を、小腸表面細胞ホモジネートに終濃度1〜100μM程度、特に20〜30μM程度となるように添加して撹拌する。
 これを25〜50℃程度、特に35〜38℃程度で5〜480分間程度、特に60〜120分間程度インキュベートする。これにより、一般式(1)においてクロマン骨格の3位水酸基がアミノ基に変換された化合物が生成する。
 次いで、常法に従い目的化合物を回収及び精製すればよい。例えば、インキュベート後の反応液を遠心し、上清を採取した後、HPLC等の方法で精製することができる。
第2の製造方法
 本発明の上記一般式(1)で表される化合物は、上記一般式(2)で表される化合物をアンモニアの存在下で放置した後、生成した上記一般式(1)で表される化合物を回収することによっても得ることができる。
 アンモニアはアンモニア水として使用してもよく、アンモニアの低級アルコール溶液として使用してもよい。低級アルコールとしては、メタノール、エタノール、n−ブチルアルコール、iso−ブチルアルコール、n−プロピルアルコール、iso−プロピルアルコール、tert−プロピルアルコール等が挙げられる。特に、エタノールが好ましい。反応液中のアンモニアの濃度は、通常10〜18N程度、特に飽和濃度である18N程度とするのが好ましい。
 また、アンモニア溶液中に上記一般式(2)の化合物を通常10mg/l〜10g/l程度、特に1〜10 g/l程度の濃度で溶解させればよい。放置は、通常5〜80℃程度、特に25〜80℃程度の温度下で、通常1〜24時間程度、特に5〜24時間程度行うことが好ましい。
 上記のアンモニア共存下での原料化合物の放置は、加圧下に行うことが好ましい。この圧力は、例えば5〜10気圧程度、特に7〜10気圧程度とすることが好ましい。この範囲での加圧により目的化合物の収率を大きく向上させることができる。
 また、加圧の有無にかかわらず、塩化アンモニウムを通常1〜100g/l程度、特に30〜100g/l程度添加することが好ましい。これにより目的化合物の収率を向上させることができる。
 これにより生成した本発明のフラボノイド化合物をHPLC等により回収すればよい。
 以下、本発明を実施例及び試験例を示してより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
ケンフェロールの3位アミノ体の製造
ラット小腸表面細胞ホモジネートの調製
 Wister/STラット(6週齢)(JAPAN ALC.Inc.)から小腸を摘出し、冷PBS(phosphate-buffered-saline、pH7.4)で環流して内容物を取り除いた後、小腸を縦に切り開き、冷PBS内で洗浄し、反転させた。濾紙で水分を除去した後、ガラス板を用いて小腸表面細胞を取り出した。これに冷PBSを添加して、氷中で、Potter-Elvehjem型ホモジナイザーでホモジナイズした。さらに、このホモジネートのタンパク質量を、標準物質としてウシ血清アルブミンを用いたLowryらの方法により測定し、4mg protein/mlとなるように、冷PBSで希釈することにより、ラット小腸表面細胞ホモジネートを得た。
本発明の化合物の製造
 上記のラット小腸表面細胞ホモジネートを37℃で1分間プレインキュベートし、ここにケンフェロール(上記一般式(2)において、R2、R4及びR7が水酸基を表し、R1、R3、R5、R6、R8及びR9が水素原子を表す化合物;和光純薬社製)のDMSO溶液を、終濃度30μMとなるように添加した。
 これを37℃で60分間インキュベートした後、2.0mlの酢酸エチルを添加し、氷冷することにより反応を停止させた。
 反応液を攪拌機(ボルテクスミキサー)でよく撹拌した後、3000rpmで10分間遠心分離し、上清をナス型フラスコに回収した。この酢酸エチルによる抽出を3回繰り返した後、エバポレーターで酢酸エチルを除いた。これをメタノールに再溶解して回収し、窒素ガス下で再び乾固した。残渣をHPLCの移動相に再溶解し、孔径0.2μmのメンブレンフィルターでフィルトレーション後、分取用HPLCに供し、代謝物を含む画分を分取した。分取した画分を乾固した。
 HPLCの条件は以下の通りである。
 ポンプ:SHIMAZU LC-5A
検出器:SHIMAZU SPD-2A
検出 :UV250nm
カラム:SHISEIDO CAPCELL PAK C18
UG80 φ10×250nm
 移動相:0.1% TFA:メタノール=40:60
 流速 :2.0ml/分
 インジェクション量:200μl
生成化合物の同定
<TLC>
 WhatmanKC18F逆相プレートを用い、1%TFA溶液:メタノール=4:6の組成を有する展開液にて代謝生成物及びケンフェロールを展開した。代謝産物のRf値は0.43であり、ケンフェロールのRf値は0.35であった。両者が異なる化合物であることが分かる。
<HPLC-DAD>
 以下の条件で、代謝生成物及びケンフェロールのUVスペクトルを測定した。
ポンプ:HITACHI L-7100
検出器:HITACHI L-7455
検出 :UV250-450nm
カラム:SHISEIDO CAPCELL PAK C18、UG120φ4.6×250mm
移動相:0.1% TFA:メタノール=45:55
流速:1.0ml/分
注入量:10μl
 UVスペクトルを図1に示す。代謝産物のλmaxは260nm及び365nmに見出され、ケンフェロールのλmaxは262nm、360nmに見出された。このように、代謝によりピークにわずかなシフトが見られた。また、長波長側のピーク高さが、ケンフェロールに比べて代謝産物ではわずかに小さかった。
 これらのことから、代謝産物はケンフェロールの骨格を保持したケンフェロール誘導体であると考えられた。
<FT-IR>
 FT-IR(SHIMAZU SSU-8000)により、代謝生成物及びケンフェロールのIRスペクトルを測定した。測定は、拡散反射法により、分離能4cm-1、積算回数400回で行った。試料はKBr粉末と混合して測定に供した。
 IRスペクトルを図2に示す。代謝産物のIRスペクトルは1500cm-1から3800cm-1の波数領域において特徴的な官能基の吸収は見出されず、また750nm-1から1500cm-1の指紋領域ではケンフェロールのIRスペクトルと類似していた。このことからも、代謝産物は化学構造上ケンフェロールと極めて類似した化合物であることが分かる。
<NMR>
 代謝生成物及びケンフェロールについて、FT-NMRシステムにより、一次元NMR(1H-NMR、13C-NMR、DEPT)スペクトルを測定した。代謝生成物及びケンフェロールは、メタノール-d4(CD3OD)に溶解して分析に供した。
 1H-NMRスペクトルを図3に示す。図3(A)はケンフェロールのスペクトルであり、図3(B)は代謝産物のスペクトルである。図3から明らかなように、ケンフェロールでは、6.1ppm、6.3ppm、6.9ppm、8.0ppmの各位置にダブレットのシグナルが観測された。代謝産物でも、6.1ppm、6.3ppm、6.9ppm、7.7ppmの各位置にダブレットのシグナルが観測された。
 13C-NMRスペクトルを図4に示す。図4(A)はケンフェロールのスペクトルであり、図4(B)は代謝産物のスペクトルである。図4から明らかなように、ケンフェロール では、94ppm、99ppm、104ppm、116ppm、123ppm、130ppm、137ppm、148ppm、158ppm、160ppm、162ppm、165ppm、177ppm付近の各位置に13本のシグナルが観測された。これに対して代謝産物では、94ppm、99ppm、116ppm、124ppm、130ppm、158ppm、160ppm、162ppm、165ppmの各位置に9本のシグナルが観測された。
 ケンフェロールの代謝によるプロトンシグナルのシフトと2、3、4及び10位のカーボンシグナルの変化は、3位に何らかの変化が起こっていることを示唆している。
<質量分析>
1)以下の条件で、ケンフェロール及び代謝産物について低分解能FAB-MS測定を行 った。
 イオン化条件:イオン化法 FAB
        イオン極性 Positive
        マトリクス グリセロール
 測定条件  :測定範囲 m/z 10-1000(磁場スキャン)
        加速電圧 10kV
        スキャン速度 12sec/decade
 ケンフェロールのスペクトルを図5に示し、代謝産物のスペクトルを図6に示す。図5に示されるように、ケンフェロールでは、分子イオンピークと判断されるm/z287[M+H]+が検出された。図6に示されるように、代謝産物では、複数の他成分ピークが検出されたが、推定分子量285を支持するピーク(m/z286)が10%程度の強度で検出された。
2) 低分解能MS測定において確認した代謝産物の分子イオンピークについて、以下の条件で高分解能FAB-MS測定を行った。
 イオン化条件:イオン化法 FAB
        イオン極性 Positive
        マトリクス グリセロール
 測定条件  :測定範囲 m/z 278-332(磁場スキャン)
        標準物質 PEG400
        スキャン速度 100sec/decade
 代謝産物の精密質量結果及び組成演算結果を以下の表1に示す。
 表1から、代謝産物については、ケンフェロールの水酸基がアミノ基に置換した場合の組成式C15H12O5N(1H付加)が誤差-1.1ppm/-0.3mmuで得られた。
 以上のNMR及び質量分析の結果、ケンフェロールの代謝産物は、ケンフェロールのクロマン骨格の3位水酸基がアミノ基に置換された化合物(以下の一般式(3)で表される化合物)であると結論づけられた。
他のフラボノイド化合物の製造
 実施例1において、原料化合物として、ケンフェロールに代えて、それぞれフラボノール(実施例2)、ガランジン(実施例3)、フィセチン(実施例4)、モーリン(実施例5)、ケルセチン(実施例6)、ミリセチン(実施例7)、タマリキセチン(実施例8)、イソラムネチン(実施例9)を用いた他は実施例1と同様にして、代謝産物を得た。
 また、実施例1において、原料化合物として、ケンフェロールに代えて、それぞれダチセチン(実施例10)、ロビネチン(実施例11)及びケルセタゲチン(実施例12)を用いた他は、実施例1と同様にして、代謝産物を得た。ダチセチンは、上記一般式(2)において、R2、R4及びR9が水酸基を表しR1、R3、R5、R6、R7及びR8が水素原子を表し、R10及びR11が一緒になってオキソ基を表し、クロマン骨格の2位と3位との間の結合が二重結合を表す化合物である。ロビネチンは、上記一般式(2)において、R2、R6、R7及びR8が水酸基を表しR1、R3、R4、R5及びR9が水素原子を表し、R10及びR11が一緒になってオキソ基を表し、クロマン骨格の2位と3位との間の結合が二重結合を表す化合物である。ケルセタゲチンは、上記一般式(2)において、R2、R3、R4、R7及びR8が水酸基を表しR1、R5、R6及びR9が水素原子を表し、R10及びR11が一緒になってオキソ基を表し、クロマン骨格の2位と3位との間の結合が二重結合を表す化合物である。
 代謝産物は、LC/MSのLCにおいて、原料化合物とは異なる位置に溶出され、かつMSにおいて1マスユニット小さいことから、上記一般式(1)の化合物の水酸基がアミノ基に変化した化合物であると判断した。得られた化合物の一般式を以下の表2に示す。
有機合成法による本発明化合物の製造
 18Nのアンモニア水にケンフェロール(和光純薬社製)を500mg/lの濃度になるように溶解し、10気圧の下、室温で20時間放置した。得られた溶液から目的化合物を酢酸エチルで抽出し、抽出物を実施例1と同様にしてHPLCで分収して精製した。生成物について、実施例2〜8と同様の方法で化合物の同定を行ったところ、上記一般式(1)において、R2、R4、R7が水酸基を表しR1、R3、R5、R6、R8、R9が水素原子を表し、R10及びR11が一緒になってオキソ基を表し、クロマン骨格の2位と3位との間の結合が二重結合を表す化合物であると判断された。
 また収率は、10%であった。
有機合成法による本発明化合物の製造
 上記実施例9において、アンモニアとの反応を常圧下で行った他は、実施例9と同様の操作を行った。生成物の収率は、3%であった。
in vitro抗酸化活性
<DPPH法>
 ケンフェロール及び代謝産物による抗酸化活性を、これらによるDPPH(ジフェニルピクリルヒドラジル)還元能を測定することにより評価した。酢酸バッファー(pH5.5)500μl、エタノール500μl及び0.5mM DPPH溶液250μlの混合溶液に、10μlのKaempferolのメタノール溶液及び代謝産物のメタノール溶液をそれぞれ添加した。5分後にDPPHラジカルの吸収極大波長である517nmにおける吸光度を測定した。DPPHラジカルは、安定ラジカルであり、ラジカル状態ではピンク色を呈しているが、このラジカルが捕捉されると無色のロイコ型となる(Nature,181,1958,1199-1200)。従って、517nmにおける吸光度が低いほど、DPPHラジカルが還元されており、すなわちケンフェロール又は代謝産物による抗酸化活性が強いことを示す。
 ケンフェロール及び代謝産物のメタノール溶液における濃度を1、2、3、4及び5mMに変化させて測定した。ケンフェロール又は代謝産物の濃度に対してDPPH濃度(%)をプロットしたグラフを、図7に示す。図7の(A)はケンフェロールの結果を示し、図7の(B)は代謝産物の結果を示す。
 図7のグラフから、DPPH濃度(517nmにおける吸光度)が50%になるときのケンフェロール及び代謝産物の濃度(50%阻害濃度:IC50)を求めた。ケンフェロールのIC50は23μMであり、代謝産物のIC50は30μMであった。このことから、ケンフェロールの3位水酸基がアミノ基に置換されても、略同等の抗酸化活性を有することが分かる。
 また同様にしてケルセチン及びその3位水酸基がアミノ基に置換された化合物による50%阻害濃度(IC50)を測定したところ、ケルセチンでは7.0μM、そのアミノ体では12μMであった。
<AAPH法>
 ケンフェロール及び代謝産物の抗酸化活性を、フリーラジカルを発生する化合物である2,2'-アゾビス-(2-アミジノプロパン)ジヒドロクロリド(AAPH)による2'-デオキシグアノシン(2'-dG)の酸化物の生成の阻害(%)を測定することにより評価した。
 2'-dGは酸化されると8-オキソデオキシグアノシン(8-OHdG)となり、遺伝子の転写時にアデノシン等と読み替えられる。この読み違いが突然変異となり、ガン、動脈硬化症、糖尿病等の発生の直接の原因になっていることが報告されている(Mutat.Res.,267,1992,277-290;Free Radic.Biol.Med.,26,1999,202-226)。従って、被験物質について2'-dG酸化物の生成阻害率を測定する本方法は、当該物質による上記疾患の予防又は治療効果を調べるための効率的な方法である。
 1.0mMの2'-dG水溶液500μl及び50mM AAPHの混合液にケンフェロール及び代謝産物を5μl添加し、37℃で1時間インキュベートした後、2'-dG の酸化産物である8-OHdGをHPLCで定量した。その生成量が少ないほど被験物質の抗酸化活性が強いことを示す。
 ケンフェロール及び代謝産物のDMSO溶液における濃度を0、0.2、0.5、1及び1.6mMに変化させて測定した。ケンフェロール又は代謝産物の濃度に対して、8-OHdGの生成量をプロットしたグラフを図8に示す。図8の(A)はケンフェロールの結果を示し、図8の(B)は代謝産物の結果を示す。
 図8から、8-OHdGの生成が50%抑制されたときのケンフェロール及び代謝産物の濃度(50%阻害濃度:IC50)を求めた。ケンフェロールのIC50は3.5μMであり、代謝産物のIC50は2.5μMであった。このことからも、ケンフェロールの3位水酸基がアミノ基に置換されても、同等の抗酸化活性を有することが分かる。
 また、DPPH法では、ケンフェロールに比べて代謝産物の方が抗酸化活性が若干低く、これに対してAAPH法では、ケンフェロールに比べて代謝産物の方が抗酸化活性が若干高いことから、この代謝産物は、ヒト体内のような水系環境中の方が抗酸化活性が高くなることが分かる。このことから、ケンフェロールより代謝産物の方が細胞内で抗酸化活性を発現し易いと考えられる。
 また同様にしてケルセチン及びその3位水酸基がアミノ基に置換された化合物による50%阻害濃度(IC50)を測定したところ、ケルセチンでは5.1μM、そのアミノ体では11μMであった。
細胞内への取り込み量の検討
 ヒト肝ガン細胞HepG2を37℃でコンフルエントになるまで培養し、細胞培養に最終濃度10μMとなるようにケンフェロール、そのクロマン骨格の3位アミノ体、ケルセチン及びそのクロマン骨格の3位アミノ体を添加して同温度で180分間インキュベートした。
 経時的に培養液から細胞をサンプリングし、ホモジナイズ後定法により核を分離した。すなわち、経時的に培養器のウェルから細胞をPBSを用いて回収し3000rpmで10分間の遠心分離により細胞を分離し、この細胞を0.25Mのスクロース中でホモジナイズし、常法に従い核を分離した。採取した核画分を二つに分けて、その一方を90%メタノールで抽出し、抽出液中の成分をHPLCを用いて定量した。
 HPLC分析はL-7100ポンプ(日立、東京、日本)とUV検出器(340〜370 nm)(日立L-7420)及び電気化学検出器(+450 mV)(医理化S 875、京都、日本)とに接続した逆相カラム Capcell pak C18 UG120(資生堂、東京、日本)を用いて行った。試料注入量は20 lとし、移動相にはメタノール: 50 mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH 3.3)=1:1を用いた。カラム温度は35℃に保ち、流速は1 ml/分とした。
 抗酸化物質量はそれぞれの標品10 mMとのピーク高さ比により算出した。また、スルファターゼ処理した試料中の抗酸化物質量を、非処理の量と比較してその差を抱合体量として算出した。
 核内へのケルセチン、そのメチル体、そのグルクロニド・硫酸抱合体及びこれらの総量の取り込み量の推移を図9に示す。なお、ケルセチンのメチル化及び抱合は細胞内酵素により行われるため、これらが核内で検出されたということは細胞内へケルセチンが取り込まれたことを示している。図9から、ケルセチンは核内へメチル体又はグルクロニド・硫酸抱合体のような誘導体として取り込まれていることが分かる。
遺伝子酸化抑制作用の検討
 上記4種類の化合物のいずれかとともに培養した細胞から上記のようにして採取した核画分の他の一方に、最終濃度25mMとなるようにAAPHを添加し、37℃で3時間インキュベートした。
 この細胞から常法に従いDNAを抽出し、エンドヌクレアーゼで加水分解し、加水分解物をHPLCに供して生成した8-OHdGを定量した。前述したように8-OHdGはグアノシンの酸化産物であり、DNA転写時にアデノシンと読み間違えられて突然変異を引き起こす。
 詳述すれば、経時的に細胞をサンプリングし、Kamendulis, L. M., Jiang, J., Xu, Y. and Klaunig, J. E.(1999) Induction of oxidative damage in rat glial cells by acrylo- nitrile.Carcinogenesis, 20, 1555-1560.の方法を一部改変した方法でDNAを抽出した。すなわち、AAPH処理した細胞を0.5% SDSを含むTE緩衝液(10 mM トリス−塩酸溶液,pH 7.4 、10 mM EDTA)で可溶化した後、500 g/mlリボヌクレアーゼA (Sigma)を加え、50℃で30分間インキュベートし、さらに500 g/mlプロテイナーゼK (Sigma)を加え50℃で1時間インキュベートした。ここに塩化ナトリウム(0.5 M:終濃度)を加え、50%イソプロパノールでDNAを抽出し、10000 gで15分間遠心分離した。DNA試料は200 lの1 mMのEDTA及び15lの0.5 M酢酸ナトリウムに懸濁後、ヌクレアーゼP1 (Sigma)で処理(10 U、30分間、37℃)し、さらに80 lの0.4 M トリス−塩酸溶液(pH 7.4)を添加後、アルカリホスファターゼ(Sigma)で処理(3 U、1時間、37℃)した。遠心分離(17000 g、10分間、4℃)の後、HPLC分析前に上清を0.2 mのフィルターでろ過した。
 ろ液の20lを、L-7100ポンプ(日立、東京、日本)とUV検出器(254 nm)(日立L-7420)及び電気化学検出器(+600 mV)(医理化S 875)とに接続した逆相カラム Capcell pak C18 UG120(資生堂)にて分析した。移動相には6.5%メタノール、93.5%0.1 mM EDTAを含む20 mMリン酸カリウム緩衝液の混合液を用い、流速は1 ml/分とした。
 酸化産物8-OHdGおよび2'-dG量は、各標品のピーク高さとの比較で求め、結果は8-OHdG/105 ×2'-dGで表した。
 細胞をケルセチンに暴露したときの8-OHdG生成量の推移を図10に示す。図10のグラフは、細胞をケルセチンに暴露した0、30、60、180分間後の8-OHdG生成率(0分間の時点での8-OHdG量に対する各時点での8-OHdG量の比率)を示している。
 図9及び図10から、ケルセチンの細胞内取り込み量が多いときに8-OHdGの生成が阻害されていることが分かる。このことから、ケルセチンは実際の細胞においてAAPHによるDNAの酸化を抑制することが分かる。
Trp-P-2による変異原性の抑制作用の検討
 食品を加温調理すると発ガン性を有する様々なヘテロサイクリックアミンが生じるが、日本人はこれを総量で約0.4から16μg/日摂取している。Trp-P-2(3-amino-1-methyl-5H-pyrido[4,3-b]indole)は、食品の加熱によりトリプトファンが分解して生じるヘテロサイクリックアミンの一つである。ヘテロサイクリックアミンはCYP1Aという酵素で活性化された後に遺伝子に付加してその変異を誘発する。ヘテロサイクリックアミンはいずれも同じ機構で発ガンを誘発するため、代表例であるTrp-P-2の変異原性を抑制する物質は他のヘテロサイクリックアミンの変異原性及び発ガン性をも抑制すると考えられる。フラボノールはCYP1A酵素活性を調節することによりヘテロサイクリックアミンによるDNA変異を抑制することが知られている(非特許文献4)。
 本発明の化合物も同様にヘテロサイクリックアミンによるDNA変異を抑制するか否かを以下のようにして検討した。Kanazawa et al.,Bioscience, Biotechnology and Biochemistry,62,970-977,1998に記載の常法に従い、変異原性試験を行った。即ち、サルモネラティフィムリウム(salmonella typhimurium )のヒスチジン要求性変異株TA98株に最終濃度で0.1nmolのTrp-P-2及び S9 ミックス(ラットにメチルコランスレンやフェノバルビタールを与えて薬物代謝系を誘導した肝臓から調製したミクロソームで、シトクロームP450 1A酵素類を0.11 nmol含む)を添加し、この菌液にケンフェロール及びその3位アミノ体を様々な濃度で加えて20分間インキュベートした。インキュベート後の菌液の一部をニュートリエントブロス培地に摂取し2日間培養した後、ヒスチジンを含む合成平板培地及びヒスチジンを含まない合成平板培地にそれぞれ散布した。各平板を培養して復帰変異株のコロニー数を計測した。
 Trp-P-2だけを添加したときのコロニー数から、何も添加していないときのコロニー数を引いた数を100とし、Trp-P-2及び被検物質を添加したときの数値から何も添加していないときのコロニー数を引いた数をXとし、(100-X/100)の値を抗変異原性(%)とした。被検物質の濃度の対数に対して抗変異原性(%)をプロットしたグラフを図11に示す。50%の抗変異原性(%)を示す濃度をIC50とした。図11から分かるように、ケンフェロールのIC50は1.3μM、その3位アミノ体のIC50は1.9μMといういずれも低濃度であり、強い変異原性抑制効果を示すことが分かる。
 なお、このようにして求めた抗変異原性(%)は世界的に抗変異原を示す指標として使用されている。また、Trp-P-2はシトクロームP4501Aによって活性化されて発ガン性を示す物質であることから、ケンフェロール及びその3位アミノ体は発ガン抑制効果を有することが分かる。
 また、ケンフェロール以外のフラボノール(ガランジン、ケルセチン、モリン、フィセチン、ミリセチン)及びその3位アミノ体についても同様にして変異原性抑制効果を調べたところ、フラボノールのIC50は0.6〜10μMの範囲にあり、その3位アミノ体のIC50は0.9〜12μMの範囲にあった。
ダイオキシンの毒性発現抑制
 ダイオキシンは細胞内に取り込まれ易い化合物であり、細胞内において、ヒートショックタンパク質90というタンパク質が結合することにより不活性化しているアリール炭化水素受容体(AhR)に結合する。この結合によりAhRからヒートショックタンパク質90は離脱し、それによりAhRは活性化(transformation)されて核内に移行(translocation)する。そしてARNT(Ah receptornuclear translocator)という核内タンパク質と結合した上で遺伝子上に移行して、遺伝子のDRE(XREとも称されるダイオキシン応答部位)に結合することにより、その下流にある遺伝子群の発現を促す。その結果、二十数種類の遺伝子が発現するが、この混乱した発現が免疫不全、催奇形性及び発癌を誘発する。代表的な発現遺伝子は後述するCYP1A酵素の遺伝子である。フラボノール類はこの毒性発現機構の最初の段階、AhRの活性化を拮抗的に可逆的に阻害する(特許文献1)。このように、フラボノールは現在知られているもっとも顕著なダイオキシン毒性軽減剤である。
 本発明の化合物の一つであるケンフェロールのアミノ体も従来知られているフラボノールと同様にダイオキシン毒性発現抑制効果を有するか否かを以下のようにして検討した。
 H. Ashida et al., FEBS Letters, 476, 213-217, 2000に記載の常法に従い、ラット肝細胞の細胞質に最終濃度1nmolとなるようにTCDD(2,3,7,8-テトラクロロジベンゾジオキサン)を添加した後、アリール炭化水素受容体(AhR)を取り出し、TCDDの結合により活性化されたAhRの比率をゲルシフト法で測定した。このとき、細胞質にTCDDとともにケンフェロール及びその3位アミノ体を様々な濃度で添加した。
 ケンフェロール及びその3位アミノ体の濃度の対数に対してAhRの活性化率をプロットしたグラフを図12に示す。図12から分かるように、ケンフェロール及びその3位アミノ体は濃度依存的にAhRの活性化を抑制している。TCDDの結合によるAhRの活性化を50%抑える濃度である(IC50 )はケンフェロールでは1.3 M、アミノ体では7.9M(スウェライザ法でAhRを活性化した場合は12.2M)である。このように、ケンフェロールのアミノ体は、ケンフェロールより若干劣るが略同程度の低濃度で、ダイオキシンによる毒性を抑制することが分かる。
 また、ケンフェロール以外のフラボノール(ガランジン、ケルセチン、モリン、フィセチン、ミリセチン)及びその3位アミノ体についても同様にしてダイオキシン毒性発現の抑制効果を調べたところ、フラボノールのIC50は0.22〜7.6μMの範囲にあり、その3位アミノ体のIC50は0.55〜12.2μMの範囲にあった。
フラボノールのバイオアベイラビリティの検討
 常法に従い、ヒト小腸ガン細胞Caco-2をコンフルエントになるまで培養し、トランスウェルに播種することにより単層培養細胞を用意した。細胞のトランスウェルの上面側の面は細胞の小腸上腔側(絨毛側)の面であり、アピカルと称される。このアピカル側にケンフェロール又はその3位アミノ体を2nmol/ウェル添加し、経時的にウェル内のアピカル側の溶液をサンプリングしてケンフェロール又はその3位アミノ体の濃度をHPLCで定量した。HPLC条件は実施例12で使用した条件を採用した。
 結果を図13(A)中に折れ線グラフで示す。ケンフェロール及びその3位アミノ体は速やかに消失しており、細胞内に取り込まれたことが予測される。3位アミノ体はケンフェロールよりも培養液上清からの消失速度が高い。
 また、ケンフェロール及びその3位アミノ体のグルクロニド−硫酸抱合体の濃度を図13(A)中に棒グラフで示す。これらの抱合体は経時的に増加しており、ケンフェロール及びその3位アミノ体が小腸腔側に抱合体の形で排泄されていることが分かる。また、ケンフェロールに較べてその3位アミノ体では抱合体の生成量が少ない。
 これらの結果、3位アミノ体はケンフェロールよりも細胞内に速やかに取り込まれるとともに、抱合されて糞便又は尿として排泄される速度も低いことが分かる。
 また経時的にウェル内細胞をサンプリングしホモジナイズして細胞内容物を抽出し、ケンフェロール又はその3位アミノ体のウェル当たりの量をHPLCで定量した。HPLC条件は実施例12で使用した条件を採用した。結果を図13 (B)に折れ線グラフで示す。細胞内への取り込み速度は、インキュベート当初はアミノ体とケンフェロールとで略同様であったが、時間の経過とともにアミノ体の方が細胞内濃度が高くなっている。
 また、ケンフェロール又はその3位アミノ体のグルクロニド−硫酸抱合体のウェル当たりの量を棒グラフで示す。アミノ体はケンフェロールよりも抱合体の生成速度が低い。これらのことから、アミノ体はケンフェロールより細胞内に取り込まれ易いとともに抱合体になり難く、その結果細胞内におけるAhR及びCYP1Aに対する効果が効果的に持続することが分かる。
 トランスウェル内の細胞の血液側(バソラテライル側)の溶液を経時的にサンプリングし、HPLCを用いてケンフェロール又はその3位アミノ体のウェル当たりの量を定量した。HPLC条件は実施例2で使用した条件を採用した。結果を図13 (C)に折れ線グラフで示す。図13 (C)から、アミノ体はケンフェロールに較べて高速度でバソラテライル側に排泄されていることが分かる。
 また、バソラテライル側溶液中のこれらの抱合体の濃度を棒グラフで示す。アミノ体の抱合体はケンフェロールの抱合体に較べて極めて高速度でバソラテライル側に移行していることが分かる。
 このように、アミノ体はケンフェロールに較べて遊離形及び抱合体の双方の形でより大量にバソラテライル側に移行しており、アミノ体は生体内において小腸細胞から漿膜側の血液中に移行し易いことが分かる。
 図13(A)、(B)、(C)より、アミノ体はケンフェロールよりも小腸に取り込まれ易く、小腸内での滞留時間も長く、さらに血中濃度も高く、即ちバイオアベイラビリティが高いことが分かる。
 このように、本願発明のフラボノールの3位アミノ体は、対応するフラボノールよりは若干劣るが、略同等のDNA酸化損傷の抑制作用、DNA変異抑制作用、ダイオキシンの毒性発現抑制作用を有し、また対応フラボノールよりもバイオアベイラビリティが高いことから、医薬又は食品などとしてヒトが摂取する場合は、対応フラボノールと同等又はそれ以上の生理活性を示すと考えられる。
 本発明の一般式(1)で表される化合物は、抗ガン用組成物、免疫不全予防用組成物、催奇形性予防用組成物、抗炎症用組成物、動脈硬化の予防又は治療用組成物、糖尿病の予防用組成物等の有効成分として好適に使用できる。
代謝産物及びケンフェロールのUVスペクトルを示す図である。 代謝産物及びケンフェロールのFT-IRスペクトルを示す図である。 (A)はケンフェロールの1H-NMRスペクトルを示し、(B)はその代謝産物の1H-NMRスペクトルを示す図である。 (A)はケンフェロールの13C-NMRスペクトルを示し、(B)はその代謝産物の13C-NMRスペクトルを示す図である。 ケンフェロールのFAB-MSスペクトルを示す図である。 ケンフェロールの代謝産物のFAB-MSスペクトルを示す図である。 ケンフェロール濃度(A)及びその代謝産物濃度(B)に対してDPPH濃度(%)をプロットしたグラフである。 ケンフェロール濃度(A)及びその代謝産物濃度(B)に対して8-OHdGの生成量(%)をプロットしたグラフである。 ケルセチン及びその抱合体等の経時的な細胞内への取り込み量を示すグラフである。 ケルセチンをDNAに作用させる時間に対して8-OHdGの生成量(%)をプロットしたグラフである。 ケンフェロール及びその3位アミノ体の濃度の対数に対してサルモネラティフィムリウムの復帰変異株数、即ち変異が抑制された数をプロットしたグラフである。 ケンフェロール及びその3位アミノ体の濃度の対数に対してAhRの活性化率をプロットしたグラフである。 (A)の折れ線グラフは小腸細胞上腔側の液中におけるケンフェロール及びその3位アミノ体の量の推移を示すグラフであり、棒グラフはこれらの抱合体の量の推移を示すグラフであり、(B) の折れ線グラフは小腸細胞内におけるケンフェロール及びその3位アミノ体の量の推移を示すグラフであり、棒グラフはこれらの抱合体の量の推移を示すグラフであり、(C) の折れ線グラフは小腸細胞の漿膜側の液中におけるケンフェロール及びその3位アミノ体の量の推移を示すグラフであり、棒グラフはこれらの抱合体の量の推移を示すグラフである。

Claims (37)

  1. 以下の一般式(1)で表される化合物。
    (式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8及びR9は、同一又は異なって、水素原子、水酸基又は低級アルコキシ基を表す。R10及びR11は共に水素原子又は一緒になってオキソ基を表す。クロマン骨格の2位と3位との間の結合は一重結合又は二重結合を表す。)
  2. 一般式(1)において、R2、R4及びR7が水酸基を表し、R1、R3、R5、R6、R8及びR9が水素原子を表し、R10及びR11が一緒になってオキソ基を表し、クロマン骨格の2位と3位との間の結合が二重結合を表す請求項1に記載の化合物。
  3. 一般式(1)において、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8及びR9が水素原子を表し、R10及びR11が一緒になってオキソ基を表し、クロマン骨格の2位と3位との間の結合が二重結合を表す請求項1に記載の化合物。
  4. 一般式(1)において、R2及びR4が水酸基を表し、R1、R3、R5、R6、R7、R8及びR9が水素原子を表し、R10及びR11が一緒になってオキソ基を表し、クロマン骨格の2位と3位との間の結合が二重結合を表す請求項1に記載の化合物。
  5. 一般式(1)において、R2、R7及びR8が水酸基を表し、R1、R3、R4、R5、R6及びR9が水素原子を表し、R10及びR11が一緒になってオキソ基を表し、クロマン骨格の2位と3位との間の結合が二重結合を表す請求項1に記載の化合物。
  6. 一般式(1)において、R2、R4、R7、R9が水酸基を表し、R1、R3、R5、R6及びR8が水素原子を表し、R10及びR11が一緒になってオキソ基を表し、クロマン骨格の2位と3位との間の結合が二重結合を表す請求項1に記載の化合物。
  7. 一般式(1)において、R2、R4、R7及びR8が水酸基を表し、R1、R3、R5、R6及びR9が水素原子を表し、R10及びR11が一緒になってオキソ基を表し、クロマン骨格の2位と3位との間の結合が二重結合を表す請求項1に記載の化合物。
  8. 一般式(1)において、R2、R4、R6、R7、R8が水酸基を表し、R1、R3、R5及びR9が水素原子を表し、R10及びR11が一緒になってオキソ基を表し、クロマン骨格の2位と3位との間の結合が二重結合を表す請求項1に記載の化合物。
  9. 一般式(1)において、R2、R4及びR8が水酸基を表し、R7がメトキシ基を表し、R1、R3、R5、R6及びR9が水素原子を表し、R10及びR11が一緒になってオキソ基を表し、クロマン骨格の2位と3位との間の結合が二重結合を表す請求項1に記載の化合物。
  10. 一般式(1)において、R2、R4及びR7が水酸基を表し、R8がメトキシ基を表し、R1、R3、R5、R6及びR9が水素原子を表し、R10及びR11が一緒になってオキソ基を表し、クロマン骨格の2位と3位との間の結合が二重結合を表す請求項1に記載の化合物。
  11. 下記の一般式(1)
    (式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8及びR9は、同一又は異なって、水素原子、水酸基又は低級アルコキシ基を表す。R10及びR11は共に水素原子又は一緒になってオキソ基を表す。クロマン骨格の2位と3位との間の結合は一重結合又は二重結合を表す。)
    で表される化合物の製造方法であって、下記の一般式(2)
    (式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8及びR9は、同一又は異なって、水素原子、水酸基又は低級アルコキシ基を表す。R10及びR11は共に水素原子又は一緒になってオキソ基を表す。クロマン骨格の2位と3位との間の結合は一重結合又は二重結合を表す。)
    の化合物を、哺乳動物の小腸表面細胞ホモジネートとともにインキュベートする工程と;上記一般式(1)の化合物を回収する工程とを含むことを特徴とする製造方法。
  12. 上記一般式(1)において、R2、R4及びR7が水酸基を表し、R1、R3、R5、R6、R8及びR9が水素原子を表し、R10及びR11が一緒になってオキソ基を表し、クロマン骨格の2位と3位との間の結合が二重結合を表す化合物の製造方法であって、上記一般式(2)において、R2、R4及びR7が水酸基を表し、R1、R3、R5、R6、R8及びR9が水素原子を表し、R10及びR11が一緒になってオキソ基を表し、クロマン骨格の2位と3位との間の結合が二重結合を表す化合物を、哺乳動物の小腸表面細胞ホモジネートとともにインキュベートする工程と;上記一般式(1)において、R2、R4及びR7が水酸基を表し、R1、R3、R5、R6、R8及びR9が水素原子を表し、R10及びR11が一緒になってオキソ基を表し、クロマン骨格の2位と3位との間の結合が二重結合を表す化合物を回収する工程とを含むことを特徴とする製造方法。
  13. 下記の一般式(1)
    (式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8及びR9は、同一又は異なって、水素原子、水酸基又は低級アルコキシ基を表す。R10及びR11は共に水素原子又は一緒になってオキソ基を表す。クロマン骨格の2位と3位との間の結合は一重結合又は二重結合を表す。)
     で表される化合物の製造方法であって、下記の一般式(2)
    (式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8及びR9は、同一又は異なって、水素原子、水酸基又は低級アルコキシ基を表す。R10及びR11は共に水素原子又は一緒になってオキソ基を表す。クロマン骨格の2位と3位との間の結合は一重結合又は二重結合を表す。)
    の化合物を、アンモニアの存在下で放置する工程と;上記一般式(1)の化合物を回収する工程とを含むことを特徴とする製造方法。
  14. 上記の一般式(2)の化合物をアンモニアの存在下で放置する工程を加圧下に行う請求項13に記載の方法。
  15. 上記一般式(1)で表される化合物が、上記一般式(1)においてR2、R4及びR7が水酸基を表し、R1、R3、R5、R6、R8及びR9が水素原子を表し、R10及びR11が一緒になってオキソ基を表し、クロマン骨格の2位と3位との間の結合が二重結合を表す化合物であり、上記一般式(2)で表される化合物が、上記一般式(2)において、R2、R4及びR7が水酸基を表し、R1、R3、R5、R6、R8及びR9が水素原子を表し、R10及びR11が一緒になってオキソ基を表し、クロマン骨格の2位と3位との間の結合が二重結合を表す化合物である請求項13又は14に記載の方法。
  16. 請求項1〜10のいずれかに記載の化合物からなる遺伝子酸化抑制剤。
  17. 請求項1〜10のいずれかに記載の化合物からなるダイオキシン毒性発現抑制剤。
  18. 請求項1〜10のいずれかに記載の化合物からなる抗ガン剤。
  19. 請求項1〜10のいずれかに記載の化合物からなる免疫不全予防剤。
  20. 請求項1〜10のいずれかに記載の化合物からなる催奇形性予防剤。
  21. 請求項1〜10のいずれかに記載の化合物からなる抗炎症剤。
  22. 請求項1〜10のいずれかに記載の化合物からなる動脈硬化症の予防又は治療剤。
  23. 請求項1〜10のいずれかに記載の化合物からなる糖尿病の予防又は治療剤。
  24. 請求項1〜10のいずれかに記載の化合物を有効成分とする遺伝子酸化抑制用組成物。
  25. 請求項1〜10のいずれかに記載の化合物を有効成分とするダイオキシン毒性発現抑制用組成物。
  26. 請求項1〜10のいずれかに記載の化合物を有効成分とする抗ガン用組成物。
  27. 請求項1〜10のいずれかに記載の化合物を有効成分とする免疫不全予防用組成物。
  28. 請求項1〜10のいずれかに記載の化合物を有効成分とする催奇形性予防用組成物。
  29. 請求項1〜10のいずれかに記載の化合物を有効成分とする抗炎症用組成物。
  30. 請求項1〜10のいずれかに記載の化合物を有効成分とする動脈硬化症の予防又は治療用組成物。
  31. 請求項1〜10のいずれかに記載の化合物を有効成分とする糖尿病の予防又は治療用組成物。
  32. 請求項1〜10のいずれかに記載の化合物をヒトに投与するガン予防方法。
  33. 請求項1〜10のいずれかに記載の化合物をヒトに投与する免疫不全予防方法。
  34. 請求項1〜10のいずれかに記載の化合物をヒトに投与する催奇形性予防方法。
  35. 請求項1〜10のいずれかに記載の化合物をヒトに投与する炎症の予防又は治療方法。
  36. 請求項1〜10のいずれかに記載の化合物をヒトに投与する動脈硬化症の予防又は治療方法。
  37. 請求項1〜10のいずれかに記載の化合物をヒトに投与する糖尿病の予防方法。

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